(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載の自転車用スタンドは、自転車をセットするまでに多くの操作が必要であり、セットに多くの手間がかかるという欠点がある。
【0007】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、極めて簡単な操作で容易に自転車をセットすることができる自転車用スタンドおよび駐輪場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は、
自転車のボトムブラケットシェルを下方から支持する支持部と、
上記ボトムブラケットシェルを上記支持部に載せたとき、上記ボトムブラケットシェルを少なくとも水平方向に拘束する拘束部材とを有し、
上記支持部により上記ボトムブラケットシェルを支持したとき、上記自転車の後輪または前輪が宙に浮く高さを有する自転車用スタンドである。
【0009】
この自転車用スタンドでは、例えば、支持部は支柱部の上部にこの支柱部に対して回転可能または上下動可能に取り付けられる。この場合、例えば、支持部は、ボトムブラケットシェルをその長手方向の中央部以外の部分で支持するように構成される。例えば、自転車用スタンドにセットする自転車がボトムブラケットシェルの下面にワイヤーガイドが設けられているものである場合には、支持部は、ボトムブラケットシェルをワイヤーガイド以外の部分で支持するように構成される。支持部は、ボトムブラケットシェルを安定に支持することができる限り、ボトムブラケットシェルを1つまたは複数の面(曲面または平面)で支持するものであっても、複数の線状部材または点状部材により複数箇所で支持するものであってもよい。支柱部は、単一の部材により構成してもよいし、複数の部材により構成してもよく、部材の形状も板状、ブロック状、線状等のどのような形状であってもよく、必要に応じて選ばれる。支柱部を複数の部材により構成する場合、折り畳み可能に構成してもよい。例えば、3本の線状部材を用いて支柱部を三脚のように構成することができ、こうすることで、自転車用スタンドを使用しない時には三脚を折り畳み、使用時に三脚を広げて設置面に設置することができるようになる。
【0010】
例えば、支持部は、ボトムブラケットシェルをその長手方向の中央部以外の部分で受ける湾曲部を有する。例えば、この湾曲部は、ボトムブラケットシェルを支持部に載せる直前の状態では上方に向き、ボトムブラケットシェルを支持部に載せた状態では水平方向に向くように構成される。こうすることで、この湾曲部により、ボトムブラケットシェルを少なくとも水平方向に拘束することができ、湾曲部の長さを十分に大きくすることにより水平方向および鉛直方向に拘束することが可能である。例えば、支柱部は、基台と、この基台上に互いに対向して立設された2本の支柱とを有し、支持部は、基台を水平に保持したとき、2本の支柱の上部にこれらの2本の支柱に対して鉛直面内で回転可能に設けられる。
【0011】
別の例では、支持部は支柱部の上部に上方を向いて設けられた湾曲部からなる。この場合、例えば、支柱部は、基台と、この基台上に互いに対向し、かつこの基台に対して所定の角度範囲内で回転可能に立設された2本の支柱とを有し、支持部は、これらの2本の支柱の上部に設けられた、ボトムブラケットシェルをその長手方向の中央部以外の部分で受ける湾曲部からなり、2本の支柱の上部にこれらの2本の支柱に対して回転可能に、ボトムブラケットシェルを水平方向および鉛直方向に拘束するための逆L字状の拘束部材が設けられる。そして、2本の支柱は、ボトムブラケットシェルを支持部に載せる直前の状態では基台に対して傾斜し、この状態で拘束部材の逆L字状をなす二辺が基台に対してほぼ鉛直方向および水平方向を向き、ボトムブラケットシェルを支持部に載せた状態では基台に対してほぼ垂直であり、この状態で拘束部材の逆L字状をなす二辺が基台に対してほぼ鉛直方向および水平方向を向くように構成される。
【0012】
さらに別の例では、支柱部は、基台と、基台上に立設された支柱とを有し、支持部は、支柱の上部にこの支柱に対して上下動可能に取り付けられた支持部材の上部に設けられた、ボトムブラケットシェルをその長手方向の中央部以外の部分で受ける湾曲部からなり、支柱の上部に支持部材の上下動に応じて支柱に対して回転可能に、ボトムブラケットシェルを水平方向および鉛直方向に拘束するための逆L字状の拘束部材が設けられる。この場合、ボトムブラケットシェルを支持部に載せる直前の状態では支持部材は最も高い位置に上昇しており、このとき、拘束部材は、支持部材から離れた位置に回転しており、ボトムブラケットシェルを支持部に載せた状態では支持部材は最も低い位置に下降しており、このとき、拘束部材は、上記支持部の上側および横側に位置するように回転している。
【0013】
好適には、支持部は支柱部に対してリンク機構、歯車機構、ベルト機構またはチェーン機構を介して連結され、ボトムブラケットシェルを支持部に載せたときにこれらのリンク機構、歯車機構、ベルト機構またはチェーン機構に含まれる拘束部材が移動してボトムブラケットシェルを少なくとも水平方向に拘束するように構成される。すなわち、支持部と拘束部材とをリンク機構、歯車機構、ベルト機構、チェーン機構等により互いに結合し、自転車のボトムブラケットシェルを支持部に載せたときに支持部が移動すると、その移動がリンク機構、歯車機構、ベルト機構、チェーン機構等を介して拘束部材に伝達され、それによって拘束部材が移動してボトムブラケットシェルを少なくとも水平方向に拘束するようにする。より具体的には、リンク機構は、複数のリンクにより構成され、例えば、1つのリンクをその1点の周りに回転可能に支柱部に取り付け、そのリンクの上端に支持部を設け、別の1つのリンクを支柱部の別の部位にその1点の周りに回転可能に取り付け、かつこのリンクに拘束部材を一体に設け、さらに別の1つのリンクをこれらのリンクの間に連結し、支持部に自転車のボトムブラケットシェルが載せられたときに支持部が設けられたリンクが移動することにより最終的に拘束部材がボトムブラケットシェルを水平方向に拘束するように移動するようにする。歯車機構は、例えば、支柱部に回転可能に取り付けたピニオンギアを挟んで一対のラックを互いに平行に設けてピニオンギアと噛み合わせることにより構成され、一方のラックを支持部に固定し、他方のラックを拘束部材に固定し、ピニオンギアの回転により一対のラックが互いに逆向きに移動し、それによって支持部に自転車のボトムブラケットシェルが載せられたときに支持部が下方に移動するとともに拘束部材が上方に移動するようにする。
【0014】
この自転車用スタンドは、必要に応じて、複数の部品に分けた状態で持ち運び可能に構成してもよい。この場合、自転車の設置場所でこれらの部品を用いて自転車用スタンドを組み立てることができる。また、この自転車用スタンドは、必要に応じて、自転車に取り付け可能に構成してもよい。この場合、自転車用スタンドをそのまま自転車に取り付けてもよいが、自転車用スタンドを例えば円筒形等のケースに収納し、このケースを自転車に取り付けてもよい。
【0015】
また、この発明は、
1つまたは複数の自転車用スタンドが設置された駐輪場であって、
少なくとも1つの上記自転車用スタンドが、
自転車のボトムブラケットシェルを下方から支持する支持部と、
上記ボトムブラケットシェルを上記支持部に載せたとき、上記ボトムブラケットシェルを少なくとも水平方向に拘束する拘束部材とを有し、
上記支持部により上記ボトムブラケットシェルを支持したとき、上記自転車の後輪または前輪が宙に浮く高さを有することを特徴とするものである。
【0016】
この駐輪場の発明においては、その性質に反しない限り、上記の自転車用スタンドの発明に関連して説明したことが成立する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、極めて簡単な操作で容易に自転車をセットすることができる自転車用スタンドおよび駐輪場を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の第1の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示す正面図、背面図、左側面図、右側面図および平面図である。
【
図2】この発明の第1の実施の形態による自転車用スタンドのセット状態を示す正面図、背面図、左側面図、右側面図および平面図である。
【
図3】この発明の第1の実施の形態による自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す側面図である。
【
図4】この発明の第1の実施の形態による自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す側面図である。
【
図5】実施例1による自転車用スタンドおよびこの自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す図面代用写真である。
【
図6】この発明の第2の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示す正面図、背面図、左側面図、右側面図および平面図である。
【
図7】この発明の第2の実施の形態による自転車用スタンドのセット状態を示す正面図、背面図、左側面図、右側面図および平面図である。
【
図8】この発明の第2の実施の形態による自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す側面図である。
【
図9】この発明の第2の実施の形態による自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す側面図である。
【
図10】実施例2による自転車用スタンドおよびこの自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す図面代用写真である。
【
図11】この発明の第3の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示す正面図、背面図、左側面図、右側面図および平面図である。
【
図12】この発明の第3の実施の形態による自転車用スタンドのセット状態を示す正面図、背面図、左側面図、右側面図および平面図である。
【
図13】この発明の第3の実施の形態による自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す側面図である。
【
図14】この発明の第3の実施の形態による自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す側面図である。
【
図15】この発明の第4の実施の形態による駐輪場を示す左側面図、正面図、背面図および平面図である。
【
図16】この発明の第4の実施の形態による駐輪場の自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す側面図である。
【
図17】この発明の第5の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示す正面図、背面図、左側面図、右側面図および平面図である。
【
図18】この発明の第5の実施の形態による自転車用スタンドのセット状態を示す正面図、背面図、左側面図、右側面図および平面図である。
【
図19】この発明の第5の実施の形態による自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す側面図である。
【
図20】この発明の第5の実施の形態による自転車用スタンドに自転車をセットする方法を示す側面図である。
【
図21A】この発明の第6の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示す正面図である。
【
図21B】この発明の第6の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示す左側面図である。
【
図22A】この発明の第6の実施の形態による自転車用スタンドのセット状態を示す正面図である。
【
図22B】この発明の第6の実施の形態による自転車用スタンドのセット状態を示す左側面図である。
【
図23】この発明の第6の実施の形態による自転車用スタンドをセット状態においてロックする方法を示す正面図である。
【
図24】この発明の第6の実施の形態による自転車用スタンドをセット状態においてロックする別の方法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施の形態という。)について説明する。
〈1.第1の実施の形態〉
[自転車用スタンド]
図1A、B、C、DおよびEは第1の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態(自転車をセットすることができる状態)を示し、
図1Aは正面図、
図1Bは背面図、
図1Cは左側面図、
図1Dは右側面図および
図1Eは平面図である。
【0020】
図1A、B、C、DおよびEに示すように、この自転車用スタンドは、基台10と、この基台10上に立設された2本の支柱20、30と、これらの支柱20、30の上部にこれらの支柱20、30に対して回転可能に取り付けられたボトムブラケットシェル支持体40とを有する。
【0021】
基台10は、この自転車用スタンドを設置面(地面、部屋の床面等)に載せた時に安定なものであれば、基本的にはどのような形状および大きさであってもよく、必要に応じて選ばれるが、一例を挙げると、長方形または正方形の平板からなり、少なくとも6cm×6cmの大きさを有し、一般的には20cm×20cm以下の大きさを有する。基台10の材質は、この自転車用スタンドに載せられる自転車の重量に耐えられる十分な機械的強度を有するものが選ばれ、例えば、鉄鋼、アルミニウム合金、木材等が選ばれる。
【0022】
支柱20、30の基台10に対する立設角度は、特に限定されず、90°(垂直)であっても90°より小さく、例えば70〜85°であってもよく、必要に応じて選ばれる。例えば、これらの支柱20、30は、これらの支柱20、30に挟まれた空間を2等分する平面に関して対称に設けられ、この平面は基台10に対して垂直である。この平面に垂直な平面内の支柱20、30は、互いにほぼ平行であっても、そうでなくてもよく、必要に応じて選ばれる。支柱20、30の横断面の形状は基本的にはどのような形状であってもよく、必要に応じて選ばれるが、例えば円形、四角形等である。また、支柱20、30の横断面の形状あるいは大きさは支柱20、30の長手方向に一定でなくてもよい。例えば、支柱20、30の下部の横断面の大きさを基台10に向かって大きくしてもよい。支柱20、30の材質は、この自転車用スタンドに載せられる自転車の重量に耐えられる十分な機械的強度を有するものが選ばれ、例えば、鉄鋼、アルミニウム合金、木材等が選ばれる。基台10の底面から支柱20、30の上端までの高さは、この自転車用スタンドに自転車をセットした状態で自転車の後輪または前輪が浮くように選ばれる。
【0023】
支柱20、30と基台10とは互いに一体に形成してもよいし、基台10と支柱20、30とを別々に形成し、これらを互いに固定してもよい。基台10に対する支柱20、30の固定には種々の方法を用いることができる。例えば、支柱20、30の下部に底面に垂直な雌ねじを形成し、支柱20、30に対応する部分の基台10にこれらの雌ねじに対応してこれらの雌ねじの直径よりも少し大きい貫通孔を形成し、基台10の裏面から雄ねじを差し込み、支柱20、30の下部の雌ねじにねじ込むことによりねじ止めする。
【0024】
支柱20、30は、必要に応じて、補強のために、例えば、基台10から任意の高さの1箇所または複数箇所で基台10に平行な固定軸50により互いに固定して、全体として梯子状の形状を有するようにしてもよい。
【0025】
支柱20の最上部には上方に突出した互いに高さの異なる2つの突起部21、22が設けられている。同様に、支柱30の最上部には上方に突出した互いに高さの異なる2つの突起部31、32が設けられている。これらの突起部21、22、31、32の先端部は平面であっても、曲面であってもよいし、角部が丸まっていてもよい。突起部21、22の高さの差および突起部31、32の高さの差は、この自転車用スタンドに自転車がセットされるときにボトムブラケットシェル支持体40が回転し、ボトムブラケットシェルを水平方向に拘束することができるように選ばれる。
【0026】
ボトムブラケットシェル支持体40は、左右一対の湾曲部41、42とこれらの湾曲部41、42同士を連結する連結部43とからなる。湾曲部41、42は、自転車のボトムブラケットシェルに対応するほぼ円弧状の形状を有し、ボトムブラケットシェルを収容することができる大きさを有する。湾曲部41、42の間の距離は、湾曲部41、42がボトムブラケットシェルの下面に設けられたワイヤーガイドから離れた位置に来るように選ばれる。セット状態では、湾曲部41、42は前方の斜め上方を向いている。連結部43は、支柱20、30の間を結ぶ方向の貫通孔を有し、この貫通孔に軸60が通され、突起部21、31の内面に設けられた穴に挿入されて保持されていることにより、この軸60の周りに回転可能になっている。
【0027】
図2A、B、C、DおよびEは第1の実施の形態による自転車用スタンドに自転車がセットされたときのセット状態を示し、
図2Aは正面図、
図2Bは背面図、
図2Cは左側面図、
図2Dは右側面図および
図2Eは平面図である。
【0028】
図2A、B、C、DおよびEに示すように、このセット状態では、ボトムブラケットシェル支持体40は、スタンバイ状態に比べて、軸60の周りに正面側に回転していて湾曲部41、42が支柱20、30の低い方の突起部22、32の上部に接して支持されている。この状態では、自転車のボトムブラケットシェルが湾曲部41、42により水平方向に拘束される。
【0029】
[自転車用スタンドの使用方法]
図3に示すように、まず、この自転車用スタンド100を設置面、例えば地面や室内の床面等に基台10を下にして設置する。自転車用スタンド100は
図1A、B、C、DおよびEに示すスタンバイ状態、すなわち、ボトムブラケットシェル支持体40の湾曲部41、42が前方の斜め上方を向くようにしておく。
【0030】
次に、セットしようとする自転車200を設置面上で移動し、ボトムブラケットシェル201を自転車用スタンド100の正面側からボトムブラケットシェル支持体40の湾曲部41、42の上側に移動させ、その位置から自転車200を下に降ろしてボトムブラケットシェル201を湾曲部41、42に載せる。すると、自転車200の重量がかかることにより湾曲部41、42が軸60の周りに手前側に回転して突起部22、32に接した状態で停止する。この状態では湾曲部41、42は水平方向を向いている。つまり、ボトムブラケットシェル支持体40はセット状態になる。
【0031】
こうして、
図4に示すように、ボトムブラケットシェル201がボトムブラケットシェル支持体40の湾曲部41、42により水平方向に拘束された状態で自転車200が自転車用スタンド100にセットされる。水平方向で見た時、ボトムブラケットシェル201は自転車200の重心から約10cm後方に位置しているが、ボトムブラケットシェル201を自転車用スタンド100で支持することにより、自転車200の全体の重量の約8割以上が自転車用スタンド100にかかる。例えば、総重量が9.5kgの自転車200をそのまま床面に置いた場合は、前輪荷重は4.6kg、後輪荷重は4.8kgであるのに対し、自転車用スタンド100に同じ自転車200をセットした場合には、前輪荷重は1.2kg、後輪荷重は0kgであり、自転車用スタンド100にかかる重量は8.3kgである。このセット状態では、自転車200の後輪に荷重はかからず、後輪は持ち上がって床面から浮いた状態となる。このため、この状態で後輪を容易に外すことができる。また、前輪にかかる荷重も小さいため、前輪を外すことも容易である。さらに、前輪と後輪の片方ずつであれば、ホイールの着脱が可能である。自転車200によっては、後部に籠等の付属物が取り付けられていることがあるが、その付属物がある程度重いと後輪荷重が増える結果、前輪が持ち上がって床面から浮いた状態となることもある。この状態では前輪を容易に外すことができる。
【0032】
自転車200を自転車用スタンド100から取り外す場合は、ボトムブラケットシェル201が湾曲部41、42の外に出るように自転車200をほぼ水平方向に移動させればよい。
【0033】
実施例1
自転車用スタンドを実際に試作した。試作した自転車用スタンドを
図5Aに示す。ただし、この例では、室内の床面に傷が付くのを防止するため、基台10の四隅にプラスチック製のアダプターを取り付け、基台10を床面から浮かせている。この自転車用スタンドにおいては、基台10としてアルミニウム合金からなる約10cm×10cm×0.4cmの板を用い、支柱20、30およびボトムブラケットシェル支持体40は木製とし、支柱20、30の突起21、31間に設けられる軸60はアルミニウム合金により形成し、支柱20、30の上部、中間部および下部の3箇所にアルミニウム合金により形成された補強用の固定軸50を設けた。側面から見た時の支柱20、30は基台10に対して約85°傾斜し、かつ根元の部分は幅広に構成されている。正面から見た時の支柱20、30は基台10に対してほぼ垂直で互いに平行になっている。支柱20、30の高さは約23cm、突起21、31と突起22、32との高さの差は約1cmである。ボトムブラケットシェル支持体40の湾曲部41、42の曲率半径は約2.2cm、湾曲部41、42の間隔は約4cmである。湾曲部41、42の内面には下側の2箇所にプラスチック製の突起が2つ、上側の1箇所に木製の突起が1つ設けられている。これらの突起は自転車200のボトムブラケットシェル201を湾曲部41、42に載せたりするときに傷が付くのを防止するためのものである。
【0034】
図5B、CおよびDはこの自転車用スタンドに実際に自転車をセットした状態を示す。ただし、
図5Bに示す例では、
図5Aに示すように、基台10の四隅にプラスチック製のアダプターを取り付けたものを用いている。
図5CおよびDに示す例では、基台10の四隅にアダプターを取り付けず、床面に置かれた木製の平板上に自転車用スタンドを載せている。
【0035】
この第1の実施の形態によれば、極めて簡単な操作で容易に、しかも後輪あるいは前輪が宙に浮いた状態で自転車をセットすることができる自転車用スタンドを実現することができる。また、この自転車用スタンドは、スペースが小さくて済み、チェ−ンやギアの周りのスペースを確保することができるためそれらの掃除を簡単に行うことができ、自転車をセットした状態でクランクを容易に回すことができ、後輪や前輪を容易に外すことができ、車輪にかかる負荷も小さくすることができる、といった種々の利点を有する。さらに、この自転車用スタンドは、部屋の床や壁にビス等で固定する必要がなく、単に設置面に置くだけで良いため、設置場所を容易に変えることができ、賃貸物件の部屋でも使用することができるという利点も有する。
【0036】
〈2.第2の実施の形態〉
[自転車用スタンド]
図6A、B、C、DおよびEは第2の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示し、
図6Aは正面図、
図6Bは背面図、
図6Cは左側面図、
図6Dは右側面図および
図6Eは平面図である。
【0037】
図6A、B、C、DおよびEに示すように、この自転車用スタンドは、基台310と、この基台310上にこの基台310に垂直な面内で回転可能に立設された2本の支柱320、330と、これらの支柱320、330をこの基台310に対して軸341の周りに回転可能に支持するための支持部材340と、これらの支柱320、330を互いに連結する連結部材350と、これらの支柱320、330の上部に設けられたボトムブラケットシェル支持部321、331と、これらの支柱320、330の上部にこれらの支柱320、330に対して回転可能に取り付けられた逆L字状のボトムブラケットシェル拘束部材360、370とを有する。ボトムブラケットシェル支持部321、331は、自転車のボトムブラケットシェルに対応するほぼ円弧状に凹んだ形状を有し、ボトムブラケットシェルを収容することができる曲率半径を有する。スタンバイ状態において、支柱320、330は、基台310に対して所定の角度、例えば40〜80°の角度傾斜した状態を維持することができるように構成されている。例えば、ボトムブラケットシェル拘束部材360、370を連結するように設けられた軸380と基台310との間に紐状体391を張り渡し、基台310に対して支柱320、330が所定の角度になったときに紐状体391が伸び切った状態となるようにする。この場合、紐状体391の長さにより基台310に対する支柱320、330の傾斜角度を規定することができる。また、例えば、ボトムブラケットシェル拘束部材360、370の軸380と基台310との間には紐状体392を張り渡し、基台310に対して支柱320、330がほぼ垂直になったときに紐状体392が伸び切った状態となるようにするが、スタンバイ状態では、紐状体392はたるんでいる。
【0038】
基台310は、第1の実施の形態による自転車用スタンドの基台10と同様に構成される。
【0039】
支柱320、330は、上部にボトムブラケットシェル支持部321、331が設けられていること、および、支持部材340の軸341の周りに回転可能になっていることを除いて、第1の実施の形態による自転車用スタンドの支柱20、30と同様に構成される。
【0040】
支持部材340は、直方体形状を有し、その一面が基台310に接した状態で基台310に固定されている。支持部材340の固定方法は特に限定されず、例えばねじ止め、接着等により固定される。
【0041】
連結部材350は支柱320、330の上部の後部に取り付けられている。連結部材350の上部、ボトムブラケットシェル拘束部材360、370の長辺部361、371および支柱320、330を貫通して孔が設けられており、この貫通孔に軸400が通されている。ボトムブラケットシェル拘束部材360、370は支柱320、330に対してこの軸400の周りに回転可能になっている。
【0042】
図7A、B、C、DおよびEは第2の実施の形態による自転車用スタンドのセット状態を示し、
図7Aは正面図、
図7Bは背面図、
図7Cは左側面図、
図7Dは右側面図および
図7Eは平面図である。
【0043】
図7A、B、C、DおよびEに示すように、このセット状態では、支柱320、330は、基台310に対してほぼ垂直に立設されるように構成されている。すなわち、ボトムブラケットシェル拘束部材360、370の軸380と基台310との間に張り渡された紐状体392が伸び切った状態となり、このとき、支柱320、330が基台310に対してほぼ垂直になるようになっている。この状態では、ボトムブラケットシェル拘束部材360、370は長辺部361、371が基台310に対してほぼ垂直になっており、自転車のボトムブラケットシェルがボトムブラケットシェル支持部321、331に載せられたとき、ボトムブラケットシェル拘束部材360、370により水平方向および鉛直方向に拘束されるようになっている。
【0044】
[自転車用スタンドの使用方法]
図8に示すように、まず、この自転車用スタンド500を設置面、例えば地面や室内の床面等に基台310を下にして設置する。自転車用スタンド500は
図6A、B、C、DおよびEに示すスタンバイ状態、すなわち、紐状体391が伸び切って基台310に対して支柱320、330が傾斜した状態となるようにする。ボトムブラケットシェル拘束部材360、370は、長辺部361、371がほぼ鉛直方向になっていて水平方向を向くようにしておく。
【0045】
次に、セットしようとする自転車200を設置面上で移動し、ボトムブラケットシェル201を自転車用スタンド500の正面側から支柱320、330のボトムブラケットシェル支持部321、331の上側に移動させ、その位置から自転車200を下に降ろしてボトムブラケットシェル201をボトムブラケットシェル支持部321、331に載せる。すると、自転車200の重量がかかることにより支柱320、330が支持部材340の軸341の周りに後方に回転して基台310に対してほぼ垂直に立つ。この状態ではボトムブラケットシェル拘束部材360、370は、長辺部361、371がほぼ鉛直方向になっていて水平方向を向く。
【0046】
こうして、
図9に示すように、ボトムブラケットシェル201が支柱320、330のボトムブラケットシェル支持部321、331上に載り、ボトムブラケットシェル拘束部材360、370により水平方向および鉛直方向に拘束され、かつ後輪が宙に浮いた状態で自転車200が自転車用スタンド500にセットされる。
【0047】
自転車200を自転車用スタンド500から取り外す場合は、ボトムブラケットシェル201がボトムブラケットシェル拘束部材360、370の外に出るように自転車200をほぼ水平方向に移動させればよい。
【0048】
実施例2
自転車用スタンドを実際に試作した。試作した自転車用スタンドを
図10Aに示す。この自転車用スタンドにおいては、基台310としてアルミニウム合金からなる約10cm×10cm×0.4cmの板を用い、この板を約15cm×15cm×2cmの木製の板上に固定した。支柱320、330、支持部材340およびボトムブラケットシェル拘束部材360、370は木製とし、軸341、380、400はアルミニウム合金により形成し、支柱320、330の中間部および下部の2箇所にアルミニウム合金により形成された補強用の固定軸を設けた。支柱320、330の長さは約24cm、幅は約6cm、厚さは約1.3cmとした。ボトムブラケットシェル支持部321、331の曲率半径は約2.2cmである。ボトムブラケットシェル拘束部材360、370の長辺部361、371の長さは9cm、短辺部の長さは約5.5cm、幅は約1.5cmである。ボトムブラケットシェル拘束部材360、370の間隔は約4cmである。ボトムブラケットシェル拘束部材360、370の短辺部の内面にはプラスチック製の突起が1つ設けられている。これらの突起は、ボトムブラケットシェル拘束部材360、370によって自転車200のボトムブラケットシェル201に傷が付くのを防止するためのものである。
【0049】
図10BおよびCはこの自転車用スタンドに実際に自転車をセットした状態を示す。この状態では、自転車の後輪が宙に浮いている。
図10Cには、ボトムブラケットシェルの下面のワイヤーガイドで案内され、ダウンチューブの下側に沿って通る2本のワイヤーが見えている。
図10Dはこの自転車用スタンドに自転車がセットされた状態で前輪を外した状態を示す。
【0050】
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0051】
〈3.第3の実施の形態〉
[自転車用スタンド]
図11A、B、C、DおよびEは第3の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示し、
図11Aは正面図、
図11Bは背面図、
図11Cは左側面図、
図11Dは右側面図および
図11Eは平面図である。
【0052】
図11A、B、C、DおよびEに示すように、この自転車用スタンドは、基台610と、この基台610上にこの基台610に垂直に立設された、ほぼ五角形の辺の形状をなす板状の支柱620と、この支柱620の両側にこの支柱620に対して平行に、かつ軸630の周りに回転可能に設けられたアーム部材640、650と、支柱620のほぼ鉛直方向の一辺を上方に延長した最上部の両側にこの支柱620に対して平行に、かつ軸660の周りに回転可能に設けられたほぼL字状のボトムブラケットシェル拘束部材670、680と、アーム部材640とボトムブラケットシェル拘束部材670とを連結する中継部材690およびアーム部材650とボトムブラケットシェル拘束部材680とを連結する中継部材700とを有する。中継部材690、700の一端はアーム部材640、650の上端と軸710により連結され、他端はボトムブラケットシェル拘束部材670、680の長辺部671、681の一端と軸720により連結されている。スタンバイ状態では、中継部材690、700およびボトムブラケットシェル拘束部材670、680の長辺部671、681はほぼ水平方向になっている。
【0053】
基台610は、第1の実施の形態による自転車用スタンドの基台10と同様に構成される。
【0054】
アーム部材640、650の最上部にはアーム部材640、650の中心線に対して後方に折れ曲がり、先端が二股に分かれた折れ曲がり部641、651が設けられており、それらの先端に自転車のボトムブラケットシェルに対応して円形に湾曲した凹部からなるボトムブラケットシェル支持部730、740が設けられている。スタンバイ状態では、ボトムブラケットシェル支持部730、740は前方の斜め上方を向いている。これらのボトムブラケットシェル支持部730、740の表面には、これらのボトムブラケットシェル支持部730、740によりボトムブラケットシェルを支持したときにボトムブラケットシェルに傷が付くのを防止するために、必要に応じて、例えばプラスチック製あるいは木製の突起が1箇所または複数箇所に設けられる。
【0055】
ボトムブラケットシェル拘束部材670、680の長辺部671、681はほぼ直線状に延び、それらの中央部に軸660が通され、この軸660の周りに回転可能になっている。ボトムブラケットシェル拘束部材670、680の短辺部672、682は、自転車のボトムブラケットシェルを上側および横側から押さえ付けることができる形状に曲がっている。より詳細には、ボトムブラケットシェル拘束部材670、680の短辺部672、682は、長辺部671、681に対して例えば120°〜150°の鈍角をなすように直線状に折れ曲がった第1部分とこの第1部分に対して同じく例えば120°〜150°の鈍角をなすように直線状に折れ曲がった第2部分とからなり、第2部分の内側の面はボトムブラケットシェルの曲率半径とほぼ同じ曲率半径になるように湾曲している。第2部分の内側の面には、ボトムブラケットシェル拘束部材670、680によりボトムブラケットシェルを拘束したときにボトムブラケットシェルに傷が付くのを防止するために、必要に応じて、例えばプラスチック製あるいは木製の緩衝層が設けられる。
【0056】
支柱620の最下部の両側には、支柱620の補強用の補強部材760が設けられている。補強部材760は、支柱620と基台610との両者に固定されている。支柱620および基台610が鉄製である場合には、補強部材760は支柱620と基台610との両者に溶接された溶接部であってもよい。
【0057】
支柱620、アーム部材640、650、ボトムブラケットシェル拘束部材670、680および中継部材690、700の材質は必要に応じて選ばれるが、例えば、鉄、アルミニウム合金、木等からなる。軸630、660、710、720の材質も必要に応じて選ばれるが、例えば、鉄、アルミニウム合金等からなる。
【0059】
図12A、B、C、DおよびEに示すように、このセット状態では、アーム部材640、650が支柱620に対して軸630の周りに後方に所定角度回転している。この状態では、アーム部材640、650の上部のボトムブラケットシェル支持部730、740は上方を向いている。中継部材690、700は、アーム部材640、650の回転に伴って軸710、720の周りにそれぞれ回転して鉛直方向に向かって傾斜する。このとき、軸720は下降する。軸720の下降に伴って、ボトムブラケットシェル拘束部材670、680は前方に回転し、長辺部671、681がほぼ鉛直方向になる。このとき、ボトムブラケットシェル拘束部材670、680の短辺部672、682は、自転車のボトムブラケットシェルを上側および横側から押さえ付けることができる位置になる。
【0060】
[自転車用スタンドの使用方法]
図13に示すように、まず、この自転車用スタンド800を設置面、例えば地面や室内の床面等に基台610を下にして設置する。自転車用スタンド800は
図11A、B、C、DおよびEに示すスタンバイ状態、すなわち、アーム部材640、650が基台610に対してほぼ垂直になった状態となるようにする。この状態では、ボトムブラケットシェル支持部730、740は前方の斜め上方を向いている。
【0061】
次に、セットしようとする自転車200を設置面上で移動し、ボトムブラケットシェル201を自転車用スタンド800の正面側からアーム部材640、650の上部のボトムブラケットシェル支持部730、740の上側の少し前方に移動させ、その位置から斜め後方に向かって自転車200を降ろしてボトムブラケットシェル201をボトムブラケットシェル支持部730、740に載せる。すると、自転車200の重量がかかることにより、アーム部材640、650、中継部材690、700およびボトムブラケットシェル拘束部材670、680からなるリンク機構により、最終的に、ボトムブラケットシェル拘束部材670、680の長辺部671、681がほぼ鉛直方向になり、短辺部672、682はボトムブラケットシェル201を上側および横側から押さえ付けることができる。
【0062】
こうして、
図14に示すように、ボトムブラケットシェル201がアーム部材640、650の上部のボトムブラケットシェル支持部730、740上に載り、ボトムブラケットシェル拘束部材670、680により水平方向および鉛直方向に拘束され、かつ後輪が浮いた状態で自転車200が自転車用スタンド800にセットされる。
【0063】
自転車200を自転車用スタンド800から取り外す場合は、ボトムブラケットシェル201がボトムブラケットシェル拘束部材670、680の外に出るように自転車200をほぼ水平方向に移動させればよい。
【0064】
この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0066】
図15A、B、CおよびDに示すように、この駐輪場においては、地面や室内の床面等の設置面上に自転車用スタンド1000が1つまたは複数設置されている。自転車用スタンド1000は、鉛直面内に互いに対向して平行に設けられた一対の側板1100、1200とこれらの側板1100、1200の間に挟まれて設けられた、上方に凸となるように湾曲した山状のスロープ1300とからなる。側板1100、1200の頂部付近に自転車のボトムブラケットシェルに対応する形状を有するボトムブラケットシェル支持部1400が設けられている。このボトムブラケットシェル支持部1400の両側にはボトムブラケットシェルの曲率半径とほぼ同じ曲率半径を有する湾曲部1500、1600が設けられている。湾曲部1500、1600の間隔、従ってスロープ1300の幅は、自転車の前輪の厚さより大きく選ばれており、これらの湾曲部1500、1600の間を前輪が通ることができるようになっている。湾曲部1500、1600の内側の面には、ボトムブラケットシェル支持部1400によりボトムブラケットシェルを拘束したときにボトムブラケットシェルに傷が付くのを防止するために、必要に応じて、例えばプラスチック製あるいは木製の突起が1箇所または複数箇所に設けられる。
【0067】
自転車用スタンド1000の材質は必要に応じて選ばれるが、例えば、鉄、アルミニウム合金、木等からなる。自転車用スタンド1000の設置の仕方も特に限定されず、自転車を駐輪する際に自転車用スタンド1000が移動しない限り、設置面に固定しても固定しなくてもよい。自転車用スタンド1000を設置面に固定する場合には例えばボルト等により固定する。
【0068】
[駐輪場の使用方法]
図16Aに示すように、まず、駐輪場の設置面上で自転車200の前輪202側を自転車用スタンド1000に向け、自転車用スタンド1000に向かって設置面上を移動させる。自転車200の前輪202が自転車用スタンド1000のスロープ1300に到達したらそのままこのスロープ1300上を登らせ、
図16Bに示すように、ボトムブラケットシェル支持部1400の湾曲部1500、1600の間を通してスロープ1300上を滑らせる。自転車200の前輪202がスロープ1300上を滑り落ちる途中で、
図16Cに示すように、ボトムブラケットシェル201がボトムブラケットシェル支持部1400にほぼ水平方向から入り込む。こうして、ボトムブラケットシェル201がボトムブラケットシェル支持部1400に支持され、湾曲部1500、1600により水平方向および鉛直方向に拘束され、かつ後輪が宙に浮いた状態で自転車200が自転車用スタンド1000にセットされる。
【0069】
自転車用スタンド1000から自転車200を取り外す場合は、ボトムブラケットシェル201がボトムブラケットシェル支持部1400の外に出るように自転車200をほぼ水平方向に移動させればよい。
【0070】
この第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0071】
〈5.第5の実施の形態〉
[自転車用スタンド]
図17A、B、C、DおよびEは第5の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示し、
図17Aは正面図、
図17Bは背面図、
図17Cは左側面図、
図17Dは右側面図および
図17Eは平面図である。
【0072】
図17A、B、C、DおよびEに示すように、この自転車用スタンドは、基台2010と、この基台2010上にこの基台2010に垂直に立設された、後部の最上部の角部が面取りされた全体として長方形の側面形状を有する平板状の支柱2020と、この支柱2020より高い位置でかつこの支柱2020の両側にこの支柱2020に対して平行に設けられたボトムブラケットシェル支持体2030、2040と、この支柱2020の後部の最上部の両側にこの支柱2020に対して平行に、かつ軸2050の周りに回転可能に設けられたボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070とを有する。ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070は、自転車のボトムブラケットシェルを囲んで水平方向および鉛直方向に拘束することができるように内側に湾曲したほぼL字状の側面形状を有する。ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070は、軸2050の両端に設けられた雌ねじ(図示せず)にねじ込まれた雄ねじ2051、2052により軸2050に対して固定されている。スタンバイ状態では、ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070の先端部の直線部はほぼ鉛直方向になっている。
【0073】
基台2010は、第1の実施の形態による自転車用スタンドの基台10と同様に構成される。
【0074】
ボトムブラケットシェル支持部材2030、2040は水平な細長い板状の連結部材2080により互いに連結されている。ボトムブラケットシェル支持体2030、2040は上部がハの字状に二股に分かれた側面形状を有し、最上部には自転車のボトムブラケットシェルに対応して湾曲した凹部からなるボトムブラケットシェル支持部2031、2041を有する。連結部材2080は、鉛直方向に延びる、横断面形状が正方形の角管状の形状を有する管状部材2081の上部に水平に取り付けられている。より詳細には、管状部材2081の上部の互いに対向する一対の側面の互いに対応する位置に長方形の開口2081a、2081bが設けられ、これらの開口2081a、2081bに連結部材2080が通されて固定されている。支柱2020の上部の中央部には長方形の形状の開口2021が設けられている。管状部材2081は、支柱2020のうちのこの開口2021の上部の部分に設けられた貫通孔2082を貫通して設けられ、この貫通孔2082を通して上下動可能になっており、従ってこの管状部材2081と一体に設けられたボトムブラケットシェル支持体2030、2040も上下動可能になっている。支柱2020の開口2021の底部には正方形の横断面形状を有する軸2083が鉛直方向に設けられている。軸2083の最上部は開口2021の上面に近い高さに位置している。軸2083の外側の一辺の長さは管状部材2081の内側の一辺の長さより僅かに小さく、軸2083は管状部材2081の下側半分の内部に上下動可能な状態で挿入されている。管状部材2081の内部には連結部材2080の下面と軸2083の上面との間に挟まれた状態で圧縮コイルばね2084が設けられている。スタンバイ状態では圧縮コイルばね2084はほぼ伸び切っている。
【0075】
支柱2020の後部の上部の両側には、ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070の直ぐ内側に、これらのボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070の根元の部分と固定された状態でレバー2091、2092が設けられている。レバー2091、2092は軸2050より後方の部位で軸2093により互いに連結されている。スタンバイ状態では、レバー2091、2092の先端部が連結部材2080の下面と接触している。軸2093の両端はボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070を貫通している。レバー2091、2092およびボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070は、軸2093の両端に設けられた雌ねじ(図示せず)にねじ込まれた雄ねじ2094、2095により軸2093に対して固定されている。
【0076】
支柱2020、ボトムブラケットシェル支持体2030、2040、ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070、軸2083およびレバー2091、2092の材質は必要に応じて選ばれるが、例えば、鉄、アルミニウム合金、木等からなる。軸2050、2093、連結部材2080および管状部材2081の材質も必要に応じて選ばれるが、例えば、鉄、アルミニウム合金等からなる。
【0078】
図18A、B、C、DおよびEに示すように、このセット状態では、ボトムブラケットシェル支持体2030、2040が限界点まで下降しており、支柱2020の開口2021の底部の軸2083の周りの部分と接触し、圧縮コイルばね2084は最も縮んでいる。この状態では、ボトムブラケットシェル支持体2030、2040を連結する連結部材2080がレバー2091、2092の先端部を押し下げることにより、ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070およびレバー2091、2092は軸2050の周りに、ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070の先端部がボトムブラケットシェル支持体2030、2040のほぼ真上に位置する角度まで前方に回転している。このとき、ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070は、自転車のボトムブラケットシェルを上側および横側から押さえ付けることができる位置になる。
【0079】
[自転車用スタンドの使用方法]
図19に示すように、まず、この自転車用スタンド3000を設置面、例えば地面や室内の床面等に基台2010を下にして設置する。自転車用スタンド3000は
図17A、B、C、DおよびEに示すスタンバイ状態、すなわち、ボトムブラケットシェル支持体2030、2040が最も高い位置にあり、ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070が後方に回転してボトムブラケットシェル支持体2030、2040から最も離れた位置にある状態となるようにする。
【0080】
次に、セットしようとする自転車200を設置面上で移動し、ボトムブラケットシェル201を自転車用スタンド3000の正面側からボトムブラケットシェル支持体2030、2040のボトムブラケットシェル支持部2031、2041の上方に移動させ、その位置から自転車200を降ろしてボトムブラケットシェル201をボトムブラケットシェル支持部2031、2041に載せる。すると、自転車200の重量がかかることにより、ボトムブラケットシェル支持体2030、2040が下降し、それに伴い管状部材2081も下降してその下端が支柱2020の開口2021の底部に接触し、圧縮コイルばね2084を圧縮する。これと同時に、ボトムブラケットシェル支持体2030、2040を連結する連結部材2080の下面がレバー2091、2092の先端部を押し下げることによりボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070が軸2050の周りに前方に回転する。
【0081】
こうして、
図20に示すように、ボトムブラケットシェル201がボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070のボトムブラケットシェル支持部2031、2041に載り、ボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070により水平方向および鉛直方向に拘束され、かつ後輪が宙に浮いた状態で自転車200が自転車用スタンド3000にセットされる。
【0082】
自転車200を自転車用スタンド3000から取り外す場合は、ボトムブラケットシェル201がボトムブラケットシェル拘束部材2060、2070の外に出るように自転車200をほぼ水平方向に移動させればよい。
【0083】
この第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0084】
〈6.第6の実施の形態〉
[自転車用スタンド]
図21AおよびBは第6の実施の形態による自転車用スタンドのスタンバイ状態を示し、
図21Aは正面図、
図21Bは左側面図である。
【0085】
図21AおよびBに示すように、この自転車用スタンドは、軸2083の長手方向のほぼ中央部に支柱2020の面に垂直な方向に延びる横断面形状が円形の貫通孔2096が設けられていること、管状部材2081の貫通孔2096と垂直な一対の側面に貫通孔2096と同じ大きさの開口2097が設けられていることを除いて、第5の実施の形態にによる自転車用スタンドと同様に構成されている。管状部材2081の開口2097の位置は、セット状態において管状部材2081の下端が支柱2020の開口2021の底部に接触したときに軸2083の貫通孔2096と一致する位置とする。
【0086】
図22AおよびBは第6の実施の形態による自転車用スタンドのセット状態を示し、
図22Aは正面図、
図22Bは左側面図である。
【0087】
図22AおよびBに示すように、セット状態においては、管状部材2081の下端が支柱2020の開口2021の底部に接触し、このとき、管状部材2081の開口2097と軸2083の貫通孔2096とは互いに一致する。
【0088】
このセット状態において、例えば、
図23に示すように、管状部材2081の開口2097と軸2083の貫通孔2096とを通して棒2098を挿入することにより、管状部材2081の上下動を阻むことができ、セット状態にロックを掛けることができる。あるいは、
図24に示すように、管状部材2081の開口2097と軸2083の貫通孔2096とを通してワイヤー錠2099を取り付けることにより、セット状態にロックを掛けることができるだけでなく、自転車の盗難を防止することができる。
【0089】
この第6の実施の形態によれば、第5の実施の形態と同様な利点に加えて、セット状態にロックを掛けることができ、あるいはさらに、自転車の盗難を防止することができるという利点を得ることができる。セット状態にロックを掛けることができることにより、自転車用スタンドに自転車を確実に固定することができるため、例えば自転車を整備する場合に整備しやすいという利点を得ることができる。
【0090】
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0091】
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、形状、構造、材質等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、形状、構造、材質等を用いてもよい。
【0092】
また、例えば、必要に応じて、上述の第1〜第3および第5の実施の形態による自転車用スタンドにおいて、基台10、310、610、2010に車輪を取り付けることにより、自転車用スタンドを設置面上で車輪によって移動させることができるようにしてもよい。
【解決手段】自転車用スタンドは、自転車のボトムブラケットシェルを下方から支持する支持部と、ボトムブラケットシェルを支持部に載せたとき、ボトムブラケットシェルを少なくとも水平方向に拘束する拘束部材とを有し、支持部によりボトムブラケットシェルを支持したとき、自転車の後輪または前輪が宙に浮く高さを有する。支持部は支柱部の上部にこの支柱部に対して回転可能または上下動可能に取り付けられる。支持部はボトムブラケットシェルをその長手方向の中央部以外の部分で支持するように構成される。駐輪場では、この自転車用スタンドを地面等の設置面上に1つまたは複数設置する。