(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような2段階動作では、回転動作と昇降動作の境界にある切替点を堺にして前半と後半で動作方向が急激に変わるため、開放時にも閉止時にも操作がし辛いだけでなく、重心移動が大きいために操作量や操作力も自ずと多くなり、落下量が大きいことから開放端で衝撃が生じ易いなどの種々の課題を抱えている。
【0006】
本発明は、このような課題を解消した蓋開閉装置およびこれを備えた配線ボックス並びに天板付き家具を新たに提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の蓋開閉装置は、天板の一部に形成される開口部に蓋を、天板面と略面一な閉止位置と、当該開口部から退避して天板面から垂下する開放位置との間で移動可能に支持するものであって、前記蓋を閉止位置に安定的に保持するとともに、当該蓋に、傾斜状態で他端が天板の下面よりも下方に沈み込む初動姿勢をとらせ得るように構成し、さらに、当該初動姿勢前後における蓋の連続的な軌跡を通じて、当該蓋を開放位置にまで自動的に引き込み得るように構成したことを特徴とする。
【0009】
また、蓋の動作の連続性を確保するとともに、弾性力を導入して蓋の移動を好適に補助するために、本発明の蓋開閉装置は、蓋の一端側を支持する第1の支持手段と、他端側を支持する第2の支持手段とを備え、弾性付勢機構は第1の支持手段及び第2の支持手段に対して、中間位置を境に蓋が閉止位置に向かう方向、開放位置に向かう方向の何れの方向も弾性体による付勢方向となるように、蓋の移動軌跡と弾性付勢機構による付勢力の作用方向とを関連づけている。
【0010】
さらに、この場合に弾性体を組み付ける際の具体的な実施の態様として、第1の支持手段または第2の支持手段は、蓋側に形成されるガイド溝と、弾性付勢機構を介して支持される突起とを備え、弾性付勢機構は基端を支持され先端に前記突起を形成した第1、第2リンクおよびこれら第1、第2リンクの間が開く方向に付勢する弾性体を備えているとともに、前記ガイド溝は中間位置にある蓋を支持する中間支持位置を境に屈曲していて、中間支持位置から突起が何れの溝に進入しても弾性体が突起を進入した方向に付勢する関係を構成することを特徴とする。
【0011】
ここで、連続的な軌跡とは、支持構造が切り替わるなどにより動作方向が急激に変化することがないことをいう。このように構成すれば、蓋に対して最初の初動姿勢までのきっかけを与えれば、開放位置まで蓋を自動的に退避させることができる。そして、初動姿勢の前後で連続的な軌跡を描くため、開放時にも閉止時にも2段階操作は不要であり、良好な操作感を得ることができる。そして、初動時に蓋を大きく跳ね上げる必要がなく、重心移動が小さいため操作量や操作力も少なくて済み、落下量が少ないことから開放端の衝撃発生も緩和することが容易となる。
また、弾性付勢機構による付勢力の作用方向を切り替えるようにしているので、閉止方向にも開放方向にも弾性力を利用することができるため、安定した閉止状態と確実な開放状態とを有効に両立させることができる。
さらに、ガイド溝は中間支持位置を境に屈曲していて、突起が中間支持位置から初動領域側に進入しても主動領域側に進入しても、弾性体が突起を同進入方向に付勢する関係を第1、第2リンクと関連づけて構成すればよいため、設計、組み付けが明確となる。
【0012】
弾性力を導入して蓋の移動を好適に補助するためには、天板家具側面と蓋の間を弾性付勢機構で接続し、この弾性付勢機構は蓋の移動経路上に設定した中間位置に対応する中間支持位置で弾性力を蓄積するように構成されていて、中間位置を越えて閉止位置に向かう蓋に対しては閉止方向の付勢力となり、中間位置を越えて開放位置に向かう蓋に対しては開放方向の付勢力となるように弾性付勢機構による付勢力の作用方向を切り替えるようにしていることが好適である。
【0013】
蓋が不慮に開くことを防止するためには、閉止位置から初動姿勢に向かう蓋に対して一定の抵抗を付与するクリック部を設けていることが望ましい。
【0014】
一方、本発明の他の構成に係る蓋開閉装置は、天板の一部に形成される開口部に蓋を、天板面と略面一な閉止位置と、当該開口部から退避して天板面から垂下する開放位置との間で移動可能に支持するものであって、閉止位置から初動姿勢に向かう蓋に対して一定の抵抗を付与するクリック部を設け、このクリック部を通じて前記蓋を閉止位置に安定的に保持するとともに、当該蓋に、傾斜状態で前記クリック部を通過した初動姿勢をとらせ得るように構成し、さらに、当該初動姿勢前後における蓋の連続的な軌跡を通じて、当該蓋を開放位置にまで自動的に引き込み得るように構成したことを特徴とする。
【0015】
このように構成しても、蓋に対して最初の初動姿勢までのきっかけを与えれば、開放位置まで蓋を自動的に退避させることができる。そして、初動姿勢の前後で連続的な軌跡を描くため、開放時にも閉止時にも2段階操作は不要であり、良好な操作感を得ることができる。そして、初動時に蓋を大きく跳ね上げる必要がなく、重心移動が小さいため操作量や操作力も少なくて済み、落下量が少ないことから開放端の衝撃発生も緩和することが容易となる。
【0016】
蓋の動作が上記のような連続性を有することに起因して、蓋が自重により急激に落下することを防止してスムーズな動作を確保するためには、蓋の一端側を支持する第1の支持手段と、他端側を支持する第2の支持手段とを備え、第2の支持手段は、
蓋側に形成されるガイド溝と、
天板付き家具の側面に設けられて前記ガイド溝に沿って移動する突起とを含んでいて、ガイド溝と突起の間に減速機構を構成していることが望ましい。
【0017】
具体的な実施の態様としては、減速機構が、突起を回転可能に支持するロータリーダンパを具備し、突起がガイド溝に沿って転動する際の回転を前記ロータリーダンパによって抑制するようにしているものが挙げられる。
【0018】
その際の確実性をより高めるためには、突起の外周がピニオン形状をなし、対するガイド溝の一側縁は前記突起が噛み合うラック形状をなし、突起がガイド溝の一側縁に噛み合った状態を保って転動するように構成していることが好適である。
【0019】
上述したクリック部を利用して蓋を閉止位置に合理的に保持するためには、クリック部は、蓋を閉止位置に保持する弾性体によって構成され、この弾性体を押しのけて移動することによって蓋が移動するように構成していることが望ましい。
【0020】
蓋の動作の連続性を確保するための具体的構成としては、蓋の一端側を支持する第1の支持手段と、他端側を支持する第2の支持手段とを備え、両支持手段は閉止位置から開放位置まで連続的に蓋の移動を支持するように構成されていることが望ましい。
【0021】
特に、蓋の使い勝手を良好とするためには、閉止位置にある蓋に対して、一端側を持ち上げる操作、他端側を押し下げる操作の何れによっても蓋を初動姿勢に導き得るようにしていることが好ましい。
【0023】
以上のような蓋開閉装置を好適に適用するためには、天板の開口部に臨む位置に着脱可能に取り付けられて配線受け具としても機能する配線ボックスを構成することが効果的である。
【0024】
以上の蓋開閉装置は、頻繁に蓋を開けて配線処理を行う天板付き家具に適用した場合に極めて有用なものとなり得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の蓋開閉装置は、以上説明した構成であるから、蓋に対して最初の初動姿勢までのきっかけを与えれば、開放位置まで蓋を自動的に退避させることができる。そして、初動姿勢の前後で蓋が連続的な軌跡を描くため、開放時にも閉止時にも2段階操作は不要であり、良好な操作感を得ることができる。そして、初動時に蓋を大きく跳ね上げる必要がなく、重心移動が小さいため操作量や操作力も少なくなる。このため、天板の開口部に対し蓋を頻繁に開閉して配線処理を行う用途に極めて有用なものとなり得る。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の第一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、この実施形態の配線ボックス4を組み込んだ天板付き家具たるテーブル3を示している。
【0029】
テーブル3は、主として画像表示装置であるディスプレイ1を支持する表示装置支持体2(以下、単に支持体と称する)に突き当てて使用されるもので、テーブル3の周囲の椅子Cにメンバーが着座して、パーソナルコンピュータPCからディスプレイ1に画像を表示して画像を見ながらミーティングしたり、カメラ6を併用し遠隔地にいる他のメンバーとディスプレイ1を介して擬似的に同席状態でテレビ会議的にミーティングを行う際に利用に供される。このために、配線ボックス4を通じた配線処理が欠かせないものである。
【0030】
そこで、天板3の中央に配線挿通用の開口部33を形成し、この開口部33の下方に配線受け具の機能を有する配線ボックス4を取り付けて、この配線ボックス4に備わる蓋開閉装置4Yで一対の蓋34を開閉可能に支持している。
【0031】
具体的に説明すると、配線ボックス4は、
図2及び
図3に示すように、左右の側壁41、41の間を底壁42で接続し、両者を後壁43、上壁44で補強して、当該上壁44において天板31の下方に吊り下げた状態で取り付けることで、開口部33から落とし込んだ配線やコンセント類を底壁42の上に収容できるようにしたもので、配線ボックス4は配線受け具4Xの機能を備えている。また、左右の側壁41、41の間には、蓋開閉装置4Yが構成してある。
【0032】
蓋開閉装置4Yは、
図3及び
図4に示すように、蓋34を閉じた際に蓋34、34同士が隣接する一端34c側を支持する第1の支持手段4Pと、蓋34が開く方向の開口部33の開口縁33aに近い蓋34の他端34d側を支持する第2の支持手段4Qとを備えている。第1の支持手段4Pは、側壁41に取り付けられるガイド板45の内面に設けられて上端から下端に向けて斜めに傾斜しつつ徐々に高さが低くなる第1ガイド溝45aと、蓋34の一端34c側において側面から水平に突出させた第1突起34aとをスライド可能に係合させることによって構成される。また、第2の支持手段4Qは、前記側壁41に貫通されて上端から中間支持位置41Mに向けて傾斜しつつ徐々に高さが低くなる初動領域41a1および前記中間支持位置41Mから下端に向けてほぼ真下に降下する主動領域41a2からなる第2ガイド溝41aと、蓋34の他端34d側において側面から水平に突出させた第2突起34bとをスライド可能に係合させることによって構成される。
【0033】
それらの位置関係は、第1突起34aが第1ガイド溝45aの上端に係合し第2突起34bが第2ガイド溝41aの上端に係合した
図4(a)の状態で蓋34を略水平な閉止位置CLに保持し、蓋34を傾斜させて他端34d側が天板31の厚み以上に沈み込んだ状態すなわち蓋34の初動姿勢34Mで蓋34が天板31の厚み以上に沈み込んで天板31の下に潜り込む態勢に入り、その後に第1突起34aが第1ガイド溝45aの上端から移動して第2突起34bが第2ガイド溝41aの中間支持位置41Mに係合した
図4(b)の状態で蓋34を中間位置34Mに保持し、第1突起34aが第1ガイド溝45aの下端に係合し第2突起34bが第2ガイド溝41aの下端に係合した
図4(c)の状態で蓋34を略起立した開放位置OPに保持し、その間において蓋34を滑らかにガイドするように構成されている。
【0034】
また、この実施形態では、
図3に示すように前記第2突起34bに弾性付勢機構5を関連づけている。この弾性付勢機構5は、基端51aを側壁41に枢着した第1リンク51と、この第1リンク51の先端51bに基端52aを枢着した第2リンク52と、両リンク51,52の枢着点に取り付けてそれらが一方に相対回転する方向の付勢力を作用させる弾性体たるねじりバネ53とを具備し、第2リンク52の先端52bに蓋34の第2突起34bを枢支させている。すなわち、第2ガイド溝41aは中間支持位置41Mを境に初動領域41a1と主動領域41a2とを屈曲させており、第1、第2リンク51,52が圧縮力を開放する方向に開こうとした際、第2リンク52の先端52bの突起34bが移動しようとするベクトルは
図4(b)、
図5(a)に示す中間支持位置41Mで第2ガイド溝41aの内壁に対してほぼ垂直となり(矢印T0参照)、それよりも上の初動領域41a1では第2ガイド溝41aの内壁41xに沿って上向きのベクトル成分が生じ(矢印T1参照)、それより下の主動領域42a2では第2ガイド溝41aの内壁41xに沿って下向きのベクトル成分が生じる(矢印T2参照)ため、中間支持位置41Mから突起34bが何れの領域41a1、41a2に進入しても弾性付勢機構5が突起34bをその進入した方向に付勢する関係を構成している。
【0035】
なお、前記側壁41には、
図3及び
図5(b)に示すように一部をガイド板45との間に挟み込むようにしてロック板46が設けてあり、このロック板46の一端側には第2ガイド溝41aの上端近傍に臨む位置にクリック部46aが設定してある。このクリック部46aは、外縁の一部が膨出し、蓋34が
図4(a)に示す閉止位置CLから
図4(b)に示す初動姿勢34Mに向かう際に第2突起34bが通過する第2ガイド溝41aの溝幅Wを実質的に狭める役割をなすもので、蓋34が初動姿勢34Mを超える際に一定の抵抗を付与して操作者にクリック感が伝わるようにしたものである。
【0036】
なお、蓋34の一端34c側には軟質樹脂34nが設けてあり、
図6に示す閉止位置CLにある蓋34の軟質樹脂34nを押し開いて配線を挿通状態にすることができる。
【0037】
この
図6に示す閉止位置CLにある蓋34を開放するには、
図7に矢印で示すように一端34c側の軟質樹脂34nのあたりに指を掛けて持ち上げる操作、或いは同図に白抜き矢印で示すように蓋34の他端34d側の上面を押し下げる操作の何れかを行えば、
図4(a)→(b)のように第1ガイド溝45aにおける第1突起34aの移動と、第2ガイド溝41aのうちの初動領域41a1における第2突起34bの移動とが同時に開始される。他端34d側が天板31の下に沈み込む初動姿勢34Mに至る手前に
図5(b)に示したクリック部46aがあり、操作者にクリック感が伝わる。クリック部46a部を越えて蓋34が弾性力の作用方向の切替点である
図4(b)に示す中間位置MIDに達し、第2突起34bが初動領域41a1と主動領域41a2の境界の中間支持位置41Mに達すると、その後は弾性付勢機構5によって第1ガイド溝45aの下端に向かう第1突起34aの移動と、第2ガイド溝41aの下端に向かう第2突起34bの更なる移動とが同時に行われ、蓋34は開放位置OPまで自動的に案内される。このとき、蓋の自重34は開放動作を助勢する方向に作用する。その結果、蓋34は
図8に示すように開放されて、配線受け具4Xが上方に露出し、配線の落とし込みやタップ、コンセント等による配線の接続、集線処理等を行うことができる。
【0038】
上記
図7に示した閉止位置CLにおいて誤って白抜き矢印のように蓋34に対して他端34d側を押し下げる操作等が加えられた場合などには、クリック感が伝わったときに直ぐに気づいて操作を止めれば、弾性力の作用によって自動的に、若しくは弾性体の作用も手伝って容易に、
図5(b)のクリック部46aの手前から
図4(a)に示す第2ガイド溝41aの上端位置にまで突起34bを引き返すことができ、蓋34を閉止位置CLに復帰させることができる。
【0039】
一方、
図8に示す開放位置にある蓋34を閉止するには、同図に矢印で示すように蓋34の一端34c側を摘むなどして引き上げ、
図9に示すように一端34c側に指を掛けたまま更に引き出し操作を行えば、
図4(c)→(b)→(a)に示すように、第1ガイド溝45aにおける第1突起34aの移動と、第2ガイド溝41aにおける第2突起34bの移動とが同時に引き起こされ、中間支持位置41Mを経て
図5(b)に示すクリック部を通過した後は、蓋34はねじりバネ53の作用によって自動的に、若しくはねじりバネ53の作用も手伝って容易に、閉止位置CLに復帰させることができる。
【0040】
以上のように、本実施形態の蓋開閉装置4Yは、天板31の一部に形成される開口部33に蓋34を、天板面と略面一な閉止位置CLと、開口部33から退避して天板面から垂下する開放位置OPとの間で移動可能に支持するものであり、蓋34を閉止位置CLに安定的に保持するとともに、蓋34に、傾斜状態で他端34dが天板31の下面よりも下方に沈み込む初動姿勢34Mをとらせ得るように構成し、さらに、初動姿勢34Mの前後の連続的な軌跡を通じて、蓋34を開放位置OPにまで自動的に引き込み得るように構成したものである。
【0041】
このようにすれば、蓋34に対して最初の初動姿勢34Mまでのきっかけを与えれば、中間位置MIDを経て、蓋34を開放位置OPまで自動的に退避させることができる。そして、初動姿勢34Mの前後で連続的な軌跡を描くため、開放時にも閉止時にも2段階操作は不要であり、一連の良好な操作感を得ることができる。そして、初動時に蓋34を大きく跳ね上げる必要がなく、重心移動が小さいため操作量や操作力も少なくて済み、落下量が少ないことから開放端の衝撃発生も緩和することが容易となる。
【0042】
特に、蓋34の一端34c側を支持する第1の支持手段4Pと、他端34d側を支持する第2の支持手段4Qとを備え、両支持手段4P、4Qは閉止位置CLから開放位置OPまで連続的に蓋34の移動を支持するように構成されているので、初動姿勢34Mの前後を含めて全体として蓋34の動作の連続性を有効に担保することができる。
【0043】
とりわけ、閉止位置CLにある蓋34に対して、一端34c側を持ち上げる操作、他端34d側を押し下げる操作の何れによっても蓋34を初動姿勢34Mに導き得るようにしているので、開放操作の自由度が高く、操作性も良好なものにすることができる。
【0044】
また本実施形態は、天板31と蓋34の間を弾性付勢機構5で接続し、この弾性付勢機構5は蓋34の移動経路上に設定した中間位置MIDで弾性力を蓄積するように構成されていて、中間位置MIDを越えて閉止位置CLに向かう蓋34に対しては閉止方向の付勢力となり、中間位置MIDを越えて開放位置OPに向かう蓋34に対しては開放方向の付勢力となるように弾性付勢機構5による付勢力の作用方向を切り替えるようにしているので、閉止方向にも開放方向にも弾性力を利用することができるため、安定した閉止状態と確実な開放状態とを有効に両立させることができる。
【0045】
あるいは、本実施形態は、蓋34の一端34c側を支持する第1の支持手段4Pと、他端34d側を支持する第2の支持手段4Qとを備え、弾性付勢機構5は第2の支持手段4Qに対して、中間位置MIDを境に閉止位置CLに向かう方向、開放位置OPに向かう方向の何れの方向も弾性体たるねじりバネ53の付勢方向となるように、蓋34の移動軌跡と弾性体たるねじりバネ53の作用方向とを関連づけているので、初動姿勢MIDの前後を含めて全体として蓋34の動作の連続性を有効に担保した上で、閉止方向にも開放方向にも弾性力を利用して安定した閉止状態と確実な開放状態とを有効に両立させることができる。
【0046】
この場合、より具体的には、第2の支持手段4Qは、天板3側に形成されるガイド溝41aと、蓋34側に弾性付勢機構5を介して支持される突起34bとを備え、弾性付勢機構5は基端51aを回動可能に支持され先端に突起34bを形成した第1、第2リンク51,52およびこれら第1、第2リンク51,52の間が開く方向に付勢する弾性体たるねじりバネ53を備えているとともに、ガイド溝41aは中間位置MIDにある蓋34を支持する中間支持位置41Mを境に屈曲していて、中間支持位置41Mから突起34bが溝41aのうち初動領域41a1側に進入しても主動領域41a2側に進入してもねじりバネ53が突起34bを同進入方向に付勢する関係を構成すればよいため、設計、組み付けが明確となる。
【0047】
さらに、本実施形態において蓋34が開き易いということは、不慮に開いてしまうおそれがあるということであるが、閉止位置CLから初動姿勢MIDに向かう蓋34に対して一定の抵抗を付与するクリック部46aを設けているので、操作の意思を確認でき、蓋34が不慮に開くことを防止することができる。
【0048】
そして、上記の蓋開閉装置4Yを備え、天板31の開口部33に臨む位置に着脱可能に取り付けられて配線受け具4Xとしても機能する配線ボックス4を構成しているので、配線ボックス4を蓋開閉装置4Yと配線受け具4Xの機能を備えたユニットとして取り扱うことができ、取り扱いの便を有効に向上させることができる。
【0049】
そして、以上の蓋開閉装置4Yによって天板31の開口部33に蓋34を取り付けてテーブル3を構成しているため、このテーブル3を利用すれば配線作業が極めて簡単となり、特にミーティングの度に蓋34を開けて配線処理を行う際の作業を平易なものとすることができる。
【0050】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0051】
例えば、上記実施形態では突起を蓋側に設け、ガイド溝を天板側に設けたが、突起を天板側に設け、ガイド溝を蓋側に設けることによっても、同様の作用効果を実現することができる。
【0052】
また、上記実施形態では弾性体たるねじりバネを第2の支持手段に作用させたが、第1の支持手段に作用させるように構成しても構わない。
【0053】
さらに、蓋34が中間位置MIDから開放位置OPに向かって所定距離移動する間に
図10に示すような第2中間位置MID2を設け、中間位置MIDから第2中間位置MID2の間で蓋34が天板31の開口縁33aとの距離δを略一定に保った状態で移動するように、この間は第1突起34aをガイドする第1ガイド溝45aと第2突起34bをガイドする第2ガイド溝41aとを平行に形成し、後は両ガイド溝45a、41aを前記実施形態の下端位置と接続することも有効である。このようにすれば、蓋34と天板31の開口縁33aとの隙間に物品等を挟む不具合を効果的に低減することができる。勿論、
図4(b)に示す初動姿勢34Mで既に天板31の下面に潜り込むことができるため、ここから所定距離移動する間に蓋34と天板31の開口縁33aとの距離δを略一定に保つように構成しても有効である。
【0054】
次に、本発明の第二実施形態について、
図11〜
図13を参照して説明する。
【0055】
なお、上記第一実施形態と機能的にほぼ共通する部分には同一符合を付している。
【0056】
この実施形態も、配線ボックス4に備わる蓋開閉装置4Yによって一対の蓋34、34を開閉可能に支持している。
【0057】
配線ボックス4は、
図11及び
図12に示すように、左右の側壁41、41の間を底壁42で接続し、両者を後壁43、上壁44で補強して、当該上壁44において
図1に示した天板31の下方に吊り下げた状態で取り付けることで、開口部33から落とし込んだ配線やコンセント類を底壁42の上に収容できるようにしたもので、配線ボックス4は配線受け具4Xの機能を備えている。また、左右の側壁41、41の間には、蓋開閉装置4Yが構成してある。
【0058】
蓋開閉装置4Yは、
図12及び
図13に示すように、蓋34を閉じた際に蓋34、34同士が隣接する一端34c側を当該蓋34の左右両側において支持する第1の支持手段4Pと、蓋34が開く方向の開口部33の開口縁33aに近い蓋34の他端34d側を当該蓋34の左右両側において支持する第2の支持手段4Qとを備えている。第1の支持手段4Pは、側壁41に取り付けられるガイド板45の内面に設けられて上端から下端に向けて斜めに傾斜しつつ徐々に高さが低くなる第1ガイド溝45aと、蓋34の一端34c側において側面から突出させた水平軸状の第1突起34aとをスライド可能に係合させることによって構成される。また、第2の支持手段4Qは、前記ガイド板45の内面に設けられて上端から中間支持位置47Mに向けて傾斜しつつ徐々に高さが低くなる初動領域47a1および前記中間支持位置47Mから下端に向けてほぼ真下に降下する主動領域47a2からなる第2ガイド溝47aと、蓋34の他端34d側において側面から水平に突出させた第2突起34bとを係合させることによって構成される。なお、この実施形態では中間支持位置47Mで弾性力を蓄積する弾性付勢機構は備わっていないが、勿論併用することは構わない。
【0059】
このようなガイド板45は1枚の蓋34につき左右一対に配置され、2枚の蓋34に対して計4箇所に配置されているが、各蓋34の左右両側を支持する第2の支持手段4Q、4Qの何れか一方は、第2ガイド溝47aと第2突起34bの間に減速機構6を構成している。
【0060】
この減速機構6は、第2突起34bを回転可能に支持するロータリーダンパ61を備え、第2突起34bが第2ガイド溝47aに沿って転動する際の回転をロータリーダンパ61によって抑制するように構成されている。
【0061】
より具体的には、減速機構6を構成している第2突起34bの外周はピニオン形状PSをなしており、同じく減速機構6を構成している第2ガイド溝47aの一側縁(蓋34の自重が作用する側)は前記突起34bが噛み合うラック形状LSをなしていて、第2突起34bが第2ガイド溝47aに噛み合った状態を保って当該第2ガイド溝47aに沿って転動するようにしている。
【0062】
なお、蓋34の左右両側を支持する第2の支持手段4Q、4Qの何れか他方は、第2突起34bが水平軸状であって、第2ガイド溝47aと当該第2突起34bとをスライド可能に係合させている。
【0063】
それらの位置関係は、第1突起34aが第1ガイド溝45aの上端に係合し第2突起34bが第2ガイド溝47aの上端に係合した
図13(a)の状態で蓋34を略水平な閉止位置CLに保持し、蓋34を傾斜させて当該蓋34の後端34dが後述するクリック部48aを通過したときに
図13(b)に示す初動姿勢34Mをとり、さらに当該蓋34が天板31の厚み以上に沈み込んで天板31の下に潜り込む態勢に入り、このとき若しくはこの前後で第1突起34aが第1ガイド溝45aの上端から移動して第2突起34bが第2ガイド溝47aの中間支持位置47Mに係合した
図13(b)の状態となる。さらに、第1突起34aが第1ガイド溝45aの下端に係合し第2突起34bが第2ガイド溝47aの下端に係合した
図13(c)の状態に至ったときに、蓋34を略起立した開放位置OPに保持する。そして、第1の支持手段4Pおよび第2の支持手段4Qは上記行程の間、蓋34を連続性をもって滑らかにガイドするように構成されている。
【0064】
なお、左右のガイド板45,45のうちの一方には、
図12及び
図14に示すように蓋34の左右から延出する他端34dに対向する位置に臨ませて弾性体48が基端を当該ガイド板45に固定し上端を遊端とした状態で設けてあり、この弾性体48の上端側に前述した爪状のクリック部48aを設定している。このクリック部48aは、蓋34の他端34dが通過する移動軌跡上にあり、蓋34は弾性体48を押しのけることによって
図14(a)に示す閉止位置CLと同図(c)に示す初動姿勢34Mの間で姿勢を変えながら移動することができる。蓋34は、閉止位置CLから初動姿勢34Mに向かう際に
図14(a)→(b)→(c)のようにクリック部48aから一定の抵抗を受け、
図14(a)に示す閉止位置CLにあるときにはクリック部48aが他端34dに係合することで弾性体48によって当該蓋34を閉止位置CLに弾性的に保持するようにしている。
【0065】
なお、
図13に示すように蓋34の一端34c側には軟質樹脂34nが設けてあり、
図6に示す閉止位置CLにある蓋34の軟質樹脂34nを押し開いて配線を挿通状態にすることができる。
【0066】
開閉操作は上記第一実施形態と概ね同様であり、閉止位置CLにある蓋34を開放するには、
図7に矢印で示したように一端34c側の軟質樹脂34nのあたりに指を掛けて持ち上げる操作、或いは同図に白抜き矢印で示したように蓋34の他端34d側の上面を押し下げる操作の何れかを行えば、
図13(a)→(b)のように第1ガイド溝45aにおける第1突起34aの移動と、第2ガイド溝47aのうちの初動領域47a1における第2突起34bの移動とが同時に開始される。他端34d側が天板31の下に沈み込むまでの間に
図14に示したクリック部48aがあり、蓋34が初動位置34Mを通過したときに操作者にクリック感が伝わる。クリック部48a部を越えて蓋34が
図13(b)に示す初動領域47a1と主動領域47a2の境界の中間支持位置47Mに達した後は、さらに第1ガイド溝45aの下端に向かう第1突起34aの移動と、第2ガイド溝47aの下端に向かう第2突起34bの更なる移動とが引き続き同時に行われ、蓋34は
図13(c)に示す開放位置OPまで自動的に案内される。この間、外周がピニオン形状PSをなす第2突起34bは一側縁がラック形状LSをなす第2ガイド溝47aに噛み合ったまま転動し、その際の回転が
図12に示したロータリーダンパ61によって制動を掛けられるので、自重によって急激に蓋34が落下することが抑止され、蓋34は大きな衝撃を伴うことなく下端の開放位置OPに達することができる。その結果、蓋34は
図8に示したように開放されて、配線受け具4Xが上方に露出し、配線の落とし込みやタップ、コンセント等による配線の接続、集線処理等を行うことができる。
【0067】
この実施形態でも、上記
図7に示した閉止位置CLにおいて誤って白抜き矢印のように蓋34に対して他端34d側を押し下げる操作等が加えられた場合などには、クリック感が伝わったときに直ぐに気づいて操作を止めれば、弾性力の作用によって自動的に、若しくは弾性体の作用も手伝って容易に、
図14(b)のクリック部46aの手前から
図14(a)に示す第2ガイド溝41aの上端位置にまで突起34bを引き返すことができ、蓋34を閉止位置CLに復帰させることができる。
【0068】
一方、
図8に示した開放位置にある蓋34を閉止するには、同図に矢印で示すように蓋34の一端34c側を摘むなどして引き上げ、
図9に示したように一端34c側に指を掛けたまま更に引き出し操作を行えば、
図13(c)→(b)→(a)に示すように、第1ガイド溝45aにおける第1突起34aの移動と、第2ガイド溝41aにおける第2突起34bの移動とが同時に引き起こされ、中間支持位置47Mを経て
図14(c)に示す初動姿勢34Mに至り、さらに同図(b)→(a)に示すようにクリック部48aを通過した後は、蓋34は弾性体48の作用も手伝って容易に、閉止位置CLに復帰、保持させることができる。
【0069】
この実施形態では、蓋34の開放時に急激な落下を適切に防止し、蓋34の閉止時に円滑な操作の妨げにならないように、ロータリーダンパ61の粘性抵抗等が適宜に設定してある。
【0070】
以上のように、本実施形態の蓋開閉装置4Yは、天板31の一部に形成される開口部33に蓋34を、天板面と略面一な閉止位置CLと、開口部33から退避して天板面から垂下する開放位置OPとの間で移動可能に支持するものであり、閉止位置CLから初動姿勢34Mに向かう蓋34に対して一定の抵抗を付与するクリック部48aを設け、このクリック部48aを通じて蓋34を閉止位置CLに安定的に保持するとともに、蓋34に、傾斜状態でクリック部48aを通過した初動姿勢34Mをとらせ得るように構成し、さらに、初動姿勢34Mの前後の連続的な軌跡を通じて、蓋34を開放位置OPにまで自動的に引き込み得るように構成したものである。
【0071】
このため、蓋34に対して最初の初動姿勢34Mまでのきっかけを与えれば、中間支持位置47Mを経て、蓋34を開放位置OPまで自動的に退避させることができる。そして、蓋34は初動姿勢34Mの前後で連続的な軌跡を描くため、開放時にも閉止時にも2段階操作は不要であり、一連の良好な操作感を得ることができる。そして、初動時に蓋34を大きく跳ね上げる必要がなく、重心移動が小さいため操作量や操作力も少なくて済み、落下量が少ないことから開放端の衝撃発生も緩和することが容易となる。
【0072】
一方、この実施形態では、蓋34の一端側を支持する第1の支持手段4Pと、他端側を支持する第2の支持手段4Qとを備え、第2の支持手段4Qは、天板側に形成されるガイド溝47aと、蓋34側に設けられてガイド溝47aに沿って移動する突起34bとを含んでいて、一部のガイド溝47aと突起34bの間に減速機構6を構成しているので、蓋34の動作に上記のような連続性を付与したとしても、蓋34が自重により急激に落下することを防止してスムーズな動作を確保し、使い勝手の向上と蓋開閉装置4Yの損傷・破損の防止を図ることができる。
【0073】
具体的には、減速機構6が、突起34bを回転可能に支持するロータリーダンパ61を具備し、突起34bがガイド溝47aに沿って転動する際の回転をこのロータリーダンパ61によって抑制するようにしているので、ロータリーダンパ61の粘性抵抗等の設定次第で、蓋34が落下する際の衝撃緩和と、蓋34を閉止する際の軽快な操作感とを既存の部品を使って平易且つ適切に両立させることができる。
【0074】
とりわけ、突起34bの外周がピニオン形状PSをなし、対するガイド溝47aの一側縁は前記突起34bが噛み合うラック形状LSをなし、突起34bがガイド溝47aの一側縁に噛み合った状態を保って転動するように構成しているので、減速機構6の効果を確実に奏させることができる。
【0075】
さらに、クリック部48aは、蓋34を閉止位置CLに保持する弾性体48によって構成され、この弾性体48を押しのけて移動することによって蓋34が移動するように構成しているので、クリック部48aを利用して蓋34を閉止位置に合理的に保持することができる。
【0076】
また、蓋34は一端34c側を支持する第1の支持手段4Pと、他端34d側を支持する第2の支持手段4Qとを備え、両支持手段4P、4Qは閉止位置CLから開放位置OPまで連続的に蓋34の移動を支持するように構成されているので、初動姿勢34Mの前後を含めて全体として蓋34の動作の連続性を有効に担保することができるし、閉止位置CLにある蓋34に対して、一端34c側を持ち上げる操作、他端34d側を押し下げる操作の何れによっても蓋34を初動姿勢34Mに導き得るようにしているので、開放操作の自由度が高く、操作性も良好なものにすることができる。
【0077】
そして、上記の蓋開閉装置4Yを備え、天板31の開口部33に臨む位置に着脱可能に取り付けられて配線受け具4Xとしても機能する配線ボックス4を構成しているので、配線ボックス4を蓋開閉装置4Yと配線受け具4Xの機能を備えたユニットとして取り扱うことができ、取り扱いの便を有効に向上させることができる。
【0078】
さらに、以上の蓋開閉装置4Yによって天板31の開口部33に蓋34を取り付けてテーブル3を構成しているため、このテーブル3を利用すれば配線作業が極めて簡単となり、特にミーティングの度に蓋34を開けて配線処理を行う際の作業を平易なものとすることができる。
【0079】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0080】
例えば、上記実施形態では突起を蓋側に設け、ガイド溝を天板側に設けたが、突起を天板側に設け、ガイド溝を蓋側に設けることによっても、同様の作用効果を実現することができるのは勿論であり、この場合にも上記に準じて減速機構を構成することが有効となる。
【0081】
また、減速機構は突起とガイド溝とのスライド抵抗を利用したもの等であっても構わない。
【0082】
その他、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。