特許第6202838号(P6202838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202838
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】溶融袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20170914BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20170914BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B65D85/00 L
   B65D30/02
   B65D65/46
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-51039(P2013-51039)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-177284(P2014-177284A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】596111276
【氏名又は名称】積水フィルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】筑紫 憲門
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−002581(JP,A)
【文献】 再公表特許第2012/120944(JP,A1)
【文献】 特開2011−018526(JP,A)
【文献】 特開2012−086876(JP,A)
【文献】 特開2006−089729(JP,A)
【文献】 特開2006−001979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/00
B65D 30/02
B65D 65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点110℃以下、密度0.915〜0.922、ASTM D1238に基づき190℃の温度、2.16kg荷重下の条件により測定したメルトフローレート15〜35の低密度ポリエチレン樹脂からなり、
合成ゴム、及びタッキファイヤを含有するホットメルト接着剤の包装用である、
溶融袋。
【請求項2】
請求項1に記載の溶融袋、及び当該溶融袋で包装され、合成ゴム、及びタッキファイヤを含有するホットメルト接着剤からなる包装ホットメルト接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤を包装する溶融袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホットメルト接着剤を包装する袋として、袋を剥がすことなくそのままホットメルト接着剤を溶かす高温容器に投入できる、いわゆる溶融袋が用いられている。
【0003】
溶融袋に求められる要件としては、溶融操作温度よりも低い温度で溶融すること、短時間で均一溶融すること、及び袋を落としても破袋しにくいことが挙げられる。
【0004】
例えば、特許文献1には、密度が0.898〜0.920g/cmのメタロセン系直鎖状エチレン重合体(A)と、密度が0.905〜0.925g/cmであって直鎖状エチレン重合体(A)より高い密度の直鎖状エチレン重合体(B)とを含む樹脂組成物からなるフィルムからなる溶融袋が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3685775号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の溶融袋は、150℃付近の低温では完全には溶融せず、溶融残渣が残る、という問題点を有している。
【0007】
本発明は、低温(例、150℃付近)でほとんど又は全く残渣が残らないように融解でき、長期間保管にした状態でもブロッキングがおこらず、かつ被包装物を入れた状態で落とされても破袋しにくい溶融袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、
融点110℃以下、密度0.915〜0.922、メルトフローレート15〜35の低密度ポリエチレン樹脂からなる溶融袋
によって、前記課題が解決出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、次の態様を含む。
項1. 融点110℃以下、密度0.915〜0.922、メルトフローレート15〜35の低密度ポリエチレン樹脂からなる溶融袋。
項2. ホットメルト接着剤の包装用である、項1に記載の溶融袋。
項3. 項1に記載の溶融袋、及び当該溶融袋で包装されたホットメルト接着剤からなる包装ホットメルト接着剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明の溶融袋は、低温(例、150℃付近)でほとんど又は全く残渣が残らないように融解でき、長期間保管にした状態でもブロッキングがおこらず、かつ被包装物を入れた状態で落とされても破袋しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の溶融袋は、融点110℃以下、密度0.915〜0.922、メルトフローレート15〜35の低密度ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする。
【0012】
本発明用いられる低密度ポリエチレン樹脂における低密度ポリエチレンとは、エチレンに高圧下、ラジカル重合触媒で重合させて製造されたポリエチレンいう。
【0013】
本発明で使用される低密度ポリエチレン樹脂の融点は、110℃以下に限定される。融点が110℃よりも高いと、低温(例、150℃付近)融解時で溶融袋が充分に溶融しないためである。
【0014】
融点は、JIS K7121の融解温度である。
【0015】
本発明で使用される低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.915〜0.922g/cmの範囲内に限定される。密度が、0.915g/cmよりも低いと、袋同士がブロッキングし、これを剥がそうとする際に袋が破れてしまうことがあり、一方、密度が0.922g/cmよりも高いと樹脂の融点も高くなり、溶融時に溶け残り(残渣)が出ることがある。より好ましい上限は、0.920g/cmであり、より望ましい下限は0.917g/cmである。
【0016】
密度は、JIS K6760の方法により求められる。
【0017】
本発明で使用するメルトフローレート(MFR)は、15〜35に限定される。MFRが、15よりも低いと、溶融時に残渣が出てしまい、MFRが35よりも高いと製造された袋の強度が低下するおそれがあるためである。より好ましい上限は25であり、より好ましい下限は20である。
【0018】
MFRは、ASTM D1238に基づき190℃の温度、2.16kg荷重下の条件により求められる。
【0019】
本発明で使用される低密度ポリエチレン樹脂は、商業的に入手可能である。本発明で使用される低密度ポリエチレン樹脂の市販品としては、例えば、日本ポリエチレン社製の商品名「ノバテックLJ802」、旭化成ケミカルズ社製の商品名「サンテックM6520」、東ソー社製の商品名「ペトロセン202」などが挙げられる。
【0020】
本発明で用いられる低密度ポリエチレン樹脂は、その特性が著しく損なわれない範囲内において、光安定剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0021】
本発明の溶融袋は、前記低密度ポリエチレン樹脂から形成されるポリエチレンフィルムからなる。
当該ポリエチレンフィルムの厚さについては、特に限定はなく、袋に充填する製品の量に応じて、適宜選択することができるが、通常は、約10〜約500μmの範囲内である。
【0022】
本発明の溶融袋は、低密度ポリエチレン樹脂から、常法によってポリエチレンフィルムを成形する工程、及び当該ポリエチレンフィルムを常法によって製袋する工程を含む製造方法によって製造できる。
本発明の溶融袋の形態は、特に限定されず、例えば、四方シール袋、三方シール袋、二方シール袋、ガセット包装袋、又はピロー包装袋等であることができる。
本発明の溶融袋の大きさは、例えば、縦20〜50cm×横10〜40cmの範囲内である。
【0023】
本発明の溶融袋で包装される対象は、好ましくはホットメルト接着剤である。なかでも合成ゴム、及びタッキファイヤを含有するホットメルト接着剤が好ましい。
本発明の溶融袋は、このようなホットメルト接着剤と良好な相溶性を有する。
【0024】
本発明は、低温(例、150℃付近)でほとんど又は全く残渣が残らないように融解でき、長期間保管にした状態でもブロッキングがおこらず、かつ被包装物を入れた状態で落とされても破袋しにくい。
【0025】
本発明の包装ホットメルト接着剤は、本発明の溶融袋及び当該溶融袋で包装されたホットメルト接着剤からなる。
本発明の包装ホットメルト接着剤は、例えば、本発明の溶融袋の開口部からホットメルト接着剤を入れ、当該開口部をシールすることによって製造される。
本発明の包装ホットメルト接着剤は、ホットメルト接着剤を本発明の溶融袋から取り出すことなく、本発明の包装ホットメルト接着剤を丸ごと溶融させることにより、接着剤として使用できる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
表1の組成からなる厚さ30μmのキャストフィルムを作成した。フィルムの成形は、リップクリアランスが3mmのTダイフィルム成形機(75mm径押出機)を用い、成形条件は樹脂温度180℃、引取速度35m/分とした。得られたフィルムを縦ピロー包装機(川島製作所)で製袋(シール温度:縦方向 115℃、横方向 90℃)して溶融袋を得た。
また、溶融袋にホットメルト接着剤を充填し、上部をシールして、ホットメルト接着剤を封入した溶融袋を得た。
溶融袋の、溶融性、耐ブロッキング性、及び破袋強度を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
尚、実施例、又は比較例に用いた樹脂及びその物性、並びに実施例、又は比較例において得られたフィルムの物性測定方法は以下のとおりである。
【0028】
1.原料の組成と物性
樹脂1:低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製 商品名「ノバテックLJ802」、融点106℃、密度0.918、MFR22)
樹脂2:低密度ポリエチレン樹脂(ダウケミカル社製 商品名「DNDJ−0405」融点105℃、密度0.915、MFR25)
樹脂3:低密度ポリエチレン樹脂(旭化成ケミカルズ社製 商品名「サンテックM6520.4」、融点107℃、密度0.919、MFR17)
樹脂4:低密度ポリエチレン樹脂(東ソー社製 商品名「ペトロセン208」、融点111℃、密度0.924、MFR23)
樹脂5:低密度ポリエチレン樹脂(旭化成ケミカルズ社製 商品名「サンテックL6810」、融点107℃、密度0.918、MFR11)
樹脂6:低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製 商品名「ノバテックLJ902」、融点102℃、密度0.915、MFR45)
樹脂7:低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製 商品名「ノバテックLJ8041」、融点123℃、密度0.918、MFR23)
樹脂8:低密度ポリエチレン樹脂(ダウケミカル社製 商品名「DNDV−0405R」、融点105℃、密度0.914、MFR32)
【0029】
2.評価方法
〔溶融性〕
150℃に加熱したシリコーンオイル中に10cm×10cmの面積の厚さ30μmの溶融袋を投入し、40分後の溶融袋の状態を、以下の基準で評価した。
○(優):溶け残りが全くない又は溶け残ったフィルム片が小さい(面積4cm未満)
△(良):溶け残ったフィルム片がやや大きい(面積4cm以上9cm未満)
×(不良):溶け残ったフィルム片が大きい(面積9cm以上)
【0030】
〔耐ブロッキング性〕
溶融袋を2枚重ね合わせ、重ね合わせたフィルム上に荷重10kgの錘をフィルムを完全に覆うように載せ、50℃のオーブン中に3日間放置した。オーブン中から重ね合わせた溶融袋を取り出して剥がす際のブロッキングの程度を、以下の基準で評価した。
○(優):重ね合わせた溶融袋はブロッキングしておらず、容易に剥がすことができた
△(良):重ね合わせた溶融袋は少しブロッキングしていたが、剥がすのに困難はなかった
×(不良):重ね合わせた溶融袋はブロッキングしており、剥がすのが困難であった
【0031】
〔破袋強度〕
重さ2kgのホットメルト接着剤を封入した溶融袋(縦35cm×横25cm)を高さ1mから落下させて破れた回数を測定し、以下の基準で評価した。なお、溶融袋のシールはヒートシールによって行った。
○(優):10回の試験で袋が破れた回数が0〜1回
△(良):10回の試験で袋が破れた回数が2〜5回
×(不良):10回の試験で袋が破れた回数が5〜10回
【0032】
【表1】