【実施例】
【0017】
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の説明中、軸筒軸方向とは、中芯収納部材10(軸筒)の中心線の延びる方向を意味する。また、「前」とは、軸筒軸方向の一方側であって筆記体の突出する方向を意味する。また、「後」とは、軸筒軸方向の前記一方側に対する逆方向側を意味する。また、「軸筒径方向」とは、軸筒軸方向に対し直交する方向を意味する。また、「軸筒径外方向」とは、軸筒径方向に沿って軸筒中心から離れる方向を意味する。「軸筒径内方向」とは、軸筒径方向に沿って軸筒中心へ近づく方向を意味する。また、「緩み回転方向」とは、栓部材30を外すために回転させる方向を意味する。また、「締付け回転方向」とは、同栓部材30を接続するために回転させる方向を意味する。
【0018】
この筆記具用中芯収納体1は、
図1及び
図2に示すように、中芯収納部材10(軸筒)と、中芯収納部材10の前端側に装着されて前方へ露出した筆記体20と、中芯収納部材10の後端部に着脱可能に装着された略有底筒状の栓部材30と、中芯収納部材10内から栓部材30内にわたって収容された長尺円柱状の中芯40と、筆記体20を覆うようにして中芯収納部材10の前端側に着脱可能に装着されたキャップ50とを備え、中芯40に含浸されたインクを筆記体20へ導く中芯交換式筆記具を構成している。
【0019】
中芯収納部材10は、前端側の先細状の先口部11と、該先口部11の後方に延設された長尺円筒形の筒状本体部12とからなり、中芯交換式筆記具の軸筒を構成している(
図3参照)。
【0020】
先口部11の前端側の内周面には、周方向に間隔を置いて複数の縦突条11aが設けられる。これら縦突条11aは、軸筒径内方向の突端により筆記体20の外周面を保持している(
図2参照)。また、周方向に隣り合う縦突条11a,11a間の空間を、中芯収納部材10内外の通気性を確保する通気路としている。
【0021】
また、先口部11内における縦突条11aよりも後側には、中芯40の前端を受けるように、受片部11bが周方向に間隔を置いて複数設けられる。
これら受片部11bは、先口部11の後半部寄りの内周面から径内方向へ突出する突片状の部材であり、筆記体20の外周面に近接している。すなわち、各受片部11bと筆記体20の外周面との間には、隙間が設けられる。
そして、周方向に隣り合う受片部11b,11bの間の空間は、落下衝撃等で中芯40内のインクが急激に吐出した場合に、該インクを一時的に貯溜するインク貯溜部11cとして機能する。
【0022】
筒状本体部12内の先口部11寄りには、中芯40を軸心方向へ押圧して保持する縦長の中芯嵌合突起12aが、周方向に複数配置されている(
図2及び
図3参照)。
各中芯嵌合突起12aは、軸方向へ長尺な平板状に形成され、その前端部を受片部11b後端に接続している。この中芯嵌合突起12aの後端側には、中芯40をスムーズに前方へ導くように、凸曲面状の面取り部12a1(
図3参照)が形成される。なお、面取り部12a1の他例としては、傾斜する平坦面状に形成することも可能である。
【0023】
また、筒状本体部12内の後端寄りには、栓部材30を螺合接続するための雌ネジ部12bや、該雌ネジ部12bよりも前側で栓部材30に圧接されて中芯収納部材10後端側を密閉する環状凸部12c、雌ネジ部12bよりも後側で後述する栓部材30の突起に嵌り合う凹部12d等が設けられる(
図3参照)。
【0024】
筒状本体部12後端側の凹部12dは、
図4及び
図13に示すように、第一の凹部12d1と、該第一の凹部12d1の周方向に連続する第二の凹部12d2とを具備し、栓部材30側の突起35との嵌め合い深さを、栓部材30の緩み回転方向(
図13によれば上方向)に段階的に浅くする階段状に形成される。
【0025】
第一の凹部12d1は、周方向に長尺な凹部であり、栓部材30の締付け回転方向側の端面を、栓部材30を螺合接続した際に、栓部材30側の当接面35a1に対し、軸筒軸方向に当接し合う平坦面状の当接面12d11としている(
図13参照)。
また、第一の凹部12d1の底部12d12(
図13によれば左端面)は、中芯収納部材10の軸心に略直交する平坦面状に形成され、傾斜面12d13を介して、第二の凹部12d2の底部12d21に接続されている。
傾斜面12d13は、栓部材30を緩める際に、栓部材30を乗越えさせるように、軸筒後方へ傾いた緩み回転方向(
図13によれば斜め右上方向)へわたる平坦面状に形成される。
【0026】
第一の凹部12d1内の前端側の当接面12d11は、軸筒軸方向に略平行する平坦面状に形成される。この当接面12d11は、栓部材30を中芯収納部材10に対し螺合接続した際に、所定のねじ込み量を超える前に、栓部材30側の当接面35a1に当接するように、その位置が設定されている。
ここで、前記所定のねじ込み量は、中芯収納部材10と栓部材30との間に目視可能な隙間がなく、これらの間の気密性が維持され、且つ中芯交換等のために栓部材30を緩めることが可能な程度に適宜に設定される。
【0027】
第二の凹部12d2は、第一の凹部12d1よりも浅く形成されるとともに周方向に長尺な凹部であり、その底部12d21(
図13によれば左端面)を、中芯収納部材10の軸心に略直交する平坦面状に形成している。
この第二の凹部12d2において、栓部材30の緩み方向側の端部には、傾斜面12d22が形成される。この傾斜面12d22は、栓部材30を緩める際に、栓部材30を乗越えさせるように、軸筒後方へ傾いた緩み回転方向(
図13によれば斜め右上方向)へわたる平坦面状に形成される。
【0028】
また、筆記体20は、その後端部が中芯40の前端部に圧入され(
図2参照)、中芯40に含浸されたインクを毛細管力によって前方へ導く構成であればよく、例えば、多孔質樹脂からなる略軸状、あるいは多数の合成繊維を収束してなる略軸状に形成される。
なお、この筆記体20は、
図2に示す一例によれば、筆記体20前端側の露出部分を砲弾状に形成しているが、他例としては、斜めカットされた楔状等とすることも可能である。
【0029】
また、栓部材30は、中芯収納部材10の後端開口部に着脱可能に装着される有底筒状の部材である。この栓部材30外周面の前側には、中芯収納部材10内における後端側の雌ネジ部12bに螺合可能な雄ネジ部31が形成され、該雄ネジ部31の後側には、中芯収納部材10後端面に当接される環状のフランジ部32が形成される。このフランジ部32周囲には、当該中芯式筆記具の転がり防止や、栓部材30を外す際の滑り止めとして機能する凸部32aが、周方向に間隔を置いて複数設けられる。
【0030】
また、フランジ部32の前端面には、中芯収納部材10に栓部材30を螺合接続した際に、中芯収納部材10後端の凹部12dに嵌り合う突起35が設けられる。
この突起35は、
図13に示すように、中芯収納部材10側の第一の凹部12d1に嵌り合う第一の突起35aと、該第一の突起35aの周方向に連続するとともに中芯収納部材10側の第二の凹部12d2に嵌り合う第二の突起35bとを具備し、中芯収納部材10側の凹部12dとの嵌め合い深さを、栓部材30の緩み回転方向(
図13によれば上方向)に段階的に浅くするように形成される。
【0031】
第一の突起35aは、周方向に長尺な凸部であり、その締付け回転方向側の端面を、栓部材30の螺合接続の際に、中芯収納部材10側の当接面12d11に当接し合う平坦面状の当接面35a1としている。また、第一の突起35aの突端部35a2(
図13によれば左端面)は、中芯収納部材10の軸心に略直交する平坦面状に形成される。
そして、第一の突起35aの突端部35a2は、傾斜面35a3を介して、第二の突起35bの傾斜面状の突端部35b1に接続されている。
また、傾斜面35a3は、栓部材30の緩み回転方向において突端部35b1よりも急な角度で斜め後方へわたる平坦面状に形成される。
【0032】
第二の突起35bは、第一の突起35aよりも、フランジ部32全端面からの前方への突出寸法が小さい傾斜面状の突起である。詳細に説明すれば、第二の突起35bの突端部35b1は、栓部材30の緩み回転方向において斜め後方へ連続する緩やかな傾斜平坦面状に形成される。
【0033】
また、栓部材30内周面の前側には、中芯40の外周面に接触して該中芯40を保持する中芯保持突起33(
図8〜
図10参照)が複数設けられ、栓部材30内周面における中芯保持突起33よりも奥側には、中芯40の後端面を受ける受片部34が複数設けられる。
【0034】
各中芯保持突起33は、その径内方向の突端面を、中芯40の外周面にならう曲面状又は平坦面状(
図8に示す好ましい一例によれば、曲面状)に形成するとともに、中芯40に接触する前記突端面の接触面積を、栓部材30に対し中芯40が挿入される方向(以降、中芯挿入方向と称する)へ増大する平面視略V字状に形成しており(
図10参照)、この形状により、中芯押圧に起因するインクの流出等を抑制するとともに、中芯組付け時や中芯交換時の作業性を向上する。
【0035】
また、中芯保持突起33の前端側には、挿入される中芯40を抵抗なくスムーズに導き入れるように、凸曲面状の面取り部33aが設けられる。
そして、この中芯保持突起33は、軸筒周方向に所定間隔を置いて複数設けられ、これら複数の中芯保持突起33の突端内径a(詳細には、
図9に示すように、面取り部33aよりも後側の部分の内径)は、中芯40の外径よりも若干小さい径に設定される。
前記内径aは、より詳細に説明すれば、僅かずつではあるが、栓部材30内奥側(
図9によれば右側)へ向かって徐々に小さくなっている。すなわち、各中芯保持突起33の径内方向の高さが、前記奥側へ向かって徐々に高くなっている。
【0036】
また、図示例によれば、前記内径aは、中芯収納部材10側の複数の中芯嵌合突起12aにおける径内方向突端の内径よりも、若干小さく設定されている。
すなわち、栓部材30側の中芯保持突起33による中芯40に対する保持力は、中芯収納部材10側の同中芯40に対する保持力よりも大きくなっている。
【0037】
また、受片部34は、中芯保持突起33の奥側で、中芯保持突起33後端から後方へ延びるとともに中芯保持突起33よりも径内方向側へ突出するように設けられる。この受片部34は、複数の中芯保持突起33と同間隔にて、周方向に所定間隔を置いて複数設けられる。
そして、複数の受片部34の前端部は、中芯40の後端面を受ける。また、周方向に、隣り合う受片部34,34の間の空間sは、中芯40内のインクの消耗に伴って該中芯40内へ空気を供給する通気路として機能し、さらに、落下衝撃等で中芯40内のインクが急激に後方へ流出した場合には、該インクを一時的に貯溜するインク貯溜部としても機能する。
【0038】
なお、前記通気路は、詳細に説明すれば、中芯収納部材10前端側の縦突条11a,11a間、受片部11b,11b間、中芯嵌合突起12a,12a間、筒状本体部12内周面と中芯40外周面との隙間、栓部材30内周面と中芯40外周面との隙間、栓部材30内の受片部34,34間の空間s等からなる連続する通路である。また、前記通気路は、前述したように中芯40の後端面に連通しているが、同中芯40の前端面にも連通している。
【0039】
また、栓部材30の後端面には、該栓部材30を着脱する際に必要に応じて用いられる被係合部36が設けられる。この被係合部36は、後方向きに開口するとともに径方向へ長尺な凹溝状に形成され、コインや、後述する交換用中芯セット2の係合部61と嵌め合い可能である。
【0040】
中芯40は、多数の合成繊維を合成樹脂製の薄肉な筒体内に収納し、その内部にインクを含浸させることで構成されている。この中芯40は、中綿と呼称される場合もある。
【0041】
また、キャップ50は、
図2に示すように、二重筒状のキャップ本体部51と、該キャップ本体部51における内キャップ51aと外キャップ51bの間への筆記体20の挿入を阻む略円錐状の挿入阻止部52とから一体的に構成され、先口部11に、着脱可能に嵌め合せられている。
【0042】
キャップ本体部51は、筆記体20の周囲を覆うようにして設けられた小径筒状の内キャップ51aと、内キャップ51aに対しその外周側に間隔を置いて設けられた外キャップ51bとを有する二重筒状に一体成形されている(
図2参照)。
内キャップ51aは、先口部11前端側の小径な筒状部分よりも一回り程大きい筒状に形成され、その後端側の内周面を、先口部11の前端側外周面に密接してインク洩れを防ぐ。
【0043】
外キャップ51bは、有底筒状に形成され、その周壁には、外方からの押圧操作により自由端側をキャップ内へ弾性的に撓み変形可能な変形部51b1が設けられる。
変形部51b1の外表面は、外キャップ51b外周面における最大径部分と略面一、又は前記最大径部分よりも凹んで設けられる。換言すれば、変形部51b1は、外キャップ51b外周面における前記最大径部分よりも径外方向へ突出しないように設けられる。
【0044】
変形部51b1は、キャップ本体部51の周壁に、該周壁をキャップ径方向に貫通する平面視略U字状の切欠部51b2を設けることで、この切欠部51b2の内側に形成された方持ち梁状の部分であり(
図1及び
図2参照)、その基端側に対する逆端側(
図2によれば右端側)の自由端部を、軸筒後方(図示の右方)へ向けている。
切欠部51b2及び変形部51b1は、図示例によれば、軸心を挟んで対向するように二つ設けられる(
図2参照)。
【0045】
各変形部51b1は、キャップ内側へ変形した際に、自由端側(
図2によれば右端側)の内縁によって先口部11の傾斜面11dを押圧する。
なお、
図1中、符号51b11は、変形部51b1の自由端側の表面に位置するすべり止め突起である。
【0046】
また、キャップ本体部51内周面の開口端側(
図2によれば右端側)には、キャップ50が中芯収納部材10(軸筒)に嵌め合わせられる際、中芯収納部材10側の環状突起11eを軸方向へ乗り越えるように、乗越え突起51iが設けられる。この乗越え突起51iは、緩やか傾斜面を有する断面山形の突起であり、キャップ周方向に間隔を置いて複数設けられている。
【0047】
また、キャップ本体部51内周面には、キャップ軸方向へわたる縦リブ51jが、周方向へ略等間隔を置いて複数設けられる。これら複数の縦リブ51jは、キャップ50内周面と中芯収納部材10外周面との当接力を、周方向に略均等に分散することで、キャップ50内周面と中芯収納部材10外周面とを安定した接触状態に保持する。
【0048】
また、挿入阻止部52は、
図11に示すように、内キャップ51aに接続される接続部52aと、該接続部52aから延設されたガイド部52bとを具備する。
【0049】
接続部52aは、内キャップ51aの外周面に沿う略円筒状に形成され、その内周面を、内キャップ51a外周部に圧接させることで、軸筒軸方向及び周方向へ移動しないように固定される(
図2及び
図11参照)。
【0050】
また、ガイド部52bは、筆記体20を内キャップ51a内へ案内するように前方へ縮径する略円錐筒状に形成される。
このガイド部52bの自由端部は、図示例によれば、変形部51b1の内面に対し、接触又は近接(
図2の一例によれば接触)している。そして、このガイド部52bには、該ガイド部52bを周方向に分割するようにして、筆記体20を挿通不能な幅のスリット52b1が、周方向に間隔を置いて複数設けられる。これらスリット52b1は、変形部51b1の径内方向への変形に伴う、ガイド部52bの径内方向への弾性変形を容易にする。
【0051】
次に、上記構成の筆記具用中芯収納体1(中芯交換式筆記具)について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
当該筆記具用中芯収納体1の製造や中芯40の交換等のために、中芯収納部材10の後端側の開口部に栓部材30を接続する際には、中芯収納部材10の後端に栓部材30を挿入し回転させて締付ける。この締付けの際、所定のねじ込み量に達すると、中芯収納部材10側の凹部12dの当接面12d11(
図13参照)と、栓部材30側の突起35の当接面35a1とが、当接し合って位置決めされ、栓部材30が過剰に締め込まれて外れ難くなるようなことを防止する。
【0052】
また、中芯収納部材10から栓部材30を外す際には、栓部材30を緩み回転方向へ回転させれば、
図13に示すように、栓部材30側の第二の突起35bにおける傾斜面状の突端部35b1が、中芯収納部材10側の第二の凹部12d2の緩み回転方向側の縁に、徐々に乗り上がって、栓部材30側の第二の突起35bが中芯収納部材10側の第二の凹部12d2から抜け出てゆく。
そして、栓部材30側の傾斜面35a3が、中芯収納部材10側の傾斜面12d13に摺接して、栓部材30側の第一の突起35aが、中芯収納部材10側の第一の凹部12d1から抜け出てゆく。さらに、第一の突起35aは、中芯収納部材10側の第二の凹部12d2底面に沿って進み、傾斜面12d22に摺接して、凹部12dから抜け出てゆく。
このように、中芯収納部材10側の凹部12dに対し、栓部材30側の突起35が、段階的に抜け出るようにして、栓部材30の緩み回転が進行するため、回転抵抗が比較的小さく、その回転がスムーズに行われる。そして、
図12に示すように、中芯収納部材10から栓部材30を外した状態では、栓部材30内に嵌り合った中芯40も一緒に外すことができる。
【0053】
よって、栓部材30を、意図しない緩みやインク洩れを生じないように十分に締め付けることができる上、該栓部材30が締め付けられすぎて外れなくなってしまうようなことを防ぐことができ、ひいては、栓部材30を緩める際の操作感を良好にして、中芯40の交換作業を速やか且つ容易に行うことができる。
【0054】
なお、栓部材30の着脱は、該栓部材30を手で回す操作によって可能であるが、必要に応じて、栓部材30後端の被係合部36に、コインや後述する交換用中芯セット2の係合部61を差し込み、このコイン又は交換用中芯セット2の回転操作によって栓部材30を回して着脱することも可能である。
【0055】
また、他の特徴的な作用効果として、中芯収納部材10からキャップ50を外す際には、変形部51b1が、指によって摘まれて押圧されると、変形部51b1が径内方向へ撓む。この際、変形部51b1の前記撓みに伴って、挿入阻止部52のガイド部52bも、径内方向へ撓む。ガイド部52bは、後端部を変形部51b1内面に摺接させるとともに、各スリット52b1を狭めながら、滑らか且つスムーズに弾性変形する。
【0056】
そして、撓んだ変形部51b1は、自由端部の内縁を、中芯収納部材10先端側の傾斜面11dに摺接させることで、中芯収納部材10を後方へ押動する。そのため、外キャップ51b内周面の乗越え突起51i(
図2参照)と中芯収納部材10外周面の環状突起11eとの乗越え嵌合状態が解除されて、キャップ50が中芯収納部材10から前方へ外れる。
【0057】
よって、上記構成の筆記具用中芯収納体1(中芯交換式筆記具)によれば、不使用時にキャップ50が、机面等に当接して外れてしまうのを防ぐことができる上、使用時には、比較的軽い摘み操作でキャップ50を外すことができる。
【0058】
次に、上記筆記具用中芯収納体1(中芯交換式筆記具)との組み合わせによって中芯交換機構を構成する交換用中芯セット2(
図14〜16参照)について説明する。
【0059】
この交換用中芯セット2は、
図16に示すように、開閉可能な開口部を有する中芯収納部材60と、中芯収納部材60の開口部に着脱可能に装着された栓部材70と、中芯収納部材60の内部に収納された交換用の中芯40’とを具備してなる。
【0060】
中芯収納部材60は、交換用の中芯40’の一端側部分を収納可能な有底筒状の部材であり(
図16参照)、その底壁の外面に、筆記具用中芯収納体1(中芯交換式筆記具)の被係合部36に嵌脱可能な係合部61を有する。また、中芯収納部材60の開口部側の内周面には、着脱される栓部材70を乗越え嵌合させるための突起62が形成される。
【0061】
係合部61は、中芯収納部材60の端面から軸方向へ突出する平板突起状に形成される。この係合部61は、筆記具用中芯収納体1の凹溝状の被係合部36の内面と略同形状であって、該被係合部36に嵌脱可能に形成される。
【0062】
栓部材70は、交換用の中芯40’の他端側部分を収納可能な有底筒状の部材であり、中芯40’の他端側を装着した状態で、中芯収納部材60の開口部に挿入され嵌め合せられる。
この栓部材70の開口部側(
図16によれば左側)の外周面には、中芯収納部材60内面の突起62に対し乗越え嵌合する突起71や、該突起71よりも前記開口部側にて中芯収納部材60内周面に接触して中芯収納部材60内の気密性を保持する環状突起72等が設けられる。
また、この栓部材70の内周面には、軸方向へわたる突条73が、周方向に間隔を置いて複数設けられる。これら突条73は、中芯40’の外周面に緩圧接されている。
【0063】
なお、
図14〜
図16中、符号63及び74は、中芯収納部材60から栓部材70を外す際に滑り止めとなる複数の凹部である。
【0064】
よって、上記構成の交換用中芯セット2によれば、中芯収納部材60から栓部材70を外せば、栓部材70に保持された状態で中芯40’も中芯収納部材60から引き抜くことができる。
また、上述したように、中芯収納部材10側の栓部材30後端の被係合部36に、交換用中芯セット2の係合部61を嵌め合せ、交換用中芯セット2の回転操作によって栓部材30を回して着脱することも可能である。この際の作業は、交換用中芯セット2をドライバーのように手で握り指先で回転させることができるため、その作業性が良好である。
【0065】
なお、上記実施例によれば、中芯収納部材10(中芯式筆記具)側の凹部12dに、栓部材30側の突起35を嵌め合せるようにしたが、他例としては、
図17に例示するように、その凹凸関係を逆にすることも可能である。
図17に示す他例では、中芯収納部材10側(図中左側)に、上記実施例のものと同構成の突起35を有し、中芯収納部材10側に、上記実施例のものと同構成の凹部12dを有する。そして、上記実施例と略同様に作用して、栓部材30を外れやインク洩れを生じないように十分に締め付けることができる上、該栓部材30が締め付けられすぎて外れなくなってしまうようなことを防ぐことができる。
【0066】
また、上記実施例によれば、傾斜面12d13,12d22,35a3及び第二の突起35b突端の傾斜面を、平坦面状の傾斜面としたが、他例としては、凸断面曲面状や断面凹曲面状の傾斜面とすることも可能である。
【0067】
また、上記実施例によれば、凹部12dと突起35を、それぞれ、二段の第一及び第二の凹部12d1,12d2と、二段の第一及び第二の突起35a、35bによって構成したが、他例としては、これら凹部12dと突起35を、それぞれ三段以上の階段状に構成とすることも可能である。
【0068】
また、上記実施例によれば、凹部12d及び突起35を周方向において一箇所に設けたが、他例としては、これら凹部12d及び突起35を、周方向に間隔を置いて複数設けることも可能である。
【0069】
また、上記実施例によれば、中芯40を複数の合成繊維からなる中綿としたが、中芯40の他例としては、中空状の液タンク内にインクを収納した態様や、ボールペン用の中芯を構成した態様、シャープペンシル用の中芯を構成した態様等とすることも可能である。
【0070】
また、上記実施例によれば、筆記具用中芯収納体1(中芯交換式筆記具)側に凹状の被係合部36を設けるとともに交換用中芯セット2側に凸状の係合部61を設けたが、他例としては、その凹凸関係を逆にすることも可能である。
【0071】
また、上記実施例によれば、交換用中芯セット2における中芯収納部材60の底壁外面に係合部61を設けたが、他例としては、交換用中芯セット2における栓部材70の底壁外面に同様の係合部を設けた態様や、中芯収納部材60と栓部材70の双方に同様の係合部を設けた態様等とすることも可能である。
【0072】
また、上記実施例によれば、中芯収納部材(軸筒)10と栓部材30との間に、上記凹部12d及び上記突起35を構成したが、他例としては、軸筒と、該軸筒に対し螺合接続可能な前記栓部材としての先口とを具備した筆記具において、前記軸筒と前記先口との間に、上記凹部12d及び上記突起35と略同構成の凹部及び突起(図示せず)を設けることも可能である。
【0073】
また、上記実施例によれば、上記凹部12d及び上記突起35を、栓部材30のフランジ部32と中芯収納部材10後端との間に設けたが、他例としては、略同構成の凹部及び突起を、栓部材30における雄ネジ部31よりも前側と中芯収納部材10との間や、その他の部位に設けることも可能である。
【0074】
また、上記実施例によれば、中芯収納部材10の後端側に栓部材30を挿入する構成としたが、他例としては、中芯収納部材10の後端側に栓部材30を環状に被せるとともに、中芯収納部材10の後端面と栓部材30内の底面との間に、上記構成の凹部12d及び突起35を設けた構成とすることも可能である。
【0075】
また、上記実施例の交換用中芯セット2では、栓部材70を外す可能性が筆記具用中芯収納体1(中芯交換式筆記具)の場合よりも少ないこと等から、上記構成の凹部12d及び突起35を設けないようにしたが、他例としては、この交換用中芯セット2についても、中芯収納部材60と栓部材70の間に上記構成の凹部12d及び突起35を設けて、栓部材70を着脱を容易にすることも可能である。