(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の構成によれば人手により商品を補充する必要があり、時間や手間がかかる。また、近年、働き手が不足しているという社会情勢等に鑑みると、ロボット等で代用できる部分は代用しつつ、限られた人材を接客業務など、人でなければ出来ないような業務に集中させることが求められている。
【0006】
本発明の目的は、人手によらずに自動的にショーケースに商品を補充することを可能とする商品陳列システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る商品陳列システムは、同一種類の商品が一列に並んで設けられ、先頭の前記商品が取り出されると残りの前記商品が先頭側に順次送りだされる商品列を有するショーケースと、前記商品列内に設けられ、前記商品列内の前記商品の数が所定以下となることを検知する検知部と、前記ショーケース外に在庫として
置かれた複数の商品から
不足している種類の商品を取り出して自動的に前記商品列の最後尾に補充するように駆動制御される補充部と、前記検知部の検知結果に応じて、前記補充部を制御する制御部と、を備え、
前記ショーケースは、一列に並ぶ商品の種類が互いに異なる複数の前記商品列を有しており、前記制御部は、前記在庫の中の前記商品の種類を判別し、不足している前記商品を特定して前記在庫の商品の中から取り出し、対応する前記商品列の場所に移動して補充するように制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る商品陳列システムにおいて、前記商品には、商品名に関連する二次元コードが設けられており、前記制御部は、前記補充部が前記商品を補充する際に、
前記二次元コードを読み取って前記不足している前記商品の特定を行うとともに前記商品の前記二次元コードを起点として前記商品の正面が前記先頭側を向くように前記商品の向きを揃えるように制御することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る商品陳列システムにおいて、前記在庫の中の前記商品の外形形状を計測する計測部をさらに備え、前記制御部は、前記計測部からの計測結果に応じて、前記商品の外形に規定外の凹みを検出した場合に、該凹みが形成された前記商品を廃棄するように制御することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る商品陳列システムにおいて、前記補充部は、人間の腕のような形状を有する多関節ロボット部と、前記多関節ロボット部の下部に設けられて前記多関節ロボット部を移動させる走行ロボット部とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検知部によって商品列内の商品の数が少なくなったことが検知されたときに、補充部によって自動的に補充される。これにより、人手によらずに自動的に商品を補充できるため、人は、接客業務などの人でなければ出来ないような業務に集中することができる利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0015】
図1は、スーパーマーケットやコンビニなどに設置される商品陳列システム10が設けられた際の平面図である。
図2は、商品陳列システム10のショーケース12の正面図である。
図3は、商品陳列システム10の補充部16の多関節ロボット部40と一時保管棚26との配置関係を説明するための斜視図である。
図4は、商品陳列システム10の補充部16の多関節ロボット部40を用いて商品8を補充したり、廃棄したりする様子を示す図である。
【0016】
商品陳列システム10は、ショーケース12と、複数の検知部14と、補充部16と、計測部18と、制御部20と、冷蔵装置22と、一時保管棚26とを備える。商品陳列システム10は、複数の商品8が整列配置されたショーケース12内において、商品8が不足した場合に自動的に補充する機能を有している。
【0017】
商品8は、ショーケース12内に陳列される飲料容器を含み、飲料が内容物として含まれる飲料用の缶、飲料用のペットボトル及び飲料用の瓶で構成される商品である。飲料は、例えば、ビール、ハイボール、カクテル、ウィスキー、日本酒及びワインなどのアルコール類であっても良く、ジュースやノンアルコールビールなどであっても良い。ここで、商品の種類とは、上記のような内容物の種類を意味する事もあるが、ここでは商品名やブランド名などの銘柄を意味するものとして説明する。
【0018】
商品陳列システム10において、開閉扉12aが反対方向を向き、背面側12b側が対向するように設けられた一対のショーケース12と、一対のショーケース12の間に設置された冷蔵装置22が設けられている。冷蔵装置22は、区画された冷蔵領域内において補充部16が移動するための所定の通路幅を含む通路23を有しており、ショーケース12の背面側12bを介してショーケース12内の商品8を図示しない冷蔵部からの冷気により冷蔵する。また、冷蔵装置22内には、通路23の両端に設けられた扉24を開閉することで出入りすることができる。ここでは、ショーケース12の背面側12bには、正面側とは異なり開閉扉12aを設けずに開放しているものとして説明するが、補充部16が開閉可能な扉を設けてもよい。
【0019】
一時保管棚26は、通路23とショーケース12の背面側12bとの間には商品8を一時的に保管配置するための作業台である。これにより、商品8の補充を行っていない空き時間を利用して、例えば、冷蔵装置22内の扉24の周辺に在庫として保管されている商品8の種類を判別し、この種類が配置される商品列の近くの一時保管棚26に一時的に保管する。これにより、実際に商品8を補充する際の時間短縮を図ることができる。なお、在庫として保管されている形としては様々な方法が考えられるが、例えば、商品8が製造元から出荷された段ボールのまま配置して、商品8の補充の際に補充部16に段ボールを開いて取り出させることもできる。
【0020】
ショーケース12は、正面側に設置された開閉扉12aを有し、複数の載置トレー部30と、載置トレー部30上に立設される複数の仕切り部32とを有している。複数の載置トレー部30は、所定の間隔をおいて設置されている。載置トレー部30上に立設された隣り合う仕切り部32の間に形成される溝には、同一種類の商品8が一列に並んで設けられて商品列を形成している。ここで、同一種類とは容器の構造や形状ではなく内容物を示す商品名やブランド名などの銘柄が同一であるものとして説明する。
【0021】
ここで、
図2(b)に示されるように載置トレー部30は開閉扉12a側である先頭側が最後尾側に比べて若干下側に位置するように傾斜させた状態で取り付けられている。これにより、消費者がショーケース12の開閉扉12aを開けて、先頭の商品8が取り出されると残りの商品8が先頭側に順次送りだされてくる。
【0022】
複数の検知部14は、ショーケース12内において、載置トレー部30と仕切り部32によって形成される各溝に設置される。具体的には、各溝に一列に並んで配置される複数の商品8からなる商品列のうち、最後尾から所定の数(例えば、最後尾から3個)手前側に配置される商品8の位置に配置される。
【0023】
検知部14は、商品8の幅方向両端部に設けられる発光素子と受光素子とで構成される。商品8が存在する間は発光素子からの光が商品8によって遮断されるため、受光素子は受光しないが、商品8が無くなると遮断される物が存在しなくなるため、受光素子は発光素子からの光を受光する。これを利用して、商品列の数が減ったことを検知することができる。なお、検知部14は、ここでは、受発光素子を用いて検知するものとして説明したが、載置トレー部30の重量を検知する重量センサを用いてもよい。
【0024】
検知部14の配置位置は、並べられる商品8に大きさに合わせて位置を変更するような位置調整機構が設けられている。位置調整機構は、載置トレー部30の両端部の下部に設けられた調整レール33と、調整レール33を移動可能に設けられ複数の検知部14が装着される立設部35とを備えている。なお、調整レール33上の移動は、手動で移動させてもよいが、図示しないモータ等を用いて自動的に移動させることも好ましい。
【0025】
なお、ここでは、検知部14の配置位置は、並べられる商品8の大きさに合わせて変更するものとして説明したが、その他の要素に応じて変更することもできる。例えば、冷蔵装置22によって商品8が所定の温度まで冷却されるように設定された場合に、これまでの商品8の売れ行き事情を考慮して、消費者が補充した商品8を手にするまでに所定の温度を冷却するための時間を算出して配置位置を設定してもよい。これにより、補充部16による補充回数を削減することができるため、消費電力の削減に寄与することができるという利点がある。
【0026】
補充部16は、人間の腕のような形状を有する多関節ロボット部40と、多関節ロボット部40の下部に設けられて多関節ロボット部40を移動させる走行ロボット部42とを備える。
【0027】
多関節ロボット部40は、腕を上下に動かす軸であるU軸と、腕を回転させる軸であるR軸と、手首を回転させる軸であるT軸と、手首を上下に降る軸であるB軸と、体を前後に動かす軸であるL軸と、体を回転させる軸であるS軸とを含む6軸ロボットであるものとして説明するが、これに加え、腕をねじらせる軸であるE軸を含む7軸ロボットであってもよい。多関節ロボット部40の各軸の動きは、制御部20によって制御される。
【0028】
走行ロボット部42は、通路23内を長手方向に沿って移動するロボット装置である。走行ロボット部42は、多関節ロボット部40を載置して移動するスライダ部と、スライダ部に移動を案内するガイドレール部と、スライダ部の位置検出を行う位置検出部とを備える。走行ロボット部42の動きは、制御部20によって制御される。
【0029】
計測部18は、対象物である商品8に対して縞模様の光を当て、商品8の凹凸に応じて、該縞模様が歪み、反射光をCMOSで受光して、三角測距を用いて縞模様の歪みから商品8の形状を計測する3次元形状測定装置を備える。
【0030】
制御部20は、複数の検知部14及ぶ計測部18から送信されるデータに応じて補充部16を制御する。制御部20は、検知部14からショーケース内12における商品8の数が不足しているデータを取得すると、このデータからショーケース内12の商品列の位置情報を特定する。
【0031】
そして、制御部20は、特定された位置の商品列に配置される商品8の種類を特定し、在庫として保管されている商品8の中から当該種類の商品8を判別し、該当種類の商品8を補充するように走行ロボット部42を移動させ、該商品8を最後尾に配置する。このとき、制御部20は、商品8の表面に印刷された二次元コード(例えば、バーコードなど)を読み取ることで商品8の種類を判別することができる。
【0032】
制御部20は、上記二次元コードを読み取り、この二次元コードを基準に、商品8が商品列に並べられた際に、正面側を向くように多関節ロボット部40に対して回転等の駆動制御をすることができる。
【0033】
また、制御部20は、二次元コードを読み取る際に、計測部18によって商品8の形状を計測させ、商品8の外形に規定外の凹みを検出した場合に、該凹みが形成された商品8を廃棄する。
【0034】
続いて、上記構成の商品陳列システム10の作用について説明する。商品陳列システム10が設置されたコンビニエンスストアやスーパーマーケットでは、ショーケース12内に陳列された商品8が不足すれば自動的に補充される。
【0035】
具体的には、ショーケース12内における各溝に一列に配置される商品8に対し、各溝の最後尾近傍に検知部14が設置されている。したがって、消費者がショーケース12の正面側である開閉扉12aをあけて先頭側の商品8を取り出すと、載置トレー部30の傾斜により、後ろ側の商品8が先頭側に滑り落ちてくる。発光素子と受光素子で構成される検知部14において、受光素子が発光素子からの光を受光した場合は、光を遮る商品8が無い状態、すなわち、商品が不足していることを意味し、この情報が制御部20に伝送される。
【0036】
制御部20は、検知部14からの上記商品の不足情報を取得して、不足している商品8の種類を特定し、不足している商品8が一時保管棚26に保管されている場合は、その場所に移動して商品8を持ち上げて、商品列の最後尾に補充する。不足している商品8が一時保管棚26に保管されていない場合は、扉24近傍に配置された在庫の中から商品8を探して取り出し、該当位置に移動して補充を行う。
【0037】
このように、商品陳列システム10によれば、ショーケース12内に陳列された商品が不足しそうな状態になった場合に、補充部16によって在庫の中から該当商品8が取り出されて、自動的に補充される。これにより、人手による商品補充作業を無くすことができるため、人は接客業務などの人でなければ出来ないような業務に集中することができる。
【0038】
また、
図4に示されるように、商品陳列システム10によれば、補充部16が商品8を補充する際に、商品8の表面に表示される二次元コードを起点として、商品8が商品列に配置される際に正面が正面側を向くように回転させた状態で補充される。これにより、商品が売れて、上記補充された商品8が先頭に来た場合に商品の正面が正面側に位置する状態となる。したがって、消費者がショーケース12の開閉扉12aをあけて商品を取り出そうとしたときにも商品8の種類が分かりやすいという利点がある。
【0039】
このように、商品8の正面が常にショーケース12の正面側を向くように整列配置されることで、ショーケース12内の陳列された商品が全体としても美しく整列配置された状態となる。このようにすることで、美しく整列配置されることが美徳される国民、例えば、日本人が消費者である場合に、そのお店のサービスが高く評価されることが期待される。また、このように、美しく整列配置されることで、その店の店員が手作業で整列させる必要がなく、店員は本来の業務に集中することができる利点がある。
【0040】
さらに、商品陳列システム10によれば、補充部16が商品8を補充する際に、計測部18からの情報により、商品8の外形に規定外の凹みを検出した場合に、
図4に示されるように、該凹みが形成された商品8を廃棄する。これにより、商品8の運搬時の衝撃等により、商品8が変形した場合であっても予め陳列対象から外されて、形の悪い商品が並んでしまうことを防止することができる。これにより、このような形の悪い商品が消費者の手に渡ることが抑制できて、お店のサービスが高く評価されることが期待されるとともに、店員がそのような形の悪い商品が陳列されていないかどうかを目視チェックするような必要もなく、本来の業務に集中できる。
【0041】
ここでは、一対のショーケース12の間に通路23が形成され、その空間を覆うように区画された冷蔵装置22であるものとして説明したが、その他の形態であってもよい。例えば、一つのショーケース12が設けられ、その背面側には、補充部16が作業を行うようなバックヤードにしてもよい。この場合、バックヤードは冷却せずに、ショーケース12内のみを冷却する冷蔵手段することもできる。なお、このような場合は、ショーケース12の背面側には、補充部16が開閉可能な扉、例えば、スライド扉を設置することでショーケース12内の温度が一定に保たれる。
【0042】
図5は、スーパーマーケットやコンビニなどに設置される商品陳列システム10の変形例が設けられた際の平面図である。ここでは、ショーケース12が一方側にのみ配置されており、いわゆるバックヤードの領域は比較的広いスペースを確保しやすい。このため、例えば、補充部16が移動する通路23の奥側に在庫として保管される段ボール27を配置するスペースも確保できる。
【0043】
ここで、バックヤードには、商品陳列システム10のように冷蔵機能を有する安全部材22aが設けられている。安全部材22aは、補充部16の移動領域を囲み、人が補充部16と衝突することを防ぐ安全柵である。冷蔵装置22の代わりに安全部材22aを設けているため、ショーケース12には冷蔵機能が搭載されており、背面側12bには補充部16が開閉可能な扉が設置されている。
【0044】
また、段ボール27には、製造元からの出荷時のまま商品8が収納されており、補充部16が商品8の補充の際に、段ボール27を開いて商品8を取り出す。これにより、商品陳列システム10の扉24の近傍の狭い領域に比べて広い領域に段ボール27を配置できて段ボール27の配置自由度も上がるため、より効率良く商品8の補充を行うことができるというメリットがある。
【解決手段】同一種類の商品8が一列に並んで設けられ、先頭の商品8が取り出されると残りの商品8が先頭側に順次送りだされる商品列を有するショーケース12と、商品列内に設けられ、商品列内の商品8の数が所定以下となることを検知する検知部14と、ショーケース12外に在庫として設けられた複数の商品8から商品8の不足数を取り出して自動的に商品列の最後尾に補充するように駆動制御される補充部16と、検知部14の検知結果に応じて、補充部16を制御する制御部20と、を備えることを特徴とする。