(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の搬送装置においては、炭素繊維入り樹脂シートの両端部を把持して張力を加えながら搬送するため、搬送される炭素繊維入り樹脂シートが、軟化しても一定の強度を有し、且つ、自重によっても変形しない比較的軽量のものに制限されるという欠点がある。
すなわち、炭素繊維入り樹脂シートを軟化させた場合の強度が弱いと、張力を加えることにより、千切れる恐れがあり、また、炭素繊維入り樹脂シートの重量が大きいと、その両端部を把持した場合、炭素繊維入り樹脂シートの自重により、搬送中に樹脂ダレが生じる恐れがある。
なお、仮に、軽量の炭素繊維入り樹脂シートを用いた場合であっても、軟化させ過ぎると、同様に樹脂ダレが生じる恐れがあるため、適切な軟化状態を維持管理する必要がある。
また、炭素繊維入り樹脂シートの把持された部位は、製品として使用できないため、廃材となり、歩留まり率も悪くなるという欠点もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、繊維強化樹脂の物性に拘らず、樹脂ダレや千切れを防止でき、軟化させた繊維強化樹脂を簡単に搬送することができると共に、歩留まり率も向上する搬送パレット、及び、簡単且つ確実に軟化させた繊維強化樹脂を取り出すことができる取り出し方法、及び、軟化させた繊維強化樹脂をプレス加工することが可能なプレスセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、回動可能な無端ベルト上に軟化させた繊維強化樹脂を載置した状態で搬送することにより、上記課題を全て解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、(1)軟化させた繊維強化樹脂を取り出す機能を有する搬送パレットであって、無端ベルトと、該無端ベルトが張架された一対のロールを有する下枠体と、
補助無端ベルトと、該補助無端ベルトが張架された一対のロールを有する上枠体と、上枠体と下枠体とを連結する連結部と、を備え、
補助無端ベルトと無端ベルト
との間に軟化させた繊維強化樹脂が
挟持された状態で搬送されるものであり、
補助無端ベルトと無端ベルト
とを
同期させて回動させることにより軟化させた繊維強化樹脂が取り出される搬送パレットに存する。
【0011】
本発明は、(
2)連結部の一端に上枠体が枢着されており、連結部の他端に下枠体が固定されている上記(
1)記載の搬送パレットに存する。
【0012】
本発明は、(
3)
無端ベルトの上側部分の側部、及び、補助無端ベルトの下側部分の側部、には連絡部が取り付けられており、補助無端ベルトと無端ベルトとが
該連絡部を介して連結
されている上記(
1)又は(
2)に記載の搬送パレットに存する。
【0013】
本発明は、(
4)繊維強化樹脂が、短繊維又はチョップド繊維と、熱可塑性樹脂とからなる上記(1)〜(
3)のいずれか1つに記載の搬送パレットに存する。
【0014】
本発明は、(
5)無端ベルトが、メッシュ状の金属ベルトからなる上記(1)〜(
4)のいずれか1つに記載の搬送パレットに存する。
【0015】
本発明は、(
6)上記(1)〜(
5)のいずれか1つに記載の搬送パレットから軟化させた繊維強化樹脂を取り出す取出し方法であって、搬送パレットの無端ベルトには当接部が取り付けられており、軟化させた繊維強化樹脂を取り出す取出し領域にはストッパーが設けられており、搬送パレットをスライドさせながら、取出し領域にてストッパーに当接部を当接させ、更に搬送パレットをスライドさせることにより、無端ベルトを回動させ、軟化させた繊維強化樹脂を取り出す取出し方法に存する。
【0016】
本発明は、(
7)搬送パレットのスライドが、下枠体に移動フックを引掛け、該移動フックをスライドさせることにより行われる上記(
6)記載の軟化させた繊維強化樹脂を取り出す取出し方法に存する。
【0017】
本発明は、(
8)上記(1)〜(
5)のいずれか1つに記載の搬送パレットと、該搬送パレットが用いられるプレス装置と、からなるプレスセットであって、プレス装置が、ベッドと、該ベッド上に設けられた4本のアプライトに支持されるクラウンと、該クラウンに連結されたスライドを介して取り付けられた上型と、ベッド上に配置されたボルスタを介して取り付けられた下型と、該ベッド上のボルスタの両側に設けられた一対のローラー台と、隣り合うアプライトに架橋されたレールと、該レールをスライドするスライダーを介して取り付けられた移動フックと、ボルスタ上に設けられたストッパーと、を備え、搬送パレットのスライドが、下枠体に移動フックを引掛け、スライダーをスライドさせることにより行われ、搬送パレットをスライドさせながら、ストッパーに当接部を当接させ、更に搬送パレットをスライドさせることにより、軟化させた繊維強化樹脂が下型の上に取り出されるプレスセットに存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の搬送パレットは、無端ベルトと、該無端ベルトが張架された一対のロールを有する下枠体と、を備え、無端ベルト上に軟化させた繊維強化樹脂が載置された状態で搬送するものであるため、繊維強化樹脂の物性に拘らず、軟化させた繊維強化樹脂を簡単に搬送することができる。
このとき、軟化させた繊維強化樹脂が無端ベルトに支持されるので、軟化させた繊維強化樹脂の自重に基づく、樹脂ダレや千切れも防止することができる。
また、このことから、繊維強化樹脂の軟化の度合いをより軟らかくすることができるので、軟化状態を維持管理するための負担を軽減することができる。
【0019】
本発明の搬送パレットは、無端ベルト上に軟化させた繊維強化樹脂が載置されるものであり、軟化させた繊維強化樹脂の両端を把持するものではないため、廃材となる部位が極めて少なく、歩留まり率を向上させることができる。
【0020】
本発明の搬送パレットにおいては、軟化させた繊維強化樹脂を所望の位置まで搬送した後、無端ベルトを回動させることにより、軟化させた繊維強化樹脂を簡単に取り出すことができる。
【0021】
本発明の搬送パレットにおいては、補助無端ベルトと、該補助無端ベルトが張架された一対のロールを有する上枠体と、上枠体と下枠体とを連結する連結部と、を更に備え、補助無端ベルトと無端ベルトとの間に軟化させた繊維強化樹脂が挟持された状態で搬送するものである場合、軟化させた繊維強化樹脂を所望の位置まで搬送した後、補助無端ベルトと無端ベルトとを同期させて回動させることにより、軟化させた繊維強化樹脂を簡単且つスムーズに取り出すことができる。
また、連結部の一端に上枠体を枢着し、連結部の他端に下枠体を固定することにより、下枠体に対して連結部を中心に上枠体を回動させることができる。これにより、補助無端ベルトと無端ベルトとの間を開閉させることができる。
したがって、例えば、上枠体を上方に回動させた状態とすることにより、無端ベルト上に軟化させた繊維強化樹脂を簡単に載置することができ、上枠体を下方に回動させ、元の位置に戻すことにより、補助無端ベルトと無端ベルトとの間に軟化させた繊維強化樹脂が挟持された状態とすることができる。
【0022】
本発明の搬送パレットにおいては、補助無端ベルトと無端ベルトとが連結可能となっている場合、補助無端ベルトと無端ベルトとを連結させることにより、補助無端ベルトの回動と無端ベルトの回動とを簡単に同期させることができる。
【0023】
本発明の搬送パレットにおいては、繊維強化樹脂が、短繊維又はチョップド繊維と、熱可塑性樹脂とからなる場合、軟化させた繊維強化樹脂に対して、例えば、プレス加工等を施すことにより、容易に、所望の形状に変形させることができる。
また、短繊維又はチョップド繊維を用いた繊維強化樹脂は、一般に樹脂ダレや千切れが生じ易いが、本発明の搬送パレットは、樹脂ダレや千切れを防止することができるので、短繊維又はチョップド繊維を用いた場合であっても、軟化させた繊維強化樹脂を確実に搬送することができる。その結果、当該繊維強化樹脂を用いた車両用外装部品等を低コストで製造することが可能となる。
【0024】
本発明の搬送パレットにおいては、無端ベルトが、メッシュ状の金属ベルトからなる場合、無端ベルトが適度な空隙を有しているので、繊維強化樹脂が載置された搬送パレットをそのまま加熱することにより、繊維強化樹脂を均一に軟化させることができる。
また、無端ベルトと、軟化させた繊維強化樹脂との接触面積も小さくなるので、無端ベルトの回動により、軟化させた繊維強化樹脂を搬送パレットから簡単に取り出すことができる。
【0025】
本発明の軟化させた繊維強化樹脂を取り出す取出し方法においては、搬送パレットの無端ベルトには当接部が取り付けられており、軟化させた繊維強化樹脂を取り出す取出し領域にはストッパーが設けられており、搬送パレットをスライドさせながら、ストッパーに当接部を当接させ、更に搬送パレットをスライドさせることにより、搬送パレットをスライドさせると同時に、無端ベルトを回動させることができる。これにより、軟化させた繊維強化樹脂を取り出すことができ、且つ、取出し領域に簡単に配置することができる。
【0026】
本発明の軟化させた繊維強化樹脂を取り出す取出し方法においては、搬送パレットのスライドが、下枠体に移動フックを引掛け、該移動フックをスライドさせることにより行われる場合、簡単な設備で、搬送パレットをスライドさせることができる。
【0027】
本発明のプレスセットによれば、比較的大型であっても、軟化させた繊維強化樹脂に対し、プレス加工を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0030】
本発明に係る搬送パレットは、軟化させた繊維強化樹脂を搬送すると共に、当該搬送パレットから繊維強化樹脂を取り出す機能を有するものである。
【0031】
(第1実施形態)
次に、本発明に係る搬送パレットの第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る搬送パレットに軟化させた繊維強化樹脂が載置された状態を概略的に示す側面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る搬送パレット1は、無端ベルト10と、該無端ベルト10が張架された一対のロール11aを有する下枠体11とを備える。
そして、無端ベルト10上には、軟化した繊維強化樹脂Xが載置されている。
【0032】
第1実施形態に係る搬送パレット1においては、無端ベルト10の上面に軟化した繊維強化樹脂Xが載置された状態で搬送される。
このとき、無端ベルト10が、軟化した繊維強化樹脂Xを支持するため、繊維強化樹脂Xの物性に拘らず、簡単に軟化させた繊維強化樹脂Xを搬送することが可能となる。
また、軟化させた繊維強化樹脂Xの自重に基づく、樹脂ダレや千切れも防止することができ、繊維強化樹脂Xの軟化の度合いをより軟らかくすることにより、軟化状態を維持管理するための負担を軽減することもできる。
さらに、搬送パレット1は、軟化させた繊維強化樹脂Xの両端を把持するものではないため、廃材となる部位が極めて少なく、歩留まり率を向上させることができる。
【0033】
繊維強化樹脂Xは、ガラス繊維又は炭素繊維等の繊維と、ポリアミド、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂とからなり、これらを採用して、公知の方法で製造することができる。
これらの中でも、繊維強化樹脂Xから車両用外装部品を製造する場合は、強度及び軽量化の観点から、繊維強化樹脂Xの繊維として炭素繊維を用いることが好ましい。すなわち、繊維強化樹脂Xとして、いわゆる炭素繊維強化複合材料(CFRTP)を用いることが好ましい。なお、かかるCFRTPは、等方性CFRTP中間基材であってもよく、一方向性CFRTP中間基材であってもよい。
【0034】
繊維強化樹脂Xにおいて、繊維は、短繊維又はチョップド繊維を採用することが好ましい。この場合、軟化させた繊維強化樹脂Xに対して、例えば、プレス加工等を施すことにより、平板状の繊維強化樹脂Xを、容易に所望の形状に変形させることができる。
また、安価な短繊維又はチョップド繊維を採用することにより、当該繊維強化樹脂Xを用いた車両用外装部品等を低コストで製造することが可能となる。
なお、短繊維又はチョップド繊維を用いた繊維強化樹脂は、一般に軟化した際の強度が弱く、樹脂ダレや千切れが生じ易いが、上述したように、搬送パレット1においては、常に載置された状態とすることにより、樹脂ダレや千切れを防止することができるので、短繊維又はチョップド繊維を用いた場合であっても、軟化させた繊維強化樹脂Xを確実に搬送することができる。
【0035】
無端ベルト10は、側面視でループ状となっている。すなわち、無端ベルト10は、一対のロール11aの間では、上側部分10aと、下側部分10bとを有している。なお、繊維強化樹脂Xは、上側部分10aの上面に載置される。
【0036】
ここで、無端ベルト10の材質は、耐熱性の観点から、金属製が採用される。かかる金属としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス等が挙げられる。
無端ベルト10の表面形状は、メッシュ状であることが好ましい。なお、メッシュの形状は、特に限定されない。すなわち、無端ベルト10が、メッシュ状の金属ベルトであると、軟化前の繊維強化樹脂Xを、無端ベルト10の上に載置した状態で、搬送パレット1と共に加熱することで、繊維強化樹脂Xを軟化させることが可能となる。
また、無端ベルト10がメッシュ状であると、軟化させた繊維強化樹脂Xとの接触面積が小さくなるので、軟化させた繊維強化樹脂Xを搬送した後、搬送パレット1から簡単に取り出すことが可能となる。
【0037】
樹脂パレット1において、無端ベルト10の上側部分10aの側部には、下方に突出した当接部15が固定されている。
無端ベルト10は、当該当接部15を後述するストッパー(図示しない)に当接させ、搬送パレット1をスライドさせることにより、搬送パレット1のスライドに基づいて、回動するようになっている。すなわち、特別な動力源を用いずに、無端ベルト10を回動させることが可能となっている。
なお、無端ベルト10を回動させることにより、後述するように、軟化させた繊維強化樹脂Xが取り出されることになる。
【0038】
下枠体11は、搬送パレット1の搬送方向に対して垂直となるように前後一対のロール11aと、該ロール11aの両端を支持する左右一対の側部バー11bとからなる。
そして、一対のロール11aには、上述した無端ベルト10が張架されている。
【0039】
下枠体11において、側部バー11bの先端には、後述する移動フック(図示しない)を引掛けるための突起部11cが設けられている。
なお、搬送パレット1は、突起部11cに移動フックを引掛けた状態で、移動フックをスライドさせることにより、同時にスライドするようになっている。
【0040】
下枠体11において、ロール11a及び側部バー11bは、上下に延びる支持バー12によって支持されており、支持バー12は、薄板状のソリ13の上に載置されている。
かかるソリ13は、その底面が滑りやすくなっており、搬送パレット1のスライドを補助する役割を果たす。
【0041】
次に、搬送パレット1を用いた繊維強化樹脂の搬送方法について説明する。
まず、軟化する前の繊維強化樹脂Xを搬送パレット1の無端ベルト10の上に載置する。
図2は、第1実施形態に係る搬送パレットにおいて繊維強化樹脂を加熱軟化させる方法の一例を概略的に示す側面図である。
図2に示すように、搬送パレット1においては、軟化前の繊維強化樹脂Xを無端ベルト10の上に載置した状態で、そのまま全体を加熱炉Hに投入し、繊維強化樹脂Xを軟化させる。これにより、取扱い難い軟化した状態の繊維強化樹脂Xを、無端ベルト10に載置するという作業を省くことができる。
【0042】
このとき、上述したように、無端ベルト10がメッシュ状の金属ベルトからなるので、維強化樹脂Xに対し、加熱炉Hによる下方からの加熱を妨げない。すなわち、繊維強化樹脂Xを上下方向から均一に加熱することができるので、繊維強化樹脂Xを均一に軟化させることが可能となる。
【0043】
次に、搬送パレット1をスライドさせる方法について説明する。
図3は、第1実施形態に係る搬送パレットをスライドさせる方法の一例を概略的に示す側面図である。
まず、搬送パレット1をスライドさせる方法においては、軟化させた繊維強化樹脂Xを無端ベルト10上に載置した状態で、下枠体11の側部バー11bの先端に設けられた突起部11cに、移動フック18を引掛ける。
そして、
図3に示すように、移動フック18を突起部11cに引掛けた状態で、移動フック18をスライドさせることにより(
図3でいう矢印方向)、搬送パレット1は、移動フック18と一体となってスライドするようになっている。なお、搬送パレット1には、ソリ13が設けられているので、搬送パレット1は、スムーズにスライドする。
このように、簡単な設備で、搬送パレット1をスライドさせることができる。
【0044】
次に、搬送パレット1から繊維強化樹脂Xを取り出す取出し方法について説明する。
図4の(a)〜(c)は、第1実施形態に係る搬送パレットから軟化させた繊維強化樹脂を取り出す取り出し方法を概略的に示す側面図である。
搬送パレット1から繊維強化樹脂Xを取り出す取出し方法においては、まず、移動フック18を突起部11cに引掛けた状態で、移動フック18をスライドさせることにより、搬送パレット1をスライドさせ、
図4の(a)に示すように、搬送パレット1の当接部15を、繊維強化樹脂を取り出す取出し領域Pの両側に設けられたストッパー17に当接させる。なお、ストッパー17の構造については、後述する。
【0045】
これにより、無端ベルト10の上側部分10aは、当接部15を介して、ストッパー17により、その位置で拘束されることになるので、搬送パレット1を更にスライドさせると、
図4の(b)に示すように、無端ベルト10が回動することになる。
このとき、上側部分10aの上面に載置された繊維強化樹脂Xは、無端ベルト10の回動と共に搬送され、最終的には、
図4の(c)に示すように、取出し領域Pに落下することになる。
このように、搬送パレット1から繊維強化樹脂Xを取り出す取出し方法においては、簡単な方法で、軟化させた繊維強化樹脂を取り出すことができ、且つ、取出し領域Pに簡単に配置することができる。
【0046】
ここで、ストッパー17の構造について説明する。
図5の(a)〜(c)は、第1実施形態に係る搬送パレットから軟化させた繊維強化樹脂を取り出す取り出し方法において、ストッパーの構造を説明するための上面図である。
図5の(a)〜(c)に示すように、ストッパー17は、搬送パレット1の搬送方向に対して、取出し領域Pの左右両側に一対設けられている。
両ストッパー17は、何れも回転爪式のストッパーであり、軸部17aと、該軸部17aに取り付けられた爪部17bと、を有する。
【0047】
一方、搬送パレット1は、下枠体11の両外側に、支持部16aを介して、外枠16bが設けられており、該外枠16bの内側には外枠16bの長手方向に延びる上面視で台形状のカムバー16が設けられている。なお、外枠16bも図示しないソリの上に載置されている。
【0048】
図5の(a)に示すように、搬送パレット1の当接部15が、ストッパー17の爪部17bに当接する前は、爪部17bは、当接部15の前方(図でいう右側)に位置する。
そして、搬送パレット1が移動フック18によりスライドされ、搬送パレット1が所定の位置に来ると、
図5の(b)に示すように、カムバー16が、軸部17aに接触し、軸部17aを回転させる。なお、軸部17aの回転後の状態は、カムバー16の長さの分だけ維持される。
軸部17aの回転により、爪部17bが、搬送パレット1側に突き出た状態となるため、当接部15は、爪部17bに当接され、その位置で停止することになる。
【0049】
そして、上述したように、搬送パレット1をスライドさせることにより、無端ベルト10が回動し、繊維強化樹脂Xが取り出されることになる。
繊維強化樹脂Xが取り出された後は、
図5の(c)に示すように、カムバー16と、軸部17aとが接触しなくなり、回転していた軸部17aが、図示しないバネの復元力により、元の位置に戻り、爪部17bは、当接部15に当接しない元の位置に配置される。
このように、搬送パレットから繊維強化樹脂を取り出す取り出し方法においては、ストッパー17を回転爪式とし、該ストッパー17の軸部17aを回転させるカムバー16を搬送パレット1に設けることにより、特別な動力源を用いずに、ストッパー17と当接部15とを当接させることが可能となっている。
【0050】
次に、搬送パレット1とプレス装置とからなるプレスセットについて説明する。
図6は、第1実施形態に係る搬送パレットと、プレス装置とからなるプレスセットを説明するための側面図である。
図6に示すように、プレス装置3は、ベッド31と、該ベッド31上に設けられた4本のアプライト32に支持されるクラウン33と、該クラウン33に連結されたスライド34を介して取り付けられた上型3aと、ベッド31上に配置されたボルスタ35を介して取り付けられた下型3bと、該ベッド31上のボルスタ35の両側に設けられた一対のローラー台36と、隣り合うアプライト32に架橋されたレール37と、該レール37をスライドするスライダー37aを介して取り付けられた移動フック38と、ボルスタ35上に設けられたストッパー17と、を備える。
【0051】
プレスセットにおいて、搬送パレット1は、例えば、プレス装置3に隣接された加熱炉で加熱される。
そして、その搬送パレット1に対し、上述した搬送パレット1をスライドさせる方法と同様にして、搬送パレット1を搬送させることができる。すなわち、搬送パレット1のスライドは、搬送パレット1の突起部11cに、移動フック38を引掛け、スライダー37aをレール37に沿ってスライドさせることにより行われる。なお、このとき、搬送パレット1は、一対のローラー台36に支持されているので、ソリを介して、ローラー台36の上を滑るようにスライドすることになる。
【0052】
また、上述した搬送パレット1から軟化された繊維強化樹脂Xを取り出す取出し方法と同様にして、軟化された繊維強化樹脂Xを下型3b上に取り出すことができる。すなわち、搬送パレット1をスライドさせながら、ボルスタ35上に設けられたストッパー17に、搬送パレット1の当接部15を当接させ、更に搬送パレット1をスライドさせることにより、無端ベルト10が回動し、繊維強化樹脂Xが下型3bの上に取り出されることになる。
【0053】
このように、プレスセットによれば、十分に軟化された繊維強化樹脂Xであっても搬送することができ、搬送パレット1に対応したプレス装置3を用いることにより、軟化された繊維強化樹脂Xに対してプレス加工を行うことが可能となる。
このことにより、比較的大型の繊維強化樹脂Xであっても、プレスセットを用いることにより、所望の形状に成型することができ、例えば、ボンネット、バンパー、ドア等の車両用外装部品に採用することが可能となる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る搬送パレットの第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態に係る搬送パレットに軟化させた繊維強化樹脂が載置された状態を概略的に示す側面図である。
図7に示すように、第2実施形態に係る搬送パレット2は、無端ベルト10と、該無端ベルト10が張架された一対のロール11aを有する下枠体11と、補助無端ベルト20と、該補助無端ベルト20が張架された一対のロール21aを有する上枠体21と、上枠体21と下枠体11とを連結する連結部40と、を備える。
そして、無端ベルト10上には、軟化した繊維強化樹脂Xが載置されており、軟化した繊維強化樹脂Xの上に補助無端ベルト20が更に配置されている。
すなわち、補助無端ベルト20と、上枠体21と、連結部40とを更に備えること以外は、第1実施形態に係る搬送パレット1と同じである。
【0055】
第2実施形態に係る搬送パレット2においては、補助無端ベルト20と無端ベルト10との間に軟化させた繊維強化樹脂Xが挟持された状態で搬送される。
このとき、無端ベルト10が、軟化した繊維強化樹脂Xを支持するため、繊維強化樹脂Xの物性に拘らず、簡単に軟化させた繊維強化樹脂Xを搬送することが可能となる。
また、軟化させた繊維強化樹脂Xの自重に基づく、樹脂ダレや千切れも防止することができ、繊維強化樹脂Xの軟化の度合いをより軟らかくすることにより、軟化状態を維持管理するための負担を軽減することもできる。
さらに、搬送パレット2は、軟化させた繊維強化樹脂Xの両端を把持するものではないため、廃材となる部位が極めて少なく、歩留まり率を向上させることができる。
【0056】
補助無端ベルト20は、上述した無端ベルト10と同様に、側面視でループ状となっている。すなわち、補助無端ベルト20は、一対のロール21aの間では、上側部分20aと、下側部分20bとを有している。
【0057】
ここで、補助無端ベルト20の材質は、耐熱性の観点から、金属製が採用される。かかる金属としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス等が挙げられる。
補助無端ベルト20の表面形状は、メッシュ状であることが好ましい。なお、メッシュの形状は、特に限定されない。すなわち、無端ベルト20が、メッシュ状の金属ベルトであると、軟化前の繊維強化樹脂Xを、補助無端ベルト20と無端ベルト10との間に挟持された状態で、搬送パレット2と共に加熱することで、繊維強化樹脂Xを軟化させることが可能となる。
また、補助無端ベルト20がメッシュ状であると、軟化させた繊維強化樹脂Xとの接触面積が小さくなるので、軟化させた繊維強化樹脂Xを搬送した後、補助無端ベルト20と無端ベルト10とを回動させることにより、搬送パレット2から簡単に取り出すことが可能となる。
【0058】
樹脂パレット2において、無端ベルト10の上側部分10aの側部には、当接部15に連続するように上方に延びる連絡部25が取り付けられている。
そして、連絡部25は、補助無端ベルト20の下側部分20bの側部にも取り付けられている。
すなわち、補助無端ベルト20と無端ベルト10とは、連絡部25により、連結されている。
これにより、当接部15をストッパー(図示しない)に当接させ、搬送パレット2をスライドさせることにより、搬送パレット2のスライドに基づいて、補助無端ベルト20と無端ベルト10とが同期した状態で、回動するようになっている。すなわち、特別な動力源を用いずに、補助無端ベルト20及び無端ベルト10を回動させることが可能となっている。
【0059】
上枠体21は、搬送パレット2の搬送方向に対して垂直となるように前後一対のロール21aと、該ロール21aの両端を支持する左右一対の側部バー21bとからなる。
そして、一対のロール21aには、上述した無端ベルト10が張架されている。
【0060】
図8は、第2実施形態に係る搬送パレットにおいて、補助無端ベルトを開いた状態を概略的に示す側面図である。
搬送パレット2において、連結部40は、上枠体21と下枠体11とを連結している。
このとき、連結部40の一端には、上枠体21が枢着されており、連結部40の他端に下枠体11が固定されている。
このため、下枠体11に対して連結部40を中心に上枠体21を回動させることにより、
図8に示すように、補助無端ベルト20と無端ベルト10との間を開閉させることができる。
したがって、例えば、上枠体21を上方に回動させた状態とすることにより、無端ベルト10上に軟化させた繊維強化樹脂Xを簡単に載置することができ、上枠体21を下方に回動させ、元の位置に戻すことにより、補助無端ベルト20と無端ベルト10との間に軟化させた繊維強化樹脂Xが挟持された状態とすることができる。
【0061】
搬送パレット2から繊維強化樹脂Xを取り出す取出し方法については、繊維強化樹脂Xが、補助無端ベルト20及び無端ベルト10の回動と共に搬送される点で、上述した搬送パレット1から繊維強化樹脂Xを取り出す取出し方法とは異なる。
このように、搬送パレット2から繊維強化樹脂Xを取り出す取出し方法においては、軟化させた繊維強化樹脂Xを所望の位置まで搬送した後、補助無端ベルト20と無端ベルト10とを同期させて回動させるので、軟化させた繊維強化樹脂Xをより簡単且つスムーズに取り出すことができる。
【0062】
なお、上述した、搬送パレット1を用いた繊維強化樹脂の搬送方法、搬送パレット1をスライドさせる方法、及び、搬送パレット1とプレス装置とからなるプレスセットについては、第1実施形態に係る搬送パレット1を第2実施形態に係る搬送パレット2に置き換えることが可能である。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0064】
例えば、第1実施形態に係る搬送パレット1及び第2実施形態に係る搬送パレット2においては、上側部分10aの側部に、下方に突出した当接部15が固定されているが、当接部15は、必ずしも必須ではない。
すなわち、第1実施形態に係る搬送パレット1及び第2実施形態に係る搬送パレット2においては、当接部15をストッパーに当接させることにより、無端ベルト10を回動させているが、無端ベルト10は、モーター等により積極的に回動させてもよい。
【0065】
第1実施形態に係る搬送パレット1及び第2実施形態に係る搬送パレット2においては、下枠体11の側部バー11bの先端に、突起部11cが設けられているが、突起部11cは、必ずしも必須ではない。
すなわち、第1実施形態に係る搬送パレット1及び第2実施形態に係る搬送パレット2においては、突起部11に移動フックを引掛けて引っ張ることにより、搬送パレットをスライドさせているが、コンベア等により搬送させてもよい。
【0066】
第1実施形態に係る搬送パレット1及び第2実施形態に係る搬送パレット2は、薄板状のソリ13の上に載置されているが、ソリ13は、必ずしも必須ではない。
【0067】
第1実施形態に係る搬送パレット1又は第2実施形態に係る搬送パレット2を用いた繊維強化樹脂の搬送方法においては、軟化前の繊維強化樹脂Xを無端ベルト10の上に載置した状態で、そのまま全体を加熱炉Hに投入し、繊維強化樹脂Xを軟化させているが、予め繊維強化樹脂Xを軟化させてから、搬送パレットに投入してもよい。
【0068】
第1実施形態に係る搬送パレット1又は第2実施形態に係る搬送パレット2から繊維強化樹脂Xを取り出す取出し方法においては、ストッパー17が回転爪式のストッパーであり、軸部17aと、該軸部17aに取り付けられた爪部17bと、を有しているが、ストッパー17の構造は、これに限定されない。
また、ストッパー17の爪部17bは、軸部17aから異なる方向に向かって一対取り付けられていてもよい。この場合、搬送パレットをスライドさせることにより、当接部15を一方側の爪部に当接させることができ、一方で、搬送パレットの逆方向にスライドさせた場合であっても、当接部15を他方側の爪部に当接させることが可能となる。すなわち、搬送パレットのスライド方向に拘らず、当接部15を爪部に当接させることができ、無端ベルトを回動させることが可能となる。
【0069】
本実施形態に係るプレスセットにおいて、プレス装置3は、ベッド31と、該ベッド31上に設けられた4本のアプライト32に支持されるクラウン33と、該クラウン33に連結されたスライド34を介して取り付けられた上型3aと、ベッド31上に配置されたボルスタ35を介して取り付けられた下型3bと、該ベッド31上のボルスタ35の両側に設けられた一対のローラー台36と、隣り合うアプライト32に架橋されたレール37と、該レール37をスライドするスライダー37aを介して取り付けられた移動フック38と、ボルスタ35上に設けられたストッパー17と、を備えているが、スライド可能な移動フック38と、ストッパー17とを備えていれば、その他の構造はこれに限定されない。