特許第6202644号(P6202644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202644
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】プラズマ生成用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20170914BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H05H1/46 R
   H01L21/302 101Z
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-534196(P2015-534196)
(86)(22)【出願日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】JP2014072133
(87)【国際公開番号】WO2015029937
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-174891(P2013-174891)
(32)【優先日】2013年8月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 太造
(72)【発明者】
【氏名】中村 学
【審査官】 林 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−175218(JP,A)
【文献】 特開平10−326698(JP,A)
【文献】 特開2002−270574(JP,A)
【文献】 特表2007−506258(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0327927(US,A1)
【文献】 特表2012−531880(JP,A)
【文献】 特開2013−005538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00−1/54
C23C 14/00−14/58
C23C 16/00−16/56
H01L 21/302
H01L 21/304
H01L 21/461
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設けられプラズマを生成するプラズマ生成部へ、パルス状の高周波電力を供給するパルス変調方式のプラズマ生成用電源装置であって、
所定の周波数の高周波信号を出力する発振部と、
前記発振部から出力される高周波信号を、ON状態とOFF状態とを繰り返すパルス状に変調し、パルス状高周波信号として出力する変調部と、
前記変調部から出力されるパルス状高周波信号のレベルを調整して出力するレベル調整部と、
前記レベル調整部から出力されるパルス状高周波信号の電力を増幅してパルス状高周波電力を出力する電力増幅器と、
前記電力増幅器から出力されるパルス状高周波電力の出力電力値を検出する出力電力検出部と、
前記変調部から出力される前記パルス状高周波信号のON状態における複数の経過時間と、該複数の経過時間にそれぞれ対応する複数の補正係数と、予め出力電力の値として設定された設定電力値とを記憶する記憶部と、
前記出力電力検出部で検出した前記出力電力値が入力され、該入力された出力電力値と前記設定電力値とに基づき、前記レベル調整部で調整されるパルス状高周波信号のレベルを制御するレベル制御信号を、前記レベル調整部へ出力する制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の経過時間のそれぞれにおいて、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数に基づき前記レベル制御信号を補正して出力し、高周波電力の出力波電圧と反射波電圧から求められるそれぞれの反射係数に対応する前記複数の経過時間のそれぞれにおける前記設定電力値と前記出力電力値を比較した結果である比較値が小さくなるよう、前回のパルスでの比較値と現在のパルスでの比較値を比較し、前記補正係数を更新することを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたプラズマ生成用電源装置であって、
前記記憶部は、さらに、前記レベル調整部で前記パルス状高周波信号のレベルを調整するための平均レベル調整値を記憶し、
前記制御部は、前記複数の経過時間のそれぞれにおいて、前記平均レベル調整値と前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数とに基づき、前記レベル制御信号を補正して出力するとともに、前記出力電力検出部から前記出力電力値を取得し、前記パルス状高周波信号がOFF状態になると、前記取得した複数の前記出力電力値と前記設定電力値とに基づき、前記出力電力値と前記設定電力値との差が所定の範囲内でない場合は、前記平均レベル調整値を更新することを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたプラズマ生成用電源装置であって、
前記制御部は、前記出力電力値が前記設定電力値よりも所定値以上に大きい場合は、前記平均レベル調整値を小さくし、前記出力電力値が前記設定電力値よりも所定値以上に小さい場合は、前記平均レベル調整値を大きくすることを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【請求項4】
請求項1に記載されたプラズマ生成用電源装置であって、
前記制御部は、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記出力電力検出部で検出した前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第1の電力値差として取得し、次に前記パルス状高周波信号がON状態になったときの前記経過時間のそれぞれにおける前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第2の電力値差として取得し、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記第1の電力値差と前記第2の電力値差とに基づき、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数を更新することを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【請求項5】
外部に設けられプラズマを生成するプラズマ生成部へ、パルス状の高周波電力を供給するパルス変調方式のプラズマ生成用電源装置のプラズマ生成方法であって、
所定の周波数の高周波信号を出力する発振手段と、
前記発振手段から出力される高周波信号を、ON状態とOFF状態とを繰り返すパルス状に変調し、パルス状高周波信号として出力する変調手段と、
前記変調手段から出力されるパルス状高周波信号のレベルを調整して出力するレベル調整手段と、
前記レベル調整手段から出力されるパルス状高周波信号の電力を増幅してパルス状高周波電力を出力する電力増幅手段と、
前記電力増幅手段から出力されるパルス状高周波電力の出力電力値を検出する出力電力検出手段と、
前記変調手段から出力される前記パルス状高周波信号のON状態における複数の経過時間と、該複数の経過時間にそれぞれ対応する複数の補正係数と、予め出力電力の値として設定された設定電力値とを記憶する記憶手段と、
前記出力電力検出手段で検出した前記出力電力値が入力され、該入力された出力電力値と前記設定電力値とに基づき、前記レベル調整手段で調整されるパルス状高周波信号のレベルを制御するレベル制御信号を、前記レベル調整手段へ出力する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記複数の経過時間のそれぞれにおいて、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数に基づき前記レベル制御信号を補正して出力し、高周波電力の出力波電圧と反射波電圧から求められるそれぞれの反射係数に対応する前記複数の経過時間のそれぞれにおける前記設定電力値と前記出力電力値を比較した結果である比較値が小さくなるよう、前回のパルスでの比較値と現在のパルスでの比較値を比較し、前記補正係数を更新することを特徴とするプラズマ生成方法。
【請求項6】
請求項5に記載されたプラズマ生成用電源装置のプラズマ生成方法であって、
前記記憶手段は、さらに、前記レベル調整手段で前記パルス状高周波信号のレベルを調整するための平均レベル調整値を記憶し、
前記制御手段は、前記複数の経過時間のそれぞれにおいて、前記平均レベル調整値と前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数とに基づき、前記レベル制御信号を補正して出力するとともに、前記出力電力検出手段から前記出力電力値を取得し、前記パルス状高周波信号がOFF状態になると、前記取得した複数の前記出力電力値と前記設定電力値とに基づき、前記出力電力値と前記設定電力値との差が所定の範囲内でない場合は、前記平均レベル調整値を更新することを特徴とするプラズマ生成方法。
【請求項7】
請求項6に記載されたプラズマ生成用電源装置のプラズマ生成方法であって、
前記制御手段は、前記出力電力値が前記設定電力値よりも所定値以上に大きい場合は、前記平均レベル調整値を小さくし、前記出力電力値が前記設定電力値よりも所定値以上に小さい場合は、前記平均レベル調整値を大きくすることを特徴とするプラズマ生成方法。
【請求項8】
請求項5に記載されたプラズマ生成用電源装置のプラズマ生成方法であって、
前記制御手段は、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記出力電力検出手段で検出した前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第1の電力値差として取得し、次に前記パルス状高周波信号がON状態になったときの前記経過時間のそれぞれにおける前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第2の電力値差として取得し、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記第1の電力値差と前記第2の電力値差とに基づき、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数を更新することを特徴とするプラズマ生成方法。
【請求項9】
外部に設けられプラズマを生成するプラズマ生成部へ、パルス状の高周波電力を供給するパルス変調方式のプラズマ生成用電源装置のプラズマ生成方法であって、
所定の周波数の高周波信号を出力する発振手段と、
前記発振手段から出力される高周波信号を、ON状態とOFF状態とを繰り返すパルス状に変調し、パルス状高周波信号として出力する変調手段と、
前記変調手段から出力されるパルス状高周波信号のレベルを調整して出力するレベル調整手段と、
前記レベル調整手段から出力されるパルス状高周波信号の電力を増幅してパルス状高周波電力を出力する電力増幅手段と、
前記電力増幅手段から出力されるパルス状高周波電力の出力電力値を検出する出力電力検出手段と、
前記変調手段から出力される前記パルス状高周波信号のON状態における複数の経過時間と、該複数の経過時間にそれぞれ対応する複数の補正係数と、予め出力電力の値として設定された設定電力値とを記憶する記憶手段と、
前記出力電力検出手段で検出した前記出力電力値が入力され、該入力された出力電力値と前記設定電力値とに基づき、前記レベル調整手段で調整されるパルス状高周波信号のレベルを制御するレベル制御信号を、前記レベル調整手段へ出力する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記複数の経過時間のそれぞれにおいて、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数に基づき前記レベル制御信号を補正して出力し、さらに、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記出力電力検出手段で検出した前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第1の電力値差として取得し、次に前記パルス状高周波信号がON状態になったときの前記経過時間のそれぞれにおける前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第2の電力値差として取得し、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記第1の電力値差と前記第2の電力値差とに基づき、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数を更新することを特徴とするプラズマ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを生成するために用いられる高周波電源装置であるプラズマ生成用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、IC、LSI等の半導体装置の製造工程においては、プラズマエッチング装置が用いられている。このようなプラズマ装置においては、プラズマを生成するために用いられる高周波電源装置であるプラズマ生成用電源装置が用いられる。 図1図5を用いて、従来の高周波電源装置を説明する。図1は、後述する本発明の実施形態に係る高周波電源装置の機能構成を示すブロック図であるが、制御部の機能以外は、従来の高周波電源装置と同様である。図5は、従来の高周波電源装置の信号波形を示す模式図である。
【0003】
図1に示すように、従来の高周波電源装置は、発振部11と、変調部12と、レベル調整部13と、電力増幅器14と、出力電力検出部15と、制御部16とを備えている。そして、レベル調整部13は、レベル調整回路13aと、D/A変換器13bとを備えている。出力電力検出部15は、方向性結合器15aと、検波器15bと、A/D変換器15cとを備えている。
【0004】
図1に示すように、発振部11から発信された高周波信号であるRF信号11sに、変調部12でパルス変調をかけ、レベル調整部13で電力レベルを調整したのち、電力増幅器14に入力する。電力増幅器14の出力は、出力電力検出部15を介し、プラズマ負荷20へと出力される。
【0005】
出力電力検出部15は、方向性結合器15aにより取り出した電力増幅器14の出力電力Pfを検波器15bで検波し、A/D変換器15cでディジタル信号に変換し、制御部16に出力する。
【0006】
制御部16では、出力電力検出部15で検出した出力電力(つまり、A/D変換器15cで変換されたディジタル信号)と、事前に設定した所定の設定電力との差分をとり、その差分がゼロとなるように、レベル調整部13に出力するレベル調整値を制御する。詳しくは、制御部16は、レベル調整部13に対しレベル制御信号16s2を出力し、該レベル制御信号16s2をD/A変換器13bでアナログ信号に変換し、レベル調整信号13bsとしてレベル調整回路13aに出力する。
【0007】
このように、制御部16は、レベル調整回路13aを制御することで、この高周波電源装置の出力電力を一定値に制御する。レベル調整回路13aでは、可変減衰器等の回路を使用することにより、出力電力を調整する。
【0008】
図5に、各部の時間波形を示す。 図5において、(a)は出力電力Pfの波形、(b)は変調信号16s1の波形、(c)はレベル調整信号13bsの波形である。出力電力Pfは、高周波信号であり、図5では、その高周波信号の包絡線を示している。このように、発振部11からのRF信号11sが、変調信号16s1によりパルス変調されることにより、出力電力Pfの波形が形成される。
【0009】
従来の高周波電源装置における出力電力レベルの調整方法を説明する。 まず、従来の出力電力レベル調整方法の概略を説明する。 制御部16は、高周波の出力電力Pfを、変調信号16s1がONになった時点から、出力電力検出部15を介して検出する。図5に示す○印は、出力電力Pfの検出ポイントである。次に、検出された出力電力Pfの平均値と所定の設定電力とを比較し、その差が所定の範囲内になるようレベル調整値を計算し、変調信号16s1がOFFになるタイミングでレベル調整信号13bsの値を変更して出力し、次のパルス出力に反映させる。 このように、パルス変調された高周波電力を出力する高周波電源装置では、パルスの幅が数μsといった短い時間の場合もあるため、パルス間において出力電力レベルの制御を行うのが一般的である。
【0010】
従来の出力電力レベル調整方法について、図6のフローチャートを用いて詳しく説明する。図6は、従来の出力電力レベル調整方法を示すフローチャートである。この出力電力レベル調整は、制御部16により制御される。 まず、初期設定を行い、設定電力と許容電力範囲を設定する(ステップS101)。許容電力範囲とは、許容できる出力電力Pfと設定電力との差分値である。
【0011】
次に、高周波電源装置を動作させ、変調信号16s1がON状態になったか否か、つまり出力電力Pfが出力されたか否かを調べる(ステップS102)。変調信号16s1がON状態でない場合は(ステップS102でNo)、ON状態になるまで待つ。変調信号16s1がON状態になると(ステップS102でYes)、そのときの出力電力Pfの値(例えばPf1)を取得する(ステップS103)。そして、変調信号16s1がOFF状態になったか否か、つまり出力電力PfがOFFされたか否かを調べ(ステップS104)。変調信号16s1がOFF状態でない場合は(ステップS104でNo)、ステップS103へ戻り、そのときの出力電力Pf(例えばPf2)を取得する。
【0012】
変調信号16s1がOFF状態になると(ステップS104でYes)、取得した出力電力Pf(Pf1、Pf2、・・・)の平均値を求め(ステップS105)、出力電力Pfの平均値と設定電力とを比較する(ステップS106)。
【0013】
そして、出力電力Pfの平均値と設定電力との差が、許容電力範囲内である場合は(ステップS107でYes)、ステップS102の処理に戻る。また、出力電力Pfの平均値と設定電力との差が、許容電力範囲内でない場合は(ステップS107でNo)、出力電力Pfの平均値と設定電力との差に基づいて、レベル調整値Nを計算する(ステップS108)。例えば、出力電力Pfの平均値が許容電力範囲を超えて設定電力よりも大きい場合は、レベル調整値が小さくなるようにレベル調整値Nを計算し、出力電力Pfの平均値が許容電力範囲を超えて設定電力よりも小さい場合は、レベル調整値が大きくなるようにレベル調整値Nを計算する。
【0014】
そして、レベル調整値Nを更新し(ステップS109)、ステップS102の処理に戻る。レベル調整値Nを更新することにより、レベル調整回路13aに出力されるレベル調整信号13bsの大きさが更新される。
【0015】
下記の特許文献1には、ウェハにプラズマエッチングを行う真空槽に対して、パルス状の高周波電力を印加するプラズマエッチング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−270574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、従来の出力電力レベル調整方法では、変調パルスと変調パルスの間のOFF状態において、検出した出力電力Pfの平均値と設定電力との差が所定の範囲内に収まるようレベル調整値を設定し、次の変調パルスにおける平均出力電力を制御している。 しかしながら、プラズマ負荷のインピーダンスは、常に一定ではなく、変調パルスがON状態中にも、プラズマ負荷の動作状態によって変化する。プラズマ負荷のインピーダンスが変わると電力増幅器14の特性が変化し、出力電力Pfの値が設定電力値から乖離してしまう。
【0018】
すなわち、図5に示すように、変調信号16s1がONとなりプラズマ負荷に電力Pfが供給されると、プラズマ負荷が動作し始めるが、動作し始めてからのプラズマ負荷の状態は一定ではなく、プラズマ負荷のインピーダンスが変化する。そのため、従来の平均出力電力のみの制御では変調パルスON状態における出力電力Pfが変動し、出力電力Pfの値が設定電力値から乖離してしまう。 本発明の目的は、変調パルスON状態における出力電力の変動を抑制し、出力電力の値が設定電力値から乖離することを抑制することのできるプラズマ生成用電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するための、本発明に係るプラズマ生成用電源装置の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、外部に設けられプラズマを生成するプラズマ生成部へ、パルス状の高周波電力を供給するパルス変調方式のプラズマ生成用電源装置であって、所定の周波数の高周波信号を出力する発振部と、前記発振部から出力される高周波信号を、ON状態とOFF状態とを繰り返すパルス状に変調し、パルス状高周波信号として出力する変調部と、前記変調部から出力されるパルス状高周波信号のレベルを調整して出力するレベル調整部と、前記レベル調整部から出力されるパルス状高周波信号の電力を増幅してパルス状高周波電力を出力する電力増幅器と、前記電力増幅器から出力されるパルス状高周波電力の出力電力値を検出する出力電力検出部と、前記変調部から出力される前記パルス状高周波信号のON状態における複数の経過時間と、該複数の経過時間にそれぞれ対応する複数の補正係数と、予め出力電力の値として設定された設定電力値とを記憶する記憶部と、前記出力電力検出部で検出した前記出力電力値が入力され、該入力された出力電力値と前記設定電力値とに基づき、前記レベル調整部で調整されるパルス状高周波信号のレベルを制御するレベル制御信号を、前記レベル調整部へ出力する制御部とを備え、 前記制御部は、前記複数の経過時間のそれぞれにおいて、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数に基づき前記レベル制御信号を補正して出力し、前記設定電力値と前記出力電力値を比較した結果が、各反射係数において小さくなるよう、前回のパルスでの比較値と現在のパルスでの比較値を比較し、前記補正係数を更新することを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【発明の効果】
【0020】
上記の構成によれば、変調パルスON状態における出力電力の変動を抑制し、出力電力の値が設定電力値から乖離することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る高周波電源装置の機能構成を示すブロック図
図2】本発明の第1実施形態に係る高周波電源装置の信号波形を示す模式図
図3】本発明の第1実施形態に係る出力電力レベル調整方法を示すフローチャート
図4】本発明の第2実施形態に係る出力電力レベル調整方法を示すフローチャート
図5】従来の高周波電源装置の信号波形を示す摸式図
図6】従来の出力電力レベル調整方法を示すフローチャート
図7】本発明の第3実施形態に係る出力電力レベル調整方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態) 本発明者等は、パルス状の変調信号16s1がONとなりプラズマ負荷20に電力が供給されてからの経過時間によって出力電力値が変動すること、そして、この出力電力値の変動は、プラズマ負荷20が同じ特性であれば、同じパターンで繰り返されることを見出した。例えば同一のプラズマ生成装置であれば、出力電力値の変動パターンは同一である。第1実施形態では、上述したパルス状の変調信号16s1がONとなってからの経過時間によって出力電力が同じパターンで変わることに着目し、各経過時間ごとにレベル調整信号13bsを補正することで、変調信号16s1がONの期間内の出力電力が一定になるよう制御するものである。
【0023】
本発明の第1実施形態を、図1〜3を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る高周波電源装置の機能構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る高周波電源装置の信号波形を示す模式図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る出力電力レベル調整方法を示すフローチャートである。
【0024】
図1に示すように、第1実施形態の高周波電源装置は、発振部11と、変調部12と、レベル調整部13と、電力増幅器14と、出力電力検出部15と、制御部16とを備えている。この高周波電源装置は、プラズマを生成するプラズマ生成部であるプラズマ負荷20へ、パルス状の高周波電力を供給するパルス変調方式のプラズマ生成用電源装置である。そして、レベル調整部13は、レベル調整回路13aと、D/A変換器13bとを備えている。出力電力検出部15は、方向性結合器15aと、検波器15bと、A/D変換器15cとを備えている。制御部16は、記憶部16aを有する。前述したように、制御部16のみが、従来の高周波電源装置と異なる。制御部16以外の構成については、従来の高周波電源装置と同様である。
【0025】
発振部11は、所定の周波数、例えば30MHz程度の高周波信号(RF信号)11sを出力する。変調部12は、制御部16から出力されたパルス状の変調信号16s1により、発振部11から出力されるRF信号11sを、ON状態とOFF状態とを繰り返すパルス状に変調し、パルス状高周波信号として出力する。ON状態とは、高周波信号が出力される状態であり、OFF状態とは、高周波信号が出力されない状態である。すなわち、変調部12は、図2に示すようなパルス状の変調信号16s1のON期間にのみ、RF信号を出力する。例えば、変調信号16s1のパルスON期間は1ms程度であり、パルスOFF期間は1ms程度である。
【0026】
レベル調整部13は、可変減衰器等で構成され、制御部16から出力されたレベル制御信号16s2に基づき、変調部12から出力されるパルス状高周波信号のレベル(大きさ)を調整して出力する。詳しくは、制御部16から出力されたディジタル信号(レベル制御信号16s2)をD/A変換器13bでアナログ信号(レベル調整信号13b)に変換し、レベル調整回路13aへ出力する。なお、D/A変換器13bは、制御部16内に制御部16の一部として設けてもよい。
【0027】
電力増幅器14は、レベル調整部13から出力されるパルス状高周波信号の電力を所定の増幅度で増幅して、パルス状高周波電力を出力する。出力電力検出部15は、電力増幅器14から出力されたパルス状高周波電力を取り出し、プラズマ負荷20へ出力し、また、電力増幅器14から出力されたパルス状高周波電力を検出し、制御部16へ出力する。プラズマ負荷20とは、例えば、プラズマを生成するプラズマエッチング装置等のプラズマ生成装置である。 詳しくは、出力電力検出部15は、電力増幅器14からの出力を方向性結合器15aにより取り出し、該取り出した出力電力Pfを検波器15bで検波して出力電力Pfの大きさを検出する。そして、検波器15bからのアナログ出力信号をA/D変換器15cでディジタル信号に変換し、制御部16へ出力する。なお、A/D変換器15cは、制御部16内に制御部16の一部として設けてもよい。
【0028】
制御部16は、ハードウェア構成として、CPU(中央演算ユニット)と、CPUの動作プログラムを格納する記憶部16aとを備える。 記憶部16aには、予め、出力すべき目標電力値として設定された設定電力値Psと、変調部12から出力されるパルス状高周波信号のON状態における複数の経過時間tと、該複数の経過時間tにそれぞれ対応する複数の補正係数Bと、平均レベル調整値Naveとが記憶されている。複数の補正係数Bは、それぞれ対応する複数の経過時間tと対応付けられて記憶されている。平均レベル調整値Naveについては後述する。設定電力値Ps、平均レベル調整値Nave、経過時間t、補正係数Bは、予め、高周波電源装置の操作部(不図示)から、操作者により入力され、記憶部16aに記憶される。
【0029】
制御部16は、出力電力検出部15で検出した出力電力値が入力され、該入力された出力電力値と設定電力値Psとに基づき、レベル調整部13に対するレベル調整値を算出する。そして、レベル調整値に基づきレベル制御信号16s2を作成してレベル調整部13へ出力する。レベル制御信号16s2は、レベル調整部13で調整されるパルス状高周波信号のレベルを制御する。さらに、制御部16は、複数の経過時間tのそれぞれにおいて、経過時間tのそれぞれに対応する補正係数Bに基づき、レベル調整値を補正、つまり、レベル制御信号16s2を補正して出力する。 このように、制御部16は、レベル調整値、つまり、レベル調整部13に出力するレベル制御信号16s2を、補正係数Bに基づき補正することで、この高周波電源装置の出力電力がパルスON状態において一定値になるよう制御する。
【0030】
図2に、各部の時間波形を示す。 図2において、(a)は出力電力Pfの波形、(b)は変調信号16s1の波形、(c)はレベル調整信号13bsの波形である。図2に示す○印は、出力電力Pfの検出ポイントであり、変調信号16bsがONとなる時間を起点とした経過時間t1〜t6を示す。例えば、t4の○印は、変調信号16bsがONとなる時間を起点とした経過時間t4を示す。出力電力Pfは、高周波信号であり、図2では、その高周波信号の包絡線を示している。このように、発振部11からの高周波信号11sが、変調信号16s1によりパルス変調されることにより、出力電力Pfの波形が形成される。
【0031】
制御部16の動作を詳しく説明する。 記憶部16aでは、前述したように、予め、変調信号16s1のパルスON状態における経過時間tであって、変調信号16s1がパルスON状態になってからの複数の経過時間t(t1、t2、・・・tn)と、該複数の経過時間tのそれぞれに対応する複数の補正係数B(B1、B2、・・・Bn)と、平均レベル調整値Naveとを記憶している。補正係数B1〜Bnは、それぞれ、経過時間t1〜tnに対応する補正係数であり、変調信号16s1がONになってからの経過時間tに応じて異なる出力電力Pfの値を補正するための係数である。ここでnは、2以上の自然数であり、図2の例ではn=6である。
【0032】
平均レベル調整値Naveは、出力電力レベルを適切値に調整するための変数であって、変調信号16s1のパルスON状態の間、一定値として維持される。この高周波電源装置が初めて出力電力レベル調整処理を行うときの初回の平均レベル調整値Naveは、例えば、過去のレベル調整値Nの平均値として求めることができるが、任意の値であっても構わない。任意の値であっても、後述するように、処理を繰り返すうちに適切な値に収斂される。
【0033】
補正係数Bは、プラズマ負荷20の特性により決定される。補正係数Bは、電力供給対象のプラズマ負荷20の特性を、予め調べることにより取得することができる。補正係数Bの値は、例えば、図2(c)のレベル調整信号13bsのように、経過時間t1〜t6において変動する。図2(c)のレベル調整信号13bsは、経過時間t1〜t6における補正係数Bの値に応じて変動している。補正係数Bをプラズマ負荷20の特性に応じて変動させることにより、図2(a)に示す高周波電源装置の出力電力Pfの変動を抑制することができる。
【0034】
制御部16は、変調信号16s1のパルスON状態の間、該パルスON状態になってからの経過時間tに応じた補正係数Bに基づき、レベル制御信号16s2を補正して出力する。詳しくは、制御部16は、経過時間tに応じた補正係数Bと平均レベル調整値Naveとを記憶部16aから読み出し、補正係数Bと平均レベル調整値Naveとに基づき、レベル調整値Nを算出する。例えば、補正係数Bと平均レベル調整値Naveとを乗算し、レベル調整値Nを算出する。そして制御部16は、レベル調整値Nの大きさに応じて、D/A変換器13bへ出力するレベル制御信号16s2による制御量を決定する。 また、制御部16では、変調信号16s1がON状態になってからの経過時間tに対応させて、出力電力検出部15から出力電力Pfの値を取得し、記憶部16aに記憶させる。
【0035】
図2の例では、制御部16は、変調信号16s1がON状態になってからの経過時間t1〜t6に対応した補正係数B1〜B6と、平均レベル調整値Naveとに基づき、経過時間t1〜t6のそれぞれにおいてレベル調整値Nを算出し、レベル制御信号16s2、つまり、レベル調整信号13bsを出力する。また、制御部16は、経過時間t1〜t6において、それぞれ出力電力Pf1〜Pf6の値を取得し、記憶部16aに記憶させる。
【0036】
そして、制御部16は、変調信号16s1がOFF状態になると、取得した複数の出力電力Pf1〜Pf6の値と設定電力値Psとに基づき、平均レベル調整値Naveを計算し更新する。詳しくは、制御部16は、変調信号16s1がOFF状態になると、出力電力Pf1〜Pf6の平均値Pfaを取得し、設定電力値Psと比較する。平均値Pfaと設定電力値Psとの差が所定の範囲内である場合は、次に変調信号16s1がON状態になるのを待ち、ON状態になると、上述した変調信号16s1がON状態になったときの処理と同様の処理を繰り返す。平均値Pfaと設定電力値Psとの差が所定の範囲内でない場合は、平均値Pfaと設定電力値Psとの差に基づき、平均レベル調整値Naveを計算し更新して、記憶部16aに記憶させる。そして、次に変調信号16s1がON状態になるのを待ち、ON状態になると、上述した変調信号16s1がON状態になったときの処理と同様の処理を繰り返す。
【0037】
例えば、平均値Pfaと設定電力値Psとの差が所定の範囲内でない場合において、制御部16は、平均値Pfaが設定電力値Psよりも小さい場合は、平均レベル調整値Naveが所定値C1だけ大きくなるように平均レベル調整値Naveを更新する。平均値Pfaが設定電力値Psよりも大きい場合は、平均レベル調整値Naveが所定値C2だけ小さくなるように平均レベル調整値Naveを更新する。C1とC2は、同一値であってもよいし異なる値であってもよい。
【0038】
このように、制御部16は、変調信号16bsがONとなる時間を起点とした経過時間tを参照引数として、制御部16内の記憶部16aなどで構成されるLUT(ルックアップテーブル)に経過時間tと対応付けて格納(記憶)された補正係数Bを読み出し、平均レベル調整値Naveに乗じることで、変調信号16bsがON時間内におけるプラズマ負荷20のインピーダンスの変化による出力電力Pfの変動を補正し、変調信号16s1がON状態において一定の出力電力Pfを得る。
【0039】
第1実施形態の出力電力レベル調整方法について、図3のフローチャートを用いて詳しく説明する。この出力電力レベル調整は、制御部16により制御される。 まず、初期設定を行い、設定電力値Psと許容電力範囲を設定し、記憶部16aに記憶させる(ステップS1)。許容電力範囲とは、許容できる出力電力Pfと設定電力値Psとの差分値である。
【0040】
次に、高周波電源装置を動作させ、変調信号16s1がON状態であるか否か、つまり、パルスON状態となり出力電力Pfが出力されたか否かを調べる(ステップS2)。変調信号16s1がON状態でない場合は(ステップS2でNo)、ON状態になるまで待つ。変調信号16s1がON状態になると(ステップS2でYes)、変調信号16s1がON状態になってからの経過時間tの値に対応した補正係数B1を、記憶部16aから読み出す(ステップS3)。前述したように、補正係数B1は、変調信号16s1がONになってからの経過時間tによって異なる出力電力Pfの値を補正する係数である。最初の検出ポイントである経過時間t1においては、経過時間t1に対応する補正係数B1を読みだす。
【0041】
また、平均レベル調整値Naveを記憶部16aから読み出し、該読み出した平均レベル調整値Naveと補正係数B1とに基づき、経過時間t1におけるレベル調整値Nを計算し(ステップS4)、レベル調整値Nを更新する(ステップS5)。レベル調整値Nが更新されることにより、レベル制御信号16s2が更新される。また、経過時間t1における出力電力Pfの値Pf1を取得する(ステップS6)。
【0042】
そして、変調信号16s1がOFF状態になったか否か、つまり出力電力PfがOFFされたか否かを調べ(ステップS7)。変調信号16s1がOFF状態でない場合は(ステップS7でNo)、t1+1とし(ステップS8)、つまり、次の検出ポイントとして経過時間t2を設定し、ステップS3へ戻り、経過時間t2において、経過時間t1における処理と同様の処理を行う。
【0043】
変調信号16s1がOFF状態になると(ステップS7でYes)、取得した出力電力Pf(図2の例ではPf1〜Pf6)の平均値Pfaを求め(ステップS9)、出力電力平均値Pfaと設定電力値Psとを比較する(ステップS10)。
【0044】
そして、出力電力平均値Pfaと設定電力値Psとの差が、許容電力範囲内でない場合は(ステップS11でNo)、出力電力平均値Pfaと設定電力値Psとの差に基づいて、平均レベル調整値Naveを計算し更新する(ステップS12)。そして、経過時間tをクリアして(ステップS13)、ステップS2の処理に戻る。
【0045】
例えば、出力電力平均値Pfaと設定電力値Psとの差が許容電力範囲内でない場合において、出力電力平均値Pfaが設定電力値Psよりも小さい場合は、平均レベル調整値Naveが所定値C1だけ大きくなるように平均レベル調整値Naveを計算する。また、出力電力平均値Pfaが設定電力値Psよりも大きい場合は、平均レベル調整値Naveが所定値C2だけ小さくなるように平均レベル調整値Naveを計算し更新する。C1とC2は、同一値であってもよいし異なる値であってもよい。
【0046】
また、出力電力平均値Pfaと設定電力値Psとの差が、許容電力範囲内である場合は(ステップS11でYes)、経過時間tをクリアして(ステップS13)、ステップS2の処理に戻る。
【0047】
なお、第1実施形態では、出力電力Pfを変調信号16s1がONであるすべての期間(図2の例ではt1〜t6)で取得し、これらに基づき平均レベル調整値Naveを計算しているが、変調信号16s1がONの期間内において、そのうち一部の期間(例えばt1〜t3)の出力電力Pfに基づき平均レベル調整値Naveを計算してもよい。 また、第1実施形態では、複数の経過時間を6ポイント設けているが、6ポイントに限られるものではない。
【0048】
第1実施形態に依れば、少なくとも次の(A1)〜(A3)の効果を得ることができる。 (A1)パルス状高周波信号のON状態において、複数の経過時間のそれぞれが経過すると、経過時間のそれぞれに対応する補正係数に基づき、パルス状高周波信号のレベルを補正し調整するようにしたので、パルス状高周波信号のON状態継続中において、出力電力値を補正することができる。これにより、パルス状高周波信号のON状態においてプラズマ負荷の状態が変わりインピーダンスが変化する場合においても、ON状態における出力電力のレベル変動を制御することができる。 (A2)パルス状高周波信号のON状態において、複数の経過時間のそれぞれが経過すると、経過時間のそれぞれに対応する補正係数と平均レベル調整値とに基づき、パルス状高周波信号のレベルを補正し調整するとともに出力電力値を取得し、パルス状高周波信号がOFF状態になると、複数の出力電力値と設定電力値との差が所定の範囲内でない場合は、平均レベル調整値を更新するようにしたので、平均レベル調整値を任意の値に設定したとしても、出力電力レベル調整処理を繰り返すことにより、平均レベル調整値を適切な値に収斂させることができる。 (A3)出力電力値が設定電力値と比べ所定値以上に大きい場合は、平均レベル調整値を小さくするようにし、出力電力値が設定電力値と比べ所定値以上に小さい場合は、平均レベル調整値を大きくするようにしたので、出力電力値を設定電力値から所定値を超えない範囲内とすることができる。
【0049】
(第2実施形態) 次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態における高周波電源装置の機能構成は、制御部16以外の構成については、第1実施形態における高周波電源装置の機能構成(図1)と同様である。 第2実施形態においては、制御部16は、補正係数Bを随時更新するように動作する。すなわち、パルスON時(変調信号16s1ON時)の各経過時間tにおいて設定電力値Psと出力電力Pfを比較し、その差Pdが、各経過時間tにおいて前回のパルスON時における差Pd´よりも小さくなるよう、補正係数Bを更新する。
【0050】
第2実施形態の出力電力レベル調整方法について、図4のフローチャートを用いて詳しく説明する。図4は、第2実施形態に係る出力電力レベル調整方法を示すフローチャートである。この出力電力レベル調整は、制御部16により制御される。 まず、初期設定を行い、設定電力値Psと許容電力範囲を設定する(ステップS21)。許容電力範囲とは、許容できる出力電力Pfの値と設定電力値Psとの差分値である。
【0051】
次に、高周波電源装置を動作させ、変調信号16s1がON状態になったか否か、つまり出力電力Pfが出力されたか否かを調べる(ステップS22)。変調信号16s1がON状態でない場合は(ステップS22でNo)、ON状態になるまで待つ。変調信号16s1がON状態になると(ステップS22でYes)、変調信号16s1がON状態になってからの経過時間tの値に対応した補正係数Bを、記憶部16aから読み出す(ステップS23)。最初の検出ポイントである経過時間t1においては、経過時間t1に対応する補正係数B1を読み出す。
【0052】
また、平均レベル調整値Naveを記憶部16aから読み出し、該読み出した平均レベル調整値Naveと補正係数B1とに基づき、レベル調整値Nを計算し(ステップS24)、レベル調整値Nを更新する(ステップS25)。レベル調整値Nが更新されることにより、レベル制御信号16s2が更新される。また、経過時間t1における出力電力Pfの値Pf1を取得する(ステップS26)。
【0053】
そして、変調信号16s1がOFF状態になったか否か、つまり出力電力PfがOFFされたか否かを調べ(ステップS27)、変調信号16s1がOFF状態でない場合は(ステップS27でNo)、t=t+1とし(ステップS28)、つまり、次の検出ポイントとして経過時間t2を設定し、ステップS23へ戻り、経過時間t2において補正係数B2を記憶部16aから読み出し、経過時間t1における処理と同様の処理を行う。この例では、経過時間t1〜t6において、それぞれ補正係数B1〜B6を記憶部16aから読み出し、経過時間t1における処理と同様の処理を行う。
【0054】
変調信号16s1がOFF状態になると(ステップS27でYes)、設定電力値Psと各経過時間t1〜t6において取得した出力電力Pf(Pf1〜Pf6)とを比較して、それぞれの差Pd(Pd1〜Pd6)を算出する(ステップS29)。そして、それら差Pdを平均し(ステップS30)、差Pdの平均値Pdaが所定の許容電力範囲内でない場合は(ステップS31でNo)、平均値Pdaと設定電力値Psとの差に基づいて、平均レベル調整値Naveを計算し更新する(ステップS32)。
【0055】
例えば、差Pdの平均値Pdaが所定の許容電力範囲内でない場合において、平均値Pdaが設定電力値Psよりも大きい場合は、平均レベル調整値Naveが所定値C21だけ小さくなるように平均レベル調整値Naveを計算し、平均値Pdaが設定電力値Psよりも小さい場合は、平均レベル調整値Naveが所定値C22だけ大きくなるように平均レベル調整値Naveを計算し更新する。平均レベル調整値Naveを更新することにより、レベル調整回路13aに出力されるレベル調整信号13bsの大きさが更新される。C21とC22は、同一値であってもよいし異なる値であってもよい。
【0056】
また、平均値Pdaが所定の許容電力範囲内である場合は(ステップS31でYes)、ステップS33へ遷移する。
【0057】
以上の処理(ステップS21〜S32)により、第1実施形態と同様に、補正係数Bと平均レベル調整値Naveとに基づき、レベル調整値Nを更新し、設定電力値Psと各経過時間tにおける出力電力Pfとに基づき、平均レベル調整値Naveを更新する。第2実施形態では、さらに、次に説明するステップS33以降の処理により、各経過時間t(t1〜t6)における補正係数B(B1〜B6)を更新する。
【0058】
まず、変数nを初期化、つまり、n=1とする(ステップS33)。次に、設定電力値Psと各経過時間tにおける出力電力Pf(Pf1〜Pf6)との差Pd(Pd1〜Pd6)を、絶対値に変換する(ステップS34)。
【0059】
そして、出力電力Pf1が設定電力値Psよりも大きい場合において、今回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1(絶対値)が、前回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1´(絶対値)以上である場合は(ステップS35でNo)、経過時間t1における補正係数B1を更新するステップS37の更新値Kの極性を変える(ステップS36)。これは、今回の補正係数B1が、前回の補正係数B1よりも大きくなった(つまり更新値Kの極性がプラス)と考えられるからである。こうして、更新値Kの極性をマイナスにして、補正係数B1を所定値Kだけ小さくする(ステップS37)。このように、次回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1´´(絶対値)が、今回のパルスON時の差Pd1(絶対値)よりも小さくなるように、経過時間t1における補正係数B1を変更し更新する。
【0060】
また、出力電力Pf1が設定電力値Psよりも大きい場合において、今回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1(絶対値)が、前回のパルスON時の差Pd1´(絶対値)より小さい場合は(ステップS35でYes)、経過時間t1における補正係数B1を更新するステップS37の更新値Kの極性を変えることなく、補正係数B1を変更し更新する。これは、今回の補正係数B1が、前回の補正係数B1よりも小さくなった(つまり更新値Kの極性がマイナス)と考えられるからである。こうして、補正係数B1を所定値Kだけ小さくする(ステップS37)。このように、次回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1´´(絶対値)が、今回のパルスON時の差Pd1(絶対値)よりも更に小さくなるように、経過時間t1における補正係数B1を変更し更新する。
【0061】
逆に、出力電力Pf1が設定電力値Psよりも小さい場合においては、今回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1(絶対値)が、前回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1´(絶対値)以上である場合は(ステップS35でNo)、経過時間t1における補正係数B1を更新するステップS37の更新値Kの極性を変える(ステップS36)。これは、今回の補正係数B1が、前回の補正係数B1よりも小さくなった(つまり更新値Kの極性がマイナス)と考えられるからである。こうして、更新値Kの極性をプラスにして、補正係数B1を所定値Kだけ大きくする(ステップS37)。このように、次回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1´´(絶対値)が、今回のパルスON時の差Pd1(絶対値)よりも小さくなるように、経過時間t1における補正係数B1を変更し更新する。
【0062】
また、出力電力Pf1が設定電力値Psよりも小さい場合において、今回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1(絶対値)が、前回のパルスON時の差Pd1´(絶対値)より小さい場合は(ステップS35でYes)、経過時間t1における補正係数B1を更新するステップS37の更新値Kの極性を変えることなく、補正係数B1を変更し更新する。これは、今回の補正係数B1が、前回の補正係数B1よりも大きくなった(つまり更新値Kの極性がプラス)と考えられるからである。こうして、補正係数B1を所定値Kだけ大きくする(ステップS37)。このように、次回のパルスON時の経過時間t1における差Pd1´´(絶対値)が、今回のパルスON時の差Pd1(絶対値)よりも更に小さくなるように、経過時間t1における補正係数B1を変更し更新する。
【0063】
このように、出力電力Pf1の値が設定電力値Psより大きい場合において、対応する補正係数Bを小さくするようにし、出力電力Pf1の値が設定電力値Psより小さい場合において、対応する補正係数Bを大きくするようにしたので、補正係数Bを適切な値に収斂させることができる。
【0064】
そして、前回のパルスON時の差Pd1´に、今回のパルスON時の差Pd1を代入する(ステップS38)。つまり、次回のパルスON時において、経過時間t1における今回のパルスON時の差Pd1を前回のパルスON時の差Pd1´として扱うようにする。今回のパルスON時の差Pd1は、記憶部16aに記憶される。
【0065】
そして、nが検出ポイント数の最大値(この例では6)でない場合は(ステップS39でNo)、n=n+1として(ステップS40)、つまり、n=2として、上述した補正係数B1の場合と同様に、経過時間t2における補正係数B2を更新する処理を行い、経過時間t2における前回のパルスON時の差Pd2´に今回のパルスON時の差Pd2を代入し、記憶部16aに記憶する。
【0066】
また、nが検出ポイント数の最大値(この例では6)である場合は(ステップS39でYes)、経過時間tと変数nをクリアして(ステップS41)、ステップS22の処理に戻る。
【0067】
このように、第2実施形態では、以上説明した処理を各経過時間tにおいて繰り返すことで、設定電力値Psと出力電力Pfとの差が小さくなるように、経過時間tに対応する複数の補正係数Bを更新する。
【0068】
なお、第2実施形態では、各経過時間tにおいてそれぞれ複数の出力電力Pfを取得し、該複数の出力電力Pfと設定電力値Psとの差Pdを求め、差Pdの平均値Pdaに基づき、平均レベル調整値Naveを更新したが、第1実施形態と同様に、複数の出力電力Pfの平均値Pfaを求め、平均値Pfaと設定電力値Psとに基づき、平均レベル調整値Naveを更新するようにしてもよい。 逆に、第1実施形態において、第2実施形態と同様に、複数の出力電力Pfと設定電力値Psとの差Pdを求め、差Pdの平均値Pdaに基づき、平均レベル調整値Naveを更新するようにしてもよい。 また、前記第2実施形態では、平均レベル調整値Naveと補正係数Bの両方を更新するようにしたが、平均レベル調整値Naveを更新せず、補正係数Bのみを更新するように構成することも可能である。
【0069】
第2実施形態に依れば、第1実施形態における効果に加え、少なくとも次の(B1)〜(B4)の効果を得ることができる。 (B1)パルス状高周波信号がON状態になったときに検出した出力電力値と設定電力値との差である第1の電力値差と、次にパルス状高周波信号がON状態になったときに検出した出力電力値と設定電力値との差である第2の電力値差とに基づき、補正係数を更新するようにしたので、パルス状高周波信号がON状態における経過時間のそれぞれに対応する補正係数を適切な値にすることができる。 (B2)出力電力値が設定電力値より大きい場合において、(a)第2の電力値差が第1の電力値差より大きい場合に、対応する補正係数を小さくするようにしたので、次にパルス状高周波信号がON状態になったときに出力電力値を小さくすることができる。また、(b)第2の電力値差が第1の電力値差より小さい場合に、対応する補正係数を小さくするようにしたので、次にパルス状高周波信号がON状態になったときに更に出力電力値を小さくすることができる。 (B3)出力電力値が設定電力値より小さい場合において、(c)第2の電力値差が第1の電力値差より大きい場合に、対応する補正係数を大きくするようにしたので、次にパルス状高周波信号がON状態になったときに出力電力値を大きくすることができる。また、(d)第2の電力値差が第1の電力値差より小さい場合に、対応する補正係数を大きくするようにしたので、次にパルス状高周波信号がON状態になったときに更に出力電力値を大きくすることができる。 (B4)出力電力値が設定電力値より大きい場合において、対応する補正係数を小さくするようにし、出力電力値が設定電力値より小さい場合において、対応する補正係数を大きくするようにしたので、補正係数を適切な値に収斂させることができる。
【0070】
(第3実施形態) 第3実施形態の第1実施形態と第2実施形態との相違点のみ説明する。 第1実施形態と第2実施形態との方法では、事前に設定したテーブルから補正係数B1を読み込む動作となっているが、補正係数B1を随時更新するように動作させてもよい。 第3実施形態では、設定電力Pと出力電力Pfを比較した結果が、各反射係数Γにおいて小さくなるよう、前回のパルスでの比較値と現在のパルスでの比較値を比較し、補正係数B1を更新する。制御のフローチャートが変わるだけで、装置の構成は第1実施形態と第2実施形態と同じである。
【0071】
第3実施形態の制御方法のフローチャートを図7に示す。 開始すると、まず(ステップS201)初期設定を行う。初期設定では設定電力Pと電力範囲の設定を行う。(ステップS202)変調信号がoffであれば処理を先には進めず、onであれば、(ステップS203) 出力波電圧Vfと反射波電圧Vrから反射係数Γを求める(ステップS204) このときt1時の反射係数Γの実部の値Re(t1)と虚部の値Im(t1)を記憶する。(ステップS205)反射係数Γの実部の値Re(t1)と虚部の値Im(t1)に対応した補正係数B1を読みだす。補正係数B1は反射係数によって異なる出力電力Pfを補正する係数である。(ステップS206)読み出した補正係数B1と平均レベル調整値Naveからレベル調整値Nを計算し(ステップS207) レベル調整値Nを更新する(ステップS208)出力電力Pfの値を取得し、(ステップS21) 変調信号がonであれば、(ステップS209) t1の値に1を足し、ステップS203からの処理を再度行う。
【0072】
(ステップS210) 変調信号がoffであれば(ステップS211) 設定電力とステップS208で取得した出力電力Pf(t1)を比較し(ステップS212) 比較した値の平均値を求める。(ステップS213) 所定の電力範囲内でなければ、(ステップS214)ステップS212の結果から平均レベル調整値Naveを計算する(ステップS215)所定の電力範囲内であれば、レベル調整値Nに平均レベル調整値Naveを代入し(ステップS216) レベル調整値Nを更新する。(ステップS217) ステップS211の比較値(n)を絶対値に変換する。(ステップS218) 次にステップS204で記憶したRe(n),Im(n)を読み出し、(ステップS219) 現在のパルスの比較値が前回のパルスの比較値より大きければ(ステップS220) Kの極性を反転させる。
【0073】
このKは補正係数B1の値を更新する際の更新値である。 前回の比較値より現在の比較値が大きくなっている場合に、次のパルスでの比較値が現在の比較値より小さくなるように補正係数B1を更新するために更新値Kの極性を変える。(ステップS221)S218で読み出したRe(n),Im(n)に対応した補正係数B1に更新値Kを加え、(ステップS222)前回の比較値(n)に現在の比較値(n)を代入し(ステップS224) n=t1でなければ、(ステップS223)nに1を足しステップS218からの処理を再度行う。(ステップS224)n=t1であれば(ステップS225)t1とnの値をクリアし、ステップS202の処理に戻る
【0074】
以上のような処理を繰り返すことで、設定電力Pと検出した出力電力Pfとの差が小さくなるように補正係数B1を更新する。動作ごとに補正係数B1を更新することで、より安定したレベル制御が可能となる。
【0075】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0076】
本明細書の記載事項には、少なくとも次の構成が含まれる。すなわち、 第1の構成は、 外部に設けられプラズマを生成するプラズマ生成部へ、パルス状の高周波電力を供給するパルス変調方式のプラズマ生成用電源装置であって、 所定の周波数の高周波信号を出力する発振部と、 前記発振部から出力される高周波信号を、ON状態とOFF状態とを繰り返すパルス状に変調し、パルス状高周波信号として出力する変調部と、 前記変調部から出力されるパルス状高周波信号のレベルを調整して出力するレベル調整部と、 前記レベル調整部から出力されるパルス状高周波信号の電力を増幅してパルス状高周波電力を出力する電力増幅器と、 前記電力増幅器から出力されるパルス状高周波電力の出力電力値を検出する出力電力検出部と、 前記変調部から出力される前記パルス状高周波信号のON状態における複数の経過時間と、該複数の経過時間にそれぞれ対応する複数の補正係数と、予め出力電力の値として設定された設定電力値とを記憶する記憶部と、 前記出力電力検出部で検出した前記出力電力値が入力され、該入力された出力電力値と前記設定電力値とに基づき、前記レベル調整部で調整されるパルス状高周波信号のレベルを制御するレベル制御信号を、前記レベル調整部へ出力する制御部とを備え、 前記制御部は、前記複数の経過時間のそれぞれにおいて、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数に基づき前記レベル制御信号を補正して出力し、前記設定電力値と前記出力電力値を比較した結果が、各反射係数において小さくなるよう、前回のパルスでの比較値と現在のパルスでの比較値を比較し、前記補正係数を更新することを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0077】
第2の構成は、前記第1の構成のプラズマ生成用電源装置であって、 前記記憶部は、さらに、前記レベル調整部で前記パルス状高周波信号のレベルを調整するための平均レベル調整値を記憶し、 前記制御部は、前記複数の経過時間のそれぞれにおいて、前記平均レベル調整値と前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数とに基づき、前記レベル制御信号を補正して出力するとともに、前記出力電力検出部から前記出力電力値を取得し、前記パルス状高周波信号がOFF状態になると、前記取得した複数の前記出力電力値と前記設定電力値とに基づき、前記出力電力値と前記設定電力値との差が所定の範囲内でない場合は、前記平均レベル調整値を更新することを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0078】
第3の構成は、前記第2の構成のプラズマ生成用電源装置であって、 前記制御部は、前記出力電力値が前記設定電力値よりも所定値以上に大きい場合は、前記平均レベル調整値を小さくし、前記出力電力値が前記設定電力値よりも所定値以上に小さい場合は、前記平均レベル調整値を大きくすることを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0079】
第4の構成は、前記第1の構成ないし第3の構成のプラズマ生成用電源装置であって、 前記制御部は、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記出力電力検出部で検出した前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第1の電力値差として取得し、次に前記パルス状高周波信号がON状態になったときの前記経過時間のそれぞれにおける前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第2の電力値差として取得し、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記第1の電力値差と前記第2の電力値差とに基づき、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数を更新することを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0080】
第5の構成は、前記第4の構成のプラズマ生成用電源装置であって、 前記制御部は、前記出力電力値が前記設定電力値より大きい場合に、対応する補正係数を小さくし、前記出力電力値が前記設定電力値より小さい場合に、対応する補正係数を大きくすることを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0081】
第6の構成は、前記第4の構成のプラズマ生成用電源装置であって、 前記制御部は、前記出力電力値が前記設定電力値より大きく、かつ前記第2の電力値差が前記第1の電力値差より大きい場合に、対応する補正係数を小さくすることを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0082】
第7の構成は、前記第6の構成のプラズマ生成用電源装置であって、 前記制御部は、前記出力電力値が前記設定電力値より大きく、かつ前記第2の電力値差が前記第1の電力値差より小さい場合に、対応する補正係数を小さくすることを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0083】
第8の構成は、前記第4の構成のプラズマ生成用電源装置であって、 前記制御部は、前記出力電力値が前記設定電力値より小さく、かつ前記第2の電力値差が前記第1の電力値差より大きい場合に、対応する補正係数を大きくすることを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0084】
第9の構成は、前記第8の構成のプラズマ生成用電源装置であって、 前記制御部は、前記出力電力値が前記設定電力値より小さく、かつ前記第2の電力値差が前記第1の電力値差より小さい場合に、対応する補正係数を大きくすることを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0085】
第10の構成は、 外部に設けられプラズマを生成するプラズマ生成部へ、パルス状の高周波電力を供給するパルス変調方式のプラズマ生成用電源装置であって、 所定の周波数の高周波信号を出力する発振部と、 前記発振部から出力される高周波信号を、ON状態とOFF状態とを繰り返すパルス状に変調し、パルス状高周波信号として出力する変調部と、 前記変調部から出力されるパルス状高周波信号のレベルを調整して出力するレベル調整部と、 前記レベル調整部から出力されるパルス状高周波信号の電力を増幅してパルス状高周波電力を出力する電力増幅器と、 前記電力増幅器から出力されるパルス状高周波電力の出力電力値を検出する出力電力検出部と、 前記変調部から出力される前記パルス状高周波信号のON状態における複数の経過時間と、該複数の経過時間にそれぞれ対応する複数の補正係数と、予め出力電力の値として設定された設定電力値とを記憶する記憶部と、 前記出力電力検出部で検出した前記出力電力値が入力され、該入力された出力電力値と前記設定電力値とに基づき、前記レベル調整部で調整されるパルス状高周波信号のレベルを制御するレベル制御信号を、前記レベル調整部へ出力する制御部とを備え、 前記制御部は、前記複数の経過時間のそれぞれにおいて、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数に基づき前記レベル制御信号を補正して出力し、さらに、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記出力電力検出部で検出した前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第1の電力値差として取得し、次に前記パルス状高周波信号がON状態になったときの前記経過時間のそれぞれにおける前記出力電力値と前記設定電力値との差を、第2の電力値差として取得し、前記経過時間のそれぞれにおいて、前記第1の電力値差と前記第2の電力値差とに基づき、前記経過時間のそれぞれに対応する補正係数を更新することを特徴とするプラズマ生成用電源装置。
【0086】
この出願は、2013年8月26日に出願された日本出願特願2013−174891号を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、プラズマを生成するために用いられる高周波電源装置に有用であり、特にプラズマ生成用電源装置に有用である。
【符号の説明】
【0088】
11・・発振部、12・・変調部、13・・レベル調整部、13a・・レベル調整回路、13b・・D/A変換器、14・・電力増幅器、15・・出力電力検出部、15a・・方向性結合器、15b・・検波器、15c・・A/D変換器、16・・制御部、16a・・記憶部、20・・プラズマ負荷。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7