特許第6202582号(P6202582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000004
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000005
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000006
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000007
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000008
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000009
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000010
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000011
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000012
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000013
  • 特許6202582-自動車用空調圧縮機用トルク予測方法 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202582
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】自動車用空調圧縮機用トルク予測方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/26 20060101AFI20170914BHJP
   G01L 3/24 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G01L5/26
   G01L3/24
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-549757(P2015-549757)
(86)(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公表番号】特表2016-509668(P2016-509668A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】US2013076797
(87)【国際公開番号】WO2014100534
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/740,666
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/134,020
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ボナ,ジョセフ・エム
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン,マシュー・アール
(72)【発明者】
【氏名】グティエレス,アーネスト・ジェイ
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−107419(JP,A)
【文献】 特開2006−052943(JP,A)
【文献】 特開2010−023582(JP,A)
【文献】 米国特許第05199272(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00− 5/28
G01L 3/00− 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用空調圧縮機用のトルクを予測する方法であって、
エンジンと複数の車両機能を制御するためのECMとを有する車両用の空調システムを始動するステップと、
前記エンジンからのrpm値を用いて定常状態トルク値を計算するステップと、
前記エンジンからの前記rpm値を用いてERPM過渡トルク値を計算するステップと、
電子制御弁に印加される電流値を用いてIecv過渡トルク値を計算するステップと、
前記定常状態トルク値、前記エンジンRPM過渡トルク値、および前記Iecv過渡トルク値から成る群から最終トルク値を選択するステップと、
前記最終トルク値を前記車両の前記ECMに提供して所定の車両機能を制御するステップと、を含むトルクを予測する方法。
【請求項2】
請求項1に記載のトルクを予測する方法において、
前記エンジンからのrpm値を用いて定常状態トルク値を計算する前記ステップが、
最大定常状態トルク値Tmaxを計算するために採用される第1の組の定数を選択するステップと、
基本定常状態トルク値Tbaseを計算するために採用される第2の組の定数を選択するステップと、
最小定常状態トルク値Tminを計算するために採用される第3の組の定数を選択するステップと、
baseをTmaxおよびTbaseと比較するステップと、
base>Tmaxであれば、Tmaxを定常状態トルク値Tssとするステップと、
base≦TmaxかつTbase<Tminであれば、Tminを定常状態トルク値Tssとするステップと、
base≦TmaxかつTbase≧Tminであれば、Tbaseを定常状態トルク値Tssとするステップと、を含むトルクを予測する方法。
【請求項3】
請求項1に記載のトルクを予測する方法において、
前記エンジンからの前記rpm値を用いてERMP過渡トルク値を計算する前記ステップが、
エンジンRPM変化率ΔEPRMを計算するステップと、
最大閾値EPRM率をΔEPRMLimとして計算するステップと、
ΔEPRM<ΔEPRMLimであれば、エンジンRPM過渡トルク値Terptmをゼロまたは無とするステップと、
ΔEPRM≧ΔEPRMLimかつt≧tLimであれば、エンジンRPM過渡トルク値TerptmをTss(t−tLim)とするステップと、
ΔEPRM≧ΔEPRMLimかつt<tLimであれば、エンジンRPM過渡トルク値TerptmをTss(t)とするステップと、を含むトルクを予測する方法。
【請求項4】
請求項1に記載のトルクを予測する方法において、
電子制御弁に印加される電流値を用いてIecv過渡トルク値を計算する前記ステップが、
制御弁電流変化率ΔIを計算するステップと、
最大閾値EVC電流変化率ΔILimを計算するステップと、
Ievc過渡がなければ(ΔI<ΔILim)、電子制御弁過渡トルク値TITをゼロまたは無とするステップと、
ΔI≧ΔILimかつΔPd≦ΔPdLimlであれば、電子制御弁過渡トルク値TITをF*Pd−Fとするステップと、
ΔI≧ΔILimかつΔPd>ΔPdLimlかつΔPd>ΔPdLimbであれば、電子制御弁過渡トルク値TITをゼロまたは無とするステップと、を含むトルクを予測する方法。
【請求項5】
請求項1に記載のトルクを予測する方法において、
前記定常状態トルク値、前記エンジンRPM過渡トルク値、および前記Iecv過渡トルク値から成る群から最終トルク値を選択するする前記ステップが、
ERPMT=0かつT=0である場合、TをTSSとするステップと、
ERPMT≠0および/またはT≠0、ならびにT≠0の場合にTERPMT=0である場合、TをTITとするステップと、
ERPMT≠0および/またはT≠0である場合、ならびにTERPMT≠0および/またはT=0である場合、ならびにTERPMT≠0およびT=0である場合、TをTERPMTとするステップと、
ERPMT≠0および/またはT≠0である場合、ならびにTERPMT≠0および/またはT=0である場合、ならびにTERPMT=0および/またはT≠0である場合、ならびにTERPMT≠0およびT≠0である場合、TをTITとするステップと、を含むトルクを予測する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0000]本出願は、2012年12月21日出願のJoseph M. Bonaらの「自動車用空調圧縮機用トルク予測方法(Method of Torque Prediction for Automotive Air Conditioning Compressor)」という名称の米国特許出願第61/740,666号に関連し、その優先権を主張する。
【0002】
[0001]本発明は、自動車用空調圧縮機用のトルクを予測する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0002]今日の自動車は、ますます厳しくなる政府指令の燃費および排出ガス基準が課される。製造業者は、より高性能なエンジン制御器および制御アルゴリズムを利用してエンジン燃焼プロセスを最適化している。燃空比を精密に測定し、アイドル回転速度を制御し、かつ良好な車両加速を提供するためには、エンジン負荷の良好な推定値が必要とされる。
【0004】
[0003]ベルト駆動の自動車用空調圧縮機は、車両エンジンから発生する動力を利用して車両の内部区画を冷却するため、正確な推定を必要とする重要な負荷である。
【0005】
[0004]圧縮機動力は圧縮機回転速度とトルクの関数である。圧縮機回転速度は測定エンジン回転速度から既知の一定のプーリ比により容易に導出できるが、圧縮機トルクは量産車では費用効率よく測定できず、したがってエンジン制御器内のアルゴリズムによる推定を必要とする。
【0006】
[0005]従来、車両エンジン性能の調節は、車両エンジン制御器により圧縮機トルクまたは圧縮機動力の計算から行われる。負荷計算を実施する1つの典型的な方法は、圧縮機回転速度と吐出圧力の関数である式またはルックアップテーブルを使用することである。この式は、定容量形圧縮機の定常状態運転に、または全容量を必要とする周囲条件での可変容量形圧縮機の定常状態運転に適している。
【0007】
[0006]典型的なトルク式は、過渡条件の間または可変圧縮機が部分容量である時にトルク予測に限界がある。典型的な式は、過渡の間および燃料消費の減少をもたらす部分容量時に圧縮機トルクを過大予測することもある。
【0008】
[0007]定容量形および可変容量形圧縮機用動力推定式は当該分野で公知である。定常状態精度の向上の余地はあるものの、以下の式1は、定常状態条件および全容量に適している。別の公知の方法は、吐出圧力および弁電流の関数としてのトルク予測ルックアップテーブルを利用する。ここでも、ルックアップテーブルは、定常状態および全容量条件に適している。定常状態精度は向上されるが、依然としてより高い定常状態精度の必要性がある。
【0009】
式1:
動力=A+B*圧力+C*圧力+D*圧力−E*CRPM+F*圧力*CRPM
式中、
− 圧力単位はバール(ゲージ)
− 動力単位はワット
− CRPMは圧縮機毎分回転数
− この式の適用範囲は100から6100ワット。
【0010】
・圧縮機1の場合:A=10
B=88
C=−17.375
D=0.921875
E=0.37390136
F=0.07336425
・圧縮機2の場合:A=0
B=46.9
C=0
D=0
E=0.4881
F=0.1056
2010年9月23日公開の樋口らの「車両用空調装置(Air Conditioner for Vehicle)」という名称の米国特許出願公開第2010/0236265(A1)号が、本発明とは著しく異なる入力の集合を用いるトルク推定戦略を説明している。米国特許出願公開第2010/0236265(A1)号およびその関連外国公報は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
米国特許出願公開第2010/0236265(A1)号により説明されるように、車両用空調装置は、エンジンを駆動源として使用する冷媒の可変容量形圧縮機と、凝縮器と、蒸発器とを含む冷凍サイクルと、圧縮機へ調節制御信号を出力するための容量調節手段と、圧縮機のトルクを演算するための圧縮機トルク演算手段とを備える。圧縮機トルク演算手段が、圧縮機が最大吐出容量で駆動される場合に対応する飽和領域トルク推定手段と、圧縮機が最大吐出容量以外の吐出容量で駆動される場合に対応する容量制御領域トルク推定手段との、少なくとも2つのトルク推定手段を含み、また設定値よりも大きいエンジン回転速度の変化が検出された場合に、圧縮機のトルクの演算を補正するための補正手段を含む。エンジン回転速度が急激に変化する場合にも、冷凍サイクル中の圧縮機のトルクを演算できるとされる。
【0012】
米国特許出願公開第2010/0236265(A1)号に記載の方法は以下の入力を利用するトルク演算に基づいている。
【0013】
○容量制御信号
○外気温度
○圧縮機回転速度
○車両走行速度
○凝縮器ファン電圧
○高圧側冷媒圧力
○送風機電圧
米国特許出願公開第2010/0236265(A1)号に記載の方法は高度に理論的であり、当業者に当該発明の実施方法を十分に教授できているとはいえない。
【発明の概要】
【0014】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、図面と共に、本発明の好適な実施形態を詳述する以下の明細書を読むことにより明らかになるであろう。
【0015】
図面は本発明の単一実施形態を表すが、図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、本発明をよりよく例示し説明するために、特定の特徴が誇張されることもある。本明細書に記載の例は本発明の一実施形態を一様態において例示しており、そのような例は、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を具現化する、自動車用途のために構成される空調システムの略図である。
図2】精度が±2Nm以下である定常状態条件下での図1の空調システムの経験的台上試験データと計算圧縮機トルクデータのグラフ図である。
図3】電子制御弁(ECV:Electronic Control Valve)が「オフ」から「オン」へ遷移される時の過渡圧縮機トルクを例示する経験的台上試験データのグラフ図である。
図4】電子制御弁(ECV)が「オン」から「オフ」へ遷移される時の過渡圧縮機トルクを例示する経験的台上試験データのグラフ図である。
図5】加速および減速の間の過渡圧縮機トルクを例示する経験的台上試験データのグラフ図である。
図6】本発明において具現化される圧縮機トルク予測システムの主フロー図である。
図7】本発明を実施する際の定常状態圧縮機トルクを計算するフロー図である。
図8】本発明を実施する際の電子制御弁電流(Ievc)過渡トルクを計算するフロー図である。
図9】本発明を実施する際のエンジン毎分回転数(ERPM)過渡トルクを計算するフロー図である。
図10】本発明を実施する際の最終トルク(T)値を選択するフロー図である。
図11】本発明を記述および実施する際に用いられる、用語定義および関連計器の術語である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面は本発明の実施形態を表すが、図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、本発明を例示し説明するために、特定の特徴が誇張されることもある。本明細書に記載の例は本発明の一実施形態を一様態において例示しており、そのような例は、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0018】
図1を参照すると、本発明は好ましくは、自動車12などの地上車両内に設置される空調システム10を制御する際に実装または実施される。空調システム10の原動機は、自動車12のモータ/エンジン16によりベルト伝動装置および電磁クラッチ(図示せず)を介して機械的に駆動される圧縮機14である。圧縮機14は高温冷媒蒸気を圧縮して凝縮器18に圧送し、そこで冷媒蒸気は最終的に液状に凝縮される。凝縮器18からの依然加圧状態の液体冷媒は膨張弁20を通され、その後、膨張し冷却した状態で、自動車乗客空間内に換気モジュール24により形成される空気流路内に配置される蒸発器22に進入する。加熱される冷媒蒸気は引き続き圧縮機14へ再進入してサイクルを繰り返す。
【0019】
蒸発器22を通って流れる低圧冷媒は、送風機26により影響される、換気モジュール24を通って流れる空気と熱交換する。送風機26は空調用空気が通る風道28内に配置され、空調用空気吸込口30から吸引される空気は送風機26により蒸発器22に導かれる。蒸発器22を通過した空気の一部は下流位置に配置される加熱器ユニット32に導かれ、加熱器ユニットを通過すべき空気量とバイパスすべき空気量との割合はエアミックスダンパ34により調整される。本実施形態において、蒸発器22出口の空気温度センサ36は、蒸発器22を通過後の空気の温度を検出するために、蒸発器22の出口側に設けられ、検出される信号は、空調を行う空調制御ユニット38に入力される。様々な他のシステムセンサ40からの信号も空調制御ユニット38に入力される。エンジン16に関連付けられるエンジン制御ユニット42(ECU:Engine Control Unit)も空調制御ユニット38と電気的にインタフェース接続される。空調制御ユニット38もECU42も共に、マイクロプロセッサのような制御回路、ならびに圧縮機14へ容量制御信号を出力することなどにより空調システム10全体の制御に影響を与えるようのみならず、以下本明細書に記載のトルク予測方法を実施するようにも動作可能な揮発性および/または不揮発性メモリを含む。
【0020】
本発明の一実施形態は、自動車用空調装置のトルクを、定常状態および過渡条件でリアルタイムに計算または予測するために使用される装置および方法である。本方法は、標準的な量産車で容易に利用可能なセンサから取得されるデータを利用するために導出された。したがって、本技術を実装する上で、追加の出費または費用は一切発生しないであろう。トルクは以下の入力を利用して予測される。
【0021】
○制御弁電流
○外気温度
○蒸発器空気出口温度
○エンジン回転速度
○高圧側圧力
○蒸発器送風機電圧
トルク(推定)=B1*Vb*Teao*(Toa−Teao)*((Pd/Ps)^K1−1)/CRPM
式中:−−CRPM=圧縮機RPM
−−B1 =相関定数
−−Vb =送風機電圧
−−Teao=蒸発器空気出口温度
−−Toa =外気温度
−−Pd =高圧側圧力
−−Ps =Teaoでの冷媒の飽和圧力(推定吸込圧力)
−−K1 =(k−1)/k
−−k =過熱冷媒に関する比熱比
改善された関係は:トルク(相関)=2.7*SQRT(トルク(推定))
この関係は準定常条件でのトルクを推定するためには許容できるが、例えば、ECV電流が変化している時など、トルクの変化を予測できないこともある。
基本式
[0008]基本式は、経験的観察およびECV電流パラメータの包含に基づいて、上記の関係から導出された。追加式は経験的に導出されたもので、一意の条件に対して使用されてそれら一意の条件に対する計算の精度を向上させる。
【0022】
基本式は:
◆圧縮機トルクは次式で計算される。
【0023】
トルク=A0+A1*P*(V)A2*ΔT*((P/T)A3−1)*(I)A4/rpm
−P=高圧側圧力
−V=蒸発器送風機電圧
−ΔΤ=蒸発器空気温度差動
−T=蒸発器空気出口温度
−I=制御弁電流
−Rpm=エンジン回転数
−A0=トルクオフセット定数
−A1=トルクスケーリング定数
−A2=蒸発器スケーリング定数
−A3=圧力温度スケーリング定数
−A4=電流スケーリング定数
この式の定常状態台上試験結果が図2に示される。
【0024】
試験された定常状態条件の場合、精度は±2Nm以下である。
【0025】
所与のrpm領域に対する基本式の定数の集合を確立することにより、更なる定常状態精度が達成できる。以下に一例を示す。
【0026】
T3000システム上の6CVCcに使用される係数値を以下の表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
高度トルク予測方法
[0009]過渡台上試験結果が図2〜5に示される。過渡プロットに示すように、TPとして示す、基本式の予測精度は、定常状態結果と等しくない。追加式は、Iecv(電子制御弁電流)が校正可能閾値未満である、または圧縮機が全行程にある時に対してのみならず、過渡事象に対しても経験的に導出された。追加式の結果はAdvTPとして過渡プロット上に示す。過渡プロット上に示すように、予測精度は、追加式を利用することにより大幅に向上される。
過渡条件
[0010]圧縮機rpmもECV電流も共に過渡事象の間に予測トルクに悪影響を与えるに十分急激に変化できる。予測精度を向上させるには、圧縮機rpmまたはECV電流の変化を記録することおよび数学的に過渡を補償することができる。
RPM
[0011]圧縮機RPMの急激な変化が生じた場合、次の戦略が利用される。
−− トリガ限界と呼ばれる所定の閾値を超えるRPM変化を検出。
−− 基本式でトルクを計算し、その値を3秒間維持する。
−− 3秒後、初期RPM条件、ならびに3秒間コンピュータメモリに記憶されたP、T、ΔΤ、V、IecvおよびRPM値(即ち、P、T、ΔΤ、V、IecvおよびRPMは毎秒更新されるが、3秒古い)から、表1の係数を用いてトルク計算を再開。
−− RPM変動がトリガ限界未満に安定したことを検証。
−− 新たなRPMに対する係数に変更し、3秒の計算遅延を解消する。
【0029】
RPM変化のトリガ限界が校正可能であり、圧縮機およびシステム型に依存する。
Iecv
[0012]Iecvの急激な変化が生じた場合、Pdのオフセットとの線形関係に基づいてトルクを計算し、Pdが安定したら基本式に戻る。
【0030】
例:
T3000システム上の6CVCc。Iecvは0Aで始まり、1.0Aまで段階変化する。
【0031】
トルク=0.045Pd−36、Pd2−Pd1<5まで
所与の条件の集合に対する最小および最大圧縮機トルク値を確立するための式を追加することにより、予測精度はまた向上された。この目的を達成するために次式が確立された。
【0032】
最小トルク=C0+C1*Erpm
最大トルク=D0+D1*Pd
式中:
C0=最小トルクオフセット係数。圧縮機、システムおよびRPMに基づいて校正可能である。
【0033】
C1=最小トルク係数。圧縮機、システムおよびRPMに基づいて校正可能である。
【0034】
D0=最大トルクオフセット係数。圧縮機、システムおよびRPMに基づいて校正可能である。
【0035】
D1=最大トルク係数。圧縮機、システムおよびRPMに基づいて校正可能である。
【0036】
Iecvが、校正可能項である最小Iecvよりも低い場合に、最小トルク式が使用される。
【0037】
Iecvが、校正可能項である最大Iecvよりも大きい、または予測トルクが最大計算トルクよりも大きい場合に、最大トルク式が使用される。
【0038】
T3000システム上の6CVCcに使用される係数値、最小Iecvおよび最大Iecvは以下の通り。
【0039】
【表2】
【0040】
[0013]この予測システムはリアルタイム車両用途に意図され、そのためHVACモジュールとECMとの間の通信速度または情報更新の頻度に依存する。
【0041】
[0014]上記に示した校正可能値は、特定のACシステム上の特定の圧縮機型に対するものであることに留意されたい。圧縮機型とACシステムの異なる組み合わせは、異なる校正可能値を必要とすることもある。そのような値は所与の圧縮機型およびACシステムの組み合わせに対して不変であろうことが予想される。即ち、或る車両ACシステム上の或る型の圧縮機に対して一旦校正可能値が確立されると、それらはその圧縮機/システムの組み合わせの全体の製造連に対して適用可能であろう。
【0042】
[0015]図6を参照すると、本発明において具現化される圧縮機トルク予測システムの主フロー図44が例示され、計算論理ブロック46はAC始動ステップ48により初期化され、次いで最終トルクT出力論理信号をエンジン制御モジュール(ECM:Engine Control Module)58に提供する。AC始動ステップ48は定常状態トルク(Tss)を計算するための論理ステップ50に進み、次いでそこから、最終トルク(T)が選択される論理ステップ52の第1の入力に進む。論理ステップ50はTss信号を、エンジン毎分回転数(ERPM)過渡トルクを計算する論理ステップ54にも送り、論理ステップ54は自車両エンジン制御モジュール(回転速度センサまたは車速に基づく計算)からのエンジンRPMをTerpmtとして論理ステップ52の第2の入力に送る。最後に、論理ステップ56はIECV過渡トルクを計算し、電子制御弁過渡トルク信号(Tit)を論理ステップ52の第3の入力に送る。
【0043】
[0016]図7を参照すると、本発明を実施する際に定常状態圧縮機トルクを計算するためのフロー図60は、図6のステップ50に相当する、定常状態トルクTを計算するステップ62を詳説する。エンジン回転速度(ERPM)変換器64は入力を論理ブロック66に送り、論理ブロック66はERPMに基づいて定数を選択するように動作し、選択される定数DおよびDを後続の論理ブロック70の第1の入力に出力する。吐出圧力変換器68からの吐出圧力信号(Pd)は論理ブロック70の第2の入力に進む。論理ブロック70は最大定常状態トルク(Tmax)を計算するように動作する。論理ブロック70はTmax信号をはい/いいえ論理ブロック72の第1の入力に出力する。
【0044】
[0017]ERPM変換器74は入力を論理ブロック76に送り、論理ブロック76はERPMに基づいて定数を選択するように動作し、選択される定数A、A、A、AおよびAを後続の論理ブロック78の第1の入力に出力する。集合的に80で例示される変換器からの、吐出圧力信号(Pd)、蒸発器送風機ファン電圧信号(V)、サーミスタ周囲温度信号(Ta)、ECVに印加される電流の測定からの電子制御弁電流信号(I)、およびERPM信号は、第2の入力を論理ブロック78に提供し、同時にはい/いいえ論理ブロック72の第2の入力に送られる論理ブロック78からの基本定常状態トルクトルク(Tbase)出力を計算する際にも活用される。
【0045】
[0018]集合的に82で例示される変換器からのERPM変換器信号およびサーミスタ周囲温度(Ta)信号は論理ブロック84に進み、論理ブロック84はERPMに基づいて定数を選択するように動作し、選択される定数CおよびCを後続の論理ブロック86の第1の入力に出力する。EPRM変換器88は信号を論理ブロック86の第2の入力に送り、その信号は最小計算定常状態トルク(Tmin)を論理ブロック86からの出力として計算する際に活用される。
【0046】
[0019]Tbase>Tmaxの場合、はい/いいえ論理ブロック72の第1の出力が論理ブロック90に進み、論理ブロック90はTssをTmaxとし、次いでTss出力論理ブロック92に進む。Tbase≦Tmaxの場合、はい/いいえ論理ブロック72の第2の出力が第2のはい/いいえ論理ブロック94に進む。論理ブロック86のTmin出力は、はい/いいえ論理ブロック94の第2の入力に進む。はい/いいえ論理ブロック72および94は、以下のファントム論理ブロック100に記載の共通論理により論理的に結合される。Tbase<Tminの場合、はい/いいえ論理ブロック94の第1の出力が論理ブロック98に進み、論理ブロック98はTssをTmaxとし、次いでTss出力論理ブロック92に進む。Tbase≧Tminの場合、はい/いいえ論理ブロック94の第2の出力が論理ブロック96に進み、論理ブロック96はTssをTbaseとし、次いでTss出力ブロック92に進む。
【0047】
[0020]図8を参照すると、本発明を実施する際に電子制御弁電流(Ievc)過渡トルクを算出するための計算論理ブロック104を含むフロー図102は、図6のステップ56に相当する、Ievcを計算するステップ106を詳説する。(ECVに印加される電流の測定からの)電子制御弁電流変換器(I)108は入力を論理ブロック110に送り、論理ブロック110はIecv変化率(ROC:Rate Of Change)を計算するように動作し、制御弁電流変化率(ΔI)をはい/いいえ論理ブロック114の入力に出力する。ECV電流センサの最大閾値変化率(ΔILim)112は第2の入力をはい/いいえ論理ブロック114に送る。論理ブロックは更に論理ブロック120で(ファントムで)機能してIecvが充電中か確認する。ΔI<ΔILimの場合、論理ブロック116への第1の出力が電子制御弁過渡トルク(TIT)を論理ブロック1300の第2の入力相当とし、この場合、Ievc過渡はなく、次いでTIT出力論理ブロック118に進む。ΔI≧ΔILimの場合、はい/いいえ論理ブロック114の第2の出力が後続の論理ブロック122の第1の入力に進む。論理ブロックはPd変化率(ROC)を計算するように動作する。Pd圧力変換器124は論理ブロック122の第2の入力に進み、そこから吐出圧力変化率(ΔPd)をはい/いいえ論理ブロック126の第1の入力に出力する。最小閾値吐出圧力率(ΔPdliml)変換器128は、はい/いいえ論理ブロック126の第2の入力に進む。ΔPd>ΔPdLimlの場合、はい/いいえ論理ブロック126の第1の出力が別のはい/いいえ論理ブロック134の第1の入力に進む。はい/いいえ論理ブロック126および134は互いにPdが充電中か確認する。ΔPd≦ΔPdLimlの場合、はい/いいえ論理ブロック126の第2の出力が論理ブロック130の第1の入力に進む。最大閾値吐出圧力率(ΔPdLimb)変換器136は論理ブロック134の第2の入力に進む。ΔPd>ΔPdLimbの場合、はい/いいえ論理ブロック134の第1の出力が論理ブロック138に進み、論理ブロック138は電子制御弁過渡トルク(TIT)をゼロ、即ちTIT過渡無しとし、次いで出力を出力論理ブロック118に提供する。ΔPd≦ΔPdLimbの場合、はい/いいえ論理ブロック134の第2の出力が論理ブロック130の入力に進む。変換器132は校正可能パラメータFおよびFを論理ブロック130の第2の入力に送り、次いでそこから、出力論理ブロック118に進む。共通論理ブロック140は(ファントムで)はい/いいえ論理ブロック126および134を確認してPdが充電中か判定する。
【0048】
[0021]図9を参照すると、本発明を実施する際にエンジン毎分回転数(ERPM)過渡トルク(T)を算出するためのフロー図142は、図6の論理ステップ54に相当する、ERPM過渡トルクを算出するステップ146を詳説する。(ECVに印加される電流の測定からの)電子制御弁電流変換器(I)148は入力を論理ブロック150に送り、論理ブロック150はERPM変化率(ROC)を計算するように動作し、エンジンRPM変化率(ΔERPM)をはい/いいえ論理ブロック152の入力に出力する。最大閾値ERPM率(ΔERPMlim)変換器156は第2の入力をはい/いいえ論理ブロック152に送る。ΔERPM<ΔERPMLimの場合、はい/いいえ論理ブロック152は論理ブロック154に進み、論理ブロック154はエンジンRPM過渡トルク(TERPMT)をゼロとし、次いで出力を出力論理ブロック166に送る。はい/いいえ論理ブロック152に結合されるファントム論理ブロック158はERPMが変化中か確認する。ΔERPM≧ΔERPMLimの場合、はい/いいえ論理ブロック152は第1の入力を現在の時間間隔開始タイマ論理ブロック160に送るが、ここではTSS第2の入力も受信される。論理ブロック160は出力を後続の論理ブロック162に提供してTSSを現在の時間間隔(t)で保存し、次いで、タイマが開始され増分更新されるとTERPMT=TSSとなる論理ブロック164の第1の入力に進む。論理ブロック164の出力は出力論理ブロック166に進む。TERPMT計算論理ロジック168に関するタイマ値は論理ブロック164に進む。論理ブロック160の出力は、はい/いいえ論理ブロック170の第1の入力にも進む。TLim変換器172は、はい/いいえ論理ブロック170の第2の入力に進む。t<tLimの場合、はい/いいえ論理ブロック170はERPM無過渡論理ブロック176の第1の入力に進み、次いでそこから出力論理ブロック166に進む。TSS入力は論理ブロック176の第2の入力に進む。はい/いいえ論理ブロック170はファントム論理ブロック174により制御されてタイマが満了したか判定する。
【0049】
[0022]図10を参照すると、本発明を実施する際に最終トルク(T)値を選択するための計算ブロック180を含むフロー図178は、図6のステップ52に相当する、最終トルク(T)を選択するステップ182を詳説する。TSS、TITおよびTERPMTを含む別々の入力は、直列結合されるはい/いいえ論理ブロック184、190、194および198に送られる。TERPMT=0かつT=0の場合、はい/いいえ論理ブロック184は論理ブロック186に進み、論理ブロック186はTをTSSとし、次いでそこから出力を出力論理ブロック188に送る。TERPMT≠0またはT≠0の場合、はい/いいえ論理ブロック184の第2の出力は第2のはい/いいえ論理ブロック190に進む。TERPMT=0かつT≠0の場合、はい/いいえ論理ブロック190は論理ブロック192に進み、論理ブロック192はTをTITとし、次いでそこから出力を出力論理ブロック188に送る。TERPMT≠0またはT=0の場合、はい/いいえ論理ブロック190の第2の出力は第3のはい/いいえ論理ブロック194に進む。TERPTM≠0かつT=0の場合、はい/いいえ論理ブロック194は論理ブロック196に進み、論理ブロック196はTをTERPMとし、次いでそこから出力を出力論理ブロック196に送る。TERPMT=0またはT≠0の場合、はい/いいえ論理ブロック194の第2の出力は第4のはい/いいえ論理ブロック198に進む。TERPMT≠0かつT≠0の場合、はい/いいえ論理ブロック198は論理ブロック200に進み、論理ブロック200はTをTITとし、次いでそこから出力を出力論理ブロック188に送る。
【0050】
[0023]図11を参照すると、本発明の前述の説明の明確な理解を確実にするため、用語の定義、校正パラメータおよびセンサ入力を含む、定義および関連計器の一覧が提供される。
【0051】
[0024]本発明をその好適な実施形態に関して説明してきたが、本発明はそのように限定されるのではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載の範囲にのみ限定されるように意図される。
【0052】
[0025]本発明は特定の一実施形態および前述の特徴および利点を提供するための変形形態を参照して説明されており、また、その実施形態は当業者に明らかであるように変更可能であることを理解されたい。
【0053】
[0026]更に、多くの代替的な、共通の安価な材料を採用して基本構成要素を構築できることが企図される。したがって、前述の説明は限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0054】
[0027]本発明は例示的に記載されており、使用されている用語はその本質は、限定のではなく説明の言葉と意図されることを理解されたい。
【0055】
[0028]明らかに、本発明の多くの変更形態および変形形態が上記の教示に鑑みて可能である。したがって、参照番号は専ら例示目的および利便性のためであり、いかなる限定もするものではない添付の特許請求の範囲内において、均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるように以下の特許請求の範囲により定義される本発明は、具体的に記載されている以外の方法で実施できることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11