(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2空調装置の冷媒循環配管系と、前記ゾーンに設けた放射パネルの冷媒循環配管系とが、間接熱交換の熱交換器を介して、直列接続された配管系となっている、請求項1に記載の空調システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る空調システムを説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る空調システム1の構成図である。図中の縦方向の2点鎖線で区画して示すように、図中の区画Aは建物内のフロア、図中の区画Bは建物内の機械室である。フロアA内には、空調ゾーンCがある。空調ゾーンCは、インテリアゾーンと、ペリメータゾーンとの2つに区画され、インテリアゾーンには、その天井面又は壁面等に第1放射パネル2が設置され、ペリメータゾーンには、その壁面や天井面等に第2放射パネル3が設置される。
【0017】
第1、第2放射パネル2,3は、図中ではブロックで示し簡略化している。これら第1、第2放射パネル2,3は、一般に、屈曲した冷媒管路とこの冷媒管路を流れる水から受熱してその熱を放射する放射板とからなり、それぞれのゾーンにおける大気、人体、機器等との間で直接的に放射熱交換を行って冷房空調や冷暖房空調などの所謂放射空調を行うことができるパネルである。
【0018】
ただし、第1、第2放射パネル2,3は、これに限定されるものではなく、冷媒により、ゾーンにおける大気等との間で直接的に放射熱交換を行って空調を行うことができるパネルであればよい。
【0019】
フロアAには、第1放射パネル2及び第2放射パネル3以外に、第1、第2熱交換器4,5、第1、第2密閉タンク6,7、第1、第2真空ポンプ8,9、第1、第2搬送ポンプ10,11、及び調湿機12が配備されている。機械室Bには、第
1空調装置13
、第2空調装置14,15、開放タンク16、及び第3〜第5搬送ポンプ17〜19が配備されている。
【0020】
本実施形態の空調システム1が適用される建物は階数を問わないが、少なくとも複数階を有する建物に適用できる。各階のフロアAにおけるインテリアゾーン及びペリメータゾーンに対して、機械室B内の前記第
1空調装置13
、第2空調装置14,15によりゾーン空調する。
【0021】
なお、
図1では、各階のフロアAのうちの任意の1つのフロアAと、各階のフロアAをゾーン空調する機械室Bとを示しているが、機械室Bの第
1空調装置13
、第2空調装置14,15により、各階のフロアAのゾーン空調を制御するものとなっている。したがって、各階のフロアAには、
図1のフロアAに示すように、第1放射パネル2及び第2放射パネル3以外に、第1、第2熱交換器4,5、第1、第2密閉タンク6,7、第1、第2真空ポンプ8,9、第1、第2搬送ポンプ10,11、及び調湿機12の各空調設備が配備されている。
【0022】
これら各設備において、各フロアAでは、水平方向に、前記各空調設備が配置され、機械室Bには、各階のフロアA方向として前記建物内を垂直方向に前記各空調設備が配置されたものとなっている。
【0023】
各階のフロアのうちの任意の1つのフロアAにおいて、第1熱交換器4は、一次側4aと二次側4bとを有する間接熱交換器である。第1熱交換器4の一次側4aは、空水冷式のヒートポンプからなる第1空調装置13に配管L11,L12を介して接続されて、第1空調装置13と共に第1冷媒循環配管系R1を構成する。
【0024】
なお、この第1冷媒循環配管系R1を含め、後述する冷媒循環配管系では、冷媒として、水冷媒を用いる。
【0025】
第1冷媒液循環配管系R1において、冷媒は、図中矢印で示すように、第1空調装置13の冷媒出口13bから往き配管L12を介して第1熱交換器4の一次側4aに供給され、この一次側4aと二次側4bとの間で間接熱交換をされたうえで、第3搬送ポンプ17の動力により、戻り配管L11から第1空調装置13の冷媒入口13aに戻される。
【0026】
第1熱交換器4の二次側4bの一方は、第1真空ポンプ8付き第1密閉タンク6及び第1搬送ポンプ10が介在する往き配管L21、往き配管L43との配管合流部G1から往き配管L43aを介して、第1放射パネル2の冷媒入口2aに接続されている。第1熱交換器4の二次側4bの他方は、戻り配管L22、配管L44との配管合流部G2から戻り配管L44aを介して、第1放射パネル2の冷媒出口2bに接続されている。
【0027】
第1熱交換器4の二次側4bは、第1放射パネル2と共に第2冷媒循環配管系R2を構成する。第2冷媒循環配管系R2では、冷媒は、図中矢印で示すように、第1搬送ポンプ10の動力により第1熱交換器4の二次側4bの一方から往き配管L21、往き配管L43との配管合流部G1、及び往き配管L43aを介して、第1放射パネル2の冷媒入口2aに供給され、第1放射パネル2内でインテリアゾーンの空調のための熱交換をしたのち、第1放射パネル2の冷媒出口2bから戻り配管L44a、配管合流部G2及び戻り配管L22を介して、第1熱交換器4の二次側4bの他方に戻される。
【0028】
第2冷媒循環配管系R2は、第1真空ポンプ8により第1密閉タンク6の圧力が減圧されることで、真空圧配管系とされる。これにより、第1放射パネル2から冷媒がインテリアゾーンに漏水することが防止される。
【0029】
第2熱交換器5は、一次側5aと二次側5bとを有する間接熱交換器である。第2熱交換器5の一次側5aは、空冷式のヒートポンプからなる第2空調装置14,15に配管L31〜L36を介して、接続されて、第2空調装置14,15と共に、第3冷媒循環配管系R3を構成する。
【0030】
第3冷媒循環配管系R3において、直列接続された第2空調装置14,15以外に、調湿機12、開放タンク16、第5搬送ポンプ19が介装されている。第3冷媒循環配管系R3においては、冷媒は図中矢印で示すように、第5搬送ポンプ19の動力により往きと戻りの各配管L31〜L36を介して、循環すると共に、開放タンク16により大気圧配管系とされている。
【0031】
調湿機12は、建物内の湿度を所望の値に調整するものである。調湿機12の一例としては内部に図示略の冷媒が通過する冷媒コイルと、加湿器とを備える。調湿機12において、除湿時は加湿器を作動させず、低温の冷媒が冷媒コイルに供給されると、この冷媒コイルを冷却コイルとして機能し、冷媒と建物内の空気と熱交換し、空気を過冷却し、冷媒コイル表面に空気中の水分を凝縮させて除湿し、加湿するときは、高温の冷媒を冷媒コイルに供給して、冷媒コイルを加熱コイルとし、加湿器により空気中の水分に水蒸気を付加するようになっている。
【0032】
第2熱交換器5の二次側5bの一方は、冷媒の往き配管L41に接続されている。往き配管L41は、配管分岐部B1で第1放射パネル2側の往き配管L43と、第2放射パネル3側の往き配管L42とに分岐している。往き配管L43は、配管合流部G1で往き配管L21、L43aと合流している。そして、往き配管L43aは第1放射パネル2の冷媒入口2aに、また、往き配管L42は、第2放射パネル3の冷媒入口3aに接続されている。
【0033】
第1放射パネル2の冷媒出口2bと、第2放射パネル3の冷媒出口3bは、それぞれ、戻り配管L44a,L45に接続されている。戻り配管L44aは、配管合流部G2で、戻り配管L22と戻り配管L44と合流している。戻り配管L44と戻り配管L45は、配管合流部G3でさらに戻り配管L46に合流している。戻り配管L46には、真空ポンプ9付きの第2密閉タンク7及び第2搬送ポンプ11が介在している。戻り配管L46は、第2熱交換器5の二次側5bの他方に接続されている。
【0034】
第2熱交換器5の二次側5bは、第1放射パネル2と第2放射パネル3と共に、第4冷媒循環配管系R4を構成する。第4冷媒循環配管系R4では、冷媒は、図中矢印で示すように、第2熱交換器5の一次側5aと二次側5bとの間で間接の熱交換をされたのち、二次側5bの一方から往き配管L41から往き配管L42,L43で分流され、分流された冷媒は、往き配管L42からは第2放射パネル3の冷媒入口3aに、往き配管L43ではさらに配管L43aから第1放射パネル2の冷媒入口2aに供給される。
【0035】
第1放射パネル2に供給された冷媒は、第1放射パネル2内でインテリアゾーンの空調のための熱交換をしたのち、第1放射パネル2の冷媒出口2bから戻り配管L44aに排出される。
【0036】
また、第2放射パネル3に供給された冷媒は、第2放射パネル3内でペリメータゾーンの空調のための熱交換をしたのち、第2放射パネル3の冷媒出口3bから戻り配管L45、戻り配管L46を介して、第2熱交換器5の二次側5bの他方に戻される。
【0037】
第4冷媒循環配管系R4は、第2真空ポンプ9により第2密閉タンク7の圧力が減圧されることで、真空圧配管系とされる。これにより、第1放射パネル2及び第2放射パネル3から冷媒がインテリアゾーン及びペリメータゾーンに漏水することが防止される。
【0038】
ここで、第2冷媒循環配管系R2及び第4冷媒循環配管系R4は、いずれも真空圧配管系とされているが、同一フロアA内であるので、これら配管系を真空引きするための第1真空ポンプ8及び第2真空ポンプ9それぞれの駆動動力は低減される。
【0039】
前記第1空調装置13は、前記したように空水冷ヒートポンプで構成される。第1空調装置13は、
図2に示すように、第1水冷式熱交換器131,第2水冷式熱交換器132、空冷式熱交換器133、及び冷媒回路134を含む。第1水冷式熱交換器131は、冷媒入口13aと冷媒出口13bに接続される。第2水冷式熱交換器132は、冷媒入口13cと冷媒出口13dに接続される。
【0040】
冷媒回路134は、三方弁134a,134b、四方弁134c、膨張弁134d及び圧縮機134eを備えると共に、これら熱交換器131〜133を含め、配管で図示のように接続されており、三方弁134a,134b、四方弁134cによる配管の接続切り替えにより、所要の冷凍サイクルの切り替えが行われる。
【0041】
そして、通常の冷房運転時は、第
2空調装置14,15を冷房運転してペリメータゾーンとインテリアゾーンとを冷房空調し、第1空調装置13は、運転停止し、通常の暖房運転時は、第
2空調装置14,15を暖房運転してペリメータゾーンを暖房空調し、第1空調装置13は冷房運転してインテリアゾーンを冷房空調する。
【0042】
そして、第1空調装置13は、第
2空調装置14,15の通常の暖房運転時において、冷房運転によりインテリアゾーンを冷房空調する時においては、当該第1空調装置13は、前記空冷式の熱交換器133を使用せずに運転、つまり空水冷ヒートポンプである第1空調装置13を水冷により運転する。
【0043】
しかし、酷暑時においては、第
2空調装置14,15の通常の冷房運転のみでは冷房負荷が過大となるときは、第1空調装置13においては、一方の水冷式の熱交換器131と、空冷式の熱交換器133とを使用して冷房運転、つまり空水冷ヒートポンプである第1空調装置13を空冷により冷房運転してもよい。
【0044】
一方、酷寒時においては、第
2空調装置14,15の通常の暖房運転のみでは暖房負荷が過大となるときは、第1空調装置13においては、他方の水冷式の熱交換器132と、空冷式の熱交換器133とを使用して暖房運転、つまり空水冷ヒートポンプである第1空調装置13を空冷により暖房運転してもよい。
【0045】
第1熱回収配管L51は、第4搬送ポンプ18が介在されており、かつ、第3冷媒循環配管系R3内の戻り配管L32に配管接続部B2で接続されている。つまり、戻り配管L32は、配管接続部B2で第1熱回収配管L51と戻り配管L32aとに分岐される。
【0046】
これにより、第3冷媒循環配管系R3において、開放タンク16から配管L32を流れる冷媒の一部は、図中の矢印で示すように、配管接続部B2において第4搬送ポンプ18により第1熱回収配管L51を介して、第1空調装置13の冷媒入口13cに供給され、残部は、接続部B2において、図中の矢印で示すように、第5搬送ポンプ9により下流側の戻り配管L32aに供給される。
【0047】
また、第1空調装置13の冷媒出口13dには第2熱回収配管L52が接続されている。そして、第1空調装置13の冷媒入口13cに導入された冷媒は、第1空調装置13の冷房運転時に発生した熱と熱交換されたうえで、冷媒出口13dから第2熱回収配管L52に排出される。
【0048】
第2熱回収配管L52は、第3冷媒循環配管系R3内の往き配管L35に合流部G4で図中の矢印で示すように合流しており、第2熱回収配管L52から排出された冷媒は、この合流部G4で往き配管L35からの冷媒と合流し、この合流した冷媒は、第3冷媒循環配管系R3内の配管L35aから調湿機12に供給される。
【0049】
第1空調装置13は、前記したよう
に第2空調装置14,15が通常の暖房運転をする時は、冷房運転し、第
2空調装置14,15が通常の冷房運転をする時は、運転を停止する。第1空調装置13の冷房運転時には、往き配管L12から第1熱交換器4の一次側4aに低温の冷媒を供給する。
【0050】
そして、第1熱交換器4の一次側4aと二次側4bとの間で熱交換して吸熱で高温となった一次側4aの冷媒が第3搬送ポンプ17により戻り配管L11から第1空調装置13に戻される。
【0051】
このように第3冷媒循環配管系R3における冷媒は、一部が、第1空調装置13で熱交換されて、当該第3冷媒循環配管系R3に戻されるようになっている。
【0052】
次に、
図3及び
図4を参照して実施形態の空調システム1の動作を説明する。
図3は、インテリアゾーン及びペリメータゾーンを冷房空調するときの動作説明に供する図である。
図4は、インテリアゾーンが冷房空調され、ペリメータゾーンを暖房空調するときの動作説明に供する図である。
【0053】
図3を参照して、実施形態の空調システム1においては、インテリアゾーンとペリメータゾーンとを冷房空調をするときは、第1空調装置13を運転停止し、第2空調装置14,15のみを冷房運転をして、前記両ゾーンを冷房空調する。
【0054】
なお、この冷房空調では、第1空調装置13は運転停止するので、動作説明の理解の都合上、
図3においては、冷房空調に関与しない第1及び第2冷媒循環配管系R1、R2、第1空調装置13、第1熱交換器4、その他を破線で示している。
【0055】
第2空調装置14,15の冷房運転時において、実施形態では、一例として第3冷媒循環配管系R3内で第2空調装置14の冷媒入口14aと冷媒出口14bとの冷媒温度差(21℃−11℃)及び第2空調装置15の冷媒入口15aと冷媒出口15bとの冷媒温度差(11℃−6℃)との合計を、15℃の大温度差として、第3冷媒循環配管系R3を大温度差送水配管系としている。
【0056】
これにより、供給熱量を一定として、前記冷媒温度が大温度差であることにより、第3冷媒循環配管系R3内の冷媒の流量は少なくなり、一例として例えば毎分22リットルの冷媒流量として、冷媒を搬送する第5搬送ポンプ19の搬送動力を低減し、第5搬送ポンプ19の駆動に要する電力消費を抑制できるようにしている。
【0057】
そして、第2空調装置14,15が冷房運転するとき、一方の第2空調装置14は、戻り配管L33から中温(例えば21℃)の冷媒が冷媒入口14aに供給されると、その冷媒を熱交換により低温(例えば11℃)の冷媒として冷媒出口14bから往き配管L34に排出する。
【0058】
他方の第2空調装置15は、往き配管L34を介して第2空調装置14からその冷媒入口15aに供給される低温の冷媒を熱交換によりさらに低温(例えば6℃)の冷媒としてその冷媒出口15bから往き配管L35に排出する。したがって、上記大温度差送水配管系としても、第2空調装置14,15を直列に接続したことにより、各第2空調装置14,15それぞれの通常の冷房運転時の冷媒温度の降温が小さくて済む結果、冷房運転負荷が軽減される。
【0059】
調湿機12には、往き配管L35aの配管長が機械室Bから各階のフロアAまでの配管であるために長いため、途中で6℃から7℃に昇温された冷媒が供給され、調湿機12では、この冷媒により所要の湿度調整をしたうえで、冷媒を排出する。この排出された冷媒の温度は、さらに昇温し、例えば10℃となっている。この冷媒は、配管L36を介して第2熱交換器5の一次側5aに供給される。
【0060】
第2熱交換器5においては、調湿機12からその一次側5aに供給された冷媒と、二次側5b内の冷媒との間で熱交換する。二次側5bでは、冷媒が戻り配管L46からその冷媒入口に例えば23℃の冷媒が戻され、一次側5aと二次側5bとの前記熱交換で二次側5bの冷媒出口から例えば20℃の冷媒として往き配管L41に供給される。
【0061】
第2熱交換器5の二次側5bは、第4冷媒循環配管系R4内であり、第4冷媒循環配管系R4は、第1放射パネル2及び第2放射パネル3における冷媒流量は多く、実施形態では例えば毎分70リットルである。第2熱交換器5の二次側5bから往き配管L41に供給された冷媒は、さらに往き配管L43,L42で分流されて、それぞれ、第1放射パネル2と第2放射パネル3それぞれの冷媒入口2a,3aに供給される。
【0062】
第1放射パネル2と第2放射パネル3は、供給された冷媒とインテリアゾーンとペリメータゾーンそれぞれの空気等との間で熱交換を行い、これによりインテリアゾーンとペリメータゾーン内は冷房空調される。
【0063】
この熱交換で、第1放射パネル2と第2放射パネル3それぞれの内部を流れる冷媒は、前記熱交換により昇温されて、その冷媒出口2bから例えば23℃の冷媒として戻り配管L44a,L44に排出され、冷媒出口3bからも23℃の冷媒として戻り配管L45に排出される。排出された冷媒は、合流部G3で配管L46に合流され、密閉タンク7を介し、第2搬送ポンプ11により搬送されて第2熱交換器5の二次側5bの冷媒入口に23℃の冷媒として戻される。
【0064】
第4冷媒循環配管系R4は、密閉タンク7により真空圧配管系となっているので、第1放射パネル2と第2放射パネル3それぞれからインテリアゾーンやペリメータゾーンに漏水することはない。
【0065】
図4を参照して、本空調システム1は、ペリメータゾーンを暖房空調するときは第2空調装置14,15は暖房運転し、インテリアゾーンは第1空調装置13の冷房運転により冷房空調する。
図3において、配管L43,L44a,L44は、破線で示されるように、図示略の弁が閉じられていて、第2熱交換器5からは第1放射パネル2に冷媒が供給されないようになっている。
【0066】
実施形態では、第2空調装置14,15を冷房運転するときは、第1空調装置13を運転停止して、第2空調装置14,15のみで、第1放射パネル2及び第2放射パネル3により、インテリアゾーンとペリメータゾーンとを冷房空調し、第2空調装置14,15を暖房運転するときは、ペリメータゾーンを第2放射パネル3による暖房空調する一方、第1空調装置13を冷房運転してインテリアゾーンを第1放射パネル2により冷房空調する。
【0067】
以上により、第2空調装置14,15の暖房運転において、一方の第2空調装置14に、戻り配管L32,L32aから例えば32.5℃の高温の冷媒が供給されると、その冷媒を第2空調装置14によりさらに例えば41℃の高温の冷媒として往き配管L34に排出する。
【0068】
もう1つの第2空調装置15は、往き配管L34を介して第2空調装置14から供給される冷媒を例えば46℃の高温の冷媒として往き配管L35に排出する。調湿機12は、往き配管L35,L35aから供給される45℃の冷媒を用いて湿度調整すると共に、往き配管L36に例えば43℃の冷媒を排出する。そしてこの冷媒は第2熱交換器5の一次側5aに供給される。
【0069】
第3冷媒循環配管系R3では、第2空調装置14の冷媒入口14aと,第2空調装置15の冷媒出口15bとの冷媒の温度差が大きいので、冷媒流量は、
図2と同様に毎分22リットルと少なく、搬送ポンプ19の搬送動力を低減し、消費電力を低く抑制することができる。
【0070】
第2熱交換器5においては、第3冷媒循環配管系R3内の一次側5aに供給された冷媒と、第4冷媒循環配管系R4内の二次側5b内の冷媒との間で熱交換する。二次側5bでは、冷媒入口に例えば23℃の冷媒が戻されており、前記熱交換で二次側5bの冷媒出口から例えば26℃の冷媒として往き配管L41に供給される。
【0071】
この場合、第4冷媒循環配管系R4内の冷媒の流量は、
図2と同様、毎分70リットルであり、第1放射パネル2でインテリアゾーンを冷房空調し、第2放射パネル3でペリメータゾーンを暖房空調するのに必要な流量となっている。
【0072】
往き配管L41に供給された冷媒は、分岐された往き配管L42を介して、第2放射パネル3の冷媒入口3aに供給される。第2放射パネル3は、冷媒入口3aに供給された冷媒により、ペリメータゾーンの空気等と熱交換を行う。
【0073】
これによりペリメータゾーン内は暖房空調される。第2放射パネル3の内部を流れる冷媒は、前記熱交換で降温して、その冷媒出口から例えば23℃の冷媒として戻り配管L45に排出される。排出された冷媒は、さらに戻り配管L46から密閉タンク7を介し、搬送ポンプ11により搬送されて第2熱交換器5の一次側5aの冷媒入口に23℃の冷媒として戻される。
【0074】
一方、第1空調装置13は、冷房運転され、往き配管L12を介して例えば13℃の冷媒を第1熱交換器4の一次側4aの冷媒入口に供給する。第1熱交換器4は、その一次側4aに供給された冷媒と、二次側4bに供給された冷媒との間で熱交換し、一次側4aに供給された冷媒はこの熱交換で例えば16℃の冷媒に昇温されて、搬送ポンプ17により冷媒出口から戻り配管L11に戻される。
【0075】
第1熱交換器4の二次側4bでは、その冷媒入口に供給された23℃の冷媒は、前記熱交換で降温されて20℃の冷媒として冷媒出口から往き配管L21に排出される。往き配管L21から排出された20℃の冷媒は、第1放射パネル2の冷媒入口2aに供給され、これにより、第1放射パネル2はインテリアゾーンを冷房空調する。
【0076】
第2空調装置14,15が暖房運転中、かつ、第1空調装置13の冷房運転中では、第1空調装置13には、16℃に昇温された冷媒が戻される。この状態で、第1空調装置13には、第3冷媒循環配管系R3内の往き配管L32から搬送ポンプ18により搬送される冷媒の一部が、搬送ポンプ18により第1熱回収配管L51を介して冷媒が搬送されてくるので、第1冷媒循環配管系R1において戻されてきた冷媒と、第1熱回収配管L51を介して導入された冷媒とで熱交換する。
【0077】
この熱交換により、第1空調装置13から第2熱回収配管L52には例えば45℃の冷媒が排出され、排出された冷媒は、第3冷媒循環配管系R3の往き配管L35,L35a及び第2熱回収配管L52の合流部分G4に戻される。これにより、第1空調装置13の冷房運転で発生した冷媒の熱は排熱として第2空調装置14,15の暖房運転時における冷媒の昇温に利用することができ、第2空調装置14,15の省電力化が可能となり、効率的な空調システムとなる。
【0078】
この場合、ペリメータゾーンの暖房負荷が小さい一方で、第1空調装置13からの排熱量が過剰とならないよう、図示略の制御装置が、ペリメータゾーンにおける暖房の状態を監視し、第1空調装置13からの排熱量を制御することが好ましい。
【0079】
なお、実施形態では、第3冷媒循環配管系R3と第4冷媒循環配管系R4とを第2熱交換器5を介して接続することにより、第3冷媒循環配管系R3と第4冷媒循環配管系R4とを直列接続された配管系としている。
【0080】
そのため、第3冷媒循環配管系R3に冷媒の必要温度帯が通常の冷房運転では例えば7℃程度で、通常の暖房運転では例えば45℃となる調湿機12を介在させ、第4冷媒循環配管系R4には冷媒の必要温度帯が第2空調装置14,15の暖房運転では例えば26℃程度で冷房運転では例えば20℃程度の第1放射パネル2及び第2放射パネル3があっても、従来のように調湿機12と第1放射パネル2及び第2放射パネル3とを別々の配管系とする必要がなく、配管コストを低減することができる。
【0081】
また、実施形態では、前記直列接続された配管系としたことにおいて、第3冷媒循環配管系R3においては、前記のように、第2空調装置14,15の冷媒入口14aの冷媒の温度と冷媒出口15bの冷媒の温度との差が大温度差であり、冷媒の流量を少なくする一方で、第4冷媒循環配管系R4においては、第1放射パネル2と第2放射パネル3でのインテリアゾーンとペリメータゾーンとの空調により冷媒が大流量で必要としても、従来のようにそれぞれを別々の配管仕様とする必要がなくなり、配管コストを低減できる。
【0082】
さらに、実施形態では、第3冷媒循環配管系R3を大気圧配管系としたので、例えば高い建物で各階にフロアがあり、各階のフロアに第4冷媒水循環配管系R4内に放射パネルを設置してゾーン空調する場合に、第3冷媒循環配管系R3が大気圧配管系であるので、第3冷媒水循環配管系R3に真空ポンプを介在させる必要がなくなり、システム全体の運用コストが低減する。
【0083】
さらに、実施形態では、第2及び第4の冷媒循環配管系R2,R4を真空圧配管系としたので、これら冷媒循環配管系R2,R4の冷媒が、インテリアゾーンの第1放射パネル2及びペリメータゾーンの第2放射パネル3から漏水することを防止することができる。
【0084】
さらに、実施形態では、第3冷媒循環配管系R3を大気圧配管系とし、第2及び第4の冷媒循環配管系R2,R4を真空圧配管系とし、第3冷媒循環配管系R3に対して第2及び第4の冷媒循環配管系R2,R4を第2熱交換器5を介して接続したので、第3冷媒循環配管系R3と第2及び第4の冷媒循環配管系R2,R4とをそれぞれの冷媒の流量、冷媒温度等の条件を個別に設定することができるようになった。
【0085】
なお、第1空調装置13は空水冷式のヒートポンプ、第2空調装置14,15は水冷式のヒートポンプを用いたが、これに限定されるものではない。
【0086】
以上説明したように、本実施形態では、第2空調装置14,15の暖房運転に際して、第1空調装置13の冷房運転時に発生する排熱を回収して、前記暖房運転に利用でき、省電力化を図れる。
【0087】
なお、実施形態では、第1空調装置13から第2熱回収配管L52を介して前記45℃の冷媒は合流部分G4に戻されるようになっているが、前記戻される部分はこれに限定されず、第3冷媒循環配管系R3の配管内であれば、どの配管部分でもよい。