特許第6202734号(P6202734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202734
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/16 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   B60N2/16
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-237968(P2013-237968)
(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公開番号】特開2015-98213(P2015-98213A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】100179855
【弁理士】
【氏名又は名称】藁科 えりか
(74)【代理人】
【識別番号】100086195
【弁理士】
【氏名又は名称】藁科 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】戸畑 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】小池 敦
(72)【発明者】
【氏名】天野 智啓
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聖吾
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−308233(JP,A)
【文献】 特開2011−207443(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0218853(US,A1)
【文献】 実開昭59−140927(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3169443(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/16
B60N 2/64
A47C 7/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に昇降されるシートクッション、シートバックを具備し、
シートバックの座面は、上下方向では下から上にかけて後傾して延び、頂部の手前で前傾した曲線形状とされ、肩甲骨に沿ってその背後から覆って支持する高さまで上方に延ばされ、上端中央部が首の付け根を支持可能に湾曲して後方に延び、左右方向では肋骨を支え、左右の肩甲骨付近でへこんだ曲線形状にそれぞれ形成されたシート。
【請求項2】
相対的に昇降されるシートクッション、シートバックを具備し、
シートバックの座面は、上下方向では下から上にかけて後傾して延び、頂部の手前で前傾した曲線形状とされ、肩甲骨に沿ってその背後から覆って支持する高さまで上方に延ばされ、上端中央部が首の付け根を支持可能に湾曲して後方に延び、左右方向では肋骨を支え、左右の肩甲骨付近でへこんだ曲線形状にそれぞれ形成され、
さらにシートバックは、着座者の腰部から肋骨下部を主に支持する下半部が、着座者の肩甲骨を主として支持する上半部よりも挟幅に形成され、
シートクッションの後端中央に、シートバックの幅狭の下半部の遊嵌される凹部を設けたシート。
【請求項3】
中央の凹部を挟んだシートクッション後端の左右の端部が、着座者の臀部を左右から支持する盛り上がった形状に形成された請求項記載のシート。
【請求項4】
シートクッションが、シートリフターによって昇降される請求項または記載のシート。
【請求項5】
シートバックは支柱に取付けられ、支柱を固定支柱と固定支柱に対して昇降可能な可動支柱とから構成し、可動支柱にシートバックを設けてシートバックを昇降させる請求項または記載のシート。
【請求項6】
シートバックを支柱に対して傾斜可能とした請求項記載のシート。
【請求項7】
シートバックを可動支柱に対して傾斜可能とした請求項記載のシート。
【請求項8】
当該シートはシートクッションが基台となるライザー上に配置され、支柱がライザーの後端にその下端が連結されてシートクッションの後方に設けられ、
ライザーがシートスライド機構を介して、または、シートスライド機構を介することなく車床上に設置される車両用シートである請求項1〜のいずれか記載のシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者の背中とシートの座面(シートバックの座面)との接触面積を広く確保できるシート、特に車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
シートにおいては、そのフィット感が重視されている。たとえば、車両用シートにおいては、同じ姿勢での長時間の着座による疲労の蓄積を軽減するために、フィット感のよいシートが望まれている。そして、一つの方策として、着座者の背中とシートの座面(シートバックの座面)との接触面積を広くとることによって、フィット感が確保されている。
【0003】
接触面積を広くとるために、シートバック座面の左右にサイドサポートと称する土手状の盛り上がりを設けて、サイドサポートの着座者の脇腹を左右から覆うように支持する構成が知られている。一般的に、サイドサポートはシートバックと一体に形成されているため、着座者の体格(特にその横幅)によってサイドサポートによる支持が異なる。たとえば、平均的な体格(横幅)の着座者に対しては、サイドサポートが着座者の脇幅を左右から覆うように支持し、着座者の背中とシートの座面(シートバックの座面)との間に広い接触面積が確保され、適切な接触圧力のもとでフィット感が得られる。
【0004】
しかし、小柄な着座者(痩せた着座者、横幅の狭い着座者)はサイドサポートとの間に隙間ができてサイドサポートで左右から支持されない。そのため、着座者の背中、シートの座面間に十分な接触面積が確保されず、フィット感が得られない。また、大柄な着座者(太った着座者、横幅の広い着座者)は、その背中がサイドサポートを押しつぶすように押し付けられるため、接触圧力が強くなり、異物感を感じてフィット感が得られない。
【0005】
また、一般的に、シートバック座面が略平坦に形成されているため、着座者の背中、特に肩甲骨がシートバック座面に強く押し付けられる傾向にあり、肩甲骨周辺での接触圧力が高く、接触面積が小さくなり、フィット感が得られない。
【0006】
たとえば、特開2011−084207号公報では、シートバックのパッドとトリムカバーとの間に設けられるワディング(弾性層)は、サイドサポートの外側の面よりも内側の面が肉厚に形成するなどして、サイドサポートの内側でのクッション性を大きく設定している。そのため、サイドサポート内側の肉厚のワディングを弾性変形させて異物感を感じることなく着座でき、フィット感が得られる。
【0007】
また、肩甲骨付近でのシートバック座面の支持を考慮したものとして、実公平05−034430号公報があり、肩甲骨を支持するシートバック座面の左右の部位でパッドにエアマットを内蔵している。そして、肩甲骨がシートバック座面に押し付けられるとエアマットが変形して、肩甲骨をシートバック座面でソフトに支持する。そのため、肩甲骨がシートバック座面に強く押し付けられることがなく、エアマットが変形してシートバック座面が肩甲骨に密着して広い接触面積が確保され、シートバック座面は着座者の背中をフィット感のもとで支持できる。なお、実公平05−034430号公報では、サイドサポートは省略されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−084207号公報
【特許文献2】実公平05−034430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
シートバック座面に設けたサイドサポートの内側でのクッション性を大きく設定した構成では、サイドサポート内側の肉厚のワディングを幅広く設定すれば、小柄な着座者に対しても大柄な着座者に対しても、接触圧力を強くすることなく、広い接触面積を確保でき、フィット感が得られる。しかしながら、肉厚なワディングをサイドサポート内側に幅広く設定すれば、シートバック座面の外観意匠が損なわれるおそれがある。また、サイドサポートをシートバック座面に設けるとともに、ワディングの厚さをサイドサポートの内側と外側とで変えているため、シートバックの構成の複雑化が避けられない。
【0010】
肩甲骨を支持するシートバック座面の左右の部位でパッドにエアマットを内蔵し、エアマットが変形して肩甲骨を支持する構成においても、パッドにエアマットを内蔵させているため、シートバックの構成が複雑化する。
【0011】
本発明は、シートバックの構成を複雑することなく、広い接触面積が確保されてフィット感の得られるシートの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では、骨、肩甲骨付近の部位では、体格による差が比較的少ないことに注目し、この骨、肩甲骨付近の部位を中心に支持することとし、シートバック座面の形状を変えるだけで広い接触面積を確保している。
【0013】
すなわち、請求項1に係る本発明によれば、相対的に昇降されるシートクッション、シートバックを具備し、シートバックの座面は、上下方向では下から上にかけて後傾して延び、頂部の手前で前傾した曲線形状とされ、肩甲骨に沿ってその背後から覆って支持する高さまで上方に延ばされ、上端中央部が首の付け根を支持可能に湾曲して後方に延び、左右方向では肋骨を支え、左右の肩甲骨付近でへこんだ曲線形状にそれぞれ形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る本発明では、骨、肩甲骨付近の部位では、体格による差が比較的少ないことに注目して、上下方向、左右方向のいずれにおいても肋骨、肩甲骨に沿わせた曲線形状にシートバックの座面が形成されている。そのため、着座者の肋骨、肩甲骨がシートバックの座面に沿って支持され、広い接触面積が着座者の背中(肋骨、肩甲骨)、シートバック座面の間に確保され、接触圧力も小さい。そして、シートバックの座面形状を変えているにすぎず、シートバックの内部構造を変える必要がないため、構成が複雑化することなく、体格(横幅)の異なる着座者をフィット感のもとで支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は本発明の一実施例に係るシートの斜視図、(B)(C)はシートバックの正面図、(B)の線C−Cに沿った縦断面図をそれぞれ示す。
図2】(A)はシートバック座面の上下方向の輪郭線、(B)(C)は図1(B)の線2B−2B、2C−2Cに沿ったシートバックの座面の左右方向の輪郭線をそれぞれ示す。
図3】(A)(B)(C)(D)はシートクッションの斜視図、平面図、(B)の線C−C、D−Dに沿った縦断面図をそれぞれ示す。
図4】昇降可能なシートとして具体化した本発明の一実施例に係るシートの左側面図を示す。
図5】昇降可能なシートとして具体化した本発明の一実施例に係るシートの一部破断の背面から見た斜視図を示す。
図6】昇降可能なシートとして具体化してシートクッション、シートバックを除いた本発明の一実施例に係るシートの分解斜視図を示す。
図7】シートの一部破断の背面からの拡大斜視図を示す。
図8】(A)はシートバック昇降機構の背面図、(B)は(A)の矢印B方向からの側面図をそれぞれ示す。
図9】シートバック傾斜機構の分解斜視図を示す。
図10図6の矢印X方向から見た一部破断の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
相対的に昇降されるシートクッション、シートバックを具備し、シートバックの座面は、上下方向では下から上にかけて後傾して延び、頂部の手前で前傾した曲線形状とされ、肩甲骨に沿ってその背後から覆って支持する高さまで上方に延ばされ、上端中央部が首の付け根を支持可能に湾曲して後方に延び、左右方向では肋骨を支え、左右の肩甲骨付近でへこんだ曲線形状にそれぞれ形成されている
【実施例】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。図1(A)は本発明の一実施例に係るシートの斜視図、(B)(C)はシートバックの正面図、(B)の線C−Cに沿った縦断面図をそれぞれ示す。図2(A)〜(C)は、シートバック座面の上下方向の輪郭線、(B)(C)は図1(B)の線2B−2B、2C−2Cに沿ったシートバックの座面の左右方向の輪郭線をそれぞれ示す。ここで、図2(B)は、肩甲骨の部位の高さでのシートバック座面の左右方向の輪郭線、(C)は肋骨の部位の高さでのシートバックの座面の左右方向の輪郭線にそれぞれ相当する。図3(A)(B)(C)(D)はシートクッションの斜視図、平面図、(B)の線C−C、D−Dに沿った縦断面図をそれぞれ示す。前後左右は、着座者から見た方向をいい、適宜、Fr、Rr、L、Rで示す。
【0018】
図1に示すように、シート10は、たとえば車両用シートとされ、シートクッション20、シートバック30、支柱40を備え、シートバックは背面の支柱に取付けられて、シートクッションから分離して設けられている。
図1(A)(B)に示すように、シートバックの上半部30U、下半部30Lの座面は、その幅が大きく異なる形状に形成されており、下半部の座面は上半部の座面より挟幅で長方形形状に形成されている。すなわち、シートバックの上半部30Uの座面は下半部の幅よりも側部が左右方向に略台形に突出した形状とされ、突出した略台形相当分だけ、下半部は上半部より幅狭に形成されている。なお、下半部30Lの座面は着座者の腰部から肋骨下部を主に支持し、上半部30Uの座面は着座者の肩甲骨を主として支持する。
【0019】
図2(A)〜(C)に示すように、従来の車両用シートのシートバック130の座面は、上下方向において、肩甲骨36をその背後から覆って支持する高さまで上方に延ばされておらず、また、左右方向においても平坦に形成され、左右の肩甲骨付近36’においても、左右の肩甲骨を包み込んで支持する形状となっていない。
これに対して、本発明では、シートバック30の座面は、上下方向では肩甲骨36に沿って上に行くにつれて膨らむ曲線形状に、左右方向では肋骨37を支えるへこんだ曲線形状にそれぞれ形成され、好ましくは、上下方向の曲線が首の付け根を支持可能に首の付け根まで延ばされ、左右方向の曲線が左右の肩甲骨付近36’でへこんだ形状とされる。
図2(B)(C)に示すように、左右方向の曲線のへこみは、肋骨付近37’では肋骨が左右方向に広がって存在するため緩やかなへこみとなり、肩甲骨付近36’付近では左右の肩甲骨でへこんでその間で少し盛り上がったへこみとなる。
【0020】
つまり、シートバック30の座面は下から上にかけて緩やかに後傾して延び、頂部の手前で緩やかに前傾した曲線形状とされ、肩甲骨36に沿ってその背後から覆って支持する高さまで上方に延ばされている。また、左右方向においても、左右の肩甲骨36、肋骨37に沿った形状に形成されている。すなわち、上下方向、左右方向のいずれにおいても、肩甲骨36、肋骨37の曲面に対応して肋骨、肩甲骨に沿った曲線形状にシートバック30の座面が形成されている。
【0021】
このように、シートバック30は、上下方向では肩甲骨36に沿って上に行くにつれて膨らむ曲線形状に、左右方向では肋骨37を支えるへこんだ曲線形状にそれぞれ形成される。また、上下方向の曲線は肩甲骨36に沿ってその背後から覆って支持する高さまで上方に延ばされ、左右方向の曲線は左右の肩甲骨付近でへこんだ形状とされる。そのため、着座者の肩甲骨36、肋骨37がシートバックの座面に沿って支持され、広い接触面積が着座者の背中(肩甲骨、肋骨)、シートバック座面の間に確保され、接触圧力も小さい。そして、シートバック30の座面形状を変えているにすぎず、シートバックの内部構造を変える必要がなく、構成が複雑化しない。そして、骨、肩甲骨付近の部位では、体格(横幅)による差が比較的少ないため、肋骨、肩甲骨付近での部位が中心に支持することにより、体格差のある着座者(小柄の着座者、大柄の着座者)に対してもフィット感のもとで支持できる。
【0022】
もちろん、シートバック30の左右のサイドにサイドサポートを設ける必要はなく、この点からも構成が簡単化されるとともに、サイドサポートがないため、シートバック座面の形状が簡潔化され、外観意匠も向上する。
【0023】
シートクッション20は、図3(A)〜(D)に示すように、その後端中央が切欠かれて凹部20aとされ、中央の凹部を挟む左右の端部20bが盛り上がって中央の凹部よりも上に位置した平面視略凹形形状に形成されている。そして、中央の凹部20aはシートバックの下半部30Lの座面の遊嵌される幅(左右の長さ)と奥行(前後方向の長さ)とを持つ形状に形成されている。
図3(C)(D)において、HPは着座者のヒップポイントを示す。
【0024】
シートバックの下半部30Lを上半部30Uよりも挟幅に形成して、シートバックの挟幅下半部の遊嵌される凹部20aをシートクッション後端中央に設けた構成では、シートクッション20、シートバック30を相対的に昇降させても、シートクッション後端、シートバック下端の間に隙間が生じない。そのため、着座者の体格(身長)に対応してシートクッション20、シートバック30を相対的に昇降させてシートバックの位置(座面位置)を調整する構成が可能となる。
シートクッション20、シートバック30を相対的に昇降させる構成とすれば、体格(身長)の異なる着座者に対しても、シートバックの位置(座面位置)を肋骨、肩甲骨付近での部位を最適な位置で支持する位置に設定でき、高いフィット感が得られる。
【0025】
すなわち、シートバック30の下半部を上半部よりも挟幅に形成するとともに、シートバックの挟幅下半部の遊嵌される凹部20aをシートクッション後端中央に設けるというわずかな形状変更で、着座者の体格(身長)に対応してシートバックの位置(座面位置)を調整する構成が可能となり、体格(身長)の異なる着座者も高いフィット感が得られる。
【0026】
また、シートクッション本体の後端中央の凹部20aのみがシートバックの座面に後端と近接するため、凹部を挟む左右の端部20bはシートバックと干渉せず、シートクッション20、シートバック30間の相対的な昇降を妨げることなく、その形状を自由に設定できる。そのため、左右の端部20bを上方に延ばすことができ、盛り上がって中央の凹部20aよりも上に位置する形状とすれば、シートクッション20が着座者の臀部を左右から包み込むように支持するため、左右方向の臀部の動きが規制され、良好なフィット感のもとで臀部が支持される。
【0027】
着座者の体格(身長)に対応してシートクッション20、シートバック30を相対的に昇降させてシートバックの位置(座面位置)を調整する構成は、シートクッション、シートバックのいずれかを昇降させても、シートクッション、シートバックの双方を個別に(独立に)昇降させてもよい。
たとえば、シートリフターによってシートクッション20は昇降させてもよい。また、支柱を固定支柱と固定支柱に対して昇降可能な可動支柱とから構成し、可動支柱にシートバックを設ければ、シートバックが昇降される。
シートクッションを昇降させる構成、シートバックを昇降させる構成はいずれか一方のみを採用してもよいし、双方を併存させてもよい。
【0028】
以下、昇降可能なシートとして具体化した本発明について説明する。
図4図5は昇降可能なシートとして具体化した本発明の一実施例に係るシートの左側面図、一部破断の背面から見た斜視図をそれぞれ示す。実施例ではシートは車両用シートとして具体化されており、以下の図面においても、前後左右は、ドライバーシートに着座したドライバーから見た方向をいい、適宜、Fr、Rr、L、Rで示す。
【0029】
図4図5に示すように、シート10は、上述したシートクッション20、シートバック30、支柱40に加えて、基台となるライザー50、昇降手段60、シートスライド機構70を具備している。
たとえば、シートクッション20、シートバック30は、パッドをトリムカバーで被覆した本体(シートクッション本体、シートバック本体)22、32と、本体を載せたパネル(クッションパネル、バックパネル)24、34とから形成されている。たとえば、パネル(クッションパネル、バックパネル)24、34は繊維強化プラスチック(FRP)から成形され、シートクッション本体22はクッションパネルの上面に、シートバック本体32はバックパネルの前面に、たとえば接着によってそれぞれ取付けられる。
なお、図2では、クッションパネル24の形状がわかるように、その上のシートクッション本体22は想像線で描かれている。
【0030】
シートスライド機構70は、公知のものであり、車床72に固定された固定レール74と固定レールに内蔵されて前後方向にスライドする可動レール76とを持ち、可動レールにシートの基台となるライザー50が取付けられている。ライザー50は、左右のサイドフレーム52と、左右のサイドフレームの前端、後端をそれぞれ連結するフロント、リヤの連結部材とを持ち、リヤの連結部材は中空のロッド54から形成されている。
【0031】
昇降手段60は、シートクッション20、ライザー50間に介在されたシートリフター61を持ち、シートリフターは、たとえば、公知のXリンクタイプのものとされる。すなわち、シートリフター61は、一対のリンク62をX形状にピン止めし、リンクの上端をアッパーバー63に、下端をロアバー(図示しない)にそれぞれピン止めし、フロント側のピンを前後にスライド可能としている。そして、アッパーバー63をクッションパネル24の下面に、ロアバーをライザーのサイドフレーム52の内側にそれぞれ取付けることによって、シートリフター61はシートクッション、ライザー間に設けられてシートクッション20を昇降させている。
【0032】
支柱40は、ライザー50に、たとえば、リヤの連結部材(中空のロッド)54にその下端が巻装、溶着されて略直立(正確に言うと、少し後傾して直立)に設けられている。支柱40は、ライザー50にその下端が溶着された固定の支柱本体42と、支柱本体にガイドされて支柱本体に沿ってスライド可能に支柱本体に組み込まれた可動支柱44とを備えて構成されている。可動支柱44の幅相当分だけ左右に離反した一対のブラケット34U、34Lが、バックパネル34の背面で上下に離反してそれぞれ設けられ、ブラケットを利用してバックパネルが可動支柱に取付けられることにより、シートバック30は可動支柱とともに昇降される。
【0033】
ヘッドレスト18がその頂部に取付けられた支柱46が、バックパネル34の背面に取付けられており、可動支柱44の昇降に伴ってヘッドレストはシートバック30と一体に昇降される。
支柱46はバックパネル34の背面に取付けられてバックパネル、つまりはシートバック30と一体に昇降すれば足り、適当な方法でバックパネルの背面に取付けられる。
【0034】
図4に示すように、バックパネル背面の上下のブラケット34U、34Lのうち、下のブラケット34Lはバックパネルの背面の下端に設けられ、上のブラケット34Uはバックパネルの背面の上下方向の中央上方寄りに設けられている。
【0035】
図6は、昇降可能なシートとして具体化してシートクッション、シートバックを除いた本発明の一実施例に係るシートの分解斜視図を示す。この図6はシートの骨格の分解斜視図に該当する。図7はシートの一部破断の背面からの拡大斜視図、図8(A)はシートバック昇降機構の背面図、(B)は(A)の矢印B方向からの側面図をそれぞれ示す。
実施例では、シートリフター61によってシートクッション20をシートバック30に対して昇降させるとともに、シートリフターとは別の昇降機構によって、シートバックをシートクッションに対して昇降させる構成となっている。すなわち、昇降手段60は、シートリフター61(シートクッション昇降機構)とは別の昇降機構(シートバック昇降機構)64をさらに備えている。
【0036】
図6図8に示すように、シートバック昇降機構64は、公知のシートスライド機構を応用したものであり、固定レール65と、固定レールを覆って設けられた可動レール66とを組み合わせてなり、固定レールが内側、可動レールが外側に位置することを除けば、基本的な構成は公知のシートスライド機構と同様となっている。もちろん、可動レール66を固定レール65の内側に設けた構成としてもよい。
基本的な構成は公知のシートスライド機構と同様であるため、詳細には述べないが、モータ67が固定レール65に設けられ、モータの動力が減速されてピニオンギヤ(図示しない)を回転させる。そして、可動レール66に設けられたラック(図示しない)にピニオンギヤが噛合されているため、モータを駆動させれば可動レールが固定レールにガイドされ、固定レールに沿ってスライド(昇降)される。
【0037】
実施例では、ライザーの左右のサイドフレーム52の後端を連結するリヤの連結部材54を中空のロッドとし、図7に示すように、シートバック昇降機構のモータ67を中空ロッドの中に収納している。そのため、モータ67が隠され、外観意匠を損なうことなくモータを配置できる。
【0038】
支柱本体(固定支柱)42が固定レール65に、可動支柱44が可動レール66にボルト止めなどによって取り付けられる。支柱本体42、可動支柱44は、いずれも、左右の側壁を持つ横断面が略コ字形状とされ、支柱本体の開口面(前面)に可動支柱が被せられ、シートバック昇降機構64を挟んで支柱本体、可動支柱が配置される。
【0039】
このように、公知のシートスライド機構を応用することにより、小型、軽量のシートバック昇降機構64が得られ、支柱本体(固定支柱)42に対して可動支柱44を容易に昇降(スライド)できる。そして、シートバック30を可動支柱44に設けているため、可動支柱とともにシートバックを昇降させることにより、シートバック座面でのフィット感を損なうことなく着座者の体格に対応してシートバックの位置を調整できる。
そして、シートバックの下半部30Lを上半部30Uよりも挟幅に形成して、シートバックの挟幅下半部の遊嵌される凹部20aをシートクッション後端中央に設けているため、シートバック30を昇降させて着座者の体格に対応してシートバックの位置を調整しても、シートクッション後端、シートバック下端に隙間が生じない。さらに、シートクッション本体の後端中央の凹部20aのみがシートバックの座面に後端と近接するため、凹部を挟む左右の端部20bはシートバックと干渉せず、シートクッション20と干渉することなくシートバック30が昇降する。
【0040】
シートリフター61によってシートクッション20を昇降させても、シートバック座面でのフィット感を損なうことなく着座者の体格に対応してシートバックの位置を調整できることは言うまでもない。そして、シートクッション20を昇降させた場合においても、シートクッション後端、シートバック下端に隙間が生じないとともに、シートバック30と干渉することなく、シートクッションが昇降される。
【0041】
図6に示すように、可動支柱の左右の側壁44aからピン44bが突出し、バックパネル背面下方の左右のブラケット34Lの支持孔にそれぞれ軸支されている。
【0042】
図9はシートバック傾斜機構の分解斜視図、図10図6の矢印X方向から見た一部破断の側面図をそれぞれを示す。
シート10はシートバック30を傾斜させる傾斜機構80をさらに具備し、シートバック傾斜機構は、可動支柱側壁のピン44bの十分離反した上方の位置で可動支柱44に設けられている。
【0043】
図6図9図10に示すように、傾斜機構(シートバック傾斜機構)80は一対のベースリンク82(82−1、82−2)、駆動リンク84、規制リンク86を備えている。
一対のベースリンクのメインリンク82−1、82−2の一端(上端)に1つ、他端(下端;自由端)2つの支持孔82a〜82cがそれぞれ形成されるとともに、一方(第1)のメインリンク82−1の下端の隅にさらに1つの支持孔82dが形成されている。
下端の支持孔82bに連結ロッド82eを嵌合させて、第1、第2のメインリンク82−1、82−2は連結、一体化されて一体的に動かされる。また、上端の支持孔82aにピン83が嵌合され、このピンはバックパネル背面上方の左右のブラケット34Uに軸支されている(図7参照)。また、第1のメインリンク82−1の下端隅の支持82dにピン(回動規制ピン)82fが嵌合されている。
【0044】
駆動リンク84、規制リンク86は、第1のメインリンク82−1の外側に設けられ、その上端に支持孔84c、86cが形成されている。可動支柱の側壁44aの外側から段付きピン(図示しない)を支持孔84c、86cに挿通し、さらにワッシャ88を介して第1のメインリンク82−1の支持孔82cに挿通させて可動支柱の側壁44aに軸支させている。また、第2のメインリンク82−2では、外側から段付きボルト(図示しない)がワッシャ88を介して支持孔82cに挿通されて可動支柱の側壁44aに取付けられ、それによって、メインリンク82が可動支柱の左右の側壁の間に配置されている。
【0045】
第1のメインリンク82−1からの延びた回動規制ピン82fの挿通される孔84f、86fが、駆動リンク84、規制リンク86にそれぞれ形成されるとともに、駆動リンク84の下端にセクションギヤ84gが成形され、規制リンクの孔86fは上端の支持孔86cを中心とした円弧形状の長孔となっている。
段付きピンが第1のメインリンク82−1、駆動リンク84、規制リンク86の上端の支持孔82c、84c、86cに挿通されるとともに、第1のメインリンクから延びた回動規制ピン82fが駆動リンクの孔84fに挿通されているため、駆動リンク、メインリンク82は一体的に回動できる。また、回動規制ピン82fが規制リンクの円弧形状の長孔86fに挿通されているため、長孔内での回動規制ピンの移動長さに、駆動リンク、メインリンクの一体的な回動が規制(制限)される。
また、2つの孔86hが規制リンク86の下端に形成され、この孔を利用して規制リンクは可動支柱44にボルト止めされている。
【0046】
モータ(図示しない)を内蔵するアクチュエータ89(図10)が可動支柱44に取付けられており、駆動リンクのセクションギヤ84gはアクチュエータ内に延びてアクチュエータのピニオンギヤ89gに螺合している、そのため、モータの駆動によってピニオンギヤ89gが回転すると、ピニオンギヤと噛合するセクションギヤ84gを持つ駆動リンク84が回動し、メインリンク82が駆動リンクと一体的に回動する。そして、可動支柱の左右の側壁44aから突出するピン44bが、バックパネル背面の下方ブラケット34Lの支持孔にそれぞれ軸支されているため、このピンを回動中心として、バックパネル34が、回動規制ピン82f、長孔86fで規制される範囲で、可動支柱44に対して前後方向に傾斜(回動)する。
また、トルクリミッタ(図示しない)がモータ、ピニオンギヤの間でアクチュエータ89に設けられて、モータの出力を規制している。
【0047】
一体的に回動するメインリンク82、駆動リンク84を一体化してもよい。すなわち、駆動リンク84を省略して、第1のメインリンク82−1を回動規制ピン82fより下方に延出させてその下縁にセクションギヤを形成し、回動規制ピンを規制リンクの長孔86fに直接挿通させれば、バックパネル34が、回動規制ピン、長孔で規制される範囲で、可動支柱44に対して前後方向に傾斜(回動)する構成が得られる。この構成では、駆動リンク84が省略されることにより、傾斜機構80の構成が簡単化される。
【0048】
バックパネル背面の下方ブラケット34Lはバックパネル背面の下端に設けられ、このブラケット34Lに軸支されたピン44bが回動中心(傾斜中心)として、シートバック30が傾斜(傾動)される。つまり、回動中心がシートバック30の下端に設定されている。そのため、シートバック30を傾斜させても、着座者の腰部から肋骨下部を主に支持するシートバック下半部の前後位置の変動が抑えられ、シートクッション後端中央の凹部20aとシートバック下端との干渉を大きくすることなく、シートバックの傾斜を調整できる。
【0049】
ピニオンギヤ89gにモータから伝達される出力をトルクリミッタで規制しているため、後方衝突時(後突時)にシート10に衝撃力が加わると、ピニオンギヤがスリップして衝突エネルギーを吸収しながらシートバック30を傾斜させる。そのため、着座者に加わる衝撃が緩和され、安全性が確保される。
【0050】
バックパネル34が、可動支柱44とともに支柱本体(固定支柱)42に沿って昇降(スライド)してフィット感を損なうことなく着座者の体格(身長)に対応してシートバックの位置を調整できるだけでなく、バックパネルは可動支柱に対して傾斜できる。そのため、昇降した位置でシートバック30を傾斜させることにより、シートバック座面でのフィット感を損なうことなく着座者の体格(身長)に対応してシートバックの位置を更に調整できる。
【0051】
また、実施例では、シートクッション20、シートバック30を相対的に昇降する昇降手段60が、シートバックの昇降機構64に加えてシートクッションの昇降機構としてシートリフター61を備え、シートクッション、シートクッションをそれぞれ独立して昇降させている。そのため、シートクッション20、シートバック30の相対的な昇降を広範囲に設定でき、着座者の体格に対応したシートバックの位置が適確に調整され、平均よりかなり大きな体格(身長)の着座者も、かなり小さい体格の着座者もフィット感を損なうことなく無理なく着座できる。
【0052】
シートリフター61によってシートクッション20を昇降させてシートクッションが前後に移動しても、傾斜機構80を備えているため、シートバック30の傾きを調整でき、体格に対応した位置での適切な視線が確保され、シートリフターの動作時においても、着座者の体格に対応した位置でのフィット感が維持される。
【0053】
傾斜機構80を可動支柱44でなく支柱本体42に直接設けて支柱本体にシートバック30を傾斜可能に設けてもよい。この構成では、シートリフター61によってシートクッション20を昇降させることにより、着座者の体格(身長)に対応したシートバックの位置が調整される。
【0054】
上半部、下半部に分割した公知の構成では、シートバックを上昇させると、上半部、下半部の間に隙間が生じてシートバック座面でのフィット感が損なわれる。これに対して、シートバック30は、上下に分割されない一体物として形成されているため、シートバックを昇降させても隙間がシートバックに生じることはなく、シートバック座面でのフィット感が維持される。
【0055】
ヘッドレスト18を頂部に持つ支柱46を可動支柱44に取付けて、シートバック30とともにヘッドレストを昇降させているため、着座者の体格に対応してシートバック座面の位置を調整しても、フィット感を損なうことなくヘッドレストで着座者の頭部を支持できる。
【0056】
上記のように、本発明によれば、肋骨、肩甲骨付近での部位が中心に支持することにより、体格(横幅)の異なる着座者に対してもフィット感のもとで支持できる。
【0057】
また、シートバックの下半部を上半部よりも挟幅に形成して、シートバックの挟幅下半部の遊嵌される凹部をシートクッション後端中央に設ければ、シートクッション後端、シートバック下端の間に隙間が生じることがない。そのため、シートクッション、シートバックを相対的に昇降させることにより、着座者の体格(身長)に対応してシートバックの位置(座面位置)を調整できる。
【0058】
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
実施例では、シートを車両用シートとして具体化し、本発明のシートは、通常、車両用シートとして具体化されるが、シートクッション、シートバックも持つシートであれば具体化でき、車両用シートに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、乗用車、バスなどの車両用シートに一般的に応用されるが、シートクッション、シートバックも持つシート、たとえば、電車、飛行機などのシート、事務で使用されるシート(事務用椅子)、公民館、劇場、映画館、スポーツ施設などに設置されるシートなどにも広範囲に応用できる。
【0060】
シートクッション、シートバックの昇降手段、シートバックの傾斜機構の態様は以下のように例示できる。
1.シートは、支柱に対してシートバックを前方に傾斜させるシートバックの傾斜機構をさらに具備し、傾斜機構はシートバックの背面の下端にシートバックの傾斜中心を設定している。
2.昇降手段は、ライザー、シートクッション間に設けられてシートクッションを昇降させるシートリフターである。
3.支柱は、ライザーの後端にその下端が連結された固定の支柱本体と、その前面にシートバックが取付けられ、支柱本体にガイドされ支柱本体に沿ってスライドされる可動支柱とを備え、
昇降手段は、支柱本体に取付けられた固定レールと、固定レールに組み込まれ、固定レールにガイドされ、固定レールに沿ってスライドされる可動レールとを備え、可動支柱が可動レールに取付けられるとともにシートバックが可動支柱に取付けられて可動支柱とともにシートバックを昇降させるシートバック昇降機構である。
4.支柱は、ライザーの後端にその下端が連結された固定の支柱本体と、その前面にシートバックが取付けられ、支柱本体にガイドされ支柱本体に沿ってスライドされる可動支柱とを備え、
昇降手段は、
ライザー、シートクッション間に設けられてシートクッションを昇降させるシートリフターと、
支柱本体に取付けられた固定レールと、固定レールに組み込まれ、固定レールにガイドされ、固定レールに沿ってスライドされる可動レールとを備え、可動支柱が可動レールに取付けられるとともにシートバックが可動支柱に取付けられて可動支柱とともにシートバックを昇降させるシートバック昇降機構とからなる。
5.シートは、可動支柱に対してシートバックを前方に傾斜させるシートバックの傾斜機構をさらに具備し、傾斜機構はシートバックの背面の下端にシートバックの傾斜中心を設定している。
6.左右一対のブラケットが、上下方向でシートバックの背面の中央および下端にそれぞれ設けられ、
可動支柱から延びた一対のピンがシートバック背面の下方のブラケットに軸支されて、シートバックの傾斜中心となり、
傾斜機構は、
ピンによってシートバック背面の上方のブラケットにそれぞれ軸支され、その一端が連結ロッドで連結されて一体化された第1、第2のメインリンクと、
第1のメインリンクの他端に取付けられ、その自由端にセクションギヤが形成された駆動リンクと、
駆動リンクの外側で第1のメインリンクの他端に取付けられた規制リンクと、
ピニオンギヤ付のモータを内蔵して可動支柱に取付けられ、駆動リンクのセクションギヤに噛合するピニオンギヤを駆動して、駆動リンク、メインリンクを回動させて、可動支柱に対してシートバックを傾斜させるアクチュエータと、
を備え、
第1のメインリンクの他端からピンが延び、このピンの挿通される孔が駆動リンク、規制リンクにそれぞれ形成され、規制リンクの孔が円弧形状の長孔である。
7.左右一対のブラケットが、上下方向でシートバックの背面の中央および下端にそれぞれ設けられ、
可動支柱から延びた一対のピンがシートバック背面の下方のブラケットに軸支されて、シートバックの傾斜中心となり、
傾斜機構は、
ピンによってシートバック背面の上方のブラケットにそれぞれ軸支され、その一端が連結ロッドで連結されて一体化され、第1のメインリンクの自由端にセクションギヤの形成された第1、第2のメインリンクと、
外側で第1のメインリンクの他端に取付けられた規制リンクと、
ピニオンギヤ付のモータを内蔵して可動支柱に取付けられ、第1のメインリンクのセクションギヤに噛合するピニオンギヤを駆動し、メインリンクを回動させて、可動支柱に対してシートバックを傾斜させるアクチュエータと、
を備え、
第1のメインリンクの他端からピンが延び、このピンの挿通される円弧形状の長孔が規制リンクに形成されている。
8.傾斜機構のアクチュエータは、モータの出力をトルクリミッタで規制してピニオンギヤに伝達している。
9.当該シートはライザーがシートスライド機構を介して、または、シートスライド機構を介することなく車床上に設置される車両用シートである。
【符号の説明】
【0061】
10 シート(車両用シート)
20 シートクッション
20a 中央の凹部
20b 端部
22 シートクッション本体
24 クッションパネル
30 シートバック
30U 上半部
30L 下半部
32 シートバック本体
34 バックパネル
40 支柱
42 支柱本体(固定支柱)
44 可動支柱
50 ライザー
60 昇降手段
61 シートリフター
64 シートバック昇降機構
65 固定レール
66 可動レール
80 シートバック傾斜機構
82 一対(第1、第2)のメインリンク
82e 連結ロッド
82f ピン(回動規制ピン)
84 駆動リンク
84g セクションギヤ
86 規制リンク
86f 長孔
89 アクチュエータ
89g ピニオンギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10