特許第6202851号(P6202851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6202851回転工具の旋回位置決め装置および旋回位置決め方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202851
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】回転工具の旋回位置決め装置および旋回位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/18 20060101AFI20170914BHJP
   B23B 21/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B23Q3/18 A
   B23Q3/18 D
   B23B21/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-69994(P2013-69994)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-193492(P2014-193492A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 浩史
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−030006(JP,A)
【文献】 実開平03−047706(JP,U)
【文献】 特開平11−300527(JP,A)
【文献】 米国特許第05947103(US,A)
【文献】 特開2001−300802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/18,5/04,
B23B 21/00,17/00,25/00−25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する工具を旋回自在に支持する工作機械に設けられ、前記工具を所定の旋回角度に位置決めする工具の旋回位置決め装置において、
前記工具を、旋可能な状態で所定の位置に移動させる移動手段と、前記工具と一体的に移動及び旋回する当接部と、前記移動手段による前記工具の移動に対する固定側に配置され、前記工具の旋回によって前記当接部と当接するストッパとを設け、
前記移動手段によって移動した前記工具の旋回により、前記当接部が前記ストッパに当接し、前記工具の旋回が規制されることによって前記工具の旋回角度の位置決めが行われ
前記移動手段は、前記当接部と前記ストッパとの当接による前記工具の旋回角度が、前記加工に必要な角度となるように、前記工具を前記ストッパに対して移動させることを特徴とする工具の旋回位置決め装置。
【請求項2】
前記当接部は、工具を保持する工具ホルダの周面であり、前記ストッパは、前記工作機械に着脱自在に取り付けられるストッパ部材である請求項1に記載の工具の旋回位置決め装置。
【請求項3】
前記当接部は、工具の周面であり、前記ストッパを主軸に把持されたワークとした請求項1に記載の工具の旋回位置決め装置。
【請求項4】
ワークを加工する工具を旋回自在に支持する工作機械で、前記工具を所定の旋回角度に位置決めする工具の旋回位置決め方法において、
前記工具を、旋可能な状態で所定の位置に移動させ、前記工具と一体的に移動及び旋回する当接部を、前記工具の移動に対する固定側に配置され、前記工具の旋回によって前記当接部と当接するストッパに当接させ、前記工具の旋回を規制されることによって前記工具の旋回角度の位置決めを行い、
前記当接部と前記ストッパとの当接による前記工具の旋回角度が、前記加工に必要な角度となるように、前記工具を前記ストッパに対して移動させることを特徴とする工具の旋回位置決め方法。
【請求項5】
前記当接部は、工具を保持する工具ホルダの周面であり、前記ストッパは、前記工作機械に着脱自在に取り付けられるストッパ部材であり、
前記工具を旋回させ、前記工具ホルダの周面を、工作機械側に装着されたストッパに当接させることによって前記工具の位置決めを行う請求項4に記載の工具の旋回位置決め方法。
【請求項6】
前記当接部は、工具の周面であり、前記ストッパは、主軸に把持されたワークであり、
前記工具を旋回させ、前記工具の周面を、前記ワークに当接させることによって前記工具の位置決めを行う請求項4に記載の工具の旋回位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械において、ワークに対して加工に必要な角度をなすように工具の旋回位置を位置決めする工具の旋回位置決め装置および旋回位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、主軸に把持された棒状のワークを加工する工作機械において、回転工具を所定の旋回角度に位置決めして固定し、ワークを斜め方向から加工を行うことができるもの知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−11057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記工作機械では、回転工具が装着される主軸ユニットを、ストッパとなる位置決めブロックに当接させて、回転工具の旋回角度を調節するように構成されている。しかし位置決めブロックが固定されているため、回転工具を様々な旋回角度に位置決めすることは、容易ではなかった。
【0005】
したがって本発明の目的は、上記問題に鑑み、工作機械においてワークに対して加工に必要な角度をなす位置に工具を固定する位置決め作業を容易にする低コストの位置決め装置および位置決め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明の工具の旋回位置決め装置によれば、ワークを加工する工具を旋回自在に支持する刃物台を備えた工作機械に設けられ、工具を所定の旋回角度に位置決めする工具の旋回位置決め装置において、工具を、旋回角度に応じた位置に移動させる移動手段と、工具と一体的に移動及び旋回する当接部と、工具の旋回によって当接部と当接するストッパとを設け、移動手段によって移動した工具の旋回により、当接部がストッパに当接し、工具の旋回が規制されることによって工具の位置決めが行われるように構成される。
【0007】
本発明の第1の態様として、上記当接部を、工具を保持する工具ホルダの周面とし、上記ストッパを、工作機械側に着脱自在に取り付けられ、工作機械のワークの装着部に対して予め定められた位置に配置されるストッパ部材とすることができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様として、前記当接部を、工具の周面とし、前記ストッパを前記主軸に把持されたワークとしてもよい。
【0009】
また、本発明の工具の旋回位置決め方法によれば、ワークを加工する工具を旋回自在に支持する刃物台を備えた工作機械で、工具を所定の旋回角度に位置決めする工具の旋回位置決め方法において、工具を、前記旋回角度に応じた位置に移動させ、工具と一体的に移動及び旋回する当接部を、工具の旋回によって当接部と当接するストッパに当接させ、工具の旋回が規制されることによって工具の位置決めを行う。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、上記当接部を、工具を保持する工具ホルダの周面とし、上記ストッパを、工作機械側に着脱自在に取り付けられ、工作機械のワークの装着部に対して予め定められた位置に配置されるストッパ部材とし、工具を旋回させ、工具ホルダの周面を、工作機械側に装着されたストッパに当接させることによって工具の位置決めを行うことができる。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、上記当接部を、工具の周面とし、前記ストッパを前記主軸に把持されたワークとし、工具を旋回させ、工具の周面を、前記ワークに当接させることによって前記工具の位置決めを行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、工作機械においてワークに対して加工に必要な角度をなす位置に工具を固定する位置決め作業を容易にする低コストの工具の旋回位置決め装置および工具の旋回位置決め方法を実現することができる。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、工具ホルダの周面をストッパに当接させ、その位置で工具ホルダを固定するだけで工具の位置決めをすることができるので、作業が容易であり、旋回角度を示す目盛盤を用いないことから作業者による目盛の読み間違えもない。また、工具ホルダの固定作業は、工具ホルダの周面をストッパに押し当てながら行うので、工具の位置にずれが生じる可能性も少ない。また、工作機械にはストッパを取り付ける穴を設け、工具ホルダに旋回手段を設けるだけでよいので、比較的容易に工具の旋回位置決め装置を実現することができ、また低コストである。ストッパ自体は位置決め作業が終われば取り外すことができるので、その後の工作機械の動作に影響を与えることもない。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、工具の周面をワークに当接させ、その位置で工具ホルダを固定するだけで工具の位置決めをすることができるので、作業が容易であり、旋回角度を示す目盛盤を用いないことから作業者による目盛の読み間違えもない。また、工具ホルダの固定作業は、工具の周面をワークに押し当てながら行うので、工具の位置にずれが生じる可能性も少ない。また、旋回手段を支持台と工具ホルダとの間に設けるだけでよいので、比較的容易に工具の旋回位置決め装置を実現することができ、また低コストである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の旋回位置決め装置を適用した工作機械として、主軸に把持された棒状のワークを加工する自動旋盤の側面図である。
図2図1に示す自動旋盤の要部正面図である。
図3図1に示す自動旋盤の要部平面図である。
図4図1に示す自動旋盤のストッパ部材を装着した状態の要部平面図である。
図5】本発明の第1の実施例による位置決め方法の動作フローを示すフローチャートである。
図6】本本発明の第1の実施例による位置決め装置を説明する平面概要図である。
図7】本発明の第1の実施例における回転工具とワークとのなす角度について説明する平面概要図である。
図8】本発明の第2の実施例による位置決め装置の要部平面図である。
図9】本発明の第2の実施例による位置決め方法の動作フローを示すフローチャートである。
図10】本発明の第2の実施例における回転工具とワークとのなす角度について説明する平面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の第1の実施例について説明する。
【0017】
図1は、本発明の旋回位置決め装置を適用した工作機械として、主軸に把持された棒状のワークを加工する自動旋盤の側面図である。以降、異なる図面において同じ参照符号が付されたものは同じ機能を有する構成要素であることを意味するものとする。図2は、図1に示す自動旋盤の要部正面図であり、図3は、図1に示す自動旋盤の要部平面図である。また、図4は、図1に示す自動旋盤のストッパ部材を装着した状態の要部平面図である。
【0018】
本自動旋盤は、図1図3に示されるように、ベッド103上に、主軸113を回転駆動自在に保持する主軸台101および刃物台本体102が搭載されている。主軸台101は、主軸113の軸線方向であるZ軸方向に、移動自在に設けられている。以下、主軸台101および刃物台本体2の軸線方向を「Z軸方向」として表し、軸線方向(Z軸方向)に縦方向で直交する方向を「X軸方向」、Z軸方向及びX軸方向に直交する方向を「Y軸方向」 として表す。
【0019】
刃物台本体102には、Y軸方向に伸びるY方向ガイドレール107が設けられている。Y方向ガイドレール107には、Yスライド108が装着されている。Yスライド108はY方向ガイドレール107に沿ってY軸方向に移動可能である。Yスライド108には、X軸方向に伸びるX方向ガイドレール109が設けられている。X方向ガイドレール109にはXスライド110が装着されている。Xスライド110はX方向ガイドレール109に沿ってX軸方向に移動可能である。Xスライド110には支持台111が設けられている。支持台111には、バイト等の切削工具が装着されている他、回転工具ホルダ106が支持されている。回転工具ホルダ106には加工工具としてドリル等の回転工具が回転駆動自在に取り付けられている。本実施形態の回転工具ホルダ106には、X軸方向に複数の回転工具が並設される。Yスライド108のY方向への移動およびXスライド110のX方向への移動によって各工具はX軸方向およびY軸方向に支持台111と一体的に移動する。
【0020】
刃物台本体102には、ガイドブッシュ104が設けられている。主軸113とガイドブッシュ104は軸線が一致するように、互いに対向して配置されている。主軸113に把持されたワーク2は、ガイドブッシュ104に挿通され、ガイドブッシュ104から突出する。支持台111をX軸方向およびY軸方向に移動させることによって、ワーク2のガイドブッシュ104から突出した部分を、切削工具や回転工具105によって加工することができる。支持台111をX軸方向に移動させることによってワーク2を実際に加工するのに用いられる回転工具105を選択することができる。支持台111をY軸方向に移動させることによって切削工具の選択を行うことができる。
【0021】
回転工具ホルダ106は、ボス112が突出しており、該ボス112が回転自在に支持台111に挿入されている。ボス112の軸線は、 回転工具105の先端部分を通り、回転工具ホルダ106は、ボス112を支点軸として回転工具105の先端部分を旋回中心に、支持台111に対して旋回自在に支持されている。支持台111には、旋回軸心を中心とした円弧状の長孔114が形成されており、この長孔114を介して回転工具ホルダ106の上面に螺合されたボルト13を締めることによって、回転工具ホルダ106を任意の旋回角度に位置決めして固定することができる。これにより回転工具105は、ワーク2の加工内容に応じて、ワーク2に対して加工に必要な角度で位置決め固定される。
【0022】
図5は、本発明の第1の実施例による位置決め方法の動作フローを示すフローチャートであり、図6は、本発明の第1の実施例による位置決め装置を説明する平面概要図である。
【0023】
本発明の第1の実施例による位置決め装置1は、刃物台本体102に着脱自在に取り付けられるストッパ部材11と、回転工具ホルダ106をY軸方向に移動させる移動手段と、前記回転工具ホルダ106の周面からなる当接部とを備える。刃物台本体102のガイドブッシュ104側の端面には、予め定められた位置にストッパ部材11の取付部が設けられている。
【0024】
ストッパ部材11は、刃物台本体102から突出するZ軸方向に固定長を有する。ストッパ部材11の先端部分は球状に構成されている。前記移動手段は、回転工具ホルダ106をY軸方向に移動させるためのY方向ガイドレール107およびYスライド108を用いて実現される。
【0025】
まず、ステップS200において、刃物台本体102にストッパ部材11を取り付ける。次いでステップS201において、図7(a)および図7(b)に示すように、回転工具ホルダ106とストッパ部材11との間が所定距離になる位置まで回転工具ホルダ106をY軸方向に移動させる。
【0026】
次いでステップS202において、図6(b)および図6(c)に示すように、回転工具ホルダ106の周面が、ストッパ部材11に当接する位置まで、回転工具ホルダ106を旋回させる。この際回転工具105が回転工具ホルダ106と一体的に旋回し、ストッパ部材11の球状の先端部分に回転工具ホルダ106の周面が当接する。ストッパ部材11が、回転工具ホルダ106(回転工具105)の旋回によって当接部と当接するストッパを構成する。回転工具ホルダ106の周面が、ストッパ部材11に当接することによって、回転工具105の旋回が規制され、回転工具105の旋回位置の位置決めが行われる。
【0027】
次いでステップS203において、図6(c)に示すように、回転工具ホルダ106の周面がストッパ部材11に当接した位置で、固定手段となるボルト13によって回転工具ホルダ106を固定する。これによって回転工具105が前記旋回位置で位置決め固定される。
【0028】
次いでステップS204において、図6(c)に示すように、ストッパ部材11を刃物台本体102から取り外す。この後、自動旋盤は、回転工具105を用いてワーク2を加工することができる。
【0029】
ここで、本発明の第1の実施例における回転工具105とワーク2とのなす角度について説明する。
【0030】
図7は、本発明の第1の実施例における回転工具とワークとのなす角度について説明する平面概要図である。
【0031】
図7では、上述のステップS203において回転工具ホルダ106の周面がストッパ部材11に当接した位置で回転工具ホルダ106を固定した状態を示している。図7において、回転工具ホルダ106の旋回中心(回転工具105の先端部分A)とストッパ部材11の先端部分の中心とのZ軸方向の距離をLz、ストッパ部材11の先端部分である球形状の直径をd、回転工具105の中心線と回転工具ホルダ106の周面との距離をH、加工点Pが位置する主軸113の中心からストッパ部材11の軸線方向の中心軸との距離をLyとする。
【0032】
ストッパ部材11は、Z軸方向に固定長を有し、刃物台本体102の予め定められた位置に取り付けられるため、ワークの装着部となる前記主軸113に対して予め定められた位置に配置される。このためこれらLz、d、HおよびLyは、自動旋盤上、既知である。
【0033】
上述のステップ202における回転工具ホルダ106の旋回角度をθとし、旋回角度がθとなるときのステップS201における回転工具ホルダ106の移動距離をLとすると、式1の関係式が得られる。
【0034】
【数1】
【0035】
回転工具ホルダ106の旋回角度を所望の値θに設定しようとする場合、式1にθを代入すれば、ステップS201における回転工具ホルダ106を移動させるべき距離Lが一義的に算出できる。
【0036】
回転工具ホルダ106の旋回角度θと移動距離Lとの関係について、旋回角度θに対応すると移動距離Lを予めコンピュータなどで計算しておき対応表の形式で工作機械の制御部(図示せず)内の記憶手段(図示せず)に保持しておいてもよく、またあるいは、作業者が入力装置(図示せず)を用いて工作機械の制御部に所望の旋回角度θを入力する都度、移動距離Lを算出するよう計算プログラム形式で実現してもよい。いずれの場合についても、作業者が入力装置を用いて工作機械の制御部に所望の旋回角度θを入力することで、回転工具ホルダ106の移動距離Lに関する信号が出力され、この信号に基づいて、工作機械の制御部は、回転工具ホルダ106を移動させるための移動手段としてのYスライド108を動作させる制御を行う。また、移動距離Lに関する信号に基づいて、自動旋盤の表示部(図示せず)に移動距離Lを表示し、作業者が手動で移動させてもよい。
【0037】
上述の本発明の第1の実施例によれば、回転工具ホルダ106の周面からなる当接部をストッパとなるストッパ部材11に当接させ、その位置で回転工具ホルダ106を固定するだけで回転工具105を所定の旋回角度で位置決めをすることができるので、作業が容易であり、従来のように目盛盤を用いないことから作業者による目盛の読み間違えもない。また、回転工具ホルダ106の固定作業は、回転工具ホルダ106の周面をストッパ部材11に押し当てながら行うことで、容易に高精度に行うことができる、また、自動旋盤にストッパ部材11の取付部を設けることで、比較的容易に位置決め装置を実現することができ、また低コストである。ストッパ部材11自体は位置決め作業が終われば取り外すことができるので、その後の工作機械の動作に影響を与えることもない。
【0038】
続いて、本発明の第2の実施例について説明する。図8は、本発明の第2の実施例による位置決め装置の要部平面図であり、図9は、本発明の第2の実施例による位置決め方法の動作フローを示すフローチャートである。
【0039】
本発明の第2の実施例においては、図8(a)に示すように、回転工具105を旋回可能に支持する支持ユニット22が支持台111に装着されている。支持ユニット22は旋回軸心Bを中心に回転工具105を旋回させ、図示しない固定手段によって回転工具105を旋回位置で位置決め固定することができる。図1および図2を参照して説明した通りである。
【0040】
まず、ステップS301において、図8(a)に示すように、支持ユニット22を支持台111と一体的に、支持ユニット22とワーク2との間が所定距離になる位置までY軸方向に移動させる。
【0041】
次いでステップS302において、図8(b)に示すように、支持ユニット22により、回転工具105の端面を含む周面を当接部とし、ワーク2の周面をストッパとして、回転工具105の周面がワークの周面に当接する位置まで回転工具105を旋回させる。本実施形態においては、回転工具105の最大径部の端部(コーナ)がワーク2の周面と当接するように構成されている。
【0042】
次いでステップS302において、回転工具105の周面がワーク2の周面に当接したところで回転工具105を固定する。回転工具105を支持ユニット22に固定させる固定手段として、例えばボルト(図示せず)等を用いることができる。この後、自動旋盤は、回転工具105を用いてワーク2を加工する。
【0043】
ここで、本発明の第2の実施例における回転工具105とワーク2とのなす角度について説明する。図10は、本発明の第2の実施例における回転工具とワークとのなす角度について説明する平面概要図である。
【0044】
図10では、上述のステップS303において回転工具105の周面がワーク2の周面に当接した位置で回転工具ホルダ106を固定した状態を示している。図10において、旋回軸心Bと支持台111との距離をTX、旋回軸心Bと回転工具105の先端部分Aとの距離をTL、回転工具105のコーナ部分から先端までの高さをH、回転工具105の径をd、棒状のワーク2の径をDとする。これらLX、TL、Hおよびdは、工作機械の設計構造上、既知である。また、棒状のワーク2の直径Dも既知である。
【0045】
上述のステップ302における回転工具ホルダ106の旋回角度をθとし、旋回角度がθとなるときのステップS201における支持ユニット22の移動距離をLとすると、式2の関係式が得られる。式2において、移動距離Lはワーク2の軸線と支持台111との間のY軸方向の距離となる。
【0046】
【数2】
【0047】
上述のようにLX、TL、Hおよびdは既知であり、また、棒状のワーク2の直径Dも既知であるので、回転工具ホルダ106の旋回角度を所望の値θに設定しようとする場合、式2にθを代入すれば、ステップS301における支持ユニット22を移動させるべき距離Lが一義的に算出できる。
【0048】
回転工具ホルダ106の旋回角度θに対する移動距離Lについては、旋回角度θに対応すると移動距離Lを予めコンピュータなどで計算しておき対応表の形式で工作機械の制御部(図示せず)内の記憶手段(図示せず)に保持しておいてもよく、またあるいは、作業者が入力装置(図示せず)を用いて工作機械の制御部に所望の旋回角度θを入力する都度、移動距離Lを算出するよう計算プログラム形式で実現してもよい。いずれの場合についても、作業者が入力装置を用いて工作機械の制御部に所望の旋回角度θを入力することで、回転工具ホルダ106の移動距離Lに関する信号が出力され、この信号に基づいて、工作機械の制御部は、回転工具ホルダ106を移動させるための移動手段としてのYスライド108を動作させる制御を行う。また、移動距離Lに関する信号に基づいて、工作機械の表示部(図示せず)に移動距離Lを表示し、作業者が手動で移動させてもよい。
【0049】
上述の本発明の第2の実施例によれば、回転工具105の周面をワーク2に当接させ、その位置で回転工具ホルダ106を固定するだけで回転工具105の位置決めをすることができるので、作業が容易であり、従来の位置決め作業の際に生じ得た作業者による目盛の読み間違えもない。また、回転工具ホルダ106の固定作業は、回転工具105の周面をワーク2に押し当てながら行うので、回転工具105の位置にずれが生じる可能性も少ない。また、旋回手段22を支持台111と回転工具ホルダ106との間に設けるだけでよいので、比較的容易に位置決め装置を実現することができ、また低コストである。
【0050】
以上に示される実施形態においては、前記移動手段によって、回転工具ホルダ106又は支持ユニット22をY軸方向に移動させることによって、回転工具105を回転工具ホルダ106又は支持ユニット22と一体的に、前記旋回角度に応じた位置(当接部をストッパに当接させることによって、回転工具105が必要な旋回角度となるような位置)に移動させる例について説明した。
【0051】
ただし、当接部をストッパに当接させるように回転工具105を旋回させるために、回転工具105を移動させる位置は、当接部をストッパに当接させることによって、回転工具105が必要な旋回角度となるような位置であれば、上記実施形態のようにY軸方向の所定位置だけでなく、X軸方向の所定位置、Z軸方向の所定位置、X軸方向又はY軸方向又はZ軸方向の所定の合成位置等、いかなる位置でもよい。なお当接部を工具ホルダ106の周面とする場合、ワークをストッパとすることもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 位置決め装置
2 ワーク
11 ストッパ
12 旋回手段
13 固定手段
22 旋回手段
100 工作機械
101 主軸台
102 刃物台本体
103 ベッド
104 ガイドブッシュ
105 回転工具
106 回転工具ホルダ
107 Y方向ガイドレール
108 Yスライド
109 X方向ガイドレール
110 Xスライド
111 支持台
112 ボス
113 主軸
114 長孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10