特許第6202610号(P6202610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202610
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】故障診断装置及び故障診断方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/18 20060101AFI20170914BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20170914BHJP
   F01N 3/025 20060101ALI20170914BHJP
   F01N 3/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F01N3/18 C
   F01N3/36 A
   F01N3/36 B
   F01N3/025 101
   F01N3/00 F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-160444(P2013-160444)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-31187(P2015-31187A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笠原 弘之
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−315313(JP,A)
【文献】 特開2012−255379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路に噴射する燃料を調量する調量バルブを制御する調量バルブ制御部と、
排気通路に噴射する燃料を前記調量バルブへ送るシャットオフバルブを制御するシャットオフバルブ制御部と、
前記調量バルブの上流で前記シャットオフバルブと前記調量バルブの間に配置された第1の圧力センサから燃料圧力の検出値を取得する調量バルブ上流圧力取得部と、
前記調量バルブの下流側に配置された第2の圧力センサから燃料圧力の検出値を取得する調量バルブ下流圧力取得部と、
前記シャットオフバルブが閉状態であり且つ前記調量バルブが開状態の場合に、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較の結果、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値との差分が所定のしきい値よりも小さい場合は、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサが正常であると判定し、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値との差分が前記所定のしきい値以上の場合は、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサのいずれかに故障が発生していると判定する故障判定部と、
を備えることを特徴とする、故障診断装置。
【請求項2】
前記シャットオフバルブ、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサは、一体の調量ユニットとして構成されていることを特徴とする、請求項に記載の故障診断装置。
【請求項3】
排気通路に噴射する燃料を調量する調量バルブを制御するステップと、
排気通路に噴射する燃料を前記調量バルブへ送るシャットオフバルブを制御するステップと、
前記調量バルブの上流側で前記シャットオフバルブと前記調量バルブの間に配置された第1の圧力センサから燃料圧力の検出値を取得するステップと、
前記調量バルブの下流側に配置された第2の圧力センサから燃料圧力の検出値を取得するステップと、
前記シャットオフバルブが閉状態であり且つ前記調量バルブが開状態の場合に、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値とを比較するステップと、
前記比較するステップによる比較の結果、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値との差分が所定のしきい値よりも小さい場合は、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサが正常であると判定し、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値との差分が前記所定のしきい値以上の場合は、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサのいずれかに故障が発生していると判定する故障を判定するステップと、
を備えることを特徴とする、故障診断方法。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障診断装置及び故障診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される内燃機関の排気ガス中には、窒素酸化物(以下、「NOx」と称する。)や微粒子状物質(以下、「PM(Particulate Matter)」と称する。)が含まれている。このうち、PMを捕集して排気ガスを浄化するための装置としてディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPF」と称する。)がある。DPFは、内燃機関の排気通路に配設され、排気ガスが当該DPFを通過する際に排気ガス中のPMを捕集する。DPFを備えた排気浄化システムでは、DPFの目詰まりを防止するために、DPFの温度を300℃〜600℃程度に上昇させてDPFに堆積したPMを強制的に燃焼させる強制再生制御が適時に行われる。
【0003】
下記の特許文献1には、排気通路に燃料を添加する燃料添加弁を備えたシステムにおいて、燃料添加弁から添加された燃料がDPFに到達したと推定される到達推定時期に排気圧センサによって取得された圧力に基づいて燃料添加弁を診断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−2309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排気通路に適量の燃料を噴射するためには、燃料の圧力に応じて燃料を調量する調量バルブの開弁・閉弁を制御する必要がある。この際、調量バルブの上流の燃料圧力が高い場合は、調量バルブの開弁時間は比較的短い時間に設定される。また、調量バルブの上流の燃料圧力が低い場合は、調量バルブの閉弁時間は比較的長い時間に設定される。
【0006】
このため、排気通路に適量の燃料を噴射するためには、調量バルブ、及び燃料の圧力を検出する圧力センサが正常に動作していることが要求される。しかしながら、特許文献1に記載された技術では、燃料を調量する調量バルブ、及び燃料の圧力を検出する圧力センサの故障を診断することは困難である。また、特許文献1に記載された技術は、排気圧センサによって取得された圧力に基づいて燃料添加弁を診断するものであるが、排気圧センサに異常が発生していた場合は正確な診断ができない問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、排気通路への燃料噴射を制御するバルブ、及び燃料の圧力を検出するセンサの故障を精度良く判定することが可能な、新規かつ改良された故障診断装置及び故障診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、排気通路に噴射する燃料を調量する調量バルブを制御する調量バルブ制御部と、排気通路に噴射する燃料を前記調量バルブへ送るシャットオフバルブを制御するシャットオフバルブ制御部と、前記シャットオフバルブと前記調量バルブの間に配置された第1の圧力センサから燃料圧力の検出値を取得する調量バルブ上流圧力取得部と、前記シャットオフバルブ及び前記調量バルブを所定の状態に制御した状態で、少なくとも前記第1の圧力センサの検出値に基づいて故障を判定する故障判定部と、を備える故障診断装置が提供される。
【0009】
前記調量バルブの下流側に配置された第2の圧力センサから燃料圧力の検出値を取得する調量バルブ下流圧力取得部と、前記シャットオフバルブが閉状態であり且つ前記調量バルブが開状態の場合に、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値とを比較する比較部と、を備え、前記故障判定部は、前記比較部による比較の結果に基づいて、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサのいずれかに故障が発生しているか否かを判定するものであっても良い。
【0010】
また、前記故障判定部は、前記比較部による比較の結果、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値との差分が所定のしきい値よりも小さい場合は、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサが正常であると判定し、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値との差分が前記所定のしきい値以上の場合は、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサのいずれかに故障が発生していると判定するものであっても良い。
【0011】
また、前記シャットオフバルブが開状態であり且つ前記調量バルブが閉状態の場合に、前記第1の圧力センサの検出値と所定のしきい値とを比較する比較部を備え、前記故障判定部は、前記比較部による比較の結果に基づいて、前記シャットオフバルブ、前記第1の圧力センサ及び前記シャットオフバルブに燃料を供給する燃料回路のいずれかに故障が発生しているか否かを判定するものであっても良い。
【0012】
また、前記故障判定部は、前記比較部による比較の結果、前記第1の圧力センサの検出値が前記所定のしきい値を超えている場合は、前記シャットオフバルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記燃料回路が正常であると判定し、前記第1の圧力センサの検出値が前記所定のしきい値以下の場合は、前記シャットオフバルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記燃料回路のいずれかに故障が発生していると判定するものであっても良い。
【0013】
また、前記シャットオフバルブ、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサは、一体の調量ユニットとして構成されているものであっても良い。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、排気通路に噴射する燃料を調量する調量バルブを制御するステップと、排気通路に噴射する燃料を前記調量バルブへ送るシャットオフバルブを制御するステップと、前記シャットオフバルブと前記調量バルブの間に配置された第1の圧力センサから燃料圧力の検出値を取得するステップと、前記シャットオフバルブ及び前記調量バルブを所定の状態に制御した状態で、少なくとも前記第1の圧力センサの検出値に基づいて故障を判定するステップと、を備える、故障診断方法が提供される。
【0015】
前記調量バルブの下流側に配置された第2の圧力センサから燃料圧力の検出値を取得するステップと、前記シャットオフバルブが閉状態であり且つ前記調量バルブが開状態の場合に、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値とを比較するステップと、備え、前記故障を判定するステップは、前記比較するステップによる比較の結果に基づいて、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサのいずれかに故障が発生しているか否かを判定するものであっても良い。
【0016】
また、前記故障を判定するステップは、前記比較するステップによる比較の結果、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値との差分が所定のしきい値よりも小さい場合は、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサが正常であると判定し、前記第1の圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値との差分が前記所定のしきい値以上の場合は、前記調量バルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記第2の圧力センサのいずれかに故障が発生していると判定するものであっても良い。
【0017】
また、前記シャットオフバルブが開状態であり且つ前記調量バルブが閉状態の場合に、前記第1の圧力センサの検出値と所定のしきい値とを比較するステップを備え、前記故障を判定するステップは、前記比較するステップによる比較の結果に基づいて、前記シャットオフバルブ、前記第1の圧力センサ及び前記シャットオフバルブに燃料を供給する燃料回路のいずれかに故障が発生しているか否かを判定するものであっても良い。
【0018】
また、前記故障を判定するステップは、前記比較するステップによる比較の結果、前記第1の圧力センサの検出値が前記所定のしきい値を超えている場合は、前記シャットオフバルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記燃料回路が正常であると判定し、前記第1の圧力センサの検出値が前記所定のしきい値以下の場合は、前記シャットオフバルブ、前記第1の圧力センサ、及び前記燃料回路のいずれかに故障が発生していると判定するものであっても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、排気通路への燃料噴射を制御するバルブ、及び燃料の圧力を検出するセンサの故障を精度良く判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態にかかるシステムの全体構成を示す模式図である。
図2】調量ユニット及び噴射ユニットの構成を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態のシステムに備えられる制御装置の構成を示す模式図である。
図4】制御装置による処理の流れを示すフローチャートである。
図5】制御装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
1.排気浄化システム
(1)全体構成
図1は、本実施形態にかかるシステム100の全体構成を示している。このシステム100は、DPF22を有する排気浄化ユニット20と、DPF22の強制再生制御、燃料のパージ制御を含む動作制御を行う制御装置(DCU;Dosing Control Unit)60を含んでいる。このシステム100は、内燃機関5からの排気ガス中に含まれるPMをDPF22によって捕集する機能を有している。
【0023】
また、システム100は、内燃機関5と、内燃機関5を制御するECU(Electronic Control Unit)8を備えている。排気浄化ユニット20は、酸化触媒21とDPF22とを排気上流側から順次に備えている。内燃機関5から排出された排気ガスは、排気管11に送られ、酸化触媒21、DPF22を通過して外部へ排出される。なお、DPF22の下流には、SCR触媒(不図示)を配置することができる。
【0024】
また、システム100は、軽油などの燃料を貯蔵する燃料タンク30と、燃料タンク30内の燃料を内燃機関5、及び排気浄化ユニット20へ供給する燃料ポンプ32と、燃料に含まれる異物等を除去するための燃料フィルタ34と、を備えている。燃料タンク30内の燃料は、燃料ポンプ32により燃料供給管36を通って燃料フィルタ34へ送られ、更に燃料供給管38を通って排気浄化ユニット20へ送られる。また、燃料タンク30内の燃料は、燃料供給管37を通って内燃機関5へ燃料を供給するコモンレール(不図示)に送られる。燃料供給管37に送られた燃料は、高圧ポンプ(不図示)によりその圧力が高められてコモンレールに送られる。このため、この高圧ポンプよりも上流の燃料の経路を低圧燃料回路、高圧ポンプよりも下流のコモンレール側の燃料の経路を高圧燃料回路と称する。コモンレールに送られた燃料のうち、余剰分の燃料は燃料回収管39を通って燃料タンク30に戻される。
【0025】
(2)排気浄化ユニット
排気浄化ユニット20の構成要素のうち、酸化触媒21は、内燃機関5でのポスト噴射等によって排気管11内に供給された未燃燃料を酸化し、酸化熱を発生させる。酸化触媒21は、公知のもの、例えば、アルミナに白金を担持させたものに所定量のセリウム等の希土類元素を添加したものを用いることができる。
【0026】
また、DPF22は、排気ガスがDPF22を通過する際に排気ガス中のPM(微粒子状物質)を捕集する。DPF22は、公知のもの、例えば、セラミック材料から構成されたハニカム構造のフィルタを用いることができる。酸化触媒21で発生した酸化熱によりDPF22に流入する排気ガスが昇温し、DPF22が加熱される。これにより、DPF22が捕集したPMが燃焼し、DPF22の強制再生制御が行われる。
【0027】
排気浄化ユニット20は、酸化触媒21の上流及び下流にそれぞれ温度センサ50,52を備え、また、DPF22の上流及び下流の圧力をそれぞれ検出する圧力センサ54を備えている。これらセンサの検出値は制御装置60に送られて、それぞれの位置での圧力や温度が検出される。なお、演算によって推定可能であるならば、これらのセンサは省略可能である。
【0028】
本実施形態のシステム100では、DPF22に堆積したPMを強制的に燃焼させる強制再生制御が適時行われる。強制再生制御は、圧力センサ54により検出されたDPF22の上流と下流の圧力の差分が大きくなったときに行われる。圧力の差分が大きいほど、DPF22に捕集されたPMの蓄積量が多くなるためである。
【0029】
強制再生制御では、DPF22を300℃〜600℃程度に昇温させるため、DPF22及び酸化触媒21の上流から燃料が噴射される。このため、本実施形態のシステム100は、酸化触媒21の上流の排気管11に燃料を噴射する噴射ユニット80と、噴射ユニット80による燃料の噴射量を調量する調量ユニット70を備えている。
【0030】
強制再生制御を行う場合、内燃機関5での吸気絞り、ポスト噴射等によって排気ガス温度が昇温する。排気ガス温度が昇温すると、噴射ユニット80から燃料が噴射され、酸化触媒21における更なる燃焼が行われる。この際、DPF22に流入する排気ガスの温度が300℃〜600℃程度となるように、調量ユニット70により噴射量が調量される。これにより、酸化触媒21での燃焼により高温となった排気ガスがDPF22へ流入し、DPF22内のPMが燃焼する。噴射ユニット80からの燃料噴射による強制再生制御は、DPF22が捕集したPMの量に応じて、例えば15分〜30分程度行われる。
【0031】
(3)調量ユニット及び噴射ユニット
図1に示すように、調量ユニット70及び噴射ユニット80は、燃料供給管38に設けられている。図2は、調量ユニット70及び噴射ユニット80の構成を示す模式図である。調量ユニット70は、燃料が流れる方向の上流側から順に、シャットオフバルブ72、第1のセンサユニット74、調量バルブ76、第2のセンサユニット78を有して構成されている。
【0032】
シャットオフバルブ72は、調量ユニット70による燃料の調量を行う際に開かれ、調量を行わない場合に閉じられるバルブである。具体的には、シャットオフバルブ72は、DPF22の強制再生制御を行う場合に開かれ、強制再生制御を行わない場合に閉じられる。
【0033】
調量バルブ76は、噴射ユニット80から排気管11へ燃料を噴射する際の噴射量を調量するバルブである。調量バルブ76は、制御装置60から送られるPWM信号に基づいて、DUTY駆動され、噴射ユニット80へ送る燃料量を調量する。
【0034】
第1のセンサユニット74は、調量バルブ76の上流側の燃料の圧力を測定する圧力センサと、調量バルブ76の上流側の燃料の温度を測定する温度センサとを含むユニットである。調量バルブ76による燃料の調量は、同じ燃料量を供給する場合、調量バルブ76の上流側の燃料圧力が高い場合は調量バルブ76の開弁時間が短く設定され、調量バルブ76の上流側の燃料圧力が低い場合は調量バルブ76の開弁時間が長くなるように設定される。
【0035】
第2のセンサユニット78は、調量バルブ76の下流側の燃料の圧力を測定する圧力センサである。第2のセンサユニット78は、主に故障診断用のセンサユニットとして設けられている。第2のセンサユニット78による故障診断については後述するが、調量バルブ76を開弁する制御が行われているにも関わらず、第2のセンサユニット78で測定される圧力が第1のセンサユニット74で測定される圧力よりも低い場合は、調量バルブ76が故障により閉じているか、第1のセンサユニット74又は第2のセンサユニット78が故障していると判定される。また、調量バルブ76が閉じている状態で第2のセンサユニット78で測定される圧力が大気圧と同等である場合は、調量ユニット70の下流で燃料供給管38が破損していることが考えられ、故障していると判定される。
【0036】
噴射ユニット80は、調量ユニット70から送られる燃料の圧力に応じて開弁する機械式のバルブである。噴射ユニット80は、バルブ82と圧縮バネ84を備え、調量ユニット70から送られる燃料の圧力が圧縮バネ84の付勢力を超えるとバルブ82が開弁するように構成されている。噴射ユニット80には内燃機関5の冷却水が循環しており、噴射ユニット80の温度は冷却水の温度(80℃程度)に維持されている。
【0037】
(4)制御装置
次に、図3を参照して、本実施形態のシステム10に備えられる制御装置60を、バルブ制御部62と、バルブ上流圧力取得部64と、バルブ下流圧力取得部66と、比較部68と、故障判定部69と、に大別して、具体的に説明する。これらの各部は、具体的にはマイクロコンピュータによるプログラムの実行によって実現される。すなわち、図3は、システム10に備えられた制御装置60のうち、調量ユニット70の故障診断に関する部分を、機能的なブロックで表した構成例である。
【0038】
バルブ制御部62は、シャットオフバルブ72と調量バルブ76のそれぞれの開弁、閉弁動作を制御する。上述した強制再生制御を行う場合、バルブ制御部62は、シャットオフバルブ72を開き、調量バルブ76をPWM制御する。
【0039】
バルブ上流圧力取得部64は、第1のセンサユニット74から、調量バルブ76の上流側の燃料圧力の検出値を取得する。また、バルブ下流圧力取得部66は、第2のセンサユニット78から、調量バルブ76の下流側の燃料圧力の検出値を取得する。
【0040】
比較部68は、バルブ上流圧力取得部64が取得した調量バルブ76の上流側の第1のセンサユニット74の燃料圧力のセンサ値と、バルブ下流圧力取得部66が取得した調量バルブ76の下流側の第2のセンサユニット78の燃料圧力のセンサ値と、を比較する。また、比較部68は、バルブ上流圧力取得部64が取得した第1のセンサユニット74の燃料圧力のセンサ値と、所定のしきい値とを比較する。
【0041】
故障判定部69は、比較部68による比較の結果に基づいて、故障判定を行う。この際、故障判定部69は、比較部68による比較の結果、調量バルブ76の上流側の燃料圧力の検出値と調量バルブ76の下流側の燃料圧力の検出値とが一致する場合は、調量バルブ76、第1のセンサユニット74、及び第2のセンサユニット78が全て正常であると判定する。一方、故障判定部69は、比較部68による比較の結果、調量バルブ76の上流側の燃料圧力の検出値と調量バルブ76の下流側の燃料圧力の検出値とが一致しない場合は、調量バルブ76、第1のセンサユニット74、及び第2のセンサユニット78の少なくとも1つに故障が発生していると判定する。
【0042】
次に、図4のフローチャートを参照して、制御装置60による故障判定の処理の流れを説明する。先ず、ステップS10では、シャットオフバルブ72及び調量バルブ76を閉じる。次のステップS12では、シャットオフバルブ72を閉じた状態で調量バルブ76を開く。次のステップS14では、第1のセンサユニット74により検出された調量バルブ76の上流側の燃料圧力と、第2のセンサユニット78により検出された調量バルブ76の下流側の燃料圧力とを比較する。具体的には、第1のセンサユニット74により検出された調量バルブ76の上流側の燃料圧力と、第2のセンサユニット78により検出された調量バルブ76の下流側の燃料圧力との差分の絶対値を計算し、この絶対値が所定のしきい値よりも小さいか否かを判定する。そして、絶対値がしきい値よりも小さい場合はステップS16へ進む。
【0043】
ステップS16では、所定の判定時間(t1)を経過したか否かを判定し、判定時間(t1)を経過した場合はステップS18へ進む。一方、判定時間(t1)を経過していない場合はステップS14へ戻る。ステップS18へ進んだ場合、判定時間(t1)の間、調量バルブ76の上流側の燃料圧力と調量バルブ76の下流側の燃料圧力との差分の絶対値が所定のしきい値よりも小さかったため、調量バルブ76は正常に開かれていると考えられる。また、第1のセンサユニット74と第2のセンサユニット78の双方の燃料圧力の検出値も一致しており、第1のセンサユニット74と第2のセンサユニット78は正常であると考えられる。従って、調量バルブ76、第1のセンサユニット74又は第2のセンサユニット78に故障は生じておらず、ステップS18では正常判定を行う。ステップS18の判定後は、処理を終了する(END)。
【0044】
一方、ステップS14で調量バルブ76の上流側の燃料圧力と調量バルブ76の下流側の燃料圧力との差分の絶対値が所定のしきい値以上の場合は、ステップS20へ進む。ステップS20では、所定の判定時間(t2)を経過したか否かを判定し、判定時間(t2)を経過した場合はステップS22へ進む。一方、所定の判定時間(t2)を経過していない場合はステップS14へ戻る。ステップS22へ進んだ場合、判定時間(t2)の間、調量バルブ76の上流側の燃料圧力と調量バルブ76の下流側の燃料圧力との差分の絶対値が所定のしきい値以上であったため、第1のセンサユニット74と第2のセンサユニット78の双方の燃料圧力の検出値が一致していない。このため、調量バルブ76が正常に開いていないか、若しくは、第1のセンサユニット74又は第2のセンサユニット78の少なくとも一方に故障が発生していると考えられる。従って、ステップS22では故障判定を行う。ステップS22の判定後は、処理を終了する(END)。
【0045】
以上のように、図4の処理によれば、シャットオフバルブ72を閉じ、且つ調量バルブ76を開いた状態で、調量バルブ76の上流側の燃料圧力と調量バルブ76の下流側の燃料圧力との差分が所定のしきい値以上の場合は、調量バルブ76、第1のセンサユニット74又は第2のセンサユニット78のいずれかに故障が発生していることを判定できる。従って、故障判定が行われた場合は、調量ユニット70を交換することで、故障から回復することが可能となる。
【0046】
次に、シャットオフバルブ72及び調量バルブ76を共に閉じた状態からシャットオフバルブ72のみを開き、第1のセンサユニット74で得られた燃料圧力の検出値を所定のしきい値と比較して、第1のセンサユニット74、シャットオフバルブ72、又は調量ユニット70に燃料を供給する低圧燃料回路(コモンレールシステム側)、のいずれかの故障を診断する手法について説明する。
【0047】
図5は、制御装置60による故障判定の処理の流れを示すフローチャートである。先ず、ステップS30では、シャットオフバルブ72及び調量バルブ76を閉じる。次のステップS32では、調量バルブ76を閉じた状態でシャットオフバルブ72を開く。次のステップS34では、所定の判定時間(t3)が経過したか否かを判定し、所定の判定時間(t3)が経過した場合はステップS36へ進む。一方、所定の判定時間(t3)が経過していない場合はステップS34で待機する。
【0048】
ステップS36では、第1のセンサユニット74により検出された調量バルブ76の上流側の燃料圧力と所定のしきい値とを比較し、調量バルブ76の上流側の燃料圧力が所定のしきい値を超えているか否かを判定する。そして、ステップS36で調量バルブ76の上流側の燃料圧力が所定のしきい値を超えていた場合は、ステップS38へ進む。この場合、シャットオフバルブ72が開かれているため、第1のセンサユニット74は、正常な状態であれば燃料供給管38から供給される燃料の圧力を検出し、検出された圧力は所定のしきい値よりも大きくなる。従って、第1のセンサユニット74により検出された燃料圧力が所定のしきい値を超えている場合は、シャットオフバルブ72が正常に開いており、且つ第1のセンサユニット74による燃料圧力の検出値も正常な値であると考えられる。従って、ステップS38では、正常判定を行う。ステップS38の後は処理を終了する(END)。
【0049】
一方、ステップS36で第1のセンサユニット74により検出された調量バルブ76の上流側の燃料圧力が所定のしきい値以下の場合は、ステップS40へ進む。ステップS40では、所定の判定時間(t4)が経過したか否かを判定し、所定の判定時間(t4)が経過した場合はステップS42へ進む。一方、所定の判定時間(t4)が経過していない場合はステップS36へ戻る。
【0050】
ステップS42へ進んだ場合は、所定の判定時間(t4)の間、第1のセンサユニット74により検出された調量バルブ76の上流側の燃料圧力が所定のしきい値以下であったことになる。このため、第1のセンサユニット74に故障が発生しているか、シャットオフバルブ72が閉じた状態で固着しているか、又は低圧燃料回路の不具合により燃料供給管38へ燃料が正常に供給されていない、といった故障が生じていることが想定される。従って、ステップS42では、故障判定を行う。ステップS42の後は処理を終了する(END)。
【0051】
以上のように、図5の処理によれば、シャットオフバルブ72を開き、且つ調量バルブ76を閉じた状態で、調量バルブ76の上流側の燃料圧力が所定のしきい値以下の場合は、シャットオフバルブ72、第1のセンサユニット74又は低圧燃料回路のいずれかに故障が発生していることを判定できる。従って、故障判定が行われた場合は、調量ユニット70の交換、又は低圧燃料回路の修復を行うことで、故障から回復することが可能となる。
【0052】
以上説明したように本実施形態によれば、調量ユニット70の調量バルブ76を開き、シャットオフバルブ72を閉じた状態で、第1のセンサユニット74、第2のセンサユニット78が検出した圧力を比較する。そして、第1のセンサユニット74が検出した圧力と第2のセンサユニット78が検出した圧力とが一致しない場合は、第1のセンサユニット74の検出値、第2のセンサユニット78の検出値、または調量バルブ76のいずれかに異常が生じていると判定することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、調量ユニット70のシャットオフバルブ72を開き、調量バルブ76を閉じた状態で、第1のセンサユニット74で検出された燃料圧力と所定のしきい値を比較する。そして、第1のセンサユニット74で検出された燃料圧力が所定の閾値を超えている場合は、シャットオフバルブ72、第1のセンサユニット74、及び低圧燃料回路が正常であると判定することができる。また、第1のセンサユニット74で検出された燃料圧力が所定のしきい値以下である場合は、第1のセンサユニット74、シャットオフバルブ72、又は低圧燃料回路のいずれかに異常が生じていることを判定することが可能となる。
【0054】
なお、本発明の実施形態の故障診断装置においては、図4のフローチャートに示す故障診断、又は、図5のフローチャートに示す故障診断のいずれか一方を実行可能に構成されていてもよく、あるいは、両方の故障診断を順次実行可能に構成されていてもよい。
図4に示す故障診断、及び図5に示す故障診断をともに実行する場合において、図5の故障診断を先に実行すると調量バルブ76の上流側の燃料圧力が昇圧されるため、引き続き図4の故障診断を実行する際に調量バルブ76が開かれて、燃料が排気管11に噴射されることとなる。したがって、排気管11に噴射される燃料を低減するためには、図4に示す故障診断を先に実行することが好ましい。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0056】
60 制御装置
62 バルブ制御部
64 バルブ上流圧力取得部
66 バルブ下流圧力取得部
68 比較部
69 故障判定部
70 調量ユニット
72 シャットオフバルブ
74 第1のセンサユニット
76 調量バルブ
78 第2のセンサユニット
図1
図2
図3
図4
図5