(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また、
図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。ここで、本実施形態のパチンコ機1は、電子データ式の遊技機であるため、借り受けた遊技球が遊技者の手元に直接渡ることはなく、借り受けた遊技球の数を示す持ち球データが遊技機の内部や有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等の一般カードや会員カード)に蓄積される。そして、遊技者は、持ち球データの値が残存している場合(0よりも大きい場合)は、遊技球を発射して遊技を進行させることができる。ただし、持ち球データの値が残存しなくなった場合(0になった場合)には、遊技球の球貸し等を行い、持ち球データの値を増加させる必要がある。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば、遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、
図1及び
図2を参照しつつ遊技機の全体構成について説明する。
【0082】
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7(プラ枠、遊技機枠)を備えている。遊技者に相対する正面からみて、その最も前面側には一体扉ユニット4が位置している。一体扉ユニット4の背面側(奥側)には内枠アセンブリ7が位置しており、内枠アセンブリ7の外側を囲むようにして外枠ユニット2が配置されている。
【0083】
外枠ユニット2は、木材及び金属材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。なお、縦長矩形状の外枠ユニット2において、上下の短辺に相当する部位には木材が用いられており、左右の長辺に相当する部位には金属材が用いられている。
【0084】
一体扉ユニット4は、その下部位置に操作表示ユニット6が一体化された構造である。一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7は、外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0085】
図1中の正面からみて内枠アセンブリ7の右側縁部(
図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応して一体扉ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。
図1に示されるように、外枠ユニット2に対して一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともに一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
【0086】
また、操作表示ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動して内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
【0087】
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、内枠アセンブリ7は施錠されたままで一体扉ユニット4の施錠だけが解除され、一体扉ユニット4が開放可能となる。一体扉ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤ユニット8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。また、一体扉ユニット4を開放すると、操作表示ユニット6も一緒に前面側へ開放される。
【0088】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして上記の遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で上記の内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0089】
操作表示ユニット6には、その一部に突出部6bが形成されており、突出部6bは、一体扉ユニット4から前面側へ突出した形状をなしている。なお、本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であるが、電子データ式の遊技機であるため、カードユニット210にて遊技球の球貸し処理が実行されても、実際に遊技球が遊技者に払い出されることはない。このため、本実施形態のパチンコ機1には、上皿や下皿等が存在していない。
【0090】
また、操作表示ユニット6の突出部6bの上面中央には、演出切替ボタン45が設置されている。演出切替ボタン45は、例えば押し込み式の円形状ボタンとその周囲に回転式のジョグリング(ジョグダイアル)を組み合わせた形態である。遊技者は、この演出切替ボタン45を押し込み操作又は回転操作することで演出内容(例えば液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出、大役中の昇格演出等)を発生させたりすることができる。
【0091】
さらに、操作表示ユニット6の突出部6bの前面には、持ち球データ表示器123が配置されており、この持ち球データ表示器123には、カードユニット210に投入されている有価媒体の残存度数と、パチンコ機1に記憶されている持ち球データの値とが表示される。なお、図示の例では、残存度数として「100」が表示されており、持ち球データの値として「11500」が表示されている。
【0092】
操作表示ユニット6の右下部には、ハンドルユニット16(発射ハンドル)が設置されている。遊技者はこのハンドルユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤ユニット8の左側上端部付近から遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。なお、遊技領域8a内(盤面)の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0093】
また、操作表示ユニット6の左下部には、カード情報表示装置200が配置されている。カード情報表示装置200は、遊技の開始時や終了時、遊技中の休憩時に遊技者が操作するユニットである。
【0094】
カード情報表示装置200の下部には、球貸ボタン10、持ち球ボタン11、休憩ボタン12、清算ボタン13といった複数の操作ボタンが設けられている。
【0095】
カードユニット210(CRユニット)に有価媒体を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)が持ち球データに加算される。また、有価媒体に記憶されている持ち球データの値が「0」よりも大きい状態で遊技者が持ち球ボタン11を押下すると、有価媒体に記憶されている持ち球データの一部又は全部が、パチンコ機1に記憶されている持ち球データに移行する。さらに、遊技者が休憩ボタン12を押下すると、カード挿入口214から休憩カードが排出される。一方、遊技者が清算ボタン13を操作すると、残りの度数及び持ち球データが書き込まれた有価媒体の返却を受けることができる。この際、単位度数に対応する個数として、あらかじめ消費税分差し引いた数(例えば112個)を持ち玉データに加算するようにしてもよい。なお、この差し引き計算は、カードユニット210側で行ってもよく、遊技機側(発射持ち球管理装置92)で行ってもよい。
【0096】
また、カード情報表示装置200の上部には、カードユニット210に投入されている有価媒体の残存度数や、持ち球データ等を表示するデータ表示部14が設けられている。
データ表示部14には、カードユニット210に投入されている有価媒体の残存度数と、有価媒体に記憶されている持ち球データの値とが表示される。なお、データ表示部14には、遊技場の広告や、遊技機の遊技方法、休憩中を示す表示、出球グラフ等の情報を表示してもよい。
ここで、カード情報表示装置200は、タッチパネル式の入力装置とすることもできる。この場合、データ表示部14が入力機能と表示機能とを兼用することになるため、複数の操作ボタンは不要になる。
【0097】
〔カードユニット〕
パチンコ機1の左隣には、カードユニット210(球貸し管理装置)が設置されている。
カードユニット210は、有価媒体の取込み、有価媒体の返却、有価媒体に対する各種データの読み書き等を行う情報処理装置である。このカードユニット210は、パチンコ機1の遊技球等貸出装置接続端子板120(通信手段)を介して、パチンコ機1の発射持ち球管理装置92に接続されている(
図17参照)。そして、カードユニット210は、遊技球の球貸しを実行した場合、パチンコ機1に対して球貸しデータコマンドを送信する。
【0098】
また、カードユニット210の上部には、現金投入口212が配置されており、遊技者はこの現金投入口212から例えば紙幣を投入することができる。投入した紙幣はカードユニット210の内部で種類が判別され、紙幣の種類に応じた残存度数が有価媒体に書き込まれる。
【0099】
さらに、カードユニット210の下部には、カード挿入口214が配置されており、遊技者はこのカード挿入口214に有価媒体を投入したり、カード挿入口214から排出される有価媒体を受け取ったり、休憩カードを出し入れしたりすることができる。
【0100】
〔枠前面の構成〕
一体扉ユニット4には、演出用の構成要素として左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49が設置されている。このうち左トップレンズユニット47にはガラス枠トップランプ46及び左側のガラス枠装飾ランプ48が組み込まれており、右上電飾ユニット49には右側のガラス枠装飾ランプ50が組み込まれている。その他にも一体扉ユニット4には、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49の下方にそれぞれ連なるようにして左右のガラス枠装飾ランプ52が設置されており、これらガラス枠装飾ランプ52は、一体扉ユニット4の左右縁部から操作表示ユニット6の突出部6bまで延びている。一体扉ユニット4においてガラス枠トップランプ46や左右のガラス枠装飾ランプ48,50,52等は、ガラスユニット(参照符号なし)を取り巻くようにして配置されている。
【0101】
上述した各種ランプ46,48,50,52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。また、一体扉ユニット4の上部において、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49にはそれぞれガラス枠上スピーカ54,55が組み込まれている。一方、ハンドルユニット16の左下位置には外枠スピーカ56が組み込まれている。これらスピーカ54,55,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0102】
〔裏側の構成〕
図2に示されているように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、球送り装置ユニット172、発射球整列通路173a、発射球供給通路173b、発射制御基板セット174、発射持ち球管理基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(
図17)に基づいてさらに後述する。また、カードユニットについては図示を省略している。
【0103】
上記の球送り装置ユニット172は、例えば貯留タンク172a(発射球受給装置)及び貯留ケース(参照符号なし)を有しており、このうち貯留タンク(発射球受け入れタンク)172aは内枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。貯留タンク172aに蓄えられた遊技球は、発射球整列通路173a及び発射球供給通路173bを経由して発射装置300(
図3参照)に導かれる。
【0104】
電源コード164は、例えば遊技場の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続されることで、パチンコ機1の動作に必要な電源(電力)を確保するものである。また、アース線166は、同じく島設備に設置されたアース端子に接続されることで、パチンコ機1のアース(接地)を確保するものである。
【0105】
〔盤面の構成〕
図3は、遊技盤ユニット8を単独で示した正面図である。遊技領域8a内には、その中央位置に比較的大型の演出ユニット40が配置されており、この演出ユニット40を中心として遊技領域8aが左側部分、右側部分及び下部分に大きく分かれている。また、遊技領域8a内には、演出ユニット40の周辺に上始動入賞口26、始動ゲート20、普通入賞口22,25、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が分布して設置されている。このうち上始動入賞口26と可変始動入賞装置28は遊技領域8aの下部分の中央にそれぞれ上下に配置されており、始動ゲート20は遊技領域8aの右側部分に配置されている。また、3つの普通入賞口22は遊技領域8aの左側部分でその下寄りに配置されている。残るもう1つの普通入賞口25は、遊技領域8aの右側部分に配置されている。また、可変入賞装置30は遊技領域8aの右側部分でその下寄りに配置されている。
【0106】
遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で始動ゲート20を通過したり、上始動入賞口26、普通入賞口22,25に入球したり、あるいは、作動時の可変始動入賞装置28や開放動作時の可変入賞装置30に入球したりする。遊技領域8aの左側領域を流下する遊技球は、主に上始動入賞口26に入球するか、もしくは普通入賞口22に入球する可能性がある。遊技領域8aの右側領域を流下する遊技球は、主に始動ゲート20を通過するか、普通入賞口25に入球するか、開放動作時の可変入賞装置30に入球するか、もしくは作動時の可変始動入賞装置28に入球する可能性がある。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、上始動入賞口26、普通入賞口22,25、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30に入球した遊技球は遊技板(遊技盤ユニット8を構成する合板材、透明板等)に形成された貫通穴を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。
【0107】
ここで、始動ゲート20は、遊技領域8aの右側領域に配置されている。このため、本実施形態では遊技領域8a(盤面)の構成上、始動ゲート20に遊技球を通過させる場合や、可変入賞装置30に遊技球を入球させる場合、可変始動入賞装置28に遊技球を入球させる場合、遊技領域8a内の右側部分の領域(右打ち領域)に遊技球を打ち込む(いわゆる「右打ち」を実行する)必要がある。
【0108】
本実施形態において、上記の可変始動入賞装置28は、所定の作動条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で所定の停止表示時間にわたり停止表示された場合)に作動し、それに伴って下始動入賞口28aへの入球を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の開閉部材28bを有しており、これら開閉部材28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。すなわち、
図3中に実線で示されるように、左右の開閉部材28bは各先端が上を向いた状態で閉止位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入球は不能(遊技球が入球できる隙間がない状態)となっている。一方、可変始動入賞装置28が作動すると、左右の開閉部材28bはそれぞれ閉止位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、左右に開口幅を拡大して下始動入賞口28aを開放する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の入球が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入球を発生させることができる(可変始動入賞手段)。なお、このとき開閉部材28bは始動入賞口28aへの遊技球の入球を案内する部材としても機能する。また、遊技盤ユニット8に設置されている障害釘の配列は、基本的に可変始動入賞装置28(開放時の下始動入賞口28a)へ向かう遊技球の流下を極端に阻害しない態様となっているが、遊技球が開放動作時の可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)に必ず入球するというわけではなく、あくまで入球は無作為に発生する。
【0109】
また、上記の可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入球を可能にする(特別電動役物、特別入賞事象発生手段)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置(閉止状態)にあり、このとき大入賞口への入球は不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する(開放状態)。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が不能ではない状態となり、大入賞口への入球という事象を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
【0110】
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、各入賞口に入球しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。また、普通入賞口22,25や可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)、可変入賞装置30(大入賞口)に入球した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示しないアウト通路アセンブリ(排出装置)を通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
【0111】
また、遊技盤ユニット8の左上方部分には、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する発射装置300が取り付けられている。発射装置300は、遊技領域8aの上下方向における上端側に配置されており、遊技領域8aに対して略水平方向に遊技球を発射する。なお、発射装置300の構成の詳細は後述する。ここで、略水平方向とは、完全な水平方向のみならず、概ね水平方向であることも含まれる。どの程度までが略水平方向に含まれるかは、発射装置の配置や構成にもよるが、少なくとも発射後の遊技球が発射装置から自由落下することができる範囲(例えば、右上方40度程度、好ましくは右上方30度程度、より好ましくは右上方15度程度)までは略水平方向に含まれる。
【0112】
〔遊技盤ユニットのその他の構成〕
演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40c,40k,40mを備えている。装飾部品40b,40c,40k,40mはその立体的な造形により遊技盤ユニット8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また、演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤ユニット8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。
【0113】
演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eは例えば上下2段に形成されており、このうち上段が遊技者からみて奥に位置し、下段が遊技者からみて手前に位置する。上下2段とも、それぞれ転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがてその下段から下方の遊技領域8a内に流下する。
【0114】
また、転動ステージ40eの略中央位置には流入通路40gが形成されており、この流入通路40gには上段の転動ステージ40eから遊技球が無作為に流入し得る。流入通路40gは演出ユニット40の下縁部を下方に延びた後、手前側へL字形状に屈曲して形成されており、その終端に球放出口40hが形成されている。球放出口40hは前面に向けて開口しており、その開口位置が上始動入賞口26の真上に位置している。このため転動ステージ40e上から流入通路40g内に流入した遊技球は、球放出口40hから放出されて、その真下にある上始動入賞口26を通過しやすくなる(ただし、常に通過するわけではない。)。
【0115】
その他に演出ユニット40には、演出用の可動体40f(例えばハート形の装飾物)とともに図示しない駆動源(例えばモータ、ソレノイド等)が付属している。演出用の可動体40fは、液晶表示器42による画像を用いた演出や発光器による演出に加えて、有形物の動作を伴う演出を実行することができる。このような可動体40fを用いた演出により、二次元の画像を用いた演出とは別の訴求力を発揮することができる。
【0116】
図4は、遊技盤ユニット8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。すなわち遊技盤ユニット8には、例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33及び普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が設けられている(普通図柄表示手段、特別図柄表示手段、抽選要素記憶手段)。
【0117】
このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。なお、ここでは2つのランプ(LED)を使用することとしているが、4つのランプ(LED)を使用して普通図柄作動記憶ランプ33aを構成してもよい。この場合、点灯するランプの個数で作動記憶数を表示することができる。
【0118】
普通図柄作動記憶ランプ33aは、上記の始動ゲート20を遊技球が通過すると、その都度、作動抽選の契機となる通過が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その通過を契機として普通図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。なお、本実施形態では、普通図柄作動記憶ランプ33aが未点灯(記憶数が0個)の場合、普通図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で始動ゲート20を遊技球が通過しても表示態様は変化しない。すなわち、普通図柄作動記憶ランプ33aの表示態様によって表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ普通図柄の変動が開始されていない通過の回数を表している。
【0119】
また、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えば7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段、第1図柄表示手段、第2図柄表示手段)。その他、特別図柄表示装置34は複数のドットLEDを幾何学的(例えば円形状)に配列した形態であってもよい。
【0120】
また、第1特別図柄作動記憶ランプ34a及び第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、例えばそれぞれ2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせで構成される表示態様により、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する(記憶数表示手段)。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして、2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。
【0121】
第1特別図柄作動記憶ランプ34aは、上記の上始動入賞口26に遊技球が入球するごとに、入球が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その入球を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。また、第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、上記の可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が入球するごとに、入球が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化し(最大4個まで)、その入球を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化する。なお、本実施形態では、第1特別図柄作動記憶ランプ34aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第1特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で上始動入賞口26に遊技球が入球しても表示態様は変化しない。また、第2特別図柄作動記憶ランプ35aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第2特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が入球しても表示態様は変化しない。すなわち、各特別図柄作動記憶ランプ34a,35aの表示態様により表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ第1特別図柄又は第2特別図柄の変動が開始されていない入球の回数を表している。
【0122】
また、遊技状態表示装置38には、例えば、確率変動状態表示ランプ38a、時短状態表示ランプ38b、大当り種別表示ランプ38c,38d、発射位置指定表示ランプ38eにそれぞれ対応する5つのLEDが含まれている。なお、本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤ユニット8に取り付けられている。
【0123】
図5は、往復回転式投球機構を利用した発射装置300の構成の詳細を示す図である。
発射装置300は、往復回転式投球機構(スイングアーム方式)により、遊技領域に遊技球を発射する装置である。
発射装置300は、駆動源となる発射モータ302を備えており、発射モータ302は、ステッピングモータ、ロータリーソレノイド、スウィングモータ等を適用することができる。
発射モータ302は、出力軸となる回転軸304を有し、回転軸304には、被駆動部材となる発射アーム306が接続されている。
【0124】
発射アーム306は、アーム状の部材であり、一端には回転軸304が接続され、他端には発射球を保持する凹状の発射球保持部308が形成されている。
図5中(B)に示すように、発射アーム306の発射球保持部308は、内部がくり抜かれたお椀型の形状であり、かつ、内面が円弧状となっており、遊技球を1つだけ収容することができる。また、
図5中(A)の二点鎖線で示すように、発射アーム306が起立した状態において、発射球保持部308の内面下側壁は遊技球の自由落下を促すために下り傾斜の連続斜面となっており、発射球保持部308の内面上側壁は遊技球の発射方向がやや上向きになるように、なめらかな連続曲面を形成している。発射球保持部308は、発射前の遊技球を待機させる発射球待機部を兼ねているため、毎回の発射動作が安定し、発射の精度を向上させることができる。
発射アーム306は、発射モータ302が駆動することにより、例えば600ms間隔で連続して円弧方向に回転往復運動をすることができる。発射アーム306は、往路駆動待機時に位置する待機位置で発射球を受け入れて保持し、発射モータ302の駆動により往復駆動された往路終端位置(図中の実線で示す位置)にて発射球保持部308で保持している発射球を遊技球通路312の空間又は自由落下通路324に放出して遊技球を発射する。
【0125】
また、発射装置300の基台322における中央左下の位置(発射球保持部308の上方の位置)には、遊技球供給孔310が形成されており、遊技球供給孔310からは遊技球が1つずつ供給され、発射球保持部308に送られる。
さらに、発射装置300の右側中央には、発射アーム306により発射される発射球が通過する遊技球通路312(発射通路)が形成されており、遊技球通路312は、基台322内に横向きにくり抜き形成されている。
遊技球通路312は、発射アーム306の往路終端位置(図中矢印Aに対応する位置)から発射球を受け入れて発射口318に発射球を導く通路である。また、遊技球通路312(遊技球通路312の下側壁)は、発射球を受け入れた後に発射球に与えられた力が十分でない場合には自由落下により発射球を遊技領域に放出する自由落下通路324により構成されている。
【0126】
遊技球通路312の入口の上下部分には、発射アーム停止部材314が配置されており、発射アーム停止部材314は、発射アーム306の回転を停止するための部材であり、2種類の役割を果たす。1つ目の役割は、発射アーム306の回転力を受け止める役割であり、2つ目の役割は、発射アーム306の回転方向の停止位置を正確に規定(位置決め)する役割である。そのため、2箇所に設けた発射アーム停止部材314の下側を例えば衝撃吸収性能に秀でたゴムやスポンジ等の部材で衝撃緩衝用に設置し、上部の部材を変形が少なく、基準位置出しを精度よく行えかつ耐摩耗性に優れた硬質ゴム等にすることで必要要件を満足させることができる。この場合、下側の衝撃吸収用の部材が先に発射アーム306に接して回転力を弱めた後、上部の基準位置出し用の発射アーム停止部材に当接するように、発射アーム停止部材314の形状及び配置を考慮することが好ましい。例えば、上部の基準位置出し用の発射アーム停止部材よりも下側の衝撃吸収用の部材のサイズを大きくしたり、上部の基準位置出し用の発射アーム停止部材よりも下側の衝撃吸収用の部材を発射アーム306側に突き出して配置させたりすることができる。なお、本実施形態では、発射モータ302を回転させて発射アーム306を発射アーム停止部材314に突き当てる構成であるが、発射アーム306の起立位置で電磁ブレーキにより完全停止するように構成すれば、発射アーム停止部材314を省略することができる。また、このような発射アーム停止部材314を配置することにより、発射装置300の静音化を実現することができる。
【0127】
また、遊技球通路312の中央付近には、発射装置300により遊技球が発射されたことを検出する遊技球発射検出センサ316(発射検出手段)が配置されており、発射装置300により遊技球が発射された場合、遊技球発射検出センサ316により遊技球の発射が検出される。遊技球発射検出センサ316には、様々なセンサを適用することができるが、フォトカプラや、検出コイルのインピーダンスの変化によって遊技球の通過を検出するスイッチ等を適用することができる。
【0128】
遊技球通路312の出口(終端位置)には、遊技領域に対して発射球を送り出す発射口318が形成されており、発射口318は発射装置300の右側に開口している。このため、発射装置300により遊技球が発射された場合、遊技球は、遊技領域に対して略水平方向に発射される。
【0129】
また、発射口318の外側には、発射口318を塞ぐように、戻り球防止弁320が配置されている。この戻り球防止弁320は、遊技領域に発射された遊技球が発射装置300に戻ってくること(逆戻りすること)を防止している。なお、戻り球防止弁は、
図5中(A)に示すような板バネを用いた戻り球防止弁320であってもよく、
図5中(C)に示すような板ドアを用いた戻り球防止弁321であってもよい。
【0130】
また、基台322には、発射モータ302、発射アーム306、遊技球供給孔310、遊技球通路312、発射アーム停止部材314、遊技球発射検出センサ316、発射口318、及び戻り球防止弁320が取り付けられているため、発射装置300をユニット化(部品化)することができる。
【0131】
ここで、
図5中(D)に示すように、発射装置300は、遊技領域に対して傾けて配置することもできる。このようにしても、発射装置300は、遊技領域に対して略水平方向に遊技球を発射することができる。発射装置300は、遊技領域の上下方向における上端側に配置されているため、発射球保持部308の形状が回転終端で遊技球を自由落下させる形状であれば、水平でなくても戻り球のない発射装置を構成することができる。すなわち、発射方向ベクトルは水平でなくても(例えば右上方30度程度でも)、発射球保持部308の形状により回転停止端で遊技球を自由落下させることができる。なお、発射装置300は、右上方40度程度まで傾斜させてもよく、右上方15度程度までの傾斜とすれば戻り球の発生をより抑止することができる。また、発射装置300は、右下方向に傾斜させてもよい。このようにすれば、遊技球の自由落下をより促進させることができる。
【0132】
このように、本実施形態によれば、発射装置300における発射系に関する部品を一体化しているため、組み立ての簡略化や部品管理の簡素化を図ることができる。
【0133】
ここで、発射アーム306の往路終端(図中矢印Aに対応する位置)から発射口318までの間であって通路形成可能領域(空間以外の部分)には、自由落下通路324が形成されている。自由落下通路324は、遊技球通路312に遊技球が停滞した際に遊技球の自由落下により停滞している遊技球を遊技領域に放出する下り傾斜の通路である。また、発射アーム306の往路終端(図中矢印Aに対応する位置)は、遊技球通路312の入口の手前に位置しており、自由落下通路324は、遊技球通路312の全長にわたって設けられている。
【0134】
図6及び
図7は、往復回転式投球機構を利用した発射装置300の動作の詳細を示す図である。
ここで、
図6は、発射装置300から通常の強度範囲で遊技球が発射された場合の例を示しており、
図7は、発射装置300から最弱の強度で遊技球が発射された場合の例を示している。
【0135】
図6中(A)に示すように、遊技球を発射する前の待機状態では、発射アーム306は倒れた状態となっている。
この状態で球送り装置500(
図11参照)が作動すると、
図6中(B)に示すように、遊技球が1つだけ遊技球供給孔310から放出され、発射球保持部308に供給される。
【0136】
そして、
図6中(C)に示すように、発射球保持部308に遊技球が保持された状態で発射モータ302が駆動すると、回転軸304とともに発射アーム306が時計回りに90度回転して起立した状態となり、その勢いで遊技球が発射球保持部308から遊技球通路312に向かって飛び出す。なお、発射モータ302の回転速度によって発射アーム306が垂直となるリリースポイントでの発射球の初速が決まり、これにより発射球の発射強度が決まる。また、遊技球は遊技球通路312を通過するため、遊技球発射検出センサ316により遊技球の通過が検出される。なお、発射モータ302の回転速度、すなわち発射強度は、発射モータ302のPWM駆動のデューティ比調整等による電力制御で行われる。
【0137】
その後、
図6中(D)に示すように、遊技球は発射口318から遊技領域に放出されることになるが、発射口318から放出される際には戻り球防止弁320を押しのけて遊技領域に進行する。一方、発射アーム306は、起立した位置(発射位置)で所定時間(例えば0.1〜0.3秒程度)にわたり保持される。
ここで、発射アーム306が終端位置に到達した後、遊技球はその初速を維持して遊技領域に発射されることになるが、発射強度がある一定以上となる場合、発射球は、発射アーム306の回転方向における発射球保持部308の底部から、遠心力により、短いながらも発射アーム306の発射球保持部308の内面上側壁に押しつけられながら遊技領域に放出される。すなわち、その発射方向のベクトルは、発射強度(遠心力)と、発射装置300の傾斜角度と、発射アーム306の内面上側壁の形状に依存して決定される。このように、発射アーム306の形状は、遊技球の発射方向に影響を及ぼすため、耐摩耗性に優れた金属等で一部又は全部が構成されることが望ましい。
【0138】
そして、所定の保持時間が経過すると、
図6中(E)に示すように、発射アーム306は、重心の位置関係により自重で元の待機位置に戻る。なお、発射アーム306は、自重ではなく、発射モータ302の逆回転制御により、元の待機位置に戻してもよい。
発射装置300は、このような動作を繰り返すことにより、遊技球を連続的に遊技領域に発射することができる。
【0139】
以上は、発射装置300から通常の強度範囲で遊技球が発射された場合の動作例であるが、発射モータ302の回転力が不充分となって発射装置300から最弱強度で遊技球が発射された場合の動作例は以下の通りとなる。
【0140】
図7中(A)に示すように、遊技球を発射する前の待機状態では、発射アーム306は倒れた状態となっている。
この状態で球送り装置500(
図11参照)が作動すると、
図7中(B)に示すように、遊技球が1つだけ遊技球供給孔310から放出され、発射球保持部308に供給される。
【0141】
そして、
図7中(C)に示すように、発射球保持部308に遊技球が保持された状態で発射モータ302が駆動すると、回転軸304とともに発射アーム306が時計回りに90度回転して起立した状態となる。ただし、図示の例では、発射モータ302の回転力が不充分であったため、遊技球は発射球保持部308から飛び出さず、発射球保持部308に留まっている。
【0142】
しかし、
図7中(D)に示すように、発射球保持部308は、その内面が円弧状となっているため、遊技球は円弧状の斜面を転がって遊技球通路312に導かれる。また、遊技球通路312の下面は下り傾斜の自由落下通路324となっているため、遊技球は自由落下により発射口318から遊技領域に放出される。遊技球が発射口318から放出される際には戻り球防止弁320を押しのけて遊技領域に進行する。この場合、遊技球は遊技球通路312を通過するため、遊技球発射検出センサ316により遊技球の通過が検出される。
【0143】
一方、発射アーム306は、起立した位置(発射位置)で所定時間(例えば0.1〜0.3秒程度)にわたり保持される。このように、発射アーム306は、垂直位置で所定時間にわたり保持され、かつ、発射球の発射強度が再弱となった場合でも最低限自由落下するように遊技球通路312が形成されているため、発射球保持部308に発射球が残存することはない。また、仮に既に発射された遊技球が障害釘等で反射されて(弾かれて)、発射口318に逆流しようとし、戻り球防止弁320を発射口318の方向に押し込み、発射球の盤面への放出を阻止する力が働いた場合においても、発射アーム306は、この垂直位置で所定時間十分な強度で付勢(保持)されるため、発射球が押し戻されることはなく、最低でも自由落下により盤面に放出される。
【0144】
そして、所定の保持時間が経過すると、
図7中(E)に示すように、発射アーム306は、元の待機位置に戻る。
【0145】
このように、本実施形態では、発射球保持部308の内面が円弧状となっており、かつ、遊技球通路312の下面は下り傾斜の自由落下通路324となっているため、発射装置300の発射力が充分でなかった場合であっても、遊技球は自由落下により遊技領域に放出される。このため、本実施形態によれば、戻り球が発生しにくい発射装置300を提供することができる。
【0146】
図8は、往復直進式打球機構を利用した発射装置400の構成の詳細を示す図である。
先に説明した発射装置300は、往復回転式投球機構により、遊技球を発射する装置の例で説明したが、ここでは往復直進式打球機構により、遊技球を発射する装置の例を説明する。
【0147】
発射装置400は、直進形ソレノイド402、被駆動部材404、遊技球供給孔406、遊技球通路408、遊技球発射検出センサ410、発射口412、戻り球防止弁414及び基台416を備えている。
【0148】
直進形ソレノイド402は、ハンドルユニット16を遊び角以上に回転操作した場合にその回転量に応じた駆動力で作動するアクチュエータであり、基台416の中央付近に固定されている(駆動源)。
【0149】
被駆動部材404は、円柱形の棒状の部材であり、直進形ソレノイド402が作動することにより、例えば600ms間隔で連続して略水平方向に進退動作(直進往復運動)をすることができる。
被駆動部材404の先端部分には緩衝材404aが取り付けられ、後端部分にはストッパ404bが取り付けられている。緩衝材404aは、被駆動部材404が前進した際に、遊技球待機部405にある遊技球を打球(横打ち)するハンマとして用いられる。ストッパ404bは、被駆動部材404の移動量を規制する部材である。被駆動部材404により打球された遊技球は、遊技球通路408及び発射口412を通って遊技領域に放出される。
【0150】
遊技球待機部405の右斜め上方には、遊技球供給孔406が形成されており、遊技球供給孔406からは遊技球が1つずつ供給され、遊技球待機部405に送られる。
【0151】
遊技球通路408は、遊技球待機部405から発射口412までを結ぶ遊技球の発射通路であり、基台416内に横向きにくり抜き形成されている。
遊技球通路408(発射通路)は、被駆動部材404の往路終端位置(図中矢印Aに対応する位置)から発射球を受け入れて発射口412に発射球を導く通路である。また、遊技球通路408(遊技球通路408の下側壁)は、発射球を受け入れた後に発射球に与えられた力が十分でない場合には自由落下により発射球を遊技領域に放出する自由落下通路418により構成されている。自由落下通路418は、下り傾斜(下り坂)の通路とすることができる。遊技球通路408の上流側(図中左側)には上り傾斜(上り坂)の遊技球待機部405が形成されており、自由落下通路418は、遊技球待機部405に連なって形成されている。この上り傾斜は、遊技球待機部405に対して遊技球を安定して静止させる役割を果たしている。一方、遊技球通路408の下り傾斜は、遊技球を遊技領域に自由落下させる役割を果たしている(自由落下通路418)。なお、遊技球待機部405は、被駆動部材404で打球される直前の遊技球が待機する位置である。被駆動部材404は、直進形ソレノイド402の駆動により、遊技球待機部405に待機している遊技球を打球して遊技球通路408の空間に発射するとともに、発射球が自由落下通路418に到達する位置(図中矢印Aに対応する位置)まで繰り出される。このように、被駆動部材404は、発射球が自由落下通路に到達する位置まで繰り出されるので、遊技球が上り傾斜を逆戻りすることはなく、戻り球の発生を回避することができる。なお、遊技球待機部405は、上り傾斜で構成する例で説明したが、例えば磁石を用いたり、小さなくぼみを設けたりして供給された遊技球を適切に保持し、それ以降(磁石やくぼみよりも下流)を水平面で構成することもできる。また、遊技球待機部405は、あくまで発射前の遊技球を待機させる機能を発揮するものであり、被駆動部材404に弾かれた遊技球が通過する発射通路とは異なるものである。
【0152】
遊技球発射検出センサ410は、発射口412の手前の位置で遊技球の通過を検出するセンサである。遊技球発射検出センサ410は、遊技球通路408の上り傾斜の頂点を越えた位置において遊技球通路408を囲むように基台416に設けられた反射型のフォトカプラからなり、遊技球の通過を検出することができる。なお、遊技球発射検出センサ410は、このような反射型のフォトカプラに限定されることはなく、検出コイルのインピーダンスの変化によって遊技球の通過を検出するスイッチであってもよい。
【0153】
発射口412は、遊技球通路408の終端に形成されており、基台416の右側面に開口されている。このため、発射口412は、遊技領域に対して略水平方向に遊技球を送り出す。
【0154】
戻り球防止弁414は、発射口412の外側に、かつ、発射口412を塞ぐように配置されている。この戻り球防止弁414は、遊技領域に発射された遊技球が発射装置400に戻ってくることを防止している。なお、戻り球防止弁は、
図8中(A)に示すような板バネを用いた戻り球防止弁414であってもよく、
図8中(B)に示すような板ドアを用いた戻り球防止弁415であってもよい。
【0155】
また、基台416には、直進形ソレノイド402、被駆動部材404、遊技球供給孔406、遊技球通路408、遊技球発射検出センサ410、発射口412、及び戻り球防止弁414が取り付けられているため、発射装置400をユニット化(部品化)することができる。
【0156】
このように、本実施形態によれば、発射装置400における発射系に関する部品を一体化しているため、組み立ての簡略化や部品管理の簡素化を図ることができる。
【0157】
上述したように、遊技球通路408(発射通路)は、自由落下通路418により構成されている。自由落下通路418は、遊技球通路408に遊技球が停滞した際に遊技球の自由落下により停滞している遊技球を遊技領域に放出する下り傾斜の通路である。
被駆動部材404の往路終端(図中矢印Aに対応する位置)は、上り傾斜の頂点(ここでは遊技球待機部405の終端でかつ自由落下通路418の始端)よりも先に位置しており、自由落下通路418は、上り傾斜の頂点から発射口412までの間に設けられている。
【0158】
図9及び
図10は、往復直進式打球機構を利用した発射装置400の動作の詳細を示す図である。
ここで、
図9は、発射装置400から通常の強度範囲で遊技球が発射された場合の例を示しており、
図10は、発射装置400から最弱の強度で遊技球が発射された場合の例を示している。
【0159】
図9中(A)に示すように、遊技球を発射する前の待機状態では、被駆動部材404は引っ込んだ状態となっている。
この状態で球送り装置500(
図9参照)が作動すると、
図9中(B)に示すように、遊技球が1つだけ遊技球供給孔406から放出され、遊技球は遊技球待機部405に送られる。
【0160】
そして、
図9中(C)に示すように、遊技球待機部405に遊技球が待機した状態で直進形ソレノイド402が駆動すると、被駆動部材404が前方(図中右側)に飛び出した状態となり、その勢いで遊技球が弾かれる。また、遊技球は遊技球通路408を通過するため、遊技球発射検出センサ410により遊技球の通過が検出される。
【0161】
その後、
図9中(D)に示すように、遊技球は発射口412から遊技領域に放出されることになるが、発射口412から放出される際には戻り球防止弁414を押しのけて遊技領域に進行する。一方、被駆動部材404は、飛び出した位置(発射位置)で所定時間(例えば0.1〜0.3秒程度)にわたり保持される。
【0162】
そして、所定の保持時間が経過すると、
図9中(E)に示すように、被駆動部材404は、元の待機位置に戻る。
発射装置400は、このような動作を繰り返すことにより、遊技球を連続的に遊技領域に発射することができる。
【0163】
以上は、発射装置400から通常の強度範囲で遊技球が発射された場合の動作例であるが、直進形ソレノイド402の駆動力が不充分となって発射装置400から最弱強度で遊技球が発射された場合の動作例は以下の通りとなる。
【0164】
図10中(A)に示すように、遊技球を発射する前の待機状態では、被駆動部材404は引っ込んだ状態となっている。
この状態で球送り装置500(
図11参照)が作動すると、
図10中(B)に示すように、遊技球が1つだけ遊技球供給孔406から放出され、遊技球は遊技球待機部405に送られる。
【0165】
そして、
図10中(C)に示すように、遊技球待機部405に遊技球が待機した状態で直進形ソレノイド402が駆動すると、被駆動部材404が前方に飛び出した状態となり、緩衝材404aと遊技球とが接触する。ただし、図示の例では、直進形ソレノイド402の駆動力が不充分であったため、遊技球は勢いよく弾かれておらず、前方に押し出されただけの状態である。
【0166】
しかし、
図10中(D)に示すように、遊技球通路408は、下り傾斜の自由落下通路418により構成されているため、遊技球は自由落下により発射口412から遊技領域に放出される。遊技球が発射口412から放出される際には戻り球防止弁414を押しのけて遊技領域に進行する。この場合、遊技球は遊技球通路408を通過するため、遊技球発射検出センサ410により遊技球の通過が検出される。
【0167】
一方、被駆動部材404は、飛び出した位置(発射位置)で所定時間(例えば0.1〜0.3秒程度)にわたり保持される。このように、被駆動部材404は、発射位置で所定時間にわたり保持され、かつ、発射球の発射強度が再弱となった場合でも最低限自由落下するように自由落下通路418が形成されているため、発射装置400内に発射球が残存することはない。
【0168】
そして、所定の保持時間が経過すると、
図10中(E)に示すように、被駆動部材404は、元の待機位置に戻る。
【0169】
このように、本実施形態では、遊技球通路408(発射通路)は、自由落下通路418により構成されているため、発射装置400の発射力が充分でなかった場合であっても、遊技球は自由落下により遊技領域に放出される。このため、本実施形態によれば、戻り球が発生しにくい発射装置400を提供することができる。
【0170】
また、本実施形態では、被駆動部材404は、その往路駆動端においては、発射球が自由落下通路418に到達する位置まで繰り出されるので、遊技球通路408の上流に上り傾斜の遊技球待機部405が存在していたとしても、遊技球は上り傾斜の終端よりも先まで押し出されることになる。このため、遊技球が上り傾斜を逆戻りすることはなく、戻り球が発生しにくい発射装置400を提供することができる。また、仮に既に発射された遊技球が障害釘等で反射されて(弾かれて)、発射口412に逆流しようとし、戻り球防止弁414を発射口412の方向に押し込み、発射球の盤面への放出を阻止する力が働いた場合においても、被駆動部材404は、この繰り出し位置(往路終端位置)で所定時間十分な強度で付勢(保持)されるため、発射球が押し戻されることはなく、最低でも自由落下により盤面に放出される。
【0171】
ここで、発射装置300に含まれる自由落下通路324や、発射装置400に含まれる自由落下通路418の形状は、上記の例に限定されるものではなく、以下の方法により形状に関する自由度を拡大する(向上させる)ことができる。
例えば、発射検出手段としてのセンサを遊技球供給検出センサ106のみで構成し、遊技球発射検出センサ316や遊技球発射検出センサ410を取り除けば、自由落下通路324(自由落下通路418)の形状はさらに自由度が拡大される。この場合、下り傾斜の一部又は全部を鉛直の形状(断崖絶壁の形状)とすることもできるし、鉛直以上に切り立てる形状(垂線に対し90度以上の斜面を有する形状、発射装置の内側に入り込んだ斜面を有する形状)とすることもできる。このような構成を採用することにより、自由落下通路324(自由落下通路418)は、開始端から終端までの長さをより短いものとすることができ、結果として発射装置をより小型化することができる。
【0172】
図11は、球送り装置ユニット172から発射装置300に遊技球を供給する際の第1の供給例を示す図である。
第1の供給例は、外部の島設備から球送り装置ユニット172の貯留タンク172aを経由して遊技球を供給する例である。
ここで、第1の供給例においては、遊技盤ユニット8の左側に発射装置300が配置されており、遊技盤ユニット8及び発射装置300の裏側に球送り装置ユニット172が配置されている。
【0173】
また、第1の供給例では、不図示の島設備から、球送り装置ユニット172の貯留タンク172aに遊技球が供給される。貯留タンク172aに供給された遊技球は、発射球整列通路173aに送られ、この通路にて1列に整列させられる。
【0174】
球送り装置ユニット172の球送り装置500は、発射球整列通路173aにて整列された遊技球を発射のタイミングに合わせて1個ずつ発射装置300に供給する。なお、球送り装置500の詳細は後述する。
【0175】
球送り装置500からの遊技球は、発射球供給通路173bを通過して、アーム状の発射アーム306の発射球保持部308に到達する。発射球供給通路173bは、垂直方向に延びその後に遊技盤ユニット8の手前側に向かうL字形の通路である。
発射球供給通路173bには、遊技球供給検出センサ106(発射検出手段)が設けられており、この遊技球供給検出センサ106により、球送り装置500から発射装置300に遊技球が供給されたことが検出される。
【0176】
発射装置300及び球送り装置500は、それぞれ別々に遊技盤ユニット8や球送り装置ユニット172に取り付けることができるが、両者を基台322に組み付けてユニット化することで、遊技盤ユニット8への取り付けを簡略化させることができる。
【0177】
このように、第1の供給例によれば、発射前の遊技球を一旦貯留タンク172aで貯留することができるので、既存の島設備が貯留タンク172aに相当するタンクを搭載した遊技機を利用していたものであれば、既存の島設備との親和性を向上させることができる。
【0178】
図12は、球送り装置500の構成及び動作の詳細を示す図である。
球送り装置500は、発射装置300に遊技球を供給する装置であり、球送りモータ502(
図11参照)により回転駆動される球送り回転体504を有している。
そして、球送り回転体504には、その一部に遊技球を1つだけ受け入れ可能な切り欠き部506が形成されている。
【0179】
図12(A)に示すように、貯留タンクからの遊技球は、発射球整列通路173aにて1列に整列させられる。そして、球送り装置500が遊技球を供給する前の状態では、発射球整列通路173aに並んでいる先頭の遊技球が、球送り回転体504の側面に接触している。
【0180】
球送り装置500の球送り動作が開始されると、
図12(B)に示すように、球送り回転体504が反時計回りに回転し、切り欠き部506が発射球整列通路173aの方向を向くため、先頭の遊技球が切り欠き部506に入り込む。
【0181】
そして、
図12(C)に示すように、球送り回転体504が時計回りに回転すると、切り欠き部506に入り込んだ遊技球が発射球供給通路173bに放出され、その後は発射装置に供給される。
球送り装置500は、このような動作を繰り返すことにより、遊技球を1つずつ発射装置に供給することができる。
【0182】
図13は、球送り装置ユニット172から発射装置300に遊技球を供給する際の第2の供給例を示す図である。ここで、
図13中(A)は、発射装置300及び球送り装置500等の平面図を示しており、
図13中(B)は、発射球整列通路173a及び蛇腹ホース510等の側面図を示している。
第2の供給例は、球送り装置ユニット172の貯留タンク172aを経由せずに、直接遊技球を供給する例である。
図示の例では、発射球整列通路173aの右端部に、発射球を受け入れる発射球受け入れ口173c(発射球受給装置、遊技球受け入れ口)が形成されている。
【0183】
そして、第2の供給例では、
図13中(B)に示すように、不図示の島設備の補給通路の一部となる蛇腹ホース510(スプリング通路)を発射球受け入れ口173cに接続することにより、遊技球が発射球整列通路173aに送られる。なお、その他の構成は、先に説明した第1の供給例と同様であるため、説明を省略する。
【0184】
このように、第2の供給例では、遊技球の受け入れの際に貯留タンクを経由しない構成となるため、よりシンプルな構成を実現することができる。また、貯留タンクを経由しない構成であるため、発射球整列通路173aにおいては最初から遊技球が一列に整列された状態を作り出すことができ、球詰まりを軽減させることができる。
【0185】
図14は、発射装置の取り付け例を示す図である。
発射装置300は、上述したように遊技盤ユニット8に取り付けることもできるが、
図14に示すように、遊技機枠に取り付けることもできる。
図14に示す例では、内枠アセンブリ7の内壁の左側上端部分に、発射装置300を取り付けている。
【0186】
このように、内枠アセンブリ7に発射装置300を取り付けることにより、遊技盤ユニット8の交換時に発射装置300を交換する必要がなくなる。すなわち、新台入れ替え時において、内枠アセンブリ7を交換せずに遊技盤ユニット8だけを交換するような場合には、内枠アセンブリ7に取り付けられている発射装置300をそのまま利用することができるという利点がある。
【0187】
図15は、パチンコ機と周辺機器との接続関係を示す図である。
図15中(A)に示すパチンコ機1Aでは、カードユニット210とカード情報表示装置200とが一体化されている。このため、パチンコ機1Aから、一体化されたカードユニット210とカード情報表示装置200とを分離することができる。また、ハンドルユニット16についても、パチンコ機1Aから分離することができる。ただし、ハンドルユニット16は、パチンコ機1Aと一体化させてもよい。このように、パチンコ機1Aから各パーツを分離可能とすることで、各パーツの故障時には、各パーツを個別に交換することができ、メンテナンス性を向上させることができる。なお、
図15以降の説明では、このパチンコ機1Aの接続形態を前提としている。
【0188】
図15中(B)に示すパチンコ機1Bでは、カードユニット210とカード情報表示装置200とは一体化されていない。このため、パチンコ機1Bから、カードユニット210を分離することもできるし、カード情報表示装置200を分離することもできる。また、ハンドルユニット16についても、パチンコ機1Bから分離することができる。
【0189】
図15中(C)に示すパチンコ機1Cでは、カードユニット210とカード情報表示装置200とが一体化されており、かつ、カード情報表示装置200がカードユニット210の前面に取り付けられている。このため、パチンコ機1Cから、一体化されたカードユニット210とカード情報表示装置200とを分離することができる。また、ハンドルユニット16についても、パチンコ機1Cから分離することができる。しかも、
図15中(C)に示す領域Aには、カード情報表示装置200が配置されなくなるため、ユーティリティースペースとして活用することができる。ユーティリティースペースの活用方法としては、例えば、遊技者の小物置き場として利用したり、灰皿スペースとして利用したりすることができる。
【0190】
図16は、パチンコ機と島設備との関係を示す図である。
本実施形態のパチンコ機1は、電子データ式の遊技機でありながら、既存の島設備をそのまま流用することができる。
島設備600の上段部分には、遊技球を貯留する上部タンク602(遊技球供給装置)、不正球を検出する不正球検出装置606、及び遊技球を各パチンコ機1に供給する供給通路608(遊技球供給装置)が配置されている。
【0191】
また、島設備600の下段部分には、遊技球を回収する回収装置610、回収装置610で回収した遊技球を通過させる回収通路612、及び回収した遊技球を貯留する下部タンク614が配置されている。
そして、上部タンク602と下部タンク614との間には、遊技球を研磨しながら遊技球を上昇させる揚送研磨装置616(揚送通路)が設置されている。
【0192】
次に遊技球の流れについて説明する。
上部タンク602に貯留されている遊技球は、不正球検出装置606に送られ、そこで不正球であるか否か(規定の球径よりも小さい球径を有する遊技球か否か)が検出される。
【0193】
不正球検出装置606により不正球であると判断されなかった遊技球は、供給通路608を通ってパチンコ機1の貯留タンク172aに送られ、貯留タンク172aから発射装置300に送られる。
発射装置300から発射された遊技球は、遊技領域を流下し、その後、アウト通路アセンブリ250を経由して機外に排出され、回収装置610及び回収通路612を通って下部タンク614に送られる。
下部タンク614に送られた遊技球は、揚送研磨装置616によって研磨されることにより汚れや埃等が取り除かれながら上部タンク602に送られる。
【0194】
このように、本実施形態によれば、島設備600から遊技球を直接受給して発射し、発射された全ての遊技球をアウト通路アセンブリ250にて回収して機外に排出しているため、遊技球を封入しないパチンコ機1を提供することができる。これにより、封入式ゆえに抱える課題(弊害)を無くすことができるとともに、遊技球の循環機構や、研磨装置604、不正球検出装置606等といった既存の島設備をそのまま流用することができる。
また、このような構成を採用することにより、遊技者が遊技球に触れないで遊技を進行させることが可能となり、清潔かつ簡便な遊技形態を実現することができる。
【0195】
さらに、本実施形態では、パチンコ機1の上端側に発射装置300を配置しているため、供給通路608から発射球を受け入れやすい形態とすることができ、既存の島設備600をそのまま流用することができるだけでなく、既存の島設備600との整合性をより向上させた発射装置300とすることができる。
【0196】
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。
図17は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70(主制御用コンピュータ、遊技制御ユニット)を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお、主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
【0197】
また、主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また、主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、特別図柄抽選の大当り判定用や普通図柄抽選の当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力(I/O)ポート79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお、回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
【0198】
また、主制御装置70の半導体メモリには、主制御CPU72のID情報や、パチンコ機1のID情報、主制御CPU72の真贋を確認するためのセキュリティ情報等を記憶しておくことができる(遊技制御ユニット識別情報記憶手段、セキュリティ情報記憶手段、遊技機識別情報記憶手段)。そして、これらの情報は、遊技機状態情報コマンドの一部を構成する情報となり、パチンコ機1からカードユニット210に送信される。
【0199】
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また、遊技盤ユニット8には、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して上始動入賞口スイッチ80(入球検出手段)、下始動入賞口スイッチ82(入球検出手段)及びカウントスイッチ84(入球検出手段)が装備されている。各始動入賞口スイッチ80,82は、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。また、カウントスイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出し、その数をカウントするためのものである。同様に遊技盤ユニット8には、普通入賞口22,25への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。なお、ここでは全ての普通入賞口22,25について共通の入賞口スイッチ86を用いる構成を例に挙げているが、例えば盤面の左右で別々の入賞口スイッチ86を設置し、左側の入賞口スイッチ86では盤面の左側に位置する普通入賞口22に対する遊技球の入賞を検出し、右側の入賞口スイッチ86では盤面の右側に位置する普通入賞口25に対する遊技球の入賞を検出することとしてもよい。
【0200】
いずれにしても、これらスイッチ類78〜86の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお、遊技盤ユニット8の構成上、本実施形態ではゲートスイッチ78、カウントスイッチ84及び入賞口スイッチ86からの入賞検出信号は、パネル中継端子板87を経由して送信され、パネル中継端子板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
【0201】
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aは、上記のように1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤ユニット8に設置されており、この統合表示基板89には上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0202】
また、遊技盤ユニット8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を開閉動作(作動)させる。なお、これらソレノイド88,90についても上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0203】
また、遊技盤ユニット8には、磁気センサ202(磁気検出手段)や振動センサ204(振動検出手段)、電波センサ206(電波検出手段)が設置されており、このうち磁気センサ204は、その設置位置で遊技盤ユニット8に飛来してくる磁束を検出し、その密度(磁気強度)に応じた検出信号を出力する。また、振動センサ206は、その設置位置で遊技盤ユニット8に加えられる加速度(振動)を検出し、その大きさに応じた検出信号を出力する。さらに、電波センサ206は、その設置位置で遊技盤ユニット8に到達する電波を検出し、電波の受信強度に応じた検出信号を出力する。これら磁気センサ202や振動センサ204、電波センサ206の検出信号は、それぞれパネル中継端子板87を通じて主制御装置70(主制御CPU72)に入力されている。
【0204】
その他に上記の一体扉ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91(操作検出手段)が設置されており、また、上記の内枠アセンブリ7にはプラ枠開放スイッチ93(操作検出手段)が設置されている。一体扉ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また、外枠ユニット2から内枠アセンブリ7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号から一体扉ユニット4や内枠アセンブリ7の開放状態を検出することができる。なお、主制御CPU72は、一体扉ユニット4や内枠アセンブリ7の開放状態を検出すると、外部情報信号として扉開放情報信号を生成する。
【0205】
パチンコ機1の裏側には、発射持ち球管理装置92(発射持ち球管理ユニット)が装備されている。発射持ち球管理装置92には、発射制御CPU94を実装した回路基板が装備されており、この発射制御CPU94は、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。発射持ち球管理装置92は、発射装置300の動作を制御するとともに、発射装置300により発射される遊技球の発射可能数を示す持ち球データを管理する。
【0206】
発射持ち球管理装置92には、持ち球データ表示基板122が接続されており、この持ち球データ表示基板122には、持ち球データ表示器123(LED表示器)が接続されている。カードユニット210からは、有価媒体の残り度数を表す度数データ等が遊技球等貸出装置接続端子板120及び発射持ち球管理装置92を経由して持ち球データ表示基板122に送信される。持ち球データ表示基板122上の図示しない表示回路は、持ち球データ表示器123を駆動し、有価媒体の残り度数や発射持ち球管理装置92が記憶している持ち球データを数値表示する。また、カードユニット210に有価媒体が投入されていなかったり、投入された有価媒体の残り度数が0になったり、発射持ち球管理装置92が記憶している持ち球データの値が0になったりした場合、持ち球データ表示基板122の表示回路は持ち球データ表示器123を駆動してデモ表示(有価媒体の投入を促す表示)を行うこともできる。
【0207】
また、パチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射モータ302及び球送りモータ502が設置されている。発射制御基板108には、発射モータ302及び球送りモータ502の駆動回路が設けられている。このうち、発射モータ302は、発射位置に送り出された遊技球を投球し、遊技領域8に向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に投げ出す動作を行う。遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。なお、往復直進式打球機構により遊技球を発射する発射装置400(
図8参照)を採用する場合、発射モータ302の代わりに直進形ソレノイド402を設置し、遊技球発射検出センサ316の代わりに遊技球発射検出センサ410を設置することになる。また、球送りモータ502は、発射球供給通路173bに蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射装置300に送り出す動作を行う。
【0208】
また、貯留ケースの上流位置には補給路球切れスイッチ104が設置されている他、発射球供給通路173bの下流位置には遊技球供給検出センサ106が設置されており、遊技球の発射口付近には遊技球発射検出センサ316が設置されている。
【0209】
貯留ケースの上流位置で球切れが発生すると、補給路球切れスイッチ104からの接点信号が発射制御基板108に入力される。また、球送りモータ502の駆動により遊技球が発射装置300に供給されると、その都度、遊技球供給検出センサ106からの検出信号が発射制御基板108に入力される。さらに、発射モータ302の駆動により遊技球が発射装置300から発射されると、その都度、遊技球発射検出センサ316からの検出信号が発射制御基板108に入力される。また、アウト通路アセンブリにて遊技球が回収されると、その都度、排出センサ107からの検出信号が発射制御基板108に入力される。発射制御基板108は、入力された検出信号や接点信号を発射持ち球管理装置92に送信する。発射持ち球管理装置92は、発射制御基板108から受信した信号に基づき、実際の発射数や球切れ状態を把握することができる。また、発射持ち球管理装置92は、これらの入力信号に基づいて発射数と排出数とを把握することができるので、発射数と排出数とが一致しないエラー状態を検知することができる。なお、本実施形態では、遊技球供給検出センサ106、遊技球発射検出センサ316及び排出センサ107からの検出信号が発射制御基板108に入力された後、発射持ち球管理装置92に送信する構成となっているが、これらのセンサを発射制御基板108を介さずに発射持ち球管理装置92に直接接続し、発射持ち玉(持ち球データ)やエラー検知に関する管理を行ってもよい。
【0210】
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のハンドルユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。また、タッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がハンドルユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして、発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
【0211】
また、パチンコ機1の裏側には、発射中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、発射中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号(エンコードされたデジタル信号でもよい)が生成され、このときの信号に基づいて発射モータ302が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整される。なお、発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合、発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合、発射持ち球データが「0」である場合に、発射モータ302の駆動を禁止する。この他に、発射中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120にカードユニット210が接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射モータ302の駆動を禁止する。
【0212】
また、本実施形態の遊技機には、外部端子板が設けられていない。そのため、遊技球等貸出装置接続端子板120は、外部端子板の役割を引き受けている。具体的には、遊技球等貸出装置接続端子板120は、カードユニット210を介して、パチンコ機1を外部管理装置260(例えばデータ表示装置、ホールコンピュータ、ネットワーク管理装置等)に接続する役割を果たしており、この遊技球等貸出装置接続端子板120からは、パチンコ機1の遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)がシリアル信号等により出力される。
【0213】
また、遊技球等貸出装置接続端子板120には、カードユニット210を介して、カード情報表示装置200が接続されている。カード情報表示装置200には、球貸ボタン10、持ち球ボタン11、休憩ボタン12、清算ボタン13にそれぞれ接続されるスイッチモジュールが実装されており、これらのボタンが操作されると、その操作信号がカードユニット210に送信される。また、カードユニット210は、カードユニット210を制御するCPU等を含んでおり、カード情報表示装置200は、カード情報表示装置200を制御するCPUや表示プロセッサであるVDP等を含んでいる。
【0214】
また、パチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124(演出制御用コンピュータ)を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。なお、演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
【0215】
また、演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53を発光させたり、スピーカ54,55,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
【0216】
演出制御装置124と上記の主制御装置70とは、例えば図示しない通信用ハーネスを介して相互に接続されている。ただし、これらの間の通信は、主制御装置70から演出制御装置124への一方向のみで行われ、逆方向への通信は行われない。なお、通信用ハーネスには、主制御装置70から演出制御装置124に対して送信される各種コマンドのバス幅に応じてパラレル形式を採用してもよいし、それぞれのドライバIC(I/O)のハード構成に合わせてシリアル形式を採用してもよい。
【0217】
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお、各種ランプには、上記のガラス枠トップランプ46やガラス枠装飾ランプ48,50,52の他に、遊技盤ユニット8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53が含まれる。盤面ランプ53は上記の演出ユニットに内蔵されるLEDや、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等に内蔵されるLEDに相当するものである。
【0218】
また、音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、上スピーカ54及び下スピーカ56を駆動して音響出力を行う。
【0219】
本実施形態では一体扉ユニット4の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して各種ランプ46〜52やスピーカ54,55,56に印加されている。また、ガラス枠電飾基板136には、上記の演出切替ボタン45が接続されており、遊技者が演出切替ボタン45を操作すると、その接点信号がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。さらに、ガラス枠電飾基板136には、上記のジョグダイアル45aが接続されており、遊技者がジョグダイアル45aを回転させると、その回転信号がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。
【0220】
その他、遊技盤ユニット8にはパネル電飾基板138が設置されており、このパネル電飾基板138には盤面ランプ53の他に可動体ソレノイド57が接続されている。可動体ソレノイド57は、例えば図示しないリンク機構を介して上記の可動体40fを駆動する。ランプ駆動回路132からの駆動信号は、パネル電飾基板138を経由して盤面ランプ53及び可動体ソレノイド57にそれぞれ印加される。
【0221】
上記の液晶表示器42は遊技盤ユニット8の裏側に設置されており、遊技盤ユニット8に形成された略矩形の開口を通じてその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤ユニット8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライト(例えば冷陰極管)に印加される交流電源を生成している。さらに、遊技盤ユニット8の裏側には演出表示制御装置144が設置されており、液晶表示器42による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)が装備されている。このうち表示制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また、VDP152は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM154やVRAM156等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なお、VRAM156は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
【0222】
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46〜53等やスピーカ54,55,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
【0223】
表示制御CPU146は、VDP152に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて画像ROM154にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM156に転送する。さらに、VDP152は、VRAM156上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
【0224】
その他、内枠アセンブリ7の裏側には電源制御ユニット162(電源制御手段)が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や発射持ち球管理装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、発射持ち球管理装置92を経由して発射制御基板108や発射モータ302、球送りモータ502に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してカードユニット210に電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。また、上記のように電源制御ユニット164は、アース線166を通じて島設備にアース(接地)されている。
【0225】
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
【0226】
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。また、リセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
【0227】
図18及び
図19は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
【0228】
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
【0229】
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
【0230】
ステップS103:主制御CPU72は、ここでリセット時待機処理を実行する。この処理は、リセットスタート(例えば電源投入)時にある程度の待機時間(例えば数千ms程度)を確保しておき、その間に主電源断検出信号のチェックを行うためのものである。具体的には、主制御CPU72は待機時間分のループカウンタをセットすると、ループカウンタの値をデクリメントしながら主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックする。主電源断検出信号は、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される。そして、ループカウンタが0になる前に主電源断検出信号の入力を確認すると、主制御CPU72は先頭から処理を再開する。これにより、例えば図示しない主電源スイッチの投入と切断の操作が短時間(1〜2秒程度)内に繰り返し行われた場合のシステム保護を図ることができる。
【0231】
ステップS104:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域に対するアクセスを許可する。具体的には、ワーク領域のRAMプロテクト設定値をリセット(00H)する。これにより、以後はRAM76のワーク領域に対するアクセスが許可された状態となる。
【0232】
ステップS105:また、主制御CPU72、割り込みマスクを設定するためにマスクレジスタの初期設定を行う。具体的には、CTC割り込みを有効にする値をマスクレジスタに格納する。
【0233】
ステップS106:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS107を実行する。
【0234】
ステップS107:次に主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS108を実行する。
【0235】
ステップS108:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。具体的には、主制御CPU72はRAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含むユーザワーク領域)のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全ての領域をサムチェックする。サムチェックの結果が正常であれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS109を実行する。
【0236】
ステップS109:主制御CPU72は、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)する。
ステップS110:また、主制御CPU72は、前回の電源断発生直前に送信待ちであったコマンドをクリアする。
【0237】
ステップS111:次に主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンド(例えば機種指定コマンド、特別図柄確率状態指定コマンド、特図先判定演出コマンド、作動記憶数増加時演出コマンド、作動記憶数減少時演出コマンド、回数切りカウンタ残数コマンド、特別遊技状態指定コマンド等)を送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、内部確率状態、演出図柄の表示態様、作動記憶数の演出表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させることができる。
【0238】
ステップS112:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元にRAM76のワーク領域に各種の値をセットし、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。また、主制御CPU72は、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧する。
【0239】
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS106:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS107:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS108:No)、主制御CPU72はステップS113に移行する。
【0240】
ステップS113:主制御CPU72は、RAM76の使用禁止領域以外の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76のワーク領域及びスタックエリアは全て初期化され、有効なバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS114:また、主制御CPU72は、RAM76の初期設定を行う。
【0241】
ステップS115:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が初期設定後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
【0242】
ステップS116:主制御CPU72は、持ち球管理開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は発射持ち球管理装置92に対して、持ち球データの管理を開始するための指示コマンドを出力する。
【0243】
ステップS117:主制御CPU72は、CTC初期設定処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期設定を行う。この処理では、主制御CPU72は割込ベクタレジスタを設定し、また、CTCに割り込みカウント値(例えば4ms)を設定する。これにより、次にCTC割り込みが発生すると、主制御CPU72はバックアップされていたPCレジスタのプログラムアドレスから処理を続行することができる。
【0244】
リセットスタート処理において以上の手順を実行すると、主制御CPU72は
図19に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
【0245】
ステップS118,ステップS119:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックし、電源遮断の発生(駆動電圧の低下)を監視する。電源遮断が発生すると、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88や大入賞口ソレノイド90等に対応する出力ポートバッファをクリアすると、RAM76のワーク領域のうちバックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容をバックアップし、サムチェックバッファにサム結果値を保存する。そして、主制御CPU72はバックアップ有効判定フラグ領域に上記の有効値(例えば「A55AH」)を格納し、RAM76のアクセスを禁止して処理を停止(NOP)する。一方、電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS120を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
【0246】
ステップS120:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数(ハードウェア乱数)、及び普通図柄に対応する当り決定乱数(ハードウェア乱数)を除く各種の乱数(例えば、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(
図21中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値(全ての乱数が対象でなくてもよい)を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS120では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS118で割込を禁止した後にステップS120を実行しているのは、別の割込管理処理(
図21中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。なお、上記のように、本実施形態において大当り決定乱数及び当り決定乱数は乱数発生器75により発生されるハードウェア乱数であり、その更新周期はタイマ割込周期(例えば数ms)よりもさらに高速(例えば数μs)であるため、大当り決定乱数及び当り決定乱数の初期値を更新する必要はない。
【0247】
ステップS121,ステップS122:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(リーチ判定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(
図21)を実行した場合の残り時間で行われる。なお、割込管理処理の内容については後述する。
【0248】
〔電源断発生チェック処理〕
図20は、上記の電源断発生チェック処理の手順例を具体的に示すフローチャートである。
ステップS130:ここでは先ず、主制御CPU72は、電源断発生チェックのための条件を設定する。このチェック条件は、例えば主電源断検出信号が継続して出力されていることを確認するためのオンカウンタ値として設定することができる。
【0249】
ステップS132:次に主制御CPU72は、主電源断検出スイッチ入力用ポートをリードし、主電源断検出信号が出力されているか否かを確認(特定のビットをチェック)する。特に図示していないが、主電源断検出スイッチは例えば主制御装置70に実装されており、この主電源断検出スイッチは、電源制御ユニット162から供給される駆動電圧を監視し、その電圧レベルが基準電圧を下回った場合に主電源断検出信号を出力する。なお、主電源断検出スイッチは電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。主制御CPU72は、現時点で主電源断検出信号が出力されていないことを確認すると(No)、この処理を抜けてリセットスタート処理に復帰する。一方、主電源断検出信号が出力されていることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS134に進む。
【0250】
ステップS134:主制御CPU72は、上記のチェック条件を満たすか否かを確認する。具体的には、先のステップS130で設定したオンカウンタ値を例えば1減算し、その結果が0になったか否かを確認する。現時点で未だオンカウンタ値が0でなければ(No)、主制御CPU72はステップS132に戻って主電源断検出スイッチ入力用ポートを改めて確認する。そして、ステップS134からステップS132へのループを繰り返してチェック条件が満たされると(ステップS134:Yes)、主制御CPU72は次にステップS136に進む。
【0251】
ステップS136:主制御CPU72は、上記のように普通電動役物ソレノイド88や大入賞口ソレノイド90に対応する出力ポートに加え、試験信号端子やコマンド制御信号に対応する出力ポートバッファをクリアする。
【0252】
ステップS138,ステップS140:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容を1バイト単位で加算し、全領域について加算を完了するまで繰り返す。
ステップS142:全領域についてサムの算出が完了すると(ステップS140:Yes)、主制御CPU72はサムチェックバッファにサム結果値を保存する。
【0253】
ステップS144:次に主制御CPU72は、上記のようにバックアップ有効判定フラグ領域に有効値を格納する。
ステップS146:また、主制御CPU72は、RAM76のプロテクト値にアクセス禁止を表す「01H」を格納し、RAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含む)に対するアクセスを禁止する。
ステップS148:そして、主制御CPU72は待機ループに入り、主電源断の遮断に備えて他の処理を全て停止する。主電源断の発生後は、図示しないバックアップ電源回路(例えば主制御装置70に実装された容量素子を含む回路)からバックアップ用電力が供給されるため、RAM76の記憶内容は主電源断後も消失することなく保持される。なお、バックアップ用電源回路は、例えば電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。
【0254】
以上の処理を通じて、バックアップ対象(サム加算対象)となるRAM76のワーク領域に記憶されていた情報は、全て主電源断の後もRAM76に記憶として保持されることになる。また、保持されていた記憶は、先のリセットスタート処理(
図18)でチェックサムの正常を確認した上で、電源断時のバックアップ情報として復元される。
【0255】
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。
図21は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ms)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
【0256】
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
【0257】
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数等が含まれる。
【0258】
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
【0259】
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力(I/O)ポート79から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82、カウントスイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
【0260】
ステップS203a:主制御CPU72は、セキュリティ管理処理を実行する(不正行為検出手段、遊技エラー検出手段)。この処理では、主制御CPU72は先の入力処理(ステップS203)でリードした入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)に基づいて、不正な入賞が発生したか否かの判定や、過度な入賞が発生しているか否かの判定を行う。また、主制御CPU72は、上記の磁気センサ202や振動センサ204、電波センサ206による不正行為の監視を行う。そして、主制御CPU72は、不正行為が実行されたと判断した場合、不正エラーコマンドや発射禁止コマンドを生成する。なお、主制御CPU72は、その後に不正対応処理を実行する。不正対応処理は、例えば、不正入賞による入賞検出信号のビットをONからOFFに書き換える処理や、警告を発生させる処理、遊技停止等の処理である。
【0261】
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。なお、スイッチ入力イベント処理の具体的な内容については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0262】
本実施形態では、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72はそれぞれ第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定する。また、ゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0263】
ステップS205,ステップS206:主制御CPU72は、割込管理処理中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理(ステップS205)では、主制御CPU72は先に述べた第1特別図柄又は第2特別図柄に対応する内部抽選の実行を制御したり、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0264】
また、普通図柄遊技処理(ステップS206)では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は先のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄当り決定乱数)を記憶しておき、この普通図柄遊技処理の中で記憶から乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(作動抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる(可動片作動手段)。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。
【0265】
ステップS207:次に主制御CPU72は、入賞データコマンド生成処理を実行する。この処理では、先の入力処理(ステップS203)において各種スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、発射持ち球管理装置92に対して送信するための入賞データコマンドを生成する処理を実行する。例えば、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号を確認した場合、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82での賞球に対応する「3」の値を含む入賞データコマンドを生成する。また、カウントスイッチ84からの入賞検出信号を確認した場合、カウントスイッチ84での賞球に対応する「15」の値を含む入賞データコマンドを生成する。さらに、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号を確認した場合、入賞口スイッチ86での賞球に対応する「10」の値を含む入賞データコマンドを生成する。なお、ここで生成された入賞データコマンドは、後述する発射持ち球管理装置出力処理(ステップS212a)において発射持ち球管理装置92に送信される。
【0266】
ステップS208:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は遊技球等貸出装置接続端子板120及びカードユニット210を通じて遊技場のホールコンピュータに対して外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)を送信するために、外部情報信号をポート出力要求バッファに格納する。
【0267】
なお、本実施形態では、各種の外部情報信号のうち、例えば大当り情報として「大当り1」〜「大当り5」を外部に出力することで、パチンコ機1に接続された外部の電子機器(データ表示器やホールコンピュータ)に対して多様な大当り情報を提供することができる(外部情報信号出力手段)。すなわち、大当り情報を複数の「大当り1」〜「大当り5」に分けて出力することで、これらの組み合わせから大当りの種別(当選種類)を図示しないホールコンピュータで集計・管理したり、内部的な確率状態(低確率状態又は高確率状態)や図柄変動時間の短縮状態の変化を認識したり、非当選以外であっても「大当り」に分類されない小当り(条件装置が作動しない当り)の発生を集計・管理したりすることが可能となる。また、大当り情報に基づき、例えば図示しないデータ表示装置によりパチンコ機1の台ごとに過去数営業日以内の大当り発生回数を計数及び表示したり、台ごとに現在大当り中であるか否かを認識したり、あるいは台ごとに現在図柄変動時間の短縮状態であるか否かを認識したりすることができる。この外部情報処理において、主制御CPU72は「大当り1」〜「大当り5」のそれぞれの出力状態(ON又はOFFのセット)を詳細に制御する。
【0268】
ステップS209:また、主制御CPU72は、試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、普通図柄遊技管理状態、特別図柄遊技管理状態、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中)を表す各種の試験信号を生成し、これらをポート出力要求バッファに格納する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
【0269】
ステップS210:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、先の特別図柄遊技処理(ステップS205)や普通図柄遊技処理(ステップS206)においてポート出力要求バッファに格納されている駆動信号をポート出力する。なお、駆動信号は、各LEDに対して印加するバイトデータとしてポート出力要求バッファに格納されている。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
【0270】
ステップS211:また、主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の外部情報処理(ステップS208)でポート出力要求バッファに格納された外部情報信号(バイトデータ)をポート出力する。また、主制御CPU72は、ポート出力要求バッファに格納されている普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90の各駆動信号、試験信号等を合わせてポート出力する。
【0271】
ステップS212:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、コマンドバッファ内に主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)があるか否かを確認し、未送信コマンドがある場合は出力対象のコマンドをポート出力する。
【0272】
ステップS212a:主制御CPU72は、発射持ち球管理装置出力処理を実行する。この処理では、コマンドバッファ内に主制御CPU72が発射持ち球管理装置92に送信するべきコマンド(入賞データコマンド、不正エラーコマンド、発射禁止コマンド、遊技機状態情報コマンド等)があるか否かを確認し、未送信コマンドがある場合は出力対象のコマンドをポート出力する。なお、遊技機状態情報コマンドに含まれる内容の詳細は後述するが、主制御CPU72は必要に応じて遊技機状態情報コマンドを生成し、発射持ち球管理装置92に送信する。
【0273】
ステップS213:そして、主制御CPU72は、今回のCTC割込で格納したポート出力要求バッファをクリアする。
【0274】
なお、本実施形態では、ステップS205〜ステップS212aの処理(遊技制御プログラムモジュール)をタイマ割込処理として実行する例を挙げているが、これら処理をCPUのメインループ中に組み込んで実行することもできる。
【0275】
ステップS214:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込終了を指定する値(01H)を割込プログラムカウンタ内に格納し、CTC割込を終了する。
【0276】
ステップS215,ステップS216:そして、主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、次回のCTC割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
【0277】
〔スイッチ入力イベント処理〕
図22は、スイッチ入力イベント処理(
図21中のステップS204)の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
【0278】
ステップS10:主制御CPU72は、第1特別図柄に対応する上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号が入力(第1事象が発生)されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12に進んで第1特別図柄記憶更新処理を実行する(抽選要素記憶手段)。具体的な処理の内容については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS14に進む。
【0279】
ステップS14:次に主制御CPU72は、第2特別図柄に対応する下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力(第2事象が発生)されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS16に進んで第2特別図柄記憶更新処理を実行する(抽選要素記憶手段)。ここでも同様に、具体的な処理の内容については別のフローチャートを用いてさらに後述する。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS18に進む。
【0280】
ステップS18:主制御CPU72は、大入賞口に対応するカウントスイッチ84から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS20に進んで大入賞口カウント処理を実行する。大入賞口カウント処理では、主制御CPU72は大当り遊技中に1ラウンドごとの可変入賞装置30への入賞球数をカウントする。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS22に進む。
【0281】
ステップS22:主制御CPU72は、普通図柄に対応するゲートスイッチ78から通過検出信号が入力されたか否かを確認する。この通過検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS24に進んで普通図柄記憶更新処理を実行する。普通図柄記憶更新処理では、主制御CPU72は現在の普通図柄作動記憶数が上限数(例えば4個)未満であるか否かを確認し、上限数に達していなければ、普通図柄当り乱数を取得する。また、主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数を1インクリメントする。そして、主制御CPU72は、取得した普通図柄当り乱数値をRAM76の乱数記憶領域に記憶させる。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72は割込管理処理(
図21)に復帰する。
【0282】
〔第1特別図柄記憶更新処理〕
図23は、第1特別図柄記憶更新処理(
図22中のステップS12)の手順例を示すフローチャートである。以下、第1特別図柄記憶更新処理の手順について順を追って説明する。
【0283】
ステップS30:ここでは先ず、主制御CPU72は第1特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が最大値(例えば4とする)未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数や大当り図柄乱数等の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は各図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)別で4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには大当り決定乱数及び大当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、第1特別図柄に対応する作動記憶数カウンタの値が上限値に達していれば(No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(
図22)に復帰する。一方、作動記憶数カウンタの値が最大値未満であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS31に進む。
【0284】
ステップS31:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数を1つ加算する。第1特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の作動記憶数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(
図21中のステップS210)で第1特別図柄作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
【0285】
ステップS32:そして、主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から第1特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する(第1抽選要素の取得、抽選要素取得手段)。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを第1特別図柄に対応する大当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
【0286】
ステップS33:次に主制御CPU72は、RAM76の大当り図柄乱数カウンタ領域から第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。この乱数値の取得もまた、大当り図柄乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数として転送先のアドレスにセーブする。
【0287】
ステップS34:また、主制御CPU72は、RAM76の変動用乱数カウンタ領域から、第1特別図柄の変動条件に関する乱数値として、リーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数を順番に取得する(変動パターン決定要素取得手段)。これら乱数値の取得も同様に、変動用乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行われる。そして、主制御CPU72は、指定したアドレスからリーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数をそれぞれ取得すると、これらを転送先のアドレスにセーブする。
【0288】
ステップS35:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数をともに第1特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる(記憶手段)。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。なお、乱数記憶領域の読み出しはFIFO(First In First Out)形式である。
【0289】
ステップS36:次に主制御CPU72は、現在の遊技管理状態(内部状態)が時間短縮機能作動中であるか否か、あるいは、大当り中であるか否かを確認する。大当り中以外であって時間短縮機能が非作動であれば(No)、主制御CPU72は次以降のステップS37,S38を実行する。時間短縮機能が作動中であるか、もしくは大当り中のいずれかであれば(Yes)、主制御CPU72はステップS37,S38をスキップしてステップS38aに進む。本実施形態においてこの判断を行っているのは、先ず大当り中は先読みによる演出を行わないためである。また、大当り中以外では、第1特別図柄の作動記憶と第2特別図柄の作動記憶がともに残存する場合、第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動を優先して行う(第2特別図柄の作動記憶を優先して消費する)こととしており、特に時間短縮機能作動中は可変始動入賞装置28の作動が高頻度で行われるからである。なお、時間短縮機能作動中は特別図柄の変動時間が短縮されることに加えて、普通図柄の当選確率が高確率(例えば低確率で251分の25→251分の249程度)になり、また、普通図柄の変動時間が短縮(例えば非作動時で10秒程度→1秒程度に短縮)されるとともに可変始動入賞装置28の開放時間が延長(例えば非作動時で0.3秒程度→2.5秒程度に延長)され、さらに開放回数が増加(例えば、非作動時で1回→2回に増加)するため、遊技球の発射が長時間(普通図柄の作動記憶が全て途絶えて可変始動入賞装置28が作動を停止する程度の時間)にわたって途切れない限り、第2特別図柄の変動を優先しても、その作動記憶が途切れにくくなっている(いわゆる電チューサポート)。ただし、第1特別図柄や第2特別図柄について優先順位を設けることなく、これらを入賞発生順に当り判定(変動)することとしてもよい。なお、ステップS36は、例えば「時間短縮機能作動中」を判定するステップS36aと「大当り中」を判定するステップS36bの2つに分割してもよい。
【0290】
ステップS37:時間短縮機能が非作動の場合(ステップS36:No)、主制御CPU72は第1特別図柄に関して取得時演出判定処理を実行する。この処理は、先のステップS32〜S34でそれぞれ取得した第1特別図柄の大当り決定乱数及び大当り図柄乱数に基づいて、事前(変動開始前)に内部抽選の結果を判定し、それによって演出内容を判定(いわゆる「先読み」)するためのものである。なお、具体的な処理の内容については別のフローチャートを参照しながらさらに後述する。
【0291】
ステップS38:取得時演出判定処理から復帰すると、次に主制御CPU72は、第1特別図柄に関して特図先判定演出コマンドの上位バイト分(例えば「B8H」)をセットする。この上位バイトデータは、コマンド種別が「第1特別図柄に関する特図先判定演出用」であることを記述したものである。なお、特図先判定演出コマンドの下位バイト分は、先の取得時演出判定処理(ステップS37)においてセットされているので、ここでは下位バイトに上位バイトを合成することで例えば1ワード長のコマンドが生成されることになる。
【0292】
ステップS38a:次に主制御CPU72は、第1特別図柄に関して作動記憶数増加時演出コマンドをセットする。具体的には、コマンドの種別を表す上位バイトの先行値(例えば「BBH」)に対し、増加後の作動記憶数(例えば「01H」〜「04H」)を下位バイトに付加した1ワード長の演出コマンドを生成する。このとき下位バイトについては、デフォルトで第2の位を「0」とすることにより、その値が「作動記憶数の増加による結果(変化情報)」であることを表している。つまり、下位バイトが「01H」であれば、それは前回までの作動記憶数「00H」から1つ増加した結果、今回の作動記憶数が「01H」となったことを表している。同様に、下位バイトが「02H」〜「04H」であれば、それは前回までの作動記憶数「01H」〜「03H」からそれぞれ1つ増加した結果、今回の作動記憶数が「02H」〜「04H」となったことを表している。なお、上記の先行値「BBH」は、今回の演出コマンドが第1特別図柄についての作動記憶数コマンドであることを表す値である。
【0293】
ステップS39:そして、主制御CPU72は、第1特別図柄に関して演出コマンド出力設定処理を実行する。この処理は、先のステップS38で生成した特図先判定演出コマンドや、ステップS38aで生成した作動記憶数増加時演出コマンド、始動口入賞音制御コマンドを演出制御装置124に対して送信するためのものである(記憶数通知手段)。
【0294】
以上の手順を終えるか、もしくは第1特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS30:No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(
図22)に復帰する。
【0295】
〔第2特別図柄記憶更新処理〕
次に
図24は、第2特別図柄記憶更新処理(
図22中のステップS16)の手順例を示すフローチャートである。以下、第2特別図柄記憶更新処理の手順について順を追って説明する。
【0296】
ステップS40:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が最大値未満であるか否かを確認する。第2特別図柄作動記憶数カウンタについても上記と同様に、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数や大当り図柄乱数等の個数(組数)を表すものである。このとき第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が最大値(例えば4とする)に達していれば(No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(
図22)に復帰する。一方、未だ第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が最大値未満であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS41以降に進む。
【0297】
ステップS41:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数を1つ加算(第2特別図柄作動記憶数カウンタの値をインクリメント)する。先のステップS31(
図23)と同様に、ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(
図21中のステップS210)で第2特別図柄作動記憶ランプ35aの点灯状態が制御されることになる。
【0298】
ステップS42:そして、主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から第2特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する(第2抽選要素の取得、抽選要素取得手段)。乱数値を取得する手法は、先に説明したステップS32(
図23)と同様である。
【0299】
ステップS43:次に主制御CPU72は、RAM76の大当り図柄乱数カウンタ領域から第2特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。乱数値を取得する方法は、先に説明したステップS33(
図23)と同様である。
【0300】
ステップS44:また、主制御CPU72は、RAM76の変動用乱数カウンタ領域から、第2特別図柄の変動条件に関するリーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数を順番に取得する(変動パターン決定要素取得手段)。これら乱数値の取得もまた、先に説明したステップS34(
図23)と同様に行われる。
【0301】
ステップS45:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定乱数及び変動パターン決定乱数をともに第2特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる(記憶手段)。記憶の手法は、先に説明したステップS35(
図23)と同様である。
【0302】
ステップS45a:次に主制御CPU72は、現在の遊技管理状態(内部状態)が大当り中であるか否かを確認する。そして、大当り中以外であれば(No)、主制御CPU72は次以降のステップS46,S47を実行する。逆に大当り中であれば(Yes)、主制御CPU72はステップS46,S47をスキップしてステップS48に進む。本実施形態においてこの判断を行っているのは、大当り中は先読みによる演出を行わないためである。
【0303】
ステップS46:大当り中以外である場合(ステップS45a:No)、次に主制御CPU72は、第2特別図柄に関して取得時演出判定処理を実行する。この処理は、先のステップS42〜S44でそれぞれ取得した第2特別図柄の大当り決定乱数及び大当り図柄乱数に基づいて、事前(変動開始前)に内部抽選の結果を判定し、それによって演出内容を判定するためのものである。ここで、先のステップS45aで大当り中か否かだけを判定し、時間短縮機能の作動状態を判定していないのは、上記のように本実施形態では、大当り中以外の遊技において第1特別図柄よりも第2特別図柄を優先して変動させるため、大当り中以外は時間短縮機能の作動状態に関わらず、第2特別図柄については事前に内部抽選の結果を判定し、その結果を先読み演出に利用できるからである。なお、具体的な処理の内容は後述する。
【0304】
ステップS47:取得時演出判定処理から復帰すると、次に主制御CPU72は特図先判定演出コマンドの上位バイト分(例えば「B9H」)をセットする。この上位バイトデータは、コマンド種別が「第2特別図柄に関する特図先判定演出用」であることを記述したものである。ここでも同様に、特図先判定演出コマンドの下位バイト分は、先の取得時演出判定処理(ステップS46)においてセットされているので、ここでは下位バイトに上位バイトを合成することで例えば1ワード長のコマンドが生成されることになる。
【0305】
ステップS48:次に主制御CPU72は、第2特別図柄に関して作動記憶数増加時演出コマンドをセットする。ここでは、コマンドの種別を表す上位バイトの先行値(例えば「BCH」)に対し、増加後の作動記憶数(例えば「01H」〜「04H」)を下位バイトに付加した1ワード長の演出コマンドを生成する。第2特別図柄についても同様に、デフォルトで下位バイトの第2の位を「0」とすることにより、その値が「作動記憶数の増加による結果(変化情報)」であることを表すことができる。なお、先行値「BCH」は、今回の演出コマンドが第2特別図柄についての作動記憶数コマンドであることを表す値である。
【0306】
ステップS49:そして、主制御CPU72は、第2特別図柄に関して演出コマンド出力設定処理を実行する。これにより、第2特別図柄に関して特図先判定演出コマンドや作動記憶数増加時演出コマンド、始動口入賞音制御コマンド等を演出制御装置124に対して送信する準備が行われる(記憶数通知手段)。また、以上の手順を終えると、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(
図22)に復帰する。
【0307】
〔取得時演出判定処理〕
図25は、取得時演出判定処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、先の第1特別図柄記憶更新処理及び第2特別図柄記憶更新処理(
図23中のステップS37,
図24中のステップS46)においてこの取得時演出判定処理を実行する(先判定実行手段)。上記のように、この処理は第1特別図柄(上始動入賞口26への入賞時)、第2特別図柄(可変始動入賞装置28への入賞時)のそれぞれについて実行される。したがって以下の説明は、第1特別図柄に関する処理に該当する場合と、第2特別図柄に関する処理に該当する場合とがある。以下、各手順に沿って処理の内容を説明する。
【0308】
ステップS50:主制御CPU72は、特図先判定演出コマンド(先判定情報)の下位バイト分(例えば「00H」)をセットする。なお、ここでセットしたバイトデータはコマンドの標準値(はずれ時)を表すものとなる。
【0309】
ステップS52:次に主制御CPU72は、先判定用乱数値として大当り決定乱数をロードする。ここでロードする乱数は、先の第1特別図柄記憶更新処理(
図23中のステップS35)又は第2特別図柄記憶更新処理(
図24中のステップS45)でRAM76に記憶されているものである。
【0310】
ステップS54:そして、主制御CPU72は、ロードした乱数が当り値の範囲外(ここでは下限値以下)であるか否かを判定する(抽選結果先判定手段)。具体的には、主制御CPU72は比較値(下限値)をAレジスタにセットし、この比較値からロードした乱数値を減算する。なお、比較値(下限値)は、パチンコ機1における内部抽選の当選確率に応じて予め規定されている。次に主制御CPU72は、例えばフラグレジスタの値から演算結果が0又は正の値であるか否かを判別する。その結果、ロードした乱数が当り値の範囲外であれば(Yes)、主制御CPU72はステップS80に進む。
【0311】
ステップS80:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン情報事前判定処理を実行する(変動パターン先判定手段)。この処理では、主制御CPU72は、はずれ時の変動時間について上述した変動パターン先判定コマンドを生成する。ここで生成される変動パターン先判定コマンドには、特に「時間短縮機能」の作動時における変動時間(又は変動パターン番号)に関する事前の判定情報が反映される。例えば、現在の状態が「時間短縮機能」の作動時であれば、主制御CPU72はロードしたリーチ判定乱数に基づいて、変動時間が「はずれリーチ変動(非短縮変動時間)」に対応するものであるか否かを判断する。その結果、変動時間が「はずれリーチ変動(非短縮変動時間)」に対応するものである場合、主制御CPU72は「時短中非短縮変動時間」に対応する変動パターン先判定コマンドを生成する。なお、リーチ変動の場合はさらに、リーチモード乱数から「リーチグループ(リーチの種類)」をも判断し、その結果から変動パターン先判定コマンドを生成することとしてもよい。一方、変動時間が「はずれリーチ変動(非短縮変動時間)」に対応するものでない場合、主制御CPU72は「時短中短縮変動時間」に対応する変動パターン先判定コマンドを生成する。あるいは、現在の状態が「時間短縮機能」の非作動時(低確率状態)であれば、主制御CPU72はロードしたリーチ判定乱数に基づいて、変動時間が「通常はずれリーチ変動」に対応するものであるか否かを判断する。その結果、変動時間が「通常はずれリーチ変動」に対応するものである場合、主制御CPU72は「通常はずれリーチ変動時間」に対応する変動パターン先判定コマンドを生成する。一方、変動時間が「通常はずれリーチ変動」に対応するものでない場合、主制御CPU72は「通常はずれ変動時間」に対応する変動パターン先判定コマンドを生成する。また、ここで生成された変動パターン先判定コマンドは、上記のように演出コマンド出力設定処理(ステップS39,S49)で送信バッファにセットされる。なお、この処理において、主制御CPU72は、小当り時の変動パターンについて、上述したはずれ時の処理と同様に変動パターン先判定コマンドを生成してもよい。
【0312】
以上の手順を実行すると、主制御CPU72は取得時演出判定処理を終了し、呼び出し元の第1特別図柄記憶更新処理(
図23)又は第2特別図柄記憶更新処理(
図24)に復帰する。一方、先のステップS54の判断において、ロードした乱数が当り値の範囲外でなく、範囲内であれば(ステップS54:No)、主制御CPU72は次にステップS56に進む。
【0313】
ステップS56:主制御CPU72は、先判定結果による確率状態予定フラグがセットされているか否かを確認する。先判定結果による確率状態予定フラグは、未だ変動は開始されていないが、これまで記憶されている大当り決定乱数の中に当選値がある場合にセットされるものである。具体的には、これまでに記憶されている大当り決定乱数に当選値があった場合、これと組になる大当り図柄乱数が「確変図柄」に該当するものであれば、確率状態予定フラグに例えば「A0H」がセットされる。この値は、この大当り決定乱数よりも後に取得された大当り決定乱数の事前判定(先読み判定)に際して、高確率状態になることを予定として設定するためのフラグ値を表すものである。一方、これまでに記憶されている大当り決定乱数に当選値があった場合であって、これと組になる大当り図柄乱数が「非確変(通常)図柄」に該当するものであれば、確率状態予定フラグに例えば「01H」がセットされる。この値は、この大当り決定乱数よりも後に取得された大当り決定乱数の事前判定(先読み判定)に際して、通常(低)確率状態になることを予定として設定するためのフラグ値を表すものである。なお、これまでに記憶されている大当り決定乱数に当選値が未だ存在しなければ、フラグ値はリセット(00H)されている。また、確率状態予定フラグの値は、例えばRAM76のフラグ領域に格納されている。なお、ここでは「確率状態予定フラグ」を用いて厳密に事前の当り判定を行う例を挙げているが、単純に現在の確率状態に基づいて事前の当り判定を行う場合、このステップS56と以降のステップS58,ステップS60,ステップS62,ステップS76等を省略してもよい。
【0314】
主制御CPU72は、未だ確率状態予定フラグがセットされていなければ(ステップS56:No)、次にステップS66を実行する。
【0315】
ステップS66:この場合、主制御CPU72は次に低確率時(通常時)用比較値をAレジスタにセットする。なお、低確率時用比較値もまた、パチンコ機1における低確率時の当選確率に応じて予め規定されている。
【0316】
ステップS68:次に主制御CPU72は、「現在の確率状態フラグ」をロードする。この確率状態フラグは、現在の内部状態が高確率(確変中)であるか否かを表すものであり、RAM76のフラグ領域内に記憶されているものである。現在の確率状態が高確率(確変中)であれば、状態フラグとして値「01H」がセットされており、低確率(通常中)であれば、状態フラグの値はリセットされている(「00H」)。
【0317】
ステップS70:そして、主制御CPU72は、ロードした現在の特別図柄確率状態フラグが高確率を表すものでない(≠01H)か否かを確認し、その結果、高確率を表すものであれば(No)、次にステップS64を実行する。
【0318】
ステップS64:主制御CPU72は、高確率時用比較値をセットする。これにより、先のステップS66でセットされた低確率時用比較値が書き換えられることになる。なお、高確率時用比較値は、パチンコ機1における高確率時の当選確率に応じて予め規定されている。
【0319】
このように、先判定結果による確率状態予定フラグが未だセットされていない場合であって、現在の内部状態が高確率の場合は、比較値を高確率時用に書き換えた上で次のステップS72を実行することになる。これに対し、先のステップS70で現在の確率状態フラグが高確率を表すものでないことを確認した場合(Yes)、主制御CPU72はステップS64をスキップして次のステップS72を実行する。
【0320】
ステップS72:主制御CPU72は、先のステップS52でロードした乱数が当り値の範囲外であるか否かを判定する(抽選結果先判定手段)。すなわち、主制御CPU72は状態別でセットした比較値から大当り決定乱数値を減算する。そして、主制御CPU72は、同様にフラグレジスタの値から演算結果が負の値(<0)であるか否かを判別し、その結果、ロードした乱数が当り値の範囲外であれば(Yes)、主制御CPU72は上記のはずれ時変動パターン情報事前判定処理(ステップS80)を実行する。これに対し、ロードした乱数が当り値の範囲外でなく、範囲内であれば(No)、主制御CPU72は次にステップS74に進む。
【0321】
ステップS74:主制御CPU72は、大当り図柄種別判定処理を実行する。この処理は、大当り決定乱数と組になっている大当り図柄乱数に基づいて、そのときの大当り種別(当選種類)を判定するためのものである。例えば、主制御CPU72は先の第1特別図柄記憶更新処理(
図23中のステップS35)又は第2特別図柄記憶更新処理(
図24中のステップS45)で記憶した図柄別の大当り図柄乱数をロードすると、上記のステップS54と同様に比較値を用いた演算を実行し、その結果から大当り種別として「非確変(通常)図柄」又は「確変図柄」のいずれに該当するかを判別する。ただし、本実施形態では、非確変図柄は設定されていない。主制御CPU72は、このときの判別結果を特別図柄先判定値として記憶し、次のステップS76に進む。
【0322】
ステップS76:そして、主制御CPU72は、先判定結果による確率状態予定フラグの値をセットする。具体的には、先のステップS74で記憶した特別図柄先判定値が「非確変(通常)図柄」を表す場合、主制御CPU72は確率状態予定フラグに値「01H」をセットする。一方、特別図柄先判定値が「確変図柄」を表す場合、主制御CPU72は確率状態予定フラグに値「A0H」をセットする。これにより、次回以降の処理ではステップS56において「フラグセット済み」と判定されることになる。
【0323】
ステップS78:主制御CPU72は、特図先判定演出コマンドの下位バイトとして、先のステップS74で記憶した特別図柄先判定値をセットする。特別図柄先判定値は、例えば「非確変(通常)図柄」に該当する場合は「01H」がセットされ、「確変図柄」に該当する場合は「A0H」がセットされる。いずれにしても、ここで下位バイト分のデータをセットすることにより、先のステップS50でセットした標準の下位バイトデータ「00H」が書き換えられることになる。
【0324】
ステップS79:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン情報事前判定処理を実行する(変動パターン先判定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り時の変動時間について、上述した変動パターン先判定コマンドを生成する。ここで生成される変動パターン先判定コマンドには、例えば大当り時のリーチ変動時間(又は変動パターン番号)に関する事前の判定情報が反映される。また、ここで生成された変動パターン先判定コマンドは、上記のように演出コマンド出力設定処理(ステップS39,S49)で送信バッファにセットされる。
【0325】
以上は、先判定結果による確率状態予定フラグがセットされる前(内部初当り前)における手順である。これに対し、先のステップS76を経て確率状態予定フラグがセットされた場合、以下の手順が実行される。ただし、上記のように現在の確率状態だけで事前の当り判定を行う場合、以下のステップS56,ステップS58,ステップS60,ステップS62、及びステップS76を実行する必要はない。
【0326】
ステップS56:主制御CPU72は、既に確率状態予定フラグに値がセットされていることを確認すると(Yes)、次にステップS58を実行する。
【0327】
ステップS58:主制御CPU72は、先ず低確率時(通常時)用比較値をAレジスタにセットする。
【0328】
ステップS60:次に主制御CPU72は、「確率状態予定フラグ」をロードする。確率状態予定フラグは、上記のように直前の先判定結果に基づきそれ以降の先判定において確率状態を予定的に設定するためのものであり、RAM76のフラグ領域内に記憶されているものである。直前の先判定結果に基づく確率状態が高確率(確変)に移行する予定であれば、上記のように確率状態予定フラグの値として「A0H」がセットされており、逆に直前の先判定結果に基づく確率状態が低確率(通常)に戻る予定であれば、確率状態予定フラグの値として「01H」がセットされている。
【0329】
ステップS62:そして、主制御CPU72は、ロードした確率状態予定フラグが高確率の予定を表すものでない(≠01H)か否かを確認し、その結果、高確率の予定を表すものであれば(No)、次にステップS64を実行し、高確率時用比較値をセットする。
【0330】
このように、先判定結果による確率状態予定フラグが既にセットされており、その値が高確率を予定するものである場合は、比較値を高確率時用に書き換えた上で次のステップS72以降を実行することになる。これに対し、先のステップS62で確率状態予定フラグが高確率の予定を表すものでなく、通常(低)確率の予定を表すものであることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72はステップS64をスキップして次のステップS72以降を実行する。これにより本実施形態では、先判定結果に基づくその後の内部状態の変化(通常確率状態→高確率状態、高確率状態→通常確率状態)を考慮した上で、事前の大当り判定を行うことができる。
【0331】
以上の手順を終えると、主制御CPU72は第1特別図柄記憶更新処理(
図23)又は第2特別図柄記憶更新処理(
図24)に復帰する。
【0332】
〔特別図柄遊技処理〕
次に、割込管理処理(
図21)の中で実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。
図26は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、可変入賞装置管理処理(ステップS5000)のサブルーチン(プログラムモジュール)群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別図柄遊技処理の基本的な流れを説明する。
【0333】
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を「ジャンプテーブル」から選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また、戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾をスタックポインタにセットする。
【0334】
いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況(特別図柄遊技管理ステータス)によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば(特別図柄遊技管理ステータス:00H)、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば(特別図柄遊技管理ステータス:01H)、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば(特別図柄遊技管理ステータス:02H)、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
【0335】
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0336】
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
【0337】
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。
【0338】
ステップS5000:可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において当りの態様(非当選以外の態様)で特別図柄が停止表示された場合に選択される。例えば、特別図柄が15ラウンド確変大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する契機が発生する。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば29秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば6回、15回)にわたって励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる(特別遊技実行手段)。なお、このように大当り時に可変入賞装置30が開閉動作することを「ラウンド」と称し、連続作動回数が全部で15回あれば、これらを「15ラウンド」と総称することがある。本実施形態では、大当りの種類として15ラウンド大当りだけでなく、その他に複数種類の6ラウンド大当りが設けられている。また、15ラウンド大当りや6ラウンド大当りについては、その中に複数の当選種類(当選図柄)が設けられていてもよい。
【0339】
また、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理において大入賞口開放パターン(ラウンド数と1ラウンドごとの開閉動作の回数、開放時間等)を設定すると、1ラウンド分の可変入賞装置30の開閉動作を終了させるごとにラウンド数カウンタの値を1インクリメントする。ラウンド数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。また、主制御CPU72は、ラウンド数カウンタの値を表すラウンド数コマンドを生成する。ラウンド数コマンドは、演出制御出力処理(
図21中のステップS212)において演出制御装置124に送信される。ラウンド数カウンタの値が設定した連続作動回数に達すると、主制御CPU72はそのラウンド限りで大当り遊技(大役)を終了する。
【0340】
そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(確率変動機能作動フラグ、時間短縮機能作動フラグ)に基づいて大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を変化させる(高確率時間短縮状態移行手段)。「高確率状態」では確率変動機能が作動し、内部抽選での当選確率が通常よりも例えば10倍程度に高くなる(特定遊技状態移行手段、高確率状態移行手段、高確率状態設定手段)。また、「時間短縮状態」では時間短縮機能が作動し、上記のように普通図柄の作動抽選が高確率になり、また、普通図柄の変動時間が短縮されるとともに可変始動入賞装置28の開放時間が延長されて開放回数が増加する(いわゆる電チューサポートが行われる)。なお、「高確率状態」及び「時間短縮状態」については、制御上でいずれか一方だけに移行する場合もあれば、これら両方に合わせて移行する場合もある。
【0341】
〔複数の当選種類〕
本実施形態では、上記の「15ラウンド大当り」について、例えば複数の当選種類として(1)「15ラウンド確変大当り」が設けられている(これ以上があってもよい)。また、この「15ラウンド大当り」以外に、複数の当選種類として(2)「6ラウンド確変大当り1」及び(3)「6ラウンド確変大当り2」が設けられている(これ以上があってもよい)。
【0342】
上記の当選種類は、当選時に停止表示される第1特別図柄又は第2特別図柄の種類に対応している。例えば、「15ラウンド確変大当り」は「15ラウンド確変図柄」の大当りに対応し、「6ラウンド確変大当り1」は「6ラウンド確変図柄1」の大当りに対応し、「6ラウンド確変大当り2」は「6ラウンド確変図柄2」の大当りに対応する。このため以下では、「当選種類」のことを「当選図柄」として適宜呼称するものとする。
【0343】
〔15ラウンド確変図柄〕
先の特別図柄停止表示中処理において、特別図柄が「15ラウンド確変図柄」の態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態に移行する契機が発生する(特別遊技実行手段)。この場合、1ラウンド目から充分に長い時間(例えば最長で29.0秒の開放時間)をかけて大入賞口の開放が1回ずつ行われ、これが15ラウンド目まで継続する。この「15ラウンド確変図柄」の大当り遊技は、15ラウンド分の出玉(賞球)を遊技者に付与するものとなる。また、大入賞口は、1ラウンド内に規定回数(例えば9回=遊技球9個)の入賞が発生すると、最長の開放時間の経過を待たずに閉止される。そして、大当り遊技の終了後に例えば「確率変動機能」を作動させることで、その結果として「高確率状態」に移行する特典が遊技者に付与される。この場合、それまでの遊技で「時間短縮機能」が非作動の状態であったとしても、大当り遊技の終了後に「時間短縮機能」を作動させることで、合わせて「時間短縮状態」に移行する特典が遊技者に付与される。
【0344】
〔6ラウンド確変図柄1〕
また、先の特別図柄停止表示中処理において、特別図柄が「6ラウンド確変図柄1」の態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態に移行する契機が発生する(特別遊技実行手段)。この場合、1ラウンド目から充分に長い時間(例えば最長で29.0秒の開放時間)をかけて大入賞口の開放が1回ずつ行われ、これが6ラウンド目まで継続する。この「6ラウンド確変図柄1」の大当り遊技は、6ラウンド分の出玉(賞球)を遊技者に付与するものとなる。また、大入賞口は、1ラウンド内に規定回数(例えば9回=遊技球9個)の入賞が発生すると、最長の開放時間の経過を待たずに閉止される。そして、大当り遊技の終了後に例えば「確率変動機能」を作動させることで、その結果として「高確率状態」に移行する特典が遊技者に付与される。この場合、それまでの遊技で「時間短縮機能」が非作動の状態であったとしても、大当り遊技の終了後に「時間短縮機能」を作動させることで、合わせて「時間短縮状態」に移行する特典が遊技者に付与される。
【0345】
〔6ラウンド確変図柄2〕
さらに、先の特別図柄停止表示中処理において、特別図柄が「6ラウンド確変図柄2」の態様で停止表示されると、それまでの通常状態から短期間の大当り遊技状態に移行する契機が発生する。この場合の6ラウンドの大当り遊技は、15ラウンドの大当り遊技に比較して極端に短時間内で終了するため、大入賞口への入賞はほとんど発生することがない。したがって「6ラウンド確変図柄2」の大当り遊技は、実質的な出玉(賞球)を遊技者に付与することなく短期間内で終了する。その代わり、当選種類が「6ラウンド確変図柄2」に該当していた場合、大当り遊技の終了後に例えば「確率変動機能」及び「時間短縮機能」をともに作動させることで、その結果として「高確率状態」に移行する特典とともに、「時間短縮状態」に移行する特典が遊技者に付与される。このような「6ラウンド確変図柄2」については、突発的に「高確率状態」及び「時間短縮状態」が発生したかのような印象を抱かせるものとなる。
【0346】
いずれにしても、当選図柄が上記の「15ラウンド確変図柄」、「6ラウンド確変図柄1」又は「6ラウンド確変図柄2」のいずれかに該当すると、大当り遊技終了後に内部状態を「高確率状態」及び「時間短縮状態」に移行させる特典が遊技者に付与される。また、「高確率状態」において内部抽選に当選し、そのときの当選図柄が「15ラウンド確変図柄」、「6ラウンド確変図柄1」又は「6ラウンド確変図柄2」のいずれかに該当すると、その大当り遊技終了後も「高確率状態」が継続(再開)される。
【0347】
〔小当り〕
また、本実施形態では、非当選以外の当選種類として小当りが設けられている。小当りに当選すると、大当り遊技とは別に小当りの遊技が行われて可変入賞装置30が開閉動作する(特例遊技実行手段)。すなわち、先の特別図柄停止表示中処理において、第1特別図柄が小当りの態様で停止表示されると、通常確率状態又は高確率状態の中で小当りの遊技(可変入賞装置30が作動する遊技)が実行される(なお、本実施形態では、第2特別図柄に関しては小当りを設定していない)。このような小当りの遊技では可変入賞装置30が所定回数(例えば2回)だけ開閉動作するものの、大入賞口への入賞はほとんど発生しない。また、小当りの遊技が終了しても、「確率変動機能」が作動することはなく、また、「時間短縮機能」が作動することもないので、「高確率状態」や「時間短縮状態」へ移行する特典は付与されない(そのための前提条件とはならない。)。また、「高確率状態」で小当りに当選しても、その小当りの遊技終了後に「高確率状態」が終了することはないし、「時間短縮状態」で小当りに当選しても、その小当りの遊技終了後に「時間短縮状態」が終了することもない(上限回数に達した場合を除く。)。なお、本実施形態では、小当りを設定する遊技仕様としているが、小当りを設定しない遊技仕様とすることもできる。
【0348】
〔特別図柄変動前処理〕
図27は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
【0349】
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数又は第2特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。第1特別図柄及び第2特別図柄の両方の作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
【0350】
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(
図21中のステップS212)において演出制御装置124に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。なお、復帰時は、上記のように末尾アドレスに復帰する(以降も同様)。
【0351】
これに対し、第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかの作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
【0352】
ステップS2200:主制御CPU72は、特別図柄記憶エリアシフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)のうち、第2特別図柄に対応する方を優先的に読み出す。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は先頭のセクションから順に乱数を読み出して消去(消費)した後、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。読み出した乱数は、例えば別の一時記憶領域に保存される。第2特別図柄に対応する乱数が記憶されていない場合、主制御CPU72は第1特別図柄に対応する乱数を読み出して一時記憶領域に保存する。一時記憶領域に保存された各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される。その結果、本実施形態では第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示が優先的に行われることになる。なお、このような特別図柄別の優先順位を設けることなく、単純に記憶された順番で乱数が読み出されるプログラムであってもよい。また、この処理において、主制御CPU72はRAM76に記憶されている作動記憶数カウンタ(第1特別図柄又は第2特別図柄のうち、乱数のシフトを行った方)の値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。これにより、上記の表示出力管理処理(
図21中のステップS210)の中で第1特別図柄作動記憶ランプ34a又は第2特別図柄作動記憶ランプ35aによる記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は次にステップS2300を実行する。
【0353】
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、先ず大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(内部抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、通常確率状態と高確率状態(確率変動機能作動時)とで異なり、高確率状態では通常確率状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。そして、このとき読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。
【0354】
上記の大当りフラグをセットしない場合、主制御CPU72は同じ大当り判定処理において、次に小当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。ここでいう「小当り」は、非当選(はずれ)以外であるが、「大当り」とは異なる性質のものである。すなわち、「大当り」は上記の「高確率状態」や「時間短縮状態」に移行させる契機(遊技の節目)を発生させるものであるが、「小当り」はそのような契機を発生しない。ただし「小当り」は、「大当り」と同様に可変入賞装置30を作動させる条件を満たすものとして位置付けられている。なお、このとき設定される小当り値の範囲は、通常確率状態と高確率状態(確率変動機能作動時)とで異なっていてもよいし、同じでもよい。いずれにしても、読み出した乱数値が小当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は小当りフラグをセットし、次にステップS2400に進む。このように、本実施形態では非当選以外に該当する当り範囲として、大当り値と小当り値の範囲が予めプログラム上で規定されているが、予め状態別の大当り判定テーブル、小当り判定テーブルをそれぞれROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら大当り判定を行ってもよい。
【0355】
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2402を実行する。
【0356】
ステップS2402:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で小当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。小当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。なお、主制御CPU72は大当りフラグと小当りフラグとを別々に用意せずに、共通当りフラグの値によって大当り(例えば01Hを設定)又は小当り(例えば0AHを設定)を判別してもよい。
【0357】
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。また、主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(
図21中のステップS212)において演出制御装置124に送信される。
【0358】
なお、本実施形態では、第1特別図柄表示装置34や第2特別図柄表示装置35に7セグメントLEDを用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を常に1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
【0359】
ステップS2405:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、特別図柄について、はずれ時の変動パターン番号を決定する(変動パターン選択手段)。変動パターン番号は、特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。はずれ時の変動時間は、上記の「時間短縮状態」であるか否かによって異なってくるため、この処理において主制御CPU72は、遊技状態フラグをロードし、現在の状態が「時間短縮状態」であるか否かを確認する。「時間短縮状態」であれば、基本的にリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は短縮された時間(例えば、2.0秒程度)に設定される(短縮時変動時間決定手段)。また、「時間短縮状態」でなくとも、リーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は例えばステップS2200で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて短縮される場合がある(例えば、変動表示開始時作動記憶数0個→12.5秒程度、変動表示開始時作動記憶数1個→8秒程度、変動表示開始時作動記憶数2個→5秒程度、変動表示開始時作動記憶数3個→2.5秒程度)。なお、はずれ時の図柄の停止表示時間は変動パターンに関わらず一定(例えば0.6秒程度)である。主制御CPU72は、決定した変動時間(はずれ時)の値を変動タイマにセットするとともに、はずれ時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
【0360】
本実施形態では、内部抽選の結果、非当選に該当した場合、演出上で例えば「リーチ演出」を発生させてはずれとしたり、「リーチ演出」を発生させずにはずれとしたりする制御を行うこととしている。そして、「はずれ時変動パターン選択テーブル」には、予め複数種類の演出、例えば「非リーチ演出」、「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されており、非当選に該当した場合は、その中からいずれかの変動パターンが選択されることになる。なお、リーチ演出には、ノーマルリーチ演出、ロングリーチ演出、スーパーリーチ演出等といった様々なリーチ演出が含まれる。
【0361】
〔はずれ時変動パターン選択テーブルの例〕
図28は、はずれ時変動パターン選択テーブルの一例を示す図である。
この選択テーブルは、内部抽選(特別図柄抽選)での非当選時に使用するテーブルである(変動パターン規定手段)。また、この選択テーブルは、例えばその先頭アドレスから順番に「比較値」、「変動パターン番号」をそれぞれ1バイトずつセットにして記憶する構造である。「比較値」には、例えば8つの段階的に異なる値「101」,「201」,「211」,「221」,「231」,「241」,「251」,「255(FFH)」が設けられており、それぞれの「比較値」に対して「変動パターン番号」の「1」〜「8」が割り当てられている。
【0362】
変動パターン番号「1」〜「5」は、リーチ演出が行われずに、はずれとなる変動パターンに対応しており、変動パターン番号「6」〜「8」は、リーチ後にはずれとなる変動パターンに対応している。なお、変動パターン選択テーブルは、変動開始時作動記憶数に応じて異なるテーブル内容としてもよい(以下、同様)。
【0363】
ここで、非リーチ変動パターンとリーチ変動パターンでは、設定される変動時間の長さが大きく異なっている。すなわち、「非リーチ変動パターン」は基本的に短い変動時間(例えば作動記憶数に応じて3.0秒〜12.0秒程度)に対応するものであるのに対し、「リーチ変動パターン」はその倍以上の長い変動時間(例えば30秒〜150秒程度)に対応するものである。
【0364】
そして、主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値を、上記の変動パターン選択テーブル中の「比較値」と順番に比較していき、乱数値が比較値以下であれば、その比較値に対応する変動パターン番号を選択する(変動パターン決定手段)。例えば、そのときの変動パターン決定乱数値が「190」であったとすると、最初の比較値「101」と比較すると、乱数値が比較値を超えているため、主制御CPU72は次の比較値「201」と乱数値を比較する。この場合、乱数値が比較値以下であるため、主制御CPU72は対応する変動パターン番号として「2」を選択する。
【0365】
〔
図27:特別図柄変動前処理を参照〕
以上のステップS2404,ステップS2405は、大当り判定結果がはずれ時(非当選以外の場合)の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)又は小当り(ステップS2402:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。先ず、大当りの場合について説明する。
【0366】
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、特別図柄別(第1特別図柄又は第2特別図柄)に今回の当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と当選図柄の種類との関係は、予め特別図柄判定データテーブルで規定されている(当選種類規定手段)。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において大当り時停止図柄選択テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて当選図柄の種類を決定することができる。
【0367】
〔大当り時の当選図柄〕
本実施形態では大当り時に選択的に決定される当選図柄として、大きく分けて3種類が用意されている。3種類の内訳は、「6ラウンド確変図柄1」、「6ラウンド確変図柄2」及び「15ラウンド確変図柄」である。なお、3種類の当選図柄の各当選図柄は、さらに複数の当選図柄を含んでいてもよい。例えば「6ラウンド確変図柄1」であれば、「6ラウンド確変図柄1a」、「6ラウンド確変図柄1b」、「6ラウンド確変図柄1c」、・・・といった具合である。
【0368】
また、本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とでは、それぞれに対応する内部抽選の大当り時に選択される当選図柄の選択比率が異なっている。このため主制御CPU72は、今回の大当りの結果が第1特別図柄に対応するものであるか、第2特別図柄に対応するものであるかによって選択する当選図柄を区別している。
【0369】
〔第1特別図柄大当り時停止図柄選択テーブル〕
図29は、第1特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルの構成列を示す図である。主制御CPU72は、今回の大当りの結果が第1特別図柄に対応する場合、
図29に示される第1特別図柄大当り時停止図柄選択テーブル(当選種類規定手段)を参照して当選図柄の種類を決定する。
【0370】
第1特別図柄大当り時停止図柄選択テーブル中、左カラムには当選図柄別の振分値が示されており、各振分値「87」,「8」,「5」は分母を100とした場合の割合に相当する。また、左から2番目のカラムには、各振分値に対応する「6ラウンド確変図柄1」、「6ラウンド確変図柄2」、「15ラウンド確変図柄」が示されている。すなわち、第1特別図柄に対応する大当り時には、「6ラウンド確変図柄1」が選択される割合は100分の87(=87%)であり、「6ラウンド確変図柄2」が選択される割合は100分の8(=8%)である。また、「15ラウンド確変図柄」が選択される割合は100分の5(=5%)である。各振分値の大きさは、大当り図柄乱数を用いた当選図柄別の選択比率に相当する。したがって、全体として第1特別図柄についての確変図柄の選択比率は100%である。
【0371】
いずれにしても、今回の大当りの結果が第1特別図柄に対応する場合、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づいて選択抽選を行い、第1特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルに示される選択比率で当選図柄を選択的に決定する。また、第1特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルには、左から3番目のカラムに示されるように当選時の停止図柄コマンドとして例えば2バイトのコマンドデータが規定されている。停止図柄コマンドは、例えばMODE値−EVENT値の組み合わせで記述されており、このうち上位バイトのMODE値「B1H」は、今回の当選図柄が第1特別図柄の大当り時に選択されたものであることを表している。また、下位バイトのEVENT値「01H」,「02H」,「03H」は、それぞれ選択テーブル中で対応する当選図柄の種類を表している。このため例えば、今回の大当りの結果が第1特別図柄に対応するものであり、当選図柄として「6ラウンド確変図柄1」が選択された場合、当選時の停止図柄コマンドは「B1H01H」で記述されることになる。
【0372】
以上のように、主制御CPU72は第1特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルから当選図柄を選択すると、そのときの停止図柄コマンドを生成する。生成した停止図柄コマンドは、例えば上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。また、主制御CPU72は、選択した当選図柄に基づいて第1特別図柄についての大当り時停止図柄番号を決定する。
【0373】
〔時短回数〕
第1特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルの右カラムには、大当り遊技の終了後に付与される時短回数(限度回数)の値が示されている。
【0374】
〔非時短中〕
時間短縮機能が作動していない状態(非時短中)にて、「6ラウンド確変図柄1」に該当した場合、時短回数は8回付与される。
時間短縮機能が作動していない状態(非時短中)にて、「6ラウンド確変図柄2」又は「15ラウンド確変図柄」に該当した場合、時短回数は100回付与される。
【0375】
〔時短中〕
時間短縮機能が作動している状態(時短中)にて、「6ラウンド確変図柄1」、「6ラウンド確変図柄2」又は「15ラウンド確変図柄」のいずれかに該当した場合、時短回数は100回付与される。
【0376】
〔第2特別図柄大当り時停止図柄選択テーブル〕
図30は、第2特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルの構成列を示す図である。主制御CPU72は、今回の大当りの結果が第2特別図柄に対応する場合、
図30に示される第2特別図柄大当り時停止図柄選択テーブル(当選種類規定手段)を参照して当選図柄の種類を決定する。
【0377】
第2特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルにおいても、その左カラムには当選図柄別の振分値が示されており、各振分値「95」,「5」は分母を100とした場合の割合に相当する。同様に左から2番目のカラムには、各振分値に対応する「6ラウンド確変図柄1」、「15ラウンド確変図柄」が示されている。すなわち、第2特別図柄に対応する大当り時においては、「6ラウンド確変図柄1」が選択される割合は100分の95(=95%)であり、「15ラウンド確変図柄」が選択される割合は100分の5(=5%)である。したがって、第2特別図柄についても、全体として確変図柄の選択比率は100%である。ただし、第2特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルには、「6ラウンド確変図柄2」についての振分値は設定されていない。
【0378】
今回の大当りの結果が第2特別図柄に対応する場合、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づいて選択抽選を行い、第2特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルに示される選択比率で当選図柄を選択的に決定する。同様に第2特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルにも、その左から3番目のカラムに示されるように当選時の停止図柄コマンドとして例えば2バイトのコマンドデータが規定されている。ここでも停止図柄コマンドは、上記のMODE値−EVENT値の組み合わせで記述されており、このうち上位バイトのMODE値「B2H」は、今回の当選図柄が第2特別図柄の大当り時に選択されたものであることを表している。また、下位バイトのEVENT値「01H」,「03H」は、それぞれ選択テーブル中で対応する当選図柄の種類を表している。このため例えば、今回の大当りの結果が第2特別図柄に対応するものであり、当選図柄として「6ラウンド確変図柄1」が選択された場合、停止図柄コマンドは「B2H01H」で記述されることになる。
【0379】
以上のように、主制御CPU72は第2特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルから当選図柄を選択すると、そのときの停止図柄コマンドを生成する。生成した停止図柄コマンドは、例えば上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。また、主制御CPU72は、選択した当選図柄に基づいて第2特別図柄についての大当り時停止図柄番号を決定する。
【0380】
〔時短回数〕
第2特別図柄大当り時停止図柄選択テーブルの左から4番目のカラム(右カラム)には、大当り遊技の終了後に付与される時短回数の値が示されている。本実施形態では、「6ラウンド確変図柄1」又は「15ラウンド確変図柄」のいずれに該当した場合であっても、時短回数が付与される。付与される時短回数については、第1特別図柄で大当りした場合と同様である。
【0381】
なお、上記のように第1特別図柄と第2特別図柄とで、当選図柄の選択比率が異なっているのは、例えば以下の理由による。すなわち、「高確率状態」や「時間短縮状態」に移行した場合、通常時(時間短縮機能の非作動時)に比較して高頻度で可変始動入賞装置28が作動するため、第2特別図柄についての作動記憶が途切れにくくなっている。そして、本実施形態では第1特別図柄よりも第2特別図柄についての記憶が優先して消費されることから、第2特別図柄についての当選種類から「6ラウンド確変大当り2」を除外しておけば、特に「高確率時間短縮状態」で「6ラウンド確変大当り2」に該当しにくくなるため、それだけ遊技者に煩わしさを感じさせることを少なくすることができるという利点がある。
【0382】
〔
図27:特別図柄変動前処理を参照〕
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2200でシフトした変動パターン決定乱数に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する。また、主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットするとともに、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。一般的に大当りリーチ変動の場合、はずれ時よりも長い変動時間が決定される。
【0383】
本実施形態では、内部抽選の結果、15ラウンド確変大当りや6ラウンド確変大当り1に該当した場合、演出上で例えば「リーチ演出」を発生させて大当りとする制御を行ったり、「リーチ演出」を発生させずに大当りとする制御を行ったりしている。そして、「大当り時変動パターン選択テーブル」には、複数種類の「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されており、15ラウンド確変大当りや6ラウンド確変大当り1に該当した場合は、その中からいずれかの変動パターンが選択されることになる。なお、リーチ演出には、ノーマルリーチ演出、ロングリーチ演出、スーパーリーチ演出等といった様々なリーチ演出が含まれる。また、時間短縮機能が作動している状態での当選時には、長い変動時間を有する変動パターンを選択せずに、短い変動時間を有する変動パターン(リーチ演出を行わない変動パターン)を選択してもよい。
【0384】
〔大当り時変動パターン選択テーブルの例〕
図31は、大当り時変動パターン選択テーブルの一例を示す図である。
この選択テーブルは、内部抽選(特別図柄抽選)での当選時に使用するテーブルである(変動パターン規定手段)。また、この選択テーブルは、例えばその先頭アドレスから順番に「比較値」、「変動パターン番号」をそれぞれ1バイトずつセットにして記憶する構造である。「比較値」には、例えば8つの段階的に異なる値「101」,「201」,「211」,「221」,「231」,「241」,「251」,「255(FFH)」が設けられており、それぞれの「比較値」に対して「変動パターン番号」の「13」〜「20」が割り当てられている。
【0385】
変動パターン番号「13」〜「20」は、いずれもリーチ演出が行われて当りとなる変動パターンに対応している。
【0386】
主制御CPU72は、取得した変動パターン決定乱数値を、上記の変動パターン選択テーブル中の「比較値」と順番に比較していき、乱数値が比較値以下であれば、その比較値に対応する変動パターン番号を選択する(変動パターン決定手段)。例えば、そのときの変動パターン決定乱数値が「190」であったとすると、最初の比較値「101」と比較すると、乱数値が比較値を超えているため、主制御CPU72は次の比較値「201」と乱数値を比較する。この場合、乱数値が比較値以下であるため、主制御CPU72は対応する変動パターン番号として「14」を選択する。
【0387】
〔
図27:特別図柄変動前処理を参照〕
ステップS2414:次に主制御CPU72は、大当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)が「6ラウンド確変図柄1」、「6ラウンド確変図柄2」又は「15ラウンド確変図柄」のいずれかである場合、遊技状態フラグとして確率変動機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする(高確率状態移行手段、確率変動機能作動手段)。
【0388】
また、主制御CPU72は、先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)が「6ラウンド確変図柄1」、「6ラウンド確変図柄2」又は「15ラウンド確変図柄」のいずれかである場合、主制御CPU72は遊技状態フラグとして時間短縮機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする(時間短縮状態移行手段、時間短縮機能作動手段)。
【0389】
また、ステップS2414の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、上記の停止図柄コマンド(大当り時)とともに抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
【0390】
次に、小当り時の処理について説明する。
ステップS2407:主制御CPU72は、小当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、小当り時の当選図柄の種類(小当り時停止図柄番号)を決定する。ここでも同様に、大当り図柄乱数値と小当り時の当選図柄の種類との関係が予め小当り時特別図柄選択テーブルで規定されている(当選種類規定手段)。なお、本実施形態では、主制御CPU72の負荷を軽減するために大当り図柄乱数を用いて小当り時の当選図柄を決定しているが、別途専用の乱数を用いてもよい。
【0391】
〔小当り時の当選図柄〕
本実施形態では、小当り時の当選図柄は「2回開放小当り図柄」の1種類だけである。ただし、これ以外に例えば「1回開放小当り図柄」や「3回開放小当り図柄」等の別の種類が用意されていてもよい。上記のように内部抽選の結果としての「小当り」は、その後の状態が「高確率状態」や「時間短縮状態」に変化する契機とはならないため、この種のパチンコ機で必須となる「2ラウンド(2回開放)以上」の規定にとらわれることなく、「1回開放小当り図柄」を設けることができる。
【0392】
ステップS2408:次に主制御CPU72は、小当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2200でシフトした変動パターン決定乱数に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する(変動パターン選択手段)。また、主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットし、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。なお、本実施形態では小当りの場合にリーチ変動パターンを選択することもできるし、はずれ通常変動時と同等の変動パターンを選択することもできる。
【0393】
ステップS2409:次に主制御CPU72は、小当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は小当り時停止図柄番号に基づき、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(小当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(小当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
【0394】
ステップS2415:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択する。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして、主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定し、特別図柄遊技処理に復帰する。
【0395】
〔
図26:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数又は割込カウンタの値)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして、主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
【0396】
また、特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(
図27中のステップS2404,ステップS2407,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて特別図柄の停止表示を制御する。また、主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
【0397】
〔特別図柄記憶エリアシフト処理〕
図32は、上記の特別図柄記憶エリアシフト処理の手順例を示すフローチャートである。先の特別図柄変動前処理において、第1特別図柄又は第2特別図柄に対応する作動記憶カウンタの値が「0」より大であった場合(
図27中のステップS2100:Yes)、主制御CPU72はこの特別図柄記憶エリアシフト処理を実行する(第2抽選要素優先消費手段)。以下、各手順に沿って説明する。
【0398】
ステップS2210:主制御CPU72は、優先して消費する方の第2特別図柄に対応する作動記憶カウンタの値が「0」であるか否かを確認する。このとき、第2特別図柄に対応する作動記憶カウンタの値が「1」以上であれば(No)、主制御CPU72は次にステップS2212に進む。
【0399】
ステップS2212:主制御CPU72は、記憶エリアをシフトする対象の特別図柄として第2特別図柄を指定する。この指定は、例えば対象図柄指定値として「02H」をセットすることで行われる。
【0400】
ステップS2214:一方、第2特別図柄に対応する作動記憶カウンタの値が「0」であった場合(ステップS2210:Yes)、主制御CPU72は記憶エリアをシフトする対象の特別図柄として第1特別図柄を指定する。この場合の指定は、例えば対象図柄指定値として「01H」をセットすることで行われる。
【0401】
ステップS2216:上記のステップS2212又はステップS2214のいずれかで指定した対象の特別図柄について、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域をシフトする。なお、具体的な処理の内容については、先の特別図柄変動前処理において既に述べたとおりである。
【0402】
ステップS2218:次いで主制御CPU72は、対象の特別図柄について作動記憶カウンタの値を減算する。例えば、今回の記憶エリアをシフトする対象が第2特別図柄であれば、主制御CPU72は第2特別図柄に対応する作動記憶カウンタの値を減算(−1)する。
【0403】
ステップS2220:そして、主制御CPU72は、減算後の作動記憶カウンタの値から「変動開始時作動記憶数」を設定する。なお、ここでは第1特別図柄と第2特別図柄の両方について、作動記憶カウンタの値を加算した上で「変動開始時作動記憶数」を設定してもよい。
【0404】
ステップS2222:また、主制御CPU72は、今回の記憶エリアをシフトする対象の特別図柄が第2特別図柄であるか否かを確認する。
ステップS2224:対象が第2特別図柄であった場合(ステップS2222:Yes)、主制御CPU72は第2特別図柄に関して作動記憶数減少時演出コマンドをセットする。ここでセットされる演出コマンドもまた、1ワード長のコマンドとして生成されるが、その構成は上述した「作動記憶数増加時演出コマンド」と対照的である。すなわち、作動記憶数減少時演出コマンドは、コマンド種別を表す上位バイトの先行値(例えば「BCH」)に対して、減少後の作動記憶数を表す下位バイトの値(例えば「00H」〜「03H」)を付加するとともに、下位バイトの値については、「消費に伴う作動記憶数の減少」を意味する加算値(例えば「10H」)をさらに付加(論理和)したものである。したがって下位バイトについては、加算値「10H」を論理和することでその第2の位が「1」となり、この値によって「作動記憶数の減少による結果(変化情報)」であることを表したものとなる。つまり、コマンドの下位バイトが「13H」であれば、それは前回までの作動記憶数「4」(コマンド表記は「14H」)が1つ減少した結果、今回の作動記憶数が「3」(コマンド表記は「13H」)となったことを表している。同様に、下位バイトが「12H」〜「10H」であれば、それは前回までの作動記憶数「3」〜「1」(コマンド表記は「13H」〜「11H」)がそれぞれ1つ減少した結果、今回の作動記憶数が「2」〜「0」(コマンド表記は「12H」〜「10H」)となったことを表している。なお、上記の先行値「BCH」は、今回の演出コマンドが第2特別図柄についての作動記憶数コマンドであることを表す値である。
【0405】
ステップS2226:なお、今回の対象が第1特別図柄であった場合(ステップS2222:No)、主制御CPU72は第1特別図柄に関して作動記憶数減少時演出コマンドをセットする。この場合のコマンドは、先行値が第1特別図柄についての作動記憶数コマンドであることを表す値(例えば「BBH」)となる以外は上記と同じである。
【0406】
ステップS2228:そして、主制御CPU72は、演出コマンド出力処理を実行する。この処理は、先のステップS2224又はステップS2226でセットした作動記憶数減少時演出コマンドを演出制御装置124に対して送信するためのものである(記憶数通知手段)。
以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動前処理(
図27)に復帰する。
【0407】
〔特別図柄停止表示中処理〕
次に
図33は、特別図柄停止表示中処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
【0408】
ステップS4100:主制御CPU72は、停止図柄表示タイマの値を減算(割込周期分だけデクリメント)する。
【0409】
ステップS4200:そして、主制御CPU72は、今回減算した停止図柄表示タイマの値に基づき、停止表示時間が終了したか否かを判断する。具体的には、停止図柄表示タイマの値が0以下でなければ、主制御CPU72は未だ停止表示時間が終了していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰し、次の割込周期においても実行選択処理(
図26中のステップS1000)からジャンプして特別図柄停止表示中処理を繰り返し実行する。
【0410】
これに対し、停止図柄表示タイマの値が0以下であれば、主制御CPU72は停止表示時間が終了したと判断する(Yes)。この場合、主制御CPU72は次にステップS4250を実行する。
【0411】
ステップS4250:主制御CPU72は、図柄停止コマンド及び停止表示時間終了コマンドを生成する。図柄停止コマンド及び停止表示時間終了コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。また、主制御CPU72は、ここで図柄変動中フラグを消去する。なお、「停止表示時間終了コマンド」とは、特別図柄の停止表示時間が終了(経過)したことを示すコマンドである。
【0412】
ステップS4300:ここで主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。大当りフラグの値(01H)がセットされている場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS4350を実行する。
【0413】
〔当選時〕
ステップS4350:主制御CPU72は、ジャンプテーブルのジャンプ先を「可変入賞装置管理処理」に設定する。なお、主制御CPU72は、本処理にて各種機能を非作動に設定する処理を実行する。具体的には、確率変動機能を非作動とし、時間短縮機能を非作動とする。これにより、特別遊技(大役)が開始される前には、低確率非時間短縮状態に移行されることになる。
ステップS4400:そして、主制御CPU72は、制御上の内部状態フラグとして「大役開始(大当り遊技中)」をセットする。また、主制御CPU72は、大当り図柄の種類に応じて連続作動回数ステータスの値をセットする。例えば、大当り図柄の種類が「15ラウンド確変図柄」である場合、連続作動回数ステータスには「15ラウンド」に対応する値がセットされる。また、大当り図柄の種類が「6ラウンド確変図柄1」又は「6ラウンド確変図柄2」である場合、連続作動回数ステータスには「6ラウンド」を表す値がセットされる。また、主制御CPU72は、大当り中を表す状態コマンドを生成する。大当り中を表す状態コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
【0414】
ステップS4500:そして、主制御CPU72は、連続作動回数コマンドを生成する。連続作動回数コマンドは、先の大当り時停止図柄決定処理(
図27中のステップS2410)で決定された大当り図柄の種類(停止図柄番号)に基づいて生成することができる。例えば、大当り図柄の種類が「15ラウンド確変図柄」である場合、連続作動回数コマンドは「15ラウンド」を表す値として生成される。また、大当り図柄の種類が「6ラウンド確変図柄1」又は「6ラウンド確変図柄2」である場合、連続作動回数コマンドは「6ラウンド」を表す値として生成される。生成された連続作動回数コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
【0415】
大当り時に以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
【0416】
〔非当選時〕
これに対し、大当り時以外の場合は以下の手順が実行される。
すなわち主制御CPU72は、ステップS4300において大当りフラグの値(01H)がセットされていないと判断した場合(No)、次にステップS4600を実行する。
【0417】
ステップS4600:主制御CPU72は、次に小当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。そして、小当りフラグの値(01H)もセットされておらず、単純にはずれである場合(No)、主制御CPU72は次にステップS4602を実行する。
【0418】
ステップS4602:主制御CPU72は、ジャンプテーブルのジャンプ先アドレスとして特別図柄変動前処理のアドレスをセットする。
【0419】
ステップS4605:これに対し、小当りフラグの値(01H)がセットされていた場合(ステップS4600:Yes)、主制御CPU72はジャンプテーブルのジャンプ先アドレスとして可変入賞装置管理処理のアドレスをセットする。
【0420】
ステップS4606:そして、主制御CPU72は、制御上の内部状態フラグとして「小当り開始(小当り中)」をセットする。また、主制御CPU72は、小当り中を表す状態コマンドを生成する。小当り中を表す状態コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
【0421】
ステップS4610:次に主制御CPU72は、回数切りカウンタの値をロードする。「回数切りカウンタ」は、「高確率状態」や「時間短縮状態」においてそれぞれのカウンタ値がRAM76の確変カウント領域、時短カウント領域にセットされている。本実施形態では、いわゆる回数切り確変の機能を採用しているため、「高確率状態」かつ「時間短縮状態」に移行させる場合、高確率状態に関する回数切りカウンタは所定の数値(例えば8回)に設定され、時間短縮状態に関する回数切りカウンタは所定の数値(例えば8回又は100回)に設定される。
【0422】
ステップS4620:主制御CPU72は、ロードしたカウンタ値が0であるか否かを確認する。このとき、既に回数切りカウンタ値が0であれば(Yes)、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。一方、回数切りカウンタ値が0でなかった場合(No)、回数切りカウンタ値コマンドを生成してから、主制御CPU72は次にステップS4630を実行する。
【0423】
ステップS4630:主制御CPU72は、回数切りカウンタ値をデクリメント(1減算)する。
ステップS4640:そして、主制御CPU72は、その減算結果が0でないか否かを判断する。減算の結果、回数切りカウンタの値が0でなかった場合(Yes)、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。これに対し、回数切りカウンタの値が0になった場合(No)、主制御CPU72はステップS4650に進む。
【0424】
ステップS4650:ここで主制御CPU72は、回数切り機能作動時のフラグをリセットする。本実施形態では、高確率状態に関する回数切りカウンタは所定の数値(例えば8回)に設定されるため、特別遊技後に特別図柄が8回変動した後に確率変動機能作動フラグがリセットされる。また、時間短縮状態に関する回数切りカウンタは所定の数値(例えば8回又は100回)に設定されるため、特別遊技後に特別図柄が8回又は100回変動した後に時間短縮機能作動フラグがリセットされる。これにより、特別図柄の停止表示を経て時間短縮状態や高確率状態が終了する。以上の手順を終えると、特別図柄遊技処理に復帰する。
【0425】
〔表示出力管理処理〕
次に
図34は、割込管理処理の中で実行される表示出力管理処理(
図21中のステップS210)の構成例を示すフローチャートである。表示出力管理処理は、特別図柄表示設定処理(ステップS1200)、普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、状態表示設定処理(ステップS1220)、作動記憶表示設定処理(ステップS1230)、連続作動回数表示設定処理(ステップS1240)のサブルーチン群を含む構成である。
【0426】
このうち特別図柄表示設定処理(ステップS1200)と普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、作動記憶表示設定処理(ステップS1230)、については、既に述べたように第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄作動記憶ランプ34a及び第2特別図柄作動記憶数表示ランプ35aの各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。
【0427】
状態表示設定処理(ステップS1220)及び連続作動回数表示設定処理(ステップS1240)については、遊技状態表示装置38の各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。先ず状態表示設定処理では、主制御CPU72は、確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグの値に応じてそれぞれ確率変動状態表示ランプ38a、時短状態表示ランプ38bの点灯を制御する。例えば、パチンコ機1の電源投入時において確率変動機能作動フラグに値(01H)がセットされていれば、主制御CPU72は確率変動状態表示ランプ38aに対応するLEDに対して点灯信号を出力する。なお、確率変動状態表示ランプ38aは、特別図柄に関する大当り遊技が開始されるまで、もしくは、特別図柄の変動表示が規定回数行われた後に確率変動機能がOFFにされるまで点灯しつづけ、その後非表示に(消灯)切り替えられる。一方、時間短縮機能作動フラグに値(01H)がセットされていれば、特に電源投入時であるか否かに関わらず、主制御CPU72は時短状態表示ランプ38bに対応するLEDに対して点灯信号を出力する。
【0428】
また、主制御CPU72は、連続作動回数表示設定処理において大当り種別表示ランプ38c,38dの点灯を制御する。具体的には、主制御CPU72は上記の連続作動回数ステータスの値に基づき、大当り種別表示ランプ38c,38dのいずれかに対する点灯信号を出力する。このとき点灯信号を出力する対象となるのは、連続作動回数ステータスの値で指定された大当り図柄に対応するいずれかの表示ランプ38c,38dである。例えば、連続作動回数ステータスの値が「15ラウンド」を指定するものであれば、主制御CPU72は「15ラウンド(15R)」を表すランプ38cに対して点灯信号を出力する。また、連続作動回数ステータスの値が「6ラウンド」を指定するものであれば、主制御CPU72は「6ラウンド(6R)」を表すランプ38dに対して点灯信号を出力する。
【0429】
また、状態表示設定処理(ステップS1220)においては、主制御CPU72は、遊技状態表示装置38の発射位置指定表示ランプ38eに対する制御も行う。例えば、主制御CPU72は、特別遊技の実行中の状態である場合や時間短縮状態である場合、発射位置指定表示ランプ38eに対応するLEDに対して点灯信号を出力する。
【0430】
〔可変入賞装置管理処理〕
次に、可変入賞装置管理処理の詳細について説明する。
図35は、可変入賞装置管理処理の構成例を示すフローチャートである。可変入賞装置管理処理は、遊技プロセス選択処理(ステップS5100)、大入賞口開放パターン設定処理(ステップS5200)、大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)、大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)、終了処理(ステップS5500)のサブルーチン群を含む構成である。
【0431】
ステップS5100:遊技プロセス選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS5200〜ステップS5500のいずれか)のジャンプ先を選択する。すなわち主制御CPU72は、ジャンプテーブルから次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとして選択し、また、戻り先のアドレスとして可変入賞装置管理処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ可変入賞装置30の作動(開閉動作)を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開放パターン設定処理(ステップS5200)を選択する。一方、既に大入賞口開放パターン設定処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)を選択し、大入賞口開閉動作処理まで完了していれば、次のジャンプ先として大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)を選択する。また、設定された連続作動回数(ラウンド数)にわたって大入賞口開閉動作処理及び大入賞口閉鎖処理が繰り返し実行されると、主制御CPU72は次のジャンプ先として終了処理(ステップS5500)を選択する。以下、それぞれの処理についてさらに詳しく説明する。
【0432】
〔大入賞口開放パターン設定処理〕
図36は、大入賞口開放パターン設定処理の手順例を示すフローチャートである。この処理は、大当り時又は小当り時にそれぞれ可変入賞装置30を開閉動作する回数や各開放の時間等の条件を設定するためのものである。以下、各手順に沿って説明する。
【0433】
ステップS5202:主制御CPU72は、現在の遊技状態が大役中、つまりRAM76のフラグ領域に大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。大当りフラグの値がセットされていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5204に進む。一方、大当りフラグの値がセットされていなければ(No)、主制御CPU72はステップS5212に進む。なお、この手順は小当りフラグの値を参照する内容に書き換えてもよい(ただしYes/Noの論理は逆となる。)。
【0434】
〔大当り時の手順〕
先ず、大当り時の手順は以下となる。
ステップS5204:主制御CPU72は、図柄別開放パターン設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は今回の該当する当選図柄に応じて大入賞口の開放パターン(ラウンドごとの開放回数及び各開放の時間)やラウンド間のインターバル時間、1ラウンド中のカウント数(最大入賞回数)を設定する。なお、当選図柄別の開放パターンについては、先の特別図柄遊技処理(
図26)において〔複数の当選種類〕の項目で説明した通りである。また、ラウンド間のインターバル時間は、例えば「6ラウンド確変図柄1」及び「15ラウンド確変図柄」については数秒(例えば2秒〜2.5秒)程度に設定され、例えば「6ラウンド確変図柄2」については1秒程度に設定されるものとする。なお、1ラウンド中のカウント数(最大入賞回数)は全ての当選図柄について例えば9個であるが、極端な短時間(0.1秒程度)の開放中に入賞が発生することはほとんどない(不能ではないが極めて困難である)。
【0435】
ステップS5206:主制御CPU72は、先の大当り時停止図柄決定処理(
図27中のステップS2410)で選択した大当り時当選図柄に基づき、今回の大当り遊技における実行ラウンド数を設定する。具体的には、当選図柄として大分類の「15ラウンド確変図柄」を選択していれば、主制御CPU72は実行ラウンド数を15回に設定する。また、当選図柄として「6ラウンド確変図柄1」又は「6ラウンド確変図柄2」を選択していれば、主制御CPU72は実行ラウンド数を6回に設定する。ここで設定した実行ラウンド数は、プログラム上で対応する値(6回なら「5」、15回なら「14」)として、例えばRAM76のバッファ領域に格納される。
【0436】
ステップS5208:次に主制御CPU72は、先のステップS5204で設定した大入賞口開放パターンに基づき、大当り時開放タイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、可変入賞装置30を作動する際の1回あたりの開放時間となる。なお、大当り時開放タイマの値として29.0秒程度が設定されていれば、その開放時間は1回の開放中に大入賞口への入賞が容易に発生する充分な時間(例えば発射制御基板セット174により遊技球が10個以上発射される時間、好ましくは6秒以上)となる。一方、大当り開放タイマの値として0.1秒が設定されていれば、その開放時間は1回の開放中に大入賞口への入賞が不能ではなくとも、ほとんど発生しない(困難となる)短時間(例えば1秒より短い時間、好ましくは発射制御基板セット174による遊技球の発射間隔よりも短い時間)となる。
【0437】
ステップS5210:そして、主制御CPU72は、先のステップS5204で設定した大入賞口開放パターンに基づき、大当り時インターバルタイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、大当り中のラウンド間での待機時間となる。
【0438】
ステップS5220:以上の手順を終えると、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定し、可変入賞装置管理処理に復帰する。
【0439】
〔小当り時の手順〕
ステップS5212:一方、小当りの場合(ステップS5202:No)、主制御CPU72は、「小当り時開放パターン」を設定する。本実施形態の場合、「小当り時開放パターン」については、例えば1回目と2回目とでそれぞれ「0.1秒開放」の開放パターンが設定される。なお、「小当り」については「ラウンド」という概念がないことから、「開放パターン」についても「1回目の開放」、「2回目の開放」といった表記となる。
【0440】
ステップS5214:主制御CPU72は、先のステップS5212で設定した大入賞口開放パターンに基づき、大入賞口の開放回数を例えば2回に設定する。ここで設定した開放回数は、例えばRAM76のバッファ領域に格納される。
【0441】
ステップS5216:次に主制御CPU72は、小当り時開放タイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、可変入賞装置30を作動する際の1回あたりの開放時間となる。なお、本実施形態では、上記のように小当り時開放タイマの値として0.1秒が設定されており、このような開放時間は1回の開放中に大入賞口への入賞がほとんど発生しない(困難となる)短時間(例えば1秒より短い時間、好ましくは発射装置ユニットによる遊技球の発射間隔よりも短い時間)となる。
【0442】
ステップS5218:主制御CPU72は、小当り時インターバルタイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、小当り時に可変入賞装置30を複数回にわたり開閉動作させる際の1回ごとの待機時間となるが、このタイマ値は例えば2秒程度に設定される。
【0443】
ステップS5220:小当り時に以上の手順を終えると、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定し、可変入賞装置管理処理に復帰する。そして、主制御CPU72は、次に大入賞口開閉動作処理を実行する。
【0444】
〔大入賞口開閉動作処理〕
図37は、大入賞口開閉動作処理の手順例を示すフローチャートである。この処理は主に、可変入賞装置30の開閉動作を制御するためのものである。以下、手順に沿って説明する。
【0445】
ステップS5302:主制御CPU72は、大入賞口を開放させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に対して印加する駆動信号を出力する。これにより、可変入賞装置30が作動して閉止状態から開放状態に移行する。
【0446】
ステップS5304:次に主制御CPU72は、開放タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、先の大入賞口開放パターン設定処理(
図36中のステップS5208又はステップS5216)で設定した開放タイマのカウントダウンを実行する。
【0447】
ステップS5306:続いて主制御CPU72は、開放時間が終了したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の開放タイマの値が0以下であるか否かを確認し、未だ開放タイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS5308を実行する。
【0448】
ステップS5308:主制御CPU72は、入賞球数カウント処理を実行する。この処理では、開放時間内に可変入賞装置30(開放中の大入賞口)に入賞した遊技球の個数をカウントする。具体的には、主制御CPU72は開放時間内にカウントスイッチ84から入力された入賞検出信号に基づいて、カウント数の値をインクリメントする。
【0449】
ステップS5310:次に主制御CPU72は、現在のカウント数が所定数(9個)未満であるか否かを確認する。この所定数は、上記のように開放1回(大当り中の1ラウンド、小当り時の1回)あたりに許容する入賞球数の上限(賞球数の上限)を定めたものである。未だカウント数が所定数に達していなければ(Yes)、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰する。そして、次に可変入賞装置管理処理を実行すると、現段階ではジャンプ先が大入賞口開閉動作処理に設定されているので、主制御CPU72は上記のステップS5302〜ステップS5310の手順を繰り返し実行する。
【0450】
上記のステップS5306で開放時間が終了したと判断するか(Yes)、もしくはステップS5310でカウント数が所定数に達したことを確認すると(No)、主制御CPU72は次にステップS5312を実行する。なお、小当り時の開放は、開放タイマの値が短時間に設定されているので、通常、主制御CPU72はステップS5310でカウント数が所定数に達したことを確認するより先に、ステップS5306で開放時間が終了したと判断する場合がほとんどである。
【0451】
ステップS5312:主制御CPU72は、大入賞口を閉止させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に印加していた駆動信号の出力を停止する。これにより、可変入賞装置30が開放状態から閉止状態に復帰する。
【0452】
ステップS5314:次に主制御CPU72は、インターバル待機処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上記の大入賞口開放パターン設定処理(
図36中のステップS5210又はステップS5218)で設定したインターバルタイマのカウントダウンを実行する。そして、インターバルタイマの値が0以下になると、次に主制御CPU72はステップS5316に進む。なお、ここでは特に図示していないが、インターバル時間が経過するまでの間(インターバルタイマ値が0になるまでの間)、割り込み毎に主制御CPU72はステップS5314から呼び出し元である可変入賞装置管理処理(
図35)の末尾アドレスに復帰する。そして、次回の呼び出しで大入賞口開閉動作処理が実行されると、先頭のステップS5302からではなく直にステップS5314を実行する。
【0453】
ステップS5316:主制御CPU72は、大役中(大当り遊技中)であるか否かを確認する。現在の遊技が大役中であれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5318を実行する。これに対し、現在の遊技が小当りであれば(No)、主制御CPU72は次にステップS5322に進む。
【0454】
ステップS5318:主制御CPU72は、開放回数カウンタの値をインクリメントする。なお、開放回数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。
【0455】
ステップS5320:主制御CPU72は、インクリメント後の開放回数カウンタの値が現ラウンド内で設定した回数に達しているか否かを確認する。ここで、「現ラウンド内で設定した回数」を判断しているのは、例えば「大当り中の1ラウンド内で可変入賞装置30を複数回にわたり開放動作させる」という開放パターンに対応するためである。なお、本実施形態では、特にこのような開放パターンを採用していないので、「現ラウンド内で設定した回数」は、各ラウンドで1回ずつに設定されている。したがって、通常は1回の開閉動作でカウンタ値が設定した回数に達するため(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5322に進むことになる。
【0456】
なお、上記のように1ラウンド内で複数回の開閉動作を繰り返すパターンを採用した場合、1回の開放終了時に未だカウンタ値が設定した回数に達していないことになる(No)。この場合、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰すると、現段階ではジャンプ先が大入賞口開閉動作処理に設定されているので、上記のステップS5302〜ステップS5320までの手順を繰り返し実行する。その結果、ステップS5318で開放回数カウンタのインクリメントが進み、そして、カウンタ値が設定した回数に達すると(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5322に進むことになる。
【0457】
ステップS5322:主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口閉鎖処理に設定し、可変入賞装置管理処理に復帰する。そして、次に可変入賞装置管理処理を実行すると、主制御CPU72は次に大入賞口閉鎖処理を実行する。
【0458】
〔大入賞口閉鎖処理〕
図38は、大入賞口閉鎖処理の手順例を示すフローチャートである。この大入賞口閉鎖処理は、可変入賞装置30の作動を継続したり、その作動を終了したりするためのものである。以下、手順に沿って説明する。
【0459】
ステップS5401:先ず主制御CPU72は、現在の遊技が大役(大当り遊技)中であるか否かを確認し、大役中であれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5402を実行する。
【0460】
ステップS5402:主制御CPU72は、上記のラウンド数カウンタをインクリメントする。これにより、例えば1ラウンド目が終了し、2ラウンド目に向かう段階でラウンド数カウンタの値は「1」となっている。
【0461】
ステップS5404:主制御CPU72は、インクリメント後のラウンド数カウンタの値が設定した実行ラウンド数に達しているか否かを確認する。具体的には、主制御CPU72はインクリメント後のラウンド数カウンタの値(1〜14)を参照し、その値が設定した実行ラウンド数(1減算後の1〜14)未満であれば(No)、次にステップS5405を実行する。
【0462】
ステップS5405:主制御CPU72は、現在のラウンド数カウンタの値からラウンド数コマンドを生成する。このコマンドは、上記のように演出制御出力処理において演出制御装置124に送信されるものである。演出制御装置124は、受信したラウンド数コマンドに基づいて現在のラウンド数を確認することができる。
【0463】
ステップS5406:主制御CPU72は、次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定する。
【0464】
ステップS5408:そして、主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。
【0465】
主制御CPU72が次に可変入賞装置管理処理を実行すると、遊技プロセス選択処理(
図35中のステップS5100)で主制御CPU72は次のジャンプ先である大入賞口開閉動作処理を実行する。そして、大入賞口開閉動作処理の実行後は大入賞口閉鎖処理の実行を経て、主制御CPU72は再び大入賞口閉鎖処理を実行し、上記のステップS5402〜ステップS5408を繰り返し実行する。これにより、実際のラウンド数が設定した実行ラウンド数(6回又は15回)に達するまでの間、可変入賞装置30の開閉動作が連続して実行される。
【0466】
実際のラウンド数が設定した実行ラウンド数に達した場合(ステップS5404:Yes)、主制御CPU72は次にステップS5410を実行する。
【0467】
ステップS5410,ステップS5412:この場合、主制御CPU72はラウンド数カウンタをリセット(=0)すると、次のジャンプ先を終了処理に設定する。
【0468】
ステップS5408:そして、主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。これにより、次に主制御CPU72が可変入賞装置管理処理を実行すると、今度は終了処理が選択されることになる。
【0469】
〔小当り時〕
これに対し、小当りの場合は以下の手順となる(特例作動実行手段)。
ステップS5411:主制御CPU72は現在の遊技が大役中でないことを確認すると(ステップS5401:No)、開放回数カウンタの値をインクリメントする。
【0470】
ステップS5413:次に主制御CPU72は、インクリメント後の開放回数カウンタの値が設定した開放回数に達したか否かを確認する。開放回数は、先の大入賞口開放パターン設定処理(
図36中のステップS5214)で設定したものである。未だ開放回数カウンタの値が設定した開放回数に達していなければ(No)、主制御CPU72はステップS5416を実行する。
【0471】
ステップS5416:主制御CPU72は、次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定する。
ステップS5408:そして、主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。
【0472】
主制御CPU72が次に可変入賞装置管理処理を実行すると、遊技プロセス選択処理(
図35中のステップS5100)で主制御CPU72は次のジャンプ先である大入賞口開閉動作処理を実行する。そして、大入賞口開閉動作処理の実行後は大入賞口閉鎖処理の実行を経て、主制御CPU72は再び大入賞口閉鎖処理を実行し、上記のステップS5401〜ステップS5413(No)を経てステップS5416、ステップS5408を繰り返し実行する。これにより、実際の開放回数が設定した開放回数(2回)に達するまでの間、可変入賞装置30の開閉動作が繰り返し実行される。
【0473】
小当り時の実際の開放回数が設定した開放回数に達した場合(ステップS5413:Yes)、主制御CPU72は次にステップS5414を実行する。
【0474】
ステップS5414,ステップS5412:この場合、主制御CPU72は開放回数カウンタをリセット(=0)すると、次のジャンプ先を終了処理に設定する。
【0475】
ステップS5408:そして、主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。これにより、次に主制御CPU72が可変入賞装置管理処理を実行すると、今度は終了処理が選択されることになる。
【0476】
〔終了処理〕
図39は、終了処理の手順例を示すフローチャートである。この終了処理は、可変入賞装置30の作動を終了する際の条件を整えるためのものである。以下、手順例に沿って説明する。
【0477】
ステップS5502:主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認し、大当りフラグの値がセットされていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5503を実行する。
【0478】
ステップS5503,ステップS5504:この場合、主制御CPU72は大当りフラグをリセット(00H)する。これにより、主制御CPU72の制御処理上で大当り遊技状態は終了する。また、主制御CPU72は、ここで内部状態フラグから「大当り中」を消去し、制御処理上で内部状態としての大役終了を宣言する。なお、主制御CPU72は連続作動回数ステータスの値をリセットする。
【0479】
ステップS5506:次に主制御CPU72は、確率変動機能作動フラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。このフラグは、先の特別図柄変動前処理中の大当り時その他設定処理(
図27中のステップS2414)でセットされるものである。
【0480】
ステップS5508:確率変動機能作動フラグの値がセットされている場合(ステップS5506:Yes)、主制御CPU72は確率変動回数(例えば8回)を設定する。設定した確率変動回数の値は、例えばRAM76の確変カウンタ領域に格納されて上記の回数切りカウンタ値となる。ここで設定した確率変動回数は、これ以降の遊技で特別図柄の変動(内部抽選)を高確率状態で行う上限回数となる。本実施形態では、高確率状態に実質的な上限を設けているため、高確率状態で当選の結果が得られずに低確率状態に復帰する場合もある(いわゆる回数切り確変機;ST機)。なお、確率変動機能作動フラグの値がセットされていなければ(ステップS5506:No)、主制御CPU72はステップS5508を実行しないが、本実施形態は確変比率が100%であるため、ステップS5508は必ず実行される。
【0481】
ステップS5510:次に主制御CPU72は、時間短縮機能作動フラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。このフラグもまた、先の特別図柄変動前処理中の大当り時その他設定処理(
図27中のステップS2414)でセットされるものである。
【0482】
ステップS5512:そして、時間短縮機能作動フラグの値がセットされている場合(ステップS5510:Yes)、主制御CPU72は当選図柄や当選時の時間短縮状態の有無に応じて時間短縮回数(例えば8回又は100回)を設定する。設定した時間短縮回数の値は、上記のようにRAM76の時短カウント領域に格納される。ここで設定した時間短縮回数は、これ以降の遊技で特別図柄の変動時間を短縮化する上限回数となる。なお、時間短縮機能作動フラグの値がセットされていなければ(ステップS5510:No)、主制御CPU72はステップS5512を実行しない。
【0483】
ステップS5514:そして、主制御CPU72は、各種のフラグに基づいて状態指定コマンドを生成する。具体的には、大当りフラグのリセット又は大役終了に伴い、遊技状態として「通常中」を表す状態指定コマンドを生成する。また、高確率状態機能作動フラグがセットされていれば、内部状態として「高確率中」を表す状態指定コマンドを生成し、時間短縮機能作動フラグがセットされていれば、内部状態として「時間短縮中」を表す状態指定コマンドを生成する。これら状態指定コマンドは、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
【0484】
ここまでの手順は大当りの場合であるが、小当りの場合(ステップS5502:No)は以下の手順が実行される。
【0485】
ステップS5520,ステップS5522:小当りの場合、主制御CPU72は小当りフラグの値をリセット(00H)し、また、内部状態フラグから「小当り中」を消去する。なお、小当りの場合、特に内部的な条件装置は作動しないため、このような手順は単にフラグの消去を目的としたものである。
【0486】
ステップS5516:以上の手順を経ると主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開放パターン設定処理に設定する。
【0487】
ステップS5518:そして、主制御CPU72は、特別図柄遊技処理の中の実行選択処理(
図26中のステップS1000)でのジャンプ先を特別図柄変動前処理に設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰する。
【0488】
〔発射管理処理〕
図40は、発射制御CPU94により実行される発射管理処理の手順例を示すフローチャートである。この発射管理処理は、例えば発射制御用のタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。発射制御CPU94は、例えば主制御CPU72におけるリセットスタート処理と同様のリセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば数十μs〜数ms周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
【0489】
発射管理処理は、コマンド受信処理(ステップS6000)、持ち球データ加算処理(ステップS6010)、発射制御処理(ステップS6020)、持ち球データ表示器管理処理(ステップS6030)、及びコマンド送信処理(ステップS6040)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って発射管理処理の基本的な流れを説明する。
【0490】
ステップS6000:コマンド受信処理において、発射制御CPU94は主制御装置70から送信される入賞データコマンドや、カードユニット210から送信される球貸しデータコマンドを受信する。また、発射制御CPU94は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM98のコマンドバッファ領域に保存する。
【0491】
ステップS6010:持ち球データ加算処理では、発射制御CPU94は、受信した入賞データコマンドや球貸しデータコマンドの内容に基づいて、持ち球データの加算処理を実行する。なお、具体的な処理の内容については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0492】
ステップS6020:発射制御処理では、発射制御CPU94は、発射装置300を制御する処理を実行するとともに、遊技球の供給信号や遊技球の発射信号に基づいて、持ち球データの減算処理を実行する。なお、具体的な処理の内容については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0493】
ステップS6030:持ち球データ表示器管理処理では、発射制御CPU94は、持ち球データ表示器123の表示内容を制御する。具体的には、RAM98に記憶している持ち球データの情報に基づいて持ち球データの表示を行い、カードユニット210から送信される残数情報に基づいて残数データの表示を行う。
【0494】
ステップS6040:コマンド送信処理では、発射制御CPU94は、主制御装置70に対して遊技停止コマンドを送信したり、カードユニット210に対して遊技機状態情報コマンドを送信したりする。
【0495】
以上の発射管理処理を通じて、発射制御CPU94はパチンコ機1における遊技球の発射や、持ち球データの内容を統括的に制御することができる。
【0496】
〔持ち球データ加算処理〕
図41は、上記の持ち球データ加算処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0497】
ステップS6100:発射制御CPU94は、主制御CPU72から入賞データコマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、発射制御CPU94はRAM98のコマンドバッファ領域にアクセスし、入賞データコマンドが保存されているか否かを確認する。
【0498】
その結果、入賞データコマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、発射制御CPU94はステップS6102を実行する。一方、入賞データコマンドが保存されていることを確認できない場合(No)、発射制御CPU94はステップS6102を実行しない。
【0499】
ステップS6102:発射制御CPU94は、発射持ち球データ加算処理を実行する。この発射持ち球データ加算処理において、発射制御CPU94は、受信した入賞データに相応する数量を持ち球データに加算する処理を実行する(入賞時持ち球データ加算処理実行手段)。例えば、持ち球データの値が「124」であり、入賞データコマンドに含まれる入賞データの値が「3」である場合、「124」に「3」を加算する処理を実行して、最終的に持ち球データの値を「127」に更新する処理を実行する。なお、本処理を実行した場合、発射制御CPU94は、入賞データコマンドをRAM98のコマンドバッファ領域から消去する処理を実行する。
【0500】
ステップS6104:発射制御CPU94は、カードユニット210から球貸しデータコマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、発射制御CPU94はRAM98のコマンドバッファ領域にアクセスし、球貸しデータコマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、球貸しデータコマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、発射制御CPU94はステップS6106を実行する。一方、球貸しデータコマンドが保存されていることを確認できない場合(No)、発射制御CPU94はステップS6106を実行しない。
【0501】
ステップS6106:発射制御CPU94は、発射持ち球データ加算処理を実行する。この発射持ち球データ加算処理において、発射制御CPU94は、受信した球貸しデータに相応する数量を持ち球データに加算する処理を実行する(球貸し時持ち球データ加算処理実行手段)。例えば、持ち球データの値が「0」であり、球貸しデータコマンドに含まれる球貸しデータの値が「125」である場合、「0」に「125」を加算する処理を実行して、最終的に持ち球データの値を「125」に更新する処理を実行する。なお、本処理を実行した場合、発射制御CPU94は、球貸しデータコマンドをRAM98のコマンドバッファ領域から消去する処理を実行する。
そして、以上の処理を終えると、発射制御CPU94は、発射管理処理(
図40)に復帰する。
【0502】
〔発射制御処理〕
図42は、上記の発射制御処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0503】
ステップS6200:発射制御CPU94は、持ち球データの値が「0」であるか否かを確認する。具体的には、発射制御CPU94はRAM98のデータバッファ領域にアクセスし、持ち球データの値が「0」であるか否かを確認する。
【0504】
その結果、持ち球データの値が「0」であることを確認した場合(Yes)、発射制御CPU94は発射管理処理(
図40)に復帰する。一方、持ち球データの値が「0」であることを確認できない場合(No)、発射制御CPU94はステップS6202を実行する。なお、持ち球データの値が「0」であることを確認した場合は、遊技者に対して持ち球データを追加することを促す演出(視覚的又は聴覚的な演出)を実行してもよい。
【0505】
ステップS6202:発射制御CPU94は、発射許可状態であるか否かを確認する。具体的には、発射制御CPU94はRAM98のコマンドバッファ領域にアクセスし、発射禁止コマンドが保存されていない場合には、発射許可状態であると判断することができる。
【0506】
その結果、発射許可状態であることを確認した場合(Yes)、発射制御CPU94はステップS6204を実行する。一方、発射許可状態であることを確認できない場合(No)、発射管理処理(
図40)に復帰する。
【0507】
ステップS6204:発射制御CPU94は、発射ステータスの値が「供給待ち中」であるか否かを確認する。ここで、発射ステータスとは、発射装置300の動作状態を示す変数でありRAM98のデータバッファに記憶されている。発射ステータスに格納される値としては、例えば「供給待ち中(00H)」、「供給確認中(01H)」、「供給中(02H)」、「発射待ち中(03H)」、「発射中(04H)」がある。発射制御CPU94は、発射ステータスの値を確認することにより、発射装置300の動作状態を確認することができる。なお、発射ステータスの初期値には、「供給待ち中(00H)」が格納される。
【0508】
そして、発射ステータスの値が「供給待ち中」であることを確認した場合(Yes)、発射制御CPU94はステップS6206及びステップS6208を実行する。一方、発射ステータスの値が「供給待ち中」であることを確認できない場合(No)、発射制御CPU94はステップS6206及びステップS6208を実行せずに、ステップS6209を実行する。
【0509】
ステップS6206:発射制御CPU94は、発射球供給処理を実行する。具体的には、球送りモータ502を駆動して、発射装置300に遊技球を供給する処理を実行する。
【0510】
ステップS6208:発射制御CPU94は、発射ステータスに「供給確認中(01H)」を格納する処理を実行する。
【0511】
ステップS6209:発射制御CPU94は、供給確認処理を実行する。この供給確認処理は、発射装置300に対して遊技球が正常に供給されたか否かを確認するための処理であり、遊技球が正常に供給されたことが確認された場合、発射制御CPU94は、発射ステータスに「供給中(02H)」を格納する処理を実行する。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0512】
ステップS6210:発射制御CPU94は、発射ステータスの値が「供給中」であるか否かを確認する。
【0513】
その結果、発射ステータスの値が「供給中」であることを確認した場合(Yes)、発射制御CPU94はステップS6212を実行する。一方、発射ステータスの値が「供給中」であることを確認できない場合(No)、発射制御CPU94はステップS6212等を実行せずに、ステップS6220を実行する。
【0514】
ステップS6212:発射制御CPU94は、安定時間タイマカウントダウン処理を実行する。具体的には、本モジュールの初回呼び出し時であれば、発射制御CPU94はここで安定時間タイマの値に初期値を設定し、初回以降の呼び出し時であれば、発射制御CPU94は設定済みの安定時間タイマの値をデクリメントする。安定時間タイマの初期値は、遊技球供給検出センサ106により遊技球の通過が検出されてから遊技球が発射装置300内で安定して停止するまでの待ち時間(例えば0.1〜0.3秒程度)として設定することができる。
【0515】
ステップS6214:発射制御CPU94は、安定時間が経過したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の安定時間タイマの値が0以下であるか否かを確認する。未だタイマの値が0以下になっていなければ(No)、発射制御CPU94はステップS6220以降を実行することになるが、現状の発射ステータスの値が「供給中」であるため、そのまま発射管理処理(
図40)に復帰する。そして、次に発射制御処理を実行すると、現段階では発射ステータスが「供給中」に設定されているため、発射制御CPU94は、上記のステップS6212及びステップS6214の手順を繰り返し実行する。そして、ステップS6214で安定時間が経過したと判断すると(Yes)、発射制御CPU94はステップS6216及びステップS6218を実行する。
【0516】
ステップS6216:発射制御CPU94は、持ち球データ減算処理を実行する。この持ち球データ減算処理において、発射制御CPU94は、遊技球供給検出センサ106にて供給された遊技球の数に相応する数量を持ち球データから減算する処理を実行する(発射時持ち球データ減算処理実行手段)。例えば、持ち球データの値が「125」であり、遊技球が「1個」供給されたことが検出された場合、「125」から「1」を減算する処理を実行して、最終的に持ち球データの値を「124」に更新する処理を実行する。
【0517】
ステップS6218:発射制御CPU94は、発射ステータスに「発射待ち中(03H)」を格納する処理を実行する。
【0518】
ステップS6220:発射制御CPU94は、発射ステータスの値が「発射待ち中」であるか否かを確認する。
【0519】
その結果、発射ステータスの値が「発射待ち中」であることを確認した場合(Yes)、発射制御CPU94はステップS6222を実行する。一方、発射ステータスの値が「発射待ち中」であることを確認できない場合(No)、発射制御CPU94はステップS6222及びステップS6224を実行せずに、ステップS6226を実行する。
【0520】
ステップS6222:発射制御CPU94は、発射出力処理を実行する。具体的には、発射モータ302を駆動して、発射装置300から遊技球を発射させる処理を実行する。
【0521】
ステップS6224:発射制御CPU94は、発射ステータスに「発射中(04H)」を格納する処理を実行する。この際、発射強度をPWM駆動のデュ―ティ比でデジタル制御する場合には、発射制御CPU94は、ここで強度設定を行う。
【0522】
ステップS6226:発射制御CPU94は、発射ステータスの値が「発射中」であるか否かを確認する。
【0523】
その結果、発射ステータスの値が「発射中」であることを確認した場合(Yes)、発射制御CPU94はステップS6228を実行する。一方、発射ステータスの値が「発射中」であることを確認できない場合(No)、発射制御CPU94は発射管理処理(
図40)に復帰する。
【0524】
ステップS6228:発射制御CPU94は、保持時間タイマカウントダウン処理を実行する。具体的には、本モジュールの初回呼び出し時であれば、発射制御CPU94はここで保持時間タイマの値に初期値を設定し、初回以降の呼び出し時であれば、発射制御CPU94は設定済みの保持時間タイマの値をデクリメントする。保持時間タイマの初期値は、遊技球発射検出センサ316により遊技球の通過が検出されてから遊技球が発射装置300内から確実に排出されるまでの待ち時間(例えば0.1〜0.3秒程度)として設定することができる。
【0525】
ここで、上記のステップS6216の持ち球データ減算処理は、遊技球発射検出センサ316により遊技球の通過が検出された際に実行してもよい。
【0526】
ステップS6230:発射制御CPU94は、保持時間が経過したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の保持時間タイマの値が0以下であるか否かを確認する。未だタイマの値が0以下になっていなければ(No)、発射制御CPU94は発射管理処理(
図40)に復帰する。そして、次に発射制御処理を実行すると、現段階では発射ステータスが「発射中」に設定されているため、発射制御CPU94は、上記のステップS6228及びステップS6230の手順を繰り返し実行する。そして、ステップS6230で保持時間が経過したと判断すると(Yes)、発射制御CPU94はステップS6232及びステップS6234を実行する。
【0527】
ステップS6232:発射制御CPU94は、退避位置移行処理を実行する。具体的には、発射モータ302を駆動して、発射装置300の発射アーム306を元の待機位置に戻す処理を実行する。
【0528】
ステップS6234:発射制御CPU94は、発射ステータスに「供給待ち中(00H)」を格納する処理を実行する。これにより、1回の発射における一連の動作が終了し、発射装置300は、遊技球の供給待ちの状態となる。
そして、以上の処理を終えると、発射制御CPU94は、発射管理処理(
図40)に復帰する。
【0529】
〔供給確認処理〕
図43は、上記の供給確認処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0530】
ステップS6300:発射制御CPU94は、発射ステータスの値が「供給確認中(01H)」であるか否かを確認する。
【0531】
その結果、発射ステータスの値が「供給確認中」であることを確認した場合(Yes)、発射制御CPU94はステップS6302を実行する。一方、発射ステータスの値が「供給確認中」であることを確認できない場合(No)、発射制御CPU94は発射制御処理(
図42)に復帰する。
【0532】
ステップS6302:発射制御CPU94は、供給時間タイマカウントダウン処理を実行する。具体的には、本モジュールの初回呼び出し時であれば、発射制御CPU94はここで供給時間タイマの値に初期値を設定し、初回以降の呼び出し時であれば、発射制御CPU94は設定済みの供給時間タイマの値をデクリメントする。供給時間タイマの初期値は、球送りモータ502を駆動してから遊技球供給検出センサ106により遊技球の通過が検出されるまでの待ち時間(例えば0.1〜0.3秒程度)として設定することができる。
【0533】
ステップS6304:発射制御CPU94は、供給時間が経過したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の供給時間タイマの値が0以下であるか否かを確認する。未だタイマの値が0以下になっていなければ(No)、発射制御CPU94はステップS6308を実行することになるが、ステップS6308での判断結果が否定(No)である場合には、そのまま発射管理処理(
図42)に復帰する。そして、次に供給確認処理を実行すると、現段階では発射ステータスが「供給確認中」に設定されているため、発射制御CPU94は、上記のステップS6302及びステップS6304の手順を繰り返し実行する。そして、ステップS6304で供給時間が経過したと判断すると(Yes)、発射制御CPU94はステップS6306を実行する。
【0534】
ステップS6306:発射制御CPU94は、発射ステータスに「供給待ち中(00H)」を格納する処理を実行する。
【0535】
ここで、球送り装置500による遊技球の供給動作が実行されてから、上記の供給時間以内(所定時間以内)に遊技球供給検出センサ106により遊技球の供給が検出されなかったということは、供給動作が正常に実行されなかったか、あるいは供給動作が正常に実行されたものの、たまたま球送り装置500内の遊技球が不足していて遊技球が供給されなかったということを意味している。
【0536】
そして、このような場合には、上記のステップS6306において発射ステータスに「供給待ち中(00H)」を格納する処理を実行することにしている。これにより、発射動作を実行せずに、再び供給動作からやり直すことができ、遊技球が供給されていないのに発射動作を実行するという事態を回避することができる。
【0537】
ステップS6308:発射制御CPU94は、遊技球供給検出センサ106から通過検出信号が入力されたか否かを確認する。この通過検出信号の入力が確認された場合(Yes)、発射制御CPU94はステップS6310を実行する。一方、通過検出信号の入力が確認されなかった場合(No)、発射制御CPU94は発射管理処理(
図42)に復帰する。
【0538】
ステップS6310:発射制御CPU94は、発射ステータスに「供給中(02H)」を格納する処理を実行する。これにより、発射制御CPU94は、遊技球が正常に供給されたか否かの確認処理を終了させることができる。
そして、以上の処理を終えると、発射制御CPU94は、発射管理処理(
図42)に復帰する。
【0539】
〔カードユニット処理〕
図44は、カードユニット210に内蔵されたカードユニットCPUにより実行されるカードユニット処理の手順例を示すフローチャートである。このカードユニット処理は、例えばカードユニット制御用のタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。カードユニットCPUは、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば数十μs〜数ms周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
【0540】
ステップS7000:カードユニットCPUは、貸球単価設定処理を実行する。貸球単価設定処理は、貸球の単価を設定する処理であり、1回の球貸しに対して何個の遊技球を貸し出すかを決定する処理である。例えば、1回の球貸しが500円分の球貸しであり、貸球単価が4円に設定されていれば125個の遊技球が貸し出されることになる。また、1回の球貸しが500円分の球貸しであり、貸球単価が1円に設定されていれば500個の遊技球が貸し出されることになる。なお、貸球単価設定処理は、カードユニット210の設定を変更することができる権限を有する係員のみが実行できる処理としてもよい。
【0541】
ステップS7002:カードユニットCPUは、カード挿入口214に、有価媒体としての会員カードが挿入されたか否かを確認する。カード種別の確認は、カードに記憶されているカード種別情報を読み取ることにより確認することができる。
【0542】
その結果、会員カードが挿入されたことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7004を実行する。一方、会員カードが挿入されたことを確認できない場合(No)、カードユニットCPUはステップS7006を実行する。
【0543】
ステップS7004:カードユニットCPUは、会員カードの認証に成功したか否かを確認する。ここで、会員カードの認証とは、例えば、カードユニット210に設けられた図示しない入力ボタンからパスワードの入力を受け付け、入力されたパスワードと、予め登録されているパスワードとが一致しているか確認する処理である。
【0544】
その結果、会員カードの認証に成功したことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7010を実行する。一方、会員カードの認証に成功したことを確認できない場合(No)、発射制御CPU94はステップS7000に戻ってこれまでの処理を繰り返す。
【0545】
ステップS7006:カードユニットCPUは、カード挿入口214に、有価媒体としての一般カードが挿入されたか否かを確認する。
【0546】
その結果、一般カードが挿入されたことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7010を実行する。一方、一般カードが挿入されたことを確認できない場合(No)、カードユニットCPUはステップS7008を実行する。
【0547】
ステップS7008:カードユニットCPUは、現金投入口212に、現金が投入されたか否かを確認する。
【0548】
その結果、現金が投入されたことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7010を実行する。一方、現金が投入されたことを確認できない場合(No)、カードユニットCPUはステップS7000に戻ってこれまでの処理を繰り返す。
【0549】
ステップS7010:カードユニットCPUは、カード情報表示処理を実行する。具体的には、カード情報表示装置200に対して、カードに記憶されている残金データや持ち球データを表示させる処理を実行する。
【0550】
ステップS7012:カードユニットCPUは、持ち球ボタン11が押下されたか否かを確認する。具体的には、カードユニットCPUは、持ち球ボタン11から押下信号が入力された場合に持ち球ボタン11が押下されたと判断する。
【0551】
その結果、持ち球ボタン11が押下されたことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7014を実行する。一方、持ち球ボタン11が押下されたことを確認できない場合(No)、カードユニットCPUはステップS7020を実行する。
【0552】
ステップS7014:カードユニットCPUは、持ち球データの値が0よりも大きいか否かを確認する。持ち球データの値は、一般カードや会員カードに記憶されている。
【0553】
その結果、持ち球データの値が0よりも大きいことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7016を実行する。一方、持ち球データの値が0よりも大きいことを確認できない場合(No)、カードユニットCPUはステップS7020を実行する。
【0554】
ステップS7016:カードユニットCPUは、発射持ち球管理装置92に球貸しデータコマンドを送信する処理を実行する。本処理での球貸しデータコマンドでは、所定単位(例えば125個)の持ち球データ又は所定単位数未満の持ち球データの全数を送信する。
【0555】
ステップS7018:カードユニットCPUは、球貸しデータコマンドで送信した持ち球データの値を、一般カードや会員カードに記憶されている持ち球データの値から減算する処理を実行する。
【0556】
ステップS7020:カードユニットCPUは、球貸ボタン10が押下されたか否かを確認する。具体的には、カードユニットCPUは、球貸ボタン10から押下信号が入力された場合に球貸ボタン10が押下されたと判断する。
【0557】
その結果、球貸ボタン10が押下されたことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7022を実行する。一方、球貸ボタン10が押下されたことを確認できない場合(No)、カードユニットCPUはステップS7028を実行する。
【0558】
ステップS7022:カードユニットCPUは、金額データの値が0よりも大きいか否かを確認する。金額データの値は、一般カードや会員カードに記憶されている。
【0559】
その結果、金額データの値が0よりも大きいことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7024を実行する。一方、金額データの値が0よりも大きいことを確認できない場合(No)、カードユニットCPUはステップS7028を実行する。
【0560】
ステップS7024:カードユニットCPUは、発射持ち球管理装置92に球貸しデータコマンドを送信する処理を実行する。本処理での球貸しデータコマンドでは、決済金額に相当する球貸しデータを含むコマンドを送信する。なお、球貸しデータに関しては、消費税分を差し引いたデータを送信する機能を含めてもよい。
【0561】
ステップS7026:カードユニットCPUは、球貸しデータコマンドで送信した持ち球データの値に対応する金額を、一般カードや会員カードに記憶されている金額データから減算する処理を実行する。
【0562】
ステップS7028:カードユニットCPUは、休憩ボタン12が押下されたか否かを確認する。具体的には、カードユニットCPUは、休憩ボタン12から押下信号が入力された場合に休憩ボタン12が押下されたと判断する。
【0563】
その結果、休憩ボタン12が押下されたことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7030を実行する。一方、休憩ボタン12が押下されたことを確認できない場合(No)、カードユニットCPUはステップS7036を実行する。
【0564】
ステップS7030:カードユニットCPUは、休憩処理を実行する。この休憩処理では、カード挿入口214から休憩専用カードを排出したり、カード情報表示装置200の表示画面にて休憩中の表示を行ったり、パチンコ機1に対して遊技不能コマンドを送信することにより遊技不能処理を行ったりすることができる。
【0565】
ステップS7032:カードユニットCPUは、休憩が終了したか否かを確認する。具体的には、カード挿入口214に休憩専用カードが挿入された場合、又は、予め設定された休憩時間(例えば30分)の経過時の店員による休憩強制終了操作が実行された場合、カードユニットCPUは、休憩が終了したと判断する。
【0566】
ステップS7034:カードユニットCPUは、休憩終了処理を実行する。この休憩終了処理では、カード情報表示装置200の表示画面にて休憩中の終了させたり、パチンコ機1に対して遊技可能コマンドを送信することにより遊技再開可能処理を行ったりすることができる。
【0567】
ステップS7036:カードユニットCPUは、清算ボタン13が押下されたか否かを確認する。具体的には、カードユニットCPUは、清算ボタン13から押下信号が入力された場合に清算ボタン13が押下されたと判断する。
【0568】
その結果、清算ボタン13が押下されたことを確認した場合(Yes)、カードユニットCPUはステップS7038を実行する。一方、清算ボタン13が押下されたことを確認できない場合(No)、カードユニットCPUはステップS7010に戻ってこれまでの処理を繰り返す。
【0569】
ステップS7038:カードユニットCPUは、清算処理を実行する。この清算処理において、カードユニットCPUは、発射持ち球管理装置92から通信により持ち玉データを取得し、一般カードや会員カードに持ち玉データを記録する処理を実行する。その後、カードユニットCPUは、図示しないカード排出機構を用いて、一般カードや会員カードを排出する処理を実行する。なお、会員カードは無条件で排出するが、一般カードは、残金がある場合又は持ち玉データがある場合に排出する。このため、一般カードは、残金がなく、かつ、持ち球データがない場合には排出されずに、カードユニット210の内部に保留される。そして、この清算処理を終えると、カードユニットCPUはステップS7000に戻ってこれまでの処理を繰り返す。
【0570】
図45は、カードユニット210と発射持ち球管理装置92と主制御装置70との間で実行される制御処理の流れを示すシーケンス図である。
【0571】
〔F10:球貸し処理〕
パチンコ機1で遊技機を開始する場合、カードユニット210にて、球貸し処理が実行される。
【0572】
〔F12:球貸しデータコマンド送信〕
球貸し処理が実行されると、カードユニット210は、発射持ち球管理装置92に球貸しデータコマンドを送信する。
【0573】
〔F14:持ち球データ加算処理〕
球貸しデータコマンドを受信した発射持ち球管理装置92は、持ち球データ加算処理を実行する。
【0574】
〔F16:発射処理〕
持ち球データの値が0よりも大きい状態で遊技者によりハンドルユニット16が操作された場合、発射持ち球管理装置92は、発射装置300を動作させて遊技球を発射する。
【0575】
〔F18:持ち球データ減算処理〕
遊技球を発射した場合、発射持ち球管理装置92は、発射数に応じて持ち球データ減算処理を実行する。
【0576】
〔F20:入賞発生〕
ここで、遊技領域に発射された遊技球が所定の入賞口に入球することにより、入賞が発生したものとする。
【0577】
〔F22:入賞データコマンド送信〕
入賞が発生すると、主制御装置70は発射持ち球管理装置92に入賞データコマンドを送信する。
【0578】
〔F24:持ち球データ加算処理〕
入賞データコマンドを受信した発射持ち球管理装置92は、入賞データに応じて持ち球データ加算処理を実行する。
【0579】
〔F26:清算処理〕
遊技者により清算ボタン13が押下されると、カードユニット210にて清算処理が開始される。
【0580】
〔F28:清算コマンド送信〕
清算処理が開始されると、カードユニット210は発射持ち球管理装置92に清算要求コマンドを送信する。
【0581】
〔F30:遊技機状態情報コマンド送信〕
清算要求コマンドを受信した発射持ち球管理装置92は、遊技機状態情報コマンドをカードユニット210に送信する。
【0582】
〔遊技機状態情報コマンドの詳細〕
遊技機状態情報コマンドは、主制御装置70で生成されるものと、発射持ち球管理装置92で生成されるものとがある。主制御装置70で生成された遊技機状態情報コマンドは、発射持ち球管理装置92を経由してカードユニット210に送信される。発射持ち球管理装置92で生成された遊技機状態情報コマンドは、発射持ち球管理装置92が直接カードユニット210に送信する。
【0583】
また、遊技機状態情報コマンドには、遊技球が発射されたことを示す発射情報及び持ち球データが含まれている。発射情報及び持ち球データは、発射持ち球管理装置92が管理している情報となるため、発射情報及び持ち球データを含ませた遊技機状態情報コマンドは、発射持ち球管理装置92が生成する。このように、遊技機状態情報に、発射情報を含ませることにより、発射という事実が無いのに持ち球データを増加させるといった不正行為を容易に発見することができる。
【0584】
また、遊技機状態情報コマンドには、「抽選結果、変動回数、大当り回数等の遊技結果に関する情報」、「不正行為に関する情報」、「遊技エラーに関する情報」、「扉開放等の所定の操作に関する情報」、「主制御CPUのID情報」、「セキュリティ情報に基づく装置やプログラムの真贋情報」、「遊技台のID情報」のうち少なくとも1つ以上の情報を含めてもよい。これらの情報は、主制御装置70が管理している情報となるため、これらの情報を含ませた遊技機状態情報コマンドは、主制御装置70が生成する。このように、遊技機状態情報に様々な情報を含ませることにより、外部のカードユニット210を通じた第三者機関による不正監視が可能なパチンコ機1とすることができるとともに、ゴト対策を充実させたパチンコ機1とすることができる。
【0585】
また、遊技機状態情報コマンドの送信タイミングは、このタイミングに限定されるものではなく、任意のタイミングで遊技機状態情報コマンドを送信することができる。例えば、遊技機状態情報コマンドに対して「不正行為に関する情報」、「遊技エラーに関する情報」、「扉開放等の所定の操作に関する情報」等を含ませる場合には、不正行為等を検出した時点で送信するようにしてもよい。
【0586】
〔F32:コマンド送信処理〕
遊技機状態情報コマンドを受信したカードユニット210は、必要に応じてホールコンピュータ等に遊技機状態情報を送信する処理を実行する。
【0587】
〔F34:情報書込み処理〕
カードユニット210は、受信した遊技機状態情報コマンドに含まれる持ち球データを有価媒体(一般カード又は会員カード)に書き込む処理を実行する。
【0588】
〔F36:カード排出処理〕
情報書込み処理を終えると、カードユニット210は、有価媒体(一般カード又は会員カード)を排出する処理を実行する。
【0589】
このように、本実施形態では、「貸出数」、「発射数」、「賞球数」といった遊技機に必要な3つの要素を、「球貸しデータコマンド(F12)」、「発射処理(F16)」、「入賞データコマンド(F22)」にそれぞれ対応させており、これらのデータや事象に基づいて持ち球データを管理しているため、電子データで遊技結果を管理することができる。これにより、遊技球の誤差球(IN/OUTの不一致)を無くすことができ、遊技結果を完全に電子化させた遊技機を提供することができる。
【0590】
〔演出画像の例〕
次に、パチンコ機1において実際に液晶表示器42に表示される演出画像について、いくつかの例を挙げて説明する。以上のように、パチンコ機1において大当りの内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(変動時間)を決定し、第1特別図柄や第2特別図柄による変動表示が行われる(図柄表示手段)。ただし、上記のように第1特別図柄や第2特別図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、上記のように演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
【0591】
演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは液晶表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示される(
図1参照)。各演出図柄は、例えば数字の「1」〜「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている。このうち左演出図柄については、数字が「1」〜「9」の昇順に並んだ図柄列を構成しており、中演出図柄と右演出図柄については、いずれも数字が「9」〜「1」の降順に並んだ図柄列を構成している。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。
【0592】
図46は、特別図柄の変動表示及び停止表示に対応させた演出画像の例を示す連続図である。なお、ここでは非当選(はずれ)時の特別図柄の変動について、演出図柄を用いて行われる変動表示演出と停止表示演出(結果表示演出)の一例を表している。この変動表示演出は、特別図柄(ここでは第1特別図柄とするが、第2特別図柄でもよい。)が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また、停止表示演出は、特別図柄が停止表示されたことと、そのときの内部抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動1回ごとの変動表示演出と停止表示演出の基本的な流れについて説明する。
【0593】
〔変動表示前〕
図46中(A):例えば、第1特別図柄が変動を開始する前の状態(デモ演出中でない状態)で、液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が大きく表示されている。このとき第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示に合わせて、演出図柄も停止表示された状態にある。
【0594】
また、液晶表示器42の画面下部には、第1特別図柄及び第2特別図柄それぞれの作動記憶数を表すマーカ(図中に参照符号M1,M2を付す)が表示されるものとなっている。これらマーカM1,M2は、それぞれの表示個数が対応する第1特別図柄、第2特別図柄の作動記憶数(第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35aの表示数)を表しており、遊技中の作動記憶数の変化に連動して表示個数も増減する。また、マーカM1,M2は、視覚的な判別を容易にするため第1特別図柄に対応するマーカM1が例えば円(○)の図形で表示され、第2特別図柄に対応するマーカM2が例えばハートの図形で表示されている。なお、
図46中(A)の例では、マーカM1が4つとも点灯表示されることで第1特別図柄の作動記憶数が4個であることを表し、マーカM2が全て非表示(破線で示す)になることで第2特別図柄の作動記憶数が0個であることを表している(記憶数表示演出実行手段)。
【0595】
また、演出図柄の変動表示中、例えば液晶表示器42の画面下部には第4図柄(図中に参照符号Z1,Z2を付す)が表示されている。この第4図柄Z1,Z2は、上記の左・中・右演出図柄に続く「第4の演出図柄」であり、演出図柄の変動表示中はこれに同期して変動表示されている。なお、第4図柄Z1,Z2は、単純なマーク(例えば「□」の図形)に色彩を付しただけのものであり、例えばその表示色を変化させることで変動表示を表現することができる。第4図柄Z1は、第1特別図柄に対応しており、第4図柄Z2は、第2特別図柄に対応している。
【0596】
また、第4図柄Z1,Z2については、はずれに対応する態様(例えば白表示色)で停止表示されている。これは、停止表示演出が正しく行われており、パチンコ機1が正常に動作しているということを客観的に明らかにするためのものである。したがって、「はずれ」ではなく、実際に内部抽選の結果が「6ラウンド確変大当り1」や「15ラウンド確変大当り」であれば、それらに対応する態様(例えば青表示色や赤表示色等)で第4図柄Z1,Z2は停止表示される。
【0597】
〔変動表示演出開始〕
図46中(B):例えば第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。すなわち、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールする(流れる)ようにして変動表示演出が開始される。なお、図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また、変動表示中、個々の演出図柄が透けた状態で表示(透過表示)されることにより、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる画像(背景画像)が視認しやすい状態で表示されている。
【0598】
この場合の背景画像は、例えば浴衣を着こなした女性キャラクターが長椅子に腰掛け、夕涼みでもするかのようにリラックスしている風景を表現したものである。このような背景画像は、演出上での滞在モードが例えば「通常モード」であることを表現している。本実施形態において「通常モード」は、上記の変動時間短縮機能が非作動であり、また、確率変動機能も非作動である通常状態に対応するものとする。この他にも演出上で各種のモードが設けられており、モードごとに風景や情景の異なる背景画像が用意されている(状態表示演出実行手段)。これらモードの違いは、内部的な「時間短縮状態」に対応するものであったり、「高確率状態」に対応するものであったりする。なお、内部状態別に対応するモードについてはさらに後述する。ここでは特に図示していないが、この後、例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる態様であってもよい。
【0599】
また、演出図柄の変動表示中、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1が変動表示されており、第4図柄Z1は、その表示色を変化させることで変動表示を表現している。
【0600】
〔左図柄停止〕
図46中(C):例えば、ある程度の時間(変動時間の半分程度)が経過すると、最初に左演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に数字の「8」を表す演出図柄が停止したことを表している。なお、ここでは背景画像の図示を省略している(これ以降も同様)。
【0601】
〔作動記憶数減少時の演出例〕
ここで、先の
図46中(B)に示されているように、変動開始に伴って第1特別図柄の作動記憶数が1個分減少するため、それに連動してマーカM1の表示個数が1個分減少されている。例えば、それまでに作動記憶数が4個あったとすると、マーカM1において最も以前(古い)の記憶数表示が1個だけ非表示となり、内部抽選によって消費される演出が合わせて行われる。これにより、第1特別図柄に関して作動記憶数が減少したことを演出上でも遊技者に教示することができる。
【0602】
そして、
図46中(C)の例においては、記憶順で先頭にあった作動記憶が消費されて残りが3個になったため、画面上に残った3つのマーカM1がそれぞれ1個分ずつ一方向(ここでは左方向)へずれていく演出が行われている。これにより、作動記憶数の変化の前後関係を正確に演出上で表現するとともに、遊技者に対して「作動記憶が消費されて1つ減った」ということを直感的に分かりやすく教示することができる。
【0603】
〔右演出図柄停止〕
図46中(D):左演出図柄に続いて、その後に右演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に数字の「3」を表す演出図柄が停止したことを表している。この時点で既にリーチ状態が発生しないことは確定しているので、今回の変動が非リーチ(通常)変動であるということが見た目上でほとんど明らかとなっている。なお、ここではすべりパターン等によるリーチ変動を除くものとする。「すべりパターン」とは、例えば一旦は数字の「7」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するというものである。あるいは、一旦は数字の「9」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が逆向きに1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するパターンもある。また、その他にも、例えば「5」等の全くかけ離れた数字を表す演出図柄が一旦停止した後、画面上にキャラクターが出現して右演出図柄列を再変動させると、数字の「8」を表す演出図柄が停止してリーチに発展するといったパターンもある。
【0604】
〔停止表示演出〕
図46中(E):第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。今回の内部抽選の結果が非当選であって、第1特別図柄が非当選(はずれ)の態様で停止表示される場合、演出図柄も同様に非当選(はずれ)の態様で停止表示演出が行われる。すなわち、図示の例では、画面の中段位置に数字の「1」を表す演出図柄が停止したことを表しており、この場合、演出図柄の組み合わせは「8」−「1」−「3」のはずれ目であるため、今回の変動は通常の「はずれ」に該当したことが演出上で表現されている。このとき、第4図柄Z1は、はずれに対応する態様(例えば白表示色)で停止表示される。
【0605】
以上は、1回の変動ごとに演出図柄を用いて行われる変動表示演出と停止表示演出(非当選時)の一例である。このような演出を通じて、遊技者に当選に対する期待感を抱かせるとともに、最終的に内部抽選の結果を演出上で明確に教示することができる。
【0606】
また、上記の例は非当選時についてのものであるが、大当り(当選)時には変動表示演出中にリーチ演出が実行された後、停止表示演出において演出図柄が大当りの態様で停止表示される。このとき演出図柄の停止表示態様は、基本的には主制御CPU72によって内部的に選択された当選図柄(第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の停止表示態様)に対応させて選択される。
【0607】
〔大当り時の演出例〕
図47は、大当り(当選)時に実行されるリーチ演出の流れを示す連続図である。ここではリーチ演出の他に、変動表示演出や停止表示演出及び予告演出が含まれるものとする。その他にも、変動表示演出中に実行される予告演出(リーチ発生前予告演出、リーチ発生後予告演出)の一例を説明する。
【0608】
以下のリーチ演出は、第1特別図柄表示装置34(第2特別図柄表示装置35でもよい)において大当り時の変動パターンによる変動表示が行われた後、第1特別図柄が「6ラウンド確変大当り1」や「15ラウンド確変大当り」の態様(例えば7セグメントLEDの「己」,「ヨ」,「口」,「巳」,「F」,「E」,「L」,「Γ」等)で停止表示されるまでに実行される(リーチ演出実行手段)。なお、
図47中、各演出図柄を数字のみに簡略化して示している。また、上記のマーカM1,M2及び第4図柄Z1,Z2については、ここでの図示を省略している。以下、演出の流れに沿って説明する。
【0609】
〔変動表示演出〕
図47中(A):第1特別図柄(又は第2特別図柄)の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(例えば上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。
【0610】
〔リーチ発生前予告演出(1段階目)〕
図47中(B):次に、変動表示演出の比較的初期において、キャラクターの絵柄画像(絵札)を用いた1段階目のリーチ発生前予告演出が行われる。このリーチ発生前予告演出は、予め定められた順序にしたがって1段階から複数段階(例えば2〜5段階)まで、段階的に態様の変化が進行していく予告演出である。このリーチ発生前予告演出で用いられる絵柄画像は、画面上で変動表示されている演出図柄の手前に位置し、例えば画面の左端からひょっこりと出現するようにして表示される(その他の出現の態様でもよい。)。なお、ここでいう「リーチ発生前予告」とは、いずれかの演出図柄が停止表示される前にリーチの可能性や大当りの可能性を予告するという意味である。このような「リーチ発生前予告演出」を実行することで、遊技者に対して「リーチに発展するかも知れない=大当りの可能性が高まる」という期待感を抱かせる効果が得られる。
【0611】
〔リーチ発生前予告演出(2段階目)〕
図47中(C):リーチ発生前予告演出の1段階目の態様が実行された後、続いてリーチ発生前予告演出の態様の変化が2段階目に進行する。ここでは2段階目のリーチ発生前予告演出として、先とは違うキャラクターの絵柄画像を用いた演出が行われている。具体的には、画面の右端から別の絵柄画像が追加で出現し、先に表示されていた絵柄画像の前面に重なって表示される。また、このとき表示される絵柄画像は、先に表示されていた絵柄画像よりもサイズが大きい。そして、絵柄画像で表現されたキャラクターが台詞(例えば「リーチになるよ」等)を発するという、音響出力による演出もあわせて行われる。
【0612】
このような2つ目の絵柄画像を用いたリーチ発生前予告演出(2段階目)は、先の
図47中(B)で行われたリーチ発生前予告演出(1段階目)からさらに一歩進んだ発展型である。このように発展していく「リーチ発生前予告演出」の態様を称して、一般的に「ステップアップ予告」等と表現することがある。ここではリーチ発生前予告演出で2段階目の絵柄画像が出現する例を挙げているが、3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示される演出態様であってもよい。また、例えば3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示されるごとに、そのサイズが拡大されるものとしてもよい。なお、この段階でも演出図柄の変動表示は継続されている。いずれにしても、リーチ発生前予告演出の態様の変化をより多くの段階まで進行させることにより、今回の変動で大当りになる可能性(期待度)が高いことを遊技者に示唆することができる(例えば、5段階目まで進行すると最大の期待度を示唆する等。)。
【0613】
〔左演出図柄の停止〕
図47中(D):変動表示演出の中期にさしかかり、やがて左演出図柄の変動表示が停止される。なお、この時点で画面の左側位置に数字の「5」を表す演出図柄が停止している。
【0614】
〔リーチ状態の発生〕
図47中(E):そして左演出図柄に続き、例えば右演出図柄の変動表示が停止される。この時点で、画面の右側位置に数字の「5」を表す演出図柄が停止していることから、「5」−「変動中」−「5」のリーチ状態が発生している。そして画面上には、リーチ状態となる1本のラインを強調する画像が合わせて表示される。また、合わせて「リーチ!」等の音声を出力する演出が行われる。
【0615】
リーチ状態の発生後、当選時のリーチ演出が実行される(ただし、この時点では未だ当選の結果は表出されていない。)。リーチ演出では、テンパイした数字(ここでは「5」)に対応する演出図柄だけが画面上に表示され、それ以外は表示されなくなる。なお、このとき演出図柄が画面の四隅にそれぞれ縮小された状態で表示される場合もある。
【0616】
〔リーチ発生後予告演出(1回目)〕
図47中(F):リーチ状態が発生して暫くすると、例えば「ハート」の図形を表す画像が群をなして画面上を斜めに過ぎっていくリーチ発生後予告演出(1回目)が行われる。この場合、突然、画面上に「ハート群」の画像が流れていくように表示されるため、これによって遊技者に対する視覚的な訴求力を高めることができる。このような視覚的に賑やかなリーチ発生後予告演出を実行することで、遊技者に対してさらに大きな期待感を抱かせる効果が得られる。
【0617】
〔リーチ演出の進行〕
図47中(G):1回目のリーチ発生後予告演出に続いて、例えば数字の「2」〜「8」を表す画像が画面上で立体的な列を構成した状態で表示され、列の先頭(手前)から「2」、「3」、「4」・・・という順番に画面から数字の画像が消去されていく演出が行われる。このような演出もまた、数字の「5」が最後まで消去されずに残ると「大当り」であることを遊技者に示唆(暗示)したり、想起させたりする目的で行われる。また、数字の「4」まで消去されて「5」が画面手前に残ると「大当り」であり、そして数字の「5」も消去されてしまうと「はずれ」であることを意味する。なお、はずれの場合、数字の「5」が消去された後の画面上に例えば数字の「6」が表示される。したがって、この間、数字の「2」、「3」、「4」・・・と順番に画像が消去されていき、数字の「5」の順番が近づくに連れて、遊技者の緊張感や期待感も高まっていくことになる。この後、例えば画面上で数字の「4」までが消去されたとすると、今度は「大当り」の可能性が高まるため、そこで遊技者の緊張感も一気に高まる。
【0618】
〔リーチ発生後予告演出(2回目)〕
図47中(H):リーチ演出が終盤に近づいたところで、突然、画面上にキャラクターの画像が大写しに割って入るようにして表示され、そのキャラクターが何らかの台詞を発するという内容(又は、無言で微笑むという内容でもよい)のリーチ発生後予告演出(2回目)が行われる(カットイン演出)。この時点で例えばリーチ演出の内容は、「数字の「4」が消去されれば、次に「5」−「5」−「5」の大当りの可能性が高まる」という展開である。したがって、このタイミングで大きくキャラクターの画像を出現させることにより、遊技者に対して「大当りになるかもしれない」という期待感を抱かせる効果が得られる。
【0619】
〔停止表示演出〕
図47中(I):第1特別図柄又は第2特別図柄の停止表示に略同期して、最後の中演出図柄が停止する。この例では、内部的には当選図柄が「6ラウンド確変大当り1」に該当しているため、演出上で「5」を表す演出図柄を画面の中央に停止表示させている。
【0620】
図47中(J):そして、例えば第1特別図柄又は第2特別図柄の確定停止表示に略同期して、演出図柄としての停止表示演出についても確定停止表示が行われる。演出図柄の確定停止表示は、例えば左・中・右演出図柄をそれぞれ初期の大きさに復元した状態で行われる。このような確定停止表示を行うことで、最終的な当選種類が演出上で確定したことを遊技者に対して教示することができる。また、この場合に第4図柄Z1又は第4図柄Z2は、「6ラウンド確変大当り1」に対応する態様(例えば赤表示色)で停止表示される。
【0621】
また、内部抽選の結果が非当選であれば、第1特別図柄又は第2特別図柄がはずれ図柄で停止表示されるため、演出図柄も同様にはずれの態様で停止表示演出が行われる(図柄演出実行手段)。この場合、画面の中央には「5」以外の数字「4」や「6」を表示することで、残念ながら今回の変動では大当りにならなかったことを知らせる演出が行われる。なお、このような演出は「はずれリーチ演出」として実行されるものである。
【0622】
〔大役中演出〕
図48は、「6ラウンド確変図柄1」に該当した場合の大当り遊技中に実行される大役中演出の例を部分的に示す連続図である。
【0623】
〔1ラウンド開始時〕
図48中(A):大当り遊技の1ラウンド目が開始されると、例えば画面内に「ROUND1」のラウンド数に対応する文字情報が表示されるとともに、大当り遊技中に固有の演出画像(例えば女性キャラクター)が表示される。また、画面の右下隅位置には、今回の当選図柄に対応した演出図柄(ここでは数字の「5」)が表示されている。このように、大当り遊技中も引き続き当選図柄(いわゆる「残し目」)を表示しておくことで、遊技者に対して「6ラウンド確変大当りの遊技中である」ということを遊技者に対して伝達することができる。
【0624】
〔6ラウンド〕
図48中(B):この後、大当り遊技が順調に進行し、最終の6ラウンドに移行する。このとき、画面内には「ROUND6」のラウンド数に対応する文字情報が表示されるとともに、大当り遊技中に固有の演出画像が表示されている。また、画面の右下隅位置には、上記の「残し目」としての演出図柄(数字の「5」)が表示されている。
【0625】
〔大役終了時〕
図48中(C):大当り遊技が終了するタイミング(終了処理中)において、この後に移行する内部状態を教示する内容の大役終了演出が実行される。この例では、例えば画面内に「チャンスモード突入」という文字情報が表示されている。このような大役終了演出を実行することにより、大当り遊技終了後の特典として「チャンスモード」という特殊な状態に移行すること伝達することができる。なお、チャンスモードは、8変動限定の高確率時間短縮状態である。
【0626】
〔大役中演出〕
図49は、「15ラウンド確変図柄」に該当した場合の大当り遊技中に実行される大役中演出の例を部分的に示す連続図である。この大役中演出は、上記のリーチ演出を経て演出図柄が「7」−「7」−「7」の3つ揃いの組み合わせで停止表示された場合に実行される。
【0627】
〔1ラウンド〕
図49中(A):大当り遊技の1ラウンド目が開始されると、「大当り中」という遊技の進行状況に対応した内容の大役中演出が実行される。大役中演出では、例えば画面内に「ROUND1」のラウンド数に対応する文字情報が表示される。また、画面の右下隅位置には、今回の当選図柄に対応した演出図柄(ここでは数字の「7」)が表示されている。このように、大当り遊技中も引き続き当選図柄(いわゆる「残し目」)を表示しておくことで、遊技者に対して「7の演出図柄で当選した」という情報を引き続き教示することができる。また、表示画面の左下側の領域には、「スペシャルボーナス」の文字が表示されている。このため、今回の大当りは、通常の大当りとは異なる特別な大当りであるということを遊技者に伝達することができる。
【0628】
〔15ラウンド〕
図49中(B):この後、大当り遊技が順調に進行し、最終の15ラウンドに移行すると、画面内には「ROUND15」のラウンド数に対応する文字情報が表示されるとともに、大当り遊技中に固有の演出画像が表示されている。また、画面の右下隅位置には、上記の「残し目」としての演出図柄(数字の「7」)が引き続き表示されている。
【0629】
〔大役終了時〕
図49中(C):大当り遊技が終了するタイミング(終了処理中)において、この後に移行する内部状態を教示する内容の大役終了演出が実行される。この例では、例えば画面内に「スペシャルチャンスモード突入」という文字情報が表示されている。このような大役終了演出を実行することにより、大当り遊技終了後の特典として「スペシャルチャンスモード」に移行することを遊技者に教示することができる。なお、スペシャルチャンスモードは、高確率時間短縮状態が8変動にわたって継続し、その後に低確率時間短縮状態が92変動にわたって継続するモードである。
【0630】
〔遊技の流れ〕
図50〜
図57は、パチンコ機1及びカードユニット210による遊技の流れを示す連続図である。
【0631】
〔遊技開始〕
図50中(A):パチンコ機1にて遊技を開始する前の状態では、残金も持ち球もない状態である。このため、持ち球データ表示器123には、残存度数として「0」が表示され、持ち球データの値として「0」が表示されている。また、カード情報表示装置200のデータ表示部14には、残存金額として「0円」が表示され、持ち球データの値として「0個」が表示されている。
【0632】
そして、パチンコ機1にて遊技を開始する場合は、まず、カードユニット210の現金投入口212に現金を投入する必要がある。図示の例では、千円札を投入する例が示されている。
【0633】
図50中(B):カードユニット210に現金が投入されると、持ち球データ表示器123やカード情報表示装置200の表示が更新される。図示の例では、持ち球データ表示器123には、残存度数として「10」が表示され、カード情報表示装置200のデータ表示部14には、残存金額として「1000円」が表示されている。
【0634】
図50中(C):そして、この状態で、遊技者により球貸ボタン10が押下されたものとする。
【0635】
図51中(D):そうすると、予め設定された度数(ここでは500円分)の遊技球(125個)が遊技者に対して貸し出されることになる。この場合、持ち球データ表示器123やカード情報表示装置200の表示が更新される。図示の例では、持ち球データ表示器123には、残存度数として「5」が表示され、持ち球データとして「125」が表示されている。また、カード情報表示装置200のデータ表示部14には、残存金額として「500円」が表示されている。
【0636】
図51中(E):持ち球データ表示器123の持ち球データの値が0より大きい値となると、遊技球を発射することができる状態となる。この状態で遊技者がハンドルユニット16を握ると、発射装置300から遊技球が発射される。図示の例では、遊技球が5個発射されている。そして、遊技球が1個発射されるごとに、持ち球データは1つずつ減算される。このため、持ち球データ表示器123には、持ち球データとして、「125」から「5」を減算した値である「120」が表示されている。なお、遊技者は遊技球を5個発射した段階で、ハンドルユニット16から手を離しているものとする。
【0637】
図51中(F):そして、発射された5個の遊技球のうち、1個の遊技球が上始動入賞口26に入球したものとする。そうすると、遊技球の入球が上始動入賞口スイッチ80にて検出され、主制御装置70から発射持ち球管理装置92に対して上始動入賞口に対応する入賞データコマンドが送信される。そして、発射持ち球管理装置92は、上始動入賞口での入賞に応じて持ち球データの値を加算する処理を実行する。これにより、図示の例では、持ち球データ表示器123により、持ち球データとして、「120」に「3」を加算した値である「123」が表示されている。
【0638】
図52中(G):そして、この状態で、遊技者により清算ボタン13が押下されたものとする。
【0639】
図52中(H):そうすると、持ち球データ表示器123やカード情報表示装置200の表示が更新される。図示の例では、持ち球データ表示器123には、残存度数として「0」が表示され、持ち球データとして「0」が表示されている。また、カード情報表示装置200のデータ表示部14には、残存金額として「500円」が表示され、持ち球データとして「123個」が表示されている。
【0640】
図52中(I):その後、カード情報表示装置200のデータ表示部14に表示されている情報(残存金額「500円」、持ち球データ「123個」)が有価媒体としての一般カード700に書き込まれる。そして、情報の書き込み処理が終了すると、カード挿入口214から一般カード700が排出される。遊技者は、この一般カード700を持って別のパチンコ機1にて遊技を再開するものとする。
【0641】
〔遊技の再開〕
図53中(J):別のパチンコ機1で遊技を再開する場合、先に排出された一般カード700を使用して遊技を再開することができる。ここで、遊技者は、カード挿入口214に先ほど排出された一般カード700を挿入したものとする。
【0642】
図53中(K):カード挿入口214に先ほど排出された一般カード700が挿入されると、持ち球データ表示器123やカード情報表示装置200の表示が更新される。図示の例では、持ち球データ表示器123には、残存度数として「5」が表示され、持ち球データとして「0」が表示されている。また、カード情報表示装置200のデータ表示部14には、残存金額として「500円」が表示され、持ち球データとして「123個」が表示されている。
【0643】
図53中(L):そして、この状態で、遊技者により休憩ボタン12が押下されたものとする。
【0644】
図54中(M):この場合、カード挿入口214からは、休憩専用カード710が排出される。休憩専用カード710が排出されると、休憩処理が実行され、持ち球データ表示器123やカード情報表示装置200の表示が更新される。図示の例では、持ち球データ表示器123の表示領域には全てハイフンが表示されており、カード情報表示装置200のデータ表示部14には「休憩中」の文字情報が表示されている。この際、休憩専用カード710ではなく、会員カードや一般カードに残度数データ、発射持ち玉データ、休憩開始データ、カードユニット識別情報、遊技台識別情報等を記憶して排出してもよい。この場合、基本的には精算と同じ効果があるが、同じ遊技台に所定時間以内にカードを挿入した場合に休憩解除が実行される。ただし、この場合の会員カードや一般カードを他の遊技台で使用した場合は、遊技不能となる。もちろん、設定された休憩時間が経過する前は、現金投入や他のカードは受け付けられず、休憩処理を行ったカード以外では遊技ができない休憩台の状態(遊技不能な状態)が維持される。
【0645】
図54中(N):遊技者が休憩を終えて、カード挿入口214に休憩専用カード710を挿入すると、休憩終了処理が実行される。
【0646】
図54中(O):休憩終了処理が終了すると、持ち球データ表示器123やカード情報表示装置200の表示は、元の状態に戻る。図示の例では、持ち球データ表示器123には、残存度数として「5」が表示され、持ち球データとして「0」が表示されている。また、カード情報表示装置200のデータ表示部14には、残存金額として「500円」が表示され、持ち球データとして「123個」が表示されている。
【0647】
図55中(P):そして、この状態で、遊技者により持ち球ボタン11が押下されたものとする。
【0648】
図55中(Q):そうすると、一般カードに記憶されている持ち球データの値が、パチンコ機1に記憶されている持ち球データに移行する。このため、図示の例では、持ち球データ表示器123には、残存度数として「5」が表示され、持ち球データとして「123」が表示されている。また、カード情報表示装置200のデータ表示部14には、残存金額として「500円」が表示され、持ち球データとして「0個」が表示されている。
【0649】
図55中(R):持ち球データ表示器123の持ち球データの値が0より大きい値となると、遊技球を発射することができる状態となる。この状態で遊技者がハンドルユニット16を握ると、発射装置300から遊技球が発射される。図示の例では、遊技球が5個発射されている。そして、遊技球が1個発射されるごとに、持ち球データは1つずつ減算される。このため、持ち球データ表示器123には、持ち球データとして、「123」から「5」を減算した値である「118」が表示されている。なお、遊技者はこれ以降もハンドルユニット16を握り続け、遊技球の発射を継続しているものとする。
【0650】
図56中(S):そして、持ち球データ表示器123の持ち球データの値が「20」に到達した時点で大当りが発生したものとする。
【0651】
図56中(T):本実施形態では、大当り遊技は、右打ちにて消化するため、遊技者はハンドルユニット16を右側にひねって遊技領域の右側に遊技球を発射している。大当り遊技中は、可変入賞装置30が開放状態となるため、可変入賞装置30の大入賞口に遊技球が入球する状態となる。そうすると、遊技球の入球がカウントスイッチ84にて検出され、主制御装置70から発射持ち球管理装置92に対して大入賞口に対応する入賞データコマンドが送信される。そして、発射持ち球管理装置92は、大入賞口での入賞に応じて持ち球データの値を加算する処理を実行する。これにより、図示の例では、持ち球データ表示器123により、持ち球データとして「610」が表示されている。
【0652】
図56中(U):そして、大当り遊技及びその後の時間短縮状態が終了したものとする。図示の例では、持ち球データ表示器123には、残存度数として「5」が表示され、持ち球データとして「1200」が表示されている。また、カード情報表示装置200のデータ表示部14には、残存金額として「500円」が表示され、持ち球データとして「0」が表示されている。なお、遊技者は時間短縮状態が終了した時点で、ハンドルユニット16から手を離しているものとする。
【0653】
図57中(V):そして、この状態で、遊技者により清算ボタン13が押下されたものとする。
【0654】
図57中(W):そうすると、持ち球データ表示器123やカード情報表示装置200の表示が更新される。図示の例では、持ち球データ表示器123には、残存度数として「0」が表示され、持ち球データとして「0」が表示されている。また、カード情報表示装置200のデータ表示部14には、残存金額として「500円」が表示され、持ち球データとして「1200」が表示されている。
【0655】
図57中(X):その後、カード情報表示装置200のデータ表示部14に表示されている情報(残存金額「500円」、持ち球データ「1200個」)が有価媒体としての一般カード700に書き込まれる。そして、情報の書き込み処理が終了すると、カード挿入口214から一般カード700が排出される。遊技者は、この一般カード700を持って遊技場の清算カウンタに行き、持ち球データの値に応じた景品を取得することができる。
【0656】
次に、先に説明した演出を具体的に実現するための制御手法の例について説明する。上述した変動表示演出やリーチ演出、リーチ発生前予告演出、記憶数表示演出、大役中演出等は、いずれも以下の制御処理を通じて制御されている。
【0657】
〔演出制御処理〕
図58は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば数十μs〜数ms周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
【0658】
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、作動記憶演出管理処理(ステップS401)、演出図柄管理処理(ステップS402)、表示出力処理(ステップS404)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
【0659】
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば特図先判定演出コマンド、(特別図柄)作動記憶数増加時演出コマンド、(特別図柄)作動記憶数減少時演出コマンド、始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、図柄停止時コマンド、状態指定コマンド、ラウンド数コマンド、エラー通知コマンド、大当り終了演出コマンド、回数切りカウンタ値コマンド、変動パターン先判定コマンド、停止表示時間終了コマンド等がある。
【0660】
ステップS401:作動記憶演出管理処理では、演出制御CPU126は上述した記憶数表示演出や、マーカM1,M2を用いた先読み予告演出の実行を制御する。なお、作動記憶演出管理処理の内容については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0661】
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や停止表示演出の内容を制御したり、可変入賞装置30の開閉動作時の演出内容を制御したりする。また、この処理において、演出制御CPU126は各種予告演出(リーチ発生前予告演出、リーチ発生後予告演出等)の演出パターンを選択する。なお、演出図柄管理処理の内容については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0662】
ステップS404:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、第1特別図柄及び第2特別図柄それぞれの作動記憶数、作動記憶演出パターン番号、先読み予告演出パターン番号、変動演出パターン番号、変動時予告演出番号、背景パターン番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する(演出実行手段)。
【0663】
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU126はランプ駆動回路132に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路132は、制御信号に基づいて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
【0664】
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU126は音響駆動回路134に対して演出内容(例えば変動表示演出中やリーチ演出中、モード移行演出中、大当り演出中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ54,55,56から演出内容に応じた音が出力される。
【0665】
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数や通常の背景チェンジ抽選(演出抽選)に用いられる乱数等がある。
【0666】
ステップS412:その他の処理では、例えば演出制御CPU126は可動体40fの駆動用ICに対して制御信号を出力する。可動体40fは可動体ソレノイド57を駆動源として動作し、液晶表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行う。
【0667】
以上の演出制御処理を通じて、演出制御CPU126はパチンコ機1における演出内容を統括的に制御することができる。
【0668】
〔作動記憶演出管理処理〕
図59は、作動記憶演出管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って内容を説明する。
【0669】
ステップS700:先ず演出制御CPU126は、主制御CPU72から作動記憶数増加時演出コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、作動記憶数増加時演出コマンドが保存されているか否かを確認する。作動記憶数増加時演出コマンドが保存されていることを確認した場合(ステップS700:Yes)、演出制御CPU126はステップS702を実行する。なお、作動記憶数増加時演出コマンドが保存されていることを確認できない場合(ステップS700:No)、演出制御CPU126はステップS702を実行しない。
【0670】
ステップS702:演出制御CPU126は、作動記憶数増加時演出選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は、第1特別図柄及び第2特別図柄に対応したマーカM1,M2を表示させる演出を選択する。
【0671】
ステップS704:演出制御CPU126は、主制御CPU72から作動記憶数減少時演出コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、作動記憶数減少時演出コマンドが保存されているか否かを確認する。作動記憶数減少時演出コマンドが保存されていることを確認した場合(ステップS704:Yes)、演出制御CPU126はステップS706を実行する。なお、作動記憶数減少時演出コマンドが保存されていることを確認できない場合(ステップS704:No)、演出制御CPU126はステップS706を実行しない。
【0672】
ステップS706:演出制御CPU126は、作動記憶数減少時演出選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は、第1特別図柄及び第2特別図柄に対応したマーカM1,M2を消去させたりスライドさせたりする演出を選択する。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は、演出制御処理(
図58)に復帰する。
【0673】
〔演出図柄管理処理〕
図60は、演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。演出図柄管理処理は、実行選択処理(ステップS500)、演出図柄変動前処理(ステップS502)、演出図柄変動中処理(ステップS504)、演出図柄停止表示中処理(ステップS506)及び可変入賞装置作動時処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出図柄管理処理の基本的な流れを説明する。
【0674】
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502〜ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また、戻り先のアドレスとして演出図柄管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ変動表示演出を開始していない状況であれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動前処理(ステップS502)を選択する。一方、既に演出図柄変動前処理が完了していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動中処理(ステップS504)を選択し、演出図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として演出図柄停止表示中処理(ステップS506)を選択する。また、可変入賞装置作動時処理(ステップS508)は、主制御CPU72において可変入賞装置管理処理(
図26中のステップS5000)が選択された場合にのみジャンプ先として選択される。この場合、ステップS502〜ステップS506は実行されない。
【0675】
ステップS502:演出図柄変動前処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出を開始するための条件を整える作業を行う。また、この処理において、演出制御CPU126は各種の条件(抽選結果、当選種類、変動パターン等)に応じてリーチ演出の内容を選択したり、予告演出についての演出パターン(先読み予告演出パターン以外のリーチ発生前予告パターン、リーチ発生後予告パターン等)を選択する。その他にも演出制御CPU126は、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態である場合のデモ演出の制御も行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0676】
ステップS504:演出図柄変動中処理では、演出制御CPU126は必要に応じて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に指示する制御情報を生成する。例えば、演出図柄を用いた変動表示演出を実行中に演出切替ボタン45を用いた演出を行う場合、遊技者による演出ボタンの操作の有無を演出制御CPU126が監視するとともに、その結果に応じた演出内容(ボタン演出)の制御情報を表示制御CPU146に対して指示する。
【0677】
ステップS506:演出図柄停止表示中処理では、演出制御CPU126は内部抽選の結果に応じた態様で演出図柄や動画像を用いた停止表示演出の内容を制御する。すなわち、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して変動表示演出の終了と停止表示演出の実行を指示する。これを受けて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)は、実際に液晶表示器42の表示画面内でそれまで実行していた変動表示演出を終了させ、停止表示演出を実行する。これにより、特別図柄の停止表示に略同期して停止表示演出が実行され、遊技者に対して内部抽選の結果を演出的に教示(開示、告知、報知等)することができる(図柄演出実行手段)。なお、6ラウンド確変大当り2に該当した場合は、特殊演出図柄を停止表示させる態様で停止表示演出を実行し、小当り時には、はずれと同様か近似した態様で停止表示演出を実行する。
【0678】
ステップS508:可変入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は小当り中又は大当り中の演出内容を制御する。この処理において、演出制御CPU126は各種の条件(例えば当選種類)に応じて大役中演出の内容を選択する。例えば15ラウンド確変大当りや6ラウンド確変大当り1の場合、演出制御CPU126は液晶表示器42に表示する演出内容として、15ラウンドや6ラウンドの大役中演出パターンを選択し、これを演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。これにより、液晶表示器42の表示画面では大役中演出の画像が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。一方、6ラウンド確変大当り2に該当した場合、演出制御CPU126は液晶表示器42に表示する演出内容として、特殊演出パターン(例えばスペシャルチャンスモードに直接移行する演出パターン)を選択し、これを演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。
【0679】
〔演出図柄変動前処理〕
図61は、上記の演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0680】
ステップS600:演出制御CPU126は、主制御CPU72からデモ演出用コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、デモ演出用コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、デモ演出用コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS602を実行する。
【0681】
ステップS602:演出制御CPU126は、デモ選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126はデモ演出パターンを選択する。デモ演出パターンは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。
【0682】
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理の末尾のアドレスに復帰する。そして演出制御CPU126はそのまま演出制御処理に復帰し、続く表示出力処理(
図58中のステップS404)、ランプ駆動処理(
図58中のステップS406)においてデモ演出パターンに基づいてデモ演出の内容を制御する。
【0683】
一方、ステップS600においてデモ演出用コマンドが保存されていないことを確認すると(No)、演出制御CPU126は次にステップS604を実行する。
【0684】
ステップS604:演出制御CPU126は、今回の変動がはずれ(非当選)であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、非当選時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS612を実行する。逆に、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126はステップS606を実行する。なお、今回の変動がはずれか否かの確認は、抽選結果コマンドの他に変動パターンコマンドや停止図柄コマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドがはずれ通常変動又ははずれリーチ変動に該当していれば、今回の変動がはずれであると判定することができる。あるいは、今回の停止図柄コマンドが非当選の図柄を指定するものであれば、今回の変動がはずれであると判定することができる。
【0685】
ステップS606:抽選結果コマンドが非当選(はずれ)以外であれば(ステップS604:No)、次に演出制御CPU126は、今回の変動が大当りであるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、大当り時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS610を実行する。逆に、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、残るは小当り時の抽選結果コマンドだけであるので、この場合、演出制御CPU126はステップS608を実行する。なお、今回の変動が大当りであるか否かの確認もまた、変動パターンコマンドや停止図柄コマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドが大当り変動に該当していれば、今回の変動が大当りであると判定することができる。また、今回の停止図柄コマンドが大当り図柄に該当していれば、今回の変動が大当りであると判定することができる。
【0686】
ステップS608:演出制御CPU126は、小当り時変動演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「C0H00H」〜「D0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。演出パターン番号は、変動パターンコマンドに対応して予め用意されており、演出制御CPU126は図示しない演出パターン選択テーブルを参照して、そのときの変動パターンコマンドに対応した演出パターン番号を選択することができる。なお、演出パターン番号は、変動パターンコマンドと対になって用意されていてもよく、1つの変動パターンコマンドに対して複数のものが用意されていてもよい。
【0687】
また、演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチの種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様等を決定する。なお、ここで決定される演出図柄の種類は、全て「小当り時の図柄の組み合わせ」に該当するものとなっている。
【0688】
以上の手順は「小当り」に該当した場合であるが、大当りに該当した場合、演出制御CPU126はステップS606で「大当り」であることを確認する(Yes)。この場合、演出制御CPU126はステップS610を実行する。
【0689】
ステップS610:演出制御CPU126は、大当り時変動演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「E0H00H」〜「F0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。なお、大当り時演出パターン選択処理の中では、さらに大当り時停止図柄別に処理を分岐させてもよい。
【0690】
また、非当選時の場合は以下の手順が実行される。すなわち、演出制御CPU126はステップS604ではずれであることを確認すると(Yes)、次にステップS612を実行する。
【0691】
ステップS612:演出制御CPU126は、はずれ時変動演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「A0H00H」〜「A6H7FH」)に基づいて、はずれ時の演出パターン番号を決定する。はずれ時の演出パターン番号は、「はずれ通常変動」や「時短はずれ変動」、「はずれリーチ変動」等に分類されており、さらに「はずれリーチ変動」には細かいリーチ変動パターンが規定されている。なお、演出制御CPU126がいずれの演出パターン番号を選択するかは、主制御CPU72から送信された変動パターンコマンドによって決まる。
【0692】
はずれ時の演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチ発生の有無、リーチ発生の場合はリーチ種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様(例えば「7」−「2」−「4」等)を決定する。
【0693】
以上のステップS608,ステップS610,ステップS612のいずれかの処理を実行すると、演出制御CPU126は次にステップS614を実行する。
【0694】
ステップS614:演出制御CPU126は、予告選択処理を実行する(予告演出実行手段)。この処理では、演出制御CPU126は今回の変動表示演出中に実行するべき予告演出の内容を抽選によって選択する。予告演出の内容は、例えば内部抽選の結果(当選又は非当選)や現在の内部状態(通常状態、高確率状態、時間短縮状態)に基づいて決定される。上記のように予告演出は、変動表示演出中にリーチ状態が発生する可能性を遊技者に予告したり、最終的に大当りになる可能性があることを予告したりするものである。したがって、非当選時には予告演出の選択比率は低く設定されているが、当選時には遊技者の期待感を高めるため、予告演出の選択比率は比較的高く設定されている。
【0695】
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理(末尾アドレス)に復帰する。これにより、その後の演出図柄変動中処理(
図60中のステップS504)において、実際に選択された変動演出パターンに基づいて変動表示演出及び停止表示演出が実行されるとともに(演出実行手段)、各種予告演出パターンに基づいて予告演出が実行される。その他、ここで選択された背景(滞在)モードパターンに基づいて、各種の滞在モード演出が実行される(演出実行手段)。
【0696】
このように、本実施形態のパチンコ機1は、電子データ式の遊技機でありながら、非封入式の遊技機としているため、既存の島設備をそのまま流用することができ、従来の遊技機と、封入式の次世代の遊技機との間を橋渡しする役目を果たしつつ、市場導入時におけるトラブルが発生しにくい遊技機とすることができる。
【0697】
また、本実施形態のパチンコ機1は、非封入式の遊技機としており、かつ、戻り球が発生しにくい発射装置300を採用しているため、戻り球検出スイッチや、球量検出スイッチ、球研磨モータ、球研磨モータ回転検出スイッチ、不正球検出スイッチ、球研磨装置、球循環通路、揚送装置を個々のパチンコ機に搭載する必要がなくなる。
【0698】
さらに、本実施形態のパチンコ機1は、電子データで遊技結果を管理する遊技機となるため、戻り球が発生しにくい発射装置が必要となるが、上記の発射装置300又は発射装置400の構成や配置を採用することにより、このような電子化された遊技機に最適な発射装置を提供することができる。
【0699】
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。一実施形態で挙げた演出の態様は例示であり、上述した演出の態様に限定されるものではない。
【0700】
その他の演出例であげた画像はあくまで一例であり、これらは適宜に変形することができる。また、パチンコ機の構造や盤面構成、具体的な数値等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。
【0701】
ここで、上述した実施形態において、発射装置300は、非封入式のパチンコ機1に適用する例で説明したが、封入式のパチンコ機に適用することもできる。以下、封入式のパチンコ機1Dに発射装置300を適用した第2実施形態について説明する。
【0702】
図62は、第2実施形態のパチンコ機の構成について示す図である。なお、以下の説明では、第2実施形態における封入式のパチンコ機の構成を中心に説明し、上述した実施形態と同様の部分は説明を省略する。
【0703】
第2実施形態のパチンコ機1Dは、封入式のパチンコ機である。ここで、封入式のパチンコ機とは、遊技機内に封入された遊技球を、遊技機内で循環させて遊技を進行させる遊技機である。このため、パチンコ機1Dに対しては、島設備から遊技球が供給されることはなく、遊技者に対して遊技球が払い出されることもない。ただし、遊技球の払い出しに関しては、上述した実施形態と同様に、電子データ(持ち球データ等)により管理される。
【0704】
パチンコ機1Dにおいて、内枠アセンブリ7の内壁の左側上端部分には、発射装置300が取り付けられている。また、発射装置300の裏側には、球送り装置500が配置されており、球送り装置500は発射装置300に対して発射球となる遊技球を供給する。
【0705】
内枠アセンブリ7の内側には、入賞口や障害釘、アウト口等が配置された遊技盤ユニット(
図3参照)が配置される。そして、内枠アセンブリ7の下部には、アウト通路アセンブリ250が形成されている。
【0706】
アウト通路アセンブリ250は、パチンコ機1Dの下方に延びた後に右側に折れ曲がり、パチンコ機1Dの右端側で折り返して研磨装置252に連なっており、その後は不正球検出装置254及び揚送装置256に連結されている。このため、アウト通路アセンブリ250には、上流側から下流側に向かう方向において、研磨装置252、不正球検出装置254、及び揚送装置256が順番に配置されていることになる。
【0707】
そして、揚送装置256と球送り装置500とは、図示しないコンベアモータによって駆動するスクリューコンベアにより構成された揚送通路258によって連結されている。揚送通路256により揚送された遊技球は、揚送通路258を通って球送り装置500に送られ、球送り装置500から発射装置300に送られる。なお、研磨装置252、揚送装置256、及び揚送通路258は、上述した実施形態のように、すべてを一体化させて揚送研磨装置としてもよい。
【0708】
図63は、第2実施形態のパチンコ機1Dにおける遊技球の流れについて説明するための図である。
パチンコ機1Dの発射装置300から発射された遊技球は、パチンコ機1Dの内部に形成された遊技領域を流下する。ここで、遊技領域に配置されている入賞口に入球しなかった遊技球は最終的にアウト口を通じて遊技盤ユニットの裏側へ回収され、入賞口に入球した遊技球も遊技盤ユニットの裏側へ回収される。
【0709】
そして、回収された遊技球は、アウト通路アセンブリ250を通じて研磨装置252に送られ、研磨装置252内に配置された研磨布等で研磨されることにより汚れや埃等が取り除かれる。
【0710】
研磨後の遊技球は、不正球検出装置254に送られ、そこで不正球であるか否か(規定の球径よりも小さい球径を有する遊技球か否か)が検出される。なお、不正球であることが検出された場合、パチンコ機1Dの表示器にて所定のエラー表示を行ったり、その不正球をその場で回収したりすることができる。
【0711】
不正球検出装置254により不正球であると判断されなかった遊技球は、揚送装置256に送られ、揚送通路258を経由して球送り装置500に送られる。球送り装置500に到達した遊技球は、球送り装置500の供給動作により発射装置300に送られる。そして、発射装置300に送られた遊技球は、発射装置300の発射動作により再び遊技領域に発射される。
【0712】
このように、第2実施形態のパチンコ機1Dは、封入式の遊技機であるため、島設備から遊技球が供給されることはなく、遊技球を機外に排出することもない。また、第2実施形態のパチンコ機1Dでは、遊技機内で循環している遊技球が隣のパチンコ機1Dで用いられることもない。図示の例では、3台のパチンコ機1Dを示しているが、遊技球の循環経路はそれぞれの遊技機内で完結している。
【0713】
図64は、第2実施形態のパチンコ機に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
第2実施形態のパチンコ機1Dの制御に関する構成は、
図17のブロック図に示される構成をほとんどそのまま流用することができる。ただし、多少の相違点があるため、ここではその相違点について説明し、上述した実施形態と同様の部分は説明を省略する。
【0714】
第2実施形態のパチンコ機1Dは、上述した実施形態と比較して、研磨装置252、不正球検出装置254、揚送装置256、揚送通路258等が追加されている点が異なっている。
このため、第2実施形態のパチンコ機1Dでは、これらの研磨装置252、不正球検出装置254、揚送装置256、揚送通路258等に用いられる各種モータ510(スクリューコンベアモータ、球研磨モータ、球送りモータ等)を、発射制御基板108に接続している。
【0715】
また、第2実施形態のパチンコ機1Dは、封入式の遊技機であるため、封入機構に関係する各種スイッチ105(例えば、循環球数を検出する球量検出スイッチ、スクリューコンベアモータや球研磨モータの回転位置を検出する回転検出スイッチ、不正球を検出するための不正球検出スイッチ等)が必要になる。
このため、第2実施形態のパチンコ機1Dでは、封入機構に関係する各種スイッチ105を、発射制御基板108に接続している。
【0716】
一方、第2実施形態のパチンコ機1Dに対しては、島設備から遊技球が供給されることがないため、貯留ケースや貯留タンクは不要となり、それに付随する補給路球切れスイッチ104(
図17参照)は設置していない。
【0717】
このように、第2実施形態のパチンコ機1Dは、封入式の遊技機であるため、電子データにて遊技結果を管理することになるが、発射装置300にて戻り球が発生すると、正確な発射数を把握することができなくなってしまう。
【0718】
そこで、本実施形態では、封入式のパチンコ機1Dに対して、戻り球が発生しにくい発射装置300を適用しているため、電子データにて正確に遊技結果を管理しつつ、電子化による遊技結果の信頼性を向上させることができる。なお、パチンコ機1Dに対しては、往復直進式打球機構を利用した発射装置400を適用することもできる。
【0719】
以上説明したように、発射装置300や発射装置400は、戻り球が発生しにくい発射装置であるため、非封入式又は封入式のいずれのパチンコ機であっても、電子化されているパチンコ機に対して好適に用いることができる。