(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202598
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】LED照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
H05B37/02 J
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-97439(P2013-97439)
(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公開番号】特開2014-220062(P2014-220062A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】川端 克一
【審査官】
安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−034977(JP,A)
【文献】
特開2009−054509(JP,A)
【文献】
特開2012−212530(JP,A)
【文献】
特開2012−003996(JP,A)
【文献】
特開2013−037810(JP,A)
【文献】
特開2012−134037(JP,A)
【文献】
特開平08−140286(JP,A)
【文献】
特開2009−118589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の商用電源から供給される電力によりLEDを発光させるLED照明器具であって、この商用電源からの電力により充電させる蓄電部を有し、停電時にはこの蓄電部に蓄電された電荷の電圧を昇圧してLEDの発光を継続させるものにおいて、上記LEDは複数個のLEDが直列に接続されており、これら複数のLEDの発光個数を減少することによって上記蓄電部に蓄電された電荷の消費速度を減少させ、停電時におけるLEDの発光の継続時間を延長させるマイコンを有し、停電時において、上記LED発光用に昇圧された電力を降圧コンバータでさらに降圧してマイコンの駆動用電力を生成することを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
上記蓄電部は、電気二重層コンデンサであることを特徴とする請求項1に記載のLED照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常時は外部の商用電源から電力の供給を受けてLEDを発光させ、停電時には内蔵した蓄電部からの電力によりLEDの発光を継続するLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のようなLED照明器具として、内部に蓄電部として2次電池を内蔵し、外部の商用電源から電力の供給を受けている状態ではその商用電源からの電力によりLEDを発光させると共に、同時に2次電池を充電しておき、停電になった場合には自動的に2次電池に蓄電された電力によってLEDの発光を継続するLED照明器具が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
これら従来のLED照明器具では、2次電池の小型化を図るため、2次電池のセル数を削減している。ところが、2次電池のセル数を削減すると、2次電池の出力電圧が下がるので、内蔵するマイコンに2次電池からの電力をそのまま供給したのでは、マイコンが正常に作動しないおそれが生じる。そこで、停電時には、2次電池の出力電圧をLEDの発光用に昇圧すると共に、マイコンの作動用に昇圧している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−34977号公報(請求項1、段落0028)
【特許文献2】特開2009−54509号公報(請求項1、段落0011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のものでは、2次電池の出力電圧が、マイコンを動作させるのに必要な電圧より低いので、昇圧コンバータ等の回路によって昇圧しているが、2次電池のセル数を増やし、あるいは電気二重層コンデンサを蓄電部として用いると、充電された電圧がマイコンの動作電圧より高くなる。すると、その場合には降圧コンバータで蓄電部の出力電圧をマイコンの動作電圧まで下げる必要が生じる。
【0006】
ところが、降圧コンバータでは入力電圧が低下して出力電圧に近づいてくると動作できなくなり、降圧コンバータの機能が停止する。すると、蓄電部にはまだ電荷が保持されているのにもかかわらず、マイコンに電力を供給することができなくなり、LEDも消灯することになる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、マイコンに対して降圧コンバータの出力電力を供給する場合に、蓄電部に蓄電された電力を有効に利用することのできるLED照明器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明によるLED照明器具は、外部の商用電源から供給される電力によりLEDを発光させるLED照明器具であって、この商用電源からの電力により充電させる蓄電部を有し、停電時にはこの蓄電部に蓄電された電荷の電圧を昇圧してLEDの発光を継続させるものにおいて、
上記LEDは複数個のLEDが直列に接続されており、これら複数のLEDの発光個数を減少することによって上記蓄電部に蓄電された電荷の消費速度を減少させ、停電時におけるLEDの発光の継続時間を延長させるマイコンを有し、停電時において、上記LED発光用に昇圧された電力を降圧コンバータでさらに降圧してマイコンの駆動用電力を生成することを特徴とする。
【0009】
降圧コンバータは入力電圧が低下し出力電圧に近づいてくると作動を停止する。それに対して、昇圧コンバータの場合には入力電圧が低下すると出力電圧との差が大きくなるため、途中で作動が停止することがなく、蓄電部に蓄電されている電力をホロンと使い尽くすまで出力し続けることができる。従って、蓄電部に蓄電されている電力がほとんどゼロになるまでマイコンに電力を供給し続けることができる。
【0010】
なお、上記構成は、上記蓄電部が、電気二重層コンデンサである場合に特に有効である。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、蓄電部の電力を一旦昇圧した後降圧コンバータで降圧してマイコンを作動させるので、蓄電部に蓄電された電力を有効に使用することができ、停電後、LEDが発光し続けることのできる時間を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】天井に埋設されたLED照明器具の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、1は本発明によるLED照明器具(以下、器具という)である。この器具1は浴室の天井CLに埋設されており、浴室内に臨む照明板2には複数のLED(発光ダイオード)が取り付けられている。そして、各LEDから発せられる光によって浴室内を照明する。
【0014】
図2を参照して、器具1の本体ケース11の上面には端子板12が取り付けられており、この端子板12に外部の商用電源からの電力を供給する電灯線13が接続されている。
【0015】
図3を参照して、端子板12の下方であって本体ケース11内には電源部3が収納されている。この電源部3は外部の商用電源から供給される100ボルトの電力を降圧してLEDに供給すると共に、LEDの点灯を制御するマイコンを備えており、かつそのマイコンを駆動するための電力も生成している。
【0016】
図示しない外部の照明スイッチがオンにされると電灯線13を介して外部の商用電源から電力が供給され、照明板2の下面に実装されているLEDが点灯する。この照明スイッチがオンになっている状態で停電などにより外部からの電力の供給が停止した場合、LEDが消灯すると、特に夜間での入浴中であれば浴室から脱衣室に出て着衣することが困難になる。
【0017】
そこで、本発明では器具1内に蓄電部を設け、停電等が生じた場合には蓄電部が蓄電している電力で所定時間点灯を継続するようにした。本実施の形態では、蓄電部として電気二重層コンデンサを用いたものを説明する。
【0018】
図4は通常の通電時に電気二重層コンデンサ4に蓄電された電力によって停電時等にLED8を点灯させる非常時の回路を示している。従って、外部の商用電源からの電力によってLED8を点灯させる通常の点灯回路は省略している。
【0019】
図示しない停電検知回路が停電である旨を検知すると、マイコン5は点灯用の電源を外部電源から電気二重層コンデンサ4に切り替える。図示のように、複数のLED8が直列に接続されているので、LED8の直列回路の両端にはLED1個の点灯電圧を個数倍した電圧を印加する必要がある。そこで、電気二重層コンデンサ4の電圧を昇圧コンバータ6で昇圧してLED8に供給するようにした。そして、昇圧コンバータ6で昇圧された高電圧から降圧コンバータ7によってマイコン5の作動電力を生成するようにした。このように昇圧コンバータ6で一旦電圧を上げた後、その電圧を降圧コンバータ7で降圧することによって、電気二重層コンデンサ4の蓄電する電荷がほとんどゼロになるまでマイコン5を作動させ続けることができる。
【0020】
マイコン5は電圧検知回路41によって電気二重層コンデンサ4の電圧を常時監視している。蓄電されている電力が徐々に減少していくと電気二重層コンデンサ4の両端電圧が低下するので、マイコン5は電気二重層コンデンサ4に蓄電されている電力の残量をモニタすることができる。
【0021】
電気二重層コンデンサ4の蓄電量が十分にある状態では全てのLED8を点灯させるが、外部電力によって点灯させる場合より照度を落として電気二重層コンデンサ4の蓄電量の減少速度を抑えるようにした。具体的には、外部電源からの電力で発光させる場合にはLED8の電流が300mAであるとすると、停電時等には50mAまで減少させるようにした。この電流の減少はLED8に直列に接続されているトランジスタ51によって行うもので、トランジスタ51の動作はマイコン5によって制御される。
【0022】
電気二重コンデンサ4の蓄電量が減少してくると全てのLED8を点灯させ続けられない状態になる。そのまま放置すると全LED8が同時に消灯するので、電気二重層コンデンサ4の両端電圧が予め設定されている第1基準電圧まで低下すると、マイコン5はトランジスタ91をオンにすることにより一部(本実施の形態では2個)のLED8を短絡させ消灯し、残りのLED8を点灯させることにより消費電力を抑制するようにした。
【0023】
その状態でさらに電気二重層コンデンサ4の両端電圧が第2基準電圧まで低下すると、トランジスタ92をオンにすることにより消灯するLED8を増やし、すなわち点灯するLED8の個数を減らして消費電力をさらに削減することとした。そしてさらに両端電圧が第3基準電圧まで低下すると、トランジスタ93をONにさせて最終的に1個のLED8のみを点灯させるようにした。
【0024】
このように、停電のように外部からの電力供給が停止した場合、LED8の電流を抑制すると共に、段階的に点灯するLED8の個数を減少させることによって、たとえ少しの照度であっても長時間LED8が点灯し続けられるようにした。
【0025】
なお、上記実施の形態では、器具1を浴室に取り付けた場合について説明したが、設置場所は浴室に限定させるものではなく、例えばビルの廊下等、他所に設置してもよいことは明白である。
【0026】
このように、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0027】
1 LED照明器具
2 照明板
3 電源部
4 電気二重層コンデンサ
8 LED