(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202877
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】メッセージ送信システム、メッセージ送信方法及びメッセージ送信プログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20170914BHJP
H04M 3/53 20060101ALI20170914BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
H04M11/00 302
H04M3/53
G06F13/00 610A
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-97032(P2013-97032)
(22)【出願日】2013年5月2日
(65)【公開番号】特開2014-220594(P2014-220594A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年4月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・ 平成25年2月4日にスパルタ債権回収株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月5日にインペリアルエンタープライズ株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月6日に三井ホームリンケージ株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月6日にミネルヴァ債権回収株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月7日に千葉県信用農業協同組合連合会に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月8日に全保連株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月12日に神奈川県信用保証協会に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・平成25年2月13日に株式会社モビットに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月18日に株式会社エムアンドシーシステムに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月19日に株式会社ポケットカードに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月21日に東京ガスリース株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年2月22日にリバイバルマネジメント債権回収株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月1日にスルガ銀行株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月5日に全宅住宅ローン株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月7日に株式会社ビジネスパートナーに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月7日にSBIギャランティ株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・ 平成25年3月8日に新生債権回収株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月8日に株式会社福井銀行に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月8日に協同組合エヌシー日商連に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月11日に一般社団法人全国賃貸保証業協会に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月13日に株式会社琉球銀行に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月13日に株式会社OCSに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月13日に独立行政法人都市再生機構に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月18日に三井住友海上火災保険株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月19日にイズミヤカード株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月21日に株式会社宮崎銀行に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月21日に株式会社宮崎信販に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年3月25日に埼玉県農業信用基金協会に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月3日に株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月9日に東京ガスオートサービス株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月10日に目黒信用金庫に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月11日に株式会社関西アーバン銀行に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・ 平成25年4月12日に株式会社北陸銀行に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月12日に株式会社十八銀行に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月12日に株式会社セシールに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月15日に中央大学に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月15日に株式会社ホンダファイナンスに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月15日にむさしのカード株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月16日に株式会社エース・オートリースに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月16日に株式会社プレステージ・インターナショナルに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・平成25年4月16日に株式会社山口銀行に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月16日に九州債権回収株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月17日にトービル債権回収株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月18日にSBIライフリビング株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月18日に株式会社山口フィナンシャルグループに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月18日に十三信用金庫に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・平成25年4月19日に日本電子計算機株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月22日に東栄信用金庫に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・ 平成25年4月23日にあすか信用組合に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月23日に株式会社佐賀銀行に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月24日にニッセン・ジー・イー・クレジット株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月24日に株式会社ウリィ銀行東京支店に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月25日に株式会社セディナオートリースに対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月25日に東京センチュリーリース株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月25日に株式会社広島銀行に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月25日に中国総合信用株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月26日に明治大学に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年4月26日にヤマトクレジットファイナンス株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年5月1日に横浜市立大学に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。 ・ 平成25年5月2日に第一生命カードサービス株式会社に対し、メッセージ送信システムに係るサービスの提供につき説明を行った。
(73)【特許権者】
【識別番号】597119954
【氏名又は名称】株式会社アイティフォー
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100117444
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(72)【発明者】
【氏名】井出 真利志
【審査官】
山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−509557(JP,A)
【文献】
特開2008−113142(JP,A)
【文献】
特開2004−312353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信システムであって、
送信サーバと、
前記送信サーバと通信可能なプロトコル変換ゲートウェイと
を備え、
前記送信サーバは、
ユーザー企業から、1つ又は複数の電話番号及び送信すべきメッセージを含む送信データを受信する受信手段と、
受信した前記送信データに所定のデータを付加して、IPデータとして前記プロトコル変換ゲートウェイに送信する送信手段と
を有し、
前記プロトコル変換ゲートウェイは、
前記送信サーバから送信された前記IPデータを受信する受信手段と、
受信した前記IPデータをSMSデータにプロトコル変換するプロトコル変換手段と、
前記SMSデータを、前記個人に送信する送信手段と、
複数のポートと
を有し、
各ポートには、SIMカードが設けられ、
付加された前記所定のデータは、前記プロトコル変換ゲートウェイのポート番号である
ことを特徴とするメッセージ送信システム。
【請求項2】
個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信システムであって、
送信サーバと、
前記送信サーバと通信可能なプロトコル変換ゲートウェイと
を備え、
前記送信サーバは、
ユーザー企業から、1つ又は複数の電話番号及び送信すべきメッセージを含む送信データを受信する受信手段と、
受信した前記送信データに所定のデータを付加して、IPデータとして前記プロトコル変換ゲートウェイに送信する送信手段と
を有し、
前記プロトコル変換ゲートウェイは、
前記送信サーバから送信された前記IPデータを受信する受信手段と、
受信した前記IPデータをSMSデータにプロトコル変換するプロトコル変換手段と、
前記SMSデータを、前記個人に送信する送信手段と
を有し、
前記プロトコル変換ゲートウェイは、複数のゲートウェイで構成され、
各ゲートウェイは、複数のポートを有し、
付加された前記所定のデータは、ゲートウェイ番号及びポート番号であることを特徴とするメッセージ送信システム。
【請求項3】
前記送信サーバは、前記プロトコル変換ゲートウェイの各ポートのステータスを管理するためのステータス管理テーブルを有し、
前記ステータス管理テーブルは、少なくともポート番号及び各ポートの送信ステータスを記憶し、
前記送信サーバは、前記ステータス管理テーブルを参照して、各送信データに対して使用するポートの割り当てを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のメッセージ送信システム。
【請求項4】
前記複数のポートは、前記ユーザー企業の専用ポートとして割り当てられており、
前記SMSデータは、各専用ポートに対応する送信元電話番号を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のメッセージ送信システム。
【請求項5】
前記各専用ポートは、前記SMSデータを受信した前記個人から対応する送信元電話番号に返電があると、前記返電を転送することを特徴とする請求項4に記載のメッセージ送信システム。
【請求項6】
前記送信サーバは、前記送信データを記録として保存するための送信データテーブルを有し、
前記送信データテーブルは、少なくとも送信ステータス、送信先電話番号及び送信メッセージを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のメッセージ送信システム。
【請求項7】
前記メッセージ送信システムは、前記ユーザー企業に設置されたオンプレミスであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のメッセージ送信システム。
【請求項8】
個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信方法であって、
送信サーバが、ユーザー企業から、1つ又は複数の電話番号及び送信すべきメッセージを含む送信データを受信するステップと、
前記送信サーバが、受信した前記送信データに所定のデータを付加してIPデータを作成し、それぞれにSIMカードが設けられた複数のポートを有するプロトコル変換ゲートウェイに前記IPデータを送信するステップであって、付加された前記所定のデータは、前記プロトコル変換ゲートウェイのポート番号である、ステップと、
前記プロトコル変換ゲートウェイが、受信した前記IPデータをSMSデータにプロトコル変換するステップと、
前記プロトコル変換ゲートウェイが、前記SMSデータを、前記個人に送信するステップと
を含むことを特徴とするメッセージ送信方法。
【請求項9】
個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信方法であって、
送信サーバが、ユーザー企業から、1つ又は複数の電話番号及び送信すべきメッセージを含む送信データを受信するステップと、
前記送信サーバが、受信した前記送信データに所定のデータを付加してIPデータを作成し、それぞれが複数のポートを有する複数のゲートウェイで構成されたプロトコル変換ゲートウェイに前記IPデータを送信するステップであって、付加された前記所定のデータは、ゲートウェイ番号及びポート番号である、ステップと、
前記プロトコル変換ゲートウェイが、受信した前記IPデータをSMSデータにプロトコル変換するステップと、
前記プロトコル変換ゲートウェイが、前記SMSデータを、前記個人に送信するステップと
を含むことを特徴とするメッセージ送信方法。
【請求項10】
個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信プログラムであって、コンピュータに、
送信サーバが、ユーザー企業から、1つ又は複数の電話番号及び送信すべきメッセージを含む送信データを受信するステップと、
前記送信サーバが、受信した前記送信データに所定のデータを付加してIPデータを作成し、それぞれにSIMカードが設けられた複数のポートを有するプロトコル変換ゲートウェイに前記IPデータを送信するステップであって、付加された前記所定のデータは、前記プロトコル変換ゲートウェイのポート番号である、ステップと、
前記プロトコル変換ゲートウェイが、受信した前記IPデータをSMSデータにプロトコル変換するステップと、
前記プロトコル変換ゲートウェイが、前記SMSデータを、前記個人に送信するステップと
を実行させるためのメッセージ送信プログラム。
【請求項11】
個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信プログラムであって、コンピュータに、
送信サーバが、ユーザー企業から、1つ又は複数の電話番号及び送信すべきメッセージを含む送信データを受信するステップと、
前記送信サーバが、受信した前記送信データに所定のデータを付加してIPデータを作成し、それぞれが複数のポートを有する複数のゲートウェイで構成されたプロトコル変換ゲートウェイに前記IPデータを送信するステップであって、付加された前記所定のデータは、ゲートウェイ番号及びポート番号である、ステップと、
前記プロトコル変換ゲートウェイが、受信した前記IPデータをSMSデータにプロトコル変換するステップと、
前記プロトコル変換ゲートウェイが、前記SMSデータを、前記個人に送信するステップと
を実行させるためのメッセージ送信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッセージ送信システム、メッセージ送信方法及びメッセージ送信プログラムに関し、より詳細には、個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信システム、メッセージ送信方法及びメッセージ送信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者等の個人を顧客とするサービスを提供する企業は、顧客との連絡、顧客への情報提供・案内等の手段として、従来、電話、手紙、電子メール等を利用してきた。
【0003】
たとえば、電話は、顧客への到達時間が短く即時性があるものの、不出の場合も多く確実性が高いとは言えない。また、記録として内容が残らないというデメリットもある。
【0004】
また、手紙は、即時性においてはやや劣るが、確実性という意味では信頼でき、また記録性も高い。しかしながら、住所データの収集の正確性は、電話番号と比較すると劣る面がある。
【0005】
電子メールを用いる場合は、即時性、記録性が高く、また大量送信が可能であり、通信コストも低額であるため、顧客へのコンタクトチャネルとして優れているし、現に広く活用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子メールには、その送信先である電子メールアドレスの収集の正確性が劣るというデメリットがある。たとえば、クレジットカード会社、信販会社等における利用を考えた場合、延滞者に対しては債権回収の働きかけをしていく業務が発生するが、顧客に記載してもらう契約書に電子メールアドレスの記載欄がないことが多く、あったとしても、英字、数字等の複数の文字種が混在するために登録ミスが多い。また、口頭で聞き取って記録することも考えられるが、正確な記録が難しいので現実的ではない。
【0007】
既に電話、手紙、電子メール等の複数のコンタクトチャネルは存在するものの、いずれも十分と言えるものではなく、個人を対象とした、利便性の高いコンタクトチャネルの豊富化が望まれている。特に、電子メールの大量送信可能といった電子チャネルであることのメリットは大きく、電子的なコンタクトチャネルの活用が望まれているものの、たとえば債権回収を考えると、電話及び手紙で9割程度の連絡が取られ、残りの一割についてもその大部分を訪問が占め、現状では、電子メールが使われている割合は極めて限定的である。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信システム、メッセージ送信方法及びメッセージ送信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信システムであって、送信サーバと、前記送信サーバと通信可能なプロトコル変換ゲートウェイとを備え、前記送信サーバは、ユーザー企業から、1つ又は複数の電話番号及び送信すべきメッセージを含む送信データを受信する受信手段と、受信した前記送信データに所定のデータを付加して、HTTPデータとして前記プロトコル変換ゲートウェイに送信する送信手段とを有し、前記プロトコル変換ゲートウェイは、前記送信サーバから送信された前記HTTPデータを受信する受信手段と、受信した前記HTTPデータをSMSデータにプロトコル変換するプロトコル変換手段と、前記SMSデータを、前記個人の携帯電話に送信する送信手段とを有することを特徴とするメッセージ送信システムである。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記送信データが複数の電話番号を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記プロトコル変換ゲートウェイは、複数のポートを有し、付加された前記所定のデータは、前記プロトコル変換ゲートウェイのポート番号であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第4の態様は、第1又は第2の態様において、前記プロトコル変換ゲートウェイは、複数のゲートウェイで構成され、各ゲートウェイは、複数のポートを有し、付加された前記所定のデータは、ゲートウェイ番号及びポート番号であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第5の態様は、第3又は第4の態様において、前記送信サーバは、前記プロトコル変換ゲートウェイの各ポートのステータスを管理するためのステータス管理テーブルを有し、前記ステータス管理テーブルは、少なくともポート番号及び各ポートの送信ステータスを記憶し、前記送信サーバは、前記ステータス管理テーブルを参照して、各送信データに対して使用するポートの割り当てを行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第6の態様は、第3から第5のいずれかの態様において、前記複数のポートは、前記ユーザー企業の専用ポートとして割り当てられており、前記SMSデータは、各専用ポートに対応する送信元電話番号を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記各専用ポートは、前記SMSデータを受信した前記個人から対応する送信元電話番号に返電があると、前記返電を転送することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第8の態様は、第1から第7のいずれかの態様において、前記送信サーバは、前記送信データを記録として保存するための送信データテーブルを有し、前記送信データテーブルは、少なくとも送信ステータス、送信先電話番号及び送信メッセージを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第9の態様は、第1から第8のいずれかの態様において、前記SMSデータ内のメッセージは、クリッカブルな電話番号であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第10の態様は、第1から第8のいずれかの態様において、前記SMSデータ内のメッセージは、クリッカブルな電子メールアドレスであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の第11の態様は、第1から第10のいずれかの態様において、前記メッセージ送信システムは、前記ユーザー企業に設置されたオンプレミスであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の第12の態様は、個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信方法であって、ユーザー企業から、1つ又は複数の電話番号及び送信すべきメッセージを含む送信データを受信するステップと、受信した前記送信データに所定のデータを付加してHTTPデータを作成するステップと、前記HTTPデータをSMSデータにプロトコル変換するステップと、前記SMSデータを、前記個人の携帯電話に送信するステップとを含むことを特徴とするメッセージ送信方法である。
【0021】
また、本発明の第13の態様は、個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信プログラムであって、コンピュータに、ユーザー企業から、1つ又は複数の電話番号及び送信すべきメッセージを含む送信データを受信するステップと、受信した前記送信データに所定のデータを付加してHTTPデータを作成するステップと、前記HTTPデータをSMSデータにプロトコル変換するステップと、前記SMSデータを、前記個人の携帯電話に送信するステップとを実行させるためのメッセージ送信プログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、SMSを大量送信可能な形でメッセージ送信システムに組み込むことで、個人への電子的なコンタクトを行うためのメッセージ送信システム、メッセージ送信方法及びメッセージ送信プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のメッセージ送信システムの概略図である。
【
図3】メッセージを入力する際の文書フォーマットの一例を示す図である。
【
図4】クリッカブルな電話番号を利用した債権回収の一方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
(本発明の概要)
本発明は、個人への電子的なコンタクトを行うために、SMS(ショート・メッセージ・サービス)を利用する。2011年7月に、SMSによるメッセージ(以下「SMSメッセージ」という。)が異なるキャリア間で相互に送信が可能となった。SMSとは、70文字等の所定の文字数内のテキストメッセージを、携帯電話の電話番号を指定することによって送信することのできるサービスであり、以前から存在するものではあるが、キャリア間での相互送信がその用途を潜在的に広げた。
【0026】
SMS自体は、このように既存の技術であるが、発明者は、この技術をメッセージ送信システムの構成要素として組み込むことによって、大量送信可能という電子メール技術のメリットを維持しつつ、送信先データの正確な収集が可能となることを見出すとともに、実際にメッセージ送信システムを開発した。
【0027】
図1は、本発明のメッセージ送信システムの概略図である。メッセージ送信システム100は、送信サーバ110と、プロトコル変換ゲートウェイ120とを備える。
【0028】
送信サーバ110は、メッセージ送信システム100のユーザーである企業のコンピュータ10から、送信先の1つ又は複数の電話番号及び送信内容であるメッセージを含む送信データを受信する(S201)。送信サーバ110は、送信データに所定のデータを付加した上で、HTTPプロトコルに従ってプロトコル変換ゲートウェイ120に送信する(S202)。
【0029】
以下では、HTTPプロトコルを例に説明を行うが、本発明の技術的な範囲としては、ネットワーク層としてIPを用いていればよく、その上位層であるプロトコルをHTTPに限るものではない。例えば、その上位層はHTTPS、SNMP等、あるいはその他通信プロトコルを用いてもよい。
【0030】
プロトコル変換ゲートウェイ120は、受信したHTTPプロトコルに従ったデータ(以下「HTTPデータ」という。)を(S203)、3GPP等のSMSをサポートする通信プロトコルに従ったデータ(以下「SMSデータ」という。)に変換して(S204)、3Gネットワーク等の携帯電話ネットワークを介して送信する(S205)。
【0031】
SMSデータは、各顧客の携帯電話20で受信され、ユーザー企業から一人又は複数の顧客へのSMSメッセージの送信が完了する(S206)。
【0032】
プロトコル変換ゲートウェイ120には、複数のSIM(Subscriber Identity Module)カードが挿入されている。SIMカードは、3G方式等の携帯電話の電話番号を特定するための固有のIDが記録されたICカードであり、携帯電話としての動作のために必須である。本発明のゲートウェイ120は、複数のSIMカードを備えることによって、言わば、大きな携帯電話を構成していると見ることができる。携帯電話のユーザーが、SMSメッセージの入力画面から送信したいメッセージを入力する代わりに、送信サーバ110が送信データを受信し、プロトコル変換ゲートウェイ120に供給する。プロトコル変換ゲートウェイ120が、受信したHTTPデータをSMSデータに変換する技術としては、たとえば3GPP規格のTS 24.011 V9.0.1(Point−to−Point(PP)Short Message Service(SMS)support on mobile radio interface)に記載された技術等を用いればよく、ここでは詳細には説明しない。
【0033】
電話番号の収集は、電子メールアドレスの収集よりも格段に正確に行うことができるため、電話番号に基づいてSMSメッセージを送信することができる本発明は、電子メールと比較して確実性が高まる。また電話と比較して、電話の応答よりもメッセージの閲覧の方が一般にしてもらえる可能性が高いために確実性が向上するとともに、記録性も向上する。
【0034】
さらに、MNP(Mobile Number Portability)の導入に伴い、携帯電話の電話番号は個人を一意に特定する情報、ユニークIDとして利用することができるようになっており、個人に対する電子的なコンタクトチャネルとして極めて優れている。電子メールの場合、一度電子メールアドレスを取得できたとしても、電子メールアドレスは変わる頻度も低くなく、顧客データを最新の状態に維持することが困難である。MNPも、ナンバー・ポータビリティーであってアドレス・ポータビリティーではないから、顧客が携帯電話のキャリアを変更すると電子メールアドレスのドメイン名も必然的に変更となる。このような事情から、電子メールアドレスは、一度捕捉したとしても、その維持は困難である。
【0035】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るメッセージ送信システムは、プロトコル変換ゲートウェイ120が、マルチポートを有する。各ポートには、SIMカードが設けられ、それぞれが携帯電話として3Gネットワークに接続してSMSメッセージを送信することができる。各ポートに設けられたSIMカードは、いずれかのキャリアと契約がなされているので、その契約がなされたキャリアを介して3Gネットワークに接続されることとなる。
【0036】
本実施形態に係る送信サーバ110は、ユーザー企業のコンピュータ10から受信した送信データに対して、所定のデータを付加するが、所定のデータとしては、送信に用いるポート番号が挙げられる。各ポートは、一日の最大送信回数の上限がキャリアの取り決めにより定められているため、たとえば、一日に200通までしか送信することができない。送信サーバ110は、送信データに対して適切なポート番号をデータとして付加してプロトコル変換ゲートウェイ120にデータを供給する。
【0037】
具体的には、送信サーバ110は、各ポートのステータスを管理するためのステータス管理テーブルを有する。ステータス管理テーブルには、たとえば、ポート番号、各ポートの送信ステータス(送信可能、送信中、送信不能)、最大送信可能数、送信完了数を記憶することができる。送信サーバ110は、送信データをコンピュータ10から受信すると、送信ステータスが送信可能で、かつ、送信完了数が最大送信可能数を下回るポートを選択する。ここで、「送信不能」とは、通信エラー等が想定されるが、送信完了数が最大送信可能数に達した場合にクオータ・オーバーを原因とする「送信不能」として管理してもよい。送信サーバ110は、当該ステータス管理テーブルを参照して、各送信データに対して使用するポートの割り当てを行う。
【0038】
また、ステータス管理テーブルには、ゲートウェイ番号を記憶してもよい。すなわち、上記の説明は、ゲートウェイ数が1つの場合であるが、複数のプロトコル変換ゲートウェイが設けられる場合には、ゲートウェイ番号及びポート番号でポートが特定されることとなる。
【0039】
送信サーバ110は、ステータス管理テーブルの他、送信データを記録として、債権回収であれば交渉記録として、送信サーバ110の送信データテーブルに保存することができる。送信データテーブルは、送信依頼をしたユーザー企業又はユーザー企業内の各ユーザーのID、送信受付時刻、送信予約時刻、送信完了時刻、送信ステータス(送信予約、送信中、送信不能、送信完了)、送信先電話番号、送信メッセージ、割り当てられたポート番号等を記憶することができる。
【0040】
本発明のメッセージ送信システムは、ASPとしてユーザー企業の外部に置くことも、セキュリティ等の観点からオンプレミスとしてユーザー企業の管理下に置くこともできる。
【0041】
ユーザー企業内のコンピュータ10が送信サーバ110にウェブブラウザによってアクセスすると、メッセージ作成画面が表示され、送信先の1つ又は複数の電話番号と、送信内容であるメッセージを入力することができる。あるいは、ユーザー企業に対して専用ソフトを提供し、その中で送信データを入力すると送信サーバ110に送信されるようにしてもよい。あるいは、既存の業務ソフトに組み込んで提供することも考えられる。
【0042】
図3は、メッセージを入力する際の文書フォーマットの一例である。
図3のようなメッセージ内容の文書フォーマットを用意しておき、送信先の電話番号を入力して、送信データを作成することができる。メッセージ作成画面において送信ボタンを押下して、即時送信をすることも、所定の日時に送信するように送信予約をすることもできる。
【0043】
文書フォーマットの内容は、利用画面に応じて様々なものが考えられるが、顧客へのキャンペーン告知、契約更新手続の案内、流通業の配達事前通知、病院における患者への緊急連絡、企業における社員への緊急連絡等が挙げられる。
図3のように返電依頼をする場合には、返電先の電話番号をクリッカブルに表示させることで、返電率の大幅な向上が見込まれる。
【0044】
なお、コンピュータ10は、PC、サーバ、ラップトップ、タブレット等が想定されるが、フィーチャーフォン又はスマートフォンであってもよい。ここで、「スマートフォン」とは、従来のフィーチャーフォンと対比するための用語であり、通話機能以外の様々な機能が可能な携帯端末を意味する。ただし、スマートフォン等の携帯電話をコンピュータ10として用いる場合には、当然ながら、SMSメッセージを他の携帯電話に直接送信する態様は本発明の範囲外である。
【0045】
また、上記の説明では、送信サーバ110とプロトコル変換ゲートウェイ120とが物理的に別個独立の構成として説明したが、これらを単一のサーバにおいて実現してもよいし、送信サーバ110及びプロトコル変換ゲートウェイ120の機能を、それぞれ複数のハードウェアによって実現してもよい。たとえば、プロトコル変換ゲートウェイ120については、複数のSIMカードが挿入されたSIMサーバを外部に接続して、プロトコル変換ゲートウェイ120自体が有するSIMカードによって定まる一日当たりの最大送信可能数を拡張してもよい。単一のサーバにおいて実現した場合には、作成されたHTTPデータは、送信されることなくSMSデータにプロトコル変換されることとなる。また、上記の各機能は、コンピュータに所定のプログラムを実行させることによって実現されることは言うまでもない。
【0046】
また、プロトコル変換ゲートウェイが有する複数のポートは、ユーザー企業の専用ポートとして割り当てることもできる。この場合、顧客の携帯電話20に送信されるSMSデータは、各専用ポートに対応する送信元電話番号を含むようにし、顧客からこの番号に返電があった際には、ユーザー企業のいずれかの電話番号に転送するようにすることで、返電の手段を増やし、返電率を向上させることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
SMSメッセージに、クリッカブルな内容を含めることのメリットは第1の実施形態でも説明したが、ここでは、より詳細に説明を行う。
【0048】
たとえば、クレジットカード会社、信販会社等における利用としては、何回電話しても電話に出ない、手紙を送付しても反応がない等の交渉困難先が存在する。このような場合、初期の延滞者に対しては、SMSメッセージを送信し、そこにクリッカブルな電話番号を記載しておくと、数割の返電率が見込まれ、それでも返電のない顧客に対してのみ、
図4に示すように、オペレータより直接架電等を行えばよくなるため、大幅に人員の効率化やコンタクト率の向上を図ることができる。
【0049】
SMSは、キャリアの取り決めによりメッセージの内容に制限があるが、たとえばクレジットカード会社、信販会社等における利用では、まず顧客と連絡が取れることが肝要であり、そのためには簡潔なメッセージで足りるため、親和性が高い。
【0050】
(第3の実施形態)
本発明の一実施形態では、電話番号ではなく、クリッカブルな電子メールアドレスが記載されたSMSメッセージを送信することもできる。
【0051】
顧客に送信されたSMSメッセージ内の電子メールアドレスをクリックすると、宛先を当該アドレスとしてメール作成画面が立ち上がり、そのまま送信してもらうことができるようにすることができる。電子メールアドレスは、英字、数字等複数の文字種が混在する等の理由で正確に収集することが困難であるが、このようにすれば、電子メールアドレスの収集の確実性を高めることができる。
【0052】
クリッカブルな内容としては、電子メールアドレスの他、URLとすることもできる。クリッカブルなURLを記載しておき、それを顧客がクリックすれば、ウェブブラウザが立ち上がり、特定のウェブサイトへスムーズに誘導されることとなる。また、何らかの登録を行う際に、顧客に対してクリッカブルな認証コードを含むSMSメッセージを送信すれば、SMSメッセージは一意のIDである電話番号を宛先とすることから、信頼性の高い認証を実現可能となる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を具体的な例に言及して説明したが、これらの例に本発明の技術的な範囲が限定されるものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0054】
10 ユーザー企業のコンピュータ
20 顧客の携帯電話
100 メッセージ送信システム
110 送信サーバ
120 プロトコル変換ゲートウェイ