(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検出されるべき1つの光学的放出信号に対する前記励起周波数は、検出されるべき少なくとも1つの他の光学的放出信号に対する前記励起周波数とは異なる、請求項1に記載の方法。
複数の反応容器の各々から放出された2つ以上の異なる光学的放出信号を検出するためのシステムであって、前記反応容器は、互いに対して固定された配列で配置されており、前記システムは、
(A)複数の光学的センサであって、前記光学的センサの各々は、前記2つ以上の光学的放出信号のうちの1つを検出するように構成され、かつ、前記反応容器のうちの1つと関連付けられており、各反応容器は、検出されるべき各光学的放出信号に対する1つの光学的センサと関連付けられており、これにより、前記複数の反応容器の各々に関連付けられた前記光学的センサは、前記関連付けられた反応容器から放出された前記関連付けられた光学的放出信号を各光学的センサが検出することを可能にする構成に配列されている、複数の光学的センサと、
(B)前記複数の反応容器と前記光学的センサとの間の相対運動をもたらすことにより、各反応容器をそれに関連付けられた光学的センサのうちの1つに対する信号検出位置へと連続的に配置するように構成され配列された移送機構であって、
各光学的センサは、励起周波数において光学的励起信号を変調し、前記変調された光学的励起信号を前記光学的センサに対する信号検出位置に存在する関連付けられた反応容器に方向付け、かつ、前記励起信号に関連付けられた前記反応容器から放出された光学的放出信号を検出するように構成されており、少なくとも2つの光学的放出信号を検出するように構成された光学的センサは、2つの異なる励起周波数の光学的励起信号を方向付けるように構成されている、移送機構と、
(C)前記関連付けられた励起信号の前記励起周波数と不整合である放出周波数を有する、光学的センサによって検出された光学的信号の任意の部分を無視するように構成された回路と
を含む、システム。
前記システムは、各反応容器と関連付けられた3つの光学的センサを含み、前記3つの光学的センサの各々は、3つの異なる光学的放出信号のうちの異なる1つを検出するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
前記反応容器の各々は、前記回転台の回転軸に対して異なる半径方向位置に配置されており、各反応容器に関連付けられた前記複数の光学的センサは、異なる角度位置に、および、前記関連付けられた反応容器に対応する半径方向位置に配置されている、請求項16に記載のシステム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の必要性は、本発明の側面に従って構成および操作される自動分析器により対応される。一般的に、自動分析器は、反応容器に含まれる複数の反応混合物に対する1つ以上アッセイ実施に伴う、さまざまな自動ステーションあるいはモジュールの動作を統合、協調させる。分析器は、内蔵型のスタンドアロンユニットであることが好ましい。アッセイサンプル材料および反応容器、さらにさまざまな溶液、試薬、およびアッセイ実施に使用されるその他の材料はアッセイ実施の際に生成される廃棄物と同様に、分析器内に保存されることが好ましい。分析器は、サンプル処理から増幅およびマルチフォーマット検出に至る全てのアッセイステップを完全に自動化する統合核酸試験システムである。好ましい実施例では、機器は、リアルタイムとエンドポイント増幅アッセイの両方を実行することができる。日常の設定が完了すると、操作者は、エンドポイント増幅アッセイ、リアルタイム増幅アッセイ、あるいはその両方の実行を選択してよい。リアルタイム増幅アッセイの場合、本発明の分析器は、バッチモードとは対照的に、複数の反応容器の物を連続的に処理し、それにより結果を算出および報告することができる速度を大きく向上させる。動作中、反応容器からサンプル材料および/または試薬を除去する単離および浄化ステップの前または最中に、反応容器の内面を覆うために使用される表面処理剤を提供することにより、分析器を使用してもよい。
【0015】
分析器は、分析器のステーションの動作、および分析器全体における各反応容器の動きを協調させるための分析器制御およびアッセイスケジューリング・ソフトウェアを実行するコンピュータ制御装置を含む。
【0016】
反応容器は、分析器のステーション間で反応容器を自動的に移送する移送機構による回収のために、各容器を順次的に収集位置に提示する投入準備室に装填することができる。
【0017】
サンプル容器は、第一のリングアセンブリに運搬され、使い捨てピペットチップは、第二のリングアセンブリに運搬される。固体支持材料の懸濁液を含む対象捕獲試薬の容器は、選択的に容器を撹拌するよう、あるいは自動ロボットピペットシステムのプローブが到達できるように容器を提示するよう構成および配置された、内部の回転可能なアセンブリに運搬される。流体サンプル材料および対象捕獲試を含む反応混合物は、各反応容器内のピペットシステムにより調製される。
【0018】
分析器は、設置される容器の内容物を混合するための、容器撹拌器をさらに含む。撹拌器は、流体容器と流体連通であってよく、1つ以上流体を容器に滴下するためのディスペンサを含んでよい。1つ以上インキュベータは、温度制御室に複数の容器を運搬し、個々の容器が、自動的に室内に設置あるいは室外に除去れるのを可能とする。磁性分離ステーションは、ステーションに設置された容器の内容物に対し、自動的に磁性分離および洗浄手順を実行する。
【0019】
好ましい操作方法では、アッセイの結果は、適当な調製ステップの終結時に、容器から放出される光の量により確認されてよい。そのため、分析器は、反応容器の内容物により放出される光の量を検出および/または定量化するための照度計(信号検出装置の一種)を含む。失活準備室は、アッセイの終結時に、設置される反応容器の内容物を失活させるために提供されてよい。
【0020】
反応容器は、移送機構によってステーション間を個々に移送され、ステーションを並行して操作することで、異なる反応容器に同時に異なるアッセイ手順を実行することができ、それにより効率的でスループットの高い分析器の操作を容易にする。さらに、本発明は、核酸アッセイに関連するさまざまなステーションを、含まれる単一のプラットフォームに配置し、それにより効率的な空間利用を実現する。
【0021】
操作方法および構造の要素の機能と相互関係を含む、本発明のその他の目的、特長、および特徴は、添付の図面を参照しながら、以下の説明および添付の請求項を検討することによりさらに明らかとなるが、これら全ては本開示の一部を成し、同様の参照番号は、さまざまな図における対応する部分を指定する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
複数の反応容器のそれぞれに存在する対象核酸の量を定量的に決定するために、上記反応容器の内容物を処理するための方法であって、該方法は、
a)加熱器に複数の反応容器を連続的に提供する自動ステップであって、各反応容器には、対象核酸内に含有される標的配列またはその補体の存在を、上記加熱器の温度条件下で増幅および検出するのに十分な試薬が提供されているステップと、
b)ステップa)に従って上記加熱器に提供された反応容器のそれぞれの中で、上記標的配列およびその補体を含有する、増幅産物の存在と関連付けられた信号の量を周期的に測定する自動ステップと、
c)ステップb)において得られた上記測定結果に基づいて、それぞれの反応容器中に存在する上記対象核酸の量を定量化する自動ステップと、
を包含し、
上記反応容器の少なくとも一部は、上記反応容器の少なくとも一部の内容物がステップb)〜ステップc)に従って処理される際に、ステップa)に従って上記加熱器に連続的に提供される、
方法。
(項目2)
上記反応容器は、自動反応容器移送システムを使用して上記加熱器に提供される、項目1に記載の方法。
(項目3)
ステップa)〜ステップc)に従って処理された内容物を有する反応容器は、ステップa)〜ステップc)に従って処理するための内容物を有する反応容器が上記加熱器に連続的に提供される際に、上記自動反応容器移送システムを使用して、上記加熱器から連続的に除去される、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記自動反応容器移送システムは、上記反応容器を上記加熱器に提供するための第1の回転可能な移送機構を含む、項目2から3までのいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
上記自動反応容器移送システムは、上記反応容器を上記加熱器から除去するための第2の回転可能な移送機構を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記加熱器は、回転軸の周囲を回転可能な反応容器運搬装置を含む、項目1から5までのいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
上記加熱器は、密閉型インキュベータであって、該密閉型インキュベータは、上記反応容器を収納したり、上記インキュベータから除去したりするための1つ以上のドアを有する、項目1から6までのいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
上記インキュベータは、上記インキュベータ内で反応容器を収納および移動させるための、固定ハウジング内に含有された回転可能な反応容器運搬装置を含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
上記増幅および検出試薬は、上記反応容器が上記加熱器に提供された後に、上記反応容器に提供される、項目1から8までのいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
上記増幅試薬は、プライマーまたはプロモータープライマー、ヌクレオシド三リン酸、および、上記加熱器の温度条件下で上記対象核酸にハイブリダイズされた上記プライマーまたはプロモータープライマーの3´端を延長することができる核酸ポリメラーゼを含む、項目1から9までのいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
上記温度条件は等温である、項目1から10までのいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
上記検出試薬は、上記加熱器の温度条件下で上記標的配列またはその補体に結合し、それによって上記信号を放出することができる、自己ハイブリタイズする、検出可能なように標識されたプローブを含む、項目1から11までのいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
上記プローブは分子ビーコンまたは分子トーチであり、かつ相互に作用するラベル対を含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
上記ラベル対は、蛍光プローブと消光剤とを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
複数の上記反応容器のそれぞれからの上記信号を同時に測定するステップをさらに包含する、項目1から13までのいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
上記信号は、上記加熱器と動作可能なように関連付けられた、複数の相隔たる蛍光信号検出装置で測定される、項目15に記載の方法。
(項目17)
複数の上記反応容器それぞれの中の異なる信号を同時に測定するステップをさらに包含する、項目1から16までのいずれか一項に記載の方法であって、上記異なる信号のそれぞれは異なる増幅産物と関連付けられる、方法。
(項目18)
上記異なる信号は、上記加熱器と動作可能なように関連付けられ、かつそれと相対的に移動可能な、複数の相隔たる蛍光信号検出装置で測定される、項目17に記載の方法。
(項目19)
ステップa)の前に、上記反応容器から増幅阻害物質を除去するのに十分な試薬および条件に、上記反応容器のぞれぞれの中に存在するサンプル物質を曝露する自動ステップをさらに包含する、項目1から18までのいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
上記曝露するステップは、
各反応容器に固体支持材料を提供するステップであって、上記固体支持材料は上記対象核酸を結合することができる、提供するステップと、
各反応容器内の上記固体支持材料を単離するステップと、
各反応容器から上記サンプル物質の少なくとも一部を除去するステップと、
上記固体支持材料を洗浄液で洗浄するステップと、
を含む、
項目19に記載の方法。
(項目21)
上記固体支持材料は磁気反応性粒子であり、上記単離するステップは上記反応容器に隣接して置かれた磁石によって実行される、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記曝露するステップの後に、自動反応容器移送システムを使用して上記反応容器を上記加熱器に移送するステップをさらに包含する、項目19から21までのいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
上記自動反応容器移送システムは、回転可能な移送機構を備える、項目22に記載の方法。
(項目24)
各反応容器は、一体的に形成された複数の反応容器の1つである、項目1から23までのいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
本方法のステップは、内蔵型分析器ユニットのハウジング内ですべて実行される、項目1から24までのいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
複数の反応容器のそれぞれに存在する対象核酸の量を定量的に決定するために、上記反応容器の内容物を処理するためのシステムであって、
(A)温度調節されたインキュベータであって、
(1)その中にインキュベーションチャンバを画定するハウジングであって、反応容器到達開口部を介して上記インキュベーションチャンバへの、またはそこからの反応容器の移動を可能にするための、1つ以上の上記反応容器到達開口部を有するハウジングと、
(2)上記インキュベーションチャンバと熱連通する熱源と、
(3)上記インキュベーションチャンバ内に配置され複数の反応容器ステーションを含む反応容器運搬装置であって、上記反応容器ステーションのそれぞれは少なくとも1つの反応容器を運搬するように構成および配置され、上記反応容器運搬装置は、任意の上記複数の反応容器ステーションを、上記反応容器到達開口部に対する反応容器伝送位置に提示するように構成および配置される、反応容器運搬装置と、
を備えるインキュベータと、
(B)上記反応容器到達開口部を介して、上記反応容器運搬装置へ、またはそこから、反応容器を移送するように構成および配置される、少なくとも1つの移送機構を含む、反応容器移送システムと、
(C)信号測定装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の内容物によって放出された信号の量を測定するように構成および配置される上記信号測定装置であって、上記信号測定装置は、上記反応容器運搬装置が上記インキュベーションチャンバ内の反応容器を移動させる際に、上記反応容器運搬装置で運搬される該反応容器が上記信号測定装置に近接して動作可能なように連続的に移動されるように、上記反応容器運搬装置に対して置かれ、
上記反応容器運搬装置は、上記インキュベーションチャンバ内の反応容器を移動して、それによって運搬される反応容器を、上記信号測定装置に近接して動作可能なように連続的および周期的に置くように制御され、上記信号測定装置は、上記信号測定装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の内容物によって放出される信号の量の周期的な測定結果を作成するように制御される、
信号測定装置と、
(D)上記信号測定装置によって作成される周期的な測定結果に基づいて、該反応容器内の該対象核酸の量を定量化するように適合されるマイクロプロセッサと、
を備えるシステム。
(項目27)
上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させるように構成および配置された、信号測定装置移送機構をさらに備える、項目26に記載のシステムであって、
上記反応容器運搬装置の各反応容器ステーションは、1つを超える反応容器を運搬するように構成および配置され、上記反応容器運搬装置は、上記反応容器ステーションを上記信号測定装置に対する信号測定位置に連続的に提示するように制御され、上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させて、該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された該反応容器のそれぞれに近接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように制御される、
システム。
(項目28)
上記ハウジングは信号測定開口部を含み、上記信号測定装置は、上記インキュベーションチャンバの外側において、上記信号測定開口部を介して、上記インキュベーションチャンバ内の反応容器の内容物によって放出される信号の量を測定するための位置に置かれる、項目26から27までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目29)
1つを超える信号測定装置を備える、項目26からまで28のいずれか一項に記載のシステムであって、
各信号測定装置は、反応容器の内容物によって放出される異なる信号を測定するように構成および配置される、
システム。
(項目30)
上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させるように構成および配置された信号測定装置移送機構をさらに備える、項目29に記載のシステムであって、
上記反応容器運搬装置の各反応容器ステーションは、1つを超える反応容器を運搬するように構成および配置され、上記反応容器運搬装置は、反応容器ステーションを上記信号測定装置に対する信号測定位置に連続的に提示するように構成および配置され、上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置のそれぞれを上記反応容器運搬装置に対して移動させて、該信号測定装置に対応する該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された該反応容器のそれぞれに近接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように構成および配置される、
システム。
(項目31)
各信号測定装置は、反応容器の内容物からの蛍光放出を測定するように構成および配置された蛍光光度計を備え、各蛍光光度計は異なる波長を有する蛍光放出を測定する、項目29から30までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目32)
各蛍光光度計は、
該反応容器に励起エネルギーを向けるように構成および配置される励起構成要素であって、各蛍光光度計の該励起構成要素は該反応容器に異なる波長の励起エネルギーを向ける、励起構成要素と、
該反応容器の内容物からの放出エネルギーの量を検出するように構成および配置される検出構成要素であって、各蛍光光度計の該検出構成要素は異なる波長の放出エネルギーを検出する、検出構成要素と、
を備える、
項目31に記載のシステム。
(項目33)
反応容器運搬装置は、回転軸の周囲を回転可能となるように、上記インキュベーションチャンバ内に取り付けられた略円形の回転台を備え、上記反応容器ステーションは、該回転台の周辺部の周囲に置かれる、項目26から32までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目34)
上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させるように構成および配置された信号測定装置移送機構をさらに備える、項目33に記載のシステムであって、
上記反応容器運搬装置の各反応容器ステーションは、上記回転台の該回転軸に対して半径方向に配置された1つを超える反応容器を運搬するように構成および配置され、上記反応容器運搬装置は、上記反応容器ステーションを上記信号測定装置に対する信号測定位置に連続的に提示するように構成および配置され、上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置を上記回転台の該回転軸に対して略半径方向に移動させて、該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された該反応容器のそれぞれに近接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように構成および配置される、
システム。
(項目35)
各反応容器ステーションは、上記回転台内に形成された、半径方向に配向された端部開放スロットを備える、項目34に記載のシステム。
(項目36)
上記信号測定装置は、反応容器の内容物からの蛍光放出を測定するように構成および配置された蛍光光度計を備える、項目26から28までのいずれか一項に記載のシステム。(項目37)
上記蛍光光度計は、
該反応容器に励起エネルギーを向けるように構成および配置された励起構成要素と、
該反応容器の内容物からの放出エネルギーの量を検出するように構成および配置された検出構成要素と、
を備える、
項目36に記載のシステム。
(項目38)
上記励起構成要素は励起光ハウジングと励起レンズハウジングとを含み、上記検出構成要素は検出レンズハウジングを含み、上記励起光ハウジングおよび上記検出レンズハウジングは相隔たる相対位置にあり、上記励起レンズハウジングは上記励起光ハウジングと上記検出レンズハウジングとの間に延びる、項目32または37のいずれか一項に記載のシステム。
(項目39)
上記蛍光光度計は、
励起光を放出するように適合された光放出部と、
第1の光路、第2の光路、および第3の光路を画定する光学素子と、
ビームスプリッタと、
光検出部とを備え、
上記光放出部は、上記第1の光路に対して動作可能なように置かれ、該光路は上記光放出部によって放出される該励起光の少なくとも一部を送るように構成および配置され、
上記ビームスプリッタは、上記第1の光路および上記第2の光路に対して動作可能なように置かれ、かつ、上記第1の光路によって送られた該励起光を受光し、望ましい励起スペクトル成分を有する該受光した励起光の少なくとも一部を上記第2の光路へ向けるように構成および配置され、
上記第2の光路は、上記第2の光路が望ましい励起スペクトル成分を有する該光を反応容器に向けるように、該蛍光光度計に近接して動作可能なように該反応容器に対して置かれ、上記第2の光路は、該反応容器の内容物によって放出される任意の蛍光光の少なくとも一部を受光して、該受光した部分を上記ビームスプリッタに向け、
上記ビームスプリッタは、上記第3の光路に対して動作可能なように置かれ、かつ、上記第2の光路によって送られた該蛍光光を受光し、望ましい励起スペクトル成分を有する該受光した光の少なくとも一部を上記第3の光路に向けるように構成および配置され、
上記光検出部は、上記第3の光路に対して動作可能なように置かれ、該光路は望ましい放出スペクトル成分を有する該光の少なくとも一部を上記光検出部に向けて送るように構成および配置される、
項目31から38までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目40)
上記第1の光路の該光学素子は、該光放出部から送られる光のあらゆる望ましくないスペクトル成分を実質的に除去するようにさらに構成および配置される、項目39に記載のシステム。
(項目41)
上記第1の光路の該光学素子は、上記ビームスプリッタによって上記第1の光路から受光した光が、上記第1の光路の光軸に対して実質的に規定の励起角度範囲内にあるように、上記光放出部から送られた該光を調整するようにさらに構成および配置される、項目39から40までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目42)
上記第1の光路の該光学素子は、
上記光放出部によって放出された該励起光の少なくとも一部を受光し、受光端から受光した上記励起光を光パイプの反対端に送るために、上記光放出部に対して動作可能なように置かれた、上記受光端を有する上記光パイプと、
上記光パイプの該反対端によって放出された光の方向を変えるように配置および配向された鏡と、
上記鏡によって方向を変えられた光を受光するように置かれ、受光した該光を実質的に規定の励起角度範囲内にコリメートするように構成および配置された、1つ以上のレンズと、
上記1つ以上のレンズによってコリメートされた光を受光するように置かれ、該規定の励起角度範囲内にない実質的にすべての光をブロックするように構成および配置された励起バッフルと、
上記バッフルを通過する光を受光するように置かれ、上記光放出部から送られた該励起光の該望ましくないスペクトル成分を実質的に除去するように構成および配置された励起フィルタと、
を備える、
項目39から41までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目43)
上記第3の光路の該光学素子は、該光検出部に向けて送られた光の任意の望ましくないスペクトル成分の少なくとも一部を排除するように構成および配置される、項目39から42までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目44)
上記第3の光路の該光学素子は、上記光検出部によって上記第3の光路から受光した該光が、上記第3の光路の光軸に対して実質的に規定の検出角度範囲内にあるように、上記ビームスプリッタから送られた該光を調整するようにさらに構成および配置される、項目39から43までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目45)
上記第3の光路の該光学素子は、
上記ビームスプリッタから送られた光を受光するように置かれ、該規定の検出角度範囲内にない実質的にすべての光をブロックするように構成および配置された放出バッフルと、
上記放出バッフルを通過する光を受光するように置かれ、上記光検出部に向けて送られた該光の該望ましくないスペクトル成分を実質的に除去するように構成および配置された放出フィルタと、
上記放出フィルタを通過する光の焦点を、上記光検出部に向けて合わせるように構成および配置された少なくとも1つのレンズと、
を備える、
項目39から44までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目46)
上記光放出部および上記光検出部は回路基板に接続される、項目39から45までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目47)
上記ビームスプリッタはダイクロイックビームスプリッタを備える、項目39から46までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目48)
上記第1、第2、および第3の光路は、それぞれ第1、第2、および第3の光軸を含み、かつ(a)上記光軸は上記第2の光軸に対して略垂直であり、(b)上記第2および第3の光軸は略同軸であり、(c)上記ダイクロイックビームスプリッタは上記第1、第2、および第3の光軸に対して約45度の角度で配向される、項目47に記載のシステム。(項目49)
信号検出装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の内容物によって放出された信号を検出するように構成および配置される信号検出装置をさらに備える、項目26から48までのいずれか一項に記載のシステムであって、
上記信号検出装置は上記インキュベーションチャンバの外に置かれ、
上記反応容器移送システムは、上記インキュベータ内の反応容器のインキュベーションに続いて、該反応容器を上記信号検出装置へ連続的に移送するようにさらに構成および配置される、システム。
(項目50)
上記信号検出装置は、反応容器の内容物からの化学発光放出を検出するように構成および配置された照度計を備える、項目49に記載のシステム。
(項目51)
上記反応容器運搬装置は、それぞれ該反応容器ステーションの1つに隣接して配置された磁性仕切りをさらに備え、上記磁性仕切りはそれぞれ、該隣接する反応容器ステーションに運搬された反応容器を磁場に曝露するための1つ以上の磁性素子を含む、項目26から50までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目52)
1つ以上の反応容器に存在する対象核酸の量を決定するために、または、1つ以上の該反応容器内における対象核酸の有無を確認するために、複数の反応容器の内容物を処理するためのシステムであって、
(A)その中に反応容器を収納し、該反応容器をインキュベーションチャンバ内で制御された温度条件に曝露するための上記インキュベーションチャンバを含む、少なくとも1つの温度調節されたインキュベータと、
(B)核酸定量システムであって、
(1)各反応容器の内容物によって放出された信号の量を周期的に測定することと、
(2)該周期的測定結果に基づいて、それぞれの反応容器内に存在する対象核酸の量を定量化することと、
によって、該反応容器内の該対象核酸の量を決定するように構成され配置された核酸定量システムと、
(C)核酸検出システムであって、
(1)各反応容器の内容物によって放出された信号を検出することと、
(2)閾値レベルを超える信号が検出されるか否かに基づいて、該反応容器内の該対象核酸の有無を確認することと、
によって、該反応容器内の該対象核酸の存在を確認するように構成および配置された核酸検出システムと、
を備えるシステム。
(項目53)
反応容器を上記核酸定量システムへ、またはそこから自動的に移送し、かつ反応容器を上記核酸検出システムへ自動的に移送するように構成および配置された、自動移送システムをさらに備える、項目52に記載のシステム。
(項目54)
上記移送システムは、回転軸の周囲を回転可能な移送機構を備える、項目53に記載のシステム。
(項目55)
上記核酸定量システムは、上記インキュベーションチャンバ内に配置され上記信号測定装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の、内容物によって放出される信号の量を測定するように構成および配置された、信号測定装置を備え、
上記核酸検出システムは、上記インキュベーションチャンバとは異なる検出チャンバ内に配置され上記信号検出装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の、内容物によって放出される信号を検出するように構成および配置された、信号検出装置を備える、
項目52から54までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目56)
上記信号測定装置を、上記インキュベーションチャンバ内に配置された反応容器に対して近接して動作可能に移動させるように構成および配置された、信号測定装置移送機構をさらに備える、項目55に記載のシステム。
(項目57)
上記信号測定装置は、反応容器の内容物からの蛍光放出を測定するように構成および配置された蛍光光度計を備える、項目56に記載のシステム。
(項目58)
上記信号検出装置は、反応容器の内容物からの化学発光放出を検出するように構成および配置された照度計を備える、項目55から57までのいずれか一項に記載のシステム。(項目59)
上記核酸定量システムおよび上記核酸検出システムは、ハウジング内に含有される、項目55から58までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目60)
上記信号測定装置および上記信号検出装置は、上記ハウジング内の処理デスク上にある、項目55から59までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目61)
上記ハウジングは、内蔵型スタンドアロン分析器ユニットを画定する、項目60に記載のシステム。
(項目62)
該分析器ユニットは移動可能である、項目61に記載のシステム。
(項目63)
上記温度調節されたインキュベータは、上記インキュベーションチャンバ内に配置され複数の反応容器ステーションを含む反応容器運搬装置を含み、上記反応容器ステーションのそれぞれは、少なくとも1つの反応容器を運搬するように構成および配置され、
上記核酸定量システムは、上記信号測定装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の内容物によって放出される信号の量を測定するように構成および配置された信号測定装置を備え、上記信号測定装置は、上記反応容器運搬装置が上記インキュベーションチャンバ内の反応容器を移動させる際に、上記反応容器運搬装置に運搬された該反応容器が上記信号測定装置に近接して動作可能なように連続的に移動されるように、上記反応容器運搬装置に対して置かれ、
上記反応容器運搬装置は、上記インキュベーションチャンバ内の反応容器を移動して、それによって運搬される反応容器を上記信号測定装置に近接して動作可能なように連続的および周期的に置くように制御され、上記信号測定装置は、上記信号測定装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の内容物によって放出さる信号の量の周期的な測定結果を作るように制御される、
項目52に記載のシステム。
(項目64)
上記核酸定量システムは、上記信号測定装置によって作られた周期的な測定結果に基づいて、該反応容器内の該対象核酸の量を定量化するように適合されたマイクロプロセッサをさらに備える、項目63に記載のシステム。
(項目65)
上記核酸定量システムは、
上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させるように構成および配置された信号測定装置移送機構をさらに備え、
上記反応容器運搬装置の各反応容器ステーションは1つを超える反応容器を運搬するように構成および配置され、上記反応容器運搬装置は、上記反応容器ステーションを上記信号測定装置に対する信号測定位置に連続的に提示するように制御され、上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させて、該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された該反応容器のそれぞれに近接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように制御される、
項目63または64に記載のシステム。
(項目66)
上記核酸定量システムは、1つを超える信号測定装置を備え、各信号測定装置は、反応容器の内容物によって放出される異なる信号を測定するように構成および配置される、項目63または64に記載のシステム。
(項目67)
上記核酸定量システムは、
上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させるように構成および配置された信号測定装置移送機構をさらに備え、
上記反応容器運搬装置の各反応容器ステーションは、1つを超える反応容器を運搬するように構成および配置され、上記反応容器運搬装置は、上記反応容器ステーションを上記信号測定装置に対する信号測定位置に連続的に提示するように構成および配置され、上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置のそれぞれを上記反応容器運搬装置に対して移動させて、該信号測定装置に対応する該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された該反応容器のそれぞれに近接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように構成および配置される、
項目66に記載のシステム。
(項目68)
上記反応容器運搬装置は、回転軸の周囲を回転可能となるように、上記インキュベーションチャンバ内に取り付けられた略円形の回転台を備え、上記反応容器ステーションは、該回転台の周辺部の周囲に置かれる、項目63から67までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目69)
上記核酸定量システムは、
上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させるように構成および配置された信号測定装置移送機構をさらに備え、
上記反応容器運搬装置の各反応容器ステーションは、上記回転台の該回転軸に対して半径方向に配列された1つを超える反応容器を運搬するように構成および配置され、上記反応容器運搬装置は、上記反応容器ステーションを上記信号測定装置に対する信号測定位置に連続的に提示するように構成および配置され、上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置を上記回転台の該回転軸に対して略半径方向に移動させて、該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された該反応容器のそれぞれに近接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように構成および配置される、
項目68に記載のシステム。
(項目70)
上記信号測定装置は、反応容器の内容物からの蛍光放出を測定するように構成および配置された蛍光光度計を備える、項目63から69までのいずれか一項に記載のシステム。(項目71)
上記蛍光光度計は、
励起光を放出するように適合された光放出部と、
第1の光路、第2の光路、および第3の光路を画定する光学素子と、
ビームスプリッタと、
光検出部と、
を備え、
上記光放出部は、上記第1の光路に対して動作可能なように置かれ、該光路は上記光放出部によって放出された該励起光の少なくとも一部を送るように構成および配置され、
上記ビームスプリッタは、上記第1の光路および上記第2の光路に対して動作可能なように置かれ、かつ、上記第1の光路によって送られた該励起光を受光し、望ましい励起スペクトル成分を有する該受光した励起光の少なくとも一部を上記第2の光路へ向けるように構成および配置され、
上記第2の光路は、上記第2の光路が望ましい励起スペクトル成分を有する該光を上記反応容器に向けるように、該蛍光光度計に近接して動作可能なように反応容器に対して置かれ、上記第2の光路は、該反応容器の内容物によって放出された任意の蛍光光の少なくとも一部を受光して、該受光した部分を上記ビームスプリッタに向け、
上記ビームスプリッタは、上記第3の光路に対して動作可能なように置かれ、かつ、上記第2の光路によって送られた該蛍光光を受光し、望ましい放出スペクトル成分を有する該受光した光の少なくとも一部を上記第3の光路に向けるように構成および配置され、
上記光検出部は、上記第3の光路に対して動作可能なように置かれ、該光路は望ましい放出スペクトル成分を有する該光の少なくとも一部を上記光検出部に向けて送るように構成および配置される、
項目70に記載のシステム。
(項目72)
上記第1の光路の該光学素子は、該光放出部から送られた光の任意の望ましくないスペクトル成分を実質的に除去するようにさらに構成および配置される、項目71に記載のシステム。
(項目73)
上記第1の光路の該光学素子は、上記ビームスプリッタによって上記第1の光路から受光した光が、上記第1の光路の光軸に対して実質的に規定の励起角度範囲内にあるように、上記光放出部から送られた該光を調整するようにさらに構成および配置される、項目72に記載のシステム。
(項目74)
上記第1の光路の該光学素子は、
上記光放出部によって放出された該励起光の少なくとも一部を受光し、受光端から受光した上記励起光を光パイプの反対端に送るように、上記光放出部に対して動作可能なように置かれた上記受光端を有する、上記光パイプと、
上記光パイプの該反対端によって放出された光の方向を変えるように配置および配向された鏡と、
上記鏡によって方向を変えられた光を受光するように置かれ、受光した該光を実質的に規定の励起角度範囲内にコリメートするように構成および配置された1つ以上のレンズと、
上記1つ以上のレンズによってコリメートされた光を受光するように置かれ、該規定の励起角度範囲内にない実質的にすべての光をブロックするように構成および配置された励起バッフルと、
上記バッフルを通過する光を受光するように置かれ、上記光放出部から送られた該励起光の該望ましくないスペクトル成分を実質的に除去するように構成および配置された励起フィルタと、
を備える、
項目73に記載のシステム。
(項目75)
上記第3の光路の該光学素子は、該光検出部に向けて送られた光の任意の望ましくないスペクトル成分の少なくとも一部を排除するように構成および配置される、項目71から74までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目76)
上記第3の光路の該光学素子は、上記光検出部によって上記第3の光路から受光した該光が、上記第3の光路の光軸に対して実質的に規定の検出角度範囲内にあるように、上記ビームスプリッタから送られた該光を調整するようにさらに構成および配置される、項目75に記載のシステム。
(項目77)
上記第3の光路の該光学素子は、
上記ビームスプリッタから送られた光を受光するように置かれ、該規定の検出角度範囲内にない実質的にすべての光をブロックするように構成および配置された放出バッフルと、
上記放出バッフルを通過する光を受光するように置かれ、上記光検出部に向けて送られた該光の該望ましくないスペクトル成分を実質的に除去するように構成および配置された放出フィルタと、
上記放出フィルタを通過する光の焦点を、上記光検出部に向けて合わせるように構成および配置された少なくとも1つのレンズと、
を備える、
項目76に記載のシステム。
(項目78)
上記光放出部および上記光検出部は回路基板に接続される、項目71から77までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目79)
上記ビームスプリッタはダイクロイックビームスプリッタを備える、項目71から78までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目80)
上記第1、第2、および第3の光路は、それぞれ第1、第2、および第3の光軸を含み、(a)上記第1の光軸は上記第2の光軸に対して略垂直であり、(b)上記第2および第3の光軸は略同軸であり、(c)上記ダイクロイックビームスプリッタは上記第1、第2、および第3の光軸に対して約45度の角度で配向される、項目79に記載のシステム。
(項目81)
上記蛍光光度計は、
励起エネルギーを該反応容器に向けるように構成および配置された励起構成要素と、
該反応容器の内容物からのエネルギー放出の量を検出するように構成および配置された検出構成要素と、
を備える、
項目70から80までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目82)
上記核酸検出システムは、
信号検出装置であって、上記信号検出装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の内容物によって放出された信号を検出するように構成および配置され、上記インキュベーションチャンバの外側に置かれた信号検出装置を、
備える、
項目52から54までの、または項目63から81までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目83)
上記信号検出装置は、反応容器の内容物からの化学発光放出を検出するように構成および配置された照度計を備える、項目82に記載のシステム。
(項目84)
上記インキュベータ内に設けられた上記反応容器到達開口部を介して、反応容器を上記反応容器運搬装置へ、またはそこから移送するように、および、上記インキュベータ内の反応容器のインキュベーションに続いて、該反応容器を上記信号検出装置へ連続的に移送するように構成および配置された少なくとも1つの移送機構を含む、反応容器移送システムをさらに備える、
項目70から83までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目85)
上記反応容器運搬装置は、それぞれ該反応容器ステーションの1つに隣接して配置された磁性仕切りをさらに備え、上記磁性仕切りはそれぞれ、該隣接する反応容器ステーションに運搬された反応容器を磁場に曝露するための1つ以上の磁性素子を含む、項目63から84までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目86)
上記信号検出装置は、
隣接して配置された複数の反応容器が該装置によって移動される移送経路を画定する構造と、
上記移送経路に沿って配置され、感光装置に対して動作可能なように置かれた反応容器の内容物から放出された光を検出するように構成および配置された上記感光装置と、
上記移送経路に隣接して置かれ、(1)隣接して配置された反応容器を上記移送経路に沿って移動できるようにする第1の位置と、(2)上記移送経路上に配置され、上記感光装置に対して動作可能なように置かれた上記反応容器の1つと動作可能なように係合する第2の位置と、の間で旋回するように構成および配置された反応容器単離装置であって、上記反応容器単離装置は、上記反応容器単離装置によって係合された、上記動作可能に置かれた反応容器以外のソースからの光が上記感光装置によって検出されるのを実質的に防止するように構成および配置され、上記反応容器単離装置は、上記第1の位置と第2の位置の間を旋回回転するように構成および配置され、上記容器槽単離装置が上記第2の位置にあるときには、上記反応容器単離装置によって係合された反応容器を少なくとも部分的に包囲する構造を含む、反応容器単離装置と、
を備える、
項目82から85までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目87)
上記信号検出装置は、該動作可能なように置かれた反応容器の内容物から放出された光の量を上記感光装置が検出するのに十分な時間の間、該隣接して配置された反応容器のそれぞれを上記感光装置に対して動作可能なように置くような方法で、該隣接して配置された複数の反応容器を上記移送経路に沿って移動させるように構成および配置された移送機構をさらに備える、項目86に記載のシステム。
(項目88)
上記信号検出装置は、上記移送経路に隣接して配置された、そこに形成された開口を有する開口パネルをさらに備え、
上記感光装置は、
光電子増倍管であって、上記光電子増倍管の一端の光取り入れ開口部の前に置かれた物体から放出された光を検出するように、および、上記光電子増倍管によって検出された光を示す電子信号を生成するように適合され、上記開口の前の上記移送経路上に配置された反応容器の内容物から放出された光を受光するために、上記開口に対して置かれたその上記光取り入れ開口部を持つ上記移送経路と反対側の上記開口パネルの側の上に置かれた光電子増倍管と、
シャッターアセンブリであって、上記開口パネル上に取り付けられ、光が上記開口を通過するのを可能にする開位置と光が上記開口を通過するのを防止する閉位置との間における上記シャッターアセンブリの移動によって、光を上記開口パネルに形成された上記開口を介して上記光電子増倍管へ選択的に取り入れるように構成および配置されたシャッターアセンブリと、
を備え、
上記シャッターアセンブリは、
それぞれ上記シャッターアセンブリの開位置と閉位置とに対応する開位置と閉位置との間における回転移動のために構成および配置されたシャッターであって、上記シャッターが上記閉位置にあるときには上記開口をブロックし、上記シャッターが上記開位置にあるときには上記開口をブロックしないシャッターと、
上記開位置と閉位置との間の上記シャッターの動力回転をもたらすための、上記シャッターと動作可能なように連結されたモーターと、
を備える、
項目86または87に記載のシステム。
(項目89)
反応容器内に存在する対象核酸を結合するための固体支持材料を単離するように構成および配置された分離装置をさらに備える、項目52から88までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目90)
上記分離装置は、該反応容器から流体物質を吸引するように構成および配置された流体吸引機構を含む、項目89に記載のシステム。
(項目91)
上記分離装置は、
該反応容器から該流体サンプルを除去した後に、該反応容器に洗浄液を提供するように構成および配置された流体分注機構と、
該流体分注機構によって該洗浄液が提供された後に、該固体支持材料を再懸濁するために該反応容器を攪拌するように構成および配置された混合装置と、
をさらに備える、
項目90に記載のシステム。
(項目92)
該分離装置は、流体物質を磁場に置くための磁性素子を備える、項目89から9までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目93)
各反応容器は、一体的に形成された複数の反応容器の1つである、項目52から92までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目94)
複数の反応容器のそれぞれの内容物によって放出された信号を測定するためのシステムであって、該システムは、
複数の反応容器ステーションを含む可動反応容器運搬装置であって、上記反応容器ステーションのそれぞれは2つ以上の反応容器を運搬する、可動反応容器運搬装置と、
信号測定装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の内容物によって放出された信号の量を測定するように構成および配置された上記信号測定装置であって、上記反応容器運搬装置が反応容器を移動させる際に、上記反応容器運搬装置に運搬された該反応容器が上記信号測定装置に近接して動作可能なように連続的に移動されるように、上記信号測定装置が上記反応容器運搬装置に対して置かれる、信号測定装置と、
上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させるように構成および配置された信号測定装置移送機構と、
を備え、
上記反応容器運搬装置は、各反応容器ステーションを信号測定位置に連続的に提示して、該信号測定位置において該反応容器ステーションに運搬された該反応容器の1つが上記信号測定装置に近接して動作可能であるように制御され、上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置を上記反応容器運搬装置に対して移動させて、該信号測定位置に移動された該反応容器ステーションに運搬された該反応容器のそれぞれに近接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように制御される、
システム。
(項目95)
上記信号測定装置は、上記反応容器運搬装置の下に置かれる、項目94に記載のシステム。
(項目96)
1つを超える信号測定装置を備える、項目94から95までのいずれか一項に記載のシステムであって、
各信号測定装置は、反応容器の内容物によって放出された異なる信号を測定するように構成および配置され、
上記反応容器運搬装置は、上記信号測定装置に対する信号測定位置に上記反応容器ステーションを連続的に提示するように構成および配置され、上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置のそれぞれを上記反応容器運搬装置に対して移動させて、該信号測定装置に対応する該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された該反応容器のそれぞれに近接して動作可能なように上記信号測定装置を連続的に置くように構成および配置される、
システム。
(項目97)
4つの信号測定装置を備える、項目96に記載のシステム。
(項目98)
上記信号測定装置は、反応容器の内容物からの蛍光放出を測定するように構成および配置された蛍光光度計を備える、項目94から97までのいずれか一項に記載のシステム。(項目99)
上記蛍光光度計は、
該反応容器に励起エネルギーを向けるように構成および配置された励起構成要素と、
該反応容器の内容物からのエネルギー放出の量を検出するように構成および配置された検出構成要素と、
を備える、
項目98に記載のシステム。
(項目100)
項目94から99までのいずれか一項に記載のシステムであって、
(a)上記反応容器運搬装置は、回転台の周辺部の周囲に置かれた上記反応容器ステーションと共に回転軸の周囲を回転可能となるように取り付けられた、略円形の回転台を備え、各反応容器ステーションは、上記回転台の該回転軸に対して半径方向に配置された2つ以上の反応容器を備え、
(b)上記回転台の回転は、上記各反応容器ステーションを信号測定位置に連続的に提示し、該信号測定位置において、上記反応容器ステーションに運搬された放射状に配置された反応容器の1つが、上記信号測定装置に近接して動作可能であり、
(c)上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置を上記回転台に対して略半径方向に移動させて、該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された放射状に配置された反応容器のそれぞれに隣接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように構成および配置される、
システム。
(項目101)
上記信号測定装置移送機構は、
上記回転台の該回転軸に対して略垂直に配向された固定プレートと、
上記信号測定装置と動作可能に関連付けられ、上記回転台の該回転軸に対して略半径方向に上記固定プレートに取り付けられたトラックを含む平行移動アセンブリであって、上記信号測定装置は上記平行移動アセンブリに取り付けられ、上記トラックに沿って移動可能である、平行移動アセンブリと、
を備える、
項目100に記載のシステム。
(項目102)
上記信号測定装置を上記平行移動アセンブリに取り付けるための取り付けブラケットをさらに備える、項目101に記載のシステムであって、
上記平行移動アセンブリは上記取り付けブラケットが付着される軸受要素をさらに含み、上記軸受要素は上記トラックに沿って平行移動するように構成および配置される、
システム。
(項目103)
上記トラックに沿った所定位置に位置し、上記トラックに沿った上記所定位置において上記信号測定装置の存在を検出するように構成および配置されるセンサーをさらに備える、項目101から102までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目104)
上記信号測定装置移送機構は、
上記固定プレートに隣接して回転可能に取り付けられたカムディスクであって、上記平行移動アセンブリの上記トラックは上記カムディスクの回転軸に対して略放射状に配置され、上記カムディスクはカムスロットを含み、上記カムスロットは、該カムスロットと該カムディスクの回転軸との間の半径方向の距離が上記カムスロットの一端から上記カムスロットの反対端までで変動するように上記カムディスク上に配置された、カムディスクと、
上記カムディスクの動力回転をもたらすために、上記カムディスクと動作可能なように連結されたモーターと、
係合ピンであって、上記信号測定装置と関連付けられ、かつ上記カムディスクの動力回転が上記係合ピンを上記カムスロットに沿って横断させるように、上記カムスロットと係合され、それによって、上記カムディスクの該回転軸と上記係合ピンが係合された該カムスロットの部分との間の半径方向の距離の変化に従って、上記信号測定装置の半径方向の位置を変化させる、係合ピンと、
をさらに備える、
項目101から103までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目105)
上記カムスロットは上記スロットに沿った位置決め点を含み、上記位置決め点は上記スロットの各端部および上記スロットの曲率が変化する上記スロットに沿った1つ以上の点によって画定され、上記係合ピンが位置決め点において上記スロットに係合されているときには、上記信号測定装置は該反応容器ステーションに運搬された該反応容器の1つに近接して動作可能なように置かれる、項目104に記載のシステム。
(項目106)
1つを超える信号測定装置を備える、項目100から105までのいずれか一項に記載のシステムであって、
各信号測定装置は、反応容器の内容物によって放出された異なる信号を測定するように構成および配置され、
上記反応容器運搬装置は、上記信号測定装置に対する信号測定位置に上記反応容器ステーションを連続的に提示するように構成および配置され、上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置のそれぞれを上記反応容器運搬装置に対して移動させて、該信号測定装置に対応する該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された該反応容器のそれぞれに近接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように構成および配置される、
システム。
(項目107)
各信号測定装置は、反応容器の内容物からの蛍光放出を測定するように構成および配置された蛍光光度計を備え、各蛍光光度計は、異なる波長を有する蛍光放出を測定する、項目106に記載のシステム。
(項目108)
各蛍光光度計は、
該反応容器に励起エネルギーを向けるように構成および配置された励起構成要素であって、各蛍光光度計の該励起構成要素は該反応容器に異なる波長の励起エネルギーを向ける、励起構成要素と、
該反応容器の内容物からの放出エネルギーの量を検出するように構成および配置された検出構成要素であって、各蛍光光度計の該検出構成要素は異なる波長の放出エネルギーを検出する、検出構成要素と、
を備える、
項目107に記載のシステム。
(項目109)
項目106から108までのいずれか一項に記載のシステムであって、
(a)上記反応容器運搬装置は、回転台の周辺部の周囲に置かれた上記反応容器ステーションと共に回転軸の周囲を回転可能となるように取り付けられた、略円形の回転台を備え、各反応容器ステーションは、上記回転台の該回転軸に対して半径方向に配置された2つ以上の反応容器を備え、
(b)上記回転台の回転は、上記各反応容器ステーションを該信号測定位置に連続的に提示し、該信号測定位置において、上記反応容器ステーションに運搬された放射状に配置された反応容器の1つが、当該信号測定位置に対応する上記信号測定装置に近接して動作可能であり、
(c)上記信号測定装置移送機構は、上記信号測定装置を上記回転台の該回転軸に対して略半径方向に移動させて、該信号測定位置に移動された上記反応容器ステーションに運搬された放射状に配置された反応容器のそれぞれに隣接して動作可能なように、上記信号測定装置を連続的に置くように構成および配置される、
システム。
(項目110)
上記信号測定装置移送機構は、
上記回転台の該回転軸に対して略垂直に配向された固定プレートと、
各信号測定装置と動作可能に関連付けられた平行移動アセンブリであって、各平行移動アセンブリは上記回転台の該回転軸に対して略半径方向に上記固定プレートに取り付けられたトラックを含み、各信号測定装置は上記関連付けられた平行移動アセンブリに取り付けられ上記トラックに沿って移動可能である、平行移動アセンブリと、
を備える、
項目109に記載のシステム。
(項目111)
各信号測定装置を上記平行移動アセンブリに取り付けるための取り付けブラケットをさらに備える、項目110に記載のシステムであって、
各平行移動アセンブリは上記取り付けブラケットが付着される軸受要素をさらに含み、上記軸受要素は上記平行移動アセンブリの上記トラックに沿って平行移動するように構成および配置される、
システム。
(項目112)
各トラックに沿った所定位置に位置し、上記トラックに沿った上記所定位置において上記信号測定装置の存在を検出するように構成および配置されるセンサーをさらに備える、項目110から111までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目113)
上記信号測定装置移送機構は、
上記固定プレートに隣接して回転可能に取り付けられたカムディスクであって、上記平行移動アセンブリの各トラックは上記カムディスクの回転軸に対して略放射状に配置され、上記カムディスクは各平行移動アセンブリと関連付けられたカムスロットを含み、各カムスロットは、該カムスロットと該カムディスクの該回転軸との間の半径方向の距離が上記カムスロットの一端から上記カムスロットの反対端までで変動するように上記カムディスク上に配置された、カムディスクと、
上記カムディスクの動力回転をもたらすために、上記カムディスクと動作可能なように連結されたモーターと、
係合ピンであって、各信号測定装置と動作可能なように関連付けられ、上記カムディスクの動力回転が上記係合ピンを上記カムスロットに沿って横断させるように、関連付けられたカムスロットと係合され、それによって、上記カムディスクの該回転軸と上記係合ピンが係合された該関連付けられたカムスロットの部分との間の半径方向の距離の変化に従って、上記関連付けられた信号測定装置の半径方向の位置を変化させる、係合ピンと、
をさらに備える、
項目110から112までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目114)
各カムスロットは上記スロットに沿った位置決め点を含み、上記位置決め点は上記スロットの各端部によって、および上記スロットの曲率が変化する上記スロットに沿った1つ以上の点によって画定され、上記係合ピンが位置決め点において上記スロットに係合されているときには、上記信号測定装置は該反応容器ステーションに運搬された該反応容器の1つに近接して動作可能なように置かれる、項目113に記載のシステム。
(項目115)
4つの信号測定装置と、4つの平行移動アセンブリと、4つのカムスロットとを備える、項目113から114までのいずれか一項に記載のシステム。
(項目116)
反応容器の第1の部分に存在する第1の対象核酸の量を定量的に決定するため、および、該反応容器の第2の部分に存在する第2の対象核酸の有無を定性的に決定するために、複数の該反応容器の内容物を処理するための方法であって、
a)第1の加熱器に複数の反応容器を連続的に提供する自動ステップであって、各反応容器には、対応する第1または第2の対象核酸内に含有される第1または第2の標的配列を、上記第1の加熱器の温度条件下で増幅するのに十分な増幅および酵素試薬が提供される、ステップと、
b)上記第1の標的配列またはその補体を含有する第1の増幅産物を検出するのに十分な検出試薬が提供された上記反応容器の第1の部分の反応容器を、信号測定装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の内容物によって放出された信号の量を測定するように構成および配置された上記信号測定装置に近接して動作可能なように、連続的および周期的に移動させる自動ステップ、および上記信号測定装置に近接して動作可能なように移動された反応容器の上記第1の部分の各反応容器内における上記第1の増幅産物の存在と関連付けられた信号の量を測定する自動ステップと、
c)ステップb)において得られた該測定結果に基づいて、反応容器の上記第1の部分の各反応容器内に存在する上記第1の対象核酸の量を定量化するためにマイクロプロセッサを使用する自動ステップと、
d)上記第2の標的配列またはその補体を含有する第2の増幅産物を検出するのに十分な検出試薬が提供された上記反応容器の第2の部分の反応容器を、信号検出装置に近接して動作可能なように置かれた反応容器の内容物によって放出された信号の存在を検出するように構成および配置された上記信号検出装置に近接して動作可能なように、連続的に移動させる自動ステップ、および上記信号検出装置に近接して動作可能なように移動された反応容器の上記第2の部分の各反応容器内における上記第2の増幅産物の存在と関連付けられた信号を検出する自動ステップと、
f)ステップd)において得られた該測定結果に基づいて、反応容器の上記第2の部分の各反応容器内における上記第2の対象核酸の有無を決定するためにマイクロプロセッサを使用する自動ステップと、
を包含する、方法。
(項目117)
上記反応容器は、自動反応容器移送システムを使用して上記第1の加熱器に提供される、項目116に記載の方法。
(項目118)
上記移送システムは、反応容器を上記第1の加熱器に提供するための、第1の回転可能な移送機構を含む、項目116から117までのいずれか一項に記載の方法。
(項目119)
上記移送システムは、上記第1の加熱器から反応容器を除去するための、第2の回転可能な移送機構を含む、項目118に記載の方法。
(項目120)
上記移送システムは、ステップd)において、上記信号検出装置に近接して動作可能なように、反応容器の上記第2の部分の反応容器を上記第1の加熱器から移動させる、項目117から119までのいずれか一項に記載の方法。
(項目121)
反応容器の上記第2の部分の反応容器を上記第1の加熱器から第2の加熱器へ移動させる自動ステップをさらに包含する、項目120に記載の方法であって、
上記検出試薬は、上記検出試薬中に存在するプローブを上記第2の標的配列またはその補体と検出可能なようにハイブリダイズさせることができる温度条件下で、反応容器の上記第2の部分の反応容器に提供される、
方法。
(項目122)
上記第2の加熱器は密閉型インキュベータであり、該インキュベータは反応容器を収納したり、上記インキュベータから除去したりするための1つ以上のドアを有する、項目121に記載の方法。
(項目123)
上記インキュベータは、上記インキュベータ内で反応容器を収納および移動させるための回転可能な反応容器運搬装置を含む、項目122に記載の方法。
(項目124)
反応容器の上記第2の部分の反応容器を、上記第2の加熱器から上記信号検出装置に近接して動作可能なように移動させる自動ステップをさらに包含する、項目121から123までのいずれか一項に記載の方法。
(項目125)
上記信号検出装置は蛍光光度計であり、上記プローブは化学発光ラベルで標識されている、項目121から124までのいずれか一項に記載の方法。
(項目126)
上記第1の加熱器は密閉型インキュベータであり、該インキュベータは上記反応容器を収納したり、上記インキュベータから除去したりするための1つ以上のドアを有する、項目116から125までのいずれか一項に記載の方法。
(項目127)
上記インキュベータは、上記インキュベータ内で反応容器を収納および移動させるための回転可能な反応容器運搬装置を含む、を含む、項目126に記載の方法。
(項目128)
上記増幅および酵素試薬は、上記反応容器が上記第1の加熱器に提供された後に上記反応容器に提供される、項目116から127までのいずれか一項に記載の方法。
(項目129)
上記検出試薬は、反応容器の上記第1の部分の反応容器が上記第1の加熱器に提供された後に、反応容器の上記第1の部分の反応容器に提供され、反応容器の上記第1の部分の反応容器は、上記第1の加熱器から除去される前に、ステップb)において、上記信号測定装置に近接して動作可能なように移動される、項目128に記載の方法。
(項目130)
反応容器の上記第2の部分の反応容器は、ステップd)において上記信号検出装置に近接して動作可能なように移動される前に上記第1の加熱器から除去され、上記検出試薬は、上記第1の加熱器から除去された後に、反応容器の上記第2の部分の反応容器に提供される、項目129に記載の方法。
(項目131)
ステップa)において反応容器の上記第1の部分の反応容器に提供される上記増幅および酵素試薬は、プライマーまたはプロモータープライマー、ヌクレオシド三リン酸、および、上記第1の加熱器の温度条件下で上記第1の対象核酸にハイブリダイズされた上記プライマーまたはプロモータープライマーの3´端を延長することができる核酸ポリメラーゼを含み、ステップa)において反応容器の上記第2の部分の反応容器に提供される上記増幅および酵素試薬は、プライマーまたはプロモータープライマー、ヌクレオシド三リン酸、および、上記第1の加熱器の温度条件下で上記第2の対象核酸にハイブリダイズされた上記プライマーまたはプロモータープライマーの3´端を延長することができる核酸ポリメラーゼを含む、項目116から130までのいずれか一項に記載の方法。
(項目132)
上記温度条件は等温である、項目131に記載の方法。
(項目133)
上記第1の増幅産物を検出するための上記検出試薬は、上記第1の加熱器の温度条件下で上記第1の標的配列またはその補体と検出可能なようにハイブリダイズする、自己ハイブリダイズプローブを含む、項目116から132までのいずれか一項に記載の方法。
(項目134)
上記プローブは分子ビーコンまたは分子トーチであり、相互に作用するラベル対を含む、項目133に記載の方法。
(項目135)
上記ラベル対は、蛍光プローブと消光剤とを含む、項目134に記載の方法。
(項目136)
反応容器の上記第1の部分の複数の反応容器のそれぞれからの上記信号を、同時に測定するステップをさらに包含する、項目116から135までのいずれか一項に記載の方法。
(項目137)
ステップb)において、反応容器の上記第1の部分の反応容器は、相隔たる複数の信号測定装置に近接して動作可能なように連続的および周期的に移動され、各信号測定装置は上記加熱器と動作可能なように関連付けられた蛍光信号検出装置である、項目136に記載の方法。
(項目138)
上記蛍光信号検出装置は、上記加熱器に対して移動可能である、項目137に記載の方法。
(項目139)
反応容器の上記第1の部分の反応容器の中の複数の信号を同時に測定するステップをさらに包含する、項目116から138までのいずれか一項に記載の方法であって、上記複数の信号のそれぞれは異なる増幅産物と関連付けられる、方法。
(項目140)
ステップa)の前に、上記反応容器から増幅阻害物質を除去するのに十分な試薬および条件に、上記反応容器のぞれぞれの中に存在するサンプル物質を曝露する自動ステップをさらに包含する、項目116から139までのいずれか一項に記載の方法。
(項目141)
上記曝露するステップは、
上記各反応容器に固体支持材料を提供するステップであって、上記固体支持材料は上記第1および第2の対象核酸を結合することができる、ステップと、
上記各反応容器内の上記固体支持材料を単離するステップと、
上記各反応容器から上記サンプル物質の少なくとも一部を除去するステップと、
上記固体支持材料を洗浄液で洗浄するステップと、
をさらに包含する、
項目140に記載の方法。
(項目142)
上記固体支持材料は磁気反応性粒子であり、上記単離するステップは上記各反応容器に隣接して置かれた1つ以上の磁石によって実行される、項目141に記載の方法。
(項目143)
上記曝露するステップの後に、自動反応容器移送システムを使用して上記反応容器を上記第1の加熱器に移送するステップをさらに包含する、項目140から142までのいずれか一項に記載の方法。
(項目144)
上記移送システムは回転可能な移送機構を備える、項目143に記載の方法。
(項目145)
上記各反応容器は、一体的に形成された複数の反応容器の1つである、項目116から144までのいずれか一項に記載の方法。
(項目146)
本方法のステップはすべて、内蔵型分析器ユニットのハウジング内で実行される、項目116から145までのいずれか一項に記載の方法。
(項目147)
サンプル中の問題の検体の量を決定する方法であって、
(a)該サンプルによって放出された信号のレベルの周期的測定結果を備えるデータを収集するステップであって、該信号の該レベルは該サンプル中の問題の該検体の存在と関連付けられる、ステップと、
(b)問題の該検体の存在以外のソースと関連付けられる、該測定されたレベルへのバックグラウンド影響率を除去するために、ステップ(a)において収集された該データを調整するステップと、
(c)該調整されたデータを、測定されバックグラウンド影響率を除去するように調整された最大レベルで割ることによって、ステップ(b)において調整された該データを正規化するステップと、
(d)所定の下限値と所定の上限値との間の該調整され正規化されたデータの一部によって、曲線を近似するステップと、
(e)ステップ(d)において近似された該曲線が所定の閾値データレベルと交差する出現時を決定するステップと、
(f)ステップ(e)において決定された該出現時を、問題の該検体の既知の量に対して決定されている閾値時と比較することによって、問題の該検体の量を決定するステップと、
を包含する、方法。
(項目148)
該近似するステップは、該所定の下限値と該所定の上限値との間の該調整され正規化されたデータ点に対して、曲線当てはめ手順を適用するステップを包含する、項目147に記載の方法。
(項目149)
該曲線当てはめ手順は、線形最小二乗法による当てはめである、項目148に記載の方法。
(項目150)
該収集されたデータは、少なくとも30秒ごとに1回取得された該放出された信号のレベルの測定結果を備える、項目147から149までのいずれか一項に記載の方法。
(項目151)
該所定の下限値は約0.04であり、該所定の上限値は約0.36である、項目147から150までのいずれか一項に記載の方法。
(項目152)
該正規化された所定の閾値データレベルは約0.11である、項目147から151までのいずれか一項に記載の方法。
(項目153)
上記調整するステップは、バックグラウンド影響率のレベルを決定するステップ、および、次いでステップ(a)において収集された該データから該決定されたバックグラウンド影響率のレベルを減じるステップを包含する、項目147から152までのいずれか一項に記載の方法。
(項目154)
バックグラウンド影響率の該レベルを決定するステップは、バックグラウンド影響率の量を決定するためのステップを包含する、項目157に記載の方法。
(項目155)
反応槽内における核酸増幅阻害物質の存在を減らすための方法であって、該方法は、
(a)反応槽に表面処理剤および核酸含有材料を提供するステップと、
(b)上記反応槽の内容物を混合するために、上記反応槽を攪拌するステップと、
(c)上記核酸含有材料中に存在する場合には、上記反応槽の内容物を、上記反応槽内の対象核酸を単離するのに十分な試薬および条件に曝露するステップと、
(d)ステップ(c)の間に、上記反応槽の内容物の少なくとも一部を除去するステップと、
(e)上記反応槽に洗浄液を提供するステップと、
(f)上記核酸含有材料中に存在する場合には、上記反応槽の内容物を、上記反応槽内の上記対象核酸を単離するのに十分な試薬および条件に曝露するステップと、
(g)ステップ(f)の間に、上記反応槽の内容物の少なくとも一部を除去するステップと、
(h)上記対象核酸中に存在する標的配列を増幅するのに十分な試薬および条件に、上記反応槽の内容物を曝露するステップと、を包含し、
上記表面処理剤は、ステップ(d)およびステップ(g)の間に核酸増幅阻害物質の存在を減らすのに十分な量で上記反応槽に提供され、
上記表面処理剤は核酸増幅反応の阻害物質でない、
方法。
(項目156)
上記表面処理剤は、上記核酸含有材料が上記反応槽に提供される前に、上記反応槽に提供される、項目155に記載の方法。
(項目157)
上記表面処理剤は、上記核酸含有材料が上記反応槽に提供された後に、上記反応槽に提供される、項目155に記載の方法。
(項目158)
上記対象核酸を固定化するために固体支持材料を上記反応槽に提供するステップをさらに包含する、項目155に記載の方法。
(項目159)
上記固体支持材料は、磁気反応性粒子を備える、項目158に記載の方法。
(項目160)
上記反応槽の内容物は、ステップ(c)およびステップ(f)の間に磁場に曝露される、項目159に記載の方法。
(項目161)
上記表面処理剤は、上記固体支持材料が上記反応槽に提供された後に、上記反応槽に提供される、項目158に記載の方法。
(項目162)
上記表面処理剤は、上記固体支持材料が上記反応槽に提供される前に、上記反応槽に提供される、項目158に記載の方法。
(項目163)
反応槽内における核酸増幅阻害物質の存在を減らすための方法であって、該方法は、
(a)反応槽から核酸含有材料の少なくとも一部を除去するステップと、
(b)ステップ(a)の後に、上記反応槽に洗浄液および表面処理剤を提供するステップと、
(c)上記反応槽の内容物を混合するために、上記反応槽を攪拌するステップと、
(d)上記核酸含有材料中に存在する場合には、上記反応槽の内容物を、上記反応槽内の対象核酸を単離するのに十分な試薬および条件に曝露するステップと、
(e)ステップ(d)の間に、上記反応槽の内容物の少なくとも一部を除去するステップと、
(f)上記対象核酸中に存在する標的配列を増幅するのに十分な試薬および条件に、上記反応槽の内容物を曝露するステップと、
を包含し、
上記表面処理剤は、ステップ(e)の間に核酸増幅阻害物質の存在を減らすのに十分な量で上記反応槽に提供され、
上記表面処理剤は、核酸増幅反応の阻害物質でない、
方法。
(項目164)
上記洗浄液および上記表面処理剤は、上記反応槽に同時に提供される、項目163に記載の方法。
(項目165)
上記洗浄液および上記表面処理剤は、上記反応槽に別々に提供される、項目163に記載の方法。
(項目166)
ステップ(a)の前に、上記対象核酸を固定化するための固体支持材料を上記反応槽に提供するステップをさらに包含する、項目163に記載の方法。
(項目167)
上記固体支持材料は、磁気反応性粒子を含む、項目166に記載の方法。
(項目168)
上記反応槽の内容物は、ステップ(d)の間に磁場に曝露される、項目167に記載の方法。
(項目169)
上記表面処理剤は、上記阻害物質が上記反応槽の内面に接着することを防止する、項目155から168までのいずれか一項に記載の方法。
(項目170)
上記表面処理剤は、洗剤を含まない、項目155から169までのいずれか一項に記載の方法。
(項目171)
上記表面処理剤は、シリコンオイルを備える、項目155から170までのいずれか一項に記載の方法。
(項目172)
上記反応槽は、疎水性材料を備える、項目155から171までのいずれか一項に記載の方法。
(項目173)
上記反応槽は、ポリプロピレンを備える、項目172に記載の方法。
(項目174)
上記阻害物質は、上記核酸含有材料によって提供される、項目155から173までのいずれか一項に記載の方法。
(項目175)
上記阻害物質は、ヘモグロビンである、項目174に記載の方法。
(項目176)
上記阻害物質は、上記洗浄液によって提供される、項目155から173までのいずれか一項に記載の方法。
(項目177)
上記阻害物質は、アニオン洗剤である、項目176に記載の方法。
(項目178)
上記標的配列を増幅するための上記試薬は、プライマーまたはプロモータープライマー、ヌクレオシド三リン酸、および、上記対象核酸にハイブリダイズされた上記プライマーの3´端を延長することができる核酸ポリメラーゼを含む、項目155から177までのいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、さまざまな形式で実施してよく、以下の説明および添付の図面は、本発明の具体例としてのいくつかの形式を開示することを意図するに過ぎない。従って、本発明は記載および図解される形式あるいは実施例に限定されるものではない。本発明の全範囲は、添付の請求項に記載される。
【0024】
(分析器の概説)
本発明による自動診断用分析器は、
図1および2における参照番号50により広く指示される。内部フレーム構造62を覆って設けられるハウジング60を含む分析器50は、スチールで作られることが好ましい。分析器50は、分析器を移動可能とするようフレーム構造62に構造的に取り付けられたキャスタ輪64上に支持されることが好ましい。
【0025】
自動アッセイの実施に関与するさまざまなステーションおよびアッセイサンプルは、ハウジング60内に収納される。さらに、アッセイを実施する際に使用されるさまざまな溶液、試薬、および材料は、分析器50内でアッセイが実施されるときに生成される廃棄物と同様に、ハウジング60内に保管されることが好ましい。
【0026】
ハウジング60は、
図1ではハウジング60の前方に向いたパネルに配置されるよう示されるが、ハウジング60の別のパネルに位置することも可能な試験容器投入開口部68を含む。観察窓72を備えるピペットドア70、および観察窓76を備える回転台ドア74は、略水平作業表面66の上方に配置される。前方向突き出し弓状パネル78は、後述のサンプル回転台を収容する。跳ね上げ式弓状サンプルドア80は、アーチ状パネル78に対して上下に枢動するよう、ハウジングに枢動可能に取り付けられ、パネル78裏側のサンプル回転台の前方部へのアクセスを提供する。分析器操作の最中に、ドアが閉まっている場合、またサンプルドア80、回転台ドア74およびピペットドア70が施錠されている場合、センサーが指摘する。各ドアの施錠機構は、スプリングリターンを備える(連続稼働を見積もった)DC回転式ソレノイドに取り付けられたフックから構成されることが好ましい。好ましい回転式ソレノイドは、Lucas Control Systems(オハイオ州バンダリア)から、型番L−2670−034およびL−1094−034として市販されている。
【0027】
透明あるいは半透明材料から作られることが好ましい伸張部分102は、ハウジング60上部の上方に延び、構成要素をハウジング60内で移動するための上下の隙間を提供する。
【0028】
アッセイは、主に処理デスク200で実施されるが、これは後述の分析器50のさまざまなアッセイステーションの全般的な所在地である。図の簡略化のため、
図2では、処理デスク200は、アッセイステーションが取り付けられていない状態で示される。処理デスク200は、さまざまなステーションが直接あるいは間接的に取り付けられる基準プレート8を備える。基準プレート82は、切削アルミニウム板を備えることが好ましい。処理デスク200は、化学デスクとしても知られ、ハウジング内部を、基準プレート82上方の化学エリアあるいは上方シャーシと、基準プレート82下方に位置する保存エリアあるいは下方シャーシ1100とを分離する。
【0029】
ある数のファンとルーバーは、ハウジング60の上方シャーシ部に備えられ、上方シャーシの過剰な温度上昇を防ぐために、上方シャーシを通しての空気循環を作り出すことが好ましい。
【0030】
本発明の分析器50はコンピュータ制御されるため、分析器50は、
図2にボックス1000として概略的に表されるコンピュータ制御装置を含むが、これは「アッセイ・マネージャー・プログラム」として知られる高レベルの分析器制御ソフトウェアを実行する。アッセイ・マネージャー・プログラムは、化学デスク200を通しての試験サンプルの動きを監視および制御するスケジューラルーチンを含む。
【0031】
分析器50を制御するコンピュータ制御装置1000は、CPU、キーボード、モニタを含み、また任意で印刷装置を含んでよいスタンドアロン・コンピュータシステムを含んでよい。さまざまなコンピュータ構成要素を保存、支持するための移動可能なカートを備えてもよい。あるいは、分析器50のハウジング60内に、分析器制御ソフトウェアを実行するためのコンピュータハードウェアを一体的に収納してよい。
【0032】
分析器50を通して使用される電気モーターおよびヒータの制御、バルク流体および廃流体容器内の流体レベルの監視など、低レベルの分析器制御は、好ましくはMotorola68332マイクロプロセッサを備える組み込みコントローラにより実施される。分析器を通して使用されるステッピングモーターも、E−M Technologies(ペンシルベニア州バラ・シンウィッド)から市販されている前もってプログラムされた、既製のマイクロプロセッサチップにより制御されることが好ましい。
【0033】
処理デスク200は、
図3および4に概略的に示される。
図3は、処理デスク200の一部分の概略平面図を表し、
図4は、処理デスクの概略透視図を表す。基準プレート82は、全てのステーションが直接あるいは間接的に取り付けられる処理デスク200の基盤を形成する。
【0034】
処理デスク200は、ハウジング60前部の開口部68から延びる反応容器投入準備室150を含む。複数の反応容器は、投入準備室150に積み重なった状態で搭載される。投入準備室の目的は、所定の数の反応容器を把持し、移送機構(後述)により回収されるよう、それらを収集位置に順次的に供給することである。収集位置にある反射式センサーは、その位置に容器が存在することを確認する。投入準備室は、あらゆる規定の時間に、そこに存在する容器の数を数える装置も含む。
【0035】
準備室内の反応容器シャトルアセンブリ(図示せず)は、容器を容器前進経路に沿って収集位置へと移動させる。光センサーは、シャトルアセンブリがそのホームポジションおよび完全伸展位置にあるときに指摘する。準備室は、その中に容器を搭載するために引出される引出しを含む。ただし、開けられる前に、引出しは開錠され、シャトルは容器前進経路から離脱しなければならない。再び閉められるとき、引出しは施錠され、シャトルは容器を係合して収集位置へと移動させる。光センサーは、引出しが閉められている場合、およびシャトルが容器を係合している場合に指摘する。各容器が移送機構によって収集位置から取り除かれると、容器シャトルは、次の容器が収集位置に定められるよう、容器を一容器幅分前進させる。
【0036】
分析器50は、単一の反応容器から構成される反応容器、あるいは任意の数の異なる形状、サイズ、および構成を有する複数の反応容器を含む一体的に形成されるユニットにより使用に適合させてよいが、本発明の反応容器は、多管ユニットまたはMTUとして知られる反応管の線形配置を一体的に形成することが好ましい。これらの好ましい反応容器は、さらに詳しく後述する。
【0037】
好ましい実施例ではサンプルリング250を備える第一のリングアセンブリは、基準プレート82上方に距離を置いて、枢動治具プレート130に取り付けられる。サンプルリング250は略円形で、その環状の流体容器運搬部に9枚までのサンプルトレイ300を把持することが好ましく、また各サンプルトレイは、20個のサンプル含有容器または試験管320を把持することが好ましい。サンプルリング250は、第一の略垂直回転軸を中心に回転可能に構成および配置され、サンプル管320を、自動ロボットピペットシステムであることが好ましいサンプルピペットアセンブリ450に供給する。サンプルリング250の前方部は、ハウジング60に備えられる跳ね上げ式回転台ドア80を通して到達可能であり、試験管320のトレイ300は、容易にサンプルリング250に搭載することができ、またサンプルリングから取り外すことができる。サンプルリング250は、後述の詳細のとおり、モーターにより駆動される。
【0038】
好ましい実施例ではピペットチップホイール350を備える第二のリングアセンブリは、サンプルリング250の内部に位置し、ピペットチップホイール350の外周の少なくとも一部分は、リング250の内周の半径方向内向きに配置される。ピペットチップホイール350は、複数の市販のピペットチップのパッケージを載せて運搬する。ピペットチップホイール350は、モーターにより駆動され、サンプルリング250の第一の回転軸に対し略平行である第二の回転軸を中心に、サンプルリング250を個別に回転させる。
【0039】
複数の流体容器を運搬するよう構成および配置される内部の回転可能なアセンブリは、ピペットチップホイール350の内部に提供される。好ましい実施例では、内部の回転可能なアセンブリは、ピペットチップホイール350(第二のリングアセンブリ)およびサンプルリング250(第一のリングアセンブリ)の半径方向内部に位置する多軸撹拌器400を備える。多軸撹拌器400は、第一および第二の回転軸に対し略平行である第三の回転軸を中心に回転可能であり、四つの個別かつ偏心的に回転する容器ホルダー406が取り付けられる回転盤414を含む。各容器ホルダー406は、好ましくはプラスチックボトルの形状の、固定化ポリヌクレオチドおよびポリヌクレチオド捕獲プローブを有する磁性粒子の流体懸濁を含む容器を収容する。各容器ホルダー406は略円筒型であり、対称軸あるいは回転軸を含む。多軸撹拌器400は、各容器をホルダー406の中心に対して偏心的に回転させ、同時に回転盤414をその中心の周囲を回転させることで、容器に実質的に一定の撹拌を提供し、流体中の磁性粒子を維持する。
【0040】
サンプルピペットアセンブリまたはロボット450は、サンプルリング250およびピペットチップホイール350の上方位置で、フレーム構造62(
図2参照)に取り付けられる。サンプルピペットアセンブリ450は、X、Y、Z運動を提供するようガントリアセンブリに取り付けられる管状プローブ457を有するピペットユニット456を含む。具体的には、ピペットユニット456は、横方向レール454に形成されるトラック458に沿って、直線的にY方向に移動可能であり、横方向レール454は、縦方向トラック452に沿って、縦方向、X方向に移動可能である。ピペットユニット456は、プローブ457の垂直またはZ軸運動を提供する。サンプルピペットアセンブリ450内の駆動機構は、ピペットユニット456を分析器50内の正確なX、Y、Z座標に位置付け、流体をピペットで取り、ピペットユニット456のプローブ457を洗浄し、ピペットユニット456のプローブ457の先端から保護用チップを廃棄し、あるいは「ホーム」ポジションにあるときなどの不使用時にピペットユニット456を収容する。サンプルピペットアセンブリ450の各軸は、ステッピングモーターにより、既知の、従来の方法で駆動される。
【0041】
ピペットアセンブリは、既製品であることが好ましい。現在好ましいものは、Cavro Inc.(カリフォルニア州サニーベール)から市販されている、型番RSP9000のRobotic Sample Processorである。この型は、単一のガントリアームを備える。
【0042】
サンプルピペットアセンブリ450は、シリンジポンプ(図示せず)(Cavro XP 3000が使用されてきた)およびDC駆動ダイヤフラム式流体洗浄ポンプ(図示せず)に連結されることが好ましい。サンプルピペットアセンブリ450のシリンジポンプは、分析器50のハウジング60内における内部フレーム構造62の化学デスク200左側の上方位置に取り付けられることが好ましく、また適切な管類(図示せず)あるいはその他の導管構造により、ピペットユニット456に接続される。
【0043】
サンプル調製開口部252が治具プレート130に設置され、それによりサンプルピペットアセンブリ450は、治具プレート130下方に位置する投入準備室150にある反応容器160に到達できる。
【0044】
分析器50のサンプルピペットアセンブリ450は、持ち上げられたカバープレート138の開口部140および142を通して、サンプルリング250に運搬されるサンプル管320に係合し、またサンプルリング250およびピペットチップホイール350それぞれの後部付近の、ピペットチップホイール350に運搬されるピペットチップに係合する。その結果、分析器操作中に操作者は、ピペット操作手順を妨げることなく、回転台ドア開口部80を通してサンプルリング250およびピペットチップホイール350の前方部に到達することができる。
【0045】
チップ洗浄/廃棄ステーション340は、治具プレート130上のサンプルリング250近接に配置される。ステーション340は、チップ廃棄管342および洗浄ステーション水盤346を含む。サンプル調製中、サンプルピペットアセンブリ450のピペットユニット456は、プローブ457を通して、管状プローブ457をポンプによる蒸留水で洗浄することができる洗浄ステーション水盤346の上方位置に移動させられるが、洗浄ステーション346の水盤は、好ましくはフレキシブルホース(図示せず)により、下方シャーシ1100の廃液容器に接続されている。
【0046】
チップ廃棄管342は、直立管状部材を備える。サンプルをサンプル管320から反応容器160に移動する間、細長ピペットチップは、ピペットユニット456の管状プローブ457の先端上に摩擦により固定され、それによりサンプル材料は、サンプル管320から細長ピペットチップに取り出されるときに、ピペットユニット456の管状プローブ457と接触することがない。サンプルがサンプル管320から移動されたあとは、サンプルの移動に使用したピペットチップを、関連のない別のサンプルに再度使用しないことが重要である。従ってサンプル移動のあと、ピペットユニット456は、チップ廃棄管342の上方位置に移動し、使用済みの使い捨てピペットチップを、下方シャーシ1100に運搬される固形廃棄物容器に接続するチップ廃棄管342内に排出する。
【0047】
細長ピペットチップも、対象捕獲試薬を多軸撹拌器400に運搬される容器から反応容器160に移動させるために、プローブ457に摩擦により固定されることが好ましい。試薬の移動後、ピペットチップは廃棄される。
【0048】
上述のように、サンプルリング250、ピペットチップホイール350、および多軸撹拌器400は、基準プレート82上方に支持される、ヒンジ連結された治具プレート130(
図5および6参照)に取り付けられることが好ましい。治具プレート130は、その後端132でヒンジ連結され(
図6参照)、それによりプレート、およびそこに取り付けられるリング250、ホイール350、撹拌器400は、上方に枢動することができ、治具プレート下方の化学デスクエリアへの到達を可能とする。
【0049】
第一あるいは右側移送機構500は、治具プレート130およびサンプルリング250下方の基準プレート82に、投入準備室150と略同面上に取り付けられる。移送機構500は、容器運搬アセンブリを画定する回転本体部分504、および本体504内に取り付けられ、動力フック部材駆動アセンブリにより、本体に対し延長可能かつ収縮可能な延長可能な操作フック506を含む。各反応容器160は、延長可能な操作フック506により係合されることが可能な操作構造を含むことが好ましい。それにより、反応容器160内でのアッセイ実施中に、反応容器があるステーションから別のステーションへと順次的に移動されるとき、移送機構500が反応容器160を係合して操作し、処理デスク200のある位置から別の位置に移動することができる。
【0050】
第一の移送機構500と実質的に同一の構成である第二あるいは左側移送機構502も、処理デスク200上に備えられる。
【0051】
複数の容器停止ステーション210も、治具プレート130下方に位置する。停止ステーション210は、その名称が示唆するとおり、分析器50の処理デスク200におけるアッセイを実施するステーションが反応容器を受け入れる状態となるまで、サンプル含有反応容器を把持するための構造である。必要に応じ、反応容器は、移送機構500により、停止ステーション210から回収され、また停止ステーション210に挿入される。
【0052】
右側回転撹拌器550は、基準プレート82に取り付けられ、右側移送機構500によりそこに挿入される反応容器160を収容する。回転撹拌器は、反応容器160の内容物を混合するために備えられる。混合が完了すると、右側移送機構500は、反応容器を右側回転撹拌器550から取り除き、処理デスクの別の位置へと移動させる。
【0053】
実質的に同一構成の複数のインキュベータ600、602、604、および606が提供される。インキュベータ600、602、604、および606は、回転式インキュベータであることが好ましい。実施される特定のアッセイおよび希望するスループットは、必要なインキュベータの希望数を判断するが、分析器50に4つのインキュベータが備えられることが好ましい。
【0054】
後述の詳細のとおり、各インキュベータ(600,602,604,606)は、第一の容器到達開口部を備え、また第二の容器到達開口部も備えてよく、容器到達開口部を通して、移送機構500または502は、反応容器160をインキュベータに挿入、あるいは反応容器160をインキュベータから回収することができる。各インキュベータ(600、602、604、606)内にある回転する容器運搬回転台は、容器がインキュベートされている間、個々の容器ステーション内に複数の反応容器160を把持する。本発明の分析器50で実施されることが好ましい核酸ベースの診断アッセイでは、第一の回転式インキュベータTCは、TCインキュベータ(「TCインキュベータ」としても知られる)であり、第二の回転式インキュベータ602は、活性温度事前読み取り冷却インキュベータ(「ATインキュベータ」としても知られる)であり、第三の回転式インキュベータ604は、増幅インキュベータ(「AMPインキュベータ」としても知られる)であり、第四の回転式インキュベータ606は、ハイブリダイゼーション・インキュベータ(「HYBインキュベータ」としても知られる)である。(インキュベータに指定された名称は、1つの好ましいエンドポイント増幅アッセイにおけるこれらの使用法を示すための便宜上の名称に過ぎず、これらインキュベータの他の可能な使用法を制限するものと見なされない。)全般的なアッセイの実施におけるインキュベータの構成、機能、および役割については、さらに詳細を後述する。
【0055】
処理デスク200は、複数の温度勾配ステーション700も含むことが好ましい。2つのかかるステーション700は、
図3において、基準プレート82のインキュベータ602と604との間に取り付けられた状態で示される。さらなる勾配ステーションは、処理デスク200の他の位置に配置されてよく、これらは移送機構500および502のうちの1つにより到達可能となる。
【0056】
反応容器160は、移送機構500あるいは502のうちどちらかにより、温度勾配ステーション700に設置してよく、あるいは温度勾配ステーション700から取り除いてもよい。各勾配ステーション700は、容器がインキュベータあるいは他の温度感受性ステーションに設置される前に、反応容器およびその内容物の温度を希望の温度まで上昇あるいは低下させる。インキュベータ(600、602、604、606)のうちの1つへの挿入前に、反応容器およびその内容物を希望の温度にすることにより、インキュベータ内での温度変動は最小限に抑えられる。
【0057】
処理デスク200は、磁性分離洗浄手順のための磁性分離ステーションを含む。各磁性分離ステーション800は、一度に1つの反応容器160の洗浄手順に対応し、実施することができる。従って、希望のスループットを達成するために、5つの磁性分離ステーションが並行して機能することが好ましい。容器160は、左側移送機構502により磁性分離ステーションに挿入され、また磁性分離ステーションから取り除かれる。
【0058】
試薬冷却ベイ900は、基準プレート82のインキュベータ604と606とのほぼ中間に取り付けられる。試薬冷却ベイ900は、温度感受性試薬のボトルを把持する複数の容器受けを有する回転台構造を備える。回転台は、ピペット到達穴が形成された蓋を有する、却されたハウジング構造内に備えられる。
【0059】
実質的に右側回転撹拌器550と同一である第二あるいは左側回転撹拌器552は、インキュベータ606と604との中間に配置される。左側回転撹拌器552は、ディスペンサノズル、および左側回転撹拌器552内に備えられる反応容器に流体を分注するためのラインを含む。
【0060】
試薬ピペットアセンブリあるいはロボット470は、フレーム構造62に取り付けられるダブルガントリ構造を含み(
図2参照)、処理デスク200左側のインキュベータ604および606の略上方に配置される。具体的には、試薬ピペットアセンブリ470は、ピペットユニット480および482を含む。ピペットユニット480は、管状プローブ481を含み、略X方向の、横方向レールのトラック474に沿っての直線運動のために取り付けられ、また管状プローブ483を含むピペットユニット482も、略X方向の、横方向レール478のトラック484に沿っての直線運動のために取り付けられる。横方向レール476および478は、略Y方向に、縦方向トラック472に沿って、平行移動可能である。各ピペットユニット480および482は、それぞれのプローブ481および483の個別の垂直あるいはZ軸動作を提供する。アセンブリ470内の駆動機構は、ピペットユニット480および482を分析器50内の正確なX、Y、Z座標に位置付け、流体をピペットで取り、ピペットユニット480および482それぞれの管状プローブ481および483を洗浄し、あるいは「ホーム」ポジションにあるときなどの不使用時にピペットユニット480および482を収容する。ピペットアセンブリ470の各軸は、ステッピングモーターにより駆動される。
【0061】
試薬ピペットアセンブリ470は、既製品であることが好ましい。現在好ましいユニットは、2本のガントリアームを備える、型番RSP9000のCavro Robotic Sample Processorである。
【0062】
試薬ピペットアセンブリ470の各ピペットユニット480および482は、それぞれのシリンジポンプ(図示せず)(Cavro XP 3000が使用されてきた)およびDC駆動ダイヤフラム式流体洗浄ポンプに連結されることが好ましい。試薬ピペットアセンブリ470のシリンジポンプは、分析器50のハウジング60内における内部フレーム構造62の化学デスク200左側の上方位置に取り付けられることが好ましく、また適切な管類(図示せず)あるいはその他の導管構造により、それぞれのピペットユニット480および482に接続される。
【0063】
各ピペットユニット480および482は、容量レベル検知能力を備えることが好ましい。医療機器の技術分野で広く知られる容量レベル検知は、コンデンサのプレートの1枚として、ピペットユニットにより形成され、また反対側のプレートとして、ピペットユニットに係合される容器を囲む構造およびハードウェアとして形成されるコンデンサの誘電体が、空気から流体に変化するときの容量変化を利用して、ピペットユニットのプローブが容器内の流体に侵入したときに検知する。ピペットユニットの垂直動作を駆動させるステッピングモーターを監視することにより認知されてよいピペットユニットのプローブの垂直位置を確認することにより、ピペットユニットにより係合される容器内の流体レベルを判断してよい。
【0064】
ピペットユニット480は、試薬を試薬冷却ベイ900から、HYBインキュベータ606または回転撹拌器552内に配置される反応容器内に移動させ、ピペットユニット482は、試薬材料を試薬冷却ベイ900から、AMPインキュベータ604あるいは回転撹拌器552内に配置される反応容器内に移動させる。
【0065】
ピペットユニット480および482は、容量レベル検知を用いて、容器内の流体レベルを確認し、ピペットユニットのプローブ先端のごく一部のみを浸水させ、容器からピペットで流体を取る。ピペットユニット480および482は、流体がそれぞれの管状プローブ481および483にピペットで注がれるときに傾斜して、プローブ先端を一定の深度に浸水させた状態を保つことが好ましい。試薬をピペットユニット480あるいは482の管状プローブに取り出したあと、ピペットユニットは、それぞれのプローブ481あるいは483の先端に10μlの最小移動空隙を作成し、ピペットユニットが化学デスク200上方の別の位置に移動させられるときに、プローブ先端から水滴が落ちないことを確実にする。
【0066】
本発明の分析器50で実施されることが好ましいアッセイの結果は、適当な調製ステップの終結時に、反応管162から放出される化学発光あるいは光の量によって確認される。具体的には、アッセイの結果は、アッセイの終結時に、ハイブリダイズされたポリヌクレオチドプローブに関連する標識により放出される光量から判断される。従って、処理デスク200は、反応容器の内容物により放出される光量の検出および/または定量化を含む。端的に述べると、照度計950はハウジングを備え、それを通して、反応容器は、移送機構、光電子増倍管、および関連の電子機器の影響を受けて移動する。さまざまな照度計の実施例の詳細は後述する。
【0067】
処理デスク200は、失活準備室750を含むことも好ましい。分析器50で実施されるアッセイは、少なくとも1つの関心生物あるいは細胞に属する核酸の単離および増幅を伴う。従って、通常は、アッセイの終結時に漂白剤系の試薬を反応容器160に滴下することにより、反応容器160の内容物を失活させることが好ましい。この失活は、失活準備室750内でおこなわれる。
【0068】
失活のあと、失活された反応容器160の内容物は、下方シャーシ1100の廃液容器のうち1つに保存され、使用済みの反応容器は、下方シャーシ1100内の専用固形廃棄物容器内に廃棄される。反応容器は、再使用しないことが好ましい。
【0069】
(分析器操作)
分析器50の操作、また上述のステーション、構成要素、およびモジュールの構成、連携、および相互作用は、分析器50によって実施されてよい1つのタイプのアッセイ実施における、単一の試験サンプルに対する分析器50の操作を記述することにより、説明される。ここに記載されるステーション、構成要素、およびモジュールのうち1つ以上の使用を必要とするその他の診断アッセイも、分析器50によって実施してよい。ここに記載される特定のアッセイ手順は、分析器50のさまざまなステーション、構成要素、およびモジュールの操作および相互作用の例示を目的とするに過ぎず、限定するものではない。診断試験技術分野の専門家には、本発明の分析器50によって、さまざまな化学的および生物学的アッセイが、自動化された手段により実施可能であることは明らかである。
【0070】
分析器50は、まずバルク流体を下方シャーシ1100のバルク流体保管ベイに装填し、バルク流体容器を適当なホース(図示せず)に連結することにより、アッセイを実行するよう構成される。
【0071】
分析器は、順次過程により電源を入れることが好ましい。まず過程の初期段階で必要となるステーションまたはモジュールの電源を入れ、続いて過程の後期まで必要とならないステーションの電源を入れる。これにより、エネルギーが節約され、また分析器全体に電源を入れることに伴い、回路遮断器を作動させる可能性もある大きな電力サージが回避される。分析器は、不使用時の「スリープ」モードも採用する。スリープモード中は、最低限の電力量が分析器に供給され、分析器に完全な停止状態から電源を入れるために必要な大きなサージが回避できる。
【0072】
プラスチックの一体的に形成される多管ユニット(MTU)(詳細は後述)形状であることが好ましい、ある数の反応容器160は、開口部68を通して、投入準備室150内に装填される。今後反応容器160は、分析器50を使用する好ましい方法と一貫するよう、MTUとする。
【0073】
投入準備室150内の反応容器シャトルアセンブリ(図示せず)は、MTU160を装填開口部68から準備室150端部の収集位置へと移動させる。右側移送機構500は、準備室150の端部からMTU160を取り上げ、バーコードリーダ(図示せず)へと移動し、MTU上にあり、そのMTUを識別する独自のバーコードラベルを読み取る。MTUは、バーコードリーダーから、開口部252下方の利用可能なサンプル移動ステーション255へと移動される。
【0074】
(多管ユニット)
好ましいMTUは、Homerらによる、米国特許第6,086,827の「Reaction Receptacle Apparatus」により開示される多槽反応容器の実施例である。
図58に示すように、MTU160は、好ましくは5本である複数の個別の反応管162を備える。上端が開口し、下端が閉鎖した円筒管の形状であることが好ましい反応管162は、MTU160のいずれかの側にそって縦方向に延びる下向きの段部を画定する接続リブ構造164により、互いに接続される。1つの実施例では、MTU160の各反応管162の寸法は12×75mmであるが、分析器50は、独立してまたは多槽反応容器の一部として提供される、異なる寸法の反応容器を収容するよう容易に適合することが可能である。
【0075】
MTU160は、射出成形されたポリプロピレンから形成されることが好ましい。最も好ましいポリプロピレンは、デラウェア州ウィルミントンのMontell Polyolefinsにより販売される、製品番号PD701NWのポリプロピレンである。Montellの材料は、成形が容易で、分析器50の好ましい動作モードと化学的に適合し、また化学発光の正確な検出または定量化を妨げる恐れがある静電放電事象の数が少ないことから、使用される。
【0076】
弓状遮蔽構造169は、MTU160の一端に提供される。移送機構500および502のうち1つにより係合されるMTU操作構造166は、遮蔽構造169から延びる。MTU操作構造166は、プレート168の反対端の垂直に延びる部品167を有する遮蔽構造169から延びる横方向に延びるプレートを備える。まち付き壁165は、側面プレート168から、遮蔽構造169と垂直部品167との間に下向きに延びる。
【0077】
図60に示されるように、遮蔽構造169および垂直部品167は、相互に向かい合う凸面を有する。MTU160は、後述のように、係合部材を横方向に(「A」方向に)、遮蔽構造169と垂直部品167との間のスペースに移動して、移送機構500および502、およびその他の構成要素によって係合される。遮蔽構造169および垂直部品167の凸面は、スペースへの横方向の相対運動をおこなう係合部材のために、より広い入口を提供する。垂直部品167および遮蔽構造169の凸面は、それぞれ中心部に形成される隆起部171および172を含む。隆起部171および172の目的は、後述する。
【0078】
平らなラベル貼付表面175を有するラベル貼付構造174は、MTU160の一端の遮蔽構造169およびMTU操作構造166の反対側に備えられる。スキャン可能なバーコードなどのラベルは、表面175に設置され、MTU160についての識別および操作情報を提供する。
【0079】
MTU160は、各反応管162それぞれの開口部近くに、チップ先端把持構造176を含むことが好ましい。各チップ先端把持構造176は、内部に接触防止チップ先端170を収納する円筒口を備える。チップ先端170の構成および機能は、後述する。各把持構造176は、MTU160が反転したときに、チップ先端170が把持構造176から脱落するのを防ぎつつ、ピペットに係合されたときには、チップ先端170が把持構造176から取り除かれるように、チップ先端170を摩擦により収納するよう構成および配置される。
【0080】
図59に示すように、チップ先端170は、周縁フランジ177、およびチップ先端170の下部179より一般的に直径が大きい上部カラー178を有する略円筒型構造を備える。チップ先端170は、導電性ポリプロピレンから形成されることが好ましい。チップ先端170が、把持構造176の開口部に挿入されるとき、フランジ177は構造176の上部に接触し、カラー178は、チップ先端170と把持構造176との間に、ぴったりと合っているが解除可能な締まりばめを提供する。
【0081】
軸方向に延びる貫通穴180は、チップ先端を通過する。穴180は、チップ先端170の上部に外向きに広がる先端181を含むが、これはピペット管状プローブ(図示せず)のチップ先端170への挿入を容易にする。2本の環状隆線183は、穴180の内壁に線を引く。隆線183は、チップ先端170とチップ先端170に挿入される管状プローブとの間に摩擦締まりばめを提供する。
【0082】
チップ先端170の下端は、斜面部182を含むことが好ましい。チップ先端170が、MTU160の反応管162などの反応容器底部まで挿入される吸引器の先端で使用される場合、斜面部182は、チップ先端170の端部と反応管底部との間に真空が形成されるのを回避する。
【0083】
(下方シャーシ)
本発明による下方シャーシの実施例は、
図52〜54に示される。下方シャーシ1100は、黒のポリウレタン粉体塗装を施したスチールフレーム1101、シャーシ下方に配置される引出し式水滴トレイ1102、右側引出し1104、および左側引出し1106を含む。左側引出し1106は、下方シャーシ1100内の事実上中央に配置される。下方シャーシ1100の左側は、さまざまな電源システム構成要素、および例えば取り付けプラットフォーム1154に取り付けられる7つのシリンジポンプ1152、下方シャーシ1100床面の振動絶縁装置(図示せず)上に取り付けられることが好ましい真空ポンプ1162、電源ユニット1156、パワーフィルタ1158、およびファン1160など、その他の分析器機構を収納する。
【0084】
異なるシリンジポンプ1152が、5つの磁性分離ステーション800それぞれに指定されるが、1つは左側回転撹拌器552に指定され、もう1つは失活準備室750に指定される。シリンジポンプが好ましいが、代替として蠕動ポンプを使用してもよい。
【0085】
真空ポンプ1162は、各磁性分離ステーションおよび失活準備室750に従事する。真空ポンプの好ましい定格は、0″Hg時5.3〜6.5cfm、5″Hg時4.2〜5.2cfmである。好ましい真空ポンプは、Thomas Industries,Inc.(ウィスコンシン州シボイガン)から、型番2750CGHI60として市販されている。コンデンサ1172は、ポンプ1162と併せて販売される。
【0086】
電源ユニット1156は、ASTEC America,Inc.(カリフォルニア州カールズバッド)から市販されている、ASTEC型番VS1−B5−B7−03が好ましい。電源ユニット1156は、50〜60Hzの範囲で220ボルト、つまり通常の220ボルトの壁コンセントからの電力を受容する。パワーフィルタ1158は、Corcom,Inc.(イリノイ州リバティービル)から市販されているCorcom型番20MV1のフィルタであること好ましい。ファン1160は、Comair Rotron(カリフォルニア州サンイシドロ)から市販されているWhisper XLDCファンであることが好ましい。各ファンは、24VDCモーターを動力源とし、75cfmの出力を有する。
図52に示すように、ファン1160は、下方シャーシ1100の左側外壁の隣接に配置されることが好ましい。ファン1160は、右側から左側までの下方シャーシ全体の空気を吸い出し、それにより下方シャーシから過剰な熱を吸い出すよう、外側に向けられることが好ましい。
【0087】
その他の電源システム構成要素は、下方シャーシ1100の背面左側に収納される。これには、Eaton CorporationのCutler−Hammer Division(オハイオ州クリーブランド)から市販されているEaton回路遮断スイッチ・2極、JA/Sシリーズであることが好ましい電源スイッチ1174、および分析器50を外部電源に接続する電源コード(図示せず)が接続される電力供給口モジュール1176が含まれる。分析器50の電源システムは、端子台(図示せず)も含むが、これには複数の電気端子、Cal Switch(カリフォルニア州カーソンシティー)から市販されているCrydom Series 1型番D2425であることが好ましい、異なる回路間の切り替えをおこなう固体スイッチ(図示せず)、および分析器50を外部コンピュータ制御装置1000に接続する9ピンRS232接続ポートを取り付けられる。
【0088】
右側引出しおよび左側引出しのベイは、分析器の操作中に、アッセイ・マネージャー・プログラムによって施錠されることが好ましい、分析器正面の1枚あるいは2枚のドアの裏側で閉じられることが好ましい。ドアの閉状態を検証するマイクロスイッチが備えられることが好ましい。最も左寄りのベイは、フロントパネルに覆われる。下方シャーシの反対両端にはエンドパネルが備えられ、シャーシを取り囲む。
【0089】
4本の水準足1180は、シャーシ1100の四隅から延びる。水準足1180は、下端にパッドを有するねじ式シャフトを含む。分析器が希望の位置にあるとき、パッドが床にかみ合うまで足1180を下げて、分析器を水平にし、安定させることができる。足を上げて、キャスタで分析器を移動させることもできる。
【0090】
通常下方シャーシ1100の容器に含まれるバルク流体は、洗浄溶液(固定化された対象を洗浄するため)、蒸留水(固定されたピペットチップ)、診断試験試薬、シリコンオイル(試験試薬およびサンプル上に層を作る浮遊流体として使用される)、および漂白剤系試薬(サンプル失活に使用される)を含んでよい。
【0091】
右側引出し1104は、
図53に詳細が示される。右側引出し1104は、正面引出しハンドル1105を有する箱状の引出し構造を含む。引出しハンドル1105は、従来の引張り式の引出しハンドルとして示されるが、分析器50の好ましい実施例では、ハンドル1105は、Southco,Inc.(ペンシルベニア州コンコードビル)から市販されているものなどのTハンドルラッチである。引出し1104は、下方シャーシのスライドブラケット(図示せず)に取り付けられ、それにより引出し1104を下方シャーシに引き入れたり、引き出したりすることができる。引出し1104が閉まっていることを検証するために、センサー(図示せず)を備えることが好ましい。引出しの前部は、専用ピペット洗浄廃液含有ボトルであるボトル1128(
図52に示す)、および対象捕獲手順である磁性洗浄による廃棄物を入れるための専用廃棄物ボトルであるボトル1130(
図52に示す)を把持するためのボトル容器1122を含む。ボトル1130は、空にされることが好ましい。
【0092】
分析器50は、下方シャーシ1100に必要なボトルのいずれかが不足している場合、アッセイの処理を開始しない。ボトル容器1122は、各容器1122におけるボトルの存在を検証するボトル存在センサー(図示せず)を含むことが好ましい。ボトル存在センサーは、SUNX/Ramco Electric,Inc.(アイオワ州ウェストデモイン)から市販されている型番EX−14Aの拡散反射型光センサーであることが好ましい。
【0093】
右側引出し1104は、使用済みのMTUおよびサンプルチップを把持するための廃棄物箱1108をさらに含む。廃棄物箱1108は、廃棄物箱1108が満杯であるかどうかを検出するための、24VDC光拡散反射器スイッチであることが好ましい、センサーをその上部に取り付けるためのセンサー取り付け部1112を有する開放箱構造である。別の拡散反射器型光センサー(図示せず)が右側引出し1104内に設置され、廃棄物箱1108が正しい位置にあることを検証する。SUNX/Ramco Electric,Inc.(アイオワ州ウェストデモイン)から市販されている型番EX−14Aの拡散反射型光センサーがここでも好ましい。
【0094】
偏向板1110は、廃棄物箱1108の側面から斜めに延びる。偏向板1110は、使用済みMTUが廃棄物箱1108に落とされるときに通過するシュートの直下に配置され、落とされたMTUを廃棄物箱1108の中央に向けて偏向させ、MTUが廃棄物箱1108の一角に集積するのを防ぐ。偏向板1110は、実質的に垂直位置まで上向きに枢動できるよう、枢動可能に取り付けられることが好ましく、それにより廃棄物箱1108の内部を覆い、偏向板1110を覆う廃棄物袋が廃棄物箱1108から取り除かれるとき、偏向板1110は、引き出される袋とともに上向きに枢動するので、袋を破ることがない。
【0095】
プリント回路基板(図示せず)およびカバー1114は、廃棄物箱1108の前面に取り付けることができる。センサー取り付け部および1117も、廃棄物箱1108の前面に取り付けられる。センサー1118および1119は、センサー取り付け部1116に取り付けられ、センサー1120および1121は、センサー取り付け部1117に取り付けられる。センサー1118、1119、1120、および1121は、DC容量型近接センサーであることが好ましい。上方センサー1118および1119は、ボトル1128および1130が満杯になると指摘し、下方センサー1120および1121は、ボトルが空になると指摘する。センサー1118〜1121は、Stedham Electronics Corporation(ネバダ州リーノー)から市販されている、型番C2D45AN1−Pのものが好ましい。この選定理由は、その比較的平坦な物理的形状により、下方シャーシ1100の狭い範囲内での占有スペースが小さいことと、Stedhamセンサーが、好ましい3〜20mmの検知距離を提供することである。
【0096】
分析器50は、アッセイ・マネージャー・プログラムが、右側引出し1104の廃棄流体容器のいずれかが最初から空でないことを検出した場合、いかなるアッセイ実施も開始しないことが好ましい。
【0097】
容量型近接センサー1118〜1121、および右側引出し1104のボトル存在、廃棄物箱存在、廃棄物箱満杯光センサーは、カバー1114裏側のプリント回路基板(図示せず)に接続され、プリント回路基板は分析器50の組み込みコントローラに接続される。
【0098】
右側引出し1104は下方シャーシ1100から完全に引き出すことができないため、廃棄物袋ライナを設置あるいは除去するために廃棄物箱に到達できるよう、廃棄物箱1108を前方に引くことが可能である必要である。この目的で、ハンドル1126が廃棄物箱1108の前面に取り付けられ、テフロン(登録商標)片1124が右側引出し1104の底床面に配置され、ボトル1128および1130が取り除かれたとき、引出し1104内の廃棄物箱1108の前後への摺動を容易にする。
【0099】
左側引出し1106の詳細は、
図54に示される。左側引出し1106は、正面取り付けハンドル1107を有する箱状構造を含み、下方シャーシ1100のスライドブラケット(図示せず)に取り付けられる。ハンドル1107は、従来の引張り式の引出しハンドルとして示されるが、分析器50の好ましい実施例では、ハンドル1107は、Southco,Inc.(ペンシルベニア州コンコードビル)から市販されているものなどのTハンドルラッチである。センサーが備えられ、引出し1106が閉まっていることを検証する。
【0100】
左側引出し1106は、チップ先端廃棄物箱満杯センサー(図示せず)を取り付けるための取り付け構造1135を有するチップ先端廃棄物箱1134を含む。チップ先端廃棄物箱1134が正しく設置されていることを検証するために、チップ先端廃棄物箱存在センサーが左側引出し1106に備えられることが好ましい。SUNX/Ramco Electric,Inc.(アイオワ州ウェストデモイン)から市販されている型番EX−14Aの拡散反射型光センサーは、チップ先端廃棄物箱満杯センサーおよびチップ先端廃棄物箱存在センサーの双方に好ましい。
【0101】
把束構造1132は、下方シャーシ1100内のさまざまな管類および/または配線(図示せず)を固定および把束するために提供される。使用が好ましい把束構造は、Igus, Inc.(ロードアイランド州イーストプロビデンス)により製造販売されるEnergy Chain Systemsである。
【0102】
プリント基板1182は、チップ先端廃棄物箱1134の後ろに位置するパネル1184の裏側に取り付けられる。ソレノイド弁取り付けパネル1186は、チップ先端 廃棄物箱1134の下方に位置する。
【0103】
左側引出し1106は、サイズが均一な6本のボトルを把持するための、前方向容器把持構造を含む。容器構造は、仕切り壁1153、1155、1157、および1159、および湾曲したボトル一致前端を有する容器ブロック1151を含み、これらが共に6つの容器把持エリアを画定する。下方センサー1148および上方センサー1150(それぞれ6つ)は、仕切り壁1155、1157、および1159に取り付けられる。上方および下方センサー1148および1150は、DC容量型近接センサーであることが好ましい(平坦な形状および検知範囲から選定される、Stedham Electronics Corporation(ネバダ州リーノー)から市販されている、型番C2D45AN1−Pのセンサー)。上方センサー1150は、容器構造に把持されるボトルが満杯になると指摘し、下方センサー1148は、ボトルが空になると指摘する。好ましい配置では、左側2本のボトル1146は検出剤(「検出I」)を含み、中央2本のボトル1168はシリコンオイルを含み、右側2本のボトル1170は別の検出剤(「検出II」)を含むことが好ましい。
【0104】
各容器把持エリアにおけるボトルの存在を検証するために、容器ブロック1151、および隔壁1153、1155、1157、および1159により画定される各容器把持エリアに、ボトル存在センサー(図示せず)が提供されることが好ましい。ボトル存在センサーは、SUNX/Ramco Electric,Inc.(アイオワ州ウェストデモイン)から市販されている型番EX−14Aの拡散反射型光センサーが好ましい。
【0105】
中央に位置する大容器受け1164は、脱イオン水を含むことが好ましいボトル1140(
図52に示す)を把持する。容器受け1166(
図54では、1つのみが示される)は、洗浄溶液を含むことが好ましいボトル1142および1144(
図52に示す)を把持する。容器1164と1166との間の隔壁1143には、ボトル1140、1142、および1144の流体レベルを監視するためのセンサー1141などのセンサーが取り付けられる。センサー1141などのセンサーは、DC容量型近接センサーであることが好ましい(Stedham Electronics Corporation(ネバダ州リーノー)から市販されている、型番C2D45AN1−Pのセンサー)。
【0106】
容器受け1164および1166は、ボトルがそれぞれの容器に正しく設置されていることを検証するための、ボトル存在センサー(図示せず)を含むことが好ましい。ボトル存在センサーは、SUNX/Ramco Electric,Inc.(アイオワ州ウェストデモイン)から市販されている型番EX−14Aの拡散反射型光センサーが好ましい。
【0107】
分析器50は、アッセイ・マネージャー・プログラムが、左側引出し1106内のバルク流体容器のいずれかが最初から空であると判断した場合、いかなるアッセイ実施も開始しない。
【0108】
容量型近接流体レベルセンサー、さまざまなボトル存在センサー、チップ先端廃棄箱満杯センサー、およびチップ先端廃棄箱存在センサーは、全てプリント基板1182に接続され、プリント基板1182は、分析器50の組み込みコントローラに接続される。
【0109】
4つのソレノイド弁(図示せず)は、ソレノイド弁取り付けパネル118下方に取り付けられる。ソレノイド弁は、流体が対のボトルに保存されるバルク流体ボトル、つまり洗浄溶液を含むボトル1140および1142、「検出I」剤を含む2本のボトル1146、オイルを含む2本のボトル1168、および「検出II」剤を含む2本のボトル1170を接続する。ソレノイド弁は、それぞれの容量型近接センサーからの信号に反応して、同じ流体を含む2本のボトルのうち1本が空になると、流体が取り出されるボトルを交換する。さらに、ソレノイド弁は、指定数の試験の実施後に、ボトルを交換してもよい。好ましいソレノイド弁は、Beco Manufacturing Co.Inc.(カリフォルニア州ラグナヒルズ)から市販されている、型番S313W2DFRTおよびM223W2DFRLTのテフロン(登録商標)ソレノイド弁である。これら2つの異なる型番は、2つの異なる大きさの管の使用に適応されるソレノイド弁に対応する。テフロン(登録商標)ソレノイド弁は、弁を通って流れる流体を汚染しにくく、また通過して流れる腐食性流体によって弁が損傷されないため好ましい。
【0110】
ボトル1136(
図52参照)は、真空トラップブラケット137に把持される真空トラップであり、ボトル1138は、漂白剤含有試薬などの不活性剤を含む。ここでも、ボトル1136および1138の存在を検証するために、ボトル存在センサーが備えられることが好ましい。
【0111】
手持ちバーコードスキャナ1190を下方シャーシ1100に備え、スキャン可能な容器ラベル上に提供される情報をアッセイ・マネージャー・プログラムにスキャンしてよい。スキャナ1190は、左側引出し1106のプリント基板1182にコードによって接続され、隔壁1143に取り付けられるブラケット(図示せず)に収容されることが好ましい。Symbol Technologies,Inc.(ニューヨーク州ホルツビル)から市販されているLS2100シリーズのスキャナが好ましい。
【0112】
(サンプルリングおよびサンプル管トレイ)
サンプル管320に含まれるサンプル、および管320は、分析器50外の管トレイ300に装填される。サンプル管320を運搬するトレイ300は、跳ね上げ式回転台ドア80を開けることにより提供される到達開口部を通して、サンプルリング250上に設置される。
【0113】
図5および6を参照すると、第一のリングアセンブリあるいはサンプルリング250は、非硬化粉砕アルミニウムから形成され、溝251を通して延びる、複数の隆起した半径方向に延びる仕切り254を有するリング250の外周辺に環状溝251を画定する、隆起リング構造を含む。好ましくは、9つの仕切り254が溝251を9つの弓状サンプル管トレイ収納ウェル256に分割する。溝251およびウェル256は、後述のように、複数の容器を運搬するよう構成および配置される環状流体容器運搬部を画定する。
【0114】
サンプルリング250は、
図5、6、および6Aに示されるように、リング250の内周上に形成される連続的V隆線262を係合する、120°の間隔をあけた3つのV溝ローラ257、258、および260により回転的に支持され、リング250が第一の中心回転軸を中心に回転可能となることが好ましい。ローラは、カリフォルニア州ピッツバーグのBishop−Wisecarver Corp.により製造される、型番W1SSXのものが好ましい。ローラ257および260は、固定シャフトに回転的に取り付けられ、ローラ258は、垂直軸を中心に枢動し、リング250の内周に対して、ローラ258を半径方向外向きに促すようにばね偏倚されるブラケットに取り付けられる。2つの固定されたローラと1つの半径方向に移動可能なローラを備えることで、3つのローラは、リング250の真円でない内周を収容することができる。
【0115】
サンプルリング250は、ガイドローラ266および268上のリング250外周辺に延びる連続ベルト270(SDP/SI(ニューヨーク州ニューハイドパーク)から市販されている型番A6R3M444080のものが好ましい)を介して、ステッピングモーター264(オリエンタルモーター株式会社(日本、東京)から市販されている、型番PK266−01AのVEXTAステッピングモーターが好ましい)により駆動される。スロット付き光センサーであることが好ましいホームセンサーおよびセクターセンサー(図示せず)は、リング250隣接の、回転ホームポジションおよびサンプル管トレイ収納ウェル256のうち1つに対応する位置に提供される。リング250は、ホイール上のホームポジションに位置するホームフラッグ(図示せず)、および9つのサンプル管トレイ収納ウェル256それぞれの位置に対応する9つの等間隔セクターフラッグ(図示せず)を含む。ホームフラッグおよびセクターフラッグは、ホームセンサーおよびセクターセンサーと協調して、アッセイ・マネージャー・プログラムにリング位置情報を提供し、またリング250を制御して、ユーザによる再装填とピペットユニット450による到達のために規定された座標に対応する9つの離散位置で停止させる。ホームセンサーおよびセクターセンサーとして好ましいセンサーは、Optek(テキサス州カロルトン)から市販されている、型番OPB857のOptekのスロット付き光センサーが好ましい。
【0116】
サンプルカバーは、環状流体容器運搬部または溝251の部分を覆って配置され、3本の取り付け柱136のホイール250に対して上昇位置に固定される弓状カバープレート138を備える。プレート138は、溝251の曲面に略一致する弓型を有する。第一の開口部142は、プレート138に形成され、第二の開口部140はプレート138の、リング250の回転軸からの半径距離が開口部142よりも大きく、開口部142から円周的に間隔のあいた位置に形成される。
【0117】
図55〜57を参照すると、各サンプル管トレイ300は、リング250の湾曲に一致するよう湾曲する試験官立構造を備える。各トレイ300は、壁304のいずれかの端に配置される側面端壁303および305を有する中央壁構造304を備える。床312は、トレイ300の底を横切って延びる。サンプル管トレイ300の主目的は、サンプル管をサンプルピペットアセンブリ450が到達するためのサンプルリング250に把持し、また複数のサンプル管の分析器への装填および取り外しを容易にすることである。
【0118】
複数のY字型仕切り302は、トレイ300に向かい合う端部に沿って等距離に間隔があけられる。2枚の隣接する仕切り302はそれぞれ、試験管収納エリア330を画定する。端壁303は内向き屈曲フランジ316および318を含み、端壁305は内向き屈曲フランジ326および328を含む。端壁303および305それぞれの内向き屈曲フランジは、仕切り302の最端をともに、最端管収納エリア332を画定する。収納エリア330および332は、中央壁構造304の反対側で、2つの弓状列に沿って弓状に並ぶ。
【0119】
図57を参照すると、各管収納エリア330、332内で、板バネ要素310が中央壁304に取り付けられる。ステンレスばね鋼により形成されることが好ましい板バネ要素310は、試験官320が、管収納エリア330あるいは332に挿入されると弾性的に偏向させ、管320を仕切り302に対して外向きに促す。その結果、管320は直立方向に確保される。仕切り302の形状と、板バネ要素310の弾性は、トレイ300が、管320と324のようなさまざまな形状とサイズのサンプル管を収容するのを可能とする。各トレイ300は、それぞれの端部に沿って9つの仕切り302を含み、端壁303および305に沿って、中央壁構造304の各側に10(合計で1つのトレイに20)の管収納エリア330および332を形成することが好ましい。凸状の数表記など管収納エリア330および332を指定するためのしるしを、トレイの中央壁304などに備えてよい。
【0120】
各トレイ300は、実施例の図解では、最端仕切り302と一体的に形成された状態で示される、ボス構造308も含んでよい。縦型の逆U字型(図示せず)のハンドル(図示せず)は、トレイのボス構造308あるいはその他の適切な位置に取り付けてよい。縦型ハンドルは、弓状回転台ドア80を通してトレイ300を装填および取り外しする際のトレイ300の操作を容易にするが、必ずしも好ましくはない。
【0121】
隣接する仕切り302間には空隙が設けられ、それにより、管320上のバーコードラベル334、あるいはその他の読み取り可能なあるいはスキャン可能な情報は、管がトレイ300に設置されたときに到達可能となる。ホイール250に運搬されるトレイ300が、サンプルカバーのプレート138の下を通過するとき、湾曲した列の、壁構造304に対して半径方向内向き位置にある1本の管320は、第一の開口部142と並び、湾曲した列の、壁304に対して半径方向外向き位置にある別の管320は、第二の開口部140と並ぶ。リング250は、各管320を開口部140および142の下に順次的に移動して、管への到達を可能とするよう指示される。
【0122】
再び
図5を参照すると、バーコードスキャナ272および274は、リング250近接に配置される。Opticon,Inc.(ニューヨーク州オレンジバーグ)から市販されている、型番LHA2126RR1S−032のOpticon,Inc.スキャナが好ましい。スキャナ272はリング250外部に位置し、スキャナ274はリング250内部に位置する。スキャナ272および274は、リング250がサンプル管320のトレイ300を回転させ、スキャナ272および274を通過するとき、サンプル管トレイ300に運搬される各サンプル管320のバーコードデータラベルをスキャンするよう位置付けられる。さらに、スキャナ272および274は、トレイ300がサンプル調製エリアに至ると、各トレイ300の端壁303の屈曲フランジ316および318外側部のバーコードラベル337(
図55参照)をスキャンする。サンプルおよびアッセイの特定など、さまざまな情報を管および/または各トレイ300に備えることができ、この情報はスキャナ272および274によってスキャンして、中央処理装置に保存することができる。サンプル管が存在しない場合、トレイ300は、スキャナ272および274により読み取られる特別コード335(
図55参照)を提示する。
【0123】
好ましいサンプル管ホルダーは、Knightらによる、米国仮出願第60/672,609号の「Sample Tube Holder」に開示されるが、これは共同所有権を享受する。Knightは、サンプル管を固定された垂直方向に把持するための、並んだ一連のフィンガースプリングを備える複数のサンプル管区画を有するサンプル管ホルダーを開示している。サンプル管が貫通性の蓋で蓋をされる場合、サンプル管ホルダーは、サンプリング手順の間、サンプル管をサンプル管区内に維持するための固定器具を含む。例として、Kacianらによる、米国特許第6,893,612号の「Penetrable Cap」を参照されたい(汚染噴霧あるいは気泡の散布を制限するための、壊れやすいシールあるいはフィルタを有するキャップで蓋をされるサンプル管を開示する)。
【0124】
(ピペットチップホイール)
主に
図5および6に示されるように、好ましい実施例の第二のリングアセンブリは、ピペットチップホイール350であり、底部には円形リング352、円形内周および5つの円周的に間隔があいた半径方向に突出した区域370を画定する上パネル374、および上パネル374をリング352から隔て、また上パネル374およびリング352を通ってライザー354内に延びる機械的留め具356によって正しい位置に把持されることが好ましい、複数の略長方形ライザー354を備える。5つの長方形開口部358は、上パネル374の区域370それぞれの近接に形成され、長方形箱376は、パネル374の下に、各開口部358につき1つが配置される。上パネル374、リング352、およびライザー354は、切削アルミニウムから作られることが好ましく、箱376は、ステンレス鋼板素材から形成されることが好ましい。
【0125】
開口部358および関連の箱376は、複数の使い捨てピペットチップを把持するトレイ372を収納するよう、構成および配置される。ピペットチップトレイ372は、TECAN(ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パークのTECAN U.S.Inc.)により製造販売される、商標名「Disposable Tips for GENESIS Series」がのぞましい。各チップは、1000μlの容量を有し、導電性である。各トレイは、96の細長使い捨てチップを把持する。
【0126】
横方向スロット378および縦方向スロット380は、開口部358のそれぞれ横方向および縦方向端に沿って、上パネル374に形成される。スロット378および380は、トレイ372の横方向および縦方向端に沿って配置される下向きに延びるフランジ(図示せず)を収納する。スロット378および380、および関連のトレイ372のフランジは、トレイ372を開口部358に正確に合わせ、トレイ372をパネル374上の正しい位置に把持する役割を果たす。
【0127】
ピペットチップホイール350は、
図5、6、および6Aに示すように、リング352の内周上に形成される連続的V隆線362を係合する、120°の間隔をあけた3つのV溝ローラ357、360、および361により回転的に支持され、ピペットチップホイール350が、サンプルリング250の第一の回転軸と略平行である第二の中心回転軸を中心に回転可能となることが好ましい。ローラは、Bishop−Wisecarver Corp.(カリフォルニア州ピッツバーグ)により製造される、型番W1SSXのものが好ましい。ローラ357および360は、固定シャフトに回転的に取り付けられ、ローラ361は、垂直軸を中心に枢動し、リング352の内周に対して、ローラ361を半径方向外向きに促すようにばね偏倚されるブラケットに取り付けられる。2つの固定されたローラと1つの半径方向に移動可能なローラを備えることで、3つのローラは、リング352の真円でない内周を収容することができる。さらに、ホイール350は、枢動ローラ361を半径方向内向きに推進して、リング352を横方向に移動させ、連続V隆線362を固定V溝ローラ357および360から離脱するだけで、簡単に設置および取り外しができる。
【0128】
ピペットチップホイール350は、リング352の外周上に形成される噛み合い歯車歯と噛み合う、シャフトに取り付けられた平歯車を有するモーター364により駆動される。モーター364は、7.2:1ギヤ減速を有する、オリエンタルモーター株式会社(日本、東京)から市販されている、型番PK243−A1−SG7.2のVEXTAギアヘッドステッピングモーターが好ましい。7.2:1ギヤ減速を有するギアヘッドステッピングモーターは、モーター364の平歯車が、直接リング352と係合し、ピペットチップホイールの滑らかな動作を提供するため好ましい。
【0129】
スロット付き光センサーであることが好ましいホームセンサーおよびセクターセンサー(図示せず)は、ピペットチップホイール350隣接の、回転ホームポジションおよび箱376のうち1つの位置に提供される。ピペットチップホイール350は、ホイール上のホームポジションに位置するホームフラッグ(図示せず)、および5つの箱376それぞれの位置に対応する5つの等間隔セクターフラッグ(図示せず)を含む。ホームフラッグおよびセクターフラッグは、ホームセンサーおよびセクターセンサーと協調して、アッセイ・マネージャー・プログラムにホイール位置情報を提供し、またピペットチップホイール350を制御して、ユーザによる再装填とピペットユニット450による到達のために規定された座標に対応する5つの離散位置で停止させる。ホームセンサーおよびセクターセンサーとして好ましいセンサーは、Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、型番OPB980のOptek Technology,Inc.のスロット付き光センサーが好ましい。
【0130】
(多軸撹拌器)
図7〜12を参照すると、多軸撹拌器400は、固定台402の外周辺に形成される開口419を通して延びる機械的留め具(図示せず)を用いて、治具プレート130に取り付けられる固定台402のセンターベアリング430に支持される、中心シャフト428に回転自在に取り付けられる、回転盤構造414(
図10参照)を含む。カバー部材404は、回転盤414に取り付けられ、共に回転する。
【0131】
回転盤414は、回転盤414の中心から半径方向外向きに延びる、同じ長さの、3本の90°の間隔をあけた長方形アーム444と、アーム445をアーム444よりもわずかに長くする伸張部417を有する第四のアーム445とを備える、直角十字形であることが好ましい。
図10〜12に示すように、回転盤414の中心部は、ねじ429によって中心シャフト428に接続される。
【0132】
4つの容器ホルダー406は、回転盤フレーム414のアーム444および445の先端に配置される。各容器ホルダー406は、容器ホルダーベアリング415に回転自在に支持される4本の垂直シャフト423のうち1本に取り付けられる。容器ホルダーベアリング415は、回転盤414のアーム444および445に押し込まれ、シャフト428から均一の半径距離に配置される。
【0133】
カバー部材404は、上向きに回転させた周辺フランジ401を有する4つの円形開口部を含み、それを通してシャフト423が延びる。上向きフランジ401は、こぼれた液体が開口部に流入するのを有利に回避する。
【0134】
容器ホルダー406は、プラスチックボトルであることが好ましい、対象捕獲試薬の容器440を収納および把持するための底部開口および上部開口を有する略円筒型部材を備える。
【0135】
好ましいアッセイに使用される対象捕獲試薬は、固定化ポリヌクレオチド、ポリヌクレチオド捕獲プローブ、および対象核酸を含有する細胞を溶解するのに十分な試薬を有する磁気反応性粒子を含む。細胞溶解後、対象核酸は、各捕獲プローブがヌクレオチド塩基配置領域を有し、対象核酸のうち少なくとも1つに含まれるヌクレオチド塩基配置領域をハイブリダイズすることができる、1つ以上の捕獲プローブによる、第一の既定のハイブリダイゼーション条件群下でのハイブリダイゼーションに使用可能となる。第二の既定のハイブリダイゼーション条件群下では、固定化ポリヌクレオチドのホモポリマー末端(oligo(dT)など)は、捕獲プローブに含まれる相補的ホモポリマー末端(oligo(dA)など)とハイブリダイズし、それにより対象核酸を固定化することが可能である。さまざまな対象捕獲方法および溶解手順は、当技術分野で周知であり、本発明の分析器50による使用に容易に適合される。この好ましい、磁気反応性粒子における対象核酸の捕獲と固定化の2ステップ捕獲方法は、Weisburgらにより、米国特許第6,534,273号に開示される。
【0136】
容器固定器具ばね408は、各容器ホルダー406の壁に形成される横方向スロットに渡り、容器440をばね408と反対側のホルダー406の内周壁の一部に向けて促すことにより、容器440を容器ホルダー406内に把持する援助をする。
【0137】
各容器ホルダー406は、シャフトブロック構造432により、関連の垂直シャフト423に固定される。シャフトブロック構造432は、円筒型容器ホルダー406内部に一致する湾曲した端部を含み、容器ホルダー406は、留め具434によりブロック432に固定される。略円形開口449は、シャフト423を収納する。スロット438は、開口449から、容器ホルダー406の内部に至るまでは延びないブロック432の先端まで延びる、第二のスロット436は、ブロック432の先端から、スロット438に略直角に延びて片持ちアーム435を画定する。小ねじ437は、ブロック432を通して横方向に形成される貫通孔441を通して、アーム435を通して横方向に形成されるねじ穴447内へと延びる。ねじ437が締められると、アーム435が偏向させ、それによりシャフト423周囲の開口449を締める。
【0138】
各容器ホルダー406と関連するシャフトブロック構造432、シャフト423、および容器ホルダーベアリング415は、容器ホルダー406を回転盤414に取り付け、容器ホルダー406がシャフト423の回転軸412を中心に回転することを可能するよう構成および配置される、各容器ホルダー406と関連する好ましい容器ホルダー取り付け構造を画定する。
【0139】
容器ホルダー遊星歯車422は、シャフト423の反対端に取り付けられる。遊星歯車422は、固定太陽歯車に動作可能に係合する。駆動プーリ418は、中心シャフト428に取り付けられ、駆動ベルト(図示せず)により、駆動モーター420に連結される。駆動モーター420は、台402下方の治具プレート130の開口部(図示せず)を通して延びるよう取り付けられることが好ましい。駆動モーター420は、ステッピングモーターであることが好ましく、オリエンタルモーター株式会社(日本、東京)から市販されている、型番PK264−01AのVEXTAステッピングモーターであることが最も好ましい。駆動モーター420は、駆動ベルトおよび駆動プーリ418を介して、中心シャフト428およびそこに取り付けられる回転盤414を回転させる。回転盤フレーム414が、中心シャフト428の中心線周囲を回転すると、太陽歯車416と係合する遊星歯車422は、シャフト423およびそこに取り付けられる容器ホルダー406を、回転盤フレーム414のアーム444先端で回転させる。各容器ホルダー406は、その回転軸410が、関連するシャフト423の回転軸412からずれるよう取り付けられることが好ましい。それにより、各容器ホルダー406は、関連するシャフト423の軸412を中心に偏心的に回転する。その結果、遊星歯車422および太陽歯車416は、回転盤414がシャフト428の回転軸を中心に回転すると、容器ホルダー406がシャフト423のそれぞれの回転軸中心に回転するよう構成および配置される、回転運動連結要素を構成する。
【0140】
バーコードスキャナ装置405は、ブラケット403に取り付けられることが好ましく、各容器ホルダー406に形成されるスキャナスロット407を通して、容器440のバーコード情報を読み取る。好ましいスキャナは、Opticon,Inc.(ニューヨーク州オレンジバーグ)から市販されている、型番NFT1125/002RLのスキャナである。
【0141】
多軸撹拌器400は、普通、分析器50の操作中に回転して容器440の流体内容物を撹拌し、それにより対象捕獲試薬を懸濁液に保ち、ピペットユニット456が、容器のうちの1つからある量の混合液を取り出すことができるよう、短時間のみ停止する。ピペットユニット456は、毎回、同じ位置にあるボトルの混合物を取り出す。そのため、毎回混合物が引き出されるボトルが特定できるよう、ボトルの位置を監視することが好ましい。
【0142】
それぞれ光放出体および検出器を含む、4つのスロット付き光センサー426は、90°の間隔をあけて、固定台402の周辺に配備される。Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、型番OPB490P11の光センサーが好ましい。センサータブ424は、回転盤414のアーム445先端の伸張部417から下方に延びる。センサータブ424がセンサー426を通過すると、放出体と検出器とのコミュニケーションが遮断され、従って「容器存在」信号が出される。タブ424は、第一の容器位置などの一箇所にのみ提供される。第一の容器の位置を知ることにより、第一の容器に対して固定される残りの容器の位置も知ることができる。
【0143】
電源および制御信号は、電源およびデータコネクタを介して、多軸撹拌器400に提供さられる。多軸撹拌器400は、回転と偏心旋回による混合をおこなうが、振動や転回などの他の混合手法も使用してよい。
【0144】
(サンプル調製手順)
サンプル調製を開始するために、ピペットユニット456は、磁気オリゴ試薬であることが好ましい対象捕獲試薬を移動するために、多軸撹拌器400に運搬される容器440から、MTU160の各反応管162内へと移動させる。対象捕獲試薬は、対象検体に結合し、固定することができる支持材料を含む。支持材料は、磁気反応性粒子を備えることが好ましい。サンプル調製手順の最初に、右側ピペットアセンブリ450のピペットユニット456は、プローブ457がトレイ372のうち1つ中のピペットチップ上に動作可能に位置付けられる位置まで、横方向および縦方向に移動する。
【0145】
チップトレイ372は、ピペットユニット456のピペットチップと管状プローブ457との適切な整合を達成するための正確な位置に置かれるよう、ピペットチップホイール350に運搬される。ピペットユニット456は、下方に移動して、管状プローブ457の遊離端をピペットチップの開放端に挿入し、ピペットチップを摩擦により係合する。ピペットユニット456に使用するのが好ましいCavroプロセッサは、Cavroプロセッサ特有のカラー(図示せず)を含む。このカラーは、ピペットチップが、管状プローブ457の先端に摩擦により係合するときに、やや上向きに移動し、変位したカラーは、ピペットユニット456の電気スイッチを作動させ、ピペットチップの存在を検証する。チップの収集がうまく行かない場合は(トレイ372にチップが不足している、あるいは照準ミスなどによる)、チップ不足信号が生成され、ピペットユニット456は、別のチップ位置に移動してチップ係合を再試行する。
【0146】
アッセイ・マネージャー・プログラムは、多軸撹拌器400の回転を短時間停止させ、それによりピペットユニット456は、静止容器440のうち1つの上に、ピペットユニット456の管状プローブ457と付属するピペットチップが並ぶ位置に移動することができる。ピペットユニット456は、管状プローブ457に付属するピペットチップを容器440内まで下げ、希望の量の対象捕獲試薬をピペットチップに取り出す。次にピペットユニット456は、プローブ457を容器440の外に移動させ、多軸撹拌器400は回転を再開し、ピペットユニット456は、開口部252およびサンプル移動ステーション255の上方位置に移動する。次に、ピペットユニット456は、開口部252を通してピペットチップおよび管状プローブ457移動させながら下降し、必要な量の対象捕獲(通常100〜500μl)を、MTU160の反応管162のうち1つ以上に滴下する。対象捕獲試薬は、ピペットチップのみに取り込まれ、プローブ457自体には取り込まれないことが好ましい。さらに、ピペットチップは、MTU160の5本の反応管162全てに対して十分な試薬を把持するのに十分な容積を有することが好ましい。
【0147】
対象捕獲試薬の移動後、ピペットユニット456は、チップ廃棄管342上方の「チップ廃棄」位置に移動し、使い捨てピペットチップは、ピペットユニット456の管状プローブ457先端から押し出され、または排出され、管342を通って固形廃棄物容器へと落下する。光センサー(図示せず)は、管342の近接に配置され、チップが廃棄される前に、サンプルピペットアセンブリ450が、ピペットユニット456をセンサーの検知位置に移動させる。センサーは、チップが管状プローブ457の先端と係合しているかどうかを検出して、ピペットユニット456の管状プローブ457にチップが把持された状態であることを検証し、それによりサンプル調製の間中、チップが管状プローブ457上にあることを確認する。好ましいセンサーは、Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、型番OPB900Wのワイドギャップ・スロット付き光センサーである。
【0148】
ピペットチップは、ピペットユニット456の管状プローブ457上のカラー(図示せず)により排出されることが好ましい。カラーは、管状プローブ457の上昇時に、ハードストップを係合するため、プローブ457が上昇を続ける際に、カラーがピペットチップの上端を固定および係合したままとなり、管状プローブ457から押し出す結果となる。
【0149】
対象捕獲をピペットで取り、ピペットチップを廃棄したあと、ピペットユニット456のプローブ457は、チップ洗浄ステーション水盤346で管状プローブ457を通して、蒸留水の流水で洗浄することができる。チップ洗浄水は収集され、下方の廃液容器へと流出する。
【0150】
試薬滴下手順に続き、右側ピペットアセンブリ450のピペットユニット456は、ピペットユニット456の管状プローブ457が、チップトレイ372のうち1つの新しいピペットチップ上に中心を置く位置まで、横方向および縦方向に移動する。チップ係合に成功したあと、ピペットユニット456は、移動してサンプルリング250上のサンプル調製開口部252近接に戻り、カバープレート138の開口部140および142のうち1つと並ぶサンプル管320から試験サンプル(約25〜900μl)を取り出す。両開口部140および142は、プレート138上にこぼれたあらゆる流体が、開口部140および142内に流入するのを防ぐよう、上向きに延びる周辺フランジを含むことに注意されたい。ピペットユニット456は、次にサンプル移動ステーション255のMTU160上を移動し、開口部252と通して下方に移動し、試験サンプルを対象捕獲試薬を含むMTU160の反応管162のうち1本に滴下する。ピペットユニット456は、次にチップ廃棄管342上方の「チップ廃棄」位置に移動し、使い捨てピペットチップが、管342内に排出される。ピペットユニット456は、次にピペットチップホイール350から新しい使い捨てピペットチップを収集し、サンプルリング250は、新しいサンプル管がピペットユニット456により到達可能となるよう指示し、ユニット456は、サンプル管に移動してサンプル流体を使い捨てピペットチップへと取り出し、ピペットユニット456は、次にサンプル移動ステーション255の上方位置に移動し、対象捕獲試薬を含む異なる反応管162にサンプル流体を滴下する。この過程は、5本の反応管162全てが流体サンプルおよび対象捕獲試薬の組み合わせを含むまで、繰り返されることが好ましい。
【0151】
あるいは、アッセイプロトコルあるいは分析器50により実行されるプロトコルにより、ピペットユニット456は、反応管162のうち2つ以上に、同じ試験サンプル材料を滴下してよく、分析器は、各部分サンプルに同様のあるいは異なるアッセイを実施することができる。
【0152】
ピペットユニット480および482に関して上に述べたように、ピペットユニット456は、容量レベル検知能力も備える。管状プローブ457の先端で使用されるピペットチップは、導電性材料で作られていることが好ましく、それにより、チップが管状プローブ457先端に運搬されるときでも、ピペットユニット456による容量レベル検知が実施可能となる。ピペットユニットが試験サンプル滴下手順を完了すると、ピペットユニット456は、容量の変化により流体レベルの最高位が検出されるまで、管状プローブ457を下方に移動して反応管162へと戻す。反応管162に適切な量の流体材料が含まれるかどうかを判断するために、管状プローブ457の垂直位置に注意する。試験サンプルの凝固により、反応管162に十分な材料が含まれない場合があるが、これは管状プローブ457先端のチップを凝固させ、チップへの試験サンプル材料の適切な吸引を妨げ、および/またはチップからの試験サンプルの適切な滴下を妨げる可能性がある。
【0153】
サンプルの移動後、ピペットチップは、上述のように、チップ廃棄管342内に廃棄される。再び、ユニットのピペットの管状プローブ457を、希望に応じて蒸留水で洗浄することができるが、操作の好ましい方法では、サンプル材料は使い捨てピペットチップとしか接触しないため、プローブの洗浄は通常必要ではない。
【0154】
アッセイ・マネージャー・プログラムは、ピペットユニット456、480、および482の動作を制御するピペットユニット制御論理を含む。また、これは試験サンプルを取り出すために、ピペットユニット456が管状プローブ457をサンプル管320上に位置付けるとき、あるいはサンプル管320がサンプルカバーのプレート138の下方にあるとき以外、ピペットユニット456に、決してサンプルリング250のサンプル管320上を通過しないように移動させることが好ましい。この方法で、二次汚染を引き起こす可能性もある、ピペットユニット450の管状プローブ457からの別のサンプル管への流体の滴の混入を回避する。
【0155】
サンプル調製に続き、MTU160は、右側移送機構500により、サンプル移動ステーションから右側回転撹拌器550へと移動され、サンプル/試薬混合物が混合される。回転撹拌器550および552については、さらに詳細を後述する。
【0156】
MTU160が、右側移送機構500によりサンプル移動ステーションから取り出されたあと、投入準備室150内の反応容器シャトルアセンブリは、次のMTUを右側移送機構500による回収位置へと前進させ、右側移送機構500は、次のMTUをサンプル移動ステーションへと移動させる。この次のMTUに対し、サンプル調製手順が繰り返される。
【0157】
(移送機構)
ここで右側および左側移送機構500および502の詳細を説明する。
図13〜16を参照すると、右側移送機構500(左側移送機構502と同様に)は、図解される実施例では、プレート512上のスロット510の半径方向におよび摺動自在に変位可能なフック取り付け構造508から延びる、延長可能な分配フック506を含む、操作フック部材を有する。プレート512最上部のハウジング504は、MTU160の上部を収納するよう構成される開口部505を有する。プレート512に取り付けられるステッピングモーター514は、ねじ式シャフト516を回転させるが、これは親ねじ機構と連携して、好ましいフック部材駆動アセンブリのモーター514およびねじ式シャフト516構成要素である、分配フック506を
図13および15に示す伸展位置から、
図14に示す収縮位置へと移動させる。ステッピングモーター514は、改造したHISシリーズ46000であることが好ましい。HISステッピングモーターは、Haydon Switch
and Instrument,Inc.(コネチカット州ウォーターベリー)から市販されている。HISモーターは、ねじ式シャフト516の一端からねじ山を切削して改造し、シャフト516がフック取り付け構造508を収納できるようにする。
【0158】
ハウジング504、モーター514、およびプレート512は、一致シュラウド507に覆われることが好ましい。
【0159】
図16に示すように、ステッピングモーター518は、ベルト519を介して、プーリ520を回転させる。(オリエンタルモーター株式会社(日本、東京)から市販されている、型番PK264−01AのVEXTAステッピングモーター、およびSDP/SI(ニューヨーク州ニューハイドパーク)から市販されている、型番A6R51M200060のSDPタイミングベルトが好ましい。)プーリ520は、周囲に配置される162の軸方向溝を有する特注のプーリであることが好ましい。独特に成形された取り付けブロック523を用いて、プレート512に固定して取り付けられたメインシャフト522は、ベース524を通して下向きに延び、プーリ520に固定される。ベース524は、ベース524の外周辺に形成される開口525を通して延びる機械的留め具を用いて、基準プレート82に取り付けられる。フレックス回路526は、フック取り付け構造508およびモーター514に電力と制御信号を提供し、同時にプレート512(およびプレートに運搬される構成要素)を十分に枢動させ、ベース524に対して340°回転させる。移送機構500および502アセンブリは、ユニットの移動回転経路のいずれかの端にハードストップ(図示せず)を含むことが好ましい。
【0160】
アーム位置エンコーダ531は、メインシャフト522の一端に取り付けられる。アーム位置エンコーダは、アブソリュートエンコーダであることが好ましい。ワシントン州シアトルのU.S.Digitalによる、型番A2−S−K−315−HのA2シリーズエンコーダが好ましい。
【0161】
アッセイ・マネージャー・プログラムは、モーター518および514、およびフック取り付け構造508に制御信号を供給し、分配フック506に、MTU160のMTU操作構造166を係合するよう命令を出す。フック506が係合された状態で、モーター514に電力を与えてシャフト516を回転させ、それによりフック506およびMTU160をハウジング504に引き戻すことができる。スロット510近接にプレート512の対向する端部511を有する、MTU160の接続リブ構造164によるスライド係合により、MTU160は移送機構500および502にしっかりと把持される。プレート512は、それにより、回転軸を中心に回転可能で(シャフト522の軸など)、また反応容器(MTU160など)を収納および運搬するよう構成および配置される、好ましい容器運搬アセンブリの要素を構成する。モーター518は、ベルト519を介してプーリ520およびシャフト522を回転させ、それにより、ベース524に対しプレート512およびハウジング504を回転させることができる。このように、ハウジング504の回転は、係合されるMTUの方向性を変化させ、それによりそのMTUを、処理デスクの異なるステーションと並べる。
【0162】
センサー528および532は、ハウジング504の反対側に備えられ、ハウジング504での分配フック506の位置を指摘する。センサー528は移動終端センサーであり、センサー532はホームセンサーである。センサー528および532は、Optek
Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、型番OPB980T11のスロット付き光センサーであることが好ましい。ホームセンサー532に対しては、フック506が完全収縮位置にあるとき、センサービームが、フック取り付け構造508から延びるホームフラッグ536により遮断される。
【0163】
ハウジング504の側面に取り付けられるMTU存在センサー530は、ハウジング504におけるMTU160の存在を検知する。センサー530は、SUNX/Ramco
Electric,Inc.(アイオワ州ウェストデモイン)から市販されている、SUNX赤外線センサーであることが好ましい。
【0164】
(温度勾配ステーション)
1つ以上温度勾配ステーション700は、治具プレート130およびサンプルリング250下方に配置されることが好ましい(図では、サンプルリング250下方に配置される温度勾配ステーションは示されない)。回転撹拌器550内のMTU160の内容物を混合したあと、右側移送機構500は、アッセイプロトコルにより、MTU160を右側回転撹拌器550から温度勾配ステーション700に移動してよい。
【0165】
各勾配ステーション700の目的は、MTU160およびその内容物の温度を、希望に応じ上下に調整することである。MTUおよびその内容物は、インキュベータでの大きな温度変動を避けるために、MTUをインキュベータに挿入する前に、インキュベータの温度に近い温度に調整してよい。
【0166】
図17〜18に示すように、温度勾配ステーション700は、MTU160を挿入することができるハウジング702を含む。ハウジング702は、勾配ステーション700を基準プレート82に取り付けるための、取り付けフランジ712および714を含む。ヒートシンク構造706を熱接触する熱電モジュール704(ペルティエ素子としても知られる)は、ハウジング702の、好ましくは底部710に取り付けられる。好ましい熱電モジュールは、Melcor,Inc.(ニュージャージー州トレントン)から市販されている、型番CP1.4−127−06Lのものであることが好ましい。
図17には1つの熱電モジュール704が示されるが、勾配ステーション700は、かかる熱電モジュールを2つ含むことが好ましい。あるいは、ハウジング702の外面は、勾配ステーションを加熱するために、マイラー膜抵抗加熱箔材料(図示せず)で覆うことができる。適切なマイラー膜加熱箔は、Minco Products,Inc.(ミネソタ州ミネアポリス)から、またHeatron,Inc.(カンザス州レブンワース)から市販されているエッチング処理を施した箔である。上昇ステーション(加熱器など)の場合、抵抗加熱要素が使用されることが好ましく、低下ステーション(冷却器など)の場合、熱電モジュール704が使用されることが好ましい。ハウジング702は、断熱用被覆構造(図示せず)により覆われることが好ましい。
【0167】
熱電モジュール704と併せて使用されるヒートシンク構造は、伸展する放熱フィン708を有するアルミニウムブロックを備えることが好ましい。
【0168】
2つの熱センサー(図示せず)(25℃で定格10KΩのサーミスタが好ましい)は、温度を監視するために、ハウジング702上あるいは内の位置に備えられることが好ましい。YSI,Inc.(オハイオ州イエロースプリングス)から市販されているYSI44036シリーズのサーミスタが好ましい。YSIサーミスタは、その高い精度とYSIサーミスタにより提供されるサーミスタ同士での±0.1℃の互換性により好ましい。熱センサーのうちの1つは一次的温度制御をおこなうためのものであって、勾配ステーション内の温度を制御するための組み込みコントローラに信号を送信し、他方の熱センサーは、一次的温度制御熱センサーの補助的確認として、勾配ステーションの温度を監視するためのものである。組み込みコントローラは、熱センサーを監視し、勾配ステーションの加熱箔あるいは熱電モジュールを制御し、勾配ステーション700内の希望温度を略均一に維持する。
【0169】
MTU160は、ハウジング内に挿入し、MTU160の接続リブ構造164を係合するMTU支持フランジ718上に支持することができる。切欠き720は、ハウジング702の横パネル前端に形成される。切欠き720は、移送機構500あるいは502の分配フック506が、温度勾配ステーション700の奥まで挿入されたMTU160のMTU操作構造166を、それに対する横方向の動作により、係合あるいは離脱するのを可能とする。
【0170】
(回転式インキュベータ)
勾配ステーション700における十分な温度上昇に続き、アッセイ手順の概説を続けると、右側移送機構500は、勾配ステーション700からMTUを回収し、MTU160をTCインキュベータ600内に設置する。分析器50の好ましい動作モードでは、TCインキュベータ600は、約60℃でMTU160の内容物をインキュベートする。一部の試験では、アニールインキュベーション温度が±0.5℃を超えて変動せず、増幅インキュベーション(後述)温度が±0.1℃を超えて変動しないことが重要である。そのため、インキュベータは一貫した均一温度を提供するよう設計される。
【0171】
回転式インキュベータ600、602、604、および606の2つの実施例の構造と操作についての詳細をここで説明する。
図19〜23Cを参照すると、各インキュベータは、基準プレート82の絶縁用被覆612および絶縁カバー611内に適切に取り付けられた、略円筒型部分610を備えるハウジングを有する。
【0172】
円筒型部分610は、ニッケルメッキを施した鋳造アルミニウムにより構成されることが好ましく、カバー611の金属部は、切削アルミニウムであることが好ましい。円筒型部分610は、3つ以上の樹脂「足」609の上で基準プレート82に取り付けられることが好ましい。足609は、General Electric Plasticsにより供給されるUltem(R)−1000により形成されることが好ましい。この材料は低熱伝導性なので、足609はインキュベータを基準プレートから分離するよう機能する。絶縁材612およびカバー611の絶縁材は、Boyd Corporation(カリフォルニア州プレザントン)により供給される1/2インチ厚のポリエチレンから成ることが好ましい。
【0173】
容器到達開口部614および616は、円筒型部分610に形成され、協調する容器到達開口部618および620は、被覆612に形成される。インキュベータ600および602については、到達開口部のうち1つは、右側移送機構500により到達可能なように位置付けられ、他方の到達開口部は、左側移送機構502により到達可能なように位置付けられる。インキュベータ604および606は、左側移送機構502によってのみ到達可能である必要があり、そのため1つの容器到達開口部のみを備える。
【0174】
旋回ドア622および624を備える閉鎖機構は、開口部614および616内に回転自在に位置付けられる。各旋回ドア622および624は、個体円筒体を通って延びるMTUスロット626を有する。MTUスロット626は、MTU160の外形に厳密に一致するよう構成され、上部が下部よりも幅広くなっている。ドアローラ628および630は、各ドア622および624それぞれの最上部に取り付けられる。旋回ドア622および624は、アッセイ・マネージャー・プログラムからの命令により制御されるソレノイド(図示せず)により作動され、適切なタイミングでドア622および624を開閉する。ドア622および624は、そのMTUスロット626がそれぞれの容器到達開口部614および616と並ぶよう、ドア622および624を回転させることにより開けられ、また、そのMTUスロット626が、到達開口部614および616まで横に伸びるよう、ドア622および624を回転させることにより閉められる。円筒型部分610、カバー611、ドア622および624、およびフロアパネル(図示せず)は、インキュベーションチャンバを画定する囲いを構成する。
【0175】
ドア622および624は、インキュベータへのMTUの挿入あるいは回収のために開かれ、それ以外は、到達開口部614および616を通してのインキュベータの熱損失を最小限に抑えるために常時閉まっている。
【0176】
中心に位置付けられたラジアルファン632は、内部ファンモーター(図示せず)によって駆動される。ebm/Papst(コネチカット州ファーミントン)から市販されている、24VDCモーターを備える、定格32cfmの、Papst型番RER 100−25/14の遠心ファンは、その形状がインキュベータ内での使用に最適であるため好ましい。
【0177】
次に
図22を参照すると、MTU回転台アセンブリ671は、インキュベータ内の、半径方向に向き、円周的に配置された複数のMTU160を運搬する好ましい容器運搬装置である。MTU回転台アセンブリ671は、ハウジングの円筒型部分610に支持される上プレート642により運搬されるが、上プレート642の周辺端部で支持される、ステッピングモーターであることが好ましい回転モーター640により作動されることが好ましい。回転モーター640は、オリエンタルモーター株式会社(日本、東京)から市販されている、型番PK246−01AのVEXTAステッピングモーターであることが好ましい。
【0178】
MTU回転台671は、上プレート642下方に配置され、上プレート642を通って延びるシャフト649を介して、プーリ644に連結されるハブ646を含む。プーリ644は、その周囲に配置される162の軸方向溝を有する特注のプーリであることが好ましく、モーター640がハブ646を回転させられるよう、ベルト643を通してモーター640に連結される。ベルト643は、SDP/SI(ニューヨーク州ニューハイドパーク)から市販されているGT(R)シリーズのタイミングベルトであることが好ましい。ハブ646は、均等に相隔たる複数の内部通気スロット645を有するが、これは任意により、半径方向に向き、円周的に配置される仕切り壁647により分割される。図では、仕切り壁647は3つのみ示されるが、仕切り壁がハブ646の全周辺に提供されてよいことは明らかである。好ましい実施例では、仕切り壁647は省略されている。支持ディスク670は、ハブ646に取り付けられ、上プレート642の下方に、略平行関係に配置される。半径方向に延び、円周的に配列される複数のMTU把持部材672は、支持ディスク670の底部に取り付けられる(明確にするため、3つのみのMTU把持部材672を示す)。MTU把持部材672は、その反対側に沿って延びる支持隆線674を有する。半径方向に向くMTUは、円周的に近接のMTU把持部材672により画定されるステーション676内のMTU回転台アセンブリ671に運搬され、支持隆線674は、MTU回転台アセンブリ671により運搬される各MTU160の接続リブ構造164を支持する。
【0179】
MTU回転台アセンブリは、駆動プーリ(図解される実施例では644)が取り付けられる回転台駆動シャフト上で回転する。回転台位置エンコーダは、回転台駆動シャフトの外部先端に取り付けられることが好ましい。回転台位置エンコーダは、スロット付きホイールと光スロット交換との組み合わせ(図示せず)を備えることが好ましい。スロット付きホイールは、共に回転するよう回転台アセンブリ671と連結することができ、また光スロット交換は、ハウジングの円筒型部分610あるいは上プレート642に静止するよう固定することができる。スロット付きホイール/スロット交換の組み合わせは、回転台アセンブリ671の回転位置を指摘するために採用することができ、「ホーム」ポジションを指摘することができる(例えば、MTUステーション676が#1ステーションを指定される位置が、到達開口部614の正面である)。ワシントン州シアトルのU.S.Digitalによる、型番A2−S−K−315−HのA2シリーズエンコーダが好ましい。
【0180】
熱源は、円筒型部分610およびカバー611を備えるインキュベータのハウジング内に画定されるインキュベーションチャンバと熱連通するよう提供される。好ましい実施例では、マイラー膜に包まれた電気抵抗加熱箔660がハウジング610を取り囲むが、これはカバー611にも取り付けられてよい。好ましいマイラー膜加熱箔は、Minco Products,Inc.(ミネソタ州ミネアポリス)から、またHeatron,Inc.(カンザス州レブンワース)から市販されているエッチング処理を施した箔である。代替となる熱源には、内部に取り付けられる抵抗加熱要素、熱電加熱チップ(Peltiers)、あるいは導管などによりハウジングに熱的に連結される遠隔発熱機構などが含まれる。
【0181】
図19および22に示されるように、ピペットスロット662は、インキュベータカバー611を通って延び、放射状に配置されたピペット穴663は、上プレート642を通って延び、ピペットスロット664は、各MTUステーション676上の支持ディスク670に形成されることで、試薬をピペットで取ってインキュベータ内に配置されるMTUに滴下することが可能となる。好ましい動作モードのための分析器50の好ましい実施例では、AMPインキュベータ604とハイブリダイゼーション保護アッセイ・インキュベータHYBインキュベータの2つのみのインキュベータが、ピペット穴663およびピペットスロット662および664を含むが、これは好ましい動作モードでは、これら2つのインキュベータでのみ、インキュベータ内にある間に流体がMTU160に滴下されるからである。
【0182】
サーミスタ(25℃時10KΩ)であることが好ましい2つの温度センサー666は、上プレート642に位置付けられる。YSI,Inc.(オハイオ州イエロースプリングス)から市販されているYSI44036シリーズが好ましい。YSIサーミスタは、その高い精度とYSIサーミスタにより提供されるサーミスタ同士での±0.1℃の互換性により好ましい。センサー666のうち1つは、一次的温度制御をおこなうためのものであって、インキュベータ内の温度を制御するための組み込みコントローラに信号を送信し、他方のセンサーは、一次的温度制御センサーの補助的確認として、インキュベータの温度を監視するためのものである。組み込みコントローラは、センサー666を監視し、加熱箔660およびファン632を制御し、インキュベータハウジング610内の希望温度を均一に維持する。
【0183】
移送機構500および502が、MTU160をインキュベータ600、602、604、または606内に装填する準備ができると、モーター640は、ハブ646を回転させて、空のMTUステーション676を容器到達開口部614(あるいは616)と並べる。これがおこなわれると、ドア作動ソレノイドは、対応して旋回ドア622(あるいは624)を4分の1回転させ、ドアのMTUスロット626をMTUステーション676に並べる。到達開口部614は、MTU160の設置あるいは除去を可能とするよう曝露される。次に移送機構500あるいは502は、分配フック506を収縮位置から伸展位置と前進させ、MTU160をハウジング504から、到達開口部614と通って、インキュベータ内のMTUステーション676内へと押し出す。分配フック506が取り出されると、モーター640はハブ646を回転させ、すでに挿入したMTU160を到達開口部614から移動させ、旋回ドア622は再び閉じられる。この配置は、回転式インキュベータに挿入される、続くMTUに対し繰り返される。装填された各MTUのインキュベーションは、そのMTUがインキュベータの周囲を出口スロット618に向かって(反時計回りに)前進している間、継続される。
【0184】
各MTUステーション676のMTUセンサー(赤外線光反射式センサーが好ましい)は、ステーション内のMTU160の存在を検出する。Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、型番OPB770TのOptek Technology,Inc.センサーが好ましいが、これは、これらのセンサーが、インキュベータの高温環境耐える能力を有し、またこれらのセンサーが、MTU160のラベル貼付構造174のラベル貼付表面175に固定されるバーコードデータを読み取る能力を有するためである。さらに、各ドアアセンブリ(旋回ドア622および624)は、ドアの開閉位置を指摘するためのスロット付き光センサー(図示せず)を含むことが好ましい。Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、型番OPB980T11のセンサーは、それにより提供される比較的高い解像度が、ドア位置の正確な監視を可能とするため好ましい。傾斜ディスク直線撹拌器(ウォブラープレートとしても知られる)634は、ハウジング610内のMTU回転台アセンブリ671近接に提供され、容器撹拌機構として動作する。撹拌器634は、開口部635を通ってハウジング610内に延びるモーター636のシャフトに、傾斜して取り付けられるディスクを備える。モーターは、MTU回転台アセンブリ671に使用されることが好ましいモーターと同様の、オリエンタルモーター株式会社(日本、東京)から市販されている、型番PK264−01AのVEXTAステッピングモーターであることが好ましい。粘性ハーモニックダンパー638をモーター636に取り付け、モーターを失速させる可能性がある、モーターの調和回転数を減少させることが好ましい。好ましいハーモニックダンパーは、オリエンタルモーター株式会社から市販されている、VEXTAハーモニックダンパーである。傾斜ディスク直線撹拌器634の操作については、以下に述べる。
【0185】
AMPインキュベータ604とHYBインキュベータ606の2つのみのインキュベータが、傾斜ディスク直線撹拌器634を備えるが、これは好ましい動作モードでは、これら2つのインキュベータでのみ、インキュベータ内にある間に流体がMTU160に滴下されるからである。従って、傾斜ディスク直線撹拌器634によって、AMPインキュベータ604およびHYBインキュベータ606で、MTU160の直線撹拌を提供することのみが必要となる。
【0186】
直線撹拌器634による、インキュベータのMTU160の直線撹拌を達成するために、MTU回転台アセンブリ671は、傾斜ディスク直線撹拌器634と並ぶようMTU160を移動し、傾斜ディスク直線撹拌器634の傾斜ディスクは、MTU160のMTU操作構造166を係合する。モーター636は、傾斜ディスク直線撹拌器634の傾斜ディスクを回転させ、傾斜ディスク構造のMTU160に係合した部分は、ハウジング610の壁に対して半径方向内外に動き、それによりMTU操作構造166および遮蔽構造169の垂直部品167と交互に係合する。その結果、傾斜ディスク直線撹拌器634に係合したMTU160は、好ましくは高回転数で、半径方向内外に動かされ、MTU160の内容物の直線撹拌を提供する。AMPインキュベータ604内でおこなわれる、好ましい動作モードの増幅インキュベーションステップでは、10Hzの撹拌回転数が好ましい。HYBインキュベータ606内でおこなわれる、好ましい動作モードのプローブインキュベーションステップでは、14Hzの撹拌回転数が好ましい。最後に、HYBインキュベータ606でおこなわれる、好ましい動作モードの選択インキュベーションステップでは、13Hzの撹拌回転数が好ましい。
【0187】
隆起した弓状部171および172は、MTU160の垂直部品167および遮蔽構造169それぞれの凸面の中間に提供され(
図60参照)、MTU160と傾斜ディスク直線撹拌器634との摩擦を最小限に抑えるために、傾斜ディスク直線撹拌器634とMTU160との間の表面接触を最小限に抑えてよい。
【0188】
好ましい実施例では、傾斜ディスク直線撹拌器634にセンサーが備えられ、傾斜ディスク直線撹拌器634が
図21に示される「ホーム」ポジションで回転を停止することを確実にし、それにより、MTU回転台アセンブリ671が回転すると、MTU操作構造166は傾斜ディスク直線撹拌器634と係合および離脱することができる。好ましい「ホーム」センサーは、傾斜ディスク直線撹拌器構造およびから横方向に延びるピンと、ピンが光スイッチビームを遮断したとき、傾斜ディスク直線撹拌器アセンブリの方向性を検証するスロット付き光スイッチである。
【0189】
代替となるMTU回転台アセンブリおよび回転台駆動機構は、
図23Aおよび23Cに示される。
図23Aに示されるように、代替のインキュベータは、一般的に、ニッケルメッキを施した鋳造アルミニウムから構成される円筒型部分1610、切削アルミニウム殻形成されることが好ましいカバー1676、カバー1676のための絶縁材1678、および円筒型部分1610を囲む絶縁用被覆1651を備えるハウジングアセンブリ1650を含む。前述のインキュベータの実施例と同様に、インキュベータは、ハーモニックダンパー638を有する直線撹拌器モーター636を含む直線撹拌器機構を備えてよい。閉鎖機構1600(後述)は、閉鎖するため、あるいは容器到達開口部1614を通しての到達を可能とするために動作する。前述の実施例と同様に、インキュベータは、インキュベータの配置あるいは分析器50内におけるその機能により、1つあるいは2つの到達開口部1614を含んでよい。
【0190】
遠心ファン632は、ハウジング1650の底部に取り付けられ、モーター(図示せず)によって駆動される。ファンカバー1652は、ファンを覆って取り付けられ、ファン632によって生成される気流を可能とする十分な開口部を含む。回転台支持シャフト1654は、支持ディスク1694により分割される、下方シャフト1692および上方シャフト1690を含む。支持シャフト1654は、ファンカバー1652内に下向きに延びる下方シャフト1692により支えられ、ファンカバー内でベアリング(図示せず)によって回転自在に支持、固定される。
【0191】
MTU回転台1656は、中心部1696を有する上方ディスク1658を含む。支持ディスク1694の上面は、回転台1656の重量が下から支えられるよう、上方ディスク1658の中心部1696の底面に係合して取り付けられる。
図23Cに示されるように、半径方向に延びる、円周的に間隔のあいた複数のステーション仕切り1660は、上方ディスク1658の下に取り付けられる。下方ディスク1662は、環状内部1688から広がる複数の放射状フランジ1682を含む。放射状フランジ1682は、回転台ステーション仕切り1660に数と間隔が対応し、下方ディスク1662は、各フランジ1682が関連する仕切り1660のうち1つに固定された状態で、回転台ステーション仕切り1660の底面に固定される。
【0192】
放射状フランジ1682は、フランジ1682の隣り合う対の間に複数の放射状スロット1680を画定する。
図23Cから明らかなように、各フランジ1682の内端1686における円周方向幅は、フランジ1682の外端1684における円周方向幅より小さい。フランジ1682の先細形状は、スロット1680の対向する側面を確実に互いに略平行とする。
【0193】
下方ディスク1662が回転台ステーション仕切り1660の下に取り付けられる場合、フランジのそれぞれの全長の少なくとも一部に沿っての幅は、それぞれの仕切り1660の幅よりも大きく、これもその外端から内端に向かって先細となってよい。フランジ1684は、仕切り1660の隣り合う対の側面に沿って側面棚を画定し、仕切り1660の隣り合う対の間に画定された各MTUステーション1663に挿入されるMTU160の接続リブ構造164を支持する。
【0194】
プーリ1664は、上方ディスク1658の中心部1696上部に固定され、モーター1672は、ハウジング1650の直径に渡り、対向する先端がハウジングの円筒型部分1610に固定される取り付けブラケット1670に備えられる。モーターは、Vexta PK264−01Aステッピングモーターであることが好ましく、これは、Gates Rubber Companyにより供給されるものであることが好ましいベルト1666によってプーリ(モーターに対して9:1の比率を有する)に連結される。位置エンコーダ1674は、取り付けブラケット1672の中心上部に固定され、回転台支持シャフト1654の上方シャフト1690に連結される。エンコーダ1674(U.S.Digital Corporation(ワシントン州バンクーバー)による、A2シリーズのアブソリュートエンコーダが好ましい)は、回転台1656の回転位置を指摘する。
【0195】
インキュベータカバーは、切削アルミニウムから形成されることが好ましいインキュベータプレート1676と一致カバー絶縁要素1678とにより画定される。カバープレート1676および絶縁要素1678は、エンコーダ1674およびモーター1672を収容するのに適当な開口部を含み、また上記の実施例に関連して説明したように、インキュベータ内で運搬される流体を滴下するために形成される放射状スロットも含んでよい。
【0196】
代替の好ましい閉鎖機構1600は、
図23Bに示される。インキュベータハウジングの円筒型部分1610は、円筒型部分1610から到達開口部1614の対向する側面に沿って一体的に延びる外向きに突出した壁部1616および1618を有する、少なくとも1つの容器到達開口部1614を含む。
【0197】
回転ドア1620は、ハウジングの円筒型部分1610の到達開口部1614上部に取り付けられたドア取り付けブラケット1636を用いて、到達開口部1614に対して動作可能に取り付けられる。ドア1620は、弓状閉鎖パネル1622、および弓状閉鎖パネル1622が突出壁部1616および1618と協調して到達開口部1614を閉鎖する第一の部分と、到達開口部1614を通しての容器の動作を可能とするために到達開口部1614に対して外向きに回転させられた第二の部分との間のドア取り付け到達開口部1614の取り付け柱(図示せず)を収納するための穴1634を有する横に延びるヒンジプレート部1628を含む。アーチ状パネル1622の内部弓状面は、ドア取り付けブラケット1636の弓状面1638および容器到達開口部1614下方に配置される弓状面1619に一致し、面1638および1619に対してアーチ状パネル1622の動作を可能にしながら、それぞれの面の間に最小の隙間を提供することにより、そこからの熱損失を最小限に抑える。
【0198】
ドア1620は、ハウジングの円筒型部分1610の容器到達開口部1614下部に固定されるモーター取り付けブラケット1640を用いて、インキュベータハウジングに取り付けられたモーター1642によって作動される。モーターシャフト1644は、回転ドア1620の下方作動プレート1626に連結され、それによりシャフト1644の回転が伝達されて、回転ドア1620の回転となる。モーター1642は、Haydon Switch and Instrument,Inc.(コネチカット州ウォーターベリー)から市販されている、HIS7.5°/ステップモーターであることが好ましい。このHISモーター選定の理由は、比較的低コストであり、閉鎖アセンブリ1600が高トルクの頑強なモーターを必要としないためである。
【0199】
ドア部センサー1646および1648(スロット付き光センサーであることが好ましい)は、ドア取り付けブラケット1636の対向する側面に動作可能に取り付けられる。センサー1646および1648は、ドア1620のヒンジプレート1628上のセンサータブ1632および1630と協調して、回転ドア1620の相対位置を指摘し、また例えばドアの開閉状態を指摘するよう構成することができる。
【0200】
ドアカバー要素1612は、ドア取り付けブラケット1636および回転ドア1620の一部を覆うよう、ハウジングの円筒型部分1610外側に固定される。カバー要素1612は、インキュベータハウジングの到達開口部1614と並んだ到達開口部1613を含み、到達開口部1613の下端から横方向に延びる容器ブリッジ1615をさらに含む。容器ブリッジ1615は、インキュベータへの容器(MTU160など)の挿入および取り出しを容易にする。
【0201】
TCインキュベータ600内にある間、MTU160および試験サンプルは、捕獲プローブと対象核酸とのハイブリダイゼーションを可能とするのに十分な時間、温度約60℃±0.5℃で保持されることが望ましい。この条件下で、捕獲プローブは、磁性粒子に直接固定化ポリヌクレオチドとハイブリダイズしないことが好ましい。
【0202】
TCインキュベータ600における対象捕獲インキュベーションに続き、MTU160は、インキュベータ回転台により、右側あるいは第1分配ドアとしても知られる入口ドア622まで回転させられる。MTU160は、TCインキュベータ600内のそのMTUステーション676から回収され、右側移送機構500により、サンプルリング250下方の温度低下ステーション(図示せず)に移動される。低下ステーションにおいて、MTUの温度は、次のインキュベータのレベルにまで下げられる。ATインキュベータ602に先行する低下ステーションは、理論的には冷却器とは対照的な加熱器であるが、これはMTUが下げられる温度である約40℃は、まだ周囲分析器温度の約30℃よりも高いからである。従って、低下ステーションは、熱電モジュールとは対照的な抵抗加熱要素を使用することが好ましい。
【0203】
MTU160は、右側移動機構500により、低下ステーションから、ATインキュベータ602へと移動される。ATインキュベータ602の設計と動作は、ATインキュベータ602が40±1.0℃でインキュベートする点を除き、上述のTCインキュベータ600と類似している。
【0204】
ATインキュベータ602では、ハイブリダイゼーション条件は、固定化ポリヌクレオチドのポリチミジン(「poly(dT)」)テールが、捕獲プローブのポリアデニン(「poly(dA)」)テールとハイブリダイズすることを可能とするものである。TCインキュベータ600で、対象核酸が捕獲プローブとハイブリダイズすると、ATインキュベータ602では、捕獲プローブである固定化ポリヌクレオチドと対象核酸との間でハイブリダイゼーション複合体が形成され、それにより対象核酸を固定化する。
【0205】
活性温度結合インキュベーション中、ATインキュベータ602の回転台アセンブリ1656(または671)は、MTUを、第2あるいは左側分配ドアとしても知られる出口ドア624まで回転させるが、ここから左側移送機構502によってMTU160を取り除くことができる。左側移送機構502は、MTU160をATインキュベータ602から取り除き、利用可能な磁性分離ステーション800に設置する。
【0206】
温度勾配ステーション700は、化学デスク200を通して多数のMTUを処理する際にボトルネックとなる可能性がある。温度感度があまり問題でないインキュベータのうち1つ以上において、十分に利用されていないMTUステーション676を使用することが可能であってよい。例えば、ATインキュベータ602内で、約40℃でおこなわれる活性温度結合過程は、他のインキュベータほど温度感受性でなく、15個までのインキュベータの30個までのMTUステーション676は、いかなる既定の時間にも、未使用であってよい。現在検討されるように、化学デスクは、約8つのみの上昇ステーションまたは加熱器を有する。従って、ATインキュベータ602の未使用のスロット内では、上昇ステーション700内と比較して、かなり多くのMTUを予熱することができる。さらに、加熱器ではなく未使用のインキュベータスロットを使用することで、加熱器の一部あるいは全てを削除することが可能となり、化学デスク上の空間を開放することになる。
【0207】
(磁性分離ステーション)
図24〜25を参照すると、各磁性分離ステーション800は、上部801および下部803を有するモジュールハウジング802を含む。取り付けフランジ805および806は、適切な機械的留め具によって、磁性分離ステーションを基準プレート82に取り付けるための下部803から延びる。ロケータピン807および811は、ハウジング802の下部803の底部から延びる。ピン807および811は、基準プレート82に形成される開口(図示せず)と合い、ハウジング802が留め具により固定される前に、基準プレート82上の磁性分離ステーションを位置付ける援助をする。
【0208】
装填スロット804は、下部803の前壁を通って延び、移送機構(502など)が、磁性分離ステーション800へのMTU160の設置およびMTU160の取り外しを可能とする。先細スロット伸張部821は、装填スロット804の一部を囲み、スロット804へのMTU挿入を容易にする。仕切り808は、上部801を下部803から分離させる。
【0209】
枢動磁石動作構造810は、ポイント812を中心に枢動可能となるよう、下部803内部に取り付けられる。磁石動作構造810は、磁石動作構造810に形成されるMTUスロット815のいずれかの側面に位置付けられる永久磁石814を運搬する。1つがMTU160のそれぞれ個々の反応管162に対応するよう、5つの磁石が、磁石動作構造810のいずれかの側面に整列配置で把持されることが好ましい。磁石は、最低グレード−35であり、幅0.5インチ、高さ0.3インチ、奥行き0.3インチの好ましい寸法を有するネオジム鉄ホウ素(NdFeB)から作られることが好ましい。816で大まかに表される電気式アクチュエータは、磁石動作構造810を上下に枢動し、それにより磁石814を動かす。
図25に示すように、アクチュエータ816は、磁石動作構造810に連結する打込みねじ機構を回転させ、磁石動作構造810を選択的に上昇、下降させる回転ステッピングモーター819を備えることが好ましい。モーター819は、Haydon Switch and Instrument,Inc.(コネチカット州ウォーターベリー)から市販されている、型番26841−05のHISリニアステッピングアクチュエータであることが好ましい。
【0210】
光スロット付きセンサーであることが好ましいセンサー818は、ハウジングの下部803内部に位置付けられ、磁石動作構造810の下方または「ホーム」ポジションを指示する。センサー818は、Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、Optek Technology,Inc.型番OPB980T11であることが好ましい。同様にOptek Technology,Inc.型番OPB980T11の光スロット付きセンサーであることが好ましい別のセンサー817は、磁石動作構造810の上方または係合ポジションを指摘するために提供されることが望ましい。
【0211】
MTU運搬装置820は、磁性分離ステーション800内に配置されるMTU160を動作可能に支持するよう、装填スロット804の近接の仕切り808の下方に配置される。
図26を参照すると、MTU運搬装置820は、MTU160の上端を収納するためのスロット822を有する。下方分岐プレート824は、運搬装置820の底部に付着し、MTU160が運搬装置820内に摺動されたとき(
図27および28参照)、その接続リブ構造164の底面を支持する。スプリングクリップ826は、運搬装置820に取り付けられるが、その対向する突起物831および833はスロット822内に延び、MTUを運搬装置820内に解放可能なように把持する。
【0212】
回転撹拌器アセンブリ828は、MTU運搬装置820に把持されるMTUの内容物を回転的に混合するために運搬装置820に連結される。回転撹拌器アセンブリ828は、取り付けプレート832に取り付けられるステッピングモーター830、偏心ピン836を有する駆動プーリ834、偏心ピン840を有するアイドラプーリ838、および駆動プーリ834をアイドラプーリ838と接続させるベルト835を含む。ステッピングモーター830は、オリエンタルモーター株式会社(日本、東京)から市販されている、型番PK245−02AのVEXTAであることが好ましく、またベルト835は、SDP/SI(ニューヨーク州ニューハイドパーク)から市販されている、型番A 6G16−170012のタイミングベルトであることが好ましい。
図25および26に示すように、偏心ピン836は、MTU運搬装置820に縦方向に形成されるスロット842内に嵌着する。偏心ピン840は、MTU運搬装置820の反対端に形成される円形開口844内に嵌着する。モーター830が駆動プーリ834を回転させると、ベルト835を介してアイドラプーリ838も回転し、MTU運搬装置820は、運搬装置820に形成される開口842および844それぞれと係合する偏心ピン836および840によって、水平回転経路上を移動される。アイドラプーリ838の回転シャフト839は、上方に延び、またそれを通って形成される横スロット841を有することが好ましい。光スロット付きセンサー843は、スロット841と同じ階層に配置され、シャフト839の回転時に、断続的にスロット841を通して方向付けられるセンサービームを介して、アイドラプーリ838の回転数を計測する。センサー843は、Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、Optek Technology,Inc.型番OPB980T11のセンサーであることが好ましい。
【0213】
駆動プーリ834は、ロケータプレート846も含む。ロケータプレート846は、モーター取り付けプレート832から延びるセンサー取り付けブラケット845に取り付けられるスロット付き光センサー847および848を通過する。光センサー847および848は、Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、Optek Technology,Inc.型番OPB980T11のセンサーであることが好ましい。ロケータプレート846には、円周的に間隔をあけた複数の軸方向開口部が形成され、これらはセンサー847および848のうち1つあるいは双方と合い、回転撹拌器アセンブリ828の位置しいてはMTU運搬装置820の位置を指摘する。
【0214】
図24を参照すると、洗浄溶液供給管854は、接続金具856に接続され、モジュールハウジング802の上面を通って延びる。洗浄溶液供給管854は、接続金具856を介し、仕切り808を通って延び、洗浄溶液供給網を形成する。
【0215】
図27および28に示すように、接続金具856から延びる洗浄溶液ディスペンサノズル858は、仕切り808内に配置される。各ノズルは、MTU160のそれぞれの反応管162上方に、反応管162に対して横方向に偏心位置に設置される。各ノズルは、洗浄溶液を偏心位置から各反応管に方向付けるための、横方向に向けられた下部859を含む。横方向構成要素を有する方向に、流体を反応管162に滴下することにより、流体がそれぞれの反応管162の側面を流れ落ちるときの跳ねを抑えることができる。さらに、横方向に向けられた流体により、それぞれの反応管162の側面に付いた材料を洗い流すことができる。
【0216】
図24および25に示すように、吸引管860は、管860が固定的に取り付けられる管ホルダー862を通って延び、仕切り808の開口部861を通って延びる。管ガイドヨーク809(
図26参照)は、仕切り808の側面、開口部861下方に機械的留め具により付着される。吸引管860に接続される吸引器ホース864は、分析器50内の真空ポンプ1162(
図52参照)に延び、吸引された流体は、下方シャーシ1100に運搬される流体廃棄容器内に取り除かれる。各吸引管860は、好ましい長さである12インチ、内径0.041インチを有する。
【0217】
管ホルダー862は、打込みねじ866に付着され、リフトモーター868により作動される。リフトモーター868は、オリエンタルモーター株式会社(日本、東京)から市販されている、型番PK245−02AのVEXTAであることが好ましく、打込みねじ866は、Kerk Motion Products,Inc.(ニューハンプシャー州ホリス)から市販されているZBXシリーズねじ山付き緩み防止親ねじであることが好ましい。管ホルダー862は、打込みねじ866のねじ込みスリーブ863に付着される。ロッド865およびスライドレール867は、管ホルダー862のガイドとして機能する。Z軸センサー829および827(スロット付き光センサー)は、ねじ込みスリーブ863から延びるタブと協調して、吸引管860の上下のストローク位置を指摘する。Z軸センサーは、Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、Optek Technology,Inc.型番OPB980T11のセンサーであることが好ましい。
【0218】
ケーブルは、コネクタ870を介して、磁性分離ステーション800に電力と制御信号を供給する。
【0219】
MTU160が挿入開口部804を通って磁性分離ステーション、MTU運搬装置820へと挿入されるとき、磁石動作構造810は最初、センサー818に検証される下方位置(
図25のファントムに示される)にある。磁石動作構造810が下方位置にあるとき、磁石814の磁場は、MTU160に含まれる磁気反応性粒子に対し実質的に影響がない。本文脈では、「実質的に影響がない」とは、磁石814の磁場の引力によって、懸濁液から磁気反応性粒子が引き出されないことを意味する。回転撹拌器アセンブリ828は、運搬装置820およびMTU160を横方向に動かすよう、MTU運搬装置820を全軌道の一部だけ動かし、それによりMTU16のチップ先端把持構造176に運搬される各チップ先端170は、
図28に示すように、各吸引管860と並ぶ。MTU運搬装置820の位置は、ロケータプレート846およびセンサー847と848のうち1つによって検証することができる。あるいは、ステッピングモーター830を既知の数のステップ分動かして、MTU運搬装置820を希望の位置に設置し、センサー847および848のうち1つを省くことも可能である。
【0220】
管ホルダー862および吸引管860は、リフトモーター868および打込みねじ866によって下げられ、各吸引管860が、MTU160上の関連の運搬構造176に把持されるチップ先端170を摩擦により係合する。
【0221】
図25Aに示すように、各吸引管860の下端は、管860が、管の全長の大部分に沿った第一の部分851、第一の部分851よりも直径が小さい第二の部分853、および第二の部分853よりも直径が小さい第三の部分855を有する、先細のステップ構成により特徴付けられる。第三の部分855の直径は、管860の先端をチップ先端170の貫通穴180の広口部181に挿入できるようにし、第三の部分855の外面とチップ先端170の穴180の内壁に線を引く2本の環状隆線183(
図59参照)との間に摩擦締まりばめを形成するものである。環状段部857は、第二の部分853と第三の部分855との移行部に画定される。段部857は、管860がチップ先端170に挿入される程度を限定し、それにより後述のように、チップ先端が使用後に除去される。
【0222】
チップ先端170は、少なくとも部分的に導電性であるため、吸引管860上のチップ先端170の存在は、コンデンサの2分の1としての吸引管860、およびコンデンサの残りの2分の1としての磁性分離ステーションを囲むハードウェアを備えるコンデンサの容量によって検証することができる。容量は、チップ先端170が吸引管860の先端と係合したときに変化する。
【0223】
さらに、5つの光スロット付きセンサー(図示せず)を仕切り808上方に戦略的に位置付け、各吸引管860上のチップ先端170の存在を検証することが可能である。好ましい「チップ先端存在」センサーは、Optek Technology,Inc.(テキサス州カロルトン)から市販されている、Optek Technology,Inc.型番OPB930W51のセンサーである。吸引管860の先端上のチップ先端170は、関連のセンサーのビームを遮断し、チップ先端170の存在を検証する。チップ先端収集動作のあと、チップ先端存在センサーにより、5つの吸引管860全てに対してチップ先端係合が検証されない場合、MTU160は中止されなければならない。中止されたMTUは、磁性分離ステーションから回収されて失活準備室750に送られ、最終的に廃棄される。
【0224】
チップ先端係合に成功したあと、回転撹拌器アセンブリ828は、MTU運搬装置820を動かして、ロケータプレート846およびセンサー847と848のうち1つあるいは両方により検証される流体移動位置(
図27に示される)へと戻す。
【0225】
磁石動作構造810は、
図24に示される上方位置に上昇させられ、それにより磁石814は、MTU160近接の対向する側面に配置される。MTUの内容物が磁石814の磁場にさらされることにより、対象核酸に間接的に結合される磁気反応性粒子は、磁石814近接の個々の反応管162の側面に引き寄せられる。反応管162内の残留材料は、実質的に影響を受けていないはずであり、それにより対象核酸が単離される。磁石動作構造810を、アッセイプロトコルにより定められ、またアッセイ・マネージャー・プログラムによって制御される適当な滞留時間、上昇位置に維持することで、それぞれの反応管162の側面に磁性粒子を付着させる。
【0226】
次に吸引管は、MTU160の反応管162内へと下げられ、個々の反応管162の流体内容物を吸引し、同時に磁性粒子は、磁石814近接の反応管162の側面に付着し、反応管162内に残留する。吸引管860先端のチップ先端170は、吸引手順の間、反応管162の内容物が吸引管860の側面に接触しないことを確実にする。チップ先端170は、磁性分離ステーション800で次のMTUが処理される前に廃棄されるため、吸引管860による二次汚染の可能性は最小限に抑えられる。
【0227】
導電性チップ先端170は、MTUの反応管162内の流体容量レベル検知のための既知の方法で使用できる。吸引管860および導電性チップ先端170は、コンデンサの半分を備え、パーティクル内を取り囲む導電性構造はコンデンサの第二の半分を備え、またコンデンサのこれら2つの半分の間の流体媒体は誘電体を構成する。誘電体の性質の変化による容量変化が、検知可能である。
【0228】
吸引管860の容量性回路構成は、5本全ての吸引管860が、単一グループの容量検知機構として動作することができるよう配置することができる。グループ容量検知機構として、回路構成は、反応管162のうちいずれかの流体レベルが高い場合のみ判断し、反応管のうち1本の流体レベルが低い場合には判断できない。つまり、吸引管860および関連のチップ先端170のいずれかが反応管内の流体材料に接触したとき、誘電体の変化により、システムの容量が変化する。容量変化が起きる吸引管860のZ位置が高すぎる場合、少なくとも1本の反応管の高い流体レベルが指摘され、従って吸引の失敗を示唆する。一方、容量変化が起きる吸引管のZ位置が正しい場合、回路構成吸引管同士を区別することができず、従って、流体レベルが低いために、他の管の1つ以上が流体の上部とまだ接触していない場合、低い流体レベル検知されなくなる。
【0229】
あるいは、吸引管容量性回路構成は、5本の吸引管860それぞれが個々の容量検知機構として動作するよう配置することもができる。
【0230】
5つの個々の容量検知機構により、容量レベル検知回路構成は、反応管162のうち1つ以上の流体レベルが高いとき、反応管のうち1つ以上における流体吸引の失敗を検知することができる。個々の容量検知回路構成は、反応管162のうち1つ以上の流体レベルが低いとき、反応管のうち1つ以上への流体滴下の失敗を検知することができる。さらに、容量レベル検知回路構成を体積検証に利用して、各反応管162における体積が既定の範囲内にあるかどうか判断することができる。体積検証は、例えば予想流体レベルの110%など、予想流体レベルより上の位置で吸引管860の降下を停止して、どの反応管もそのような高いレベルを有さないことを確認し、次に例えば予想流体レベルの90%など、予想流体レベルより下の位置で吸引管860の降下を停止して、各反応管が少なくともその高さの流体レベルを有することを確認することにより実施することができる。
【0231】
吸引に続き、吸引管860は上昇させられ、磁石動作構造810は下降させられ、洗浄溶液の規定の体積が、洗浄溶液ディスペンサノズル858を通して、MTU160の各反応管162内に滴下される。洗浄溶液ディスペンサノズル858の懸滴を防ぐために、短時間の滴下後の空気吸引が好ましい。
【0232】
回転撹拌器アセンブリ828は、次にMTU運搬装置820を水平回転経路上で高い回転数で動かして、MTU160の内容物を混合する。MTUの流体内容物の跳ねを回避し、また噴霧の形成を回避するため、水平面でMTUを動作により混合あるいは撹拌することが好ましい。混合に続き、回転撹拌器アセンブリ828は、MTU運搬装置820を流体移動位置で停止させる。
【0233】
対象核酸をさらに精製するために、磁石動作構造810は再び上昇させられ、規定の滞留期間、上昇位置に維持される。磁性滞留後、係合されたチップ先端170を備える吸引管860は、MTU160の反応管162の底部まで下げられ、上述の手順と基本的に同様の吸引手順で、試験サンプル流体および洗浄溶液を吸引する。
【0234】
それぞれ滴下、混合、磁性滞留、吸引処置を備える洗浄サイクルは、アッセイプロトコルによって定められるように、追加で1回以上実施されてよい。核酸ベースの診断試験の専門家は、希望の対象捕獲手順のための、適当な磁性滞留時間、洗浄サイクルの回数、洗浄溶液などを判断することが可能である。
【0235】
希望のスループットにより、磁性分離ステーションは数がさまざまであってよいが、分析器50は5つの磁性分離ステーション800を含むことが好ましく、それにより5つの異なるMTUで、並行して磁性分離洗浄手順を実施することができる。
【0236】
最終洗浄ステップのあと、磁石動作構造810は下方位置に動かされ、MTU160は、左側移送機構502により磁性分離ステーションから取り除かれて、左側回転撹拌器552に設置される。
【0237】
MTU160が洗浄ステーションから取り除かれたあと、チップ先端170は、ハウジング802の下部803の底部に位置する除去プレート872によって、吸引管860から除去される。
【0238】
除去プレート872は、好ましい実施例では5つである吸引管860の数に対応する数の整列する除去穴871を有する。
図29Aから29Dに示すように、各除去穴871は、第一の部分873、第一の部分873より小さい第二の部分875、および部分873と875を囲む斜角877を含む。除去プレート872がハウジング802の底部に置かれているため、各除去穴871の小さい部分875は、
図29Aに示すように、関連する吸引管860のそれぞれと略並ぶ。吸引管860は、各吸引管860先端のチップ先端170が除去穴871を係合するように下げられる。小さい部分875は、チップ先端170の直径を収容するには小さすぎるため、斜角877は、
図29Bに示すように、チップ先端170および吸引管860を大きい部分873に向けて方向付ける。吸引管860は、好ましくはステンレススチールである、弾性的に柔軟な材料から作られ、それにより、吸引管860が降下を続ける際に、斜面部877は各吸引管860を横方向に偏向させる。除去穴871の小さい部分875は、吸引管860の直径を収容することができ、それによりチップ先端170の周縁177が除去穴871の下部を通過したあと、各吸引管860はそれ自体の弾性により、
図29Cに示すように、除去穴871の小さい部分875内にはめ込まれる。次に吸引管860は上昇させられ、各チップ先端170の周縁177は、除去穴871の小さい部分875の底部周辺端部を係合する。吸引管860がさらに上昇すると、チップ先端170は除去穴871によって吸引管860から引き抜かれる(
図29D参照)。除去されたチップ先端170は、シュートにより、チップ先端廃棄物箱1134などの固形廃棄物容器内へと方向付けられる。
【0239】
吸引管860の容量は、全てのチップ先端170が除去され、廃棄されたことを検証するために試験される。除去ステップは、必要に応じて繰り返すことができる。
【0240】
代替となる除去プレート882は、
図31Aから31Cに示される。除去プレート882は、好ましい実施例では5つである、吸引管860の数に対応する数の除去穴881を含む。各除去穴881は斜角の皿穴887に囲まれる貫通孔883を含む。対の突起物885は、貫通孔883下方の直径的に対向する位置から横方向に延びる。突起物885は、バネ鋼から作られ、先端にV字切り欠きを含むことが好ましい。
【0241】
先端に配置されるチップ先端170を備える吸引管860が除去穴881に向けて下げられるとき、斜角部分887は、位置合せを誤った全ての管を確実に貫通孔883内に方向付ける。対向する突起物885の先端間の間隔は、チップ先端170の直径より小さく、それにより吸引管860およびチップ先端170が下げられ、チップ先端は突起物885を係合して、チップ先端170が突起物885間に押し進められると、突起物を下向きに偏向させる。吸引管860が上昇しているとき、突起物885の切欠き886は、チップ先端170の比較的軟性の材料を掴み、それによりチップ先端170の突起物885に対する上向きの相対運動を防止する。管が上昇を続けると、突起物885はチップ先端170を管860から引き抜く。続いて吸引管860が下げられ、後続の一連のチップ先端を除去すると、前回の除去から突起物の間に把持されるチップ先端は、次のチップ先端により突起物間を押し通され、5つの磁性分離ステーション800略下方の下方シャーシ1100に位置付けられる廃棄物箱1134(
図52参照)に向けて方向付けられる。
【0242】
また別の代替の、現時点で好ましい除去プレート1400を
図30A〜30Dに示す。除去プレート1400は、それぞれが截頭円錐形部分1404を含む5つの除去キャビティ1402を含む。円錐形部分1404は、拡大した直線部分1408に接続する頸部1406に向かって先細になる。直線部分1408は頸部1406の中心に対して補正されるため、直線部分1408の片側は頸部1406の側と同一平面となり、直線部分1408の反対側は頸部1406の側から補正されて当該側の下が切り取られ、それによってレッジ1414を形成する。直線部分1408に続いて、レッジ1414の反対側にある除去キャビティ1402の側に傾斜部1410が設けられている。傾斜部1410は、底部開口部1412に向かって内側へ先細になる。
【0243】
その端部にチップ先端170を持つ吸引管860は除去キャビティ1402に向かって移動され、円錐形部分1404はチップ先端170および管860を頸部1406に向かって方向付ける。吸引管860は降下し続け、チップ先端170の縁177が円錐形部分1404の底部を越えて頸部1406を通過する際に、チップ先端170は直線部分1408に入る。
【0244】
吸引管860および除去キャビティ1402が適切で好ましいアライメントになっている場合、チップ先端170の縁177の一部は、チップ先端170が頸部1406を通って直線部分1408へ移動した際に、除去キャビティ1402のレッジ1414の下に配置されることになる。縁177の一部が確実にレッジ1414の真下に配置されるように、吸引管860がさらに降下して吸引管がレッジ1414の下のチップ先端170を横方向に方向付けるように促しながら、チップ先端170が下方傾斜部1410を係合する。
【0245】
吸引管860の底部に形成された環状段部857(
図25A参照)により、管860が除去キャビティ1402内へ下りた際に管860がさらにチップ先端170の貫通穴180へ押し入れられることは確実になくなる。続いて吸引管860は上昇し、レッジ1414は縁177を係止し、管860からチップ先端170を取り除く。取り除かれたチップ先端170は、底部開口部1412を介して下方シャーシ1100内のウエストビン1134内へ落下する(
図52参照)。
【0246】
上述した除去プレートのそれぞれを用いる場合、チップ先端除去要素の位置はすべて同じではない。例えば、除去プレート1400の除去キャビティ1402のレッジ1414は、すべてのキャビティにわたって同じ高さにあるわけではない。3つのチップ先端除去要素が1つの高さにあり、2つのチップ先端除去要素が他3つの要素より上または下のわずかに異なる高さにあるのが好ましい。チップ先端除去要素を補正した結果、吸引管860の端部にあるチップ先端170の静止摩擦を、5つの管860すべてについて同時に克服または遮断する必要がなくなる。吸引管860が上昇を開始すると、まず1のセット(2つまたは3つ)の吸引管860についてチップ先端170の静止摩擦が遮断され、続いて吸引管860が上昇を続けると、残りの管860についてチップ先端170の静止摩擦が遮断される。5つすべての吸引管860についてチップ先端170の静止摩擦を同時に遮断しないことによって、管ホルダー862、打込みねじ866、ねじ込みスリーブ863、およびリフトモーター868にかかる負荷は、低レベルに保たれる。
【0247】
(回転撹拌器)
図32〜34に示すように、左回転攪拌器522(および右回転攪拌器550)は、上述した磁性分離ステーション800の下方ハウジングステーション803および回転攪拌器アセンブリ828と同じように構成され、同じように動作する。具体的には、回転攪拌器550(552)は、正面プレート551と、裏面プレート559と、回転攪拌器550(552)を基準プレート82に取り付けるための取り付けフランジ555、556とを含む、ハウジング554を含む。挿入開口部557は、ハウジング554のフロントエッジ内に形成される。MTU運搬装置558は、その底部に付着された分岐プレート560と、MTUを収容する運搬装置558の内部キャビティ内へ延びるクリップ562の対向する突起物とともに運搬装置558の後部に付着されたMTU留めクリップ562とを有する。回転攪拌器アセンブリ564は、モーター取り付けプレート567に取り付けられた駆動モーター566と、偏心ピン570を有する駆動輪568と、偏心ピン573を有する遊動輪572と、ベルト574とを含む。駆動モーター566は、好ましくはステッピングモーターであり、最も好ましくは、Oriental Motors Ltd.(日本、東京)から市販されている、型番PK245‐02AのVEXTAである。ベルト574は、好ましくは、SDP/SI(ニューヨーク州、ニューハイドパーク)から市販されている、型番A6G16‐170012のタイミングベルトである。回転攪拌器アセンブリ564は、回転経路においてMTU運搬装置558を移動させてMTUの内容物を攪拌するために、偏心ピン570、573を介してMTU運搬装置558と連結される。駆動輪568は、センサー取り付けブラケット579に付着されたセンサー578と連動して、MTU160を回転撹拌器552(550)へ挿入し、MTU160を当該回転攪拌器から取り出すためのMTU運搬装置558の適切な位置決めを検証する、ロケータプレート576を含む。センサー578は、好ましくは、Optek Technology,Inc.(テキサス州、カロルトン)から市販されている、Optek Technology,Inc.型番OPB980T11のセンサーである。
【0248】
上プレート580は、ハウジング554の上に付着されている。左回転攪拌器552の上プレート580は、分注ノズル583を介してバルク流体容器から当該攪拌器内に位置するMTU160へ流体を滴下するための類似数の柔軟性滴下管(図示せず)が連結された、複数、好ましくは5つの管接続金具582を含む。上プレート580は、単一のMTU160を備える個々の反応管162の数と対応する数になるよう、複数、好ましくは5つのピペット開口部581も含む。
【0249】
左回転攪拌器552内に固定保持されているMTU160を用いて、左ピペットアセンブリ470のピペットユニット480は、規定量の増幅試薬を試薬冷却ベイ900内の容器からピペット開口部581を介してMTU160の各反応管162へ移す。増幅試薬は、適切な緩衝液中に、プライマー、プロモータープライマー、および/またはプロモーターオリゴヌクレオチド等の少なくとも1つの増幅オリゴヌクレオチドと、ヌクレオシド三リン酸と、マグネシウムイオン等の共同因子とを含有する。しかしながら、増幅試薬の特定の構成要素は、実施される増幅手順によって決まることになる。例えば、Kacianら、米国特許第5,399,491号を参照されたい。当業者には核酸検査のその他の増幅手順が既知であり、そのうちのいくつかについては上記「発明の背景」の節において確認したが、本発明の分析器50において使用するように適合され得る。
【0250】
次に、MTUの内容物を回転撹拌器552の回転攪拌器アセンブリ564によって混合し、対象核酸の増幅試薬に対する適切な曝露を確実なものとする。いかなる特別な増幅手順についても、当業者であれば、増幅試薬の適切な構成要素および量、ならびに混合の頻度と継続時間を判断することができるであろう。
【0251】
増幅試薬をMTU160にピペットで添加した後、ピペットユニット480を処理デスク200上のすすぎ槽(後述)に移動させ、プローブ481を介して蒸留水を流すことにより、ピペットユニット480を洗浄する。下方シャーシ1100内のボトル1140から蒸留水をポンプで汲み上げ、下方シャーシ1100内の液状廃棄物容器1128にパージ水を収集する。
【0252】
MTU160の内容物を混合した後、分注ノズル583を介してシリコンオイルの層を各反応管162に分注する。下方シャーシ1100内のボトル1168からポンプで汲み上げたオイルの層は、MTU160およびその内容物の事後操作およびインキュベーション中における、MTU160の流体内容物の蒸発および跳ねを防止するのに役立つ。
【0253】
(試薬冷却ベイ)
ここで、試薬冷却ベイ900について説明する。
【0254】
図35〜39を参照すると、試薬冷却ベイ900は、円筒型ハウジング904の周囲に嵌着された、好ましくはアルミニウム製の絶縁被覆902を含む。カバー906は、好ましくはデルリン製であり、カバー906の適切な配向を確実にするため、ハウジング904内のスロット907内に嵌着するカバー906の登録タブ905とともにハウジング904の上にある。タブ905がスロット907内に載置されていることを検証するために、スロット907の近傍またはその中に光センサーを設けてもよい。あるいは、カバー配置を検証するために、ハウジング904の上方縁のエッジに光センサーアセンブリ909を固定してもよい。光センサーアセンブリ909は、カバー906上のセンサー引き外し構造(図示せず)と連携して、カバーが適所にあることを検証する。光センサーアセンブリ909は、好ましくは、Optek Technology,Inc.(テキサス州、カロルトン)から市販されている、Optek Technology,Inc.型番OPB980T11のスロット付き光センサーを含む。カバー906は、ピペット開口部908も含み、ピペットユニット480、482は当該開口部を介して冷却ベイ900内の試薬容器に到達することができる。
【0255】
ハウジング904は、フロアプレート910に付着され、フロアプレート910は、フロアプレート910の周辺部の周囲に間隔をあけて取り付けフランジ911内に形成された開口部を通って延びる、適切な機械留め具を用いて基準プレート82に付着されている。フロアプレート910には、冷却ユニット912が、好ましくは2つ、付着されている。各冷却ユニット912は、冷却側を上にしてフロアプレート910の底面に付着された熱電モジュール914を備える。Melcor,Inc.(ニュージャージー州、トレントン)から市販されている、型番CP1.4‐127‐06Lの熱電モジュールは、望ましい冷却能力を提供するものである。複数の熱消散フィン915を含むヒートシンク916は、フロアプレート910の底面の、熱電モジュール914の真下に付着されているか、または、それと一体になっていてもよい。ファンユニット918は、ヒートシンク916から熱を排出するための位置に付着される。ファンユニット918は、好ましくは、Oriental Motors Ltd.(日本、東京)から市販されている、型番MD825B‐24のOrixファンである。また、冷却ユニット912は、ベイ900内に格納されている温度感受性試薬(例えば、酵素)の便益のためにハウジング904の内部を規定の温度まで冷却する。
【0256】
冷却ベイ900ハウジング904内に、その内部温度を監視および制御するための2つの温度センサー(1つの温度センサー920のみを示す)が配置される。温度センサーは、好ましくは、サーミスタ(25℃において10KOhm)であり、YSI,Inc.(オハイオ州、イエロースプリングス)から市販されているYSI44036シリーズのサーミスタが最も好ましい。YSIサーミスタは、それらの高精度およびYSIサーミスタが1つのサーミスタと別のサーミスタの間で提供する±0.1℃の互換性により、好ましい。当該センサーの1つは主要温度制御センサーであり、もう1つは温度監視センサーである。主要制御センサーからの温度表示を基に、組み込みコントローラが熱電モジュール914への動力および/またはファンユニット918への動力を調整して冷却ベイ温度を制御する。温度監視センサーは、主要温度制御センサーの検証確認を提供する。
【0257】
図38に示すように、容器トレイ922は、特定の試薬瓶925を収納および把持するためのサイズおよび形状にしたボトル把持キャビティ924を持つ一体型回転盤構造である。容器トレイ922用の駆動システムは、モーター926と、モーター926のシャフト上の小型滑車931と、ベルト928と、滑車930と、シャフト932とを含む(Oriental Motors Ltd.(日本、東京)から市販されている、型番PK265‐02AのVEXTAステッピングモーター、および、SDP/SI(ニューヨーク州、ニューハイドパーク)から市販されている、GT(R)シリーズのSDPタイミングベルトが好ましい)。モーター926および冷却ユニット912は、基準プレート82内に形成された開口部(図示せず)を通って延び、フロアプレート910の下に延びる。
【0258】
容器トレイ922は、ハウジング904へのトレイ922の設置およびハウジング904からのトレイ922の除去のための、中心の直立ハンドル923を含んでよい。シャフト932の先端部933は、フロアプレート910を通って延び、トレイ922の底部に形成された接合開口(図示せず)によって受けられる。フロアプレート910を通ってハウジング904まで延びるセンサー940は、トレイ922がハウジング904内の適所にあることを検証する。センサー940は、好ましくは、Advanced Controls,Inc.(フロリダ州、ブラデントン)から市販されている、型番FCP2の容量型近接センサーである。
【0259】
光センサー935と連動している位置エンコーダ934(好ましくはスロット付きディスク)を使用して容器トレイ922の位置を検出することができ、そのため、特定の試薬瓶925をカバー906内のピペット開口部908の下に配置することができる。
【0260】
図37に示すように、位置エンコーダ934および光センサー935の好ましい代替としては、容器トレイ922の底部から延びるフラグピン(図示せず)とともにハウジング904内に設けられたスロット付き光センサー937(
図36においては、2つのセンサーのみが可視である)が挙げられる。容器トレイ922の各四分円につき1つセンサーが設けられ、フラグは、容器トレイ922のどの四分円にピペット開口部908が配置されているかを示すために、4つのセンサーのうち1つを始動させる。センサー937は、好ましくは、Optek Technology,Inc.(テキサス州、カロルトン)から市販されている、型番OPB980T11のOptek Technology, Inc.センサーである。
【0261】
図38に示す一体型容器トレイ922の好ましい代替は、
図35および39に示すモジュラートレイ1922である。トレイ1922は、円形基板1926と、その中心部に付着された直立ハンドルポスト1923とを含む。ボトル把持キャビティ1924を有するモジュラー部品1930は、ピン1928およびねじ(図示せず)によって、互いに、および基板1926に接続され、円形トレイ1922を形成するのが好ましい。ピン1928およびねじの代替として、モジュラー部品1930を固定するその他の手段を用いてもよい。同図に示すモジュラー部品1930は1つの円の四分円であるため、当然ながら、該当する4つの部品1930はトレイ1922を完成させるものであることが求められる。四分円が好ましいが、モジュラー部品は、例えば1つの円の1/2、または1つの円の1/8等、様々なサイズのセンサーであってもよい。
【0262】
トレイ1922内での試薬容器の位置を特定するために、基板1926上に英数字のボトル位置ラベル1940を設けることが好ましい。好ましいラベルスキームとして、先頭文字A、E、P、またはSに末尾数字1、2、3、または4を付けたものを含む、丸付き文字・数字の対が挙げられる。文字A、E、P、およびSは、分析器50の好ましい使用のモードに対応して、それぞれ増幅試薬、酵素試薬、プローブ試薬、および選択試薬を指定するものであり、数字1〜4はトレイ1922の四分円を指定するものである。各モジュラー部品1930は、各ボトル把持キャビティ1924の底部に丸穴1934を含む。穴1934はボトル位置ラベル1940と並んでいるため、モジュラー部品1930が基板1926上の適所にある場合にはラベル1940が見える。
【0263】
容器トレイ1922のモジュラー部品1930は、250回のアッセイを実行するのに十分な試薬分量、または500回のアッセイを実行するのに十分な試薬分量に対応して、異なるサイズの試薬容器を収容するように構成される。4つの250回アッセイ用モジュラー四分円により、1000回のアッセイのための試薬冷却ベイを備蓄することができ、4つの500回アッセイ用モジュラー四分円により、2000回のアッセイのための試薬冷却ベイを備蓄することができる。250回または500回アッセイ試薬キット用のモジュラー四分円を混合し、単一のアッセイタイプを多数、または複数の異なるアッセイタイプを多数収容するための容器トレイを構成するように適合することができる。
【0264】
容器トレイ922とフロアプレート910との間に、絶縁パッド938が配置される。コネクタ936、および、分析器50の組み込みコントローラに繋がれているケーブル(図示せず)によって、動力、制御、温度、および位置信号が試薬冷却ベイ900に/から提供される。
【0265】
冷却ベイ900の側壁に形成された開口部942正面のフロアプレート910に付着された直立スキャナ取り付けプレート939に、バーコードスキャナ941が取り付けられる。バーコードスキャナ941は、容器トレイ922に運搬された試薬容器のそれぞれからバーコード情報をスキャンすることができる。
図39に示すように、ボトル把持キャビティ1924に沿って縦スロット1932が形成されており、ボトル把持キャビティ1924内に把持された試薬容器の側面に配置されたバーコード情報は、バーコードスキャナ941がバーコード情報をスキャンできるように、スロット1932と並んでいてよい。好ましいバーコードスキャナは、型番FTS‐0710‐0001として、Microscan社(カリフォルニア州、ニューバリーパーク)から市販されている。
【0266】
ハウジング904の側面に、ピペットすすぎ槽1942、1944が付着される。各すすぎ槽1942、1944は、筐体構造に、その上パネルにそれぞれ形成されたプローブ収納開口部1941、1945と、その底部にそれぞれ接続された廃液管1946、1948とを設けたものである。プローブ収納開口部1941、1945を介してピペットユニットのプローブをすすぎ槽1942、1944に挿入することができ、洗浄液および/またはすすぎ液はプローブを通して槽に入れることができる。すすぎ槽1942、1944中の流体は、それぞれの廃液管1946、1948によって、下方シャーシ1100内の適切な廃液容器に導かれる。分析器50の好ましい配置および動作モードにおいて、ピペットユニット480のプローブ481はすすぎ槽1942内ですすがれ、ピペットユニット482のプローブ483はすすぎ槽1944内ですすがれる。
【0267】
左回転攪拌器552内のMTU160の反応管162に増幅試薬およびオイルを添加した後、左側移送機構502は、左回転攪拌器552からMTU160を取り出し、左側移送機構502に到達可能な、すなわち化学デスク200の左側にある、利用可能な温度上昇ステーション700にMTU160を移動させて、MTU160およびその内容物の温度を約60℃まで上げる。
【0268】
上昇ステーション700において十分な上昇時間を置いた後、左側移送機構502はMTU160をTCインキュベータ600に移動させる。TCインキュベータ600の左側分配ドア624が開き、左側移送機構がMTUをTCインキュベータに挿入することができるように、TCインキュベータ600内のMTU回転台アセンブリ671が空のMTUステーション676を提示する。続いて、MTU160およびその内容物を、約60℃で規定のインキュベーション時間、インキュベートする。インキュベーション中、その他のMTU600がTCインキュベータ600から除去およびそこへ挿入される際、MTU回転台アセンブリ671はTCインキュベータ600内で連続的に回転してよい。
【0269】
TCインキュベータ600内において60℃でインキュベートすることにより、捕捉プローブ/対象核酸ハイブリダイゼーション複合体を、アッセイ溶液中に存在する固定化ポリヌクレオチドから解離することができる。この温度において、試薬冷却ベイ900から導入された増幅オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー、プロモータープライマー、またはプロモーターオリゴヌクレオチド)は、対象核酸とハイブリダイズし、その後の標的ヌクレオチド塩基配列の増幅を容易にすることができる。
【0270】
インキュベーションに続いて、TCインキュベータ600内のMTU回転台アセンブリ671は、MTU160を左側分配ドア624まで回転させ、左側分配ドア624が開き、左側移送機構502がTCインキュベータ600のMTU回転台アセンブリ671からMTU160を取り出す。続いて、左側移送機構502は、左側移送機構502に到達可能な、利用可能な温度低下ステーション700までMTU160を移動させ、そこへMTU160を挿入する。低下ステーションにおいて、MTU160およびその内容物の温度を約40℃まで下げる。続いて、左側移送機構502によって低下ステーションからMTU160を取り出し、ATインキュベータ602に移動させる。ATインキュベータ602の左側分配ドア624が開き、左側移送機構502がMTUをATインキュベータ602に挿入することができるように、ATインキュベータ602内のMTU回転台アセンブリ671が空のMTUステーション676を提示する。ATインキュベータ602内において、MTUの温度を安定させるのに必要な時間、約41℃でMTUをインキュベートする。
【0271】
MTUは、移送機構502によって、ATインキュベータ602から、MTUの温度が41.5℃で安定するAMPインキュベータ604に移動される。AMPインキュベータ604内のMTU回転台アセンブリ671は、カバー611内に形成されたピペット開口部662の下のピペットステーションにMTUを置くように回転する(例えば、
図19参照)。試薬冷却ベイ900内の容器トレイ922は、酵素試薬容器をピペット開口部908の下に置くように回転し、ピペットアセンブリ470のピペットユニット482は、酵素合成に必要な1つ以上のポリメラーゼを含有する酵素試薬を、試薬冷却ベイ900からMTU160の反応管162のそれぞれに移す。
【0272】
上述したように、ピペットユニット480、482は、容量レベル検知を使用して容器内の液面を確認し、ピペットユニット480、482のプローブ481、483の端部のごく一部を容器のピペット溶液に浸す。ピペットユニット480、482は、プローブの端部を一定の深さに浸された状態に保つために、流体が各プローブ481、483に吸い込まれるのに伴って降下するのが好ましい。ピペットユニット480または482に試薬をピペットで添加した後、ピペットユニットは、プローブの端部から滴が確実に落ちないようにするために、各プローブ481または483の端部に10μlの最小移動空隙を作成する。
【0273】
各反応管162に酵素試薬が添加された後、AMPインキュベータ604のMTU回転台アセンブリ671は、AMPインキュベータ604内の傾斜ディスク線形攪拌器634までMTU160を回転させ、添加された酵素試薬に対する対象核酸の曝露を容易にするために、MTU160とその内容物を上述のように約10Hzで混合する。ピペットユニット482をすすぎ槽1942に移動させ、それに蒸留水を通すことによってプローブ483をすすぐ。
【0274】
続いて、MTU160を、約41.5℃で規定のインキュベーション時間、AMPインキュベータ604内でインキュベートする。インキュベーション時間は、反応管162内に存在し得る1つ以上の対象核酸に含有される、少なくとも1つの標的ヌクレオチド塩基配列の十分な増幅を可能にするほど十分長くなくてはならない。好ましい実施形態は、TMA手順に続いて増幅を容易にするように考案されているが、実務家であれば、分析器50を使用するその他の増幅手順を実行するために必要なそれらの修正形態を十分に理解するであろう。また、好ましくは、増幅条件および試薬が増幅に適切であったことを確認するために、アッセイ開始時において内部対照配列を添加する。内部対照は当該技術分野において既知であり、本明細書においてさらに考察を行う必要はない。例えば、Wangら、米国特許第5,476,774号「Quantitation of Nucleic
Acids Using the Polymerase Chain Reaction」を参照されたい。
【0275】
増幅インキュベーションに続いて、左側移送機構502によって、AMPインキュベータ604から、左側移送機構502に到達可能な利用可能な上昇ステーション700にMTU160を移動させ、MTU160およびその内容物の温度を約60℃にする。続いて、左側移送機構502によってMTU160をHYBインキュベータ606に移動させる。MTU160をHYBインキュベータ606内のピペットステーションまで回転させ、ピペットユニット480により、HYBインキュベータ606のカバー内にある開口部662を介して、試薬冷却ベイ900からプローブ試薬を各反応管162にピペットで添加する。好ましい実施形態において、プローブ試薬は、化学発光検出プローブ、および、好ましくは、ハイブリダイゼーション保護アッセイ(Hybridization Protection Assay;HPA)において検出され得るアクリジニウムエステル(Acridinium ester;AE)ラベルプローブを含む。アクリジニウムエステルラベルプローブおよびHPA法は、当該技術分野においては既知である。例えば、Arnoldら、米国特許第5,639,604号、第4,950,613号、第5,185,439号、および第5,585,481号、ならびに、Campbellら、米国特許第4,946,958号を参照されたい。AEラベルプローブおよびHPAが好ましいが、分析器50を、様々な検出方法および関連するプローブに適応するように適合してもよく、当該プローブは標識されていてもよいし、標識されていなくてもよい。検出プローブが反応管162に添加されたことの確認は、HPA条件下において、HYBインキュベータ606内の反応管162内に現存している標的配列またはその補体に結合する検出プローブ以外の、プローブ試薬中のプローブとハイブリダイズすることが可能な内部対照(または、ハイブリダイズすることが可能な内部対照の補体)を使用して実現することができる。このプローブのラベルは、検出プローブのラベルと識別可能なものでなくてはならない。例えば、Nelsonら、米国特許第5,827,656号「Compositions and Methods for the Simultaneous Detection and Quantitation of Multiple Specific Nucleic Acid Sequences」を参照されたい。
【0276】
MTU160の反応管162のそれぞれにプローブ試薬を分注した後、ピペットユニット480をピペットすすぎ槽1944へ移動させ、当該ピペットユニットのプローブ481を蒸留水ですすぐ。
【0277】
MTU回転台アセンブリ671は、MTU160を傾斜ディスク線形攪拌器634まで回転させ、添加された検出プローブに対する、標的配列またはその補体を含有する増幅産物の曝露を容易にするために、MTU160とその内容物を上述したように約14Hzで混合する。続いて、標的配列またはその補体に対する検出プローブのハイブリダイゼーションを可能にするほど十分な時間、MTU160をインキュベートする。
【0278】
ハイブリダイゼーションインキュベーションの後、MTU回転台アセンブリ671によって、HYBインキュベータ606内のMTU160をピペット開口部662の下のピペット位置まで再度回転させる。試薬冷却ベイ900内の容器に格納された選択試薬を、ピペットユニット480によって各反応管162にピペットで添加する。選択試薬は、HPAアッセイで使用され、特に、その化学発光の能力を破壊または阻害する、ハイブリダイズされていないプローブと関連付けられたアクリジニウムエステルラベルを加水分解するアルカリ試薬を含み、一方、標的配列またはその補体を含有する増幅産物とハイブリダイズされたプローブと関連付けられたアクリジニウムエステルラベルは、加水分解されず、適切な検出条件下において、検出可能な様式で化学発光することができる。
【0279】
MTU160の各反応管162への選択試薬の添加に続き、ピペットすすぎ槽1944においてピペットユニット480のピペットプローブ481を蒸留水ですすぐ。HYBインキュベータ606内のMTU回転台アセンブリ671によって、MTU160を傾斜ディスク線形攪拌器634まで回転させ、添加された選択試薬に対する増幅産物の曝露を容易にするため、上述したように約13Hzで混合する。続いて、選択プロセスを完了するのに十分な時間、HYBインキュベータ606内においてMTUをインキュベートする。
【0280】
選択インキュベーションが完了した後、左側移送機構502は、MTU160を冷却するために、左側移送機構502に到達可能な、利用可能な低下ステーション700へMTU160を移す。MTU160を冷却した後、左側移送機構502によって低下ステーションから取り出し、MTU160の温度を40℃で安定させるために、移送機構502によってATインキュベータ602内へ移動させる。
【0281】
MTU160の温度を安定させるのに十分な時間が経過すると、ATインキュベータ602内のMTU回転台アセンブリ671が回転し、ATインキュベータ602の右側分配ドアにおいてMTU160を提示する。右側分配ドア622が開き、右側移送機構500によってATインキュベータ602からMTU160を取り出す。
【0282】
右側移送機構500は、MTU160のラベル貼付構造174のラベル貼付表面175に掲示されたMTUバーコード情報をスキャンするバーコードスキャナー(図示せず)へMTUを移動させる。バーコードスキャナは、好ましくは、照度計950のハウジングの外壁に付着されている。好ましいバーコードスキャナは、品番LHA1127RR1S‐032として、Opticon,Inc.(ニューヨーク州、オレンジバーグ)から市販されている。スキャナは、正確なアッセイ時間における正確なMTUを制限することによって、照度計950に入る前にアッセイの総時間を検証する。右側移送機構500は、バーコードリーダーから照度計950へMTU160を移動させる。
【0283】
好ましい動作モードにおいては、右側移送機構500がMTU160を照度計950へ移動させる前に、MTU160の温度を24±3℃まで下げるために、右側移送機構500によってMTU160は利用可能なMTU低下ステーション、つまり冷蔵室に入れられる。MTU内容物は、この低温において、より一貫した化学発光「光の放出」を示すことが判明している。
【0284】
(照度計)
図40〜42Cを参照すると、照度計950の第1の実施形態は、ハウジング950内に電子ユニット(図示せず)を含む。電子ユニットに繋がれた光電子増倍管(PhotoMultiplier Tube;PMT)956は、PMTプレート955を通ってハウジング954内に延び、PMT956の正面端部は開口953と並んでいる。好ましいPMTは、型番HC135としてHamamatsu Corp.(ニュージャージー州、ブリッジウォーター)から市販されている。好ましいPMTを使用した信号測定は、既知の光子計数システムに基づくものである。
【0285】
開口953は、PMTプレート955の正面の開口箱958の中心にある。開口953および開口箱958は、フロアプレート964、上プレート966、PMTプレート955、ならびに裏面フレーム965および裏面プレート967によって画定されるハウジングによって完全に密閉されており、当該ハウジングは、開口953に迷光が入るのを防止し、基準プレート82に付着されている。MTU移送経路は、開口953の正面にあるハウジングを通り、当該開口の光軸に対して略横方向に延びる。MTU160は、MTU移送経路を介して照度計950を通過する。裏面レール991および正面レール995は、MTU移送経路の反対側に配置され、照度計950内に配置されたMTU160の接続リブ構造164を支持する平行水平フランジを提供する。旋回ドア960は、MTU移送経路の反対端に配置された関連するドアハウジング961内における回転を支持されており、ステッピングモーターまたはDCギヤモーターを含み得るドアモーター962によって回動される。
【0286】
ドアハウジング961は、MTU160がそれを通って照度計950に出入りする開口部を提供する。MTU160は、ドアハウジング961の1つを介してMTU160を挿入する右側移送機構500を用いて、照度計950に入る。MTU160は、その様々な実施形態について以下で説明するが、MTU移送経路を介してMTUを移動させ、最終的にはその他のドアハウジング961を介して照度計から出すMTU移送アセンブリの影響を受けて、照度計を出る。
【0287】
旋回ドア960は略円筒形であり、切り欠き部分963を含む。各旋回ドア960は、MTU160が開口部を通過できるように切り欠き部分963が概して関連付けられたドアハウジング961の開口部と並んでいる開位置と、MTU160も光も開口部を通過することができないように切り欠き部分963の反対側の旋回ドアの側面が関連付けられたドアハウジング961の開口部を越えて延びている閉位置との間で回転し得る。MTU160が照度計950に出入りしているとき以外、旋回ドア960は、照度計に迷光が入るのを防止するためにそれぞれの閉位置にあるのが好ましい。試験結果はPMT956によって検出された光の量によって確認されるため、サンプリングされている容器160以外のソースからの迷光により、誤った結果が出る場合がある。
【0288】
図40〜42Cに示すように、MTU移送アセンブリは、タイミングベルト(図示せず)またはかさ歯車(図示せず)によって親ねじ974を駆動するMTU前進モーター972を含んでよい。親ねじ974に係合されたねじ継ぎ976は、親ねじ974から離れて延びるMTUブラケット977に連結されてMTU160を係合する。MTUブラケット977は、その中に細長くわずかに弓状のガイド穴979が形成されたガイドフランジ978を有する。ガイド棒980は、親ねじ974に対して隣接し、且つ平行な照度計950を通って延びる。ガイド棒980は、ガイド穴979を通って延びる。
【0289】
MTUブラケット977を(
図42Cの下から上へ)前進させるためには、
図42Bに示すように、親ねじ974を反時計回りに回動させる。システムの摩擦により、ねじ継ぎ976およびMTUブラケット977も、ガイド棒980がガイド穴979の左側に接触するまで、親ねじ974とともに反時計回りに回動することになる。ガイド棒980がガイド穴979の側面に接触すると、MTUブラケット977およびねじ継ぎ976はそれ以上親ねじ974とともに回転することができず、親ねじ974がさらに回転すると、MTUブラケット977およびねじ継ぎ976は親ねじ974に沿って前進することになる。MTUブラケット977から延びるアーム981も、MTU160を係合し、照度計950を介して前進させるために、親ねじ974が回転するとともに、限られた弧の上を反時計回りに回転することになる。
【0290】
MTU160がPMT956を通過した後、当該MTUは照度計950から押し出され、照度計950を介して次のMTUを引き寄せることができる。MTUブラケット977は、親ねじ974の時計回り回転により、MTU移送経路のMTU入り口端に向かって移動する。システムの摩擦により、ねじ継ぎ976およびMTUブラケット977はガイド棒980がガイド開口部979の右側に接触するまで計回りに回転し、その後、親ねじ974の回転を継続することにより、ねじ継ぎ976およびMTUブラケット977は親ねじ974に沿って後退することになる。このMTUブラケット977の時計回りの移動によって、アーム981は限られた弧の上を時計回りに回動してMTUから撤退することになり、したがって、MTUブラケット977はMTUに接触せずに後退することができる。すなわち、MTUブラケット977が後退する際に、アーム981がMTUの先端を通過することになる。
【0291】
図41に示すように、ブラインダーアクチュエータ993によって駆動されるブラインダー982は、開口953と一直線上で上下垂直に移動する。ブラインダー982は、開口箱958に対して摺動移動するために取り付けられ、その中に形成された略長方形の開口部(図示せず)を含み、当該開口部は開口953と並んでいる場合がある、正面パネル983を含む。正面パネル983の先端部は、パネル983内に形成された開口部が開口953と並んでいない場合に開口953をブロックし、したがって開口953用のシャッターとして動作するものである。ブラインダー982は、開口部の反対側に対して平行に配置され、正面パネル983に対して略垂直な2つの側壁987と、正面壁983と反対側の側壁987の後端部に及び、正面壁983に対して略平行な後壁988とを含む。側壁987および後壁988は、ブラインダー982がブラインダーアクチュエータ993によってMTU160の反応管162の1つの下まで上がってきた際に、MTU160の1つの反応管162を収容するサイズの、部分的に長方形の筐体を画定する。ブラインダーアクチュエータ993は、ステッピングモーター992と親ねじ994とを含むリニアステッピングアクチュエータであってよい。Haydon Switch and Instrument,Inc.(コネチカット州、ウォーターベリー)から市販されているHISリニアステッピングアクチュエータを使用した。
【0292】
右側移送機構500によってMTU160が照度計950に入れられた後、モーター972は、開口953と一直線上にMTUの第1の反応管を引くためのエネルギーを与えられる。ブラインダー982は、通常、MTU移送経路の外に保管されており、ブラインダー982の側壁987および後壁988が反応管162を包囲し、ブラインダー982の正面パネル983に形成された開口部が開口953と並ぶまで、ブラインダーアクチュエータ993によって持ち上げられる。ブラインダー982は、開口953の正面にある反応管162以外のソースからの光が開口953に達するのを実質的に防止するため、PMT956は、開口953のすぐ正面にある反応管からの光放出のみを検出する。
【0293】
PMTシャッターが開くと、続いて下方シャーシ1100の容器1146、1170から取り出された異なる検出試薬(DetectIおよびDetectII)が、照度計950の先端にある試薬ポート984へと延びる専用滴下線(図示せず)を介して、配置された反応管162に滴下される。DetectIおよびDetectII試薬は、それぞれ過酸化水素含有試薬および水酸化ナトリウム含有試薬であり、組み合わせることにより、加水分解されていないアクリジニウムエステルラベルの化学発光を増強する、塩基性過酸化水素水を形成する。塩基性過酸化水素は不安定であるため、DetectIおよびDetectII試薬は、照度計950において検出を行う直前に、反応管162内で組み合わせるのが好ましい。
【0294】
DetectIIの添加後、PMT956を使用して反応管162の内容物から放出された光が検出され、続いてPMTシャッターが閉じる。PMT956は、化学発光ラベルによって放出された光を電気信号に変換し、当該電気信号は、電子ユニットによって処理された後、コントローラ1000、または、ケーブル(図示せず)を介してコネクタ986に繋がれたその他の周辺機器に送られる。
【0295】
必要とされる感度が低い場合は、光電子増倍管の代わりに光センサーを使用することが可能となり得る。照度計950に使用できる、許容可能な光センサーの例として、ダイオードがある。MTU160の材料が、半透明よりも比較的透明な外観の、好ましいポリプロピレン材料である場合には、光センサーも適切となり得る。MTU160の材料を選択する際、いずれも擬陽性や定量化測定の妨げとなる可能性を高くし得る、自然発光する材料または静電気を蓄積する性質を持つ材料を回避するように注意を払うべきである。
【0296】
上述したプロセスを、MTU160の各反応管162について繰り返す。MTU160の各反応管162からの化学発光信号を測定した後、モーター972が前進し、出口ドア961を通って照度計950を出てアンプリコン失活ステーション750内へとMTU160を移動させる。
【0297】
現時点で好ましい代替の照度計は、概して、
図43中において参照番号1360によって指定されるものである。照度計1360は、底壁1370を有するハウジング1372と、ハウジング1372の端部分を画定する底壁1370の反対側のドアアセンブリ1200と、ハウジング1370の正面壁を画定する光センサーシャッターアセンブリ1250と、ハウジング1370を完成させ、その中に筐体を画定する上壁(図示せず)および後壁(図示せず)とを含む。右側ドアアセンブリ1200は容器入り口開口部1374を画定し、左側ドアアセンブリ1200は、MTU160がそこを通ってハウジング1370に出入りできる容器出口開口部1376を画定する。各ドアアセンブリ1200は、それぞれの開口部1374または1376を経由するアクセスを制御し、端壁1202、カバープレート1232、および、端壁1202とカバープレート1232との間に回転可能に配置された回転ドア1220を備える。光センサー開口シャッターアセンブリ1250は、光センサー(
図43には示さず)、例えば光電子増倍管に入ってくる光を制御する。照度計1360は、光受信器取り付け壁1250と、その中に形成された開口1292を有するカバープレート1290とを有する。
【0298】
照度計1360に入る前にMTUをスキャンするために、ハウジング1372の正面部分にバーコードスキャナ1368を付着させる。
【0299】
容器移送アセンブリ1332は、照度計1360を介して、入り口開口部1374から出口開口部1376へ容器(例えば、MTU160)を移動させる。アセンブリ1332は、ベルト(図示せず)により親ねじ1340と連結されたモーター1336によって回転されるねじ山付き親ねじ1340に移動可能なように運搬される移送1342を含む。
【0300】
分注ノズル1362は、上壁(図示せず)内に付着され、コンジット管1364および1366によって、ポンプおよび最終的には下方シャーシ1100内のボトル1146および1170と接続されている。ノズル1362は、「DetectI」および「DetectII」試薬をハウジング1372内のMTU160の反応容器162に分注する。
【0301】
反応管ポジショナアセンブリ1300は、ハウジング1372内に配置され、MTU160の各反応管162を開口1292の正面に保持し、保持された各反応管を任意で隣接する反応管から単離するように構成および配置されるため、1回につき1つの反応管からの光だけが開口1292に入る。ポジショナアセンブリ1300は、ハウジング1372のフロア1370に固定されたポジショナフレーム1302内に回転可能なように取り付けられた容器ポジショナ1304を備える。
【0302】
照度計1360のMTU入り口開口部1374および出口開口部1376用のドアアセンブリ1200を、
図44に示す。ドアアセンブリ1200は、照度計ハウジング1372の端壁を形成する照度計端壁1202を含む。端壁1202は、第1の陥凹エリア1206を含み、当該第1の陥凹エリア1206上には第2の円形陥凹エリア1208が重ねられている。円形陥凹エリア1208の周辺部の周囲には、円形溝1207が延びている。円形陥凹エリア1208内には、その中心の片側に向かってMTU160の縦方向プロファイルと略一致する形状を有するスロット1204が形成される。円形陥凹エリア1208の中心からは、短い中柱1209が延びている。
【0303】
回転ドア1220は円形形状をしており、回転ドア1220の周辺部の周囲に延びる軸壁1222を含む。軸壁1222は、回転ドア1220の外周辺縁部から短い半径距離に配置されており、したがって、軸壁1222の外側の最外周辺縁部の周囲に環状段部1230を画定する。回転ドア1220の中心を外れた位置には、MTU160の縦方向プロファイルと略一致する形状を有するスロット1226が形成される。
【0304】
回転ドア1220は、端壁1202の円形陥凹エリア1208内に設置される。中心開口1224は端壁1202の中柱1209を受け、円形溝1207は軸壁1222を受ける。環状段部1260は、円形陥凹エリア1208を包囲する陥凹エリア1206の平らな表面上にある。
【0305】
端壁1202は、モーター1213の駆動シャフトに付着された駆動ギヤ1212をその中に収納する駆動ギヤ陥凹1210を含む(右側ドアアセンブリ1200用のモーター1213のみを示した
図43を参照)。モーター1213は、好ましくはDCギヤモーターである。好ましいDCギヤモーターは、型番1524TO24SR16/7 66:1としてMicro Mo Electronics,Inc.(フロリダ州、クリアウォーター)から市販されている。回転ドア1220の軸壁1222の外周は、シャッターが円形陥凹1208内に設置されている場合に駆動ギヤ1212と噛み合う、その上に形成されたギヤ歯を有する。
【0306】
カバープレート1232は略長方形形状をしており、端壁1202の陥凹エリア1206と略一致するサイズおよび形状を有する隆起エリア1234を含む。カバープレート1232は、MTUの縦方向プロファイルと略一致する形状を有する開口部1236をその中に形成しており、カバープレート1232が端壁1202に設置されている場合、長方形の隆起エリア1234は長方形の陥凹エリア1206内に収納され、開口部1236は概して開口部1204と一直線上にある。このように、回転ドア1220は、カバープレート1232と端壁1202との間に挟まれており、開口部1236および1204は、ともに入り口開口部1374および出口開口部1376を画定している。
【0307】
モーター1213によって駆動ギヤ1212が回転されると、駆動ギヤ1212と噛み合わさっている回転ドア1220は、中柱1209の周囲を回転させられる。開口部1226が開口部1204および1236と並んでいる場合、MTU160は、ドアアセンブリ1200の開口部1374(1376)を通過することができる。円形陥凹エリア1208内に配置された回転ドア1220と、端壁1202の陥凹エリア1206内に配置されたカバープレート1232の隆起エリア1234とによって、実質的に光を漏らさない構造が実現され、その結果、開口部1226が開口部1204および1236と並んでいない場合、ドアを介して入ってくる光は、ごく少量である、または無い。
【0308】
円形陥凹エリア1208の外縁において正反対の位置に配置されたスロット1214および1216内には、スロット付き光センサーが配置される。好ましいセンサーは、型番OPB857として、Optek Technology,Inc.(テキサス州、カロルトン)から市販されている。スロット1214および1216内に配置されたスロット付きセンサーは、軸壁1222内に形成されたノッチ1228の存在を検出し、ドア開状態およびドア閉状態を信号で伝える。
【0309】
光センサー開口シャッターアセンブリ1250を
図45に示す。光電子増倍管956等の光受信器が、光受信器取り付け壁1252に形成された光受信器開口部1254と連結される。光受信器取り付け壁1252は、略長方形の段部1257を画定する、略長方形の二層構造の隆起エリア1256を含み、長方形の隆起エリア1256の上には円形陥凹エリア1258が重ねられている。円形陥凹エリア1258の周辺部の周囲には、円形溝1261が延びている。円形陥凹エリア1258の中心には、中柱1259が保持される。円形陥凹エリア1258内には、光受信器開口部1254が形成される。図示の実施形態では、中柱1259の下に光受信器開口部1254が配置されているが、光受信器開口部1254は円形陥凹エリア1258内のいずれの位置に保持されていてもよい。
【0310】
開口シャッターアセンブリ1250は、その外周辺に形成されたギヤ歯を持つ軸壁1274を有する回転シャッター1270を含む。軸壁1274は、シャッター1270の外周辺上ではなくその付近に形成され、それによって環状段部1276を画定する。回転シャッター1270は、回転シャッター1270に形成された中心開口1272内に収納された中柱1259および円形溝1261内に収納された軸壁1274とともに、円形陥凹エリア1528内に設置される。ギヤ陥凹1260内に配置され、駆動モーター1263と連結された駆動ギヤ1262は、回転シャッター1270の軸壁1274に形成された外側ギヤ歯と噛み合って、中柱1259周囲で回転シャッター1270を回転させる。好ましい駆動モーター1263は、型番1524TO24SR16/7 66:1としてMicro Mo Electronics,Inc.(フロリダ州、クリアウォーター)から市販されている、DCギヤモーターである。Micro Mo製ギヤモーターは、高品質、低反発のモーターを提供するという理由から、好ましい。回転シャッター1270には開口部1280が形成され、当該開口部は、回転シャッター1270が回転される際に、光受信器開口部1254と一直線上に、および一直線上から外れて移動可能である。
【0311】
円形陥凹エリア1258内に設置されたシャッター1270により、カバープレートまたはセンサー開口壁1290がセンサー取り付け部1252に設置される。
図45Aに示すように、センサー開口壁1290は、略長方形の段部1297を画定し、センサー取り付け部1252の長方形の隆起エリア1256を中に収納するためのサイズおよび形状をした、略長方形の二層構造の陥凹エリア1296を含む。センサー開口1292は、開口壁1290によって形成され、概してセンサー取り付け部1252内に形成された光受信器開口部1254と並んでいる。センサー開口1292は、概して、MTU160の個々の反応管162の幅に略対応する幅と、目的とする視野エリアの高さに対応する高さとを有する、細長い楕円形形状である。図示の実施形態においては、シャッター1270の開口部1280は円形であるとして示されているが、開口部1280は、反応管162の幅に対応する幅を持つ長方形、またはセンサー開口1292と同様の細長い楕円形等、その他の形状を有してもよい。開口部1280が光受信器開口部1254およびセンサー開口1292と並んでいる位置に回転シャッター1270が回転することにより、光がPMT956に達するのを可能にし、開口部1280が光受信器開口部1254およびセンサー開口1292と並んでいない位置に回転シャッター1270が回転することにより、光がPMT956に達するのを防止する。
【0312】
スロット1264および1266内にはスロット付き光センサーが配置され、シャッター1270の軸壁1274内に形成されたノッチ1278を検出して、シャッター1270の開位置および閉位置を検出する。好ましいスロット付き光センサーは、型番OPB857として、Optek Technology,Inc.(テキサス州、カロルトン)から市販されている。
【0313】
開口壁1290は、その幅に沿って延びる上向き段部1294を含む。MTU160の接続リブ構造164(
図58参照)によって画定される、MTU160の下向き段部は、MTU160が照度計を通って摺動する際、段部1294によって支持される。
【0314】
反応管ポジショナアセンブリ1300を
図46および48〜49に示す。反応管ポジショナ1304は、反応管ポジショナフレーム1302内に動作可能なように配置されている。反応管ポジショナ1304は、シャフト1308の周囲で回転するように、反応管ポジショナフレーム1302内に取り付けられる。シャフト1308は、
図46に示す退避位置と
図48に示す完全に延長した位置との間で反応管ポジショナ1304を選択的に回転させるために、回転ソレノイド、または、より好ましくはギヤモーター1306と動作可能なように連結される。好ましいギヤモーター駆動は、型番1724T024S+16/7 134:1+X0520として、Micro Mo Electronics,Inc.(フロリダ州、クリアウォーター)から市販されている。
【0315】
図47に示すように、反応管ポジショナ1304は、2つの平行壁1312を画定するVブロック構造1310を含む。反応管ポジショナ1304は、その下方端部に、反応管ポジショナ1304の厚さの一部が除去されたエリアをさらに含み、それによって比較的薄い弓状フランジ1314を画定する。
【0316】
MTU160が照度計1360に挿入された際、反応管ポジショナ1304は
図46に示す退避位置にある。反応管162の内容物の化学発光のセンサー読み取りが行われるように、個々の反応管162がセンサー開口1292の正面に配置されている場合(
図45A参照)、反応管ポジショナ1304は、
図49に示す係合位置まで前方向に回転する。
図49に示す係合位置において、Vブロック1310は反応管162を係合し、それにより、照度計の光受信器開口1292と一直線上の適切な位置に反応管を把持する。
図45に示すように、開口壁1290は、壁1290の裏面から照度計のMTU通路へ延びる突起1298を含む。突起1298は、反応管ポジショナ1304が反応管162を係合すると、反応管が横方向に押されてハードストップとしての突起1298に衝突するように開口1292と並んでいるため、反応管ポジショナ1304がMTU通路内の反応管162を大きく傾けるのを防止する。Vブロック1310の平行な側壁1312は、開口1292のすぐ正面に配置された反応管162の読み取りが行われている間、MTU160の隣接する反応管162からの迷光が光受信器に達するのを防止する。
【0317】
スロット付き光センサー1318は、センサー1318に対して動作可能なように保持された弓状フランジ1314とともに、フレーム1302の下方部に取り付けられる。好ましいスロット付き光センサーは、型番OPB930W51としてOptek Technology,Inc.(テキサス州、カロルトン)から市販されている。フランジ1314には、開口部1316が形成される。反応管ポジショナ1304が反応管162を係合し、反応管162と突起1298が反応管ポジショナ1304のさらなる回転を防止している場合、開口部1316はセンサー1318と適切に並んでいる。反応管162が反応管ポジショナ1304の正面に適切に保持されていない場合、反応管ポジショナ1304は
図48に示す位置まで前方向に回転し、その場合、開口部1316はセンサー1318と並ばず、誤り信号が生成されることになる。
【0318】
反応管ポジショナ1304を回転させるためのギヤモーター1306を用いる場合、
図46に示すように、反応管ポジショナ1304が完全に退避している際にギヤモーターを止めるために、ポジショナ退避、すなわち「ホーム」信号を生成するための、第2のセンサー(図示せず)を設けることが必要である。好ましいセンサーは、型番OPB900WとしてOptek Technology,Inc.(テキサス州、カロルトン)から市販されている。
【0319】
MTU移送アセンブリ1332を
図50に示す。MTU移送アセンブリ1332は、照度計1360の中間壁1330(
図43には示さず)の上端部に隣接して動作可能なように保持される。中間壁1330は、照度計ハウジング1372を介してMTU移送経路の片側を画定するものであり、長方形開口部1334を含む。反応管ポジショナフレーム1302(例えば、
図48参照)は開口部1334近傍の中間壁1330に取り付けられ、反応管ポジショナ1304は開口部1334を介してMTU160と係合するまで回転する。
【0320】
MTU移送1342は、ねじ山付き親ねじ1340に運搬され、親ねじ1340のねじ山と噛み合うねじ山を有するねじ継ぎ1344と、ねじ継ぎ1344と一体的に形成されたMTUヨーク1346とを含む。
図51に示すように、MTUヨーク1346は、縦方向に延びる部分1356と、横方向に延びる2つのアーム1348および1350とを含み、アーム1350からは縦方向の伸張1352が延びている。ステッピングモーター1336により、駆動ベルト1338を介して親ねじ1340が駆動される。好ましいステッピングモーターは、Oriental Motors Ltd.(日本、東京)から市販されている、型番PK266‐01AのVEXTAステッピングモーターであり、好ましい駆動ベルトは、SDP/SI(ニューヨーク州、ニューハイドパーク)から市販されている。
【0321】
右側移送機構500によってMTU160が照度計950のMTU移送経路に挿入されると、MTU160の第1の反応管162が好ましくはセンサー開口1292のすぐ正面に配置され、したがって第1の読み取りのために適切に保持される。横方向アーム1348と1350との間のヨーク1346の幅は、単一のMTU160の長さに対応している。移送1342は、親ねじ1340の回転により、
図50のファントム内に示す第1の位置と、第2の位置との間で移動する。スロット付き光センサー1341および1343はそれぞれ、移送1342が第1の位置にあるか第2の位置にあるかを示す。親ねじ1340とねじ継ぎ1344との間の摩擦により、MTU移送1342は親ねじ1340とともに回転する傾向を有することになる。しかしながら、親ねじ1340に伴うMTU移送1342の回転は、ヨーク1346の下方部の、中間壁1330の先端との係合、および、アッパーストップ1354の、照度計ハウジング1372の上カバー(図示せず)との係合によって、12度までに制限されているのが好ましい。
【0322】
照度計1360に挿入されたMTUを係合するために、親ねじ1340は第1の方向に回転し、ねじ継ぎ1344と親ねじ1340とのねじ山内の摩擦によって、移送1342は、アッパーストップ1354が照度計1360の上カバー(図示せず)に衝突するまで、親ねじ1340とともに上方に回転する。そのとき、親ねじ1340の回転を継続すると、移送1342は、
図50のファントムに示す位置まで後方へ移動する。横方向アーム1348、1350は、移送1342が後方に移動する際に、MTUの先端を通り過ぎる。親ねじ1340を逆回転させると、まず移送1342が、ヨーク1346の底部が壁1330の上端部に衝突するまで親ねじ1340とともに下方へ回転し、ここで、ヨーク1346の横方向アーム1348および1350は、照度計1360内に配置されたMTU160を跨ぐ。
【0323】
続いて、MTU移送機構1332を使用してMTU160をさらに前方へ移動させ、光センサー開口1292の正面にあるMTU160の個々の反応管162のそれぞれを保持する。照度計内の光受信器によって最後の反応管162を測定した後、移送1342は出口ドアに隣接する位置までMTU160を移動させ、ここで親ねじ1340は方向を逆にし、それによって、上述したように、MTU160の後ろにある初期位置まで移送1342を退避させる。親ねじ1340の回転を再度逆にして、上述したように移送1342を前進させる。出口ドアアセンブリ1200が開き、ヨーク1346の縦方向の伸張1352がMTU160のMTU操作構造166を係合してMTU160を照度計出口ドアから押し出し、失活準備室750に入れる。
【0324】
(失活ステーション)
アンプリコン失活ステーション750において、専用滴下線(図示せず)により、緩衝化漂白剤等の失活溶液をMTU160の反応管162に添加し、MTU160の残留流体中の核酸を失活させる。核酸失活溶液の例は、例えば、Dattaguptaら、米国特許第5,612,200号、および、Nelsonら、米国特許出願第2005‐0202491 A1号公報に開示されている。反応管の流体内容物は、専用吸引線に接続された管状部材(図示せず)によって吸引され、下方シャーシ1100内の専用液状廃棄物容器に収集される。管状部材は、好ましくは、4.7インチの長さと、0.041インチの内径とを有する。
【0325】
MTUシャトル(図示せず)は、後続のMTU160をそれぞれ照度計950から失活ステーション750へ送出することにより、MTU160をさらに(
図3の右へ)移動させる。照度計950によってMTUが失活ステーション750へ送出される前に、MTUシャトルは、戦略的に保持された光スロットスイッチによって検知されるように、ホームポジションへ退避しなくてはならない。照度計からMTU160を受けた後、当該シャトルは、専用注入器に接続された専用滴下線が、MTU160の各反応管162に失活溶液を分注する失活ステーションへMTU160を移動させる。失活準備室内に前回のMTUがあれば、MTUシャトルによって移動した距離だけ前方へ押す。失活ステーションのセンサーは、MTUおよびMTUシャトル両方の存在を検証し、それにより、実在しないMTUへの失活液注入または同じMTUへの二重注入の発生を防止する。
【0326】
吸引ステーション(図示せず)は機械的に連結された5つの吸引管を含み、それらは、吸引管ラック上で垂直移動するために取り付けられ、吸引管を持ち上げたり下ろしたりするためにアクチュエータと連結されている。吸引ステーションは、MTUが基準プレート82中の穴を通して下がり、廃棄物入れ1108に入る前の、失活準備室沿いの最後の位置にある。吸引ステーション内にMTUが存在してもしなくても、MTUが失活ステーション内へ移動するたびに、吸引管は上下に一度循環する。MTUが存在する場合、吸引管はMTUから流体内容物を吸引する。MTUシャトルによって次のMTUが失活ステーション内に移動すると、その前に吸引されたMTUが失活準備室の端部から押し出され、廃棄物入れ1108内へ落下する。
【0327】
分析器50は、8時間で約500回の好ましいアッセイ、または、12時間で約1,000回の好ましいアッセイを実行することができるのが理想的である。一度分析器50を準備し初期設定すると、通常、操作者の支援または介入が必要となることは無い、または稀である。分析器は、異なるMTUが同一に扱われることも扱われないこともあり得る複数のアッセイタイプを同時に実行することができるが、あるアッセイでは、各サンプルは同一に扱われる。結果として、手動ピペット操作、インキュベーション時間調節、温度制御、および、複数のアッセイを手動で実行することに関連するその他の制限が回避され、それによって、信頼性、効率性、およびスループットが増大する。また、操作者のサンプルへの曝露は一般にサンプルの投入に制限されるため、考えられる感染のリスクは大幅に削減される。
【0328】
(リアルタイム増幅アッセイ)
リアルタイム増幅アッセイを使用して、例えば、病原体またはウイルス由来のサンプル内における対象核酸の存在および量を決定することができる。サンプル内の対象核酸の分量を決定することにより、実務家はサンプル内の有機体またはウイルスの量または投入量を概算することができる。一用途において、リアルタイム増幅アッセイは、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus;HCV)およびヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus;HIV)等、血液感染性の病原体のための輸血を目的とする血液もしくは血液製剤を選別するため、または、病原体もしくはウイルスに感染した患者における治療法の効能を監視するために使用してよい。リアルタイム増幅アッセイは、遺伝子発現判定だけでなく、診断目的のために使用してもよい。上述した本発明の好ましい用途において、所望の有機体またはウイルスの存在は、特定の使用条件下で、当該所望の有機体またはウイルス由来の対象核酸配列の(すなわち、有機体もしくはウイルスから得られた対象核酸、またはその増幅産物内に含有される)サンプル中における特異性を示すプローブを使用して決定される。特異性を示すために、プローブは、選択的アッセイ条件下において、プローブが、サンプル内に存在し得るいずれの非対象核酸でもなく標的配列またはその補体と検出可能なようにハイブリダイズするよう、標的またはその補体に対して実質的に相補的なヌクレオチド塩基配列を有していなくてはならない。
【0329】
標的配列またはその補体を含有する増幅産物の量が増幅手順の終了時に照度計950等の検出ステーションにおいて決定される、上述の「終点」増幅アッセイに加えて、本発明は、標的配列またはその補体を含有する増幅産物の量が増幅手順中に決定される、「リアルタイム」増幅アッセイを実行することもできる。リアルタイム増幅アッセイにおいて、対象核酸の濃度は、標的配列またはその補体を含有するサンプル内における増幅産物の量を定期的に判定し、標的配列が増幅される速度を算出することによって決定することができる。当該計器は、終点もしくはリアルタイム検出モードにおいて選択的に、または、両方のモードにおいて同時に使用することができるのが好ましい。
【0330】
リアルタイム増幅アッセイでは、プローブは、当該プローブが自己ハイブリダイズ状態にあるか、標的配列またはその補体とハイブリダイズしているかに応じて、異なる信号を放出するように相互に作用する、相互作用ラベル対を有する単分子の自己ハイブリダイズプローブであるのが好ましい。例えば、Diamondら、米国特許第4,766,062号「Displacement Polynucleotide Assay Method and Polynucleotide Complex Reagent Therefor」;Tyagiら、米国特許第5,925,517号「Detectably Labeled Dual Conformation Oligonucleotide Probes,Assays and Kits」;Tyagiら、米国特許第6,150,097号「Nucleic Acid Detection Probes Having Non‐FRET Fluorescence Quenching
and Kits and Assays Including Such Probes」;および、Beckerら、米国特許第6,361,945号「Molecular Torches」を参照されたい。本発明においては、相補的な二分子のプローブ、挿入色素で標識されたプローブ、および、一本鎖核酸と二本鎖核酸とを区別するための挿入色素の使用を含む、その他のプローブの使用を検討してもよい。例えば、Morrison、米国特許第5,928,862号「Competitive Homogenous Assay」;Higuchi、米国特許第5,994,056号「Homogenous Methods for Nucleic Acid Amplification and Detection」:および、Yokoyamaら、米国特許第6,541,205号「Method for Assaying Nucleic Acid」を参照されたい。相互作用ラベルの例としては、酵素/基質、酵素/共同因子、発光/消光剤、発光/付加化合物、色素二量体とForresterエネルギー伝送の対が挙げられる。最適な信号弁別のために相互作用ラベルをプローブに繋ぎ合わせる方法および材料については、上記の参考文献に記載されている。
【0331】
好ましいリアルタイム増幅アッセイにおいて、相互作用ラベルは、蛍光部分と、例えば4‐(4‐ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)等の消光剤部分とを含む。蛍光部分は、適切な励起波長の光エネルギーによって励起されると、特定の発光波長の光エネルギーを放出する(すなわち、蛍光を発する)。蛍光部分と消光剤部分とが近接近して把持されている場合、蛍光部分から放出された光エネルギーは、消光剤部分によって吸収される。しかしながら、プローブが、サンプル中に存在する核酸とハイブリダイズしている場合、蛍光部分および消光剤部分は互いに隔てられ、蛍光部分によって放出された光エネルギーを検出することができる。励起され、異なる識別可能な波長で放出する蛍光部分を、異なるプローブと組み合わせることができる。サンプルに異なるプローブを加えることができ、各プローブに関連付けられる対象核酸の存在および量は、サンプルを異なる励起波長の光エネルギーに対して交互に曝露し、異なる蛍光部分に対応する異なる波長のサンプルからの光放出を測定することによって決定することができる。
【0332】
多重リアルタイム増幅アッセイの一例において、増幅反応を開始する前に、以下のものをサンプルに添加してもよい:消光剤部分と、その5´端および3´端に繋ぎ合わせられ、HCV由来の核酸配列に対して特異性を有する第1の蛍光色素(励起波長λ
ex1と発光波長λ
em1を有する)とを有する第1のプローブ;消光剤部分と、その5´端および3´端に繋ぎ合わせられ、HIVタイプ1(HIV‐1)由来の核酸配列に対して特異性を有する第2の蛍光色素(励起波長λ
ex2と発光波長λ
em2を有する)とを有する第2のプローブ;および、消光剤部分と、その5´端および3´端に繋ぎ合わせられ、ウエストナイルウイルス(WNV)由来の核酸配列に対して特異性を有する第3の蛍光色素(励起波長λ
ex3と発光波長λ
em3を有する)とを有する第3のプローブ。サンプル内のプローブを増幅試薬と組み合わせた後、波長λ
ex1、λ
ex2、およびλ
ex3の励起光に対してサンプルを周期的および交互に曝露し、波長λ
em1、λ
em2、およびλ
em3における放出光を測定して、単一のサンプルにおける3つのウイルスすべての存在(または不在)および量を検出することができる。増幅試薬の構成要素は実行するアッセイによって異なるが、一般に、適切な緩衝液中に、プライマー、プロモータープライマー、および/またはプロモーターオリゴヌクレオチド等の少なくとも1つの増幅オリゴヌクレオチドと、ヌクレオシド三リン酸と、マグネシウムイオン等の共同因子とを含有する。
【0333】
増幅手順を使用して、検出が発生し得る前に、サンプル中に存在する標的配列またはその補体の量を増加させる場合、増幅が行われたことを確認し、それによって偽陰性を回避するための「対照」を含むことが望ましい。そのような対照は、所望の配列と無関係な既知の核酸配列であってよい。対照配列に対する特異性を有し、独自の蛍光色素(すなわち、対照色素)を有するプローブ(すなわち、対照プローブ)と消光剤との組み合わせを、標的配列だけでなく対照配列を増幅するのに必要な1つ以上の増幅試薬とともにサンプルに添加する。サンプルを適切な増幅条件に曝露した後、異なる励起波長(対照色素の励起波長を含む)の光エネルギーに対してサンプルを交互に曝露し、放出光を検出する。対照色素に対応する波長の放出光を検出することにより、増幅が成功したこと(すなわち、対照配列が確かに増幅されたこと)が確認され、したがって、標的配列のプローブに対応する放出光の検出のいかなる失敗も、増幅失敗によるものではないと考えられる。逆に、対照色素からの放出光の検出の失敗は増幅失敗を示すと考えられ、したがって、当該アッセイの結果はいずれも疑わしいものとなる。
【0334】
リアルタイム増幅アッセイは、リアルタイムインキュベータ(「RTインキュベータ」)内で実行され、当該インキュベータは上述のATインキュベータ602の修正版である。
図61および64〜65において参照番号608で指定されるRTインキュベータは、本質的に、インキュベータ600、602、604、および606等の回転インキュベータである。RTインキュベータは、MTU160が各色素に対応する励起光で照射された際にMTU160の各反応管162内の色素によって放出された蛍光を測定することにより、RTインキュベータ内に運搬されたMTU160の反応管162内で発生する増幅をリアルタイム様式で検出するための、それに付着された計器を含む。RTインキュベータ608は、終点増幅アッセイ用のATインキュベータ602として、またはリアルタイム増幅アッセイ用のRTインキュベータ608として機能できるようにATインキュベータ602を修正することによって、自動診断分析器50に統合されてよい。あるいは、RTインキュベータ608は、ATインキュベータ602をRTインキュベータ608から隔てておくことが望ましい場合、ハウジング60に付随する構造体(図示せず)上に固定されていてもよい。この場合、分析器50の処理デスク200から、処理デスク200に隣接する付随構造体に運搬されたRTインキュベータ608へMTU160を移送するために、移送機構500、502等の付加的な機構が必要となることが十分に理解できる。
【0335】
リアルタイム蛍光検出用のRTインキュベータ608に付着された計器は、ここで記載するように、光検出モジュール(信号測定装置の一種)として知られている。
【0336】
概して参照番号1700で指定される光検出モジュールを、
図61の側断面図に示す。また、
図61には、RTインキュベータ608の床613の一部も示されており、床613に形成された開口部615を通って光検出モジュール1700が延びている。
図61では、円筒壁610の一部は示されているが、説明図を明瞭にするため、絶縁被覆612は示されていない。また、RTインキュベータ608が取り付けられ、光検出モジュール1700のほとんどがその下に位置する基準プレート82は、
図61に示されていない。MTU160の一部は光検出モジュール1700の上に保持されているように示され、当該光検出モジュール1700はMTU160の第1の反応管162aの下に保持されている。実質的に同一な光検出モジュール1700は、好ましくは、RTインキュベータ608の異なる位置にあるその他の反応管162b、162c、162d、および162eのそれぞれに対して保持されている。
【0337】
図61〜63に示すように、光検出モジュール1700は、プリント基板1790に付着されたハウジング1710を含む。ハウジング1710は、4つのセクション:励起光ハウジング1714、励起レンズハウジング1712、アダプターパイプ1718、および放出レンズハウジング1716を含む。励起レンズハウジング1712、励起光ハウジング1714、および放出レンズハウジング1716は、それぞれ黒陽極酸化仕上げの機械加工6061‐T6アルミニウムから形成されるのが好ましい。アダプターパイプ1718は、Delrin(R)樹脂から形成されるのが好ましい。
図61から分かるように、アダプターパイプ1718は、RTインキュベータ608のインキュベータ床613に近接近している。したがって、光検出モジュール1700の、RTインキュベータ608からのあるレベルの熱的分離を提供するためには、アダプターパイプ1718は、Delrin(R)樹脂等、低熱伝導率を有する材料から形成されるのが好ましい。アダプターパイプ1718は、ハウジング1710と回路基板1790との間にさらなる電気的分離も提供する。
【0338】
励起光ハウジング1714は、励起光アセンブリ1730(以下でさらに詳細に説明する)を格納し、その下方端部においてプリント基板1790に、その上方端部において励起レンズハウジング1712の端部に付着されている。励起光ハウジング1714は、ねじ(図示せず)等の機械留め具を用いて励起レンズハウジング1712に付着されている。当該アセンブリは、各ハウジングの、その組み立て中の正確な相対位置決めを容易にするために、励起光ハウジング1714と励起レンズハウジング1712との間に延びるロケーションピン1721(
図62参照)も含んでよい。
【0339】
励起レンズハウジング1712は、説明図中で水平に配向された第1の部分1713と、第1の部分1713から直角に延び、当該図中で垂直に配向された第2の部分1715とを含む。斜表面1717は、好ましくは、第1の部分1713と第2の部分1715の縦軸に対して45°の角度を有する。
【0340】
アダプターパイプ1718は、励起レンズハウジング1712の第2の部分1715の端部と光を漏らさない様式で接合するように適合されたベース部1720を含む。より具体的には、アダプターパイプ1718のベース部1720は、好ましくは円形形状の突出部1724(
図61参照)を含み、当該突出部は、励起レンズハウジング1712の第2の部分1715の上方端部内に形成された、接合するサイズおよび形状の陥凹部内へ延びる。アダプターパイプ1718の上方部分1722は、ベース部1720上に突出している。上方部分1722は、好ましくは、円形形状であり、床613に形成された開口部615を通って突出するように適合されている。上方部分1722は、好ましくは、ベース部分1720よりも小さい横方向寸法を有し、それによって上方部分1722とベース部1720との間に段部1726を形成し、当該段部1726は、光検出モジュール1700がRTインキュベータ608に設置されている場合、床613の底部に対して凭れ掛かっている。
【0341】
アダプターパイプ1718は、ねじ(図示せず)等の機械留め具を用いて励起レンズハウジング1712に固定されているのが好ましく、各部品の、その組み立て中の正確な相対位置決めを容易にするために、アダプターパイプ1718と励起レンズハウジング1712の第2の部分1715との間にロケータピン(図示せず)が延びていてよい。
【0342】
放出レンズハウジング1716は、その下方端部において、励起光ハウジング1714と相隔たる位置のプリント基板1790に付着されている。放出レンズハウジング1716の下方端部は、好ましい45°の角度を有し、励起レンズハウジング1712の斜表面1717と一致する斜表面1719の形態をしている。励起レンズハウジング1712と放出レンズハウジング1716は、ねじ(図示せず)等の機械留め具によって互いに接続されているのが好ましく、その組み立て中のハウジングの正確な位置決めを容易にするために、ハウジング間に延びるロケーションピン1723を含んでもよい。
【0343】
ハウジング1710への光侵入を制限するために、各ハウジングのうちいずれかの間の接合面にガスケット材(図示せず)を置いてもよい。そのようなガスケット材は、例えば、発泡材料を含んでよい。
【0344】
図61および63に示すように、光検出モジュール1700の内部光学は、励起光アセンブリ1730と、励起レンズアセンブリ1740と、放出レンズアセンブリ1770とを含む。
【0345】
励起光アセンブリ1730は、従来の様式でプリント基板1790に接続された発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)1732を含む。異なる蛍光色素は、異なる波長で励起される。本発明の1つの多重用途において、好ましい色素は、それぞれDABCYL消光剤と組み合わせた、ローダミン色素テトラメチル‐6‐ローダミン(「TAMRA」)およびテトラプロパノ‐6‐カルボキシローダミン(「ROX」)、ならびに、蛍光色素6‐カルボキシフルオレセイン(「FAM」)および2´,7´‐ジメトキシ‐4´,5´‐ジクロロ‐6‐カルボキシローダミン(「JOE」)を含む。好ましい色素の励起スペクトルを
図66に示す。好ましい色素は異なる波長で励起されるため、光検出モジュール1700は、光検出モジュールが対象とする特定の色素にとって望ましい励起波長(すなわち、色)またはその付近で励起光を放出するように合わせてあるのが好ましい。したがって、光学系の構成要素選択は、多くの場合において、光検出モジュールが対象とする特定の色素によって支配されることになる。例えば、LED1732に対して、特定のLED(メーカーおよび型番)の選択は、光検出モジュールが対象とする色素次第となる。FAM色素については、好ましいLEDは、型番L7113PBCHとしてKingbright Corporation(カリフォルニア州、インダストリー市)から市販されており、TAMRA色素については、好ましいLEDは、型番L7113VGC/HとしてKingbright社から市販されており、ROX色素については、好ましいLEDは、型番HLMP‐EL16‐VY000としてAgilent Technologies,Inc.(カリフォルニア州、パロアルト)から市販されており、JOE色素については、好ましいLEDは、型番L7113VGC/HとしてKingbright社から市販されている。
【0346】
光パイプ1733は、LED1732の上に保持され、ベース部1734と、ベース部1734から突出する細長い部分1735とを含む。混合棒としても知られる光パイプ1733は、好ましくは、鋳造または押出透明アクリルである。光パイプ1733は、LED1732から放出される光を捕らえ、LED1732から離れた上方にそれを送り、LED1732と反対側の光パイプ1733の細長い部分1735の端部に、空間的に均質な光分布を作る。光パイプは、光送信器として、および、励起光アセンブリ1730の高さを放出レンズアセンブリ1770の高さと一致させる物理的スペーサとして作用する。また、空間的に均質な励起光は、蛍光光度計読み取りを向上させ、放射再現性を容易にする。光パイプ1733は、励起光ハウジング1714の内部に形成された狭い開口部1711を通って延びている。
【0347】
光パイプ1733からの光は、光パイプハウジング1714の上方端部に配置された鏡1736に向けて方向付けられる。好ましい鏡としては、品番Y43‐790(強化アルミニウム)および品番Y43‐791(保護金)としてEdmund Optics Inc.(ニュージャージー州、バーリントン)から市販されている鏡が挙げられる。鏡1736は、好ましくは約45°の角度に配向されている。カバー1738は、好ましくはDelrin(R)樹脂またはその他の適切な材料でできており、鏡1736上の励起光ハウジング1714の上方端部に付着されている。光パイプハウジング1714の上方端部に形成されたカウンターボア付き開口部内に鏡1736を設置し、その後、カバー1738を用いてハウジングを閉じる。
【0348】
励起レンズアセンブリ1740は、第1のレンズ1744と第2のレンズ1746とを含む。第1のレンズ1744に好ましいレンズとしては、品番Y32‐913としてEdmund Opticsから市販されているレンズが挙げられ、第2のレンズ1746に適切なレンズとしては、品番Y45‐348としてEdmund Opticsから市販されているレンズが挙げられる。レンズ1746および1744は、好ましくは黒陽極酸化仕上げの6061‐T6アルミニウムから形成されたスペーサ要素1743によって互いに隔てられている。鏡1736に反射した光は、好ましくは±10°の許容誤差範囲内で反射光をコリメートするレンズ1744および1746によって方向付けられる。第2のレンズ1746を通過した光は、その後、バッフル開口1750を通過する。バッフル開口1750は、ハウジング1712の第1の部分1713の縦軸(すなわち、光軸)に対して35°の角度の内面を持つリングであり、好ましくは、黒陽極酸化仕上げの機械加工6061‐T6アルミニウム製である。バッフル1750の目的は、±10°の許容誤差範囲外の迷光をブロックアウトすることである。第2のレンズ1746は、好ましくは黒陽極酸化仕上げの6061‐T6アルミニウム製のスペーサ要素1748を用いて開口バッフル1750から隔てられている。
【0349】
開口バッフル1750に続いて、光は励起フィルタ1752を通過し、励起光の望ましくないスペクトル成分を除去する。ここでも、使用される特定のフィルタは、光検出モジュール1700が対象とする色素の励起スペクトル次第である。好ましいフィルタは、色素FAM用は品番HQ480/43xとして、色素TAMRA用は品番HQ525/50xとして、色素ROX用は品番HQ590/20xとして、および、色素JOE用は品番HQ514/22xとして、Chroma Technology Corp.(バーモント州、ロッキンガム)から市販されている。励起レンズアセンブリ1750の要素は、留めリング1742を用いて励起レンズハウジング1712内の適所に把持される。適切な留めリングは、品番SM18RRとしてThorlabs,Inc.(ニュージャージー州、ニュートン)から市販されている。
【0350】
励起フィルタ1752の次に、光はダイクロイックビームスプリッタ1754に突き当たる。ダイクロイックビームスプリッタ1754は、45°で配向されており、アダプターパイプ1718内に配置されているレンズ1756に向けて90°、励起フィルタ1752を通過する励起光の方向を変える(後述)。用いられる特定のビームスプリッタは、光検出モジュール1700が対象とする色素によって変わる。好ましいビームスプリッタは、以下のようなものである:FAM色素については、適切なビームスプリッタは品番511LPとしてChroma Technology社から市販されており、TAMRA色素については、適切なビームスプリッタは品番560LPとしてChroma Technology社から市販されており、ROX色素については、適切なビームスプリッタは品番615LPとしてChroma Technology社から市販されており、JOE色素については、適切なビームスプリッタは品番535LPとしてChroma Technology社から市販されている。レンズ1756は、窓1758を介して光を方向付ける集束レンズであり、当該光は次にMTU160の反応管162に突き当たる。適切な集束レンズは、品番Y32‐913としてEdmund Optics社から市販されている。
【0351】
正しい帯域幅の光によって励起された場合、問題の特定の色素が存在すると仮定すると、反応管162の内容物は蛍光を発し、それによって光を放出する。反応管162の内容物から放出された光は、窓1758を通過してレンズ1756へ戻り、当該レンズは放出された光をできる限り収集および集束する。レンズ1756は、好ましくは±10°の許容誤差範囲内となるよう、放出された光のコリメートも行う。レンズ1756を通過した光は、その後、ダイクロイックビームスプリッタ1754に突き当たり、励起光と異なる波長である場合、放出された光は通過し、ビームスプリッタ1754によって方向を変えられない。ダイクロイックビームスプリッタ1754を通過した後、光は放出レンズアセンブリ1770へ入り、そこでまず開口バッフル1772と衝突する。バッフル1772は、好ましくは黒陽極酸化仕上げの6061‐T6アルミニウムから形成され、その縦軸に対して35°の角度の内部開口部を有する。開口バッフル1772は、±10°の許容誤差範囲外の光をブロックする。
【0352】
開口バッフル1772を通過した後、光は放出フィルタ1774と衝突し、当該フィルタは、放出光中に存在する望ましくないスペクトル成分を除去する。好ましい特定のフィルタは、光検出モジュールが対象とする特定の色素から放出される光の波長によって変わる。
図67は、本発明に従って使用される好ましい色素の放出スペクトルを示す。好ましい放出フィルタは、以下のとおりである:FAM色素については、適切なフィルタは品番HQ533/24mとしてChromaTechnology社から市販されており;TAMRA色素については、適切なフィルタは品番HQ588/35mとしてChroma
Technology社から市販されており;ROX色素については、適切なフィルタは品番HQ640/40mとしてChroma Technology社から市販されており;JOE色素については、適切なフィルタは品番HQ560/30mとしてChroma Technology社から市販されている。
【0353】
光は、次に集束レンズ1778を通過する。適切なレンズは、品番Y45‐348としてEdmund Optics社から市販されている。放出光は、レンズ1778によって、放出光の強度に比例して電流信号を生成するフォトダイオード1780に焦点を合わせられる。適切なフォトダイオードは、型番PIN‐10DIとしてUDT Sensors,Inc.(カリフォルニア州、ホーソーン)から市販されている。レンズ1778とフィルタ1774は、好ましくは黒陽極酸化仕上げの6061‐T6アルミニウムから形成されたスペーサ要素1776によって互いに隔てられている。フォトダイオード1780以外の放出レンズアセンブリ1770の要素は、留めリング1777を用いて放出レンズハウジング1716内の適所に把持される。適切な留めリングは、品番SM18RRとしてThorlabs,Inc.(ニュージャージー州、ニュートン)から市販されている。フォトダイオード1780は、プリント基板1790に接続される。
【0354】
図68A〜68Fは、LED1732とフォトダイオード1780とを含む回路基板1790に適切な回路(フォトダイオード1780によって生成された電流に比例する電圧を生み出す増幅回路を含む)を図示している。
【0355】
電子回路1790は、以下の構成要素およびサブ回路を含む:電源1800およびコンデンサC6、C10、C17、抵抗器R11、R25によって形成された電源フィルタ(
図68E)、励振源(LED)1732(
図68F)、U1を含む励起駆動源回路および様々な構成要素(
図68F)、受信器(フォトダイオード)1780および様々な構成要素(
図68A)、プリアンプ回路U6(ピン5〜7)、U7、および様々な構成要素(
図68A)、オフセット補償回路U6(ピン1〜3)および様々な構成要素(
図68A)、マイクロプロセッサ回路U5および様々な構成要素(
図68B)、アナログスイッチ回路SW1および様々な構成要素(
図68B)、ならびに、ローパスフィルタ微分回路U2、U3(
図68C)、U4(
図68D)および様々な構成要素。
【0356】
背景定常光が変動するという効果を拒否するために、回路1790はマイクロプロセッサU5を組み込み、当該マイクロプロセッサはLED1732(オン/オフ)を制御して、LED1732を変調し、アナログスイッチSW1を制御するために使用されるクロック(FAM/ROXでは250Hz、TAMでは350Hzに設定)を作成する。LED1732(励起)を変調し、同じ周波数においてアナログスイッチSW1の状態を変更する(後続の微分フィルタU2の利得を、正の利得から負の利得へ、またはその逆へ変更する)ことにより、調和する送信器/受信器の対が作成される。このクロックと同じ周波数で到着したそれらの光信号のみが増幅されることになり、すべての定常光および異なる周波数で変調された光信号は抑制される。
【0357】
プリアンプ(トランスインピーダンス)回路―U6(ピン5〜7)およびU7を含む―は、フォトダイオード1780から電流を受け、それを増幅電圧に変換する。また、オフセット補償回路―U6(ピン1〜3)を含む―は、フォトダイオード1780に入射するあらゆる定常光(未変調)に応じてフォトダイオード1780から出た電流を補償するバイアス電流を提供する。これは、このプリアンプの利得(20mV/nA)を前提として、容易かつ頻繁に実現されるプリアンプの出力を定常光(所望の変調された光よりも大きい桁数であってよい)が飽和させないことを目的としている。
【0358】
高利得および小信号を測定することにより、プリアンプ回路は、EMI/RFI干渉の結果としての測定誤差ならびに温度および湿度の変化に対して高い感受性を持ち得る。これらの効果を最小化するために、回路トレース、ならびに、高インピーダンス回路、特にフォトダイオード1780および接続点を含む構成要素は、その他の回路から可能な限り遠くに位置している。また、プリント基板1790は、隣接する臨界高インピーダンス成分、特に構成要素R33、R36、およびC21を収集し得る汚染物質の完全な除去を容易にするように構成されるのが好ましい。組み立て後に回路基板1790に残る汚染物質および残留磁束の量を最小化するために、まず、はんだ付けに使用されるはんだ/磁束に適切な鹸化剤で基板を洗浄し、その後脱イオン水ですすぐ。これらの準備ステップに続いて、フォトダイオード1780を「未洗浄磁束」コアはんだで回路基板1790にはんだ付けするのが好ましく、回路基板1790に残ったあらゆる残留磁束は保護バリアを提供し、したがって、好ましくは除去されない。これらのステップにより、温度および湿度の変化に関連する長期ドリフトおよび回路感度の効果が緩和されるはずである。また、回路基板1790のプリアンプ部分は、いかなるEMI/RFI干渉も抑制するために、接地ハウジング(ファラデーケージ)内に完全に含有される。
【0359】
図68Aを参照すると、増幅器U7およびU6(ピン5〜7)は、光信号の増幅における初めの2段階を形成するものである。構成要素C20、C22、C24、C26、C27、C28、R35、およびR45は、増幅器に電源バイパス/フィルタリングを提供する。C18、D2、R32、およびR34は、フォトダイオード1780のアノードにバイアスをかけるフィルタ付き−2.5V電源を形成する。フィードバック抵抗器R33およびR36はフォトダイオード1780からの電流を電圧に変換し、一方、C21は周波数3.6KHz以上の信号にフィルタリングを提供する。R37およびR38によって形成された分圧器は次のプリアンプ段階において10の電圧利得を提供し、一方、コンデンサC23はさらなるローパスフィルタリングを提供する。
【0360】
増幅器U6(ピン1〜3)は、背景定常光および回路におけるその他の固有DCオフセットに起因するフォトダイオード1780からの電流をネゲートするDCバイアス電流を作る。当該回路は、(U7によって形成された)最初のプリアンプ回路の入力にフィードバックされる電流を生成する積分増幅器を形成する。この結果、U7およびU6において出力信号が生じ、ピン7はゼロの直流成分を有する、すなわち、信号の中心は0Vとなる。
【0361】
マイクロプロセッサU5(
図68B)は、LED機能(例えば、LED1732をオフにする、または、LED1732を、対象とする動作周波数、つまりFAMおよびROXでは250Hz、TAMでは350Hzに変調する)および微分増幅器利得を制御する。その入力信号(ピン6および7)に応じて、マイクロプロセッサU5はLED1732を「オフ」または「変調」状態に制御する。微分フィルタ回路U2、U3、U4の利得は、LED1732への制御信号とアナログスイッチSW1との間の位相関係に応じて、プラスマイナス12の範囲内で調整可能である。
【0362】
図68Fを参照すると、構成要素C1、R3、およびVR1は基準電圧回路を形成し、これらの構成要素は、抵抗器R18およびR27とともに、(LED1732がオンになっている場合)LED電流を確立する。構成要素R1、R2、およびQ1はLED制御回路を形成し、当該回路では、FETスイッチQ1がオンになっている場合、増幅器U1の入力ピンの電圧が上昇し、増幅器の出力を低電圧にさせ、LED電流スイッチQ2を効果的にオフにする。Q1がオンになっていない場合、U1は、LED1732を通る電流が確立された設定点において制御されるように、FETスイッチQ2のゲートの電圧を制御する。LED変調周波数およびオフ/オン制御は、上述のマイクロプロセッサU5(
図68B)から「LED_ON」と入力することによって制御される。
【0363】
図68Bを参照すると、アナログスイッチSW1は、入力電圧を次の微分フィルタに「反転させる」ために使用される。信号が反転される周波数は、マイクロプロセッサU5によって設定および制御される。アナログスイッチSW1の入力A0およびA1の設定に応じて、1セットのスイッチ(アナログスイッチSW1の内部)をオンにして、有線でデバイスに信号を通過させる(それぞれ出力D1およびD2と接続されている、スイッチS1AおよびS2Aが「オン」であるか、スイッチS1BおよびS2Bが「オン」である)。この回路においては、LED1732がオンになっている場合、プリアンプU6(ピン5〜7)から出た信号が微分フィルタU2(ピン3)の正の入力に方向付けられ、一方、接地は微分フィルタU2(ピン5)の負の入力に適用されるように、アナログスイッチSW1への入力は有線である。微分フィルタ(U4)の(フィルタリング後の)出力信号は、その振幅のおよそ12倍である。LED1732が(変調しながら)オフにされた場合、プリアンプ回路の出力は負になり、振幅はLED1732がオンになっていたときとほぼ同じである。微分フィルタへの入力は、ここでは有線であるが、プリアンプU6(ピン7)から出た負の信号が微分フィルタU2(ピン5)の負の入力に方向付けられ、一方、接地は正の入力U2(ピン3)に適用されるように、逆であってもよい。(フィルタリング後の)出力信号はやはり、LEDがオンでありアナログスイッチが他の位置にある場合とほぼ同じ振幅である。
【0364】
微分増幅器/フィルタU2、U3、U4は、最小利得(12x)を提供し、区別をつけて信号を扱いながら、信号の多極ローパスフィルタリング(10Hzでカットオフ)を提供する。このフィルタは、LED/アナログスイッチの動作周波数の前後10Hz範囲(FAM/ROXでは240〜260Hz、TAMでは340〜360Hz)から外れたプリアンプからのありとあらゆる信号を減衰させるために使用される。フォトダイオード1780によって行われる電気信号の減衰は、周波数がこの範囲外に逸脱するのに伴って急速に増加する。
【0365】
最終増幅回路(U4)は、ゼロ利得を持つ差動増幅器として機能する。その機能は、微分フィルタから出た2つの信号間の電圧差動を、回路接地を基準とする正の電圧に変換することである。
【0366】
図64および65は、いずれもRTインキュベータ608の上面図を示し、RTインキュベータ608の底部に取り付けられた光検出モジュール1700の位置決めを説明している。
図64および65に示す実施形態において、RTインキュベータは15の光検出モジュール1700を含み、3つの異なる色素、つまりFAM、TAMRA、およびROXのそれぞれにつき5つの光検出モジュール1700(MTU160の反応管162a〜162eのそれぞれにつき1つずつ)である。したがって、MTU160の5つの反応管162a〜162eのそれぞれに対応する5つの半径のそれぞれには、色素のそれぞれについて1つずつ、3つの光検出モジュール1700がある。光検出モジュール1700は、RTインキュベータの周囲24°インクリメントして保持されている。1つの特定のモジュール1700での検出中、同時に励起されている隣接する反応管からの迷光が、モジュール1700において検出される放出に影響を及ぼすことが可能である。また、励起光は、反応管162で散乱し、隣接する反応管162を励起することができる。この状態は、クロストークとして知られている。光検出モジュールは、隣接する光検出モジュール1700の検出窓間の距離を最大化し、それによって隣接する光検出モジュール1700間のクロストークを最小化するように保持されているのが好ましい。MTU160の隣接する反応管162の間に保持された同心円状壁の形態で光単離バッフル(図示せず)を提供することによって、クロストークを防止することもできる。
【0367】
隣接する反応管の放出間のクロストークを減らし、例えば迷光による背景信号を減じるための別の方法は、位相同期検出技術を使用することによるものである。励起光は、多くの場合、LED1732に既知の周波数の信号を印加することによって変調される。TAMRA色素については350Hzの励起信号周波数が使用され、FAMおよびROX色素については250Hzの励起信号周波数が使用される。したがって、結果として生じる放出光は、励起光の周波数によって支配された周波数を表示することになり、励起光の周波数と矛盾する周波数を有するいかなる放出信号も、励起光から生じたものでないとして廃棄してよい。既知の位相検出回路を使用して、励起信号と放出信号との間の位相差に比例する電圧を出力することができる。
【0368】
図65に示すように、光検出モジュール1700は、当該モジュールが対象とする色素によって分類されるのが好ましい。すなわち、モジュール1〜5はFAM色素を対象とし、モジュール6〜10はTAMRA色素を対象とし、モジュール11〜15はROX色素を対象としている。クロストークは、同じ波長の励起信号を持つ隣接する光検出モジュール間よりも、異なる波長の励起信号を持つ隣接する光検出モジュール間でのほうが実際に大きいことが分かっている。したがって、
図64に示すように、同様の波長の検出器を集めることによって、クロストークが減る。
【0369】
また、迷光の送信および反射を最小化するために、RTインキュベータ608の内部構成要素は黒色であるのが好ましい。
【0370】
好ましい実施形態において、RTインキュベータ608の底床613に取り付けられ、ほとんどの場合、処理デスク200の基準プレート82の下に配置された光検出モジュール1700は、光検出モジュールに影響を及ぼし得る迷走電磁干渉をブロックするシールド(ファラデーシールドとして知られる、図示せず)によって包囲される。
【0371】
図64および65は、15の光検出モジュール1700を持つRTインキュベータ608を示す。そのような配置により、MTU160の5つの反応管162および3つの色素のリアルタイムスキャニングが可能になる。例えば上述したように、3つの異なるウイルスおよび内部対照に関連付けられた増幅産物を検出するために、4つの色素を手順に組み込むことが望ましくなる場合は、この実施形態において20の光検出モジュールをRTインキュベータ608に組み込むことが必要となるが、
図62および63から十分理解できるように、空間的制約および光検出モジュール1700の図示の実施形態のサイズを考慮すると、ほぼ不可能であろう。
【0372】
20の光検出モジュール、すなわち4つの個々の色素それぞれにつき5つの光検出モジュールを必要とすることを回避するために、各色素に1つずつ、4つの光検出モジュールがRTインキュベータ608に対して移動可能なように取り付けられたスキャニングリアルタイム蛍光光度計を使用してよく、それによって各光検出モジュールはMTU160の5つの反応管160a〜162eのそれぞれの下に選択的に保持されることができる。(光検出モジュールの数は、検出される色素の数に基づいて、スキャニングリアルタイム蛍光光度計内で調整できる。)そのようなスキャニングリアルタイム蛍光光度計用のスキャニング蛍光光度計アセンブリは、
図69〜72において、概して参照番号2000で指定されている。図示されているスキャニング蛍光光度計アセンブリにおいては、4つの光検出モジュール1700が、固定スキャニングディスク2002に対して半径方向に移動可能なように取り付けられている。各光検出モジュール1700は、スキャニングディスク2002に対して光検出モジュール1700の半径方向運動の効果を及ぼすために平行移動アセンブリ2006に運搬された光検出モジュール取り付けブラケット2004に取り付けられている。平行移動アセンブリ2006は、取り付けブラケット2004が付着された線形摺動軸受2008と、スキャニングディスク2002に取り付けられ、それに沿って軸受2008が摺動自在に平行移動することができる、軸受トラック2010とを備える。スロット付き光センサー2014は、軸受トラック2010の半径方向外向き端部においてスキャニングディスク2002に固定され、軸受2008から延びる突出部2016は光検出モジュール1700が半径方向の位置から最も遠くにあるときにセンサー2014内へ延び、それによって「ホーム」信号を提供する。スキャニングディスク2002には、概して放射状スロット2040が形成される(
図72参照)。
【0373】
図72は、スキャニング蛍光光度計アセンブリ2000の底面図を示す。カムディスク2030は、スキャニングディスク2002と同軸上に且つ平行に配置され、シャフト2024の周囲を回転可能である(
図71参照)。カムディスク2030は、光検出モジュール1700のそれぞれにつき1つずつ、その中に形成された4つの弓状カムスロット2032を有する。各平行移動アセンブリ2006の軸受2008から延びるピン2050は、放射状スロット2040を通してカムスロット2032の各1つへ延びる。
【0374】
固定スキャニングディスク2002の先端には、モーター2020が取り付けられる。当該モーターの出力シャフト2022は、(例えば、ベルトおよび滑車配置(図示せず)または噛み合いギヤ配置(図示せず)によって)カムディスク2030に連結される。好ましい実施形態では、6:1の比率で、0.25秒で50°(すなわち、200°/秒)の速度を実現する滑車配置を用いる。カムディスク2030に連結された出力シャフト2022の回転により、カムディスク2030が回転する。カムディスク2030が回転すると、カムディスク2030内に形成されたカムスロット2032の各1つを持つ各ピン2050の係合により、そのそれぞれの軸受トラック2010に沿って、対応する1つの軸受2008の半径方向の平行移動運動が生じ、それにより、対応するモジュール取り付けブラケット2004および光検出モジュール1700の半径方向の平行移動が生じる。モーター上のエンコーダ(図示せず)はモーターの回転を監視し、それによってカムディスク2030の位置を監視することができる。あるいは、光センサー等、その他の位置検知デバイスを使用して、カムディスク2030の位置を直接的に監視することもできる。
【0375】
各カムスロット2032は、位置決め点2032a、2032b、2032c、2032d、および2032eを含む。(クラッタを最小化するために、位置決め点2032a、2032b、2032c、2032d、および2032eはカムスロット2032の1つのみについて標識されている。)位置決め点2032a〜eは、カムディスク2030の回転中に光検出モジュール1700を位置付ける。特定の光検出モジュール1700に関連付けられたピン2050が位置2032aにある場合、当該光検出モジュール1700は、MTU160の反応管162aから最も離れてスキャンを行うために、ディスク2002の中心から最も遠い半径方向の位置にある。カムディスク2030が回転し、光検出モジュール1700に関連付けられたピン2050が点2032bへ移動すると、対応する光検出モジュールは、MTU160の次の反応管162bへの距離に対応する距離分だけ半径方向に内側へ移動することになる。そして、光検出モジュール1700は、当該位置で反応管162bをスキャンすることができる。カムディスク2030がさらに回転すると、モジュール1700に関連付けられたピン2050が位置2030cへ移動し、その結果、モジュール1700は、MTU160の反応管162cへの距離に対応する距離分だけ半径方向に内側へ移動する。そして、モジュール1700は、当該位置で反応管162cをスキャンすることができる。カムディスク2030がさらに回転すると、モジュール1700に関連付けられたピン2050が、反応管162dへの距離に対応する距離分だけ半径方向に内側へ平行移動する。そして、モジュール1700は、当該位置で反応管162dをスキャンすることができる。カムディスク2030がさらに回転すると、モジュール1700に関連付けられたピン2050が、反応管162eへの距離に対応する距離分だけ半径方向に内側へ平行移動する。そして、モジュール1700は、当該位置で反応管162eをスキャンすることができる。したがって、単一の移動可能な光検出モジュール1700は、各MTU160の反応管162a〜eのそれぞれからの放出を検出することができる。
【0376】
スキャニング蛍光光度計アセンブリ2000の各光検出モジュール1700は、RTインキュベータ608のインキュベータハウジングまで延びる。検出器1700は半径方向に移動するため、RTインキュベータ608の床613には細長い放射状開口部(図示せず)が形成され、各光検出モジュールは当該開口部を介してRTインキュベータ内のMTU160をスキャンする。一実施形態において、各放射状開口部にはシャッター機構(図示せず)が保持される。シャッター機構は移動可能な開口部を有し、各光検出モジュール1700のアダプターパイプ1718は当該開口部を通って延びる。光検出モジュール1700が半径方向に平行移動すると、シャッター機構の開口部はそれとともに平行移動し、一方、放射状開口部の残りの部分は閉じたままであり、それによって、放射状開口部からの熱損失および迷光を制限する。
【0377】
上述した光検出モジュールの代替として、光検出モジュールは、多波長蛍光光度計、例えば、フィルタチェンジャーを持つ蛍光顕微鏡、または、複数の帯域幅フィルタおよび複数の帯域幅ビームスプリッタを持つ蛍光顕微鏡であってよい。
【0378】
本発明者らは、本発明の好ましい実施形態において標的補足のために使用される磁性粒子は、増幅産物のリアルタイム検出に影響を及ぼし得ると判断した。2つの特定の干渉効果が確認されている。まず、磁性粒子は、オリゴヌクレオチド(例えば、増幅オリゴヌクレオチドおよびプローブ)および酵素試薬(例えば、核酸ポリメラーゼ)の吸着によって増幅を阻害することができる。また、(固定した、または懸濁液中の)磁性粒子の存在は、結果として蛍光発光の散逸を引き起こし、それによって、検出色素に達する励起光の量およびMTU160の反応管162から放出される光の量をブロックする、または部分的にブロックすることができる。これは、暗雲効果として知られている。
【0379】
この効果を最小化するために、RTインキュベータ608の一実施形態において、
図73、74、75、および75Aに示すように、磁性仕切り1500を設ける。本発明の好ましい実施形態において、RTインキュベータ608は、回転台の周囲にそれぞれ24°インクリメントの間隔をあけて、一度に15のMTU160を把持する。回転台1656等、30の位置の回転台を使用すると仮定した場合、これは、1つおきのMTUステーション1663のみがRTインキュベータ608内にMTU160を把持することを意味する。したがって、図に示すように、磁性仕切り1500は、回転台1656(上述)上にある1つおきのMTUステーション1663に及ぶように保持され、それによって30あるステーションうち15のみをMTU160を収納可能なようにしておくことができる。代替の実施形態において、磁石ホルダーは、30のステーションのそれぞれの間に嵌着するように、または、1つおきのステーションに隣接して保持されるように構成されてよく、それにより、RTインキュベータ608内の1つおきのMTU160の内容物を、代替のアッセイ手順に従って処理することが可能になる。そのような磁石ホルダーは、磁石が接着する鉄板金から形成することができる。鉄板金材料は、磁石の反対側の磁場を大幅に減らすという利点も有するであろう。
【0380】
簡単にするために単一の磁性仕切り1500のみを示した
図74および75Aで主に示すように、磁性仕切りは、磁石ブロック1504とアタッチメントアーム1510とを備える磁石ホルダー1502を含む。長方形の陥凹エリア1506が磁石ブロック1504内に形成され、類似のサイズおよび形状の磁石1520を受けるために磁石ブロック1504内に開口部1508が形成される。図示の実施形態において、開口部1508は円形であり、磁石1520は円盤形である。現時点で好ましい磁石は、1/2インチ(直径)×1/8インチ(厚さ)の寸法があり、最大残留磁束密度12,100および最大エネルギー積MGOeを有する、ニッケルメッキ被覆ネオジム鉄ボロンディスク(ForceField社(コロラド州、フォートコリンズ);商品番号0022)である。磁石1520は、関連付けられた開口部1508内に置かれ、留めプレート1522を用いてブロック1504内に把持され、当該プレートは、留めプレート1522および磁石ブロック1504内にそれぞれ形成された開口部1524および1526を通過する、ねじまたはボルト(図示せず)等の機械留め具を用いて、磁性ホルダー1502に固定されていてよい。
【0381】
アタッチメントアーム1510は、磁石ブロック1504から延びており、回転台1656の下方プレート1662および仕切り1660内に形成された、対応する留め具穴1661と並ぶ留め具穴1512を含む。磁性仕切り1500は、留め具穴1512および1661を通って延びるねじまたはボルト(図示せず)等、適切な機械留め具を用いて回転台1656に固定されていてよい。
【0382】
磁性仕切り1500は、内アーム1528(
図75参照)も含んでよい。内アーム1528は、磁性仕切り1500を安定させ、回転台1656に磁性仕切り1500を付着させるためのさらなる付着点を提供するものである。
【0383】
図75および75Aに示すように、MTU160´が回転台1656のMTUスロット内に置かれている場合、各反応管162´は、磁性仕切り1500内に運搬された磁石1520の1つに隣接して保持されている。磁石1520は、磁性粒子の少なくとも一部を磁石1520に隣接する反応管162´の壁に向けて引き寄せ、それによって、反応管162´の内容物の残余内の懸濁液中の、または反応管162´の底部に固定された磁性粒子の濃度を、実質的に低下した状態のままにする。
【0384】
上述したように、MTU160の好ましい材料はポリプロピレンである。しかしながら、ポリプロピレンは、ある条件下において自己蛍光を発することが分かっている。したがって、アクリル、ポリスチレン、および環状オレフィン等、代替のMTU材料が検討される。また、
図75および75AにおいてMTU160´の反応管162´で図示するように、MTU160の個々の反応管162´の底部においてサンプルを濃縮する―それによって、サンプルからのより一貫した励起および放出を容易にし、より小さい試薬量の使用を可能にする―ために、例えば
図74に示すMTU160の反応管162の丸い端部の代わりに、円錐形状の端部を持つ反応管を有するMTUを使用することが検討されている。
【0385】
本発明に従って実行されるリアルタイムおよび終点増幅アッセイの処理ステップを、
図76に示すフローチャートで説明する(
図76Aは、完全なリアルタイムTMA増幅アッセイのステップおよび増幅による終点TMA増幅アッセイのステップを示し、
図76Bは、反応管162の内容物を増幅条件に曝露した後の、終点TMA増幅アッセイのステップを示す。)上記のステップは、典型的なTMA手順を表しているにすぎない。当業者であれば、下記のステップを変更または省略し得ること、または、現在既知の、またはまだ開発されていないその他のリアルタイムおよび終点増幅アッセイ手順に従って、その他のステップを追加または代わりに用いてもよいことを認識するであろう。多くの増幅手順を実行するための試薬製剤が当該技術分野において既知であり、本発明において使用すること、または使用できるように容易に適合させることが可能である。例えば、Kacianら、米国特許第5,399,491号;Beckerら、米国特許出願第2006‐0046265 A1号公報;Linnenら、米国特許出願第2004‐0259108 A1号公報「Compositions and Methods for Detecting West Nile Virus」;Weisburgら、米国特許出願第2004‐0235138 A1号公報「Compositions,Methods and Kits for Determining the Presence of Trichomonas Vaginalis in a Test Sample」;および、本明細書と共通した所有権のある、Linnenら、米国特許出願第10/825,757号「Compositions and Methods for Determining the Presence of SARS Coronavirus in a Sample」を参照されたい。
【0386】
典型的なリアルタイムおよび終点TMA増幅アッセイの処理ステップは、ステップ1902から始まり、当該ステップにおいて、MTU160は、治具プレート130内に設けられたサンプル調製開口部252の下にあるサンプル伝送ステーション250内のピペット位置に移動される。ステップ1904において、サンプルピペットアセンブリ450は、400μLの標的捕捉試薬(Target Capture Reagent;「TCR」)をMTU160の各反応管162に分注する。標的捕捉試薬は、捕捉プローブと、ラウリル硫酸リチウム等、細胞を溶解させてサンプル物質内に存在するリボヌクレアーゼの活性を阻害するための洗剤含有細胞溶解剤と、約40μgのSera‐Mag(R)MG‐CM Carboxylate Modified(Seradyn,Inc.(インディアナ州、インディアナポリス)製品番号24152105‐050250)、共有結合しているポリ(dT)
14を有する1ミクロンの超常磁性粒子とを含む。捕捉プローブは、磁性粒子と結合されたポリ(dT)
14に結合するためのポリ(dA)
30テールを有する5´標的結合領域と3´領域とを含む。捕捉プローブの標的結合領域は、プライマーおよび検出プローブが標的とする領域とは異なる対象核酸の領域と結合するように設計される。
【0387】
ステップ1906において、ピペットアセンブリ450は500μLのサンプルを反応管のそれぞれに分注する。ステップ1908において、右側移送機構500は、MTU160を右側回転撹拌器550に移動させ、好ましくは10Hzで30秒間、サンプルおよびTCRを混合する。
図76で定められた時間およびその説明は望ましい時間であり、実際の実時間はこの定められた望ましい時間とは異なる場合があることに留意されたい。
【0388】
ステップ1910において、右側移送機構500は、MTU160を右側回転撹拌器550から治具プレート130の下に位置する温度勾配ステーション700の1つに移動させる。MTU160は、好ましくは、65℃の温度で312秒間、温度勾配ステーション700内にある。ステップ1912において、右側移送機構500は、MTU160を勾配ステーション700からTCインキュベータ600へ移動させ、サンプルから抽出され得た対象核酸に対する捕捉プローブのハイブリダイゼーションのために、62℃で20分間置く。(この温度では、固定化ポリ(dT)
14オリゴヌクレオチドに対する捕捉プローブの、感知できるほどのハイブリダイゼーションは生じない。)ステップ1914において、左側移送機構502は、MTU160をTCインキュベータから処理デスク200の左側に位置する温度勾配ステーション700の1つへ移動させ、室温で174秒間把持する。ステップ1916において、左側移送機構502は、MTU160を勾配ステーション700からAMPインキュベータ604へ移動させ、磁性粒子と関連付けられた固定化オリゴヌクレオチドを捕捉プローブと結合させるために、MTUを43℃で838秒間置く。
【0389】
ステップ1918において、左側移送機構502は、MTU160をAMPインキュベータ604から左側回転撹拌器552へ移動させる。左側回転撹拌器552は、いくつかの物質の中で特にオイルをMTU160に分注するための分注器を含む。左側回転撹拌器552において、200μLのシリコンオイル、つまり表面処理剤を、MTU160の各反応管162に添加し、MTUを12Hzで30秒間混合する。ステップ1920において、左側移送機構502は、上述した磁性分離洗浄手順のために、MTU160を左側回転撹拌器552から磁性分離ステーション800の1つに移動させる。
【0390】
ステップ1918においてサンプル液中にシリコンオイル等の表面処理剤を添加することの利点は、磁性分離洗浄手順のすすぎステップおよび吸引ステップ中に反応管162の内面に接着する材料の量を減らし、それによって、より効果的な磁性分離洗浄手順を容易にすることである。MTU160は、好ましくはポリプロピレン等の疎水性材料で作られているが、洗浄液等の材料少量でも、磁性分離洗浄手順の吸引ステップ中に、MTUの反応管162の内面上に形成する場合がある。磁性分離洗浄手順中に反応管162から十分に除去されなかった場合、核酸増幅阻害物質を含有し得るこの残留物質は、アッセイの結果に影響を及ぼし得る。代替のアプローチにおいて、表面処理剤は、反応管162に添加し、TCRおよびサンプルを添加する前に除去してもよいし、表面処理剤は、TCRおよびサンプルが、場合によっては洗浄液とともに、反応管から吸引された後に反応管に添加し、増幅試薬および酵素試薬を反応管に添加する前に除去してもよい。目的は、反応管162の内面に表面処理剤の被覆を設けることである。増幅反応の阻害物質は、当該技術分野では既知であり、使用するサンプルソースおよび増幅手順によって異なる。考えられる増幅阻害物質としては、以下のものが挙げられる:血液サンプル中のヘモグロビン;尿サンプル中のヘモグロビン、硝酸塩、結晶および/またはβ‐ヒト絨毛性ゴナドトロピン;ヌクレアーゼ;プロテアーゼ;ドデシル硫酸ナトリウム(Sodium Dodecyl
Sulfate;SDS)およびラウリル硫酸リチウム(Lithium Lauryl Sulfate;LLS)等のアニオン洗剤;ならびに、上述のように核酸ベースの増幅反応において使用される共同因子であるマグネシウムのような二価カチオンを結合する、いくつかの標本の抗凝固剤および固定剤であるEDTA。例えば、Mahonyら、J.Clin.Microbiol.、36(11):3122〜2126(1998年);Al‐Soud、J.Clin.Microbiol.、39(2):485〜493(2001年);および、Kacianら、米国特許第5,846,701号「Method for Suppressing Inhibition of Enzyme‐Mediated Reactions By Ionic Detergents Using High Concentration of Non‐Ionic Detergent」を参照されたい。
【0391】
ステップ1922において、左側移送機構502はMTU160を磁性分離ステーション800から左側回転攪拌器552に戻し、事後操作中における流体内容物の蒸発および跳ねを防止するために、MTU160の各反応管162に200μLのシリコンオイルを添加する。ステップ1924において、試薬ピペットアセンブリ470は、左側回転攪拌器552内に配置されたMTU160の各反応管162に75μLの増幅試薬を分注する。典型的なTMA反応の場合、増幅試薬は、RNAポリメラーゼによって認識された3´標的結合領域および5´プロモーター配列を有するアンチセンスプロモータープライマーと、プロモータープライマーによって形成された延長産物に結合するセンスプライマーと、ヌクレオシド三リン酸(すなわち、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、ATP、CTP、GTP、およびUTP)と、TMA反応を実行するのに十分な共同因子とを含有する。リアルタイムTMA増幅アッセイの場合、増幅試薬は、鎖置換と、相互作用ラベル対(例えば、相互作用する蛍光部分および従来の手段によってその5´端および3´端に繋ぎ合わせられた消光剤部分)を有する分子トーチプローブと、増幅が発生している際には増幅産物に対して、好ましくは、反応管162内に存在し得るあらゆる非対象核酸以外に対して検出可能にハイブリダイズすることができる標的特異領域とも含有する。Kacianら、米国特許第5,399,491号;Beckerら、米国特許出願2006‐0046265 A1号公報「Single‐Primer Nucleic Acid Amplification」(副産物形成を最小化するために、3´端でブロックされたアンチセンスプライマーおよびセンスプロモーターオリゴヌクレオチドが用いられる、代替のTMAベースの増幅アッセイを開示している);および、Beckerら、米国特許第6,361,945号を参照されたい。続いて、MTU160を16Hzで15秒間混合する。
【0392】
ステップ1926において、左側移送機構502は、MTU160を左側回転攪拌器552から処理デスク200の左側に位置する温度勾配ステーション700の1つに移動させる。続いてMTU160を、65℃で132秒間インキュベートする。ステップ1928において、左側移送機構502は、MTU160を温度勾配ステーション700からTCインキュベータ600に移動させ、プロモータープライマーを対象核酸と結合させるために、62℃で10分間インキュベートする。この特定のTMA実施例における好ましいプロモータープライマーは、T7RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列を有する。ステップ1930において、左側移送機構502は、MTU160をTCインキュベータ600からAMPインキュベータ604に移動させ、MTU160の内容物を43℃で10分間インキュベートして、当該MTU内容物を安定させる。
【0393】
ステップ1932において、試薬ピペットアセンブリ470は、20℃に保たれた酵素試薬25μLを、試薬冷却ベイ900からAMPインキュベータ604内に位置するMTU160の各反応管162に添加する。(各反応管162の内容物の温度を増幅温度よりもわずかに高い温度に維持することにより、増幅を開始する前は熱感受性酵素を冷温に維持することができる。)本実施例の酵素試薬は、TMA、つまり転写ベースの増幅手順を実行するための、逆転写酵素およびT7RNAポリメラーゼを含有する。ステップ1934において、AMPインキュベータ604内の線形攪拌器634は、酵素試薬を添加したMTU160を10Hzで15秒間混合し、各反応管162の内容物の温度は約42℃まで下がる。ステップ1936において、左側移送機構502は、MTU160をAMPインキュベータ604からRTインキュベータ608に移動させる。MTU160をRTインキュベータ608内で60分間42℃に維持して標的配列の増幅を可能にし、リアルタイム増幅の場合は、増幅プロセス中の増幅産物に対するプローブのハイブリダイゼーションを検出するために、規定の頻度で読み取りが行われる。MTU160は、計器50によって連続的な様式で処理されている(一般的に、新しいMTUがアッセイ処理を開始するのは165秒ごとである)ため、MTUは連続的(一般的に、165秒ごと)にRTインキュベータ608に添加、およびそこから除去されている。ステップ1938において、最後の読み取りが行われた後、右側移送機構500はMTU160をRTインキュベータ608から照度計1360へ移動させる。ステップ1940において、MTU160は照度計1360から失活準備室750へ渡る。失活準備室750に入ると、反応管内に存在する核酸を失活させる(すなわち、核酸を増幅不可能に変える)ために、反応管162のそれぞれに2mLの漂白剤ベースの薬剤が提供される。例えば、Dattaguptaら、米国特許第5,612,200号、および、Nelsonら、米国特許出願第2005‐0202491 A1号公報を参照されたい。
【0394】
ステップ1936に続いて、典型的な終点TMA増幅アッセイに従って処理されている内容物を有するMTU160は、
図76Bに示すように進む。このプロセスのステップ1942において、左側移送機構502は、RTインキュベータ608から処理デスク200の左側にある温度勾配ステーション700へMTU160を移し、64℃で362秒間加熱する。あるいは、MTU160は、RTインキュベータ608から温度勾配のためのHYBインキュベータ606の指定領域へ移動される。ステップ1944において、左側移送機構502は、温度勾配ステーション700からHYBインキュベータ606へMTU160を移動し、そこで各反応管162に100μLのプローブ試薬が添加される。プローブ試薬は、対象核酸の増幅産物に対して、および、好ましくは、反応管162内に存在し得るあらゆる非対象核酸以外に対して、検出可能なように結合するために十分な量のプローブを含有する。典型的な終点TMA実施形態の場合、プローブは、当該プローブを化学発光アクリジニウムエステルで標識するために使用される非ヌクレオチドリンカーを含むように合成される。Arnoldら、米国特許第5,185,439号および第6,031,091号を参照されたい。ステップ1946において、MTU160は、傾斜ディスク線形攪拌器634に隣接するHYBインキュベータ606内に保持され、当該攪拌器は、当該MTUの内容物を14Hzで15秒間混合するために用いられるものである。ステップ1948において、MTU160の内容物を64℃で1762秒間インキュベートする。
【0395】
検出のためには、ステップ1950において、MTU160の各反応管162の内容物に、まず250μLの選択試薬を提供する。上述したように、HPAアッセイにおける選択試薬は、特にハイブリダイズされていないプローブと関連付けられたアクリジニウムエステルラベルを加水分解するアルカリ試薬を含有し、一方、ハイブリダイズされたプローブと関連付けられたアクリジニウムエステルラベルは、これらの条件下において加水分解されず、後述する条件下において検出可能な様式で化学発光することができ、その結果、使用者は、溶液中の結合プローブと遊離プローブとを区別することができる。Arnoldら、米国特許第5,639,604号を参照されたい。選択試薬を反応管162に添加した後、MTU160は傾斜ディスク線形攪拌器634に隣接して保持され、反応管の内容物は13Hzで30秒間混合される。ステップ1954において、選択プロセスを容易にするために、反応管162の内容物を64℃で606秒間インキュベートする。
【0396】
ステップ1956において、左側移送機構502は、MTU160をHYBインキュベータ606からAMPインキュベータ604へ移し、反応管162の内容物を43℃で172秒間冷却する。反応管162の内容物の温度を50℃より下に下げると、概して選択試薬の活性を阻むことになり、したがって、様々な反応管からの最終信号値が同程度となるように、各MTU160の反応管の内容物を実質的に同じ速度で冷却することが重要である。ステップ1958において、左側移送機構502は、MTU160をAMPインキュベータ604からRTインキュベータ608に移動させ、その後、右側移送機構500がMTU160をRTインキュベータ608から処理デスク200の右側にある停止ステーション210に移動させ、反応管162の内容物を室温で560秒間、さらに冷却する。ステップ1960において、MTU160を処理デスク200の右側にある温度勾配ステーション700に移し、反応管162の内容物を21℃で366秒間冷却する。複数の化学発光ラベルを伴うHPA多重アッセイにおいては、当該ラベルの光の放出の特性が識別可能となるように、反応管162の内容物の温度を29℃より下に保つことが好ましい。例えば、Nelsonら、米国特許第5,756,709号「Compositions for the Simultaneous Detection and Quantitation of Multiple Specific Nucleic Acid Sequences」を参照されたい。
【0397】
ステップ1962において、右側移送機構500は、MTU160を勾配ステーション700から照度計1360に移動させ、そこで各反応管162は200μLのDetectI試薬を、次に、約2秒遅れて、200μLのDetectII試薬を受ける。DetectI試薬およびDetectII試薬が反応管162へ注入される速度は、反応管の内容物を攪拌せずに混合するのに十分なほど強力なものとし、試薬の流れが気泡または空隙によって中断されないように、滴下線(図示せず)を用意する。DetectI試薬およびDetectII試薬を反応管162に注入するための好ましい最高速度は、1000μL/秒である。上述のように、選択プロセスにおいて加水分解されなかったそれらのアクリジニウムエステルラベルの化学発光を増強する、塩基性過酸化水素水を形成するために、DetectI試薬およびDetectII試薬を組み合わせる。これらの試薬は、GEN‐PROBE(R)Detection Reagent Kit(Gen‐Probe社;製品番号1791)として販売されている。
【0398】
ステップ1964において、MTU160は照度計1360から失活準備室750へ渡る。失活準備室750において、反応管内に存在する核酸を失活させるために、反応管162のそれぞれに2mLの漂白剤ベースの薬剤が提供される。例えば、Dattaguptaら、米国特許第5,612,200号、および、Nelsonら、米国特許出願第2005‐0202491 A1号公報を参照されたい。
【0399】
蛍光測定は、好ましくは、30秒ごとの反応管162につき、3つまたは4つのスペクトル帯域のそれぞれに対して(すなわち、各標的色素に対して)1回の測定という割合で行われ、したがって、回転台1656は30秒に1回、回転しなくてはならない。好ましい実施形態においては、RTインキュベータ608の回転台1656に運搬された15のMTU160があり、それぞれ24°間隔があけられている。回転中に15のMTUステーション1663のそれぞれにおいて読み取りを可能にするためには、各読み取りは2秒以下で完了しなくてはならない。読み取りは2秒未満で完了し、30秒ごとの各色素につき1回の測定という望ましい読み取り速度を維持しながら、完了したMTUをRT608から除去する際に新たなMTU160をRTインキュベータ608内に置く時間を作るために、各回転は30秒未満で完了するのが理想的である。
【0400】
規定の時間のあいだ、規定の間隔で各反応管162からの蛍光放出を測定することによってデータを収集すると、当該データを処理してサンプル中の特定の検体(例えば、対象核酸)の濃度を決定する。測定されたデータ、すなわち測定信号は、相対蛍光ユニット(Relative Fluorescent Unit;「RFU」)と称され、フォトダイオード1780に集束された放出蛍光の量に基づいて、光検出ユニット1700のプリント基板1790により生成された信号である。ある時間間隔で測定された各データポイントは、RFU(t)である。「成長曲線」として知られる、様々なデータセットを表すRFU(t)のプロットを、
図78に示す。一般に、各RFU(t)プロットは概してS字形状であり、初期に最低レベルまたはその付近における平らな部分(「静的レベル」または「基準期」として知られる)があり、突然で比較的急傾斜の部分(「成長期」として知られる)が続き、最高レベルまたはその付近における略平らな部分(「分裂停止期」として知られる)で終わることを特徴とする。
【0401】
本明細書において使用する場合、「成長曲線」とは、時間またはサイクル数の関数としての反応における、アンプリコン等、合成産物の出現の特徴的パターンをいう。成長曲線は、便宜上、時間(x軸)対蛍光測定RFU等の産物量の何らかの指標(y軸)の二次元プロットとして表される。すべてではなく一部であるが、成長曲線はS字形状を有する。成長曲線の「基準期」とは、産物(アンプリコン等)の量が実質的に一定の速度で増加し、当該速度は成長曲線の(対数線形プロファイルを有し得る)成長期の増加特性の速度未満である、当該曲線の初期段階をいう。成長曲線の基準期は、一般に、頻繁にゼロに近似する極めて浅い傾斜を有する。成長曲線の「成長期」とは、当該曲線のうち、測定可能な産物が時間とともに実質的に増加する部分をいう。一般的な核酸増幅反応における基準期から成長期への遷移は、ある速度におけるアンプリコンの出現が時間とともに増加することを特徴とする。成長曲線の成長期から分裂停止期への遷移は、アンプリコン出現の速度が減少し始める変曲点において始まる。「分裂停止期」とは、当該曲線の最終段階をいう。分裂停止期において、測定可能な産物形成の速度は、対数線形成長期におけるアンプリコン産生の速度よりも実質的に低く、ゼロに近似する場合もある。
【0402】
図77のフローチャートを用いて、検体濃度を算出するためのプロセスを示す。光検出モジュール1700からのデータRFU(t)は、ボックス2100に表されるように入力される。ステップ2102において、データRFU(t)は、色分離手順を踏む。
図67から十分理解できるように、異なる色素、特にスペクトル的に隣接する色素の放出スペクトルにおいて、かなりの重複がある。したがって、特定の反応管162から得られたRFU(t)データは、異なる標的に対応する1つ以上の異なる色素からの放出データだけでなく、所望の検体に対応する(すなわち、所望の検体と結合するプローブに繋ぎ合わせられた色素からの)放出データも含み得る。所望の検体によるものでないRFU(t)信号の当該部分を分離するために、異なる色素固有の光検出モジュール1700によって得られた異なる信号を逆畳み込みする等、標準的な数学的手法を用いることができる。逆畳み込みは、各光検出モジュールによって測定された信号を、サンプル中に存在する色素のそれぞれからの放出の数学関数として表すことができると仮定する、既知の手法である。例えば、測定結果は4つの光検出モジュールによるものであると仮定すると、
RFU
1(t)=k
1RFU
A(t)+k
2RFU
B(t)+k
3RFU
C(t)+k
4RFU
D(t)
RFU
2(t)=k
5RFU
A(t)+k
6RFU
B(t)+k
7RFU
C(t)+k
8RFU
D(t)
RFU
3(t)=k
9RFU
A(t)+k
10RFU
B(t)+k
11RFU
C(t)+k
12RFU
D(t)
RFU
4(t)=k
13RFU
A(t)+k
14RFU
B(t)+k
15RFU
C(t)+k
16RFU
D(t)
ここで、
RFU
1(t)=光検出モジュール#1において測定された信号
RFU
2(t)=光検出モジュール#2において測定された信号
RFU
3(t)=光検出モジュール#3において測定された信号
RFU
4(t)=光検出モジュール#4において測定された信号
RFU
A(t)、RFU
B(t)、RFU
C(t)、RFU
D(t)=各色素A、B、C、Dのそれぞれによる放出信号の部分
k
1〜k
16=定数
である。
【0403】
すべての光検出モジュールの信号に対応する関数はマトリクスに置かれ、各色素について、光検出モジュールのそれぞれからの信号の関数として、当該色素による信号の数学的表現を導き出すために、マトリクス反転が実行される。
RFU
A(t)=f
1(RFU
1(t),RFU
2(t),RFU
3(t),RFU
4(t))
RFU
B(t)=f
2(RFU
1(t),RFU
2(t),RFU
3(t),RFU
4(t))
RFU
C(t)=f
3(RFU
1(t),RFU
2(t),RFU
3(t),RFU
4(t))
RFU
D(t)=f
4(RFU
1(t),RFU
2(t),RFU
3(t),RFU
4(t))。
【0404】
色分離2102から、データRFU(t)は、2104から始まる閾値時間決定へ進む。閾値時間、つまりT時間(出現時としても知られている)とは、後述するように正規化されたデータRFU(t)が所定の閾値に達する時間をいう。以下でさらに詳細に説明するように、較正曲線を使用して特定のサンプルについて決定されたT時間を検体濃度と相関させ、それによって当該サンプルの検体濃度を示すことができる。一般に、所望の検体の濃度が高いほど、T時間は早くなる。
【0405】
T時間決定手順の第1のステップは、ボックス2106に表すように、バックグラウンド補正およびデータの正規化である。バックグラウンド補正は、信号データRFU(t)のバックグラウンド「ノイズ」による部分を、例えば、計器50のその他のモジュールからの迷走電磁信号から減じるために実行される。すなわち、バックグラウンドノイズは、所望の検体以外のソースによるRFU(t)信号の当該部分を含む。バックグラウンド補正は、調整されたデータRFU
*(t)を得るために、データRFU(t)からバックグラウンド値「BG」を減じることによって実行される。すなわち、RFU
*(t)=RFU(t)−BGである。
【0406】
バックグラウンドBGは、数多くのやり方で決定できる。
【0407】
バックグラウンドノイズを決定するための一方法によると、第1のステップは、データ点間の時間間隔を決定することである。時間間隔は、サイクル時間(すなわち、連続するデータ測定間の時間)にデータ点(すなわち、第0データ点、第1データ点、第2データ点、…第nデータ点)を乗じ、60秒で割ることによって決定される。例えば、サイクル時間を30秒とすると、第15データ点の時間間隔は、(15×30秒)/60秒=7.5である。
【0408】
次のステップは、最小信号データ点と最大信号データ点とを足して2で割ることにより、信号データの中間点を求めることである。すなわち、(RFU
max+RFU
min)/2である。中間値に対応する時間から開始して逆向きに計算し、各データポイント対の傾斜を算出する:(RFU(t)−RFU(t−1))/Δt(t→t−1)。
【0409】
次に、静的傾斜値未満の第1の傾斜値を求めることにより、RFU(t)の傾斜をどこで平らにするかを決定する(すなわち、RFU(t)曲線前の値が上方傾斜を開始する)。「デルタ値」としても知られる代表的な静的傾斜値として、0.0001が挙げられる。この傾斜を求めた後、負でない、または負の傾斜が、例えば負のデルタ値(すなわち、−0.0001)を超える次のサイクルを求め、この値をH
indexとする。次に、第1のデータ点から開始してRFU(t)値の範囲全体の平均をとり、H
indexに対応するRFU値まで進む。このデータの平均は、0.15の静的バックトリム値を使用する(すなわち、特定された範囲内のRFU値の下限から7.5%および特定された範囲内のRFU値の上限から7.5%を除く)このデータ範囲に、ExcelのTRIMMEAN関数を使用して演算することができる。この平均値を、バックグラウンド、BGとする。
【0410】
あるいは、バックグラウンドは、0.0001以外のデルタ値を使用し、上述の手順に従って決定することもできる。
【0411】
バックグラウンドを決定するためのさらなる代替方法では、デルタ値基準をなくし、代わりに、サイクル1から、5.5分前の第1のサイクル等、規定の終点までのRFUデータの、TRIMMEAN平均をとる。この代替では、静的バックトリム値は、例えば0.40に調整され得る(すなわち、特定された範囲内のRFU値の下限から20%および特定された範囲内のRFU値の上限から20%を、バックグラウンド算出から除く)。
【0412】
バックグラウンドを決定するためのさらなる代替方法は、減じられるバックグラウンドである基礎値の概算を導き出すために、RFUデータのすべてまたは一部に対して、曲線当てはめを実行することである。RFUデータに曲線を当てはめるのに適したいかなる曲線当てはめ手法を使用してもよい。
【0413】
典型的な曲線当てはめ手法は、Weustenらによって導き出された、核酸増幅に関連する一般的なS字曲線の曲線当てはめを表す方程式の一部を使用するものである。Weustenら、「Nucleic Acids Research」30(6e26):1〜7(2002年)を参照されたい。バックグラウンド減算法では、基準レベルを確認することが唯一必要である。したがって、基線を包含するRFUデータの第1の部分に、通常は曲線の始点に向けて曲線を当てはめることも、最低限必要である。
【0414】
曲線当てはめは、サイクル1から最大RFUの75%の直前のサイクルまでのRFU(t)データに対して実行することができる。上述したようにWeustenらによって導き出された方程式の一部である以下の多項式(3)は、RFUの最良当てはめモデルを生成するために使用される。
RFU(t)=Y0+ala2[e
a2(t−a3)/(1+e
a2(t−a3))]ln(1+e
a2(t−a3)) (3)
後述するような変数Y0、a1、a2、およびa3の初期概算は、曲線当てはめ方程式への入力であり、最終方程式ならびにY0、a1、a2、およびa3の最終値を産出するために、例えばMicrosoft EXCELのSOLVER関数を使用して、方程式をRFUデータに当てはめる反復解法が行われる。
Y0=基線;初期値はRFU(1)であってよい。
a1=RFU(t)データの急傾斜の部分(成長期)に関する;0.05がa1の適切な初期概算となり得る。
a2=RFU(t)データの急傾斜の部分(成長期)に関する;1.0がa2の適切な初期概算となり得る。
a3=基線と傾斜特徴との間の遷移に関する;RFU
maxの25%の直前にくる値に達する時間またはサイクルがa3の適切な初期概算である。
【0415】
Y0、a1、a2、およびa3の最終値が導き出されると、Y0はバックグラウンドとして扱われ、曲線当てはめを実行したRFU(t)データから減じられる。
【0416】
上記以外の曲線当てはめ方程式を使用してもよい。例えば、典型的なリアルタイム核酸増幅曲線を説明した方程式を特定および選択するために、市販のTABLECURVEソフトウェアパッケージ(SYSTAT Software Inc.(カリフォルニア州、リッチモンド))を使用することができる。数学モデリングに使用される、結果として生じるそのような典型的な方程式は、方程式(4)によって与えられる。
RFU(t)=Y0+b(1−exp(−(t−d
*ln(1−2^
(−1/e))−c)/d))^
e (4)
結果として生じるさらに別の典型的な方程式は、方程式(5)によって与えられる。
RFU(t)=Y0+b/(1+exp(−(t−d
*ln(2^
(1/e)−1)−c)/d))^
e (5)
いずれの場合も、上述したように、最終方程式およびY0の最終値ならびにその他のパラメータを産出するために、例えばMicrosoft EXCELのSOLVER関数を使用して方程式を解くことができ、当該解は、RFU(t)データから減じられるバックグラウンドであるY0を産出する。
【0417】
データを正規化するには、バックグラウンドを調整した各データ点を、同じくバックグラウンドを調整した最大データ点で割る、すなわち、
【0418】
【化1】
すなわち、RFU
n(t)は、−1から1となる。
【0419】
ステップ2108において、データの範囲はRFU
n(max)からRFU
n(min)を減じることによって算出される。算出された範囲が、特定された最小範囲(例えば、0.05)を満たさない、または超えない場合、当該データは疑わしく信頼性に問題があると考えられるため、T時間は算出されない。最小範囲は、経験的に決定され、1つの蛍光測定機器と次のものとで異なっていてもよい。最小から最大までのデータ値の変動がシステムのノイズを確実に超えるように、特定された最小範囲を選択するのが理想的である。ステップ2110において、正規化されたバックグラウンド調整済みデータに曲線当てはめ手順が適用される。既知の曲線当てはめ方法論のいずれを用いてもよいが、好ましい実施形態においては、線形最小二乗法(linear least squares;「LLS」)による曲線当てはめが用いられる。曲線当てはめは、所定の下限値と上限値との間のデータの一部についてのみ実行される。データに当てはめる曲線を求めた後の最終目的は、曲線が所定の閾値と交差する点に対応する時間を求めることである。好ましい実施形態において、正規化データの閾値は0.11である。上限値および下限値は、様々な対照データセットに曲線を当てはめる範囲が、ある閾値に関連付けられた時間において最小の変動を示すのに伴って、経験的に決定される。好ましい実施形態において、下限値は0.04、上限値は0.36である。当該曲線は、下限値を下回る第1のデータ点から上限値を越えた第1のデータ点まで拡張するデータに適している。
【0420】
ステップ2110において、当てはめの傾斜が統計上重要か否かを判断する。例えば、一次係数のp値が0.05未満の場合、当てはめは重要であると考えられ、処理が継続される。そうでない場合、処理は終了する。あるいは、R
2値によってデータの有効性を判断することができる。
【0421】
線形曲線y=mx+bの傾斜mおよび切片bは、当てはめられた曲線に合わせて決定される。その情報によれば、ステップ2104において以下のようにT時間を決定することができる。
【0422】
【化2】
当てはめられた曲線を使用してT時間を決定する手法について、
図79でグラフで図示している。
【0423】
図77を参照すると、ステップ2116において、内部対照/キャリブレータ調整が望ましいか否かが判断される。一般に、試験手順は、対照として少なくとも1つの反応槽を既知の濃度の核酸(所望の核酸以外)とともに含むと思われ、あるいは、各サンプルに対照核酸配列を添加してもよい。既知の濃度は、反応槽内で反応が行われたことを確認するために、単純に対照として使用してよい。すなわち、既知の濃度が予想通りに増幅した場合には反応が成功したことが確認され、対象検体についての芳しくない結果は、サンプル内における標的の不在によるものと結論付けられる。一方、予想通りに既知の濃度を増幅できないことは反応の失敗を示し、標的についてのいかなる結果も無視される。
【0424】
既知の濃度を使用して、標的の濃度を較正することができる。内部対照および標的配列を含有する一連の標準に対応するT時間は、実質的に有効な数のデータセットについて決定される。このデータを使用して、後述のように試験サンプルの濃度が補間される較正プロットが構成される。
【0425】
較正プロットを構成する一方法では、対象検体の既知の濃度をx軸に、対して、標的と対照とのT時間の差異をy軸に置く。続いて、試験サンプルの濃度を較正曲線当てはめにより補間する。較正プロットを構成する別の方法では、対象検体の既知の濃度をx軸に、対して、比[標的T時間/内部対照T時間]をy軸に置く。続いて、試験サンプルの濃度を較正曲線当てはめにより補間する。これについての例は、Haalandら、米国特許第6,066,458号「Methods,Apparatus and Computer Program Products for Determining Quantities of Nucleic Acid Sequences in Samples Using Standard Curves and Amplification Ratio Estimates」において開示されている。較正プロットを構成するさらなる代替方法では、本明細書と共通した所有権のある、Carrickら、米国仮出願第60/737,334号「Parametric Calibration Method」に記載されている方法等、パラメトリック較正方法を利用する。
【0426】
データセットは時に、初期の静的基線の直後(すなわち、RFU(t)曲線の、初期の平らな部分、
図78参照)およびデータが上方傾斜を開始する直前に、ディップを示すこともある。そのようなデータを特定し訂正するために、当該データのT時間を決定する前に、以下のアルゴリズムを用いる。H
indexから開始して、バックグラウンド値BGより小さいか否かを判断するために、各RFU(t)値をチェックする。小さい場合は、BGからRFU(t)を減じる(結果は正数となるはずである)。これがCorValue(反発係数値)となる。バックグラウンドを減じた値にCorValueを加え、これによりRFU(t)が基線となる。各RFU(t)値について前向きに計算し、最後のCorValueが前CorValueより小さくなるまで、この分析を実行する。残りのバックグラウンドを減じたRFU(t)値のそれぞれに、最も大きいCorValueを加える。ここで、上述したように、訂正されたデータセットを正規化、および、T時間を決定することができる。
【0427】
バックグラウンドレベルを導き出すために曲線当てはめ方法を使用する場合、上述のようにディップ補正を実行しなくてもよい場合がある。
【0428】
残りのデータ点と比較して異常な値を示すデータ点を特定し、必要に応じて廃棄するために、データセットに対して異常値検出を実行することも望ましい。既知の異常値検出方法論のいずれを使用してもよい。
【0429】
検体濃度決定の第2部は、定量手順2120である。既知の条件での既知の濃度の検体についてT時間を決定する。このデータを使用して、検体濃度(一般に、Logコピーと表現される)とT時間との間の関係を導き出すことができる。特定のサンプルについてT時間を決定した後、導き出された関係(Logコピー=f(T時間))を使用して、当該サンプルに対する検体濃度を決定することができる。
【0430】
より具体的には、ステップ2122および2124において、既知の濃度の対照検体についての較正/対照データセットは、例えば、異常値分析および/またはその他任意の既知のデータ有効性検証方法論により、有効性を検証される。データが有効であることが分かれば較正は継続するが、そうでない場合、較正は終了する。
【0431】
対照データセットについてT時間が決定され、特定の状態のすべてのサンプル(例えば、特定のバッチロットの試薬で処理されたサンプル)についてT時間対Logコピーがプロットされる。ステップ2126において、当該データに最適な線の傾斜mおよび切片bを求めるために、T時間対Logコピープロットの一部に対して線形最小二乗法による当てはめ等の曲線当てはめが実行される。利用可能なT時間対Logコピーデータ点(「キャリブレータ」として知られる)の数が少なくともキャリブレータの(ステップ2128で決定されたような)所定の最小数である場合、必要に応じ、最低のキャリブレータをステップ2130において以下のように除去する。
【0432】
キャリブレータデータ点に最適な線を求めた後、二次および三次曲線当てはめについても同様に試験を行う。これらの当てはめが一次線形当てはめよりも著しく良好であれば、当該線形曲線当てはめから最も遠いキャリブレータデータ点を廃棄し、一次、二次、および三次当てはめを求めて、残りのキャリブレータと再度比較する。このプロセスは、―キャリブレータの数が少なくともキャリブレータの許容可能な最小数であると仮定すると―二次および三次当てはめが一次線形当てはめよりも著しく良好でなくなるまで繰り返される。
【0433】
線形T時間対Logコピー方程式が導き出されると、ステップ2132において、サンプルのT時間を方程式に代入することにより、当該サンプルに対する所望の検体の濃度が(Logコピーとして)決定される。このようにして、アッセイ結果が得られる2134。
【0434】
RTインキュベータ608の考えられる強化として、自己チェック光検出モジュールが挙げられる。そのようなモジュールにおいては、既知の標準的な励起信号が、LED1732(または代替として、別個の専用LED)によって放出され、当該励起光は、励起信号、放出信号、および、プリント基板1790の信号出力がすべて正しいことを確実にするために、フォトダイオード1780(および/または別個の専用コンパレータフォトダイオード)へ方向付けられる。
【0435】
本明細書において言及するすべての文献は、参照することにより本書に組み込まれる。しかしながら、いかなる文献も、請求項に記載された対象の先行技術であると認められるものではない。
【0436】
現在最も実用的であると考えられているものおよび好ましい実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は開示されている実施形態に限定されるものではなく、添付の請求項の精神と範囲に含まれる様々な修正形態および均等物にも及ぶことを意図したものであると理解されたい。
【0437】
さらに、米国特許法第112条第6項に基づいて許可される「特定の機能を実行するための手段」書式の文言を含まない添付の特許請求項の範囲のそれらは、米国特許法第112条第6項に基づいて、本明細書およびその均等物に記載された構造、材料、または作用に限定されるものとして解釈されることを意図するものではない。