特許第6202849号(P6202849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6202849-カメラを備えた工作機械 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202849
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】カメラを備えた工作機械
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20170914BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   G05B23/02 301V
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-69387(P2013-69387)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-191787(P2014-191787A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000212566
【氏名又は名称】中村留精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078673
【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】西村 尚貢
(72)【発明者】
【氏名】荒井 智則
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−014697(JP,A)
【文献】 特開2003−022108(JP,A)
【文献】 特開平08−063133(JP,A)
【文献】 特開2011−090446(JP,A)
【文献】 特開平06−020180(JP,A)
【文献】 特開平09−244739(JP,A)
【文献】 特開2000−250775(JP,A)
【文献】 特開2000−276222(JP,A)
【文献】 特開平08−249051(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0177119(US,A1)
【文献】 野本 弘平 Kohei NOMOTO,人間を内部に含んだ系のモデリングと設計 製造業における作業行動の観察と技能の解析 Modeling and Design of Human-in-the-Loop Systems,システム/制御/情報 第45巻 第11号 SYSTEMS,CONTROL AND INFORMATION,日本,システム制御情報学会 The Institute of Systems,Control and Information Engineers,2001年11月20日,第45巻,43〜47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/00−23/02
G05B 19/18−19/416
B23Q 15/00−15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作盤と、機械の予め定めた運転履歴及び操作履歴を記憶する履歴記憶手段とを備えた工作機械において、前記操作盤を操作する操作者側に向けたカメラと、当該カメラの所定時間の画像を記憶させる記録手段とを備え、当該記録手段は、アラーム発生時及び前記カメラの画像が消失した時に、当該時から遡る所定時間の前記カメラの画像を前記履歴記憶手段又はこれと別に設けた画像記憶装置に記憶させることを特徴とする、工作機械。
【請求項2】
前記記録手段が、機械停止時における操作盤の操作時及びその後の機械の起動時に、当該時の所定時間の前記カメラの画像を前記履歴記憶手段又は前記画像記憶装置に記憶させる、請求項1記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラを備えた工作機械に関するもので、工作機械の運転中に発生するアラームや故障、誤動作などの原因の究明を容易にした工作機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの工作機械は、加工プログラムに従って自動運転されており、加工するワークの変更や工具の変更などの段取り替え時には、制御器に設定するパラメータを手動又は自動で変更して加工を行っている。
【0003】
機械の段取り替え時に変更するパラメータとしては、刃物台と工具刃先の位置関係を設定する工具補正データ(工具オフセット値)、どのような座標系を用いて原点をどこに設定してワークを加工するかを示すワーク座標系データ、加工プログラム内で使用する演算式の変数値を設定するマクロ変数、工具寿命を判定するためのツールの使用回数を設定するツールカウントデータ、切削時の加工異常を検出するための閾値を設定するロードモニタ設定データなどがある。
【0004】
また、加工されるワークが変わったときには、加工用の加工プログラムも変更されるし、場合によっては加工プログラムのステップや呼び出されるマクロプログラムの指定が変更される場合もある。この明細書では、このような加工プログラムの変更を含めてパラメータ等の変更ということにする。なお、複数の刃物台を備えた工作機械では、通常これらのパラメータ等は、刃物台毎に設定される。
【0005】
工作機械のパラメータ等を変更すると、工作機械の動作が異なったり、また、故障を回避するための緊急停止の条件などが変化するので、操作の権限を有するオペレータが行う必要がある。そのため工作機械の操作盤には、権限を示すカードを挿入するためのスロットなどが設けられており、そのスロットにキーとなるカードを差し込まなければ操作盤を操作できないなどの安全策が設けられている。しかし、キーが一つだけであると、キーを紛失したりキーを所持している者がいないときに機械の段取り替えが必要になった場合などに不便であるので、複数人がキーを所持しているのが通常である。
【0006】
また、工作機械は、新しいワークのテスト加工を行うとき、あるいは機械動作や加工プログラムの確認等の際には手動運転される。このときは、オペレータが操作盤のハンドルやキーを操作したり、必要な設定値をキー入力したりしながらテスト加工や加工プログラムの確認を行う。
【0007】
これらの自動運転や手動運転の際にアラームで機械が停止することがある。特に手動運転のときにアラームが発生することが多い。このアラームの発生は、たとえば衝突防止装置が働いたとか、刃物台などの移動体が許容されている移動領域を超えたとか、主軸モータや工具モータに過大な電流が流れたとかなどの機械の異常を警告するもので、重大な事故の発生を防止するものである。
【0008】
工作機械を制御しているコンピュータは、設定されているパラメータ等の値やアラームが発生する前の機械の動作履歴などを記憶しているので、アラームが発生したときには、設定されているパラメータの値や動作履歴を解析し、更にオペレータにいつどのような設定や操作を行ったかを聞くことによってアラームの原因の究明を行っている。
【0009】
一方、機械の動作の記録やメンテナンスのために工作機械にカメラを設置して機械稼働部の動画を撮影して記憶することが行われている。このようなカメラを備えた工作機械では、記憶されている画像をアラーム発生の原因究明に用いることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
工作機械にアラームが発生したとき、その工作機械を制御ないし管理しているコンピュータに記憶されている動作履歴、キー操作履歴などの履歴データ、アラームが発生したときのパラメータ等の設定値及びオペレータの記憶により原因を推定するが、原因を特定することが困難な場合も往々にして生ずる。たとえばオペレータが無意識に誤設定や誤操作を行ったとか、あるいは本来のオペレータでない者が設定や操作を行ったときなどにアラームの原因究明が困難になることが往々にして起こる。
【0011】
この発明は、工作機械がアラームで停止したときや故障したときの原因究明をより速やかに、かつ正確に行うことができるようにするための技術手段を得ることを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の工作機械は、操作盤21と、機械の予め定めた運転履歴及び操作履歴を記憶する履歴記憶手段22とを備えた工作機械において、操作盤21を操作する操作者側に向けたカメラ4と、当該カメラの所定時間の画像を記憶させる記録手段31とを備え、記録手段31は、異常発生時及びカメラ4の画像が消失した時に、当該時から遡る所定時間のカメラ4の画像を履歴記憶手段22又はこれと別に設けた画像記憶装置32に記憶させることを特徴とする、工作機械である。
【0013】
好ましくは、記録手段31は、異常発生時に加えて、機械停止時における操作盤の操作時及びその後の機械の起動時に、当該時の所定時間のカメラ4の画像を履歴記憶手段22又は画像記憶装置32に記憶させる。
【0015】
この発明では、工作機械1の操作盤21又はその付近にカメラ4を取り付けて、制御パラメータ等の設定変更時、機械起動時及び異常(アラーム等)発生時に、発生時から一定時間遡って録画・録音を残すことにより、異常発生の原因究明を容易にした工作機械を提供している。記録された動画や音声と、NC装置2や制御コンピュータ3に記憶されている機械動作や操作盤の操作履歴を基に、異常発生の原因が分かるようになる。
【0016】
カメラ4は、操作盤前を常に録画や録音をしており、制御パラメータ等の変更時、機械起動時、及び異常発生時には、その時から遡った時間を記録データとして別保存する。このときパラメータ等の設定値も一緒に記録する。このデータは消去できないようにプロテクトする。
【0017】
悪意のある者がカメラ4のレンズを塞いで操作することを避けるために、カメラ4の画像が無くなったときもアラームとし、そのときの画像や音声を記憶する。
【発明の効果】
【0018】
異常発生時の状況を動画や音声で確認できるので、故障などの原因調査が早くかつ正確にできるようになる。記録された画像や音声と制御パラメータ等の設定値等のデータにより異常発生までの流れを調査でき、誰の何時のどのような操作が異常発生に結びついたかをトレースできる。これにより、作業分析調査や作業改善に活用でき、工作機械の異常や故障発生を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
次にこの発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図に示した工作機械1は旋盤で、ワークの加工領域の手前に設けられたドア11の手前側側方に操作盤21が設けられており、この操作盤21の上に録音機能付きのカメラ4が操作盤21の前方、すなわち操作盤21を操作するオペレータとその周囲を撮影することができるようにして設けられている。
【0021】
旋盤1はNC旋盤で、そのNC装置2に当該機械に内蔵した又は当該機械を含む機械群を管理しているコンピュータ3が接続されている。NC装置2の操作盤21は、パラメータの設定画面などを表示するディスプレイ23を備えており、起動ボタンや刃物台の移動ボタンなどの手動操作用のボタンやハンドルの他にパラメータの値を入力するためのキーボードを備えている。
【0022】
カメラ4は、操作盤21の電源投入時に継続して撮影及び録音を行うように設定されており、その画像及び音声データは、コンピュータ3の一時記憶領域に連続的に送られている。コンピュータの一時記憶領域は、カメラ4から送られてきた一定時間の画像及び音声を記憶できる記憶容量を備えており、新しい画像及び音声が記録される毎にその量に対応する量の古い画像及び音声が一時記憶領域から消去されてゆく。
【0023】
コンピュータ3は、この一時記憶領域と同容量の複数の画像記憶装置32を備えている。コンピュータ3は、操作盤21がパラメータ設定モードで特定のパラメータ等が変更されたとき、自動運転モードで機械が起動されたとき、及び手動運転モードで機械を動作させる操作が行われたときに一時記憶領域に記憶されている画像と音声、及びその時点からの一定時間の間、カメラ4から一時記憶領域に送られて来る画像と音声をその転送動作を起動させた機械動作ないし操作盤の操作及びその発生時刻と共に記憶させる。
【0024】
自動運転中はNC装置2は、機械動作に関連するパラメータ等の設定値を記憶しており、NC装置2又はコンピュータ3は、その動作履歴を記憶している。また、手動運転時には、NC装置又はコンピュータはその操作履歴を記憶している。従って、画像記憶装置32に画像と共に記憶された時間を参照して、そのときのパラメータ等の設定値や機械動作や操作盤の操作の履歴を知ることができる。
【0025】
画像転送時にこれらのパラメータ等や動作履歴の内の必要なものを画像記憶装置に転送して記憶しておくこともできる。たとえば、機械停止時に操作盤の操作によるパラメータの変更、加工プログラムの編集などが行われたときは、その前後の画像と共に、変更前後の設定データ、プログラム編集内容等を記憶する。機械の起動時には、起動前の画像と起動データを記憶する。また、アラーム発生時には、アラーム発生前の画像と共に、機械状態(I/Oの状態、機械内部のシリンダの位置や電磁弁の位置など)を記憶する。アラーム発生時のこれらのデータの記憶は手動運転のときに特に必要である。
【0026】
異常が発生して機械が停止し、その原因の究明が必要になったときに、必要に応じて画像記憶装置32に記憶された画像及び音声を参照し、更にパラメータ等の設定操作や操作盤の手動操作が行われたときのパラメータ等の変更内容や手動動作の指令値及びタイミングを確認することによって、従来困難であった多くの異常原因究明の作業がより円滑にかつ正確に行うことができるようになる。
【0027】
上記実施例では、カメラ4の画像を所定時間記憶する画像記憶装置32を従来の工作機械にも設けられている機械の運転履歴や操作履歴を記憶する履歴記憶手段22と別に設けているが、既存の履歴記憶手段22の記憶容量が十分であれば、画像記憶装置32を設けることなく、履歴記憶手段22に画像記憶領域を設定してカメラ4の画像や音声を記憶することができる。また音声は、カメラ4と別に設置たマイクで取得することも勿論可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 工作機械
2 NC装置
3 制御コンピュータ
4 カメラ
21 操作盤
22 履歴記憶手段
31 記録手段
32 画像記憶装置
図1