(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202643
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】組電池
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20170914BHJP
H01M 2/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
H01M2/10 Y
H01M2/02 K
H01M2/10 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-505224(P2015-505224)
(86)(22)【出願日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2013079109
(87)【国際公開番号】WO2014141524
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2016年9月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-53390(P2013-53390)
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310010081
【氏名又は名称】NECエナジーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】中島 聡
(72)【発明者】
【氏名】海野 誠
【審査官】
井原 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−89415(JP,A)
【文献】
特開2010−219268(JP,A)
【文献】
特開2005−267880(JP,A)
【文献】
特開2007−110036(JP,A)
【文献】
特開2001−256933(JP,A)
【文献】
特開2009−26735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを介して正極と負極とが交互に積層された発電要素と、前記発電要素を電解質とともに収容可能な内部空間が形成されているフィルム外装材と、を有するフィルム外装電池が複数積層されている組電池であって、
前記発電要素が、積層方向の両側に位置している主面と、前記主面に隣接している側面と、を有し、
前記フィルム外装材が、前記主面を覆っている主面被覆部と、前記側面を覆っている側面被覆部と、を備えている収容部であって、前記主面被覆部および前記側面被覆部が前記内部空間を形成している収容部と、前記側面被覆部から突出し、前記内部空間を封止している封止部と、を有し、一部の前記フィルム外装材は、前記封止部が、前記積層方向で隣接している他のフィルム外装材の前記側面被覆部に接着されている、組電池。
【請求項2】
最上層の発電要素または最下層の発電要素を収容している末端フィルム外装材において、該末端フィルム外装材の前記封止部が、該末端フィルム外装材の前記側面被覆部に接着されている他の封止部に接着されている、請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
最上層の発電要素または最下層の発電要素を収容している末端フィルム外装材において、該末端フィルム外装材の前記封止部が、該末端フィルム外装材の前記主面被覆部に接着されている、請求項1に記載の組電池。
【請求項4】
最上層の発電要素または最下層の発電要素を収容している末端フィルム外装材の前記主面被覆部に面している基板をさらに有し、前記末端フィルム外装材の前記封止部が、前記基板に固定されている、請求項1に記載の組電池。
【請求項5】
前記基板を前記積層方向に貫通しているスリットが形成され、前記末端フィルム外装材の前記封止部は、前記スリットを通った状態で前記基板に固定されている、請求項4に記載の組電池。
【請求項6】
前記基板が、前記発電要素の充放電を停止するための保護回路を備えている、請求項4または5に記載の組電池。
【請求項7】
前記封止部が、該封止部よりも一層上に配置されている前記側面被覆部に接着されている第1の封止部と、該封止部よりも一層下に配置されている前記側面被覆部に接着されている第2の封止部と、を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電要素が電解質とともにフィルム外装材に収容されているフィルム外装電池が複数積層されている組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池に代表される二次電池は、携帯電話やデジタルカメラなどの携帯機器用のみならず、電動自転車、電動バイク、自動車にも搭載されている。二次電池の用途が多様化する中、電池の軽量化やデザインの自由度が求められている。この要求に応えることが可能な二次電池として、軽量かつ形状の自由度が高いフィルム状の外装材を用いたフィルム外装電池が知られている。さらに、大電力が必要とされる用途には、複数のフィルム外装電池を積層した組電池が知られている。
【0003】
フィルム外装電池は、一般的に、正極と負極を備えている発電要素と、発電要素を覆うフィルム外装材とを有している。フィルム外装材には、その内部に注入されている電解液の漏出や電池内部への水分の侵入を防ぐ役割が求められる。そのため、フィルム外装材の外周部には樹脂面同士を熱融着した封止部が設けられている。封止部は、電池として機能しない箇所である。そのため、電池の設置スペースの中で封止部が占める面積が広くなると、体積効率(単位体積当たりのエネルギー効率)が悪化することになる。そこで、このような問題を解決するための技術が特許文献1に開示されている。
【0004】
図1は、特許文献1に開示されたシート型電池の斜視図である。
図1に示すシート型電池では、素電池100が2枚の熱融着用シールフィルム150に収容されている。素電池100は、正極層160と集電体170とで構成された正極と、負極層120と集電体130とで構成された負極と、正極と負極との間に設けられた固体電解質層180とを有している。正極には、正極端子90が取り付けられている。負極には、負極端子110が取り付けられている。
【0005】
熱融着用シールフィルム150の外周部には熱融着部140が設けられている。熱融着部140は、素電池100の形状に沿って折り曲げられて熱融着用シールフィルム150の上面に接着されている。これにより、シート型電池の外形サイズが小さくなり、体積効率を向上させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−67167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したシート型電池では、熱融着部140(封止部)が熱融着用シールフィルム150の上面に接着されている。そのため、このシート型電池を組電池として用いた場合、熱融着部140の厚さが組電池の厚さに加わる。したがって、シート型電池の積層数が多くなるにつれて組電池の厚さが大幅に増加し、電池の大型化を招いてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、電池全体の厚みを抑制しつつ体積効率を向上させることが可能な組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の組電池は、セパレータを介して正極と負極とが交互に積層された発電要素と、前記発電要素を電解質とともに収容可能な内部空間が形成されているフィルム外装材と、を有するフィルム外装電池が複数積層されている組電池であって、前記発電要素が、積層方向の両側に位置している主面と、前記主面に隣接している側面と、を有し、前記フィルム外装材が、前記主面を覆っている主面被覆部と、前記側面を覆っている側面被覆部と、を備えている収容部であって、前記主面被覆部および前記側面被覆部が前記内部空間を形成している収容部と、前記側面被覆部から突出し、前記内部空間を封止している封止部と、を有し、一部の前記フィルム外装材は、前記封止部が、前記積層方向で隣接している他のフィルム外装材の前記側面被覆部に接着されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電池全体の厚みを抑制しつつ体積効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】特許文献1に開示されたシート型電池の斜視図である。
【
図2】実施形態1の組電池の構造を示す断面図である。
【
図3】
図1に示すフィルム外装電池の構造を示す断面図である。
【
図4】
図2に示すフィルム外装電池の平面図である。
【
図5】
図2に示すフィルム外装電池の分解図である。
【
図7A】実施形態1の組電池の変形例を示す断面図である。
【
図7B】実施形態1の組電池の変形例を示す平面図である。
【
図8A】フィルム外装材の変形例を示す断面図である。
【
図8B】
図8Aに示すフィルム外装材が折り曲げられた状態を示す断面図である。
【
図9A】フィルム外装材の別の変形例を示す断面図である。
【
図9B】
図9Aに示すフィルム外装材が折り曲げられた状態を示す断面図である。
【
図10A】フィルム外装材のさらに別の変形例を示す断面図である。
【
図10B】
図10Aに示すフィルム外装材が折り曲げられた状態を示す断面図である。
【
図11】実施形態2の組電池の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
図2は、実施形態1の組電池の構造を示す断面図である。
図2に示す組電池1は、積層されている複数のフィルム外装電池10を有している。
図3は、
図2に示すフィルム外装電池10の構造を示す断面図である。
図4は、
図3に示すフィルム外装電池10の平面図である。
図3は、
図4に示す切断線A−Aに沿った断面に対応している。
図5は、
図3に示すフィルム外装電池の分解図である。
【0013】
図2、3に示すように各フィルム外装電池10は、充放電可能な発電要素11と、発電要素11とともに電解質を収容可能な内部空間13が形成されているフィルム外装材12と、を有している。発電要素11は、セパレータ5を介して正極4と負極6とが交互に複数積層されて構成されている(
図5参照)。正極4には、正極リード端子17(
図5参照)が接続されている。負極6には、負極リード端子18(
図4参照)が接続されている。本実施形態では、
図4に示すように、正極リード端子17と負極リード端子18は、発電要素11から互いに同じ方向に突出している。正極リード端子17と負極リード端子18は、発電要素11から互いに反対方向に突出していてもよい。
【0014】
図3に示すように、フィルム外装材12は、内部空間13を形成している凹状の収容部14と、内部空間13を封止する封止部15と、を有している。収容部14は、発電要素11の主面11aを覆っている主面被覆部14aと、発電要素11の側面11bを覆っている側面14bと、を備えている。主面11aは、発電要素11の積層方向の両側に位置する面である。側面14bは、主面11aに隣接している面である。
【0015】
図5に示すように、本実施形態では、フィルム外装材12は、2枚のフィルム材12a、12bで構成されている。本実施形態では、フィルム材12aが、上述した収容部14を有している。本発明では、フィルム外装材12は、1枚のフィルム材を2つ折りにした形状であってもよい。
【0016】
図6は、フィルム材12a、12bの断面構造を示す図である。
図6に示すように、フィルム材12a、12bは、少なくとも樹脂層21と、金属層22と、樹脂層23と、が互いに積層された積層体である。樹脂層21は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱溶着性の合成樹脂で構成されている。金属層22は、アルミニウム、SUS(Steel Use Stainless)等の金属箔で構成されている。樹脂層23は、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の耐候性が大きな樹脂で構成されている。各フィルム材の樹脂層21の外周部同士を熱融着することによって、内部空間13が封止される。この熱融着部分が封止部15である。封止部15は、
図5に示すように互いに同じ向きに折り曲げられる。その後、封止部15は、収容部14の一層下に位置している他の収容部の側面被覆部14bに接着部材16で接着されている(
図2参照)。接着部材16には、両面テープや接着剤が適用できる。
【0017】
上述したように、本実施形態の組電池1では、フィルム外装電池10の封止部15が、一層下に位置している側面被覆部14bに接着されている。さらに、最下層のフィルム外装材12(末端フィルム外装材)の封止部15が、側面被覆部14bに接着されている封止部15(他の封止部)に接着部材16で接着されている。そのため、封止部15の厚さが、組電池1の厚さに加わらない。よって、
図11に示すシート型電池を積層する場合に比べて、電池全体の厚さを抑制することが可能となる。
【0018】
さらに、本実施形態の組電池1では、封止部15と側面被覆部14bが接着されるのに加えて主面被覆部14a同士も両面テープ、接着剤等で接着されている。そのため、フィルム外装電池10の接着面が2面になるので、フィルム外装電池10同士がより強固に固定される。これにより組電池1の耐衝撃性も向上する。
【0019】
本実施形態の組電池1では、最下層のフィルム外装電池10において封止部15同士が接着されている。本発明では、最上層のフィルム外装電池10において封止部15同士が接着されていてもよい。
【0020】
図7Aは、実施形態1の組電池の変形例を示す断面図である。
図7Bは、実施形態1の組電池の変形例を示す平面図である。
図7Aは、
図7Bに示す切断線A−Aに沿った断面図である。
図7Aに示すように、最下層または最上層のフィルム外装電池10において封止部15が主面被覆部14aに接着部材16で接着されていてもよい。この場合、封止部15一つ分の厚さが組電池1aの厚さに加わる。しかし、
図1に示すシート電池を積層した組電池に比べて電池全体の厚さは十分に抑制される。
【0021】
図8Aは、フィルム外装材12の変形例を示す断面図である。
図8Bは、
図8Aに示すフィルム外装材が折り曲げられた状態を示す断面図である。本実施形態の組電池1では、積層方向の上側に位置するフィルム材12aに凹部が形成されている。しかし本発明では、
図8Aに示すように積層方向の下側に位置するフィルム材12bに凹部が形成されていてもよい。この場合、発電要素11の側面11bの長手方向に沿って内部空間13を封止している2つの封止部15(熱融着部)が同じ方向に折り曲げられる。(
図8B参照)。
【0022】
図9Aは、フィルム外装材12の別の変形例を示す断面図である。
図9Bは、
図9Aに示すフィルム外装材が折り曲げられた状態を示す断面図である。本発明では、
図9Aに示すようにフィルム部材12a、12bの各々に収容部14として機能する凹部が形成されていてもよい。この場合、発電要素11の側面11bの長手方向に沿って内部空間13を封止している2つの封止部15(熱融着部)が同じ方向に折り曲げられる。(
図9B参照)。
【0023】
図10Aは、フィルム外装材12のさらに別の変形例を示す断面図である。
図10Bは、
図10Aに示すフィルム外装材が折り曲げられた状態を示す断面図である。
図10Cは、
図10Bに示すフィルム外装材を備えた組電池を示す断面図である。本発明では、
図10Aに示すように、フィルム部材12a、12bの各々に収容部14として機能する凹部が形成されていてもよい。この場合、発電要素11の側面11bの長手方向に沿って内部空間13を封止している2つの封止部15(熱融着部)が互いに反対方向に折り曲げられる(
図10B参照)。この場合、
図10Cに示すように封止部15の一方(第1の封止部)は、一層上に配置されている側面被覆部14bに接着され、封止部15の他方(第2の封止部)は、一層下に配置されている側面被覆14bに接着されている。最上層の封止部15の一方は、折り曲げられて主面被覆部14aに接着され、最下層の封止部15の他方は、折り曲げられて主面被覆部14aに接着されている。
【0024】
(実施形態2)
本発明の実施形態2について説明する。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
図11は、実施形態2の組電池の構造を示す断面図である。実施形態1の組電池1と同様の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0025】
図11に示すように、本実施形態の組電池2は、最下層のフィルム外装電池10に面している基板3を、さらに有する。基板3は、発電要素11の充放電を停止するための保護回路32を備えている。保護回路6は、本実施形態のように基板5と別体の構成であってもよく、基板5自体が保護回路を兼ねる構成であってもよい。基板3には、基板3を積層方向に貫通しているスリット31が形成されている。最下層の封止部15は、スリット31を通った状態で基板3に固定されている。
【0026】
本実施形態の組電池2は、組電池1と同様に、封止部15が積層方向で隣接する側面被覆部14bに接着されている。よって、封止部15の厚さが組電池2の厚さに加わらないので、電池全体の厚さを抑制することが可能となる。
【0027】
さらに、本実施形態の組電池2では、最下層のフィルム外装電池10が基板3と一体化している。そのため、基板3が一体化していない場合に比べて、最下層のフィルム外装電池10の衝撃を緩和させることが可能となる。
【0028】
本発明では、基板3は、最上層のフィルム外装電池10の上に配置されていてもよい。また、基板3にスリット31を形成することは必須の構成ではなく、最上層の封止部15または最下層の封止部15が、基板3の表面に直接接着されていてもよい。
【0029】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0030】
この出願は、2013年3月15日に出願された日本出願特願2013−53390を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0031】
1、2 組電池
3 基板
4 正極
5 セパレータ
6 負極
10 フィルム外装電池
11 発電要素
11a 主面
11b 側面
12 フィルム外装材
13 内部空間
14 収容部
14a 主面被覆部
14b 側面被覆部
15 封止部
16 接着部材
21 樹脂層
22 金属層
23 樹脂層
31 スリット
32 保護回路
90 正極端子
100 素電池
110 負極端子
120 負極層
130 集電体
150 熱融着用シールフィルム
160 正極層
170 集電体
180 固体電解質層