(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の配列パターンに対応した通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスクであって、
前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)と、前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に設けられた突起部(15)とを備え、
前記突起部(15)が前記パターン領域間に形成されており、
前記パターン領域間にピッチ調整部(50)を構成する凹部(52)または蛇腹状部(53)を設け磁力の作用を弱めることを特徴とする配列用マスク。
前記突起部(15)が前記パターン領域を囲むように前記パターン領域ごとに形成されており、前記ピッチ調整部(50)は、前記パターン領域間、且つ前記突起部(15)間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の配列用マスク。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(配列用マスクの概要)
図1乃至
図3に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクを示す。この配列用マスク(以下、単にマスクと記す)1は、半田バンプ形成における半田ボール2の配列工程において使用に供されるものである。
図2における符号3は、マスク1による半田ボール2の搭載対象となるワークを示す。このワーク3にはウエハや基板があるが、例えば、ガラスエポキシ基板のベース4に複数個の半導体チップ5を搭載し、ワイヤボンドで配線した後トランスファモールド封止してなるものであり、半導体チップ5を囲むように、ワーク3の上面には、入出力端子である電極6が所定のパターンで形成されている。なお、ワーク3は、バンプの形成後に個片に切断され、個々のLSIチップとされる。
【0012】
図1に示すように、マスク1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、銅やその他の金属を素材として形成されたマスク本体10から成り、このマスク本体10にはこれを囲むように枠体11を装着できる。マスク本体10の盤面中央部には、各半導体チップ5に対応して、半田ボール2を投入するための多数独立の通孔12からなるパターン領域が多数形成されている。通孔12は、
図2に示すように、ワーク3上における各半導体チップ5の電極6の配列位置に対応した配列パターンとなっている。半田ボール2は、50μm以下の半径寸法を有するものであり、これに合わせて各通孔12は、当該ボール2の半径寸法よりも僅かに大きな内径寸法を有する平面視で円形状に形成されている。
【0013】
マスク本体10には、補強用の枠体11を装着することができる。この枠体11は、アルミ、42アロイ、インバー材、SUS430等の材質からなる平板体であり、その盤面中央に、マスク本体10に対応する一つの四角形状の開口を備えており、一枚のマスク本体10を一枚の枠体11で保持している。枠体11は、マスク本体10よりも肉厚の成形品であり、マスク本体10の外周縁と不離一体的に接合される。この枠体11の厚み寸法は、例えば、0.05〜1.0mm程度とし、ここでは、0.5mmに設定した。また、マスク本体10の厚みは、10μm以上が好ましく、ここでは、200μmに設定した。
【0014】
マスク本体10(マスク1)の下面側、すなわちワーク3との対向面側には、下方向に突出状の突起部15を設けることができる。詳しくは、
図2及び
図4に示すように、パターン領域の外周(パターン領域間)にこのパターン領域を囲むように桟状の突起部15aを設けることができる。また、
図3に示すように、パターン領域内の通孔12が形成されていない位置に突起部15bを設けることができる。係る突起部15を設けていれば、配列作業時において、ワーク3の上面に当接してマスク本体10とワーク3との対向間隙を確保できる。各々の突起部15、特に突起部15bにおいては、
図2および
図3に示すように、通孔12間であって、マスク本体10の下面から先窄まるように形成されていることが好ましく、円錐台状を呈している。また、突起部15の高さとマスク本体10の厚みとの比が2対1以上とするのが好ましく、上記マスク本体10の厚さが10〜300μmの範囲内において、これを満足することがより好ましい。また、突起部15の先端の径L1と付け根の径L2との比が1対3以上であることが好ましい。さらに言えば、突起部15の先端の径と付け根の径と通孔12間の幅との比が1対3対3以上であることが好ましい。また、この突起部15は、アスペクト比(突起部15の高さと先端径との比)が大きいものが好ましく、アスペクト比3としている。なお、
図2、
図3、
図4に示すように、隣り合うパターン領域間にはパターン領域を囲むようにして突起部15aを設けて、マスク1をワーク3に載置した時に当接するようにしているが、
図15に示すように、隣り合うパターン領域間全体が突起部15aとした形態であっても良いし、
図16に示すように、突起部15aを設けない形態であっても良い。また、
図4、
図15、
図16において、符号15で図示しているのは、突起部15の下端面であり、突起部15の付け根は図示していない。
【0015】
ここで、図面に記載のマスクは、実際のマスクの様子を示したものではなく、それを模式的に示している。さらに言うと、
図1等における通孔12の開口寸法やマスク本体10等の厚み寸法等は、図面作成の便宜上、そのような寸法に示したものである。
【0016】
マスク1を用いた半田ボール2の配列作業は、以下のような手順で行われる。なお、この配列作業は、専用の配列装置(特許文献1の
図1、
図5等を参照)によって行われる。まず、ワーク3の電極6上にフラックス17(
図2参照)を印刷塗布する。次に、通孔12と電極6とが一致するように、ワーク3上にマスク1を位置合わせしたうえで、マスク1を固定する。かかる位置合わせ作業は、実際にはワーク3とマスク本体10の外周縁、もしくはマスク本体10に形成したアライメントマーク(不図示)と位置合わせすることで行われる。位置合わせ作業が終了すると、ワーク3の下方に配置した磁石(不図示)の磁力を作用させ、かかる固定状態において、突起部15の下端面がワーク3の表面に当接することで、マスク本体10は、
図2及び
図3に示すようなワーク3との対向間隙が確保された離間姿勢に姿勢保持される。ワーク3の表面が僅かにうねっている場合にも、突起部15の下端面をワーク3の表面に当接させて、該ワーク3の表面のうねりに合わせて、マスク本体10を不離一体的に固定することができる。
【0017】
次に、マスク1上に多数個の半田ボール2を供給し、スキージブラシを用いてマスク1上で半田ボール2を分散させて、通孔12内に一つずつ半田ボール2を投入する。これにて、半田ボール2はフラックス17に仮止め状に粘着保持される。かかるスキージブラシを用いた半田ボール2の投入作業において、スキージブラシ圧がマスク1に大きくかかったとしても突起部15によってマスク1が撓むことを防止でき、投入作業を作業効率良くスムーズに進めることができる。
【0018】
係る構成のマスク1によれば、マスク本体10とワーク3との対向間隙を形成する突起部15を備えているので、突起部15によってワーク3との対向間隙を確実に確保でき、通孔12内への半田ボール2の投入作業を効率的に漏れなく進めることが可能となる。
【0019】
また、マスク本体10の外周縁に、補強用の枠体11を設けることができ、マスク本体10がそれ自体に内方に収縮する方向の応力が作用するようなテンションを加えた状態で形成すれば、周囲温度の変化に伴うマスク本体10の膨張分を、当該収縮方向へのテンションで吸収できる。これにて、ワーク3に対するマスク本体10の位置ズレの発生を防ぐことができる。また、マスク本体10の全体に均一なテンションを与えることができるので、ワーク3に対して半田ボール2を位置精度良く搭載させることができる。
【0020】
次に、係る構成の配列用マスク1の製造方法を
図5及び
図6に示す。まず、例えば、導電性を有するステンレス製や真ちゅう鋼製の母型30の表面にフォトレジスト層31を形成する。このフォトレジスト層31は、ネガタイプの感光性ドライフォトレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。ついで、
図5(a)に示すごとく、フォトレジスト層31の上に、突起部15に対応する透光孔32aを有するパターンフィルム(ガラスマスク)32を密着させたのち、紫外光ランプ33で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、
図5(b)に示すように、先窄まり状の突起部15に対応するレジスト体34aを有する一次パターンレジスト34を母型30上に形成した。この時、紫外線が透過しにくいフォトレジストを用いたり、露光量を弱めたりして、レジスト体34aにテーパが付いたものが好ましい。
【0021】
続いて、上記母型30を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、
図5(c)に示すごとく、先のレジスト体34aの高さの範囲内で、母型30のレジスト体34aで覆われていない表面にニッケルや銅等の電着金属を電鋳して、一次電鋳層35を形成した。ここでは、母型30の略全面にわたって、一次電鋳層35を形成した(第一の電鋳工程)。次に、
図5(d)に示すごとく、一次パターンレジスト34を除去する。ここで、一次電鋳層35の表面に研磨処理を施しておくと良い。
【0022】
次いで、
図6(a)に示すごとく、一次電鋳層35および母型30の表面の全体に、フォトレジスト層36を形成したうえで、当該フォトレジスト層36の表面に、前記通孔12に対応する透光孔37aを有するパターンフィルム(ガラスマスク)37を密着させたのち、紫外光ランプ33で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、
図6(b)に示すように、マスク本体10に対応するレジスト体38aを有する二次パターンレジスト38を一次電鋳層35の表面に形成した。
【0023】
続いて、所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、
図6(c)に示すごとく、先のレジスト体38aの高さの範囲内で、母型30及びのレジスト体38aで覆われていない一次電鋳層35の表面にニッケルや銅等の電着金属を電鋳して、二次電鋳層39を形成した(第二の電鋳工程)。次に、二次パターンレジスト38を溶解除去したうえで、母型30及び一次電鋳層35から二次電鋳層39を剥離することにより、
図6(d)および
図2に示すようなマスク1を得た。そして、マスク1に枠体11を装着すれば、
図1に示すような配列用マスク1が得られる。
【0024】
二次電鋳層39、つまりマスク1は、それ自体に内方に収縮する方向の応力が作用するようなテンションを加えた状態で、枠体11に保持することが可能である。かかる応力の付与は、例えば、枠体11とマスク1との熱膨張係数の差を利用して、高温環境下でマスク1の外周縁に枠体11の装着作業を行い、常温時ではマスク1を内方側に収縮させることで実現できる。
【0025】
以上のようなマスク1の製造方法によれば、電鋳法により高精度に配列用マスクを作製することができるので、半田ボール2を位置精度良くワーク3上に搭載させることができる。突起部15を有するマスク1を一回の電鋳作業(第二の電鋳工程)により不離一体に形成するようにすれば、突起部15を後付けする形態に比べて、該突起部15の破損などの不都合が生じるおそれが少なく、信頼性に優れたマスク1を高精度に得ることができる点でも優れている。また、突起部15をマスク本体10の下面に近づくにつれて大きくなるよう先窄まり状に形成すれば、突起部15の特に付け根(根元)に応力が集中することが回避されるため、突起部15の強度をしっかりと補強できつつ、突起部15をフラックス17が塗布された電極6から離間した状態で電極6間に当接できるので、電極6に塗布されたフラックス17がマスク本体10に付着することによる半田ボール2の搭載不良を防止することができる。この時、突起部15の先端の径と付け根の径との比を1対3以上とすること、突起部15のアスペクト比を3以上とすることでより効果的となる。
【0026】
また、レジストパターンを調整することによって所望のアスペクト比を有する突起部15が容易に得られる。なお、係る構成のマスク1において、通孔12及び突起部15の形状はストレート状としてもテーパ状としても良い。ここで、通孔12や突起部15をテーパ状とする場合について具体的に説明すると、通孔12においては、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先窄まり状のテーパが設けられていることで、半田ボール2を通孔12内に誘い込みやすくなり、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先拡がり状のテーパが設けられていることで、マスク本体10のワーク3との対向面側における通孔12周縁にフラックスが付着されることを防止できる。また、突起部15においては、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先窄まり状のテーパが設けられていることで、ワーク3上へのマスクの載置をしっかりとすることができ、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先拡がり状のテーパが設けられていることで、ワーク3の電極6が狭ピッチに配列された場合であっても、突起部15の強度を確保しつつ、ワーク3上への突起部15の当接をしっかりと対応することができる。かかる形状は、フォトレジスト層31・36の感光度や露光条件を変更することによって得られる。
【0027】
また、
図7に示すように、突起部15はマスクの下面に近づくにつれて寸法が大きくなる末拡がり形状であって、突起部15の側面(特に付け根部分)を円弧状としても良い。これにより、突起部15の特に根元に応力が集中することにより生じる破損の防止、フラックス17の通孔12への回り込み防止が可能となる。
【0028】
(第1実施形態)
続いて、第1実施形態に係る配列用マスクについて説明する。なお、上記構成と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0029】
上記構成のマスク1においては、
図2及び
図3に示すように、ワーク3内もしくはワーク3の下方に配置された磁石(不図示)の磁力を作用させることでワーク3上に固定(位置合わせ)されるが、マスク本体10のパターン領域にはこれを構成する通孔12が形成されているものの、パターン領域の外周には通孔12はなく平板状であるので、このマスク1を磁石(不図示)が配置されたワーク3上に載置すると、パターン領域に比べてパターン領域の外周にて磁力が強く作用されてしまうため、マスク1にパターン領域が山部分、パターン領域間が谷部分となるようなうねりが生じ、特に、ワーク3が基板の場合、マスク1のうねりが顕著に現れた。これにより、各パターン領域のパターンピッチにズレが生じ、半田ボール2の搭載不良を招いていた。
【0030】
上記問題を解消するために、本実施形態に係るマスク1は、通孔12からなるパターン領域の外周にピッチ調整部50を設けている。具体的には、
図8に示すように、複数形成されたパターン領域間に開口51を設けることでピッチ調整部50を構成する。このように、パターン領域間にピッチ調整部50(開口51)を設けることにより、パターン領域間における磁力の作用が弱まって、マスク1にうねりが生じることを防止でき、半田ボール2を所望の位置に精度良く搭載することができる。これに加えて、マスク1の平面方向に張力を作用させれば、マスク1のうねりの発生をより効果的に抑えることができ、このことによっても精度良い半田ボール2の搭載に貢献できる。さらに、開口51をメッシュ状とすれば、伸長性に富む機能を備えることができるので、各パターン領域のピッチのズレを調整することができ、各パターン領域のパターンピッチ精度が良好となるとともに、マスク1をワーク3に対して追随性良く載置することができる。こうしたメッシュ状の開口51によってピッチ調整部50を構成する場合は、
図9に示すように、隣接するパターン領域間における突起部15a間に設けると良い。なお、開口51によってピッチ調整部50を設ける場合、パターン領域間における開口率は10〜90%が好ましく、本実施形態では、開口率40%としたが、要はパターン領域間における開口率をパターン領域における開口率と同程度もしくはそれ以上とすれば良く、これにより、マスク1のうねりの発生を可及的に抑えることができるとともに、突起部15(15a・15b)をワーク3上に載置することができ、よって、精度良いボール搭載が可能となる。また、マスク1の平面方向に作用させる張力の大きさとしては、0.5〜2.0kg/cm2の範囲が好ましい。
【0031】
ピッチ調整部50としては、隣り合うパターン領域間に凹部52を設ける形態としても良い。具体的には、
図10に示すように、隣り合うパターン領域間におけるマスク本体10の厚みをパターン領域におけるマスク本体10の厚みより薄く形成している。係る構成によっても、パターン領域間における磁力の作用を小さくすることができ、マスク1にうねりが生じることを防止でき、半田ボール2を所望の位置に精度良く搭載することができる。もちろん、ピッチ調整部50として、開口51と凹部52とを組み合わせたものでも良い。このように、パターン領域間に作用させる磁力の大きさは、開口や凹部の形状・位置・数によって容易に調整することができる。
【0032】
ここで、ピッチ調整部50は、複数の開口51によって構成されるのが好ましく、さらに、この開口51は、半田ボール2が挿通できない形状・寸法とするのが好ましい。また、凹部52によってピッチ調整部50を設ける場合は、
図11に示すように、マスク本体10(マスク1)のワーク3との対向面側に設けるのが好ましいが、
図10に示すように、凹部52をマスク本体10(マスク1)の半田ボール2の供給側に設けた場合は、半田ボール滞留部として機能させることができる。なお、開口51を形成する方法としては、
図6(b)に示す二次パターンレジストを形成する工程において、パターン領域の外周(パターン領域間)に対応する位置にレジスト体38aとは別のレジスト体を形成することで、容易に得られる。また、凹部52を形成する方法としては、
図6(d)に示すマスク1において、パターン領域の外周(パターン領域間)に対応する位置にエッチングすることで、容易に得られる。凹部52は、プレスによっても形成することができる。この他のピッチ調整部50としては、
図12に示すように、蛇腹状部53のものが考えられる。係るピッチ調整部50(開口51、凹部52、蛇腹状部53)は、全てのパターン領域間に設けなくても良く、要は予想されるマスク1のうねりに合わせて設ければ良い。また、ピッチ調整部50を構成する開口51、凹部52、蛇腹状部53は、組み合わせて設けても良い。
【0033】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る配列用マスクについて説明する。なお、上記構成と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
上記構成のマスク1においては、マスク本体10に形成された通孔12に1つの半田ボール2が投入される。ここで、例えば、ワーク3上に異なる2つの高さのバンプを形成する場合、フラックス印刷後、まず、バンプAとなる半田ボール2A(小ボール)が挿通できる通孔12Aを有するマスク1Aをワーク3上に載置して通孔12Aに半田ボール2Aを投入し、続いて、バンプBとなる半田ボール2B(大ボール)が挿通できる通孔12Bを有するマスク1Bをワーク3上に載置して通孔12Bに半田ボール2Bを投入して、加熱・溶融をしていた(バンプA・B、半田ボール2A・2B、通孔12A・12B、マスク1A・1Bは不図示)。このように、ワーク3上に異なる所望の高さのバンプを得るためには、異なるバンプの種類の数だけマスク及び工程が必要であった。
【0035】
上記問題を解消するために、本実施形態に係るマスク1は、
図13(
図13(a)は、本実施形態に係る配列用マスクの部分平面図、
図13(b)は、その断面図)に示すように、ワーク3上における各半導体チップ5の電極6の配列パターンに対応した通孔12を備え、この通孔12は、単通孔13と、この単通孔13が複数連なった連続通孔14とを有する。そして、単通孔13は平面視で円形状に形成され、連続通孔14は単通孔13を2つ連ねた平面視でだるま状・ひょうたん状に形成されており、単通孔13には1つの半田ボール2を挿通でき、連続通孔14には2つの半田ボール2を挿通できる。ここで、係る構成のマスク1を用いて、例えば、直径200μmの半田ボール2を直径150μmの電極6に搭載した際のバンプの高さは、
図13(c)に示すように、半田ボール2を1つ挿入した単通孔13におけるバンプ高さL1は172μmとなり、半田ボール2を2つ挿入した連続通孔14におけるバンプ高さL2は230μmとなった。この時、フラックス17は、連続通孔14に挿入されるそれぞれの半田ボール2が離れないように、ワーク3上に楕円状に印刷すると良い。
【0036】
なお、連続通孔14は、連ねる単通孔13の数が3つ以上で構成されてあっても良い。この時、3つ以上の単通孔13を直線状に連ねて形成したものでも良いし、3つ以上の単通孔13をある点を中心にして円周状に連ねて形成した、いわゆる平面視でクローバー状のものでも良い。但し、例えば、連続通孔14が3つの単通孔13を円周状に連ねた形状(三つ葉のクローバー状)とする場合において、
図14(a)に示すような形状であると、3つの単通孔13の中央に半田ボール2が挿入されてしまい、連続通孔14を構成するそれぞれの単通孔13に半田ボール2が挿入できないおそれがあるので、
図14(b)に示すように、連続通孔14としての単通孔13の連なる部分は小さいほうが好ましい。また、
図14(c)に示すように、連続通孔14は、これを構成する各単通孔13の円周が接するように連ねて形成されたものでも良い。ここで、連続通孔14の形状は、
図13、
図14(b)、
図14(c)に示すように、その中央に電極6が位置するように形成するのが好ましい。また、連続通孔14を構成する一つの単通孔13の寸法は、電極6の寸法より大きく形成することが好ましい。そして、マスク1平面視の時に、連続通孔14(単通孔13)、半田ボール2、フラックス17、電極6の幅寸法は、連続通孔14(単通孔13)>半田ボール2>フラックス17>電極6の関係を満たすのが好ましい。
【0037】
このように、上記構成のマスク1を用意して半田ボール2の搭載作業を行うことで、ワーク3上に異なる所望の高さのバンプを形成することができるので、複数種のマスクを用意する必要がなくなり、コストの削減及びリードタイムの縮小が可能となる。そして、通孔12、すなわち、単通孔13及び連続通孔14の形状・寸法や連続通孔14を構成する単通孔13の数によって、バンプの高さを容易に調整・設定することができ、所望の高さのバンプを得ることができる。また、電極6の形状・寸法によっても、バンプの高さを調整・設定することができる。なお、所望形状の単通孔13及び連続通孔14を形成する方法としては、
図6(b)に示す二次パターンレジストを形成する工程において、所望形状の単通孔13及び連続通孔14に対応したレジスト体38aを形成することで、容易に得られる。
【0038】
上記各構成においては、突起部15が一体となったマスク1としているが、突起部15が別部材で一体的に形成されたものでも良い。これは上記マスク1において、例えば、マスク本体10を鉄、ニッケル等といった磁性体で形成し、突起部15を銅やアルミ等といった非磁性体で形成すれば、上述したように磁石(不図示)の磁力吸引力によってワーク3にマスク1を固定する場合に、マスク1に対して磁力が均一に働くことになるので、マスク1が不用意に撓むおそれがなく、電極6に対する通孔12の位置精度を向上することができる。
【0039】
また、突起部15を非磁性体で形成するものにおいて、金属に限らず樹脂によって形成したものであっても良い。これによれば、当該樹脂の弾力性に由来するクッション作用が発揮され、突起部15がワーク3に当接した際に、ワーク3が損傷するおそれが少なくなる。この効果を顕著に奏するために、マスク1においては、ワーク3と当接する全ての突起部15を樹脂で形成するのが好ましい。これによって、マスク1に対して磁力が均一に働くことにもなるので、マスク1が不用意に撓むおそれがなく、電極6に対する通孔12の位置精度を向上させることもできる。
【0040】
また、突起部15の下端面の形状は、円に限らず、楕円でも良いし、四角・ひし形・六角形などといった多角形でも良い。さらに、これら形状を構成する角や突起部15の下端面と側面との境界部分は、R状とするのが好ましい。これにより、例えば、マスク1の突起部15形成面を洗浄する際に、洗浄をスムーズに行うことができるとともに、洗浄手段(布やスポンジなど)が突起部15に引っかかることによる洗浄手段及び突起部15の破損のおそれを可及的に防止することができる。