(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、前記ガイドデータに基づく画像として、前記過去のドプラ計測時の前記超音波プローブの位置と向きを示す目標位置ガイドマーカと、前記現在のドプラ計測に際した前記超音波プローブの位置と向きを示す現在位置ガイドマーカを表示する請求項1または請求項2に記載の超音波診断装置。
前記表示部は、前記ガイドデータに基づく画像として、前記現在位置ガイドマーカと前記目標位置ガイドマーカが重なるように前記現在位置ガイドマーカを誘導する矢印状のマーカを表示する請求項3に記載の超音波診断装置。
前記中央演算処理部は、前記第1位置情報と、前記第2位置情報とが合致したときに、血流速度の計測を開始させる請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記表示部は、前記過去のドプラ計測により生成されたドプラスペクトラム画像と、前記現在のドプラ計測により生成されたドプラスペクトラム画像を表示させる請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記表示部は、前記過去のドプラ計測において計測された血流速度に基づく値と、前記現在のドプラ計測において計測された血流速度に基づく値を表示させる請求項1乃至8のうちいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
まず、本実施形態における超音波診断装置100の構成を
図1のブロック図を用いて説明する。
【0011】
本実施形態における超音波診断装置100は、中央演算処理部1、送受信制御部2、送信部3、超音波プローブ4、受信部5、信号処理部6、記憶部7、表示部8、位置情報換算部9、ガイドデータ生成部10、操作部11を備える。また、超音波診断装置100は、ネットワークを介してデータの送受信が可能なように画像サーバ200に接続されている。
【0012】
以降、制御データとは、後述する超音波プローブ4が超音波による送信ビームを生成するために必要なデータであり、超音波プローブ4が有する振動子に与える駆動パルスを遅延させるための遅延時間情報を含むデータである。
【0013】
中央演算処理部1は、操作部11からBモードデータの生成を指示された場合、Bモードデータ生成用の制御データを生成し、生成したBモードデータ生成用の制御データを送受信制御部2へ転送する。中央演算処理部1は、操作部11からカラードプラデータの生成を指示された場合、操作部11によって指定された範囲のカラードプラデータ生成用の制御データを生成し、生成したカラードプラデータ生成用の制御データを送信部3へ転送する。中央演算処理部1は、操作部11からドプラスペクトラムデータの生成を指示された場合、操作部11によって指定された位置のドプラスペクトラムデータ生成用の制御データを生成し、生成したドプラスペクトラムデータ生成用の制御データを送信部3へ転送する。なお、本実施形態では、パルスドプラ法によってサンプリングを行うことでドプラスペクトラムデータを生成する場合について説明する。
【0014】
中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶された過去の検査時におけるBモードデータ、カラードプラデータ、ドプラスペクトラムデータを表示部8に転送させる。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶された、ライブ撮像で現在取得しているBモードデータ、カラードプラデータ、ドプラスペクトラムデータを表示部8に転送させる。
【0015】
中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、3次元的に描画されたX線CT画像やMRI画像、超音波画像などの医用画像のデータ(ボリュームデータ)を画像サーバ200から記憶部7に転送させ、記憶させる。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶されたボリュームデータを表示部8に転送させる。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶されたボリュームデータを位置情報換算部9に転送させる。
【0016】
中央演算処理部1は、後述する位置情報取得部202によって取得された、過去の検査時における超音波プローブ4の位置情報を、記憶部7に記憶させる。中央演算処理部1は、位置情報取得部202によって取得された現在の超音波プローブ4の実空間上の位置に対応する超音波プローブ4の位置情報を、記憶部7に記憶させる。中央演算処理部1は、記憶部7に記憶された超音波プローブ4の位置情報を位置情報換算部9に転送させる。中央演算処理部1は、記憶部7に記憶された超音波プローブ4の位置情報をガイドデータ生成部10に転送させる。なお、超音波プローブ4の位置情報の詳細については後述する。
【0017】
中央演算処理部1は、ガイドデータ生成部10が生成した後述するガイドデータを表示部8に転送させる。
【0018】
中央演算処理部1は、操作部11によって、過去の検査時点でドプラスペクトラムデータの生成が指示されたとき、操作部11によってドプラスペクトラムデータの生成が指示された位置に対して送信ビームをフォーカスさせるための送信角度およびフォーカス距離を記憶部7に記憶させる。中央演算処理部1は、記憶部7に記憶された送信角度、フォーカス距離の情報をガイドデータ生成部10に転送させる。
【0019】
図2は、Bモードデータに基づく画像(Bモード画像102)の示す断面の概略図である。
図2に示すように、前述のドプラスペクトラムデータの生成が指示された位置は、鎖線で囲まれた領域として表現されたBモード画像102上に下駄記号のマーカ(レンジゲートマーカ101)で示される。なお、
図2における破線の矢印Aは、超音波プローブ4が患者に対して垂直になる方向(超音波プローブ深さ方向103)、二重鎖線の矢印Bは、振動子の配列方向(振動子配列方向104)、実線の矢印Cは、レンジゲートマーカ101が示す位置に送信ビームを送信する場合の送信ビームの進行方向(送信ビーム進行方向105)である。送信ビーム進行方向105は、例えば、超音波プローブ深さ方向103に対する角度Θとして表現され、この角度は前述した送信角度に相当する。また、例えば、送信ビームの発信基を示す点、すなわち送信振動子の開口中心点が点Oに一致する場合、点Oからレンジゲートマーカ101までの距離Dは前述したフォーカス距離に相当する。簡略化のために、以降は点Oが超音波プローブ4の先端の中心である場合について説明する。
【0020】
中央演算処理部1は、所定の操作画面を表示部8に表示させる。
【0021】
送受信制御部2は、図示しないメモリなどの記憶手段を備え、中央演算処理部1から転送された制御データを当該記憶手段に記憶させる。送受信制御部2は、パルス信号を所定の時間間隔で繰り返し発生させる。以降、当該所定の時間間隔を一つの時間単位とし、レートと呼称する。また、レート単位で送受信制御部2が発生させるパルス信号をレートパルスと呼称する。送受信制御部2は、レートパルスを発生させることで一つのレートを開始させると、上記の記憶手段に記憶された制御データの中から当該レートに係る制御データを送信部3および受信部5に送信する。
【0022】
送信部3は、送受信制御部2から受信した制御データに基づく駆動パルスを後述する超音波プローブ4の振動子に送信する。
【0023】
超音波プローブ4は、例えば、一次元に複数個配列された図示しない振動子を備えたコンベックス型のプローブである。各振動子は、送信部3から駆動パルスを受信すると超音波を発生させ、患者の体内組織にて反射した反射波を受信するとエコー信号を発生させる。振動子は、発生させたエコー信号を受信部5に送信する。また、本実施形態において、超音波プローブ4には位置センサ201が装着される。位置センサ201は、例えば磁場発生部203が発生する磁場の強度を検知し、検知した磁場の強度を示す情報を位置情報取得部202に送信する。位置情報取得部202は、位置センサ201から受信した磁場の強度情報に基づいて、磁場発生部203を基準とする実空間の座標系に対応する3次元磁場空間の座標系における超音波プローブ4の座標、超音波プローブ4の回転方向の角度、超音波プローブ4の深さ方向(回転軸方向)の角度などの位置情報を取得する。
【0024】
図3は、位置情報取得部202によって取得される位置情報の概念図である。
図3に示すように、位置情報取得部202は、例えば、磁場発生部203から発生された3次元磁場空間の座標系に属する。以降、この座標系を位置情報取得部座標系106と呼称し、x軸、y軸、z軸からなる座標系(x,y,z)で表す。
図3に示すように、超音波プローブ4は例えば矢印Eが示す方向に回転し、この回転の軸と一致する超音波プローブ4の深さ方向は矢印Fが示す方向に回転する。本実施形態において、位置情報取得部202は、例えば、位置情報取得部座標系106における超音波プローブ4の先端の中心である点Oの座標を超音波プローブ4の座標、超音波プローブ深さ方向103がx軸正方向と成す角度を超音波プローブ4の深さ方向の角度、振動子配列方向104がy軸正方向と成す角度を超音波プローブ4の回転方向の角度として、位置情報を取得する。なお、この位置情報と、前述した送信角度およびフォーカス距離によって、
図2で示したレンジゲートマーカ101の位置および向きは一意的に決まる。
【0025】
受信部5は、エコー信号を受信すると、エコー信号の信号強度を増幅させ、制御データに基づく整相加算処理を行ない、信号処理部6へエコー信号を送信する。
【0026】
信号処理部6は、受信部5から送られてきたエコー信号に対して、撮影モードに対応する信号処理を行い記憶部7に処理された信号を送信する。撮像モードがBモード撮像モードであった場合、カラードプラ撮像モードであった場合、及びドプラスペクトラム撮像モードであった場合とで、信号処理部6が行う信号処理の内容は次のように異なる。
【0027】
信号処理部6は、受信部5から受信したエコー信号が、Bモードデータを生成するためのエコー信号である場合、当該エコー信号に包絡線検波処理、対数圧縮処理を施し、受信信号を生成する。信号処理部6は、Bモードデータ生成用の全ての制御データに係る受信信号に基づいてBモードデータを生成する。信号処理部6は、生成したBモードデータを記憶部7に送信する。
【0028】
信号処理部6は、受信部5から受信したエコー信号が、カラードプラデータを生成するためのエコー信号である場合、当該エコー信号の周波数分析として、一般的に自己相関法を用いてエコー信号に生じた周波数偏移を検出する。信号処理部6は、検出した周波数偏移をドプラ信号として取得する。信号処理部6は、カラードプラデータ生成用の全ての制御データに基づいて操作部11によって指定された範囲のカラードプラデータを生成する。信号処理部6は、生成したカラードプラデータを記憶部7に送信する。
【0029】
信号処理部6は、受信部5から受信したエコー信号が、ドプラスペクトラムデータを生成するためのエコー信号である場合、当該エコー信号の周波数分析として、一般的に高速フーリエ変換法を用いてエコー信号に生じた周波数偏移の変化を検出する。信号処理部は、検出した周波数偏移の変化をドプラ信号として取得する。信号処理部6は、ドプラスペクトラムデータ生成用の制御データに基づいて操作部11によって指定された位置のドプラスペクトラムデータを生成する。信号処理部6は、生成したドプラスペクトラムデータを記憶部7に送信する。
【0030】
記憶部7は、信号処理部6から受信したBモードデータ、カラードプラデータ、ドプラスペクトラムデータを記憶する。記憶部7は、中央演算処理部1からの指示に従って、自身が記憶したBモードデータ、カラードプラデータ、ドプラスペクトラムデータを表示部8に転送する。記憶部7は、中央演算処理部1からの指示に従って、画像サーバ200から転送されたボリュームデータを記憶する。記憶部7は、中央演算処理部1からの指示に従って、自身が記憶したボリュームデータを表示部8に転送する。記憶部7は、自身が記憶したボリュームデータを位置情報換算部9に転送する。記憶部7は、中央演算処理部1からの指示に従って、位置情報取得部202が取得したボリュームデータに関連付けられた、過去のドプラ計測時における超音波プローブ4の位置を示す位置情報を記憶する。記憶部7は、中央演算処理部1からの指示に従って、位置情報取得部202が取得した現在計測しているドプラ計測時における超音波プローブ4の位置を示す位置情報位置情報を記憶する。記憶部7は、中央演算処理部1からの指示に従って、位置情報取得部202が取得した位置情報を位置情報換算部9に転送する。記憶部7は、位置情報換算部9から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報を記憶する。記憶部7は、中央演算処理部1からの指示に従って、位置情報換算部9から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報をガイドデータ生成部10に転送する。記憶部7は、中央演算処理部1の指示に従って、過去の検査時においてドプラスペクトラムデータの生成が指示されたときの送信角度およびフォーカス距離を記憶する。
【0031】
表示部8は、中央演算処理部1からの指示に従って、所定の操作画面を表示する。表示部8は、中央演算処理部1からの指示に従って、記憶部7から転送されたBモードデータ、カラードプラデータ、ドプラスペクトラムデータ、ボリュームデータを画像として表示する。表示部8は、中央演算処理部1からの指示に従って、ガイドデータ生成部10から転送されたガイドデータをボリューム画像として表示する。
【0032】
位置情報換算部9は、記憶部7から転送された3次元磁場空間の座標系における過去の検査時の超音波プローブ4の位置情報を、記憶部7から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算する。位置情報換算部9は、記憶部7から転送された3次元磁場空間の座標系におけるライブ撮像で現在取得している超音波プローブ4の位置情報を、記憶部7から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算する。位置情報換算部9は、ボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報を再び記憶部7に転送する。また、位置情報換算部9は、ボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報をガイドデータ生成部10に転送する。なお、位置情報換算部9の詳細については、後述する。
【0033】
ガイドデータ生成部10は、位置情報換算部9から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報に基づいてガイドデータを生成する。またガイドデータ生成部10は、記憶部7から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報と、記憶部7から転送された送信角度、フォーカス距離に基づいてガイドデータを生成する。ガイドデータ生成部10は、位置情報換算部9から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報と記憶部7から転送された送信角度、フォーカス距離に基づいてガイドデータを生成する。ガイドデータ生成部10は、中央演算処理部1からの指示に従って、生成したガイドデータを表示部8に転送する。なお、ガイドデータの詳細については、後述する。
【0034】
操作部11は、例えば、トラックボールやキーボード、表示部8と一体となったタッチパネルであり、オペレータは、操作部11を介して、表示部8に表示された所定の操作画面の操作を行う。
【0035】
次に、本実施形態における超音波診断装置100の動作を、
図4と
図5に示すフロー図を用いて説明する。なお、
図4と
図5を用いて説明する本実施形態の動作は、患者の血流速度の経過観察を行なう場合を仮定しており、
図4は経過観察の初回におけるフロー図、
図5は経過観察の2回目以降におけるフロー図である。なお、本実施形態において、例えば位置情報取得部202は常に超音波プローブの位置情報を取得し、中央演算処理部1は、位置情報取得部202によって取得された超音波プローブ4の位置情報を、随時、記憶部7に記憶させる。
【0036】
まず、
図4のフロー図を用いて経過観察の初回時におけるフローを説明する。
【0037】
ステップS1において、オペレータは診断を開始する。
【0038】
ステップS2において、オペレータは、操作部11を介して、経過観察を行う位置を含むボリュームデータを画像サーバ200から取得するように中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、経過観察を行なう位置を含むボリュームデータを画像サーバ200から記憶部7に転送させ、記憶部7に記憶させる。または、計画的に診断スケジュールがある場合、診断開始前に予め患者のボリュームデータを画像サーバ200から転送しておくことも可能である。
【0039】
ステップS3において、オペレータは、操作部11を介して、Bモードデータの生成を中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、Bモードデータ生成用の制御データを生成し、生成したBモードデータ生成用の制御データを送受信制御部2へ転送する。送受信制御部2は、中央演算処理部1から転送されたBモードデータ生成用の制御データを当該記憶手段に記憶させる。送受信制御部2は、レートパルスを発生させることで一つのレートを開始させると、上記の記憶手段に記憶されたBモードデータ生成用の制御データの中から当該レートに係る制御データを送信部3に送信する。送信部3は、送受信制御部2から受信した制御データに基づく駆動パルスを超音波プローブ4の振動子に送信する。超音波プローブ4の振動子は、送信部3から駆動パルスを受信すると超音波を発生させ、患者の体内組織にて反射した反射波を受信するとエコー信号を発生させる。振動子は、発生させたエコー信号を受信部5に送信する。受信部5は、エコー信号を受信すると、エコー信号の信号強度を増幅させ、制御データに基づく整相加算処理を行なう。受信部5は、整相加算処理が終了したエコー信号を信号処理部6に送信する。信号処理部6は、当該エコー信号に包絡線検波処理、対数圧縮処理を施し、受信信号を生成する。信号処理部6は、Bモードデータ生成用の全ての制御データに係る受信信号に基づいてBモードデータを生成し、生成したBモードデータを記憶部7に送信する。記憶部7は、信号処理部6から受信したBモードデータを記憶する。オペレータは、操作部11を介して記憶部7に記憶されたBモードデータを表示部8に転送するように中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶されたBモードデータを表示部8に転送させる。表示部8は、記憶部7から転送されたBモードデータをBモード画像として表示する。
【0040】
ステップS4において、オペレータは、記憶部7に記憶させたボリュームデータを表示部8に表示させるように、操作部11を介して、中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶されたボリュームデータを表示部8に転送させる。表示部8は、中央演算処理部1からの指示に従って、記憶部7から転送されたボリュームデータに基づく画像(ボリュームデータ画像)を表示する。
【0041】
ステップS5において、オペレータは、超音波プローブ4の位置情報をボリュームデータの座標系に換算するように、操作部11を介して、中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶されたボリュームデータを位置情報換算部9に転送させる。また、中央演算処理部1は、随時、記憶部7に記憶される超音波プローブ4の位置情報を位置情報換算部9に転送させる。位置情報換算部9は、記憶部7から転送された超音波プローブ4の位置情報を、記憶部7から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算する。位置情報換算部9は、ボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報をガイドデータ生成部10に転送する。
【0042】
図6は、位置情報換算部9による位置情報の換算の概念図である。
図6に示すように、例えば、ボリュームデータの座標系(ボリュームデータ座標系107)が、X軸、Y軸、Z軸で表現される座標系(X,Y,Z)であり、位置情報取得部座標系106をx軸方向に+a、y軸方向に+b、z軸方向に+cだけシフトさせた座標系である場合、仮に位置情報取得部座標系106における超音波プローブ4の先端の中心である点Oの座標が(x0,y0,z0)であったとすると、ボリュームデータ座標系107における点Oの座標は、(x0−a,y0−b,z0−c)と換算される。なお、上記例では、ボリュームデータ座標系107が、位置情報取得部座標系106を回転させた座標系でないため、超音波プローブ深さ方向103、振動子配列方向104には変化はない。なお、ボリュームデータ座標系107が位置情報取得部座標系106を回転させた座標系である場合も同様に換算される。
【0043】
ステップS6において、ガイドデータ生成部10は、位置情報換算部9から転送されたボリュームデータ座標系107における位置情報に換算された現在の超音波プローブ4の位置情報を示すガイドデータを生成する。ガイドデータ生成部10は、このガイドデータを表示部8に転送する。表示部8は、ガイドデータ生成部10から転送された、超音波プローブ4の位置情報を示すガイドデータをボリュームデータ画像上にガイドマーカとして表示する。
【0044】
図7は、表示部8に表示されるBモード画像102とボリュームデータに基づく画像(ボリューム画像108)の概略図である。
図7に示すように、ボリューム画像108には超音波プローブ4の位置および向きを示すガイドマーカ(現在位置ガイドマーカ109)が表示される。ここでBモード画像102に示される断面は、超音波プローブマーカ109の位置および向きから想定される断面Sにおける断面画像に相当する。なお、現在位置ガイドマーカ109の位置および向きは、位置情報取得部202が取得する位置情報によって随時更新される。
【0045】
ステップS7において、オペレータは、Bモード画像102の撮像領域内にカラードプラ撮影を行う対象が含まれていることを確認すると、操作部11を介して、表示部8に表示されたBモード画像102の中からカラードプラデータを生成する範囲を指定し、カラードプラデータの生成を中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、操作部11によって指定された範囲のカラードプラデータ生成用の制御データを生成し、生成したカラードプラデータ生成用の制御データを送信部3へ転送する。送受信制御部2は、中央演算処理部1から転送されたカラードプラデータ生成用の制御データを当該記憶手段に記憶させる。送受信制御部2は、レートパルスを発生させることで一つのレートを開始させると、上記の記憶手段に記憶されたカラードプラデータ生成用の制御データの中から当該レートに係る制御データを送信部3に送信する。送信部3は、送受信制御部2から受信した制御データに基づく駆動パルスを超音波プローブ4の振動子に送信する。超音波プローブ4の振動子は、送信部3から駆動パルスを受信すると超音波を発生させ、患者の体内組織にて反射した反射波を受信するとエコー信号を発生させる。振動子は、発生させたエコー信号を受信部5に送信する。受信部5は、エコー信号を受信すると、エコー信号の信号強度を増幅させ、制御データに基づく整相加算処理を行なう。受信部5は、整相加算処理が終了したエコー信号を信号処理部6に送信する。信号処理部6は、当該エコー信号の周波数分析として、自己相関法を用いてエコー信号に生じた周波数偏移を検出する。信号処理部6は、検出した周波数偏移をドプラ信号として取得する。信号処理部6は、カラードプラデータ生成用の全ての制御データに基づいて操作部11によって指定された範囲のカラードプラデータを生成し、生成したカラードプラデータを記憶部7に送信する。記憶部7は、信号処理部6から受信したカラードプラデータを記憶する。オペレータは、操作部11を介して記憶部7に記憶されたカラードプラデータを表示部8に転送するように中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶されたカラードプラデータを表示部8に転送させる。表示部8は、記憶部7から転送されたカラードプラデータをカラードプラ画像としてBモード画像102に重ねて表示する。
【0046】
ステップS8において、オペレータは、カラードプラ画像の撮像領域内にドプラスペクトラム計測を行う対象が含まれていることを確認すると、操作部11を介して、表示部8に表示されたカラードプラ画像の中からドプラスペクトラムデータを生成する位置、即ち、レンジゲートマーカの表示位置を指定する。中央演算処理部1は、表示部8にレンジゲートマーカを表示させ、レンジゲートマーカの位置に対して超音波プローブ4を動かさずに送信ビームをフォーカスさせるための送信角度およびフォーカス距離を記憶部7に記憶させる。
【0047】
ステップS9において、オペレータは、ドプラスペクトラムデータの生成を中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、操作部11によって指定された位置のドプラスペクトラムデータ生成用の制御データを生成し、生成したドプラスペクトラムデータ生成用の制御データを送信部3へ転送する。送受信制御部2は、中央演算処理部1から転送されたドプラスペクトラムデータ生成用の制御データを当該記憶手段に記憶させる。送受信制御部2は、レートパルスを発生させることで一つのレートを開始させると、上記の記憶手段に記憶されたドプラスペクトラムデータ生成用の制御データの中から当該レートに係る制御データを送信部3に送信する。送信部3は、送受信制御部2から受信した制御データに基づく駆動パルスを超音波プローブ4の振動子に送信する。超音波プローブ4の振動子は、送信部3から駆動パルスを受信すると超音波を発生させ、患者の体内組織にて反射した反射波を受信するとエコー信号を発生させる。振動子は、発生させたエコー信号を受信部5に送信する。受信部5は、エコー信号を受信すると、エコー信号の信号強度を増幅させ、制御データに基づく整相加算処理を行なう。受信部5は、整相加算処理が終了したエコー信号を信号処理部6に送信する。信号処理部6は、当該エコー信号の周波数分析として、高速フーリエ変換法を用いてエコー信号に生じた周波数偏移の変化を検出する。信号処理部は、検出した周波数偏移の変化をドプラ信号として取得する。信号処理部6は、ドプラスペクトラムデータ生成用の制御データに基づいて操作部11によって指定された位置のドプラスペクトラムデータを生成し、生成したドプラスペクトラムデータを記憶部7に送信する。記憶部7は、信号処理部6から受信したドプラスペクトラムデータを記憶する。オペレータは、操作部11を介して記憶部7に記憶されたドプラスペクトラムデータを表示部8に転送するように中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶されたドプラスペクトラムデータを表示部8に転送させる。表示部8は、記憶部7から転送されたドプラスペクトラムデータをドプラスペクトラム画像として表示する。
【0048】
ステップS10において、オペレータがドプラスペクトラム画像の観察を終えると、中央演算処理部1は、オペレータが操作部11を介してドプラスペクトラムデータの生成を中央演算処理部1に指示したときに記憶部7に記憶された超音波プローブ4の位置情報を位置情報換算部9に転送させる。位置情報換算部9は、記憶部7から転送された超音波プローブ4の位置情報をボリュームデータの座標系における位置情報に換算する。位置情報換算部9は、ボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報を記憶部7に転送する。記憶部7は、位置情報換算部9から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報を記憶する。
【0049】
ステップS11において、オペレータは診断を終了する。
【0050】
次に、
図5に示す経過観察2回目以降のフローについて説明する。2回目以降の経過観察では、オペレータは、初回のドプラスペクトラム計測を行った位置と同じ位置についてドプラスペクトラム計測を行うものとする。
【0051】
ステップS12において、オペレータは診断を開始する。
【0052】
ステップS13において、オペレータは、操作部11を介して、Bモードデータの生成を中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、Bモードデータ生成用の制御データを生成し、生成したBモードデータ生成用の制御データを送受信制御部2へ転送する。送受信制御部2は、中央演算処理部1から転送されたBモードデータ生成用の制御データを当該記憶手段に記憶させる。送受信制御部2は、レートパルスを発生させることで一つのレートを開始させると、上記の記憶手段に記憶されたBモードデータ生成用の制御データの中から当該レートに係る制御データを送信部3に送信する。送信部3は、送受信制御部2から受信した制御データに基づく駆動パルスを超音波プローブ4の振動子に送信する。超音波プローブ4の振動子は、送信部3から駆動パルスを受信すると超音波を発生させ、患者の体内組織にて反射した反射波を受信するとエコー信号を発生させる。振動子は、発生させたエコー信号を受信部5に送信する。受信部5は、エコー信号を受信すると、エコー信号の信号強度を増幅させ、制御データに基づく整相加算処理を行なう。受信部5は、整相加算処理が終了したエコー信号を信号処理部6に送信する。信号処理部6は、当該エコー信号に包絡線検波処理、対数圧縮処理を施し、受信信号を生成する。信号処理部6は、Bモードデータ生成用の全ての制御データに係る受信信号に基づいてBモードデータを生成し、生成したBモードデータを記憶部7に送信する。記憶部7は、信号処理部6から受信したBモードデータを記憶する。オペレータは、操作部11を介して記憶部7に記憶されたBモードデータを表示部8に転送するように中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶されたBモードデータを表示部8に転送させる。表示部8は、記憶部7から転送されたBモードデータをBモード画像として表示する。
【0053】
ステップS14において、中央演算処理部1は、所定の操作画面として、例えば記憶部7に記憶されている画像データのリストを表示部8に表示させる。オペレータは、当該リストの中から、経過観察の初回時に記憶部7に記憶されたボリュームデータを、操作部11を介して選択する。中央演算処理部1は、オペレータによって選択されたボリュームデータを記憶部7から表示部8に転送させる。表示部8は、中央演算処理部1からの指示に従って、記憶部7から転送されたボリュームデータを表示する。
【0054】
ステップS15において、オペレータは、現在の超音波プローブ4の位置情報をボリュームデータの座標系に換算するように、操作部11を介して、中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、まず、記憶部7に記憶されたボリュームデータを位置情報換算部9に転送させる。中央演算処理部1は、随時、記憶部7に記憶される現在の超音波プローブ4の位置情報を位置情報換算部9に転送させる。位置情報換算部9は、記憶部7から転送された超音波プローブ4の位置情報を、記憶部7から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算する。位置情報換算部9は、ボリュームデータの座標系における位置情報に換算された超音波プローブ4の位置情報をガイドデータ生成部10に転送する。
【0055】
ステップS16において、中央演算処理部1は、ステップS10で記憶部7に記憶された経過観察の初回時における超音波プローブ4の位置情報と、ステップS8で記憶部7に記憶された送信角度、フォーカス距離の情報をガイドデータ生成部10に転送させる。
【0056】
ステップS17において、ガイドデータ生成部10は、位置情報換算部9から転送されたボリュームデータの座標系における位置情報に換算された現在の超音波プローブ4の位置情報とステップS8で記憶部7に記憶された送信角度、フォーカス距離に基づくガイドデータを生成する。また、ガイドデータ生成部10は、ステップS16で記憶部7から転送された超音波プローブ4の位置情報とステップS8で記憶部7に記憶された送信角度、フォーカス距離に基づくガイドデータを生成する。ガイドデータ生成部10は、現在の超音波プローブ4に対応するガイドデータと、ステップS16で記憶部7から転送された経過観察の初回時における超音波プローブ4に対応するガイドデータを表示部8に転送する。表示部8は、ガイドデータ生成部10から転送された、現在の超音波プローブ4に対応するガイドデータと、ステップS16で記憶部7から転送された経過観察の初回時における超音波プローブ4に対応するガイドデータをガイドマーカとして表示する。
【0057】
図8は、ステップS17において表示部8に表示される、現在の超音波プローブ4の位置情報とステップS8で記憶部7に記憶された送信角度、フォーカス距離に基づくガイドマーカ(現在位置ガイドマーカ110)と、ステップS16で記憶部7から転送された超音波プローブ4の位置情報とステップS8で記憶部7に記憶された送信角度、フォーカス距離に基づくガイドマーカ(目標位置ガイドマーカ111)である。オペレータは、表示部8に表示された現在位置ガイドマーカ110を目標位置ガイドマーカ111に合致させるように、患者に押し当てている超音波プローブ4の位置および向きを変える。なお、現在位置ガイドマーカ110の位置および向きは、位置情報取得部202が取得する位置情報によって随時更新される。
【0058】
ステップS18において、オペレータは超音波プローブ4を操作し、目標位置ガイドマーカ111に、現在位置ガイドマーカ110を合致させる。
【0059】
ステップS19において、目標位置ガイドマーカ111に、現在位置ガイドマーカ110を合致すると、中央演算処理部1は、ステップS8で記憶部7に記憶された送信角度、フォーカス距離にレンジゲートマーカの位置を設定し、ドプラスペクトラムデータの生成を中央演算処理部1に指示する。つまり、オペレータは目標位置ガイドマーカ111に現在位置マーカ110を合致させるよう超音波プローブ4を移動させるだけで、自動的にドプラスペクトラムデータの生成が開始されることとなる。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、操作部11によって指定された位置のドプラスペクトラムデータ生成用の制御データを生成し、生成したドプラスペクトラムデータ生成用の制御データを送信部3へ転送する。送受信制御部2は、中央演算処理部1から転送されたドプラスペクトラムデータ生成用の制御データを当該記憶手段に記憶させる。送受信制御部2は、レートパルスを発生させることで一つのレートを開始させると、上記の記憶手段に記憶されたドプラスペクトラムデータ生成用の制御データの中から当該レートに係る制御データを送信部3に送信する。送信部3は、送受信制御部2から受信した制御データに基づく駆動パルスを超音波プローブ4の振動子に送信する。超音波プローブ4の振動子は、送信部3から駆動パルスを受信すると超音波を発生させ、患者の体内組織にて反射した反射波を受信するとエコー信号を発生させる。振動子は、発生させたエコー信号を受信部5に送信する。受信部5は、エコー信号を受信すると、エコー信号の信号強度を増幅させ、制御データに基づく整相加算処理を行なう。受信部5は、整相加算処理が終了したエコー信号を信号処理部6に送信する。信号処理部6は、当該エコー信号の周波数分析として、高速フーリエ変換法を用いてエコー信号に生じた周波数偏移の変化を検出する。信号処理部は、検出した周波数偏移の変化をドプラ信号として取得する。信号処理部6は、ドプラスペクトラムデータ生成用の制御データに基づいて操作部11によって指定された位置のドプラスペクトラムデータを生成し、生成したドプラスペクトラムデータを記憶部7に送信する。記憶部7は、信号処理部6から受信したドプラスペクトラムデータを記憶する。オペレータは、操作部11を介して記憶部7に記憶されたドプラスペクトラムデータを表示部8に転送するように中央演算処理部1に指示する。中央演算処理部1は、操作部11からの指示に従って、記憶部7に記憶されたドプラスペクトラムデータを表示部8に転送させる。表示部8は、記憶部7から転送されたドプラスペクトラムデータをドプラスペクトラム画像として表示する。
【0060】
ステップS20において、オペレータによるドプラスペクトラムの観察を終わると、オペレータは診断を終了する。
【0061】
以上で説明したように、本実施形態における超音波診断装置100は、表示部8に表示されたボリューム画像上に、随時更新される超音波プローブ4の位置情報に基づく現在位置ガイドマーカ110を表示させ、更に、過去に血流速度の計測を行った際の超音波プローブ4の位置情報を示す目標位置ガイドマーカ111を表示させる。また、オペレータは、現在位置ガイドマーカ110を目標位置ガイドマーカ111に合致させるように超音波プローブ4の位置および向きを変更する。これによって、血流速度を計測する際の超音波プローブ4の位置を過去に計測を行った位置に合わせることができる。また、本実施形態における超音波診断装置100は、上記に加えて、過去に血流速度の計測を行った際の送信角度およびフォーカス距離を用いてドプラスペクトラムデータの生成を行なう。これによって、血流方向に対する超音波の送受信方向の角度を常に過去の角度に合わせることが可能になり、診断の再現性が担保されることになる。更に、本実施形態における超音波診断装置100は、表示部8に表示された超音波プローブ4の位置情報に基づくガイドマークを一致させるという簡便な操作によって上記説明したように診断の再現性を高めることができるため、オペレータの技量に左右されない診断が可能になる。
【0062】
本実施形態の変形例として、例えば、ボリューム画像上に表示される目標位置ガイドマーカ111と現在位置ガイドマーカ110の他に、目標位置ガイドマーカ111に、現在位置ガイドマーカ110を合致させるための超音波プローブ4の移動方向を示すようなマーカを表示させガイドさせても良い。このマーカは、例えば矢印状のマーカであり、超音波プローブ4を移動させるべき方向を示す。
【0063】
また、現在の超音波プローブ4の位置情報と、過去の診断における超音波プローブ4の位置情報の合致率を計算し、表示部8に表示させても良い。合致率は、例えば、角度の合致率を表示させる目的で、現在の超音波プローブ深さ方向103と振動子配列方向104と、過去に血流速度の計測を行った際の超音波プローブ深さ方向103と振動子配列方向104とが180度異なれば合致率0パーセントとし、合致していれば合致率100パーセントとする。あるいは、距離の合致率を表示させる目的で、過去に血流速度の計測を行った際の超音波プローブ4における点Oの座標を中心とする半径Rの球を考え、当該球の中心に現在の超音波プローブ4における点Oの座標がある場合、即ち、過去に血流速度の計測を行った際の超音波プローブ4における点Oの座標と現在の超音波プローブ4における点Oの座標が一致している場合に合致率を100パーセントとする。一方で、当該球の球面上に現在の超音波プローブ4における点Oの座標がある場合を合致率0パーセントとする。なお、現在の超音波プローブ4における点Oの座標が当該球の外にある場合は、合致率は表示させない。またあるいは、先に述べた角度の合致率と距離の合致率の各々を表示させても構わない。
【0064】
これらによって、オペレータは、より感覚的に超音波プローブ4の位置を変更し、過去の位置へ合わせることができる。
【0065】
また、ステップS19において生成されたドプラスペクトラムデータに基づく画像だけでなく、ステップS9、即ち、経過観察の初回において生成されたドプラスペクトラムデータに基づく画像を並べて表示させて比較を行なっても良い。
【0066】
図9は、表示部8に表示されるドプラスペクトラム画像の概略図である。表示部8には上記のように経過観察の初回において生成されたドプラスペクトラムデータに基づくドプラスペクトラム画像112aと、例えば2回目の経過観察において生成されたドプラスペクトラムデータに基づくドプラスペクトラム画像112bが表示される。
【0067】
上記に加え、表示部8にステップS9とステップS19において計測された血流速度の最大値や平均値を表示させても良い。
【0068】
これらによって、計測結果を基に、超音波プローブ4の位置および向きが経過観察の初回時と同じか否かを確認することができる。
【0069】
本実施形態は、ボリューム画像上に目標位置ガイドマーカ111と現在位置ガイドマーカ110を表示させる場合について説明したが、Bモード画像上に目標位置ガイドマーカ111と現在位置ガイドマーカ110を表示させても良い。
【0070】
図10はBモード画像102上に表示される現在位置ガイドマーカ110と目標位置ガイドマーカ111の概略図である。この場合、例えば、位置情報換算部9によってボリュームデータの座標系に変換された過去に血流速度の計測を行った際の超音波プローブ4位置情報と現在の超音波プローブ4の位置情報を、現在の超音波プローブ4の位置情報の座標系に再換算させ、再換算後の位置情報に基づいて現在位置ガイドマーカ110と目標位置ガイドマーカ111をBモード画像102上に表示させる。
【0071】
本実施形態では、超音波プローブが一次元に複数の振動子が配列された1次元アレイプローブについて説明したが、3次元のボリュームデータの生成が可能2Dアレイプローブなどを用いても良い。この場合、ステップS2で画像サーバ200から取得したボリュームデータを代わりに、自身で生成したボリュームデータに基づいて位置情報の換算を行なうことができる。また、このボリュームデータにガイドマーカを重畳して表示させることもできる。
【0072】
また、2Dアレイプローブを用いる場合、例えば超音波プローブの座標を初回の経過観察時と2回目以降の経過観察時とで一致させるだけで同じ向きの送受信ビームを得られる。上記について説明すると、例えば初回の経過観察において血流速度の計測を行った際の超音波プローブの座標と送受信ビームの向きを画像サーバから取得したボリュームデータ座標系に換算し、記憶部に記憶させる。次に、2回目以降の経過観察において、ボリューム座標系における超音波プローブの座標を初回の経過観察時と一致させ、その座標で超音波診断装置によるボリュームデータを生成させる。生成したボリュームデータの中から初回の経過観察時における 送受信ビームと同じ向きの送受信方向を検出し、その方向にビームの送受信を行う。これによって、より簡便に血流速度の計測の再現性を高めることができる。
【0073】
本実施形態では、ドプラスペクトラムデータを生成する位置を毎回の計測時で同じにする場合について説明したが、カラードプラデータを生成する範囲を毎回の計測時で同じにするようにしても良い。この場合、過去の診断時と現在とで超音波プローブの位置を合致させることに加え、カラードプラデータの生成に必要な全てのフォーカス位置における送信角度とフォーカス距離を、過去に血流速度の計測を行なった際のものと現在のものとで同一にする。
【0074】
本実施形態では、目標位置ガイドマーカ111に現在位置ガイドマーカ110を合致させるとドプラスペクトラムデータの生成が自動的に開始される場合について説明したが、目標位置ガイドマーカ111に現在位置ガイドマーカ110を合致させた後で、オペレータが操作部11を介してドプラスペクトラムデータの生成を指示しても良い。
【0075】
本実施形態では、ボリューム画像108、現在位置ガイドマーカ110、目標位置ガイドマーカ111を重畳させて表示部8に表示させる場合について説明したが、ボリューム画像108を表示させなくても良い。この場合においても、現在位置ガイドマーカ110と目標位置ガイドマーカ111が合致するように超音波プローブ4を移動させることによって、過去の診断時と同じ位置に超音波プローブ4を位置させることができる。
【0076】
本実施形態では、位置情報取得部202が取得する位置情報が超音波プローブ4の位置情報である場合について説明したが、位置情報取得部202が取得する位置情報が走査している位置の情報であっても良い。例えば、Bモード画像102における、撮像領域の中心点を位置情報として取得しても構わない。
【0077】
本実施形態では、超音波診断装置100が、位置センサ201、位置情報取得部202、磁場発生部203を備えない場合について説明したが、超音波診断装置100が位置センサ201、位置情報取得部202、磁場発生部203のうち1〜3つを備えていても良い。
【0078】
本実施形態では、初回の経過観察において、Bモードデータ、カラードプラデータ、ドプラスペクトラムデータの順で3種類のデータを生成する場合について説明したが、Bモードデータ、ドプラスペクトラムデータの順で2種類のデータを生成しても良い。またドプラスペクトラムデータの生成はパルスドプラを用いる場合だけでなく、連続波ドプラを用いても構わない。連続波ドプラでは深さ情報は使用しないため、超音波プローブ4の位置情報及び角度情報を用いてガイドデータの生成を行うこととなる。
【0079】
本実施形態では、初回の経過観察において使用した超音波診断装置と2回目以降の経過観察において使用した超音波診断装置が同一である場合について説明したが、例えば初回の経過観察における超音波プローブ4の位置情報を2回目以降の経過観察において使用するのであれば、初回と2回目以降で異なる超音波診断装置を使用しても良い。
【0080】
本実施形態では、初回の経過観察において位置情報取得部202が取得した超音波プローブ4の位置情報を即時換算する場合について説明したが、例えば記憶部7が初回の経過観察において位置情報取得部202が取得した超音波プローブ4の位置情報と、画像サーバ200から取得したボリュームデータとを記憶していれば、2回目以降の経過観察において上記の位置情報を換算しても良い。
【0081】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。