(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段と前記軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段の同時操作によって、前記ワイヤ一端側送り出し部分と前記ワイヤ他端側送り出し部分が同時に送り出されることで、前記ワイヤ雪下ろし部分のうち、前記棟一端側ワイヤ走行方向変換手段の近傍部分と前記棟他端側ワイヤ走行方向変換手段の近傍部分との間の当該ワイヤ雪下ろし部分が、前記軒先に向かって平行に移動することで、前記屋根の上に積もった雪を一度に軒先に雪下ろしすることを特徴とする請求項1に記載の屋根の雪下ろし装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている内容はエアーマットを振動させることで雪下ろしをするため、屋根全体にエアーマットを敷設する必要があり、一年中設置し続けると夏場の太陽光等により破損して空気漏れなどが生じて肝心の冬場に動作しなくなるか、このような事態を防ぐために定期的なメンテナンスを必要として余分なコストがかかる可能性がある。
【0010】
また、冬場のみの使用とすると、毎年冬になるごとに屋根の上での敷設作業を行わなければならず極めて面倒であり、かつ危険を伴う上、コストも掛ってしまう。
【0011】
また、特許文献2に記載されている内容は、ポンプで気密袋を膨張させることにより、急峻な傾斜角を作ることで屋根の雪下ろしを行うが、特許文献1と同様の問題を抱えている。
【0012】
また、特許文献3に記載されている内容は、水を温水にして屋根等に設置した散水部材から温水を撒くことで雪を溶かす装置であるが、水を温水化するためにはヒーターを加熱するためのかなりの電力を必要とし、それに応じて使用するための設置コストが嵩むだけでなく、毎年冬の期間にこの装置を使用するための電気代も高くなってしまう。
【0013】
また、特許文献4に記載されている内容は、ヒーターパネルを屋根上に設置することで雪を溶かす方法であるが、この装置で完全に屋根の雪下ろしを行うためには屋根に多数のヒーターパネルを設置する必要があり、設置のコストが非常に嵩んでしまう。
【0014】
また、この装置は屋根から容易に取り外すことができず屋根に常時設置するようになるので、夏場の太陽光による屋根の温度上昇に起因してヒーターの断線などの故障を招き、冬場の使い始める際に定期的な点検やメンテナンスを必要とするようになる。
【0015】
本発明の目的は、コストが安く簡単に設置でき、かつ設置後に季節によって取外す必要がなく、更には雪下ろしに際して少ない電力で効果的に屋根の雪下ろしを行うことができる屋根の雪下ろし装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に係る屋根の雪下ろし装置は、
棟と軒先を有する略四角形の屋根の一面に積もった雪を下ろす屋根の雪下ろし装置であって、
前記屋根の雪下ろし装置を前記屋根の一面に設置した状態で見て、
前記軒先の一端の近傍に備わった軒先一端側ワイヤ走行方向変換手段と、
前記軒先の他端の近傍に備わった軒先他端側ワイヤ走行方向変換手段と、
前記軒先の一端に近い側の棟の一端の近傍に備わった棟一端側ワイヤ走行方向変換手段と、
前記軒先の他端に近い側の棟の他端の近傍に備わった棟他端側ワイヤ走行方向変換手段と、
前記軒先一端側ワイヤ走行方向変換手段の下方に設けた軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段と、
前記軒先他端側ワイヤ走行方向変換手段の下方に設けた軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段と、
前記屋根の雪おろしを行う雪下ろし用ワイヤを有し、
前記雪下ろし用ワイヤは、ワイヤ一端側送り出し部分と、ワイヤ他端側送り出し部分と、ワイヤ雪下ろし部分からなり、
前記屋根からの雪下ろし前の状態において、
前記ワイヤ雪下ろし部分は、前記軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段から前記軒先一端側ワイヤ走行方向変換手段に係合しながら、前記棟一端側ワイヤ走行方向変換手段の近傍及び前記棟他端側ワイヤ走行方向変換手段の近傍を経由し、前記軒先他端側ワイヤ走行方向変換手段に係合しながら、前記軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段まで達しており、
前記ワイヤ一端側送り出し部分は、前記軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段から前記軒先一端側ワイヤ走行方向変換手段に係合しながら、前記棟一端側ワイヤ走行方向変換手段に更に係合し、かつその上側端部が前記ワイヤ雪下ろし部分の前記棟一端側ワイヤ走行方向変換手段の近傍部分に位置する前記ワイヤ雪下ろし部分に連結固定され、その下側端部は、前記ワイヤ雪下ろし部分の前記軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段側の端部と、当該軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段にそれぞれ所定の回数だけ巻回された状態で互いに連結され、
前記ワイヤ他端側送り出し部分は、前記軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段から前記軒先他端側ワイヤ走行方向変換手段に係合しながら、前記棟他端側ワイヤ走行方向変換手段に更に係合し、かつその上側端部が前記ワイヤ雪下ろし部分の前記棟他端側ワイヤ走行方向変換手段の近傍部分に位置する前記ワイヤ雪下ろし部分に連結固定され、その下側端部は、前記ワイヤ雪下ろし部分の前記軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段側の端部と、当該軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段にそれぞれ所定の回数だけ巻回された状態で互いに連結され、
前記軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段の操作に応じて、当該軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段から前記ワイヤ一端側送り出し部分が送り出されると共に、前記ワイヤ雪下ろし部分が当該軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段に巻き取られることで生じる前記棟一端側ワイヤ走行方向変換手段から離間する当該ワイヤ雪下ろし部分の移動動作によって、前記屋根の上に積もった雪の少なくとも一部を軒先から雪下ろしすることができるようになっていると共に、
前記軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段の操作に応じて当該軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段から前記ワイヤ他端側送り出し部分が送り出されると共に、前記ワイヤ雪下ろし部分が当該軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段に巻き取られることで生じる前記棟他端側ワイヤ走行方向変換手段から離間する当該ワイヤ雪下ろし部分の移動動作によって、前記屋根の上に積もった雪の少なくとも一部を軒先から雪下ろしすることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る屋根の雪下ろし装置は、請求項1に記載の屋根の雪下ろし装置において、
前記軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段と前記軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段の同時操作によって、前記ワイヤ一端側送り出し部分と前記ワイヤ他端側送り出し部分が同時に送り出されることで、前記ワイヤ雪下ろし部分のうち、前記棟一端側ワイヤ走行方向変換手段の近傍部分と前記棟他端側ワイヤ走行方向変換手段の近傍部分との間の当該ワイヤ雪下ろし部分が、前記軒先に向かって平行に移動することで、前記屋根の上に積もった雪を一度に軒先に雪下ろしすることを特徴としている。
【0018】
なお、好ましくは、前記軒先一端側ワイヤ走行方向変換手段、前記軒先他端側ワイヤ走行方向変換手段、前記棟一端側ワイヤ走行方向変換手段、前記棟他端側ワイヤ走行方向変換手段は、砲金、ベアリング、プーリーの何れかからなるのが良い。
【0019】
また、好ましくは、前記軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段と前記軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段は、ドラム形状を有しているのが良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る屋根の雪下ろし装置によると、コストが安く簡単に設置でき、かつ設置後に季節によって取外す必要がなく、更には雪下ろしに際して少ない電力で効果的に屋根の雪下ろしを行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る屋根の雪下ろし装置(以下、適宜単に「屋根の雪下ろし装置」とする)について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る屋根の雪下ろし装置の一実施形態を概略的に示す斜視図である。また、
図10は、本発明に係る屋根の雪下ろし装置を取り付ける前の家を概略的に示す斜視図である。
【0023】
本実施形態に係る屋根の雪下ろし装置1は、
図1及び
図10に示すように、棟20と軒先10を有する略四角形の屋根の一面に積もった雪を下ろす屋根の雪下ろし装置であって、軒先一端側ワイヤ走行方向変換プーリー(軒先一端側ワイヤ走行方向変換手段)110と、軒先他端側ワイヤ走行方向変換プーリー(軒先他端側ワイヤ走行方向変換手段)120と、棟一端側ワイヤプーリー(棟一端側ワイヤ走行方向変換手段)210と、棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー(棟他端側ワイヤ走行方向変換手段)220と、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム(軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段)310と、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム(軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段)320と、屋根の雪おろしを行う雪下ろし用ワイヤ400を有している。
【0024】
そして、上述した各構成要素は、屋根の雪下ろし装置を屋根の一面に設置した状態で見て、
図1に示すような位置、即ち下記の位置にそれぞれ配置されるようになっている。
【0025】
軒先一端側ワイヤ走行方向変換プーリー110(111,112)は、取付ブラケット115を介して軒先10の一端11の近傍に回転自在に取り付けられている。より詳細には、取付ブラケット115には、プーリー支持用シャフトが備わり、このプーリー支持用シャフトに2つの互いに独立して回転可能な第1の軒先一端側プーリー111と第2の軒先一端側プーリー112が備わっている。そして、第1の軒先一端側プーリー111には、後述するワイヤ雪下ろし部分450が係合してこのワイヤの走行方向を屋根の上面に沿った方向から鉛直方向に変更するようになっている。また、第2の軒先一端側プーリー112には、後述するワイヤ一端側送り出し部分410が係合しこのワイヤの走行方向を鉛直方向から屋根の上面に沿った方向に変更するようになっている。
【0026】
また、軒先他端側ワイヤ走行方向変換プーリー120は、取付ブラケット125を介して軒先10の他端12の近傍に回転自在に取り付けられている。より詳細には、取付ブラケット125には、プーリー支持用シャフトが備わり、このプーリー支持用シャフトに2つの互いに独立して回転可能な第1の軒先他端側プーリー121と第2の軒先他端側プーリー122が備わっている。そして、第1の軒先他端側プーリー121には、後述するワイヤ雪下ろし部分450が係合してこのワイヤの走行方向を屋根の上面に沿った方向から鉛直方向に変更するようになっている。また、第2の軒先他端側プーリー122には、後述するワイヤ他端側送り出し部分420が係合してこのワイヤの走行方向を鉛直方向から屋根の上面に沿った方向に変更するようになっている。
【0027】
また、棟一端側ワイヤ走行方向変換プーリー210は、取付ブラケット215を介して軒先10の一端11に近い側の棟20の一端21の近傍に回転自在に取り付けられている。より詳細には、取付ブラケット215には、プーリー支持用シャフトが備わり、このプーリー支持用シャフトに1つの回転可能な棟一端側プーリー210が備わっている。そして、棟一端側プーリー210には、後述するワイヤ一端側送り出し部分410が係合してワイヤの走行方向を屋根の上面の側縁に沿った方向から屋根の上面の中央方向に変更するようになっている。
【0028】
また、棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー220は、取付ブラケットを介して軒先10の他端12に近い側の棟20の他端22の近傍に回転自在に取り付けられている。より詳細には、取付ブラケット225には、プーリー支持用シャフトが備わり、このプーリー支持用シャフトに1つの回転可能な棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー220が備わっている。そして、棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー220には、後述するワイヤ他端側送り出し部分420が係合してワイヤの走行方向を屋根の上面の側縁に沿った方向から屋根の上面の中央方向に変更するようになっている。
【0029】
なお、上述した各プーリーの材質は金属でも良く強度や耐久性に優れた樹脂でも良い。これによって、本発明に係る屋根の雪下ろし装置の耐久性を高め、メンテナンスフリーのまま長期間にわたって使用し続けることができる。また、プーリーの代わりに本明細書の末尾に記載した他の部材を用いても良い
更にはワイヤが布製のロープでできている場合、各プーリーは木材でできていても良い。これによって、例えば家屋がログハウスのように全て木材でできている場合であっても、この家屋の美観を損ねることなく本発明に係る屋根の雪下ろし装置を家屋の屋根に取り付けることができる。
【0030】
軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310は、軒先一端側ワイヤ走行方向変換プーリー110の下方に備わっている。そして、雪下ろしワイヤ400のワイヤ雪下ろし部分450とワイヤ一端側送り出し部分410とがそれぞれドラムに所定回数だけ巻回された状態で、互いの端部451,411が連結されている。
【0031】
なお、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310は、ブラケット315で軒先一端側の下方の家の外部に取り付けられると共に、このドラムを回転させるハンドル318が備わっている。また、ハンドル318の取っ手は軒先10から雪が滑り落ちてくる部分と離れた側までドラム端面から延在して設けられており、雪下ろしをする人が軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310を回転操作している最中に雪が頭上に落ちることがないような安全上の配慮がなされている。
【0032】
また、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320は、軒先他端側ワイヤ走行方向変換プーリーの下方に備わっている。そして、雪下ろしワイヤ400のワイヤ雪下ろし部分450とワイヤ他端側送り出し部分420とがそれぞれドラムに所定回数だけ巻回された状態で、互いの端部452,421が連結されている。なお、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320は、ブラケット325で軒先他端側12の下方の家の外部に取り付けられると共に、このドラムを回転させるハンドル328が備わっている。また、ハンドル328の取っ手は軒先10から雪が滑り落ちてくる部分と離れた側のドラム端面から延在して設けられており、雪下ろしをする人が軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320を回転操作している最中に雪が頭上に落ちることがないような安全上の配慮がなされている。
【0033】
なお、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310と軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320は、本実施形態に係る屋根の雪下ろし装置1を使用しない状態では不用意に回転するのを防止するための図示しないストッパーがそれぞれ設けられている。そして屋根の雪下ろし装置1を使用する際には、各ストッパーを解除して雪下ろしワイヤ400を介して互いが連動して回転するようになっている。また、以下に説明する様々な態様の雪下ろしの仕方において、例えば一人で屋根の雪下ろしを行う場合、より効率的に雪下ろしができそうな場合は、雪下ろしの全工程のうち所定の工程におけるドラム回転時に、2つのワイヤ巻き取り送り出しドラム310,320のうち一方のドラムを回転させる間、他方のドラムをストッパーによって回転しないようにしても良い。
【0034】
即ち、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310をこのハンドル318で回転させることによって、この回転力が雪下ろしワイヤ400を介して軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320にも伝わったときにのみ、この軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320も人の手を借りずに同期して回転するようになっている。
【0035】
また、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320をこのハンドル328で回転させることによって、この回転力が雪下ろしワイヤ400を介して軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310にも伝わったときにのみ、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310も人の手を借りずに同期して回転するようになっている。
【0036】
屋根の雪おろしを行う雪下ろし用ワイヤ400は、ワイヤ一端側送り出し部分410と、ワイヤ他端側送り出し部分420と、ワイヤ雪下ろし部分450からなる。雪下ろし用ワイヤ400は金属製のワイヤ又は強度と耐久性に優れた樹脂製のワイヤ、若しくは紐を撚ってできた丈夫なロープを用いている。
【0037】
ワイヤ雪下ろし部分450の一方の端部451は、上述したようにワイヤ一端側送り出し部分410の軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム側の下側端部411と軒先一端側ワイヤ巻取り送り出しドラム310にそれぞれ所定回数だけ巻回された状態で連結されている。そして、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310の回転に応じて、このドラムに巻回されるワイヤ雪下ろし部分450の長さとワイヤ一端側送り出し部分410の長さが変わるようになっている。
【0038】
また、ワイヤ雪下ろし部分450の他方の端部452は、上述したようにワイヤ他端側送り出し部分420の軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム側の下側端部421と軒先他端側ワイヤ巻取り送り出しドラム320にそれぞれ所定回数だけ巻回された状態で連結されている。
【0039】
そして、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320の回転に応じて、このドラムに巻回されるワイヤ雪下ろし部分450の長さとワイヤ他端側送り出し部分420の長さが変わるようになっている。
【0040】
続いて、屋根の雪下ろし装置1における雪下ろしワイヤ400のワイヤ雪下ろし部分450と、ワイヤ一端側送り出し部分410と、ワイヤ他端側送り出し部分420の取付状態について説明する。
【0041】
ワイヤ雪下ろし部分450は、
図1に示すように、屋根からの雪下ろし前の状態において、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310から軒先一端側ワイヤ走行方向変換プーリー111に係合しながら、棟一端側ワイヤ走行方向変換プーリー210の近傍及び棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー220の近傍を経由し、第1の軒先他端側プーリー121に係合しながら、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320まで達している。
【0042】
ワイヤ一端側送り出し部分410は、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310から第2の軒先一端側プーリー112に係合しながら、棟一端側ワイヤ走行方向変換プーリー210に更に係合し、かつその上側端部412が棟一端側ワイヤ走行方向変換プーリー210の近傍部分に位置するワイヤ雪下ろし部分450の一端側連結部455に連結固定されている。また、ワイヤ一端側送り出し部分410の下側端部411は、上述したようにワイヤ雪下ろし部分450の軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム側の一方の端部451と、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310にそれぞれ所定の回数だけ巻回された状態で互いに連結されている。
【0043】
ワイヤ他端側送り出し部分420は、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320から第2の軒先他端側プーリー122に係合しながら、棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー220に更に係合し、かつその上側端部422が棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー220の近傍部分に位置するワイヤ雪下ろし部分450の他端側連結部456に連結固定されている。また、ワイヤ他端側送り出し部分420の下側端部421は、上述したようにワイヤ雪下ろし部分450の軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム側の他方の端部452と、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320にそれぞれ所定の回数だけ巻回された状態で互いに連結されている。
【0044】
続いて、本実施形態に係る屋根の雪下ろし装置を用いた屋根の雪下ろしの具体的なやり方について説明する。まず、屋根の雪下ろしをする人が1人の場合について説明する。
図2は、
図1に示した屋根の雪下ろし装置を用いて雪下ろしを行う際の動作を示す説明図である。また、
図3は、
図2に示した動作に続く雪下ろし動作を示す説明図である。また、
図4は、
図3に示した動作に続く雪下ろし動作を示す説明図である。
【0045】
最初に、屋根の雪下ろしをする人が、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310のハンドル318を操作することで、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310からワイヤ一端側送り出し部分410を送り出すと共に、ワイヤ雪下ろし部分450を軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310に巻き取る。
【0046】
これによって、
図1の状態から
図2の状態に向けたワイヤ雪下ろし部分450が棟一端側ワイヤ走行方向変換プーリー210から離間するワイヤ雪下ろし部分450の第1の移動動作が生じる。このワイヤ雪下ろし部分450の第1の移動動作により、屋根の上に積もった雪の少なくとも一部を軒先10から雪下ろしすることができる(
図1及び
図2に示す屋根の上に積もったドット状の雪及び軒下に落ちたドット状の雪参照)。
【0047】
この際、屋根の上に積もった雪の落ちる方向は、人がハンドル318を回す方向と反対側の軒先10の他端12の方向に向かって落ちていくので、軒先10から落下してくる雪によって人が思わぬ怪我をするはない。
【0048】
また、屋根に積もった雪の棟20の一端21から雪下ろしワイヤ400が軒先10の他方の端部12の方向に斜めに向かって一端側連結部455を介して局所的な押し出し力を及ぼすので、屋根に積もった雪を斜め方向にずらすことで、軒先全体が固まって氷柱状になっていても、この雪の軒先近傍における屋根の固着力に対抗して、効率的に雪下ろしをすることができる。
【0049】
続いて、屋根の雪下ろしをする人がハンドル318を更に同方向に回転することによって、その回転力が軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320にも伝達してこれをも回転せしめ、これに伴って
図3に示すようにワイヤ雪下ろし部分450の一端側連結部455が第1の軒先一端側プーリー111に近づくと共に、他端側連結部456が引っ張られて屋根の上面の中央部分に向かって移動する。
【0050】
この際、棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー220と第1の軒先他端側プーリー121との間のワイヤ雪下ろし部分450が、第2の軒先他端側プーリー122を中心として第1の軒先一端側プーリー111の方向に向かって屋根の上面を移動していく。このワイヤ雪下ろし部分450の移動動作によっても、屋根の上に積もった雪の一部を軒先10の一端11側からある程度雪下ろしすることができる(
図3に示す屋根の上に積もったドット状の雪及び軒下に落ちたドット状の雪参照)。この際、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310を回す人は、この時屋根の軒先10から落ちてくる雪に気を付けながら雪下ろし動作を行う。
【0051】
次いで、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320の操作によって、屋根の上に積もった残りの雪を全て軒先10から雪下ろしする。この雪下ろしにおいては、屋根の雪下ろしをする人が軒先から落ちてくる雪に気を付けながら、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320の取り付け位置まで移動し、この軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320のハンドル328を操作する。なお、この軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320を操作するにあたって、後述するこのハンドル操作によるワイヤ雪下ろし動作を効率的に行うために、先ほど操作していた軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310にストッパーをかけてこれが回転しないようにしても良い。
【0052】
このハンドル328を回転させることで、
図3に示す状態から
図4に示す状態に至るように、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320からワイヤ他端側送り出し部分420を送り出すと共に、ワイヤ雪下ろし部分450を軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320に巻き取る。これによって、ワイヤ雪おろし部分450の他端側連結部456は、第1の軒先一端側プーリー111の近傍に位置するワイヤ雪下ろし部分450の一端側連結部455を回転中心として、軒先10の他端12に向かって移動する。
【0053】
その結果、ワイヤ雪下ろし部分450の一端側連結部455と他端側連結部456との間で構成される上側ワイヤ雪下ろし部分458が、
図4に示すように屋根の上の残りの全て軒先10から軒下に落とす(
図4に示す軒下に落ちたドット状の雪参照)。これによって、1人でもわざわざ屋根に登ることなく屋根の雪下ろし作業を安全に行うことができる。
【0054】
続いて、上述した雪下ろし作業の若干の変形例について説明する。なお、上述した屋根の作業において
図2に示す状態に至るまでは同様の手順で行う。そして、以下のような上述の雪下ろし作業とは異なる手順で雪下ろし作業を行う。
図5は、
図2に示した動作に続く別の雪下ろし動作を示す説明図である。また、
図6は、
図5に示した動作に続く雪下ろし動作を示す説明図である。
【0055】
具体的には屋根の雪下ろしをする人が、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310のハンドル318を先ほどと反対回りに操作することで、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310にワイヤ一端側送り出し部分410を巻き取ると共に、ワイヤ雪下ろし部分450を軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310から送り出す。これによって、雪下ろしワイヤ400を
図1と同様の初期状態に戻す。
【0056】
次いで、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320の操作によって、屋根の上に積もった残りの雪を全て軒先10から雪下ろしする。この雪下ろしにおいては、屋根の雪下ろしをする人が軒先から落ちてくる雪に気を付けながら、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320の取り付け位置まで移動し、この軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320のハンドル328を操作する。
【0057】
この際、
図5に示す状態から軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320からワイヤ他端側送り出し部分420を送り出すと共に、ワイヤ雪下ろし部分450を軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320に巻き取る。これによって、
図5に示す状態から
図6に示す状態に至るまでのワイヤ雪下ろし部分450が棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー220から離間するワイヤ雪下ろし部分450の第2の移動動作が生じる。このワイヤ雪おろし部分450の第2の移動操作により、屋根の上に積もった雪の残りの殆どを軒先から雪下ろしすることができる。
【0058】
この場合においても、屋根の上に積もった雪の落ちる方向は、人がハンドル328を回す方向と反対側の軒先10の一端11の方向に向かって落ちていくので、軒先10から落下してくる雪によって人が思わぬ怪我をすることはない。
【0059】
また、屋根に積もった雪の棟20の他端22にから雪下ろしワイヤ400が斜めに向かって他端側連結部456を介して局所的な押し出し力を及ぼすので、屋根に積もった雪を斜め方向にずらすことで、軒先全体が固まって氷柱状になっていても、この雪の軒先近傍における屋根の固着力に対抗して、効率的に雪下ろしをすることができる。
【0060】
また、上述の屋根の雪下ろし作業において、雪下ろしワイヤ400が屋根の上の面を移動しない範囲、即ち屋根の軒先10の中央部分近傍の屋根の上面の一部に雪が残っていたとしても(
図6における屋根の上のドット状の雪参照)、この部分に残った雪は雪下ろしワイヤ420って屋根の上部からこの部分に押されてずれてきた雪の塊のため、例えば長い雪かき棒やそれ以外の長尺物を使って軒下から容易に取り除くことができる。または、雪下ろしをする人が後述する要領で軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310及び軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320を交互に回転させながら雪下ろしワイヤ400の上側ワイヤ雪下ろし部分458を屋根の軒先10に向かってほぼ平行に移動させてきてこの残りの雪を軒先10から軒下に落としても良い。
【0061】
なお、上述の説明では、屋根の雪下ろしをする人が、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310を回転させた後、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320を回転させたが、この動作の逆、即ち最初に軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320を回転させた後、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310を回転させても、雪下ろしワイヤ400の動きが屋根の軒先10や棟20から見て左右対称になるだけで、本発明における同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0062】
続いて、屋根の雪下ろしをする人が2人いる場合について、雪下ろし作業を効率的に行う方法について説明する。
図7は、
図1に示した屋根の雪下ろし装置を用いて雪下ろしを行う際の
図2乃至
図6とは異なる雪下ろし動作を示す説明図である。また、
図8は、
図7に示した動作に続く雪下ろし動作を示す説明図である。また、
図9は、
図8に示した動作に続く雪下ろし動作を示す説明図である。
【0063】
最初に、一方の人が軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310のハンドル318を握り、他方の人が軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320のハンドル328を握る。そして、2人がそれぞれ軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム310と軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム320のハンドル318,328を同時に回転操作することで、ワイヤ一端側送り出し部分410とワイヤ他端側送り出し部分420が同時に送り出されるようになる。
【0064】
これによって、ワイヤ雪下ろし部分450のうち、棟一端側ワイヤ走行方向変換プーリー210の近傍部分と棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー220の近傍部分との間の上側ワイヤ雪下ろし部分458が、軒先10に向かって平行に移動する。この上側ワイヤ雪下ろし部分458の軒先10に向かって平行移動する。
【0065】
そして、
図7に示す状態から
図8に示す状態を経て
図9に示す状態に至ることで、屋根の上に積もった雪を一度に軒先に雪下ろしする。なお、この場合は、2人がかりでドラム310とドラム320を同時に回転させるので、その分、屋根の上に積もった雪を棟20の一端21から他端22に至るまで雪下ろしワイヤ400によって軒先の10の一端11から他端12に向けて一気にずらして雪下ろしするので、短時間で雪下ろし作業を完了することができる(
図7及び
図8の屋根の上に積もったドットで示す雪並びに
図9における軒先10から下に落ちたドットで示す雪参照)。
【0066】
続いて、本発明に係る屋根の雪下ろし装置の作用について説明する。上述した説明から分かるように、本発明に係る屋根の雪下ろし装置によると、コストが安く簡単に設置でき、かつ設置後に季節によって取外す必要がなく、更には雪下ろしに際して少ない電力で効果的に屋根の雪下ろしを行うことができる。
【0067】
より詳細には、本発明によると屋根の雪下ろし装置を用いることで、以下のような優れた作用を発揮することができる。具体的には、例えば降雪が止んで天気が良く気温が比較的上昇した日で、屋根全体に積もった雪が凍って固まっているような場合、通常、屋根とその上に積もった雪の塊との間の境界となる部分の温度は、屋内の暖房等により雪の塊の上層部分よりも高くなっている。そのため、この屋根の上面と接する雪の塊の下層部分における境界領域雪が溶けて水の層をなすようになる。そして、屋根に雪が積もって後に屋内の暖房等をしばらく続けることで、この水の層が屋根の棟から軒先にかけて全体的に広がっていく。水の層となっている部分の上側に積もっている雪は、積雪時には粉雪であったが、その後は水分を含んで一体化した氷に近い重い塊となっている。
【0068】
上述した水の層がある一定範囲まで広がった状態で、本発明に係る屋根の雪下ろし装置の雪下ろしワイヤが屋根の上に積もった雪の塊の棟に近い部分を軒先に向かって屋根の上面に沿うようにしながら移動させることによって、この屋根に積もって固まった雪は、それ自身の重さによって全層雪崩のような現象となって屋根の軒先に向かってまとめて落下させることができる。
【0069】
これによって、屋根に積もって固まって一体化した雪を居住者がわざわざ屋根に登ってスコップで少しずつ砕いて軒下に落とすような、極めて体力的にきつく雪下ろし作業を終えるまで長時間を有し、かつ雪下ろし中に誤って屋根から落下して大怪我を負ったり死亡したりしてしまうという近年問題となっている雪下ろし中の痛ましい事故を本発明によると屋根の雪下ろし装置を用いることで完全に防ぐことができる。
【0070】
また、発明が解決しようとする課題の欄で紹介した特許文献1乃至特許文献4に記載されている屋根の雪下ろし装置のような定期的なメンテナンスをさほど必要とせず、これに伴う余分なコストを抑えることができる。また、本発明に係る屋根の雪下ろし装置は常時設置型であるので、例えば特許文献1や特許文献2に開示された屋根の雪下ろし装置において考えられる夏場の影響を防ぐべく冬場のみの使用として毎年冬になるごとに屋根の上での極めて面倒かつ危険を伴うコスト高な敷設作業を行わなくても済む。
【0071】
また、発明が解決しようとする課題の欄で紹介した特許文献3や特許文献4に記載された屋根の雪下ろし装置のような作動のための電力を全く必要とせず、これに伴って毎年冬の期間に発生する高額な電気代が生じることはない。
【0072】
なお、上述した各実施形態は本発明を実施するためのあくまで一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲内であれば様々な変形例が考えられる。
【0073】
即ち、本発明における屋根の雪下ろし装置において、軒先一端側ワイヤ走行方向変換手段、軒先他端側ワイヤ走行方向変換手段、棟一端側ワイヤ走行方向変換手段、棟他端側ワイヤ走行方向変換手段は、プーリーの代わりにベアリングを備えて抵抗を有さずに回転する専用の滑車や、それ自身が回転しなくても砲金でできたシャフトにワイヤ方向変換用の溝部を形成してその溝部にワイヤを引っ掛けるようにしても良い。
【課題】コストが安く簡単に設置でき、かつ設置後に季節によって取外す必要がなく、更には雪下ろしに際して少ない電力で効果的に屋根の雪下ろしを行うことができる屋根の雪下ろし装置を提供する。
【解決手段】軒先一端側ワイヤ走行方向変換プーリー(軒先一端側ワイヤ走行方向変換手段)110と、軒先他端側ワイヤ走行方向変換プーリー(軒先他端側ワイヤ走行方向変換手段)120と、棟一端側ワイヤプーリー(棟一端側ワイヤ走行方向変換手段)210と、棟他端側ワイヤ走行方向変換プーリー(棟他端側ワイヤ走行方向変換手段)220と、軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム(軒先一端側ワイヤ巻き取り送り出し手段)310と、軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出しドラム(軒先他端側ワイヤ巻き取り送り出し手段)320と、屋根の雪おろしを行う雪下ろし用ワイヤ400を有している。