特許第6202846号(P6202846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202846
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】加熱炉
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20170914BHJP
   B01J 8/06 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   C01B3/38
   B01J8/06 301
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-64854(P2013-64854)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-189430(P2014-189430A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
(72)【発明者】
【氏名】池田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】森 理嗣
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−030997(JP,A)
【文献】 特開平06−263403(JP,A)
【文献】 特開平06−263405(JP,A)
【文献】 特開2008−007346(JP,A)
【文献】 特開2008−222530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00−3/58
B01J 8/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が閉塞された円筒状の炉本体の内部に、一端が閉塞された円筒状の燃焼筒が、その開口端を前記炉本体の一端と間隔を隔てた状態で、同心状又は略同心状に設けられ、
前記炉本体と前記燃焼筒との間の環状の空間に、内部に被加熱気体が供給される複数の加熱管が、夫々の軸心を前記炉本体の軸心に沿わせた状態で、前記燃焼筒の周りに沿う環状に並べて設けられ、
前記炉本体の周壁部に配設されて、燃焼ガスを前記炉本体の接線方向に向けて前記炉本体内に噴出する外周バーナと、前記燃焼筒の閉塞端に配設されて、燃焼ガスを前記燃焼筒の開口端に向けて噴出する中央バーナとを備えた加熱炉であって、
前記燃焼筒が、外周面から輻射熱を放射する内側輻射筒として設けられ、
前記複数の加熱管が環状に並ぶ環状の加熱管列と前記内側輻射筒との間に、内径が前記内側輻射筒の外径よりも大径の円筒状の外側輻射筒が、前記内側輻射筒の開口端から前記内側輻射筒の軸心方向の両側に延びる状態で、前記炉本体と同心状又は略同心状に設けられ、
前記外側輻射筒における前記内側輻射筒の開口端に対して前記内側輻射筒の軸心方向の外方側の端部が、外側輻射筒閉塞部材にて閉塞されており、
前記外側輻射筒における前記内側輻射筒の軸心方向の閉塞端側の端部が、前記内側輻射筒の軸心方向中央付近に位置する加熱炉。
【請求項2】
周方向に隣接する前記加熱管同士の間の間隙における前記内側輻射筒の閉塞端側に対応する側を閉塞する閉塞体が、前記加熱管列の全周にわたる状態で設けられている請求項1に記載の加熱炉。
【請求項3】
前記外側輻射筒における前記内側輻射筒の閉塞端側の端部と、前記閉塞体における前記内側輻射筒の開口端側の端部とが、前記内側輻射筒の軸心方向において近接している又は重なっている請求項2に記載の加熱炉。
【請求項4】
前記外側輻射筒の両端が開口され、その外側輻射筒が、前記炉本体における前記内側輻射筒の開口端側の開口を閉塞する炉本体閉塞部材に支持された状態で設けられ、
前記外側輻射筒閉塞部材が、前記炉本体閉塞部材にて構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱炉。
【請求項5】
前記外側輻射筒の一端が閉じ部材にて閉じられ、その外側輻射筒が、前記閉じ部材を前記内側輻射筒の開口端に対向させて、前記内側輻射筒に支持された状態で設けられ、
前記外側輻射筒閉塞部材が、前記閉じ部材にて構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱炉。
【請求項6】
前記中央バーナが、燃焼ガスを前記内側輻射筒の軸心周りに旋回する状態で噴出するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱炉。
【請求項7】
前記内側輻射筒内における開口端側に、前記内側輻射筒の内径よりも小径の円柱状の流動案内体が、前記内側輻射筒と同心状又は略同心状に設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱炉。
【請求項8】
炭化水素系の原燃料ガスと水蒸気との混合気体が、被加熱気体として前記加熱管に供給されて、前記加熱管内で原燃料ガスを水素を主成分とする改質ガスに改質処理するように構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端が閉塞された円筒状の炉本体の内部に、一端が閉塞された円筒状の燃焼筒が、その開口端を前記炉本体の一端と間隔を隔てた状態で、同心状又は略同心状に設けられ、前記炉本体と前記燃焼筒との間の環状の空間に、内部に被加熱気体が供給される複数の加熱管が、夫々の軸心を前記炉本体の軸心に沿わせた状態で、前記燃焼筒の周りに沿う環状に並べて設けられ、前記炉本体の周壁部に配設されて、燃焼ガスを前記炉本体の接線方向に向けて前記炉本体内に噴出する外周バーナと、前記燃焼筒の閉塞端に配設されて、燃焼ガスを前記燃焼筒の開口端に向けて噴出する中央バーナとを備えた加熱炉に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる加熱炉は、外周バーナにて炉本体の接線方向に向けて炉本体内に噴出される燃焼ガスにより、環状に並ぶ複数の加熱管を主として外周側から加熱すると共に、中央バーナにて燃焼筒の閉塞端側から開口端に向けて燃焼筒内に噴出される燃焼ガスにより、環状に並ぶ複数の加熱管を主として内周側から加熱することにより、複数の加熱管夫々に供給される被加熱気体を加熱して所定の処理を施すものである。ちなみに、中央バーナから噴出される燃焼ガスにより燃焼筒が加熱されるので、燃焼筒から放射される輻射熱によっても、環状に並ぶ複数の加熱管が内周側から加熱される。
例えば、炭化水素系の原燃料ガスと水蒸気との混合気体を被加熱気体として加熱管に供給して、加熱管内で原燃料ガスを水素を主成分とする改質ガスに改質処理することにより、水素含有ガスを生成する用途で用いられる。
【0003】
このような加熱炉において、従来は、多数の通気孔が燃焼筒の全域にわたって分散して形成されて、中央バーナの燃焼ガスの一部を多数の通気孔を通して筒外に流出させて、環状に並ぶ複数の加熱管を内周側から加熱するように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2008−30997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中央バーナにより燃焼ガスが燃焼筒の閉塞端側から開口端に向けて燃焼筒内に噴出される構成であるので、従来の加熱炉では、燃焼筒の全域にわたって多数の通気孔が形成されているものの、燃焼筒の開口端からの燃焼ガスの流出量が多くなり、しかも、燃焼筒の開口端から流出した燃焼ガスは加熱管同士の間隙を通過して、環状に並ぶ複数の加熱管の外周側に抜けてしまう。又、そのような燃焼ガスの流動形態に起因して、燃焼筒からの輻射熱量も燃焼筒の開口端側ほど多くなる。
従って、中央バーナによる複数の加熱管夫々の加熱量は、各加熱管における燃焼筒の開口端に対応する側ほど多くなる傾向となるので、複数の加熱管を夫々の軸心方向において均等に加熱し難く、延いては、複数の加熱管を加熱する加熱効率を向上する上で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を向上して、加熱効率を向上し得る加熱炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱炉は、両端が閉塞された円筒状の炉本体の内部に、一端が閉塞された円筒状の燃焼筒が、その開口端を前記炉本体の一端と間隔を隔てた状態で、同心状又は略同心状に設けられ、前記炉本体と前記燃焼筒との間の環状の空間に、内部に被加熱気体が供給される複数の加熱管が、夫々の軸心を前記炉本体の軸心に沿わせた状態で、前記燃焼筒の周りに沿う環状に並べて設けられ、前記炉本体の周壁部に配設されて、燃焼ガスを前記炉本体の接線方向に向けて前記炉本体内に噴出する外周バーナと、前記燃焼筒の閉塞端に配設されて、燃焼ガスを前記燃焼筒の開口端に向けて噴出する中央バーナとを備えた加熱炉であって、第1特徴構成は、
前記燃焼筒が、外周面から輻射熱を放射する内側輻射筒として設けられ、
前記複数の加熱管が環状に並ぶ環状の加熱管列と前記内側輻射筒との間に、内径が前記内側輻射筒の外径よりも大径の円筒状の外側輻射筒が、前記内側輻射筒の開口端から前記内側輻射筒の軸心方向の両側に延びる状態で、前記炉本体と同心状又は略同心状に設けられ、
前記外側輻射筒における前記内側輻射筒の開口端に対して前記内側輻射筒の軸心方向の外方側の端部が、外側輻射筒閉塞部材にて閉塞されており、
前記外側輻射筒における前記内側輻射筒の軸心方向の閉塞端側の端部が、前記内側輻射筒の軸心方向中央付近に位置する点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、中央バーナにより閉塞端側から開口端に向けて内側輻射筒内に噴出された燃焼ガスは、外側輻射筒閉塞部材に衝突して内側輻射筒の閉塞端側に折り返して、内側輻射筒と外側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に流動し、更に、外側輻射筒における内側輻射筒の軸心方向中央付近に位置する端部から流出して、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に流動する。
そして、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に向けて流動する燃焼ガスにより、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が助長される。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を向上して、加熱効率を向上し得る加熱炉を提供することができる。
【0009】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
周方向に隣接する前記加熱管同士の間の間隙における前記内側輻射筒の閉塞端側に対応する側を閉塞する閉塞体が、前記加熱管列の全周にわたる状態で設けられている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、内側輻射筒と外側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に流動する燃焼ガスは外側輻射筒の開口端から流出するが、そのように外側輻射筒の開口端から流出した燃焼ガスが、内側輻射筒の閉塞端側に向かわずに加熱管列の加熱管同士の間を通って外周側に流動するのが、閉塞体によって抑制されるので、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に向けて流動した後、内側輻射筒の開口端側に向けて折り返して流動する流動形態で、燃焼ガスが流動するのが促進される。
つまり、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間において、内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の領域を流動する燃焼ガスの量を多くすると共に、その領域を燃焼ガスが流動する時間を長くすることができるので、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が一層助長されることになる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を一層向上して、加熱効率を一層向上することができる。
【0011】
第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記外側輻射筒における前記内側輻射筒の閉塞端側の端部と、前記閉塞体における前記内側輻射筒の開口端側の端部とが、前記内側輻射筒の軸心方向において近接している又は重なっている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、外側輻射筒の開口端から流出した燃焼ガスが、内側輻射筒の閉塞端側に向かわずに加熱管列の加熱管同士の間を通って外周側に流動するのが、閉塞体によって更に抑制されることになり、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に向けて流動した後、内側輻射筒の開口端側に向けて折り返して流動する流動形態で、燃焼ガスが流動するのが更に促進される。
つまり、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間において、内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の領域を流動する燃焼ガスの量を更に多くすると共に、その領域を燃焼ガスが流動する時間を更に長くすることができるので、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が更に助長されることになる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を更に向上して、加熱効率を更に向上することができる。
【0013】
第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記外側輻射筒の両端が開口され、その外側輻射筒が、前記炉本体における前記内側輻射筒の開口端側の開口を閉塞する炉本体閉塞部材に支持された状態で設けられ、
前記外側輻射筒閉塞部材が、前記炉本体閉塞部材にて構成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、中央バーナにより噴出された燃焼ガスは、外側輻射筒閉塞部材を構成する炉本体閉塞部材に衝突して内側輻射筒の閉塞端側に折り返す。
そして、両端が開口した外側輻射筒を、炉本体の炉本体閉塞部材に支持させた状態で設けることにより、中央バーナから噴出された燃焼ガスを内側輻射筒の閉塞端側に折り返させるための構成を簡素化することができる。
従って、低廉化を図りながら、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を向上して、加熱効率を向上することができる。
【0015】
第5特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記外側輻射筒の一端が閉じ部材にて閉じられ、その外側輻射筒が、前記閉じ部材を前記内側輻射筒の開口端に対向させて、前記内側輻射筒に支持された状態で設けられ、
前記外側輻射筒閉塞部材が、前記閉じ部材にて構成されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、中央バーナから噴出された燃焼ガスは、外側輻射筒閉塞部材を構成する外側輻射筒の閉じ部材に衝突して、内側輻射筒の閉塞端側に折り返す。
ところで、外側輻射筒閉塞部材に衝突させて内側輻射筒の閉塞端側に折り返させた燃焼ガスを、できるだけ内側輻射筒の閉塞端側に流動させるには、内側輻射筒の開口端と外側輻射筒閉塞部材との間隔を極力狭くして、内側輻射筒の閉塞端側に折り返させる燃焼ガスの流速を速めるのが好ましい。
そこで、外側輻射筒を、その閉じ部材を内側輻射筒の開口端に対向させて、内側輻射筒に支持させて設けることにより、内側輻射筒の閉塞端側に折り返させる燃焼ガスの流速を速めるべく、内側輻射筒の開口端と外側輻射筒閉塞部材を構成する閉じ部材との間隔を極力狭くしても、内側輻射筒が熱膨張したときに、内側輻射筒の開口端と外側輻射筒の閉じ部材との間が閉塞されたり、狭くなり過ぎるのを回避することができる。
従って、内側輻射筒の閉塞端側に折り返させる燃焼ガスの流速を極力速めることができるので、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を更に向上して、加熱効率を更に向上することができる。
【0017】
第6特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記中央バーナが、燃焼ガスを前記内側輻射筒の軸心周りに旋回する状態で噴出するように構成されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、中央バーナから燃焼ガスが内側輻射筒の軸心周りに旋回する状態で噴出される、換言すれば、中央バーナにより形成する火炎の長さが短くなって、内側輻射筒におけるその閉塞端側の領域の加熱が助長されるので、内側輻射筒の外周面におけるその閉塞端側の領域からの輻射熱量が増大し、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が更に助長されることになる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を更に向上して、加熱効率を更に向上することができる。
【0019】
第7特徴構成は、上記第1〜第6特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記内側輻射筒内における開口端側に、前記内側輻射筒の内径よりも小径の円柱状の流動案内体が、前記内側輻射筒と同心状又は略同心状に設けられている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、内側輻射筒内をその開口端に向けて流動する燃焼ガスは、内側輻射筒と流動案内体との間の環状空間に流入して、その環状空間を流動する間に流速が速められるので、外側輻射筒閉塞部材に衝突して内側輻射筒と外側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に流動する燃焼ガスの流速が速められる。
それによって、外側輻射筒の開口端から流出した燃焼ガスのうち、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に向けて流動する分の量を一層多くすることができると共に、その環状空間における内側輻射筒の閉塞端側に対応する端部に極力近づけるように、又は、その端部に届かせるように、燃焼ガスを流動させることができるので、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が更に助長されることになる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を更に向上して、加熱効率を更に向上することができる。
【0021】
第8特徴構成は、上記第1〜第7特徴構成のいずれか1つに加えて、
炭化水素系の原燃料ガスと水蒸気との混合気体が、被加熱気体として前記加熱管に供給されて、前記加熱管内で原燃料ガスを水素を主成分とする改質ガスに改質処理するように構成されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、複数の加熱管夫々を流動する炭化水素系の原燃料ガスと水蒸気との混合気体が加熱されて、水素を主成分とする改質ガスに改質処理されるが、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性が向上して、複数の加熱管夫々を流動する混合気体の加熱効率が向上するので、原燃料ガスを改質ガスに改質処理する改質処理効率を向上することができる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を向上して、水素を主成分とする改質ガスの生成効率を向上し得る加熱炉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る加熱炉の縦断面図
図2】第1実施形態に係る加熱炉の横断面図
図3】第1実施形態に係る加熱炉における加熱管及びその周辺の縦断面図
図4】第1実施形態に係る加熱炉における中央バーナ及びその周辺の縦断面図
図5】第1実施形態に係る加熱炉における中央バーナの横断面図
図6】加熱管における軸心方向での温度分布を示す図
図7】第2実施形態に係る加熱炉の縦断面図
図8】第2実施形態に係る加熱炉の横断面図
図9】別実施形態に係る加熱炉の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、加熱炉は、両端が閉塞された円筒状の炉本体1に各種部材を組み付けて構成されている。つまり、その炉本体1が軸心を鉛直方向に沿わせた状態で設けられ、その炉本体1の内部に、一端が閉塞された円筒状の燃焼筒2が、その開口端2oを炉本体1の一端と間隔を隔てた状態で、同心状に設けられ、炉本体1と燃焼筒2との間の環状の空間3に、内部に被加熱気体Gsが供給される複数の加熱管4が、夫々の軸心を炉本体1の軸心に沿わせた状態で、燃焼筒2の周りに沿う環状に並べて設けられている。
更に、炉本体1の周壁部1aには、燃焼ガスGeを炉本体1の接線方向に向けて炉本体1内に噴出する外周バーナ5が備えられ、燃焼筒2の閉塞端2cには、燃焼ガスGeを燃焼筒2の開口端2oに向けて噴出する中央バーナ6が備えられている。
【0025】
そして、図1及び図2に示すように、本発明では、燃焼筒2が、外周面から輻射熱を放射する内側輻射筒7として設けられ、複数の加熱管4が環状に並ぶ環状の加熱管列4Lと内側輻射筒7との間に、内径が内側輻射筒7の外径よりも大径の円筒状の外側輻射筒8が、内側輻射筒7の開口端7o(燃焼筒2の開口端2oに相当する)から内側輻射筒7の軸心方向の両側に延びる状態で、炉本体1と同心状に設けられ、外側輻射筒8における内側輻射筒の開口端7oに対して内側輻射筒7の軸心方向の外方側の端部が、外側輻射筒閉塞部材30にて閉塞されている。
更に、周方向に隣接する加熱管4同士の間の間隙における内側輻射筒7の閉塞端7c(燃焼筒2の閉塞端2cに相当する)側に対応する側を閉塞する閉塞体9が、加熱管列4Lの全周にわたる状態で設けられている。
【0026】
この実施形態では、炭化水素系の原燃料ガス(例えば、メタンガスを主成分とする都市ガス)と水蒸気との混合気体が、被加熱気体Gsとして加熱管4に供給されて、加熱管4内で原燃料ガスを、水素を主成分とする改質ガスGrに改質処理するように構成されている。
【0027】
以下、加熱炉の各部について、説明を加える。
図1及び図2に示すように、炉本体1は、円筒状の周壁部1aの上端開口が上蓋1uにより閉じられ、下端開口が下蓋1dにより閉じられて構成され、周壁部1a、上蓋1u及び下蓋1d夫々の内面には、断熱材10が配設されている。
内側輻射筒7は、その上端が炉本体1の上蓋1uにて閉塞されると共に、その上蓋1uに吊り下げ状に支持された状態で、炉本体1内に同心状に設けられ、その内側輻射筒7の下方の開口端7oは、炉本体1の下蓋1dの内面に配設された断熱材10に対して、間隔を隔てた状態で対向している。
【0028】
この実施形態では、12本の加熱管4が、内側輻射筒7の周りに、炉本体1と同心状の円周に沿って等間隔で設けられている。各加熱管4は、上端部を炉本体1の上蓋1uから外部に突出させると共に、軸芯を炉本体1の軸心に沿わせた状態で、炉本体1の上蓋1uに吊り下げ状に支持されて設けられ、その下端4dは、炉本体1の下蓋1dの内面に配設された断熱材10に対して、間隔を隔てた状態で近接している。
【0029】
図1に示すように、この第1実施形態では、外側輻射筒8が、上下両端が開口されると共に、下端に鍔部8fを備えるように構成され、その外側輻射筒8が、鍔部8fを炉本体1の下蓋1dの内面に配設された断熱材10に密着させて、その断熱材10に支持された状態で、環状の加熱管列4Lと内側輻射筒7との間に配設されている。そして、炉本体1の下蓋1dの内面に配設された断熱材10が、炉本体1における内側輻射筒7の開口端7o側の開口を閉塞する炉本体閉塞部材に相当する。つまり、外側輻射筒閉塞部材30が、炉本体閉塞部材としての炉本体1の下蓋1dの内面に配設された断熱材10にて構成されていることになる。
【0030】
図2に示すように、閉塞体9は、炉本体1の軸心方向視において、その炉本体1と同心の円弧状を呈する細長板状に構成され、そのような閉塞体9が、環状の加熱管列4Lにおける全ての加熱管4同士の間に設けられている。
図1に示すように、外側輻射筒8の上端の開口端8o(即ち、外側輻射筒8における内側輻射筒7の閉塞端7c側の端部に相当する)と閉塞体9の下端9d(即ち、閉塞体9における内側輻射筒7の開口端7o側の端部)とが、内側輻射筒7の軸心方向において近接している。
【0031】
炉本体1の上端側には、2個のバーナ挿通孔11が、夫々の軸心を炉本体1の接線方向に沿わせて、炉本体1の周壁部1a及びその周壁部1aの内面に配設された断熱材10を貫通させ、且つ、炉本体1内に臨む開口を炉本体1の周方向の同方向に向けた状態で、周方向に中心角で略180°に相当する間隔を隔てて設けられている。そして、各バーナ挿通孔11に、外周バーナ5がその火炎形成方向をバーナ挿通孔11の軸心に沿わせた姿勢で配設されている。
各外周バーナ5は、詳細な説明及び図示を省略するが、長さが比較的長い火炎を形成するように構成されている。
【0032】
又、図1に示すように、炉本体1の下端部には、排気孔12が、炉本体1の周壁部1a及びその周壁部1aの内面に配設された断熱材10を貫通させた状態で設けられている。
つまり、2基の外周バーナ5から、燃焼ガスGeが炉本体1の接線方向に向けて炉本体1内に噴出されることになり、それら2基の外周バーナ5から噴出された燃焼ガスGeは、炉本体1の内周面に沿って旋回しながら下方に流動し、主として12本の加熱管4の外周側を加熱した後、排気孔12に接続された排気管13を通して炉外に排出される。
【0033】
図4及び図5に示すように、中央バーナ6は、夫々円筒状で、内側から順に同心状に並ぶ内側空気噴出筒61、燃料噴出筒62、外側空気噴出筒63、空気供給室形成筒64、及び、先端を混合ガス噴出口65とする混合ガス噴出筒66等を備えて構成されている。
【0034】
図4に示すように、内側空気噴出筒61の両端が開口され、その両端は燃料噴出筒62の両端から突出し、燃料噴出筒62の先端には、複数の燃料噴出孔62aが周方向に等間隔で並べて設けられ、その基端部には、その基端開口に連通する燃料供給口67aを形成する燃料供給口形成部材67が設けられている。
図4に示すように、外側空気噴出筒63の基端は燃料供給口形成部材67にて閉じられ、その先端は開口され、図5にも示すように、その外側空気噴出筒63には、複数(この実施形態では3個)の空気旋回噴出孔63aが、夫々の孔長さ方向を外側空気噴出筒63の接線方向に沿わせ、且つ、外側空気噴出筒63内に臨む開口を外側空気噴出筒63の周方向の同方向に向けた状態で、外側空気噴出筒63の周方向に等間隔で形成されている。
混合ガス噴出筒66は、外側空気噴出筒63の先端に、その外側空気噴出筒63と同心状で連通する状態で設けられている。
【0035】
空気供給室形成筒64は、空気供給室68を、外側空気噴出筒63の複数の空気旋回噴出孔63a、及び、内側空気噴出筒61の基端開口を臨ませる状態で形成すべく、外側空気噴出筒63及び燃料供給口形成部材67を覆う形態で設けられ、その空気供給室形成筒64には、空気供給口64aが設けられている。
図1にも示すように、上述のように構成された中央バーナ6が、混合ガス噴出口65を内側輻射筒7と同心状で下向きにして、内側輻射筒7の上端部に挿入した状態で、炉本体1の上蓋1uに支持されて設けられている。
【0036】
そして、ガス燃料Gfが燃料供給口67aを介して燃料噴出筒62内に供給されると共に、燃焼用空気Aが空気供給口64aを介して空気供給室68内に供給される。すると、燃料噴出筒62内に供給されたガス燃料Gfは、その先端の複数の燃料噴出孔62aから混合ガス噴出筒66内に噴出される。又、空気供給室68内に供給された燃焼用空気Aの一部は、内側空気噴出筒61の基端からその内側空気噴出筒61内に流入して、その内側空気噴出筒61の先端から混合ガス噴出筒66内に噴出され、残部は、複数の空気旋回噴出孔63aから外側空気噴出筒63に流入し、その外側空気噴出筒63の内周面に沿って旋回しながら流動し、その外側空気噴出筒63の先端から旋回する状態で混合ガス噴出筒66内に噴出される。
【0037】
つまり、複数の燃料噴出孔62aから噴出されたガス燃料Gfの中央に、内側空気噴出筒61の先端から、燃焼用空気Aが内側輻射筒7の軸心方向に沿って直進状に混合ガス噴出筒66内に噴出されると共に、外側空気噴出筒63の先端から、燃焼用空気Aが内側輻射筒7の軸心周りに旋回する状態で混合ガス噴出筒66内に噴出されるので、ガス燃料Gfと燃焼用空気Aとの混合ガスが、混合ガス噴出筒66の内周面に沿って旋回する状態で流動して、その混合ガス噴出筒66の先端から、内側輻射筒7の軸心周りに旋回する状態で内側輻射筒7内に噴出される。
すると、中央バーナ6により、比較的短い火炎が、内側輻射筒7の内面に沿って旋回する状態で形成されることになる。
つまり、中央バーナ6が、燃焼ガスGeを内側輻射筒7の軸心周りに旋回する状態で噴出するように構成されていることになる。
【0038】
図1に示すように、中央バーナ6から内側輻射筒7内に噴出された燃焼ガスGeは、内側輻射筒7の内面に沿って旋回しながら下方に流動して内側輻射筒7の開口端7oから流出し、炉本体1の下蓋1dの内面に配設された断熱材10(即ち、外側輻射筒閉塞部材30)に衝突して上向き(内側輻射筒7の閉塞端7c側に相当する)に折り返して、内側輻射筒7と外側輻射筒8との間の環状空間14を上向きに流動する。更に、燃焼ガスGeは、外側輻射筒8の上方の開口端8oから流出して、環状の加熱管列4Lと内側輻射筒7との間の環状空間15を内側輻射筒7の閉塞端7c側に上向きに流動した後、炉本体1の上蓋1uの内面に配設された断熱材10(炉本体1の上方の閉塞端に相当する)に衝突して下向きに折り返し、周方向に隣接する加熱管4同士の間における閉塞体9により閉塞されていない部分を加熱管列4Lの外周側に抜けて、排気孔12に接続された排気管13を通して炉外に排出される。
【0039】
そして、内側輻射筒7から放射される輻射熱、並びに、内側輻射筒7の開口端7oから流出して上向きに流動する燃焼ガスGeにより、主として12本の加熱管4の内周側が加熱される。
しかも、外側輻射筒8の上方の開口端8oから流出して、環状の加熱管列4Lと内側輻射筒7との間の環状空間15を上向きに流動する燃焼ガスGeにより、複数の加熱管4夫々における上方側の部分(内側輻射筒7の閉塞端7c側に対応する側の部分に相当する)の加熱が助長される。
【0040】
更に、この実施形態では、周方向に隣接する加熱管4同士の間の間隙における内側輻射筒7の閉塞端7c側に対応する側が、加熱管列4Lの全周にわたって、閉塞体9により閉じられているので、内側輻射筒7と外側輻射筒8との間の環状空間14を上向きに流動して、外側輻射筒8の開口端8oから流出した燃焼ガスGeが、内側輻射筒7の閉塞端7c側に向かわずに加熱管列4Lの加熱管4同士の間を通って外周側に流動するのが、閉塞体9によって抑制される。
従って、環状の加熱管列4Lと内側輻射筒7との間の環状空間15を内側輻射筒7の閉塞端7c側に向けて流動した後、内側輻射筒7の開口端7o側に向けて折り返して流動する流動形態で、燃焼ガスGeが流動するのが促進される。
その結果、環状の加熱管列4Lと内側輻射筒7との間の環状空間15において、内側輻射筒7の閉塞端7c側に対応する側の領域を流動する燃焼ガスGeの量を多くすると共に、その領域を燃焼ガスGeが流動する時間を長くすることができるので、複数の加熱管4夫々における内側輻射筒7の閉塞端7c側に対応する側の加熱が一層助長されることになり、複数の加熱管4夫々における軸心方向での加熱の均等性が効果的に向上する。
【0041】
図3に示すように、各加熱管4は、上下両端が閉塞された外管41の内部に、下端が開口した内管42が配設された二重管により構成され、外管41と内管42との間の環状空間に、原燃料ガスを水素ガスを主成分とする改質ガスに改質処理するための改質触媒43が充填されている。
図1及び図3に示すように、リング状の供給ヘッダ管44から12本の供給管45が分岐され、各供給管45が各加熱管4の外管41における炉本体1の上蓋1uからの突出部に連通接続されている。又、リング状の排出ヘッダ管46から12本の排出管47が分岐され、各排出管47が各加熱管4の内管42の上端に連通接続されている。
【0042】
そして、原燃料ガスと水蒸気との混合気体である被加熱気体Gsが供給ヘッダ管44に供給されると、被加熱気体Gsが各供給管45を介して各加熱管4に供給され、各加熱管4において、上述の如き外周バーナ5と中央バーナ6との加熱による高温下で、原燃料ガスが改質触媒43の作用により改質ガスGrに改質処理され、その改質ガスGrが各排出管47を介して排出ヘッダ管46に集められ、その排出ヘッダ管46を通して改質ガスGrの供給先に送出される。
中央バーナ6により複数の加熱管4を加熱するに当たっては、上述のように、複数の加熱管4夫々における軸心方向での加熱の均等性が効果的に向上するので、改質ガスの生成効率を効果的に向上することができる。
【0043】
次に、図6に基づいて、複数の加熱管4夫々における軸心方向での加熱の均等性を向上できる点を検証した結果を説明する。
この検証試験では、12本の加熱管4のうちの所定の複数の加熱管4について、加熱管4の軸心方向における所定の複数箇所(この実施形態では9か所)で、各加熱管4の外周面における炉本体1の中央側に対応する箇所の温度を検出した。図6に、加熱管4の下端4dからの距離が異なる各箇所と各箇所の検出温度の平均値との関係、即ち、加熱管4における軸心方向での温度分布を示す。
又、この検証試験では、内側輻射筒7と外側輻射筒8との間隔を15mmに設定した場合と、40mmに設定した場合を対象にした。
図6により、複数の加熱管4夫々における内側輻射筒7の閉塞端7c側に対応する側(加熱管4の下端4dからの距離が長い側)の温度を高めて、加熱管4の軸心方向での温度分布を小さくできることがわかる。
【0044】
又、内側輻射筒7と外側輻射筒8との間隔が15mmの場合と40mmの場合とを比較すると、内側輻射筒7と外側輻射筒8との間隔が15mmの場合の方が、加熱管4における内側輻射筒7の閉塞端7c側に対応する側の温度が高くなることがわかる。これは、内側輻射筒7と外側輻射筒8との間隔が狭いので、燃焼ガスGeが内側輻射筒7と外側輻射筒8との間の環状空間14を流動する間に速度がより速められ、内側輻射筒7の閉塞端7c側への流動がより促進されるためであると考えられる。
つまり、本実施形態の場合は、内側輻射筒7と外側輻射筒8との間隔を40mmにする方が、15mmにするのに比べて、加熱管4の軸心方向での温度分布を小さくできて、加熱管4の軸心方向での加熱の均等性をより一層向上できることがわかる。
【0045】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明するが、この第2実施形態は、流動案内体21を追加した以外は、上記の第1実施形態と同様であるので、主として、流動案内体21について説明する。
図7及び図8に示すように、この第2実施形態では、内側輻射筒7内における開口端7o側に、内側輻射筒7の内径よりも小径の円柱状の流動案内体21が、内側輻射筒7と同心状に設けられている。
図7に示すように、この流動案内体21は、炉本体1の下蓋1dの内面に配設された断熱材10上に立設されている。
【0046】
この第2実施形態の加熱炉では、内側輻射筒7内をその開口端7oに向けて流動する燃焼ガスGeは、内側輻射筒7と流動案内体21との間の環状空間22に流入して、その環状空間22を流動する間に流速が速められるので、炉本体1の下蓋1dの内面の断熱材10(即ち、外側輻射筒閉塞部材30)に衝突して内側輻射筒7と外側輻射筒8との間の環状空間14を内側輻射筒7の閉塞端7c側に流動する燃焼ガスGeの流速が速められる。
それによって、外側輻射筒8の開口端8oから流出した燃焼ガスGeのうち、環状の加熱管列4Lと内側輻射筒7との間の環状空間15を内側輻射筒7の閉塞端7c側に向けて流動する分の量を一層多くすることができると共に、その環状空間15における内側輻射筒7の閉塞端7c側に対応する端部に極力近づけるように、又は、その端部に届かせるように、燃焼ガスGeを流動させることができるので、複数の加熱管4夫々における内側輻射筒7の閉塞端7o側に対応する側の加熱が更に助長されることになり、複数の加熱管4夫々における軸心方向での加熱の均等性が更に向上する。
【0047】
但し、内側輻射筒7と外側輻射筒8との間隔が狭過ぎると、燃焼ガスGeが内側輻射筒7と外側輻射筒8との間の環状空間14を流動する間に速度が速められ過ぎて、必要以上に、内側輻射筒7の閉塞端7c側に流動する場合もあり得るので、流動案内体21を設ける場合は、内側輻射筒7と外側輻射筒8との間隔を比較的広く(例えば、40mm以上に)する方が好ましい。
【0048】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 上記の第1及び第2の各実施形態では、外側輻射筒8における内側輻射筒7の閉塞端7c側の端部と、閉塞体9における内側輻射筒7の開口端7o側の端部とを、内側輻射筒7の軸心方向において近接させるように構成したが、内側輻射筒7の軸心方向において、重ねるように構成しても良い。
【0049】
(ロ) 上記の第1及び第2の各実施形態で設けた閉塞体9を省略しても良い。
【0050】
(ハ) 図9に示すように、外側輻射筒8の一端を閉じ部材8cにて閉じ、その外側輻射筒8を、閉じ部材8cを内側輻射筒7の開口端7oに対向させて、内側輻射筒7に支持した状態で設けて、外側輻射筒閉塞部材30を、閉じ部材8cにて構成しても良い。
外側輻射筒8は、その開口端8oにおける周方向に分散した複数箇所(例えば、4か所)で、連結部材16により内側輻射筒7に吊り下げ支持されている。
また、上記の第2実施形態と同様の流動案内体21が、その下端部における周方向に分散した複数箇所(例えば、4か所)で、連結部材17により内側輻射筒7に支持されている。
【0051】
この場合は、中央バーナ6から内側輻射筒7内に噴出されて、内側輻射筒7内をその開口端7oに向けて流動する燃焼ガスGeは、内側輻射筒7と流動案内体21との間の環状空間22に流入して、その環状空間22を流動し、更に、外側輻射筒8の閉じ部材8c(即ち、外側輻射筒閉塞部材30)に衝突して、上向き(内側輻射筒7の閉塞端7c側に相当する)に折り返す。
尚、図9に示す別実施形態において、流動案内体21を省略しても良い。
【0052】
図9に示す別実施形態では、外側輻射筒8の長さを短くして、外側輻射筒8の上端の開口端8oと閉塞体9の下端9dとを、内側輻射筒7の軸心方向において離しているが、外側輻射筒8の長さを長くして、外側輻射筒8の上端の開口端8o(即ち、外側輻射筒8における内側輻射筒7の閉塞端7c側の端部に相当する)と閉塞体9の下端9d(即ち、閉塞体9における内側輻射筒7の開口端7o側の端部)とを、内側輻射筒7の軸心方向において近接させたり重ねても良い。
【0053】
(ニ) 加熱管4の設置数は、第1及び第2の各実施形態において例示した12本に限定されるものではなく、加熱処理対象の被加熱気体の流量に応じて適宜設定することができる。
【0054】
(ホ) 被加熱気体Gsの具体例は、上記の第1及び第2の各実施形態において例示した炭化水素系の原燃料ガスと水蒸気との混合気体に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を向上して、加熱効率を向上し得る加熱炉を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 炉本体
1a 周壁部
2 燃焼筒
2c 閉塞端
2o 開口端
3 環状の空間
4 加熱管
4L 加熱管列
5 外周バーナ
6 中央バーナ
7 内側輻射筒
7c 閉塞端
7o 開口端
8 外側輻射筒
8c 閉じ部材
9 閉塞体
10 炉本体の下蓋の内面に配設された断熱材(炉本体閉塞部材)
21 流動案内体
30 外側輻射筒閉塞部材
Ge 燃焼ガス
Gr 改質ガス
Gs 被加熱気体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9