特許第6202652号(P6202652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6202652
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】抗エクオール抗体組成物及びその利用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20170914BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20170914BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20170914BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20170914BHJP
【FI】
   C07K16/18ZNA
   G01N33/53 S
   C12N15/00 A
   !C12P21/08
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-245952(P2016-245952)
(22)【出願日】2016年12月19日
【審査請求日】2017年2月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509152079
【氏名又は名称】株式会社ヘルスケアシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 陽介
(72)【発明者】
【氏名】萩原 啓太郎
【審査官】 中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−106886(JP,A)
【文献】 特開2012−098034(JP,A)
【文献】 特開2014−160088(JP,A)
【文献】 特開2010−169507(JP,A)
【文献】 Takayuki Minekawa, et al.,The Development of S-Equol Diastereoisomer Specific ELISA,American Journal of Analytical Chemistry,2012年,Vol.3,p.448-454
【文献】 Cyril Le Houerou, et al.,Syntheses of Novel Hapten-Protein Conjygates for Production of Highly Specific Antibodies to Formononetin, Daidzein and Genistein,Tetrahedron,2000年,Vol.56,p.295-301
【文献】 Duncan C.S. Talbot et al.,Monoclonal Antibody-Based Time-Resolved Fluorescence Immunoassays for Daidzein, Genistein, and Equol,Clinical Chemistry,2007年,53,748-756
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K1/00−19/00JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗エクオール抗体組成物であって、
免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗エクオール抗体フラグメントと、
免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号9で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗エクオール抗体フラグメントと、
を含む、組成物。
【請求項2】
全体として、S−エクオールに対する交差率を100%としたとき、R−エクオール対する交差率が80%以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R−エクオール対する交差率が85%以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、ダイゼイン、ゲニステイン及びグリシテインからなる群から選択される1種又は2種以上のイソフラボンに対する交差率が0.01%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
ダイゼイン、ゲニステイン及びグリシテインの各イソフラボンに対する交差率が0.01%以下である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
さらに、エラグ酸2水和物、カテキン1水和物及び没食子酸からなぐ群から選択される1種又は2種以上に対する交差率が1%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
エラグ酸2水和物及びカテキン1水和物に対する交差率が0.01%以下である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を含む、エクオール検出試薬。
【請求項9】
免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗エクオール抗体フラグメント。
【請求項10】
免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号9で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗エクオール抗体フラグメント。
【請求項11】
生体由来試料中のエクオールの測定方法であって、
請求項8に記載のエクオール検出試薬と前記生体由来試料中のエクオールとを接触させる工程、
を備える、方法。
【請求項12】
エクオールの測定デバイスであって、
固相担体に結合された請求項8に記載の検出試薬を備える、デバイス。
【請求項13】
エクオールの測定キットであって、
請求項8に記載の検出試薬を備える、キット。
【請求項14】
請求項9に記載の抗体又はその抗体フラグメントをコードするポリヌクレオチドを有する発現ベクター。
【請求項15】
請求項10に記載の抗体又はその抗体フラグメントをコードするポリヌクレオチドを有する発現ベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、抗エクオール抗体組成物及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
エクオールは、イソフラボンがヒトなどの腸内細菌によって代謝された代謝産物であるとされている。エクオールは抗エストロゲン効果により、女性ホルモンの低下に起因する種々の症状を改善することがあることが知られている。
【0003】
エクオールは、大豆製品等から腸内細菌によって生産されるが、大豆摂取量のほか、腸内細菌叢の個人差やその状況によってエクオール産生量は異なる場合がある。また、エクオールを直接摂取する場合もある。エクオールは、抗エストロゲン効果を奏するが、個体のエクオール産生能(産生量)ほか体内におけるエクオール量をモニタすることは重要である。
【0004】
ここで、エクオールは、既に尿中のエクオールを抗エクオール抗体を用いて測定する方法が提供されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-169507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の抗エクオール抗体は、その交差性や検出感度等に関し、必ずしも十分ではなかった。高感度でかつ高い正確性で、しかも簡易にエクオールを測定することが要請されている。
【0007】
本明細書は、より実用的に用いることができる抗エクオール抗体組成物及びその利用を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、エクオールに対するより好適な交差性や親和性等を有する抗エクオール抗体を含む組成物を取得した。本明細書によれば、この知見に基づき、以下の手段が提供される。
【0009】
[1]抗エクオール抗体組成物であって、
免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗体フラグメントと、
免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号9で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗体フラグメントと、
を含む、組成物。
[2]全体として、S−エクオールに対する交差率を100%としたとき、R−エクオール対する交差率が80%以上である、組成物。
[3]R−エクオール対する交差率が85%以上である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]さらに、ダイゼイン、ゲニステイン及びグリシテインからなる群から選択される1種又は2種以上のイソフラボンに対する交差率が0.01%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]ダイゼイン、ゲニステイン及びグリシテインの各イソフラボンに対する交差率が0.01%以下である、[4]に記載の組成物。
[6]さらに、エラグ酸2水和物、カテキン1水和物及び没食子酸からなぐ群から選択される1種又は2種以上に対する交差率が1%以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]エラグ酸2水和物及びカテキン1水和物に対する交差率が0.01%以下である、[6]に記載の組成物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の組成物を含む、エクオール検出試薬。
[9]免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗体フラグメント。
[10]免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号9で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗体フラグメント。
[11]生体由来試料中のエクオールの測定方法であって、
[8]に記載のエクオール検出試薬と前記生体由来試料中のエクオールとを接触させる工程、
を備える、方法。
[12]エクオールの測定デバイスであって、
固相担体に結合された[8]に記載の検出試薬を備える、デバイス。
[13]エクオールの測定キットであって、
[8]に記載の検出試薬を備える、キット。
[14][9]に記載の抗体又はその抗体フラグメントをコードするポリヌクレオチドを有する発現ベクター。
[15][10]に記載の抗体又はその抗体フラグメントをコードするポリヌクレオチドを有する発現ベクター。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】抗エクオールモノクローナル抗体の抗体価の評価結果を示す図である。
図2】抗エクオールモノクローナル抗体のHPLCとイムノクロマトグラフィーによる測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書の開示は、抗エクオール抗体組成物及びその利用に関する。本明細書に開示される抗エクオールモノクローナル抗体(以下、単に本抗体ともいう。)を含む組成物(以下、単に、本抗体組成物という。)によれば、高い検出感度で、しかも、高い正確性でエクオールを測定することができる。さらに、その優れた交差性によれば、生体試料中のエクオールも精度よくかつ正確に測定することができる。
【0012】
本抗体組成物は、R−エクオールにも特異的に結合するが、全体としてS−エクオールに対する高い結合能を有し、S−エクオールについての高い検出感度を有する。エクオール含有量が低い生体由来試料や少量の生体由来試料であっても、簡易にエクオールを測定することができる。
【0013】
以下、本明細書に開示される抗エクオール抗体組成物及びその利用に関する実施形態について詳細に説明する。
【0014】
(抗エクオール抗体組成物)
本抗体組成物は、2つの抗エクオールモノクローナル抗体を含有することができる。これらの抗体を組み合わせるで得られる本抗体組成物が備える特異的結合能は、例えば、以下のように列挙することができる。本抗体組成物は、少なくとも(1)の特異的結合能を有することができる。以下の(2)〜(4)のいずれか又は2つ以上の特異的結合能をさらに有することができる。なお、本明細書において、「特異的結合能」または「特異的に結合する」とは、抗体、すなわち、免疫グロブリンが有する抗原認識能に基づいて結合する能力及び結合することを意味している。以下に、R−エクオール及びS−エクオールの構造を示す。なお、腸内細菌は、S−エクオールを限定的に生成する。
【0015】
【化1】
【0016】
(1)S−エクオールに対する交差率を100%としたとき、R−エクオール対する交差率が80%以上である。なお、R−エクオールに対する交差率は85%以上であってもよいし、90%以上であってもよいし、さらに、95%以上であってもよく、また例えば98%程度であってもよい。また例えば105%以下であってもよい。
(2)ダイゼイン、ゲニステイン及びグリシテインからなる群から選択される1種又は2種以上のイソフラボンに対する交差率がいずれも0.01%以下である。また例えば、ダイゼイン、ゲニステイン及びグリシテインに対する交差率がいずれも0.01%以下であってもよい。また、さらに、こうした交差率は0.005%以下であってもよい。
(3)エラグ酸2水和物、カテキン1水和物及び没食子酸からなる群から選択される1種又は2種以上に対する交差率がいずれも1%以下である。また例えば、エラグ酸2水和物及びカテキン1水和物に対する交差率が0.01%以下であってもよいし、0.005%以下であってもよい。
(4)アピゲニン、R−O−デスメチルアンゴレンシン(DMA)に対する交差率が0.01%である。また例えば、同交差率が0.005%以下である。
【0017】
上記した交差性及び交差率は、当業者において周知の方法で測定することができる。例えば、ELISA、競合ELISAなどによって測定することができる。
【0018】
本抗体の交差性は、特に限定するものではないが、各イソフラボン濃度が0.1μM以上75μM以下の範囲における任意の濃度範囲で測定することができる。また、例えば、同濃度が1μM以上10μM以下であってもよい。
【0019】
なお、上記した交差率は、例えば、以下のようにして取得することができる。まず、S−エクオールを用いて検量線を作成する。S−エクオールを含む化合物の濃度を1μMと10μMとを用意し、それぞれの濃度で抗体と反応させて、検量線からS−エクオール濃度を算出する。例えば、10μMのダイゼインを添加し、検量線から10μMの濃度として検出された場合は100%の交差性として、1μMの濃度として検出された場合は10%の交差性として、0.1μMの濃度と検出された場合は1%の交差性としてみなす。
【0020】
本抗体組成物は2種のモノクローナル抗体を含有することができる。これらの2種のモノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖の超可変領域のアミノ酸配列が特定されている。
【0021】
第1の抗体の重鎖(IgG)の可変領域(VH領域)は、それぞれ配列番号1〜3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を備えている。3つの超可変領域を含む重鎖可変領域は、例えば、配列番号10で表されるアミノ酸配列を有することができる。配列番号1〜3及び10で表される各アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、それぞれ配列番号13〜15及び16で表される。
【0022】
第1の抗体の軽鎖の可変領域(VL領域)は、それぞれ配列番号4〜6で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を備えている。3つの超可変領域を含む軽鎖可変領域は、例えば、配列番号11で表されるアミノ酸配列を有することができる。配列番号2で表されるアミノ酸配列を有している。なお、当該軽鎖は、κ鎖である。配列番号4〜6及び11で表される各アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、それぞれ配列番号18〜20及び21で表される。
【0023】
第2の抗体の重鎖の可変領域(VH領域)は、それぞれ配列番号1〜3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を備えている。3つの超可変領域を含む重鎖可変領域は、例えば、配列番号10で表されるアミノ酸配列を有することができる。配列番号1〜3及び10で表される各アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、それぞれ配列番号13〜15及び16で表される。
【0024】
第1の抗体の軽鎖の可変領域(VL領域)は、それぞれ配列番号7〜9で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を備えている。3つの超可変領域を含む軽鎖可変領域は、例えば、配列番号12で表されるアミノ酸配列を有している。なお、当該軽鎖は、κ鎖である。配列番号7〜9及び12で表される各アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、それぞれ配列番号23〜25及び26で表される。
【0025】
本抗体組成物は、本願出願時における公知技術において、特異的に任意の抗原(本明細書においては、例えば、S−エクオールなど)に対して結合能を有するインタクトな抗体又は当該結合能を有する抗原結合部分を含む部分ということができる。本抗体は、本願出願時における技術常識のほか以下に示す内容に基づいて各種態様を採ることができる。
【0026】
抗体の「抗原結合部分」とは、特異的に任意の抗原(例えば、S−エクオールに結合する能力を保持するインタクトな抗体の1つ以上のフラグメントを意味する。「抗原結合部分」は、特に限定するものではなく、Fabフラグメント、V、V、CおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント;F(ab)フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド橋により連結された2つのFabフラグメント(一般的に重鎖および軽鎖から1つ)を含む二価フラグメント;VおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;抗体の単一のアームのVおよびVドメインからなるFvフラグメント;Vドメインからなる単一ドメイン抗体(dAb)フラグメント;および単離された相補性決定領域(CDR)など各種形態のフラグメント又はその組合せを含むことができる。また、抗原結合部分は、組換え方法を使用して、VおよびV領域が対になって一価分子を形成する一本のタンパク質鎖として作製可能とする人工ペプチドリンカーにより連結することができる。
【0027】
このほか、抗原結合部分は、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NARおよびビス−scFvに組み込まれていてもよい。
【0028】
本抗体の由来生物種は特に限定するものではないが、適用する生物体や目的によっても異なるが、ヒト抗体、マウス抗体、ヤギ抗体等とすることができる。なお、ヒト抗体というときには、抗体のフレームワークおよびCDR領域の両方がヒト起源の配列に由来している可変領域を有する抗体を含むことを意味している。さらに、抗体が定常領域を含むとき、定常領域は、また、このようなヒト配列、例えば、ヒト生殖細胞系列配列または突然変異型のヒト生殖細胞系列配列に由来することを意味している。また、2以上の生物種に由来するフラグメントに基づく抗体をキメラ抗体ということができる。
【0029】
本抗体がモノクローナル抗体であれば、抗原に対して安定した結合性能を発揮することができる。モノクローナル抗体の取得は、当業者において周知である。後述する方法のほか、例えば、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合させた遺伝子導入非ヒト動物(例えば、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する遺伝子導入マウス)から得られたB細胞を含むハイブリドーマにより製造される。
【0030】
また、本抗体は、例えば、組換えヒト抗体などの組換え抗体であってもよい。組換えヒト抗隊は、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を遺伝子導入または染色体導入された動物(例えば、マウス)またはそれから製造されたハイブリドーマから単離された抗体;ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、例えば、トランスフェクトーマから単離された抗体;組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体;およびヒト免疫グロブリン遺伝子配列の全部または一部の他のDNA配列へのスプライシングを含む他の手段により製造、発現、作製または単離された抗体を含む。このような組換えヒト抗体はフレームワークおよびCDR領域がヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来している可変領域を有する。
【0031】
本抗体の製造方法については、後段にて詳述するが、本抗体は、公知の方法で取得された抗体がRS−エクオールを認識して結合する結合能を有している限り、その変異体であってもよい。例えば、出発物質としての抗体の少なくとも一部、例えば、全長重鎖および/または軽鎖配列、Vおよび/またはV配列またはそれに結合した定常領域に変異を導入するなどの修飾することにより、新たな抗体を取得することもできる。また、取得した抗体に対していわゆるペグ鎖を導入するなどもできる。こうした抗体の改変の手法自体は、当業者において周知である。
【0032】
本抗体は、必要に応じて、標識要素を備えることができる。標識要素は、特に限定するものではないが、従来公知の標識物質を適宜選択して用いることができる。標識物質は、特に限定しないが、典型的には、蛍光、放射能、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等)、燐光、化学発光、着色などを利用した標識物質が挙げられる。
【0033】
本抗体は、標識要素として、標識要素と結合可能な物質を備えていてもよい。最終的に標識物質による識別が可能にこれらを結合可能な分子ないし物質を備えていてもよい。こうした物質等としては、タンパク質−タンパク質相互作用、低分子化合物−タンパク質相互作用等を利用できる。例えば、抗原抗体反応における抗体や、アビジン(ストレプトアビジン)−ビオチンシステムにおけるビオチン、抗ジゴキシゲニン(DIG)−ジゴキシゲニン(DIG)システムにおけるジゴキシゲニン、又は抗FITC−FITCシステムにおけるFITC等に代表されるハプテン類などが挙げられる。この場合、最終的に検出のために用いられる標識物質は、こうした標識物質に結合性を有する物質と相互作用する他方の分子又は物質(例えば、抗原、すなわち、ストレプトアビジン、抗FITCなど)を、標識物質結合物質との結合のための部位として備えるように修飾される。
【0034】
こうした各種態様の標識要素は、商業的に入手できるほか、標識要素で抗体を修飾する方法も当業者において周知である。したがって、当業者であれば、種々の標識要素を取得して、抗体に対してアミノ基やカルボキシル基等の官能基を介して適宜可能である。
【0035】
(抗エクオール抗体の製造方法)
本明細書に開示される、本抗体の製造方法は、RS−エクオール(ラセミ体)にキャリアタンパク質を複合化した複合体を用いて動物を免疫する工程と、前記動物の脾臓細胞由来のハイブリドーマからRS−エクオールに対して特異的結合能を有する抗体を取得する工程と、を備えることができる。
【0036】
また、前記抗体取得工程は、前記動物から分離した脾細胞とミエローマ細胞とを融合して得られるハイブリドーマから、RS−エクオールに対して特異的結合能を有する抗体の産生能を有するハイブリドーマを分離する工程と、前記ハイブリドーマを用いて前記抗体を生産する工程と、を備えることができる。本製造方法によれば、モノクローナル抗体である本抗体を効率的に取得することができる。
【0037】
(免疫工程)
以下、免疫工程について説明する。複合体を得るためのキャリアタンパク質としては、スカシガイヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン(OVA)、ウサギ血清アルブミン(RSA)、ウシチログロブリン(THY)等の公知のキャリアタンパク質から適宜選択される。キャリアタンパク質としては、さらに、ヒト、マウス、ウサギ、ヤギ等など各種脊椎動物種由来のもののほか変異体であってもよい。
【0038】
複合体は、例えば、RS−エクオール(ラセミ体)の水酸基に導入したカルボキシメチル基のカルボキシル基を介して常法に従い、KLHなどのキャリアタンパク質を導入して取得することができる。かかるRS−エクオールに対してKLHなどのキャリアタンパク質を常法に従い導入することができる。なお、エクオールの2つの4’位及び7位水酸基のうち双方にカルボキシル基が導入されるため、4’位の水酸基を介してキャリアタンパク質を導入した4’位複合体と、7位複合体と、の双方がある。すなわち、R体4’位複合体、R体7位複合体、S体4’位複合体、S体7位複合体の4種の複合体からR体の複合体及びS体の複合体を少なくとも各1種を組み合わせて用いることでRS−エクオールのキャリアタンパク質複合体として用いることができる。好ましくは、これら4種の複合体を組み合わせて用いる。こうして得られる複合体で動物を免疫することで、RS−エクオール(ラセミ体)に対する特異的結合能を指標として本抗体産生能を評価することで、本抗体組成物に好適なモノクローナル抗体を効率的に取得することができる。
【0039】
こうして得られたRS−エクオール−キャリアタンパク質複合体で脊椎動物を免疫する。免疫する脊椎動物(以下、免疫動物ともいう。)の種類は特に限定するものではないが、遺伝子組換又は遺伝子組換えされていない非ヒト動物が挙げられる。好適には、マウス、ラット、ヤギ、ウサギ等が挙げられる。既述のとおり、ヒト抗体を得るには、ヒト型抗体を作製できるように遺伝的に改変された非ヒト脊椎動物を用いることができる。
【0040】
免疫原の免疫動物への投与は、特に限定するものではないが、腹腔内投与、静脈投与等、必要に応じて周知の方法から適宜選択される。また、複合体の投与にあたり、適宜、完全アジュバント、不完全アジュバントを適宜用いることができる。複合体の投与は、免疫される十分に繰り返して行うことができる。通常は、2回〜5回程度、複合体が投与される。
【0041】
こうした免疫原を用いて、脊椎動物を免疫し、RS−エクオールに対する抗体価を評価することで、免疫動物における、本抗体の産生を確認することができる。免疫動物において、意図した抗体が産生されているか否かは、適宜、免疫動物から採血して、RS−エクオールなどを用いた抗体価を評価する。評価は、ELISAなど公知の方法を適宜用いることができる。
【0042】
RS−エクオールに高い抗体価を確認できる免疫動物から脾臓を摘出して、脾細胞を調製後、P3U1細胞などのマウスミエローマ細胞とポリエチレングリコールなどを用いた公知の細胞融合方法によって細胞融合を行い、その後、ハイブリドーマをセットなクレームする。なお、ハイブリドーマの選択は、例えば、ハイブリドーマがミエローマ細胞株が8−アザグアニン耐性株であることを利用して正常培地(HAT培地)中で、例えば、10〜14日間培養することにより選択することができる。さらに、選択されたハイブリドーマが産生する抗体の抗体価を、RS−エクオールを用いてELISA法で解析し、抗体価の高い抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等により分離する。分離したハイブリドーマを適当な培地で培養して得られる培養上清から、硫安分画、アフィニティクロマトグラフィー等の適当な方法により精製してモノクローナル抗体を得ることができる。
【0043】
本抗体組成物に適用するモノクローナル抗体(ハイブリドーマ)は、(1)S−エクオールのほか、R−エクオールに対する交差反応性ほか、エクオールの前駆体など既述の各種のイソフラボン類に対する交差反応(2)〜(4)性を評価して、モノクローナル抗体を選択することができる。
【0044】
こうして得られるモノクローナル抗体及びその抗体フラグメントのアミノ酸配列は、抗体のアミノ酸配列の解析によって及び/又はハイブリドーマから得られる抗体コード領域の塩基配列解析によって得ることができる。
【0045】
こうして得られるモノクローナル抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードするDNAなどのポリヌクレオチドも、本開示の一態様である。また、こうした発現ベクターを保持する宿主細胞も、本開示の一態様である。なお、発現ベクターは、宿主の種類に応じて当業者に周知の適切な形態のほか、プロモーター、ターミネーター等の制御領域も適宜選択することができる。ポリヌクレオチドは、例えば、DNAであり、また例えば、cDNAである。
【0046】
本抗体組成物が含むことのできるモノクローナル抗体の重鎖可変領域及びその超可変領域、軽鎖可変領域及びその超可変領域については既に説明したとおりである。
【0047】
(生体由来試料中のエクオールの測定方法)
本明細書に開示される、エクオールの測定方法は、本抗体と生体由来試料中のエクオールとを接触させる工程、を備えることができる。本工程により、本抗体の特異的結合能に基づきエクオールに結合する。このエクオール−抗体複合体を、種々の方法であるいは抗体に付与された標識要素を介して検出し、エクオールの存否やその濃度(量)を測定することができる。
【0048】
抗体を用いて、その特異的結合能に基づいて、結合する抗原を検知し、測定する方法自体は、当業者において周知である。本測定方法は、こうした周知の方法に適用することができる。こうした周知の方法としては、ELISA、RIA、免疫クロマトグラフィーのほか、複合体の沈降反応及び沈降反応に基づく免疫電気泳動、一元平板免疫核酸法、免疫電気核酸法、交差免疫電気泳動法;複合体の凝集反応を利用したラテックス凝集法、ウエスタンブロット法(検出法としては、酵素免疫法やケミルネッセンス法等)、免役組織科学的検出法等が挙げられる。
【0049】
本測定方法における、エクオール濃度、抗体濃度等の測定条件は、測定方法の種類などに応じて当業者であれば適宜設定することができる。本抗体は、高い抗体結合性を有するため、例えば、多孔質性の固相を担体として用いた免疫クロマトグラフィーにおいて、エクオール濃度として0.5μMの検出限界値を確保することができる。検出限界値は、また例えば、同0.4μMであり、また例えば0.3μMであり、また例えば0.2μMであり、また例えば0.1μMであり、また例えば、0.05μMである。また、例えば0.04μMであり、また例えば0.03μMであり、また例えば0.02μMであり、また例えば0.01μMである。
【0050】
また、こうした免疫クロマトグラフィーにおいて、検出限界以上のエクオール濃度、例えば、0.01μM以上180mM以下の範囲でのエクオール定量値は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた定量値との高い相関を確認している。以上のことから、本抗体によれば、免疫クロマトグラフィーなどの簡易なデバイスによっても、高感度かつ正確にエクオールを検知し定量することができる。
【0051】
本測定方法は、各種の生体由来試料中のエクオールの測定に適用できる。生体由来試料としては、特に限定するものではないが、動物、植物及び微生物に由来する各種試料とすることができる。例えば、ヒトなどの動物の場合には、尿、血液、唾液、涙液、血清、血漿、便、組織又は組織抽出物等が挙げられる。また、植物の場合には、食材等が挙げられる。さらに、微生物の場合には、培養上清、細胞破砕物、細胞抽出物等が挙げられる。
【0052】
S−エクオールの検出又は測定は、エクオール−抗体複合体形成に基づく、ELISAや抗体クロマトグラフィー等公知の方法を適宜採用することができる。本測定方法では、エクオール−抗体複合体の検出にあたって、適宜、本抗体に対する二次抗体を用いてもよい。
【0053】
(エクオールの測定デバイス)
本明細書に開示される、エクオールの測定デバイスは、固相担体に結合された又は結合可能な本抗体を備えることができる。本デバイスによれば、検出感度に優れる本抗体組成物を備えるために、高感度でかつ高い正確性で簡易にエクオールを測定することができる。
【0054】
測定デバイスは、各種形態を採ることができる。例えば、固相担体としては、スティック状、ストリップ状等の免疫クロマトグラフィー固相担体、ラテックスビーズ、ガラスやプラスチック等のアレイ用固相担体などが挙げられる。
【0055】
(エクオールの測定キット)
本明細書に開示される、エクオールの測定キットは、本抗体組成物を含むことができる。本キットは、さらに、エクオール−抗体複合体を検出するための試薬を含むことができる。かかる試薬は、例えば、既述の標識要素、例えば、標識要素や標識物質及び/又は標識物質結合物質のほか、これらの標識物質及び/又は標識物質結合物質を導入するための試薬、あるいは標識物質を備えていてもよい二次抗体、標識物質のための試薬(例えば、ペルオキシダーゼを標識物質とする場合の基質等)が挙げられる。
【0056】
さらに、本キットには、そのほか、ELISAや抗体クロマトグラフィーによる検出を意図するブロッキング試薬、洗浄液、バッファ等を含めることができる。
【実施例】
【0057】
以下、本明細書の開示をより具体的に説明するために具体例としての実施例を記載する。以下の実施例は、本明細書の開示を説明するためのものであって、その範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0058】
(抗エクオールモノクローナル抗体の作製)
(1)免疫原の作製
エクオールは低分子であるため、そのままでは抗原となり得ない。そのため、まず、RS−エクオール(ラセミ体)66mg(トロントリサーチケミカル社製)、ベンジルブロモアセテート、炭酸カリウム90mg、を室温下で一昼夜置いた後、パラジウムカーボンと接触還元によりエステルの加水分解を行ない、これにより、4位及び7位の炭素原子にカルボキシメチル基を導入し、エクオールを得た。このカルボキシメチルエクオールは、4位と7位にカルボキシ基が結合した2種類を得られた。この2つのカルボキシメチルエクオール20mg、EDC15mg、sulfo-NHS 21mgをDMF中で24時間反応させたのち、スカシ貝ヘモシアニン(Keyhole Limpet Hemocyanin、KLH)46mgのPBS溶液3mLと25℃で4時間反応させ、アミド結合によって結合したエクオール-KLHコンジュゲートを作製した。
【0059】
(2)マウスへの免疫及びハイブリドーマの樹立
エクオール-KLHコンジュゲート0.5mg/mL PBSを等量のアジュバンドとよく混和した後、0.15mLを雌性BALB/cマウス(6週齢)に腹腔内投与した。2週間ごとに2回追加免疫を行い、最終免疫を行った3日後に、当該マウスから脾臓を摘出し、ミエローマ細胞(P3U1)と融合させることでハイブリドーマを作出した。 これら細胞の融合は、脾臓細胞とミエローマ細胞を1:5で混合し、常法に従いPEGを用いて融合した。これをHAT培地で10〜14日間培養後ハイブリドーマを選択した。
【0060】
ハイブリドーマの細胞コロニーが形成されたウェルの培養上清で上述したELISA法によって上清の抗体価を測定し、抗体価の高い抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法により分離した。なお、ハイブリドーマの分離のためのスクリーニングには、抗原としてRS−エクオールを用いた。分離した融合細胞を10%DMEM培地で培養後、IgGカラムを用いて精製を行い、モノクローナル抗体(抗エクオール抗体)を得た。
【0061】
(3)抗体の評価
得られたモノクローナル抗体について、そのアミノ酸配列解析及び塩基配列解析を行った。ところ、軽鎖可変領域として2種(κ及びλ)を検出し、重鎖可変領域を1種検出した。これらのことから、得られたハイブリドーマには、2種類のハイブリドーマの混合物であり、得られた抗体も、2種のモノクローナル抗体の混合物(組成物)であることがわかった。κ鎖軽鎖可変領域の超可変領域及び全体のアミノ酸配列を配列番号4〜6及び11に示し、これらをコードする塩基配列を配列番号18〜21に示す。また、λ軽鎖可変領域の超可変領域及び全体のアミノ酸配列を配列番号7〜9及び12に示し、これらをコードする塩基配列を配列番号23〜26に示す。また、IgG重鎖可変領域の超可変領域及び全体のアミノ酸配列番号1〜3及び10に示し、これらをコードする塩基及び配列を配列番号13〜16に示す。
【実施例2】
【0062】
(抗エクオールモノクローナル抗体組成物の交差性の評価)
得られた抗体組成物の交差性を調べるため、S−エクオールを含む9種類(S−エクオール、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、エラグ酸2水和物、カテキン1水和物、没食子酸、アピゲニン、DMA)の化合物について反応性を検討した。まず、S−エクオールを用いて検量線を作成した。S−エクオールを含む9種類の化合物を1μMと10μM用意し、それぞれの濃度を本抗体と反応させて、検量線から交差性を算出した。結果を以下の表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、得られた抗体組成物は、S−エクオールのほかR−エクオールに特異的であり、類似化合物には極めて低い交差性しか呈さなかった。
【実施例3】
【0065】
(エクオール検量線の作製)
得られた抗体組成物を用いて、最大濃度3μMのS−エクオール標準液より希釈バッファーにて段階希釈し、それぞれ濃度3、1、0.3、0.1、0.03、0.01、0μMの標準液を用いた免疫クロマトグラフィーで実施時の検量線を図1に示す。図1に示すように、検量範囲は0.01μM〜3μMであった。実施例1で得た抗体組成物は、極めて高い検出感度を有していることがわかった。
【0066】
なお、免疫クロマトグラフィーは、イムノクロマトグラフィーデバイスとしてイムノメジャー(アイシン精機株式会社製)を用いて、以下の条件で行った。標準液、バッファー及び金コロイド抗エクオール抗体をそれぞれ室温とした後、金コロイド抗体を1400μlのバッファーで溶解して所定濃度の抗体溶液とした。抗体溶液96μlをマイクロチューブにとり、エクオール標準液(0、0.01、0.03、0.1、0.3、1及び3μM)、尿検体及びコントロール尿の各4μlを加えて入れて混合し、マイクロチューブ内の混合液75μlを、イムノクロマトグラフィーデバイスの所定部位に滴下し、潤湿箱で20分間静置して展開し、その後、金コロイドによる発色を検出した。
【実施例4】
【0067】
(免疫クロマトグラフィーによるエクオール測定結果のHPLCによる評価)
従来の測定で用いられるHPLC方法と実施例1で得た抗体組成物を実施例3と同一の条件で行ったイムノクロマト測定法の相関について、ヒト尿の30検体について評価した。測定結果を比較したグラフを図2に示す。図2に示すように、測定法をHPLC法の間には直線関係が認められ、近似曲線y=0.4979x−0.3677、相関係数R2=0.982であった。
【要約】
【課題】より実用的に用いることができる抗エクオール抗体組成物を提供する。
【解決手段】免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗体フラグメントと、
免疫グロブリン重鎖可変領域として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖超可変領域CDR1、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3を有し、
免疫グロブリン軽鎖可変領域として、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR1’、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR2’及び配列番号9で表されるアミノ酸配列からなる超可変領域CDR3’を有する、抗エクオール抗体又はその抗体フラグメントと、
を含む、組成物を用いる。
【選択図】なし
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]