(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信ネットワークを介してデータを送受信可能な複数の情報端末と、前記通信ネットワークを介して前記情報端末との間でデータを送受信するサーバと、を備えた通信システムにおける通信方法であって、
前記サーバが、複数の前記情報端末のグループ分け及び転送役となる情報端末を選定するステップと、
前記サーバが、転送役に選定した前記情報端末にリクエスト受付開始要求を送信した後、転送役に選定した前記情報端末の情報を含む新着情報通知を複数の前記情報端末に一斉に配信するステップと、
前記サーバが、転送役に選定した前記情報端末から複数のリクエスト要求を一括して受信するステップと、
前記サーバが、前記新着情報通知に対するリクエスト要求を発行したすべての前記情報端末に対して応答データを送信するステップと、
前記情報端末が、前記サーバからリクエスト受付開始要求を受信した場合、前記新着情報通知に対するリクエスト受付開始要求を発行すると共に、同じグループに属する前記情報端末の前記新着情報通知に対するリクエスト要求を受け付け、受け付けたリクエスト要求を一括して前記サーバに転送するステップと、
前記情報端末が、前記サーバからリクエスト受付開始要求を受信しない場合、前記新着情報通知に対するリクエスト要求を発行して、転送役に選定された前記情報端末にリクエスト要求を送信するステップと、
を有する通信方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態の通信システム1の全体構成を説明する図である。
図2は、社内アプリケーションサーバ20とスマートデバイス30の機能的な構成を説明する図である。
図3は、スマートデバイス情報管理DB21に記憶されるデータを説明する図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の通信システム1は、社内メールサーバ10と、社内アプリケーションサーバ20と、従業員の所持するスマートデバイス30と、から構成される。社内アプリケーションサーバ20とスマートデバイス30との間は、通信ネットワーク上でプッシュ通知のサービスを提供するプッシュクラウド40を介して接続されている。なお、プッシュ通知のサービスを利用しない場合、通信ネットワークを介して直接にデータが送受信される。
【0013】
本実施形態の通信システム1は、企業内で全従業員にスマートデバイス用のBYODアプリケーションプログラム(以下、「BYODアプリ」ともいう)が配布され、社内メールサーバ10と社内アプリケーションサーバ20がオンプレミスで設置されている。ここでは、社内で新着メールの一斉配信が発生した時、従業員は、それを新着情報(プッシュ通知)として受信し、相当の割合で直ちにスマートデバイス30のBYODアプリを開き、新着メールを確認する使用形態について説明する。
【0014】
社内メールサーバ10は、従業員へ配信するメールを管理するサーバである。社内メールサーバ10は、従業員へ一斉にメールを配信するイベントが発生すると、社内アプリケーションサーバ20に新着情報のプッシュ通知を要求する。また、社内メールサーバ10は、取得した新着情報を社内アプリケーションサーバ20へ送信する。
【0015】
社内アプリケーションサーバ(以下、「社内APサーバ」ともいう)20は、アプリケーションプログラムに基づいて、社内メールサーバ10と複数のスマートデバイス30との間のメール及びデータの送受信を管理するサーバである。
【0016】
社内APサーバ20は、
図2に示すように、スマートデバイス情報管理DB21、プッシュ送信モジュール22、スマートデバイス制御モジュール23、スマートデバイスリクエスト処理モジュール24、スマートデバイス動作監視モジュール25)、スマートデバイスグループ管理モジュール26及びデータ分割発送モジュール27を備える。
【0017】
スマートデバイス情報管理DB21は、BYODアプリの情報を管理するデータベースである。スマートデバイス情報管理DB21は、
図3に示すように、端末キー、動作状態、IPアドレス、リクエスト受付ポート、グループID、転送役フラグ、アプリの継続利用時間、ネットワーク通信速度、過去1時間リクエスト転送件数等を管理する。
【0018】
プッシュ送信モジュール22は、プッシュ通知とサイレントプッシュ通知を発送するための処理を実行する。
【0019】
スマートデバイス制御モジュール23は、プッシュ送信モジュール22を介して、スマートデバイス30宛てに制御命令を発行する。
【0020】
スマートデバイスリクエスト処理モジュール24は、スマートデバイス30からのリクエスト要求(折り返しアクセス)を一括して受信し、データ分割発送モジュール27においてデータ分割伝送処理を実行させる。
【0021】
スマートデバイス動作監視モジュール25は、動作応答要求サイレントプッシュ通知を用いて、一定期間おきにスマートデバイス30(BYODアプリ)の動作状況を監視する。スマートデバイス動作監視モジュール25は、取得した最新情報に基づいて、スマートデバイス情報管理DB21の動作状態に関する項目を更新する。
【0022】
スマートデバイスグループ管理モジュール26は、リクエスト要求の転送を分散させるために、BYODアプリを搭載する複数のスマートデバイス30を複数のグループに分け、それぞれのグループに転送役となるスマートデバイス30を指定する。本実施形態では、
図1に示すように、9台のスマートデバイス30が2つのグループに分けられた例について説明する。スマートデバイスグループ管理モジュール26は、各端末に一斉にプッシュ通知を送信する際に、該当グループの転送役となるスマートデバイス30のIPアドレスとリクエスト受付ポート(ポート番号)を通知内容に含める。
【0023】
データ分割発送モジュール27は、スマートデバイス30に送信する新着情報データ(応答データ)を、同サイズのパケットに分割して発送する。
【0024】
スマートデバイス30は、従業員が所持する情報端末であり、スマートデバイス用のBYODアプリが実行される。
図2では、複数のスマートデバイス30のうちの1つを代表して示している。以下、スマートデバイス30を「端末」ともいう。
【0025】
スマートデバイス30は、
図2に示すように、プッシュ受信モジュール31、サーバ命令受付モジュール32、リクエスト転送モジュール33、リクエスト発送制御モジュール34及びデータ結合制御モジュール35を備える。
【0026】
プッシュ受信モジュール31は、社内APサーバ20から送信されたプッシュ通知とサイレントプッシュ通知を受信し、対応する処理モジュール(後述)にデータを受け渡す。
【0027】
サーバ命令受付モジュール32は、社内APサーバ20からサイレントプッシュ通知で送信された動作応答要求を受け付け、社内APサーバ20に動作中であることを知らせる返答データを送信する。また、サーバ命令受付モジュール32は、社内APサーバ20からサイレントプッシュ通知で送信されたリクエスト受付開始要求を受信して、リクエスト転送モジュール33(後述)を起動する。
【0028】
リクエスト転送モジュール33は、他のスマートデバイス30からのリクエスト要求を受け付ける。リクエスト転送モジュール33は、一定の受付期間内に受け付けたリクエスト要求をまとめて、一括して社内APサーバ20に転送する。
【0029】
リクエスト発送制御モジュール34は、社内APサーバ20から受信した新着情報の通知内容に応じて、リクエスト要求の送信先を制御する。リクエスト発送制御モジュール34は、社内APサーバ20から受信した新着情報に転送役となるスマートデバイス30のIPアドレスとリクエスト受付ポートが含まれる場合、転送役となるスマートデバイス30に対して非同期のリクエスト要求(折り返しアクセス)を発行する。また、リクエスト発送制御モジュール34は、受信した新着情報に転送役となるスマートデバイス30のIPアドレスとリクエスト受付ポートが含まれない場合、社内APサーバ20に直接アクセスして、リクエスト要求を発行する。
【0030】
データ結合制御モジュール35は、社内APサーバ20からサイレントプッシュ方式で新着情報データのデータパケットを受け取った場合、そのデータパケットを順番通りに結合して、新着情報データを復元する。
【0031】
次に、
図1に示す通信システム1の社内APサーバ20及びスマートデバイス30で実行される(1)〜(5)の動作について具体的に説明する。
【0032】
(1)端末動作監視の処理及び(2)転送役の選定及び端末のグループ分けの処理
図4は、端末動作管理処理及び転送役の選定及び端末のグループ分けの処理のシーケンス図である。ここでは、通信相手となる端末をスマートデバイス30A、30Bとして説明する。また、転送役としてスマートデバイス30Bが選定されているものとする。
【0033】
社内APサーバ20は、バースト的な折り返しアクセスを転送役に分散し、且つ転送役のネットワーク通信におけるレスポンスを一定の水準に保つために、全端末の動作状況を監視し、動的に転送役の変更と端末のグループ分けを行う。
図4に示すステップS(以下、「S」ともいう)11において、社内APサーバ20のスマートデバイス動作監視モジュール25は、一定の時間間隔で各スマートデバイスに動作応答要求サイレントプッシュ通知を送信する。動作応答要求サイレントプッシュ通知は、スマートデバイス制御モジュール23を介して送信される。
【0034】
S21において、スマートデバイス30Aのサーバ命令受付モジュール32は、動作応答要求を受信する。
【0035】
S22において、スマートデバイス30Aのサーバ命令受付モジュール32は、動作中であることを知らせる返答データを送信する。なお、スマートデバイス30Bでは、BYODアプリが未起動であるため、返答データは送信されない。
【0036】
S12において、社内APサーバ20のスマートデバイス動作監視モジュール25は、スマートデバイス30Aからの返答データを受信する。スマートデバイス動作監視モジュール25は、制限時間内に返答データを受信できたかどうかにより、端末の動作状態を把握する。
【0037】
S31において、社内APサーバ20のスマートデバイス動作監視モジュール25は、スマートデバイス30Aからの返答データに基づいて、スマートデバイス情報管理DB21(
図4参照)のスマートデバイス30Aに関する下記の情報を更新する。なお、端末は、アプリキーで識別される。
【0038】
・動作状態:端末のBYODアプリが動作中か未起動の状態かを示す情報。
・IPアドレス:他のスマートデバイスからのリクエスト要求を受け付けるための情報。
・リクエスト受付ポート:他のスマートデバイスからのリクエスト要求を受け付けるための情報。
・ネットワーク通信速度:転送役となる端末の選定に必要な情報。
・過去1時間リクエスト転送件数:転送役となる端末の選定に必要な情報。
【0039】
S32において、社内APサーバ20のスマートデバイス動作監視モジュール25は、制限時間内にスマートデバイス30Bからの返答データを受信しないため、スマートデバイス情報管理DB21のスマートデバイス30Bに関する情報を更新する。また、スマートデバイス動作監視モジュール25は、スマートデバイスグループ管理モジュール26を起動して、同グループ内から、転送役となる端末を再選定させる。
【0040】
スマートデバイスグループ管理モジュール26は、スマートデバイス情報管理DB21を参照し、「動作状態がonline」、「継続利用時間が長い」、「ネットワーク通信速度が速い」、「過去1時間のリクエスト要求件数が少ない」等の条件を参照して、転送役となる端末を選定する。スマートデバイスグループ管理モジュール26は、上述した条件をすべて満たす端末を転送役として選定してもよいし、優先順位の高い1又は複数の条件を満たす端末を転送役として選定してもよい。ここでは、転送役となる端末として、スマートデバイス30Bの代わりにスマートデバイス30Aが選定されたものとする。なお、転送役として選定する端末は、1つに限らず、条件を満たす複数個の端末を転送役として選定してもよい。
【0041】
スマートデバイスグループ管理モジュール26は、選定した転送役となる端末の受付制限台数に基づいてグループ数を決定する。なお、転送役として選定した端末が複数ある場合は、転送役となる端末の数及びそれら各端末の受付制限台数等に基づいて、グループ数を決定する。
【0042】
スマートデバイスグループ管理モジュール26は、転送役以外の動作中の端末とBYODアプリが未起動の端末を均等にグループ分けし、各グループに先に選定した転送役の端末を1つ指定する。これによれば、グループ内の端末は、転送役の端末のみにリクエスト要求を発行するため、転送役の端末におけるリクエスト転送負荷を一定水準内に抑制することができる。
【0043】
転送役の選定及び端末のグループ分けの処理を行ったスマートデバイスグループ管理モジュール26は、転送役に選定した端末(スマートデバイス30A)について、スマートデバイス情報管理DB21の下記の情報を更新する。
【0044】
・動作状態:端末のBYODアプリが動作中か未起動の状態かを示す情報。
・グループID:端末の属するグループの情報。
・転送役フラグ:転送役の端末であるか否かを示す情報。
【0045】
(3)新着情報プッシュ通知処理
図5は、新着情報プッシュ通知処理のシーケンス図である。
図5に示すS41において、社内メールサーバ10は、従業員へ一斉にメールを配信するイベントが発生したタイミングで、社内APサーバ20に新着情報のプッシュ通知を要求する。
【0046】
S51において、社内APサーバ20のスマートデバイスグループ管理モジュール26は、転送役のスマートデバイス30Aに対して、リクエスト受付開始要求のサイレントプッシュ通知を送信する。リクエスト受付開始要求は、転送役のスマートデバイス30Aに、他の端末からのリクエスト要求を受け付けることを指示するために送信される。
【0047】
S61において、スマートデバイス30Aのプッシュ受信モジュール31は、社内APサーバ20からサイレントプッシュ通知で送信されたリクエスト受付開始要求を受信する。リクエスト受付開始要求には、下記の情報が含まれる。
【0048】
・命令コード:命令識別子。
・受付タイムアウト時間:最後のリクエスト受付処理終了時から、次のリクエストが来るまでの最大待ち時間。
【0049】
S62において、スマートデバイス30Aのサーバ命令受付モジュール32は、同じグループの他の端末からのリクエスト受付処理を開始する。
【0050】
S52において、社内APサーバ20のスマートデバイスグループ管理モジュール26は、送信すべき1通の新着メールに、各端末の所属するグループの転送役となる端末のIPアドレスとリクエスト受付ポートの情報を含めて新着情報を作成する。そして、スマートデバイスグループ管理モジュール26は、プッシュ送信モジュール22を通じて、各端末に一斉にプッシュ通知を送信する。
【0051】
(4)リクエスト要求の受け付け及び転送処理
図6は、リクエスト要求の受け付け及び転送処理のシーケンス図である。
図6に示すS71において、スマートデバイス30Aのプッシュ受信モジュール31は、社内APサーバ20から送信された新着情報をプッシュ通知で受信する。ユーザが新着情報を取得するための操作を行うことにより、新着情報を更新するための処理(リクエスト要求の発行等)が開始される。
【0052】
S72において、スマートデバイス30Aのリクエスト発送制御モジュール34は、リクエスト要求を発行する。リクエスト発送制御モジュール34は、自端末が転送役のため、リクエスト要求を受付タイムアウト時間まで保持する。
【0053】
S81において、スマートデバイス30Bのプッシュ受信モジュール31は、社内APサーバ20から送信された新着情報をプッシュ通知で受信する。
【0054】
S82において、スマートデバイス30Bのリクエスト発送制御モジュール34は、リクエスト要求を発行する。リクエスト発送制御モジュール34は、新着情報に含まれている、転送役となる端末のIPアドレスとリクエスト受付ポートに基づいて、転送役の端末(スマートデバイス30A)に接続して、新着情報のリクエスト要求を送信する。
【0055】
なお、リクエスト要求の受け付け及び転送処理において、S81及びS82の処理は、S71及びS72の処理より先に行われることもあるし、S71及びS72の処理と並列に行われることもある。
【0056】
S73において、スマートデバイス30Aのリクエスト転送モジュール33は、他端末からのリクエスト要求を受け付ける。リクエスト要求の受け付けには、一定のリクエスト受付期間が設けられている。
【0057】
S74において、スマートデバイス30Aのリクエスト転送モジュール33は、自端末で発行したリクエスト要求及びリクエスト受付期間内に受け付けた他の端末からのリクエスト要求をまとめて、一括して社内APサーバ20へ転送する。リクエスト転送モジュール33において、リクエスト要求の受付と転送の処理は、非同期で行われる。リクエスト転送モジュール33は、リクエスト要求の受け付け及び転送処理を、リクエスト受付期間が終了する毎に繰り返し実行する。リクエスト転送モジュール33は、前回のリクエスト要求の転送処理の終了時から、リクエスト受付期間を過ぎても、他の端末から新たなリクエスト要求を受け付けていなければ、リクエスト要求の受け付け処理及び転送処理を終了する。
【0058】
S91において、社内APサーバ20のスマートデバイスリクエスト処理モジュール24は、転送役のスマートデバイス30Aからのリクエスト要求(折り返しアクセス)を受け付ける。
【0059】
(5)新着情報データの非同期発送処理
図7は、新着情報データの非同期発送処理のシーケンス図である。
図7に示すS101において、社内APサーバ20のデータ分割発送モジュール27は、新着情報データ発送処理を開始する。
【0060】
S102において、社内APサーバ20のデータ分割発送モジュール27は、社内メールサーバ10に対して新着情報データの転送を要求する。
【0061】
S111において、社内メールサーバ10は、新着情報データを取得し、社内APサーバ20へ転送する。
【0062】
S103において、社内APサーバ20のデータ分割発送モジュール27は、社内メールサーバ10から転送された新着情報データを同等サイズの複数のデータパケットに分割し、リクエスト要求を受け付けた各端末にサイレントプッシュ通知で発送する。
【0063】
S121において、スマートデバイス30Aのデータ結合制御モジュール35は、新着情報データのデータパケットを1件認識すると、後続の新着情報データの受信処理を開始する。データ結合制御モジュールは、次回以降に受信したデータパケットを順番通りに結合して、新着情報データを復元する。
【0064】
S122において、スマートデバイス30Aのデータ結合制御モジュール35は、すべてのデータパケットを受信すると、受信完了のメッセージを画面に表示させる。
【0065】
S131において、スマートデバイス30Bのデータ結合制御モジュール35は、新着情報データのデータパケットを1件認識すると、後続の新着情報データの受信処理を開始する。データ結合制御モジュールは、次回以降に受信したデータパケットを順番通りに結合して、新着情報データを復元する。
【0066】
S132において、スマートデバイス30Bのデータ結合制御モジュール35は、すべてのデータパケットを受信すると、受信完了のメッセージを画面に表示させる。
【0067】
なお、新着情報データの非同期発送処理において、S131及びS132の処理は、S121及びS122の処理より先に行われることもあるし、S121及びS122の処理と並列に行われることもある。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の通信システム1によれば、プッシュ通信により複数の端末に一斉にメールを配信した場合でも、折り返しアクセスは転送役の端末のみとなるため、社内APサーバ20への折り返しアクセスの増加を抑制することができる。
また、一時的に発生するバースト的な折り返しアクセスに対応するためにサーバを増設する必要がないため、サーバの導入費用及び維持費用の無駄を回避することができる。
【0069】
ここで、サーバ数の削減効果について具体例を挙げて説明する。
例えば、社員数5000人の企業において、全社員に対する新着メールの一斉配信が発生した後、全社員がアプリケーションサーバに折り返しアクセスした場合を想定する。また、1つのアプリケーションサーバの同時接続上限を100tpsとし、1グループに付き10台のスマートデバイスが割り当てられたものとする。
【0070】
・端末のグループ分け、転送役の端末を選定しない場合(従来例)
端末からの折り返しアクセス数:5000
端末からの折り返しアクセスに対応するためのアプリケーションサーバ数:5000/100=50台。
【0071】
・端末のグループ分け、転送役の端末を選定した場合(本実施形態)
端末のグループ数:5000/10=500
端末(転送役)からの折り返しアクセス数:500
端末(転送役)からの折り返しアクセスに対応するためのアプリケーションサーバ数:500/100=5台。
【0072】
したがって、本実施形態の通信システム1では、同じ条件下においてアプリケーションサーバ数を1/10に削減することができる。なお、従来例において、端末からの折り返しアクセス数を3割(5000×0.3=1500)とした場合、端末からの折り返しアクセスに対応するためのアプリケーションサーバ数は15(1500/100)台となる。このように、端末からの折り返しアクセス数を3割としても、本実施形態の通信システム1では、アプリケーションサーバ数を1/3に削減することができる。
【0073】
本実施形態の通信システム1において、社内APサーバ20のスマートデバイスグループ管理モジュール26(情報端末管理部)は、各端末の動作状態、継続利用時間、ネットワーク通信速度及びリクエスト要求件数のうちの少なくとも1つの条件を参照して、転送役となる端末を選定する。そのため、社内APサーバ20は、転送役に適した端末をより確実に選定することができる。
【0074】
本実施形態の通信システム1において、社内APサーバ20のスマートデバイス動作監視モジュール25(情報端末動作監視部)は、各スマートデバイスに動作応答要求サイレントプッシュ通知を送信し、返答データを受信したか否かに応じて、転送役となる端末をスマートデバイスグループ管理モジュール26に再選定させる。そのため、社内APサーバ20は、転送役として選定した端末が転送役の役割を果たせない場合であっても、転送役として再選定した端末により、グループ内の他の端末からのリクエスト要求の受け付けを継続させることができる。
【0075】
また、スマートデバイス動作監視モジュール25は、各スマートデバイスに一定の時間間隔で動作応答要求サイレントプッシュ通知を送信し、制限時間内に返答データを受信したか否かに応じて、転送役となる端末をスマートデバイスグループ管理モジュール26に再選定させる。そのため、社内APサーバ20は、その時点で転送役に最も適した端末をリアルタイムに再選定することができる。
【0076】
本実施形態の通信システム1において、転送役となる端末のリクエスト転送モジュール33(リクエスト要求管理部)は、一定の受付期間内に他の端末から受け付けたリクエスト要求を一括して社内APサーバ20に転送する処理を、受付期間が終了する毎に繰り返し実行する。そのため、転送役の端末は、他の端末からリクエスト要求が非同期に送信された場合でも、それらのリクエスト要求をより確実に社内APサーバ20に転送することができる。
【0077】
本実施形態の通信システム1において、スマートデバイス30のリクエスト発送制御モジュール34は、受信した新着情報に転送役となる端末のIPアドレスとリクエスト受付ポートが含まれない場合、社内APサーバ20に直接アクセスして、リクエスト要求を発行する。そのため、スマートデバイス30は、社内APサーバ20で転送役となる端末が選定されなかったり、転送役となる端末が動作状態でなかったりした場合でも、リクエスト要求をより確実に送信することができる。
【0078】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態であるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を施した状態での実施も可能である。
【0079】
本実施形態では、新着情報データを、社内APサーバ20からリクエスト要求を受け付けた各端末に発送する例について説明したが、これに限定されない。新着情報データを、転送役となる端末に発送し、この端末から同じグループ内の他の端末に新着情報データを配信するようにしてもよい。なお、新着情報データを発送する端末は、転送役の端末に限らず、同じグループ内の他の端末であってもよい。この場合、新着情報データを受信した端末から、同じグループ内の他の端末に新着情報データが配信される。
【0080】
本実施形態では、転送役となる端末の受付制限台数に基づいてグループ数を決定する例について説明したが、これに限定されない。複数の端末をグループ分けし、各グループに属する端末の中から転送役となる端末を選定してもよい。
【0081】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1) 通信ネットワークを介してデータを送受信可能な複数の情報端末と、
前記通信ネットワークを介して前記情報端末との間でデータを送受信するサーバと、を備えた通信システムであって、
前記サーバは、
複数の前記情報端末のグループ分け及び転送役となる情報端末を選定し、該転送役に選定した前記情報端末にリクエスト受付開始要求を送信した後、転送役に選定した前記情報端末の情報を含む新着情報通知を複数の前記情報端末に一斉に配信するグループ管理部と、
転送役に選定した前記情報端末から複数のリクエスト要求を一括して受信するリクエスト処理部と、
前記新着情報通知に対するリクエスト要求を発行したすべての前記情報端末に対して応答データを発送する発送部と、を備え、
前記情報端末は、
前記サーバからリクエスト受付開始要求を受信した場合、前記新着情報通知に対するリクエスト要求を発行すると共に、同じグループに属する他の前記情報端末の前記新着情報通知に対するリクエスト要求を受け付け、受け付けたリクエスト要求を一括して前記サーバに転送し、前記サーバからリクエスト受付開始要求を受信しない場合、前記新着情報通知に対するリクエスト要求を発行して、転送役に選定された前記情報端末にリクエスト要求を送信する、ことを特徴とする通信システム。
(付記2) 付記1に記載の通信システムであって、
前記サーバの前記グループ管理部は、
複数の前記情報端末において、動作状態、継続利用時間、ネットワーク通信速度及びリクエスト要求件数のうちの少なくとも1つの条件を参照して、転送役となる情報端末を選定すること、
を特徴とする通信システム。
(付記3) 付記1又は付記2に記載の通信システムであって、
前記サーバは、
転送役に選定した前記情報端末に動作応答要求を送信し、転送役に選定した前記情報端末から返答データを受信したか否かに応じて、転送役となる情報端末を前記グループ管理部に再選定させる動作監視部を更に備えること、
を特徴とする通信システム。
(付記4) 付記1から付記3までのいずれか1項に記載の通信システムであって、
前記情報端末は、
一定の受付期間内に受け付けた複数のリクエスト要求を一括して前記サーバに送信する処理を、
前記受付期間が終了する毎に繰り返し実行すること、
を特徴とする通信システム。
(付記5) 付記1から付記4までのいずれか1項に記載の通信システムであって、
前記サーバの前記発送部は、
前記新着情報通知に対するリクエスト要求を発行したすべての前記情報端末に対して応答データを発送することに代えて、前記転送役に選定した前記情報端末に対して応答データを発送し、
前記転送役に選定された情報端末は、
前記サーバから受信した応答データを、同じグループに属する他の前記情報端末であって前記リクエスト要求を受け付けた情報端末に配信すること、
を特徴とする通信システム。
(付記6) 通信ネットワークを介してデータを送受信可能な複数の情報端末と、前記通信ネットワークを介して前記情報端末との間でデータを送受信するサーバと、を備えた通信システムにおける通信方法であって、
前記サーバが、複数の前記情報端末のグループ分け及び転送役となる情報端末を選定するステップと、
前記サーバが、転送役に選定した前記情報端末にリクエスト受付開始要求を送信した後、転送役に選定した前記情報端末の情報を含む新着情報通知を複数の前記情報端末に一斉に配信するステップと、
前記サーバが、転送役に選定した前記情報端末から複数のリクエスト要求を一括して受信するステップと、
前記サーバが、前記新着情報通知に対するリクエスト要求を発行したすべての前記情報端末に対して応答データを送信するステップと、
前記情報端末が、前記サーバからリクエスト受付開始要求を受信した場合、前記新着情報通知に対するリクエスト受付開始要求を発行すると共に、同じグループに属する前記情報端末の前記新着情報通知に対するリクエスト要求を受け付け、受け付けたリクエスト要求を一括して前記サーバに転送するステップと、
前記情報端末が、前記サーバからリクエスト受付開始要求を受信しない場合、前記新着情報通知に対するリクエスト要求を発行して、転送役に選定された前記情報端末にリクエスト要求を送信するステップと、
を有する通信方法。
(付記7) 付記6に記載の通信方法であって、
前記サーバが、複数の前記情報端末において、動作状態、継続利用時間、ネットワーク通信速度及びリクエスト要求件数のうちの少なくとも1つの条件を参照して、転送役となる情報端末を選定するステップを有すること、
を特徴とする通信方法。
(付記8) 付記6又は付記7に記載の通信方法であって、
前記サーバが、転送役に選定した前記情報端末に動作応答要求を送信し、転送役に選定した前記情報端末から返答データを受信したか否かに応じて、転送役となる情報端末を再選定するステップを有すること、
を特徴とする通信方法。
(付記9) 付記6から付記8までのいずれか1項に記載の通信方法であって、
前記情報端末が、一定の受付期間内に受け付けた複数のリクエスト要求を一括して前記サーバに送信する処理を、前記受付期間が終了する毎に繰り返し実行するステップを有すること、
を特徴とする通信方法。
(付記10) 付記6から付記9までのいずれか1項に記載の通信方法であって、
前記サーバが、前記新着情報通知に対するリクエスト要求を発行したすべての前記情報端末に対して応答データを発送するステップに代えて、前記サーバが、転送役に選定した前記情報端末に対して応答データを発送するステップを有し、
前記情報端末が、前記サーバから受信した応答データを、リクエスト要求を受け付けた他の前記情報端末に配信するステップを更に有すること、
を特徴とする通信方法。
【解決手段】複数の情報端末30とサーバ20とを備えた通信システムであって、サーバは、複数の情報端末のグループ分け及び転送役となる情報端末を選定し、転送役に選定した情報端末にリクエスト受付開始要求を送信した後、転送役に選定した情報端末の情報を含む新着情報通知を複数の情報端末に一斉に配信する。情報端末は、サーバからリクエスト受付開始要求を受信した場合、新着情報通知に対するリクエスト要求を発行すると共に、同じグループに属する他の情報端末の新着情報通知に対するリクエスト要求を受け付け、受け付けたリクエスト要求を一括してサーバに転送する。サーバからリクエスト受付開始要求を受信しない場合、新着情報通知に対するリクエスト要求を発行して、転送役に選定された前記情報端末にリクエスト要求を送信する。