(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかるズームレンズ及びこのズームレンズを備えた撮像装置の実施形態及び実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態及び実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
以下の説明において、厚みとは、物体側からの光線がズームレンズに入射する方向の長さである。例えば、ズームレンズが反射部材を有する場合、ズームレンズの厚みは、最も物体側のレンズ面(物体側の屈折面)から反射部材までの長さになる。
【0017】
本実施形態のズームレンズは、正屈折力の第1正レンズ群と、負屈折力の第1負レンズ群と、絞りと、正屈折力の第2正レンズ群と、を有し、第1正レンズ群と、第1負レンズ群とが、物体側から像側に、この順で配置され、第2正レンズ群は、第1負レンズ群よりも像側に配置され、絞りは、第1負レンズ群と第2正レンズ群の間に配置され、第1正レンズ群、第1負レンズ群及び第2正レンズ群は、それぞれレンズ成分を有し、広角端から望遠端への変倍時に、第1正レンズ群は静止し、第1負レンズ群は像側に移動して絞りに近づき、第2正レンズ群は物体側に移動して絞りに近づき、合焦時、第1正レンズ群は静止し、第1正レンズ群は、光路を折り曲げる反射面を有する反射部材と、第1正レンズ群物体側系と、を備え、第1正レンズ群物体側系は、反射面よりも物体側に位置すると共に、負屈折力を有し、以下の条件式(1)、(2)及び(3)を満足することを特徴とする。
3.7<f
t/f
w (1)
1.55<|D
1N/D
2P|<2.5 (2)
1.75<|f
2P/D
2P|<2.5 (3)
ただし、
f
tは、望遠端におけるズームレンズ全系の焦点距離、
f
wは、広角端におけるズームレンズ全系の焦点距離であって、
いずれも無限遠物体に合焦したときの焦点距離、
D
1N=D
1NIt−D
1NIw、D
2P=D
2PIt−D
2PIwであり、
D
1NItは、望遠端における第1負レンズ群と像面との間の距離、
D
1NIwは、広角端における第1負レンズ群と像面との間の距離、
D
2PItは、望遠端における第2正レンズ群と像面との間の距離、
D
2PIwは、広角端における第2正レンズ群と像面との間の距離であって、
いずれも無限遠物体に合焦したときの距離、
f
2Pは、第2正レンズ群の焦点距離、
レンズ成分は、空気と接する屈折面として物体側面と像側面の2面を有している、
である。
【0018】
本実施形態のズームレンズは、正屈折力の第1正レンズ群と、負屈折力の第1負レンズ群と、絞りと、正屈折力の第2正レンズ群と、を有し、第1正レンズ群と、第1負レンズ群とが、物体側から像側に、この順で配置され、第2正レンズ群は、第1負レンズ群よりも像側に配置され、絞りは、第1負レンズ群と第2正レンズ群の間に配置されている。
【0019】
このような構成にすることで、ズームレンズの厚みを薄くできる。また、このような構成は、ズームレンズの全長の短縮化と、高い変倍比の確保に有利となる。また、屈折力配置(屈折力の並び)が正、負、正となっているため、屈折力配置の対称性を高めることが容易となる。そして、このような構成は、変倍時における軸外の収差変動を小さく抑えることに適する。よって、特に、非点収差やコマ収差について、変倍時に、これらの収差が良好に補正された状態を保つことが容易になる。
【0020】
また、第1正レンズ群、第1負レンズ群及び第2正レンズ群は、それぞれレンズ成分を有している。ここで、レンズ成分は、空気と接する屈折面として物体側面と像側面の2面を有している。レンズ成分としては、例えば、単レンズや接合レンズがある。これらのレンズは、物体側面と像側面の2面で構成されている。また、反射部材が入射面、反射面及び出射面を有し、入射面と出射面の少なくとも一方がレンズ面である場合、このような反射部材もレンズ成分に含まれる。
【0021】
また、広角端から望遠端への変倍時に、第1正レンズ群は静止し、第1負レンズ群は像側に移動して絞りに近づき、第2正レンズ群は物体側に移動して絞りに近づく。
【0022】
第1負レンズ群と第2正レンズ群は、変倍時に移動する変倍レンズ群として機能する。第1負レンズ群と第2正レンズ群との間に絞りを配置することで、広角端にて、それぞれの変倍レンズ群に対して、絞りを適度に離すことができる。その結果、第1負レンズ群の有効口径と第2正レンズ群の有効口径が、共に大きくなることを抑えられる。加えて、望遠端にて第1負レンズ群と第2正レンズ群を絞りの近くに配置できるので、このようにすることは十分な変倍比の確保に有利となっている。なお、絞りは開口絞りであって、この絞りによって光学系のFナンバが決まる。
【0023】
また、上述の構成にすると、第1負レンズ群の屈折力と第2正レンズ群の屈折力の各々を大きくできるので、入射瞳を物体側に近づけられる。また、第1負レンズ群と第2正レンズ群の各々で、変倍作用を高められる。この結果、光学系を広画角化しても、第1正レンズ群の径を小さくできると共に、高い変倍比の確保がより容易となる。
【0024】
また、第1正レンズ群は、変倍時だけでなく、合焦時も静止している。このようにすることで、駆動機構に対する負荷を軽減できる。また、ズームレンズや撮像装置内へのゴミの侵入を低減できるので、撮像素子へのゴミの付着を防止できる。また、ズームレンズにおける光学系(レンズ群)のレイアウトをより簡素化できる。その結果、より小型の撮像装置を実現できる。
【0025】
また、第1正レンズ群は、光路を折り曲げる反射面を有する反射部材と、第1正レンズ群物体側系と、を備え、第1正レンズ群物体側系は、反射面よりも物体側に位置すると共に、負屈折力を有する。
【0026】
第1正レンズ群物体側系の屈折力を負屈折力とすることで、広角端で広い画角を確保しつつ、反射部材の小型化ができる。これにより、第1正レンズ群の小型化が実現できる。
【0027】
そして、以上の構成を備えた上で、以下の条件式(1)、(2)及び(3)を満足することが好ましい。
3.7<f
t/f
w (1)
1.55<|D
1N/D
2P|<2.5 (2)
1.75<|f
2P/D
2P|<2.5 (3)
ただし、
f
tは、望遠端におけるズームレンズ全系の焦点距離、
f
wは、広角端におけるズームレンズ全系の焦点距離であって、
いずれも無限遠物体に合焦したときの焦点距離、
D
1N=D
1NIt−D
1NIw、D
2P=D
2PIt−D
2PIwであり、
D
1NItは、望遠端における第1負レンズ群と像面との間の距離、
D
1NIwは、広角端における第1負レンズ群と像面との間の距離、
D
2PItは、望遠端における第2正レンズ群と像面との間の距離、
D
2PIwは、広角端における第2正レンズ群と像面との間の距離であって、
いずれも無限遠物体に合焦したときの距離、
f
2Pは、第2正レンズ群の焦点距離、
である。
【0028】
条件式(1)はズームレンズの変倍比を表すもので、条件式(2)と(3)の前提となる条件式である。
【0029】
ズームレンズには、多様な撮影シーンに対応できることが望まれる。ここで、撮影シーンの各々には、最も撮影に適した画角が存在する。条件式(1)の下限を下回らないように、十分な変倍比を確保することで、より多様な撮影シーンに対応できるズームレンズを実現できる。
【0030】
条件式(2)と(3)は、条件式(1)の下限値を下回らない変倍比をズームレンズが持つことを前提としている。
【0031】
条件式(2)は、第1負レンズ群の移動量と第2正レンズ群の移動量の比を特定するものである。
【0032】
条件式(2)の下限値を下回らないようにすることで、第1負レンズ群の移動量を十分に確保できる。また、第2正レンズ群の移動量が大きくなることを抑えながら、第1負レンズ群と第2正レンズ群の各々を絞りに近づけるように、これらのレンズ群を移動できる。これにより、第1負レンズ群における変倍の負担割合を適切に確保するとともに、広角端にて大きくなりやすい第2正レンズ群の有効口径を小さくしている。その結果、広角端での画角を広くしても、第2正レンズの有効口径を小さくできる。すなわち、ズームレンズの厚みや撮像装置の厚みを薄くしつつ、広角端において広い画角を確保できる。
【0033】
条件式(2)の上限値を上回らないようにすることで、第1負レンズ群の移動量が大きくなることを適度に抑えられる。これにより、第1負レンズ群における変倍の負担割合が過剰になることを抑えられる。
【0034】
条件式(3)は、第2正レンズ群の焦点距離と第2正レンズ群の移動量の比を特定するものである。
【0035】
条件式(3)の下限値を下回らないように、第2正レンズ群の屈折力が大きくなることを抑えることで、第2正レンズ群における変倍の負担割合が過剰になることを抑えられる。その結果、変倍時の球面収差の変動を抑えられる。
【0036】
条件式(3)の上限値を上回らないように、第2正レンズ群の屈折力を十分に確保することで、第2正レンズ群における変倍の負担割合を十分に確保できる。
【0037】
また、本実施形態のズームレンズでは、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
1.55<|D
1NS/D
2PS|<2.5 (4)
ただし、
D
1NS=D
1NSt−D
1NSw、D
2PS=D
2PSt−D
2PSwであり、
D
1NStは、望遠端における第1負レンズ群と絞りとの間の距離、
D
1NSwは、広角端における第1負レンズ群と絞りとの間の距離、
D
2PStは、望遠端における第2正レンズ群と絞りとの間の距離、
D
2PSwは、広角端における第2正レンズ群と絞りとの間の距離であって、
いずれも、無限遠物体に合焦した時の距離、
である。
【0038】
条件式(4)は、第1負レンズ群と絞りとの距離の変化量と、第2正レンズ群の絞りとの距離の変化量との好ましい比を特定するものである。
【0039】
条件式(4)の下限値を下回らないようにすることで、広角端にて第2正レンズ群が絞りから離れすぎないようにすることができる。これにより、第2正レンズ群の小径化を実現できる。
【0040】
条件式(4)の上限値を上回らないように、広角端にて第1負レンズ群が絞りから離れすぎないようにすることで、第1負レンズ群における変倍の負担割合の過剰を抑えられる。
【0041】
また、本実施形態のズームレンズでは、絞りは、広角端から望遠端への変倍時に位置が固定であることが好ましい。
【0042】
このようにすることで、変倍のための駆動機構を簡略化できる。また、移動するレンズ群の重量増加を抑えることができ、これにより駆動機構に対する負荷を低減できる。
【0043】
また、本実施形態のズームレンズでは、第1負レンズ群よりも像側に位置するレンズ群のうちで、第1負レンズ群の最も近くに位置するレンズ群は、第2正レンズ群であることが好ましい。
【0044】
このようにすることで、ズームレンズの構成を、第1負レンズ群と第2正レンズ群の間に、レンズ群やレンズが配置されない構成にできる。その結果、レンズ群やレンズの数を低減できる。また、このようにすることで、第1負レンズ群と第2正レンズ群の各々について、変倍時の移動スペースを十分に確保することと、これらのレンズ群を絞りに接近させることを両立できる。また、このような構成は、コストの低減に有利となる。
【0045】
また、本実施形態のズームレンズでは、第2正レンズ群よりも像側に、負屈折力の第2負レンズ群が配置され、更に、第2負レンズ群よりも像側に、正屈折力の第3正レンズ群が配置され、広角端から望遠端への変倍時に、第2正レンズ群と第2負レンズ群との間の距離は変化し、第2負レンズ群と第3正レンズ群との間の距離は変化することが好ましい。
【0046】
第2正レンズ群よりも像側に第2負レンズ群を配置することで、第2負レンズ群において軸外光束を光軸から離れる方向に屈折できる。そして、第2負レンズ群よりも像側に第3正レンズ群を配置することで、第3正レンズ群において軸外光束を光軸に沿う方向に屈折できる。このようにすることで、第1正レンズ群から第2負レンズ群までの光学系について、小型化が実現できる。
【0047】
また、このような配置にすることで、ズームレンズ内の屈折力配置の対称性が高まる。その結果、変倍時の軸外収差の変動を抑えられる。また、変倍時、非点収差、コマ収差及びディストーションが良好に補正された状態を保てる。そのため、このような配置は、広画角化にいっそう有利となる。また、このような屈折力配置は、望遠端付近でテレフォトタイプのような効果を強められる。よって、このような配置は、ズームレンズの全長の短縮化に有利となる。
【0048】
また、第2正レンズ群には、第1負レンズ群と同様に、高い変倍作用を持たせている。そこで、第2負レンズ群には、変倍域全域で第2正レンズ群による強い収束作用を緩める作用と、像面側に像をリレーする作用を持たせている。また、第2正レンズ群と第2負レンズ群による変倍作用を適切に確保できる。よって、このような配置は、高変倍化と、第2正レンズ群よりも像側に位置するレンズの小径化に有利となる。
【0049】
また、第1正レンズ群物体側系の負屈折力が大きくなると、第1正レンズ群物体側系で発生する負のディストーションが大きくなるので、この負のディストーションを低減することが好ましい。そこで、絞りよりも像側に第2負レンズ群を配置することで、この第2負レンズ群において適切な大きさの負屈折力を確保できる。よって、このような配置は、第1正レンズ群物体側系で発生する負のディストーションの低減に有利となる。
【0050】
また、第2負レンズ群の像面側には、第3正レンズ群が位置する。第3正レンズ群は正屈折力を有していることから、この第3正レンズ群を良好な像面の平坦性の確保に寄与させることができる。
【0051】
また、第3正レンズ群は、射出瞳を撮像素子の撮像面から遠ざける機能を持つ。また、シェーディングとしては、撮像素子の特性によるシェーディングや、色シェーディングがあるが、第3正レンズ群を配置することで、このようなシェーディングの発生を抑えられる。
【0052】
また、第2正レンズ群より像側に、負屈折力の第2負レンズ群が配置され、更にその像側に、正屈折力の第3正レンズ群が配置されることで、撮像素子の撮像面へ入射する光線の入射角度を緩める(光軸と光線のなす角度を小さくする)ことができる。
【0053】
また、第2負レンズ群と第3正レンズ群の作用により、高い変倍比を有しながら、変倍域全域に渡って安定した像面の平坦性を確保できる。また、第2負レンズ群と第3正レンズ群は、第2正レンズ群に対して絞りから離れているため、像面の近くに位置する。そのため、球面収差やコマ収差を悪化させることはほとんどない。
【0054】
なお、第2負レンズ群と第3正レンズ群の各々は、それらが持つ作用から、少ないレンズ枚数でレンズ群を構成することができる。この場合、レンズ群を軽量化することができる。よって、第2負レンズ群や第3正レンズ群を移動させる場合、高速で安定したレンズ群の移動が可能になる。
【0055】
また、本実施形態のズームレンズでは、第2負レンズ群は、合焦時に移動することが好ましい。
【0056】
第2負レンズ群は、軽量化しやすいレンズ群である。そこで、この第2負レンズ群を合焦時に移動するレンズ群とすることで、合焦時の駆動機構に対する負荷、例えば、電力の消費を軽減できる。また、合焦時に駆動機構から発生する駆動音も小さくできるので、このようにすることは、動画撮影時の雑音の低減にも有利となる。
【0057】
また、レンズ群を移動させると、撮像面上での像の大きさが変化する。第2負レンズ群を合焦時に移動させることで、像の大きさの変動を抑えられる。
【0058】
また、前述のように、第2負レンズ群と第3正レンズ群は、高い変倍比であっても変倍域全域に渡って安定した像面の平坦性を確保できることや、移動させても球面収差やコマ収差を悪化させることがほとんどないことや、少ないレンズ枚数でレンズ群を構成すること、という特徴がある。そこで、変倍以外の目的でレンズ群を移動させる場合、レンズ群の持つ作用や収差変動への影響を考慮すると、第2負レンズ群を移動させることが好ましい。このようにすることで、合焦時の収差変動が少ない光学性能が確保できる。特に、至近での光学性能、例えば、球面収差や非点収差の変動が少ないという性能の確保が容易となる。
【0059】
また、本実施形態のズームレンズでは、望遠端における第2負レンズ群の位置は、広角端における位置よりも第2正レンズ群側であり、第3正レンズ群は、広角端から望遠端への変倍時に静止していることが好ましい。
【0060】
このようにすることで、像面湾曲の変動を抑えられる。また、第3正レンズ群を静止させることで、撮像装置内へのゴミの侵入を低減できるので、撮像素子へのゴミの付着を防止できる。
【0061】
また、本実施形態のズームレンズは、物体側から像側に順に、第1正レンズ群、第1負レンズ群、
絞り、第2正レンズ群、第2負レンズ群、第3正レンズ群を有する5群ズームレンズであることが好ましい。
【0062】
このようにすることは、ズームレンズの小型化と高性能化に有利となる。
【0063】
また、本実施形態のズームレンズでは、第1正レンズ群は、物体側から順に、負レンズ成分と、反射部材と、正レンズ成分と、からなり、負レンズ成分は第1正レンズ群物体側系であり、負レンズ成分では、像側面の形状が凹形状であり、正レンズ成分は第1正レンズ群像側系であり、第1正レンズ群像側系は反射面よりも像側に位置し、正レンズ成分では、物体側面の形状と像側面の形状が、共に凸形状であり、反射部材は、プリズムからなることが好ましい。
【0064】
このようにすることで、広い画角の確保と第1正レンズ群の小型化ができる。
【0065】
また、物体側に、負レンズ成分(第1正レンズ群物体側系)を配置することは、広角端での広い画角の確保に有利となる。また、像側に正レンズ成分を配置することで、第1正レンズ群において、適切な大きさの正屈折力を確保することができる。また、このような構成により、プリズム(反射部材)の配置スペースを小さくできる。
【0066】
光学系を広画角化し、第1正レンズ群で光路を折り曲げるにあたっては、負レンズ成分と正レンズ成分との間で、光路の折り曲げに必要な光路長を確保する必要がある。そのためには、負レンズ成分の負屈折力を大きくすると共に、正レンズ成分の正屈折力を大きくすることが好ましい。
【0067】
ここで、反射面としては、空気と接している状態の反射面と、プリズムに設けられている反射面と、がある。反射面が空気と接している状態では、反射面がプリズムに設けられている状態に比べて、負レンズ成分と正レンズ成分との間隔は広くなる。そのため、反射面が空気と接している状態では、反射面がプリズムに設けられている状態に比べて、負レンズ成分と正レンズ成分の屈折力の各々をより大きくする必要がある。
【0068】
前述のように、負レンズ成分の負屈折力を大きくすることは広画角化に好ましく、正レンズ成分の正屈折力を大きくすることは、第1正レンズ群において適切な正屈折力を確保するのに好ましい。とはいえ、負レンズ成分の屈折力と正レンズ成分の屈折力の各々が大きくなると、負レンズ成分と正レンズ成分の各々で、非点収差と倍率色収差が大きくなる。この場合、負レンズ成分と正レンズ成分とで、各々の収差をある程度キャンセルすること(補正すること)ができる。
【0069】
ただし、負レンズ成分の屈折力と正レンズ成分の屈折力の各々が更に大きくなると、非点収差と倍率色収差の各々について、負レンズ成分と正レンズ成分とでキャンセルすることが困難になる。そのため、広角端付近での非点収差と倍率色収差が残存しやすくなる。また、負レンズ成分の負屈折力を大きくすると、望遠端付近で負レンズ成分の倍率色収差が大きくなってくる。ここで、倍率色収差は軸上色収差の発生量に影響を及ぼすため、軸上色収差への影響(軸上色収差とのバランス)を考慮して収差補正を行うことが好ましい。しかしながら、反射面が空気と接している状態では、これらの収差の補正が難しくなる。
【0070】
そこで、負レンズ成分と正レンズ成分の間に反射部材を配置し、この反射部材をプリズムにしている。このようにすることで、光路の折り曲げに必要な光路長を確保しつつ、広角端付近での非点収差と倍率色収差について、負レンズ成分での発生を低減できる。
【0071】
加えて、プリズムを用いることで、望遠端付近で軸上色収差を負側に発生させることができる。そのため、負レンズ成分と正レンズ成分とで倍率色収差の補正を行った場合に軸上色収差が残存しても、プリズムで発生する負の軸上色収差を使って、残存した軸上色収差の補正ができる。
【0072】
なお、負レンズ成分よりも物体側には、レンズ(群)が配置されていないことが好ましい。このようにすると、プリズムを第1正レンズ群中に配置しても、ズームレンズや撮像装置の厚みをより薄くできる。
【0073】
また、本実施形態のズームレンズでは、第1正レンズ群は以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
0.5<D
1PN1PP/f
1P<1.0 (5)
ただし、
D
1PN1PPは、第1正レンズ群の負レンズ成分と第1正レンズ群の正レンズ成分との間の光軸に沿った距離、
f
1Pは、第1正レンズ群の焦点距離、
である。
【0074】
条件式(5)の下限値を下回らないようにすることで、反射部材を配置するスペースを確保できる。条件式(5)の上限値を上回らないようにすることで、諸収差の低減が行いやすくなる。
【0075】
また、本実施形態のズームレンズでは、第1正レンズ群の正レンズ成分の物体側面と像側面が、共に非球面であることが好ましい。
【0076】
第1正レンズ群の正屈折力を高めると、球面収差やコマ収差が発生しやすい。そこで、このようにすることで、第1正レンズ群の正屈折力を高めても、球面収差やコマ収差の発生量を低減できる。
【0077】
また、本実施形態のズームレンズでは、第1負レンズ群は、最も物体側に配置された負レンズ成分と、最も像側に配置された正レンズ成分と、を有し、第1負レンズ群の最も物体側に配置された負レンズ成分では、物体側面の形状と像側面の形状が、共に凹形状であることが好ましい。
【0078】
このようにすることで、第1負レンズ群の主点を第1正レンズ群に近づけられる。これにより、第1負レンズ群における変倍機能を容易に確保できる。また、このようにすることは、色収差などの諸収差の補正にも有利となる。
【0079】
また、第1正レンズ群の負レンズ成分の負屈折力と第1正レンズ群の正レンズ成分の正屈折力の各々を大きくし、これにより光学系を広画角化すると、入射角の大きい光がズームレンズへ入射するようになる。すると、広角端付近では、入射角の大きい光が第1正レンズ群から射出する際、その射出光の光軸に対する角度が非常に大きくなる。そこで、第1負レンズ群内の最も物体側に、負レンズ成分を配置することが好ましい。これにより、射出光の射出角を小さくできる。このようにすることは、第1負レンズ群から像側にあるレンズ群における径の小径化に有利となる。
【0080】
更に、第1負レンズ群では、この負レンズ成分の像側に、間隔を空けて正レンズ成分を配置することが好ましい。このようにすると、非球面を用いた場合に、より高い補正効果を出せる。なお、この正レンズ成分は、最も像側に位置すると良い。
【0081】
また、本実施形態のズームレンズでは、第1負レンズ群の最も物体側に配置された負レンズ成分の物体側面と像側面が、共に非球面であり、第1負レンズ群の最も像側に配置された正レンズ成分の像側面が非球面であることが好ましい。
【0082】
このようにすることは、広角側での軸外収差と望遠側での球面収差の、双方の補正に有利となる。第1負レンズ群では、望遠端で光束が狭まり、広角端にて光束が広がる。そこで、第1負レンズ群のレンズ面のうち、光軸から離れた位置を光束が通過するレンズ面、すなわち、最も物体側に配置された負レンズ成分の両面を非球面にする。そして、この非球面を、広角側での軸外収差の補正のために用いる。このようにすることで、第1負レンズ群における収差補正機能を高められる。
【0083】
また、より入射角が大きい光をズームレンズに入射させるためには、第1負レンズ群の最も物体側に配置された負レンズ成分の負屈折力を大きくすることが好ましい。ただし、この負レンズ成分の負屈折力を大きくすると、主に、望遠端付近で正の球面収差が、広角端付近で像面湾曲が発生しやすくなる。そこで、この負レンズ成分の両面(物体側面と像側面)に非球面を使用することで、球面収差と像面湾曲の発生を抑えられる。
【0084】
また、本実施形態のズームレンズでは、第1負レンズ群の最も像側に配置された正レンズ成分が単レンズであり、単レンズは以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
ν
1NP<29 (6)
ただし、
ν
1NPは単レンズのd線におけるアッベ数、
である。
【0085】
条件式(6)を満足すると、単レンズに使用される硝材は、アッベ数の小さいものになる。そのため、単レンズが第1負レンズ群の色収差をキャンセル(低減)することで、第1負レンズ群の色収差を低減できる。
【0086】
また、本実施形態のズームレンズでは、第1負レンズ群の最も像側に配置された正レンズ成分が接合レンズであり、接合レンズは、物体側から順に、両凸正レンズと、メニスカス負レンズと、を有することが好ましい。
【0087】
このようにすることで、コマ収差と色収差を良好に補正できる。
【0088】
また、本実施形態のズームレンズでは、第2正レンズ群は、物体側から順に、正レンズ成分と、接合レンズと、からなり、第2正レンズ群の正レンズ成分では、物体側面の形状と像側面の形状が、共に凸形状であり、第2正レンズ群の接合レンズは、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズと、両凸正レンズと、からなることが好ましい。
【0089】
第2正レンズ群には、発散した軸上光束が入射する。そこで、第2正レンズ群において、物体側に正レンズ成分を配置することで、軸上光束を収斂させている。このようにすることで、第2正レンズ群の小径化ができる。また、正レンズ成分よりも像側に接合レンズを配置し、この接合レンズを負レンズと両凸正レンズで構成する。このようにすることで、第2正レンズ群における色収差や他の諸収差の発生を低減できる。
【0090】
また、本実施形態のズームレンズでは、第2正レンズ群の正レンズ成分の物体側面と像側面が、共に非球面であることが好ましい。
【0091】
このようにすることで、球面収差や広角側でのコマ収差を良好に補正できる。
【0092】
また、本実施形態のズームレンズでは、第2負レンズ群は、1つの負レンズ成分からなり、第2負レンズ群の負レンズ成分では、像側面の形状が凹形状であることが好ましい。
【0093】
このようにすることで、ズームレンズや撮像装置の低コスト化と小型化ができる。
【0094】
なお、第2負レンズ群において、像のリレー、小型化及び収差補正等の機能を確保したい場合でも、第2負レンズ群を一枚の負レンズで構成することが可能である。この場合、第2負レンズ群で発生する色収差を少なくすることが望ましい。
【0095】
また、本実施形態のズームレンズでは、第3正レンズ群は、1つの正レンズ成分からなり、第3正レンズ群の正レンズ成分では、物体側面の形状と像側面の形状が、共に凸形状であることが好ましい。
【0096】
このようにすることで、ズームレンズや撮像装置の低コスト化と小型化ができる。
【0097】
また、本実施形態のズームレンズでは、第3正レンズ群の正レンズ成分の物体側面と像側面が、共に非球面であることが好ましい。
【0098】
このようにすることで、主に軸外収差を良好に補正できる。
【0099】
また、本実施形態のズームレンズでは、第1正レンズ群は、反射面よりも像側に位置する第1正レンズ群像側系を備え、以下の条件式(7)を満足することが好ましい。
4.5≦|f
1Po|×f
1Pi/IH
t2≦7.5 (7)
ただし、
f
1Poは、第1正レンズ群物体側系の焦点距離、
f
1Piは、第1正レンズ群像側系の焦点距離、
IH
tは、望遠端における無限遠物体に合焦した時の最大像高、
である。
【0100】
広角端での広い画角の確保には、入射角が大きい光のズームレンズへの入射を確保する必要がある。また、高い変倍比を維持しつつ、ズームレンズの全長を短縮することが、ズームレンズにとって望ましい。また、ズームレンズの全長の短縮化は、撮像装置の薄型化にとっても好ましい。
【0101】
このようなズームレンズの広画角化、高変倍比化、全長の短縮化を実現するには第1正レンズ群物体側系の負屈折力を大きくすると共に、第1正レンズ群の正屈折力を大きくすることが好ましい。ここで、第1正レンズ群の正屈折力を大きくすると、望遠端において、ズームレンズ全体の光学構成がテレフォトタイプのような構成となる。その結果、ズームレンズの全長を短縮する効果が高まる。よって、第1正レンズ群の正屈折力を大きくすることで、ズームレンズの全長を短縮する効果をより高めることが好ましい。条件式(7)は、ズームレンズの全長を短縮する効果を高めつつ、光学性能を良好に保つために好ましい条件である。
【0102】
条件式(7)の下限値を下回らないようにすることで、ズームレンズの全長を短縮しても、第1正レンズ群物体側系と第1正レンズ群像側系の各々で、非点収差と倍率色収差の発生を低減できる。特に、広角端付近で非点収差と倍率色収差を低減できる。また、画面周辺部で倍率色収差が急激に大きくなることを抑えられるので、色にじみを低減した画像を得やすくなる。
【0103】
また、望遠端付近では、第1正レンズ群像側系で諸収差、具体的には、負の球面収差、負の非点収差及び正のディストーションが発生しやすい。そこで、条件式(7)の下限値を下回らないようにすることで、これらの収差の発生を抑えられる。また、望遠端付近で球面収差が大きく負になることを抑えられるので、画像中心付近での性能を向上できる。また、正のディストーションの発生を低減しやすくなる。
【0104】
条件式(7)の上限値を上回らないようにすることで、第1正レンズ群における適切な大きさの正屈折力の確保や、高い変倍比を確保した上でのズームレンズの全長の短縮化ができる。また、第1正レンズ群物体側系の負屈折力を大きくできるので、広角端における広い画角の確保、反射部材の配置スペースの小型化及びそれに伴う撮像装置全体の小型化ができる。
【0105】
また、本実施形態のズームレンズでは、反射部材はプリズムであり、以下の条件式(8)、(9)を満足することが好ましい。
0.7≦tanω
w−(L
pri/L
w)≦1.3 (8)
3.5≦DT/(f
1Po/IH
t)≦16 (9)
ただし、
ω
wは、広角端において無限遠物体に合焦した時の最大半画角、
L
priは、プリズムの光軸に沿った全長であって、全長は、プリズムを構成する光学面のうちの、反射面よりも物体側にある光学面から反射面よりも像側にある光学面までの距離、
L
wは、ズームレンズ全系の光軸に沿った全長に、空気換算したバックフォーカス長を加えた距離であって、この距離は、広角端において無限遠物体に合焦した時の距離であり、全長は、ズームレンズの最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離、
DT=(IH
w−f
w×tanω
w)/(f
w×tanω
w)×100であり、単位は%であり、
f
1Poは、第1正レンズ群物体側系の焦点距離、
IH
tは、望遠端において無限遠物体に合焦した時の最大像高、
IH
wは、広角端において無限遠物体に合焦した時の最大像高、
f
wは、広角端において無限遠物体に合焦した時のズームレンズ全系の焦点距離、
である。
【0106】
反射部材にプリズムを用いることで、望遠端付近で軸上色収差を負側に発生させられる。そのため、第1正レンズ群物体側系と第1正レンズ群像側系とで倍率色収差の補正を行った場合に軸上色収差が残存しても、プリズムで発生する負の軸上色収差を使って、残存した軸上色収差を補正できる。
【0107】
条件式(8)は、高い変倍比を確保しながら、プリズムで発生させる望遠端付近での負の軸上色収差の発生量と、広角端付近での非点収差と倍率色収差の発生量と、歪曲収差の発生量とを、許容範囲内に収めるために好ましい条件式である。
【0108】
条件式(8)の下限値を下回らないように、画角に対してプリズムの全長が長くなることを抑えることで、適切な量の軸上色収差をプリズムで発生させることができる。これにより、望遠端付近での軸上色収差を低減できる。また、第1正レンズ群物体側系と第1正レンズ群像側系との間隔や、各々の屈折力を適切にすることができるので、収差補正が効果的に行える。条件式(8)の上限値を上回らないようにすることで、歪曲収差を低減できる。
【0109】
また、ディストーションは画角の3乗に比例して大きくなり、非点収差は画角の2乗に比例して大きくなる特徴がある。広角端付近で負のディストーションを大きくすること、すなわち、負のディストーションの発生をある程度許容することは、広画角化する際、像面の平坦性の確保に有利となる。この場合、第1正レンズ群物体側系で発生するディストーションの量を適切な量(許容範囲内)にすることで、望遠端付近での軸上色収差の負の収差量を適切な量とし、また、広角端付近での非点収差と倍率色収差を良好に補正できる。また、第1正レンズ群物体側系の負屈折力を大きくするほど、広画角化と反射部材の小型化につながる。条件式(9)はその点を特定したものであり、条件式(9)を満たすことで、高い光学性能の実現と小型化の両立ができる。
【0110】
条件式(9)の下限値を下回らないようにすることで、第1正レンズ群物体側系で発生する負のディストーションの量を適切に確保できる(許容範囲内にできる)。そのため、反射部材を小型化できる。
【0111】
条件式(9)の上限値を上回らないようにすることで、第1正レンズ群物体側系で発生する負のディストーションの量が過剰になることを抑えられ、また、第1正レンズ群物体側系で発生する非点収差を良好に補正できる。また、電気的なディストーション補正を行った場合でも、解像力の劣化を抑えられる。
【0112】
また、本実施形態のズームレンズでは、以下の条件式(10)、(11)を満足することが好ましい。
4.2≦|(f
1Po/IH
t)×(f
1P/IH
t)/tanω
w|≦11.6 (10)
5.6≦|(f
1Po/f
w)×(f
1P/f
w)|≦11.5 (11)
ただし、
f
1Poは、第1正レンズ群物体側系の焦点距離、
f
1Pは、第1正レンズ群の焦点距離、
IH
tは、望遠端において無限遠物体に合焦した時の最大像高、
ω
wは、広角端において無限遠物体に合焦した時の最大半画角、
f
wは、広角端において無限遠物体に合焦した時のズームレンズ全系の焦点距離、
である。
【0113】
前述のように、広画角化を実現するには、第1正レンズ群物体側系の負屈折力を大きくすることが好ましい。また、高変倍比化、全長の短縮化のためには、第1正レンズ群の正屈折力を大きくして、望遠端において、ズームレンズ全体の光学構成がテレフォトタイプのような構成となるようにすることが好ましい。
【0114】
また、画角が広くなるほど、第1正レンズ群物体側系の負屈折力が大きくなる。そのため、第1正レンズ群物体側系で発生する非点収差や倍率色収差について補正を行うことが好ましい。そこで、画角に対する第1正レンズ群物体側系と第1正レンズ群の屈折力のバランスを適切に設定することが、高い光学性能の実現と小型化の両立のために有利となる。
【0115】
条件式(10)と(11)は、第1正レンズ群物体側系と第1正レンズ群の屈折力を、共に大きくすることを意味している。
【0116】
条件式(10)と(11)の下限値を下回らないようにすることで、第1正レンズ群の屈折力が大きくなりすぎることを抑えると共に、第1正レンズ群物体側系と第1正レンズ群像側系の各々で、非点収差と倍率色収差の発生を低減できる。特に、広角端付近で非点収差と倍率色収差を低減できる。また、画面周辺部で倍率色収差が急激に大きくなることを抑えられるので、色にじみを低減した画像を得やすくなる。
【0117】
条件式(10)と(11)の下限値を下回らないようにすることで、望遠端付近において第1正レンズ群像側系で発生する諸収差、具体的には、負の球面収差、負の非点収差及び正のディストーションの各々が補正過剰になることを抑えられる。また、望遠端付近で球面収差が大きく負となることを抑えられるので、画像中心付近での性能を向上できる。また、正のディストーションの発生を低減しやすくなる。
【0118】
また、条件式(10)と(11)の上限値を上回らないようにすることで、第1正レンズ群における適切な大きさの正屈折力の確保や、高い変倍比を確保した上でのズームレンズの全長の短縮化ができる。また、第1正レンズ群物体側系の負屈折力を大きくすることができるので、広角端における広い画角の確保と、反射部材の配置スペースの小型化とそれに伴う撮像装置全体の小型化ができる。
【0119】
また、本実施形態のズームレンズでは、以下の条件式(12)を満足することが好ましい。
1.0≦|(f
1Po/IH
t)/(tanω
w)
2|≦3.7 (12)
ただし、
f
1Poは、第1正レンズ群物体側系の焦点距離、
IH
tは、望遠端において無限遠物体に合焦した時の最大像高、
ω
wは、広角端において無限遠物体に合焦した時の最大半画角、
である。
【0120】
条件式(12)は、ズームレンズにおいて、広い画角を確保し、高変倍比で、小型で、良好な光学性能を得るための好ましい条件である。
【0121】
条件式(12)の下限値を下回らないようにすることで、第1正レンズ群物体側系の負屈折力が大きくなりすぎることを抑えられる。この場合、大きな負のディストーションが第1正レンズ群物体側系で発生することを抑えられるので、他のレンズでディストーションの補正が行いやすくなる。また、残存するディストーションを小さくすることで、電気的なディストーション補正を行った場合でも解像力の劣化を抑えられる。
【0122】
条件式(12)の上限値を上回らないようにすることで、第1正レンズ群物体側系について、適切な大きさの負屈折力を確保できる。そのため、広画角化ができる。また、ズームレンズ全体での負屈折力は、第1負レンズ群でも負担している。そのため、第1正レンズ群物体側系において、適切な大きさの負屈折力にできると、広画角化に伴う第1負レンズ群の負屈折力の負担増(負屈折力が大きくなりすぎること)を抑えられることから、ズームレンズの全長の短縮化と高変倍比を両立できる。また、第1負レンズ群の負屈折力の負担を減らすことで、第1負レンズ群の偏心による像面の傾きを低減しやすくなるので、安定した光学性能を得やすくなる。
【0123】
また、本実施形態のズームレンズでは、反射部材はプリズムであり、以下の条件式(13)を満足することが好ましい。
1.5≦(L
pri/IH
t)×(f
w/IH
t)/tanω
w≦2.8 (13)
ただし、
L
priは、プリズムの光軸に沿った全長であって、全長は、プリズムを構成する光学面のうちの、反射面よりも物体側にある光学面から反射面よりも像側にある光学面までの距離、
IH
tは、望遠端において無限遠物体に合焦した時の最大像高、
f
wは、広角端において無限遠物体に合焦した時のズームレンズ全系の焦点距離、
ω
wは、広角端において無限遠物体に合焦した時の最大半画角、
である。
【0124】
条件式(13)の下限値を下回らないようにすることで、広角端で、絞りより物体側のレンズ系の負屈折力(第1正レンズ群物体側系と第1負レンズ群の屈折力)が大きくなりすぎることを抑え、負のディストーションの低減とズームレンズの全長の短縮化ができる。また、負のディストーションの低減により、電気的にディストーションの補正を行った場合に解像力の劣化を抑えられる。
【0125】
条件式(13)の上限値を上回らないようにすることで、プリズム内の光路長を短くし、プリズムの厚みを薄くできる。
【0126】
また、本実施形態のズームレンズでは、以下の条件式(14)を満足することが好ましい。
1.2≦|f
1Po/IH
t|≦3.6 (14)
ただし、
f
1Poは、第1正レンズ群物体側系の焦点距離、
IH
tは、望遠端において無限遠物体に合焦した時の最大像高、
である。
【0127】
更に、第1正レンズ群物体側系の屈折力の大きさを適切に設定することで、広画角化に有利となる。条件式(14)は、第1正レンズ群物体側系の屈折力の大きさを適切に設定する条件式である。
【0128】
条件式(14)の下限値を下回らないようにすることで、光学系を広画角化した際に、負のディストーションが大きく発生することを抑えられる。
【0129】
条件式(14)の上限値を上回らないようにすることで、広い画角が確保できる。又は、第1負レンズ群の負屈折力を適度な大きさに抑えやすくなるので、高変倍比化しても全変倍域で像面湾曲を良好に補正しやすくなる。
【0130】
また、本実施形態のズームレンズでは、以下の条件式(15)を満足することが好ましい。
ω
w≧42° (15)
ただし、
ω
wは、広角端において無限遠物体に合焦した時の最大半画角、
である。
【0131】
条件式(15)を満足することで、広角端にて十分に広い画角を確保できる。これにより、狭い空間での広角撮影などが可能になる。
【0132】
また、本実施形態の撮像装置は、上述のズームレンズと、ズームレンズにより形成された像を電気信号に変換する撮像素子と、を備える。
【0133】
多様な撮影シーンへの対応が可能な撮像装置を実現できる。
【0134】
上述の各構成は、複数を同時に満足することがより好ましい。また、プリズムには、直角プリズムを用いることができる。
【0135】
また、各条件式について、下限値、上限値の何れかまたは双方を限定することで、その機能をより確実にできるので好ましい。
条件式(1)について、
下限値を4.1、更には4.7とすることが好ましい。
上限値を設け、20とすることが好ましい。上限値を上回らないようにすることで、ズーム全域での収差を低減しやすくなる。更には上限値を10、更には7とすることが好ましい。このようにすることは、ズームレンズの小型化と高性能化の両立に有利とる。
条件式(2)について、
下限値を1.65、更には1.69とすることが好ましい。
上限値を2.4、更には2.3とすることが好ましい。
条件式(3)について、
下限値を1.8とすることが好ましい。
上限値を2.3、更には2.2とすることが好ましい。
条件式(4)について、
下限値を1.65、更には1.69とすることが好ましい。
上限値を2.4、更には2.3とすることが好ましい。
条件式(5)について、
下限値を0.66、更には0.76とすることが好ましい。
上限値を0.92、更には0.86とすることが好ましい。
条件式(6)について、
上限値を27、更には25とすることが好ましい。
条件式(7)について、
下限値を5.3、更には5.8とすることが好ましい。
上限値を7.1、更には6.8とすることが好ましい。
条件式(8)について、
下限値を0.78、更には0.83とすることが好ましい。
上限値を1.1、更には0.88とすることが好ましい。
条件式(9)について、
下限値を5.5、更には6.0とすることが好ましい。
上限値を10.0、更には7.0とすることが好ましい。
条件式(10)について、
下限値を5.4、更には7.4とすることが好ましい。
上限値を10.0、更には9.2とすることが好ましい。
条件式(11)について、
下限値を6.6、更には7.6とすることが好ましい。
上限値を10.0、更には9.0とすることが好ましい。
条件式(12)について、
下限値を1.9、更には2.3とすることが好ましい。
上限値を3.2、更には2.7とすることが好ましい。
条件式(13)について、
下限値を1.8、更には2.0とすることが好ましい。
上限値を2.4、更には2.2とすることが好ましい。
条件式(14)について、
下限値を1.8、更には2.4とすることが好ましい。
上限値を3.0、更には2.7とすることが好ましい。
条件式(15)について、
下限値を44°とすることが好ましい。
上限値を設け、60°とすることが好ましい。上限値を上回らないようにすることは、ディストーションの低減、周辺光量の確保に有利となる。更には、上限値を50°とすることが好ましい。
【0136】
なお、上述のズームレンズや撮像装置は、複数の構成を同時に満足してもよい。このようにすることが、良好なズームレンズや撮像装置を得る上で好ましい。また、好ましい構成の組み合わせは任意である。また、各条件式について、より限定した条件式の数値範囲の上限値あるいは下限値のみを限定しても構わない。
【0137】
ω
w(広角端において無限遠物体に合焦した時の最大半画角)について、
図13を用いて説明する。
図13には、ズームレンズ、明るさ絞り及び撮像面が、光軸上に配置されている様子が示されている。ズームレンズに入射した光線は、明るさ絞りを通過したのち、ズームレンズから出射して撮像面に到達する。
【0138】
図13において、実線で示す光線Lは、明るさ絞りの中心を通過する光線のうち、有効撮像領域上の点Xに到達する光線を示している。この点Xは、有効撮像領域のなかで光軸から最も離れた位置である。ここで、有効撮像領域は物体像が形成されている領域であるため、点Xは最大像高位置になる。このように、光線Lは、明るさ絞り中心を通過して有効撮像領域の最大像高位置に入射する光線である。そして、ω
wは、広角端における、光線Lの光軸に対する半画角である。
【0139】
以下に、本発明に係る撮像装置に用いられるズームレンズの実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0140】
以下、ズームレンズの実施例1〜6について説明する。実施例1〜6のレンズ断面図を、それぞれ
図1〜
図6に示す。
図1〜
図6中、(a)は、広角端におけるレンズ断面図、(b)は、中間焦点距離状態におけるレンズ断面図、(c)は、望遠端におけるレンズ断面図である。なお、(a)〜(c)は、いずれも、無限遠物体合焦時のレンズ断面図である。
【0141】
また、第1レンズ群はG1、第2レンズ群はG2、開口絞り(明るさ絞り)はS、第3レンズ群はG3、第4レンズ群はG4、第5レンズ群はG5、電子撮像素子のカバーガラスの平行平板はC、像面はIで示してある。なお、カバーガラスCの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。また、そのカバーガラスCにローパスフィルタの作用を持たせるようにしてもよい。
【0142】
実施例1〜6において、反射面は直角プリズムに設けられている。この反射面は平面で、光軸上ではプリズムの物体側屈折面と像側屈折面の中間に、光軸に対して略45度傾いて配置されている。また、この反射面は、プリズム内部を通過する光を反射するので、裏面反射面となっている。よって、プリズムは、裏面反射プリズムとなっている。なお、反射面の図示及び数値データでは省略されており、プリズムの物体側屈折面と像側屈折面が図示及び数値データに記載されている。
【0143】
また、像面はIには、撮像素子が配置されている。撮像素子上の撮像領域が略矩形の場合、撮像領域の短辺方向とズームレンズへの入射光軸がほぼ平行となるように、撮像素子配置することが好ましい。このような配置にすると、ズームレンズの入射光軸方向の小型化に有利となり、撮像装置の薄型化につながる。
【0144】
実施例1〜6のズームレンズでは、像高は、中間焦点距離状態と望遠端が同じで、これらに比べて、広角端での像高が小さくなっている。これは、広角端における像をたる型形状にして、たる型の画像を電気的に矩形の画像に変換することでディストーションを補正するからである。電気的なディストーション補正については、詳細を省略する。
【0145】
実施例1〜6のズームレンズは、正屈折力の第1正レンズ群と、負屈折力の第1負レンズ群と、絞りと、正屈折力の第2正レンズ群と、を有し、第1正レンズ群と、第1負レンズ群とが、物体側から像側に、この順で配置され、第2正レンズ群は、第1負レンズ群よりも像側に配置され、絞りは、第1負レンズ群と第2正レンズ群の間に配置され、広角端から望遠端への変倍時に、第1正レンズ群は静止し、第1負レンズ群は像側に移動し、第2正レンズ群は物体側に移動する。
【0146】
実施例1〜6のズームレンズは、屈折力配置(絞りSを含む)が、正負S正負正となっている。ここで、第1正レンズ群が第1レンズ群G1、第1負レンズ群が第2レンズ群G2、第2正レンズ群が第3レンズ群G3である。
【0147】
このような構成にすることで、実施例1〜6では、ズームレンズの全長の短縮化と、高い変倍比の確保を実現している。また、屈折力配置の対称性を高める構成であるため、変倍時における軸外の収差変動、特に、非点収差やコマ収差などの軸外収差が良好に補正された状態を保つことが容易になる。
【0148】
また、広角端から望遠端への変倍時に、第1負レンズ群(第2レンズ群G2)と第2正レンズ群(第3レンズ群G3)は、共に絞りに近づくように移動する。そして、第1負レンズ群(第2レンズ群G2)の望遠端における位置は、広角端における位置よりも像側であり、第2正レンズ群(第3レンズ群G3)の望遠端における位置は、広角端における位置よりも物体側となっている。この結果、光学系を広画角化しても、第1正レンズ群(第1レンズ群G1)の径を小さくできると共に、高い変倍比の確保がより容易となる。
【0149】
また、第1正レンズ群(第1レンズ群G1)は、変倍時だけでなく、合焦時も静止している。このようにすることで、ズームレンズにおける光学系(レンズ群)のレイアウトをより簡素化できる。その結果、より小型の撮像装置を実現できる。
【0150】
また、第1正レンズ群(第1レンズ群G1)は、光路を折り曲げる反射面を有する反射部材と、第1正レンズ群物体側系と、第1正レンズ群像側系と、を備え、第1正レンズ群物体側系は、反射面よりも物体側に位置すると共に、負屈折力を有し、第1正レンズ群像側系は、反射面よりも像側に位置すると共に、正屈折力を有する。このようにすることで、第1正レンズ群(第1レンズ群G1)において、適切な正屈折力を確保することができる。また、反射部材の配置スペースを小さくすることができる。
【0151】
実施例1のズームレンズは、
図1に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1(第1正レンズ群)と、負屈折力の第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、正屈折力の第3レンズ群G3(第2正レンズ群)と、負屈折力の第4レンズ群G4(第2負レンズ群)と、正屈折力の第5レンズ群G5(第3正レンズ群)と、で構成されている。開口絞り(絞り)Sは第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、第3レンズ群G3(第2正レンズ群)との間に配置されている。
【0152】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と、プリズムL2と、両凸正レンズL3と、で構成されている。第2レンズ群G2は、両凹負レンズL4と、両凹負レンズL5と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL6と、で構成されている。第3レンズ群G3は、両凸正レンズL7と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8と、両凸正レンズL9と、で構成されている。ここで、負メニスカスレンズL8と、両凸正レンズL9とが、接合されている。第4レンズ群G4は、両凹負レンズL10で構成されている。第5レンズ群G5は、両凸正レンズL11で構成されている。
【0153】
広角端から望遠端への変倍時、第1レンズ群G1は固定(静止)であり、第2レンズ群G2は像側に移動し、開口絞りSは固定(静止)であり、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は固定(静止)である。
【0154】
非球面は、両凸正レンズL3の両面と、両凹負レンズL4の両面と、正メニスカスレンズL6の両面と、両凸正レンズL7の両面と、両凸正レンズL9の像側面と、両凹負レンズL10の両面と、両凸正レンズL11の両面との、合計13面に設けられている。
【0155】
無限遠物体から至近距離物体への合焦時、第4レンズ群G4が、光軸に沿って像側に移動する。
【0156】
実施例2のズームレンズは、
図2に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1(第1正レンズ群)と、負屈折力の第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、正屈折力の第3レンズ群G3(第2正レンズ群)と、負屈折力の第4レンズ群G4(第2負レンズ群)と、正屈折力の第5レンズ群G5(第3正レンズ群)と、で構成されている。開口絞り(絞り)Sは第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、第3レンズ群G3(第2正レンズ群)との間に配置されている。
【0157】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と、プリズムL2と、両凸正レンズL3と、で構成されている。第2レンズ群G2は、両凹負レンズL4と、両凹負レンズL5と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL6と、で構成されている。第3レンズ群G3は、両凸正レンズL7と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8と、両凸正レンズL9と、で構成されている。ここで、負メニスカスレンズL8と、両凸正レンズL9とが、接合されている。第4レンズ群G4は、両凹負レンズL10で構成されている。第5レンズ群G5は、両凸正レンズL11で構成されている。
【0158】
広角端から望遠端への変倍時、第1レンズ群G1は固定(静止)であり、第2レンズ群G2は像側に移動し、開口絞りSは固定(静止)であり、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は固定(静止)である。
【0159】
非球面は、両凸正レンズL3の両面と、両凹負レンズL4の両面と、正メニスカスレンズL6の両面と、両凸正レンズL7の両面と、両凸正レンズL9の像側面と、両凸正レンズL11の両面との、合計11面に設けられている。
【0160】
無限遠物体から至近距離物体への合焦時、第4レンズ群G4が、光軸に沿って像側に移動する。
【0161】
実施例3のズームレンズは、
図3に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1(第1正レンズ群)と、負屈折力の第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、正屈折力の第3レンズ群G3(第2正レンズ群)と、負屈折力の第4レンズ群G4(第2負レンズ群)と、正屈折力の第5レンズ群G5(第3正レンズ群)と、で構成されている。開口絞り(絞り)Sは第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、第3レンズ群G3(第2正レンズ群)との間に配置されている。
【0162】
第1レンズ群G1は、平凹負レンズL1と、プリズムL2と、両凸正レンズL3と、で構成されている。第2レンズ群G2は、両凹負レンズL4と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5と、で構成されている。第3レンズ群G3は、両凸正レンズL6と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL7と、両凸正レンズL8と、で構成されている。ここで、負メニスカスレンズL7と、両凸正レンズL8とが、接合されている。第4レンズ群G4は、両凹負レンズL9で構成されている。第5レンズ群G5は、両凸正レンズL10で構成されている。
【0163】
広角端から望遠端への変倍時、第1レンズ群G1は固定(静止)であり、第2レンズ群G2は像側に移動し、開口絞りSは固定(静止)であり、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は固定(静止)である。
【0164】
非球面は、両凸正レンズL3の両面と、両凹負レンズL4の両面と、正メニスカスレンズL5の両面と、両凸正レンズL6の両面と、両凸正レンズL10の両面との、合計10面に設けられている。
【0165】
無限遠物体から至近距離物体への合焦時、第4レンズ群G4が、光軸に沿って像側に移動する。
【0166】
実施例4のズームレンズは、
図4に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1(第1正レンズ群)と、負屈折力の第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、正屈折力の第3レンズ群G3(第2正レンズ群)と、負屈折力の第4レンズ群G4(第2負レンズ群)と、正屈折力の第5レンズ群G5(第3正レンズ群)と、で構成されている。開口絞り(絞り)Sは第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、第3レンズ群G3(第2正レンズ群)との間に配置されている。
【0167】
第1レンズ群G1は、平凹負レンズL1と、プリズムL2と、両凸正レンズL3と、で構成されている。第2レンズ群G2は、両凹負レンズL4と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5と、で構成されている。第3レンズ群G3は、両凸正レンズL6と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL7と、両凸正レンズL8と、で構成されている。ここで、負メニスカスレンズL7と、両凸正レンズL8とが、接合されている。第4レンズ群G4は、両凹負レンズL9で構成されている。第5レンズ群G5は、両凸正レンズL10で構成されている。
【0168】
広角端から望遠端への変倍時、第1レンズ群G1は固定(静止)であり、第2レンズ群G2は像側に移動し、開口絞りSは固定(静止)であり、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は固定(静止)である。
【0169】
非球面は、両凸正レンズL3の両面と、両凹負レンズL4の両面と、正メニスカスレンズL5の両面と、両凸正レンズL6の両面と、両凸正レンズL10の両面との、合計10面に設けられている。
【0170】
無限遠物体から至近距離物体への合焦時、第4レンズ群G4が、光軸に沿って像側に移動する。
【0171】
実施例5のズームレンズは、
図5に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1(第1正レンズ群)と、負屈折力の第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、正屈折力の第3レンズ群G3(第2正レンズ群)と、負屈折力の第4レンズ群G4(第2負レンズ群)と、正屈折力の第5レンズ群G5(第3正レンズ群)と、で構成されている。開口絞り(絞り)Sは第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、第3レンズ群G3(第2正レンズ群)との間に配置されている。
【0172】
第1レンズ群G1は、両凹負レンズL1と、プリズムL2と、両凸正レンズL3と、で構成されている。第2レンズ群G2は、両凹負レンズL4と、両凸正レンズL5と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL6と、で構成されている。ここで、両凸正レンズL5と、負メニスカスレンズL6とが、接合されている。第3レンズ群G3は、両凸正レンズL7と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8と、両凸正レンズL9と、で構成されている。ここで、負メニスカスレンズL8と、両凸正レンズL9とが、接合されている。第4レンズ群G4は、両凹負レンズL10で構成されている。第5レンズ群G5は、両凸正レンズL11で構成されている。
【0173】
広角端から望遠端への変倍時、第1レンズ群G1は固定(静止)であり、第2レンズ群G2は像側に移動し、開口絞りSは固定(静止)であり、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動した後、像側に移動し、第5レンズ群G5は固定(静止)である。なお、第4レンズ群G4が像側へ移動する量はわずかである。
【0174】
非球面は、両凸正レンズL3の両面と、両凹負レンズL4の両面と、負メニスカスレンズL6の像側面と、両凸正レンズL7の両面と、両凸正レンズL11の両面との、合計9面に設けられている。
【0175】
無限遠物体から至近距離物体への合焦時、第4レンズ群G4が、光軸に沿って像側に移動する。
【0176】
実施例6のズームレンズは、
図6に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1(第1正レンズ群)と、負屈折力の第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、正屈折力の第3レンズ群G3(第2正レンズ群)と、負屈折力の第4レンズ群G4(第2負レンズ群)と、正屈折力の第5レンズ群G5(第3正レンズ群)と、で構成されている。開口絞り(絞り)Sは第2レンズ群G2(第1負レンズ群)と、第3レンズ群G3(第2正レンズ群)との間に配置されている。
【0177】
第1レンズ群G1は、平凹負レンズL1と、プリズムL2と、両凸正レンズL3と、で構成されている。第2レンズ群G2は、両凹負レンズL4と、両凸正レンズL5と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL6と、で構成されている。ここで、両凸正レンズL5と、負メニスカスレンズL6とが、接合されている。第3レンズ群G3は、両凸正レンズL7と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8と、両凸正レンズL9と、で構成されている。ここで、負メニスカスレンズL8と、両凸正レンズL9とが、接合されている。第4レンズ群G4は、両凹負レンズL10で構成されている。第5レンズ群G5は、両凸正レンズL11で構成されている。
広角端から望遠端への変倍時、第1レンズ群G1は固定(静止)であり、第2レンズ群G2は像側に移動し、開口絞りSは固定(静止)であり、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動した後、像側に移動し、第5レンズ群G5は固定(静止)である。なお、第4レンズ群G4が像側へ移動する量はわずかである。
【0178】
非球面は、両凸正レンズL3の両面と、両凹負レンズL4の両面と、負メニスカスレンズL6の像側面と、両凸正レンズL7の両面と、両凸正レンズL11の両面との、合計9面に設けられている。
【0179】
無限遠物体から至近距離物体への合焦時、第4レンズ群G4が、光軸に沿って像側に移動する。
【0180】
以下に、上記各実施例の数値データを示す。記号は上記の外、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面間の間隔、ndは各レンズのd線の屈折率、νdは各レンズのアッベ数、*印は非球面である。また、fは全系の焦点距離、FNO.はFナンバ、ωは半画角、IHは像高、FBはバックフォーカス、全長は、ズームレンズの最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの距離、f1、f2…は各レンズ群の焦点距離である。なお、FB(バックフォーカス)は、レンズ最終面から近軸像面までの距離を空気換算して表したものである。また、広角は広角端、中間は中間焦点距離状態、望遠は望遠端を表している。
【0181】
また、非球面形状は、光軸方向をz、光軸に直交する方向をyにとり、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10としたとき、次の式で表される。
z=(y
2/r)/[1+{1−(1+k)(y/r)
2}
1/2]
+A4y
4+A6y
6+A8y
8+A10y
10
また、非球面係数において、「e−n」(nは整数)は、「10
−n」を示している。なお、これら諸元値の記号は後述の実施例の数値データにおいても共通である。
【0182】
数値実施例1
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 5868.194 0.50 2.00100 29.13
2 9.944 2.15
3 ∞ 8.10 1.92286 20.88
4 ∞ 0.15
5* 11.221 2.85 1.61881 63.85
6* -11.727 (可変)
7* -29.210 0.50 1.77030 47.40
8* 4.583 1.25
9 -40.857 0.60 1.69680 55.53
10 11.727 0.20
11* 7.066 1.38 1.80486 24.74
12* 224.805 (可変)
13(絞り) ∞ (可変)
14* 5.477 2.81 1.61881 63.85
15* -13.884 1.98
16 13.769 0.40 2.00100 29.13
17 3.058 2.95 1.50670 70.48
18* -27.236 (可変)
19* -19.053 0.60 1.53071 55.69
20* 5.481 (可変)
21* 12.240 2.90 1.53071 55.69
22* -9.810 0.60
23 ∞ 0.80 1.51633 64.14
24 ∞ 2.17
像面(撮像面)∞
非球面データ
第5面
k=0.000
A4=-1.33845e-04,A6=-4.38033e-06,A8=1.74779e-07,A10=-3.45325e-09
第6面
k=0.000
A4=1.78647e-04,A6=-3.90166e-06,A8=1.64975e-07,A10=-3.15774e-09
第7面
k=0.000
A4=9.30133e-04,A6=-7.55140e-05,A8=-8.82412e-07,A10=9.03479e-08
第8面
k=0.000
A4=-9.10768e-04,A6=5.68096e-05,A8=-6.37103e-06,A10=-5.42047e-07
第11面
k=0.000
A4=-2.15456e-03,A6=7.25939e-05,A8=9.43097e-06,A10=-3.99105e-07
第12面
k=0.000
A4=-1.12076e-03,A6=7.36307e-06,A8=7.46212e-06
第14面
k=0.000
A4=-5.52046e-04,A6=-1.13281e-05
第15面
k=0.000
A4=8.27756e-04,A6=-1.59393e-05,A8=7.53204e-07
第18面
k=0.000
A4=-1.13944e-03,A6=5.39936e-05,A8=-1.12183e-05
第19面
k=0.000
A4=-2.80342e-03,A6=2.05341e-04
第20面
k=0.000
A4=-2.22654e-03,A6=1.32701e-04
第21面
k=0.000
A4=-6.73442e-05
第22面
k=0.000
A4=-1.11186e-05
ズームデータ
広角 中間 望遠
f 3.91 8.54 18.80
FNO. 4.01 5.09 5.85
2ω 89.57 47.44 22.08
IH 3.25 3.86 3.86
FB(in air) 3.30 3.30 3.30
全長(in air) 51.26 51.26 51.26
d6 0.50 4.11 8.76
d12 9.26 5.65 1.00
d13 5.76 2.26 0.90
d18 1.68 3.14 4.36
d20 1.44 3.48 3.62
群焦点距離
f1=12.67 f2=-6.98 f3=8.75 f4=-7.95 f5=10.75
【0183】
数値実施例2
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 6181.608 0.50 2.00100 29.13
2 9.966 2.15
3 ∞ 8.10 1.92286 20.88
4 ∞ 0.15
5* 12.086 2.84 1.61881 63.85
6* -11.596 (可変)
7* -15.573 0.49 1.74320 49.29
8* 5.199 1.10
9 -75.708 0.50 1.69680 55.53
10 19.492 0.20
11* 9.192 1.19 1.82115 24.06
12* 296.829 (可変)
13(絞り) ∞ (可変)
14* 6.476 2.60 1.61881 63.85
15* -13.494 2.36
16 10.901 0.40 2.00100 29.13
17 3.587 2.77 1.49710 81.56
18* -44.262 (可変)
19 -27.230 0.40 1.78590 44.20
20 7.207 (可変)
21* 16.474 2.98 1.53071 55.69
22* -7.572 2.18
23 ∞ 0.80 1.51633 64.14
24 ∞ 0.94
像面(撮像面)∞
非球面データ
第5面
k=0.000
A4=-1.89595e-04,A6=1.80336e-06,A8=-6.11145e-08,A10=5.37248e-10
第6面
k=0.000
A4=8.72575e-05,A6=2.26896e-06,A8=-7.32667e-08,A10=8.18844e-10
第7面
k=0.000
A4=1.12197e-03,A6=-5.10784e-05,A8=-2.79168e-06,A10=1.16978e-07
第8面
k=0.000
A4=-2.58679e-04,A6=8.28937e-05,A8=7.25167e-06,A10=-1.50418e-06
第11面
k=0.000
A4=-1.50684e-03,A6=3.27739e-05,A8=2.14545e-05,A10=-7.98449e-07
第12面
k=0.000
A4=-1.00574e-03,A6=-2.22312e-05,A8=1.39239e-05
第14面
k=0.000
A4=-5.89917e-04,A6=-7.24150e-06
第15面
k=0.000
A4=3.19972e-04,A6=-7.84875e-06,A8=2.86898e-07
第18面
k=0.000
A4=-1.33060e-04,A6=7.97010e-06,A8=-5.84876e-06
第21面
k=0.000
A4=5.82829e-04
第22面
k=0.000
A4=1.65960e-03
ズームデータ
広角 中間 望遠
f 3.91 8.54 18.80
FNO. 4.03 5.08 5.43
2ω 89.35 45.25 20.82
IH 3.25 3.86 3.86
FB(in air) 3.65 3.65 3.65
全長(in air) 51.49 51.49 51.49
d6 0.50 4.44 9.93
d12 10.33 6.39 0.90
d13 5.13 1.62 0.90
d18 1.51 2.70 3.26
d20 1.64 3.96 4.12
群焦点距離
f1=13.51 f2=-7.44 f3=8.55 f4=-7.21 f5=10.21
【0184】
数値実施例3
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 ∞ 0.50 2.00100 29.13
2 9.680 1.97
3 ∞ 8.10 1.92286 20.88
4 ∞ 0.15
5* 11.430 2.83 1.61881 63.85
6* -11.133 (可変)
7* -24.279 0.50 1.85370 40.58
8* 4.179 1.26
9* 14.302 1.78 2.10300 18.05
10* 4710.816 (可変)
11(絞り) ∞ (可変)
12* 6.409 2.44 1.61881 63.85
13* -13.508 2.39
14 29.992 0.40 2.00100 29.13
15 4.349 2.39 1.48749 70.23
16 -8.597 (可変)
17 -20.612 0.40 1.78590 44.20
18 7.299 (可変)
19* 11.030 3.09 1.53071 55.69
20* -9.161 2.00
21 ∞ 0.80 1.51633 64.14
22 ∞ 0.94
像面(撮像面)∞
非球面データ
第5面
k=0.000
A4=-1.79432e-04,A6=-4.29538e-07,A8=1.90394e-08,A10=-4.62468e-10
第6面
k=0.000
A4=1.46758e-04,A6=1.73874e-07
第7面
k=0.000
A4=-1.45072e-04,A6=-4.84437e-05,A8=-2.95716e-08,A10=4.62249e-08
第8面
k=0.000
A4=-1.78443e-03,A6=2.94906e-05,A8=-1.40099e-05,A10=2.03050e-09
第9面
k=0.000
A4=-9.30675e-04,A6=7.17812e-05,A8=8.73913e-07,A10=-2.09447e-07
第10面
k=0.000
A4=-1.09602e-03,A6=3.04657e-05,A8=-1.22498e-07
第12面
k=0.000
A4=-4.30124e-04,A6=2.72025e-06
第13面
k=0.000
A4=6.52400e-04,A6=-3.16143e-06,A8=3.85219e-07
第19面
k=0.000
A4=1.58687e-04,A6=7.76641e-06,A8=-1.05484e-07
第20面
k=0.000
A4=1.20347e-03,A6=-4.02664e-06,A8=1.03124e-07
ズームデータ
広角 中間 望遠
f 3.82 8.37 18.35
FNO. 3.86 4.91 5.49
2ω 90.43 46.27 21.49
IH 3.24 3.86 3.86
FB(in air) 3.47 3.47 3.47
全長(in air) 51.25 51.25 51.25
d6 0.50 4.00 8.99
d10 9.39 5.89 0.90
d11 5.84 1.93 0.90
d16 2.40 3.59 4.20
d18 1.45 4.17 4.59
群焦点距離
f1=12.58 f2=-7.12 f3=8.76 f4=-6.82 f5=9.96
【0185】
数値実施例4
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 ∞ 0.50 2.00100 29.13
2 9.311 2.03
3 ∞ 8.10 1.92286 20.88
4 ∞ 0.15
5* 11.656 2.85 1.61881 63.85
6* -10.536 (可変)
7* -31.340 0.50 1.85075 40.16
8* 4.033 1.25
9* 15.621 1.14 2.10300 18.05
10* -299.752 (可変)
11(絞り) ∞ (可変)
12* 6.392 3.09 1.61881 63.85
13* -12.550 2.31
14 64.852 0.40 2.00100 29.13
15 4.550 3.43 1.48749 70.23
16 -7.461 (可変)
17 -12.468 0.40 1.78590 44.20
18 8.860 (可変)
19* 10.575 3.00 1.53071 55.69
20* -8.065 1.98
21 ∞ 0.80 1.51633 64.14
22 ∞ 0.92
像面(撮像面)∞
非球面データ
第5面
k=0.000
A4=-1.50197e-04,A6=-8.51991e-07,A8=1.09609e-08,A10=-3.86917e-10
第6面
k=0.000
A4=1.98782e-04,A6=-4.19557e-07
第7面
k=0.000
A4=-1.83870e-03,A6=9.71472e-05,A8=-7.12997e-06,A10=2.11448e-07
第8面
k=0.000
A4=-3.21370e-03,A6=3.11120e-05,A8=-1.24058e-05,A10=-1.65452e-08
第9面
k=0.000
A4=-7.98548e-04,A6=6.00564e-06,A8=3.50746e-07,A10=-7.70670e-08
第10面
k=0.000
A4=-1.26595e-03,A6=9.71283e-08,A8=-9.28803e-09
第12面
k=0.000
A4=-3.65084e-04,A6=4.50026e-06
第13面
k=0.000
A4=8.45812e-04,A6=-2.79446e-06,A8=5.95940e-07
第19面
k=0.000
A4=8.47209e-04,A6=-2.16855e-05,A8=-1.20990e-07
第20面
k=0.000
A4=2.82969e-03,A6=-6.11240e-05,A8=1.16675e-07
ズームデータ
広角 中間 望遠
f 3.82 8.37 18.35
FNO. 3.95 5.09 5.57
2ω 90.17 45.66 21.19
IH 3.24 3.86 3.86
FB(in air) 3.43 3.43 3.43
全長(in air) 51.34 51.34 51.34
d6 0.50 4.33 9.29
d10 9.69 5.86 0.90
d11 5.23 1.75 0.90
d16 2.36 3.76 3.95
d18 0.98 3.06 3.72
群焦点距離
f1=12.05 f2=-7.03 f3=9.21 f4=-6.54 f5=9.13
【0186】
数値実施例5
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 -99567.235 0.50 2.00100 29.13
2 9.312 2.04
3 ∞ 8.10 1.92286 20.88
4 ∞ 0.20
5* 12.455 2.85 1.61881 63.85
6* -10.274 (可変)
7* -71.265 0.50 1.85075 40.16
8* 4.512 1.11
9 24.488 1.90 1.84666 23.78
10 -6.924 0.50 1.80610 40.88
11* -1027.764 (可変)
12(絞り) ∞ (可変)
13* 6.161 2.20 1.61881 63.85
14* -14.534 2.33
15 24.464 0.50 2.00100 29.13
16 4.100 3.10 1.51633 64.14
17 -9.936 (可変)
18 -16.401 0.40 1.80610 40.92
19 7.156 (可変)
20* 10.527 3.00 1.53071 55.69
21* -8.654 1.98
22 ∞ 0.80 1.51633 64.14
23 ∞ 0.91
像面(撮像面)∞
非球面データ
第5面
k=0.000
A4=-1.14157e-04,A6=-1.06973e-06,A8=3.48137e-08,A10=-4.73170e-10
第6面
k=0.000
A4=2.14980e-04,A6=-5.81892e-07,A8=1.89136e-08
第7面
k=0.000
A4=-1.37355e-03,A6=3.80725e-05,A8=-3.71709e-06,A10=1.23109e-07
第8面
k=0.000
A4=-1.39480e-03,A6=1.07385e-05,A8=-1.04870e-05,A10=2.59529e-07
第11面
k=0.000
A4=-9.67484e-04,A6=-8.06696e-06
第13面
k=0.000
A4=-4.08137e-04,A6=3.32884e-06
第14面
k=0.000
A4=6.61170e-04,A6=4.54484e-06
第20面
k=0.000
A4=7.76209e-04,A6=-1.13820e-05,A8=8.78426e-08
第21面
k=0.000
A4=2.36390e-03,A6=-3.72524e-05,A8=2.91395e-07
ズームデータ
広角 中間 望遠
f 3.82 8.37 18.34
FNO. 3.95 5.30 5.81
2ω 90.42 45.68 21.16
IH 3.24 3.86 3.86
FB(in air) 3.42 3.42 3.42
全長(in air) 51.87 51.87 51.87
d6 0.45 4.21 9.17
d11 9.62 5.86 0.90
d12 5.16 1.71 0.90
d17 2.36 3.86 4.89
d19 1.63 3.58 3.36
群焦点距離
f1=12.33 f2=-6.69 f3=8.66 f4=-6.13 f5=9.46
【0187】
数値実施例6
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 ∞ 0.50 2.00100 29.13
2 10.044 2.01
3 ∞ 8.10 1.92286 20.88
4 ∞ 0.20
5* 12.083 2.79 1.61881 63.85
6* -10.867 (可変)
7* -20.570 0.50 1.85075 40.16
8* 4.688 1.20
9 23.358 1.77 1.84666 23.78
10 -7.982 0.50 1.80610 40.88
11* -49.610 (可変)
12(絞り) ∞ (可変)
13* 6.353 2.25 1.61881 63.85
14* -14.273 2.60
15 27.579 0.50 2.00100 29.13
16 4.100 3.17 1.51633 64.14
17 -9.550 (可変)
18 -12.193 0.40 1.80610 40.92
19 7.703 (可変)
20* 10.352 3.00 1.53071 55.69
21* -7.215 1.98
22 ∞ 0.80 1.51633 64.14
23 ∞ 0.93
像面(撮像面)∞
非球面データ
第5面
k=0.000
A4=-1.17729e-04,A6=-7.82163e-07,A8=1.72488e-08,A10=-5.79768e-10
第6面
k=0.000
A4=2.00799e-04,A6=-4.57801e-07,A8=2.98894e-11
第7面
k=0.000
A4=-2.47459e-04,A6=-8.37207e-06,A8=-1.84912e-06,A10=8.11537e-08
第8面
k=0.000
A4=-7.21815e-04,A6=2.51719e-05,A8=-1.13482e-05,A10=3.43610e-07
第11面
k=0.000
A4=-6.72712e-04,A6=-2.17526e-05
第13面
k=0.000
A4=-4.25770e-04,A6=-4.46440e-06
第14面
k=0.000
A4=5.47621e-04,A6=-3.96883e-06
第20面
k=0.000
A4=5.43640e-04,A6=-2.02382e-05,A8=5.45259e-07
第21面
k=0.000
A4=2.36390e-03,A6=-5.96731e-05,A8=1.32792e-06
ズームデータ
広角 中間 望遠
f 3.82 8.37 18.35
FNO. 3.64 5.33 5.83
2ω 90.34 45.71 21.15
IH 3.24 3.86 3.86
FB(in air) 3.44 3.44 3.44
全長(in air) 51.85 51.85 51.85
d6 0.45 4.04 9.07
d11 9.52 5.93 0.90
d12 5.50 1.73 0.90
d17 2.40 3.89 4.80
d19 1.05 3.33 3.25
群焦点距離
f1=12.62 f2=-6.82 f3=8.93 f4=-5.80 f5=8.52
【0188】
以上の実施例1〜6の収差図を、それぞれ
図7〜
図12に示す。いずれも、無限遠物体合焦時の収差図である。また、各図中、”FIY”は、撮像素子をシフト移動させて手ブレによる像ブレを低減させることを前提にし、像高IHに0.2mmを加えたときの像高を示す。
【0189】
これらの収差図において、(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、広角端における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0190】
また、(e)、(g)、(g)、(h)は、それぞれ、中間焦点距離状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0191】
また、(i)、(j)、(k)、(l)は、それぞれ、望遠端における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0192】
次に、各実施例における条件式(1)〜(15)の値を掲げる。なお、-(ハイフン)は該当する構成がないことを示す。
実施例1 実施例2 実施例3
(1) f
t/f
w 4.81 4.81 4.8
(2) |D
1N/D
2P| 1.7 2.231 1.718
(3) |f
2P/D
2P| 1.801 2.022 1.773
(4) |D
1NS/D
2PS| 1.7 2.231 1.718
(5) D
1PN1PP/f
1P 0.821 0.769 0.813
(6) ν
1NP 24.74 24.06 18.05
(7) |f
1Po|×f
1Pi/IH
t2 6.497 6.708 6.214
(8) tanω
w-(L
pri/L
w) 0.834 0.832 0.85
(9) DT/(f
1Po/IH
t) 6.253 6.147 6.31
(10)|(f
1Po/IH
t)×(f
1P/IH
t)/tanω
w| 8.532 9.143 8.096
(11)|(f
1Po/f
w)×(f
1P/f
w)| 8.25 8.816 8.334
(12)|(f
1Po/IH
t)/(tanω
w)
2| 2.619 2.64 2.465
(13)(L
pri/IH
t)×(f
w/IH
t)/tanω
w 2.142 2.149 2.06
(14)|f
1Po/IH
t| 2.578 2.584 2.505
(15)ω
w 44.775 44.693 45.233
実施例4 実施例5 実施例6
(1) f
t/f
w 4.8 4.8 4.8
(2) |D
1N/D
2P| 2.03 2.048 1.873
(3) |f
2P/D
2P| 2.127 2.035 1.94
(4) |D
1NS/D
2PS| 2.03 2.048 1.873
(5) D
1PN1PP/f
1P 0.85 0.839 0.817
(6) ν
1NP 18.05 - -
(7) |f
1Po|×f
1Pi/IH
t2 5.871 5.966 6.53
(8) tanω
w-(L
pri/L
w) 0.844 0.85 0.85
(9) DT/(f
1Po/IH
t) 6.344 6.495 6.009
(10)|(f
1Po/IH
t)×(f
1P/IH
t)/tanω
w| 7.505 7.647 8.4465
(11)|(f
1Po/f
w)×(f
1P/f
w)| 7.679 7.858 8.675
(12)|(f
1Po/IH
t)/(tanω
w)
2| 2.4 2.38 2.569
(13)(L
pri/IH
t)×(f
w/IH
t)/tanω
w 2.073 2.064 2.064
(14)|f
1Po/IH
t| 2.41 2.41 2.599
(15)ω
w 45.057 45.18 45.169
【0193】
(光路折り曲げ式デジタルカメラ)
さて、以上のような本発明のズームレンズは、このズームレンズで形成した像をCCD等の電子撮像素子に受光させて撮影を行う電子撮影装置、とりわけデジタルカメラやビデオカメラ等に用いることができる。以下に、その実施形態を例示する。
【0194】
図14〜
図16は、本発明によるズームレンズを、デジタルカメラの撮影光学系141に組み込んだ構成の概念図を示す。
図14はデジタルカメラ140の外観を示す前方斜視図、
図15は同後方斜視図、
図16はデジタルカメラ140の構成を示す断面図である。
【0195】
デジタルカメラ140は、この例の場合、撮影用光路142を有する撮影光学系141、ファインダー用光路144を有するファインダー光学系143、シャッターボタン145、フラッシュ146、液晶表示モニター147等を含む。そして、カメラ140の上部に配置されたシャッターボタン145を押圧すると、それに連動して撮影光学系141、例えば実施例1のズームレンズを通して撮影が行われる。撮影光学系141によって形成された物体像が、近赤外カットフィルターと光学的ローパスフィルタFを介してCCD149の撮像面上に形成される。
【0196】
このCCD149で受光された物体像は、処理手段151を介し、電子画像としてカメラ背面に設けられた液晶表示モニター147に表示される。また、この処理手段151には記録手段152が接続され、撮影された電子画像を記録することもできる。なお、この記録手段152は処理手段151と別体に設けてもよいし、フレキシブルディスクやメモリーカード、MO等により電子的に記録書込を行うように構成してもよい。また、CCD149に代わって銀塩フィルムを配置した銀塩カメラとして構成してもよい。
【0197】
さらに、ファインダー用光路144上には、ファインダー用対物光学系153が配置してある。このファインダー用対物光学系153によって形成された物体像は、像正立部材であるポロプリズム155の視野枠157上に形成される。このポリプリズム155の後方には、正立正像にされた像を観察者眼球Eに導く接眼光学系159が配置されている。なお、撮影光学系141及びファインダー用対物光学系153の入射側、接眼光学系159の射出側にそれぞれカバー部材150が配置されている。
【0198】
このように構成されたデジタルカメラ140は、撮影光学系141が高変倍比で、広角端における画角が広いズームレンズであるので、高性能で、奥行き方向が極めて薄い安価なデジタルカメラが実現できる。
【0199】
なお、
図16例では、カバー部材150として平行平面板を配置しているが、省いてもよい。
【0200】
(内部回路構成)
図16は、デジタルカメラ140の主要部の内部回路の構成ブロック図である。なお、以下の説明では、前述した処理手段は、例えばCDS/ADC部124、一時記憶メモリ117、画像処理部118等からなり、記憶手段は、記憶媒体部119で構成される。
【0201】
図16に示すように、デジタルカメラ140は、操作部112と、この操作部112に接続された制御部113と、この制御部113の制御信号出力ポートにバス114及び115を介して接続された撮像駆動回路116並びに一時記憶メモリ117、画像処理部118、記憶媒体部119、表示部120、及び設定情報記憶メモリ部121を備えている。
【0202】
上記の一時記憶メモリ117、画像処理部118、記憶媒体部119、表示部120、及び設定情報記憶メモリ部121は、バス122を介して相互にデータの入力、出力が可能とされている。また、撮像駆動回路116には、CCD149とCDS/ADC部124が接続されている。
【0203】
操作部112は、各種の入力ボタンやスイッチを備え、これらを介して外部(カメラ使用者)から入力されるイベント情報を制御部113に通知する。制御部113は、例えばCPUなどからなる中央演算処理装置であって、不図示のプログラムメモリを内蔵し、プログラムメモリに格納されているプログラムにしたがって、デジタルカメラ140全体を制御する。
【0204】
CCD149は、撮像駆動回路116により駆動制御され、撮像光学系141を介して形成された物体像の画素ごとの光量を電気信号に変換し、CDS/ADC部124に出力する撮像素子である。
【0205】
CDS/ADC部124は、CCD149から入力する電気信号を増幅し、かつ、アナログ/デジタル変換を行って、この増幅とデジタル変換を行っただけの映像生データ(ベイヤーデータ、以下RAWデータという。)を一時記憶メモリ117に出力する回路である。
【0206】
一時記憶メモリ117は、例えばSDRAM等からなるバッファであり、CDS/ADC部124から出力されるRAWデータを一時的に記憶するメモリ装置である。画像処理部118は、一時記憶メモリ117に記憶されたRAWデータ又は記憶媒体部119に記憶されているRAWデータを読み出して、制御部113から指定された画質パラメータに基づいて歪曲収差補正を含む各種画像処理を電気的に行う回路である。
【0207】
記録媒体部119は、例えばフラッシュメモリ等からなるカード型又はスティック型の記録媒体を着脱自在に装着して、これらのフラッシュメモリに、一時記憶メモリ117から転送されるRAWデータや画像処理部118で画像処理された画像データを記録して保持する。
【0208】
表示部120は、液晶表示モニター147などにて構成され、撮影したRAWデータ、画像データや操作メニューなどを表示する。設定情報記憶メモリ部121には、予め各種の画質パラメータが格納されているROM部と、操作部112の入力操作によってROM部から読み出された画質パラメータを記憶するRAM部が備えられている。設定情報記憶メモリ部121は、それらのメモリへの入出力を制御する回路である。