(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0012】
本明細書は、先行技術に係るシステムに対して有効な利点を有する新規なモータ駆動の複数の処置器具による手術システムを開示するものである。
【0013】
概要
図1を参照すると、第1の実施例に係る手術アクセスシステム2には、ハウジング210とハウジング210の先端側から伸びる挿入カニューレ212からなるフィンガードライブ組立200が備えられている。 操縦可能な処置器具移送チューブまたはチューブ状のフィンガー214は挿入カニューレ212の先端側から伸びている。 チューブ状のフィンガー214はフレキシブルな手術処置器具100を受動的に受けるための管腔を備えている。 後で説明するように、フィンガードライブ組立200内に在るモータ駆動のフィンガードライバーは、フィンガー214の先端端部に固定されたケーブルを使用してフィンガー214を操縦する。 各チューブ状のフィンガー214に関連するのは、対応するモータ駆動のロールドライバーであって、これは処置器具シャフトの先端部分を軸廻りに回転させるように作用する。
【0014】
第1の実施例では、フィンガードライバーとロールドライバーを駆動するために使用されるモータは、関連するコントローラとエレクトロニクス同様、ベースユニット218の中に収納され、そしてフィンガードライブ組立200とロールドライバー216は、モータからの動きがフィンガードライバーとロールドライバーに伝達されるように、当該ベースに取外し可能に取り付けられている。 スプリングラッチ255(
図1A)は、フィンガードライブ組立200とロールドライバー216がベース上に適切な方向を向いて配置されるときに、フィンガードライブ組立200およびロールドライバー216とベース218とを係合させるために配置されている。 ベースユニット218の上面に在るアライメント機構215(
図1C)は、フィンガードライブ組立200とロールドライバー216の下面にある対応する機構とはまり合うか、接触するようになっている。 このアライメント機構は、組立てられたコンポーネントを整列させるのに有用であり、かつ使用中ベース218に取り付けられたコンポーネントが当該ベースの表面から相対的に滑って移動するのを防止するのに役立つ。
【0015】
ベースユニット218は、無菌カーテンやバッグ(図示せず)を使用した無菌フィールドから隔離された再使用可能コンポーネントとすることができ、一方、フィンガードライブ組立200とロールドライバー216は使い捨てコンポーネントあるいは廃棄するまでに何回か使用できる再使用可能コンポーネントとして製造することができる。 再使用可能コンポーネントは、高圧蒸気殺菌あるいはその他の無菌化に対応した設計となっている。
【0016】
コマンドインターフェース250は、各チューブ状のフィンガー214に対して備えられている。 コマンドインターフェース250には、処置器具ハンドルを支持する処置器具ボックス252が含まれている。 コマンドインターフェース250は、処置器具ハンドル(例えば、パン、チルト、ロールの動き)及び/又はその他のユーザー入力のユーザーによる操作に対応して信号を発生させるユーザー入力装置である。 コマンドインターフェース250によって発生された信号に対応して、フィンガードライバーとロールドライバーがユーザーの入力に従ってフィンガーと処置器具を駆動するために、当該システムのモータがコントロールされる。
【0017】
図1Bを参照すると、当該システム2は、支持アーム204をフィンガードライバーとロールドライバー、関連するモータ、およびコマンドユニットを手術台の近くで保持できるように患者のサイドカート205、手術台206、天井固定具、あるいはその他の固定具から伸びた支持アーム204によって支持されており、外科医が処置器具100の上に手を置き、患者の横に立つことができるようになっている。 当該アームは複数の自由度を持ち、当該システム2を再配置できるようなものであっても良い。 ロボット制御されたアームは当該システム2に使用することはできるが、処置器具のコントロールと操作はアーム204の操縦によるよりもむしろ当該システム2を使って達成されるので、当該アームは、従来のロボット手術装置に使用されるものに比べてよりシンプルな設計で、よりサイズの小さいものとすることができる。 図示されたアーム204は、複数のジョイント回りにマニュアル操作で配置可能であり、選択された位置においてロックすることも可能である。 複数の自由度のある動きで、ユーザーは当該システム2を、挿入カニューレ212とコマンドインターフェース250が患者と外科医にとって都合の良い相対位置になるように配置することができる。
【0018】
前述したカート205は、当該システム2で使用することを目的とした、可視化、注気、ステープルで止めること、電気外科をサポートするためのコンポーネント等のその他の装置を運ぶために使用することもできる。 当該アーム204は、当該システム2の重量と釣り合うような内部スプリングを有しており、アームがロック解除されている間であっても空間中に安定に留まっていることができるようになっていると共に、当該システムを動かすために必要な力を低減させている。 多くのジョイントの組み合わせにより、図示された実施例に示されるように、4つのバー・リンク機構を可能なようにしており、当該システム2が、重心周りに回転でき、このことによりシステム2の再配置に必要な力を低減させている。
【0019】
図18に記載したシステム系統図に関連して議論することになる当該システムの電源、コンピュータ、およびユーザーコントロール(例えば、タッチスクリーンコンピュータ201)は、アーム204を通りベースユニット218へ配線された、これらの機器に関連するケーブルと共にカート205上に取り付けることができる。
【0020】
当該システムがどのようにして使用されるかということについて簡単に述べることは、以下に説明する当該システムの特定の記述の理解を容易にするものになるものである。
使用中、フィンガー214と挿入チューブ212の一部は、切開部を通じて体腔の中に配置される。 手術の処置器具100の先端側端部は、マニュアル操作により、コマンドインターフェース250の処置器具ボックス252と対応するロールドライバー216を通り、フィンガードライブ組立200を経由してチューブ状のフィンガー214の中へ、取り出し可能に挿入される。 当該処置器具は、患者の体腔の中において、チューブ状のフィンガー214の先端端部の更に先端位置に処置器具の先端部分がくるように配置され、そして処置器具のハンドル104がコマンドインターフェース250の基端側にくるように配置される。
【0021】
ユーザーは、ハンドル104を直感的に操作し、そしてそれに応じて、当該システムは処置器具の先端端部に対応した動きを生じさせるようになっている。フィンガードライバーに関連するモータには、ユーザーが処置器具のハンドルを左右上下に動かしたときに生じる信号に対応して電圧が付加され、その結果、フィンガー、すなわち処置器具の先端部がユーザーによる処置器具ハンドルの操作に従ってモータ駆動により操縦される。処置器具ハンドルの上下方向および左右方向の運動の組み合わせにより、体腔内にある処置器具の先端部は360度まで操縦できるようになっている。 処置器具の長手方向軸廻りに処置器具ハンドルをマニュアル操作により回転させることにより(及び/又は、処置器具ハンドルの近くにある回転ノブまたはカラーをマニュアル操作によりスピンさせることにより)、処置器具のシャフト102(
図11に示す)の先端部分は、ロールドライバー216によりモータ駆動により回転する。
【0022】
フィンガードライブ組立
図1A、1C、および1Dを参照すると、フィンガードライブ組立200の挿入チューブ212は、切開部を通って体腔の中へ配置することができる細長いチューブである。 当該システムでは、挿入チューブ212を経由して体腔の中へ複数の処置器具が導入できるようになっている。 図示する実施例では、同時に3又は4つの処置器具を使用できるようになっており、2つはチューブ状のフィンガー214を使って能動的に操縦できるものであり、1つ又は2つはフィンガードライブ組立200にある受動的ポートを経由して体内へ入るようになっている。 能動的チャンネル(操縦可能なフィンガー214)および受動的ポートについての異なった番号が、本件発明の範囲から離れることなく当該システムにおいて使用される。
例えば、代替的なシステムでは、単一の操縦可能なフィンガー214を備えるが受動的ポートを備えず、また図示したシステムは、1又は複数の操縦可能なフィンガー214を追加したり、あるいは受動的ポートを追加したり削除したりして改造できる。
【0023】
展開機構
フィンガードライブ組立は、挿入カニューレ212の長手方向軸から横方向への分離距離を大きくしたり小さくしたりするために各フィンガー214の先端部分を同時に、あるいは単独で再配置する操作を可能にする展開機構を備えている。この展開機構は、スリム化して挿入するためにフィンガーが一般的に互いに平行になっている状態の挿入位置と、
図1Aに示すように、フィンガーが挿入チューブの長手方向軸から横方向に離れて旋回した状態になっている1又は複数の展開位置との間を、フィンガー214を動かすようになっている。
米国特許出願公開番号US2007-0299387、およびUS2011-0230723には、当該システム2に使用することができる展開機構が示されている。
【0024】
第1の実施例では、この目的のために旋回可能なリンク12を使った
図2Aに示す展開機構が使用されており、各リンク12は、フィンガー214(図示されている部分のみ)と1又は複数の細長い部材14の間を旋回可能に連結されており、1又は複数の細長い部材14は挿入チューブ212に対して相対的にスライドできる(そして、図示した実施例では、部分的に中に入り込む)ようになっている。 追加的なリンク16は、挿入チューブ212の先端端部とフィンガー214との間に伸びており、フィンガーに対して追加的な支持を行っている。 図面では、これらの追加的なリンク16は長方形の断面をもち、フィンガー内の処置器具が細胞組織をつかみ持ち上げるために使用されているようなときのように、フィンガーに荷重が付加されたときに長手方向が曲げに対して抵抗する向きになるようになっている。 リンク16の基端側端部は、図示するように、挿入チューブに連結されたヒンジを形成している。
【0025】
図2Bおよび2Cに示すように、細長い部材14の基端側端部は、部材14を先端位置と基端位置との間でスライドさせるために、フィンガードライブ組立のハウジング210に対して可動な状態でブロック18に連結されている。 このような方法で部材14をスライドさせることにより、リンク12が旋回し、その結果フィンガーを横方向に動かすことができるようになっている。
【0026】
ラチェット機構224(
図2B)は、ブロック18のハウジング210に対する相対的な長手方向位置決めを保持するために使用され、それによってフィンガー214は選択された展開位置に維持されるようになっている。 展開するために、あるいはフィンガーの横方向の間隔を変えるために、ユーザーは、フィンガーを第1の位置から第2の位置へ動かすように、ラチェットの係合を外してブロック18を基端側、あるいは先端側へスライドさせる。 ラチェットを係合し直すことにより、フィンガーを第2の位置に配置できる。 スプリング(図示せず)がラチェットを係合した位置に保持するようにバイアスをかける(所定の方向へ力を作用させる)。 展開およびラチェットに関連するその他の機構は、米国特許出願公開番号US2011-0230723に開示されている。
【0027】
当該システム2は、挿入チューブ212の長手方向軸に対するフィンガーの相対的な位置を示すインジケータとして、展開機構の位置の変化を検知するようにした機構を備えるようにしても良い。
【0028】
図2Bに示すように、プーリー20は、ハウジング210に回転可能に取り付けられている。 フィンガー214を展開するためのブロック18の長手方向の動きがプーリー20を回転させるようにして、各プーリー20は、リンクアーム22によってブロック18に連結されている。 マグネット24が各プーリー20のシャフト上に配置されて示されている
図2Cに示すように、少なくとも1つのプーリー20は、プーリーのシャフト上にマグネット24を備えている。 このマグネット24は、N極とS極が直径方向を向き反対側に配置されており、好ましくはベース218を向いて下向きとなっている。
【0029】
ベース218(
図2)の先端部分上のエンコーダチップ26(
図1C)は、フィンがドライブ組立200がベース218上に組み付けられた時、マグネット24に整合するように配置されている。 展開機構が使用されているとき、各エンコーダチップ26は、直ぐ近くのマグネット24の回転位置を検出し、これはプーリー20の回転位置を示すものであり、結果的にブロック18の長手方向位置を示すものである。 この情報によって、当該システムでは、フィンガー214の展開状態(すなわち、横方向の位置あるいはX軸上の位置)を知ることができるようになっている。 エンコーダチップ26によって発生した信号は、当該システムによって、ユーザー入力の指示とそれに対応する出力コマンドの間の適切な変換を調整するために使用することもできる。
【0030】
別の実施例では、各フィンガーが他のフィンガーに対して独立して再配置できるようにするために、各フィンガーは、独立して動くことができスライドする部材14を使って、独立して展開できるようになっている。
【0031】
第1の実施例ではマニュアル操作の展開機構が使用されていたが、改良されたシステムでは、展開機構を駆動するための1つ又は複数のモータが使用されている。 かかるシステムにおいては、モータ駆動の展開は、フィンガーの操縦とは独立して実行することができる。 他方、当該システムは、コマンドユニット250においてユーザーが行った処置器具ハンドルの位置決めに基づく目標とする位置と向きにフィンガーを動かすための手段として、展開機構とフィンガードライバーの両者をダイナミックにコントロールできる。 展開機構とフィンガードライバーを所定位置に所定時間内にコントロールすることは、以下に説明するその他の検出情報と共にエンコーダチップ26からの信号を使用して、フィンガーの計算された現在の位置と向きに基づいて行うことができる。
【0032】
処置器具の経路
図1Dを参照すると、フィンガードライブ組立のハウジング210は、一般に、U字状またはV字状の形状を有しており、フィンガードライバーのU字状またはV字状の形状をしたハウジングの各脚は、操縦可能なフィンガー214の別のものに関係する。 要求されるものではないが、このような形状とすることにより、後述するように、脚の間に追加的な処置器具のためのワークスペースを作り出すことになる。
【0033】
処置器具100のためのポート222が、U字状またはV字状の形状をしたハウジングの各脚の基端側端部に配置されている。 ポートの中に処置器具が配置されていない状態の時、及び/又は、ポート内に配置された処置器具のシャフト周りをシールし、注気圧力がポート222を通って漏れるのを防止するために、ポート222にはハウジング210の中に配置されたシールを備えている。 追加的な取外し可能なシールをポート222の基端側に配置するようにしても良い。このような形態のシールの一例が
図15に示されている。
【0034】
各ポート222は、ハウジング210と挿入チューブ212を通り、操縦可能なフィンガー214の対応する1つに至る処置器具の経路の入口を形成する。 処置器具の経路には、ポート222から伸び、ハウジング210と挿入チューブ212を通り、挿入チューブ212の先端側端部から出てフィンガー214を形成する、1つのチューブあるいは一連の複数のチューブを備えられている。 この処置器具の経路は、ポート222から先端側へ伸びる基端側チューブ221aと、基端側端部が基端側チューブ221aを覆って配置され、先端側端部がハウジング210と挿入チューブ212を通って伸びる先端側チューブ221bを備えている。 基端側チューブ221aと先端側チューブ221bの中央の管腔は、処置器具の経路を形成するために連続している。 フィンガー214を操縦するために使用されるアクチュエーションエレメント又はケーブル223は、図示するように先端側チューブ221b内の管腔を通って伸びている。
【0035】
受動的ポート220(2つ図示されている)が、ハウジング210と挿入チューブ212を通って追加的な処置器具を通すことができるようにするために配置されている。 図中には、これらの追加的な受動的ポート220はU字状またはV字状の形状をしたハウジング210付け根部分に配置されて示されている。 これらのポートは、操縦可能なフィンガー214を通って展開された処置器具と同時に使用されるスコープや、リジッドな処置器具およびその他の処置器具を挿入チューブを通して配置できるようにするためのものである。 ポートの中に処置器具が配置されていない状態の時、そしてまたポート内に配置された処置器具のシャフト周りをシールし、注気圧力がポートを通って漏れるのを防止するために、これらのポート220の中にはシール(図示せず)が配置されている。
【0036】
フィンガー
再び
図1を参照すると、各フィンガー214は、偏向可能な先端部分216を備えていて、その先端部分216は、よじれや座屈を生じることなく操縦することができる機能を有するものであり、図示するような複数の脊椎またはリンク、あるいはフレキシブルなチューブ、スロットを設けたまたはレーザーカットされた金属チューブ、あるいはその他の材料により形成されている。 操縦可能なフィンガー214として使用することに適した操縦可能なチャンネルの例が、米国公開番号US2011/0251599およびここで参照したその他の出願明細書に示され、説明されている。 脊椎またはスロットの間のギャップに細胞組織が引っ掛かるのを回避するため、偏向可能な先端部分216は、フレキシブルなスリーブまたはライナー(図示せず)によってカバーされている。
【0037】
処置器具のチップがフィンガーの先端側端部から出ておりその先端側端部の上に配置された入れ子状(テレスコピック状)の強化材が、各フィンガー214の先端側端部に備えられている。 そして、強化材は長手方向の先端側へ向かって伸びており、フィンガー214の端部を超えて伸びた処置器具のチップの部分を囲んでいる。 この特徴点は、フィンガー214の先端側端部を超えて伸びる処置器具シャフトのいずれかの部分を支持するのに有用であり、その結果、体腔内において処置器具のシャフトに生じる望ましくない屈曲を避けることができる。
【0038】
フィンガー214は、アクチュエーションエレメント223(例えば、ワイヤ、ケーブル、ロッド等)を選択的に引いたり、及び/又は押したりすることにより操縦される。 ここでの説明において、「ケーブル」という用語は、アクチュエーションエレメントのタイプを表すものとして使用されている。 ケーブル223は、操縦可能なフィンガー214の先端側端部の部分に固定されており、操縦可能なフィンガー214を通ってハウジング210の中まで基端側へ伸びている。 操縦可能なフィンガー214で使用されるケーブルの数は変えることができる。 例えば、各操縦可能なフィンガー214は、2または4のケーブルを備えるようにすることができ、ケーブルの先端側部分は、フィンガーの先端側端部において各々180度または90度離れて配置される。 別の実施例では、3本のケーブルが各フィンガーに使用されている。
【0039】
図示した実施例では、4本のケーブルが使用されている。 4本のアクチュエーションケーブルを使用することは、4つの別個のケーブル/ワイヤ等が使用されているか、あるいはそれぞれのケーブル/ワイヤ等がフィンガーの先端側端部において固定されUターンしている2つの別個のケーブル/ワイヤ等が使用されており、4本のケーブルの基端側端部はハウジング210の中に配置されていることを意味する。アクチュエーションに使用されていない追加的なケーブルを、フィンガーを通って配置することもでき、後述する方法に類した方法を使用して対応するフィンガーのチップ部分の位置をフィードバックするのに使用される。
【0040】
フィンガードライバー
このセクションでは、
図1Aに示されているフィンガー214の1つのためのフィンガードライバーについて説明する。 右側に示されている操縦可能なフィンガーは、類似の機構を有するフィンガードライバーを使って操作されることを理解すべきである。
【0041】
各ケーブル223の基端側端部は、チューブ221bの基端側端部を出て伸びており、プーリー232a又は232bに係合している。 各プーリー232a、232bには、図示するように平歯車が備えられている。 図では、プーリー232a、232bの回転軸は互いに平行にはなっていないが、別の実施例では、プーリーは平行な回転軸を持つように方向づけることもできる。
【0042】
第1のペアであるプーリー232aは、対応する操縦可能なフィンガーの先端側端部において180度離れた位置に固定された2つのケーブル223に係合している。 別の実施例では、各ケーブルは専用の操縦用モータを備えているが、フィンガードライバー内のコンポーネントは、ベースユニットの中に在る各操縦用モータがかかるケーブルのペアの1つを駆動するように配置されている。 各操縦用モータが2つのケーブルを駆動できるようにするために、各フィンガードライバー203は、第1のペアであるプーリー232a上の歯車231aの間に配置されこれらの歯車の歯に係合して配置された第1の歯車230aと一緒に配置されている。 そして第1の方向へ歯車230aが(後述するように、操縦用モータの動きによって)回転すると、1対のケーブルの一方のケーブルに張力が付加され、1対のケーブルの他方のケーブルの張力が低減され、その結果対応する操縦可能なフィンガーの先端側端部が第1の方向へ偏向するようになっている。
【0043】
同様に、逆の方向へ歯車230aが回転すると(対応する操縦用モータが逆転することにより)、反対のケーブルに張力が作用し、操縦可能なフィンガー214(図示せず)の先端側端部は逆の方向へ偏向するようになっている。 同様に、第2のペアであるプーリー232bも、第2のペアであるプーリー232bの歯車の間に配置されこれらの歯車の歯に係合して配置された第2の歯車230bによって駆動される。 第2の歯車230bに関係するケーブルもまた、好ましくは、操縦可能なフィンガーの先端側端部において180度離れて(そして第1の歯車230aに関係するケーブルからは90度ずれている)位置され、操縦可能なフィンガー214は360度偏向できるようになっている。
【0044】
プーリー232a、232bおよび歯車230a、230bはシールされたプーリーボックス219の中に収納されている。 チューブ221bの基端側端部とチューブ221a(
図4)の全長に亘ってシールされたプーリーボックス219の中に収納されている。 各プーリーボックスは、フィンガードライブ組立200のハウジング210の中に取り付けられており、ハウジング210の基端側端部において露出したポート222と、挿入中部212の中を伸びるチューブ221bを結ぶ方向に沿って配置されている。 清掃中、歯車やプーリーの周りの空間に湿気や汚染物が入り込むのを防止するためにシーリングするためのシールがポート222とチューブ221bを取り巻いている。
【0045】
図5A〜5Cは、プーリー232aの1実施例を示したものである。 このような各プーリーは、シャフト227に回転可能に固定されたスプール225を備えている。 歯車231aはシャフト227上に配置されており、シャフト227に対して相対的に回動できるようになっている。 プーリー232aは、シャフトの周りに配置されたコイルスプリング229によって付勢されている。 そしてこのスプリング229の一方の端部は歯車231aに取り付けられ、他方の端部はスプール225に取り付けられている。 スプールには、180度離れて配置された1対のポスト235が備えられている。 歯車には、180度離れて配置され、環状の空間241によって隔離されたストッパー237が備えられている。 スプール225の当該ポスト235は、当該環状の空間241の中へ伸びている。
【0046】
ケーブル223は、スプール225の周りに巻かれている。 フィンガーが
図6Aに図示するようにまっすぐな方向性を持つ状態にあるときに、各ポスト235はストッパー237の1つに当接して配置されるように、ケーブルの各ペアには張力が付加されている。
図6Bに示すように、フィンガーを左へ曲げるようにプーリーを駆動するためにモータが使用される場合、プーリー232aの歯車231aが時計まわりに左へ回動し、そしてストッパー237が対応するスプールのポスト235と接触した状態を維持しつつ回動する。 その結果、歯車とスプールは一体化した状態で動くことになる。 スプールの回転により、ケーブル223Lには張力が付加され、図示するようにフィンガーは左側へ曲げられる。
【0047】
同時に、プーリー232aの歯車が反時計まわりに右に回動してケーブル伝達機構の対応した部材によってケーブル223Rは緩められる。 歯車が回動するとき、歯車のストッパー237は対応する歯車のポスト235から離れるように回転する。 歯車231aとスプール225はスプリング229によって連結されている(
図5C)ので、スプリング力は、最終的に反時計まわりにスプールを回転させるように作用する。 したがって、ケーブル223Rの余分な緩みを巻き取るようになっている。
【0048】
プーリーに関係するセンサーからの出力は、フィンガーのチップの位置、伸長によるケーブルまたはフィンガーのチップに作用する力を計算するために、そしてモータのエンコーダによって検出された出力に相対するフィンガーのチップの位置の冗長な検出結果を提供するために使用される。 センサーの使用方法に関する以下の議論は、
図6Bに示すように、フィンガーが左へ引っ張られた状態に焦点を当てたものであるが、このような議論は、フィンガーが操縦されたいずれの方向においても同じ原理が適用されることを理解しておく必要がある。
【0049】
一般に、当該システムは、対応するフィンガーのチップの位置に対応した位置のフィードバックを提供するために、各ケーブルのペア(ケーブルのペアとは、歯車230a、230bの内の共通する1つの歯車によって張力が付加された1対のケーブルをいう)において受動的なケーブルを利用している。
図4Bと5Aを参照すると、各プーリー232a、232bは、N極とS極が直径方向を向き先端側に面したディスク状のマグネット243を有している。 ベースユニット218のエンコーダチップ245(後で議論する
図8参照)は、かかる各マグネットの回転位置を検出するために配置されている。
図6Bに示すような左側に曲げられた状態のように、フィンガーが曲げられた位置に操縦されたとき、荷重による弾性伸びを受けて曲げを生じさせるために、ケーブル223Lに張力が付加され、そしてまたそれによりケーブルがその中を通って伸びるチューブ状の通路221のシャフトを変形させる。
【0050】
従って、曲げを生じさせるためにケーブル223Lが引き込まれた距離は、ケーブル223Rが当該曲げに応じて前進した距離とは直接には対応していない。 受動的なケーブル223Rは、能動的なケーブルが経験する荷重ほど高い荷重環境下には置かれていないので、受動的なケーブル223Rが前進した距離(エンコーダチップによって検出されたマグネット243の回転角によって示されたもの)は、フィンガーが曲げられた大きさを反映しており、当該システムにおいては3次元的な空間の中におけるフィンガーの位置のより正確な測定結果を導き出すために使用することができる。 このようなシステムは、単一の位置検出に充てるケーブル、プーリー、センサーの配列に関する要求を低減させるので、有用なものである。
【0051】
更に、能動的なケーブル223Lが引き込まれた量と、受動的なケーブル223Rが前進した量の間の差は、処置器具のチップ位置において能動的なケーブル223Lによって作用された力の大きさを表している。 処置器具のチップ位置における力に応じたフィードバックもまた、操縦用モータの計測電流からくるものであるが、処置器具のチップ位置における力は、力のより直接的な計測値を提供するものである。
【0052】
モータのエンコーダからのフィードバックは、ケーブル223Lに関係するマグネットから得られた位置情報と比較することができ、そして当該システムにエラーが生じていないかどうかを検出するために使用することができる。 例えば、モータで計測した位置が、マグネット243の位置から導き出された位置から顕著に異なっていれば、当該システムはユーザーに対して、能動的なケーブル223Lが壊れている可能性があるという警告を発し、システム2を無効にする。
【0053】
もし、能動的なケーブルに関係するプーリーが正常な動きの範囲から逸脱して極端に緩んだ位置にまで回転したと判断された場合(例えば、歯車によって駆動するために、プーリーが接触して配置されるべきストッパーとは反対側のストッパー237に接触して配置されている)、当該システムにおける潜在的なエラーである可能性のあるエラーとして示されるようになっている。 フィードバックが1対のプーリーの両方のプーリーが緩んだ状態にあることを示した場合、又は一方のケーブルに張力が付加されたときに両方のプーリーがストッパーに接触した位置に回転したことを示した場合、ケーブルが壊れたことを示すようになっている。 システムがエラーの状態を検出した場合、当該システムはモータとの係合を解除し、コンピュータインターフェース201を経由してユーザーにエラーメッセージが伝えられる。
【0054】
動作伝達―ベースユニットからフィンガードライバーへ
フィンガードライバー203は、フィンガードライブ組立のエレメントとベースユニット218のエレメントの間にある回転カップリングを介して、ベースユニット218にある操縦用モータ236a、bからの動作を受ける。 フィンガードライブ組立200では、従動シャフト226a、226b(
図7A)のような部材がハウジング210の底面側に露出している。 従動シャフト226a、226bの各々は、ハウジング210の中で歯車230a、230b(
図4A、4B)の1つに回転可能に固定されると共に軸方向に整列しており、従動シャフト226a、226bの各々の回転により対応する歯車230a、230bが回転し、その結果、前述したように操縦可能なフィンガー214が操縦されるようになっている。 従動シャフト226a、226bはハウジング210の底面より突起していても良いし、窪んだ状態であっても良い。
【0055】
図7Bに示すように、駆動シャフト228a、228bのような第2の部材は、ベースユニット218の上面において露出しており、これらはベースユニット218の上面より突起していても良いし、窪んだ状態であっても良い。 駆動シャフト228a、228bの各々は、ハウジング210(
図7A)の底面において、対応する従動シャフト226a、226bの1つと係合解除可能に係合している。 従動シャフト226a、226b(
図7A)と駆動シャフト228a、228b(
図7B)は、駆動シャフトの各々から対応する従動シャフトへトルクを伝達することができるように、はめ合い係合、またはその他の形式の係合となるように設計されている。 図示する配置では、従動シャフト226a、226bは、メスのコンポーネントとしての駆動シャフト228a、228bにはまり合うオスのコンポーネントとなっている。 図示するオスのコンポーネントには、球面のある六角形キーが備えられ、メスのコンポーネントには、六角頭を受け入れることのできる六角形のソケットが備えられている。 本実施例では、第1の部材である従動シャフト226a、226bの各回転軸は、対応する駆動シャフト228a、228bの回転軸と傾斜して交差している。 しかし、その他の実施例では、第1の部材である従動シャフト226a、226bの各回転軸は対応する駆動シャフト228a、228bと共通の回転軸を共有するようにしても良い。
【0056】
従動シャフト226a、226bと駆動シャフト228、228bは、六角形のはめ合い部品となっているが、駆動シャフト228a、228bから従動シャフト226a、226bへのトルク伝達が同様に実行できるものであれば別のはめ合い形式のものであっても、代替的に使用することができる。
【0057】
駆動シャフト228a、228bと従動シャフト226a、226bとの間の係合を容易にするために、従動シャフト226a、226bと最初に接触する際に、駆動シャフト228a、228bはベースユニット218の中へ下方に向かって変位できるようになっている。 駆動シャフト228a、228bと従動シャフト226a、226bの係合のはめ合い機構に対して一度上方へバネ力を作用させるために、スプリングによって駆動シャフト228a、228bには外側の位置に向けて付勢されている。 各シャフトが最も伸びた位置にいる時を検知するために、センサーはベースユニット218の中に配置するようにしても良く、これにより駆動シャフト228aのいずれかが、対応する従動シャフト226aに適切に係合しているかどうかについて当該システムが知ることができるようになっている。 この検知された情報は、全てのシャフトが適切に係合するまで当該システムをロックアウトするために使用するようにしても良い。 また、駆動シャフト228aの六角頭を、対応する従動シャフト226aの六角形のソケットに係合する方向へ動かすようにするために、この検知された情報を、上方へ付勢されていない駆動シャフト228aに関連する操縦用のモータをわずかに回転させるために使用することもできる。
【0058】
後述する事項から明らかなように、従動シャフトと駆動シャフトが係合することにより、当該システムの操縦用のモータからの動作が、フィンガーを操縦するためのケーブルを操作するプーリーへ伝達されるようになる。
【0059】
ベースユニット
ベースユニット218は、操縦用のモータ236a、bおよびロール用のモータ238を収納している。 図示されたシステムでは、ハウジング210のU字状またはV字状の形状と同様なU字状またはV字状の形状を有している。 左側のフィンガー214を操縦するのに関係し、左側のフィンガー214を通って伸びる処置器具を軸廻りに回転させるのに関係するモータがベースユニット218の左側(例えば、U字状またはV字状の形状をしたハウジングの左側の脚)の中に在り、右側のフィンガーを操縦するのに関係し、右側のフィンガーの処置器具を軸廻りに回転させるのに関係するモータがベースユニット218の右側の中に在るというように、ベースユニット218は整理されている。 当該システムの右側および左側の各々のコンピュータコントローラ、モータドライバー、および関連するエレクトロニクスもまたベースユニット218の中に収納されている。 他の実施例では、1つのリアルタイムプロセッサーが両方のフィンガーに関係するようになっているが、この実施例では、2つのコンピュータコントローラ/リアルタイムプロセッサーがフィンガーの1つに関連するようになって、ベースユニット210の中に備えられている。 これらのコンピュータとユーザーインターフェース用コンピュータ(例えば、
図1Aのタッチスクリーンコンピュータ)の間の通信では、ルーター又はその他の手段を介してイーサネットTCP/IP接続を利用することができる。 別の実施例では、タッチスクリーンプロセッサーとリアルタイムプロセッサーを1台のコンピュータの中に収納し、ルーターの必要性を排除している。
【0060】
図8Aには、ベースユニットのハウジング(図示せず)内でのモータ236a、b、238および関連する歯車組立の配置を示してある。 ベースユニット218内に収納された操縦用のモータ236a、bは、対応する歯車組立240a、bの歯車を駆動する。
【0061】
歯車組立240a、240bの各々にある歯車は、露出した駆動シャフト228a、228bの1つに回転可能に固定されており、モータ236a、bが起動すると駆動シャフト228a、228bの各々が軸廻りに回転するようになっている。 2つのこのような操縦用のモータ236a、bは各フィンガー毎に対応する歯車組立240a、240bと共に図示されている。 モータ236aは、駆動シャフト228aの軸廻り回転を生み出すために歯車組立240aを駆動するように配置されている。 モータ236bは、駆動シャフト228bの軸廻り回転を生み出すために歯車組立240bを駆動する。
【0062】
図8Aを参照すると、ベースユニット内に収納されたロール用のモータ238の出力は、歯車組立242を介してロール駆動シャフト244の如きロール部材へ連結され、ロール用のモータ128が作動すると、ロール部材244が軸廻りに回転するようになっている。 ロール駆動シャフト244は、駆動シャフト228a、228bと同様な形態を有していても良い。
【0063】
ロールドライバー
ロールドライバー216(
図1A、1B及び9)は、ハウジング217を備えている。
図10に示すように、ロールドライブチューブ248は、ロールドライバーのハウジング217(
図10には図示せず)の中で、軸廻りに回転可能に配置されている。 ロールドライブチューブ248は、処置器具100(
図1A)シャフト部分を受け入れるための管腔を備えている。 ロールドライブチューブ248の外側は、ウォームギアを形成し、このウォームギアは、隣接して配置されたウォームギア249を備えたロール用の歯車組立に係合している。 ロール用の歯車組立には、ハウジング217(図示せず)の下面に露出した従動ロールシャフト234の如き部材を備えている。 従動ロールシャフト234は、ロールドライバーのハウジング217に相対的に軸廻りに回転可能に配置されている。
【0064】
ロールドライバー216は、従動ロールシャフト234がベースユニット218の駆動ロールシャフト244(
図7B)に回転係合するようにして、ベースユニット218上に配置可能である。 この回転係合は駆動ロールシャフト244から従動ロールシャフト234へトルクを伝達できるようにするものであり、その結果、ロール用のモータ238が起動するとロールドライブチューブ248(そして処置器具のシャフト)が回転するようになっている。 従動ロールシャフトと駆動ロールシャフト234、244は、操縦用に使用される従動シャフトと駆動シャフト226a、bおよび228a、bにおいて説明したものと同様なはめ合い部品とすることができる。
【0065】
ロールドライブチューブ248は、手術用の処置器具シャフトに設けた対応する機構に回転係合するように設計された機構を有している。 この係合は、処置器具シャフトの先端部分の軸廻りの回転が生じるようにするために、ロールドライブチューブ248に軸廻りの回転を与えるものである。 好ましい機構は、処置器具シャフトとロールドライブチューブ248の間の回転係合を生み出すものではあるが、滑りがなくまたは長手方向に係合するものではないものである。言い換えれば、当該機構は、ロールドライブチューブ248の軸廻りの回転が処置器具シャフトを軸廻りに回転させるようになってはいるが、処置器具チップのZ軸方向の動きに関して、処置器具がロールドライブチューブ248を通って前進したり後退したりできるような機構である。 処置器具シャフトとロールドライブチューブ248の間の回転係合は、処置器具チップのZ軸方向の動きの有用な範囲(例えば、処置器具チップがフィンガーの先端端部にある第1の位置から、処置器具チップがフィンガーの先端端部から所定の距離だけ先端側に離れた第2の位置の間)に亘って維持されることが望ましい。
【0066】
処置器具100とロールドライブチューブ248の間の係合機構には、処置器具100(
図11)のシャフト102の駆動セグメント260上には第1の表面エレメントが備えられ、ロールドライブチューブ248(
図10)の内側表面には、対応する第2の表面エレメントが備えられている。 表面エレメント256、258の例が
図12A−14に示されている。
図12Aおよび12Bを参照すると、処置器具のシャフト102の駆動セグメント260には、処置器具のシャフト102から半径方向に突起し当該シャフトに沿って長手方向へ伸びたスプライン又はリブの形態をした第1の表面エレメント256が備えられている。 ロールドライブチューブ248の管腔には、長手方向に伸びたリブの形態(又は
図12Bに示す形態)をした第2の表面エレメント258が備えられている。 表面エレメント256、258は、ロールドライブチューブ248が回転したときに、ロールドライブチューブの管腔の内側に配置された第2の表面エレメント258が処置器具のシャフト上にある表面エレメントと接触すると共に、処置器具のシャフト上にある表面エレメントを飛び越えて進むことができないように配置されている。 ロールシャフトが処置器具のシャフトを回転するときに、スプライン256と隣接するリブ258の間の遊びを最小化する一方、スプライン/リブを対応するリブの間に挿入し易くするために、スプライン256の先端側端部には、スプラインが基端側よりも先端側端部の方が狭くなるように(周方向において)、テーパーが設けられている。 スプライン256の長手方向の長さは、必要なZ軸方向の動きの範囲に亘って、ロールシャフトと処置器具のシャフトの回転係合が維持されるように選択されている。
【0067】
処置器具のシャフトの駆動セグメント260は、
図11に示すように駆動セグメント260の基端側および先端側に隣接する部分よりも大きな直径を有するようにしても良い。 駆動セグメント260をロールドライブチューブ248の中へ挿入し易くするために、駆動セグメント260には、面取りを施した先端側エッジが設けられている。
【0068】
図13A−13Cに示す別の実施例では、図示するように、駆動セグメント260は六角形の断面を持ち、ロールドライブチューブ248はV字形状の断面を有する長手方向に伸びた溝を持っている。 六角形断面の角部領域によって形成された駆動セグメント260のエッジ256aは、溝258aの中に嵌りこみ、処置器具が管腔を通って長手方向にスライドすることはできるが、処置器具が管腔の中で回転することはできないようになっている。
【0069】
図14に示す別の実施例では、駆動セグメント260は、長手方向に伸びた溝256bを備えている。 ロールドライブチューブ248の管腔壁から半径方向内側向きに1又は複数のピン258bが伸び、このピンが溝256bの1つと係合している。
【0070】
処置器具のハンドル104を軸廻りに回転させることなく、ロールドライブチューブ248が駆動セグメント260と駆動セグメント260の先端側にある処置器具シャフト102の全ての部分(エンドエフェクタを含む)を回転させように、処置器具100は構成されているということに注目すべきである。 従って、処置器具のハンドルとシャフトは、ロールドライブチューブ248が作動したときに、処置器具のシャフトが処置器具のハンドルに対して相対的に自由に回転するような方法で一体化されている。 例えば、処置器具100には、駆動セグメント260の中、又は駆動セグメント260の基端側にロールジョイントを備えるようにしても良い。
【0071】
管状の連結器
ロールドライバーのハウジング217の基端側面および先端側面に設けられた開口部264及び266(
図1C)には、ロールドライブチューブ248の管腔を通して処置器具のシャフトが通ることができるようになっている。 第1の実施例のように、もし、フィンガードライブ組立とロールドライバーが分離したコンポーネントであったとしたら、これらのコンポーネントの間のギャップには、連続的な処置器具の経路を提供するために、ロールドライバーのハウジング217の先端側開口部266とハウジング210の基端側ポート222の間に取り付けられた管状の連結器268によって、橋渡しがなされている。 管状の連結器268は、取外し可能にロールドライバーのハウジング217とハウジング210に連結するか、あるいは、ロールドライバーのハウジング217及びハウジング210の両者、又はいずれかとより永久的な方法で連結するようにしても良い。 処置器具シャフトをロールドライバーの中へ案内するために、処置器具ボックス252とロールドライバーの開口部の間には、同様な管状の連結器を設けるようにしても良い。
【0072】
図15を参照すると、管状の連結器268には、フラッシング用ポートとして使用するため、あるいはフィンガードライブ組立200を通り体腔の中へ注気ガスを導入するためのルアーポート274を備えるようにしても良い。 処置器具が無い状態の時に、管状の連結器268の基端側端部から注記ガスの圧力損失が生じるのを防止するために、クロススリットバルブのようなバルブ270が管状の連結器268の中に配置されている。 管状の連結器268を貫通する処置器具のシャフトに対するシーリングを行うために、第2のシール272が配置されている。 従って、管状の連結器268を通って配置された処置器具のシャフト周りからの圧力損失を最小化することができる。 別の実施例では、これらルアーポート274、バルブ270、シール272は、ハウジング210の中に配置されるようにしても良い。 処置器具の有り無しにかかわらずシールするために、単一のシールあるいは別のシール形態のものを使用するようにしても良い。
【0073】
コマンドインターフェース
再び
図1Aを参照すると、ベースユニットは、(後で説明するその他の信号と同様)、ユーザーによってマニュアル操作によりハンドル104が動かされたときの手術用処置器具100の基端側部分の位置、及び/又は基端側部分の位置の変化に対応する信号を発生させるために備えられたコマンドインターフェース250を有している。 コマンドインターフェースにおいて発生された信号に対応して、当該システムはコントロール信号を発生させる。 かかるコントロール信号は、処置器具ハンドルのユーザーによる操作に従って、フィンガーの操縦と処置器具のシャフトを回転するためのモータ236a、b、238を駆動するために使用される。 ユーザーによる処置器具ハンドルのマニュアルによる動きにより、モータ駆動により処置器具の先端側端部が操縦され、かつモータ駆動により処置器具のシャフトが軸廻りに回転される。
【0074】
この実施例では、フィンガーの操縦と処置器具を回転するコマンドインターフェースの信号のトリガーとなるのは処置器具のハンドル104(
図1)である。 別の実施例では、処置器具のシャフトの基端側部分、あるいは処置器具の別のコンポーネントを使用することもできる。 更に別の実施例では、ユーザーによる処置器具のハンドルの自身の動きに対応するユーザー入力装置よりむしろ処置器具の必要な位置を入力する信号を発生させるための独立した別のユーザー入力装置が使用される。
【0075】
代わって
図16を参照すると、コマンドインターフェース250は、ベース218(図示せず)に固定され、軸A1(一般に、ベースの表面に垂直な軸)周りに回転可能な第1の部分又はブラケット276aを備えている。 第2の部分又はブラケット276bは、第1のブラケット276aに取り付けられ、軸A2(一般に、ベースの表面に平行であり、軸A1に垂直である)周りに回転可能となっている。
【0076】
処置器具ボックス252は、
図1に示すように、第2のブラケット276b上に配置されている。 再び
図1Aを参照すると、処置器具ボックス252は、第2のブラケット276bに取外し可能に取り付けられたハウジング253aを備えており、手術後に廃棄または殺菌、再使用するために処置器具ボックス252を取り外すことができるようになっている。 図示するように、手術用の処置器具100のための通路275がハウジング253aを貫通して伸びている。
図16に示すように、第1の実施例では、ハウジング253aに設けた開口部253bが、第2のブラケット276bの基端側部分上をスライド可能に配置されている。 処置器具ボックス252と第2のブラケット276bの間のスプリングラッチ255(
図1A)は当該2つのコンポーネントを係合させ、処置器具ボックス252が適切な位置まで前進するようになっている。
【0077】
処置器具ボックス252は、手術用処置器具100を受け入れ、かつ処置器具のZ軸上での位置決めを行う間、処置器具のシャフトを処置器具ボックス252に対して相対的にスライドさせることができるように構成されている。 処置器具ボックス252(従って、処置器具100)に対する第1および第2のブラケット276a、276bの配置は、ユーザーが処置器具のハンドルを動かしたときに、コマンドインターフェース250を軸A1、A2周りに回動可能にしている。 処置器具のハンドルの上下方向の動きによって、軸A2周りに第2のブラケット276bのピッチ方向の動きを生じさせ、処置器具のハンドルの左右方向の動きによって、軸A1周りに第1のブラケット276aのヨー方向の動きを生じさせ、処置器具のハンドルの上下方向と左右方向の動きの組み合わせによって、ピッチとヨー方向の組み合わせて動きが生じるようになっている。
【0078】
コマンドインターフェース250の中に在るエンコーダは、軸A1、A2周りの動きに応じて信号を発生する。 特に、第1のエンコーダは、第1のブラケット276a(軸A1周り)のヨー方向の動きに応じて信号を発生するように配置されている。 第2のエンコーダは、第2のブラケット276b(軸A2周り)のピッチ方向の動きに応じて信号を発生するように配置されている。 エンコーダとしては、角度の動きの大きさの増分と角速度に応じて信号を発生する光学的または磁気的なインクリメンタルタイプのロータリーエンコーダがこの目的に合った適切なものである。 このようなエンコーダによって発生された信号は、ベースユニット218内に収納された電子機器によって受信され、操縦用のモータ236a、b(
図7B)を制御し、駆動するために使用される。
【0079】
処置器具ボックス252は、ユーザーの動作に応じて、当該システムによって数種類のタイプのユーザー入力信号を発生させるコンポーネントを収納している。 このような信号には、(a)ユーザーが処置器具のハンドルまたは関連するロールノブを軸廻りに回転させた量を表す信号、(b)処置器具ボックスにおいて処置器具100が当該システムと係合状態にある適切な位置にあることを示す信号、(c)ユーザーが起動されたモータから、コマンドインターフェース250の操作を選択的に係合状態または非係合状態にするためのユーザーが操作可能な係合/非係合ボタンからの信号、および(d)処置器具100のZ軸における位置を表示するために、処置器具のZ軸上の動きに応じて発生される信号、が含まれる。
【0080】
図17Aを参照すると、処置器具ボックス252は、基端側端部にノブ254を備えた細長いチューブ278を有している。 滑らかな内側チューブ279は、細長いチューブ278を通って伸び、そしてノブ254によって外周を取り囲まれた基端側ブロック282を有している。 ブロック282は、基端側を向いた金属エレメント284の如き1または複数の露出した金属エレメントを支持している。 磁気センサー286がブロック282内に配置されている。 処置器具のシャフトがチューブ278を通ることができるように処置器具100のシャフトを受けるために、ブロック282に開口部が配置されている。 スプリングローデッドピン281がブロック282の開口部の中へ伸びている。
【0081】
図17Aには、ある機構を見えるようにするために、処置器具100のハンドルがノブ254に向かって部分的にだけ前進した状態が示されている。 カラー106が処置器具のシャフトの基端側部分に配置されている。 カラー106の先端側は
図11Bにより良く見えるように描かれている。 そこには、ノッチ109を有する先端部分が含まれている。 カラー106の中に在るマグネット110は先端側を向いている。 これらの機構は、ユーザーがピン281を向いたノッチ109によって、ブロック282にある開口部を通って処置器具100を前進させるときに、処置器具のハンドルをブロック282に回転方向に係合させるために、ノッチ109がピン281を捕捉するように配置されている。 マグネット110は、マグネット110と金属エレメント284が近接したときに、金属エレメント284に磁力により接合する。 従って、処置器具はブロック282に対する位置が維持されるようになっている。
【0082】
マグネット110が金属エレメント284の位置にある時に、処置器具が存在することを表す信号を発生するように、ホールセンサーのようなセンサー286が配置されている。 この信号は、処置器具がコマンドインターフェース250において適切に配置されていることを当該システムに通知する。 その結果として、ユーザーが操作の準備ができていれば、当該システムは、操縦可能なフィンガーと処置器具の回転位置をコントロールする準備が整うことになる。
【0083】
従って、当該システムは、ユーザーがここで述べる機構を無効にしない限り、センサー286からの処置器具が存在することを示す信号が無い時には、所与のフィンガーを操縦するために使用されるモータが起動されないように構成されている。 このような機構は、処置器具がフィンガーを通って配置されていない時に、フィンガーの不注意による動きを防止するものである。
【0084】
ユーザーの起動スイッチは、ユーザーが当該システムを “起動状態”にすることを望んでいるか否かを示す信号を発生させるために配置されている。 このスイッチは、アクセスし易くするために、処置器具ボックス252、処置器具、あるいは当該システム2のどこか他の場所のように、ユーザーの手元近くに配置するようにしても良い。 あるいはこれに換えて、このスイッチをフットペダルにしたり、あるいは音声起動回路とすることもできる。
【0085】
第1の実施例では、このスイッチは、ノブ254に隣接して配置され、そしてボタン組立(図示せず)によって支持されたボタン288を使って起動されるようになっている。 マグネット(図示せず)は、ボタン組立によって運ばれるようになっている。 起動用のボタン288が押されると、ボタン組立はマグネットをホールセンサーと一列に並ぶように動かしたり、あるいはホールセンサーと一列に並ばないように動かしたりして、ホールセンサーは、ボタンが押されたという信号を発生させるようになっている。 ボタン288上の押圧力が除去されると、スプリング(図示せず)がボタンを基の位置に戻すようになっている。 当該システムが起動状態に入った時と起動状態から外れたとき、ユーザーへはそのフィードバックが提供されるようになっている。 例えば、当該システムのその部分が起動状態にあるときには、処置器具ボックス上に在るLED245を点灯させたり、あるいは色を変えたりし、当該システムのその部分が不起動状態にあるときには、LED245を消灯させることができる。 当該システムが起動状態と不起動状態の間を動いた場合に、聴覚上の信号音を追加的に鳴らせることもできる。 LEDに電圧を供給するために、処置器具ボックスとブラケット276bを電気コネクタ99(
図17B)で接続している。
【0086】
起動用のボタンが押されたとき、当該システムの該当する側の処置器具に関して、当該システムは“不起動状態”から“起動状態”に移動する。 起動状態にあるとき(上述したように、処置器具が存在することが検出されたと仮定する)、コマンドインターフェース250において検出した動きに呼応して、当該システムはモータを起動する。 同じ起動用のボタン288を再び押すと、当該システムの該当する側の処置器具に関して、当該システムを不起動状態に移動させるために使用される別の信号が発せられる。 当該システムが“不起動状態”にあるとき、操縦用モータおよびロール用モータは起動せず、フィンガー214の方向とロールドライブチューブ248は固定されたままに留まっている。
【0087】
従って、処置器具の存在を検知するセンサー286とユーザーが起動する起動用のボタン288は、コマンドインターフェース250において動きが検出されたとしても、操縦用、およびロール用のモータ236a、b、238が起動されるのを防止するように設計されており、安全性および利便性に係る機構として有用である。 コマンドインターフェース250が位置を変え、あるいは不注意にぶつけられた時に、体腔の中で不注意なフィンガーの動きを生じさせること無く、ユーザーが自らの手を処置器具のハンドルから外そうとする際のように、この機構は様々な状況において利点をもたらすものである。 更に、ユーザーが人間工学的に望ましい位置へコマンドインターフェースを再配置する間、あるいはユーザーが当該フィンガーを通って伸びる処置器具を別の処置器具に交換し、体腔内の同じ位置に運び込む間、ユーザーが体腔内においてフィンガー214の方向を維持するために、当該システムを不起動の状態にすることを希望することもできる。
【0088】
もし、ユーザーが処置器具のハンドル104に関連したボタン288の位置を変えることを選択した場合、ユーザーは回転ノブ254に関連した処置器具のカラー106を回転することによりそのようにすることができる。
【0089】
ブロック282、ノブ254あるいは隣接する構造物の間に伸びるコード(図示せず)を、処置器具の存在を検知するセンサー286とユーザーが起動するボタン288に関連するセンサーからベース又はコマンドインターフェース250まで信号を送信するために使用するようにしても良い。
【0090】
ロール入力
処置器具ボックス252はユーザーに対して、処置器具のシャフトをモータ駆動により起動するための2つの方法を提供する。 第1の方法は、ノブ254を回転させるものであり、第2の方法は、処置器具のハンドル104を回転させるものである。 第1の実施例では、回転ノブ254は処置器具のハンドル104の近くに配置されており、ユーザーが標準ハンドの処置器具上にある回転ノブの位置に類似した位置のノブを見つけることができるようになっている。
【0091】
支持部材290、292は処置器具ボックス252の中の固定した位置に取り付けられている。 第1の歯車294は、チューブ278の外側表面に回転可能に係合しており、第2の歯車296は第1の歯車に隣接すると共に、第1の歯車と係合している。 ノブ254、チューブ278および歯車294は、処置器具ボックス252に対して相対的に軸廻りに回転可能となっている。 そしてこれらの回転によって、第2の歯車296に、これに対応した回転が生ずるようになっている。 第2の歯車の回転は、マグネットの回転位置がコマンドインターフェース250の中に在るエンコーダによって検知されるように配置されたマグネットの回転を生じさせるようになっている。 マグネットとエンコーダの間には、殺菌したカーテンを置くようにしても良い。
図17Bを参照すると、マグネットは、ポスト298上に支持されたディスク状のマグネット300である。ポスト298は第2の歯車296から先端側に突起しており、歯車が回転すると回転するようになっている。 マグネット300は、N極とS極が直径方向を向いて、先端側を向いた面を有している。
【0092】
処置器具ボックス252がブラケット276b上に取り付けられる時、ポスト298は、ブラケット276bにある対応する開口部302(
図16)の中へ伸びている。 エンコーダチップ304は、ポスト298上のマグネット300の回転位置(ノブ254の回転位置を示すものである)を検出するために開口部302の中に配置されている。 エンコーダチップ304によって発生させられた信号は、ノブ254の回転に応答するロール用のモータのための駆動信号を発生させるために使用される。 ロール入力は、同様に、処置器具のハンドルの回転を通じて発生される。 処置器具のカラー106は、(ブロック282を介して)チューブ278に回転方向に連結されているので、処置器具のハンドルの回転によりチューブ278が回転し、その結果、前述したように、エンコータチップ204において信号が発生される。
【0093】
別の実施例では、処置器具のハンドル上にある回転可能なノブが、同様な方法により、ロール入力の信号を発生させるために回転できるものとしても良い。
【0094】
処置器具のシャフトの先端部分102と処置器具のシャフトの基端部分108の間にある処置器具のロールジョイント260(駆動セグメント260:
図11A)には摩擦が存在するので、先端部分102の回転により、ロールエンコーダチップ204によってロール入力を発生させることができる基端部分108がわずかに回転することになる。
図17Aを参照すると、処置器具ボックスは、処置器具ボックス252のハウジング(あるいは処置器具ボックス252の中に在る別の固定支持構造物)と歯車296又はポスト298の間に配置されたエレメントを使用して、歯車296回転の動きに対して摩擦を作用させるように設計されている。 摩擦プレート247は、歯車296又はポスト298の基端側端面に接触した第1の面と、処置器具ボックス252(
図17Aには図示せず)の内側に接触する第2の面を有する。 摩擦プレート247は、歯車296の回転に対して摩擦抵抗を与えるものである。 摩擦の大きさは、処置器具のロールジョイント260における、処置器具のシャフトの先端部分102と処置器具のシャフトの基端部分108の間の摩擦よりも大きくなるように選択される。 ロールジョイント260における摩擦から生じる処置器具のシャフトの基端部分108の回転が、ロールエンコーダチップ204への入力になることを防止し、従って、フォワードフィードバックを防止することになる。
【0095】
Z軸の動き
体腔内において処置器具チップを動かすための処置器具のZ軸方向の動きは、処置器具のハンドル104を押す/引くことにより、マニュアル操作によって実行される。 処置器具ボックス252に対する処置器具のハンドルのZ軸における相対的な位置に係らず、処置器具のロール入力を生じさせるために、ノブ254と処置器具のハンドル104が使用できるように、処置器具ボックス252が構成されている。 処置器具のカラー106がブロック282と連結されている時、処置器具のZ軸方向の動き(すなわち、処置器具が、先端側の位置と基端側の位置との間を前進または後退する動き)は、Z軸方向の行程全体に亘って処置器具とロール入力機構の起動状態を維持しながら、ノブ254とチューブ278を同様にZ軸に沿って動かすようになっている。 一定力のスプリング320(
図17B)は、チューブ278の先端部分上のカラー280と支持部材290の間に結合されている。 処置器具が先端側の方向へ前進するとき、チューブ278は、スプリング320の力に逆らってカラー280を先端側へ押す。 ユーザーが処置器具のハンドル104を処置器具ボックス252から取り外すとき、スプリング320はチューブ278を引き込み、その結果カラー280は基端側位置まで戻る。 処置器具が存在するときは、スプリング320の力は、処置器具を動かすために必要となる摩擦力よりも小さく、ユーザーの入力が無ければ、処置器具は同じ位置を維持し続けることになる。
【0096】
処置器具ボックスは、処置器具をチューブ278の中へ挿入する間に、チューブ278が先端側へ前進してしまうのを防止するために、ロックを備えるようにしても良い。 ロックとしては、ユーザーのマニュアル操作によってロック解除できる機械式のラッチであっても良いし、あるいは、処置器具の存在を検知するセンサーによって発生される信号に対応して電気式にロック解除されるものであっても良い。
【0097】
処置器具のZ軸方向の位置を決定する処置器具ボックスの機構は、引き続き
図17Bを参照しつつ以下において説明する。 ピン308が、カラー280から横方向に伸びている。 レバーアーム310は、ピン308上をスライドできるスロット312を備えた第1の端部を有している。 レバーアーム310の第2の端部は、処置器具ボックスの中に取り付けられた固定のレバーアームマウント314に回動可能に連結されている。 マグネット316が、レバーアーム310の回動軸に配置されており、レバーアーム310のピボット点として回転するようになっている。 マグネット316は、直径方向にN極とS極が配置され、先端側を向いた面を有している。
【0098】
図16を参照すると、処置器具ボックス252がブラケット276b上に取り付けられたとき、マグネット316(
図17A)は、ブラケット276bに取り付けられたエンコーダチップ318と一直線になって配置される。 エンコーダチップ318は、マグネット316の回転位置を表す信号を発生させ、当該システムは、その信号からチューブ278とその結果としての処置器具100の軸廻りの位置を導き出すことができるようになっている。
【0099】
スケーリングファクターは、ユーザーによる処置器具のハンドルの動きに対する上下方向の相対的なスケーリングされた処置器具またはフィンガーの動きの大きさを表すものである。 当該システム2は、操縦用のモータのコントロールに使用されるスケーリングファクターをダイナミックに調整するために、処置器具の決定されたZ軸方向の位置を利用する。 例えば、処置器具のZ軸方向の位置に係りなく、ユーザーの入力に対して一定の操縦を行うために、処置器具がフィンガーから完全に伸びている時に操縦するために使用されるスケーリングファクターは、処置器具チップがフィンガーのチップに接近している時に使用されるスケーリングファクターよりも小さい。
【0100】
処置器具ボックス252は殺菌されたカーテンの外側にあるが、コマンドインターフェース250の第1および第2のブラケット276a、bは、使用中、殺菌されたカーテンで覆うようにしても良い。
【0101】
電気機械系のブロックダイヤグラム
図18Aは、当該システム2の電気機械系のブロックダイヤグラムを示したものであり、上述したようにロール入力用のホイールが処置器具ボックス上に配置されているのに変えて、ロール入力用のホイールが処置器具のシャフト上に配置されているという、微小な修正を施した実施例として示してある。 展開センサーを含むその他の特徴点は示されていない。 そして、
図18Aの実施例では、ロールドライバーは、分離した別のコンポーネントとして配置する代わりに、ベースユニットの一部(「ドライブ組立」と表示)として備えられている。
【0102】
使用
当該システム2を使用するために、コマンドインターフェース250のベースユニット218と第1および第2の部分(ブラケット)276a、276bは、殺菌されたカーテンで覆われている。ベースユニット218のモータ駆動される部材228a、228b、244と、モータ駆動される部材226a、b、234とを係合させるために、フィンガードライブ組立200のハウジング210とロールドライバー216は、ベースユニットに取り付けられている。 当該システムは、フィンガーおよびロールドライバーのシャフト226a、b、234とベースユニットのシャフト228a、228b、244の間の係合状態をモニタしており、「動作伝達」について述べた章において述べたように、対応する部材に係合していないシャフト228a、228b、244は、モータの起動時に僅かに回転しても良い。
【0103】
処置器具ボックス252は、コマンドインターフェース250の第2の部分(ブラケット)276bに取り付けられている。 コンポーネントが正しく配置されているとき、ハウジング210とロールドライバー216を固定するために、スプリングラッチ255はベースユニット218に係合している。 処置器具ボックス252をコマンドインターフェースの第2の部分(ブラケット)276bに固定するために、同様なスプリングラッチが係合している。
【0104】
殺菌された管状の連結器268がロールドライバー216とハウジング210に設けられたポート222の間を連結しており、同様な連結器を、処置器具ボックス252とロールドライバー216の間に配置しても良い。 一旦、当該システム2が組立てられると、フィンガードライブ組立200の先端側端部は、患者の体腔内に配置される。 これとは別に、フィンガードライブ組立を患者の体腔内に配置し、その後当該システム2を組立てるようにしても良い。 体腔内へ簡単に挿入するために、リンク12を使い、流線形の左右に隣り合っている形態のフィンガー214を配置するために、展開機構が使用される。 フィンガー214と挿入チューブ(挿入カニューレ)212の一部が切開部を通って体腔の中へ入っている。 手術用の処置器具(例えば、鉗子、捕捉器具あるいはその他のフレキシブルなシャフト状ハンドの処置器具)の先端チップは、処置器具ボックス252を通って挿入され、そして先端側へ前進する。 処置器具を前進させると、処置器具のチップは、処置器具ボックス252を出て、ロールドライバー216を通過し、フィンガードライブ組立のハウジング210の基端側端部に設けられたポート222の中へ入り、そして、対応するフィンガー214を通ってフィンガー214の先端側端部から伸びる処置器具の先端側端部まで進む。
【0105】
処置器具がコマンドインターフェース250を通って完全に挿入されたとき、処置器具の存在を示す信号がセンサー286(
図17A)によって発せられる。
【0106】
スコープ、捕捉器具、およびこれらに類したもののような追加的な処置器具は、フィンガーを通って展開した処置器具と同時に使用するために、ポート220を経由して挿入カニューレを通るようになっている。
【0107】
展開機構は、挿入カニューレの長手方向の軸に関し、各フィンガー(従って、フィンガーを通過する処置器具)の横方向のスペースを調整するために使用され、このことは
図2Aおよび2Cに関連して既に説明した。
【0108】
ユーザーが当該システムを使用して処置器具を操縦し、回転させることができるようになる前に、ユーザーは起動用のボタン288を押して、当該システムが起動状態に入るようにする必要がある。
少なくとも、当該システムが起動状態に置かれているときには、処置器具のハンドル104のスタート位置を決定するために、当該システムは、ブラケット276a、bとロール入力用のマグネット300の位置を検出する。
【0109】
もし、当該システムが起動状態にあり、処置器具の存在が検知されれば、当該システムは、フィンガーを操縦し処置器具を回転させるために、操縦用モータとロール用モータとを起動させることにより、コマンドインターフェース250において操縦用入力とロール用入力に応答するようになっている。 体内で処置器具100を操縦するために、ユーザーは処置器具のハンドル104を操作する。 例えば、処置器具のエンドエフェクタを上方へ動かすために、ユーザーはハンドルを下げる。 処置器具のエンドエフェクタを左へ動かすために、ユーザーはハンドルを右へ動かす。(別の方法として、当該システムは、処置器具のエンドエフェクタをハンドルと同じ方向に動かすように構成することもできる。 すなわち、例えば、ハンドルを持ち上げれば、エンドエフェクタも持ち上げられる。)
【0110】
コマンドインターフェース250におけるエンコーダは、軸A1、A2に関するブラケット276a、bの回転を検出することにより、ハンドルの動き又はハンドルの位置を検知する。 これに応答して、当該システムは、モータ236a、bを起動するためのコントロール信号を発生させ、これにより、フィンガーとフィンガーを通って伸びた処置器具を操縦する。 処置器具を軸廻りに回転させるために、ユーザーは処置器具のハンドル104あるいは回転ノブ254を処置器具ボックス252に対して軸廻りに回転させるかして、回転用のエンコーダチップ304において信号を発生させる。 これに対応して、ロール用のモータ238が、処置器具のシャフトの先端部分102を回転させるために起動させられる。 処置器具を更に体腔内の奥へ配置するために、ユーザーは、処置器具のハンドル104を先端側へ押す。 処置器具のこのようなZ軸方向の動きは、エンコーダ318によって検知され、当該システムは処置器具のZ軸方向の位置を使って、フィンガーの操縦及び/又は処置器具のロールのためのスケーリングファクターをダイナミックに調整するようになっている。
【0111】
図18Bは、検知した情報(フィンガーの位置の近似値、ユーザーインターフェースの位置等)に基づき、フォワードマッピングとリバースマッピング、およびPIDコントロールを使って、フィンガーを駆動する操縦用のモータを制御するための典型的なドライブコントロールシーケンスの図式である。
【0112】
顎の部分を開いたり/閉じたりするような処置器具のエンドエフェクタの作動は、処置器具のハンドル上に配置されたマニュアル操作のアクチュエータ(例えば、レバー、ノブ、引き金、スライド等)を使った従来の方法によって実行される。 もし望むならば、手術中、当該システムから処置器具を取り出し、別の処置器具と交換し、前述したように、ハンドルの操作により交換した処置器具を再び操縦し、軸廻りに回転させることもできる。
【0113】
第1の実施例は、機械化されたシステムとして構成された1つの例でしかない。 本発明の範囲を外れることなく本実施例に対して様々な改良を加えることが可能である。
【0114】
このような改良のいくつかについて以下に説明するが、これ以外にも本発明の範囲に含まれるその他の多くの改良が可能である。
【0115】
図では、ハウジング210内に配置された2つのフィンガードライバーと、別のハウジングに配置された各ロールドライバー216が示されているが、別の実施例では異なったレイアウトを使用している。 例えば、ロールドライバー216をフィンガードライバーと共通するハウジング内に配置するように改良した設計とすることもできる。 第2の例として、フィンガードライバーを収容するハウジング210とは別の共通するハウジングの中に、2つのロールドライバー216を一緒に取り付けることもできる。 別の実施例では、左側の処置器具に関係するロールドライバーとフィンガードライバーを共通のハウジングに収納し、これとは別のハウジングが右側の処置器具に関係するロールドライバーとフィンガードライバーの両方を収納するために使用される。 別の実施例では、4つの別のコンポーネントとしてロールドライバーとフィンガードライバーの各々をパッケージ化している。
【0116】
別の実施例では、モータは、各組立から取り外し可能にするよりも、むしろロールドライバーとフィンガードライバーに対応する組立の中に一体的に組み入れられている。
【0117】
第2の実施例
図19に示す第2の実施例にかかるシステム2Aは、主にロールドライバーの機構がベースの中に取り入れられているという点において、第1の実施例と異なる。 更に詳細には、ベース218aは、ロールドライブチューブ248(図示せず)を収納する立ち上がり部分216aを有している。 処置器具の通路は、立ち上がり部分216aの基端側の開口部264aと先端側の開口部(図示せず)の間に伸びている。 処置器具のシャフトは、コマンドインターフェース250とフィンガードライブ組立200の間にある立ち上がり部分216aの通路を通って伸びている。 殺菌された管状のインサート(図示せず)は、処置器具100が当該通路を汚染するのを防止するために、立ち上がり部分216aの中に在る処置器具の通路を通って挿入可能となっている。
【0118】
第3の実施例
図20を参照すると、外科手術のアクセスシステム2Bに関する第3の実施例では、ボディ210aとボディ210aから先端側へ伸びる挿入カニューレ212を備えている。 フィンガー214は挿入カニューレ212から伸びている。 フィンガー214は、本明細書において述べたものと同様な特性を有している。
【0119】
挿入カニューレ212の長手方向軸からの横方向の開きを増減させるために、各フィンガーには、フィンガー214の先端部分を独立して再配置させることのできる専用の展開機構が備えられている。 各展開機構は、リジッドで、長手方向にスライド可能な部材14aと、少なくとも1つのリンクアーム12a(各フィンガーには2つ描かれている)を有している。 リジッドな部材14aは、真直ぐで、単一の管腔を有し、ステンレススチール又はリジッドな高分子材料からできたチューブである基端側部分と、管状の基端側部分から伸びた先端側のバーから構成されている。 先端側のバーは、管状の基端側部分の壁の部分と一体化されている。 各フィンガーは、リジッドな部材14aの管状の基端側部分の管腔から先端側に伸びている。
【0120】
この展開機構は、第1の実施例において述べた展開機構と同様な機能を有している。 各リンク12aは、リジッドな部材118に回転可能に結合され第1の端部と、対応するフィンガー214であってフィンガー214の先端側端部の基端側に、回転可能に結合された第2の端部を有している。 図示された実施例では、これらの回転可能な結合部は、フィンガー上に配置されたカラー122によって形成されている。 リジッドな部材14aは、リンク120を内側および外側へ回転させるために、挿入カニューレ212に対して長手方向に移動可能となっている。 図示した形態では、対応するフィンガーを展開させるため、あるいは挿入カニューレ212の長手方向軸からフィンガーを更に開くようにさせるために、部材14aを先端側の方向へスライドさせると、リンク120の第2端部が外側に回転するようになっている。 別の形態においては、部材14aを引き込むことにより、フィンガーの開きを大きくするというように、逆の動きをするようにしても良い。
【0121】
各フィンガーは、カラー122に回転可能に結合された第1の端部と、部材14aまたは挿入カニューレ212の対応する1つに回転可能に結合された第2の端部を有する支持部材または支持ストラット124を備えている。 この支持ストラットはフィンガーを支持し、フィンガーの長手方向の方向を維持すると共に、使用中たるんだり、座屈したりするのを防止している。
【0122】
フィンガーを展開するために各部材14aを長手方向に独立してスライドさせるスライドリング126が示されており、これにより、ユーザーはスライドリング126をボディ210aに対して前進/後退させたりすることにより、部材14aを前進/後退させることができるようになっている。 スライドリングは、前述した“307”出願に記載されているように、ラチェット機構としての機能を有しており、部材14aの長手方向の位置の解除可能な係合によって、フィンガーの選択された長手方向又は横方向の位置を解除可能にロックすることができるようになっている。
図20には、この配置により、横方向の開き及び長手方向の伸びの大きさを変えるために、各フィンガーを展開できるようになっていることが示されている。
【0123】
処置器具100のチップTがフィンガーの先端側端部から伸びていることが示されている。 ボディ210aは、処置器具を受け入れるために、基端側の開口部128を有している。 フィンガー214から処置器具100を展開するために、処置器具のチップは基端側の開口部128の1つを通って挿入され、ボディ210a、挿入カニューレ212、およびフィンガーを通って、処置器具のチップまたはエンドエフェクタがフィンガーの外へ伸びるまで前進する。
図20では、基端側の開口部128を見えるようにするために、左側のフィンガーを通って配置された処置器具のハンドル104は描かれていない。
【0124】
第1の実施例と第3の実施例との間の主たる相違点は、第1の実施例におけるフィンガードライバー、ロールドライバー、コマンドインターフェース(処置器具ボックスを含む)およびベースユニットがハウジング(ボディ)210aの中に取り込まれているという特徴点である。
【0125】
処置器具のハンドル104のピッチおよびヨー方向の動きを検知するために、センサー130がボディ210a上に配置されている。 ボディ210aの中に在るモータ236a、bは、検知されたハンドルの位置に従って、フィンガーを偏向させるために、フィンガーを通って伸び(例えば90度の間隔で)フィンガーに固定されたケーブルに係合している。 例えば、第1のモータ236aは、フィンガーの先端側端部のヨー方向の動きに対応する第1のペアのケーブルを駆動するために配置され、第2のモータ236bは、フィンガーの先端側端部のピッチ方向の動きに対応する第2のペアのケーブルを駆動するために配置される。
【0126】
フィンガーを通って配置された処置器具の軸廻りの回転を駆動するための自動化が提供されている。 ハンドルのセンサー304が、処置器具のハンドル104の軸廻りの回転を検知するために配置されており、そしてセンサー304は、歯車134を使った処置器具またはフィンガーの軸廻りの回転を生じさせるかあるいはこれを補助するロール用のモータ238の運転に関係する。
【0127】
第1の実施例で述べたように、顎部を開いたり/閉じたりするような、処置器具のエンドエフェクタの駆動は、処置器具のハンドル上に配置されたアクチュエータ(レバー、ノブ、引き金、スライド等)を使用した従来の方法によって実行される。 もし望むのであれば、前述したように、手術中に当該システムから処置器具を取り出し、別の処置器具に取り換えて、ハンドルの操作によって処置器具を再び操縦したり軸廻りに回転したりすることができる。
【0128】
当該システム100は、手術室内にあるカートや、手術台、あるいはそのたの固定構造物に結合することができるアーム204(
図1B)のような安定化アームに係合できるマウント90を備えることもできる。 安定化アームは、モータ駆動のジョイントやテレスコピックな部材を使って、マニュアル操作により配置したり、位置調整したりすることができ、これにより、フットペダルやその他の入力装置のごとき装置を使ったユーザーからの入力によって、当該システム2Bの高さや方向を調整できるようになっている。
【0129】
第4の実施例
図21に示す実施例は、
図20に示す実施例と類似するが、フィンガー214のZ軸方向の動きに関する機構を更に取り入れているものである。
図20に示す実施例では、スライドリング126を使用することにより、対応するフィンガーのZ軸方向の位置を変えるようにしているが、
図21に示す配置では、挿入カニューレ212に対するフィンガーの横方向の位置とは独立してZ軸方向の動きを与えることができるようになっている。
【0130】
特に、当該システムは2つのボディセクション210cを有しており、各ボディセクション210cは、中央のトラック136に沿って長手方向にスライド可能となっている。 各ボディセクションは、フィンガーの1つおよびそのフィンガーに対応する展開システム(部材14a、リンク12a、支持ストラット124、展開リング(スライドリング)126)に結合されている。 ある実施例では、挿入カニューレ212はトラック136に結合され、そして各フィンガーとそのドライブ、および展開システムは、ユーザーがマニュアル操作により押したり/引いたりすることに対応して、カニューレに対して長手方向へ動くようになっている。 主としてZ軸方向の調整は、ここでは当該システムの両側の各サイドにおけるリニアベアリングを使ってプラットフォーム上で実行されるが、ツールの開きを調整するために、展開機構はとどまったままである(図においては、X軸として表示してある)。 スパンを各処置器具毎に独立してコントロールできるように、各サイドには独立した展開システムが備えられていることに注目する必要がある。
【0131】
第5の実施例
図22に示す実施例は
図21に示す実施例に類似するが、よりモジュール化された形式になっている。 この実施例では、ピッチ、ヨー、およびロール用のモータ236a、b、230およびセンサー130、304を収納し、処置器具100を受け入れるための開口部128を有する、独立したボディセクション210dを備えている。 各々がプーリー232、ケーブル(図示せず)、およびロールドライブチューブ248を有する、1対のフィンガー/ロールドライバー203aが備えられ、各フィンガー/ロールドライバー203aはフィンガー214の1つに連結される。 各フィンガー/ロールドライバー203aは、ボディセクション210dモジュールの中に在るモータが、ケーブルに張力を負荷し、フィンガー/ロールドライバー203aを回転させて、フィンガーを操縦すると共に処置器具を回転させるために、フィンガー/ロールドライバー203aのプーリーを駆動できるような方法で、ボディセクション210dに開放可能に係合されている。 (X軸において)フィンガーを開かせるためのスライドリング126が、フィンガー/ロールドライバー203a上に配置されている。
【0132】
第6の実施例
図20〜22に示す実施例では、ピッチ、ロール、およびヨーは検知され、処置器具を配置するためにフィンガーは電気機械的にコントロールされている。 しかし、処置器具の顎部のクランプする動き、あるいはその他のエンドエフェクタの動きは、処置器具のハンドルに配置された機械式のアクチュエータによって機械的に駆動される。
図23に示す実施例は、
図22に示す実施例にほとんど類似するが、機械的なアクチュエータを持ったハンド用の処置器具を使用する点で異なり、別の手術用の処置器具100aを使うようになっている。 処置器具100aは、ツールのエンドエフェクタ(例えば、顎部)を操作するために起動されるモータモジュールの中のモータに係合している。 1つの実施例では、フィンガーおよびロールドライバーのコントロールは、前の実施例に関連して説明したように、ピッチ、ロール、ヨーの制御のために、ユーザーによる処置器具の操作に対応して行われるようになっているが、当該システムでは、モータ138を経由してエンドエフェクタの駆動を開始するために、処置器具は入力装置(例えば、スイッチやフットペダル)からの信号を受信するように構成されている。 別の実施例では、ピッチ、ロール、ヨーおよび顎部用のモータが、処置器具103aをマニュアルで操作するのではなく、ユーザーによって入力されるジョイスティックやその他の入力装置のごとき別のユーザー入力装置から受信した信号に応答して操作される。
【0133】
第7の実施例
図24に示す実施例は、
図23に示す実施例に類似するが、
図24に示す実施例では、トラック136に沿って、ボディ210eとフィンガー/ロールドライバー203aを前進/後退させるモータ140を使って、Z軸方向の動きを自動化している。 更に、
図24に示す実施例では、機械的な展開機構を無くして、その代わりに各ボディ210eにある追加的なモータ142を使って、フィンガーのX軸方向または横方向の位置決めを自動化している。 モータ142は、展開およびX軸の位置決めのために、リンク12aを広げてエレメント14aを前進/後退させる。
【0134】
Z軸およびX軸の動きを自動化することにより、機械的なZ軸およびX軸の動きを使用して達成できるものを超えて、処置器具の複雑な立体的な動きを可能にすることができる。 動的なZ軸方向の動きは、処置器具のチップの複雑な方向性を持った動きを可能にする一方、動的なZ軸方向の動きにより処置器具の到達範囲は増大する。 X軸方向におけるチップの動きは、ある意味、Z軸方向における動きとは切り離すことができ、X軸方向の調整中にリンク12aの回転の結果生じるZ軸方向の変化を相殺するために、フィンガーのZ軸方向の位置を自動的に調整する。
【0135】
図25は、処置器具のハンドルやシャフトとは別に配置された、ユーザーの入力装置を使った
図23および
図24に示すシステムのようなシステムで使用することができるユーザー入力装置のほんの1つの例を示す。
図25に示す入力装置500には、手術用の処置器具の希望する位置に従って、ユーザーによって操作されるハンドルが備えられている。 この入力装置では、少なくとも4つのセンサー(コントロールハンドルにある複数の回転ジョイントに関係する)を有し、処置器具のエンドエフェクタにおいて達成する必要のある把持力をシュミレートするためのアクチュエータ502を有している。 この入力装置は、デジタル通信回線を通じてボディ210d、210eに連結されており、患者の横、好ましくは殺菌フィールドの中にあるボディ210d、210eの上または近傍に配置することができる。 例えば、入力装置500とボディは(アーム204のような)共通なアーム上、共通なカートまたはその他の固定構造物(例えば、手術台や天井のマウント)に支持された別のアーム上、あるいは同一または別の固定構造物上の別のアーム上に配置することができる。
図23および
図24に示すシステムでは、種々の交換可能なツール100aを備えることができ、その各々は異なったエンドエフェクタを有し、ユーザーが手術の作業途中に、必要に応じてツールモジュールを交換できるようになる。
【0136】
第8の実施例
図26は、第1の実施例に類似するシステム2Eを示したものである。 しかし、フィンガードライブ組立203、ロールドライバー216、コマンドインターフェース250、モータドライバー、および関連する電子機器が1つのコンポーネントの中に統合されている。 ケーブルの各ペアの1つに用いる、2つの操縦用のモータ236a、bがシステム2Eの各サイドに示されている。 しかし、各ケーブルはそれぞれ専用のモータを有している。
【0137】
種々の実施例について上述したが、これらの実施例は例として説明したものであり、これにより限定されるものではない、ということを理解しておく必要がある。 関連する技術に精通する者にとって、かかる種々の形態の変形や詳細化は、本発明の範囲と技術思想を外れることなく実施できるものであることは明白である。 後で開発される関連技術の中における技術や用語に照らせば、このことは特に真実である。 更に、ここで開示された種々の特徴点は、種々の追加的な実施例を作り出すために、種々の方法により組み合わせることが可能である。
【0138】
優先権主張のためのものを含め、これまでに参照したいずれかの、あるいは全ての特許、特許出願、および刊行物は、ここで参照することにより本明細書に取り入れられるものである。