(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(B)成分は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びα−オレフィンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種から選ばれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体洗浄剤。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態を示して本発明について具体的に説明する。
【0020】
(液体洗浄剤)
本実施形態に係る液体洗浄剤は、(A)成分:ノニオン界面活性剤と、(B)成分:スルホン酸塩または硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤と、(C)成分:特定の有機溶剤とを含有する。
【0021】
本実施形態の液体洗浄剤の粘度は、特に限定されないが、例えば、30〜300mPa・sが好ましい。粘度が上記上限値以下であれば、塗布洗浄の際に、被洗物である繊維製品等への浸透性を高められる。
上述の粘度の値は、25℃において測定した値である。本明細書に規定した範囲外の粘度であっても、25℃における粘度に補正したときに本明細書に規定した範囲の粘度であれば、それは本発明の範囲に含まれるものとする。
液体洗浄剤の粘度は、細管式粘度計又は回転式粘度計等を用いて測定することができ、特に回転式粘度計を用いて測定することが好ましく、回転式粘度計でもB型粘度計を用いて測定することがより好ましい。本実施形態では、一例としてB型粘度計(TOKIMEC社製)により測定される値(測定条件:ロータNo.2、回転数30rpm、10回転後の値)を用いることができる。
【0022】
本実施形態の液体洗浄剤のpHは4〜9が好ましい。液体洗浄剤のpHが上記4〜9の範囲内であれば、塗布洗浄力がより高まる。液体洗浄剤のpHは6〜9であればさらに好ましく、この範囲では液外観安定性が良好になるという利点がある。
上述のpHの値は、25℃において測定した値である。本明細書に規定した範囲外のpHであっても、25℃におけるpHに補正したときに本明細書に規定した範囲のpHであれば、それは本発明の範囲に含まれるものとする。
液体洗浄剤のpHは、試験紙、試験溶液又は電気的なpH測定装置(pHメーター等)その他の測定手段を適宜用いて測定することができる。本実施形態では、一例としてpHメーター(HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)等により測定される値を用いることができる。
【0023】
<(A)成分:ノニオン界面活性剤>
(A)成分は、ノニオン界面活性剤である。(A)成分は、液体洗浄剤に洗浄力を付与するために用いられる。
ノニオン界面活性剤(ノニオン系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤又は非イオン系界面活性剤等と呼ばれることもある)とは、水に溶解してもイオン性を示さない界面活性剤を指す。(A)成分に用いられるノニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アルキルエステル、高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルキルエステル若しくは高級アミン等のアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル若しくはそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキルアミンオキシド、アルケニルアミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド又はアルキルグルコシド等が挙げられる。
【0024】
中でも、(A)成分は後述する一般式(a1)で表されるポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤(以下、(a1)成分ということがある)又は後述する一般式(a2)で表されるポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤(以下、(a2)成分ということがある)が好ましい。これらの(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0025】
本実施形態の液体洗浄剤中の(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して30質量%以上であり、30〜70質量%が好ましい。(A)成分の含有量が液体洗浄剤の全体質量に対して上記下限値の30質量%以上であれば、十分な洗浄力を発揮できる。すなわち、本実施形態では、後述する(B)成分及び(C)成分を含有することにより、(A)成分の濃度を高くしても皮膜形成やゲル化が起こりにくいので、液体洗浄剤中の(A)成分を30質量%以上として液量あたりの洗浄力の高い液体洗浄剤とすることができる。また、液体洗浄剤中の(A)成分を上記70質量%以下とすることで、皮膜形成やゲル化をより生じにくくすることができる。
【0026】
さらに、(A)成分の含有量が液体洗浄剤の全体質量に対して30〜60質量%であることがさらに好ましく、この範囲で充分な洗浄力を発揮できるという利点がある。(A)成分の含有量が液体洗浄剤の全体質量に対して40〜50質量%であることが特に好ましく、この範囲で皮膜形成やゲル化を防止できるという利点がある。
【0027】
<(a1)成分>
本実施形態において、(a1)成分としては、以下の化学式で表される化合物を用いることができる。
R
11−X−[(EO)
s/(PO)
t]−R
12 ・・・(a1)
【0028】
(ここで(a1)式中、R
11は炭素数8〜18の炭化水素基である。XはO、COO又はCONHである。R
12は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数2〜6のアルケニル基である。[]は繰り返し構造を示し、[(EO)
s/(PO)
t]は、(a1)成分の化合物の構造が、[]内にEO又はPOを繰り返す構造を有していることを示す。ここでEOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表す。各化合物は、繰り返し構造内にEOとPOのいずれかのみを有していてもよく、両方を混在して有していてもよい。各化合物がEOとPOを混在して有している場合は、EOとPOはどのような順番で配列していてもよい。sはEOの平均繰返し数を表し、3〜20の数から選択される。tはPOの平均繰返し数を表し、0〜6の数から選択される。ここで、平均繰り返し数とは、上述の化合物を製造する際に、分子ごとにEO又はPOの含まれる数(繰返し数)にばらつきが出るため、便宜上、分子ごとの繰返し数を平均した値を平均繰り返し数と呼ぶものである。平均繰返し数は、合成時に上述の(a2)成分1モルに対して添加するEO又はPOのモル比を平均繰返し数の値とほぼみなしてよいが、厳密に平均繰返し数を求めるには一定モル数のサンプルに対しガスクロマトグラフィーなどで分子量の分布を求め、分子量から推定される繰り返し数の平均を求めてもよい。)
【0029】
(a1)式中、R
11の炭素数は、洗浄力向上の観点から、10〜18が好ましい。
R
11は、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、直鎖でも分岐鎖でもよい。
R
11としては、1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸又は高級脂肪酸アミド等の原料を用い、これらに由来するアルキル基又はアルケニル基等が挙げられる。ここで高級アルコール、高級脂肪酸又は高級脂肪酸アミド等とは、目安として炭素数が5以上の炭素鎖を持つ高級アルコール、高級脂肪酸又は高級脂肪酸アミド等である。
【0030】
R
12がアルキル基である場合、R
12の炭素数は1〜3が好ましい。
R
12がアルケニル基である場合、R
12の炭素数は2〜3が好ましい。
【0031】
Xは、O又はCOOが好ましい。
(a1)式中、XがOの場合、(A)成分はアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤である。
XがOの場合、R
11は、炭素数10〜18のアルキル基又は炭素数10〜18のアルケニル基が好ましい。(a1)で表される化合物にこれらを用いることで、液体洗浄剤の洗浄力が高くなる。XがOの場合、R
11は不飽和結合を有していてもよい。XがOの場合、R
12は、水素原子が好ましい。
【0032】
(a1)式中、XがCOOの場合、(A)成分は脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤である。XがCOOの場合、R
11の炭素数は9〜18が好ましい。(a1)で表される化合物にこれらを用いることで、液体洗浄剤の洗浄力が高くなる。さらに、R
11の炭素数は11〜18がより好ましく、この範囲において外観安定性が良好になるという利点がある。R
11は、不飽和結合を有していてもよい。XがCOOの場合、R
12は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
【0033】
(a1)式中、sは、3〜20の数である。sが20を超える場合、液体洗浄剤のHLB値(界面活性剤の水層と疎水層の親和性)が高くなりすぎて、洗浄力が低下する傾向にある。sが3未満では、(A)成分自体の原料臭気が劣化しやすくなる傾向にある。さらにsが5〜18であることが好ましい。
tは、0〜6の数である。tが6を超える場合、液体洗浄剤の高温下での保存安定性が低下する傾向にある。さらにtは0〜3の数が好ましい。
【0034】
EOとPOとは混在して配列してもよく、(EO)
s/(PO)
tは、EOとPOとが配列に規則性を持たない、いわゆるランダム状に配列されていてもよい。また、EOとPOとがそれぞれ一定数が配列したブロックを形成し、そのブロックが配列している、いわゆるブロック状に配列されていてもよい。
【0035】
(a1)成分において、EO又はPOの付加モル数分布は特に限定されず、(a1)成分を製造する際の反応方法によって変動しやすい。ここで、付加モル数とは原料1モルに対する付加基(化合物に付加させる基、ここではEO又はPO)のモル数を示す。平均付加モル数は化合物の分子ごとの付加モル数の平均であり、化合物の製造時に付加基を添加する際、化合物1モルに対する付加基のモル数の比の値をほぼ平均付加モル数とみなしてよい。平均付加モル数に厳密な値が必要である場合は、一定モル数の化合物内に含まれる分子ごとの分子量をクロマトグラフィーで測定し、分子量から分子ごとの付加モル数を推定し、その値を平均して求める。付加モル数分布は、一定量の化合物に含まれる分子ごとの付加モル数の分布であるが、本実施形態では以下のナロー率を指標とする。一定モル数の化合物内について、含まれる分子ごとの分子量をクロマトグラフィー等で測定し、その付加モル数を推定する。全化合物中に質量基準で最も多く存在する分子の、付加基の付加モル数を「nlmax」とする。付加基の付加モル数がそれぞれ(nlmax−1)、nlmax、及び(nlmax+1)の分子について、その質量の合計(nlmax−1〜1)を求める。化合物中の全ての分子の質量に対する「nlmax−1〜1」の割合をナロー率とする。
EO又はPOの付加モル数分布は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一般的なアルカリ触媒を用いて、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを原料(1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等)に付加させた際には、比較的広い分布となる傾向にある。
EO又はPOの付加モル数分布は、例えば、特公平6−15038号公報に記載のAl
3+、Ga
3+、In
3+、Tl
3+、Co
3+、Sc
3+、La
3+、Mn
2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを原料に付加させた際には、比較的狭い分布となる傾向にある。
液体洗浄剤は、付加モル数分布が狭い(ナローな)、すなわちナロー率が大きい方が液体洗浄剤の化学的特性が安定し、特定の化合物への洗浄力が強くなる。これに対して、付加モル数分布が広い(ブロードな)、すなわちナロー率が小さい方が液体洗浄剤が様々な化学的特性の化合物を含むので、多様な汚れを洗浄できる。そのため付加モル数分布は液体洗浄剤の目的に応じて設計するのが好ましい。
【0036】
(a1)成分のさらに具体例を示す。三菱化学株式会社製のDiadol(商品名、C13(Cは炭素数を示す。以下同様。))、Shell社製のNeodol(商品名、C12とC13との混合物)又はSasol社製のSafol23(商品名、C12とC13との混合物)等のアルコール1モルに対して、12モル相当、又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;プロクター・アンド・ギャンブル社製のCO−1214又はCO−1270(商品名)等の天然アルコール1モルに対して、12モル相当又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;ブテンを3量化して得られるC12アルケンをオキソ法に供して得られるC13アルコール1モルに対して、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(商品名:Lutensol TO7、BASF社製);ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコール1モルに対して、9モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(商品名:Lutensol XP90、BASF社製);ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコール1モルに対して、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(商品名:Lutensol XL70、BASF社製);ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコール1モルに対して、6モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(商品名:Lutensol XA60、BASF社製);炭素数12〜14の第2級アルコール1モルに対して、9モル相当又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(商品名:ソフタノール90、ソフタノール150、株式会社日本触媒製);ヤシ脂肪酸メチル(ラウリン酸/ミリスチン酸=8/2)1モルに対して、アルコキシル化触媒を用いて、15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(ポリオキシエチレンヤシ脂肪酸メチルエステル(EO15モル))等が挙げられる。
【0037】
液体洗浄剤の洗浄力向上の観点を特に重視する場合には、(A)成分として(a1)成分を用いることが好ましい。
【0038】
<(a2)成分>
本実施形態において、(a2)成分としては、以下の化学式で表される化合物を用いることができる。
R
13−O−[(EO)
p/(PO)
q]−(EO)
r−H ・・・(a2)
【0039】
((a2)式中、R
13は炭素数8〜18の炭化水素基である。[]は繰り返し構造を示し、[(EO)
s/(PO)
t]は、(a1)成分の化合物の構造が、[]内にEO又はPOを繰り返す構造を有していることを示す。ここでEOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表す。各化合物は、繰り返し構造内にEOとPOのいずれかのみを有していてもよく、両方を混在して有していてもよい。各化合物がEOとPOを混在して有している場合は、EOとPOはどのような順番で配列していてもよい。pは繰り返し構造内のEOの平均繰返し数を表し、qは繰り返し構造内のPOの平均繰返し数を表し、rは繰り返し構造の外のEOの平均繰返し数を表し、p、q、rは、p>1、r>1、0<q≦3、p+r=10〜20を満たす数である。
【0040】
(a2)式中、R
13は、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。R
13は、直鎖でも分岐鎖でもよい。
(a2)式中、EOとPOとの比率は、q/(p+r)で表される比で0.1〜0.5であることが好ましい。q/(p+r)で表される比が上記0.1値以上であることで、泡が立ちすぎず、泡立ちの適正化を図りやすい。上記0.5値以下であることで、適度な粘度を得られやすくなり、ゲル化をより良好に抑制できる。EOとPOとの比率は0.1〜0.3であることがより好ましい。
【0041】
EOとPOとは混在して配列してもよく、(EO)
p/(PO)
qは、EOとPOとが配列に規則性を持たない、いわゆるランダム状に付加されていてもよい。また、EOとPOとがそれぞれ一定数が配列したブロックを形成し、そのブロックが配列している、いわゆるブロック状に付加されていてもよい。
【0042】
(a2)成分は、公知の方法で製造することができる。例えば、天然油脂から誘導されたR
13を有するアルコールに対して、エチレンオキシド、プロピレンオキシドの順に付加した後、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを混合付加(ランダム付加)した後、再度、エチレンオキシドを付加して、(a2)成分を製造できる。
【0043】
(A)成分として(a2)成分を用いることで、液体洗浄剤は適度な粘度になりやすく、ゲル化をより良好に抑制できる。また、泡立ち性が向上し、生分解性もより良好になる。
【0044】
<(B)成分:スルホン酸塩または硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤>
本実施形態の液体洗浄剤に含まれる(B)成分は、成分:スルホン酸塩または硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である。液体洗浄剤は、(B)成分を含有することで、皮膜形成及びゲル化を良好に防止できる。
【0045】
アニオン界面活性剤(アニオン系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陰イオン系界面活性剤又は陰イオン性界面活性剤等と呼ばれることもある)とは、水に溶解すると陰イオン性となる界面活性剤で、陰イオン性の親水基を有する。
【0046】
(B)成分に用いられるアニオン界面活性剤として、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩;又はα−スルホ脂肪酸エステル塩等が好ましい。上述する化合物の硫酸又はスルホ脂肪酸のエステル塩とは、それらの化合物の硫酸基又は脂肪酸基が金属又はアミン等との塩をなしているものを指す。これらの非石鹸系のアニオン界面活性剤における塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン又はジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく、炭素数10〜14のものが特に好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。アルキル硫酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が10〜20のものが好ましい。
【0047】
(B)成分に用いるアルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又は炭素数10〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基を有していてもよい。又、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基を有するものであってもよい。
アルカンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が10〜20のものが好ましく、14〜17のものがより好ましい。中でも、前記アルキル基が2級アルキル基であるもの(即ち、2級アルカンスルホン酸塩)が特に好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、脂肪酸残基の炭素数が10〜20のものが好ましい。
(B)成分にはこれらの中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びα−オレフィンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることが特に好ましい。特に、(B)成分に直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を用いると、安定性が高く臭気が抑えられるが、特に安定性が高くなる効果が高い。(B)成分にポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を用いることで、安定性が高く臭気が抑えられるが、特に臭気が抑えられる効果が高い。
【0048】
(B)成分として、上記以外の他の非石鹸系のアニオン界面活性剤を用いてもよい。前記他の非石鹸系のアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(又はアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩又はグリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
これらの(B)成分は、市場において容易に入手できる。
これらの(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0049】
本実施形態の液体洗浄剤中の(B)成分の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して1〜20質量%が好ましい。(B)成分の含有量が上記1〜20重量%の範囲内であれば、液体洗浄剤の皮膜形成やゲル化をより防止しやすく、液体洗浄剤の低温安定性を高められる。(B)成分の含有量は2〜10質量%であることがより好ましく、この範囲内では皮膜形成及びゲル化の防止、低温安定性を高いレベルで両立することができる。(B)成分の含有量は3〜8質量%であることがさらに好ましい。
【0050】
本実施形態の液体洗浄剤中、(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、A/B比ということがある)は、3〜50が好ましい。A/B比が上記3以上であれば、皮膜形成やゲル化をより良好に防止でき、上記50以下であれば、洗浄後の被洗物の臭気がより損なわれにくい。A/B比は5〜20であることがより好ましい。さらにA/B比が7〜15であることがさらに好ましい。
【0051】
<(C)成分:特定の有機溶剤>
本実施形態の液体洗浄剤に含まれる(C)成分は、下記一般式(I)で表される有機溶剤である。本実施形態の液体洗浄剤は、(C)成分を含有することで、皮膜形成やゲル化を良好に防止でき、かつ臭気を良好にできる。
【0052】
さらに詳細に説明すると、(C)成分は、揮発性が低い。このため、液体洗浄剤は、(C)成分を含有することで、開放系に放置された場合でも皮膜形成やゲル化を生じにくい。加えて、液体洗浄剤に(C)成分を含有することで、液体洗浄剤に配合される着香剤の香気を損ないにくい。さらに、液体洗浄剤に(C)成分を含有することで、被洗物へ(C)成分の臭気を残留させにくい。
【0054】
((I)式中、R
1〜R
3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、R
4は、水素原子又はアセチル基である。)
【0055】
(I)式中、R
1〜R
3は、全てが水素原子であるか、又は1つがアルキル基であり、他の2つが水素原子である、即ち、R
1〜R
3の内、2つ又は3つ(2つ以上、少なくとも2つ)が水素原子であることが好ましい。R
1〜R
3の内、2つ又は3つが水素原子であれば、開放系に放置されても、皮膜形成やゲル化をより良好に防止できる。
R
1〜R
3のいずれかがアルキル基である場合、前記アルキル基の炭素数は、1〜2が好ましく、1がより好ましい。R
1〜R
3の炭素数が上記範囲内であれば開放系に放置された場合でも、皮膜形成やゲル化をより良好に防止できる。
R
4は、開放系に放置された場合でも、皮膜形成やゲル化をより良好に防止する観点から、水素原子が好ましい。
【0056】
(C)成分としては、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシ−3−エチルブタノール、3−メトキシ−3−プロピルブタノール、3−メトキシ−2−メチルブタノール、3−メトキシ−2−エチルブタノール、3−メトキシ−2−プロピルブタノール、3−メトキシ−1−メチルブタノール、3−メトキシ−1−エチルブタノール又は3−メトキシ−1−プロピルブタノール等の、(I)式中のR
4が水素原子であるもの;3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシ−3−エチルブチルアセテート、3−メトキシ−3−プロピルブチルアセテート、3−メトキシ−2−メチルブチルアセテート、3−メトキシ−2−エチルブチルアセテート、3−メトキシ−2−プロピルブチルアセテート、3−メトキシ−1−メチルブチルアセテート、3−メトキシ−1−エチルブチルアセテート、3−メトキシ−1−プロピルブチルアセテート等の(I)式中のR
4がアセチル基であるもの等が挙げられる。
【0057】
中でも、(C)成分としては、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシ−2−メチルブタノール、3−メトキシ−1−メチルブタノール又は3−メトキシ−3−メチルブチルアセテートが好ましい。さらに、(C)成分としては3−メトキシ−3―メチルブタノールがより好ましい。
これらの(C)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0058】
本実施形態の液体洗浄剤中の(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して1〜20質量%が好ましい。(C)成分の含有量が上記1質量%以上であれば、液体洗浄剤の皮膜形成やゲル化をより防止しやすく、液体洗浄剤の低温安定性を高められる。(C)成分の含有量が上記20質量%以下であれば、(C)成分の臭気が被洗物に対してより移行しにくく、液体洗浄剤自体の臭気をより損ないにくい。(C)成分の含有量は2〜15質量%であることがより好ましい。(C)成分の含有量は3〜10質量%であることがさらに好ましい。
また(C)成分は(C)成分以外の水混和性有機溶剤(C’)と併用することが好ましく、中でもエタノールと併用することがより好ましい。(C)+(C’)<5の時、(C)/(C’)は4以上が好ましい。また5≦(C)+(C’)の時、(C)/(C’)は0.5〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。前記範囲内であることで、臭気と皮膜形成防止がさらに良好になる。
【0059】
本実施形態の液体洗浄剤中、(C)成分/(A)成分で表される質量比(以下、C/A比ということがある)は、0.04〜0.5である。C/A比が上記0.04未満では、液体洗浄剤の皮膜形成やゲル化を良好に防止できず、上記0.5を超えた値では、液体洗浄剤の臭気が損なわれやすい。C/A比は0.04〜0.3であることが好ましい。C/A比は0.04〜0.18であることがより好ましい。
【0060】
本実施形態の液体洗浄剤は、上述の(A)〜(C)の成分及び後述の任意成分を分散する溶媒としての水を含む。液体洗浄剤中の水の含有量は、例えば、液体洗浄剤の全体質量に対して10〜70質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
【0061】
<任意成分>
本実施形態の液体洗浄剤は、必要に応じて、(A)〜(C)成分以外の任意成分を含有できる。任意成分としては、(A)〜(B)成分以外の界面活性剤(任意界面活性剤)、減粘剤、可溶化剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、風合い向上剤、蛍光増白剤、再汚染防止剤、酵素、着香剤、着色剤、乳濁化剤、エキス類、pH調整剤、パール剤又はソイルリリース剤等が挙げられる。
【0062】
任意界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤又は高級脂肪酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤(カチオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陽イオン系界面活性剤又は陽イオン性界面活性剤等と呼ばれることもある)とは、水に溶解すると陽イオン性となる界面活性剤で、陽イオン性の親水基を有する。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩又はアルキルピリジニウム塩等のカチオン界面活性剤が挙げられる。液体洗浄剤中、カチオン界面活性剤の含有量は液体洗浄剤の全体質量に対して0.1〜8.0質量%が好ましい。
両性界面活性剤とは、水に溶解すると水中のpHによって全体としてプラス又はマイナスの電荷を持ち得るもので、例としてアニオンとカチオンの両方の親水基を有するものがある。両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型又はリン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。液体洗浄剤中、両性界面活性剤の含有量は液体洗浄剤の全体質量に対して0.05〜5.0質量%が好ましい。
高級脂肪酸塩としては、炭素数10〜20の高級脂肪酸塩が挙げられる。液体洗浄剤中、高級脂肪酸塩の含有量は液体洗浄剤の全体質量に対して0.01〜5質量%が好ましい。高級脂肪酸塩の含有量が上記0.01質量%以上であれば、洗浄時の消泡性を高められ、上記5質量%を超える値では、液体洗浄剤の皮膜形成やゲル化を生じやすくなる傾向にある。
【0063】
減粘剤又は可溶化剤としては、例えば、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、置換もしくは非置換ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、又は、置換もしくは非置換ナフタレンスルホン酸塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、又はアルカノールアミン塩等が挙げられる。
減粘剤又は可溶化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本実施形態の液体洗浄剤中、減粘剤又は可溶化剤の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0.01〜15質量%が好ましい。上記範囲内であれば、液体洗浄剤の皮膜形成をより防止できる。
【0064】
アルカリ剤としては、例えばアルカノールアミンが挙げられる。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はトリエタノールアミン等が挙げられる。アルカリ剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本実施形態の液体洗浄剤中、アルカリ剤の含有量は、例えば、液体洗浄剤の全体質量に対して0.5〜5質量%が好ましい。
【0065】
金属イオン捕捉剤としては、例えば、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸又はクエン酸等が挙げられる。
金属イオン捕捉剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本実施形態の液体洗浄剤中の金属イオン捕捉剤の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0.1〜20質量%が好ましい。
【0066】
酸化防止剤としては、特に限定されないが、洗浄力と液安定性とが良好であることから、フェノール系酸化防止剤が好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)又はdl−α−トコフェロールがより好ましく、ジブチルヒドロキシトルエン、dl−α−トコフェロールが特に好ましい。
酸化防止剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本実施形態の液体洗浄剤中の酸化防止剤の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0.01〜2質量%が好ましい。
【0067】
風合い向上剤としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン又はアミノ変性シリコーン等のシリコーン等が挙げられる。
本実施形態の液体洗浄剤中の風合い向上剤の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0〜5質量%が好ましい。
【0068】
蛍光増白剤としては、ジスチリルビフェニル型の蛍光増白剤等が挙げられる。
蛍光増白剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本実施形態の液体洗浄剤中の蛍光増白剤の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0〜1質量%が好ましい。
【0069】
再汚染防止剤としては、ポリビニルピロリドン又はカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
再汚染防止剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本実施形態の液体洗浄剤中の再汚染防止剤の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0〜2質量%が好ましい。
【0070】
酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ又はこれらの製剤等が挙げられる。
【0071】
着香剤としては、従来、液体洗浄剤に用いられているものであれば特に限定されず、例えば、炭化水素、エーテル、アルコール、フェノール、フェノールエーテル、アルデヒド、アセタール、ケタール、ケトン、ラクトン、エステル若しくは含硫黄系等の化合物から選択された物質、又は、天然系香料若しくは合成系香料等から適宜選択される。これらの例として特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A〜D等が挙げられる。
本実施形態の液体洗浄剤中の着香剤の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0.1〜1質量%が好ましい。
【0072】
着色剤としては、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号又はターコイズP−GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料が挙げられる。
本実施形態の液体洗浄剤中の着色剤の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0.00005〜0.005質量%が好ましい。
【0073】
乳濁剤としては、ポリスチレンエマルション又はポリ酢酸ビニルエマルション等が挙げられ、通常、固形分30〜50質量%のエマルションが好適に用いられる。エマルションの乳濁剤の例としては、ポリスチレンエマルション(商品名:サイビノールRPX−196 PE−3、固形分40質量%、サイデン化学株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態の液体洗浄剤中の乳濁剤の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0.01〜0.5質量%が好ましい。
【0074】
エキス類としては、イヌエンジュ、ウワウルシ、エキナセア、コガネバナ、キハダ、オウレン、オールスパイス、オレガノ、エンジュ、カミツレ、スイカズラ、クララ、ケイガイ、ケイ、ゲッケイジュ、ホオノキ、ゴボウ、コンフリー、ジャショウ、ワレモコウ、シャクヤク、ショウガ、セイタカアワダチソウ、セイヨウニワトコ、セージ、ヤドリギ、ホソバオケラ、タイム、ハナスゲ、チョウジ、ウンシュウミカン、ティーツリー、バーベリー、ドクダミ、ナンテン、ニュウコウ、ヨロイグサ、シロガヤ、ボウフウ、オランダヒユ、ホップ、ホンシタン、マウンテングレープ、ムラサキタガヤサン、セイヨウヤマハッカ、ヒオウギ、ヤマジソ、ユーカリ、ラベンダー、ローズ、ローズマリー、バラン、スギ、ギレアドバルサムノキ、ハクセン、ホウキギ、ミチヤナギ、ジンギョウ、フウ、ツリガネニンジン、ヤマビシ、ヤブガラシ、カンゾウ又はセイヨウオトギリソウ等の植物エキス等が挙げられる。
本実施形態の液体洗浄剤中のエキス類の含有量は、液体洗浄剤の全体質量に対して0〜0.5質量%が好ましい。
【0075】
本実施形態の液体洗浄剤のpHを所望の値とするために、pH調整剤を配合してもよい。ただし、上述した各成分のみで液体洗浄剤が所望のpHとなる場合は、pH調整剤を用いなくてもよい。
pH調整剤としては、例えば、硫酸、塩酸等の酸性化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等のアルカリ性化合物が挙げられる。液体洗浄剤の経時安定性を高める観点から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアルカノールアミンが好ましく、硫酸又は水酸化ナトリウムがより好ましい。
これらのpH調整剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。液体洗浄剤中のpH調整剤の含有量は、目的とするpHに応じて適宜選択される。
【0076】
本実施形態の液体戦場剤の変更態様として、少なくとも(A)〜(C)成分を含み、水を含んでいない液体洗浄剤であってもよい。この場合、液体洗浄剤は使用直前に水に対して分散されてもよいし、使用する際に洗浄用の水に溶解されてもよい。
【0077】
(液体洗浄剤の製造方法)
本実施形態の液体洗浄剤の製造方法としては、(A)〜(C)成分及び必要に応じて任意成分を水等の分散媒に分散する方法が挙げられる。液体洗浄剤の製造方法として、例えば以下のような方法が挙げられる。上述した(B)〜(C)成分を、少量の水に分散する。このとき、必要に応じて上述の任意成分もこの水に分散する。これらの成分が水に充分に分散したのを目視で確認した後、この分散した水溶液を任意のpHに調整する。pHの調整には上述のpH調整剤を加えてもよいし、その他の酸、アルカリ又はpH緩衝剤等を添加してもよい。このpHを調整した水溶液に、次いで、(A)成分を分散する。その後、液体洗浄剤の最終的なpHとして臨む任意のpHにさらに調整し、さらに水を加えて、液体洗浄剤を得る。水は液体洗浄剤の全体質量に対して10〜70質量%となるよう加えるのが好ましく、20〜40質量%となるよう加えるのがより好ましい。
【0078】
(液体洗浄剤の使用方法)
本実施形態の液体洗浄剤の使用方法(本実施形態の液体洗浄剤を用いた洗浄方法)は、一般的な液体洗浄剤の使用方法と同様である。
例えば、液体洗浄剤を被洗物と共に水に入れ、洗濯機で洗浄する方法、液体洗浄剤を被洗物に直接塗布する方法、液体洗浄剤を水に溶解して洗浄液とし、この洗浄液に被洗物を浸漬する方法等が挙げられる。また、液体洗浄剤を被洗物に塗布し、適宜放置した後、洗濯機等を用いて洗浄してもよい。液体洗浄剤を被洗物と共に水に入れ、洗濯機で洗浄する方法の場合、水に対する液体洗浄剤の量は液体洗浄剤の成分によっても変わってくるが、目安として水の体積に対して液体洗浄剤が0.03〜1体積%で洗浄の効果が得られる。洗浄する時間や回数は、被洗物の量や素材、汚れの軽重、液体洗浄剤の成分又は液体洗浄剤の濃度によって適切な値が変わってくるが、目安として綿等を主な構成素材とする被洗物で、洗浄に用いる水に浸漬する程度の量を洗浄する場合は、5〜30分の洗浄を1〜4回程度行うのが好ましい。液体洗浄剤を水に溶解して洗浄液とし被洗物を浸漬する方法では、液体洗浄剤の含有量は上述の洗濯機による洗浄ど同様でも構わないが、より液体洗浄剤が濃い(含有量が多い)方が効果が高く、目安として水の体積に対して液体洗浄剤が0.06〜5体積%が望ましい。
被洗物としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態の液体洗浄剤は衣料、布帛、シーツ、カーテン又は絨毯等の繊維製品に好ましく適用できる。
【0079】
以上、説明した通り、本発明によれば、(A)成分を液体洗浄剤の全体質量に対して30質量%以上含有するため、少量で高い洗浄力を発揮できる。
加えて、液体洗浄剤は、(B)成分と(C)成分とを含有するため、皮膜形成やゲル化を良好に防止できる。
さらに、液体洗浄剤は(C)成分を含有するため、臭気が良好なものとなる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0081】
(使用原料)
<(A)成分:ノニオン界面活性剤>
A−1:天然アルコール1モルに対して12モル相当のエチレンオキシドが付加したもの(LMAO)。下記合成例1で合成されたもの。
【0082】
≪合成例1≫A−1の合成
プロクター・アンド・ギャンブル社製のCO−1214(商品名)861.2gと、液体洗浄剤の全体質量に対して30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器中に仕込み、この容器内を窒素置換した。次に、この容器内を温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温した。次いで、容器内の反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)760.6gを反応液中に徐々に加えた。この時、容器内の反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら、エチレンオキシドを吹き込み管で加えた。
エチレンオキシドの添加終了後、この容器内を温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。
次に、この容器内の温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、A−1(LMAO)を得た。
【0083】
A−2:ヤシ脂肪酸メチル(質量比でラウリン酸メチル/ミリスチン酸メチル=8/2の混合物)1モルに対して、アルコキシル化触媒を用いて、15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(メチルエステルエトキシレート、MEE)。下記合成例2で合成されたもの。
【0084】
≪合成例2≫A−2の合成
特開2000−144179号公報に記載の合成方法(サンプルDに対応するもの)に準じて合成した。
組成が2.5MgO・Al
2O
3・wH
2Oである水酸化アルミナ・マグネシウム(キョーワード300(商品名)、協和化学工業株式会社製)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して、焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒を得た。この焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、このオートクレーブ内を窒素で置換した後、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。
得られた反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒を濾別して、A−2(MEE)を得た。
【0085】
A−3:ソフタノール90(商品名、株式会社日本触媒製)。炭素数12〜14の第2級アルコール1モルに対して、9モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。
A−4:Lutensol XP90(商品名、BASF社製)。ペンタノールをガーベット反応に供して得られる炭素数10のアルコール1モルに対して9モル相当のエチレンオキシドを付加したもの
A−5:炭素数10〜14の1級アルコール1モルに対して、平均付加モル数9モルとなるようエチレンオキシド、平均付加モル数2モルとなるようプロピレンオキシド、平均付加モル数9モルとなるようエチレンオキシドを順にブロック付加させたもの。(a2)式におけるR
13が炭素数10〜14の直鎖状アルキル基、p=9、q=2、r=9のもの。表中、アルコールEOPO付加物と記載。
【0086】
<(B)成分:アニオン界面活性剤>
B−1:LAS、直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(商品名:ライポンLH−200(LAS−H)、純分96質量%、ライオン株式会社製)、平均分子量322(液体洗浄剤を製造する際、pH調整剤である水酸化ナトリウムにより中和され、ナトリウム塩となる)。
【0087】
B−2:AES、炭素数12〜13のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキシドの平均付加モル数2)。下記合成例3で合成されたもの。
【0088】
AES、炭素数12〜13のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキシドの平均付加モル数2)。下記合成例3で合成されたもの。
≪合成例3≫B−2の合成
4Lのオートクレーブ中に、原料アルコールとしてNeodol23(商品名、C12,13アルコール(炭素数12のアルコールと、炭素数13のアルコールとの質量比1/1の混合物)、分岐率20質量%、Shell社製)400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込んだ。このオートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、オートクレーブ内を温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキシド272gを導入し、エチレンオキシドの平均付加モル数2の反応物(アルコールエトキシレート)を得た。
得られたアルコールエトキシレート280gを撹拌装置付の500mLフラスコに仕込み、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)67gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、このフラスコの内容物を1時間撹拌し(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、B−2(AES)を得た。
このB−2のエチレンオキシドの付加モル数の分布を、エチレンオキシドのナロー率を測定して評価した。エチレンオキシドのナロー率は以下のように求めた。
AESを構成する全エチレンオキシド付加体中に質量基準で最も多く存在するエチレンオキシド付加体のエチレンオキシドの付加モル数を「nlmax」とする。エチレンオキシドの付加モル数がそれぞれ(nlmax−1)、nlmax、及び(nlmax+1)のエチレンオキシド付加体について、その質量の合計(nlmax−1〜1)を求める。AES中の全てのエチレンオキシド付加体の質量に対する「nlmax−1〜1」の割合をナロー率とする。
ここで得られたB−2のエチレンオキシドのナロー率は、35質量%であった。
【0089】
B−3:2級アルカンスルホン酸Na(SAS)、SAS30(商品名、クラリアント・ジャパン株式会社製)。
B−4:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステルモノエタノールアミン塩(炭素数10〜14の直鎖アルキル、PO平均付加モル数1、EO平均付加モル数3)
【0090】
<(C)成分:特定の有機溶剤>
C−1:3−メトキシ−3−メチルブタノール(商品名:ソルフィット、株式会社クラレ製)。
C−2:3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート(商品名:ソルフィットAC、株式会社クラレ製)。
【0091】
<(C’)成分:(C)成分の比較品>
C’−1:エタノール(商品名:特定アルコール95度合成、日本アルコール販売株式会社製)。
C’−2:ブチルカルビトール(日本乳化剤株式会社製)。
【0092】
<pH調整剤>
水酸化ナトリウム又は硫酸:適量(表中のpHに調整するために必要な量)。各例の液体洗浄剤中のpH調整剤の合計は、0〜3質量%であった。
<水>
精製水:バランス(液体洗浄剤全体の量を100質量%とするための量)。
【0093】
<共通成分>
以下、各成分の末尾に記載した「質量%」は、各例の最終的に調整された液体洗浄剤中の含有量である。
パラトルエンスルホン酸:PTS酸(商品名)、協和発酵工業株式会社製・・・1質量%。
モノエタノールアミン:株式会社日本触媒製・・・1質量%。
椰子脂肪酸:日油株式会社製・・・1質量%。
パルミチン酸:日油株式会社製・・・0.1質量%。
着香剤:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A・・・0.4質量%。
ジブチルヒドロキシトルエン(BHT):SUMILZER BHT−R(商品名)、住友化学株式会社製・・・0.05質量%。
乳酸:純正化学株式会社製・・・1質量%。
着色剤:緑色3号、癸巳化成株式会社製・・・0.0002質量%。
酵素:コロナーゼ(商品名)、ノボザイム社製・・・0.6質量%。
クエン酸:液体クエン酸(商品名)、一方社油脂工業株式会社製・・・0.1質量%。
【0094】
(評価方法)
<安定性>
各例の液体洗浄剤10gをプラスチック製容器(長さ5cm×幅5cm×高さ3cm)に入れ、これを25℃、30%RHの恒温恒湿室で40時間保管した。試験に用いたプラスチック製容器は、上端が開口しているものである。この液体洗浄剤をそれぞれ恒温恒湿室で40時間保管した後、下記評価基準に従って安定性を評価した。
【0095】
≪評価基準≫
◎:皮膜形成及びゲル化を生じてなく、均一透明で流動性がある。
○:にごりが見られるが、皮膜形成及びゲル化を生じてなく、流動性がある。
△:ゲル化を生じてなく、流動性があるが、表面に皮膜が形成されている。
×:ゲル化を生じ、流動性が著しく低下している。
【0096】
<臭気>
市販木綿タオル(綿100%)10枚を二槽式洗濯機(商品名:CW−C30A1、三菱電機株式会社製)に入れ、水道水12Lと各例の液体洗浄剤8mLとを前記二槽式洗濯機に入れた。この木綿タオルに対してこの洗濯機内で、弱水流で、洗浄時間10分間、脱水1分間、ためすすぎ(1回、各3分間)及び脱水1分間とした洗濯操作を行った。用いた水道水の温度は、25℃であった。この洗濯操作を5回繰返した。5回の洗濯操作を施した後(脱水後)の木綿タオルを試験布とした。
別途、各例の液体洗浄剤に換えて、ノニオン界面活性剤(ラウリルアルコール1モルに対し、平均付加モル数15モルのエチレンオキシドを付加させたアルコールエトキシレート)の20質量%水溶液16mLを用いて、上記の洗濯操作を5回施した木綿タオルを対照布とした。
10人のパネラーが、下記評価基準に従って、試験布と対照布とを官能評価した。10人のパネラーの評価点の平均点を求め、3.5点以上を◎、3.0点以上3.5点未満を○、2.5点以上3.0点未満を△、2.5点未満を×とした。
【0097】
≪評価基準≫
1点:評価布の方が対照布よりも、異臭(着香剤とは異なる臭気)を非常に強く感じる。
2点:評価布の方が対照布よりも、異臭を感じる。
3点:評価布の方が対照布よりも、異臭をやや感じる。
4点:評価布の異臭と対照布の異臭とは、同等である。
5点:対照布の方が評価布よりも、異臭を強く感じる。
【0098】
(実施例1〜21、比較例1〜5の調整)
表1〜2の組成に従い、500mLビーカーに、(B)成分、(C)成分(又は(C’)成分)及び水の一部を入れ、これをマグネチックスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で攪拌した。次いで、このビーカーにPTS、モノエタノールアミン、椰子脂肪酸を加えた後、pH調整剤を加えてpH7に調整した。このビーカーに酵素以外の共通成分の残部を加え、攪拌しながら、全体量が95質量%となるように水を加え、pH調整剤を加えて、表1〜2中のpHに調整した。次いで、このビーカーに酵素を加え、全体量が100質量%となるように水の残部を加えて、各例の液体洗浄剤を得た。
得られた液体洗浄剤について、安定性及び臭気を評価し、その結果を表中に示す。
なお、表中の組成は、各成分の純分換算量である。
【0099】
(実施例22〜23)
表3の組成に従い、実施例1〜21と同様に実施例22及び23の各例の液体洗浄剤を得た。なお、表3には実施例21についてのC/C‘比も示す。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【表3】
【0102】
表1〜2中、臭気の評価結果については、上段に平均点を記載し、下段に評価を記載した。
表1〜2に示す通り、本発明を適用した実施例1〜21は、安定性の評価が「○」又は「◎」であり、皮膜形成及びゲル化が良好に抑制されたものであった。加えて、実施例1〜21は、臭気の評価が「○」又は「◎」であり、(C)成分に由来する異臭が抑制されたものであった。
一方、(B)成分を含有しない比較例1は、安定性の評価が「△」、(C)成分に換えてエタノールを用いた比較例2は、安定性の評価が「×」であった。また、(C)成分に換えてブチルカルビトールを用いた比較例3は、臭気の評価が「×」であった。C/Aが0.02である比較例4は安定性の評価が「△」であり、C/A比が0.67である比較例5は、臭気の評価が「×」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、皮膜形成やゲル化を良好に防止でき、かつ臭気を良好にできることが判った。