特許第6202561号(P6202561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202561
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   A61B1/00 C
   A61B1/00 682
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-177419(P2013-177419)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-43899(P2015-43899A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】511216019
【氏名又は名称】株式会社ミュー
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】大塚 尚武
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−110385(JP,A)
【文献】 特開平10−328189(JP,A)
【文献】 特開2011−156203(JP,A)
【文献】 特開2012−071186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル内視鏡と体外装置を備えた医療装置において、
前記カプセル内視鏡は、
体内の画像を取得して画像電気信号を出力する画像処理部と、
該画像電気信号を超音波領域の振動数の搬送波によって変調して変調画像電気信号を出力する変調回路部と、
該変調画像電気信号を超音波信号に変換して外部に送信する少なくとも1個のカプセル側通信素子と、を備え、
正面視中心点よりも下側に重心が位置しており、少なくとも1個の前記カプセル側通信素子が重心の下側に設けられており、
前記体外装置は、
前記カプセル内視鏡からの前記超音波信号を受信し該超音波信号を電気信号に変換する少なくとも1個の体外通信素子と、
該電気信号を復調して復調画像電気信号を出力する復調回路部と、
該復調画像電気信号から前記画像を再生する画像再生部と、を備えていることを特徴とする医療装置。
【請求項2】
請求項に記載の医療装置において、
前記カプセル内視鏡は、筐体の内部に内筐体を有しており、該筐体と該内筐体との間には液体が満たされており、少なくとも1個の前記カプセル側通信素子が該内筐体に取り付けられていることを特徴とする医療装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の医療装置において、
前記体外装置は、人体に装着する袋体を備えており、該袋体には液体又は柔軟性材料が満たされており、少なくとも1個の前記体外通信素子が、該袋体における人体への装着面の反対側面に取り付けられていることを特徴とする医療装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の医療装置において、
前記体外装置は、前記体外通信素子が複数個設けられており、該複数個の体外通信素子の位置と、それらが受信する前記超音波信号の時間差と、によって前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部を備えていることを特徴とする医療装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の医療装置において、
前記体外装置は、前記体外通信素子が複数個設けられており、該複数個の体外通信素子が受信する前記超音波信号の搬送波成分の周波数と、前記カプセル内視鏡の前記搬送波の振動数と、のドップラー効果による差を測定して前記カプセル内視鏡の進行方向及び/又は進行速度を検出する進行検出部を備えていることを特徴とする医療装置。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の医療装置において、
前記体外装置は、制御電気信号を発生する制御電気信号発生部と、該制御電気信号を超音波領域の振動数の搬送波によって変調して変調制御電気信号を出力する第2の変調回路部と、を備え、前記体外通信素子の少なくとも1個から第2の超音波信号を送信し、
前記カプセル内視鏡は、前記カプセル側通信素子の少なくとも1個が第2の超音波信号を受信して第2の超音波信号を電気信号に変換し、かつ、その電気信号を復調して復調制御電気信号を出力する第2の復調回路部と、該復調制御電気信号から前記制御電気信号を再生する制御信号再生部と、を備えていることを特徴とする医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消化管等の体内の画像を取得するカプセル内視鏡と、体外においてその画像を再生する体外装置と、を備えた医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、カプセル内視鏡を用いて消化管等の体内の検査等を行う医療装置が知られている。このような医療装置におけるカプセル内視鏡は、一般に、旧来の内視鏡のように内視鏡を操作するための食道等を通過する管を必要としないために、被検査者への負担が少なくなる。カプセル内視鏡は、これを被検査者が口から飲み込んだ後、胃や腸の蠕動運動により受動的に体内を進行する。また、自走機能を有する場合は、口から飲み込む又は肛門から挿入した後、自ら検査等を行いたいところに移動することができる。このようなカプセル内視鏡は、内蔵の照明器やカメラなどを用いて体内を撮影して画像を取得する。医療装置は、その画像に基づいて体内を検査したり、或いは、カプセル内視鏡に内蔵された採取器を用いて体液や組織などの採取を行ったり、或いは、カプセル内視鏡に内蔵された治療器を用いて治療(例えば、施薬など)を行ったりすることができる。その後、カプセル内視鏡は、肛門から体外に排出される。
【0003】
このようなカプセル内視鏡は、多くの場合、特許文献1に示すように、電波を用いた無線用のカプセル側通信素子を内蔵し、体外においてカプセル内視鏡が取得した画像を再生する体外装置に画像のデータを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−000645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電波は水分中での減衰が大きく、また、一方、人体は水分によって大部分を占められている。そのため、カプセル内視鏡の位置又は体の厚み等の状態によっては、体内での電波の減衰が大きく、体外装置までの送信が難しくなり、また、体外装置は、電波を受信する高感度かつ高精度の体外通信素子等が必要になる。
【0006】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、カプセル内視鏡と体外装置を備えた医療装置において、カプセル内視鏡が取得した体内の画像のデータを体外装置まで容易に確実性を増して無線で送信することができる医療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の医療装置は、カプセル内視鏡と体外装置を備えた医療装置において、前記カプセル内視鏡は、体内の画像を取得して画像電気信号を出力する画像処理部と、該画像電気信号を超音波領域の振動数の搬送波によって変調して変調画像電気信号を出力する変調回路部と、該変調画像電気信号を超音波信号に変換して外部に送信する少なくとも1個のカプセル側通信素子と、を備え、正面視中心点よりも下側に重心が位置しており、少なくとも1個の前記カプセル側通信素子が重心の下側に設けられており、前記体外装置は、前記カプセル内視鏡からの前記超音波信号を受信し該超音波信号を電気信号に変換する少なくとも1個の体外通信素子と、該電気信号を復調して復調画像電気信号を出力する復調回路部と、該復調画像電気信号から前記画像を再生する画像再生部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の医療装置は、請求項に記載の医療装置において、前記カプセル内視鏡は、筐体の内部に内筐体を有しており、該筐体と該内筐体との間には液体が満たされており、少なくとも1個の前記カプセル側通信素子が該内筐体に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の医療装置は、請求項1又は2に記載の医療装置において、前記体外装置は、人体に装着する袋体を備えており、該袋体には液体又は柔軟性材料が満たされており、少なくとも1個の前記体外通信素子が、該袋体における人体への装着面の反対側面に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の医療装置は、請求項1〜のいずれか1項に記載の医療装置において、前記体外装置は、前記体外通信素子が複数個設けられており、該複数個の体外通信素子の位置と、それらが受信する前記超音波信号の時間差と、によって前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の医療装置は、請求項1〜のいずれか1項に記載の医療装置において、前記体外装置は、前記体外通信素子が複数個設けられており、該複数個の体外通信素子が受信する前記超音波信号の搬送波成分の周波数と、前記カプセル内視鏡の前記搬送波の振動数と、のドップラー効果による差を測定して前記カプセル内視鏡の進行方向及び/又は進行速度を検出する進行検出部を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の医療装置は、請求項1〜のいずれか1項に記載の医療装置において、前記体外装置は、制御電気信号を発生する制御電気信号発生部と、該制御電気信号を超音波領域の振動数の搬送波によって変調して変調制御電気信号を出力する第2の変調回路部と、を備え、前記体外通信素子の少なくとも1個から第2の超音波信号を送信し、前記カプセル内視鏡は、前記カプセル側通信素子の少なくとも1個が第2の超音波信号を受信して第2の超音波信号を電気信号に変換し、かつ、その電気信号を復調して復調制御電気信号を出力する第2の復調回路部と、該復調制御電気信号から前記制御電気信号を再生する制御信号再生部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の医療装置によれば、カプセル内視鏡と体外装置を備えた医療装置において、カプセル内視鏡が取得した周辺部の画像のデータを、超音波信号によって体外装置まで容易に確実性を増して無線で送信することができる
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る医療装置の構成を示す模式図である。
図2】同上の医療装置のカプセル内視鏡の構成の概略を示す模式的な側面視断面図である。
図3】同上の医療装置のカプセル内視鏡の重心を示す模式的な正面視断面図である。
図4】同上の医療装置のカプセル内視鏡のカプセル側通信素子を複数個設けた2つの場合を示す模式的な正面視断面図である。
図5】同上の医療装置のカプセル内視鏡の実施形態変形例を模式的に示すもので、(a)が正面視断面図、(b)が側面視断面図である。
図6】同上の医療装置のカプセル内視鏡の更なる実施形態変形例を模式的に示すもので、(a)が正面視断面図、(b)が側面視断面図である。
図7】同上の医療装置の体外装置の体外通信素子を複数個設けた場合を示すもので、(a)が側面図、(b)が頭部側から見た側面図である。
図8】同上の医療装置の体外装置の袋体を設けた場合を示すもので、(a)が側面図、(b)が頭部側から見た側面図である。
図9】同上の医療装置の体外装置の別の袋体を設けた場合を示すもので、(a)が側面図、(b)が頭部側から見た側面図である。
図10】同上の医療装置の体外装置の体外通信素子を複数個設けた場合の実施形態変形例の構成を示す模式図である。
図11】同上の医療装置のカプセル内視鏡制御機能を付加した構成を示す模式図である。
図12】同上の医療装置のカプセル内視鏡制御機能を付加したカプセル内視鏡の構成の概略を示す模式的な側面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するため形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る医療装置1は、被検査者の体内の検査等を行うもので、図1に示すように、カプセル内視鏡2と体外装置3を備えている。
【0016】
カプセル内視鏡2は、形状や大きさが特に限定されるものではないが、多くの場合、大略円柱状をなし、その軸方向(長手方向)に進行するものである。カプセル内視鏡2は、自走機能の有無についても特に限定されるものではなく、自走機能を有さず胃や腸の蠕動運動により受動的に体内を進行するだけのものや、自走機能を有して自ら検査等を行いたいところに移動することができるものが含まれる。カプセル内視鏡2は、例えば、直径(軸方向に直交する方向の直径)が1cm前後程度、軸方向の長さが、自走機能を有さない場合は2.5cm前後程度、自走機能を有する場合は2.5cm前後〜4.5cm前後程度、とすることができる。被検査者は、カプセル内視鏡2を口から飲み込む、又は、自走機能を有する場合は口から飲み込むか肛門から挿入した上で検査等を受ける。カプセル内視鏡2は、被検査者の体内を進行する。
【0017】
カプセル内視鏡2は、図2に示すように、画像処理部21を備えている。画像処理部21は、消化管等の体内におけるカプセル内視鏡2の周辺部に光を照射する照明器21aと、体内におけるカプセル内視鏡2の周辺部を撮影するカメラ21b、などを用いて、体内の画像を取得する。カプセル内視鏡2の前部(図2においては左方)は光が通過できる程度に透明である。また、画像処理部21は、取得した画像を処理する画像処理回路21cを用いて画像電気信号を出力する。例えば、画像処理回路21cは、取得した画像をデジタル変換し、圧縮処理し、デジタルの画像電気信号を出力することができる。また、カプセル内視鏡2は、画像処理部21などの各部に電源を供給する電源供給部22を備えている。
【0018】
また、カプセル内視鏡2は、変調回路部23を備えている。変調回路部23は、振動子23aを有しており、この振動子23aから直接又は分周して超音波領域の振動数(16kHz以上)の電気信号である搬送波を発生させる。変調回路部23は、この搬送波によって画像処理部21が出力する画像電気信号を変調して、変調画像電気信号を出力する。変調方式は、種々の方式が可能であるが、デジタルの画像電気信号を変調するためには、DPSK(Differential Phase Shift Keying)などのデジタル位相変調方式やMFSK(Multi Frequency shift Keying)などのデジタル周波数変調方式が可能である。
【0019】
また、カプセル内視鏡2は、カプセル側通信素子24を備えている。カプセル側通信素子24は、変調回路部23が出力する変調画像電気信号を超音波信号に変換して外部に送信する。この超音波信号には、画像処理部21が取得した周辺部の画像のデータが含まれていることになる。カプセル側通信素子24は、例えば、圧電素子に変調画像電気信号の電圧を印加して機械的に振動させて、超音波信号を発生させるものを用いることができる。
【0020】
このような構成のカプセル内視鏡2が送信する超音波信号は、胃や腸の中に流入している水分又は臓器や筋肉や血液などを、僅かに減衰しながら通過して行く。この減衰の程度は、電波に比べて遙かに小さい。例えば、16kHz〜1MHzの範囲における水中での減衰は、超音波信号も電波もともに周波数の増大とともに大きくなるが、電波の減衰が4dB/m〜30dB/m程度であるのに対し、超音波信号の減衰は、0.0001dB/m〜0.3dB/m程度である。なお、人体の臓器や筋肉や血液などの水分は、標準人体の約50〜65%を占めるため、人体を伝わる超音波信号の特性は、水中を伝わる超音波の特性に近いものとなる。
【0021】
従って、超音波信号を用いたカプセル内視鏡2は、体外に至るまで画像のデータを容易に確実性を増して送信することができる。
【0022】
また、その一方で、超音波信号は、空気など気体中での減衰が非常に大きい。そのため、胃や腸の中に流入している水分が多くない場合、その水分又は直接、臓器壁にカプセル側通信素子24からの超音波信号が適切に伝わらなければ、体外において超音波信号を受信するのが難しくなる。胃や腸の中に流入している水分が多くない場合でも、その水分又は臓器壁にカプセル側通信素子24からの超音波信号が伝わり易くする幾つかの構成について以下、述べる。
【0023】
先ず、図3に示すように、カプセル内視鏡2の重心Gを正面視中心点(進行方向から見た中心点)Cから一方向側に偏心させて正面視中心点Cの下側(重力方向の下側)に位置させ、そして、カプセル側通信素子24を重心Gの更なる一方向側である下側(重力方向の下側)に設けるようにすることができる。こうすると、カプセル側通信素子24が重力方向の下側に位置するときが安定状態となるため、胃や腸の中において重力方向の下側に溜まっている水分又は臓器壁にカプセル側通信素子24が接し、超音波信号が伝わることになる。
【0024】
また、カプセル側通信素子24を、1個に限らず、図4(a)、(b)に示すように、複数個設けるようにすることができる。図4(a)は、上側から下側まで所定の間隔でもって複数個(この例では、4個)のカプセル側通信素子24を設けた場合を示している。図4(b)は、上側にはカプセル側通信素子24を設けずに、カプセル内視鏡2の重心Gを正面視中心点Cから一方向側に偏心させて正面視中心点Cの下側(重力方向の下側)に位置させ、そして、複数個(この例では、3個)のカプセル側通信素子24のうち少なくとも1個を重心Gの更なる一方向側である下側(重力方向の下側)に設けた場合を示している。このようにすると、周辺部に影響されてカプセル内視鏡2が正面視中心点Cの周りを大きく回動しても、いずれかのカプセル側通信素子24からの超音波信号が胃や腸の中に流入している水分又は臓器壁に伝わることになる。
【0025】
また、カプセル内視鏡2は、図5に示すように、筐体2aの内部に内筐体2bを有し、筐体2aと内筐体2bとの間に液体(例えば、純水又は生理食塩水など)Lを満たすようにし、カプセル側通信素子24が内筐体2bに取り付けられるようにすることができる。また、この場合、カプセル内視鏡2の重心Gを正面視中心点Cから一方向側に偏心させて正面視中心点Cの下側(重力方向の下側)に位置させ、そして、カプセル側通信素子24のうち少なくとも1個を重心Gの更なる一方向側である下側(重力方向の下側)に設けるようにする。カプセル側通信素子24は、1個であっても又は複数個であってもよい。こうすると、周辺部に影響されてカプセル内視鏡2が正面視中心点Cの周りを大きく回動しても、内筐体2bはそれに追従せず、カプセル側通信素子24のうち少なくとも1個は常に重力方向の下側に位置するので、カプセル側通信素子24からの超音波信号は、筐体2aと内筐体2bとの間の液体L中を伝わり、筐体2aを介して、胃や腸の中において重力方向の下側に溜まっている水分又は臓器壁に伝わる。
【0026】
なお、図5に示したものは、液体Lによって内筐体2bが支持されることで、内筐体2bが筐体2aに対して相対的に回動可能となるものであるが、内筐体2bと筐体2aの間に、内筐体2bを筐体2aに対して相対的に正面視中心点Cの周りを回動可能に支持する支持部(図示せず)を設けてもよい。また、図6に示すように、内筐体2bがカプセル側通信素子24を少なくとも含む一部の部品のみを含むようにして、内筐体2bと隔壁2a’の間、或いは内筐体2bと筐体2aの間に、内筐体2bを筐体2aに対して相対的に正面視中心点Cの周りを回動可能に支持する支持部(図示せず)を設けてもよい。なお、図6は、具体的には、照明器21aとカメラ21bを内筐体2bよりも外に、それ以外を内筐体2bの中に設けた場合を示しており、カメラ21bと画像処理回路21cの間の配線、又は、その配線の周りは、防水構造とする。
【0027】
次に、体外装置3を説明する。
【0028】
体外装置3は、図1に示したように、体外通信素子31を備えている。体外通信素子31は、カプセル内視鏡2からの超音波信号を受信し、その超音波信号を電気信号に変換する。体外通信素子31は1個に限らず、図7に示すように複数個設けることができる。
【0029】
また、体外装置3は、復調回路部32を備えている。復調回路部32は、体外通信素子31において超音波信号から変換された電気信号を復調して復調画像電気信号を出力する。復調方式は、カプセル内視鏡2の変調回路部23の変調方式に対応する方式である。なお、体外通信素子31が複数個の場合、超音波信号が最も早く届いた体外通信素子31からの電気信号を選択するなどして復調することができる。
【0030】
また、体外装置3は、画像再生部33を備えている。画像再生部33は、復調画像電気信号から、画像、すなわち、カプセル内視鏡2で取得された画像を再生する。画像再生部33は、画像処理回路21cの画像処理方式に対応する方式を用いる。画像再生部33で再生された画像は、モニター34に表示することができる。
【0031】
このようにして画像を再生することにより、その画像に基づいて被検査者の体内の検査を行うことができる。
【0032】
体外装置3は、体外通信素子31を直接、人体に装着させてもよいし、或いは、図8及び図9に示すように、人体に装着する袋体35を設けるようにしてもよい。この袋体35の中には液体(例えば、水など)又は超音波信号の減衰の少なく柔軟な柔軟性材料が満たされており、少なくとも1個の体外通信素子31が、袋体35における人体への装着面35aの反対側面35bに取り付けられている。袋体35は、図8に示すように、人体の周囲に巻き付けるようにするか、或いは、図9に示すように、人体の下方に敷くようにする。このようにすると、カプセル内視鏡2からの超音波信号は、減衰が非常に大きい空気中を介することなく、体外通信素子31まで伝わることができる。
【0033】
また、超音波信号を受信する体外通信素子31が複数個設けられた場合の体外装置3は、以下に述べる特別な機能を有するようにすることができる。
【0034】
先ず、図10に示すように、位置検出部36を備えることで、カプセル内視鏡2の位置(より詳細には、カプセル側通信素子24の位置)を検出することが可能である。位置検出部36は、複数個の体外通信素子31の位置と、それらが受信する超音波信号の時間差と、によってカプセル内視鏡2の位置を検出する。
【0035】
例えば、カプセル内視鏡2の位置を(X,Y,Z)、体外通信素子31の位置を(X,Y,Z)とする(ここで、iはN個の体外通信素子に順番に付けた番号を示している)。そうすると、カプセル内視鏡2から体外通信素子31までの距離Lは次の式(1)のように表される。
【0036】
【数1】
【0037】
また、カプセル内視鏡2から体外通信素子31まで伝わるのに超音波信号が要した時間をT+Tとする(ここで、Tはカプセル内視鏡2から1個の自由に選択された体外通信素子31まで伝わるのに超音波信号が要した時間、Tは、その1個の体外通信素子31とi番の体外通信素子31の間の超音波信号の時間差である)。そうすると、上記距離Lは次の式(2)のように表される。
【0038】
【数2】
【0039】
ここで、vは超音波信号の速度であり、予め実測した値(水中での速度1500m/s程度)を用いればよい。従って、式(1)、(2)から、体外通信素子31を複数個設ければ、カプセル内視鏡2の位置(X,Y,Z)を検出できることになる。
【0040】
位置検出部36は、具体的には、コンピュータを用いて、数値解法などのプログラムにより、実現することができる。例えば、上記の式(1)、(2)から導いた次の式(3)のΔを最小にするような位置(X,Y,Z)を求める最小二乗法のプログラムにより、実現することができる。
【0041】
【数3】
【0042】
このように、超音波信号の速度は、電波の速度(30万km/s))に比べて非常に遅いため、複数個の体外通信素子31の間で受けた超音波信号に測定可能な時間差が生じ、この時間差と複数個の体外通信素子31の位置と、によってカプセル内視鏡2の位置を検出することができる。
【0043】
次に、図10に示すように、進行検出部37を備えることで、カプセル内視鏡2の進行方向を検出したり進行速度を検出したりすることが可能である。カプセル内視鏡2が進行しながら超音波信号を送信すると、カプセル内視鏡2の進行方向及び進行速度に応じてドップラー効果が起こり、その超音波信号の搬送波成分の周波数は、カプセル内視鏡2で生成した搬送波の振動数からずれる。進行検出部37は、複数個の体外通信素子31が受信するそれぞれの超音波信号の周波数を測定して、カプセル内視鏡2の進行方向及び/又は進行速度を検出する。
【0044】
例えば、カプセル内視鏡2から静止している体外通信素子31に向かう方向とカプセル内視鏡2の進行方向との間の角度をθとする。そうすると、体外通信素子31が受信する超音波信号の搬送波成分の周波数fは、次の式(4)のように表される。
【0045】
【数4】
【0046】
ここで、fは、カプセル内視鏡2で生成した搬送波の振動数であり、uはカプセル内視鏡2の進行速度である。従って、式(4)から、体外通信素子31を複数個設ければ、カプセル内視鏡2の進行方向及び/又は進行速度を検出できることになる。
【0047】
以上説明した医療装置1は、更に機能を付加し、第2の超音波信号を用いて体外装置3によってカプセル内視鏡2を制御することも可能である。詳細には、次のようにすることができる。すなわち、体外装置3は、図11に示すように制御電気信号を発生する制御電気信号発生部38と、その制御電気信号を超音波領域の振動数の搬送波によって変調して変調制御電気信号を出力する第2の変調回路部39と、を備え、体外通信素子31の少なくとも1個から第2の超音波信号を送信する。第2の変調回路部39は、カプセル内視鏡2の変調回路部23と同様のものでよいし、また、搬送波は独立の振動子又はコンピュータのシステムクロックなどを用いて様々な手段で発生させることができる。また、第2の超音波信号の周波数は、カプセル内視鏡2から送信される上記の超音波信号の周波数と異なっていても、或いは同じであってもよい。カプセル内視鏡2は、カプセル側通信素子24の少なくとも1個が第2の超音波信号を受信して第2の超音波信号を電気信号に変換する。カプセル内視鏡2は、また、図12に示すように、その電気信号を復調して復調制御電気信号を出力する第2の復調回路部25と、復調制御電気信号から前記制御電気信号を再生する制御電気信号再生部26と、を備える。再生された制御電気信号は、画像処理部21などの制御(例えば、カメラ21bの向き等の制御、画像の撮影開始や停止の指示、画像撮影間隔の指示など)を行う。
【0048】
第2の超音波信号を用いて体外装置3によってカプセル内視鏡2を制御することが可能な医療装置1は、更に、カプセル内視鏡2に採取器を内蔵させることによって、体外装置3の画像再生部33で再生された画像に基づいて体液や組織などの採取を行ったり、カプセル内視鏡2に治療器を内蔵させることによって、体外装置3の画像再生部33で再生された画像に基づいて治療(例えば、施薬など)を行ったりすることも可能である。
【0049】
以上、本発明の実施形態に係る医療装置について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内での様々な設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 医療装置
2 カプセル内視鏡
21 画像処理部
21a 照明器
21b カメラ
21c 画像処理回路
22 電源供給部
23 変調回路部
23a 振動子
24 カプセル側通信素子
25 第2の復調回路部
26 制御電気信号再生部
2a 筐体
2a’ 隔壁
2b 内筐体
3 体外装置
31 体外通信素子
32 復調回路部
33 画像再生部
35 袋体
35a 袋体の人体への装着面
35b 袋体の人体への装着面の反対側面
36 位置検出部
37 進行検出部
38 制御電気信号発生部
39 第2の変調回路部
C カプセル内視鏡の正面視中心点
G カプセル内視鏡の重心
L 液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12