(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6202552
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ用ヘッドカバー
(51)【国際特許分類】
A63B 60/62 20150101AFI20170914BHJP
【FI】
A63B60/62
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-52647(P2017-52647)
(22)【出願日】2017年3月17日
【審査請求日】2017年3月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505407911
【氏名又は名称】ウエスト産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】西川 太一
【審査官】
藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−036659(JP,U)
【文献】
実開昭59−030266(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3010054(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0008008(US,A1)
【文献】
特開2006−239416(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0188593(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0108689(US,A1)
【文献】
実開昭53−003670(JP,U)
【文献】
特開2005−192886(JP,A)
【文献】
実開昭52−90159(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 55/00−55/60
A63B 60/62−60/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのヘッドに被せてヘッドを保護することのできるヘッド被覆部と、ヘッドに装着されているシャフトに被せてシャフトを保護することのできるシャフト被覆部が連続するゴルフクラブ用のヘッドカバーにおいて、
ヘッド被覆部にソール保護部、クラウン保護部、フェース保護部、バック保護部があり、いずれか二以上の保護部の境界付近又は境界線上に開口部があり、
開口部はヘッド被覆部の頂部付近からシャフト被覆部の下端まで、境界に沿って連続開口されており、横に広げてクラブを出し入れすることができ、開閉具により閉塞可能である、
ことを特徴とするゴルフクラブ用ヘッドカバー。
【請求項2】
請求項1記載のゴルフクラブ用ヘッドカバーにおいて、
ソール保護部、クラウン保護部、フェース保護部、バック保護部のいずれかの保護部の内面に、ポケットを備えた、
ことを特徴とするゴルフクラブ用ヘッドカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブ用ヘッドカバー(以下、単に「ヘッドカバー」という。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブ(以下、単に「クラブ」という。)にはウッドクラブ、アイアンクラブ、ユーティリティクラブ、パターをはじめとする各種クラブがある。ヘッドカバーはクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)からシャフトの取付け部(ネック付近)にかけて被せて、ヘッド及びシャフトの取付け部付近を保護するものが一般的である。
【0003】
本件出願人は、本件出願以前に種々のヘッドカバーを提案した(特許文献1〜5)。特許文献1のヘッドカバーは、ソール被覆部にヘッド出し入れ口が設けられたもの、特許文献2のヘッドカバーは、一部を非伸縮性材料で構成するとともに、他の部分を伸縮性材料で構成したもの、特許文献3のヘッドカバーは、ヘッドカバーの一部に名札入れを設けたもの、特許文献4のヘッドカバーは、カバーの全部又は一部に視認用の透明窓を設けたものである。特許文献5のヘッドカバーは、カバーの表裏面を裏返しにして使い分けることができるリバーシブルタイプのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−039531号公報
【特許文献2】特開2008−068069号公報
【特許文献3】特開2007−330725号公報
【特許文献4】特開2007−185520号公報
【特許文献5】特開2016−202745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ヘッドからシャフト取付け部付近までに被せて、それらを保護することができ、クラブの出し入れが容易であり、広告用の文字や図形等を表示できるスペース(広告スペース)を広く確保でき、その他の文字や図形等を表示可能な表示スペースをも確保できるヘッドカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヘッドカバーは、クラブのヘッドに被さるヘッド被覆部と、ヘッドに装着されているシャフトの取付け部付近に被さるシャフト被覆部が連続するヘッドカバーである。ヘッド被覆部は少なくとも、ヘッドのソール部分を保護するソール保護部と、ヘッドのクラウン部分を保護するクラウン保護部と、ヘッドのフェース部分を保護するフェース保護部と、フェース保護部と反対側の部分(バック部分)を保護するバック保護部を備えている。隣接するソール保護部とクラウン保護部とフェース保護部とバック保護部のうち隣接する周縁部(境界)は連続しており、それら隣接部のうち一箇所の境界付近又は境界線上に開口部がある。開口部は境界に沿って開口されており、開口部を開くとクラブを出し入れでき、開口部を閉じるとクラブが抜け落ちないようにしてある。
【0007】
開口部はヘッド被覆部の頂部付近からシャフト被覆部の下端までスリット状に連続開口されており、その全長に亘って開閉可能である。開口部は磁石、ジッパー(ファスナー)、面ファスナー、ボタン等の開閉具で開閉可能としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明のヘッドカバーは次の効果を奏する。
(1)開口部がヘッド被覆部の頂部からシャフト被覆部の下端まで、境界に沿って又は境界線上を横に開くので、開口面積が広くなり、クラブの出し入れが容易になる。
(2)開口部が境界付近又は境界線上に、当該境界に沿って設けられているので、ソール保護部、クラウン保護部、フェース保護部、バック保護部のいずれの保護部も、開口部によって横幅方向に二分されることがない。そのため、それら保護部の全面又は略全面に広い表示スペースを確保でき、それら表示スペースを、クラブメーカーのブランドやロゴマーク、その他の広告文等を表示する広告スペース(コマーシャルスペース)として利用することができる。また、ヘッドカバーの各保護部の内面にも表示スペースが確保され、その内面表示スペースに所望の図形や文字を表示することもできる。
(3)開口部を開閉具で閉じることができるため、開口部からのクラブの露呈や飛び出しを防止することができ、クラブの傷付きを防止することもできる。
(4)ポケットがあるため、使い捨てカイロや、香料袋等を入れておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のヘッドカバーの開口部磁石式にした例の斜視図。
【
図2】
図1のヘッドカバーの開口部を開いた状態の斜視図。
【
図3】
図1のヘッドカバーにクラブを入れた状態を示す説明図。
【
図4】
図1のヘッドカバーにクラブを入れてから開口部を閉じた状態を示す説明図。
【
図5】(a)は
図1のヘッドカバーのクラウン側斜視図、(b)は(a)のヘッドカバーの横断面外観図。
【
図6】本発明のヘッドカバーの開口部をファスナー式にした例の斜視図。
【
図7】
図5のヘッドカバーの開口部を開いた状態の斜視図。
【
図8】
図5のヘッドカバーにクラブを入れた状態を示す説明図。
【
図9】
図5のヘッドカバーにクラブを入れてから開口部を閉じた状態を示す説明図。
【
図10】
図1のヘッドカバーの内面にポケットを付けた状態の斜視図。
【
図11】
図10のヘッドカバーの開口部を閉じた状態の外観図。
【
図12】(a)は本発明のヘッドカバーであってフェース面を開いた状態の外観図、(b)は(a)のヘッドカバーの横断面外観図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
本発明のヘッドカバー1の一例を図に示す。
図1のヘッドカバー1はヘッド被覆部2とシャフト被覆部3が連続するヘッドカバーである。ヘッド被覆部2はクラブA(
図3)のヘッドBを保護することができ、シャフト被覆部3はヘッドAに装着されているシャフトCの少なくとも取付け部分Dを保護することができる。シャフト被覆部3はヘッド被覆部2側から次第に細くなっている。
【0011】
ヘッド被覆部2は、
図5(b)のように、ヘッドBの底面(ソール)Eを保護するソール保護部4と、ヘッドBの上面(クラウン)Fを保護するクラウン保護部5と、ヘッドBの打面(フェース)Gを保護するフェース保護部6と、ヘッドBの背面(バック)Hを保護するバック保護部7を備えている。フェース保護部6には開口部8(
図2)がある。
【0012】
図5(a)(b)に示すように、ソール保護部4の右側周縁部4aとバック保護部7の下方周縁部7aは互いに連続し、バック保護部7の上方周縁部7bとクラウン保護部5の右側周縁部5aは互いに連続し、クラウン保護部5の左側周縁部5bとフェース保護部6の上方周縁部6aは互いに連続している。ソール保護部4の開口周縁部4bとフェース保護部6の開口周縁部6bは連結されずに開閉可能な開口部8としてある。開口部8は
図2のように、フェース保護部6の頂部(連結部)P(
図2、
図3)付近からシャフト保護部3の下端開口部3aまで一連に開口されている。開口部8を設けることにより、
図2のフェース保護部6を横に開いてヘッドカバー1内にクラブAを出し入れ可能としてある。
【0013】
前記連続部分(各保護部の境界)にはパイピング材9を、開口部8の両側周縁部と下端開口部3aにはモール材(縁取り材)10を取り付けてある。パイピング材9は汎用のものであり、細長い線状であり、金色、銀色といった各種色彩、材質、形状、サイズのものがある。パイピング材9は樹脂製の細長いパイプ状であり、可撓性がある。縁取り材10にも金色、銀色といった各種色彩、材質、形状、サイズのものがある。パイピング材9、縁取り材10には任意の色彩、材質、形状、サイズのものを選択使用することができる。境界にパイピング材9を取り付けることによりソール保護部4、クラウン保護部5、フェース保護部6、バック保護部7が型崩れしにくくなり、装飾にもなる。開口部8の周縁部に縁取り材10を取り付けることにより周縁部も型崩れしにくくなり、装飾にもなる。下端開口部3aに縁取り材10を取り付けることにより下端開口部3aも型崩れしにくくなり、装飾にもなる。
【0014】
開口部8の周縁部に取付けた縁取り材10(
図2)の内部軸方向数箇所には磁石11(
図1)が内包されている。開口部8を閉じると対向する両磁石11が吸着し合って開口部8が閉じた状態に保持され、開口部8を強制的に開くと両磁石11の吸着が離れるようにしてある。磁石11は縁取り材10の軸方向全長に設けることもできる。
【0015】
開口部8のフェース保護部6側の縁取り材10には摘み12(
図2)を取り付けて、フェース保護部6を開口部8から開くときに摘み12を摘んで開くことができるようにしてある。
【0016】
(実施形態2)
本発明のヘッドカバー1の実施例2を
図6〜
図9に示す。これらヘッドカバー1は基本的構成において
図1〜
図5(a)(b)のヘッドカバー1と同じである。異なるのは開口部8(
図7)をソール保護部4であって、フェース保護部6との境界の直近に境界に沿って設けて、ソール保護部4を
図8のように側方(横)に開くことができるようにしたこと、開口部8の両縁にファスナー20を取り付けて、ファスナー20の開閉操作によりソール保護部4が開口部8から側方に開閉するようにしたことである。
図6〜
図9のヘッドカバー1も境界にパイピング材9を、開口部8の両周縁及び下端開口部3aに縁取り材10を取り付けてある。
【0017】
(実施形態3)
本発明のヘッドカバー1の実施例3を
図10、
図11に示す。これらヘッドカバー1は基本的構成において
図1〜
図5(a)(b)のヘッドカバー1と同じである。異なるのはフェース保護部6の内面に小物入れ(ポケット)21(
図10)を設けたことである。ポケット21は上方開口にして、その開口部からポケット21内に保温材(俗称:使い捨てカイロ)、香料袋、その他のものを出し入れできるようにしてある。使い捨てカイロを収容しておけば、フェース保護部6を閉じたときにクラブのフェースを加温することができ、香料袋を入れておけば、フェース保護部6を開くと香料の匂いが漂う。ポケット21には蓋を設けるとか、止め具を設ける等して、収容物が落下しないようにするのがよい。ポケット21はシャフト保護部3、ソール保護部4、クラウン保護部5、バック保護部7のいずれの内面に設けてもよい。
【0018】
(実施形態4)
本発明のヘッドカバー1の実施例4として、
図12(a)(b)に示すものは、クラウン保護部5の下方部分の背丈を次第に低くしてバック保護部7としてある。フェース保護部6の下方周縁部6cはソール保護部4のフェース側周縁部4cと連続し、フェース保護部6の上方周縁部6aと、クラウン保護部5の前縁部5cは連結されることなく開口して、前記上方周縁部6aと前縁部5cの間が開口部8となっており、その開口部8からフェース保護部6を下方に開くことができるようにしてある。この場合も、境界にパイピング材9を取り付け、開口部8及び下端開口部3aに縁取り材10を取り付けてある。開口部8の両周縁部の縁取り材10に磁石11を入れて両磁石11が互いに吸着されるようにしてある。
【0019】
(実施形態5)
図1では開口部8が
図2のようにフェース保護部6に、
図6では
図8のようにソール保護部4に設けてあるが、開口部8は他の箇所、例えば境界線上、クラウン保護部5又はバック保護部7に設けることもできる。いずれの保護部に設ける場合も境界に沿って境界の直近に設けるか、境界線上に設けると、開口部8の開口面積が広くなって、クラブの出し入れが容易になる。
【0020】
前記実施形態では開閉具として磁石11を用いる場合を一例としているが、開閉具には、面ファスナーやファスナー、ボタンなど、磁石以外のものを用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
前記したヘッドカバー1はウッドクラブ用であるが、ユーティリティクラブ用、アイアンクラブ用、パター用のヘッドカバーに応用することもできる。カバーはいずれのクラブ用であっても被せるクラブの形状にあった形状とする。カバーの材質もクラブの保護に適し、取り扱い易いものとする。
【符号の説明】
【0022】
1 ヘッドカバー
2 ヘッド被覆部
3 シャフト被覆部
3a (シャフト保護部の)下端開口部
4 ソール保護部
4a (ソール保護部の)右側周縁部
4b (ソール保護部の)開口周縁部
4c (ソール保護部の)フェース側周縁部
5 クラウン保護部
5a (クラウン保護部の)右側周縁部
5b (クラウン保護部の)左側周縁部
5c (クラウン保護部の)前縁部
6 フェース保護部
6a (フェース保護部の)上方周縁部
6b (フェース保護部の)開口周縁部
6c (フェース保護部の)下方周縁部
7 バック保護部
7a (バック保護部の)下方周縁部
7b (バック保護部の)上方周縁部
8 開口部
9 パイピング材
10 モール材(縁取り材)
11 磁石
12 摘み
20 ファスナー
21 小物入れ(ポケット)
A クラブ
B ヘッド
C (ヘッドの)シャフト
D (シャフトの)取付け部分
E (ヘッドの)ソール
F (ヘッドの)クラウン
G (ヘッドの)フェース
H (ヘッドの)バック
P (フェース保護部の)頂部(連結部)
【要約】
【課題】 クラブの出し入れが容易であり、文字や図形等を表示できるスペースを広く確保できる表示スペースをも確保できるヘッドカバーを提供する。
【解決手段】 ヘッド被覆部のソール保護部、クラウン保護部、フェース保護部、バック保護部のいずれかの保護部の境界付近又は境界線上に開口部があり、開口部はヘッド被覆部の頂部付近からシャフト被覆部の下端まで、境界に沿って連続開口されており、横に広げてクラブを出し入れすることができ、開閉具により閉塞可能なヘッドカバーである。
【選択図】
図1