特許第6202717号(P6202717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6202717水性媒体の床底に沈殿する放射能の計測方法及び計測装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202717
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】水性媒体の床底に沈殿する放射能の計測方法及び計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20170914BHJP
   G01T 1/169 20060101ALI20170914BHJP
   G01V 5/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G01T7/00 A
   G01T1/169 A
   G01V5/02
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-57741(P2013-57741)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-163927(P2014-163927A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年3月1日
(31)【優先権主張番号】1351642
(32)【優先日】2013年2月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508313895
【氏名又は名称】アレヴァ・エヌセー
【氏名又は名称原語表記】AREVA NC
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】メサリエール マルク
【審査官】 南川 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−285888(JP,A)
【文献】 特開平07−128451(JP,A)
【文献】 特開平08−271636(JP,A)
【文献】 特開平10−332873(JP,A)
【文献】 特開2003−329776(JP,A)
【文献】 特開2008−058113(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0269042(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0077799(US,A1)
【文献】 特開昭49−005802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00−7/12
G21C 17/06、19/40
G01V 5/00−5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体の水底における放射能の計測装置(1)であって、
放射能検出器(2)用の密閉されたケース(20)と、前記放射能検出器(2)により計測される放射能を通過可能とする材料を含み、短い上底部(44)と長い下底部(42)とから成る、円錐台を形成する手段(4)と、を含み、前記長い下底部(42)が、計測される放射能の入力面を形成し、この円錐台が前記ケースに密閉状態で組み付けられ、前記短い上底部(44)が、前記検出器の入力面の側に配置され、前記長い下底部(42)が、水性媒体の水底に対向して配置されるように設けられる装置。
【請求項2】
前記材料が、ガスまたは該ガスを閉じ込めた低密度の固体材料である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固体材料が、0.1g.cm-3以下の密度である、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記円錐台の前記長い下底部(42)が、平板(42a)により閉じられ、この平板が、前記長い下底部に略垂直に配置される管状部(46)により区切られる中央部と、前記管状部(46)と前記平板(42a)とを連結して半径方向に延びるリブ(420〜427)とを含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記円錐台(4)の角度が、15°から75°の間である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ケース(20)が、前記円錐台(4)の回転軸(CC')に略垂直である軸(DD')に沿って延びる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
水性媒体の水底での放射能の計測システムであって、
−前記水性媒体に浸されるフレーム(12)と、
−請求項1〜6のいずれか1項に記載の計測装置と、
を含むシステム。
【請求項8】
水性媒体及びこの水性媒体の水底を照明する手段(126、126a)をも含む、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記フレーム(12)が、穴のあいた側壁(121、121a)を含む、
請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記フレーム(12)が、前記フレームに対して前記計測装置を取り外し可能に固定する手段(115、117、119)を含む、
請求項7〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
水性媒体の水底に対する前記フレームの位置を評価する手段(30、32、34)をも含む、
請求項7〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
水性媒体の水底の放射能のマップを生成する手段(36)をも含む、
請求項7〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
水性媒体と、この水性媒体の水底とを撮影する、少なくとも一つのカメラ(126、126a)をも含む、
請求項7〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記フレーム(12)に対して前記計測装置を移動する手段(16、18)をも含む、
請求項7〜13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
遠隔操作艇(13)をも含む、
請求項7〜14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記フレームが、水性媒体の水底に前記システムを配置する手段(109a〜109d、129a〜129d)をも含む、
請求項7〜15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
水性媒体(101)の水底(103)における放射能の計測方法であって、
−請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置、または請求項7〜16のいずれか1項に記載のシステムの水性媒体への挿入と、
−前記円錐台の前記長い下底部(42)が水性媒体の水底に近づけられる、前記計測装置を用いた、放射能の計測と、
を含む方法。
【請求項18】
水性媒体の水底の放射能のマップの生成も含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水性媒体(101)が、湖、海、または川、または河口、あるいは原子力施設の貯蔵プール、または堆積物保存区域である、
請求項17または18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性媒体の底質、例えば湖の水底、海底、または川底、または河口底、あるいは原子力施設の貯蔵プールに沈殿する放射能を計測するために設計された方法及びシステムに関する。
【0002】
例えば、そのような水性媒体の底質に沈殿する放射能の計測、及びこれらの底質のガンマ線スペクトルの測定が必要とされている。
【背景技術】
【0003】
大きな原子力事故の場合、放射性核種が原子炉から漏れ出し、“泥”タイプの天然物質に結合し、長期間相対的に安定な合成物質を形成する。この現象は、事故シナリオによれば、事故後数カ月残留する、一般的に唯一重要な放射性元素であるセシウム134及び137の場合、特に重要である。泥粒子は、嵐の間に自然に水で流され、汚染水を運ぶ流出物が流入する湖、川、及び河口の底質(堆積物)の区域において濃縮される。
【0004】
この汚染は、例えば、一端にガンマ線検出器が取り付けられたロッドを用いるタイプの、通常の方法を用いた、数メートルを超える深度に亘っての計測、及び/または、濁り水での計測が、困難または不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この計測を行う場合、幾つかの技術的な問題が生じる。
【0006】
第一の問題は、5mを超える(及び約1000mまでの)深度での計測である。従って、十分な統計的精度を有する現実的な計数時間(計測点毎に数百秒のオーダー)に適合する閾値及び検出限界を有するように、プローブと検出器との間の水の厚みに因る減衰を制限する試みが成されている。
【0007】
他の問題は、寄生計数を生じる水中での堆積物の懸濁に因る計測エラーを避けるために、堆積物をかき混ぜることなく、水底に対してプローブを配置可能とすることである。
【0008】
また、他の問題は、取り扱われる表面に位置合わせ可能であり、底質の変化が観察可能であるように、計測点の配置の精度と再現性とを、好ましくはメートル単位で保証可能とすることである。
【0009】
従って、新しい装置及び新しい計測方法は、水性媒体の底質に沈殿する放射能の計測または評価が要求される。
【0010】
本発明の他の目的は、ガンマ線を放射する放射線元素を検出することである。
【0011】
そのような装置及びそのような方法は、上述した問題のすべてまたは一部を解決することができることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、海底における放射能の計測装置であって、放射能検出器用の密閉されたケースと、前記放射能検出器により計測される放射能を通過可能とする材料を含み、短い上底部と長い下底部とから成る、円錐台を形成する手段とを含み、前記長い下底部が、計測される放射能の入力面を形成し、この円錐台が前記ケースに密閉状態で組み付けられ、前記短い上底部が、前記検出器の入力面の側に配置され、前記長い下底部が、海底に対向して配置されるように設けられる装置に関する。
【0013】
前記材料は、ガス(例えば空気)または該ガスを閉じ込めた低密度の固体材料であってもよい。例えば、この材料は、ポリウレタンフォームであってもよい。
【0014】
前記円錐台の前記長い下底部は、前記長い下底部に略垂直に配置される管状部により規定される中央開口部と、前記管状部と前記長い下底部とを連結して半径方向に延びるリブとを含む、平板により、閉じられてもよい。
【0015】
前記円錐台の角度は、15°から75°の間であり、例えば60°であることが好ましい。
【0016】
前記ケースは、前記円錐台の回転軸に略垂直である軸に沿って延びてもよい。
【0017】
また、本発明は、水性媒体の水底での放射能の計測システムであって、
−前記水性媒体に浸されるフレームと、
−上述したような計測装置と、
を含むシステムに関する。
【0018】
このシステムは、水性媒体及びこの水性媒体の水底を照明する手段が取り付けられることが有利である。
【0019】
前記フレームは、穴のあいた側壁を含むことが好ましい。前記フレームは、水性媒体の水底に前記システムを配置する手段を含んでもよい。
【0020】
前記フレームは、前記フレームに対して前記計測装置を取り外し可能に固定する手段を含んでもよい。
【0021】
海底に対する前記フレームの位置を評価する手段、例えばソナーが備えられてもよい。
【0022】
海底の放射能のマップを生成する手段が備えられてもよい。
【0023】
水性媒体と、この水性媒体の水底とを撮影するために、少なくとも一つのカメラが用いられてもよい。
【0024】
前記フレームは、前記フレームに対して前記計測装置を移動する手段を含んでもよい。
【0025】
このようなシステムは、水性媒体においてフレーム及び検出器を移動可能とする遠隔操作艇が備えられても、または含んでもよい。また、この艇は、照明手段及び/または少なくとも一つのカメラをそれ自体に含んでもよい。
【0026】
また、本発明は、水性媒体の水底における放射能の計測方法であって、
−上述したような装置またはシステムの水性媒体への導入と、
−前記円錐台の前記長い下底部が水性媒体の水底に近づけられる、前記計測装置を用いた、放射能の計測と、を含む方法に関する。
【0027】
また、この方法は、水性媒体の水底の放射能のマップの生成を含んでもよい。
【0028】
このシステムは、前記円錐台の前記長い下底部が、水性媒体の水底から1m以下となるように導入されてもよい。
【0029】
水性媒体の水底は、5mから100mの間、さらには100m以上の深度であってもよい。
【0030】
水性媒体は、湖、または海、または川、または河口、または原子力施設の貯蔵プール、または堆積物保存区域であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】本発明による計測システムの図を示す。
図1B】本発明による計測システムの図を示す。
図2】データ受信システム及び本発明による装置を用いて計測されたデータ処理方法を示す。
図3】本発明による装置で得られるマップの例である。
図4A】水性媒体に差し込まれる、円筒が取り付けられたプローブの図を示す。
図4B】水性媒体に差し込まれる、空気が封入された円錐台が取り付けられたプローブの図を示す。
図5A】本発明のシステム用のフレームの一実施形態を示す。
図5B】本発明のシステム用のフレームの一実施形態を示す。
図6A】本発明による計測装置の斜視図を示す。
図6B】本発明による計測装置の断面図を示す。
図7】本発明による装置で用いられる円錐台の長い下底部を示す。
図8A】遠隔操作される潜水艦に取り付けられた、本発明によるシステムの図を示す。
図8B】遠隔操作される潜水艦に取り付けられた、本発明によるシステムの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1A及び図1Bは、水性媒体101の床底または水底103における放射能の計測システムの図を示す。
【0033】
このシステムは、放射能計測装置1を床底103に近づける、シャーシまたはフレーム12を含む。
【0034】
この計測装置1は、水性媒体101において水の存在に関連する減衰の大部分を除去する、空気等のガスが充填されたボリューム4を備える放射能検出器2を含む。空気以外のガスが使用されてもよい。バリエーションとして、好ましくは見掛け密度が0.1g.cm-3以下の、低密度の固体材料、空気またはガスが閉じ込められたポリウレタンフォーム等が、使用されてもよい。
【0035】
このボリューム4の寸法は、例えば3インチ結晶を備える、与えられた検出器2のタイプに対して、合理的な検出限界を与えるように選択される。このボリュームは、円錐台の形状であることが好ましく、その短い上底部は検出器2に対向し、その長い下底部は、床底103の表面に対向する。
【0036】
検出器2は、例えばNaI、またはGe、またはLaBrタイプの、ガンマ線検出器である。
【0037】
フレーム12には、少なくとも一つの例えば電気または油圧モーター16と、計測装置1を形成するアセンブリを床底103の表面に近づける、計測装置1の下降及び上昇手段18とが備えられてもよい。
【0038】
フレーム12は、既製の遠隔操作の潜水艇13、あるいは、ECA HYTEC社により市販される、通称ROV(遠隔制御艇)に取り付けられてもよい(一実施例を、図8A図8Bに関連して後述する)。
【0039】
ROV及びフレームを含むアセンブリには、例えば検出器がゲルマニウムで作られる場合に、検出器2を冷却するために設けられる、冷却液、例えば液体窒素を循環させるための導管15を通じて計測装置1に接続される、手段14が取り付けられてもよい。バリエーションとして、ゲルマニウム検出器は、電気式低温維持装置が取り付けられてもよい。図1A及び図1Bに示すように、この手段14は、システムの残りを収容するカバー11の上に配置されてもよい。
【0040】
ROV及びフレームを含むアセンブリは、水性媒体において好ましくは見掛け重量がゼロに等しいように、バランスが取られている。
【0041】
複数のモーターが、ROVの中央に配置するようにROVに取り付けられる。これらのモーターは、図8A及び図8Bにおいて、符号137、139で示される。
【0042】
フレームには、パッドが取り付けられてもよく(図5A図5Bにおける符号129a〜129d)、堆積物の密度に応じて、可能であれば、水底への配置を可能にする。手段(図5A図5Bにおける符号109a〜109d)は、これらのパッドの高さを調整するために用いられることが好ましい。
【0043】
計測装置1は、所望の深度の関数としての圧力に抗するように設けられた好ましくは金属製の円錐台を含む。この円錐台の長い(または広い)下底部または平らな下底部(平板)42aは、ガンマ放射線の検出を妨げる金属の厚みを制限するために、その表面に垂直に配置され、半径方向に延びて中央の管状部46と平板42aとを接続する、リブ420〜427により補強されている(図7参照)。
【0044】
リブの厚み、形、位置及び数は、水により円錐台にかかる圧力、すなわち、所望の深度の関数として決定されてもよい。
【0045】
例えば、通常必要な12mmに代わり、6mmの鋼板が、約800mの深度まで有効である。
【0046】
例えば、100mの深度に対しては、圧力の増加は、6mmのオーダーの鋼板の底部の厚みの増加を必要とする。このような厚みは、セシウム137からのガンマ放射線を2倍のオーダーで減衰する(約50%の損失)一方、リブを用いる場合は、検出の5%以下が失われる。
【0047】
フレームには、水性媒体及び床底103を位置合わせし、及び/または検出し、及び/または表示する、ソナー、及び/または照明手段、及び/またはカメラ等の装置が取り付けられてもよい。
【0048】
従って、水底へ向かっての接近は、ソナーの利用により及び/またはカメラにより、可能であれば視界に依存して、支援されてもよい。
【0049】
一般に、
−計測装置1を、例えばアクチュエータを用いて、床底から所望の距離まで移動させる、
−または、フレーム12を運ぶROV13を備えた計測装置1を移動し、フレームを、計測する堆積物から数cmに配置する、
ことができる。
【0050】
以下に述べるアセンブリ(ROV、フレーム及び検出手段)は、深い深度、例えば1mから100mの間、さらには100m以上、に降下可能であり、水底から数センチメートルで安定化可能である。
【0051】
図8A及び図8Bに示す一実施形態では、ROV13には、計測装置1を支持するボルト連結されるフレーム12が取り付けられている。
【0052】
このアセンブリは、水中でのシステムの位置を評価するために、空間における位置特定手段を備えてもよい。
【0053】
従って、アセンブリは、水中での位置特定システム、例えば、広角度USBL(Ultra Short Baseline)型システムを含んでもよく、GPSと共に、計測値の地理的な位置特定が可能である。図2に示すように、このような位置特定システムは、水性媒体中に降下される場合に、フレーム12上に配置される、トランスポンダー30を含んでもよい。このトランスポンダーは、地表、例えば船の中または陸上に配置される、トランシーバー32との送受信を行う。このトランシーバーは、位置データ及び/または検出装置2を用いて計測したデータを、データ受信、処理、及び蓄積手段34に送信する。この手段34は、マイクロコンピュータまたはポータブルコンピュータであることが好ましい。この手段34は、水性媒体中にある検出システム12、2、4の位置を特定するために、GPSまたはコンパスまたは変位センサー等の位置特定手段に接続される。
【0054】
次に、この手段34は、マイクロコンピュータ型またはポータブルコンピュータ型の手段36に接続されまたはそれらと通信可能であってもよく、それらに対して例えば位置データ及び/または計測データを送信することができる。これらの手段34、36は、汚染区域を特定する媒体のデータテーブルまたはマップを作成可能である。
【0055】
続いて、異なる計測点での値が処理される。これらは、例えば、マップ上に展開されてもよい。例えば手段36により、データ、位置(好ましくは例えば1メートルオーダーの精度)、深度および計測した堆積物の放射能を示すファイル、たとえばエクセル(登録商標)ファイルが生成され、記録されてもよい。
【0056】
続いて、このファイルに含まれる値が、例えば“Kartotrack”型のソフトウェアにより処理され、“kriging”原理(実験的バリオグラムの補間及びモデル化を用いた、ランダム変数の数学的期待値の計算による部分的な変数の空間補間の実施)を用いて、水底の放射能マップを生成してもよい。
【0057】
従って、河口、または原子力施設の貯蔵プール、または川、または堆積物残留区域(ダムまたは水門等)の水底の計測及びマップの作成が可能である。
【0058】
そして、汚染区域と非汚染区域とを区別するために、この情報が利用され得る。従って、例えば、放射性の堆積物が除去可能であり、または、地盤が汚染されていないと判明している水性媒体における区域内に、(火に噴霧するために)水が注入され得る。
【0059】
こうして、水性媒体の水底の放射能を評価するために、水性媒体の水底に関する情報を与えるマップが、生成可能である。
【0060】
図3は、得られたマップの例を示す。この図では、放射能は、白い区域ほどより低く、黒い区域ほどより高い。
【0061】
ここで、空気が封入された円錐台を用いた利点を示す簡単な構造における、概略信号算出結果(真の計測値)/雑音(周囲の堆積物により生じる背景雑音)のいくつかの例を挙げる。
【0062】
以下の計算仮定が用いられる。
1.1g.cm-3の密度の砂(SiO2)等の堆積物が、計測源として考慮される。
この計測源は、厚み10cmである。
計測に選択される検出器は、たとえば高さ3”×直径3”(76mm×76mm)の円筒であってもよい。
約0.1c.s-1/γ.s-1の、非常に極端な仮定の、固有効率を考慮する。
考慮する放射線核種は、セシウム137である。計測源の単位体積当たりの放射能は、約10Bq.cm-3である。
【0063】
ここで、水中の検出器と、空気が封入された円筒の底部と床底との間の水の厚み(x)とを考慮する。床底は、厚み10cmを超えて汚染され、無現表面として考慮されてもよい。
【0064】
例1
この例は、図4Aに示される。検出器は、高さ15”(約38.1cm)の空気が封入された円筒により、延長されている。この構造では、目標の地盤面積は、45cm2である。
【0065】
検出器の入力面の中央に位置する点Mでのフルエンスが計算される場合、検出器の下方に観察される45 cm2の計測源は、周囲の堆積物による水で減衰された信号出力より3倍から4倍高い信号を出力することが分かる。従って、信号対雑音比は、相対的に低い。信号値と所与の計測距離に対する検出限界との間の比較は、空気が封入された円筒を用いた計測が、均一な地盤汚染の状況ではあまり有効でないことを示している。
【0066】
例2
例1における円筒の代わりに、検出器の下に空気が封入された円錐台4が挿入されて、上述した計算が繰り返される。この例2は、図4Bに示される。円錐台の角度は、60度である。前述の場合に比べて、円錐台入り口表面、言い換えれば円錐台の底面が、等しい条件下で、“照準(円筒)”の場合の約100倍拡大されている。
【0067】
そして、信号/雑音比は、30から40の間で変化する。従って、コリメーターまたは円錐台4を挿入して得られる計測は、照準円錐台の投影内に位置する地盤部位の放射能の、非常に良好な評価をもたらすものとして考えることができ、汚染された地盤表面の他の部分は、計測に大きな影響を与えない。無限計測源の仮定は、この結論が、実際に直面する構造にかかわらず有効であることを保証する。
【0068】
このような条件下で、底部の面積が上記のように定義される円錐台に付着する、単位体積当たりの放射能で表わされる検出限界は、10 Bq.cm-3で均一に汚染された環境の中で、0.2から0.3Bq.cm-3の間である。
【0069】
フレーム12の一実施形態を、図5A及び図5Bに示す。
【0070】
図5Aでは、フレームには、検出器2と観察円錐台4とを含む検出器のアセンブリが取り付けられている。図5Bは、検出手段のない、フレーム単体を示す。
【0071】
これらの二つの図において、符号120は、上方から観察すると略矩形であり、装置が水平位置の状態で短い辺が長い辺を規定する管部分よりも高い位置にあるように長い辺の端部が湾曲する、管状のフレームを示している。この管状のフレームには、好ましくは穴のあいた側壁121、121aが、二つの長い辺に沿って備えられ、交差部品123、123a及び棒状部品124、124aにより、互いに対して定位置で支持されている。交差部品は、計測装置自体を所定の位置に支持するために用いられることが有利である。図5Aは、検出器2を含むケースが、検出器を保持するための半円開口部115が内側にある一方の交差部品123に載っている状態を示している。検出器は、フランジ119により、この交差部品に接触して定位置で支持されており、このフランジ自体は、半円開口部を規定し、適切なねじ手段117、117´により、交差部品123に接触して、固定位置で所定の位置に支持されている。このケースの一端は、交差部品123aに接触して固定されてもよい。管状のフレーム120の短い辺には、一つまたは複数のカメラ、及び/または、一つまたは複数のスポットライト等の、一つまたは複数の装置126、126aの支持部を形成する、手段125、125aが取り付けられてもよい。フレームを移動するために用いられる遠隔操作艇には、特に、これらの装置126、126aに電力を供給し、検出器2及び他の装置からのデータ出力を地表に配置された手段34(図2)と交換する、アンビリカルケーブルが取り付けられてもよい。フレームアセンブリは、フレームが水平面に配置可能であるように、スタンド129a〜129dにより支持される。好ましくは高さ調整が可能なこれらのスタンドそれぞれは、ショックアブソーバーを形成する手段109a〜109dを介して、管状のフレーム120に結合されてもよく、水平面に接触して保持される場合に、システム全体の減衰安定化を可能とする。
【0072】
ROV等の上部のエレメントが、図8A図8Bを参照して後述するように固定可能であるように、連結板135a〜135dが、側壁の上部に取り付けられてもよい。
【0073】
図6A及び図6Bは、それぞれ、検出器自体を含むケース20を含むアセンブリを示す、斜視図及び断面図である。このケースは、円筒または略円筒の形状である。このケースは、また、検出器の感応エリアが計測される放射能を捕捉可能とする、側方開口部20´をも含む。
【0074】
ケース20には、その一端に、計測される放射能のコリメーターとして使用される円錐台40が備えられている。この円錐台は、長い(または大きい)下底部42と短い(または小さい)上底部44とを有する(図6Bにおいて、短い上底部は、破線で示している)。長い下底部は、一実施形態を以下に詳述する、平板42aにより密閉されている。短い上底部は、ケースの側方開口部20´を通じてケース20の内部と連通するように、開口している。この側方開口部20´の直径は、短い上底部44の直径に略等しい。
【0075】
検出器2は、取り外し可能な一方の端部22を通じて、ケース20の中に挿入されてもよく、続いて端部が閉じられ、手段23、23a、27、27a、例えばドローラッチ型の閉鎖具により、端部がその位置で保持される。符号24は、検出器を、例えば地表または船に配置される、データ受信、記憶、及び処理手段に接続する、電気的な接続手段を示す。
【0076】
ケース20と円錐台40とは、短い上底部44により形成される開口部がケースの側方開口部20´と連通するように、円錐台40とケース20との交差により空間に規定される区域200において、互いに溶接されることが好ましい。アセンブリを補強し、ケース20の他の端部と円錐台40の底部または中間部とを連結するための、連結棒41が設けられてもよい。
【0077】
ケース20及び円錐台40を形成するアセンブリは、密閉され、この密閉は、例えば、二重のOリングにより成される。
【0078】
ケース20及び検出器2の長手方向軸DD’は、円錐台の回転軸CC’に略垂直であることが確認できる。
【0079】
図6Bの下方部分及び図7において、円錐台40の長い下底部42を閉じる平板42aが確認できる。この円錐台は、この平板に溶接され、深度の関数として、圧力が、圧力用に設計されたこの平板に適用される。この平板は円形であり、既に上述したように、圧力に対する平板42aの抵抗力を増し、行われる計測に耐えうる値にその厚みを維持するためのリブが取り付けられている。この円錐台は、ステンレス鋼で作られることが好ましい。また、平板42aには、水センサーを形成する手段48が取り付けられてもよい。長い下底部に略垂直に配置される円筒または管状部46は、所与の点での接合部の数を制限することで、アセンブリを強化する。
【0080】
一実施形態によれば、ケース20の直径は約8.5cmであり、その長さは約50cmであり、長い下底部42の直径は約38cmであり、この長い下底部と軸DD’との間の距離は約34cmである。
【0081】
図8A及び図8Bは、ROV及びフレームを含む一実施形態を示す。ROV13は、前述したフレームの側壁121、121aと略同じ形状の、側壁131、131aを含む。特に、側壁131、131aには、穴が形成されていることが好ましい。
【0082】
この上部は、カバー11でカバーされ、照明手段132、133、電気モーター及び/または油圧モーター16、及び、一つまたは複数のモーター137、139を含んでもよい。
【0083】
ROV13は、既に上述した連結板135a〜135dにより、下方のフレーム12に連結されてもよい。これらの連結板は、まず下方のフレームの側壁に取り付けられ、次にROVの側壁に取り付けられる。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B