特許第6202957号(P6202957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202957
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】爪矯正具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/11 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   A61F5/11
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-190209(P2013-190209)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-54161(P2015-54161A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】592128755
【氏名又は名称】株式会社鹿浜製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100077241
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 稔
(72)【発明者】
【氏名】鹿濱 茂
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/053933(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/142880(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの指の指先側の受入空間を備えたフレーム体と、
前記フレーム体の受入空間において前記指の爪の右端側に当接される当接部を有すると共に、前記フレーム体の右側に螺進退可能に支持されてこの螺進退によって前記当接部を移動させる右側押圧体と、
前記フレーム体の受入空間において前記指の爪の左端側に当接される当接部を有すると共に、前記フレーム体の左側に螺進退可能に支持されてこの螺進退によって前記当接部を移動させる左側押圧体とを備えてなることを特徴とする爪矯正具。
【請求項2】
フレーム体の受入空間において指の爪の先端側に当接される当接部を有すると共に、前記フレーム体の上側に螺進退可能に支持されてこの螺進退によって前記当接部を移動させる上側押圧体を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の爪矯正具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、いわゆる匙状爪の矯正具に関する。
【背景技術】
【0002】
変形爪の代表的なものとして巻き爪があり、これは爪の左右両側を内側にまるめるような態様である。これとは逆の態様をとる変形爪として匙状爪(スプーン爪などとも称される。)がある。匙状爪は、爪の左右両側、及び、先端側が中央側より上方に位置するように反り返った態様である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、匙状爪を、容易且つ適切に矯正可能とする点にある。具体的には、矯正すべき爪のある指の種類や太さ、爪の変形の程度に合わせて、かかる爪にかかる変形を矯正するための外力を適切な方向から適切な大きさで安定的且つ継続的に作用できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、爪矯正具を、一つの指の指先側の受入空間を備えたフレーム体と、
前記フレーム体の受入空間において前記指の爪の右端側に当接される当接部を有すると共に、前記フレーム体の右側に螺進退可能に支持されてこの螺進退によって前記当接部を移動させる右側押圧体と、
前記フレーム体の受入空間において前記指の爪の左端側に当接される当接部を有すると共に、前記フレーム体の左側に螺進退可能に支持されてこの螺進退によって前記当接部を移動させる左側押圧体とを備えてなるものとした。
【0005】
フレーム体の受入空間内に矯正すべき爪のある指の指先側を導入させた状態から、右側押圧体及び左側押圧体の双方又はいずれか一方を螺進させることで、右側押圧体の当接部と左側押圧体の当接部との間で左右から爪を挟み込むことができる。そして、この挟み込みにより、爪の右端側及び左端側の双方又はいずれか一方が爪の中央側より上方に位置するように変形した爪にかかる変形を矯正する向きの外力を作用させることができる。矯正すべき爪のある指の種類や太さ、爪の変形の程度に合わせて、右側押圧体及び左側押圧体の螺進量を調整することで、前記変形を矯正するための外力を適切な方向から適切な大きさでかかる爪に安定的且つ継続的に作用させることができる。
【0006】
かかる爪矯正具がさらに、前記フレーム体の受入空間において前記指の爪の先端側に当接される当接部を有すると共に、前記フレーム体の上側に螺進退可能に支持されてこの螺進退によって前記当接部を移動させる上側押圧体を備えたものとしておけば、爪の先端側が中央側より上方に位置するような変形も同時に矯正することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、矯正すべき爪のある指の種類や太さ、爪の変形の程度に合わせて、かかる爪にかかる変形を矯正するための外力を適切な方向から適切な大きさで安定的且つ継続的に作用させることができ、いわゆる匙状爪の短時間での矯正が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1はこの発明の実施の形態にかかる爪矯正具(第一例)の正面図である。
図2図2図1におけるA−A線位置での断面図である。
図3図3はこの発明の実施の形態にかかる爪矯正具の他の構成例(第二例)を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図3に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる爪矯正具は、いわゆる匙状爪を短時間で矯正可能とするものである。
【0010】
典型的には、爪Nが匙状爪となっている指Fの指先Fa側を矯正具を構成する後述のフレーム体1の受入空間10に導入した状態から、後述の右側押圧体2及び左側押圧体3の双方又はいずれか一方を螺進させることで、この右側押圧体2の当接部5と左側押圧体3の当接部5との間で左右から爪Nを挟み込む。典型的には、匙状爪が所望のアーチ型の爪Nの形状となるように前記螺進量を調整する。かかる爪Nの先端側Na(爪先側)にこの先端側Naを中央側Nbより上方に位置させる変形がある場合には後述の上側押圧体4をさらに螺進させ、爪Nの先端側Naに当接されるこの上側押圧体4の当接部5とフレーム体1の下部11との間で指Fを挟み込む。このように指Fに矯正具を装着させた状態から爪Nを一定時間温める。例えば、装着具を装着させた状態で、その手あるいは足を湯に漬けるなどして15分程度加温し、この後、ドライヤーなどで矯正対象となっている爪Nを加温乾燥させる。かかる加温により爪Nは軟化し変形が解かれ易くなり、この後の乾燥により爪Nは硬化し変形が解かれた後の形状、つまり正常な爪Nの形状を保つようになる。
【0011】
矯正具は、フレーム体1と、右側押圧体2と、左側押圧体3とを備えている。この実施の形態では、さらに、矯正具は、上側押圧体4を備えている。
【0012】
フレーム体1は、一つの指Fの指先Fa側の受入空間10を備えている。フレーム体1は、左右方向に長い下部11と、左右方向に長い上部12と、下部11の右端と上部12の右端とを連接させる右側部13と、下部11の左端と上部12の左端とを連接させる左側部14とをそなえ、この下部11、上部12、右側部13及び左側部14に囲繞された空間を、前記受入空間10としている。
【0013】
図示の例では、フレーム体1は、これを正面から見た状態において、その外郭形状をハート形状とするように構成されている。すなわち、図示の例では、下部11の左右方向中程の位置と、上部12の左右方向中程の位置とを結ぶ、仮想の中心線x上において、下部11の外側には下方に突き出す頂部11aが形成され、上部12の内側には下方に突き出す頂部12aが形成され、上部12の外側には凹所12bが形成されている。
【0014】
下部11の内側は、すなわち、下部11における前記受入空間10に臨んだ側は、前記仮想の中心線xに実質的に直交する面を持つように構成されている。
【0015】
また、図示の例では、上部12の前後寸法に対し、下部11の前後寸法の方が大きくなっている一方で、正面側においては上部12の前面12cと下部11の前面11bとは面一であり、したがって、背面側においては右側部13と左側部14とは下部11に近づくに連れて前後寸法を漸増させるように構成されている。
【0016】
フレーム体1の右側部13であって、下部11との連接側には、この右側部13を内外に貫通する雌ネジ孔13aが形成されている。また、フレーム体1の左側部14であって、下部11との連接側には、この左側部14を内外に貫通する雌ネジ孔14aが形成されている。また、フレーム体1の上部12には、前記仮想の中心線xに沿って、この上部12を内外に貫通する雌ネジ孔12dが形成されている。
【0017】
右側押圧体2は、前記フレーム体1の内側において前記指Fの爪Nの右端側Ncに当接される当接部5を有すると共に、前記フレーム体1の右側に螺進退可能に支持されてこの螺進退によって前記当接部5を左右方向に移動させるようになっている。
【0018】
また、左側押圧体3は、前記フレーム体1の内側において前記指Fの爪Nの左端側Ncに当接される当接部5を有すると共に、前記フレーム体1の左側に螺進退可能に支持されてこの螺進退によって前記当接部5を左右方向に移動させるようになっている。
【0019】
また、上側押圧体4は、フレーム体1の内側において指Fの爪Nの先端側Naに当接される当接部5を有すると共に、前記フレーム体1の上側に螺進退可能に支持されてこの螺進退によって前記当接部5を上下方向に移動させるようになっている。
【0020】
図示の例では、いずれの押圧体2、3、4も、外周に雄ネジ部を備えた軸体6の内端(受入空間10内に位置される端)に当接部5を備え、かつ、これと反対の外端に摘み部7を備えている。
【0021】
当接部5は、爪N及び指Fに当たることから、プラスチックやゴムなどの金属でない材料により構成することが好ましい。図示の例では、当接部5は、一面を爪N及び指Fに対する当接面とした板状部5aと、この板状部5aの当接面と反対の背面に筒一端を一体に接合させると共に筒他端側から内部に前記軸体6の内端を受け入れこれに固着された筒状部5bとを備えている。
【0022】
右側押圧体2を構成する軸体6は、右側部13の雌ネジ孔13aに螺合され、その摘み部を使ってフレーム体1の外側から捻回操作することで、図示の例では当接部5を前記仮想の中心線xに直交する向きに移動させるようになっている。
【0023】
また、左側押圧体3を構成する軸体6は、左側部14の雌ネジ孔14aに螺合され、その摘み部を使ってフレーム体1の外側から捻回操作することで、図示の例では当接部5を前記仮想の中心線xに直交する向きに移動させるようになっている。
【0024】
また、上側押圧体4を構成する軸体6は、上部12の雌ネジ孔12dに螺合され、その摘み部を使ってフレーム体1の外側から捻回操作することで、図示の例では当接部5を前記仮想の中心線xに沿った向きに移動させるようになっている。
【0025】
フレーム体1の受入空間10内に矯正すべき爪Nのある指Fの指先Fa側を導入させた状態から、右側押圧体2及び左側押圧体3の双方又はいずれか一方を螺進させることで、右側押圧体2の当接部5と左側押圧体3の当接部5との間で左右から爪Nを挟み込むことができる。そして、この挟み込みにより、爪Nの右端側Nc及び左端側Ncの双方又はいずれか一方が爪Nの中央側Nbより上方に位置するように変形した爪Nにかかる変形を矯正する向きの外力を作用させることができる。矯正すべき爪Nのある指Fの種類や太さ、爪Nの変形の程度に合わせて、右側押圧体2及び左側押圧体3の螺進量を調整することで、前記変形を矯正するための外力を適切な方向から適切な大きさでかかる爪Nに安定的且つ継続的に作用させることができる。
【0026】
この実施の形態にあっては、爪N矯正具はさらに前記上側押圧体4を備えていることから、爪Nの先端側Naが中央側Nbより上方に位置するような変形も同時に矯正することが可能となる。
【0027】
爪N矯正具は、図3示されるように、フレーム体1と右側押圧体2と左側押圧体4との三点から構成させておくこともできる。この図3に示される例では、右側押圧部体2び左側押圧体3はそれぞれ、前記仮想の中心線xに対し下部11の側に鈍角を形成するように斜めに交叉する仮想の線分yに沿って移動し、右側押圧体3は爪Nの右端側Ncに斜め上から当接部5を当接させ、左側押圧体は爪Nの左端側Ncに斜め上から当接部5を当接させるようになっている。
【0028】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0029】
F 指
Fa 指先
N 爪
Nc 端側
1 フレーム体
10 受入空間
2 右側押圧体
3 左側押圧体
5 当接部
図1
図2
図3