(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動部は、前記駆動磁極の第2の磁極側を回動中心として、第1の磁極側を揺動させて、第1の位置と第2の位置との間を移動する請求項1記載の回転駆動支援装置。
前記回転駆動支援ユニットは、前記回転子が回転して前記回転磁極が前記可動部を通過したときに、前記回転磁極と吸引する第2の磁極が固定磁極として対向した位置に配置された固定子を備えた請求項1または2記載の回転駆動支援装置。
前記固定子には、前記回転子が回転して前記回転磁極が前記可動部へ進行するときに、前記回転磁極に吸引される磁性体であって、前記可動部の第2の磁極より弱い磁性体が対向位置に配置されている請求項3記載の回転駆動支援装置。
前記可動部は、雄ねじまたは雌ねじのいずれか一方が円弧状に形成されたフレームに、前記駆動磁極として他方が形成されてねじ止めされて配列されている請求項1から7のいずれかの項に記載の回転駆動支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の「エアー駆動モータ」では、回転子の永久磁石の切り替えをエアーシリンダで行なっているため、ピストンの作動に時間が掛かり、回転子を変位させるのに時間を要するので、移動の切替えタイミングを取るのが難しい。従って、回転子を高速に回転させることが困難である。
【0005】
そこで本発明は、回転子を高速に回転させることができることで、高出力を得ることができる回転駆動支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転駆動支援装置は、第1の磁極が回転磁極として円周方向に沿って円弧状に配置された回転子と、前記回転子の第1の磁極に吸引する第2の磁極と第1の磁極とが駆動磁極として、前記回転子の円周方向に沿って配置され、前記駆動磁極が前記回転磁極に対向する第1の位置と前記回転磁極から離間した第2の位置との間で変位する可動部と、前記回転子の回転に応じて、前記可動部を第1の位置の方向へ変位させて前記回転磁極を前記駆動磁極に対向させると共に、前記回転磁極が前記駆動磁極から離間する際に、前記可動部を第2の位置の方向へ変位させるクランク機構部と、を回転駆動支援ユニットとして備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の回転駆動支援装置によれば、第1の位置にある可動部の駆動磁極に回転子の回転磁極が位置すると、駆動磁極の第2の磁極に回転磁極の第1の磁極が吸引されて引き寄せられ、駆動磁極の第1の磁極に回転磁極の第1の磁極が反発されて押し出されるので、回転が促進される。回転子の回転に伴い回転磁極が回転して駆動磁極に接近するときに、クランク機構部が可動部を第2の位置から第1の位置の方向へ変位させて回転磁極を駆動磁極に対向させるので、第1の磁極である回転磁極が反発する駆動磁極の第1の磁極と対向する前では、回転磁極は駆動磁極の第1の磁極から離間した位置にある。従って、回転磁極は駆動磁極の第1の磁極からの影響を受けにくい。そして、可動部が第1の位置となり、回転磁極が駆動磁極に対向する位置まで回転子が回転すると、回転磁極は、駆動磁極の第2の磁極に吸引されて引っ張られると共に、駆動磁極の第1の磁極に反発して押し出されるので、回転子は回転方向へ回転が促進される。このように、可動部が第1の位置と第2の位置との間で揺動するだけで回転子を磁極の切り替えなしに回転させることができる。
【0008】
前記可動部は、前記駆動磁極の第2の磁極側を回動中心として、第1の磁極側を揺動させて、第1の位置と第2の位置との間を移動するのが望ましい。回転磁極と駆動磁極の第2の磁極との間が離れることで、駆動磁極の第2の磁極からの磁力が回転磁界に影響して反発してしまうことを抑えることができると共に、駆動磁極の第2の磁極をなるべく第1の磁極である回転子の回転磁極に接近させた状態とすることができる。
【0009】
前記回転駆動支援ユニットは、前記回転子が回転して前記回転磁極が前記可動部を通過したときに、前記回転磁極と吸引する第2の磁極が固定磁極として対向した位置に配置された固定子を備えるのが望ましい。回転子の回転磁極が可動部を通過して固定子に進行しても、固定子に回転磁極に吸引する第2の磁極である固定磁極が配置されているため、可動部の駆動磁極と共に、回転子の回転を促進させることができる。
【0010】
前記固定子には、前記回転子が回転して前記回転磁極が前記可動部へ進行するときに、前記回転磁極に吸引される磁性体であって、前記可動部の第2の磁極より弱い磁性体が対向位置に配置されているのが望ましい。回転磁極が進行するときに回転磁極に吸引される磁性体であれば、回転磁極の回転が促進されると共に、可動部へ進行するときに、可動部の第2の磁極より弱いため、回転磁極が磁性体を引き寄せブレーキとなる度合いを小さいものとすることができる。
【0011】
前記磁性体は、金属板により形成され、前記回転子が回転して前記回転磁極が前記可動部へ進行するときに、前記金属板を前記回転磁極が反発する磁極に磁化する磁力発生装置が設けられているのが望ましい。回転磁極が磁性体である金属板に引き寄せられ回転するが、回転子が回転して前記回転磁極が前記可動部へ進行するときは、磁力発生装置が金属板を回転磁極が反発する磁極に磁化する。そうすることで、金属板に吸引していた回転子が電磁石の磁力により押し出されるので、回転磁極が固定子から少ない損失で脱出することができ、スムーズに可動部へ進行することができる。
【0012】
前記回転子は、一面側と他面側との両面に回転磁極が配置され、前記磁力発生装置は、前記回転子の一面側と他面側とのそれぞれに向けて、前記回転磁極が反発する磁力を発生するのが望ましい。回転子の一面側と他面側とのそれぞれの回転磁極に向けて、磁力発生装置が、回転磁極が反発する磁力を発生するので、回転子の両側から回転子に向けて反発する力を付与することができる。
【0013】
前記磁力発生装置は、前記回転子の一面側と他面側とのそれぞれに向けた一対の電磁石を備え、前記一対の電磁石は、それぞれのコイルに両端部が挿入された鉄心部により連結されているのが望ましい。一対の電磁石が、コイルに両端部が挿入された鉄心部により連結されているため、磁力線が分散されずに一方の電磁石から他方の電磁石へと流れるため、磁力を強力なものとすることができる。
【0014】
前記可動部は、雄ねじまたは雌ねじのいずれか一方が円弧状に形成されたフレームに、前記駆動磁極として他方が形成され、ねじ止めされて配列されているのが望ましい。駆動磁極としての磁石が強力な磁力を発生するようなものでも、雄ねじと雌ねじとによるねじ止めであれば、容易に駆動磁極をフレームに配列することができる。
【0015】
前記回転駆動支援ユニットが前記回転子の回転軸を介して複数連結され、前記回転駆動支援ユニットの前記回転子のそれぞれの回転磁極は、前記回転駆動支援ユニットの数に応じて円周を等分した範囲にずらして配置されているのが望ましい。
それぞれの回転磁極が、回転駆動支援ユニットの数に応じて円周を等分した範囲にずらして配置されていることで、それぞれの回転子に均等に回転力を付けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の回転駆動支援装置は、可動部が第1の位置と第2の位置との間で揺動することにより、回転運動をする回転子の位置が切り替わらないため、回転子を高速に回転させることができるので、高出力を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る回転駆動支援装置を図面に基づいて説明する。
図1および
図2に示す回転駆動支援装置は、回転子10と、可動部20と、固定子30と、クランク機構部40とを一組とした回転駆動支援ユニットを2組(第1の回転駆動支援ユニットU1,第2の回転駆動支援ユニットU2)備えている。
【0019】
回転子10は、回転軸11により軸支された回転円盤12に、円柱状の永久磁石が回転磁極13として埋設されたものである。
回転円盤12は、磁化しない金属、若しくは、樹脂により形成され、自身の重量によりフライホイールとして機能するものである。本実施の形態1では、回転円盤12をアルミニウムにより形成されている。
回転磁極13は、回転円盤12の外周部に、円周方向に沿って円弧状に配置されている。本実施の形態1では、円周を3等分した120°の範囲に配置されている。回転磁極13は、厚み方向に両端部を向けて埋設されていることで、回転円盤12の一面側にN極(第1の磁極)、他面側にS極(第1の磁極)が向いている。
【0020】
可動部20は、矩形板状の可動板21が、回転子10を挟んだ状態で対向して配置され、円柱状の永久磁石が駆動磁極22として埋設されたものである。可動部20は、一側を第1の位置と第2の位置との間で揺動させるために、他端が図示しないヒンジにより固定子30に回動自在に連結されている。可動部20は、回転子10の円周120°の範囲をカバーする大きさに形成されている。ここで、第1の位置とは、クランク機構部40が上死点の位置にあり、可動部20が固定子30に対して最も開いた状態の位置を指す。また、第2の位置とは、クランク機構部40が下死点の位置にあり、可動部20が固定子30に対して閉じた状態の位置を指す。
【0021】
駆動磁極22は、回転子10の回転磁極13の配列形状に合わせた円弧状に埋設されている。回転子10の回転方向の前側に対応する駆動磁極22が、回転磁極13に吸引する磁極を向けて埋設された吸引駆動磁極221である。また、回転子10の回転方向の後側に対応する駆動磁極22が、回転磁極13に反発する磁極を向けて埋設された反発駆動磁極222である。
つまり、回転円盤12の一面側のN極(第1の磁極)と対向する一方の可動板21の駆動磁極22は、回転円盤12の一面側のN極を吸引させる吸引駆動磁極221としてS極(第2の磁極)が向いており、回転円盤12の一面側のN極と反発する反発駆動磁極222としてN極(第1の磁極)が向いている。また、回転円盤12の他面側のS極(第1の磁極)と対向する他方の可動板21の駆動磁極22は、回転円盤12の他面側のS極を吸引させる吸引駆動磁極221としてN極(第2の磁極)が向いており、回転円盤12の他面側のS極と反発する反発駆動磁極222としてS極(第1の磁極)が向いている。
【0022】
固定子30は、矩形板状の固定板31が、回転子10を挟んだ状態で対向して配置され、円柱状の永久磁石が固定磁極32として埋設されたものである。固定子30は、可動部20が第1の位置にあるときに、可動部20と合わせて、円形状の回転子10の直径より長い一辺の正方形状になるように形成されていることで、回転子10の下側をカバーしている。
【0023】
固定磁極32は、回転子10の回転磁極13の配列形状に合わせた円弧状に埋設されている。固定磁極32は、回転子10が回転して回転磁極13が可動部20を通過したときに、回転磁極13と吸引し合う第2の磁極の永久磁石である。つまり、一方の固定板31の固定磁極32は、回転円盤12の一面側のN極(第1の磁極)に向いているため、S極(第2の磁極)が向いており、また、他方の固定板31の固定磁極32は、回転円盤12の他面側のS極(第1の磁極)に向いているため、N極(第2の磁極)が向いている。
本実施の形態1では、固定磁極32は、回転子10の円周を3等分した120°の範囲となるように配置されている。
【0024】
固定子30には、回転子10の回転磁極13の配列形状に合わせた円弧状の金属板33が埋設されている。この金属板33は、回転子10の回転磁極13が接近すると磁化する金属とすることができる。例えば、金属板33は鉄板とすることができる。金属板33は、可動部20の第2の磁極である吸引駆動磁極221より弱い磁力となる磁性体であれば永久磁石としてもよい。金属板33は、回転子10の円周を3等分した120°の範囲となるように配置されている。
【0025】
クランク機構部40は、回転子10の回転運動を、可動部20を揺動させるための直線往復運動に変換するものである。クランク機構部40は、先端部が可動部20に取り付けられた連結部材41に回転自在に接続されたロッド部42と、ロッド部42の基端部を回転子10の回転軸11から偏心した位置とするための腕部43とを備えている。
ロッド部42は、基端部が腕部43の先端部に回転自在に接続されている。腕部43は、回転軸11から半径方向に延びると共に、回転子10から離れる方向へ延びることで、L字状に形成されている。回転軸11から半径方向に延びる腕部43の延伸方向は、回転子10の回転磁極13が配置された位置と、反対方向である。
【0026】
第1の回転駆動支援ユニットU1と,第2の回転駆動支援ユニットU2とは、同じ構成であるが、回転子10の回転磁極13の位置が180°ずれた状態で、回転子10が回転軸11に接続されている。従って、第1の回転駆動支援ユニットU1のクランク機構部40のロッド部42の基端部が上死点であれば、第2の回転駆動支援ユニットU2では下死点、第1の回転駆動支援ユニットU1が下死点であれば、第2の回転駆動支援ユニットU2では上死点となるように構成されている。
回転軸11には、出力を取るためのプーリーPが設けられている。
【0027】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る回転駆動支援装置の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
まず、回転軸11をモータなどにより回転駆動すると、回転子10が回転方向Fに回り出す(
図3(A)参照)。
回転子10が回転し始めると、回転子10の回転磁極13が、可動部20の駆動磁極22に接近する(
図3(B))。この時点では、クランク機構部40のロッド部42により可動部20を固定子30に接近させている状態であり、駆動磁極22が回転磁極13に対向する第1の位置となる前の状態であるため、回転磁極13と反発する駆動磁極22の反発駆動磁極222とは距離がある。従って、回転子10は、反発駆動磁極222からの影響を受けにくい状態で、可動部20内へ進行することができる。
【0028】
第1の回転駆動支援ユニットU1のロッド部42の基端部が可動部20から最も離れた下死点に位置することで、可動部20が固定子30に対して閉じ、駆動磁極22が第1の位置にあると、回転する回転子10の回転磁極13が、駆動磁極22に対向する(
図4(A)参照)。回転磁極13は、駆動磁極22の吸引駆動磁極221により引き寄せられ、反発駆動磁極222により押し出されるため、回転子10は回転方向Fに向かって、回転が促進される。また、回転磁極13と反発駆動磁極222が反発し合うことで、可動部20が押し上げられる。可動部20が押し上げられることで、ロッド部42が下死点から引き上げられて回転子10の回転を促進する。
【0029】
更に回転すると、ロッド部42が下死点から上死点に向かうため、可動部20が固定子30から徐々に開き始める。そして、回転磁極13が固定子30の固定磁極32に対向する位置に進行する(
図4(B)参照)。可動部20は、駆動磁極22の第2の磁極側である吸引駆動磁極221側を回動中心として、第1の磁極側である揺動磁極を揺動させているため、可動部20が開き始めても、吸引駆動磁極221は、第1の位置から大きく離れない。従って、吸引駆動磁極221による回転磁極13への引き寄せ力は、大きく低下しない。また、回転磁極13が固定子30へ進行すると、回転磁極13は固定子30の固定磁極32に対向した状態となるため、回転磁極13は、更に加速される。
このように、回転磁極13は、吸引駆動磁極221から固定磁極32へとスムーズに移り変わることができる。
【0030】
回転子10の回転磁極13が固定子30を進行して、ロッド部42の基端部が上死点に位置して、可動部20の駆動磁極22が回転磁極13から離間した第2の位置となるときに可動部20の開きが最大となる。そして、回転磁極13が固定磁極32から金属板33へ進行する(
図5(A)参照)。回転磁極13が金属板33に対向すると、回転磁極13が金属板33を引き寄せることにより、固定磁極32と同様に、回転子10の回転が促進される。
そして、回転子10の回転磁極13が、可動部20へ進行して、固定子30から脱出するときに、回転磁極13からの金属板33への引き寄せが、回転子10の回転へのブレーキとなる。また、可動部20の反発駆動磁極222からの回転磁極13への反発が、回転子10の回転へのブレーキとなる。しかし、回転磁極13と金属板33との吸引力は、吸引駆動磁極221との吸引力と比較すれば弱い。また、可動部20は、ロッド部42が上死点から下死点に向かっている途中なので、固定子30に接近しているところである。従って、回転子10は、金属板33との吸引を振り切り、反発駆動磁極222に影響を受けることなく、可動部20内へ進行する(
図5(B)参照)。
【0031】
第1の回転駆動支援ユニットU1と第2の回転駆動支援ユニットU2とは、回転磁極13が反対となるように、回転子10が回転軸11に接続されているため、第1の回転駆動支援ユニットU1側で、回転子10の回転磁極13が固定子30内を進行しているときに、第2の回転駆動支援ユニットU2側で、回転磁極13が可動部20内にて駆動磁極22により回転力を付けられる。また、第2の回転駆動支援ユニットU2側で、回転子10の回転磁極13が固定子30内を進行しているときに、第1の回転駆動支援ユニットU1側で、回転磁極13が可動部20内にて駆動磁極22により回転力を付けられる。
【0032】
このように、回転駆動支援ユニットが2台(第1の回転駆動支援ユニットU1,第2の回転駆動支援ユニットU2)設けられ、それぞれの回転子10が交互に加速されることで、効率よく回転子10を回転させることができる。なお、本実施の形態1では、回転駆動支援ユニットが2台であるため、回転磁極13が180°ごとであったが、回転駆動支援ユニットが3台であれば120°ごと、4台であれば90°ごととする。このように、回転磁極13を、回転駆動支援ユニットの数に応じて円周を等分した範囲にそれぞれ分けて配置することで、均等に駆動力を回転軸に伝達させることができる。
なお、複数の回転駆動支援ユニットを設けるときには、共通した1本の回転軸11に接続してもよいし、回転軸に設けたプーリーを介して接続するようにしてもよい。
プーリーPに無端ベルトを巻回すことで、回転駆動支援装置からの回転出力を得ることができる。
【0033】
以上にように本実施の形態1に係る回転駆動支援装置によれば、第1の位置にある可動部20の駆動磁極22に回転子10の回転磁極13が位置すると、駆動磁極22の吸引駆動磁極221に回転磁極13が吸引されて引き寄せられ、反発駆動磁極222に回転磁極13が反発されて押し出せれ、回転が促進される。回転子10の回転に伴い回転磁極13が回転して駆動磁極22に接近するときに、クランク機構部40のロッド部42が可動部20を第2の位置から第1の位置の方向へ変位させて回転磁極13を駆動磁極22に対向させるので、回転磁極13が反発する反発駆動磁極222と対向する前では、回転磁極13は反発駆動磁極222から離間した位置にある。従って、回転磁極13は反発駆動磁極222からの影響を受けにくい。
そして、可動部20が第1の位置となり、回転磁極13が駆動磁極22に対向する位置まで回転子10が回転すると、回転磁極13は、吸引駆動磁極221に吸引されて引っ張られると共に、反発駆動磁極222に反発して押し出されるので、回転子10は回転方向Fへ回転が促進される。
従って、回転駆動支援装置は、可動部20が第1の位置と第2の位置との間で揺動することにより、回転運動をする回転子10の位置が、特許文献1に記載のエアー駆動モータの回転子のように、厚み方向に揺動させて切り替えるようなことがないため、回転子10を高速に回転させることができるので、高出力を得ることができる。
【0034】
なお、本実施の形態1では、可動部20が、一側(反発駆動磁極222)を第1の位置と第2の位置との間で揺動させるために、他端(吸引駆動磁極221)がヒンジにより固定子30に連結されているが、可動部20を第1の位置と第2の位置との間で平行移動させるようにしてもよい。しかし、可動部20の平行移動を大きく変位させないと、反発駆動磁極222の円弧の下端から第1の位置までの距離が確保できないため、回転磁極13は可動部に進行する際に、下端部分の反発駆動磁極222がブレーキとして作用してしまう。従って、可動部20は、吸引駆動磁極221側を回動中心にして反発駆動磁極222側を揺動させるのが望ましい。
【0035】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る回転駆動支援装置を図面に基づいて説明する。なお、
図6から
図14においては、
図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。また、
図6から
図14においては、本実施の形態2に係る回転駆動支援ユニットU1のみを図示しているが、回転軸を介して、
図1に示す回転駆動支援ユニットU2と同様に、本実施の形態2に係る回転駆動支援ユニットU2を省略している。更に、
図9以降は、配線を省略している。
【0036】
図6および
図7に示す本実施の形態2に係る回転駆動支援装置は、実施の形態1に係る回転駆動支援装置(
図1参照)に、回転子10の回転が所定位置となったときに、金属板33を磁化する磁力を発生する磁力発生装置50が取り付けられていることを特徴とするものである。
磁力発生装置50は、金属板33を第1の磁極に磁化する電磁石51と、電磁石51からの磁力線の流れを規制して磁力を向上する鉄心部52と、電磁石51の通電の時期を計るためのタイミング板53と、タイミング板53の位置を検出する位置センサ54と、位置センサ54が検出したタイミングで電磁石51に通電する制御ボックス55とが設けられている。金属板33は、電磁石51の前面に、電磁石51ごとに分割されて設けられている。
【0037】
電磁石51は、一対が、固定子30を形成する2枚の固定板31に、回転子10の一面側と他面側との両面に配置された回転磁極13に対応させ、回転子10を挟むようにして対向配置されている。本実施の形態2では一対の電磁石51が3組設けられている。
鉄心部52は、略C字状に形成されていることで、それぞれの電磁石51のコイルに両端部が挿入されて、一対の対向する電磁石51に跨っている。
タイミング板53は、回転軸11に取り付けられていることで回転子10と共に回転する。タイミング板53は、円周上に、電磁石51への通電期間を示す出っ張りが設けられている。この出っ張りは、切り欠いたものでもよい。
位置センサ54は、発光部と受光部とを、タイミング板53の帯状で円弧状の出っ張りを挟んで配置したフォトインタラプタである。
制御ボックス55は、位置センサ54が、タイミング板53の出っ張りを検出した通知を受けて、電磁石51に通電する機能を備えている。
【0038】
固定磁極32は、
図8に示すように、回転子10の回転方向に進むに従って直径が小さくなることで磁力が弱くなるようにしている。
【0039】
以上のように構成された本発明の実施の形態2に係る回転駆動支援装置の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
図9に示す本実施の形態2に係る回転駆動支援装置は、
図4(A)に示す本実施の形態1に係る回転駆動支援装置と同じ位置で、クランク機構部40が下死点の位置にあり、可動部20が固定子30に対して閉じた状態である。
【0040】
ロッド部42の基端部が可動部20から最も離れた下死点に位置すると、回転子10の回転磁極13が、駆動磁極22に対向する(
図9参照)。
回転磁極13が、駆動磁極22に対向することで、回転磁極13は駆動磁極22の吸引駆動磁極221により引き寄せられ、反発駆動磁極222により押し出されるため、回転子10は回転方向Fに向かって、回転が促進される。また、回転磁極13と反発駆動磁極222が反発し合うことで、可動部20が押し上げられる。可動部20が押し上げられることで、ロッド部42が下死点から引き上げられて回転子10の回転を促進する。
【0041】
更に回転すると、ロッド部42が下死点から上死点に向かうため、可動部20が固定子30から徐々に開き始める。そして、回転磁極13が固定子30の固定磁極32に対向する位置に進行する(
図10参照)。
回転磁極13が固定子30へ進行すると、回転磁極13は固定子30の固定磁極32に対向した状態となるため、回転磁極13は、更に加速される(
図11参照)。
回転子10の回転磁極13が固定子30を進行して、ロッド部42の基端部が上死点に位置したとき、可動部20の開きが最大となる。そして、回転磁極13が固定磁極32から金属板33へ進行する(
図12参照)。
【0042】
回転磁極13は回転が進むことにより固定磁極32から抜け出そうとするが、回転磁極13は固定磁極32と異極であり、固定磁極32が回転磁極13を吸引しようとする。しかし、
図8に示すように、固定磁極32は、回転子10の回転方向に進むに従って直径が小さくなることで磁力が弱くなるようにしているため、回転磁極13への吸引力が弱くなる。従って、回転磁極13が固定磁極32から脱出することができ、スムーズに金属板33の方向へ進行することができる。
【0043】
回転磁極13が金属板33に対向すると、回転磁極13が金属板33を引き寄せることにより、固定磁極32と同様に、回転子10の回転が促進される。例えば、回転磁極13が1枚目の金属板33を抜けるタイミングで、タイミング板53の円弧状の出っ張りが位置センサ54を通過し始める。
位置センサ54がタイミング板53の出っ張りを検出すると、制御ボックス55が電磁石51に通電する。
電磁石51が通電されることで、回転円盤12の一面側の回転磁極13と対向する一方の電磁石51は、一面側の回転磁極13と同じN極(第1の磁極)となる。従って、一方の電磁石51の前面に位置する金属板33は、N極に磁極される。
また、回転円盤12の他面側の回転磁極13と対向する他方の電磁石51は、他方側の回転磁極13と同じS極(第1の磁極)となる。従って、他方の電磁石51の前面に位置する金属板33は、S極に磁極される。
【0044】
このように、回転磁極13と同じ磁極が電磁石51によって発生され、金属板33が同極に磁化されるため、回転磁極13は金属板33によって反発する。
実施の形態1の回転駆動支援装置であれば、金属板33だけなので、回転子10の回転磁極13が固定子30から可動部20へ進行するときに、回転磁極13が金属板33に引き寄せられ、ブレーキになってしまう。しかし、実施の形態2の回転駆動支援装置では、回転磁極13が、電磁石51により、金属板33に反発することで、回転子10が電磁石51の磁力により押されるので、回転磁極13が少ない損失で固定子30から脱出することができ、スムーズに可動部20へ進行することができる(
図13参照)。
【0045】
回転円盤12の一面側と他面側との両面に、両極を外側に向けた回転磁極13が設けられ、一対の電磁石51が回転子10を間に挟んで対向しているため、回転子10の一面側と他面側とのそれぞれの回転磁極13に向けて、磁力発生装置50が、回転磁極13が反発する磁力を発生するので、回転子10の両側から回転子10に向けて反発する力を付与することができる。
一対の電磁石51が、コイルに両端部が挿入された鉄心部52により連結されているため、磁力線が分散されずに一方の電磁石51から他方の電磁石51へと流れるため、磁力を強力なものとすることができる。
【0046】
回転子10の回転磁極13が可動部20に進行する際に、可動部20の反発駆動磁極222からの回転磁極13への反発が、回転子10の回転へのブレーキとなる。しかし、可動部20は、ロッド部42が上死点から下死点に向かっている途中なので、固定子30に接近しているところである。従って、回転子10は、金属板33との吸引を振り切り、反発駆動磁極222に影響を受けることなく、可動部20内へ進行する(
図14参照)。
【0047】
このように、本実施の形態2に係る回転駆動支援装置では、回転子10が固定子30を脱出する際に、金属板33に吸引させていた回転子10を電磁石51により瞬時に押し出すことで、効率よく回転子10を可動子30へ進入させることができる。
【0048】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る回転駆動支援装置を図面に基づいて説明する。
図2や
図6に示すように実施の形態1,2では、矩形板状の可動板21に駆動磁極22が、固定板31に固定磁極32が設けられている。この駆動磁極22や固定磁極32は、穴が形成された可動板21と固定板31とに、それぞれ圧入されて配列される。
【0049】
しかし、駆動磁極22や固定磁極32がネオジム磁石などの強力な磁力を発生する永久磁石であるときには、所定の穴に圧入しようとすると、既に圧入されている永久磁石に接近することで、急に磁力が作用して引き寄せられて、くっ付いてしまうことがある。一度くっ付いてしまうと引き剥がすのに大変な力が必要となる。従って、強力な磁力を発生する永久磁石の配列は、効率よく作業しにくい。また永久磁石同士が急激に引き寄せられるため、組立者は永久磁石同士の間に指を挟むおそれがある。
そこで、本実施の形態3に係る回転駆動支援装置では、可動部の駆動磁極、固定子の固定磁極を配置する際に、容易に並べられるようにしたことを特徴としたものである。
【0050】
図15に示す本実施の形態3に係る回転駆動装置の可動部20xは、矩形板状の可動部20(
図2,
図6参照)の代わりになるものである。
可動部20xは、永久磁石の配列方向に装着用の穴が形成された2本のフレーム21xと、フレーム21xに取り付けた駆動磁極23とから形成されている。
フレーム21xは、非磁性体または弱磁性体の金属により形成することができる。本実施の形態では、フレーム21xは、チタンにより形成されている。フレーム21xは、回転子30に合わせて円弧状に形成され、平行に対向させた一対のフレーム本体211と、一対のフレーム本体211の間隔を一定に保つための棒状部材212と、固定子の凹部(図示せず)に挿入されて、回転中心となる軸部213とを備えている。
【0051】
フレーム本体211には、駆動磁極23を取り付けるための穴2111が、円弧に沿って一列に形成されている。この穴2111は、雌ねじ穴に形成されている。また、フレーム本体211には、棒状部材212がねじ止めするための突起部2112が形成されている。
駆動磁極23は、
図16に示すように、永久磁石231と、永久磁石231が圧入された本体部232と、本体部232の底部から延びるねじ脚部233と、ねじ脚部233に嵌め込まれ、フレーム本体211に駆動磁極23をねじ止めするためのナット234とから形成されている。
【0052】
本体部232は、永久磁石231が圧入される空間を有する側面が円筒状の凹状容器である。ねじ脚部233は本体部232の中心を軸線に合わせて溶接された雄ねじである。
本体部232とねじ脚部233とは、非磁性体または弱磁性体の金属により形成することができる。本実施の形態3では、本体部232とねじ脚部233とは、チタンにより形成されている。
なお、
図16に示す駆動磁極23では、フレーム本体211の穴2111を雌ねじ、ねじ脚部233を雄ねじとしたが、フレーム本体の穴を雄ねじ、ねじ脚部を雌ねじとしてもよい。
また、本体部232は、側面が円筒状に形成されているが、多角形状に形成されていてもよい。例えば、本体部の側面が、六角ナット状に形成されていれば、スパナやモンキーレンチなどで本体部を挟み、ナット234を回転させれば、ナット234の締付けに伴う本体部の回転を防止することができる。
【0053】
永久磁石231は、対向する回転子10の回転磁極13の磁極に応じて、本体部222に圧入される。
例えば、回転子10の回転磁極13の一方の端部(回転円盤12の一面側一面側)がN極に、他方の端部(回転円盤12の他面側)がS極であれば、吸引駆動磁極221としては、一方の端部に対向する永久磁石231はS極を外側に向けて本体部232に圧入され、他方の端部に対向する永久磁石231はN極を外側に向けて本体部232に圧入される。また、反発駆動磁極222としては、一方の端部に対向する永久磁石231はN極を外側に向けて本体部222に圧入され、他方の端部に対向する永久磁石231はS極を外側に向けて本体部222に圧入される。
【0054】
このように形成された本実施の形態3に係る回転駆動装置の可動部20xについて、組立てる際の状態を説明する。
組立者は、駆動磁極23のねじ脚部223の先端を、フレーム本体211の穴2111に引っ掛け、位置合わせする。そして、ねじ脚部223と穴2111との軸線を合わせ、駆動磁極23全体を軸周りに回転させて、ねじ脚部223を穴2111に嵌め込む。
【0055】
駆動磁極23をフレーム本体211へ装着するときに、ねじ脚部223を介して装着するため、永久磁石231を直接貫通孔に圧入する方法に比べて、永久磁石231同士の距離を離した状態で装着することができる。従って、永久磁石231同士が引き合う力が弱い状態で駆動磁極23をフレーム21xに装着させることができる。
また、フレーム本体211と、駆動磁極23の本体部232およびねじ脚部233とが非磁性体または弱磁性体により形成されているため、ねじ脚部233が隣の穴2111に装着された駆動磁極23に引き寄せられにくい。従って、駆動磁極を並べる際に、更に作業性を向上させることができる。
【0056】
このように、可動部20xが、雄ねじまたは雌ねじのいずれか一方が円弧状に形成されたフレーム21xに、駆動磁極23として他方が形成され、ねじ止めされて配列されているため、駆動磁極23としての永久磁石231が強力な磁力を発生するようなものでも、雄ねじと雌ねじとによるねじ止めにより、容易に駆動磁極23をフレーム21xに配列することができる。
【0057】
本実施の形態3では可動部20xを例に説明したが、固定子の固定板の代わりをフレームに、固定磁極の代わりを駆動磁極23に置き換えることができる。
駆動磁極23は、ねじ脚部233により穴2111に嵌め込まれるため、ねじ込みの深さを変えることで、永久磁石231と、回転子10の回転磁極13との距離を変えることができる。
実施の形態2の固定子30では、
図8に示すように、固定磁極32の直径を徐々に小さくすることで、回転子10の回転方向に進むに従って磁力が弱くなるようにしている。従って、ねじ脚部233の穴2111へのねじ込みの深さを、回転方向に向かうに従って徐々に深くして、回転子10の回転磁極13との距離が徐々に離れるようにして、磁力を徐々に弱めることで、
図8に示す固定子30と同様の作用を得ることができる。