(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底盤と蓋材からなる複数の耐圧チャンバーを備え、前記耐圧チャンバーの底盤が長円軌道を周回し、前記長円軌道の一部と構成する円軌道を回転する前記蓋材が前記底盤に被さり、耐圧チャンバー内の空気が吸引されて真空環境を発生させ、耐圧チャンバー内を大気圧に戻して、トレイに収納された被包装物をスキンパックする高速トレースキンパック包装機において、前記底盤が移動する長円軌道の入口側の直線搬送部に、トレイの一部分を未溶着としてエア通路ができるようカバーフィルムを仮シールし、この仮シールしたトレイのカバーフィルムをトリミングする仮シール・トリミング装置を配置し、耐圧チャンバーの蓋材に、真空環境下の耐圧チャンバー内で、未溶着部のエア通路を含めて、前記仮シール・トリミング装置で仮シールされたカバーフィルムをトレイに溶着する熱シール盤を備えた、
ことを特徴とする高速トレースキンパック包装機。
仮シール・トリミング装置は、トレイに対してカバーフィルムの一部分を未溶着部としてエア通路が形成できるように切欠き部が形成された第1熱シール盤と、仮シールしたトレイのカバーフィルムをトリミングするトリミング機構とを備え、前記耐圧チャンバーは、前記仮シール・トリミング装置で仮シールされたカバーフィルムを加熱軟化すると共に、未溶着のエア通路を含めて、トリミングされたカバーフィルムの外周縁部をトレイに溶着する第2熱シール盤を備えた、ことを特徴とする請求項1に記載の高速トレースキンパック包装機。
仮シール・トリミング装置のうち、第1熱シール盤、トリミングを行うトリミング機構、カバーフィルムを巻回したロールフィルムから繰り出されたカバーフィルムにテンションをかけるテンションローラ、の三者を一体でボックスモーション運動を行うことを特徴とする請求項2に記載の高速トレースキンパック包装機。
被包装物が収納され、カバーフィルムが未被覆の複数のトレイの列を整列するトレイ整列装置と、前記トレイ整列装置で整列されたトレイを、長円軌道を周回する耐圧チャンバーの底盤の周回速度に合わせて搬送し、前記トレイを底盤に乗り移らせる同期供給装置と、を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高速トレースキンパック包装機。
【背景技術】
【0002】
スキンパックは、被包装物を収納したトレイの上から、加熱軟化したカバーフィルムを延伸させて、被包装物表面にカバーフィルムを密着させて真空包装する包装方法である(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、前記のスキンパック包装物を製造するための真空包装方法が開示されている。この特許文献1の真空包装方法は、耐圧チャンバー内において、食品を収容したプラスチック製のトレイの周りを負圧にする一方、第1熱盤でもってカバーフィルムを加熱軟化し、そのあと前記耐圧チャンバー内を大気圧に戻し、その大気圧でもって前記軟化したカバーフィルムを、前記トレイおよび食品の上面に押し付けて真空包装体を形成する。
【0004】
特許文献1に開示の真空包装装置は、第1工程域に、上箱と下箱とからなる耐圧チャンバーが備わり、第2工程域には下部のシール台と、上部の第2熱盤とが備わる。また、横向き水平な軸に支持されたロールフィルムは、リールの巻き取り力により帯状のカバーフィルムとして引き出され、被包装物を収容したプラスチック製のトレイを、供給装置でもって前記の耐圧チャンバーに搬入するよう構成されている。
【0005】
第1工程域の耐圧チャンバーは、下箱の内部にシール台を配置し、このシール台内にトレイを下から支持して昇降動する支持板を備え、該支持板がトレイを下降させてトレイのフランジをシール台の上に添えることができる。また、上箱内に設置した第1熱盤は、トレイのフランジと同輪郭の逆椀形であり、アクチュエータの下動力でカバーフィルムをフランジに押し付けることができる。またシール台における前記フランジの周縁には、上域のカット刃の受け入れ溝が形成されている。
【0006】
前記第1工程域の下箱を上箱に密着するように押し上げ、上下両箱内の空気をそれぞれ真空ポンプでもって吸引した後、第1熱盤を下降させてフランジの上面にカバーフィルムを押し付け、さらに下箱を上域のコイルスプリングの反力に抗して押し上げ、フランジの周囲のカット刃によってカバーフィルムをカットする。その後、上下両箱内に大気圧を還元すると、第1熱盤により加熱軟化したカバーフィルムは延伸して、トレイ及びその内部の被包装物に密着する。
【0007】
搬送する手段でもって前記カバーフィルムが密着したトレイを第2工程域のシール台の上に移送して、トレイのフランジ部分を着座する。逆椀型の第2熱盤は、その下縁のシール部が前記フランジと同輪郭で、同シール部は一部を切り欠いて盗み部を形成し、切り欠き盗み部はカバーフィルムの一部に弱溶着部を形成する。第1熱盤による挟圧力よりも小さな力で、下域のシール台上のフランジと、カバーフィルムとを挟圧して溶着する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1の真空包装装置は、耐圧チャンバー内の真空吸引、シール、冷却、トリミングを第1工程域で行い、第2工程域において、カバーフィルムの一部に弱溶着部を残して周縁部をトレイのフランジ部に溶着する。
【0010】
しかし、前記第1工程域で、前記第1工程域の下箱を上箱に密着するように押し上げ、上下両箱内の空気をそれぞれ真空ポンプでもって吸引するので、この第1工程域の作業が完了しない限り、次のトレイの真空包装作業に移れない。このように、前記特許文献1の真空包装装置は、連続的に作業を進めることができないために、作業効率が上がらない。また、従来、特許文献2のバッチ式の真空包装装置でもスキンパック包装作業が行われていたが、さらに効率が悪い。
【0011】
また、一般的なトレイ包装機の高速モデルでは、シール装置、冷却装置、トリミング装置が一体でボックスモーション運動を行うが、複数枚のトレイ(例えば搬送方向に2列で、3行の計6枚)を支持するトレイ搬送枠がボックスモーション運動を行ため、カバーフィルムは、1枚毎のトレイサイズではなく、3行分のトレイ搬送枠のピッチで送られる。しかし、トレイ搬送枠の行間のピッチはおのずと決まっているので、行と行の間が開いていても、カバーフィルムは、トレイ搬送枠に合わせて繰り出さなければならず、トレイサイズに対するカバーフィルムの消費量が多くなり、歩留まりがよくない。
【0012】
本発明は、プラスチック製トレイに収納した被包装物を連続的に高速でスキンパックすることが可能で、しかも、フィルムの歩留まりが良い高速トレースキンパック包装機を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の高速トレースキンパック包装機は、底盤と蓋材からなる複数の耐圧チャンバーを備え、前記耐圧チャンバーの底盤が長円軌道を周回し、前記長円軌道の一部
を構成する円軌道を回転する前記蓋材が前記底盤に被さり、耐圧チャンバー内の空気が吸引されて真空環境を発生させ
、耐圧チャンバー内を大気圧に戻して、トレイに収納された被包装物をスキンパックする高速トレースキンパック包装機において、前記底盤が移動する長円軌道の入口側の直線搬送部に、トレイの一部分を未溶着としてエア通路ができるようカバーフィルムを仮シールし、この仮シールしたトレイのカバーフィルムをトリミングする仮シール・トリミング装置を配置し、
耐圧チャンバーの蓋材に、真空環境下の耐圧チャンバー内で、未溶着部のエア通路を含めて、前記仮シール・トリミング装置で仮シールされたカバーフィルムをトレイに溶着
する熱シール盤を備えた、ことを特徴とする。
【0015】
前記ように、トレイのカバーフィルムを仮シールする仮シール・トリミング装置を配置して、エア通路を形成したカバーフィルムをトレイに仮シールすることと、カバーフィルムを被覆したトレイ内を真空吸引する作業を分け、真空吸引作業はロータリ真空包装機で実施させることにより、高速のトレースキンパック包装が連続して行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の
高速トレースキンパック包装機は、被包装物が収納されたトレイに対して連続的にスキンパック包装を行うことができる。
【0017】
また、本発明の高速トレースキンパック包装機は、従来のスキンパック包装機に比べてカバーフィルムの歩留まりが良い。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の高速トレースキンパック包装機を説明する。
図1は本発明の高速トレースキンパック包装機の全体平面図、
図2は正面図を示す。この種の包装機の基本構成は、特許文献3に開示されているようなロータリ真空包装機である。
【0020】
この高速トレースキンパック包装機の基本構成は、機台10の上面にそれぞれ回転自在に軸支された大径歯車11と、小径歯車12との間に、長円のエンドレスチェン13を張設すると共に、前記エンドレスチェン13に、耐圧チャンバー18の下部を構成する底盤14をそれぞれ等間隔に取り付ける一方、前記大径歯車11の中心主軸15から放射状に突き出る各アーム16それぞれに、前記耐圧チャンバー18の上部を成す10個の蓋材17を円軌道に沿って等間隔に配置して構成する。
【0021】
前記耐圧チャンバー18は、大径歯車11に巻回する前記エンドレスチェン13が支持する前記底盤14と、前記機台10に立設する中心主軸15に前記アーム16を介して支持された前記蓋材17とにより構成され、機台10に設置するモータ(図示せず)の回転力を、前記大径歯車11に伝達することにより、前記耐圧チャンバー18の蓋材17は円軌道に沿って回転する。
【0022】
前記大径歯車11に設置したスリーブ(図示せず)に支持された昇降ポール20下端の車輪21は、前記大径歯車11の回転に伴い、
図6に示すように機台10上に配置した環状レール22の上面を転動する。前記昇降ポール20は、前記環状レール22上面の高さの高い部分で前記アーム16を押し上げて前記蓋材17を底盤14から離反させて開蓋し、逆に、環状レール22の低い部分では、昇降ポール20は下降して蓋材17は底盤14を閉蓋する。このように耐圧チャンバー18が閉蓋状態にあるとき、前記耐圧チャンバー18内の空気を真空吸引する。
【0023】
耐圧チャンバー18の底盤14内には、トレイ19が嵌まり込むための凹部が形成され、底盤14の外周縁部にはトレイ19のフランジを支持する鍔部23が形成されている。さらに、底盤14の中央底部にトレイ19を底盤14から押し上げる昇降棒24がスリーブ25を介して取り付けられている。
【0024】
図6の左側に、分りやすくするため切り分けて図示するように、前記昇降棒24の下端部には車輪27が設けられており、エンドレスチェン13の下方に沿って設けられたレール28上を転動しながら移動している。前記レール28が高い部分では、昇降棒24が上昇して上部の支持板29がトレイ19を持ち上げる。逆にレール28の低い部分では、昇降棒24が下降して底盤14の凹部内にトレイ19が嵌まり込んだ状態となる。
【0025】
耐圧チャンバー18の蓋材17側には、第2熱シール盤30が昇降動可能に設けられている。この第2熱シール盤30は、カバーフィルム31を加熱軟化すると共に、トレイ19のフランジにカバーフィルム31を溶着するために全体が加温されている。この第2熱シール盤30は、蓋材17の上部中央に設けられたダイヤフラム32によって操作する。さらに、蓋材17には、真空ポンプ(図示せず)と連通する真空ホース33が接合し、耐圧チャンバー18内に真空環境を発生させる。
【0026】
なお、第2熱シール盤30には、底盤14側と蓋材17側とを連通する吸引通路26が貫通形成されている。この吸引通路26を介して蓋材17側からカバーフィルム31を吸引して第2熱シール盤30にカバーフィルム31を接触させて加熱軟化させ、スキンパック包装を可能とする。これに対して後述する第1熱シール盤61はカバーフィルム31を仮シールするだけの役目をはたし、前記第2熱シール盤30がスキンパックするためにカバーフィルム31を加熱軟化する役割をはたすのとは相違する。
【0027】
本発明の高速トレースキンパック包装機は、前記のように基本的な構成は従来のロータリ真空包装機と同じであるが、本発明の特徴は小径歯車12の入口側の直線搬送部に、トレイ整列装置40、同期供給装置50、仮シール・トリミング装置60を配置した点である。以下において、これらの特徴点を順次説明する。まず、トレイ整列装置40について図面を用いて説明するが、トレイ整列装置40を含めて、同期供給装置50、仮シール・トリミング装置60は以下に述べるような実施の形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0028】
図3は、
図2の部分拡大図であって、トレイ整列装置40が示されている。トレイ整列装置40は、複数本の紐状無端ベルトがプーリ42間に架け渡された紐状無端ベルトコンベア41でトレイ19を搬送し、フォーク状の整列ストッパー43でトレイ19を整列するよう構成されている。
【0029】
整列ストッパー43は、第1エアーシリンダ44の作動により、紐状無端ベルトコンベア41上のトレイ19の搬送を妨げない退避位置と、紐状無端ベルトコンベア41上のトレイ19を止めて整列させる整列位置との間を上下方向に出退する。被包装物を収納したトレイ19は紐状無端ベルトコンベア41にて搬送されている途中で、前記整列ストッパー43により整列する。
図1に示すように、トレイ整列装置40の上に、計4個のトレイが待機できる。
【0030】
図1には図示していないが、トレイ整列装置40の上流側に通常のベルトコンベアが配置され、このベルトコンベア上に作業者により被包装物を収納したトレイがランダムに乗せられ、矢印1で示すように搬送された後、紐状無端ベルトコンベア41上に乗り移り、前記のように整列する。
【0031】
図1に示すように、トレイ整列装置40の下流側には、同期供給装置50が配置されている。この同期供給装置50は、トレイ整列装置40で整列したトレイ19が、長円軌道を周回する耐圧チャンバー18の底盤14に乗り移れるように、底盤14の移動速度に合わせてトレイ19の搬送速度と間隔を調整する。
【0032】
同期供給装置50は、トレイ19を係止して送るフック53が等間隔で取り付けられ、トレイ19を耐圧チャンバー18の底盤14の移動と同期して送るベルトコンベア状の送り装置51と、この送り装置51の下部に配置されたスライド板52とから構成され、トレイ19をスライド板52に乗せて下流側に摺動する。
【0033】
前記スライド板52は平面視において、平行に配置された2枚の帯状の板体からなり、この板体の間に隙間を設けている。この隙間から前記耐圧チャンバー18の底盤14内の支持板29が周回しながら上昇し、同期してスライド板52上を移動するトレイ19の底部を支持してトレイ19をスライド板52から底盤14側に乗り移らせることができる。
【0034】
図3に示すように、前記トレイ整列装置40と同期供給装置50との間に、トレイ19を受け渡すためのリフト装置70が配置されている。このリフト装置70は下層にある紐状無端ベルトコンベア41と、上層にある前記スライド板52との間でトレイ19を受け渡す構成になっている。
【0035】
前記リフト装置70は、紐状無端ベルトコンベア41の複数本の紐状無端ベルト間に、
図3に示すような長方形の複数枚の板片からなるリフト板71が平行に立設し、下部が第2エアーシリンダ72のロッドが接合している。このリフト板71は、上流側の端面(
図3の左端面)で、紐状無端ベルトが搬送するトレイ19を停止して待機させる。
【0036】
前記リフト板71が、紐状無端ベルトコンベア41の上方から突出している間は、リフト板71より上流のトレイ19は、移動が妨げられているが、第2エアーシリンダ72によりリフト板71が下降すると、トレイ19の移動が妨げられないため、トレイ19が紐状無端ベルトコンベア41で搬送できる。このように、トレイ19が紐状無端ベルトコンベア41で搬送されて、リフト板71上の位置に来たことが検出された時のみ、リフト板71は上昇する。リフト板71の上昇するタイミングは、例えば次のようにして図られる。
【0037】
同期供給装置50のフック53は、耐圧チャンバー18の底盤14の移動とメカ的に同期して定速回転するようにしているので、リフト板71の上昇するタイミングは、フック53がリフト板71上のトレイ19と干渉しないタイミングで第2エアーシリンダ72を操作する。即ち、フック53が次のトレイ19を搬送するタイミングが来た時、第2エアーシリンダ72が作動し、リフト板71がトレイ19を載置して上昇する。トレイ19がスライド板52と同レベルまで上昇すると、フック53がトレイ19を係止し、リフト板71からスライド板52上に乗り移らせる。リフト板71が上昇することにより、次のトレイ19は
図3に示すようにリフト板71により停止して待機する。
【0038】
次に、仮シール・トリミング装置60について、
図2及び
図4を用いて説明する。
図4の下部は、耐圧チャンバー18の底盤14を示している。この底盤14の凹部内には、同期供給装置50から乗り移ったトレイ19が載置している。即ち、
図2のエンドレスチェン13の下部外周に配置されたレール28がスライド板52の下あたりで高くなるので、底盤14に設けられた昇降棒24が持ち上がり、同時に支持板29が前記のようにスライド板52の間の隙間からトレイ19を持ち上げる。スライド板52が途切れたあたりからレール28は低くなり、
図4に示すように、支持板29は下降してトレイ19を底盤14の凹部内に収容し、トレイ19のフランジが鍔部23上に添えられる。
【0039】
仮シール・トリミング装置60には、第1熱シール盤61を備えている。第1熱シール盤61は、トレイ19のフランジと同輪郭で、逆椀形に形成されている。この第1熱シール盤61をアクチュエータ(図示せず)の下動力で押し下げて、第1熱シール盤61の外周縁部でもってカバーフィルム31の外周縁部をトレイ19のフランジに圧着して仮シールする。
【0040】
図4は、トレイ19に盛り付けられた被包装物がトレイ19の上面より盛り上がった状態を図示するが、この第1熱シール盤61はトレイ19の上面より被包装物が盛り上がらない状態であっても用いることができる。この第1熱シール盤61は、被包装物がトレイ19の上面より盛り上がっている場合は、吸引通路62からカバーフィルム31を上方に吸引してドーム形に膨張させ、カバーフィルム31で被包装物がソフトに被覆できるようにする。第1熱シール盤61の全体が加温されていれば、カバーフィルム31を加熱軟化して膨張の助けとなる。
【0041】
逆に、被包装物が盛り上がらない状態では吸引通路62からカバーフィルム31を吸引しないで仮シールする。ただし、被包装物が盛り上がっている場合、カバーフィルム31を被包装物に押し付けても被包装物が潰れることなく見栄え良くスキンパック包装できれば、カバーフィルム31をドーム形に膨張させる必要がないので、この吸引通路62は第1熱シール盤61に必須の構成ではない。
【0042】
第1熱シール盤61の外周縁部の一部に、切欠き部63が形成され、この切欠き部63により、
図5に示すように、カバーフィルム31の一部に未溶着のエア通路34が形成され、このエア通路34からトレイ19内の空気を抜くことができる。
【0043】
前記第1熱シール盤61を覆うように、カット刃64を外周縁に備えたボックス状のトリミング機構65が配置されている。底盤14の周縁に、前記カット刃64の受け入れ溝35が周設されており、アクチュエータの下動力によりトリミング機構65の前記カット刃64を受け入れ溝35に押し込んで、カバーフィルム31をトレイ19の形状に沿ってトリミングする。
【0044】
前記第1熱シール盤61の上層部には、水平な軸に支持されたロールフィルム66が配置され、巻き取りリール67の巻き取り力により帯状のカバーフィルム31が引き出され、被包装物を収容したトレイ19の上部に繰り出される。前記仮シール・トリミング装置60のうち、第1熱シール盤61、トリミングを行うトリミング機構65、テンションローラ68の三者を一体でボックスモーション運動を行う。
図1及び
図2に示すように、ボックスモーション運動しながら2列1行の底盤14に仮シールとトリミングを1工程毎に行えば、従来の一般的なトレイ包装機の高速モデルとは異なり、トレイ搬送枠ピッチに関係なく、1行のトレイに対応するフィルム送りの制御が可能となり、カバーフィルム31の歩留まりが向上する。
【0045】
なお、小径歯車12の出口側には、
図1に示すように、搬出コンベア80が配置されており、前記耐圧チャンバー18内の支持板29により持ち上げられたトレイ19を
図3の同期供給装置50の送り装置51のような搬出機構(図示せず)により、トレイ19を支持板29から搬出コンベア80上に乗り移らせて搬出する。
【0046】
次に、前記本発明の高速トレースキンパック包装機の使用状態について説明する。まず、トレイ整列装置40により被包装物が収納されたトレイ19を整列し、同期供給装置50により耐圧チャンバー18の底盤14に前記トレイ19を乗り移らせ、トレイ19のフランジを底盤14の鍔部23上にセットする。トレイ整列装置40の整列ストッパー43やリフト板71を動作させるためのタイミング、紐状無端ベルトコンベア41の速度、同期供給装置50によるトレイ19の送り速度は、耐圧チャンバー18の底盤14の移動速度に合わせて制御する。
【0047】
仮シール・トリミング装置60では、前記の通り、被包装物がトレイ19の上面より盛り上がった状態か、盛り上がらない状態かに応じて、カバーフィルム31を仮シール、トリミングする。カバーフィルムをフランジに仮シールする際の第1熱シール盤61の温度は、100℃〜180℃、好ましくは120℃〜130℃で、約1.0秒で十分な仮シール効果が得られる。
【0048】
トレイ19には、第1熱シール盤61の切欠き部63の未溶着にあたるエア通路34が
図5では4箇所設けられている。このエア通路34の数や幅はトレイ19の直径、深さ、被包装物がトレイ19の高さ以上か、高さ以下か、等の条件により異なる。例えば、直径が20cm程度のトレイ19で、被包装物がトレイ19の高さ以下の場合、最低限、10mm程度のエア通路34が1箇所あれば、トレイ19内の空気を真空吸引してカバーフィルム31をトレイ19にスキンパックすることが可能である。ただし、このエア通路34は複数個所設けるのが好ましい。
【0049】
上記のようにして、カバーフィルム31をトレイ19のフランジに仮シールすると同時に、トリミング機構65のカット刃64により、カバーフィルム31をトリミングする。この仮シール、トリミングは、仮シール・トリミング装置60内において、第1熱シール盤61、トリミング機構65等が一連のボックスモーション動作にて実施する。
【0050】
前記のように、仮シール・トリミングが完了したトレイ19は、底盤14に載置された状態で、大径歯車11の周囲の円軌道を逆時計回りに移動する。そして、前記各底盤14に対して前記蓋材17が順次被さる。耐圧チャンバー18内は真空ポンプにより空気が吸引され、この密封領域における真空環境下で、前記トレイ19内の空気はエア通路34を通して吸引され、トレイ19内も耐圧チャンバー18内の密封領域と同様の真空環境となる。
【0051】
しかし、流動抵抗の大きいエア通路34を通して前記トレイ19内の空気が吸引されるため、耐圧チャンバー18内が徐々に負圧になっても、それより遅れてトレイ19内は負圧になることから、耐圧チャンバー18内とトレイ19内との差圧でカバーフィルム31がドーム形に膨張する。また、吸引通路26を介して蓋材17側から仮シールしたカバーフィルム31を吸引して第2熱シール盤30にカバーフィルム31を接触させて加熱軟化し、トレイ19内が真空環境になった段階で、第2熱シール盤30がカバーフィルム31の外周縁部をトレイ19のフランジに溶着する。この時、エア通路34を含めてカバーフィルム31外周縁部をフランジに完全に溶着してトレイ内に外気が入らないようにシールした後、真空ホース33を通して大気を耐圧チャンバー18に還流させる。
【0052】
上記のようにして、カバーフィルム31を被せたトレイ19内は真空環境で、トレイ19外は大気圧となるため、真空ホース33を通して大気を耐圧チャンバー18に還流させるとカバーフィルム31は被包装物の表面に被着してスキンパック包装が完成する。完成したスキンパック包装となったトレイ19を、底盤14から支持板29で持ち上げて搬出コンベア80に乗り移つらせて搬出し、検査等を経て包装箱等に包装詰めする。
【0053】
前記実施の形態では、被包装物を収納したトレイ19をトレイ整列装置40、同期供給装置50を経て、仮シール・トリミング装置60で仮シール・トリミングを行った。本発明ではこのように、耐圧チャンバーの底盤14の長い直線搬送部でトレイ19の供給が可能となるので、トレイ19の供給作業が容易となる。また、搬出作業も直線搬出であるため、搬出作業も容易となる。
【0054】
上記実施の形態では、被包装物を収納したトレイ19をトレイ整列装置40、同期供給装置50を介して、仮シール・トリミング装置60に供給していたが、耐圧チャンバー18の底盤14の直線搬送部で、作業者が直接、底盤14に載置するようにしてもよく、トレイ整列装置40、同期供給装置50は必須の構成ではない。