特許第6202622号(P6202622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202622
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】テープタイプ使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/62 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   A61F13/62 100
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-25261(P2014-25261)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-150123(P2015-150123A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】徳永 幸子
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−50541(JP,A)
【文献】 特開2008−79641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向中央から前側に延在する腹側部分と、後側に延在する背側部分と、背側部分の両側部から突出するファスニングテープと、腹側部分の外面に設けられたターゲットテープとを有し、
身体への装着に際して、ファスニングテープを左右両側から腹側に回してターゲットテープ外面に着脱自在に連結する、テープタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記ターゲットテープにおける幅方向中央部は腹側部分の外面に固定され、かつその両側に延在するサイド部は折り畳まれた状態に固定されるとともに、その固定を解放することにより折り畳まれた状態から展開可能とされている、
ことを特徴とする、テープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記ファスニングテープは、先端部にメカニカルファスナーのフック材が設けられており、
前記ターゲットテープは、表裏少なくとも一方の面が前記フック材の係止可能面とされており、
前記ターゲットテープのサイド部は、前記折り畳まれた状態で前記係止可能面と対向する面に固定されたメカニカルファスナーのフック材が前記係止可能面に係止されることにより、前記折り畳まれた状態に固定されるとともに、その固定を解放することにより折り畳まれた状態から展開可能とされている、請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記ターゲットテープのサイド部は腹側部分の外面との間に折り込まれ、かつこの内側に折り込まれた状態に固定されるとともに、その固定を解放することにより折り畳まれた状態から展開可能とされている、請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項4】
前後方向中央から前側に延在する腹側部分と、後側に延在する背側部分と、背側部分の両側部から突出するファスニングテープと、腹側部分の外面に設けられたターゲットテープとを有し、
身体への装着に際して、ファスニングテープを左右両側から腹側に回してターゲットテープ外面に着脱自在に連結する、テープタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記ターゲットテープは、前記腹側部分における幅方向両端部にわたり設けられており、
前記腹側部分における幅方向両側の前記ターゲットテープを有するサイド部分が折り畳まれた状態に固定されるとともに、その固定を解放することにより折り畳まれた状態から展開可能とされている、
ことを特徴とする、テープタイプ使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープタイプ使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なテープタイプ使い捨ておむつは、前後方向中央から前側に延在する腹側部分と、後側に延在する背側部分と、背側部分の両側部から突出するファスニングテープと、腹側部分の外面に設けられたターゲットテープとを有し、身体への装着に際して、ファスニングテープを左右両側から腹側に回してターゲットテープ外面に着脱自在に連結する構造を有している(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
このようなテープタイプ使い捨ておむつは、乳幼児向けとして用いられる他、介護用途(成人用途)で広く使用されており、ターゲットテープ外面におけるファスニングテープの連結位置を適宜調整することにより、ウエスト周りの寸法を調整できるという利点を有している。
【0004】
しかし、従来の一般的なテープタイプ使い捨ておむつは、ターゲットテープの長さが変化するものではないため、ウエスト周りの寸法を調整するために、ターゲットテープにおけるファスニングテープの連結位置を調整するといっても、ターゲットテープの初期寸法範囲に制限され、特に製品が想定する寸法よりも若干大きいウエスト寸法の場合に対応し難いものであった。
【0005】
この問題点は、ファスニングテープを伸縮性としたり、ファスニングテープを胴回り方向に折り畳んで固定し、必要に応じて折り畳み部分を広げることが可能なように構成したり(特許文献1参照)することが提案されているが、いずれもウエスト周りの寸法を大きくしたときにはファスニングテープの長さが長くなり、ターゲットテープに対する連結が外れやすくなったり、おむつの腹側が背側に対して又は背側が腹側に対してずり落ち易くったりするおそれがある。また、前者の場合は、大きく伸長させると締め付けがきつくなるという問題もある。
【0006】
別の解決手法としては、単にターゲットテープの幅を拡大したりすることも考えられるが、その場合、装着者のウエスト寸法がおむつのサイズに適合している場合や、おむつの寸法がやや大きい場合には、ターゲットテープの幅方向両側の余り(不用)部分が長くなり、この余り部分による硬質化により、装着者に違和感をもたらすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−321269号公報
【特許文献2】特開2011−193971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、ファスニングテープの長さ調節に頼らずにウエスト周りの寸法調節が可能となり、かつ装着者に違和感をもたらし難いテープタイプ使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
【0010】
<請求項1記載の発明>
前後方向中央から前側に延在する腹側部分と、後側に延在する背側部分と、背側部分の両側部から突出するファスニングテープと、腹側部分の外面に設けられたターゲットテープとを有し、
身体への装着に際して、ファスニングテープを左右両側から腹側に回してターゲットテープ外面に着脱自在に連結する、テープタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記ターゲットテープにおける幅方向中央部は腹側部分の外面に固定され、かつその両側に延在するサイド部は折り畳まれた状態に固定されるとともに、その固定を解放することにより折り畳まれた状態から展開可能とされている、
ことを特徴とする、テープタイプ使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
本発明では、発想を転換して、ターゲットテープの折り畳み及び展開により幅を変化させ、ウエスト周りの寸法調整を行うものとした。これにより、従来のファスニングテープを折り畳むもののように、ターゲットテープに対する連結が外れ難くなり、おむつの腹側が背側に対して又は背側が腹側に対してずり落ち難くなる。また、ターゲットテープを伸縮させるのではなく、ターゲットテープのサイド部の折り畳み及び展開により幅を変化させるものであるため、装着者のウエスト寸法がおむつのサイズに適合している場合や、おむつの寸法がやや大きい場合であっても、ターゲットテープの幅方向両側の余り(不用)部分が長くならず、装着者に違和感をもたらすおそれが少ないものとなる。
【0012】
<請求項2記載の発明>
前記ファスニングテープは、先端部にメカニカルファスナーのフック材が設けられており、
前記ターゲットテープは、表裏少なくとも一方の面が前記フック材の係止可能面とされており、
前記ターゲットテープのサイド部は、前記折り畳まれた状態で前記係止可能面と対向する面に固定されたメカニカルファスナーのフック材が前記係止可能面に係止されることにより、前記折り畳まれた状態に固定されるとともに、その固定を解放することにより折り畳まれた状態から展開可能とされている、請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0013】
(作用効果)
ファスニングテープをターゲットテープに着脱自在に固定する手段としては粘着剤も用いられているが、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフック材(雄材)が、固定力が強いことや、着脱を繰り返しても固定力が低下しないことから広く用いられている。よって、敢えてこのようなテープタイプ使い捨ておむつを対象とし、ターゲットテープの折り畳み固定手段として、メカニカルファスナーのフック材を用いると、ターゲットテープの折り畳み状態での固定を強固かつ容易に行うことができるため好ましい。
【0014】
<請求項3記載の発明>
前記ターゲットテープのサイド部は腹側部分の外面との間に折り込まれ、かつこの内側に折り込まれた状態に固定されるとともに、その固定を解放することにより折り畳まれた状態から展開可能とされている、請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0015】
(作用効果)
ターゲットテープのサイド部は外側に折り返すようにして折り畳むこともできるが、腹側部分外面との間に(内側に)折り込むようにして折り畳むと、折り畳み固定が不用意に外れ難い、折り畳み状態に固定する手段をターゲットテープの裏側に隠すことができる、等の利点があるため好ましい。
【0016】
<請求項4記載の発明>
前後方向中央から前側に延在する腹側部分と、後側に延在する背側部分と、背側部分の両側部から突出するファスニングテープと、腹側部分の外面に設けられたターゲットテープとを有し、
身体への装着に際して、ファスニングテープを左右両側から腹側に回してターゲットテープ外面に着脱自在に連結する、テープタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記ターゲットテープは、前記腹側部分における幅方向両端部にわたり設けられており、
前記腹側部分における幅方向両側の前記ターゲットテープを有するサイド部分が折り畳まれた状態に固定されるとともに、その固定を解放することにより折り畳まれた状態から展開可能とされている、
ことを特徴とする、テープタイプ使い捨ておむつ。
【0017】
(作用効果)
本発明では、発想を転換して、腹側部分における幅方向両側のターゲットテープを有する腹側サイド部の折り畳み及び展開により腹側部分及びターゲットテープの幅を変化させ、ウエスト周りの寸法調整を行うものとした。これにより、従来のファスニングテープを折り畳むもののように、ターゲットテープに対する連結が外れ難くなり、おむつの腹側が背側に対して又は背側が腹側に対してずり落ち難くなる。また、ターゲットテープを伸縮させるのではなく、腹側サイド部の折り畳み及び展開により腹側部分及びターゲットテープの幅を変化させるものであるため、装着者のウエスト寸法がおむつのサイズに適合している場合や、おむつの寸法がやや大きい場合であっても、ターゲットテープの幅方向両側の余り(不用)部分が長くならず、装着者に違和感をもたらすおそれが少ないものとなる。
【発明の効果】
【0018】
以上のとおり、本発明によれば、ファスニングテープの長さ調節に頼らずにウエスト周りの寸法調節が可能となり、かつ装着者に違和感をもたらし難いテープタイプ使い捨ておむつとなる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
図2】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。
図3図1のiii-iii断面図である。
図4図1のiv-iv断面図である。
図5図1のii-ii断面図である。
図6】要部の展開状態の外面側を示す平面図である。
図7】他の形態における要部の展開状態の外面側を示す平面図である。
図8】他の形態における図1のii-ii断面相当の断面図である。
図9】他の形態における図1のii-ii断面相当の断面図である。
図10】テープタイプ使い捨ておむつの装着状態を概略的に示す斜視図である。
図11】テープタイプ使い捨ておむつの装着状態を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、ホットメルト接着剤等の接合手段及びそれによる接合箇所のうち説明上必要と認めた箇所については、図中に点模様を付して表現している。
図1図6は、テープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。このテープタイプ使い捨ておむつは、液不透過性シート1の内面と、透液性トップシート2との間に、吸収体3が介在された基本構造を有している。
【0021】
(吸収体)
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。図示形態の吸収体3は一層構造とされているが、下層吸収体とその上に積層された上層吸収体とからなる二層構造であっても良い。また、必要に応じて、吸収体3はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のような砂時計形状の他、長方形等のように、股間部の前側から後側まで延在する形状が好適である。吸収体3におけるパルプ目付けは100〜500g/m2程度、厚みは1〜15mm程度であるのが望ましい。また、高吸水性樹脂の目付けは0〜300g/m2程度であるのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が少な過ぎると、十分な吸収能を与えることができず、多過ぎるとパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、ヨレや割れ等が発生し易くなる。
【0022】
(液不透過性シート)
液不透過性シート1は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3に吸収された排泄物の裏面側への移動を遮断するものである。液不透過性シート1としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。液不透過性シート1の単位面積あたりの重量は13〜40g/m2であるのが好ましく、厚みは0.01〜0.1mmであるのが好ましい。
【0023】
おむつ外面を布のような外観、肌触りとするために、液不透過性シート1の裏面全体は外装シート12で覆われており、両シート1,12の外周縁はおむつの外周縁まで及んでいる。外装シート12としては各種の不織布を用いることができるが、スパンボンド不織布が好適である。外装シート12は省略することもできる。
【0024】
(トップシート)
トップシート2としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。透液性トップシート2に用いる不織布の繊維目付けは15〜30g/m2であるのが好ましく、厚みは0.05〜1mmであるのが好ましい。
【0025】
トップシート2は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3側縁より外側に延在する部分が液不透過性シート1にホットメルト接着剤等により固着されている。なお、図中の点模様は固着部分を表しているものである。
【0026】
(脚周り立体ギャザー)
図3図5にも示されるように、物品内面の両側部(図示形態ではトップシート2の側縁部表面からその側方に延在する液不透過性シート1の表面)には、脚周り立体ギャザー4を構成する脚周り立体ギャザーシート4sの幅方向外側の付根部分4xが前後方向全体にわたり貼り付けられている。脚周り立体ギャザーシート4sは、各種不織布(スパンボンド不織布が好適である)の他、液不透過性シートに用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好適である。脚周り立体ギャザーシート4sの幅方向中央側の突出部分4cは、前後方向両端部では倒伏状態で物品内面(図示形態ではトップシート2表面)にホットメルト接着剤等の手段により固着され、倒伏部分とされているが、これらの間の中間部は非固定の自由部分となっており、この自由部分の先端部等(展開状態における幅方向中央側の端部)には、細長状弾性伸縮部材4Gが前後方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性伸縮部材4Gは図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。細長状弾性伸縮部材4G(他の細長状弾性伸縮部材も同様)としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。この自由部分は、細長状弾性伸縮部材4Gの収縮力が作用する結果、図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する脚周り立体ギャザーを構成する。この起立部分の基端4bは脚周り立体ギャザー4における幅方向外側の固定部分4xと内側の部分4cとの境に位置する。
【0027】
使い捨ておむつの前後方向両端部では、液不透過性シート1、外装シート12、透液性トップシート2および脚周り立体ギャザーシート4sが吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。一方、使い捨ておむつの左右両側部では、液不透過性シート1、外装シート12、透液性トップシート2および脚周り立体ギャザーシート4sが吸収体3の側縁よりも側方にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないサイドフラップ部SFが形成されている。サイドフラップ部SFのうち腹側部分Fのウエスト側部分及び背側部分Bのウエスト側部分にそれぞれ位置する部分は、それらの間の中間部分よりも側方に延出されており、これらの部分が、おむつの胴回り部分となり、中間部分が脚周り包囲部分LHとなり、その両側縁が脚開口の縁Leとなる。
【0028】
(平面ギャザー)
サイドフラップ部SFの前後方向中間部には、液不透過性シート1と外装シート12との間に細長状弾性部材7が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この細長状弾性部材7の収縮によりサイドフラップ部SFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。
【0029】
左右各側における細長状弾性部材7の本数は適宜定めることができるが、1〜10本程度、より好ましくは3〜8本程度が適当であり、複数本とする場合には、その間隔は2〜15mm程度、特に6〜10mm程度とするのが好ましい。また、各細長状弾性部材7としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各細長状弾性部材7の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
【0030】
(ファスニングテープ)
背側部分Bのサイドフラップ部SFには、その側縁からそれぞれ突出するファスニングテープ5が取り付けられるとともに、腹側部分Fの胴回り部表面に幅方向に沿ってターゲットテープ6が貼着されており、身体への装着に際しては、おむつ100を身体にあてがった状態で、両側のファスニングテープ5を左右各側から腹側に回してターゲットテープ6に連結する。
【0031】
図7に示されるように、ファスニングテープ5は、背側部分Bのウエスト側サイドフラップ部SFにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部5fと、サイドフラップ部SFの側縁のシート間から幅方向外側に突出する突出部5eとを有しており、この突出部5eは先端部5pと、この先端部5pよりも基端側の本体部5bとを有している。ファスニングテープ5の先端部5pの内面側(トップシート2側)には、ターゲットテープ6との連結のための固定部として、表面にフック状突起を多数有するフック材(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雄材)9,9がそれぞれ取り付けられているが、フック材9に代えて粘着剤層を用いることもできる。
【0032】
また、図5に示されるように、ファスニングテープ5には、上下方向中間部における幅方向外側縁から本体部5b内まで幅方向に沿うミシン目10が設けられており、このミシン目10を切り離すことにより、図10に示すように各々が固定部、本体部、先端部及び固定部を備えた上段部5W及び下段部5Uに分離することができるものである。ミシン目10に代えて、予め切断等により分離されていても良い。このようなファスニングテープ5は、図10に示すように、上段部5Wと下段部5Uとを交差させた状態で、腹側部分Fのターゲットテープ6に着脱自在に連結することができる。もちろん、このような上下2段分割タイプに限られず、2段分割しないタイプ等、他の公知のファスニングテープに応用することもできる。
【0033】
(ターゲットテープ)
ターゲットテープ6は、ファスニングテープ5の着脱を確実容易にするためのものであり、ファスニングテープ5の固定部がフック材9により形成されている場合には、フック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するシート材、例えばメカニカルファスナー(面ファスナー)の雌材や不織布を用いることができ、フック材9ではなく粘着剤層を用いる場合には、その粘着性を十分に発揮させうる樹脂シートを用いたりすることができる。
【0034】
特徴的には、図5(a)及び図6(a)に示すように、ターゲットテープ6における幅方向中央部6Cは腹側部分Fの外面に固定され、かつその両側に延在するサイド部6Sは折り畳まれた状態に固定されるとともに、その固定を解放することにより、図5(b)及び図6(b)に示すように折り畳まれた状態から展開可能とされている。装着に際して、装着者のウエスト寸法がおむつのサイズに適合している場合や、おむつの寸法がやや大きい場合には、図5(a)及び図6(a)に示すように、ターゲットテープ6のサイド部6Sは折り畳んだままとし、一方、装着者のウエスト寸法が製品の想定寸法よりも大きい場合には、図5(b)及び図6(b)に示すように、ターゲットテープ6のサイド部6Sを展開することによりターゲットテープ6の幅を拡大した後、両側のファスニングテープ5を左右各側から腹側に回してターゲットテープ6の外面に連結する。このように、ターゲットテープ6の折り畳み及び展開により幅を変化させ、ウエスト周りの寸法調整を行うと、従来のファスニングテープ5を折り畳むもののように、ターゲットテープ6に対する連結が外れ難くなり、おむつの腹側部分Fが背側部分Bに対して又は背側部分Bが腹側部分Fに対してずり落ち難くなる。また、ターゲットテープ6を伸縮させるのではなく、サイド部6Sの折り畳み及び展開により幅を変化させるものであるため、装着者のウエスト寸法がおむつのサイズに適合している場合や、おむつの寸法がやや大きい場合であっても、ターゲットテープ6の幅方向両側の余り(不用)部分が長くならず、装着者に違和感をもたらすおそれが少ないものとなる。
【0035】
特に、図11に示すように、ファスニングテープ5の縦方向寸法がターゲットテープ6と比較して顕著に短い(例えば半分以下)場合に、従来のファスニングテープ5を折り畳む形態を採用すると、ファスニングテープ5を折り畳んだ状態で装着する場合には図11(a)に示すように腹側部分F及び背側部分Bが一部重なるが、ファスニングテープ5を展開して長くした状態で装着すると、図11(b)に示すように腹側部分F及び背側部分Bの重なりがなくなって隙間Sが形成されるため、より一層おむつの腹側部分Fが背側部分Bに対して又は背側部分Bが腹側部分Fに対してずり落ち易くなるだけでなく、腹側部分Fと背側部分Bとの隙間Sからの漏れが発生し易くなる。これに対して、より縦方向寸法の広いターゲットテープ6の折り畳みを利用した場合は、このような問題が発生し難くなる。
【0036】
ターゲットテープ6の形状は幅方向両側にわたり延在する限り特に限定されず、図示形態のように現在広く採用されている幅方向に長い長方形状のものの他、各辺を波状等に切断した略長方形状のもの、幅方向に長い楕円形状とすることもできる。ファスニングテープ5を縦方向に複数有する形態や、独立してターゲットテープ6に連結される突出部分を縦方向に複数有する形態等の場合、ターゲットテープ6を縦方向に複数設けることもできる。
【0037】
ターゲットテープ6の寸法は特に限定されないが、腹側部分F外面に固定される幅方向中央部6Cは、製品幅X(ターゲットテープ6及びファスニングテープ5を除く部分。以下同じ。)の30〜70%程度とすることが望ましい。また、サイド部6Sは、展開した状態で製品幅Xの10〜30%程度とすることが望ましい。さらに、サイド部6Sにおける折り畳みにより重なる部分の展開状態での幅6iは、製品幅Xの5〜10%程度とすることが望ましい。
【0038】
サイド部6Sの折り返し数はターゲットテープ6の幅の変化量等に応じて適宜定めることができるが、多くなると厚み・剛性が増して装着感に影響を及ぼすおそれがあるため、二回又は一回とすることが好ましい。
【0039】
ターゲットテープ6のサイド部6Sは、図5に示すように外側に折り返すようにして折り畳むこともできるが、図8に示すように腹側部分F外面との間に(内側に)折り込んで解放可能なように固定することも可能である。前者はサイド部6Sを折り畳まれた状態から展開する作業が容易であるという利点があるのに対して、後者は、折り畳み固定が不用意に外れ難い、折り畳み状態に固定する手段をターゲットテープ6の裏側に隠すことができる、等の利点がある。
【0040】
ターゲットテープ6のサイド部6Sが折り畳まれた状態に固定され、かつその固定が使用者により解放可能である限り、具体的な固定構造は特に限定されず、図5に示す形態のように、折り畳みにより形成されるターゲットテープ6同士の対向面を剥離可能な接合手段により接合する他、図8に示す形態のように、サイド部6Sを腹側部分F外面に剥離可能な接合手段により接合することによって折り畳み状態に固定することもできる。これらの剥離可能な接合は、接着剤により剥離可能に接合したり、素材を溶着して接合し溶着部分の破壊により剥離するようにしたりする他、専用の接合部材を用いて実現することができる。
【0041】
特に、ファスニングテープ5をターゲットテープ6に着脱自在に固定する手段としてメカニカルファスナーのフック材9を用いる場合、ターゲットテープ6がフック材9の固定に適していることを利用して、図5に示す形態のように、ターゲットテープ6のサイド部6Sのうち、折り畳まれた状態で係止可能面(通常のメカニカルファスナーのループ材の場合は外側面であるが、不織布等のように両面が係止可能面となる場合がある)と対向する面(図示形態ではこの面もターゲットテープ6の係止可能面である)にメカニカルファスナーのフック材6Fの裏面(フック状突起を有する面と反対側の面)を固定し、このフック材6Fを対向する係止可能面に係止することにより、折り畳まれた状態に固定する構造を採用することもできる。このように、ターゲットテープ6の折り畳み固定手段として、メカニカルファスナーのフック材6Fを用いると、ターゲットテープ6の折り畳み状態での固定を強固かつ容易に行うことができるため好ましい。なお、一つのフック材6Fの面積が大きいと、フック材6Fの硬さにより装着感が悪化するおそれがあるため、図6に示すように、長さの短いフック材6Fを縦方向に間隔を空けて複数設けたり、図7(a)に示すように幅の短いフック材6Fを幅方向に間隔を空けて複数設けたり、図7(b)に示すように幅及び長さの短いフック材6Fを幅方向及び縦方向に間隔を空けて配列したりすることにより、柔軟性の低下を避けるのは好ましい形態である。
【0042】
ターゲットテープ6のサイド部6Sは折り畳まれた状態に固定される限り、腹側部分F外面(図示形態では外装シート12であるが、外装シート12が無く、腹側部分F外面が液不透過性シート1により形成されている場合は液不透過性シート1)と対向する部分が腹側部分F外面に対して固定されていても、非固定とされていても良い。
【0043】
<他の形態>
上記例は、ターゲットテープ6の取り付け対象である腹側部分Fは折り畳まずに、ターゲットテープ6のサイド部6Sを折り畳む構造を採用しているが、図9に示すように、ターゲットテープ6を、腹側部分Fにおける幅方向両端部にわたり設けておき、図9(a)に示すように、腹側部分Fにおける幅方向両側のターゲットテープ6を有する腹側サイド部FSを折り畳み状態に固定するとともに、この固定を解放することにより図9(b)に示すように、腹側サイド部FSを折り畳み状態から展開可能とするのも好ましい形態である。
【0044】
装着に際して、装着者のウエスト寸法がおむつのサイズに適合している場合や、おむつの寸法がやや大きい場合には、図9(a)に示すように、腹側サイド部FSは折り畳んだままとし、一方、装着者のウエスト寸法が製品の想定寸法よりも大きい場合には、図9(b)に示すように、腹側サイド部FSの折り畳まれた部分を展開することによりターゲットテープ6の幅を拡大した後、両側のファスニングテープ5を左右各側から腹側に回してターゲットテープ6の外面に連結する。このように、腹側サイド部FSの折り畳み及び展開により腹側部分F及びターゲットテープ6の幅を変化させ、ウエスト周りの寸法調整を行うと、従来のファスニングテープ5を折り畳むもののように、ターゲットテープ6に対する連結が外れ難くなり、おむつの腹側が背側に対して又は背側が腹側に対してずり落ち難くなる。また、ターゲットテープ6を伸縮させるのではなく、腹側サイド部FSの折り畳み及び展開により腹側部分F及びターゲットテープ6の幅を変化させるものであるため、装着者のウエスト寸法がおむつのサイズに適合している場合や、おむつの寸法がやや大きい場合であっても、ターゲットテープ6の幅方向両側の余り(不用)部分が長くならず、装着者に違和感をもたらすおそれが少ないものとなる。
【0045】
特に、図11に示すように、ファスニングテープ5の縦方向寸法がターゲットテープ6と比較して顕著に短い(例えば半分以下)場合に、従来のファスニングテープ5を折り畳む形態を採用すると、ファスニングテープ5を折り畳んだ状態で装着する場合には図11(a)に示すように腹側部分F及び背側部分Bが一部重なるが、ファスニングテープ5を展開して長くした状態で装着すると、図11(b)に示すように腹側部分F及び背側部分Bの重なりがなくなって隙間Sが形成されるため、より一層おむつの腹側部分Fが背側部分Bに対して又は背側部分Bが腹側部分Fに対してずり落ち易くなるだけでなく、腹側部分Fと背側部分Bとの隙間Sからの漏れが発生し易くなる。これに対して、腹側サイド部FS(腹側部分Fにおける幅方向両側のターゲットテープ6を有する部分)は、縦方向寸法が広いため、このような問題が発生し難くなる。
【0046】
本形態においても、ターゲットテープ6の形状は幅方向両側にわたり延在する限り特に限定されず、現在広く採用されている幅方向に長い長方形状のものの他、各辺を波状等に切断した略長方形状のもの、幅方向に長い楕円形状とすることもできる。ファスニングテープ5を縦方向に複数有する形態や、独立してターゲットテープ6に連結される突出部分を縦方向に複数有する形態等の場合、ターゲットテープ6を縦方向に複数設けることもできる。
【0047】
ターゲットテープ6の寸法は特に限定されないが、腹側サイド部FSを展開した状態で、展開状態の製品幅X2の60〜90%程度とすることが望ましい。また、腹側サイド部FSの折り畳み状態の製品幅X1は、展開状態の製品幅X2の10〜40%程度とすることが望ましい。
【0048】
特に、腹側サイド部FSは、折り畳まれる部分であるため、腹側部分Fにおけるサイドフラップ部SFの幅方向の一部又は全部とされることが好ましい。
【0049】
本形態における腹側サイド部FSの折り返し数はターゲットテープ6の幅の変化量等に応じて適宜定めることができるが、多くなると厚み・剛性が増して装着感に影響を及ぼすおそれがあるため、二回又は一回とすることが好ましい。
【0050】
腹側サイド部FSは、図9に示すように外側に折り返すようにして折り畳むこともできるが、反対に(内側に)折り返すようにして折り畳むことも可能である。前者は腹側サイド部FSを折り畳まれた状態から展開する作業が容易であるという利点があるのに対して、後者は、折り畳み固定が不用意に外れ難い等の利点がある。
【0051】
腹側サイド部FSが折り畳まれた状態に固定され、かつその固定が使用者により解放可能である限り、具体的な固定構造は特に限定されず、例えば図9に示す形態のように、折り畳みにより形成されるターゲットテープ6同士の対向面を剥離可能な接合手段により接合することができる。これらの剥離可能な接合は、接着剤により剥離可能に接合したり、素材を溶着して接合し溶着部分の破壊により剥離するようにしたりする他、専用の接合部材を用いて実現することができる。
【0052】
特に、ファスニングテープ5をターゲットテープ6に着脱自在に固定する手段としてメカニカルファスナーのフック材9を用いる場合、ターゲットテープ6がフック材9の固定に適していることを利用して、図9に示す形態のように、折り畳まれた部分におけるターゲットテープ6の係止可能面と対向する面(図示形態ではこの面もターゲットテープ6の係止可能面である)にメカニカルファスナーのフック材6Fの裏面(フック状突起を有する面と反対側の面)を固定し、このフック材6Fを対向する係止可能面に係止することにより、折り畳まれた状態に固定する構造を採用することもできる。このように、折り畳み固定手段として、メカニカルファスナーのフック材6Fを用いると、ターゲットテープ6の折り畳み状態での固定を強固かつ容易に行うことができるため好ましい。なお、一つのフック材6Fの面積が大きいと、フック材6Fの硬さにより装着感が悪化するおそれがあるため、図7(a)に示す形態に倣って幅の短いフック材6Fを幅方向に間隔を空けて複数設けたり、図7(b)に示す形態に倣って幅及び長さの短いフック材6Fを幅方向及び縦方向に間隔を空けて配列したりすることにより、柔軟性の低下を避けるのも好ましい形態である。
【0053】
本形態では、ターゲットテープ6はその幅方向全体にわたり腹側部分F外面(図示形態では外装シート12であるが、外装シート12が無く、腹側部分F外面が液不透過性シート1により形成されている場合は液不透過性シート1)に固定されていても、また両側の部分や中間の部分等、一部が非固定とされていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、上記例のようにテープタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
【符号の説明】
【0055】
1…液不透過性シート、2…トップシート、3…吸収体、4…脚周り立体ギャザー、4f…自由部分、4e…倒伏部分、5…ファスニングテープ、6…ターゲットテープ、9…フック材、10…ミシン目、12…外装シート、F…腹側部分、B…背側部分、6C…幅方向中央部、6S…サイド部、X…製品幅、FS…腹側サイド部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11