【文献】
竹内 栄二朗,外4名,複数の外界センサを用いた位置推定モジュール群による屋外環境における自己位置推定,日本ロボット学会誌,日本,日本ロボット学会,2012年 4月29日,第30巻, 第3号,pp.296-304
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行距離を計測して走行距離情報を出力する走行距離計測手段、計測車の姿勢を計測して姿勢情報を出力する姿勢計測手段または慣性計測手段、および、管路の内面形状を計測して内面形状情報を出力する内面形状計測手段を備えて管路内を走行可能な計測車と、
計測開始位置における前記計測車の位置と姿勢を特定して計測開始位置情報を出力する開始位置特定手段と、
計測終了位置における前記計測車の位置と姿勢を特定して計測終了位置情報を出力する終了位置特定手段と、
前記管路内を走行中に、所定の時間間隔ごとに、前記走行距離計測手段により得られる走行距離情報と前記姿勢計測手段または慣性計測手段により得られる姿勢情報を用いて、前記計測開始位置を基準とした前記計測車の逐次位置情報を逐次推定演算する逐次位置推定演算手段と、
所定の時間間隔ごとに、前記逐次位置推定演算手段により得られる前記計測車の逐次位置情報を、前記内面形状計測手段により得られる内面形状情報を用いて逐次補正演算する逐次位置補正演算手段と、
前記計測終了位置に到達後において、前記逐次補正演算された前記逐次位置情報を、前記計測開始位置情報と前記計測終了位置情報に基づいて、位置推定と地図作製を並行して実行する三次元SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)アルゴリズムによって全補正演算処理して、前記計測車が走行した経路の三次元空間における位置推定を行う全補正演算手段と、を備えたことを特徴とする埋設管路の計測装置。
走行距離を計測して走行距離情報を出力する走行距離計測手段、計測車の姿勢を計測して姿勢情報を出力する姿勢計測手段または慣性計測手段、および、管路の内面形状を計測して内面形状情報を出力する内面形状計測手段を備えて管路内を走行可能な計測車を用いた埋設管路の計測方法であって、
計測開始位置における前記計測車の位置と姿勢を特定して計測開始位置情報を得る第1のステップと、
前記管路内を走行中に、所定の時間間隔ごとに、前記走行距離計測手段により得られる走行距離情報と前記姿勢計測手段または慣性計測手段により得られる姿勢情報を用いて、前記計測開始位置を基準とした前記計測車の逐次位置情報を逐次推定演算する第2のステップと、
所定の時間間隔ごとに、前記第2のステップにおいて得られる前記計測車の逐次位置情報を、前記内面形状計測手段により得られる前記管路の内面形状情報を用いて逐次補正演算する第3のステップと、
前記計測終了位置に到達後において、計測終了位置における前記計測車の位置と姿勢を特定して計測終了位置情報を得る第4のステップと、
前記計測終了位置に到達後において、前記逐次補正演算された前記計測車の逐次位置情報を、前記計測開始位置情報と前記計測終了位置情報に基づいて、位置推定と地図作製を並行して実行する三次元SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)アルゴリズムによって全補正演算処理して、前記計測車が走行した経路の三次元空間における位置推定を行う第5のステップと、を含んでいることを特徴とする埋設管路の計測方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
下水管等埋設管の埋設位置の特定について、開削工事と人手による測量を行う場合、公共道路の封鎖や膨大な測量費用を必要とする。今後の老朽化した社会インフラは益々増大し、これらコストの課題を解決する事は老朽化したインフラストックの整備を遅滞なく進める上で急務となってくる。
埋設管の内面形状の測量において、ダミー管挿入調査法においては、管路の不陸、蛇行、段差の詳細がわからず、計画設計通りに施工出来ない場合がある。
【0006】
測量対象物の3次元位置を移動体により測量する方法としては、車両にIMU(Inertial Measurement Unitの略。慣性計測装置)とオドメトリ(odometry。走行距離計)、GPS受信装置を搭載し、GPS情報を元に逐次自己位置の補正をしながら測量する方法(特開2013-113702)がある(特許文献1参照)。
また、上記同様の測量におけるIMUの累積誤差、及びGPS受信のバラツキより生じる誤差を補正するために、得られたデータにベイズフィルタ処理を行い(Kalmanフィルタリング)自己位置の精度を上げながら測量する方法がある(特開2009-121945)(特許文献2参照)。
【0007】
これら先行技術はいずれもオドメトリ及びIMUにより連続的な自己位置の移動を計測しながら、約1秒間隔で受信できるGPSによりその誤差を逐次補正し、自己位置を特定する方法である。
しかしながら、これら技術的アルゴリズムを、埋設された管路の地理座標測位に適用する場合、逐次のGPS補正が出来ない。
【0008】
これに対し、IMU、オドメトリの誤差を最小化するアルゴリズムとして、近年、三次元SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)アルゴリズムの一種であるGraph-SLAMアルゴリズムの活用が試みられている。前記三次元SLAMは、3次元空間で計測装置の位置・姿勢と周辺の地図を同時に推定するアルゴリズムであり、前記Graph-SLAMアルゴリズムは三次元SLAMの解法の1つである。
Graph-SLAMアルゴリズムのGraphとは図形のグラフの意味であり、Graph-SLAMアルゴリズムにおいては、計測装置(台車・センサ)で周囲を計測するたびに、計測装置をノード(結束)とし、その間をリンクとし、リンクのつながりを位置に関する推定誤差とするグラフを作成する。また、ランドマークを観測するたびに、先ほどのグラフに、計測装置とランドマークをノード(結束)とし、その間の観測をリンクとし、リンクのつながりの強さを観測誤差とする部分グラフを追加する。できたグラフのいくつかのノードの位置が分かった際に、もっともよく当てはまるグラフの形を推定することで、計測装置の位置・姿勢と周辺の地図を構築する方法である。(非特許文献1参照)
【0009】
しかし、埋設管路内に特徴的なランドマークを設定する事は作業上困難、設置できたとしても管路全般に渡って設置するのは現実的で無い。
そこで、埋設管路内に特徴的なランドマークがない場合であっても、最低限、計測開始位置と計測終了位置の座標を特定することができれば、埋設管路内における計測車の走行回路を正確に推定することを可能とし、さらには、埋設された管路の地理座標測位を可能とする技術を提供することを目的として本発明はなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る埋設管路の計測装置は、
走行距離を計測して走行距離情報を出力する走行距離計測手段、計測車の姿勢を計測して姿勢情報を出力する姿勢計測手段または慣性計測手段、および、管路の内面形状を計測して内面形状情報を出力する内面形状計測手段を備えて管路内を走行可能な計測車と、
計測開始位置における
前記計測車の位置と姿勢を特定して計測開始位置情報を出力する開始位置特定手段と、
計測終了位置における
前記計測車の位置と姿勢を特定して計測終了位置情報を出力する終了位置特定手段と、
前記管路内を走行中に、
所定の時間間隔ごとに、前記走行距離計測手段に
より得られる走行距離情報と前記姿勢計測手段または慣性計測手段に
より得られる姿勢情報を用いて、前記計測開始位置を基準とした前記計測車の逐次位置情報を逐次推定演算する逐次位置推定演算手段と、
所定の時間間隔ごとに、前記逐次位置推定演算手段に
より得られる前記計測車の逐次位置情報
を、前記内面形状計測手段に
より得られる内面形状情報を
用いて逐次補正演算する逐次位置補正演算手段と、
前記計測終了位置に到達後において、前記逐次補正演算された前記逐次位置情報を、前記計測開始位置情報と前記計測終了位置情報に基づいて、位置推定と地図作製を並行して実行する三次元SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)アルゴリズムによって全補正演算処理して、前記計測車が走行した経路の
三次元空間における位置推定を
行う全補正演算手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項2では、さらに、前記全補正演算手段に
より得られ
る、前記計測車が走行した経路の全体位置推定情報と、前記内面形状計測手段に
より得られる、前記管路の内面形状情報に基づいて、前記管路の内面の位置を推定
することにより、前記管路の地理座標を推定する管路地理座標推定手段を備えたことを特徴としている。
請求項3では、前記内面形状計測手段
として、前記管路の内面を走査するレーザー計測装置が用いられている。
請求項4では、前記内面形状計測手段は、互いに非平行な3つの平面内を走査して
前記管路の内面形状情報を得るように構成されている。
【0012】
請求項5では、前記内面形状計測手段は、
前記管路の管軸に垂直な平面内を走査して、少なくとも
前記管路の断面形状を計測するように構成されている。
請求項6では、前記内面形状計測手段は、
前記管路の管軸方向成分と、
当該管軸に直交する水平方向成分とで特定される平面内を走査して、少なくとも
前記管路の管軸方向の横断面形状を計測するように構成されている。
【0013】
請求項7では、前記内面形状計測手段は、
前記管路の管軸方向成分を含む垂直平面内を走査して、少なくとも
前記管路の管軸方向の縦断面形状を計測するように構成されている
。
請求項8では、前記内面形状計測手段が配設された架台を昇降させる昇降機構を備えている。
【0016】
請求項
9では、前記三次元SLAMアルゴリズムとし
て、
特定された前記計測開始位置と特定された前記計測終了位置をランドマークとし、 前記計測開始位置と特定された前記計測終了位置の間における計測車の逐次位置情報を、その間のリンクとノードとし、
前記リンクのつながりの強さを計測誤差とするグラフを作成
し、当該グラフが最も当てはまる形を推定することで、前記計測車の位置
および姿勢
の推定と、地図作製を並行して実行するGraph-SLAMアルゴリズムを用いることを特徴としている。
【0017】
請求項10に係る埋設管路の計測方法は、
走行距離を計測して走行距離情報を出力する走行距離計測手段、計測車の姿勢を計測して姿勢情報を出力する姿勢計測手段または慣性計測手段、および、管路の内面形状を計測して内面形状情報を出力する内面形状計測手段を備えて管路内を走行可能な計測車を用いた埋設管路の計測方法であって、
計測開始位置における
前記計測車の位置と姿勢を特定して計測開始位置情報を得る第1のステップと、
前記管路内を走行中に、
所定の時間間隔ごとに、前記走行距離計測手段に
より得られる走行距離情報と前記姿勢計測手段または慣性計測手段に
より得られる姿勢情報を用いて、前記計測開始位置を基準とした前記計測車の逐次位置情報を逐次推定演算する第2のステップと、
所定の時間間隔ごとに、前記第2のステップにおいて得られる前記計測車の逐次位置情報
を、前記内面形状計測手段に
より得られる前記管路の内面形状情報
を用いて逐次補正演算する第3のステップと、
前記計測終了位置に到達後において、計測終了位置における
前記計測車の位置と姿勢を特定して計測終了位置情報を得る第4のステップと、
前記計測終了位置に到達後において、前記逐次補正演算された
前記計測車の逐次位置情報を、前記計測開始位置情報と前記計測終了位置情報に基づいて、位置推定と地図作製を並行して実行する三次元SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)アルゴリズムによって全補正演算処理して、前記計測車が走行した経路の
三次元空間における位置推定
を行う第5のステップと、を含んでいる
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、計測対象の管路の計測開始位置座標を特定しておき、走行距離計測手段、姿勢計測手段または慣性計測手段、および、管路の内面形状を計測する内面形状計測手段を備えた計測車を管路内を移動させて、
前記走行距離計測手段によ
り得られる走行距離
情報と前記姿勢計測手段または慣性計測手段によ
り得られる姿勢情報を用いて、前記管路内を走行中に、前記計測開始位置を基準とした前記計測車の逐次位置情報を逐次推定演算し、前記内面形状計測手段による管路の内面形状情報に基づいて、前記管路内を走行中における前記計測車の逐次位置情報を
逐次補正演算する。
そして、前記計測終了位置に到達後においては、計測終了位置座標を特定して、前記補正演算された前記逐次位置情報を、前記計測開始位置情報と前記計測終了位置情報に基づいた三次元SLAMアルゴリズムによって全補正して、前記計測車が走行した経路の
三次元空間における位置推定を行うので、GPSを直接利用できない埋設管路内の走行経路を正確に推定することができる。
【0019】
請求項2によれば、上記構成に加えて、さらに、前記全補正演算手段にて得られた、前記計測車が走行した経路の全体位置推定情報と、前記内面形状計測手段による前記管路の内面形状情報に基づいて、前記管路の内面の位置を推定
することにより、前記管路の地理座標を推定する管路地理座標推定手段を備えているので、前記走行経路に基づいて管路の位置を正確に推定することが可能となる。
請求項3によれば、前記内面形状計測手段
として、前記管路の内面を走査するレーザー計測装置が用いられているので、小型且つ低コストで埋設管路の計測装置を構成できる。
請求項4によれば、前記内面形状計測手段は、互いに非平行な3つの平面内を走査して
前記管路の内面形状情報を得るので、管路の内面形状情報を、より詳細に得ることができ、管路の不陸、蛇行等の状況をより正確に把握することができる。
【0020】
請求項5によれば、前記内面形状計測手段は、
前記管路の管軸に垂直な平面内を走査するので、管軸に垂直な管路の断面形状を計測しやすい。
請求項6によれば、前記内面形状計測手段は、
前記管路の管軸方向成分と、
当該管軸に直交する水平方向成分とで特定される平面内を走査するので、管路の内面の側面部分の形状を計測しやすい。
【0021】
請求項7によれば、前記内面形状計測手段は、
前記管路の管軸方向成分を含む垂直平面内を走査するので、管路の内面の天井と床の形状を計測しやすい。
請求項8によれば、前記内面形状計測手段が配設された架台を昇降させる昇降機構を備えているので、異なる管の内部においても、前記内面形状計測手段の高さを前記管軸と一致させて配設しやすく、管内面の形状を把握しやすい。
【0024】
請求項
9では、前記三次元SLAMアルゴリズムとしては、特定された前記計測開始位置と特定された前記計測終了位置をランドマークとするGraph-SLAMアルゴリズムを用いるので、実際の埋設管路の位置をさらに正確に推定することができる。
【0025】
請求項
10に係る埋設管路の計測方法は、
前記管路内を走行中に、
所定の時間間隔ごとに、前記走行距離計測手段に
より得られる走行距離情報と前記姿勢計測手段または慣性計測手段に
より得られる姿勢情報を用いて、前記計測開始位置を基準とした前記計測車の逐次位置情報を逐次推定演算する第2のステップと、
所定の時間間隔ごとに、前記第2のステップにおいて得られる前記計測車の逐次位置情報
を、前記内面形状計測手段に
より得られる前記管路の内面形状情報
を用いて逐次補正演算する第3のステップと、
前記計測終了位置に到達後において、計測終了位置における
前記計測車の位置と姿勢を特定して計測終了位置情報を得る第4のステップと、
前記計測終了位置に到達後において、前記逐次補正演算された
前記計測車の逐次位置情報を、前記計測開始位置情報と前記計測終了位置情報に基づいて、位置推定と地図作製を並行して実行する三次元SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)アルゴリズムによって全補正演算処理して、前記計測車が走行した経路の
三次元空間における位置推定
を行う第5のステップとを含んでいるので、GPSを直接利用できない埋設管路内の走行経路を正確に推定することができ、さらに、前記走行経路に基づいて管路の位置を正確に推定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、計測対象の埋設された管路の断面の概略を示した模式図であり、
m1は計測開始位置のマンホール、m2は計測終了位置のマンホール、1は計測対象の管路P内に配置された計測車である。計測車1は、計測開始位置のマンホールm1から計測終了位置のマンホールm2まで管路P内を計測しつつ移動する。なお、管路Pの内径が充分に大きい場合には、作業者が押して移動させることができるが、管路Pの内径が小さい場合には、計測車1のフックにロープ等を繋ぎ、計測終了位置のマンホールm2から牽引等して移動させる。
【0028】
次に、計測車1の構造を、
図2、
図3、
図4を参照して説明する。
計測車1は、例えば、2つの前輪と2つの後輪とを備えた車体2と、車体2の上部に配設された水平な架台3を備えている。なお、
図2においては、計測車1を水平な管路内に配置した状態を示している。
車体2の後部には、走行距離を計測して走行距離情報を出力する走行距離計測手段としてのオドメトリ4を備えている。
前記架台3の上面には、計測車1の姿勢を計測して姿勢情報を出力する慣性計測手段としてのIMU5と、
管路の内面形状を計測して内面形状情報を出力する内面形状計測手段として、第1、第2、第3の3つのレーザー計測装置6、7、8が固定されている。
前記3つのレーザー計測装置6、7、8は、互いに非平行な(具体的には、互いに直交する)3つの平面内を走査して管路の内面形状情報を計測するように構成されている。
なお、慣性計測手段としてのIMU5に代えて、他の姿勢計測手段を用いることもできる。
【0029】
オドメトリ4は、
図3に示したように、真下の管底位置から若干振った位置で、管の内面に接触できるように支持ブーム41を振った状態で斜めに支持する機構を備えている。真下の管底近傍には下水が流れていたり、堆積物が存在する確立が高いため、斜めに支持する機構によって、これらの下水や堆積物などを避けて管の内面に接触し、より正確な距離測定が可能となる。
IMU5は、3軸のジャイロと3方向の加速度計を備えており、3次元の角速度と加速度が求められる。3次元の角速度情報を積分することにより計測車の向き(姿勢)を求め、加速度情報に基づいて重力方向を求めることができる。
オドメトリ4による走行距離とIMU5による走行方向とを蓄積処理することによって、計測開始位置を基準とした計測車の自己位置情報を逐次得て、さらに、計測開始位置からの走行軌跡を得ることができる。ここにおける処理を、逐次位置推定演算(A)と称する。この逐次位置推定演算(A)の詳細は後述する。
オドメトリ4とIMU5によって計測車の自己位置計測手段を構成している。
【0030】
3つのレーザー計測装置6、7、8とIMU5は、
図4に示したように、管内画像撮像用のカメラ9とともに、計測車1上に配設された架台3に固定されている。
前記架台3は、ハンドル操作によるパンタグラフ機構31によって水平に昇降させて、第1のレーザー計測装置6の走査中心軸と、管軸とがほぼ一致するように調整することが可能である。(
図2、
図3参照。)
【0031】
次に、各レーザー計測装置6、7、8の配置を、
図2〜
図5を参照して説明する。
第1のレーザー計測装置6は、管軸方向に垂直な平面(
図5の平面B、X−Z平面)内を走査して、管路の断面における管路内面の各点の逐次位置を計測するように構成されている。なお、前記管軸方向とは、実施例では、第1のレーザー計測装置6におけるレーザー光の走査軸方向である。
第1のレーザー計測装置6から得られる計測データを、断面計測センサーデータと称する。
【0032】
第2のレーザー計測装置7は、管軸方向成分と、前記管軸方向成分に直交する水平方向成分とで規定される平面(
図5の平面A、X−Y平面)内を走査して、管路の管軸方向の横断面における管路内面の各点の逐次位置を計測するように構成されている。
第2のレーザー計測装置7から得られる計測データを、水平計測センサーデータと称する。
【0033】
第3のレーザー計測装置8は、管軸方向成分を含む垂直平面(
図5の平面C、Y−Z平面)内を走査して、管路の管軸方向の縦断面における管路内面の各点の逐次位置を計測するように構成されている。
第3のレーザー計測装置8から得られる計測データを、垂直計測センサーデータと称する。
【0034】
図4の(A)に示したように、前記架台3には、第1のレーザー計測装置6の走査範囲を広く確保するための切り込み61と、第3のレーザー計測装置8の走査範囲を広く確保するための切り込み81とが設けられている。
なお、3つのレーザー計測装置6、7、8の走査面は、
図5に示したように、互いに直交する3つの平面としたが、互いに平行でなく交差する平面であれば、演算が複雑にはなるが直交しなくてもよい。
【0035】
第1〜第3のレーザー計測装置6、7、8によって、計測車1の特定の基準点を基準として、管路の内面の各点の逐次位置を計測することによって、管路の内面の3次元形状を計測する。
【0036】
次に、
図1に例示した管路Pを、前記計測車1を用いて計測する手順を説明する。
まず、計測開始地点となるマンホールm1の底部に配置された計測車1の初期位置と姿勢(方向)を計測する。これは、地表に設置した、GPS装置もしくはトータルステーション等の位置特定手段を用いて測定して決定する。
このような初期位置の決定作業においては、計測車1はマンホールの底もしくは管路内等の地下に存在するため、GPS電波を利用するGPS装置で直接初期位置を決定することは困難である。また、初期状態での計測車の姿勢(向き、方向)を決定する必要もある。そのための具体的な手順は、後述する実施例1〜4のように種々考えられる。
【0037】
何れかの手順で計測車1の初期位置と姿勢を決定した後、計測車1を移動させて管路Pの計測を開始する。
管路内を移動中は、オドメトリ4による走行距離とIMU5による走行方向とを蓄積処理することによって、計測開始位置を基準とした計測車1の自己位置情報を、後述する逐次位置推定演算(A)によって逐次得る。
さらに、3つのレーザー計測装置6、7、8によって得られた断面計測センサーデータ、水平計測センサーデータ、および垂直計測センサーデータを用いて、逐次位置推定演算(A)にて得られた自己位置情報を、後述する逐次位置補正演算(B)によって逐次補正して、補正後の自己位置情報を得る。
【0038】
以上のようにして、計測車1を、計測開始位置から埋設された管路内を移動させながら、計測開始位置を基準とした自己位置情報を前記逐次位置推定演算(A)
によって逐次計測し、さらに、前記逐次位置補正演算(B)によって逐次補正しつつ、計測終了位置へ向かう。
計測終了位置となるマンホールm2の底部に到達すると、地上に設置したGPS装置もしくはトータルステーション等の位置特定手段を用いて計測車1の終焉位置と終焉姿勢(方向)を計測する。
このようにして得られた計測車1の終焉位置と姿勢に基づいて、前記逐次位置補正演算(B)によって得られた全ての自己位置情報と姿勢情報を、Graph-SLAMアルゴリズムを用いて補正する。この補正演算処理を全補正Graph-SLAM(C)と称する。
【0039】
前記Graph-SLAMアルゴリズムのGraphとは図形のグラフの意味であり、Graph-SLAMアルゴリズムは三次元SLAMの解法の1つである。
Graph-SLAMアルゴリズムにおいては、計測装置(台車・センサ)で周囲を計測するたびに、計測装置をノード(結束)とし、その間をリンクとし、リンクのつながりを位置に関する推定誤差とするグラフを作成する。また、ランドマークを観測するたびに、先ほどのグラフに、計測装置とランドマークをノード(結束)とし、その間の観測をリンクとし、リンクのつながりの強さを観測誤差とする部分グラフを追加する。できたグラフのいくつ
かのノードの位置が分かった際に、もっともよく当てはまるグラフの形を推定することで、計測装置の位置・姿勢と周辺の地図を構築する方法である。
本発明の場合では、ランドマークは、マンホールm1の位置での台車の位置座標(計測開始位置情報)と、マンホールm2の位置での台車の位置座標(計測終了位置情報)に対応し、その間のリンクとノードは、マンホールm1,m2の間における計測装置の逐次位置情報に対応している。
【0040】
以下においては、前記逐次位置推定演算(A)、前記逐次位置補正演算(B)、そして、前記全補正演算(C)について、
図6を参照して詳細に説明する。
図6に示したステップS1においては、
計測開始位置のマンホールm1に設置したGPS装置等の位置特定手段を用いて、計測車1の初期位置(X0,Y0,Z0)と初期姿勢(R0,P0,Ya0)を得る。
X0,Y0,Z0は、それぞれ位置情報のX座標成分、Y座標成分、Z座標成分を示し、R0,P0,Ya0は、それぞれ姿勢情報のRoll成分、Pitch成分、Yaw成分を示している。
【0041】
ステップS2においては、オドメトリ4による走行距離情報(x,y,z)と、IMU5による姿勢情報(R,P,Ya)とに基づいて逐次位置推定演算(A)を行い、ステップS3において、次の位置における自己位置情報(Xt,Yt,Zt)と姿勢情報(Rt,Pt,Yat)を得る。
ステップS4においては、前記自己位置情報(Xt,Yt,Zt)と姿勢情報(Rt,Pt,Yat)を、断面計測センサーデータと、水平計測センサーデータと、垂直計測センサーデータを用いて、逐次位置補正演算(B)を行い、ステップS5において、補正後の自己位置情報(X't,Y't,Z't)と姿勢情報(R't,P't,Ya't)を得る。
以上のステップS2〜ステップS5の処理を、所定時間間隔で繰り返しつつ、計測終了位置へ向かう。
【0042】
計測終了位置のマンホールm2に到達すると、
ステップS6において、計測終了位置のマンホールm2に設置したGPS装置等の位置特定手段を用いて、計測車1の終焉位置(Xe,Ye,Ze)と終焉姿勢(Re,Pe,Yae)を得る。
この後、ステップS7においては、ステップS1〜ステップS5によって得られた、全ての前記補正後の自己位置情報(X't,Y't,Z't)と姿勢情報(R't,P't,Ya't)を、前記計測車1の終焉位置(Xe,Ye,Ze)と終焉姿勢(Re,Pe,Yae)に基づいて補正する。
この補正が前記全補正Graph-SLAM(C)である。
【0043】
ステップS8においては、以上の全補正Graph-SLAM(C)によって、計測開始位置から計測終了位置までの全ての前記補正後の自己位置情報(X't,Y't,Z't)と姿勢情報(R't,P't,Ya't)を補正して、計測開始位置から計測終了位置までの全ての自己位置情報(X,Y,Z)と姿勢情報(R,P,Ya)を確定する。
【0044】
ステップS9においては、以上において計測開始位置から計測終了位置までにおける計測車1の自己位置情報(全体位置推定情報)が全経路にわたって確定されたことにより、前記計測車が走行した経路の全体位置推定情報と、前記内面形状計測手段による、前記管路の内面形状情報に基づいて、計測車1の逐次位置における管内面の位置を推定することができ、計測開始位置から計測終了位置までにおける管路の地理座標を確定することができる。
【0045】
さらに、ステップS10においては、以下のようにして、管内の不陸情報、および管路の蛇行情報を得ることができる。
蛇行と不陸の分離のために、管断面を計測するための第1のレーザー計測装置6と、管軸に平行な垂直断面を計測するための第3のレーザー計測装置8とを用いる。
図13においては、第1のレーザー計測装置6による管断面の計測状況を楕円で示し、第3のレーザー計測装置8による垂直断面の計測状況を矢線で示した。
管内においては、
図13の領域Aのように通常天井と床とは平行になっているため、
図13の領域Bのように計測車1の傾き(姿勢)と、第3のレーザー計測装置8によって計測した管内の天井の傾きとが一致しない場合には、不陸と判断できる。この場合には、天井と床の傾きも一致しない。
また、
図13の領域Cのように計測車1の傾きと、天井および床の傾きとが一致している場合には、不陸ではなく、管の蛇行であると判断できる。
【0046】
なお、前記ステップS1は特許請求の範囲に記載された第1のステップに、
前記ステップS2、S3は特許請求の範囲に記載された第2のステップに、
前記ステップS4、S5は特許請求の範囲に記載された第3のステップに、
前記ステップS6は特許請求の範囲に記載された第4のステップに、
前記ステップS7、S8は特許請求の範囲に記載された第5のステップにそれぞれ対応している。
なお、前記ステップS9は、特許請求の範囲に記載された管路地理座標推定手段に
おける処理に対応している。
【0047】
以上のようにして、計測開始位置と計測終了位置において、GPS装置もしくはトータルステーション等の位置特定手段を用いてグローバル座標系における地理座標を得ることができれば、計測開始位置から計測終了位置までの埋設管の位置を全て得ることができる。
さらには、管路の途中における蛇行と不陸の分離も可能であるので、実際に長期間使用された下水管等の埋設管路でも充分正確に地理座標を得ることができる。したがって、下水管等の既設の埋設管の埋設位置の特定が、開削工事と人手による測量を行うことなく、正確に行えるので、計測費用を低減することが可能となり、今後の老朽化した社会インフラストックの整備を遅滞なく進めることが可能となる。
【0048】
なお、前記逐次位置推定演算(A)、前記逐次位置補正演算(B)、および、前記全補正演算(C)の一部もしくは全ての演算は、計測車1に搭載したパーソナルコンピュータ(可搬型の小型コンピュータ)で処理してもよい。また、オドメトリ4、IMU5、および3つのレーザー計測装置6、7、8による計測情報の一部もしくは全てを、有線もしくは無線の通信手段を介して、随時外部へ送信して外部に設置したコンピュータを用いて蓄積および演算を処理してもよい。そのための通信手段として、電波や赤外線等を利用した無線通信手段や、保護された通信ケーブルや光ファイバ等の有線通信手段を利用することができる。そして、保護された通信ケーブルや光ファイバは、計測車1を牽引するローブに沿わせて敷設してもよい。以上において、計測車1に搭載したパーソナルコンピュータもしくは外部に設置したコンピュータは、特許請求の範囲に記載された逐次位置推定手段、逐次位置補正手段、全補正演算手段、及び、管路地理座標推定手段に対応している。
【0049】
次に、前記逐次位置推定演算(A)の詳細を説明する。
時刻tでの計測車の位置x
tは、下記の式で求める。
【数1】
xは計測車の位置、θは計測車の姿勢、uは微小変化量。
【0050】
【数2】
Δx
t:時刻tのオドメトリ4の計測結果
θ
r :ロール軸周りの回転角
θ
p :ピッチ軸周りの回転角
θ
y :ヨー軸周りの回転角
【0051】
角度の更新式を以下に示す。
【数3】
【0052】
位置の更新式を以下に示す。
【数4】
Rは、以下に示すように、それぞれの軸周りでの回転行列である。
【0054】
次に、前記逐次位置補正演算(B)の詳細を説明する。
前記逐次位置補正演算(B)は、第1のレーザー計測装置6によって得られる断面計測センサーデータと、第2のレーザー計測装置7によって得られる水平計測センサーデータと、第3のレーザー計測装置8によって得られる垂直計測センサーデータとを用いた補正であり、オドメトリ4による位置推定だけでは誤差が大きいと考えられるので、前記3つのレーザー計測装置6、7、8を用いて逐次位置の補正を行うものである。
【0055】
時刻tにおけるオドメトリ4による位置をx
t、レーザー計測装置による管内形状の計測値をz
tとする。h(x
t)は、1つ前の時刻の位置から、オドメトリ、IMUで計測した微小位置移動に基づいた時刻tの管内形状の推定値である。
誤差のためz
tとh(x
t)は一致しないので、その差に定数Kを乗じたものと加算して位置x
tを補正する。
【数6】
Kはカルマンゲインであり、共分散行列Σ、Ο(位置データの誤差の大きさ)の比であらわされる。
【0056】
【数7】
z :レーザー計測装置による計測値
h(x):計測の予測値
H :ヤコビ行列
Σ :運動モデルの共分散行列
Ο :計測の共分散行列
【0057】
次に、前記全補正Graph-SLAM(C)の詳細を説明する。
計測終了位置のマンホールm2位置での修正にGraph-SLAMを用いる。
下記の式で示したJ
Graph-SLAMを最小化するxが最も確からしい推定結果となる。
g(u
t,x
t-t)はひとつ前の位置と、微小移動量から現在位置を推定する関数であるから、x
t-g(u
t,x
t-t)は推定位置の差分となる。これに共分散行列R(誤差の大きさを示す)の逆行列をかけた[x
t-g(u
t,x
t-t)]
TR
-1 [x
t-g(u
t,x
t-t)]は運動モデルの拘束条件となる。
h(m
c,x
t)はマンホール位置mから計測車の位置xを計測したときの計測関数である。これと実際の計測値zの差にこれに共分散行列Q(誤差の大きさを示す)をかけたΣ[z
t-h(m
c,x
t)]
TQ
-1 [z
t-h(m
c,x
t)] は計測モデルの拘束条件となる。(
図8参照。)
これらの拘束条件の和が以下に示すJ
Graph-SLAMである。
【0059】
IMUを用いた計測において、傾き誤差が最も大きくなるベクトルはYawである。
Roll、Pitch は重力方向をIMUで検知して誤差補正できる。
Yawは誤差補正に地磁気の検出を要するが、埋設管路内では地磁気は使用できないため、Yawの自動的な誤差補正は望めない。しかし、本発明によれば、3つのレーザー計測装置による補正を併用して、管路内での逐次補正演算(B)を行うことにより、Yawの自動的な誤差補正も可能となった。さらに、計測終了位置におけるGPS等による位置情報によって、全補正Graph-SLAM(C)により、全地理座標を補正することにより、さらに正確な管路の地理座標の特定が可能となった。
【0060】
以下においては、計測開始位置と計測終了位置のマンホールm1,m2での位置計測方法の実施例を説明する。
GPS等の全地球測位システムもしくはトータルステーション等により計測された計測車1の異なる2箇所の座標位置(Xm0,Ym0,Zm0)及び(Xm1,Ym1,Zm1)から、1つの座標位置及び方角(X0,Y0,Z0,Ya0)を演算により取得し、またIMU5により方角以外の姿勢(R0,P0)を取得し、それらより計測車1の1つの座標位置及び姿勢(X0,Y0,Z0,R0,P0,Ya0)を特定する。
【実施例1】
【0061】
まず、計測開始位置と計測終了位置における計測車1の座標位置を特定するための第1の具体的な方法を、
図9を参照して説明する。
図9に示したように、計測開始位置のマンホールm1の上部開口部にはトータルステーションTSを配し、トータルステーションTSの真下のマンホールm1の底面に計測車1を配置する。マンホールm1の底部は計測対象の管路Pとつながっている。
計測車1に方眼プレート11を設置し、トータルステーションTSにレーザ求心装置LCを取り付け、方眼プレート11に求心レーザが照射されるように、トータルステーションTSの地上位置を調節する。
【0062】
その位置でのトータルステーションTSでの計測により、地上座標を求める。また方眼プレート11のどの位置に求心レーザが照射されているかを記録する。
トータルステーションTSから方眼プレート11までの距離は別途メジャー等の距離計測手段を用いて計測する。
上記方法を方眼プレート11の別の位置でも行い、計測車1の異なる2箇所の座標位置の特定を行う。2箇所の座標位置から計測車1の姿勢を特定する。
以上のようにして、計測開始位置における計測車1の位置と姿勢を決定する。
計測終了位置のマンホールm2においても同様の作業を行う。
以上においては、前記トータルステーションTS、前記レーザ求心装置LC、前記距離計測手段、及び前記方眼プレート11が、特許請求の範囲に記載された開始位置特定手段、または終了位置特定手段に対応している。
【実施例2】
【0063】
上記の場合は地上から計測車1が真下に見える場合であるが、
図10のようにマンホールm1の真下は管への接続するための空間となっているだけの場合もある。
その場合には、以下の第2の具体的な方法を用いることができる。
マンホールの真下に立方体12を設置する。
地上からは上記方法と同様に、トータルステーション等を用いて立方体12の位置測定を行う。
また計測車1からは、レーザー計測装置7、8、9を用いて立方体12の位置形状を計測する。
これにより、計測開始位置における計測車1の位置と姿勢を決定する。
計測終了位置のマンホールm2においても同様の作業を行う。
以上においては、トータルステーション、前記立方体12、及び前記レーザー計測装置7、8、9が、特許請求の範囲に記載された開始位置特定手段、または終了位置特定手段に対応している。
【実施例3】
【0064】
第3の具体的な方法は、
図11に示したように、計測車1にLEDランプ13を4箇所に設置し、マンホールの蓋の代わりに設置できるカメラCMを取り付けた器具を設置する。
カメラCMの位置は地上にてトータルステーション等を用いて座標位置計測を行う。
写真測量により、計測車1の位置と姿勢の特定を行う。
計測終了位置のマンホールm2においても同様の作業を行う。
以上においては、トータルステーション、前記カメラCM、及び前記LEDランプ13が、特許請求の範囲に記載された開始位置特定手段、または終了位置特定手段に対応している。
【実施例4】
【0065】
第4の具体的な方法は、
図12に示したように、計測車1に方眼プレート14を設置し、地上の3箇所からハンディ計測器H1、H2、H3にて方眼プレート14の特定の2箇所への距離を計測する。
各ハンディ計測器H1、H2、H3の座標位置は地上にてトータルステーション等を用いて座標位置計測を行う。
これにより、計測車1の位置と姿勢の特定を行う。
計測終了位置のマンホールm2においても同様の作業を行う。
計測車1の位置を特定する方法は種々あるが、以上の4つの具体的な方法を例示した。
計測開始位置のマンホールm1と、計測終了位置のマンホール2とでは、同じ方法に限らず異なる方法を用いてもよい。
以上においては、前記トータルステーション、前記ハンディ計測器H1、H2、H3、及び前記方眼プレート14が、特許請求の範囲に記載された開始位置特定手段、または終了位置特定手段に対応している。
【0066】
走行距離計測手段としては、車輪を用いたオドメトリに代えて、走行距離を計測するものであれば種々の距離計測手段を利用することができる。
姿勢計測手段または慣性計測手段としては、慣性計測装置(IMU)に代えて、地磁気を利用した姿勢方位基準装置(AHRS)等の技術を利用することができる。
埋設管路中では、地磁気が利用できない場合もあるため、慣性計測装置(IMU)が好ましい。
内面形状計測手段としては、レーザー計測装置に限らず、内面計測手段から管の内壁面までの距離を非接触で計測可能な種々の距離計測装置を利用することができる。
例えば、充分に高精度のミリ波レーダーを用いた距離計測装置等を利用することができる。
【0067】
また、内面形状計測手段として、3つのレーザー計測装置6、7、8を搭載した例を説明したが、3つに限定されるものではなく、1つ以上のレーザー計測装置を用いて内面形状情報を得ることが可能である。
レーザー計測装置の数を多くすれば、さらに高精度の計測が可能となる。
管の内径がある程度既知であれば、1つのレーザー計測装置を用いることが可能である。
また、三角測量の原理に基づいて薄いシート状の光を投影することで対象物の3次元位置を得る光切断法を用いた3次元計測装置を利用することも可能である。
また、現時点では高価であるが、3次元スキャナー装置を利用して、1台の三次元スキャナー装置で管の内面形状計測手段を構成することも可能である。