(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記調節物質が、ジチオエステル、ジチオカルボナート、ジチオカルバマート、トリチオカルボナート、イミドジチオカルボナートおよびキサンタートを含む群から選ばれる(「RAFT調節剤」)ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
前記反応原料が、アクリル酸、メタクリル酸、1つまたは複数のアクリル酸エステル、および/または1つまたは複数のメタクリル酸エステルから成る群から選択される少なくとも1つのアクリル系モノマーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【背景技術】
【0002】
とりわけポリアクリラートは、特に接着剤、感圧接着剤またはヒートシール剤としても、高価値の工業用途に使用される。これは、こうした分野での拡大する要求によく適合することが判明したためである。
【0003】
すなわち、粘着剤は、初期接着性(タック)が良好であると共に、剪断強度における高い要求にも対応できなければならない。同時に、加工性が良好で、とりわけ粘着剤を支持体材料に塗工するのに高い適性がなくてはならない。これらは、高分子量で、高い極性を有し、続いて効率的架橋を行ったポリアクリラートにより達成される。さらに、ポリアクリラートは、透明性かつ耐候性に製造できる。
【0004】
ポリマーの凝集性、すなわちその製品である感圧接着剤の剪断強度は、主に分子量によって決まり、物理的若しくは化学的網目構造を作ることでさらに向上できる。感圧接着テープの製造中に、ポリマーを溶液から若しくは溶融体から塗工可能なままに維持するため、まず無架橋状態で塗工しなければならず、架橋はその後の工程で始めて行われる。化学架橋剤の使用は、これまた加工中に可使時間の問題を生じさせる可能性があり、または、架橋は特に低温では場合により非常に遅いので、初めから高分子量のポリマーを用いることで、必要な架橋剤の使用量を最小にするのが有利である。
【0005】
分子量分布の幅も同様に加工またはポリマー特性に影響する。すなわち、狭い分子量分布は、鎖の均一性が高いので、特に熱軟化領域が狭いという利点を有する。これは、まさに溶融加工において望ましいものである。加えて、所与の分子量において、分布が狭いことによって低分子鎖の含有割合が限定され、これによって凝集性ならびに引張強度がさらに向上し得る。
【0006】
このため、とりわけ溶融加工できる感圧接着剤用に、平均分子量が高くかつ分子量分布(多分散性)が狭いポリマーを製造することが望まれている。
【0007】
通常、ポリアクリラート感圧接着剤は、ラジカル重合により製造される。高分子量は、種々のやり方で達成できるが、例えば米国特許第5100980A号(特許文献1)に記載のように、低い反応温度、高いモノマー濃度、および低い開始剤濃度が、最も普通に挙げられる手段である。強度の発熱反応では高いモノマー濃度は、取り扱いが難しく、また反応温度は、強力な冷却でないと下げられないので、高分子量のポリマーを製造するには、低い開始剤濃度での重合が最も簡単に実現できる方法である。
【0008】
ビニルモノマーのラジカル重合は、D. B. Priddyら、Adv. Polym. Sci.、1994年、111、67頁(非特許文献1)に記載されるように、通常過酸化物開始剤またはアゾ開始剤によって開始される。米国特許第5347055号(特許文献2)に記載されるように、過酸化物は、これから生ずる危険性拡大の可能性を考慮して、安全に取り扱いができるように、鈍感剤のような不活性な化合物で希釈することが一般的に知られている。この鈍感剤は、一方でラジカル重合に影響し、また他方では生成したポリマー製品中の不純物となる可能性がある。これに対し、アゾ開始剤は効率がそれほど高くなく、また過酸化物に対する大きなグラフト作用のため、分子量分布を広くする。
【0009】
ジラジカル開始剤は、既にBorsigらにより、Collect. Czech. Chem. Commun.、1973年、38、1343頁(非特許文献2)において、高分子量のポリマーを製造するために、ラジカル重合用に用いられた。メチルメタクリラートの重合の例においては、ジラジカルを用いると、同じモノマー転換率においては、モノラジカルと比較して明瞭により高い分子量を得ることができる。しかし、ジラジカル開始剤を使用すると重合速度が低下することもまた記載されている。
【0010】
Crivelloらは、米国特許第4675426号(特許文献3)において、環状ピナコールエーテルをジラジカル開始剤として用いたさらなるラジカル重合を記載している。しかし、この開始剤を用いた重合も、低い反応速度を示す。
【0011】
ジラジカル開始剤は、Hallらにより、Polym. Bull.、1991年、25、537頁(非特許文献3)およびMacromolecules、1991年、24、2485頁(非特許文献4)に示されるように、ドナー・アクセプター置換シクロプロペン誘導体からも形成できる。しかしながら、この開始剤によって合成したポリスチレンは、このジラジカルによる自己停止に帰せられる低分子画分を含む二峰性の分子量分布を示す。
【0012】
過酸化物は、ジラジカル開始剤または多官能性開始剤としても用いられた。しかし、D. B. Priddy、Adv. Pol. Sci.、1994年、111、67頁、"Recent Advances in Styrene Polymerisation"(非特許文献5)に示されるように、多官能性過酸化物開始剤における過酸化物の官能性の数を増やすと共に効率が低下した。
【0013】
米国特許第5618900号(特許文献4)は、熱エネルギーの作用でベルクマン環化によりジラジカルを生成するエンジイン系、エニンアレン系、エンジアレン系、エニンクムレン系、環状ジイン系およびさらなる系全ての使用を記載している。そうしたジラジカルが、さらにラジカル重合用の開始剤として機能させるのに適していることが、良好な反応速度によるn−ブチルアクリラートのバルク重合により確かめられる。しかしこの方法は、低い転換率しか得られないことと、ここでも自己停止反応および普通の停止反応により比較的広い分子量分布のポリマーが生成するといった欠点がある。こうした自己停止は、特にまだ比較的短い鎖において、すなわち低い転換率において、両端で成長している鎖の両方のラジカル末端の再結合により生じ得る。
【0014】
これに対し、狭い分子量分布は、例えば原子移動ラジカル重合(ATRP;米国特許第5945491A号(特許文献5)、米国特許第5854364A号(特許文献6)および米国特許第5789487A号(特許文献7)や、RAFT法(ラジカル付加開裂停止法;米国特許第6765078B2号(特許文献8)および米国特許第6720399B2号(特許文献9)といった制御ラジカル重合により達成できるが、分子量分布の精密な制御は、多くの場合達成できる分子量を制限する。剪断強度の大きい感圧接着剤のために必要な高分子量を得ようとすると、非常に少量の調節物質(例えばRAFT剤)しか使用できず、この結果無制御な鎖成長が生じる(Macromol. Theory Simul.、2002年、11、823頁)(非特許文献6)。Rzayevらは、選択されたモノマーでのRAFT制御された高圧重合により、狭い分子量分布と高い分子量を達成できることを示したが、この方法は、一般的には適用できず、またプロセス的な大きな資源投入により初めて実施できる(Angew. Chem.、Int. Ed、2004年、43、1691頁(非特許文献7))。
【0015】
ジラジカルを用いての制御ラジカル重合の初期の試みでは、これまで転換率は高いがポリマーの多分散性(分子量分布)も高いか、転換率が低く多分散性も低いか、のいずれかにしか至っていない(J. Am. Chem. Soc.、2003年、125、12992頁(非特許文献8))。
【0016】
このため、ジラジカル開始重合によって得られるポリマーは、感圧接着剤としての使用には適していないと考えられてきた。ポリマーの高分子量を伴う高い転換率と低い多分散性の組合せはこれまで開示されてきていない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のラジカル重合方法は、安全な取り扱いのための希釈が不要で、自由なまたは制御されたラジカル重合が高効率かつ高重合速度で開始するジラジカル生成開始剤を用いる。ジラジカル生成開始剤は、さらに、溶媒重合およびバルク重合に適している。
【0030】
本発明に記載される方法に好適なジラジカル生成開始剤は、少なくとも2つのC−C多重結合を含み、活性化の際、特に熱エネルギーにより、好ましくは適合した熱を加えることにより、ジラジカルを生成しながら2つの多重結合によって環化を生じさせる。これに関しては、例えば、多重結合が関与する以下に示す機序(機序M1およびM2)が想定されるが、本明細書の範囲ではこの機序の正しさを約束するものではない。
【0032】
上に示したように、反応条件および置換基の種類に応じて、閉環は、両方のラジカル電子を保持するC原子が、環の部分であるか(機序M1)、1つのラジカル保持電子のみが環の部分で、他方のラジカル保持C原子は、環に隣り合うか(機序M2)、あるいはまた両方のラジカル保持C原子が環に隣り合う(別個に図示していない)ように進み得る。しかしながら、少なくとも新しく形成したC−C結合は、生じた環の構成要素である。
【0033】
上掲の機序において、多重結合は二重結合で表現されているが、この表記に制約されるものではない。三重結合に係る機序も同様に進行し、このとき生成物中には、始めの三重結合が、二重結合として残る。とりわけ、これにより共役または芳香族電子系を有する化合物が得られる。
【0034】
1,4−ジラジカルの表記は、ラジカル保持C原子の分子中の絶対的位置については、何の意味も持たず、ラジカルの位置のお互いの関係(第2のラジカル電子は、第1のラジカル電子がそれに接して存在するC原子を1番目のC原子とする、配列の4番目のC原子上に存在する)を示すが、その例として下記を参照されたい。
【0036】
エンジインが、ジラジカル生成化合物である場合は、上掲の機序はベルクマン環化またはベルクマン反応として知られ、いわゆるマイヤース反応およびムーア反応も同様に進む。それぞれの関連文献を参照されたい。
【0037】
閉環に適したジラジカル生成開始剤の例としては、エンジイン化合物、エニンアレン化合物、エンジアレン化合物、エニンクムレン化合物、エンアレンクムレン化合物、環状ジイン化合物およびその他の不飽和化合物が挙げられるが、これらは単なる例示であって制限を加えるものではない。エンジイン化合物は少なくとも1つの少なくとも1つのC−C二重結合と、少なくとも2つのC−C三重結合を含む。エニンアレン化合物は、少なくとも1つのC−C二重結合、少なくとも1つのC−C三重結合、および少なくとも1つのアレン基(すなわち、直接隣り合うC−C二重結合)を含む。エンジアレン化合物は、少なくとも1つのC−C二重結合と、少なくとも2つのアレン基を含む。エニンクムレン化合物は、少なくとも1つのC−C二重結合、少なくとも1つのC−C三重結合、および少なくとも1つの、少なくとも3つの隣り合う二重結合の連鎖として定義されるクムレン鎖を含む(Roempp Online、Georg Thieme Verlag、文書識別番号RD−11−02373、最終更新2009年12月)。エンアレンクムレン化合物は、少なくとも1つのC−C二重結合、少なくとも1つのアレン基、および少なくとも1つのクムレン鎖を含む。環状ジイン化合物は、少なくとも2つのC−C三重結合を環構造中に含む。これらの化合物は、十分な温度まで加熱するならジラジカルを生成しながら環化が生じるように不飽和結合が分子中に配置されている限り、他の不飽和基、電子吸引性基、アルキル基、さらなる官能基または環構造をも有していてよい。典型的なジラジカル生成開始剤を下式で示す:
【0039】
式中、残基R(R’、R”を含む)は、互いに独立に、特にH基、アルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、スルホアルコキシ基、カルボアルコキシ基、カルボアミドアルキル基、および環化とジラジカルの生成を妨げないその他の置換基を含むリストから選定され;Yは、O、S、SまたはNを介して環に統合された構造性基、アルキルアミン、硫黄含有基、およびリン含有基を含むリストから選定される。選択により、2つ以上の残基Rを結合して、各分子が1つ以上のアリーレン環および/またはアルキレン環を含むようにでき;特に有利には、化合物I〜V中で、それぞれ左側に描かれた両方の残基R’、R”によってそうした環が形成できる。有利には、残基R(R’、R”を含む)は、アルキル基、もしくはC1〜C6のアルキル鎖が選ばれる。
【0040】
熱エネルギーによりジラジカルを生成しながら環化するそうした化合物の合成は、例えば米国特許第5618900A号に記載されている。
【0041】
本発明に記載される方法用に適当なジラジカル生成化合物の具体的な例には以下の構造が含まれるがそれらに限定されない。
【0043】
開始剤分子の両方のラジカルでの鎖の成長により、高分子が形成され、そのポリマー骨格(すなわち主鎖)は、環状構造要素を含む(すなわち、少なくとも1つの環状構造要素の結合が、ポリマー骨格の部分である)。使用されるジラジカル生成開始剤に応じて、環状構造要素は、とりわけ、五員環、特にヘテロ置換五員環、芳香族六員環、縮合芳香族系、橋架け結合で延びる共役π系を有するヘテロ置換ビシクロ[4.4.0]−デカジエン、特に4,9−ヘテロ置換ビシクロ[4.4.0]−デカ−1,6−ジエンを含む群からの要素である。
【0044】
本発明による方法において、特に有利には、官能基S−C=Xを有する少なくとも1つの調節物質が使用され、式中、X=S、OまたはNである。好ましくは調節物質は、下記を含む群から選ばれる:
ジチオエステル、すなわち次の一般構造の化合物、
【0046】
ジチオカルボナート、ここにS,S’置換ジチオカルボナート、すなわち次の一般構造の化合物、
【0048】
に加えて、キサンタート(O,S置換ジチオカルボナート)、すなわち次の一般構造の化合物、
【0050】
ジチオカルバマート、すなわち次の一般構造の化合物、
【0052】
トリチオカルボナート、すなわち次の一般構造の化合物、
【0054】
および、イミドジチオカルボナート、すなわち次の一般構造の化合物、
【0056】
上記において、Rは、一般的にかつ互いに独立に選ばれ、有機残基または場合によっては無機残基を表す(上述の調節物質の群の構成員は、本明細書の範囲では、「RAFT調節剤」または重合調節剤とも呼ばれる)。
【0057】
その場合、調節物質分子の多く、とりわけ調節物質分子のほとんど全ては、それぞれのポリマー鎖が、その中に組み込まれた調節剤の少なくとも1つの官能基を持つように生成するポリマー鎖中に組み込まれる。そうして調節されるポリマーは、対応するRAFT調節剤の構造要素を、すなわち特にS−C=X基(式中、X=S、OまたはN)を、構成要素としてポリマー鎖中に持つことになる。
【0058】
方法の有利な発展形において、とりわけ少なくとも1つのラジカル開始剤による開始を行う重合を、少なくとも1つのジチオエステルまたはトリチオカルボナートを重合調節剤として用いて実施する。本発明の方法の好ましい変化形において、RAFT調節剤として次の一般構造式の化合物を使用する。
【0060】
式中、QおよびR
1は、互いに独立に選ばれ、Qは、好ましくは、群a)〜n)の1つからの残基であり、R
1は、好ましくは、群a)、c)〜f)またはh)の1つからの残基である:
a) 分岐および直鎖C
1〜C
18アルキル残基、分岐および直鎖C
3〜C
18アルケニル残基、分岐および直鎖C
3〜C
18アルキニル残基、
b) エテニル残基およびエチニル残基、
c) 非縮合および縮合アリール残基、特にC
6〜C
18アリール残基、特に無置換または置換フェニル残基、無置換または置換ベンジル残基、
d) 脂肪族ヘテロ環状残基、特にC
3〜C
12シクロアルキル残基
e) 芳香族ヘテロ環状残基
f) 置換された群a)の残基、特に
f1) それぞれ少なくとも1つのOH基、ハロゲン原子、またはシリルエーテルで置換された群a)の残基、
f2) それぞれ少なくとも1つのエステル基、アミン基、カルボナート基、シアノ基、イソシアノ基および/またはエポキシ基で、および/または硫黄で、置換された群a)の残基、
g) 置換された群a)の残基、特に
g1) それぞれ少なくとも1つのOH基、ハロゲン原子、またはシリルエーテルで置換された群b)の残基、
g2) それぞれ少なくとも1つのエステル基、アミン基、カルボナート基、シアノ基、イソシアノ基および/またはエポキシ基で、および/または硫黄で、置換された群b)の残基、
h) −NH
2、−NHR
I、−NR
IR
II、−NH−C(O)−R
I、−NR
I−C(O)−R
II、−NH−C(S)−R
I、−NR
I−C(S)−R
II、
【0062】
式中、R
IおよびR
IIは互いに独立に群a)〜g)から選ばれる残基である、
i) −S−R
I、−S−C(S)−R
I、ここにR
Iは群a)〜g)の1つから選ばれる残基である、
k) −O−R
I、−O−C(O)−R
I、ここにR
Iは群a)〜g)の1つから選ばれる残基である、
l) リン酸基含有残基、特に−P(O)(OR
III)(OR
IV)、ここにR
IIIおよびR
IVは、同一または互いに独立に群a)〜g)から選ばれる残基である、
m) 少なくとも1つのO−原子および/または少なくとも1つの炭素鎖中のNR
I基を有するC
2〜C
18ヘテロアルキル残基、ここにR
Iは群a)〜g)の1つから選ばれる残基である、
n) 水素。
【0063】
上掲の置換基のリストはそれぞれの化合物群の単なる例示であって、完全性を充たすものではない。
【0064】
さらに、以下のタイプの化合物も重合調節剤として適しており、R
2、R
3およびR
4は互いに独立に群a)〜m)から選ばれる。
【0066】
本発明のさらなる態様は、ポリマー、特にポリアクリラートの接着剤、特に感圧接着剤としての使用であり、このとき、熱的環化で形成される開始剤としてのジラジカルと、調節剤、特にジチオエステルまたはトリチオカルボナートといったRAFT調節物質との組合せが、狭い分子量分布と組み合わされた高分子量のため、剪断強度のある剤をもたらす。
【0067】
本発明による方法は、したがって、卓越して接着剤、特に感圧接着剤として使用できる、またはさらにこれらに加工することができる、明瞭に定義されたポリマー、特にアクリラート・ポリマーの製造を可能とする。
【0068】
「感圧接着剤」(英語ではPSA:Pressure Sensitive Adhesives)という概念は、場合によりさらなる成分、例えば接着性樹脂を適当に添加剤として加え、使用温度(別に特段の定めがない限り、室温)で、長期的に粘着性また永続的に接着可能であり、多くの表面に接触により接着する、特に即時に接着する(いわゆる「タック性」(粘着性または初期接着性とも呼ばれる)を示す)、粘弾性のあるポリマーの剤と通常通り理解される。剤は、既に使用温度で、溶媒や熱による活性化無しで、場合により程度の差はあるが高い圧力を作用させることで、接着相手の基質を十分に濡らし、それにより剤と基質の間に粘着に十分な相互作用を働かすことができる。
【0069】
方法は、アクリル系ポリマー、すなわち部分的特に多くの部分(すなわち50重量%超)で、そのモノマー(以下集合的に「アクリルモノマー」と呼ぶ)が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルに由来するようなポリマーの製造に極めて適している。本明細書の範囲では、一般的に「アクリル…」または「アクリラート…」と述べるとき、個々が別々に表されていない限り、対応するメチル置換誘導体、すなわちメタクリル化合物も共に含まれる。同様に「(メタ)アクリル…」という表現は、対応するアクリル化合物と対応するメタクリル化合物を包含する。
【0070】
本発明により得られるポリアクリラートは、例えば100%のアクリラート系、すなわち100%がアクリルモノマー由来であっても、またはコモノマーとしてアクリルモノマーの他に共重合可能な別のモノマーを含む系であってもよい。
【0071】
方法は、アクリラート感圧接着剤の製造に特に適している。感圧接着剤は、通常、ホモポリマー、コポリマー、または複数のポリマーの混合物(ホモポリマーおよび/またはコポリマー)であってよい、ベースポリマー成分とも呼ばれるポリマー成分からなる。ポリマー成分の成分は、感圧接着剤の所望の特性に合わせて選択できる。通常、ベースポリマー成分には、場合によってはかなりの程度まで、さらなる添加物が、最終製品(感圧接着剤)の所望の特性を実現するために添加される。十分な凝集性を達成するため、感圧接着剤はしばしば架橋される。
【0072】
限定するわけではないが、とりわけ感圧接着剤に使用する、ポリアクリラートを製造するには、反応原料、とりわけエチレン性不飽和化合物、特に(メタ)アクリル酸および/またはその誘導体が存在するモノマー混合物から出発するのが本発明において好適であり、その場合、この反応原料は調節剤、特にRAFT調節剤を使用して開始剤としてのジラジカル化合物によりラジカル的に、特にRAFT法により重合される。
【0073】
一種または複数のポリアクリラートが、感圧接着剤のベースポリマー成分を構成することができるが、さらなるポリマー(アクリラート・ポリマーまたは他のポリマー)と混ぜてベースポリマー成分にすることもできる。
【0074】
特に有利には、ベースポリマー成分は、アクリラートモノマーの全含量が40〜100重量%、とりわけ50〜100重量%となるように選ばれる。
【0075】
本発明において特に好適な、特にポリアクリラート用のモノマーまたはコモノマーとして使用できるモノマーには、例えば、アクリル酸、30以下のC原子を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸エステル、20以下のC原子を含むカルボン酸のビニルエステル、20以下のC原子を含むビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ハロゲン化ビニル、1〜10のC原子を含むアルコールのビニルエーテル、2〜8のC原子と1〜2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素、またはこれらモノマーの混合物がある。
【0076】
重合に対し、モノマーは、生成したポリマーが熱架橋性感圧接着剤として使用できるように、とりわけ生成したポリマーが、「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」、Donatas Satas、(van Nostrand、New York、1989年)(非特許文献9)に沿った感圧接着特性を有するように選択する。モノマーは、またホットメルト接着剤、すなわち熱的活性化により初めて使用状態となる接着材料、が得られるようにも選択できる。
【0077】
感圧接着剤に使用するポリマーの製造には、コモノマーを、ポリマーのガラス転移温度T
G,Aが、使用温度より低く、好ましくはT
G,A≦15℃であるように選ぶ(本明細書の範囲では、ガラス転移温度は、DIN53765に従い示差走査熱量測定(DSC)で測定される静的ガラス転移温度を意味し、本明細書の範囲におけるガラス転移温度T
Gの数値表現は、特定の場合に別段の数値表現がなされない限り、DIN53765:1994−03によるガラス転移温度値Tgを適用する)。これを実現するため、さらにモノマー混合物の量的組成を、Foxの式(G1)に従って、所望のT
G,A値がポリマーに与えられるように(T.G. Fox、Bull. Am. Phys. Soc.、1956年、1、123頁(非特許文献10)を参照)、好適に選ぶ。
【0079】
式中、nは使用されたモノマーに対するインデックス、W
nは各モノマーnの質量割合(重量%)、T
G,nは各モノマーnからのホモポリマーに係るガラス転移温度(単位K)である。
【0080】
好ましくは、以下のモノマー組成に由来するポリアクリラートを使用する。
a) CH
2=C(R
a)(COOR
b)なる式のアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル、式中、R
a=HまたはCH
3、またR
bは、C4〜C14アルキルである。
b) ポリマーを化学的または物理的に架橋するのに適した官能基を有するオレフィン性不飽和モノマー。
c) 任意選択で、成分(a)と共重合可能なさらなるアクリラートおよび/またはメタクリラートおよび/またはオレフィン性不飽和モノマー。
【0081】
前記ポリアクリラートを感圧接着剤として使用するには、対応する成分(a)、(b)、(c)の含有割合を、重合生成物のガラス温度が、とりわけ≦15℃(低周波数でのDMA)になるように選ぶ。
【0082】
感圧接着剤を製造するには、成分(a)のモノマーの含有割合を45〜99重量%に、成分(b)のモノマーの含有割合を1〜15重量%に、成分(c)のモノマーの含有割合を0〜40重量%に選ぶのが非常に有利である(この数字表現は「ベースポリマー」の、すなわち製品ポリマーが含み得る樹脂等の添加剤を除いたモノマー混合物に対するものである)。
【0083】
接着剤をホットメルト接着剤、すなわち加熱により感圧接着性になる材料として使用するためには、対応する成分(a)、(b)、(c)の含有割合を、コポリマーのガラス転移温度(T
G)が、15℃と100℃の間、好ましくは30℃と80℃の間、特に好ましくは40℃と60℃の間となるように選ぶ。成分(a)、(b)、(c)の含有割合をこれに対応して選ぶ。
【0084】
例えば、典型的には両面に感圧接着性層を付けることのできる粘弾性の材料のガラス転移温度(T
G)は、特に−50℃〜+100℃の間、好ましくは−20℃〜+60℃の間、特に好ましくは0℃〜40℃である。ここでも、成分(a)、(b)、(c)の含有割合をこれに対応して選ぶ。
【0085】
成分(a)のモノマーは、とりわけ軟化性を付与するおよび/または非極性のモノマーである。
【0086】
好ましくはモノマー(a)には、4〜14C原子、好ましくは4〜9のC原子アルキル基を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを包含する、アクリルモノマーが用いられる。そうしたモノマーとしては、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタクリラート、n−ペンチルアクリラート、n−ペンチルメタクリラート、n−アミルアクリラート、n−ヘキシルアクリラート、ヘキシルメタクリラート、n−ヘプチルアクリラート、n−オクチルアクリラート、n−オクチルメタクリラート、n−ノニルアクリラート、イソブチルアクリラート、イソオクチルアクリラート、イソオクチルメタクリラート、および例えば2−エチルヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルメタクリラートといったそれらの分岐した異性体が例示される。
【0087】
成分(b)のモノマーは、官能基を有する、とりわけエポキシ基と反応することのできる官能基を有する、特にオレフィン性不飽和モノマー(b)である。
【0088】
成分(b)としては、好ましくは以下のリストから選ばれる官能基を有するモノマーが使用される:ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基またはホスホン酸基、酸無水物、エポキシ、アミン。
【0089】
成分(b)のモノマーの特に好ましい例は:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、ジメチルアクリル酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、ビニル酢酸、ビニルホスホン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリラート、アリルアルコール、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラートである。
【0090】
成分(c)に関しては、原理的には、成分(a)および/または成分(b)と共重合可能で、生成する感圧接着剤の特性を調節する働きのある、全てのビニル系官能基を持つ化合物が使用できる。
【0091】
成分(c)のモノマーの例としては:メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ベンジルアクリラート、ベンジルメタクリラート、sec−ブチルアクリラート、tert−ブチルアクリラート、フェニルアクリラート、フェニルメタクリラート、イソボルニルアクリラート、イソボルニルメタクリラート、tert−ブチルフェニルアクリラート、tert−ブチルフェニルメタクリラート、ドデシルメタクリラート、イソデシルアクリラート、ラウリルアクリラート、n−ウンデシルアクリラート、ステアリルアクリラート、トリデシルアクリラート、ベヘニルアクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、シクロペンチルメタクリラート、フェノキシエチルアクリラート、フェノキシエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルアクリラート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリラート、3,5−ジメチルアダマンチルアクリラート、4−クミルフェニルメタクリラート、シアノエチルアクリラート、シアノエチルメタクリラート、4−ビフェニルアクリラート、4−ビフェニルメタクリラート、2−ナフチルアクリラート、2−ナフチルメタクリラート、テトラヒドロフルフリルアクリラート、ジエチルアミノエチルアクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルアクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、3−メトキシアクリル酸メチルエステル、3−メトキシブチルアクリラート、フェノキシエチルアクリラート、フェノキシエチルメタクリラート、2−フェノキシエチルメタクリラート、ブチルジグリコールメタクリラート、エチレングリコールアクリラート、エチレングリコールモノメチルアクリラート、メトキシポリエチレングリコールメタクリラート350、メトキシポリエチレングリコールメタクリラート500、プロピレングリコールモノメタクリラート、ブトキシジエチレングリコールメタクリラート、エトキシトリエチレングリコールメタクリラート、オクタフルオロペンチルアクリラート、オクタフルオロペンチルメタクリラート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリラート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリラート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリラート、2,2,3,3,3−ペンタフフルオロプロピルメタクリラート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリラート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリラート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリラート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルメタクリラート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−(1−メチル−ウンデシル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(n−オクタデシル)アクリルアミド、さらにN,N−ジアルキル置換アミド(例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド)、N−ベンジルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルエーテル(例えば、ビニルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、ビニルイソブチルエーテル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル)、塩化ビニル、ハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、ハロゲン化ビニリデン、ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、スチレン、α−およびp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン、マクロモノマー例えば2−ポリスチレンエチルメタクリラート(分子量M
W:4000〜13000g/mol)、ポリ(メチルメタクリラート)エチルメタクリラート(M
W:2000〜8000g/mol)がある。
【0092】
成分(c)のモノマーは、後工程での放射線化学的架橋(例えば、電子線、UVによる)を支援する官能基を含むように好適に選ぶことができる。好ましい共重合性の光開始剤の例には、ベンゾインアクリラート、およびアクリラート官能化ベンゾフェノン誘導体がある。電子線照射での架橋を支援するモノマーの例には、テトラヒドロフルフリルアクリラート、N−tert−ブチルアクリルアミド、アリルアクリラートがあるが、この列挙は完結的なものではない。
【0093】
同様に本発明によるモノマーは、さらなるラジカル重合可能なモノマー、例えば、ブタジエン、クロロプレン、イソプレンおよびp−ジビニルベンゼンといったジエン化合物、および、例えば、エテン、テトラフルオロエテンならびにトリフルオロクロロエテンといったさらなる不飽和モノマーを包含する。
【0094】
さらに、あらかじめ溶解されたエラストマーの存在下で重合を行い、衝撃強度を改質したゴムグラフトポリマーを製造することもできる。
【0095】
さらに任意選択で、重合に続いてポリアクリラートを他のポリマーとブレンドないし混合することができる。このとき、好適なポリマーは天然ゴム、合成ゴム、EVA、シリコーンゴム、アクリルゴム、ポリビニルエーテル系である。ポリマー・ブレンドの製造は、溶液中または押出機により行うことができ、好ましくは多軸押出機または遊星ローラ・ミキサ中の溶融体で行う。
【0096】
重合体の製造
ポリアクリラートの製造は、特にRAFT法による制御ラジカル重合と、特に熱エネルギーによるエネルギー供給により環化してジラジカルを生成し、モノマーの重合を開始できる、ジラジカル生成開始剤との本発明による組合せにより行われる。この方法は、さらなる通常の重合開始剤および/または場合によりさらなる調節物質の使用により補完できる。重合は、当業者に知られた通常の温度で、バルクまたは溶液で行われる。
【0097】
ジラジカル生成開始剤は、通常一種または複数のモノマー中に溶解され、この溶液を
ジラジカルが生成する温度まで加熱する。本発明によれば、これに代って、開始剤とモノマーを、溶媒の沸点が好ましくはジラジカルが生成する温度より高いように選んだ溶媒に溶かすことでも実施可能である。対象となる溶媒には、とりわけ非プロトン性溶媒で、例えば炭化水素、例えばトルエン、および特に沸点領域が60〜120℃のベンジン;ケトン、好ましくは例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;およびエステル、例えば酢酸エチルエステルが考えられる。
【0098】
重合を行うのに理想的な温度はまたジラジカル開始剤の構造に依存するが、これは当業者にはアゾおよび過酸化物開始剤について普通に知られていることである。典型的には、50℃〜150℃の範囲、好ましくは60℃〜120℃の範囲の温度が選ばれる。
【0099】
重合は、開始剤がジラジカルに環化する温度で開始されると考えられる。ジラジカルの生成については多くの出版物で議論されているが、そのうち代表的なものにNicolaouらのAngew. Chem.、1991年、103、1453頁(非特許文献11)、およびMooreらのMacromolecules、2005年、38、7266頁(非特許文献12)が挙げられよう。こうして、多くの系において、加熱によりジラジカルの生成を伴う環化反応(およびその共鳴構造)が示されているが、ここで、本発明の意義において特に好ましい「古典的」ベルクマン環化が、前駆体分子の入手容易性から最も多く記述されている。
【0101】
本発明の範囲では、同様な環化反応も、特に下記の図式に従ってジラジカルの生成に使用できるが、ここに特に下記図式の1つにおいて、Yは結合性の基、例えばMeNまたはOを意味する(上掲のジラジカル生成開始剤の構造式14および15参照)。
【0103】
本発明において、電磁線の作用、好ましくは紫外線によりジラジカルを生成しながら環化するジラジカル生成開始剤、例えば対応したエンジイン化合物もまた使用できるが、これはTurroら、J. Am. Chem. Soc.、1998年、120、1835頁(非特許文献13)に記載される。
【0104】
ジラジカルは、1つまたは複数のモノマーの存在下で重合を開始するが、その際ジラジカル内の両方のラジカルから鎖の成長が生じる。
【0105】
本発明の重合の最適化のためには、ジラジカル生成開始剤を、一種または複数のモノマーの種類に合わせて選択しなくてはならない。負の「e値」を有するモノマー、例えば、芳香族ビニルモノマーは、好ましくは求電子的ジラジカルにより開始される。求電子的ジラジカル開始剤とは、好んで電子リッチな二重結合を攻撃する開始剤と定義され、例えば式1、2、4〜6、8〜9、11および13によるジラジカル生成開始剤の形で使用される。正の「e値」を示すモノマー、例えば、アクリラートは、求核的ラジカルにより最適に開始される。求核的ジラジカル開始剤とは、電子不足の二重結合を好んで攻撃する開始剤と定義される。適当なジラジカル生成開始剤は、例えば、式3、7、10、12、14および15で表される。
【0106】
式I−VIのジラジカル生成開始剤の残基R(R’、R”を含む)または残基Rの一部が、+I効果を持つ基、すなわち非電子吸引性の基である場合、当該ジラジカルは通常求核的である。しかしながら、これらの化合物が、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、スルホキシ基および同様な官能基といった電子吸引性基を含む場合、前記求核性が低下し、ラジカルは求電子的傾向となる。
【0107】
電子吸引性基のラジカルの位置に対する配置は求電子性または求核性の決定に重要である。ラジカルと共役している電子吸引性基は、構造8に示されるように求電子的開始剤にする傾向がある。電子吸引性基がこれと逆にラジカルから離れて配置されていると、開始剤は通常、構造10に示されるように、求核的性格を示す。求核的および求電子的という概念は当業において周知であり、当業者はふさわしい開始剤を選択できる。
【0108】
本発明による方法でのジラジカル生成開始剤の必要量は、これを重合温度と共に、重合が許容できる反応速度で進み、所望のポリマー分子量M
Wが達成できるよう選定するならば、一般的には決定的な数値ではない。通常、開始剤量を増やすと反応速度には有利になるが、同時にポリマー分子量は減少する。通常、使用される開始剤量は、約10〜約2,000ppm、好ましくは約100〜約1,000ppm、極めて好ましくは約200〜約600ppmである。
【0109】
本発明の方法で用いられるジラジカル生成開始剤は、他のジラジカル生成開始剤または過酸化物やアゾ化合物といったラジカル重合法用の他の開始剤と組み合わせることができる。他の開始剤は、ジラジカル生成開始剤と同時に加えてもよいし、重合の任意の段階で加えてもよい。同様に、本発明において、重合を、最初の工程で過酸化物やアゾ開始剤といった従来型開始剤で開始し、続いてジラジカル生成開始剤を追加することもできる。基本的には、当業者に周知のアクリラートに対して普通の従来型開始剤の全てが適している。ラジカル源の例として、ペルオキシド、ヒドロペルオキシドおよびアゾ化合物、例えばジベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルペルカルボナート、tert−ブチルペルオクトアート、ベンゾピナコールが挙げられる。非常に好ましい手順においては、従来型ラジカル開始剤として、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)[Vazo(登録商標) 67(商標)、DuPont社]、または、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)[2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、AIBN;Vazo(登録商標) 64(商標)、DuPont社]が使用される。ジラジカル生成開始剤と組み合わせできる重合開始剤の通常の量は、10ppm〜5,000ppm、特に100ppm〜2,000ppmである。
【0110】
特にポリアクリラートであるポリマーの高分子量に加えて、狭い分子量分布、したがって低い多分散性PDが、本発明によるポリマーから製造される剪断強度の大きい感圧接着剤を得るためには有利である。多分散性≦5、好ましくは≦3.5のポリアクリラートが、こうした剤は架橋後に非常に良好な剪断強度を示すので、特に有利である。加えて、こうした狭い分子量分布は、広分布のポリアクリラートに比べ、十分同等の使用性能を有しつつ流動粘度が低いので、溶融体を加工するポリマーの場合加工が容易になる。
【0111】
驚くべきことに、本発明により使用する重合調節剤、特にRAFT調節剤の濃度を本発明によるジラジカル生成開始剤の濃度に適合させると、高い転換率ならびに高分子量と狭い分子量分布が組み合わされたポリマー、特にポリアクリラートが、とりわけ有利に得られることが見出された。このとき、開始剤の(複数のジラジカル生成開始剤が用いられたときは複数の開始剤の)物質量n
Iと、重合調節剤の(複数の重合調節剤が用いられたときは複数の重合調節剤の)物質量n
Rとの比V、すなわちV=n
I/n
Rが、2≦V≦64の範囲にあると、特に好ましくはVが3〜32、さらに好ましくは4〜16にあると、上述の数値を見ると極めて優れた特性のポリマーが生成することが明らかとなった。前記の比を超えると、ポリマーは分子量分布が明瞭に広くなり、そうしたポリマーの生成に使用こそできるが、多くの場合好ましくはない。開始剤/調節剤・比が小さいと、これに反し、通常低い転換率しか得られない。これに対し、本発明によるRAFT調節剤といった重合調節剤を用いないと、環構造を形成しながらの分子内停止がまた多く発生し得るので、やはり転換率がひどく低下する。さらに、ラジカル重合への制御がきかなくなるので、多分散性が高くなる。
【0112】
驚くべきことに、それと同時に、ジラジカル的開始、すなわち開始剤の両側からの鎖成長において、調節剤量は、モノラジカル的開始に対して普通の量の範囲、または場合によってはモノラジカル的開始に対するよりはるかに少ない量の範囲で十分であることが見出された。これに拘わらず、驚くほど良好な重合速度が実現する。このとき、好ましいと例示した調節剤、とりわけRAFT調節剤を使用するのが特に有利である。
【0113】
本発明により得られるポリアクリラートの重量平均分子量M
Wは、好ましくは20,000〜2,000,000g/molの範囲、非常に好ましくは100,000〜1,000,000g/molの範囲、極めて好ましくは150,000〜750,000g/molの範囲である[平均分子量M
wおよびM
n、および多分散性PDの測定はサイズ排除クロマトグラフィー(ゲル浸透クロマトグラフィー、GPC)による;較正:PMMA標準(ポリメチルメタクリラート較正);実験事項の測定法A2を参照]。
【0114】
本発明により得られるポリアクリラートの多分散性PD=M
W/M
N(M
W=重量平均分子量、M
N=数平均分子量)は、好ましくは5未満、非常に好ましくは3.5未満にある。特に、多分散性が狭い(≦5、好ましくは≦3.5)、重量平均分子量が少なくとも450,000g/molのポリマーが有利である。
【0115】
ポリアクリラートは、好ましくはトルエン中で測定したK値(1%溶液、21℃)が30〜90、特に好ましくは40〜80である。フィケンチャーによるK値は重合体の分子量と粘度の尺度である(実験事項の測定法A1参照)。
【0116】
本発明の目的は、さらに、本発明による方法により得られたポリマー、特に接着剤、好ましくは感圧接着剤である。特に、感圧接着剤として使用するには、ベースポリマー成分(または既に部分的に混合された感圧接着剤)に通常の、感圧接着性の実現および/または改良に役立つ添加物、またはその他の特性の実現および/または改良に役立つ添加剤を加えることができる。
【0117】
本発明による方法により、狭い分子量分布を有する長鎖ポリマーの感圧接着剤が、予期不能なほどうまく得られる。本発明によれば、特に、そのベースポリマー成分が、重量平均分子量M
W≧450,000g/molかつ多分散性PD≦5、好ましくは≦3.5である、少なくとも1つのポリマーを含む感圧接着剤が特に有利である。該ポリマーは、本発明による方法により組み込まれる、ポリマー骨格中の環状構造要素を含む。
【0118】
先に上で述べたジラジカル生成開始剤の使用において、環状構造要素は、以下を含む群からの要素である。
− 五員環類
− 芳香族六員環類
− 縮合芳香族系
− 橋架け結合で延びる共役π系を有するヘテロ置換ビシクロ[4.4.0]デカジエン、特に4,9−ヘテロ置換ビシクロ[4.4.0]デカ−1,6−ジエン。
【0119】
さらに、重合を調節するために上で引用した少なくとも1つのRAFT調節剤を使用すると、得られたポリマー、特に接着剤または感圧接着剤は、対応したRAFT調節剤の構造要素、すなわち特にX=S、O、またはNであるS−C=X基をポリマー鎖中に有する。したがって、さらに本発明の目的は、とりわけ接着剤としての、好ましくは感圧接着剤としての、特にX=S、O、またはNであるS−C=X基をポリマー鎖中に含むアクリル系のポリマーであり、特に本発明の方法により得られるこうした種類のポリマーである。
【0120】
特に、本発明による方法により得られるポリマーを感圧接着剤として使用するためには、二種以上のポリマーがベースポリマー成分中に存在するときには、全ての高分子に対する多分散性、すなわち全ポリマー共通の多分散性が5以下、好ましくは3.5以下で、その場合、特に好ましくは全ポリマーの重量平均分子量が少なくとも450,000g/molであるのが非常に有利である。
【0121】
ベースポリマー成分の、特に感圧接着剤として使用する場合の特性の調節のための混合のために、特に接着性樹脂である樹脂を混ぜられる。接着性樹脂には、例えば、公知のまた文献に記載された接着性樹脂を使用できる。おおまかには、対応の接着剤と適合性のある(相溶性の)全ての樹脂が使用でき、特に全ての脂肪族の、芳香族の、アルキル芳香族の炭化水素樹脂、純粋モノマー系の炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、官能性炭化水素樹脂、ならびに天然樹脂が、引き合いに出せる。例として、ピネン樹脂、インデン樹脂およびコロホニウム樹脂、それらの不均化、水素化、高分子化、エステル化誘導体および塩、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペンフェノール樹脂、ならびにC5−、C9−およびその他の炭化水素樹脂が挙げられる。これらと他の樹脂の組合せを意図的に使用して、得られる接着剤の特性を所望のように調節することができる。特に好ましくは、全てのポリアクリラートと適合性のある(相溶性の)が使用できる。特に好ましい手順においては、テルペンフェノール樹脂および/またはコロホニウムエステルが加えられる。
【0122】
さらに、任意選択で、充填材、特に粉末状や粒状の充填材(例えば、繊維、中実または中空ガラス球、その他の材料製の微小球、ケイ酸、シリカート)、染料および顔料、特に研磨性および強化性の充填材、例えば、アエロジル(熱分解法シリカ)、白亜(CaCO
3)、二酸化チタン、酸化亜鉛およびカーボンブラック、が使用でき、特に溶融加工の場合には、全組成物に対して0.5〜50重量%という高い含有割合まで使用できる。アエロジルおよび多様な形状の白亜が非常に好ましく充填材として使用でき、このとき特に好ましくはMikrosoehl白亜が使用される。好ましい30重量%までの含有割合では、接着特性(室温での剪断強度、鋼またはPEへの瞬間接着力)は、充填材の添加によって実質的に変化しない。
【0123】
さらに、特にバルク重合およびポリマー溶融体からのさらなる加工の場合、ポリリン酸アンモニウムといった難燃性充填材、さらに電気伝導性充填材(例えば導電性カーボンブラック、炭素繊維および/または銀被覆球)、さらに熱伝導性材料(例えば窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素)、さらに強磁性添加剤(例えば酸化鉄(III))、さらに特に発泡層またはシンタクチックフォーム(例えば膨張剤、ガラス中実球、ガラス中空球、カルボン化微小球、フェノール微小中空球、別の材料製の微小球、膨張性微小バルーン(Expancel(登録商標)、AkzoNobel社)、ケイ酸、シリカート、有機再生可能原料、例えば木粉、有機および/または無機ナノ粒子、繊維)を製造するための増容のための添加剤、さらに老化防止剤、光安定剤、オゾン劣化防止剤、配合剤および/または膨張剤を加え若しくは練り込むことができる。老化防止剤としては、第一級老化防止剤、例えば4−メトキシフェノールまたはIrganox(登録商標) 1076も、また第二級老化防止剤、例えば、Irgafos(登録商標) TNPPまたはIrgafos(登録商標) 168(BASF社)も、さらに互いに組み合わせて使用できる。ここで、さらなる対応したIrganox(登録商標)の銘柄(BASF社)またはHostanox(登録商標)(Clariant社)を引き合いに出しておく。老化に対するさらなる優れた手段として、フェノチアジン(C−ラジカル捕捉剤)、ならびに酸素存在下のヒドロキノンメチルエーテル、さらに酸素そのものも使用できる。
【0124】
任意選択で、通常の可塑剤(可塑化剤)を、特に5重量%までの濃度で添加できる。可塑剤としては、例えば、低分子ポリアクリラート、フタル酸エステル、水溶性可塑剤、軟性樹脂、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、アジピン酸エステルおよび/またはクエン酸エステルが使用される。
【0125】
好ましくは、感圧接着剤の内部強度(凝集性)を架橋によって向上させる。このためには、アクリラート含有感圧接着剤に任意選択で親和性のある架橋性物質を添加できる。架橋剤としては、例えば、ポリマー中に含有された反応性の官能体と反応し、単独または相互に組み合わされて使用できる、金属キレート、多官能性イソシアナート、多官能性アミン、多官能性エポキシ、多官能性オキサゾリンおよび多官能性カルボジイミドが適している。多官能性アクリラートはまた化学線照射用の架橋剤として有利に使用できる。
【0126】
架橋によって、ポリマーの凝集性、またそれにより剪断強度も向上する。結合は非常に安定的である。これにより非常に老化安定性および熱安定性のある製品、例えば接着テープ、粘弾性支持体材料、または成形体が可能となる。
【0127】
さらなる方法の実施法
バルク重合で製造されたポリアクリラートの場合、さらなる加工は好ましくは溶融体から行い、そこで、例えば、場合により加えられる添加剤と共にコンパウンド化も行える。ポリマーは続いて混練機に移送されるが、この点において、本発明による方法の特別な実施形態においては、重合とコンパウンド化が同一の反応器で行うことができる。
【0128】
特に混練機として、押出機を用いることができる。ポリマーは、既に溶融状態のものを供給するか、混練機中で溶融するまで加熱するかのどちらかにより、混練機中で溶融している。混練機中で重合体は、加熱により溶融したままに維持され、上述した樹脂、充填材および架橋剤を混ぜ合わせ、均一化することができる。混練機中の処理温度は通常80〜150℃、特に100〜120℃である。
【0129】
剤のコンパウンド化の後、ポリマーは、例えば、特に接着テープまたは感圧接着テープの形態で(感圧)接着剤として使用するとき、恒久的若しくは一時的支持体への塗工といったさらなる加工を施される(恒久的支持体は、使用の際接着剤層と結合したまま留まり、一方一時的支持体は、下流の加工工程で、例えば接着テープの製品化加工時、若しくは使用時に接着剤層からまた除去される)。
【0130】
粘着性接着剤の塗工は、当業者に周知のホットメルト塗工ノズルで、または、好ましくは、塗工カレンダとも呼ばれるロール・コータで行われる。塗工カレンダは、有利には2本、3本、または、さらに多くのロールからなる。
【0131】
塗工は、国際公開第2006/027387A1号、12頁5行〜20頁13行、かつとりわけ「変化形A」(12頁)、「変化形B」(13頁)、「変化形C」(15頁)、「方法D」(17頁)、「変化形E」(19頁)の項、ならびに
図1〜6の図に記載されている塗工方法に従うことで特に有利に行われる。国際公開第2006/027387A1号(特許文献10)の上述した開示箇所および追加的に欧州公開第1978069A1号(特許文献11)は、したがって明確に本明細書中の開示内容に組み込まれる。
【0132】
溶媒重合により製造したポリアクリラートの場合は、感圧接着剤として使用するポリマーを溶液から支持体若しくは支持体材料上に層として塗工するのが、本発明の方法に対して有利であるが、溶媒を除去し、後の加工は上述したように溶融体で行うのも同様に本発明の方法の有利な実施形態である。
【0133】
本発明の方法の直上に記述した変化形には、支持体材料として、好ましくは、当業者に周知の通常の材料、例えば、フィルム(ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、二軸延伸PP(BOPP)、一軸延伸PP(MOPP)、ポリ塩化ビニル(PVC))、不織布、発泡体、織布および織布フィルム、ならびに剥離紙(グラシン紙、低圧ポリエチレン(HDPE)、高圧ポリエチレン(LDPE))が使用される。上記に列挙したものが全てではない。
【0134】
好適な用途
本発明により製造されたポリアクリラートは、多様な用途に使用できる。以下に、いくつかの特に好適な使用分野を例示する。
【0135】
本発明による方法により製造されたポリマー、特にポリアクリラートは、特に感圧接着剤として、好ましくは接着テープ用の感圧接着剤として使用され、このときアクリラート感圧接着剤は、片面若しくは両面フィルムとして支持フィルム上にある。このポリアクリラートは、このポリマーと塗工方法、特に溶融体からの塗工によれば、ほとんど任意の剤塗工厚さ、好ましくは100g/m
2超、特に好ましくは200g/m
2超が可能であるので、一層に厚く剤を塗工する必要があるときに特に適している。好適な用途としては、全てを列挙しているわけではないが、例えば、工業用接着テープ、特に建築用途、例えば、絶縁テープ、腐食防止テープ、アルミニウム接着テープ、織布強化フィルム接着テープ(ダクトテープ)、建築用特殊接着テープ、例えば、防湿テープ、組立て用接着テープ、ケーブル用巻きテープ、粘着性フィルムおよび/または紙ラベルがある。
【0136】
本発明により製造された接着剤、特に感圧接着剤は、支持体の無い接着テープ(いわゆる「接着剤転写テープ」)としての使用にも抜群に適している。こうした(感圧)接着剤層は、取り扱い性を良くするため、通常一時的支持体上に暫間的に置かれ、使用時にこれは再度除去する。
【0137】
本発明による方法により製造されたポリアクリラートは、接着剤転写テープ、または、片面若しくは両面接着テープでのヒートシール接着剤として用いられる。ここで支持体付き感圧接着テープ用の支持体も、本発明により得られた粘弾性ポリアクリラートであることができる。
【0138】
両面に感圧接着層を付ける代りに、少なくとも片面にホットメルト接着剤層または熱活性化接着剤層を用いることができる。そうした非対称性接着テープは、重要な基質を大きな接着強度で接着することができる。そうした接着テープは、例えば、EPDMゴム型材を自動車に固定するのに用いることができる。
【0139】
実験事項
以下の例示的実験により本発明をさらに詳細に説明するが、示された例の選択により本発明を不必要に狭めるものではない。
【0140】
測定法(全般)
K値(フィケンチャーによる)(測定法A1)
K値は高分子材料の平均分子サイズに対する尺度である。測定には1%(1g/100mL)のポリマーのトルエン溶液を作製し、その動粘度をVOGEL−OSSAG−粘度計を用いて測定した。トルエンの粘度に対して規格化を行った後相対粘度を得て、これからフィケンチャーによってK値が計算できる(ポリマー、1967年、8、381頁以降)。
【0141】
ゲル浸透クロマトグラフィーGPC(測定法A2)
本明細書における重量平均分子量M
Wおよび多分散性PDの数値表現は、ゲル浸透クロマトグラフィーでの測定に依っている。測定は、100μLのろ過で生成した試料(試料濃度4g/L)について行う。溶出剤としては、0.1体積%トリフルオロ酢酸の入ったテトラヒドロフランを用いる。測定は25℃で行う。プレカラムにはコラムPSS−SDV型、5μ、10
3Å、ID8.0mmx50mmを使用する。分画には、コラムPSS−SDV型、5μ、10
3Åならびに10
5Åおよび10
6Åで、それぞれID8.0mmx300mmを使用する(コラム:Polymer Standards Service社;検出:示差屈折計ShodexRI71による)。流量は、1.0mL/分である。較正は、PMMA標準に対し行う(ポリメチルメタクリラート較正)。
【0142】
固体含量(測定法A3)
固体含量は、ポリマー溶液中の非揮発性構成要素の含有割合の尺度である。これは重量測定で求められ、その際は、溶液の秤量後、2時間120℃で乾燥棚中において揮発分を蒸散させ残量を再度測定する。
【0143】
測定法(特に感圧接着剤)
180°接着力試験(測定法H1)
ポリエステル上に層として塗工されたアクリラート感圧接着剤の20mm幅のバンドを、事前にアセトンで2度、イソプロパノールで1度洗浄した鋼板上に貼り付けた。感圧接着バンドは、2kgの錘に対応する接触圧で2度基質に押し付けられた。接着テープは、引き続いて直ちに300mm/分の速度および180°の角度で基質から引き剥がされた。全ての測定は室温で実施された。
測定結果はN/cm単位で示され、3回の測定の平均を取っている。同様にポリエチレン(PE)への接着力を測定した。
【0144】
剪断耐久時間(測定法H2)
接着テープの幅が13mmで長さが20mm超(例えば30mm)のバンドを、事前にアセトンで3度、イソプロパノールで1度洗浄した平滑な鋼表面上に、接着面が20mmX13mm(長さX幅)で、該接着面の短辺が鋼板の一辺と揃うように、また該接着テープが鋼板のこの辺を超えて遊離状態で突出するように(例えば、上述した30mmの長さに対応して10mm)、貼り付けた。続いて接着テープの接着面の領域を2kgの錘に対応する接触圧で4度鋼板に押し付けた。
【0145】
鋼板を、前述の鋼板の辺が下を指し、接着テープの突出した先端が自由に下に向けてぶら下がるように懸架した。室温において、1kgの錘を接着テープの突出した先端に固定し、接着テープの剥離過程を観察した。測定は、加熱棚で標準環境(23℃、55%空気湿度)および70℃で行う。測定された剪断耐久時間は、接着テープが支持体から落下した時間を分で与えられ(接着テープの下地からの完全な剥離までの時間、10,000分で測定を中止)、3回の測定の算術的平均値に対応する。
【0146】
ミクロ剪断試験(測定法H3)
この試験は、温度負荷をかけながらの接着テープの剪断強度の迅速試験となる。
ミクロ剪断試験用の測定試料作製
各試料片から切り出された接着テープ(長さ約50mm、幅10mm)を、アセトンで洗浄した鋼試験板に、鋼板が接着テープの左右に突出し、接着テープが試験板を上縁で2mmだけ突出するように貼り付ける。試料の接着面は、高さX幅=13mmX10mmである。引き続き、接着箇所を2kgの鋼製ロールにより速度10m/分で6回だけ転動する。接着テープを、動程測定子の支持面として働く堅固な接着バンドで耳を揃えて強化する。試料は、試験板により垂直に吊るされる。
【0147】
ミクロ剪断試験
測定する試料片の下端に100gの重量をかける。試験温度は40℃、試験時間は30分である(15分間負荷、15分間無負荷)。一定温度での所定の試験時間後のずり長さが、結果としてμm単位で、すなわち最大値(「max」:15分の負荷後の最大ずり長さ)、最小値(「min」:負荷除去後15分後のずり長さ(「残留ずり」)、負荷除去により緩和による逆戻りが生じる)として与えられる。同様に弾性割合が%単位で与えられる(「elast」:弾性割合=(max−min)・100/max)。
【0149】
ジラジカル生成開始剤の合成
ジラジカル開始剤3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジイン(式12)の合成を、J.Org.Chem.、1994年、59、5038頁に記載の方法によって行った。
【0150】
バルク重合に対する一般的実験規則(AV1)
後で加えられるモノマーの量に対して0.05重量%のジラジカル開始剤3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジインを窒素中で管中に投入し、続いてモノマーおよびRAFT調節剤1−シアノ−1−メチルエチルベンゼンカルボジチオアートを加えた。管を閉じ、油浴中で3時間80℃に加熱し、続いて0.15重量%のビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−ペルオキシジカルボナートで反応を再び開始し、またさらに2時間経過後あらためて0.15重量%のビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−ペルオキシジカルボナートで反応を再び開始した。12時間後重合を中止したが、ポリマーは、格段の浄化をすることなく、感圧接着剤の製造へのさらなる加工のために使用できる。分析のため、ポリマーは、THFに溶解し、低温のメタノールで沈澱させた。該ポリマーはろ過後、真空中で乾燥した。転換率は重量測定により行った。
【0151】
溶液重合に対する一般的実験規則(AV2)
ラジカル重合用の通常の反応器にモノマーとRAFT調節剤1−シアノ−1−メチルエチルベンゼンカルボジチオアートを充填した。撹拌しながら45分間窒素ガスを通じた後、反応器を58℃に昇温し、0.05重量%のジラジカル開始剤3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジインを加えた。続いて外部熱浴を75℃に加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。4時間後反応物を溶媒で希釈した。
5時間後および7時間後にそれぞれ0.15重量%のビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートで反応を再び開始した。22時間の反応時間後重合を中止し、室温に冷却した。重合の転換率は、低温のメタノールで析出後、ろ過と真空中でのポリマーの乾燥後、重量法で求めた。
【0152】
感圧接着剤の例
ポリマーP1〜P9の製造
ベースポリマーP1
ベースポリマーP1は、AV1によるバルク重合で製造されたが、その際300gの2−エチルヘキシルアクリラート、670gのn−ブチルアクリラート、30gのアクリル酸、0.5gの3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジイン(2,78mmol)および61.4mgの1−シアノ−1−メチルエチルベンゼンカルボジチオアート(0.28mmol、原料量比:開始剤/調節剤=10)を使用した。3時間後および5時間後に反応をそれぞれ1.5gのビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートで再び開始した。
【0153】
ベースポリマーP2
ベースポリマーP2は、AV2による溶液重合で製造されたが、その際30kgの2−エチルヘキシルアクリラート、67kgのn−ブチルアクリラート、3kgのアクリル酸、50gの3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジイン(0.28mol)および15.4gの1−シアノ−1−メチルエチルベンゼンカルボジチオアート(69.4mmol、原料量比:開始剤/調節剤=4)を使用した。溶媒として、66kgのアセトンを使用し、4時間後20kgのアセトンで希釈した。5時間後および7時間後に反応をそれぞれ150gのビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートで再び開始した。
【0154】
ベースポリマーP3
ベースポリマーP3は、AV2による溶液重合で製造されたが、その際30kgの2−エチルヘキシルアクリラート、67kgのn−ブチルアクリラート、3kgのアクリル酸、50gの3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジイン(0.28mol)および6.2gの1−シアノ−1−メチルエチルベンゼンカルボジチオアート(28mmol、原料量比:開始剤/調節剤=10)を使用した。溶媒として、66kgのアセトンを使用し、4時間後20kgのアセトンで希釈した。5時間後および7時間後に反応をそれぞれ150gのビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートを使用して反応を再び開始した。
【0155】
ベースポリマーP4
ベースポリマーP4は、AV2による溶液重合で製造されたが、その際30kgの2−エチルヘキシルアクリラート、67kgのn−ブチルアクリラート、3kgのアクリル酸、50gの3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジイン(0.28mol)および3.87gの1−シアノ−1−メチルエチルベンゼンカルボジチオアート(17.5mmol、原料量比:開始剤/調節剤=16)を使用した。溶媒として、66kgのアセトンを使用し、4時間後20kgのアセトンで希釈した。5時間後および7時間後に反応をそれぞれ150gのビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートを使用して反応を再び開始した。
【0156】
比較ポリマーP5(RAFT調節剤無しでのバルク重合)
比較ポリマーP5は、AV1によるバルク重合で製造されたが、その際300gの2−エチルヘキシルアクリラート、670gのn−ブチルアクリラート、30gのアクリル酸、および0.5gの3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジイン(2,78mmol)を使用した。3時間後および5時間後に反応をそれぞれ1.5gのビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートを使用して反応を再び開始した。
【0157】
比較ポリマーP6(RAFT調節剤無しでの溶液重合)
比較ポリマーP6は、AV2による溶液重合で製造されたが、その際30kgの2−エチルヘキシルアクリラート、67kgのn−ブチルアクリラート、3kgのアクリル酸、および50gの3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジイン(0.28mol)を使用した。溶媒として、66kgのアセトンを使用し、4時間後20kgのアセトンで希釈した。5時間後および7時間後に反応をそれぞれ150gのビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートを使用して反応を再び開始した。
【0158】
比較ポリマーP7(開始剤/調節剤比>64)
比較ポリマーP7は、AV2による溶液重合で製造されたが、その際30kgの2−エチルヘキシルアクリラート、67kgのn−ブチルアクリラート、3kgのアクリル酸、50gの3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジイン(0.28mol)および88.5mgの1−シアノ−1−メチルエチルベンゼンカルボジチオアート(4mmol、原料量比:開始剤/調節剤=70)を使用した。溶媒として、66kgのアセトンを使用し、4時間後20kgのアセトンで希釈した。5時間後および7時間後に反応をそれぞれ150gのビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートを使用して反応を再び開始した。
【0159】
比較ポリマーP8(開始剤/調節剤比<2)
比較ポリマーP8は、AV2による溶液重合で製造されたが、その際30kgの2−エチルヘキシルアクリラート、67kgのn−ブチルアクリラート、3kgのアクリル酸、50gの3,4−ベンゾシクロデカ−3−エン−1,5−ジイン(0.28mol)および62gの1−シアノ−1−メチルエチルベンゼンカルボジチオアート(0.28mmol、原料量比:開始剤/調節剤=1)を使用した。溶媒として、66kgのアセトンを使用し、4時間後20kgのアセトンで希釈した。5時間後および7時間後に反応をそれぞれ150gのビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートを使用して反応を再び開始した。
【0160】
比較ポリマーP9(ジラジカル開始剤に代ってアゾ開始剤を使用)
比較ポリマーP9は、AV2による溶液重合で製造されたが、その際30kgの2−エチルヘキシルアクリラート、67kgのn−ブチルアクリラート、3kgのアクリル酸、107.7gの2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(0.56mol)および6.2gの1−シアノ−1−メチルエチルベンゼンカルボジチオアート(28mmol、原料量比:開始剤/調節剤=10)を使用した。溶媒として、66kgのアセトンを使用し、4時間後20kgのアセトンで希釈した。5時間後および7時間後に反応をそれぞれ150gのビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートを使用して反応を再び開始した。
【0162】
表1のデータから明らかなように、RAFT調節剤と組み合わされたジラジカル開始剤での重合の開始により、狭い分子量分布(低い多分散性)を有する高分子量を示すポリマーが得られ、またその重合を非常に良好な転換率で行うことができる。開始剤と調節剤の比を変えて、その商が本発明に従う値64より大きくすると多分散性が悪化し、転換率も少し下がる(比較例P7)。この比を本発明に従う値2より小さくなるように選ぶと、転換率が著しく低下する(比較例P8)。これは当業者にとって驚くべきことである。重合調節剤を完全に止めてしまうと、たしかに高分子量は達成できるが、多分散性が悪化する(比較例P5およびP6)。通常の単官能性アザ開始剤の使用は、明瞭に低い分子量(比較例P9)を与える。
【0163】
感圧接着剤B1〜B4の製造
ベースポリマーP1およびP3ならびに比較ポリマーP6およびP9を、既に溶液でない場合アセトンに溶解し、30重量%の樹脂Dertophene(登録商標) T105と混合する。続いて、これらの樹脂変性アクリラート系感圧接着剤B1〜B4を、ポリマーに対して0.2重量%のアルミニウムアセチルアセトナートと混合し、アセトンで固体含量30%(測定法A3)に希釈し、次に溶液を用いてエッチングした23μm厚さのPETフィルムに塗工した(塗工速度2.5m/分、トンネル乾燥機15m、温度ゾーン1:40℃、ゾーン2:70℃、ゾーン3:95℃、ゾーン4:105℃)。剤塗工量は100g/m
2であった。
【0164】
例B1〜B4の接着性データを表2にまとめた。本発明による例においては、温度の影響化にあっても、非常に性能の良い接着テープ、とりわけ極性および非極性の基質(鋼およびポリエチレン)への良好な接着力、および良好な凝集性を示す接着テープを製造できることが示されている。