(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202898
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】漏電検知機能を備えた電子装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/04 20060101AFI20170914BHJP
H02H 3/33 20060101ALI20170914BHJP
H01H 13/06 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
H01H13/04 B
H02H3/33
H01H13/06 B
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-129790(P2013-129790)
(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公開番号】特開2015-5400(P2015-5400A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】十佐近 豊
(72)【発明者】
【氏名】荒川 良平
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−191009(JP,A)
【文献】
特開2006−019112(JP,A)
【文献】
実開昭61−201257(JP,U)
【文献】
特開2000−332427(JP,A)
【文献】
特開昭56−084839(JP,A)
【文献】
米国特許第04276461(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/04
H01H 13/06
H02H 3/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に漏電検知部を備え、漏電検知部に必要なスイッチを構成する1対の接点部材が回路基板に取り付けられ、一方の接点部材を押すことによりこの一方の接点部材を他方の電極部材に接触させる押しボタンを備えた漏電検知機能を備えた電子装置において、上記1対の電極部材を覆うカバー部材を上記回路基板に取り付けると共に、このカバー部材の上面に上記押しボタンを保持させ、かつ、押しボタンを指で押した際に指が押しボタンを越えてカバー部材の上面から外れることを防止する山型の壁部を、この押しボタンと上記上面の周縁との間に設け、上記壁部を、上記回路基板を垂直状態に保持して使用する場合に、上記押しボタンを上方から覆うように形成したことを特徴とする漏電検知機能を備えた電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に漏電検知機能を備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば機器を制御するための電子装置として、外部の商用電源から供給される100ボルトの交流電力を必要な電圧に降圧する電源部と、この電源部から電力供給を受けて機器内の負荷の作動を制御する制御部とが同じ回路基板上に設けられ、さらにその回路基板上に、機器内での漏電の有無を検知する漏電検知機能を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ただし、漏電検知機能を持たせるためには併せてテストスイッチやリセットスイッチを設ける必要がある。この点に関し、これらスイッチを構成する対となる電極部材を隙間を存して回路基板に立設した状態で半田付けし、一方の電極部材を押して弾性変形させ、他方の電極部材に接触させることによりスイッチをオン状態にするように構成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−182278号公報(
図1)
【特許文献2】特開2004−191009号公報(段落0043、
図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2に記載の電子装置では、電極部材はケーシング内に収納されており、このケーシングと係合してケーシングの開口全体を覆おう蓋部材に、一方の電極部材を押すための押しボタンが保持されている。そのため、蓋部材と回路基板との位置決めがずれると、一方の電極部材を押しボタンで正確に押すことができないという不具合が生じる。
【0006】
このような場合、両電極部材を覆うカバー部材を設け、このカバー部材を回路基板に取り付けるように構成すると共に、押しボタンを蓋部材ではなくカバー部材の上面に設ければ、電極部材と押しボタンとの相対位置がずれにくくなる。ところが、カバー部材は比較的小さくなるので、押しボタンを押す際に指が滑って押しボタンを越えると、指がカバー部材の上面から外れて回路基板上の電子部品に触れてしまうおそれが生じる。
【0007】
また、電子装置を機器に組み込む際に回路基板が垂直になるように取り付けた場合、上方から水などが流れてくるとカバー部材の上面に水が流れ、押しボタンを保持している部分からカバー部材内に水が浸入するおそれが生じる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、カバー部材を回路基板に取り付けた場合に、指が押しボタン上を滑ってもカバー部材の上面から指が外れにくく、また、回路基板を垂直状態に保持してもカバー部材の上面から水などがカバー部材の内部に浸入しにくい漏電検知機能を備えた電子装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明による漏電検知機能を備えた電子装置は、回路基板上に漏電検知部を備え、漏電検知部に必要なスイッチを構成する1対の接点部材が回路基板に取り付けられ、一方の接点部材を押すことによりこの一方の接点部材を他方の電極部材に接触させる押しボタンを備えた漏電検知機能を備えた電子装置において、上記1対の電極部材を覆うカバー部材を上記回路基板に取り付けると共に、このカバー部材の上面に上記押しボタンを保持させ、かつ、押しボタンを指で押した際に指が押しボタンを越えてカバー部材の上面から外れることを防止する
山型の壁部を、この押しボタンと上記上面の周縁との間に設け
、上記壁部を、上記回路基板を垂直状態に保持して使用する場合に、上記押しボタンを上方から覆うように形成したことを特徴とする。
【0010】
カバー部材に上記壁部を設けたので、例えば急いで押しボタンを押しても、指が押しボタン上を滑ってカバー部材の上面から外れ、指が他の電子部品に触れることが防止される。
【0011】
なお、上記壁部を、上記回路基板を垂直状態に保持して使用する場合に、上記押しボタンを上方から覆うように形成することが望ましい。このように構成することにより、カバー部材に対して上方から水などが滴下してきても、
滴下してきた水は山型の壁部の上面に沿って左右に分かれるので、押しボタンを保持している部分から水などがカバー部材内に浸入することが防止される。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明では、カバー部材を回路基板に取り付けた場合に、指が押しボタンを滑ってもカバー部材の上面から指が外れにくい。また、請求項2に係る発明では、さらに回路基板を垂直状態に保持してもカバー部材の上面から水などがカバー部材の内部に浸入しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、1は本発明による漏電検知機能を備えた電子装置の一例である。この電子装置1は回路基板11をケーシング12内に収納してポッティングしたものである。なお、この回路基板11上には外部から供給される商用の交流電力を所定の電圧に降圧し、あるいは整流して図示しない各負荷に供給する電源部と、電源部から直流の作動電力の供給を受けて各負荷の作動を制御する制御部と、漏電検知部2とが設けられている。以降の説明の理解を容易にするため、本図では漏電検知部2のみを示し、他の電源部及び制御部は省略した。
【0015】
この電子装置1は製造時には水平な状態で保持されているが、図示しない機器内に組み込まれる際には図示のように、垂直に立てた状態で取り付けられる。
【0016】
漏電検知部2内にはテスト用及びリセット用のスイッチを備えたスイッチ部材3が設けられている。
【0017】
図2を参照して、このスイッチ部材3は、全体を覆うカバー部材4と、このカバー部材4で覆われる位置に取り付けられる1個の可動電極部材5と、2個の固定電極部材6とで構成されている。カバー部材4にはテスト用のスイッチの構成部品である押しボタン41と、リセット用のスイッチの構成部品である押しボタン41とが上下方向に可動状態で保持されている。そして、カバー部材4の上面にはこれら2個の押しボタン41を片方から囲う山型の庇部(壁部)42が設けられている。
【0018】
可動電極部材5は一対の弾性変形可能な可動片51を有しており、上記押しボタン41を押し下げると、押しボタン41の下端41aによって下方に押し下げられ、可動片51が下方に撓むように構成されている。
【0019】
図3を参照して、押しボタン41を指Fで押す場合には、庇部42が設けられていない方向から指Fを押しボタン41にあてがうことになるが、その際、押しボタン41の位置をよく確かめない場合や指Fを勢いよく押しボタン41にあてがった場合には、指Fが押しボタン41の上面を滑って指Fが図の左側に不必要に移動する場合が生じる。指Fが左側に大きく移動すると、指Fはカバー部材4の上面から外れてしまうが、図示のように押しボタン41の左側には庇部42が設けられているので、指Fはその庇部42に当接して庇部42よりも左側に移動することが防止される。
【0020】
なお、
図3では回路基板11が水平な状態で説明したが、実際には
図1に示したように回路基板11は垂直な状態で機器内に取り付けられる。そして、
図1に示したように、回路基板11が垂直な状態で取り付けられた場合に、庇部42は両押しボタン41を上方から覆うように構成した。
【0021】
図4を参照して、回路基板11はポッティングされているが、カバー部材4の内部では電極部材5、6が樹脂でコーティングされない状態で存在している。上方からカバー部材4に水が滴下してきた場合、押しボタン41とカバー部材4との隙間から水がカバー部材4内に浸入することを防止する必要がある。庇部42は押しボタン41を上方から覆っているので、滴下してきた水は庇部42の上面に沿って左右に分かれるので、水が押しボタン41に到達することが無い。従って、水がカバー部材4の内部に浸入することが防止される。
【0022】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0023】
1 電子装置
11 回路基板
2 漏電検知部
3 スイッチ部材
4 カバー部材
41 押しボタン
42 庇部(壁部)
5 可動電極部材
51 可動片
6 固定電極部材