特許第6202564号(P6202564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202564
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】セメント汚泥水の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20170914BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   C09K3/00 S
   C02F11/00 101Z
   C02F11/00ZAB
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-218497(P2013-218497)
(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公開番号】特開2015-81265(P2015-81265A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】506099029
【氏名又は名称】株式会社土地改良センター
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】村松登
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−160193(JP,A)
【文献】 特開2005−336232(JP,A)
【文献】 特開2005−232341(JP,A)
【文献】 特開2009−165812(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/001719(WO,A1)
【文献】 特開2011−056495(JP,A)
【文献】 特開2011−026151(JP,A)
【文献】 特開昭53−144872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
C02F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーパースラッジが28乃至68重量部、可溶性無水石膏が10乃至50重量部、硫酸バンドが3乃至43重量部、消石灰が8乃至48重量部、ソーダ灰が0.4乃至28重量部、ポルトランドセメントが0.3乃至26重量部、中性からアルカリ性を示す汚泥水の分離処理に優れるアニオン系高分子ポリマーが0.1乃至11重量部、チオ硫酸ソーダが0.15乃至23重量部、硫酸第1鉄が0.1乃至22重量部、シリカが0.05乃至21重量部を含んで配合構成された重金属被覆固化剤を使用しての工場あるいは建設現場から排出されるセメント汚泥水の処理方法であり、
前記セメント汚泥水内にセメント泥の固形物が30%ないし20%含まれているとき、前記セメント汚泥水内に前記構成からなる重金属被覆固化剤を前記セメント泥の固形物の重量の1割程度を投与して攪拌し、セメント汚泥水を水と固形物とに分離し、該固形物は、内部に重金属を閉じこめて、含水率80%程度の手で持てる程度に固まり、前記分離した水には、前記重金属が含まれない、
ことを特徴とするセメント汚泥水の処理方法。
【請求項2】
ペーパースラッジが178乃至218重量部、可溶性無水石膏が10乃至50重量部、硫酸バンドが3乃至43重量部、消石灰が8乃至48重量部、ソーダ灰が0.4乃至28重量部、ポルトランドセメントが0.3乃至26重量部、中性からアルカリ性を示す汚泥水の分離処理に優れるアニオン系高分子ポリマーが0.1乃至11重量部、チオ硫酸ソーダが0.15乃至23重量部、硫酸第1鉄が0.1乃至22重量部、シリカが0.05乃至21重量部を含んで配合構成された重金属被覆固化剤を使用しての工場あるいは生コン車から排出されるセメントを含んだ濁水の処理方法であり、
前記セメントを含んだ濁水内にセメントの固形物が5%ないし7%含まれているとき、前記セメントを含んだ濁水に、該セメントの固形物の1割程度の重量の前記重金属被覆固化剤を投与して攪拌し、セメントを含んだ濁水を水と固形物とに分離し、該固形物は、内部に重金属を閉じこめて、含水率80%程度の手で持てる程度に固まり、前記分離した水には、前記重金属が含まれない、
ことを特徴とするセメント汚泥水の処理方法。
【請求項3】
前記のポルトランドセメントは、普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩の各種ポルトランドセメントのいずれかの一種またはいずれかのセメントを選択しての混合である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のセメント汚泥水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高い含水比率であり、かつコンクリート汚泥などの固形物を含む汚泥水を急速に脱水し、かつ前記汚泥中に存する固形物を固化させ、水と固形物に分離するいわゆる高含水比濃縮汚泥の処理などを対象とした重金属被覆固化剤を使用したセメント汚泥水の処理方法に係り、特にフッ素や六価クロムなどの重金属を固形物内に閉じ込め、分離した水の中には前記重金属を滞留させないセメント汚泥水の処理方法に関するものである。
【0002】
すなわち、前記高含水比をなす濃縮汚泥を急速に吸湿脱水分離し、当該濃縮汚泥中に含有する固形物などに重金属を封じ込めて安定した固体として水と分離するのである。
【背景技術】
【0003】
従来、濃縮汚泥中に存する固形物の固化処理法としては、一般にセメント系または石灰系のものを多量に添加し水和反応によって固定する方法が採用されている。
【0004】
概ね処理対象物が無機系成分で構成されている場合には、セメント系のものが選択され、有機系成分で構成されている場合には石灰系のものが選択される。
【0005】
セメント系または石灰系による水分処理は、単なる水分の吸収による自己硬化反応であるので処理対象物中の含水量によって添加量が決められるが、通常30乃至40重量部前後必要とすると言われている。
【0006】
濃縮汚泥の脱水に関する従来のもう一つの処理法としては脱水機を使用する場合があるが、かかる場合は、凝集剤(無機系または有機系)の添加量が多量に必要となるばかりか、脱水が困難になるなどの課題がある。
【0007】
さらに、フッ素や六価クロムなどの重金属が前記汚泥中に混入している場合には、水と固形物に分離するのみならず、水の中に重金属を土壌環境基準値以上に滞留させないことが重要な処理方法となる。
【0008】
なぜなら、重金属が混入した水はそのまま下水道に流すことができないなど、安易に処分することができないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−165920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来の課題に対処すべく創案されたものであって、汚泥中の汚泥水と固形物とを速やかに分離させ、固形物内に重金属を閉じ込めて該固形物をスムーズに固化させることができる。
【0011】
しかも重金属を内部に封入して安定した形での固形物固化が達成でき、もって分離水の浄化をも高効率に行えるセメント汚泥水の処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるセメント汚泥水の処理方法は、
ペーパースラッジが28乃至68重量部、可溶性無水石膏が10乃至50重量部、硫酸バンドが3乃至43重量部、消石灰が8乃至48重量部、ソーダ灰が0.4乃至28重量部、ポルトランドセメントが0.3乃至26重量部、中性からアルカリ性を示す汚泥水の分離処理に優れるアニオン系高分子ポリマーが0.1乃至11重量部、チオ硫酸ソーダが0.15乃至23重量部、硫酸第1鉄が0.1乃至22重量部、シリカが0.05乃至21重量部を含んで配合構成された重金属被覆固化剤を使用しての工場あるいは建設現場から排出されるセメント汚泥水の処理方法であり、
前記セメント汚泥水内にセメント泥の固形物が30%ないし20%含まれているとき、前記セメント汚泥水内に前記構成からなる重金属被覆固化剤を前記セメント泥の固形物の重量の1割程度を投与して攪拌し、セメント汚泥水を水と固形物とに分離し、該固形物は、内部に重金属を閉じこめて、含水率80%程度の手で持てる程度に固まり、前記分離した水には、前記重金属が含まれない、
ことを特徴とし、
または、
ペーパースラッジが178乃至218重量部、可溶性無水石膏が10乃至50重量部、硫酸バンドが3乃至43重量部、消石灰が8乃至48重量部、ソーダ灰が0.4乃至28重量部、ポルトランドセメントが0.3乃至26重量部、中性からアルカリ性を示す汚泥水の分離処理に優れるアニオン系高分子ポリマーが0.1乃至11重量部、チオ硫酸ソーダが0.15乃至23重量部、硫酸第1鉄が0.1乃至22重量部、シリカが0.05乃至21重量部を含んで配合構成された重金属被覆固化剤を使用しての工場あるいは生コン車から排出されるセメントを含んだ濁水の処理方法であり、
前記セメントを含んだ濁水内にセメントの固形物が5%ないし7%含まれているとき、前記セメントを含んだ濁水に、該セメントの固形物の1割程度の重量の前記重金属被覆固化剤を投与して攪拌し、セメントを含んだ濁水を水と固形物とに分離し、該固形物は、内部に重金属を閉じこめて、含水率80%程度の手で持てる程度に固まり、前記分離した水には、前記重金属が含まれない、
ことを特徴とし、
または、
前記のポルトランドセメントは、普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩の各種ポルトランドセメントのいずれかの一種またはいずれかのセメントを選択しての混合である、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるセメント汚泥水の処理方法によれば、汚泥中の汚泥水と固形物とを速やかに分離させ、固形物内に重金属を閉じ込めて該固形物をスムーズに固化させることができる。しかも重金属を内部に封入して安定した形での固形物固化が達成でき、もって分離水の浄化をも高効率に行えるとの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
【実施例1】
【0015】
本実施例による固化剤の生成に際しては、まず、ペーパースラッジが28乃至68重量部、配合される。
【0016】
このペーパースラッジ(paper sludge)は、例えば、製紙工程で排出される廃棄物であり、セルロースを含む繊維物が主成分であり、最近ではこれを焼却してできる炭化物(PSC)が更なる有効資源として注目されている。
【0017】
そして、炭化させたペーパースラッジ灰(PSC)は、表面が多孔質になっていて、そのため、消臭剤・化学物質吸着材など多岐にわたる用途が期待されており、本発明ではこのペーパースラッジを28乃至68重量部、配合するものとする。
【0018】
次に、無水石膏が10乃至50重量部、配合される。無水石膏とは、結晶水を持たない硫酸カルシウムで、可溶性無水石膏(III型無水石膏)と不溶性無水石膏(II型無水石膏)がある。半水石膏を加熱(180℃〜190℃)して得られる可溶性無水石膏は、空気中の水分を吸着して半水石膏に戻る。一方、不溶性無水石膏は天然に存在するが、二水石膏を300℃〜700℃で焼成することでも得られる。不溶性無水石膏は水を加えても容易に水和反応しないが、凝結促進剤を加えて硬化させることができる。本発明では、可性無水石膏が用いられるものとなる。
【0019】
また、硫酸バンドが3乃至43重量部、配合される。当該硫酸バンドは、本発明において汚泥水中の浮遊物を沈降させるために用いられる。
【0020】
次に、消石灰が8乃至48重量部、配合される。消石灰の原料は石灰石であり、該石灰石は粉砕・焼成・加水(消化)等の工程を経る事で、炭酸カルシウム(炭カル)、生石灰、消石灰と名前を変え、使用方法も変わる。生石灰に加水して消化、熟成させたものが消石灰となる。
【0021】
CaO(酸化カルシウム)+H2O(水)→Ca(OH)2(水酸化カルシウム)
形状は白色の微粉体で、粒径は150μm以下が主体となる。かさ比重は0.4〜0.55程度、難溶解性であるが、スラリーにすると強いアルカリ性を示す。
【0022】
飲料水のpHは5.8〜8.6と規定されている為、原水の酸性度が高い場合に消石灰の強いアルカリ性を利用してpH調整(中和)目的に凝集池や沈殿池に注入される場合がある。但し、消石灰は粉体を溶解する手間がかかりハンドリングの悪さから原水のpH調整用途で使用されている現場は少なくなっている。むしろ赤水防止及び配管内壁に被膜を作る目的で配水池に消石灰を注入する事例が増えている。また、家庭から出た排水は下水処理場で処理されるが、反応槽で微生物により分解された汚泥を凝集沈殿させる際に、消石灰は、他の無機凝集剤等と併せて使用される。又、脱臭・殺菌目的で注入する場合もある。
【0023】
さらに、ゴミ焼却場等の排ガス中のSOxやHCl除去用途で消石灰が使用されており、またバグフィルターで回収した飛灰から砒素等の不純物が溶出するのを防止する目的で灰加湿器に粉末消石灰を供給する用途もある。ごみ固形燃料(RDF)成型用途では、殺菌作用を利用して微生物による発酵を抑える為に消石灰を混合する。
【0024】
その他、製糖工場で砂糖を精製する際に、高濃度の砂糖水溶液に消石灰を加え二酸化炭素(CO2)を吹き込み、炭酸カルシウム(CaCO3)を生成し、不純物を吸着して沈殿除去するのに使用されている。この様に、活躍の場面は多岐に渡り、本発明の固化剤においても汚泥水の存する固形物を凝集沈殿させるに際し重要な役目を果たしている。
【0025】
次に、ソーダ灰が0.4乃至28重量部、配合される。ソーダ灰とは炭酸ナトリウムであり、当該ソーダ灰はガラス原料、石けん、洗剤、無機化学向け原料あるいは食品添加物用途など幅広い分野で利用される。本発明では、主に、水処理助剤として使用される。
【0026】
また、ポルトランドセメントが0.3乃至26重量部、配合される。
【0027】
一般に「セメント」とは「ポルトランドセメント」を指標し、特に普通ポルトランドセメントを指している。これは、普通ポルトランドセメントの用途範囲が非常に広く、「オールラウンドなセメント」と指標されるからである。
【0028】
しかしながら、本発明においてポルトランドセメントには、普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩の各種ポルトランドセメントのいずれかの一種またはいずれかのセメントを選択して混合されたものを指標する。
【0029】
次に、高分子ポリマーが0.1乃至11重量部、配合される。高分子ポリマーは、少ない使用量であっても優れた凝集効果を発揮する。またPH値により効果の変化があり、中性からアルカリ性を示す汚泥水の分離処理に優れている。ここで高分子ポリマーとしてはアニオン系高分子ポリマーが好ましい。
【0030】
次に、チオ硫酸ソーダが0.15乃至23重量部、配合される。チオ硫酸ソーダとは別名チオ硫酸ナトリウムとも称され、水処理助剤として使用される。
【0031】
次に、硫酸第1鉄が0.1乃至22重量部、配合される。硫酸第一鉄は、酸化第二鉄・紺青等の顔料・屎尿処理・産業廃水(ヘドロ等)の中和・凝集沈降剤・土壌改良剤などの多用途に対応する。脱硫及び脱臭効果に関し、本品は硫化水素・アンモニアを同時吸着する効果が優れており、屎尿並びに下水処理・鶏糞乾燥時の脱臭、魚腸骨処理工場の脱臭等と悪臭公害防止に最適とおいわれている。本発明において沈殿促進剤として機能するものとなる。
【0032】
次に、シリカが0.05乃至21重量部を含んで配合される。クロロシラン類・珪酸ナトリウムなどから生産される二酸化珪素(SiO2)である。本発明において水処理助剤として使用される。
【0033】
次に、図1を参照して本実施例の具体例を説明する。
【0034】
本実施例では、ペーパースラッジを60g、無水石膏を20g、硫酸バンドを13g、消石灰を5g、ソーダ灰を10g、ポルトランドセメントを15g、高分子ポリマーを2g、チオ硫酸ソーダを5g、硫酸第1鉄を5g、シリカを15g配合し、本発明による固化剤150gを生成した。
【0035】
そして、当該固化剤を例えば工場などあるいは建設現場などから排出されるセメント汚泥水について、水と固形物との分離に使用した。例えば、前記セメント汚泥水中にセメント泥などの固形物が30%乃至20%程度含まれているとき、本固化剤をその固形物の1割程度、すなわち3%乃至2%の固化剤を投入する。
【0036】
そして、所定時間攪拌すると、水と固形物に分離した。該固形物は含水率80%程度の固形物であり、充分に手で持てる程度に固まるものとなった。そしてその固形物内には六価クロムなどの重金属を閉じ込めることができた。よって分離した水には前記重金属は土壌環境基準値以上は排出されてはいないものであった。
【実施例2】
【0037】
次に図2を参照して本発明の第2実施例につき説明する。
第2実施例では、本発明による固化剤の生成に際しては、まず、ペーパースラッジを210g、無水石膏を20g、硫酸バンドを13g、消石灰を5g、ソーダ灰を10g、ポルトランドセメントを15g、高分子ポリマーを2g、チオ硫酸ソーダを5g、硫酸第1鉄を5g、シリカを15g配合し、本発明による固化剤300gを生成した。
【0038】
そして、当該固化剤を例えば工場あるいは生コン車などから排出される生コンの残渣、すなわちセメントを含んだ濁水について、水と固形物との分離に使用した。例えば、前記生コンの残渣であるセメントを含んだ濁水中にセメントなどの固形物が5%乃至7%程度含まれているとき、本固化剤をその固形物の1割弱程度、すなわち例えば、0.25%乃至0.35%の固化剤を投入する。
【0039】
そして、所定時間攪拌すると、水と固形物に分離した。該固形物は含水率80%程度の固形物であり、充分に手で持てる程度に固まるものとなった。そしてその固形物内には六価クロムなどの重金属を閉じ込めることができた。よって分離した水には前記重金属は土壌環境基準値以上は排出されてはいないものであった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の実施例を説明する説明図である(1)。
図2】本発明の実施例を説明する説明図である(2)。
図1
図2