特許第6202778号(P6202778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202778
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】粘着ラベル
(51)【国際特許分類】
   B65D 71/00 20060101AFI20170914BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20170914BHJP
   B65D 73/00 20060101ALI20170914BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20170914BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B65D71/00
   B65D65/40 D
   B65D73/00 M
   G09F3/00 Q
   G09F3/10 J
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-287309(P2011-287309)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136389(P2013-136389A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年9月30日
【審判番号】不服2016-8374(P2016-8374/J1)
【審判請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】江頭 雄介
(72)【発明者】
【氏名】中村 操
(72)【発明者】
【氏名】東 広樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 昌子
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴之
(72)【発明者】
【氏名】立井 由香
(72)【発明者】
【氏名】播摩 英伸
(72)【発明者】
【氏名】三田 真己
(72)【発明者】
【氏名】盛屋 考治
(72)【発明者】
【氏名】盛屋 美和
(72)【発明者】
【氏名】八束 沙織里
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 久保 克彦
【審判官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−237832(JP,A)
【文献】 特開2002−32022(JP,A)
【文献】 特開平8−76687(JP,A)
【文献】 特開平3−280953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 71/00,100
B65D 65/40
B65D 73/00
G09F 3/00
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の包装体を連結する粘着ラベルであって、
基材と剥離層と粘着剤層とをこの順に有し、
該粘着剤層が、複数の包装体を強固に連結できる接着力を有し、
該粘着ラベルを被着体から剥離する際に、該剥離層を介して該基材と該粘着剤層とが分離されて該基材および該剥離層の一部が剥離され、分離後に該剥離層の剥離されなかった部分が該粘着剤層の全面を覆い、
該粘着剤層の全面を覆う剥離層が、引き裂き可能に構成されており、
剥離の際に該剥離層の凝集破壊によって該剥離層内で剥離する、
粘着ラベル。
【請求項2】
前記剥離層がワックスとバインダーとを含む、請求項1に記載の粘着ラベル。
【請求項3】
複数の包装体を連結する粘着ラベルであって、
基材と剥離層と粘着剤層とをこの順に有し、
該粘着剤層が、複数の包装体を強固に連結できる接着力を有し、
該粘着ラベルを被着体から剥離する際に、該剥離層を介して該基材と該粘着剤層とが分離されて該基材のみが剥離され、分離後に該剥離層が該粘着剤層の全面を覆い、
該粘着剤層の全面を覆う剥離層が、引き裂き可能に構成されており、
剥離の際に該基材と該剥離層との界面で剥離する、
粘着ラベル。
【請求項4】
前記剥離層が低密度ポリエチレンを含む、請求項3に記載の粘着ラベル。
【請求項5】
複数の包装体が請求項1から4のいずれかに記載の粘着ラベルで連結されている、連結包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同種の物品を複数個まとめて販売することが広く行われている。その際、複数の物品を粘着ラベルで連結することが行われている。例えば、図6に示すように、ハム、ソーセージ等の食品を個別に包装したものを販売価格などが記された粘着ラベルで複数個連結した連結包装体が知られている。このような粘着ラベルには、連結包装体の輸送時には複数個の包装体がバラバラにならないように固着し、かつ、商品使用時に1つの包装体を取り出す際には当該1つの包装体のみを取り外しやすいという特性が求められている。しかし、このような特性の両立は困難である。より具体的には、輸送時の固着力が強い粘着ラベルは、使用時に使用者(例えば、消費者)が1つの包装体のみを取り外すことがきわめて困難である。また、使用時に取り外しやすくすると、輸送時に複数個の包装体がバラバラになってしまう場合がある。さらに、従来の粘着ラベルは、上記いずれのタイプであっても、被着体(例えば、包装体)に粘着剤が残ってしまう、いわゆる糊残りという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−106427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数の物品を強固に連結することができ、かつ、当該物品の1つを容易に取り外すことができる粘着ラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の粘着ラベルは、基材と剥離層と粘着剤層とをこの順に有し、該粘着ラベルを被着体から剥離する際に、該剥離層を介して該基材と該粘着剤層とが分離されて該基材のみが剥離され、分離後に該剥離層の少なくとも一部が該粘着剤層の全面を覆う。
好ましい実施形態においては、上記粘着ラベルは、剥離の際に上記剥離層内で剥離する。
好ましい実施形態においては、上記剥離層はワックスとバインダーとを含む。
好ましい実施形態においては、上記粘着ラベルは、剥離の際に上記基材と上記剥離層との界面で剥離する。
好ましい実施形態においては、上記剥離層は低密度ポリエチレンを含む。
好ましい実施形態においては、上記剥離層は第1剥離層と第2剥離層とを有し、上記粘着ラベルは、剥離の際に該第1剥離層と該第2剥離層との界面で剥離する。
好ましい実施形態においては、上記第1剥離層は低密度ポリエチレンを含み、上記第2剥離層はスチレン・ブタジエンゴムとスチレン−アクリル樹脂とを含む。
本発明の別の局面によれば、連結包装体が提供される。この連結包装体は、複数の包装体が上記の粘着ラベルで連結されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特定の剥離層を設けることにより、複数の物品を強固に連結することができ、かつ、当該物品の1つを容易に取り外すことができる粘着ラベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)は、本発明の1つの実施形態による粘着ラベルの剥離前の状態を説明する概略断面図であり、(b)は(a)の粘着ラベルの剥離時の状態を説明する概略断面図である。
図2図1(a)および図1(b)に示す粘着ラベルの剥離層の微視的構造を説明する模式図である。
図3】(a)は、本発明の別の実施形態による粘着ラベルの剥離前の状態を説明する概略断面図であり、(b)は(a)の粘着ラベルの剥離時の状態を説明する概略断面図である。
図4】(a)は、本発明のさらに別の実施形態による粘着ラベルの剥離前の状態を説明する概略断面図であり、(b)は(a)の粘着ラベルの剥離時の状態を説明する概略断面図である。
図5】(a)は、図3(a)および図3(b)に示す粘着ラベルの基材を剥離する際の剥離層の状態を説明するための概略断面図であり、(b)は、図4(a)および図4(b)に示す粘着ラベルの基材を剥離する際の剥離層の状態を説明するための概略断面図である。
図6】従来の粘着ラベルの使用状態を説明する概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の粘着ラベルは、基材と剥離層と粘着剤層とをこの順に有する。本発明においては、粘着ラベルを被着体から剥離する際に、剥離層を介して基材と粘着剤層とが分離されて基材のみが剥離される。分離後、剥離層の少なくとも一部は粘着剤層の全面を覆う。本発明によれば、剥離層と粘着剤層との間の接着力(例えば、剥離強度)が剥離層と基材との間の接着力よりも大きくなるよう、剥離層を2層構造とした場合には粘着剤層と隣接する剥離層との間の接着力(例えば、剥離強度)が基材と隣接する剥離層との間の接着力よりも大きくなるよう、あるいは、剥離層と粘着剤層との界面で剥離することなく剥離層が凝集破壊するよう各層の材料、厚み等を最適化することにより、上記のような特徴的な剥離挙動を実現することができる。以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0009】
図1(a)は、本発明の1つの実施形態による粘着ラベルの剥離前の状態を説明する概略断面図であり、図1(b)は図1(a)の粘着ラベルの剥離時の状態を説明する概略断面図である。なお、以下のすべての図面においては、見やすくするために、各層の厚みの比率は実際とは異なっている。図示例の粘着ラベル100は、基材10と剥離層20と粘着剤層30とをこの順に有する。粘着ラベルが実用に供されるまでの間、剥離ライナー40が配置されて粘着剤層が保護される。
【0010】
基材10は、代表的には、表面層11と芯材層13とを有する。表面層11と芯材層13とは、任意の適切な接着剤または粘着剤12を介して貼り合わせられている。表面層11は、芯材層13の保護層として機能し得る。表面層11は、代表的にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムで構成される。芯材層13の構成等に応じて、表面層11は省略されてもよい。芯材層13は、その両面が印刷可能とされている。1つの実施形態においては、芯材層13は、その表面側のみに印刷(例えば、商品名、価格)が施される。別の実施形態においては、芯材層13は、表面側に加えて、内側(剥離層側)にも印刷(例えば、懸賞情報)が施される。芯材層13は、紙や合成紙等で構成される。芯材層13には、任意の適切な表面処理が施されてもよい。例えば、芯材層13の剥離層側表面には易接着処理(例えば、コロナ処理)が施され得る。基材、表面層および芯材層の厚みは、目的に応じて適切に設定され得る。
【0011】
本実施形態においては、剥離層20は、図1(b)に示すように、粘着ラベルを被着体50から剥離する際には凝集破壊により剥離層内で剥離し、剥離された部分20aと剥離されなかった部分20bとに分割された状態となる。すなわち、粘着ラベルは、剥離層が層内で剥離することにより、分割される。その結果、剥離されなかった部分20bが粘着剤層30の全面を覆う。
【0012】
本実施形態においては、剥離層20は、好ましくは、ワックスとバインダーとを含む。ワックスとしては、任意の適切なワックスを使用することができる。具体例としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)ワックス、パラフィンワックス、カルバナワックス、モンタン酸エステルワックス、ステアリン酸、金属石鹸(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、オクチル酸亜鉛)が挙げられる。バインダーとしては、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂が挙げられる。ワックス/バインダーの配合比は、好ましくは50/50〜95/5であり、より好ましくは80/20〜95/5であり、さらに好ましくは90/10〜95/5である。ワックスおよびバインダーを上記のような配合比で用いることにより、図2に模式的に示すように、ワックス粒子71の隙間をバインダー72が埋めるような構造を有する剥離層が形成され得る。その結果、凝集破壊による層内剥離を良好に実現することができる。剥離層20の厚みは、好ましくは0.5μm〜20μmであり、より好ましくは1.0μm〜10μmである。このような厚みであれば、凝集破壊による層内剥離をさらに良好に実現することができる。ワックス粒子の粒径は、好ましくは0.05nm〜10nmであり、より好ましくは0.1nm〜1.0nmである。このような粒径であれば、凝集破壊による層内剥離をとりわけ良好に実現することができる。
【0013】
粘着剤層30は、任意の適切な粘着剤で構成される。粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとする粘着剤が挙げられる。粘着剤層30の厚みは、好ましくは5.0μm〜50μmであり、より好ましくは10μm〜30μmである。粘着剤層の厚みがこのような範囲であれば、剥離層の凝集破壊を良好に実現することができる。
【0014】
なお、本実施形態においては、剥離層20と粘着剤層30との間に保護層(図示せず)が設けられ得る。保護層は、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂で構成され得る。保護層を設けることにより、粘着剤層の粘着剤の剥離層への浸入が防止され、剥離時に剥離層を良好に凝集破壊させることができる。
【0015】
本実施形態においては、剥離層が凝集破壊を起こす剥離強度は、好ましくは、粘着剤層と剥離層(保護層が設けられる場合には保護層)との間の剥離強度、ならびに、基材と剥離層との間の剥離強度より小さい。剥離層が凝集破壊を起こす剥離強度は、例えば、180°剥離、剥離速度300(mm/分)の剥離試験において、10(g/25mm)〜30(g/25mm)であることが好ましい。また例えば、粘着剤層と剥離層(保護層が設けられる場合には保護層)との間の剥離強度、ならびに、基材と剥離層との間の剥離強度は、180°剥離、剥離速度300(mm/分)の剥離試験において、300(g/25mm)〜2500(g/25mm)であることが好ましく、500(g/25mm)〜2000(g/25mm)であることが更に好ましい。さらに、粘着剤層と剥離層(保護層が設けられる場合には保護層)との間の剥離強度および基材と剥離層との間の剥離強度は、剥離層が凝集破壊を起こす剥離強度の5倍以上の剥離強度であることが好ましい。
【0016】
図3(a)は、本発明の別の実施形態による粘着ラベルの剥離前の状態を説明する概略断面図であり、図3(b)は図3(a)の粘着ラベルの剥離時の状態を説明する概略断面図である。図示例の粘着ラベル100’は、基材10と剥離層20’と粘着剤層30とをこの順に有する。簡単のため、本実施形態についての特徴的な部分についてのみ説明する。それ以外の部分については、上記の実施形態に関して説明したとおりである。
【0017】
本実施形態においては、剥離層20’は、図3(b)に示すように、粘着ラベルを被着体50から剥離する際には粘着剤層30に密着したままである。すなわち、粘着ラベルは、基材10(実質的には芯材層13)と剥離層20’とがそれらの界面で剥離することにより、分割される。その結果、剥離層20’が粘着剤層30の全面を覆う。
【0018】
本実施形態においては、剥離層20’は、任意の適切な熱可塑性樹脂で構成される。好ましくは、熱可塑性樹脂は、芯材層13に対して押出しラミネート可能な熱可塑性樹脂である。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。剥離層20’の厚みは、好ましくは5μm〜30μmであり、より好ましくは5μm〜10μmである。本実施形態によれば、汎用のポリマーを用いた単一層で剥離層を構成できるので、コストおよび製造効率が非常に優れる。
【0019】
なお、本実施形態においては、芯材層13の剥離層側表面は、コロナ処理のような易接着処理を行わないことが好ましい。易接着処理を行わないことにより、基材10(実質的には、芯材層13)と剥離層20’との界面での剥離を促進することができる。
【0020】
本実施形態においては、好ましくは、基材と剥離層との間の剥離強度は、粘着剤層と剥離層との間の剥離強度よりも小さい。例えば、基材と剥離層との間の剥離強度は、180°剥離、剥離速度300(mm/分)の剥離試験において、10(g/25mm)〜30(g/25mm)であることが好ましい。また例えば、粘着剤層と剥離層との間の剥離強度は、180°剥離、剥離速度300(mm/分)の剥離試験において、300(g/25mm)〜2500(g/25mm)であることが好ましく、500(g/25mm)〜2000(g/25mm)であることがさらに好ましい。さらに、粘着剤層と剥離層との間の剥離強度は、基材と剥離層との間の剥離強度の5倍以上であることが好ましい。
【0021】
図4(a)は、本発明のさらに別の実施形態による粘着ラベルの剥離前の状態を説明する概略断面図であり、図4(b)は図4(a)の粘着ラベルの剥離時の状態を説明する概略断面図である。図示例の粘着ラベル100”は、基材10と剥離層20”と粘着剤層30とをこの順に有する。簡単のため、本実施形態についても、特徴的な部分についてのみ説明する。それ以外の部分については、上記の実施形態に関して説明したとおりである。
【0022】
本実施形態においては、剥離層20”は、図4(a)に示すように、第1剥離層21と第2剥離層22とを有する。この場合、図4(b)に示すように、粘着ラベルを被着体50から剥離する際には、粘着ラベルは、第1剥離層21と第2剥離層22とがそれらの界面で剥離することにより、分割される。その結果、第2剥離層22が粘着剤層30の全面を覆う。
【0023】
本実施形態においては、第1剥離層21は、上記の剥離層20’と同様の構成とされる。さらに、本実施形態においては、芯材層13の剥離層側表面には、コロナ処理のような易接着処理を施すことが好ましい。易接着処理を施すことにより、基材10(実質的には、芯材層13)と第1剥離層21との界面での剥離が防止されるので、第1剥離層21と第2剥離層22との界面での剥離を促進することができる。第2剥離層22は、第1剥離層21に塗布可能な任意の適切な樹脂で構成される。そのような樹脂の具体例としては、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−アクリル樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ゴムが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、SBRとスチレン−アクリル樹脂との組み合わせである。この場合、SBR/スチレン−アクリル樹脂の配合比は、好ましくは40/60〜60/40であり、より好ましくは50/50近傍である。なお、第2剥離層22の厚みは、好ましくは0.5μm〜3μmであり、より好ましくは1.0μm〜2.0μmである。
【0024】
本実施形態においては、好ましくは、基材と第1剥離層との間の剥離強度、ならびに、粘着剤層と第2剥離層との間の剥離強度に比して、第1剥離層と第2剥離層との間の剥離強度が小さい。例えば、第1剥離層と第2剥離層との間の剥離強度は、180°剥離、剥離速度300(mm/分)の剥離試験において、10(g/25mm)〜30(g/25mm)であることが好ましい。さらに、基材と第1剥離層との間の剥離強度および/または粘着剤層と第2剥離層との間の剥離強度は、好ましくは300(g/25mm)〜2500(g/25mm)であることが好ましく、500(g/25mm)〜2000(g/25mm)であることが更に好ましい。さらに、基材と第1剥離層との間の剥離強度および/または粘着剤層と第2剥離層との間の剥離強度は、第1剥離層と第2剥離層との間の剥離強度の5倍以上であることが好ましい。なお、基材と第1剥離層との間の剥離強度と、粘着剤層と第2剥離層との間の剥離強度との関係は、目的に応じて適切に設定され得る。
【0025】
本実施形態によれば、剥離層20”が第1剥離層21と第2剥離層22とを含む積層構造を有することにより以下の利点が得られる。すなわち、実用的には、図5(a)および図5(b)に示すように、被着体に貼り付けた粘着ラベルを剥離するために、粘着剤層の端部にメジウムのベタ印刷を行ってタックを減少させた部分80を形成し、剥離の際のつかみしろとしている。つかみしろをつかんで剥離する際に、図3(a)および図3(b)に示すような剥離層20’は図5(a)に示すように切れ難い場合があり、結果として、基材10の剥離がうまくいかない場合がある。一方、本実施形態によれば、図5(b)に示すように、切れ難い第1剥離層21を切断することなく第2剥離層22から剥離させればよいので、基材10の剥離が容易である。
【0026】
剥離後に粘着剤層の全面を覆う剥離層の少なくとも一部(例えば、図1(b)の部分20b、図3(b)の剥離層20’、図4(b)の第2剥離層22)の引き裂き強度は、好ましくは、使用者が容易に引き裂ける程度に小さい。
【0027】
以下、本発明の粘着ラベルの使用方法について簡単に説明する。一例として、ハムのパックを連結する場合について説明するが、本発明がこの実施形態に限定されないことは明らかである。本発明の粘着ラベルを複数のパックに貼り付けてこれらを連結させる方法は、従来と同様であり、例えば図6に示すとおりである。ここで、本発明の粘着ラベルにおいては、粘着剤層は、複数のパックを強固に連結できる接着力を有するものを採用することができる。次に、使用者がパックのうちの1つを食事に供するために取り出したい場合には、当該使用者は粘着ラベルから基材を剥離する。本発明においては、剥離層を介した基材の剥離は、剥離層と粘着剤層との間の剥離強度、剥離層と基材との剥離強度、剥離層の凝集力等を制御することにより、使用者にとってきわめて操作容易なものとなっている。基材を剥離した後、使用者は、粘着ラベルを引き裂いてパックのうちの1つを取り出すことができる。この際、粘着剤層側(パック側)に残った剥離層(全部または一部)は引き裂き強度が非常に小さいので、引き裂きによるパックの取り出しも、使用者にとってきわめて操作容易なものとなっている。1つのパックを取り出した後、残った複数のパックは、粘着ラベル(実質的には、粘着剤層と残った剥離層との積層体)で連結されている。当該複数のパックの連結体は、使用時まで適切な場所で保存または保管され得る。なお、本発明においては、基材の剥離後には、剥離層の少なくとも一部が、粘着剤層の全面を覆っているので、いわゆる糊残りによるべたつきで使用者が不快な思いをしたり、取扱いが不便になることがない。さらに、パック製造者の要求に応じて、基材(実質的には芯材層)の片面または両面に印刷を施すことにより、使用者の利便性をさらに高めることができる。例えば、表面側に製品名、価格、その他の詳細な商品情報を記載することにより、使用者の商品選択を容易にすることができる。さらに、例えば、内側に懸賞等の情報を記載することにより、使用時に基材を剥離した使用者に予期せぬ驚き等を与えることができ、次回の購入につなげることができる。
【0028】
さらに、本発明の粘着ラベルは、上記のとおり、基材の剥離、基材剥離後のパックの取り出し(分割)をきわめて容易に行うことができるので、結果として、ごみの分別も容易となり、近年の環境問題への対応の観点からも好適である。
【実施例】
【0029】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例および比較例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
【0030】
<実施例1>
厚み12μmのPETフィルム(表面層となる)に、アクリル系接着剤を介してキャストコート紙(芯材層となる)を貼り付けて基材とした。一方、ポリオレフィンワックスとSBRとを90/10の割合で混合した。この混合物を、基材の芯材層表面に5g/mで塗布し、80℃で1分乾燥し、剥離層を形成した。剥離層の厚みは5.0μmであった。次いで、剥離層の表面にアクリレート系樹脂としてのスチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂水性エマルジョンを7g/mで塗布し、80℃で1分乾燥し、保護層を形成した。保護層表面にアクリル系粘着剤を配置して粘着剤層(厚み20μm)を形成し、粘着ラベルを得た。粘着剤層表面は、使用に供するまで剥離ライナーで保護した。
得られた粘着ラベルを用いてハムのパックを3個連結した。ハムのパックは粘着ラベルに強固に固着しており、振動、落下等させても外れることはなかった。次いで、粘着ラベルから基材を剥離したところ、剥離層が凝集破壊により層内剥離し、ハムのパックを連結したまま基材のみを分離することができた。剥離操作はきわめて簡単であった。剥離後に残った粘着ラベル(実質的には剥離層の一部と粘着剤層とを含む積層体)を引き裂いて、パックの1つを取り出した。この操作もきわめて簡便であった。さらに、基材剥離後に糊残りはなく、べたついたり、手にひっついたりすることはなかった。
【0031】
<実施例2>
剥離層を下記のように形成したこと、および、保護層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして粘着ラベルを作成した。押出ラミネート用LDPEを厚み10μmで基材の芯材層表面に積層し、剥離層を形成した。
得られた粘着ラベルを用いてハムのパックを3個連結した。ハムのパックは粘着ラベルに強固に固着しており、振動、落下等させても外れることはなかった。次いで、粘着ラベルから基材を剥離したところ、剥離層と基材との界面で剥離し、ハムのパックを連結したまま基材のみを分離することができた。剥離操作はきわめて簡単であった。剥離後に残った粘着ラベル(実質的には剥離層と粘着剤層との積層体)を引き裂いて、パックの1つを取り出した。この操作もきわめて簡便であった。さらに、基材剥離後に糊残りはなく、べたついたり、手にひっついたりすることはなかった。
【0032】
<実施例3>
剥離層を下記のように形成したこと、および、保護層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして粘着ラベルを作成した。押出ラミネート用LDPEを厚み10μmで基材の芯材層表面に積層し、第1剥離層を形成した。なお、芯材層表面にはコロナ処理を施した。一方、SBRエマルションとスチレン−アクリル樹脂を50/50で混合した。この混合物を1g/mで第1剥離層表面に塗布し、70℃で1分乾燥し、第2剥離層(厚み1.0μm)を形成した。
得られた粘着ラベルを用いてハムのパックを3個連結した。ハムのパックは粘着ラベルに強固に固着しており、振動、落下等させても外れることはなかった。次いで、粘着ラベルから基材を剥離したところ、第1剥離層と第2剥離層との界面で剥離し、ハムのパックを連結したまま基材のみを分離することができた。剥離操作はきわめて簡単であった。剥離後に残った粘着ラベル(実質的には剥離層と粘着剤層との積層体)を引き裂いて、パックの1つを取り出した。この操作もきわめて簡便であった。さらに、基材剥離後に糊残りはなく、べたついたり、手にひっついたりすることはなかった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の粘着ラベルは、複数の物品の連結、懸賞付きラベル、配達ラベル等に好適に使用され得る。物品としては、例えば、包装体(例えば、ハム、ソーセージ等の食品パック、ティッシュペーパー)が挙げられる。いずれの用途においても、基材を剥離させた後に基材や糊(粘着剤)が残留しないため美観に優れるとともに、べたつきも生じないため、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
10 基材
11 表面層
12 接着剤または粘着剤
13 芯材層
20 剥離層
21 第1剥離層
22 第2剥離層
30 粘着剤層
40 剥離ライナー
50 被着体
100、100’、100” 粘着ラベル

図1
図2
図3
図4
図5
図6