特許第6202703号(P6202703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6202703
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】シートカバー
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/60 20060101AFI20170914BHJP
   A47C 31/11 20060101ALI20170914BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B60N2/60
   A47C31/11 E
   A47C7/62 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-9739(P2017-9739)
(22)【出願日】2017年1月23日
【審査請求日】2017年1月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516247971
【氏名又は名称】フジ・チーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 忠男
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 智秋
(72)【発明者】
【氏名】和田 司
(72)【発明者】
【氏名】名取 悦雄
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−046589(JP,U)
【文献】 特開平11−000238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 31/11
B60N 2/44−2/72
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席のバックレストを覆うカバー部材と、前記カバー部材の後面側に設けられ、上方に開口部が形成されたポケットと、を備えたシートカバーにおいて、
前記ポケットの底部には、前記ポケットの内部と外部とを連通する連通孔が設けられており、
前記連通孔は、下方にのみ開口している
ことを特徴とするシートカバー。
【請求項2】
運転席のバックレストを覆うカバー部材と、前記カバー部材の後面側に設けられ、上方に開口部が形成されたポケットと、を備えたシートカバーにおいて、
前記ポケットは、可撓性を有するシート状部材の周縁部が前記カバー部材に接合されることにより形成されており、
前記ポケットの底部には、前記シート状部材と前記カバー部材との接合部に隣接する、前記シート状部材と前記カバー部材との未接合部により、前記ポケットの内部と外部とを連通する連通孔が設けられている
ことを特徴とするシートカバー。
【請求項3】
請求項2に記載のシートカバーにおいて、
前記接合部は、前記連通孔に向かって下り傾斜する傾斜領域を有する
ことを特徴とするシートカバー。
【請求項4】
請求項2に記載のシートカバーにおいて、
前記接合部は、前記連通孔の側から上方に向かって湾曲する湾曲領域を有する
ことを特徴とするシートカバー。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載のシートカバーにおいて、
前記ポケットは、前記開口部を覆うための蓋部材を有し、
前記蓋部材は、前記シート状部材に設けられた被係止領域に係止する係止部を、前記シート状部材の上端部と前後方向に重なる重なり領域に有し、
前記重なり領域において、上下方向及び前記前後方向に交差する横方向の幅が、前記開口部における前記横方向の幅よりも大きく形成され、
前記蓋部材の前記上下方向の幅が、前記開口部における前記前後方向の最大幅よりも大きく形成されている
ことを特徴とするシートカバー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシートカバーにおいて、
前記連通孔には、中空の筒状部材が取り付けられている
ことを特徴とするシートカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂等を掘削するために用いられる油圧ショベル等の作業機械の運転席のシートに取り付けるシートカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の作業機械の運転席のシートに取り付けて、汚れや劣化等からシートを保護するためのシートカバーが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、シートクッション(着座部)を覆うシートクッション用カバーと、バックレスト(背もたれ部)を覆うバックレスト用カバーと、ヘッドレスト(枕部)を覆うヘッドレスト用カバーと、を備えたシートカバーが開示されている。このシートカバーには、例えば取扱い説明書等の書類を収納するためのポケットが、バックレスト用カバーの背面部に設けられている。また、特許文献2には、開口の縁に沿って芯材が設けられたポケットを有する車両用のシートカバーが開示されている。このポケットは、芯材よって開口の形状を長期間に亘って保つことができ、ポケットの密閉度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5894130号
【特許文献2】特開2016−155541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートカバーが装着される運転席を備える作業機械のうち、特に自重が10トン以下の小型の油圧ショベル(ミニショベル)では、旋回体をコンパクトに設計することが求められることから、複数の支柱で支持されたキャノピー(屋根)で運転席を覆った、いわゆるキャノピー構造の運転室が採用されることが多い。このキャノピー構造の運転室は、密閉された空間内に運転席が設けられた、いわゆるキャブ構造の運転室と異なり、外部に開放された状態であるため、運転席に装着されたシートカバーは砂塵や雨雪等に曝されやすい。
【0006】
このようなキャノピー構造の運転室に設けられた運転席のシートにシートカバーを取り付けた場合、特許文献1に開示されたポケットでは、開口部分から砂塵や雨雪等が容易に侵入して、内部に溜まってしまうおそれがある。一方、特許文献2に開示されたポケットでは、開口部分からの砂塵や雨雪等の直接的な侵入を抑制することができるが、水の侵入を回避することは難しく、内部に水が溜まってしまうという問題は残る。
【0007】
そこで、本発明の目的は、シートカバーに設けられたポケットの内部に侵入した水等を、外部へ迅速に排出させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、運転席のバックレストを覆うカバー部材と、前記カバー部材の後面側に設けられ、上方に開口部が形成されたポケットと、を備えたシートカバーにおいて、前記ポケットの底部には、前記ポケットの内部と外部とを連通する連通孔が設けられており、前記連通孔は、下方にのみ開口していることを特徴とするシートカバーを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートカバーに設けられたポケットの内部に侵入した水等を、外部へ迅速に排出することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の各実施形態に係るシートカバーが装着される運転席を備えたミニショベルの一構成例を示す外観図である。
図1B】各実施形態に係るシートカバーが装着される運転席の一構成例を示す斜視図である。
図2A】第1実施形態に係るシートカバーを前方から見た場合の斜視図である。
図2B】第1実施形態に係るシートカバーを後方から見た場合の斜視図である。
図3図2AのIII−III線断面模式図である。
図4図2AのIV−IV線断面模式図である。
図5】第1実施形態におけるポケットの構成を示す平面図である。
図6】開いた状態におけるポケットを上方から見た場合の模式図である。
図7A】第1実施形態に変形例におけるポケットの構成を示す平面図である。
図7B図7AのVII−VII線断面図である。
図8A】第2実施形態におけるポケットの構成を示す平面図である。
図8B】第2実施形態の変形例におけるポケットの構成を示す平面図である。
図9A】第3実施形態におけるポケットの構成を示す平面図である。
図9B】第3実施形態の変形例におけるポケットの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の各実施形態に係るシートカバーは、作業機械の一態様としてのミニショベルの運転席に適用される。まず、ミニショベルの構成及びその運転席の構成について、図1A及び図1Bを参照して説明する。
【0012】
図1Aは、本発明の各実施形態に係るシートカバーが装着される運転席311を備えたミニショベル1の一構成例を示す外観図である。図1Bは、各実施形態に係るシートカバーが装着される運転席311の一構成例を示す斜視図である。
【0013】
図1Aに示すように、ミニショベル1は、路面を走行するためのクローラ式の走行体2と、走行体2の上方に旋回可能に取り付けられた旋回体3と、旋回体3の前方に取り付けられて掘削等の作業を行うフロント作業機4と、を備えている。
【0014】
旋回体3は、車体の前部に配置されて、オペレータが搭乗する運転室31と、車体の後部に配置されて、車体が傾倒しないようにバランスを保つためのカウンタウェイト32と、エンジン等を内部に収容する機械室(不図示)と、を有している。
【0015】
フロント作業機4は、基端が旋回体3に回動可能に取り付けられて、車体に対して上下方向に回動するブーム41と、ブーム41の先端に回動可能に取り付けられて、車体に対して上下方向に回動するアーム42と、アーム42の先端に回動可能に取り付けられて、車体に対して上下方向に回動するバケット43と、を有している。
【0016】
また、フロント作業機4は、旋回体3とブーム41とを連結し、伸縮することによってブーム41を回動させるブームシリンダ41aと、ブーム41とアーム42とを連結し、伸縮することによってアーム42を回動させるアームシリンダ42aと、アーム42とバケット43とを連結し、伸縮することによってバケット43を回動させるバケットシリンダ43aと、これらの各シリンダ41a,42a,43aへ作動油を導く複数の配管(不図示)と、を有している。
【0017】
旋回体3の運転室31には、オペレータが着座するための運転席311が設けられている。運転席311は、複数の支柱312によって支持されたキャノピー313により上方が覆われている。すなわち、ミニショベル1の運転室31は、外部に開放されたいわゆるキャノピー構造の運転室である。また、運転室31には、走行体2、旋回体3、及びフロント作業機4をそれぞれ操作するための複数の操作レバー314が設けられている。
【0018】
運転席311は、図1Bに示すように、オペレータが着座するシートクッション311aと、オペレータの背中を支えるバックレスト311bと、を有している。そして、運転席311には、砂塵や雨雪等による汚れや劣化からシートを保護するためのシートカバーが装着されている。以下、このシートカバーの構成について、実施形態ごとに説明する。
【0019】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係るシートカバー5の構成について、図2A及び図2B、ならびに図3図6を参照して説明する。
【0020】
図2Aは、本実施形態に係るシートカバー5を前方から見た場合の斜視図である。図2Bは、シートカバー5を後方から見た場合の斜視図である。図3は、図2AのIII−III線断面模式図である。図4は、図2AのIV−IV線断面模式図である。図5は、本実施形態におけるポケット52の構成を示す平面図である。図6は、開いた状態におけるポケット52を上方から見た場合の模式図である。
【0021】
シートカバー5は、運転席311のバックレスト311b(図1B参照)を覆うカバー部材51と、カバー部材51の後面側に設けられたポケット52と、を備えている。
【0022】
カバー部材51は、例えば、合成樹脂性のシートや布、レザー等の可撓性を有する素材により形成されている。本実施形態では、防水性のシート素材を用いて形成されている。シートカバー5は、バックレスト311bに対してカバー部材51を上方から被せるようにして装着し、カバー部材51を上方に向かって引っ張ることによりバックレスト311bから取り外すことが可能である。そのため、カバー部材51は、図2Aに示すように、下方が開口した構造になっている。
【0023】
カバー部材51は、バックレスト311bの前面側に配置される前面部511と、バックレスト311bの後面側に配置される後面部512と、前面部511と後面部512との間に介在する側面部513と、を有する。本実施形態では、前面部511、後面部512、及び側面部513はそれぞれ、外縁部が縫い合わされることにより互いに接合されている。
【0024】
前面部511は、上縁がバックレスト311bの形状に合わせて弧状に形成されており、下端部分が横方向内側(中央側)に向かって括れている。この括れた下端部分の横方向の両側には、側面部513に亘って切り欠かれた切り欠き510がそれぞれ形成されている。また、前面部511には、下端から下方に向かって延出する一対の帯状の面ファスナー53aが横方向に並んで設けられている。
【0025】
後面部512は、前面部511と同様に、上縁がバックレスト311bの形状に合わせて弧状に形成されている。また、後面部512に設けられたポケット52の表面(後面)には、一対の面ファスナー53aを係止するための一対の被係止部53bが横方向に並んで設けられている。
【0026】
なお、一対の被係止部53bは、必ずしもポケット52の表面に設けられている必要はなく、後面部512に直接的に設けられていてもよい。また、一対の被係止部53bを後面部512に設ける代わりに、一対の面ファスナー53aを係止可能とする特殊な加工を後面部512の表面(後面)に施してもよい。
【0027】
シートカバー5を運転席311に装着する際は、まず、カバー部材51をバックレスト311bに被せた上で、一対の面ファスナー53aをシートクッション311aとバックレスト311bとの間の隙間に通す。この隙間からバックレスト311bの後方に突出した一対の面ファスナー53aを上方に向かって折り返して、一対の被係止部53bに係止させる。これにより、シートカバー5は運転席311(バックレスト311b)に取り付けられる。
【0028】
ポケット52は、上方に開口部520が形成されており、例えば、取扱い説明書等の書類を内部に収納することができる。本実施形態では、ポケット52は、可撓性を有するシート状部材521の周縁部がカバー部材51の後面部512に縫い付けられることにより、すなわちシート状部材521の周縁部が後面部512に接合されることにより形成されている。なお、シート状部材521は、カバー部材51と同じ防水性の素材で形成されたものでもよいし、異なる素材で形成されたものであってもよい。
【0029】
図5において二点鎖線で示すように、ポケット52におけるシート状部材521と後面部512との接合部(縫合部)は、シート状部材521の横方向の両端側に形成された第1及び第2接合部541,542、ならびにシート状部材521の下端側に形成された下端側接合部543によって構成されている。
【0030】
第1及び第2接合部541,542はそれぞれ、シート状部材521の上端から下端に亘った直線状である。なお、図5において、横方向の左側の接合部を第1接合部541とし、横方向の右側の接合部を第2接合部542とする。
【0031】
下端側接合部543は、横方向に沿った直線部543aと、直線部543aの両端からシート状部材521の下端に向かって延びる一対の垂下部543b,543cと、を有している。図3に示すように、下端側接合部543によってポケット52の底(下端)が閉じられており、ポケット52の内部に収容空間が形成されている。
【0032】
図5に示すように、下端側接合部543は、第1接合部541及び第2接合部542のそれぞれと連続しておらず、第1接合部541と下端側接合部543との間、及び第2接合部542と下端側接合部543との間にはそれぞれ、シート状部材521と後面部512との未接合部523が設けられている。したがって、一対の未接合部523のうち一方(図5における左側)の未接合部523は、第1接合部541及び下端側接合部543に隣接し、他方(図5における右側)の未接合部523は、第2接合部542及び下端側接合部543に隣接している。
【0033】
一対の未接合部523はそれぞれ、ポケット52の内部と外部とを連通している。すなわち、一対の未接合部523はそれぞれ、ポケット52の底部に設けられた連通孔の一態様である。
【0034】
このように、ポケット52の底部に、ポケット52の内部と外部とを連通する未接合部523(連通孔)を設けることで、ポケット52の上方に形成された開口部520からポケット52の内部(収容空間)に侵入した水等を外部へ迅速に排出することができる。これにより、底部が横方向の一端から他端に亘って閉じられたポケットのように、ポケットの内部に水等を溜めてしまうといった問題を解消することが可能となる。
【0035】
そして、本実施形態では、ポケット52の底部に設けた連通孔がシート状部材521とカバー部材51との未接合部523であるため、ポケット52を形成した上で、別途ポケット52の底部に連通孔を設ける必要がなく、ポケット52を形成する段階、すなわちシート状部材521をカバー部材51の後面部512に縫い付ける段階で、合わせて連通孔を設けることができ、作業性が向上する。
【0036】
また、本実施形態では、図2B及び図5に示すように、ポケット52は、開口部520を覆うための蓋部材としてのフラップ522を有している。フラップ522は、横方向に細長い長方形状であり、上端部が横方向の一端から他端に亘ってカバー部材51の後面部512に縫い付けられている(図6において二点鎖線で示す)。
【0037】
図3及び図4に示すように、フラップ522は、シート状部材521の上端部と前後方向に重なる重なり領域Xと、シート状部材521の上端部と前後方向に重ならない領域Yと、を有している。図3に示すように、重なり領域Xには、シート状部材521の上端部に設けられた被係止領域521aに係止する係止部522aが設けられている。本実施形態では、一対の係止部522aが一対の被係止領域521aに係止することにより、フラップ522がシート状部材521に固定される。
【0038】
図5に示すように、フラップ522は、横方向の幅W1が、開口部520における横方向の幅W2よりも大きく形成されている(W1>W2)。なお、本実施形態では、フラップ522は長方形状であるため、横方向の幅は上下方向において一定であるが、フラップ522は必ずしも長方形状である必要はない。したがって、フラップ522は、少なくとも重なり領域Xにおける横方向の幅が、開口部520における横方向の幅よりも大きく形成されていればよい。
【0039】
また、図6に示すように、フラップ522は、短辺方向の長さ(図5に示すフラップ522の状態における上下方向の幅)Lが、開口部520における前後方向の最大幅Dよりも大きく形成されている(L>D)。なお、開口部520において、シート状部材521の横方向の両端側が後面部512に縫い付けられていることから、横方向の中央部で前後方向の幅が最大になりやすい。
【0040】
このように、フラップ522において、重なり領域Xにおける横方向の幅が、開口部520における横方向の幅よりも大きく(W1>W2)、かつ、上下方向の幅Lが、開口部520における前後方向の最大幅Dよりも大きく(L>D)形成されていることにより、図6に示すように、フラップ522を持ち上げてポケット52を開いた状態であっても、フラップ522で開口部520全体を塞ぐことができるため、ポケット52の内部に砂塵や雨雪等がより侵入しにくくなる。
【0041】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例に係るシートカバーの構成について、図7A及び図7Bを参照して説明する。
【0042】
図7Aは、第1実施形態の変形例におけるポケット52Aの構成を示す平面図である。図7Bは、図7AのVII−VII線断面図である。図7A及び図7Bにおいて、第1実施形態に係るシートカバー5について説明したものと共通する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。以下、第2及び第3実施形態についても同様とする。
【0043】
本変形例におけるポケット52Aは、第1実施形態におけるポケット52の構成と異なり、一対の未接合部523(連通孔)にはそれぞれ、例えばプラスチック等で形成された中空の筒状部材523aが取り付けられている。本変形例では、図7Bに示すように、筒状部材523aは円筒状であるが、必ずしも円筒状である必要はなく、例えば角筒状であってもよい。
【0044】
この場合、ポケット52Aの内部に侵入した水等は、筒状部材523aの中を通って外部へ排出される。このように、未接合部523に筒状部材523aを取り付けることにより、未接合部523は、筒状部材523aの断面の大きさまで開口する。したがって、第1実施形態のように筒状部材523aが未接合部523に取り付けられていない場合と比べて、未接合部523が大きく開口するため、ポケット52Aの内部に侵入した水等をより迅速に外部へ排出することができる。
【0045】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るシートカバーの構成について、図8Aを参照して説明する。
【0046】
図8Aは、第2実施形態におけるポケット52Bの構成を示す平面図である。
【0047】
本実施形態に係るシートカバーは、ポケット52Bの構成が第1実施形態におけるポケット52の構成と異なり、その他の構成は同様である。具体的には、ポケット52Bは、下端側接合部544の構成が、第1実施形態におけるポケット52の下端側接合部543の構成と異なる。
【0048】
図8Aにおいて二点鎖線で示すように、下端側接合部544は、横方向の中央から両側に向かって下り傾斜する一対の傾斜部544a,544bと、一対の傾斜部544a,544bの外端からシート状部材521の下端に向かって延びる一対の垂下部544c,544dと、を有している。
【0049】
第1実施形態と同様に、下端側接合部544は、第1接合部541及び第2接合部542のそれぞれと連続しておらず、第1接合部541と下端側接合部544との間、及び第2接合部542と下端側接合部544との間にはそれぞれ、シート状部材521と後面部512との未接合部523(連通孔)が設けられている。
【0050】
本実施形態では、下端側接合部544が、未接合部523に向かって下り傾斜する傾斜領域としての一対の傾斜部544a,544bを有しているため、ポケット52Bの内部に侵入した水等は、図8Aにおいて太矢印で示すように、一対の傾斜部544a,544bのそれぞれを伝って未接合部523に向かって導かれやすくなり、より迅速に外部へ排出される。
【0051】
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例に係るシートカバーの構成について、図8Bを参照して説明する。
【0052】
図8Bは、第2実施形態の変形例におけるポケット52Cの構成を示す平面図である。
【0053】
本変形例におけるポケット52Cには、一対の下端側接合部545,546が形成されている。具体的には、一方(図8Bにおける左側)の下端側接合部545は、第1接合部541の下端から横方向の中央側に向かって下り傾斜する傾斜部545aと、傾斜部545aの先端からシート状部材521の下端に向かって延びる垂下部545bと、を有している。同様に、他方(図8Bにおける右側)の下端側接合部546は、第2接合部542の下端から横方向の中央側に向かって下り傾斜する傾斜部546aと、傾斜部546aの先端からシート状部材521の下端に向かって延びる垂下部546bと、を有している。
【0054】
したがって、本変形例では、一対の下端側接合部545,546はそれぞれ、第1接合部541及び第2接合部542と連続しており、一方の下端側接合部545と他方の下端側接合部546との間に未接合部523(連通孔)が設けられている。
【0055】
第2実施形態と同様に、一対の下端側接合部545,546がそれぞれ、未接合部523に向かって下り傾斜する傾斜領域としての傾斜部545a,546aを有しているため、ポケット52Cの内部に侵入した水等は、図8Bにおいて太矢印で示すように、傾斜部545a,546aのそれぞれを伝って横方向の中央に配置された未接合部523に向かって導かれやすくなり、より迅速に外部へ排出される。
【0056】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るシートカバーの構成について、図9Aを参照して説明する。
【0057】
図9Aは、第3実施形態におけるポケット52Dの構成を示す平面図である。
【0058】
本実施形態におけるポケット52Dは、図9Aにおいて二点鎖線で示すように、下端側接合部547が、シート状部材521の下端から上方に向かって湾曲している。
【0059】
第1及び第2実施形態と同様に、下端側接合部547は、第1接合部541及び第2接合部542のそれぞれと連続しておらず、第1接合部541と下端側接合部547との間、及び第2接合部542と下端側接合部547との間にはそれぞれ、未接合部523(連通孔)が設けられている。
【0060】
このように、下端側接合部547が、未接合部523の側から上方に向かって湾曲する湾曲領域として形成されているため、ポケット52Dの内部に侵入した水等は、図9Aにおいて太矢印で示すように、湾曲領域を伝って未接合部523に向かって導かれやすくなり、より迅速に外部へ排出される。
【0061】
(第3実施形態の変形例)
次に、第3実施形態の変形例に係るシートカバーの構成について、図9Bを参照して説明する。
【0062】
図9Bは、第3実施形態の変形例におけるポケット52Eの構成を示す平面図である。
【0063】
本変形例におけるポケット52Eには、複数(3つ)の下端側接合部548a,548b,548cが形成されている。下端側接合部548a,548b,548cはそれぞれ、第3実施形態における下端側接合部547と同様に、シート状部材521の下端から上方に向かって湾曲している。
【0064】
下端側接合部548a,548b,548cは、横方向に沿って互いに間を空けて配置されている。図9Bにおいて、横方向の左側から左下端側接合部548a、中央下端側接合部548b、右下端側接合部548cとする。
【0065】
本変形例では、第1接合部541と左下端側接合部548aとの間、左下端側接合部548aと中央下端側接合部548bとの間、中央下端側接合部548bと右下端側接合部548cとの間、及び右下端側接合部548cと第2接合部542との間にそれぞれ、未接合部523(連通孔)が設けられている。したがって、ポケット52Eには、4つの未接合部523が設けられている。
【0066】
第3実施形態と同様に、下端側接合部548a,548b,548cがそれぞれ、未接合部523の側から上方に向かって湾曲する湾曲領域として形成されているため、ポケット52Eの内部に侵入した水等は、図9Bにおいて太矢印で示すように、湾曲領域を伝って各未接合部523に向かって導かれやすくなり、より迅速に外部へ排出される。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態では、カバー部材51の前面部511、後面部512、及び側面部513における接合や、カバー部材51の後面部512とポケット52,52A,52B,52C,52D,52Eとの接合は、縫合によってなされていたが、必ずしも縫合である必要はなく、例えば接着等でもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、シートカバー5は、カバー部材51がバックレスト311bのみを覆うものであったが、これに限らず、例えばシートクッション311aを覆う部分を含めたものであってもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、運転席311は、シートクッション311a及びバックレスト311bを備えた構成であったが、これに限らず、例えばシートクッション311a及びバックレスト311bに加えてヘッドレストを有する構成であってもよい。また、この場合、シートカバー5は、シートクッション311a及びバックレスト311bのみならず、ヘッドレストを覆う部分を含めたものであってもよい。
【0071】
また、ポケット52,52A,52B,52C,52D,52Eの底部に設けられた未接合部523(連通孔)の数には、特に制限はない。
【0072】
また、第1実施形態の変形例として説明した筒状部材523aは、第2及び第3実施形態にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
5:シートカバー、51:カバー部材、52:ポケット、311:運転席、311b:バックレスト、520:開口部、521:シート状部材、521a,521b:被係止領域、522:フラップ(蓋部材)、522a,522b:係止部、523:未接合部(連通孔)、523a:筒状部材、541:第1接合部(接合部)、542:第2接合部(接合部)、543〜546:下端側接合部(接合部)、544a,544b,545a,546a:傾斜部(傾斜領域)、547,548a,548b,548c:下端側接合部(接合部,湾曲領域)、X:重なり領域
【要約】
【課題】シートカバーに設けられたポケットの内部に侵入した水等を、外部へ迅速に排出させる。
【解決手段】ミニショベル1の運転室31に設けられた運転席311のバックレスト311bを覆うカバー部材51と、カバー部材51の後面側である後面部512に設けられ、上方に開口部520が形成されたポケット52と、を備えたシートカバー5において、ポケット52の底部には、ポケット52の内部と外部とを連通する連通孔523が設けられている。
【選択図】図5
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B