(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202569
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20170914BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【請求項の数】4
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-240693(P2013-240693)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-102570(P2015-102570A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】391014055
【氏名又は名称】カンタツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】米澤 友浩
【審査官】
堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−011710(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0114151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子上に被写体の像を結像する撮像レンズであって、物体側から像面側に向かって順に、開口絞りと、物体側と像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、物体側と像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する両面が非球面の第5レンズとから成り、以下の条件式(1)、および(2)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(1) 1.5<f3/f<5.0
(2)−42.0<f4/f<−8.0
ただし、
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
f4:第4レンズの焦点距離
【請求項2】
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(3)−8.5<f5/f<−2.0
ただし、
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f5:第5レンズの焦点距離
【請求項3】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする、請求項1に記載の撮像レンズ。
(4) 0.8<TLA/f<1.2
ただし、
TLA:フィルタ類を取り外した際の第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離(光学全長)
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式(5)、(6)を満足することを特徴とする、請求項1に記載の撮像レンズ。
(5) 0<r4/r5<0.3
(6) 0<r7/r6<0.5
ただし、
r4:第2レンズの像面側の面の曲率半径
r5:第3レンズの物体側の面の曲率半径
r6:第3レンズの像面側の面の曲率半径
r7:第4レンズの物体側の面の曲率半径
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の撮像装置に使用されるCCDセンサやC-MOSセンサの固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズに関し、特に、小型化、低背化が進むスマートフォンや携帯電話機およびPDA(Personal Digital Assistant)やゲーム機、PCなどの情報端末機器、更にはカメラ機能が付加された家電製品等に搭載される撮像装置に内蔵する撮像レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの情報端末機器にカメラ機能が搭載されることが一般的になった。また、カメラ付きの家電製品も登場するようになり、例えばスマートフォンと家電製品とを通信させることで、外出先からでも製品に搭載したカメラを通して自宅の様子をタイムリーに見ることも可能になった。このような、情報端末機器や家電製品にカメラ機能を融合させ、消費者の利便性を高めた商品開発は今後も益々発展していくものと考えられる。また、搭載するカメラの性能は、高画素化に対応した高い解像力を備えることはもちろんのこと、小型で、低背であり、明るいレンズ系であることに加えて、広い画角に対応することも求められる。なかでも、携帯端末機器への搭載に対しては、機器の薄型化に適用可能なように低背化された撮像レンズの要求が強い。
【0003】
しかしながら、低背、広画角、さらに明るい撮像レンズを得るには、画面周辺部における収差補正が困難であり、画面全体にわたって良好な結像性能を確保することには課題があった。
【0004】
従来、小型で高解像力を備えた撮像レンズとして、例えば、以下の特許文献1、2のような撮像レンズが知られている。
【0005】
特許文献1には、物体側より順に、正の第1レンズと、正の第2レンズと、負の第3レンズ、正の第4レンズ、負の第5レンズからなり、小型でF2程度の明るさを有し、諸収差が良好に補正された5枚構成の撮像レンズが開示されている。
【0006】
特許文献2には、物体側に凸状の第1レンズを含む第1レンズ群、結像側に凹状の第2レンズを含む第2レンズ群、物体側に凹状のメニスカス形状の第3レンズを含む第3レンズ群、物体側に凹状のメニスカス形状の第4レンズを含む第4レンズ群、及び物体側に変曲点を有する非球面が配されたメニスカス形状の第5レンズを含む第5レンズ群を備え、撮像レンズ系の大型化を抑制する態様にて撮像レンズ系に対して高解像力を具備させることを目的とした撮像レンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−026434号公報
【特許文献2】特開2011−085733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載の撮像レンズは、5枚構成として諸収差を良好に補正しつつ、F値は2.0から2.5程度の明るいレンズ系を実現しているが、撮像素子の有効撮像面の対角線の長さよりも光学全長の方が長く、低背化に不利な構成になっている。また、この構成で広角化に対応するには周辺部の収差補正に課題がある。
【0009】
上記特許文献2に記載の撮像レンズは、比較的低背で良好に収差が補正されたレンズ系が開示されている。しかし、F2.8以下の明るさと、65°以上の画角に適応させるためには、やはり周辺部の収差補正に課題が残る。
【0010】
このように、従来の技術においては、低背化と広角化に対応し、且つ明るく、高解像度の撮像レンズを得ることは困難であった。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低背化の要求に十分応え、F2.5以下の明るさと、広い画角に対応しながらも、諸収差が良好に補正された小型の撮像レンズを低コストで提供することにある。
【0012】
なお、ここでいう低背とは、光学全長が撮像素子の有効撮像面の対角線の長さよりも短いレベルを指しており、広角とは全画角で70°以上のレベルを指している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、開口絞りと、物体側と像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、物体側と像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する両面が非球面の第5レンズとから成り、以下の条件式(1)
、および(2)を満足するよう構成した。
(1) 1.5<f3/f<5.0
(2)−42.0<f4/f<−8.0
ただし、
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
f4:第4レンズの焦点距離
【0014】
上記構成の撮像レンズは、いわゆるテレフォトタイプに近づけるため、像面側に近い2枚のレンズ、すなわち第4レンズと第5レンズに負の屈折力を持たせている。低背化と広角化を目指す場合、全系の焦点距離を短く抑えるために、通常は最も物体側に位置する第1レンズの正の屈折力を強く設定することになる。しかし、第1レンズのみに強い正の屈折力を持たせる場合は、第1レンズで発生する高次の球面収差や非点収差の増大を誘発し、その補正が困難になる問題が生じやすい。本発明では、この問題を正の屈折力を有するレンズを第3レンズとして配置し、撮像レンズ全系で必要な正の屈折力を第1レンズと第3レンズとで分配することにより解決を図っている。また、第1レンズおよび第3レンズは、物体側および像面側ともに凸面とした両凸形状とすることで、双方の面に正の屈折力を分配できるため、収差の発生を抑えることが容易な形状になっている。また、色収差は負の屈折力を有する第2レンズによって良好に補正される。
【0015】
条件式(1)は第3レンズの焦点距離と全系の焦点距離との関係を適切な範囲に規定し、低背化を図りながら、球面収差および非点収差を良好に補正するための条件である。条件式(1)の上限値を上回る場合、第3レンズの正の屈折力が弱くなり過ぎ、光学全長の短縮が困難になるとともに、第1レンズの正の屈折力を強める必要が生じることから、収差補正が困難になる。一方、条件式(1)の下限値を下回る場合、第3レンズの屈折力が強くなり過ぎ、光学全長の短縮や第1レンズで発生する収差抑制には効果があるが、第3レンズで発生する球面収差、非点収差が増加する傾向になるため好ましくない。
【0016】
条件式(1)については、以下の条件式(1a)がより好適な範囲である。
(1a) 1.8<f3/f<4.2
【0017】
条件式(2)は、第4レンズの焦点距離と全系の焦点距離との関係を適切な範囲に規定し、光学全長とバックフォーカスとの比を良好な範囲に調整するための条件である。条件式(2)の上限値を上回る場合、第4レンズの負の屈折力が強くなり過ぎ、バックフォーカスの確保には有利になるが、光学全長の短縮に不利になる。一方、条件式(2)の下限値を下回る場合、第4レンズの負の屈折力が弱くなり過ぎ、光学全長の短縮には有利になるが、バックフォーカスの確保が困難になる。条件式(2)が示す通り、第4レンズは撮像レンズ全系の屈折力に対して、弱い屈折力に設定しており、光学全長とバックフォーカスとの関係の最適化が容易になる。さらに両面に非球面を形成すれば軸外の収差補正を効果的に行う事ができる。
【0019】
条件式(2)については、以下の条件式(2a)がより好適な範囲である。
(2a)−38.0<f4/f<−10.0
【0020】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)−8.5<f5/f<−2.0
ただし、
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f5:第5レンズの焦点距離
【0021】
条件式(3)は、第5レンズの焦点距離と全系の焦点距離との関係を適切な範囲に規定し、第4レンズと共に光学全長とバックフォーカスとの比を適切に調整し、またテレフォト比を適切に調整するための条件である。条件式(3)の上限値を上回る場合、第5レンズの負の屈折力が強くなり過ぎ、バックフォーカスの確保やテレフォト比を小さく抑えるには有利になるが、光学全長の短縮に不利になる。一方、条件式(3)の下限値を下回ると、第5レンズの負の屈折力が弱くなり過ぎ、光学全長の短縮には有利になるが、バックフォーカスの確保やテレフォト比を小さく抑えることが困難になる。
【0022】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4) 0.8<TLA/f<1.2
ただし、
TLA:フィルタ類を取り外した際の第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離(光学全長)
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【0023】
条件式(4)は、光学全長と焦点距離の比、すなわちテレフォト比を適切な範囲に規定するものである。撮像レンズのテレフォト比を条件式(4)の範囲内に規定することで、収差補正が容易な構成にし、且つ低背な撮像レンズを得ることができる。
【0024】
本発明の撮像レンズは、以下の条件式(5)、(6)を満足することが望ましい。
(5) 0<r4/r5<0.3
(6) 0<r7/r6<0.5
ただし、
r4:第2レンズの像面側の面の曲率半径
r5:第3レンズの物体側の面の曲率半径
r6:第3レンズの像面側の面の曲率半径
r7:第4レンズの物体側の面の曲率半径
【0025】
条件式(5)は、第2レンズの像面側の面と第3レンズの物体側との面、条件式(6)は、第3レンズの像面側の面と第4レンズの物体側の面とで構成される、いわゆる空気レンズの形状を、それぞれ適切な形状に規定するものである。条件式(5)および条件式(6)の範囲を満足することによって、第3レンズおよび第4レンズで発生する高次収差の発生を抑えた状態で、像面側に配置されるレンズ面に像を伝搬することが容易になる。
【0026】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第5レンズは光軸近傍において、像面側に凹面を向けたメニスカス形状であり、両面に形成された非球面上にそれぞれ変極点を有していることが望ましい。変極点を持たせることによって、第5レンズの周辺部の屈折力は、光軸から離れるに従って、負が次第に弱まり正に変化する。従って、像面湾曲の補正効果を得ながら、撮像素子へ入射する光線の角度を制御しやすくなる。なお、ここでいう変極点とは、接平面が光軸に垂直に交わる非球面上の点を意味する。
【0027】
また、第5レンズ以外のレンズに対し、必要に応じて適切な面に適切な非球面を形成することで収差を良好に補正でき、結像性能を向上させることが可能である。
【0028】
さらに、本発明の撮像レンズは、すべてのレンズをプラスチック材料で構成することで大量生産が可能となり、低コストでの提供が可能になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、低背化の要求に十分応え、F2.5以下の明るさと、広い画角に対応しながらも、諸収差が良好に補正された小型の撮像レンズを低コストで得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施例1の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図2】実施例1の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図3】実施例2の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図4】実施例2の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図5】実施例3の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図6】実施例3の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図7】実施例4の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図8】実施例4の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図9】実施例5の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図10】実施例5の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図11】実施例6の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図12】実施例6の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図13】実施例7の撮像レンズの概略構成を示す図である。
【
図14】実施例7の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1、
図3、
図5、
図7、
図9、
図11、及び
図13はそれぞれ、本実施形態の実施例1から7に係る撮像レンズの概略構成図を示している。いずれも基本的なレンズ構成は同様であるため、ここでは実施例1の概略構成図を参照しながら、本実施形態の撮像レンズ構成について説明する。
【0032】
図1に示すように、本実施形態に係る撮像レンズは、物体側から撮像面IMG側に向かって順に、開口絞りSTと、物体側と像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第1レンズL1と、負の屈折力を有する第2レンズL2と、物体側と像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3レンズL3と、負の屈折力を有する第4レンズL4と、負の屈折力を有する両面が非球面の第5レンズL5とから構成されている。第2レンズL2は像面側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズであり、第4レンズL4は物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズであり、第5レンズL5は光軸X近傍で像面側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズで構成されている。第5レンズL5と撮像面IMGとの間にはフィルタIRが配置されている。このフィルタIRは省略することも可能である。本発明の実施形態に係る光軸X上の距離についてはフィルタIRを省略した際の距離として定義する。
【0033】
本実施形態の撮像レンズは、いわゆるテレフォトタイプに近づけるため、像面側に近い2枚のレンズ、すなわち第4レンズL4と第5レンズL5を負の屈折力にしている。この場合、撮像レンズ全系の焦点距離を短く抑えるには、第1レンズL1の正の屈折力を強く設定するのが単純な方法だが、その場合、第1レンズL1で発生する高次の球面収差や非点収差の増大が避けられない。本実施形態では、正の屈折力を有するレンズを第3レンズL3として第2レンズL2の像面側に配置し、撮像レンズ全系で必要な正の屈折力を第1レンズL1と第3レンズL3とに適切に配分する構成にしている。その結果、第1レンズL1の屈折力を適切なものとし、収差の過剰な発生を抑制する。また、第1レンズL1および第3レンズL3は、物体側および像面側の面をともに凸面とした両凸形状とすることによって、双方の面で正の屈折力を分配し、それぞれの面で発生する収差を小さく抑えられる形状になっている。また、負の屈折力の第2レンズL2は色収差の良好な補正を担っている。
【0034】
また、本実施形態の撮像レンズは、以下の条件式(1)から(6)を満足するよう構成されている。
(1) 1.5<f3/f<5.0
(2)−42.0<f4/f<−8.0
(3)−8.5<f5/f<−2.0
(4) 0.8<TLA/f<1.2
(5) 0<r4/r5<0.3
(6) 0<r7/r6<0.5
ただし、
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f4:第4レンズL4の焦点距離
f5:第5レンズL5の焦点距離
r4:第2レンズL2の像面側の面の曲率半径
r5:第3レンズL3の物体側の面の曲率半径
r6:第3レンズL3の像面側の面の曲率半径
r7:第4レンズL4の物体側の面の曲率半径
TLA:フィルタIR類を取り外した際の、第1レンズL1の物体側の面から撮像面IMGまでの光軸X上の距離(光学全長)
【0035】
条件式(1)から(3)は第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、それぞれの焦点距離と全系の焦点距離との関係を適切な範囲に規定するものであり、本実施形態の撮像レンズはこれらの条件式を満足することで、低背化とともに、諸収差が良好に補正された撮像レンズを実現している。
【0036】
また、条件式(4)は、本実施形態において、収差補正が良好に行えるテレフォト比の具体的な数値範囲を示しており、本実施形態の撮像レンズはこの数値範囲の中で構成されている。
【0037】
条件式(5)及び(6)は、第2レンズL2と第3レンズL3との間、及び第3レンズL3と第4レンズL4との間で形成される空間の、いわゆる空気レンズの形状を適切な範囲に規定するものであり、これらの条件式を満足することによって、本実施形態の撮像レンズは、第3レンズL3と第4レンズL4で発生する高次の収差を良好に補正し、広角化、及び低F値であっても良好な解像性能が得られている。
【0038】
また、本実施形態の撮像レンズにおいて、第5レンズL5の両面は、それぞれ光軸X上以外の位置に変極点を有する非球面に形成している。変極点を持たせることによって、第5レンズL5の周辺部の屈折力は、光軸Xから離れるに従って、負が次第に弱まり正に変化する。従って、像面湾曲の補正効果を得ながら、撮像面IMGへ入射する光線の角度を制御しやすくなっている。
【0039】
また、本実施形態の撮像レンズに採用したレンズの材料は、大量生産が可能なプラスチック材料としており、低コストで提供することを可能にしている。なお、第1レンズL1を低分散の材料とし、第2レンズL2を高分散な材料として、それぞれのd線に対するアッベ数の差、すなわちνd1−νd2が20以上の値となるよう構成することで色収差の補正を良好に行っている。
【0040】
本実施形態では、すべてのレンズ面を非球面で形成している。これらのレンズ面に採用する非球面形状は光軸方向の軸をZ、光軸に直交する方向の高さをH、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16としたとき数式1により表わされる。
【0042】
次に本実施形態に係る撮像レンズの実施例を示す。各実施例において、fは撮像レンズ全系の焦点距離を、FnoはFナンバーを、ωは半画角を、ihは最大像高を、TLAはフィルタIRを除去した際の光学全長を、bfはフィルタIRを除去した際のバックフォーカスをそれぞれ示す。また、iは物体側から数えた面番号、rは曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、Ndはd線(基準波長)の屈折率、νdはd線に対するアッベ数をそれぞれ示す。なお、非球面に関しては、面番号iの後に*(アスタリスク)の符号を付加して示す。
【実施例1】
【0043】
基本的なレンズデータを以下の表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1の撮像レンズは、以下の表2に示すように条件式(1)から(6)の全てを満たしている。
【0046】
【表2】
【0047】
図2は実施例1の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。球面収差図は、F線(486nm)、d線(588nm)、C線(656nm)の各波長に対する収差量を示している。また、非点収差図にはサジタル像面S、タンジェンシャル像面Tにおけるd線の収差量をそれぞれ示している(
図4、
図6、
図8、
図10、
図12、
図14においても同じ)。
図2に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0048】
また、光学全長TLAは3.30mmであり、5枚構成でありながら低背化が図られている。さらに、全画角で75°程度の広い画角とF2.5以下の明るさを達成している。
【実施例2】
【0049】
基本的なレンズデータを以下の表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
実施例2の撮像レンズは、以下の表4に示すように条件式(1)から(6)の全てを満たしている。
【0052】
【表4】
【0053】
図4は実施例2の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図4に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0054】
また、光学全長TLAは3.31mmであり、5枚構成でありながら低背化が図られている。さらに、全画角で75°程度の広い画角とF2.5以下の明るさを達成している。
【実施例3】
【0055】
基本的なレンズデータを以下の表5に示す。
【0056】
【表5】
【0057】
実施例3の撮像レンズは、以下の表6に示すように条件式(1)から(6)の全てを満たしている。
【0058】
【表6】
【0059】
図6は実施例3の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図6に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0060】
また、光学全長TLAは3.32mmであり、5枚構成でありながら低背化が図られている。さらに、全画角で75°程度の広い画角とF2.5以下の明るさを達成している。
【実施例4】
【0061】
基本的なレンズデータを以下の表7に示す。
【0062】
【表7】
【0063】
実施例4の撮像レンズは、以下の表8に示すように条件式(1)から(6)の全てを満たしている。
【0064】
【表8】
【0065】
図8は実施例4の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図8に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0066】
また、光学全長TLAは3.35mmであり、5枚構成でありながら低背化が図られている。さらに、全画角で75°程度の広い画角とF2.5以下の明るさを達成している。
【実施例5】
【0067】
基本的なレンズデータを以下の表9に示す。
【0068】
【表9】
【0069】
実施例5の撮像レンズは、以下の表10に示すように条件式(1)から(6)の全てを満たしている。
【0070】
【表10】
【0071】
図10は実施例5の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図10に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0072】
また、光学全長TLAは3.36mmであり、5枚構成でありながら低背化が図られている。さらに、全画角で75°程度の広い画角とF2.5以下の明るさを達成している。
【実施例6】
【0073】
基本的なレンズデータを以下の表11に示す。
【0074】
【表11】
【0075】
実施例6の撮像レンズは、以下の表12に示すように条件式(1)から(6)の全てを満たしている。
【0076】
【表12】
【0077】
図12は実施例6の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図12に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0078】
また、光学全長TLAは3.38mmであり、5枚構成でありながら低背化が図られている。さらに、全画角で75°程度の広い画角とF2.5以下の明るさを達成している。
【実施例7】
【0079】
基本的なレンズデータを以下の表13に示す。
【0080】
【表13】
【0081】
実施例7の撮像レンズは、以下の表14に示すように条件式(1)から(6)の全てを満たしている。
【0082】
【表14】
【0083】
図14は実施例7の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。
図14に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0084】
また、光学全長TLAは3.36mmであり、5枚構成でありながら低背化が図られている。さらに、全画角で75°程度の広い画角とF2.5以下の明るさを達成している。
【0085】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る撮像レンズは、近年益々要求が強まる低背化に対して、5枚という構成枚数を採りながらも、光学全長TLAは3.5mm以下、光学全長TLAと最大像高ihとの比(TLA/2ih)で表せば0.7程度のレベルにまで低背化された撮像レンズを実現するとともに、全画角で75°程度の広い画角とF2.5以下の明るさに対応しながらも諸収差が良好に補正され、且つ低コストの撮像レンズを可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の各実施の形態に係る5枚構成の撮像レンズは、小型化、低背化が進むスマートフォンや携帯電話機およびPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末機器等、ゲーム機やPCなどの情報端末機器等、更にはカメラ機能が付加された家電製品等に搭載される撮像装置に内蔵する光学系に適用した場合、当該装置の小型化への寄与とともにカメラの高性能化を図ることができる。
【符号の説明】
【0087】
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
IR フィルタ
IMG 撮像面
ih 最大像高