(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、所定サイズに対する伝達可能な出力を増大させ、駆動装置における迅速且つ安価な維持を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明は、
− ギアリングが螺旋状の歯を有し、
− 各出力ピニオンが螺旋状の歯を有し、
− 各出力モジュールが、挿入方向において関連するケース内に一体として挿入されるか、または撤去方向において関連するケースから一体として撤去されることが可能であり、挿入方向及び撤去方向は、出力軸線と平行に延伸し、
− 駆動装置は、少なくとも1つの出力モジュールのために、切り離し可能な接続手段であって、出力シャフトを伝達要素に回転可能に接続させることに適しており、且つ切り離し状態において、出力モジュールのケースの外部への撤去時または出力モジュールのケース内への挿入中に、出力ピニオンが出力軸線回りに回転することを可能とする、切り離し可能な接続手段を備えていることを特徴とする、上記の駆動装置に関する。
【0008】
別の実施形態によれば、本発明は、以下の特徴の1つ以上を含んでもよい。
− 伝達要素は、出力シャフト、特に螺旋状の歯を有する歯付出力ホイールまたは出力フランジのどちらかに配置された出力要素である。
− 伝達要素は、切り離し可能な接続手段が切り離し状態にあると、出力シャフト上に軸方向に固定される。
− それぞれの伝達要素が出力歯車であり、駆動装置は、1つを除くそれぞれの出力モジュールのために、切り離し可能な接続手段であって、出力シャフトを出力歯車に回転可能に接続することに適し、且つ切り離し状態において、出力モジュールのケースからの撤去中または出力モジュールのケース内への挿入中に出力ピニオンが出力軸線回りに回転することを可能にする、切り離し可能な接続手段を備え、且つ切り離し可能な接続手段を含まない出力モジュールの出力ピニオン及び出力歯車が同一の螺旋ピッチを有するか、または、駆動装置は、それぞれの出力モジュールのために、切り離し可能な接続手段であって、出力シャフトを出力歯車に回転可能に接続させることに適し、且つ切り離し状態において、出力モジュールのケースからの撤去中または出力モジュールのケース内への挿入中に出力ピニオンが出力軸線回りに回転することを可能にする、切り離し可能な接続手段を備え、出力ピニオン及び出力歯車は、異なる螺旋ピッチを有する。
− 伝達要素は、中間要素であり、切り離し可能な接続手段は、接続ピニオン及び接続歯車を備え、接続ピニオンは、接続位置と切り離し位置との間で移動可能である。
− 伝達要素は、伝達フランジであり、切り離し可能な接続手段は、スペーサー及び出力シャフトに留められた出力フランジを備え、スペーサーの軸方向の長さLは、出力モジュールをケースから軸方向に撤去するために必要な軸方向の距離、好ましくは出力モジュールの少なくとも軸方向の長さに少なくとも等しい。
− 第1減速機に接続された第1駆動モーターを備え、伝達要素及びモーターは、ギアリングにおける軸方向の両側に配置されるか、またはギアリングにおける軸方向の同じ側に配置される。
− 第2減速機及び第2駆動モーターを備える。
本発明は、粉砕チャンバー及び駆動装置を有するミル、特に水平ミルにおいて、駆動装置は、上記で規定した駆動装置であることを特徴とするミルにも関する。
【0009】
本発明は、単に例として提供され且つ添付の図面を参照してなされた以下の説明を読むことにより、よりよく理解される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、全体として参照符号2で示した本発明の第1実施形態による水平ミルを示している。水平ミル2は、粉砕チャンバー4及び駆動装置6を備えている。
【0012】
粉砕チャンバー4は、中心軸線X−Xを規定している。中心軸線X−Xは、水平に配置され、粉砕チャンバー4は、いくつかのベアリング(図示せず)上に中心軸線X−X回りに回転可能に収納されている。
【0013】
駆動装置6は、粉砕チャンバー4に留められ且つ中心軸線X−Xと同一のリング軸線の周囲に延在したギアリング10を備えている。ギアリングは、螺旋状の歯を備えている。
【0014】
駆動装置6は、第1モーター12及び第1減速機14を備えている。第1減速機14は、第1モーター12のモーターシャフトの回転をギアリング10へ伝達することに適している。
【0015】
図1の実施形態には、ギアリング10を駆動することに適した単一のモーター12及び単一の減速機14が設けられている。
【0016】
第1減速機14には、
図1において破線で示したケース16が設けられている。また、第1減速機14は、少なくとも1つの出力モジュール18、この実施形態においては同一の2つの出力モジュール18を備えている。以降、単一の出力モジュールを説明する。
【0017】
それぞれの出力モジュール18は、出力軸線Y−Yを規定する出力ピニオン20及び出力シャフト22を有している。それぞれの出力モジュール18は、ケース16内に収納され且つ出力軸線Y−Y回りに回転される。撤去方向Rが、モーター12から離れるように方向付けられている。
【0018】
各出力ピニオン20は、ギアリング10と噛合している。各出力ピニオン20は、螺旋状の歯を有している。
【0019】
各出力モジュール18は、挿入方向Iにおいてケース16内に一体として挿入され、且つ/または、撤去方向Rにおいてケース16から一体として取り外すことができる。挿入方向I及び撤去方向Rは、反対方向であり且つ出力軸線Y−Yと平行に延伸している。撤去方向Rは、モーター12から離れるように方向付けられている。
【0020】
ギアリング10及び出力ピニオン20が螺旋状の歯を有するとの前提で、挿入または撤去を容易にするために、駆動装置6は、それぞれの出力モジュール18に対するいくつかの切り離し可能な接続手段24を備えている。これら切り離し可能な接続手段24は、出力シャフト22を伝達要素26に回転可能に接続させることに適している。切り離し可能な接続手段24は、接続状態及び切り離し状態を有する。接続状態では、出力シャフト22は、伝達要素26に、伝達要素26とともに回転可能に固定されている。切り離し状態では、切り離し可能な接続手段24は、出力モジュール18をケース16から撤去する間または出力モジュールをケース16内に挿入する間に、出力ピニオン20が出力軸線回りに且つ伝達要素26に対して回転することを可能にする。
【0021】
伝達要素26は、切り離し可能な接続手段24の上流に位置した回転要素である。伝達要素26は、モーター12によって駆動され且つモーター12によって引き起こされる回転を切り離し可能な接続手段24に伝達する。特に、伝達要素26は、切り離し可能な接続手段24から直接上流に位置している。
【0022】
本実施形態において、伝達要素26は、出力シャフト22によって支持された出力歯車28である。
【0023】
あるいは、伝達要素26は、出力シャフト上に配置された他の出力要素、例えば出力フランジ(
図7)であることもできる。
【0024】
本実施形態において、出力歯車28は、螺旋状の歯を有している。
【0025】
図5は、減速機14をより詳細に示している。切り離し可能な接続手段24は、出力歯車28と出力シャフト22との間に配置された接続部である。伝達要素26、すなわち出力歯車28は、切り離し可能な接続手段24が切り離されたときであっても出力シャフト22上に軸方向に固定されている。
【0026】
切り離し可能な接続手段24は、出力シャフト22及び出力歯車28上に構成した複数の協働円錐面とすることができる。
【0027】
また、接続手段24は、収縮ディスク (shrink disk) または組立てディスク (assembly disc) であってもよい。また、これら接続手段は、膨張可能組立体であってもよい。
【0028】
また、第1減速機14は、接続ピニオン30及び接続シャフト32を備えていることが分かる。モーター12のモーターシャフトは、接続シャフト32に、直接、すなわち減速器なく例えばギア連結のみを用いて固定されている。
【0029】
接続ピニオン30は、第1減速機14における2つの出力歯車28双方と同時に噛合する。
【0030】
伝達要素26、本実施形態では歯付出力シャフト28と、第1モーター12と、は、ギアリング10における軸方向の両側に配置されている。これは、ミルを小型構造にすることを可能にする。
【0031】
また、出力モジュール18は、出力ピニオン20の両側に配置された2つのベアリング34,36と、ガイドベアリング38と、を備えている。
【0032】
ベアリング34の外径は、撤去中にベアリング34がギアリング10と干渉しないようにされている。
【0033】
ガイドベアリング38の外径は、出力ピニオン20の直径よりも大きく、これにより、ピニオンとケース16との間の干渉を防いでいる。
【0034】
図5の減速機の分解方法は、以下のステップを備える。
【0035】
方法は、
図5Aに示される形態から開始し、この形態では、出力モジュール18は、ケース16内に配置されている。各出力ピニオン20は、ギアリング10と噛合し、それぞれの出力歯車28は、接続ピニオン30と噛合している。切り離し可能な接続手段24は、歯付出力シャフト28及び出力シャフト22に接続され、且つ出力歯車28を出力シャフト22に回転可能に固定する。
【0036】
続いて、切り離し可能な接続手段24が切り離される。この段階では、出力歯車28は、出力シャフト22上で出力軸線Y−Yに対して軸方向に静止したままであるが、出力シャフト22の周囲を出力軸線Y−Y回りに自由に回転する。この回転は、少なくとも、撤去中における、歯車28と出力ピニオン20との間の螺旋ピッチの差を考慮した異なる角度回転に対応する角度範囲を超えるように行われる。
【0037】
続いて、出力歯車28を含む出力モジュール18は、撤去方向Rに沿って軸方向にオフセットされる。このオフセット中に、出力ピニオンは、出力ピニオン20とギアリング10との螺旋状の歯の影響を受けて出力軸線Y−Y回りに回転する。
【0038】
その後、出力歯車28は、接続ピニオン30から外される(
図5B)。撤去方向Rにおけるオフセットは、出力モジュール18がケース16の外部に完全に位置するまで継続され、出力ピニオン20は、ギアリング10から完全に自由になる(
図5C)。
【0039】
第1の場合によれば、出力ピニオン20及び歯車28それぞれは、同一の螺旋ピッチを有する。この場合、1つを除く少なくともそれぞれの出力モジュール18が、切り離し可能な接続手段24を含む。この場合では、これら切り離し可能な接続手段24は、互いに対する歯の角度位置を調整するために用いられる。出力モジュールは、同一の螺旋ピッチのために軸方向に分解されることができる。
【0040】
第2の場合によれば、出力ピニオン20及び歯車28それぞれは、異なる螺旋ピッチを有する。この場合では、出力モジュール18それぞれが、切り離し可能な接続手段24を含む。この場合では、これら切り離し可能な接続手段24は、互いに対する歯の角度位置を調整するために用いられることができる。出力モジュールは、切り離し可能な接続手段24のために軸方向に分解されることができる。
【0041】
図2は、第2実施形態による駆動装置を示し、この駆動装置は、以下で説明することのみが
図1のものと異なる。類似の要素には、同じ参照符号を付した。
【0042】
第1モーター12は、直接的にではなく第1中間減速機40を用いて接続シャフト32に接続されている。中間減速機40は、互いに対して径方向にオフセットされた入力シャフト42及び減速出力シャフト44を備えている。従って、接続シャフト32及びモーターシャフトは、互いに対して径方向にオフセットされている。
【0043】
第1中間減速機40は、ミル2に高い適応性を授けて、起こり得るいかなるスペースの制約に対してもモーター12の位置を適応させることを可能にする。さらに、第1中間減速機40は、モーター12の速度を出力ピニオンの定格速度に適応させることを可能にする。
【0044】
図3は、本発明による駆動装置の第3実施形態を示している。この駆動装置は、以下で説明することのみが
図1の駆動装置と異なる。類似の要素には、同じ参照符号を付した。
【0045】
駆動装置6は、第1モーター12、第1減速機14、第2モーター12及び第2減速機14を含む。第2モーター12及び第2減速機14は、上述した第1モーター12及び第1減速機14と同一の特徴を有している。
【0046】
従って、駆動装置は、4つの出力ピニオン20を有しており、この4つのうち少なくとも2つが、一の減速機14と関連し且つその都度モーター12によって駆動される。
【0047】
この実施形態は、ギアリング10でモーターの出力を蓄積することを可能にする。
【0048】
図4は、本発明による駆動装置の第4実施形態を示している。この駆動装置6は、以下で説明することのみが
図2のものと異なる。類似の要素には、同じ参照符号を付した。
【0049】
この駆動装置6は、第2減速機14、第2モーター12及び第2中間減速機40を含む。第2モーター12、第2減速機14及び第2中間減速機40は、上述した第1モーター12、第1減速機14及び第1中間減速機40と同一の特徴を有している。
【0050】
図6は、本発明の第2の変形例による第1減速機14の詳細を示している。この変形例は、以下で説明することのみが上述した第1減速機14と異なる。類似の要素には、同じ参照符号を付した。
【0051】
伝達要素26は、モーター12と切り離し可能な接続手段24との間に配置された取外し可能な中間要素50である。切り離し可能な接続手段24は、接続ピニオン52及び接続歯車54を備えている。接続歯車54は、切り離し可能な接続手段24が接続状態にあるとき及び切り離し可能な接続手段24が切り離し状態にあるとき双方において、出力シャフト22上に軸方向及び径方向に固定されている。
【0052】
接続ピニオン52は、1つまたはそれぞれの接続歯車54と噛合する接続位置と、接続歯車54と接触しない切り離し位置(
図6B)と、の間で切り離し方向Dにおいて移動可能である。切り離し方向Dは、接続ピニオン52に結合された駆動モーター12に向かって方向付けられている。あるいは、切り離し方向は、接続ピニオン52に結合された駆動モーター12の反対側に方向付けられている。
【0053】
駆動装置6は、以下のように分解される。
【0054】
方法は、
図6Aに示される形態から開始する。
図6Aは、接続状態にある切り離し可能な接続手段24を示す。接続ピニオン52は、それぞれの接続歯車54と噛合する。伝達要素26は、接続ピニオン52をモーター12に接続する。
【0055】
まず、中間要素50が外され、また、これは、接続ピニオン52がその切り離し位置に向かって軸方向に変位することも可能にする(
図6B参照)。
【0056】
その後、出力ピニオン20を備える出力モジュール18、出力シャフト22、ベアリング34,36、ガイドベアリング38及び接続歯車54は、出力ピニオン20がギアリング10と接触しなくなるまで撤去方向Rにおいて軸方向にオフセットされる。この撤去中に、接続歯車54が接続ピニオン52に接触しないという事実は、ギアリング10と出力ピニオン20との螺旋状の歯の影響を受けて出力モジュール18が出力軸線Y−Y回りに回転することを可能にする(
図6C参照)。
【0057】
その後、出力モジュール18は、ケース16から完全に撤去されることができる。
【0058】
この変形例は、2つの出力ピニオン20に対して切り離し可能な接続手段24が1つだけ必要であるという利点を有する。
【0059】
図7は、本発明による駆動装置の第3の変形例を示している。この装置は、以下で説明するように
図5に示したものと異なり、類似の要素には同じ参照符号を付した。
【0060】
伝達要素26は、出力シャフト22上に配置された出力要素、この場合において出力フランジ60である。出力フランジ60は、切り離し可能な接続手段24によって出力シャフト22に接続されている。
【0061】
伝達要素26及び関連する駆動モーター12は、ギアリング10における軸方向の同じ側に配置されている。
【0062】
伝達要素26は、中間減速機(図示せず)を用いて駆動モーター12に接続することができる。この中間減速機は、
図6の接続ピニオン52及び接続歯車54と同様、単一の接続ピニオン、及び、各出力ピニオン20のための接続歯車を含む。中間減速機は、さらなる別の場合において、ケース16から独立して配置されている。
【0063】
図8は、本発明による駆動装置の第4の変形例を示している。この変形例は、以下で説明することのみが
図7の変形例と異なる。類似の要素には、同じ参照符号を付した。
【0064】
伝達要素26は、モーター12に対して取り外せないように回転可能に固定された伝達フランジ60である。
【0065】
切り離し可能な接続手段24は、スペーサー70及び出力フランジ72を備えている。出力フランジ72は、出力シャフト22に取り外せないように固定されている。
【0066】
スペーサー70の軸方向の長さLは、出力モジュール18をケース16から軸方向に撤去するために必要な距離と少なくとも等しい。この場合において、スペース70の軸方向の長さは、出力モジュールの軸方向の長さと少なくとも等しい。
【0067】
第4の変形例による駆動装置6は、以下のように分解される。
【0068】
まず、スペーサー70と伝達要素26及び出力フランジ72との間の接続が解除される(
図8A)。
【0069】
その後、スペーサー70は、伝達要素26と出力フランジ72との間から撤去される。この撤去は、出力軸線Y−Yに対して径方向になされる(
図8B)。
【0070】
続いて、少なくとも出力ピニオン20を含む出力モジュール18、出力シャフト22及び出力フランジ72は、撤去方向Rにおいてケース16から撤去される(
図8C/
図8D)。
【0071】
本発明による駆動装置は、以下の利点を有する。
− 減速機は、出力ピニオンの迅速な分解を可能にする。
− 出力モジュールの撤去/挿入中に、ケースを分解するかまたは移動させる必要がない。
− 撤去は、出力モジュールまたは出力ピニオンとギアリングとの噛合部に悪影響を及ぼさない。
− 操作者は、基本能力のみを必要とする、すなわち保守技術者としての能力があれば十分である。
− 切り離し可能な接続手段24以外の部材を分離することを必要としない(減速機の主要要素としてのモータ)。
− 出力モジュールの撤去及び挿入にかかる作業時間が短い(<24時間)。
− 撤去/挿入には、大きい工具または持上手段を必要としない。
− 動かす必要のある寸法は、既存の解決手段における減速機全体の寸法と比較すると、部分組立体の寸法に過ぎない。
− それぞれの伝達ピニオンは、他の部材と独立して分解することが可能である。