【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱炉は、両端が閉塞された円筒状の炉本体の内部に、一端が閉塞された円筒状の燃焼筒が、その開口端を前記炉本体の一端と間隔を隔てた状態で、同心状又は略同心状に設けられ、前記炉本体と前記燃焼筒との間の環状の空間に、内部に被加熱気体が供給される複数の加熱管が、夫々の軸心を前記炉本体の軸心に沿わせた状態で、前記燃焼筒の周りに沿う環状に並べて設けられ、前記炉本体の周壁部に配設されて、燃焼ガスを前記炉本体の接線方向に向けて前記炉本体内に噴出する外周バーナと、前記燃焼筒の閉塞端に配設されて、燃焼ガスを前記燃焼筒の開口端に向けて噴出する中央バーナとを備えた加熱炉であって、第1特徴構成は、
前記燃焼筒が、外周面から輻射熱を放射する内側輻射筒として設けられ、
前記複数の加熱管が環状に並ぶ環状の加熱管列と前記内側輻射筒との間に、内径が前記内側輻射筒の外径よりも大径の円筒状の外側輻射筒が、前記内側輻射筒の開口端から前記内側輻射筒の軸心方向の両側に延びる状態で、前記炉本体と同心状又は略同心状に設けられ、
前記外側輻射筒における前記内側輻射筒の開口端に対して前記内側輻射筒の軸心方向の外方側の端部が、外側輻射筒閉塞部材にて閉塞されて
おり、
前記外側輻射筒における前記内側輻射筒の軸心方向の閉塞端側の端部が、前記内側輻射筒の軸心方向中央付近に位置する点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、中央バーナにより閉塞端側から開口端に向けて内側輻射筒内に噴出された燃焼ガスは、外側輻射筒閉塞部材に衝突して内側輻射筒の閉塞端側に折り返して、内側輻射筒と外側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に流動し、更に、外側輻射筒
における内側輻射筒の軸心方向中央付近に位置する端部から流出して、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に流動する。
そして、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に向けて流動する燃焼ガスにより、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が助長される。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を向上して、加熱効率を向上し得る加熱炉を提供することができる。
【0009】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
周方向に隣接する前記加熱管同士の間の間隙における前記内側輻射筒の閉塞端側に対応する側を閉塞する閉塞体が、前記加熱管列の全周にわたる状態で設けられている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、内側輻射筒と外側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に流動する燃焼ガスは外側輻射筒の開口端から流出するが、そのように外側輻射筒の開口端から流出した燃焼ガスが、内側輻射筒の閉塞端側に向かわずに加熱管列の加熱管同士の間を通って外周側に流動するのが、閉塞体によって抑制されるので、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に向けて流動した後、内側輻射筒の開口端側に向けて折り返して流動する流動形態で、燃焼ガスが流動するのが促進される。
つまり、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間において、内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の領域を流動する燃焼ガスの量を多くすると共に、その領域を燃焼ガスが流動する時間を長くすることができるので、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が一層助長されることになる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を一層向上して、加熱効率を一層向上することができる。
【0011】
第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記外側輻射筒における前記内側輻射筒の閉塞端側の端部と、前記閉塞体における前記内側輻射筒の開口端側の端部とが、前記内側輻射筒の軸心方向において近接している又は重なっている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、外側輻射筒の開口端から流出した燃焼ガスが、内側輻射筒の閉塞端側に向かわずに加熱管列の加熱管同士の間を通って外周側に流動するのが、閉塞体によって更に抑制されることになり、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に向けて流動した後、内側輻射筒の開口端側に向けて折り返して流動する流動形態で、燃焼ガスが流動するのが更に促進される。
つまり、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間において、内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の領域を流動する燃焼ガスの量を更に多くすると共に、その領域を燃焼ガスが流動する時間を更に長くすることができるので、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が更に助長されることになる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を更に向上して、加熱効率を更に向上することができる。
【0013】
第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記外側輻射筒の両端が開口され、その外側輻射筒が、前記炉本体における前記内側輻射筒の開口端側の開口を閉塞する炉本体閉塞部材に支持された状態で設けられ、
前記外側輻射筒閉塞部材が、前記炉本体閉塞部材にて構成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、中央バーナにより噴出された燃焼ガスは、外側輻射筒閉塞部材を構成する炉本体閉塞部材に衝突して内側輻射筒の閉塞端側に折り返す。
そして、両端が開口した外側輻射筒を、炉本体の炉本体閉塞部材に支持させた状態で設けることにより、中央バーナから噴出された燃焼ガスを内側輻射筒の閉塞端側に折り返させるための構成を簡素化することができる。
従って、低廉化を図りながら、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を向上して、加熱効率を向上することができる。
【0015】
第5特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記外側輻射筒の一端が閉じ部材にて閉じられ、その外側輻射筒が、前記閉じ部材を前記内側輻射筒の開口端に対向させて、前記内側輻射筒に支持された状態で設けられ、
前記外側輻射筒閉塞部材が、前記閉じ部材にて構成されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、中央バーナから噴出された燃焼ガスは、外側輻射筒閉塞部材を構成する外側輻射筒の閉じ部材に衝突して、内側輻射筒の閉塞端側に折り返す。
ところで、外側輻射筒閉塞部材に衝突させて内側輻射筒の閉塞端側に折り返させた燃焼ガスを、できるだけ内側輻射筒の閉塞端側に流動させるには、内側輻射筒の開口端と外側輻射筒閉塞部材との間隔を極力狭くして、内側輻射筒の閉塞端側に折り返させる燃焼ガスの流速を速めるのが好ましい。
そこで、外側輻射筒を、その閉じ部材を内側輻射筒の開口端に対向させて、内側輻射筒に支持させて設けることにより、内側輻射筒の閉塞端側に折り返させる燃焼ガスの流速を速めるべく、内側輻射筒の開口端と外側輻射筒閉塞部材を構成する閉じ部材との間隔を極力狭くしても、内側輻射筒が熱膨張したときに、内側輻射筒の開口端と外側輻射筒の閉じ部材との間が閉塞されたり、狭くなり過ぎるのを回避することができる。
従って、内側輻射筒の閉塞端側に折り返させる燃焼ガスの流速を極力速めることができるので、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を更に向上して、加熱効率を更に向上することができる。
【0017】
第6特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記中央バーナが、燃焼ガスを前記内側輻射筒の軸心周りに旋回する状態で噴出するように構成されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、中央バーナから燃焼ガスが内側輻射筒の軸心周りに旋回する状態で噴出される、換言すれば、中央バーナにより形成する火炎の長さが短くなって、内側輻射筒におけるその閉塞端側の領域の加熱が助長されるので、内側輻射筒の外周面におけるその閉塞端側の領域からの輻射熱量が増大し、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が更に助長されることになる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を更に向上して、加熱効率を更に向上することができる。
【0019】
第7特徴構成は、上記第1〜第6特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記内側輻射筒内における開口端側に、前記内側輻射筒の内径よりも小径の円柱状の流動案内体が、前記内側輻射筒と同心状又は略同心状に設けられている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、内側輻射筒内をその開口端に向けて流動する燃焼ガスは、内側輻射筒と流動案内体との間の環状空間に流入して、その環状空間を流動する間に流速が速められるので、外側輻射筒閉塞部材に衝突して内側輻射筒と外側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に流動する燃焼ガスの流速が速められる。
それによって、外側輻射筒の開口端から流出した燃焼ガスのうち、環状の加熱管列と内側輻射筒との間の環状空間を内側輻射筒の閉塞端側に向けて流動する分の量を一層多くすることができると共に、その環状空間における内側輻射筒の閉塞端側に対応する端部に極力近づけるように、又は、その端部に届かせるように、燃焼ガスを流動させることができるので、複数の加熱管夫々における内側輻射筒の閉塞端側に対応する側の加熱が更に助長されることになる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を更に向上して、加熱効率を更に向上することができる。
【0021】
第8特徴構成は、上記第1〜第7特徴構成のいずれか1つに加えて、
炭化水素系の原燃料ガスと水蒸気との混合気体が、被加熱気体として前記加熱管に供給されて、前記加熱管内で原燃料ガスを水素を主成分とする改質ガスに改質処理するように構成されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、複数の加熱管夫々を流動する炭化水素系の原燃料ガスと水蒸気との混合気体が加熱されて、水素を主成分とする改質ガスに改質処理されるが、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性が向上して、複数の加熱管夫々を流動する混合気体の加熱効率が向上するので、原燃料ガスを改質ガスに改質処理する改質処理効率を向上することができる。
従って、複数の加熱管夫々における軸心方向での加熱の均等性を向上して、水素を主成分とする改質ガスの生成効率を向上し得る加熱炉を提供することができる。