(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
本発明は、ベースフィルムと、このベースフィルムに直接又は他の層を介して積層される導電パターンと、上記ベースフィルム及び導電パターンを有する積層体に接着層を介して積層されるカバーフィルムとを備える圧力センサ用耐熱プリント配線板であって、上記接着層が、シロキサン変性ポリイミド、エポキシ樹脂及び無機フィラーを含有し、上記シロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)が25,000以上150,000以下である圧力センサ用耐熱プリント配線板である。
【0013】
当該圧力センサ用耐熱プリント配線板は、接着層がエポキシ樹脂を含有することで、接着層の耐熱性、特にリフロー耐熱性が向上するものと考えられる。エポキシ樹脂を含有することで接着層の耐熱性が向上する理由は明確ではないが、エポキシ樹脂がシロキサン変性ポリイミドマトリクス中で単独で硬化するか、若しくはエポキシ樹脂が硬化の際にシロキサン変性ポリイミドの末端のカルボン酸やアミンと反応することによって緩く架橋されるためであると考えられる。また、かかるエポキシ樹脂による架橋により、接着層の耐湿性、機械的強度が向上するものと考えられる。
【0014】
さらに、接着層がシロキサン変性ポリイミドとして重量平均分子量(Mw)が特定範囲のものを含有することで、シロキサン変性ポリイミドの凝集を抑制できる。そのため、接着層は、このようなシロキサン変性ポリイミドを含むことでシロキサン変性ポリイミドの凝集に起因する剥離強度の低下を抑制できる。その結果、接着層の耐熱性を改善することが可能となる。また、上記接着層が無機フィラーを含有することで、機械的強度及び剥離強度がより向上する。
【0015】
加えて、上記接着層は、エポキシ樹脂による架橋、変性ポリイミドの凝集防止等によって、耐マイグレーション性が向上する。すなわち、接着層は、メッキ層を有する導電パターンの表面に形成される場合、メッキ成分の接着層への移行(マイグレーション)を抑制することができる。その結果、マイグレーションに起因する接着層の剥離強度の低下、脆弱化、白化等の色移りなどの発生を抑制できる。
【0016】
上記シロキサン変性ポリイミドは、下記式(1)で表される第1構造単位及び下記式(2)で表される第2構造単位を含むとよい。
【化1】
(式(1)及び式(2)中、Arは、4価の芳香族テトラカルボン酸残基である。
式(1)中、R
1は、2価のジアミンシロキサン残基である。
式(2)中、R
2は、2価の芳香族ジアミン残基である。
上記式(1)中、mは、上記シロキサン変性ポリイミドの全構造単位における上記第1構造単位のモル比率を表し、0.35以上0.65以下である。
上記式(2)中、nは、上記シロキサン変性ポリイミドの全構造単位における上記第2構造単位のモル比率を表し、0.35以上0.65以下である。
但し、mとnとの合計が1を超える場合はない。)
【0017】
上記シロキサン変性ポリイミドは、上記式(1)及び式(2)で表される構造単位の比率が、それぞれ0.35以上0.65以下、すなわち分子中のシロキサン残基の数が芳香族ジアミン残基と同程度とされている。このように接着層におけるシロキサン変性ポリイミドは、耐熱性等の特性を低下させ得るシロキサン残基が過剰に含まれるものではない。その結果、シロキサン残基に起因する接着層の耐熱性等の低下を抑制できる。
【0018】
上記無機フィラーの含有量としては、上記シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して10質量部以上100質量部以下が好ましい。このように無機フィラーの含有量を上記範囲とすることで、無機フィラーを配合することによる効果、すなわち接着層の機械的強度、剥離強度等の向上効果により優れる。
【0019】
上記無機フィラーの平均粒径としては、2μm以上20μm以下が好ましい。このように無機フィラーの平均粒径が上記範囲であることで、接着層ひいては当該圧力センサ用耐熱プリント配線板の耐熱性等の特性がより向上する。
【0020】
上記無機フィラーが板状であることが好ましく、上記無機フィラーのアスペクト比としては5以上100以下が好ましい。このように無機フィラーのアスペクト比が上記範囲であることで、接着層ひいては当該圧力センサ用耐熱プリント配線板の耐熱性等の特性がより向上する。
【0021】
上記エポキシ樹脂の配合量としては、上記シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して50質量部以下が好ましい。このようにエポキシ樹脂の配合量を上記範囲とすることで、エポキシ樹脂によりシロキサン変性ポリイミドを好適に架橋し、当該圧力センサ用耐熱プリント配線板の接着層の耐熱性、機械的強度等の特性がより向上するものと考えられる。エポキシ樹脂成分の過剰な添加は、接着層の長期耐熱信頼性を低下させるものと考えられる。
【0022】
上記接着層がフェノール樹脂をさらに含有するとよい。このようにフェノール樹脂を含有することで、このフェノール樹脂によりエポキシ樹脂を架橋等により硬化させることができ、エポキシ樹脂がシロキサン変性ポリイミドを架橋することによって得られる耐熱性、機械的強度等の向上効果と相俟って、接着層の耐熱性、機械的強度等がより向上する。
【0023】
上記シロキサン変性ポリイミドの側鎖としては、不飽和二重結合を含まないものでもよい。接着層は、変性ポリイミドと共にエポキシ樹脂を含有することで耐熱性が改善されるため、変性ポリイミドとして側鎖に不飽和二重結合を含まないものを使用できる。そのため、ジアミン成分及び芳香族テトラカルボン酸二無水物として使用できる化合物の制約が少なく選択の自由度が高いため、接着層に種々の特性を与えやすく、またコスト低減を図りやすくなる。
【0024】
上記導電パターンが、ベース導体と、このベース導体における外表面の少なくとも一部に形成される1以上の表面処理層とを有し、上記1以上の表面処理層の主成分が金(Au)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)又はアルミニウム(Al)であるとよい。このように導電パターンが上記主成分を含む表面処理層を有することで、導電パターンからの導電成分の漏出及び導電パターンの導電成分に対する反応性成分の導電パターンへの拡散を抑制することができる。このように表面処理層により導電パターンからの導電成分の漏出を抑制することで、導電パターンの脆弱化を抑制することができる。また、表面処理層により導電パターンへの上記反応性成分の拡散を抑制することで、この反応性成分と導電パターンの導電成分との反応が抑制され、導電パターンの脆弱化を抑制することができる。その結果、当該プリント配線板は、導電パターンと接着層との密着性が改善されることで耐熱性が向上する。特に、接着層が耐マイグレーション性に優れることから、導電パターンが金(Au)等により表面処理層が形成される場合であっても、マイグレーションに起因する接着層の剥離強度の低下、脆弱化、白化等の色移りなどの発生を抑制できる。
【0025】
当該圧力センサ用耐熱プリント配線板は、85℃、85%RHの空気中に1,000時間放置した後の上記カバーフィルムと導電パターンとの剥離強度が3.4N/cm以上であることが好ましい。このような特性を持つことで、当該圧力センサ用耐熱プリント配線板は、高温高湿の環境下においても好適に使用することができる。
【0026】
当該圧力センサ用耐熱プリント配線板は、可撓性を有することが好ましい。このように可撓性を有することで、当該圧力センサ用耐熱プリント配線板を屈曲形状の圧力センサ等にも使用することができる。
【0027】
本発明は、当該圧力センサ用耐熱プリント配線板と、この圧力センサ用耐熱プリント配線板に実装される電子部品とを備える圧力センサモジュールを含む。上記電子部品は、圧力検知素子及びICチップのうちの少なくとも一方であるとよい。当該圧力センサモジュールは、当該圧力センサ用耐熱プリント配線板を備えるため、耐熱性が要求される用途、例えばエンジンのシリンダ内に挿入してシリンダの圧力を測定するセンサ等のモジュールとして好適に使用することが可能となる。
【0028】
本発明は、当該圧力センサ用耐熱プリント配線板を備える圧力センサを含む。当該圧力センサは、当該圧力センサ用耐熱プリント配線板を備えるため、耐熱性が要求される用途、例えばエンジンのシリンダ内に挿入してシリンダの圧力を測定するセンサ等として好適に使用することが可能となる。
【0029】
ここで、「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量である。本発明の重量平均分子量(Mw)は、以下の測定条件により測定した値である。
【0030】
測定装置:東ソー社の「HLC−8220GPC」
カラム:GMH−HR−H
移動相:N−メチル−2−ピロリドン
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:10μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0031】
「主成分」とは、最も含有量が多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。以下において「主成分」という場合も同様である。また、「1以上の表面処理層の主成分」とは、表面処理層が単層の場合には、この表面処理層の主成分であり、表面処理層が複数層の場合には、各表面処理層の主成分をいう。「剥離強度」は、JIS−K−6854−2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離」に準じて測定したピール強度である。このピール強度は、例えば島津製作所社の引張試験機「オートグラフAG−IS」を用いて測定することができる。なお、カバーフィルムと導電パターンとの剥離強度とは、カバーフィルムと、パターニングしていない導体(例えば銅箔)との剥離強度である。
【0032】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の圧力センサ用耐熱プリント配線板、圧力センサモジュール及び圧力センサについて説明する。
【0033】
[圧力センサ用耐熱プリント配線板]
図1〜
図4の圧力センサ用耐熱プリント配線板1(以下、「プリント配線板1」ともいう)は、可撓性を有するフレキシブルプリント配線板として構成されている。このプリント配線板1は、圧力センサに使用されるものである。この圧力センサとしては、特に限定はないが、耐熱性が要求される圧力センサ、例えばエンジンのシリンダ内に挿入してシリンダの圧力を測定するセンサ、加圧調理器具内の圧力を測定するセンサが挙げられる。
【0034】
このプリント配線板1は、主要部10、一方の端部11(
図1及び
図2の左側)及び他方の端部12(
図1及び
図2の右側)を有している。主要部10は、短冊状とされている。一方の端部11は、略円形状に形成されている。この一方の端部11には、後述する複数のパッド32が設けられている。他方の端部12には、後述する複数のパッド33が設けられている。かかるプリント配線板1は、ベースフィルム2、導電パターン3及びカバーレイ4を備える。
【0035】
〔ベースフィルム〕
ベースフィルム2は絶縁性を有し、さらに可撓性を有することが好ましい。このベースフィルム2の主成分としては、例えばポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー等が挙げられ、可撓性及び強度の観点からポリイミド樹脂が好ましい。ベースフィルム2は、ポリイミド樹脂等の例示した樹脂以外の他の樹脂、帯電防止剤等が含有されていてもよい。
【0036】
ベースフィルム2の平均厚みの下限としては、特に限定されないが、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。また、ベースフィルム2の平均厚みの上限としては、特に限定されないが、200μmが好ましく、150μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。ベースフィルム2の平均厚みが上記下限未満であると、絶縁性及び機械的強度が不十分となるおそれがある。一方、ベースフィルム2の平均厚みが上記上限を超えると、プリント配線板1の厚みが大きくなりすぎるおそれがあると共に、ベースフィルム2に可撓性が求められる場合には可撓性が不十分となるおそれがある。
【0037】
ここで、「平均厚み」とは、任意の十点において測定した厚みの平均値をいう。なお、以下において他の部材等に対して「平均厚み」という場合にも同様に定義される。
【0038】
〔導電パターン〕
導電パターン3は、ベースフィルム2の表面側に直接又は他の層を介して積層されるものである。
図3及び
図4に示すように、導電パターン3は、ベース導体30及び表面処理層31を有している。
【0039】
また、導電パターン3は、複数のパッド32,33を有している。複数のパッド32,33は、プリント配線板1の一方の端部11又は他方の端部12において、カバーレイ4に覆われずに露出する部分である。複数のパッド32は、電子部品が実装される部分であり、複数のパッド33は、外部との信号の送受を行う配線と接続される部分である。複数のパッド32,33は、表面処理層31上に金メッキ層等のメッキ層として形成される(
図4参照)。このようなメッキ層は、例えば電解メッキにより形成することができる。
【0040】
<ベース導体>
ベース導体30は、例えば銅、アルミニウム等の金属箔をエッチングすることによって所望のパターンに形成されている。このベース導体30の平均厚みの下限としては、特に限定はないが、2μmが好ましく、5μmがより好ましい。ベース導体30の平均厚みの上限としては、特に限定はないが、100μmが好ましく、75μmがより好ましい。この平均厚みが上記下限未満であると、導通性が不十分となるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超えると可撓性が低下するおそれがあると共に薄型化の要請に反するおそれがある。
【0041】
<表面処理層>
表面処理層31は、ベース導体30からの導電成分の漏出、又はベース導体30への導電成分に対する反応性成分(酸素、硫黄等)の拡散を防止するものである。すなわち、表面処理層31は、耐油性を向上させる役割も果たす。この表面処理層31は、ベース導体30の表面を被覆しており、ベース導体30の側面を一連に被覆していてもよい。表面処理層31の材質としては、ベース導体30からの導電成分の漏出又はベース導体30への反応性成分の拡散を防止できるものであれば特に限定されず、例えば金属、樹脂、セラミック、それらの混合物等が挙げられる。中でも、表面処理層31の材質としては、Au、Ni、Sn、Alが好ましい。表面処理層31は、単層として形成しても、複数層として形成してもよい。
【0042】
表面処理層31の平均厚みの下限としては、特に限定はないが、0.01μmが好ましく、0.03μmがより好ましく、0.05μmがさらに好ましい。表面処理層31の平均厚みの上限としては、特に限定はないが、6.0μmが好ましく、1.0μmがより好ましく、0.5μmがさらに好ましい。表面処理層31の平均厚みが上記下限未満であると、銅等のベース導体30の導電成分の漏出及びベース導体30への反応性成分の拡散の防止が十分でないおそれがある。一方、上記平均厚みが上限を超えると、厚みの増加によるコスト上昇に比して、これに見合うだけのベース導体30からの導電成分の漏出及びベース導体30への反応性成分の拡散の防止の効果の上積みを期待できないおそれがある。
【0043】
なお、表面処理層31を形成することに代えてベース導体30の表面にカッパーブライトで防錆処理を施してもよい。ここで、カッパーブライトは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性高分子を、イソプロピルアルコール、ヒドロキシ酪酸に溶解したものである。このような防錆処理を施すことで、ベース導体30の表面にはポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性高分子が付着することが予想される。ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が付着したベース導体30は、従来の接着剤を使用すると耐熱性が低下する。これに対して、ベース導体30に防錆処理を施した場合、後述のカバーレイ4の接着層41の耐熱性を良好に維持できる。
【0044】
〔カバーレイ〕
カバーレイ4は、導電パターン3等を保護するものである。このカバーレイ4は、UL−94 VTM−0を満たす難燃性を有することが好ましい。接着層41がある程度の難燃性を有することで、カバーレイ4がVTM−0の難燃性を満たし、それによりカバーレイ4を使用するプリント配線板1に難燃性を付与することができる。ここで、UL−94 VTM−0の難燃試験は、以下の標準サンプルを用いて行うものとする。
【0045】
標準サンプル構造:ポリイミドフィルム/接着層/ポリイミドフィルムの積層体
ポリイミドフィルム:東レ・デュポン社の「カプトン100H」(厚み25μm)
接着層の厚み:35μm
標準サンプルの作製方法:ポリイミドフィルム、接着剤及びポリイミドフィルムを積層し加熱加圧して接着する。なお、今回の評価では、加圧力を3MPa、加熱温度を180℃、加圧時間を45分として熱圧着することで標準サンプルを作製した。
【0046】
カバーレイ4には、一方の端部11及び他方の端部12に対応する部分に複数の開口4A及び複数の開口4Bが形成されている。複数の開口4A,4Bは、パッド32,33を規定するものである。このようなカバーレイ4は、カバーフィルム40及び接着層41を備えている。
【0047】
<カバーフィルム>
カバーフィルム40は、可撓性を有するものであり、さらに絶縁性を有することが好ましい。カバーフィルム40の主成分としては、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。特に、耐熱性の観点からポリイミド樹脂が好ましい。なお、このカバーフィルム40は、主成分以外の他の樹脂、耐候剤、帯電防止剤等が含有されていてもよい。
【0048】
カバーフィルム40の平均厚みの下限としては、特に限定されないが、3μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、カバーフィルム40の平均厚みの上限としては、特に限定されないが、500μmが好ましく、150μmがより好ましい。カバーフィルム40の平均厚みが上記下限未満であると、導電パターン3等の保護が不十分となるおそれがあると共に、カバーフィルム40に絶縁性が求められる場合には絶縁性が不十分となるおそれがある。一方、カバーフィルム40の平均厚みが上記上限を超えると、導電パターン3等の保護効果の上積みが少なくなるおそれがあると共に、カバーフィルム40に可撓性が求められる場合には可撓性が不十分となるおそれがある。
【0049】
<接着層>
接着層41は、カバーフィルム40をベースフィルム2及び導電パターン3に接着するものである。この接着層41の平均厚みは、特に制限がないが、下限としては5μmが好ましく、10μmがより好ましい。接着層41の平均厚みの上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましい。接着層41の平均厚みが上記上限未満である、又は上記上限を超えると、この接着層41の形成が困難となるおそれがある。また、接着層41の平均厚みが大きいほど接着層41を形成するときの接着剤組成物の塗工、乾燥時の反りが大きくなり易く、また接着層41中の残留溶剤量が多くなるためリフロー時にそれらが気化しボイドとなり剥離強度の低下や外観不良を引き起こす可能性が高くなる。接着層41には導電パターンを埋め込むことのできる厚みを有することが要求されるため導電パターンが厚い場合には接着層41も厚くする必要がある。
【0050】
かかる接着層41は、シロキサン変性ポリイミド、エポキシ樹脂及び無機フィラーを含有するものである。この接着層41は、好適成分としてフェノール樹脂を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、他の任意成分を含有していてもよい。
【0051】
<シロキサン変性ポリイミド>
シロキサン変性ポリイミドは、接着層41における主たる接着成分である。このシロキサン変性ポリイミドは、シロキサン骨格を有する構造単位を含むポリイミドである。シロキサン変性ポリイミドは、側鎖が不飽和二重結合を含まないもの、すなわちシロキサン変性ポリイミドの構造単位の側鎖が不飽和二重結合を含まないことが好ましい。シロキサン変性ポリイミドとしては、例えば下記式(1)で表される第1構造単位及び下記式(2)で表される第2構造単位を含むものが好ましい。
【0053】
式(1)及び式(2)中、Arは、4価の芳香族テトラカルボン酸残基である。
式(1)中、R
1は、2価のジアミンシロキサン残基である。
式(2)中、R
2は、2価の芳香族ジアミン残基である。
【0054】
上記Arで表される4価の芳香族テトラカルボン酸残基としては、例えば下記の式(3)又は式(4)で表される4価の基が挙げられる。
【0056】
式(4)中、Wは、単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO
2−、−NH−、又は−CONH−である。これらの中でも、Wとしては炭素数1〜15の2価の炭化水素基、単結合又は−O−が好ましい。
【0057】
上記Wで表される炭素数1〜15の2価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜15の直鎖状又は分岐状の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜15の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基、又はこれらの基を組み合わせた2価の基等が挙げられる。
【0058】
上記R
1で表される2価のジアミンシロキサン残基は、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を有する基である。このシロキサン結合の割合を増加させることによって、可塑剤の配合量を少なくしても接着層41に十分な柔軟性を付与することができる。上記2価のジアミンシロキサン残基としては、例えば下記の式(5)で表される2価の基が挙げられる。
【0060】
式(5)中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子を含有していてもよい2価の有機基である。R
5〜R
8は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基である。aは、上記ジアミンシロキサン残基におけるシロキサン単位(−SiR
5R
6−O−)の平均繰り返し数を表し、1〜20の整数である。aが1より小さいと接着層41の柔軟性が低下するおそれがある。一方、aが20を超えると接着層41の接着性が低下するおそれがある。かかる点から、aとしては、5〜15の整数が好ましい。
【0061】
上記R
2で表される2価の芳香族ジアミン残基としては、例えば下記の式(6)〜式(8)で表される2価の基が挙げられる。
【0063】
式(6)〜式(8)中、R
9は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基である。Zは、単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO
2−、−NH−又は−CONH−である。bは、0〜4の整数である。
【0064】
上記式(1)中のmは、上記シロキサン変性ポリイミドの全構造単位における上記第1構造単位のモル比率を表す。上記式(2)中のnは、上記シロキサン変性ポリイミドの全構造単位における上記第2構造単位のモル比率を表す。m及びnは、それぞれ独立して、0.35以上0.65以下である。ただし、mとnとの合計が1を超える場合はない。mが0.65を超えると(nが0.35未満であると)、接着層41の耐熱性が低下するおそれがある。また150℃程度における接着層41を形成する接着剤組成物の流動性が高いことが原因で接着層41に150℃程度のオイルが浸透し易くなるおそれがある。また、接着層41の透湿性が増すことが原因で、高温高湿下において剥離強度が低下し易くなるおそれがある。一方、mが0.35未満であると(nが0.65を超えると)、シロキサン変性ポリイミド中のシロキサン結合の割合が小さくなって接着層41に十分な柔軟性を付与することができないおそれがある。また、接着層41を形成する接着剤組成物の低温での流動性が低下し、200℃以下で貼り合わせた場合に十分な剥離強度が得られないおそれがある。なお、200℃を超えた温度で貼りあわせた場合には導体層の酸化や熱膨張・収縮による残留応力の発生等による特性の低下が懸念される。また熱プレスでの圧力を均一に伝えるための補材等、貼り合わせ加工に用いる補材に耐熱性を有する特殊品を使う必要があるため製造コストが高くなる。さらに、mが0.35未満であると(nが0.65を超えると)、接着層41の熱膨張率が大きくなることで、ベースフィルム2との熱膨張率の差が大きくなるため、接着層41を形成するときの接着剤組成物の塗工、乾燥時に熱膨張率の差に起因してカバーレイが反り易く、作業性が低下するおそれがある。
【0065】
シロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、25,000以上150,000以下である。上記重量平均分子量(Mw)の下限としては、40,000がより好ましく、50,000がさらに好ましい。上記重量平均分子量(Mw)の上限としては125,000がより好ましく、90,000がさらに好ましい。シロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)が上記下限未満であると、接着層41を形成するときの接着剤組成物の凝集力が低下するため十分な剥離強度を確保できないおそれがある。また、150℃程度における接着剤組成物の凝集力ひいては剥離強度が低いことが原因で150℃程度のオイルが接着層41に浸透し易くなるおそれがある。さらに、260℃程度のリフロー温度で接着層41の弾性率が低いことが原因で接着層41に残存する溶剤により膨れが生じるおそれがある。一方、シロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)が上記上限を超えると、シロキサン変性ポリイミドの分子鎖の凝集が生じ易くなり、剥離強度が低下するおそれがある。
【0066】
<シロキサン変性ポリイミドの合成方法>
シロキサン変性ポリイミドは、酸二無水物成分とジアミノシロキサンを含むジアミン成分との縮合物として合成することができる。具体的には、シロキサン変性ポリイミドは、酸二無水物成分及びジアミン成分を有機溶媒に添加した反応溶液を用いてポリアミック酸溶液を生成させた後、加熱閉環(イミド化)させることにより重合体溶液として調製できる。
【0067】
酸二無水物成分としては、例えば芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0068】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えばオキシジフタル酸二無水物が挙げられる。オキシジフタル酸二無水物としては、例えば4,4’−オキシジフタル酸二無水物(別名;5,5’−オキシビス−1,3−イソベンゾフランジオン)(ODPA)、3,3’−オキシジフタル酸二無水物、3,4’−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられる。例示した芳香族テトラカルボン酸二無水物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0069】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としてはさらに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよく、中でも、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)は、低価格であり、ある程度の柔軟性を有するので好ましい。
【0070】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)と3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BPDA)との混合物が好ましく、これらのモル比が4:6〜6:4の混合物がより好ましい。また、上述のようにジアミノシロキサンの組成比を特定の範囲とすることで接着層41を柔軟(低弾性率)で反りが生じにくいものとすることができるので、芳香族テトラカルボン酸二無水物中の4,4’−オキシジフタル酸二無水物の割合を低くしても、柔軟(低弾性率)で反りが生じにくい接着層41を得ることができる。従って、高価な4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)の使用量を低減することができ、コスト低減を図ることができる。
【0071】
ジアミン成分としては、例えばジアミノシロキサン、芳香族ジアミンが挙げられる。
【0072】
ジアミノシロキサンとしては、上記式(5)で表されるジアミノシロキサン残基の2つの末端にアミノ基が結合したものが挙げられる。ジアミン成分としてジアミノシロキサンを用いることで、ポリイミド中にシロキサン骨格を導入することができる。これにより、ジアミノシロキサン残基によりポリイミドに可溶性が付与される。その結果、プリント配線板1における接着層41とベースフィルム2や導電パターン3との密着性が向上する。
【0073】
ジアミノシロキサンとしては、下記式(9)〜式(13)で表されるものが好ましく、これらの中でも式(9)で表されるジアミノシロキサンがより好ましい。下記式(9)〜式(13)で表されるジアミノシロキサンは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0075】
式(9)〜式(13)中、aは、上記式(5)と同義である。
【0076】
上記芳香族ジアミンとしては、例えば2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらの中でも、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)が好ましい。例示した芳香族ジアミンは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0077】
反応溶液における芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分(ジアミノシロキサン及び芳香族ジアミン)との配合比は、略等モル比、例えば45:55〜55:45とされる。ジアミノシロキサンと芳香族ジアミンとの配合比(モル比)は、35:65以上65:35以下である。ジアミノシロキサンと芳香族ジアミンとの配合比(モル比)を上記範囲とすることで、シロキサン変性ポリイミド中におけるシロキサン残基の数が芳香族ジアミン残基と同程度とされている。そのため、シロキサン変性ポリイミドは、短期耐熱性を低下させ得るシロキサン残基が多くなり過ぎることが抑制されている。その結果、接着層41の短期耐熱性を向上させることができる。
【0078】
上記シロキサン変性ポリイミドの合成に使用する有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、キシレン、トルエン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても2種以上併用して使用してもよい。
【0079】
反応溶液における有機溶媒の含有量は、この反応溶液から生成されるポリアミック酸溶液中のポリアミック酸の含有量が5質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜40質量%となる範囲とされる。
【0080】
ポリアミック酸の生成反応の条件は、反応溶液の温度が0℃〜100℃、反応時間が30分〜24時間とされる。
【0081】
ポリアミック酸溶液は、通常そのまま使用することができるが、必要に応じて濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換して使用してもよい。
【0082】
ポリアミック酸のイミド化は、例えばポリアミック酸溶液を80℃〜400℃の温度で1時間〜24時間加熱することで行われる。
【0083】
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂は、接着層41の耐熱性、機械的強度等を向上させるものである。これは、エポキシ樹脂がシロキサン変性ポリイミドマトリクス中で単独で硬化するか、若しくはエポキシ樹脂が硬化する際にシロキサン変性ポリイミド末端のカルボン酸やアミンと反応することによってシロキサン変性ポリイミドを緩く架橋するためであると推定される。このエポキシ樹脂でシロキサン変性ポリイミドを架橋することにより、接着層41を形成する接着剤組成物の凝集力が大きくなり、接着層41の耐熱性、機械的強度等が向上するものと推察される。また同様に、高温高湿下における剥離強度の保持力も向上するが、これには凝集力の向上による透湿の抑制や、ポリイミドに比較して低い吸水率が影響しているものと推察される。
【0084】
このようなエポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂であれば特に制限ない。エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アクリル酸変性エポキシ樹脂(エポキシアクリレート)、リン含有エポキシ樹脂、これらのハロゲン化物(臭素化エポキシ樹脂等)や水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が耐熱性及び低吸湿性の観点から好ましい。例示したエポキシ樹脂は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0085】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば「jER152」、「jER154」(以上、ジャパンエポキシレジン社)、「EPPN−201−L」(日本化薬社)、「エピクロンN−740」、「エピクロンN−770」(以上、DIC社)、「エポトートYDPN−638」(新日鉄住金化学社)等が挙げられる。
【0086】
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば「EOCN−1020」、「EOCN−102S」、「EOCN−103S」、「EOCN−104S」(以上、日本化薬社)、「エピクロンN−660」、「エピクロンN−670」、「エピクロンN−680」、「エピクロンN−695」(以上、DIC社)等が挙げられる。
【0087】
ノボラック型エポキシ樹脂の中でも、常温で固体であり、軟化点が120℃以下のエポキシ樹脂が、シロキサン変性ポリイミドの耐熱性向上の観点から好ましい。
【0088】
エポキシ樹脂の配合量の下限としては、上記シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して15質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましい。エポキシ樹脂の配合量の上限としては、上記シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して50質量部が好ましく、40質量部がより好ましく、20質量部がさらに好ましい。エポキシ樹脂の配合量が上記下限未満であると、上記シロキサン変性ポリイミドを十分に架橋することができず、耐熱性及び透湿抑制性を十分に改善できないおそれがある。一方、エポキシ樹脂の配合量が上記上限を超えると、未架橋のエポキシ樹脂の割合が増え、却って耐熱性が低下するおそれがある。
【0089】
<無機フィラー>
無機フィラーは、接着層41のベースフィルム2や導電パターン3に対する剥離強度、機械的強度等を向上させるものである。
【0090】
無機フィラーとしては、例えばタルク、シリカ、アルミナ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、チタンカーバイド、タングステンカーバイド、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、マイカ、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
【0091】
無機フィラーの形態としては、例えば板状、球状、針状、繊維状、不定形等が挙げられる。中でも、無機フィラーの形態としては、板状が好ましい。
【0092】
無機フィラーが板状等である場合において、無機フィラーのアスペクト比の下限としては、5が好ましく、8がより好ましく、10がさらに好ましい。無機フィラーのアスペクト比の上限としては、100が好ましく、75がより好ましく、40がさらに好ましい。無機フィラーのアスペクト比が上記下限未満であると、剥離強度を十分に向上させることができないおそれがある。一方、無機フィラーのアスペクト比が上記上限を超えると、接着層41が脆弱化すると推定され、剥離強度が低下するおそれがある。
【0093】
無機フィラーの平均粒径の下限としては、2μmが好ましく、3μmがより好ましい。上記平均粒径の上限としては、20μmが好ましく、15μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。上記平均粒径が上記下限未満であると、剥離強度を十分に向上させることができないおそれがある。一方、上記平均粒径が上記上限を超えると、接着層41が脆弱化し剥離強度が低下するおそれがある。
【0094】
ここで、「平均粒径」は、レーザ回折法で測定した累積分布から算出されるメディアン径(d50)又はメーカーの公称値である。
【0095】
無機フィラーの含有量の下限としては、シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して10質量部であり、20質量部が好ましい。無機フィラーの含有量の上限としては、100質量部であり、70質量部が好ましく、50質量部がより好ましい。上記配合量が上記下限未満であると、剥離強度を十分に向上させることができないおそれがある。一方、上記配合量が上記上限を超えると、接着層41が脆弱化し剥離強度が低下するおそれがある。
【0096】
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂は、エポキシ樹脂を架橋するものである。このフェノール樹脂には、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂の他、キシレン樹脂、レゾルシン樹脂、レゾルシン変性フェノール樹脂、クレゾール変性フェノール樹脂、アルキルフェノール変性樹脂等が含まれる。このフェノール樹脂は、例えばフェノール成分とアルデヒド成分とから合成することができる。
【0097】
上記フェノール成分としては、例えばフェノールの他、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール等のアルキルフェノール;レゾルシン等の二価のフェノール;p−ビニルフェノール等のビニルフェノールなどが挙げられる。これらのフェノール成分は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0098】
上記アルデヒド成分としては、ホルムアルデヒドの他、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド基含有化合物が挙げられる。これらのアルデヒド成分は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0099】
フェノール樹脂の市販品としては、例えば、
「スミカノール610」(田岡化学工業社);
「タマノル1010R」、「タマノル100S」、「タマノル510」、「タマノル7509」、「タマノル7705」(以上、荒川化学工業社);
「ショウノールCKM−1634」、「ショウノールCKM−1636」、「ショウノールCKM−1737」、「ショウノールCKM−1282」、「ショウノールCKM−904」、「ショウノールCKM−907」、「ショウノールCKM−908」、「ショウノールCKM−983」、「ショウノールCKM−2400」、「ショウノールCKM−941」、「ショウノールCKM−2103」、「ショウノールCKM−2432」、「ショウノールCKM−5254」、「BKM−2620」、「BRP−5904」、「RM−0909」、「BLS−2030」、「BLS−3574」、「BLS−3122」、「BLS−362」、「BLS−356」、「BLS−3135」、「CLS−3940」、「CLS−3950」、「BRS−324」、「BRS−621」、「BLL−3085」、「BRL−113」、「BRL−114」、「BRL−117」、「BRL−134」、「BRL−274」、「BRL−2584」、「BRL−112A」、「BRL−120Z」、「CKS−3898」(以上、昭和電工社);
「SP−460B」、「SP103H」、「HRJ−1367」(以上、スケネクタディーケミカル社);
「レジトップPL2211」(群栄化学工業社);
「PR−HF−3」、「PR−53194」、「PR−53195」(住友ベークライト社);
「ニカノールPR1440」、「ニカノールL」、「ニカノールP100」(フドー社);
「プライオーフェン5010」、「プライオーフェン503」、「TD−447」(DIC社)等が挙げられる。
【0100】
フェノール樹脂に加えて、又はフェノール樹脂に代えて他の硬化剤を含有してもよい。
【0101】
他の硬化剤としては、公知のものを使用することができ、例えばポリアミン系硬化剤、酸二無水物系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、三フッ化ホウ素アミン錯塩、芳香族ジアミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0102】
ポリアミン系硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン、テトラエチレンテトラミン等の脂肪族アミン系硬化剤;イソホロンジアミン等の脂環式アミン系硬化剤;ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン等の芳香族アミン系硬化剤などが挙げられる。
【0103】
酸二無水物系硬化剤としては、例えば無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリト酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0104】
イミダゾール系硬化剤としては、例えばメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール等が挙げられる。
【0105】
接着層41を形成するための接着剤組成物における硬化剤の含有量は、目的とする硬化の程度等に応じて決定すればよい。硬化剤の含有量の下限としては、エポキシ樹脂100質量部に対して、0質量部であってもよいが、1質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。硬化剤の含有量の上限としては、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましい。この硬化剤の含有量が上記下限未満であるとシロキサン変性ポリイミドの耐熱性が十分に向上しないおそれがある。一方、上記硬化剤の含有量が上記上限を超えると硬化剤の含有量に比して耐熱性の向上効果が見込めずコスト高となるおそれがある。
【0106】
<任意成分>
任意成分としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、酸化防止剤、隠蔽剤、滑剤、加工安定剤、発泡剤、カップリング剤等が挙げられる。
【0107】
可塑剤としては、例えば、
トリメチルホスヘート、トリエチルホスヘート、トリブチルホスヘート、トリ−2−エチルヘキシルホスヘート、トリブトキシエチルホスヘート、トリオレイルホスヘート、トリフェニルホスヘート、トリクレジルホスヘート、トリキシレニルホスヘート、クレジルジフェニルホスヘート、キシレニルジフェニルホスヘート、2−エチルヘキシルジフェニルホスヘート等のリン酸エステル系可塑剤;
アジピン酸1,3ブチレングリコール類等のポリエステル系可塑剤;
ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n
−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル系可塑剤;
ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチル−アセチルリシノレート等の脂肪酸エステル系可塑剤などが挙げられる。これらの可塑剤は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0108】
難燃剤は、接着層41に難燃性を付与するものである。難燃剤としては、例えば、
塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロルペンタシクロデカン等の塩素系難燃剤;
エチレンビスペンタブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、テトラブロモエタン、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモ無水フタル酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、臭化アンモニウム等の臭素系難燃剤;
トリアリルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、アルキルホスフェート、ジメチルホスフォネート、ホスフォリネート、ハロゲン化ホスフォリネートエステル、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3ジブロモプロピル)2,3ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、芳香族ポリホスフェート、ジブロモネオペンチルグリコール、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミ等のリン酸エステル又はリン化合物;
ホスホネート型ポリオール、ホスフェート型ポリオール、ハロゲン元素等のポリオール類;
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンチモン、ホウ酸、モリブテン酸アンチモン、酸化モリブテン、リン・窒素化合物、カルシウム・アルミニウムシリケート、ジルコニウム化合物、錫化合物、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム水和物、酸化銅、金属銅粉、炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウム等の金属粉又は無機化合物;
メラミンシアヌレート、トリアジン、イソシアヌレート、尿素、グアニジン等の窒素化合物;
シリコーン系ポリマー、フェロセン、フマール酸、マレイン酸等のその他の化合物などが挙げられる。これらの中でも、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤が好ましい。臭素系難燃剤及び塩素系難燃剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0109】
難燃助剤は、接着層41の難燃性をより向上させるものである。難燃助剤としては、三酸化アンチモン等が挙げられる。
【0110】
顔料は、接着層41を着色するものである。顔料としては、公知の種々のものを使用することができ、例えば酸化チタン等が挙げられる。
【0111】
酸化防止剤としては、接着層41の酸化を防止するものである。酸化防止剤としては、公知の種々のものを使用することができ、例えばフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
【0112】
接着層41に任意成分を配合する場合、任意成分の合計含有量の下限としては、ポリイミド樹脂100質量部に対して、1質量部が好ましく、2質量部がより好ましい。上記合計含有量の上限としては、10質量部が好ましく、7質量部がより好ましい。
【0113】
プリント配線板1は、85℃、85%RHの空気中に1,000時間放置した後のカバーフィルム40と導電パターン3との剥離強度が3.4N/cm以上であることが好ましい。このような特性を持つことで、プリント配線板1は、高温高湿の環境下においても好適に使用することができる。
【0114】
[プリント配線板の製造方法]
次に、プリント配線板1を製造する方法について、
図5A〜
図5Dを参照しつつ説明する。プリント配線板1の製造方法は、絶縁性及び可撓性を有するベースフィルム2を用い、このベースフィルム2の表面側に積層される銅製の導電パターン3を形成する工程、及びベースフィルム2の表面側にカバーレイ4を積層する工程を備える。本実施形態では、表面処理層31がNiメッキの場合を説明する。
【0115】
<導電パターン形成工程>
導電パターン形成工程は、
図5A〜
図5Cに示すようにベースフィルム2に銅箔(銅膜)3Aを積層した銅張積層板5を用い、銅箔3Aをパターニングすることで所定の平面形状のベース導体30を形成した後、このベース導体30に表面処理層31を形成することで行われる。
【0116】
(銅張積層板)
図5Aに示す銅張積層板5としては、ベースフィルム2に銅箔3Aを積層したものである。ベースフィルム2に銅箔3Aを積層する方法としては、例えばベースフィルム2に接着剤を用いて銅箔3Aを貼り合わせる接着法、銅箔3A上にベースフィルム2の材料である樹脂組成物を塗布するキャスト法、ベースフィルム2上にスパッタリングや蒸着法等で厚み数nmの薄い導電層(シード層)を形成した後、このシード層上に電解メッキで金属層を形成するスパッタ/メッキ法、金属箔を熱プレスで貼り付けるラミネート法等が挙げられる。
【0117】
銅箔3Aの平均厚みの下限としては、特に限定はないが、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。銅箔3Aの平均厚みの上限としては、特に限定はないが、100μmが好ましく、75μmがより好ましい。特に車載用途等の大電流を流すことが必要な場合は、銅箔3Aの平均厚みは、50μm以上100μm以下が望ましい。この平均厚みが上記下限未満であると、導通性が不十分となるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超えると可撓性が低下するおそれがあると共に薄型化の要請に反するおそれがある。
【0118】
(パターニング)
図5Bに示すように、銅箔3Aのパターニングは、公知の方法、例えばフォトエッチングにより行うことができる。フォトエッチングは、銅箔3Aの表面に所定のパターンを有するレジスト膜を形成した後に、レジスト膜から露出する導体層をエッチング液で溶解させ、レジスト膜を除去することにより行われる。
【0119】
(表面処理層の形成)
図5Cに示すように、表面処理層31は、例えばメッキ処理、熱CVD、プラズマCVD等の化学蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法、ガス式溶射、電気的溶射等の溶射法などによって形成される。この表面処理層31は、ベース導体30にNi又はSnのメッキ処理を施すことにより、Alを蒸着することにより形成することが好ましい。
【0120】
メッキ処理としては、電解メッキ及び無電解メッキを用いることができる。無電解メッキを用いれば簡便かつ確実に表面処理層31の厚みを均一にすることができる。一方、電解メッキを用いることで、緻密な表面処理層31を形成することができ、またベース導体30の側面にも簡便に表面処理層31を設けることができる。特に、薄くて均一な厚みの表面処理層31を安価な設備でメッキできることから、無電解メッキを用いることが好ましい。
【0121】
このように表面処理層31をメッキ処理で形成することにより、低コストで適当な厚みを有すると共に、効果的にベース導体30からの導電成分の漏出及びベース導体30の反応性成分の拡散を防止できる表面処理層31を形成することができる。かかる観点から、表面処理層31は、メッキ処理で形成が容易なNi及びSnを主成分とすることが好ましい。特に、プリント配線板1は、その製造時においてリフロー炉による半田付け等の高温工程を経ることが一般的であること、また150℃という高温での使用を想定していることから、耐熱性に優れるNiを主成分とすることがより好ましい。
【0122】
なお、表面処理層31を形成することに代えて、ベース導体30の表面をカッパーブライトで防錆処理してもよい。ここで、カッパーブライトは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性高分子を、イソプロピルアルコール、ヒドロキシ酪酸に溶解したものである。このような防錆処理を施すことで、ベース導体30の表面にはポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性高分子が付着することが予想される。ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が付着したベース導体30は、従来の接着剤を使用すると耐熱性が低下する。これに対して、接着層41は、防錆処理したベース導体30を使用した場合でも耐熱性が良好である。
【0123】
<カバーレイ積層工程>
図5Dに示すように、カバーレイ積層工程においては、まずカバーフィルム40の片面に接着層41を積層したカバーレイ4を、接着層41側を表面処理層31及びベースフィルム2に対向させた状態で載置する。なお、導電パターン3におけるパッド32,33に対応する箇所は、予め開口を設けておくことが好ましい。続いて、ベースフィルム2及び導電パターン3と共にカバーレイ4を加熱し接着層41を硬化させる。この加熱温度としては、120℃以上200℃以下が好ましく、加熱時間としては1分以上60分以下が好ましい。加熱温度及び加熱時間を上記範囲とすることで、接着層41の接着性を効果的に発揮できると共にベースフィルム2等の変質を抑制することができる。加熱方法としては、特に限定されず、例えば熱プレス、オーブン、ホットプレート等の加熱手段を用いて加熱する方法等が挙げられ、熱プレスによる加圧加熱が好ましい。
【0124】
[利点]
当該圧力センサ用耐熱プリント配線板1は、接着層41がエポキシ樹脂を含有することで、接着層41の耐熱性が向上するものと考えられる。エポキシ樹脂を含有することで接着層41の耐熱性が向上する理由は明確ではないが、エポキシ樹脂がシロキサン変性ポリイミドマトリクス中で単独で硬化するか、若しくはエポキシ樹脂が硬化の際にシロキサン変性ポリイミドの末端のカルボン酸やアミンと反応することによって緩く架橋されるためであると考えられる。また、かかるエポキシ樹脂による架橋により、接着層41の耐湿性、機械的強度が向上するものと考えられる。
【0125】
また、接着層41がシロキサン変性ポリイミドとして重量平均分子量(Mw)が特定範囲のものを含有することで、シロキサン変性ポリイミドの凝集を抑制できる。そのため、接着層41は、このようなシロキサン変性ポリイミドを含むことでシロキサン変性ポリイミドの凝集に起因する剥離強度の低下を抑制できる。その結果、接着層41の耐熱性を改善することが可能となる。さらに、接着層41が無機フィラーを含有することで、機械的強度及び剥離強度がより向上する。
【0126】
加えて、接着層41は、エポキシ樹脂による架橋、変性ポリイミドの凝集防止等によって、耐マイグレーション性が向上する。すなわち、接着層41は、メッキを施した導体等の表面に形成される場合、メッキ成分が接着層41に移行するマイグレーションを抑制することができる。その結果、マイグレーションに起因する接着層41の剥離強度の低下、脆弱化、白化等の色移りなどの発生を抑制できる。
【0127】
[圧力センサモジュール]
次に、本発明の圧力センサモジュールの一実施形態について、
図6及び
図7を参照しつつ説明する。なお、
図6及び
図7においては、
図1〜
図4の圧力センサ用耐熱プリント配線板1と同様な要素等について同一の符号を付してあり、以下における重複説明を省略する。
【0128】
図6及び
図7の圧力センサモジュール6は、プリント配線板7、第1電子部品80及び第2電子部品81を備える。
【0129】
<プリント配線板>
プリント配線板7は、
図1〜
図4のプリント配線板1と基本的に同様なものであるが、電子部品実装領域70が形成されている点で異なっている。この電子部品実装領域70は、パッド33が形成された他方の端部12を含む。
【0130】
電子部品実装領域70は、第2電子部品81が実装される部分であり、他の部位よりも幅寸法(
図6の上下方向寸法)が大きくされている。また、一方の端部11は、主要部10に対して折り曲げ可能とされている(
図7参照)。
【0131】
<電子部品>
第1電子部品80は、一方の端部11に複数のパッド32を利用してプリント配線板7に実装されるものである。この第1電子部品80は、圧力検知素子である。この圧力検知素子としては、例えば歪みゲージ、圧電素子等が挙げられる。歪みゲージとしては、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)工程により製造されるマイクロフューズドシリコン歪みゲージが好ましい。
【0132】
第2電子部品81は、上述のように電子部品実装領域70に実装されるものである。第2電子部品81としては、例えばICチップ、チップ抵抗器等が挙げられる。
【0133】
[圧力センサモジュールの製造方法]
圧力センサモジュール6は、
図1〜
図4のプリント配線板1と同様な方法によりプリント配線板7を形成した後、第1電子部品80及び第2電子部品81を実装することで製造できる。
【0134】
<電子部品実装工程>
電子部品実装工程は、圧力検知素子等の第1電子部品80、ICチップ等の第2電子部品81をプリント配線板7に実装することで行われる。この電子部品実装工程は、例えば半田リフロー、異方性導電フィルムや異方性導電ペーストを用いる熱圧着等により行うことができる。
【0135】
[圧力センサ]
図8の圧力センサ9は、エンジンのシリンダ内に挿入してシリンダ等の圧力を測定する筒内圧センサである。この圧力センサ9は、ハウジング90、第1ホルダ91、第2ホルダ92及び圧力センサモジュール6を備える。
【0136】
ハウジング90は、キャビティを形成している。このキャビティには、上述した圧力センサモジュール6が一方の端部11を略直角に折り曲げた状態で収容されている。一方の端部11は、第1ホルダ91に固定されており、第1電子部品(圧力検知素子)80がハウジング90の下端から突出している。他方の端部12は、第2ホルダ92に固定されている。
【0137】
圧力センサモジュール6の他方の端部12の複数のパッド33には、複数の配線93が接続されている。これらの配線93により、圧力センサモジュール6と外部との信号の送受を行うことができる。
【0138】
圧力センサ9によれば、圧力センサモジュール6を備えるため、耐熱性が要求される用途、例えば上述のエンジンのシリンダ内に挿入してシリンダの圧力を測定するセンサ等として好適に適用することが可能となる。
【0139】
[他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0140】
上記実施形態では、当該プリント配線板としてフレキシブルプリント配線板を例にとって説明したが、当該プリント配線板は必ずしも可撓性を有している必要はない。
【0141】
当該プリント配線板は、片面に導電パターンが形成される片面プリント配線板に限らず、両面に導電パターンが形成される両面プリント配線板であってもよく、複数層の導電パターンが積層される多層プリント配線板であってもよい。
【0142】
当該プリント配線板は、導電パターンにおける表面処理層を省略したものであってもよい。
【0143】
当該プリント配線板の平面視形状は、短冊状である必要はなく、圧力センサにおける当該プリント配線板が収容される空間の形状等に応じて設計変更可能である。
【0144】
圧力検知素子は、当該プリント配線板に実装せず、圧力センサにおける他の構成部材に実装してもよい。
【0145】
当該圧力センサは、エンジンのシリンダ内に挿入してシリンダの内圧を測定する筒内圧センサに限らず、他の用途に使用される圧力センサであってもよく、当該圧力センサの外観形状も図示した以外の形状であってもよい。例えば、ハウジングの一部を雄ねじとして形成し、シリンダにプラグのように固定できるようにしてもよい。
【0146】
当該圧力センサモジュールは、複数の圧力検知素子を実装したものであってもよい。また、圧力センサモジュールは、圧力検知素子と共に他のセンサ素子、例えば温度検知素子を電子部品として同一プリント配線板上に実装していてもよい。このような圧力センサモジュールを備えることで圧力と温度とを同時に検出することが可能になる。このような圧力/温度センサが、特開2007−147616号公報、特開2013−40936号公報等に示されている。さらに、当該圧力センサモジュールは、少なくとも1つの圧力検知素子を含む複数の検知素子を備える場合、
図9に示すように複数の検知素子82をプリント配線板1A上に平面的に配置してもよい。このように複数の検知素子を平面的に配置することで、圧力分布等を計測することができる。
【実施例】
【0147】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0148】
[シロキサン変性ポリイミドの合成]
酸無水物成分及びジアミン成分の種類及び配合比を表1に示す通りとし、以下に示す方法によりシロキサン変性ポリイミド(A1)〜(A8)を合成した。
【0149】
<合成例1>(シロキサン変性ポリイミド(A1)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.4:0.6のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリイミド前駆体溶液中のポリアミド樹脂の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0150】
上記反応溶液の温度を180℃として16時間反応させてシロキサン変性ポリイミド前駆体をイミド化することでシロキサン変性ポリイミド(A1)を含む重合体溶液を得た。
【0151】
得られたシロキサン変性ポリイミド溶液中のシロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、92,000であった。なお、重量平均分子量(Mw)の定義及び測定方法は上述した通りである。
【0152】
<合成例2>(シロキサン変性ポリイミド(A2)の合成)
反応溶液の温度として180℃で14時間反応させることでポリアミック酸を生成させてシロキサン変性ポリイミド前駆体溶液を得た以外は合成例1と同様にし、シロキサン変性ポリイミド(A2)を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A2)の重量平均分子量(Mw)は、75,000であった。
【0153】
<合成例3>(シロキサン変性ポリイミド(A3)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.6:0.4のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリアミド樹脂の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0154】
上記反応溶液の温度を180℃として10時間反応させてシロキサン変性ポリイミド前駆体をイミド化することでシロキサン変性ポリイミド(A3)を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A3)の重量平均分子量(Mw)は、42,000であった。
【0155】
<合成例4>(シロキサン変性ポリイミド(A4)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.5:0.5のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリイミド前駆体溶液中のポリアミド樹脂の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0156】
上記反応溶液の温度を180℃として13時間反応させてシロキサン変性ポリイミド前駆体をイミド化することでシロキサン変性ポリイミド(A4)を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A4)の重量平均分子量(Mw)は、64,000であった。
【0157】
<合成例5>(シロキサン変性ポリイミド(A5)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.5:0.5のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリアミド樹脂の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0158】
上記反応溶液の温度を180℃として10時間反応させてシロキサン変性ポリイミド前駆体をイミド化することでシロキサン変性ポリイミド(A5)を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A5)の重量平均分子量(Mw)は、45,000であった。
【0159】
<合成例6>(シロキサン変性ポリイミド(A6)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.4:0.6のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリアミド樹脂含有量が30質量%となる量に設定した。
【0160】
上記反応溶液の温度を180℃として12時間反応させてシロキサン変性ポリイミド化を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A6)の重量平均分子量(Mw)は、56,000であった。
【0161】
<合成例7>(シロキサン変性ポリイミド(A7)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.3:0.7のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリイミド前駆体溶液中のポリアミック酸の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0162】
上記反応溶液の温度を180℃として16時間反応させてシロキサン変性ポリイミドを含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A7)の重量平均分子量(Mw)は、77,000であった。
【0163】
<合成例8>(シロキサン変性ポリイミド(A8)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.4:0.6のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリイミドの含有量が30重量%となる量に設定した。
【0164】
上記反応溶液の温度を180℃として8時間反応させてシロキサン変性ポリイミドを含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A8)の重量平均分子量(Mw)は、29,000であった。
【0165】
【表1】
【0166】
<接着剤組成物の調製>
(実施例1)
溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に溶解したシロキサン変性ポリイミド(A1)100質量部(固形分相当量)、無機フィラーとしてのタルク(日本タルク社の「MICRO ACE K1」:平均粒径8μm)45質量部、エポキシ樹脂(DIC社の「EPICLON N695」(軟化点90℃〜100℃、エポキシ等量209g/eq〜219g/eq))4質量部、及び硬化剤としてのフェノール樹脂(日本化薬社の「GPH−65」)3質量部を混合することで接着剤組成物を得た。
【0167】
(実施例2〜4及び比較例1〜8)
下記表2に示す種類及び含有量の成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、接着剤組成物を調製した。なお、表2中の「−」は、該当する成分を配合しなかったことを示す。
【0168】
【表2】
【0169】
<評価試料の作製>
評価試料としては、下記方法に従い、
図10に示す両面銅張積層板(評価試料1)、
図11に示すカバーレイ付銅張積層板(評価試料2)、この評価試料2の銅箔にニッケルメッキ処理を施したカバーレイ付銅張積層板(評価試料3)、及び
図12に示す孔付き片面銅張積層板(評価試料4)を作製した。
【0170】
(評価試料1)
図10の評価試料1は、厚みが45μm〜55mとなるように接着剤組成物を塗工した2枚の銅箔(厚み35μm)により、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社の「カプトン100H」;厚み25μm)を、加圧力を3MPa、加熱温度を180℃、加圧時間を45分として熱圧着することで作製した。また、銅箔としては、カッパーブライトで防錆処理したものを用いた。この防錆処理は、水溶性高分子であるポリオキシエチレンアルキルエーテルをイソプロピルアルコール及びヒドロキシ酪酸に溶解させた防錆溶液を用いて行った。なお、接着剤組成物は両面で同じものを使用した。
【0171】
(評価試料2)
図11の評価試料2は、ポリイミドフィルム東レ・デュポン社の「カプトン100H」に厚みが45μm〜55μmとなるように接着剤組成物を塗工したカバーレイを、表面にカッパーブライト処理を施した厚み35μmの銅箔から成る銅張積層板に貼着することで作製した。カバーレイの貼着は、加圧力を3MPa、加熱温度を180℃、加圧時間を45分として熱圧着することで行った。なお、銅張積層板としては、厚み35μmの銅箔と厚み25μmのポリイミドフィルム(カプトン100H)をエポキシ樹脂系の接着剤で貼り合わせたものを使用した。なお、銅箔表面は評価試料1と同様にカッパーブライトで防錆処理している。
【0172】
(評価試料3)
評価試料3は、
図11の評価試料2の作製において、銅張積層板に無電解ニッケルメッキ処理を施すことで銅箔表面に厚みが0.1μmの表面処理層を形成した以外は、評価試料2と同様にして作製した。
【0173】
(評価試料4)
図12の評価試料4の作製に当たっては、まず、ポリイミドフィルム東レ・デュポン社の「カプトン100H」に厚み45μm〜55μmとなるように接着剤組成物を塗工したカバーレイを形成した。次いで、このカバーレイに直径1.5mmの円形孔を開けた後、表面にカッパーブライト処理を施した厚み35μmの銅箔から成る銅張積層板にカバーレイを載置して加圧加熱して接着層を硬化させることで評価試料4を作製した。上記加圧加熱は加圧力を3MPa、加熱温度を180℃、加圧時間を45分として熱圧着することで行った。なお、銅箔としては、評価試料1と同様な手法によりカッパーブライトで防錆処理したものを用いた。
【0174】
<評価>
実施例1〜4及び比較例1〜9の接着剤脂組成物を使用した評価試料1〜4について、下記の手法に従い、流れ出し、剥離強度及びリフロー耐熱性の評価を実施した。評価結果を表3に示す。なお、表3における評価項目の「−」は、未評価(評価できなかった)であることを意味する。また、表中の(*)はATFオイルの染み込みが確認されたことを意味する。
【0175】
(剥離強度)
剥離強度は、以下の5つの条件で、JIS−K−6854−2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離」に準じてピール強度として測定した。この剥離強度は、島津製作所社の引張試験機「オートグラフAG−IS」を用いて測定した。なお、剥離強度の測定においては、評価試料2又は評価試料3の銅張積層板の端部の全体を挟むと共に、ポリイミドフィルムを固定して引きはがし力を作用させることで測定した。
【0176】
剥離強度1:評価試料2を作製した初期の常温での剥離強度
剥離強度2:評価試料2を150℃で1,000時間放置した後の常温での剥離強度
剥離強度3:ニッケルメッキ処理を施した評価試料3を、150℃で1,000時間放置した後の常温での剥離強度
剥離強度4:評価試料2をトヨタ自動車社のATFオイル「トヨタ純正オートフルード(WS)」に浸漬した状態とし、150℃で1,000時間放置した後の常温での剥離強度
剥離強度5:評価試料2を作製した初期の150℃での剥離強度
剥離強度6:評価資料1を85℃、85%で1,000時間放置した後の常温での剥離強度
【0177】
(リフロー耐熱性)
リフロー耐熱性は、評価試料1又は評価試料2を260℃の恒温槽に1分放置した後に変形の有無を確認することで評価した。評価基準は、以下の通りである。なお、表3におけるリフロー耐熱性1は評価試料1を用いた結果であり、リフロー耐熱性2は評価試料2を用いた結果である。
【0178】
A:変形が認められない
B:変形が認められる
【0179】
(流れ出し)
流れ出しは、円形孔を形成した評価試料4について、平面視における円形孔の内面からの接着剤の流出距離d(
図13参照)を測定することで評価した。なお、接着剤組成物には、流出距離が200μm未満であることが求められる。
【0180】
【表3】
【0181】
表3から明らかなように、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料は、比較例1〜8の接着剤組成物を使用した評価試料に比べて、剥離強度が高く、リフロー耐熱性に優れていた。具体的には、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料2は初期剥離強度に相当する剥離強度1,5の評価、及び長期剥離強度に相当する剥離強度2,3の評価について特に問題はないと共に、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料4は長期耐油性に相当する剥離強度4の評価について特に問題はなかった。
【0182】
また、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料1,2は、リフロー耐熱性1の評価に優れる傾向があった。このリフロー耐熱性1に使用した評価試料1は、ポリイミドフィルムの両面に接着層を介して銅箔を積層した構造のものである(
図10参照)。そのため、評価試料1は、接着層組成物に含まれる溶媒がリフロー時に気体となったときに、この気体が接着層から排出され難くことから、気体が接着層に残存する、いわゆるポップコーン現象により剥離強度が低下しやすい構造を有する。従って、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料1は、リフロー時のポップコーン現象の発生が抑止された結果、剥離強度に優れているものと考えられる。
【0183】
<参考例1〜4>
参考例1〜4の接着剤組成物は、無機フィラーとして表4に示す平均粒径及びアスペクト比のものを用いた以外は比較例3と同様にして調製した。また、なお、表4に示す無機フィラーB1〜B5は下記の通りである。
【0184】
B1:日本タルク社の「MICRO ACE K1」
B2:日本タルク社の「MICRO ACE P8」
B3:日本タルク社の「GAT−40」
B4:日本タルク社の「MICRO ACE P2」
B5:日本ミストロン社の「ミストロンベーパータルク」
【0185】
この接着剤組成物を用いて評価試料1〜4を作製し、上述した剥離強度及びリフロー耐熱性を評価した。評価結果については表4に示した。この表4には比較例3の評価結果を同時に示した。
【0186】
【表4】
【0187】
表4から明らかなように、参考例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料1〜4は、剥離強度1,2及びリフロー耐熱性2が比較例3と同程度又はそれ以上であった。そのため、平均粒径及びアスペクト比が参考例1〜4の範囲である無機フィラーを、実施例1〜4の接着剤組成物に配合した場合、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料1〜4と同程度かそれ以上の剥離強度や耐熱性が得られるものと推察される。