(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、前記第2の3次元医用画像データを前記3次元撮影空間に配置した場合に、前記特定組織が前記1つ又は複数のX線画像データに投影された投影像を表示し、
前記第2位置合わせ部は、前記表示部を参照する操作者が、前記1つ又は複数のX線画像データにて前記特定組織に該当する位置に前記投影像の位置を対応付ける操作に基づいて、前記3次元位置情報を取得する、請求項1に記載の画像処理システム。
前記第2位置合わせ部は、位置合わせ処理を複数のX線画像データで行なう場合、前記第2の3次元医用画像データと、前記複数のX線画像データを再構成した3次元X線画像データとの位置合わせ処理を、3次元画像データ間のパターンマッチングにより行なう、請求項1に記載の画像処理システム。
前記第2位置合わせ部は、前記第2の3次元医用画像データで設定された3次元関心領域と、前記3次元X線画像データで設定された3次元関心領域との間で位置合わせ処理を行なう、請求項3に記載の画像処理システム。
前記出力部は、前記合成データを前記出力データとする場合、前記第1の3次元医用画像データと前記第2の3次元医用画像データとの表示及び非表示を切り替え可能であり、且つ、前記第1の3次元医用画像データと前記第2の3次元医用画像データとを分離可能な輝度値情報を有するデータとして構成する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像処理システム。
前記出力部は、前記第1の3次元医用画像データの解析結果である解析画像データ及び前記第2の3次元医用画像データに位置合わせ情報を付加したデータ、又は、当該解析画像データと当該第2の3次元医用画像データとを位置合わせして合成した合成データを、前記出力データとして出力する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像処理システム。
前記第1の3次元医用画像データは、3次元超音波画像データであり、前記第2の3次元医用画像データは、3次元X線CT画像データ、又は、3次元MRI画像データである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、画像処理システムの実施形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
【0010】
図1に示すように、第1の実施形態に係る画像処理システム1は、超音波診断装置100と、X線診断装置200と、X線CT(Computed Tomography)装置300と、画像保管装置400と、画像処理装置500とを有する。
図1に例示する各装置は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)600により、直接的、又は、間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、医用画像診断システムにPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
【0011】
図1に例示する各装置は、DICOM規格のデータを送受信することで、他装置から受信したデータを、自装置で読み出したり、表示したりすることが可能となる。なお、本実施形態は、他装置から受信したデータを自装置で処理可能であるならば、任意の規格に則ったデータが送受信される場合であっても良い。
【0012】
超音波診断装置100は、超音波の2次元走査を行なう超音波プローブの位置を操作者が調整することで、任意の断面の超音波画像データを生成する。また、超音波診断装置100は、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブを用いることで、超音波の3次元走査を行なって、3次元超音波画像データを生成する。また、X線診断装置200は、X線管とX線検出器とを支持するCアームの位置を固定した状態で撮影を行なうことで、2次元のX線画像データを生成する。なお、第1の実施形態に係る超音波診断装置100及びX線診断装置200については、後に詳述する。
【0013】
また、X線CT装置300は、X線を照射するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを対向する位置に支持して回転可能な回転フレームを有する。X線CT装置300は、X線管からX線を照射させながら回転フレームを回転させることで、透過、吸収、減衰を受けたX線のデータを全方位に渡り収集し、収集したデータからX線CT画像データを再構成する。X線CT画像データは、X線管とX線検出器との回転面(アキシャル面)における断層像となる。ここで、X線検出器は、チャンネル方向に配列されたX線検出素子である検出素子列が、被検体の体軸方向に沿って複数列配列されている。例えば、検出素子列が16列配列されたX線検出器を有するX線CT装置300は、回転フレームが1回転することで収集された投影データから、被検体の体軸方向に沿った複数枚(例えば16枚)のX線CT画像データを再構成する。
【0014】
また、X線CT装置300は、回転フレームを回転させるとともに、被検体を載せた天板を移動させるヘリカルスキャンにより、例えば、心臓全体を網羅した500枚のX線CT画像データを3次元X線CT画像データとして再構成することができる。或いは、例えば、検出素子列が320列配列されたX線検出器を有するX線CT装置300では、回転フレームを1回転させるコンベンショナルスキャンを行なうだけで、心臓全体を網羅した3次元X線CT画像データを再構成することができる。また、X線CT装置300は、ヘリカルスキャンやコンベンショナルスキャンを連続して行なうことで、3次元X線CT画像データを時系列に沿って撮影可能である。
【0015】
第1の実施形態では、3次元X線CT画像データを用いて、超音波診断装置100が撮影した超音波画像データと、X線診断装置200が撮影したX線画像データとの位置合わせを行なう。これについては、第1の実施形態に係る超音波診断装置100及びX線診断装置200の全体構成を説明した後、詳細に説明する。
【0016】
画像保管装置400は、医用画像データを保管するデータベースである。具体的には、画像保管装置400は、超音波診断装置100やX線診断装置200、X線CT装置300から送信された医用画像データを自装置の記憶部に格納し、保管する。画像保管装置400に保管された医用画像データは、例えば、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等の付帯情報と対応付けて保管される。
【0017】
画像処理装置500は、例えば、病院内に勤務する医師や検査技師が医用画像の読影に用いるワークステーションやPC(Personal Computer)等である。画像処理装置500の操作者は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行なうことで、必要な医用画像データを画像保管装置400から取得することができる。或いは、画像処理装置500は、超音波診断装置100やX線診断装置200、X線CT装置300から直接、画像データを受信する場合であっても良い。また、画像処理装置500は、医用画像を読影用に表示する他に、医用画像データに対して各種画像処理を行なうことが可能である。
【0018】
以下では、超音波診断装置100及びX線診断装置200が、本実施形態に係る画像処理方法を協働して実行する場合について説明する。ただし、後述する超音波診断装置100及びX線診断装置200が行なう各種処理の一部又は全ては、X線CT装置300や画像処理装置500により実行される場合であっても良い。
【0019】
なお、画像処理システム1は、PACSが導入されている場合にその適用が限られるものではない。例えば、画像処理システム1は、医用画像データが添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムが導入されている場合にも、同様に適用される。この場合、画像保管装置400は、電子カルテを保管するデータベースである。また、例えば、画像処理システム1は、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)が導入されている場合にも、同様に適用される。
【0020】
次に、
図1に示す超音波診断装置100の構成例について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ110と、モニタ120と、入力部130と、心電計140と、装置本体150と、位置センサ160と、トランスミッター161とを有する。
【0021】
超音波プローブ110は、超音波の送受信を行なう。例えば、超音波プローブ110は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体150が有する送受信部151から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ110は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ110は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ110は、装置本体150と着脱自在に接続される。
【0022】
超音波プローブ110から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ110が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0023】
ここで、第1の実施形態に係る超音波プローブ110は、超音波により被検体Pを2次元で走査するとともに、被検体Pを3次元で走査することが可能な超音波プローブである。具体的には、第1の実施形態に係る超音波プローブ110は、一列に配置された複数の圧電振動子により、被検体Pを2次元で走査するとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカル4Dプローブである。或いは、第1の実施形態に係る超音波プローブ110は、複数の圧電振動子がマトリックス状に配置されることで、被検体Pを3次元で超音波走査することが可能な2Dアレイプローブである。なお、2Dアレイプローブは、超音波を集束して送信することで、被検体Pを2次元で走査することも可能である。
【0024】
入力部130は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置100の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体150に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
【0025】
モニタ120は、超音波診断装置100の操作者が入力部130を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体150において生成された超音波画像データ等を表示したりする。
【0026】
心電計140は、被検体Pの生体信号として、被検体Pの心電波形(ECG: Electrocardiogram)を取得する。心電計140は、取得した心電波形を装置本体150に送信する。
【0027】
位置センサ160及びトランスミッター161は、超音波プローブ110の位置情報を取得するための装置である。例えば、位置センサ160は、超音波プローブ110に取り付けられる磁気センサである。また、例えば、トランスミッター161は、任意の位置に配置され、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する装置である。
【0028】
位置センサ160は、トランスミッター161によって形成された3次元の磁場を検出する。そして、位置センサ160は、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッター161を原点とする空間における自装置の位置(座標及び角度)を算出し、算出した位置を装置本体150に送信する。ここで、位置センサ160は、自装置が位置する3次元の座標及び角度を、超音波プローブ110の3次元位置情報として、装置本体150に送信する。
【0029】
なお、本実施形態は、位置センサ160及びトランスミッター161を用いた位置検出システム以外のシステムにより、超音波プローブ110の位置情報を取得する場合であっても適用可能である。例えば、本実施形態は、ジャイロセンサや加速度センサ等を用いて、超音波プローブ110の位置情報を取得する場合であっても良い。
【0030】
装置本体150は、超音波プローブ110が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。
図1に示す装置本体150は、超音波プローブ110が受信した2次元の反射波データに基づいて2次元の超音波画像データを生成可能な装置である。また、
図1に示す装置本体150は、超音波プローブ110が受信した3次元の反射波データに基づいて3次元の超音波画像データを生成可能な装置である。
【0031】
装置本体150は、
図1に示すように、送受信部151と、Bモード処理部152と、ドプラ処理部153と、画像生成部154と、画像メモリ155と、画像処理部156と、制御部157と、内部記憶部158と、インターフェース部159とを有する。
【0032】
送受信部151は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ110に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ110から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ110に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0033】
なお、送受信部151は、後述する制御部157の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬時にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0034】
また、送受信部151は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ110が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0035】
送受信部151は、被検体Pを2次元走査する場合、超音波プローブ110から2次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信部151は、超音波プローブ110が受信した2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、送受信部151は、被検体Pを3次元走査する場合、超音波プローブ110から3次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信部151は、超音波プローブ110が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0036】
なお、送受信部151からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
【0037】
Bモード処理部152は、送受信部151から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0038】
ドプラ処理部153は、送受信部151から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0039】
なお、第1の実施形態に係るBモード処理部152及びドプラ処理部153は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理部152は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理部153は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0040】
画像生成部154は、Bモード処理部152及びドプラ処理部153が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部154は、Bモード処理部152が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成部154は、ドプラ処理部153が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表す2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらを組み合わせた画像である。
【0041】
ここで、画像生成部154は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部154は、超音波プローブ110による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成部154は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成部154は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0042】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成部154が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
【0043】
更に、画像生成部154は、Bモード処理部152が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成部154は、ドプラ処理部153が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成部154は、「3次元Bモード画像データや3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ」として生成する。
【0044】
更に、画像生成部154は、3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)をモニタ120にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう。画像生成部154が行なうレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planar Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成部154が行なうレンダリング処理としては、ボリュームデータに対して「Curved MPR」を行なう処理や、ボリュームデータに対して「Maximum Intensity Projection」を行なう処理がある。また、画像生成部154が行なうレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
【0045】
画像メモリ155は、画像生成部154が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ155は、Bモード処理部152やドプラ処理部153が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ155が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成部154を経由して表示用の超音波画像データとなる。なお、画像生成部154は、超音波画像データと当該超音波画像データを生成するために行なわれた超音波走査の時間とを、心電計140から送信された心電波形に対応付けて画像メモリ155に格納する。後述する解析部156aや制御部157は、画像メモリ155に格納されたデータを参照することで、超音波画像データを生成するために行なわれた超音波走査時の心時相を取得することができる。
【0046】
内部記憶部158は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部158は、必要に応じて、画像メモリ155が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶部158が記憶するデータは、後述するインターフェース部159を経由して、外部の装置へ転送することができる。また、外部装置が記憶するデータも、後述するインターフェース部159を経由して、内部記憶部158に転送することができる。なお、外部装置は、例えば、
図1に示すX線診断装置200や、X線CT装置300、画像保管装置400、画像処理装置500等である。
【0047】
画像処理部156は、コンピュータ支援診断(Computer-Aided Diagnosis:CAD)を行なうために、装置本体150に設置される。画像処理部156は、画像メモリ155に格納された超音波画像データを取得して、画像解析処理を行なう。そして、画像処理部156は、解析結果を、画像メモリ155や内部記憶部158に格納する。
【0048】
画像処理部156は、
図1に示すように、解析部156aと位置合わせ部156bとを有する。解析部156aは、被検体Pを3次元超音波走査することで生成された時系列に沿った3次元超音波画像データ群を解析して、所定組織における局所的な運動に関する3次元解析画像データを生成する。
【0049】
ここで、所定組織とは、心臓であり、解析部156aは、心壁の各領域の運動に関する情報を生成する。そして、解析部156aは、超音波画像データの心筋内膜や、心筋内膜と外膜との間に、心壁運動情報をマッピングされた解析画像データを生成する。第1の実施形態に係る解析部156aは、3次元超音波画像データ群を用いて、3次元の心壁運動情報の時系列データを生成する。
【0050】
以下、第1の実施形態に係る解析部156aが行なう解析処理について、
図3〜
図6を用いて説明する。
図3〜
図6は、第1の実施形態に係る解析部を説明するための図である。
【0051】
まず、3次元走査可能な超音波プローブ110を用いて、操作者は、被検体Pの心臓の左心系を、例えば、心尖部アプローチにより1心拍以上の期間で3次元走査する。これにより、画像生成部154は、1心拍以上の期間の時系列に沿った複数の3次元超音波画像データを生成し、画像メモリ155に格納する。画像メモリ155に格納された複数の3次元超音波画像データは、少なくとも左心室を含む心臓を1心拍以上の期間で超音波走査することで生成された3次元超音波画像データ群である。なお、上記の3次元超音波画像データ群は、3次元Bモード画像データ群である。
【0052】
そして、解析部156aは、
図3に例示するように、1心拍以上の時系列に沿った複数の3次元超音波画像データを取得する。各3次元超音波画像データには、被検体Pの左心室が含まれている。
【0053】
そして、解析部156aは、3次元超音波画像データ群から、左心室における心壁運動情報の時系列データを算出する。具体的には、解析部156aは、画像データ間のパターンマッチングを含む処理により上述する追跡点を追跡した結果を用いて、心壁運動情報の算出処理を行なう。より具体的には、解析部156aは、3次元心エコー法で得られた3次元動画像データに対して3次元スペックルトラッキング(3D Speckle Tracking、以下「3DT」)を行なった結果を用いて、心壁運動情報を算出する。スペックルトラッキング法は、パターンマッチング処理と共に、例えば、オプティカルフロー法や種々の時空間補間処理を併用することで、正確な動きを推定する方法である。また、スペックルトラッキング法には、パターンマッチング処理を行なわずに、動きを推定する方法もある。
【0054】
例えば、入力部130は、操作者から、3次元超音波画像データ群の第1フレーム(第1ボリューム)の表示要求を受け付ける。表示要求が転送された制御部157は、第1フレームの3次元超音波画像データを画像メモリ155から読み出して、モニタ120に表示させる。例えば、制御部157は、第1フレームの3次元超音波画像データを複数方向の断面にて切断した複数のMPR画像データを画像生成部154に生成させ、モニタ120に表示させる。例えば、モニタ120は、
図4に示すように、複数のMPR画像データを表示する。
【0055】
図4に示す一例では、モニタ120は、領域Aに、A面のMPR画像データを表示する。また、
図4に示す一例では、モニタ120は、領域Bに、B面のMPR画像データを表示する。また、
図4に示す一例では、モニタ120は、領域C3に、心尖部に近いC3レベルのC面のMPR画像データを表示する。また、
図4に示す一例では、モニタ120は、領域C3に、心基部に近いC7レベルのC面のMPR画像データを表示する。また、
図4に示す一例では、モニタ120は、領域C5に、心尖部と心基部との中間に位置するC5レベルのC面のMPR画像データを表示する。
図4に示す一例では、左側の表示領域において、上から順に、領域C3、領域C5,領域C7が配置され、領域C3及び領域C5の右側に領域Aが配置され、領域Aの右側に領域Bが配置されている。
【0056】
なお、
図4に示す一例では、モニタ120は、画面右下の領域に、第1フレームの3次元超音波画像データのボリュームレンダリング画像と、心電波形とを表示している。
【0057】
そして、操作者は、モニタ120に表示された複数のMPR画像データを参照して、3DTを行なう追跡点を複数設定する。一例を挙げると、操作者は、各MPR画像データにおいて、左心室内膜や心筋外膜の位置をトレースし、内膜輪郭及び外膜輪郭を指定する。解析部156aは、指定された内膜輪郭及び外膜輪郭から、3次元的な内膜輪郭及び3次元的な外膜輪郭を構成する。そして、解析部156aは、
図5に例示するように、第1フレームの3次元内膜輪郭を構成する各点を追跡点として設定する。また、図示しないが、解析部156aは、第1フレームの3次元外膜輪郭を構成する各点を追跡点として設定する。そして、解析部156aは、第1フレームで設定された複数の追跡点それぞれに対して、テンプレートデータを設定する。テンプレートデータは、追跡点を中心とする複数のボクセルから構成される。
【0058】
そして、解析部156aは、2つのフレーム間でテンプレートデータのスペックルパターンと最も一致する領域を探索することで、テンプレートデータが次のフレームでどの位置に移動したかを追跡する。これにより、解析部156aは、
図5に示すように、第1フレームの各追跡点が、第nフレームのどの位置に移動したかを追跡する。なお、追跡点を設定するためのメッシュは、解析部156aが第1フレームに含まれる左心室の心内膜面や心外膜面を検出することで設定する場合であっても良い。
【0059】
解析部156aは、左心室全体(例えば、左心室の心内膜及び左心室の心外膜)を対象として、3次元超音波画像データ群に対する3DTを行なう。そして、解析部156aは、3次元超音波画像データ群に対する3DTの結果から、各追跡点にて、心壁運動情報の時系列データを生成する。例えば、解析部156aは、心内膜及び心外膜の3DTの結果から、心壁運動情報として歪み(Strain)を算出する。解析部156aは、長軸(Longitudinal)方向の歪み(LS)や、円周(Circumferential)方向の歪み(CS)、壁厚(Radial)方向の歪み(RS)を算出する。
【0060】
或いは、例えば、解析部156aは、内膜の3DTの結果から、心壁運動情報として、左室心内膜面の面積変化率(Area Change ratio:AC)を算出する。或いは、例えば、解析部156aは、心内膜又は心外膜の3DTの結果から、変位(Displacement)を算出しても良い。心壁運動情報として変位を用いる場合、解析部156aは、長軸方向の変位(LD)や、壁厚方向の変位(RD)を算出することができる。或いは、解析部156aは、基準時相(例えば、R波)での追跡点の位置に対する、基準位相以外の時相での追跡点の移動距離(Absolute Displacement:AD)を算出しても良い。また、解析部156aは、心臓の動きの非同期性を捕らえるために、Strain値が一定以上大きくなった時間をマッピングする解析結果や、Strain値が最大値に達する時間をマッピングする解析結果を算出してもよい。
【0061】
ここで、解析部156aは、追跡点ごとに、心壁運動情報の時系列データを生成する場合であっても、局所的な領域ごとに、心壁運動情報の時系列データを生成する場合であっても良い。例えば、解析部156aは、アメリカ心エコー図学会やアメリカ心臓協会が推奨する16や17分画の分割領域を用いて、局所的な心壁運動情報を算出する。例えば、アメリカ心エコー図学会などが推奨する分画としては、前壁中隔(ant-sept.)、前壁(ant.)、側壁(lat.)、後壁(post.)、下壁(inf.)、中隔(sept.)等が挙げられる。
【0062】
そして、例えば、解析部156aは、
図6に示すように、各追跡点で得られた心壁運動情報の値をカラーに変換したうえで、3次元の内膜輪郭のサーフェスレンダリング画像にマッピングした3次元解析画像データを生成する。操作者は、視点位置を移動させることで、
図6に例示する3次元解析画像データを、モニタ120にて様々な方向から観察することができる。或いは、例えば、解析部156aは、各追跡点で得られた心壁運動情報の値をカラーに変換したうえで、16分画のPolar-mapにマッピングした3次元解析画像データを生成する。
【0063】
図2に戻って、位置合わせ部156bは、超音波画像データと、他種の3次元医用画像データとの位置合わせ処理を行なう。他種の3次元医用画像データとは、例えば、X線CT装置300から受信した3次元X線CT画像データである。或いは、他種の3次元医用画像データとは、
図1に図示していない磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置から受信した3次元MRI画像データである。第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、位置センサ160及び位置合わせ部156bの処理により、2次元超音波画像データを生成するために行なわれた2次元超音波走査の断面と略同一断面の医用画像データを画像生成部154に生成させ、モニタ120に表示させることができる。
【0064】
例えば、操作者は、超音波プローブ110を用いて被検体Pの心エコー検査を行なう前に、被検体Pの心臓を撮影した3次元X線CT画像データの転送要求を行なう。また、操作者は、被検体Pの検査部位が描出された2次元X線CT画像データがモニタ120に表示されるように、入力部130を介してMPR処理用の切断面の位置を調整する。
【0065】
そして、位置合わせ部156bの制御により、画像生成部154は、操作者が調節した切断面(以下、初期断面)により3次元X線CT画像データを切断した2次元X線CT画像データを生成し、モニタ120は、画像生成部154が生成した2次元X線CT画像データを表示する。操作者は、モニタ120に表示されたX線CT画像データと同一断面の超音波走査が行なわれるように、超音波プローブ110を操作する。そして、操作者は、モニタ120に表示された2次元X線CT画像データと2次元超音波画像データとが略同一断面であると判断した場合、例えば、双方の画像データにて対応する3つの点を指定する。或いは、操作者は、例えば、双方の画像データにて対応する1つ以上の点と、軸(線)とを指定する。そして、操作者は、入力部130の確定ボタンを押下する。位置合わせ部156bは、確定ボタンが押下された時点で位置センサ160から取得した超音波プローブ110の3次元位置情報を初期位置情報と設定する。また、位置合わせ部156bは、対応付けられた点又は線により、2次元超音波画像データの座標系と3次元X線CT画像データの座標系との位置合わせを行なう。
図7は、第1の実施形態に係る位置合わせ部を説明するための図である。
【0066】
その後、位置合わせ部156bは、位置センサ160及びトランスミッター161で構成される位置検出システムから、
図7に示す2次元超音波画像データBの生成時における超音波プローブ110の3次元位置情報を取得する。そして、位置合わせ部156bは、取得した3次元位置情報と初期位置情報との移動情報を取得し、取得した移動情報に基づいて初期断面の位置を変更することで、MPR用の切断面を再設定する。そして、位置合わせ部156bの制御により、画像生成部154は、位置合わせ部156bが再設定した切断面により、
図7に示す3次元X線CT画像データAから2次元X線CT画像データCを生成する。そして、位置合わせ部156bの制御により、モニタ120は、
図7に示すように、2次元X線CT画像データCと2次元超音波画像データBとを並列表示する。なお、上記では、位置センサ160を用いて位置合わせを行なう場合について説明した。しかし、3次元超音波画像データと3次元X線CT画像データ(又は、3次元MRI画像データ)との位置合わせは、3次元超音波画像データを収集した後に、双方の画像データ上で共通する特徴点を3点以上設定すれば、位置センサ160を使用しなくても同様に可能である。例えば、双方のMPR画像データを表示して、共通する特徴点を個別に設定し、3点以上設定した時点で画像を同期させれば、マウス等のインターフェースにより位置センサ160を用いた場合と同様の同時表示が可能である。
【0067】
かかる同時表示機能により、操作者は、例えば、超音波画像と、当該超音波画像と略同一断面のX線CT画像とを同時に観察することができる。また、3次元走査が可能な超音波プローブ110を用いて2次元走査を行なわれて、初期位置情報と、対応付けられた点や線の位置情報を取得しておくことで、位置合わせ部156bは、3次元で超音波走査が行なわれた3次元領域と略同一の3次元領域を3次元X線CT画像データにおいて同定することができる。また、位置合わせ部156bは、3次元超音波画像データを構成する各ボクセルと3次元X線CT画像データを構成する各ボクセルとの位置合わせを行なうことができる。
【0068】
すなわち、位置合わせ部156bは、3次元超音波画像データと3次元X線CT画像データとの位置合わせや、3次元超音波画像データと3次元MRI画像データとの位置合わせを行なうことができる。更に、位置合わせ部156bは、3次元超音波画像データと3次元X線CT画像データとの位置合わせ情報を用いて、3次元解析画像データと3次元X線CT画像データとの位置合わせを行なうことができ、同様に、3次元超音波画像データと3次元MRI画像データとの位置合わせ情報を用いて、3次元解析画像データと3次元MRI画像データとの位置合わせを行なうことができる。また、3次元X線CT画像データや3次元MRI画像データが造影撮影された3次元造影画像データである場合、3次元造影画像データからセグメンテーションされた3次元造影領域データと3次元解析画像データとの位置合わせを行なうことができる。
【0069】
図2に戻って、制御部157は、超音波診断装置100の処理全体を制御する。具体的には、制御部157は、入力部130を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部158から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部151、Bモード処理部152、ドプラ処理部153、画像生成部154及び解析部156aの処理を制御する。また、制御部157は、画像メモリ155や内部記憶部158が記憶する表示用の超音波画像データをモニタ120にて表示するように制御する。また、制御部157は、解析部156aの処理結果をモニタ120に表示するように制御する。
【0070】
また、制御部157は、解析部156aの処理結果等を、後述するインターフェース部159を経由して、外部の装置へ出力する。外部装置は、例えば、
図1に示すX線診断装置200や、X線CT装置300、画像保管装置400、画像処理装置500等である。第1の実施形態に係る制御部157は、出力データの出力処理を行なうとともに、出力データのデータ形式を制御するための処理部として、
図1に示す出力部157aを有する。なお、出力部157aが行なう処理については、後に詳述する。
【0071】
インターフェース部159は、入力部130、院内LAN600、X線診断装置200、X線CT装置300、画像保管装置400及び画像処理装置500に対するインターフェースである。例えば、入力部130が受け付けた操作者からの各種設定情報及び各種指示は、インターフェース部159により、制御部157に転送される。また、例えば、出力部157aが出力した出力データは、インターフェース部159により、院内LAN600を介して、X線診断装置200に送信される。また、例えば、X線CT装置300や画像保管装置400が送信した3次元医用画像データ等のデータは、インターフェース部159を経由して、内部記憶部158に格納される。
【0072】
次に、
図1に示すX線診断装置200の構成例について、
図8を用いて説明する。
図8は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図である。
図8に例示するように、第1の実施形態に係るX線診断装置200は、X線高電圧装置211と、X線管212と、X線絞り装置213と、天板214と、Cアーム215と、X線検出器216とを備える。また、第1の実施形態に係るX線診断装置200は、Cアーム回転・移動機構217と、天板移動機構218と、Cアーム・天板機構制御部219と、絞り制御部220と、システム制御部221と、入力部222と、表示部223とを備える。また、第1の実施形態に係るX線診断装置200は、画像データ生成部224と、画像データ記憶部225と、画像処理部226とを備える。
【0073】
X線高電圧装置211は、システム制御部221の制御に基づいて、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管212に供給する。X線管212は、X線高電圧装置211から供給される高電圧を用いて、X線を発生する。
【0074】
X線絞り装置213は、絞り制御部220の制御に基づいて、X線管212が発生したX線を、被検体Pの関心領域に対して選択的に照射されるように絞り込む。例えば、X線絞り装置213は、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。X線絞り装置213は、絞り制御部220の制御に基づいて、これらの絞り羽根をスライドさせることで、X線管212が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。天板214は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。
【0075】
X線検出器216は、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出器216は、マトリックス状に配列された検出素子を有する。各検出素子は、被検体Pを透過したX線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積した電気信号を画像データ生成部224に送信する。
【0076】
Cアーム215は、X線管212、X線絞り装置213及びX線検出器216を保持する。X線管212及びX線絞り装置213とX線検出器216とは、Cアーム215により被検体Pを挟んで対向するように配置される。
【0077】
Cアーム回転・移動機構217は、Cアーム215を回転及び移動させるための機構であり、天板移動機構218は、天板214を移動させるための機構である。Cアーム・天板機構制御部219は、システム制御部221の制御に基づいて、Cアーム回転・移動機構217及び天板移動機構218を制御することで、Cアーム215の回転や移動、天板214の移動を調整する。絞り制御部220は、システム制御部221の制御に基づいて、X線絞り装置213が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
【0078】
画像データ生成部224は、X線検出器216によってX線から変換された電気信号を用いてX線画像データを生成し、生成したX線画像データを画像データ記憶部225に格納する。例えば、画像データ生成部224は、X線検出器216から受信した電気信号に対して、電流・電圧変換やA(Analog)/D(Digital)変換、パラレル・シリアル変換を行なって、X線画像データを生成する。
【0079】
画像データ記憶部225は、画像データ生成部224によって生成された画像データを記憶する。画像処理部226は、画像データ記憶部225が記憶する画像データに対して各種画像処理を行う。画像処理部226が行なう画像処理については後に詳述する。
【0080】
入力部222は、X線診断装置200を操作する医師や技師等の操作者から各種指示を受け付ける。例えば、入力部222は、マウス、キーボード、ボタン、トラックボール、ジョイスティック等を有する。入力部222は、操作者から受け付けた指示を、システム制御部221に転送する。
【0081】
表示部223は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、画像データ記憶部225が記憶する画像データ等を表示する。例えば、表示部223は、モニタを有する。なお、表示部223は、複数のモニタを有しても良い。
【0082】
システム制御部221は、X線診断装置200全体の動作を制御する。例えば、システム制御部221は、入力部222から転送された操作者の指示に従ってX線高電圧装置211を制御し、X線管212に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量や、X線照射のON/OFFを制御する。また、例えば、システム制御部221は、操作者の指示に従ってCアーム・天板機構制御部219を制御し、Cアーム215の回転や移動、天板214の移動を調整する。また、例えば、システム制御部221は、操作者の指示に従って絞り制御部220を制御し、X線絞り装置213が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
【0083】
また、システム制御部221は、操作者の指示に従って、画像データ生成部224による画像データ生成処理や、画像処理部226による画像処理等を制御する。また、システム制御部221は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや画像データ記憶部225が記憶する画像データなどを、表示部223のモニタに表示するように制御する。
【0084】
ここで、システム制御部221は、超音波診断装置100から受信した出力データを用いて各種処理を行なうために、
図3に示すように、取得部221aを有する。取得部221aは、後述する位置合わせ処理等を行なう処理部である。すなわち、画像処理システム1は、上述した位置合わせ部156bを第1位置合わせ部とすると、第2位置合わせ部としての取得部221aを有する。なお、取得部221aが行なう処理については後に詳述する。
【0085】
インターフェース部227は、院内LAN600、X線診断装置200、X線CT装置300、画像保管装置400及び画像処理装置500に対するインターフェースである。例えば、本実施形態に係るインターフェース部227は、超音波診断装置100が出力した出力データを受信し、受信した出力データをシステム制御部221が有する取得部221aに転送する。
【0086】
以上、第1の実施形態に係る画像処理システム1の全体構成について説明した。かかる構成において、第1の実施形態に係る画像処理システム1では、超音波診断装置100を用いた超音波検査により、治療が必要とされる部位が特定される。具体的には、心臓再同期医療法(CRT:Cardiac Resynchronization Therapy)において、ペースメーカの電極を留置する非同期部位が、解析部156aが生成した3次元解析画像データから特定される。ここで、CRTでは、医師は、X線診断装置200によって透視撮影されたX線画像を参照しながら、非同期部位に最も近い静脈に電極を留置する。しかし、X線透視下では、心壁の内外膜面が判別困難であることから、X線画像データと解析画像データとの位置合わせ、すなわち、X線画像データと超音波画像データとの位置合わせが困難であった。
【0087】
そこで、第1の実施形態では、超音波診断で特定された部位をX線透視下で判別するために、
図9に示す各部が以下の処理を行なう。
図9は、第1の実施形態に係る画像処理システムが行なう画像処理方法を実行する処理部を示す図である。
【0088】
第1の実施形態では、まず、超音波診断装置100が有する第1位置合わせ部としての位置合わせ部156bは、被検体Pの所定組織を撮影した第1の3次元医用画像データと第2の3次元医用画像データとの位置合わせを行なう。ここで、上記の第1の3次元医用画像データは、所定組織の運動を解析可能な3次元医用画像データである。具体的には、第1の3次元医用画像データは、3次元超音波画像データである。また、上記の第2の3次元医用画像データは、X線画像データで判別可能な特定組織が映像化された3次元医用画像データである。すなわち、第1位置合わせ部としての位置合わせ部156bは、被検体Pの所定組織を撮影した3次元超音波画像データと、被検体Pの所定組織を撮影した3次元医用画像データでありX線画像データで判別可能な特定組織が映像化された3次元医用画像データであり3次元超音波画像データと異なる第2の3次元医用画像データとの位置合わせを行なう。ここで、所定組織とは、心臓である。また、具体的には、上記の第2の3次元医用画像データは、3次元X線CT画像データ、又は、3次元MRI画像データである。上記の第2の3次元医用画像データは、一例として、3次元造影画像データであり、冠動脈(coronary artery)や冠静脈(coronary vein)が造影された3次元X線CT画像データや、冠動脈や冠静脈が造影された3次元MRI画像データである。上記の特定組織は、X線画像データで識別可能な組織である。具体的には、上記の特定組織は、所定組織である心臓を造影撮影して得られたX線造影画像データで識別可能な組織である。例えば、上記の特定組織は、冠動脈や冠静脈である。なお、特定組織が映像化された第2の3次元医用画像データは、3次元造影画像データ以外にも、例えば、非造影撮影により血流がラベルされた3次元MRI画像データであっても良い。以下では、第2の3次元医用画像データが3次元造影画像データである場合について説明する。
【0089】
ここで、冠動脈の染影度が冠静脈の染影度より高いことから、3次元造影画像データは、冠動脈が造影された3次元X線CT画像データや、冠動脈が造影された3次元MRI画像データを用いることが好適である。以下では、特定組織である冠動脈が造影された3次元X線CT画像データが、第2の3次元医用画像データとしての3次元造影画像データである場合について説明する。
【0090】
そして、超音波診断装置100が有する出力部157aは、第1の3次元医用画像データ(3次元超音波画像データ)及び第2の3次元医用画像データ(3次元造影画像データ)に位置合わせ情報を付加したデータを出力データとして出力する。或いは、出力部157aは、第1の3次元医用画像データ(3次元超音波画像データ)と第2の3次元医用画像データ(3次元造影画像データ)とを位置合わせして合成した合成データを、出力データとして出力する。
【0091】
そして、X線診断装置200が有する第2位置合わせ部としての取得部221aは、出力データを受信して、第2の3次元医用画像データと、被検体Pの所定組織を複数の撮影方向から撮影して得られた撮影方向に対応する複数のX線画像データとの位置合わせを行なう。或いは、第2位置合わせ部としての取得部221aは、第2の3次元医用画像データと、被検体Pの所定組織を1つの撮影方向から撮影して得られた撮影方向に対応する1つのX線画像データとの位置合わせを行なう。そして、X線診断装置200が有する表示部223は、第1位置合わせ部である位置合わせ部156bの位置合わせ結果、及び、第2位置合わせ部である取得部221aの位置合わせ結果に基づいて、第1の3次元医用画像データが、所定組織のX線画像データに位置合わせされた画像データを表示する。
【0092】
具体的には、取得部221aは、第2の3次元医用画像データと複数のX線画像データとの位置合わせ結果に基づいて、X線画像データの3次元撮影空間における特定組織の3次元位置情報を取得する。或いは、取得部221aは、第2の3次元医用画像データと1つのX線画像データとの位置合わせ結果に基づいて、X線画像データの3次元撮影空間における特定組織の3次元位置情報を取得する。
【0093】
より具体的には、取得部221aの制御により、表示部223は、第2の3次元医用画像データをX線診断装置200の3次元撮影空間に配置した場合に、特定組織が複数のX線画像データに投影された投影像を表示する。そして、取得部221aは、表示部223を参照する操作者が、上記の複数のX線画像データにて特定組織に該当する位置に投影像の位置を対応付ける操作に基づいて、3次元位置情報を取得する。或いは、取得部221aの制御により、表示部223は、第2の3次元医用画像データをX線診断装置200の3次元撮影空間に配置した場合に、特定組織が1つのX線画像データに投影された投影像を表示する。そして、取得部221aは、表示部223を参照する操作者が、上記の1つのX線画像データにて特定組織に該当する位置に投影像の位置を対応付ける操作に基づいて、3次元位置情報を取得する。
【0094】
すなわち、取得部221aが行なう位置合わせ処理は、「2次元のX線画像データに描出された2次元の特定組織」と、「第2の3次元医用画像データに描出された3次元の特定組織を、当該X線画像データの撮影方向に投影した2次元の特定組織」と3点以上で対応付けることで行なわれる。このため、第2位置合わせ部としての取得部221aは、1つの撮影方向から撮影して得られた1つのX線画像データを用いて、位置合わせ処理を行なうことが可能である。
【0095】
そして、表示部223は、特定組織の3次元位置情報、及び、第1の3次元医用画像データと第2の3次元医用画像データとの相対的位置関係に基づいて、第1の3次元医用画像データ、又は、第1の3次元医用画像データを解析することで生成された解析画像データが、所定組織のX線画像データに位置合わせされた画像データを表示する。
【0096】
ここで、第2位置合わせ部としての取得部221aが位置合わせ処理を行なう「1つ又は複数のX線画像データ」は、「特定組織を造影撮影して得られた1つ又は複数のX線造影画像データ」である。或いは、第2位置合わせ部としての取得部221aが位置合わせ処理を行なう「1つ又は複数のX線画像データ」は、「器具が挿入された特定組織を撮影して得られた1つ又は複数のX線画像データ」である。上記の器具は、例えば、冠動脈、又は、冠静脈に挿入されたガイドワイヤである。ガイドワイヤは、X線不透過性であるため、ガイドワイヤが挿入された状態で撮影されたX線画像データには、造影剤を注入することなく、冠動脈、又は、冠静脈に対応する領域が明瞭に描出される。
【0097】
以下では、取得部221aが、「複数のX線画像データ」として「複数の撮影方向で造影撮影された複数のX線造影画像データ」を用いて、位置合わせ処理を行なう場合について説明する。ただし、以下で説明する内容は、「複数のX線画像データ」が「ガイドワイヤ挿入時に複数の撮影方向で撮影された複数のX線画像データ」である場合でも適用可能である。また、以下で説明する内容は、「1つのX線画像データ」として「1つの撮影方向で造影撮影された1つのX線画像データ」を用いる場合や、「ガイドワイヤ挿入時に1つの撮影方向で撮影された1つのX線画像データ」を用いる場合でも適用可能である。
【0098】
例えば、取得部221aは、出力データを受信して、3次元造影画像データと、被検体Pの心臓を複数方向から撮影した複数のX線造影画像データそれぞれとの位置合わせを行なって、X線造影画像データの3次元撮影空間における特定組織の3次元位置情報を取得する。
【0099】
そして、例えば、表示部223は、特定組織の3次元位置情報及び3次元超音波画像データと3次元造影画像データとの相対的位置関係に基づいて、上記の解析画像データ(3次元解析画像データ)が、所定組織のX線画像データに位置合わせされた画像データを表示する。
【0100】
以下、
図9に示す各部が行なう処理の一例について、説明する。
図10及び
図11は、第1の実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理の一例を説明するための図である。
【0101】
上述したように、位置合わせ部156bは、位置センサ160及びトランスミッター161で構成される位置検出システムを用いて、3次元造影画像データからセグメンテーションされた3次元造影領域データと3次元解析画像データとの位置合わせを行なうことができる。本実施形態では、一例として、位置合わせ部156bは、3次元超音波画像データ群から生成された3次元解析画像データ群の中で、拡張末期の3次元解析画像データ(
図6を参照)を位置合わせの対象とする。
【0102】
また、位置合わせ部156bは、3次元X線CT画像データ(
図10の左図を参照)に対して、ボクセル値に対する閾値処理や、領域拡張法を用いて、冠動脈を抽出した3次元造影領域データ(
図10の右図を参照)を位置合わせの対象とする。ここで、時系列に沿った3次元X線CT画像データ群として取得している場合、位置合わせ部156bは、拡張末期の3次元解析画像データから冠動脈を抽出したデータである3次元造影領域データを位置合わせの対象とする。なお、本実施形態は、例えば、X線CT装置300や画像処理装置500がセグメンテーション処理を行なった3次元造影領域データを用いる場合であっても良い。
【0103】
ここで、第1の実施形態では、位置合わせ部156bは、位置検出システムを用いずに、位置合わせ処理を行なっても良い。例えば、位置合わせ部156bは、所定時相の3次元超音波画像データを複数の視点方向から投影した投影像それぞれと、所定時相の3次元X線CT画像データを複数の視点方向から投影した投影像それぞれとが、重なるように3次元空間上での位置と、3軸の角度を調整する。これにより、位置合わせ部156bは、同一時相の3次元超音波画像データと3次元X線CT画像データとの位置合わせを行なう。かかる処理により、位置合わせ部156bは、同一時相の3次元解析データと3次元造影領域データとの位置合わせを行なうことができる。
【0104】
そして、出力部157aは、「3次元超音波画像データの解析結果である解析画像データ」及び「第2の3次元医用画像データ」に「位置合わせ情報」を付加したデータを出力データとして出力する。上記の第2の3次元医用画像データは、第2の3次元医用画像データから「映像化された特定組織」が抽出された「3次元映像化領域画像データ」であっても良い。具体的には、出力部157aは、同一時相の3次元解析データと3次元造影領域データと位置合わせ情報とを出力データとして取得部221aに送信する。取得部221aは、位置合わせ情報を用いて、
図11に示すように、3次元解析データと3次元造影領域データと位置合わせした状態で、3次元空間に配置することができる。
【0105】
或いは、出力部157aは、解析画像データと第2の3次元医用画像データとを位置合わせして合成した合成データを、出力データとして出力する。上記の第2の3次元医用画像データは、第2の3次元医用画像データから「映像化された特定組織」が抽出された3次元映像化領域画像データであっても良い。具体的には、出力部157aは、同一時相の3次元解析データと3次元造影領域データとを位置合わせして合成した合成データを、出力データとして出力する。かかる合成データは、
図11に示すようなデータとなる。なお、出力部157aは、合成データを出力データとする場合、第1の3次元医用画像データである「3次元超音波画像データ(3次元解析データ)」と、第2の3次元医用画像データである「3次元造影画像データ(3次元造影領域データ)」との表示及び非表示を切り替え可能であり、且つ、分離可能な特定情報を有するデータとして構成する。
【0106】
すなわち、合成データの3次元造影画像データ(3次元造影領域データ)は、取得部221aの処理で用いられ、3次元超音波画像データ(3次元解析データ)は、最終的に表示部223で表示される。このことから、これら2つのデータは、表示及び非表示を切り替え可能であり、且つ、分離可能であることが望ましい。例えば、出力部157aは、特定情報として輝度値を用い、3次元解析画像データを、512階調のうち、511階調の輝度値で構成されるデータとし、3次元造影領域データを、512階調のうち、1階調の輝度値で構成されるデータとして合成データを生成する。
【0107】
なお、本実施形態は、出力データとして3次元造影画像データを用い、X線診断装置200が有する画像処理部226が、3次元造影画像データから3次元造影領域データを抽出しても良い。
【0108】
そして、X線診断装置200の取得部221aは、出力データを受信する。そして、取得部221aは、X線造影画像データと超音波画像データとの位置合わせを、出力データを用いて実行する。
図12及び
図13は、第1の実施形態に係るX線診断装置が行なう処理の一例を説明するための図である。
【0109】
まず、取得部221aの制御により、X線診断装置200は、被検体Pの心臓を複数方向から造影撮影して、複数のX線造影画像データを生成する。例えば、取得部221aの制御により、X線管212は、
図12に示すように、第1方向から被検体PにX線を照射し、X線検出器216は、第1方向にて被検体Pを透過したX線を検出する。これにより、画像データ生成部224は、第1方向のX線造影画像データを生成する。また、例えば、取得部221aの制御により、X線管212は、
図12に示すように、第2方向から被検体PにX線を照射し、X線検出器216は、第2方向にて被検体Pを透過したX線を検出する。これにより、画像データ生成部224は、第2方向のX線造影画像データを生成する。
【0110】
そして、取得部221aは、第1方向のX線造影画像データ及び第2方向のX線造影画像データと、出力データとを用いて、特定組織の3次元位置情報を取得する。なお、特定組織が冠動脈であることから、第1方向のX線造影画像データ及び第2方向のX線造影画像データは、動脈相のX線造影画像データとなる。ただし、特定組織が冠静脈である場合、第1方向のX線画像データ及び第2方向のX線画像データは、静脈相のX線造影画像データとなる。
【0111】
取得部221aは、
図13に示すように、3次元造影領域データで抽出されている冠動脈を、2方向のX線造影画像データそれぞれに描出された冠動脈に対応付けることで、3次元造影領域データの冠動脈の3次元位置情報を取得する。この対応付けは、冠動脈の走行経路により行なわれる対応付けであり、3点以上の対応付けとなる。
【0112】
まず、取得部221aは、3次元造影領域データを、X線診断装置100の3次元撮影空間に配置する。ここで、3次元造影領域データが配置される位置は、例えば、操作者により設定される。或いは、配置位置は、例えば、予め設定された位置である。そして、取得部221aは、3次元造影領域データの特定組織(冠動脈)が複数のX線画像データそれぞれに投影された投影像を、画像処理部226に生成させる。例えば、取得部221aの制御により、画像処理部226は、3次元撮影空間に配置された3次元造影領域データを第1方向及び第2方向それぞれに投影した投影像を生成する。
【0113】
そして、表示部223は、取得部221aの制御により、複数のX線造影画像データそれぞれに、3次元造影領域データが投影された投影像を表示する。そして、取得部221aは、表示部223を参照する操作者が、複数のX線造影画像データそれぞれにて特定組織に該当する位置に投影像の位置を対応付ける操作に基づいて、3次元位置情報を取得する。例えば、操作者は、冠動脈の投影像が各X線造影画像データで視認される冠動脈に重なるように移動操作(対応付け操作)を行なう。
【0114】
なお、操作者は、投影像とX線画像データに描出されている冠動脈とが略重なるように、移動操作を行なう。取得部221aは、投影像の移動量及び移動方向に応じて、3次元撮影空間に配置した3次元造影領域データの平行移動や、回転移動を行ない、これらの処理を行なった後の3次元造影領域データの位置を、3次元位置情報として取得する。3次元位置情報及び3次元造影領域データと3次元解析画像データとの相対的位置関係に基づいて、3次元解析画像データは、取得部221aにより、3次元撮影空間に再配置される。なお、移動操作により、投影像が拡大、縮小、又は、変形される場合もある。かかる場合、3次元造影領域データは、3次元撮影空間にて拡大されたり、縮小されたり、変形される。かかる場合、3次元解析画像データは、取得部221aにより、3次元撮影空間に再配置されたうえで、拡大されたり、縮小されたり、変形される。
【0115】
そして、画像処理部226は、3次元位置情報に基づいて3次元撮影空間に再配置した3次元解析画像データ、或いは、3次元位置情報に基づいて3次元撮影空間に再配置して「拡大、縮小、又は、変形」した3次元解析画像データを、医師が所望する方向でリアルタイム撮影されている被検体Pの心臓のX線造影画像データに投影する。すなわち、画像処理部226は、3次元撮影空間で位置合わせされた3次元解析画像データの投影像を、心臓のX線造影画像データに重畳した画像データを生成する。なお、医師が所望する方向とは、電極の留置に適したX線造影画像データを撮影するための方向である。また、医師が所望する方向は、術中任意に変更可能であり、画像処理部226は、3次元解析画像データを、変更後の方向でリアルタイム撮影されている被検体Pの心臓のX線造影画像データに投影する。
【0116】
図14は、第1の実施形態で表示される画像データの一例を示す図である。医師は、
図14に例示する画像データXを参照して、3次元解析画像データの投影像で非同期部位を確認しながら、非同期部位の最も近い位置の静脈内に、電極を留置することができる。なお、3次元解析画像データの投影像は、重畳された画像であることから、操作者の要求に応じて、表示及び非表示の切り替えが可能である。ここで、本実施形態は、X線画像データに重畳される3次元解析画像データの投影対象を、非同期部位のみとしても良い。また、重畳される3次元解析画像データの投影像は、任意の不透明度に変更可能である。なお、3次元撮影空間で位置合わせされた3次元解析画像データの投影像が重畳されるX線画像データは、X線造影画像データに限定されるものではない。3次元撮影空間で位置合わせされた3次元解析画像データの投影像が重畳されるX線画像データは、造影剤が注入されていない状態で、医師が所望する方向で撮影されたX線画像データであっても良い。
【0117】
また、第1の実施形態は、第1の3次元医用画像データとしての3次元超音波画像データを出力データに含んで出力する場合であっても良い。かかる場合、医師が所望する方向で撮影されたX線画像データに重畳される画像データは、3次元超音波画像データに基づく画像データとなる。かかる3次元超音波画像データに基づく画像データは、例えば、非同期部位の短軸面を含む複数の短軸面の超音波画像データである。
【0118】
続いて、
図15及び
図16を用いて、第1の実施形態に係る画像処理システム1の処理の流れについて説明する。
図15は、第1の実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理の一例を説明するためのフローチャートであり、
図16は、第1の実施形態に係るX線診断装置が行なう処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、
図15は、一検出システムを用いて、2次元超音波画像データと、3次元X線CT画像データとの初期位置合わせが完了した後に行なわれる処理の一例を示している。
【0119】
図15に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、心臓の3次元超音波画像データ群を収集する(ステップS101)。そして、解析部156aは、3次元解析画像データ群を生成する(ステップS102)。そして、位置合わせ部156bは、同一時相の3次元解析画像データと3次元造影領域データとの位置合わせ処理を行なう(ステップS103)。
【0120】
そして、出力部157aは、例えば、3次元解析画像データと3次元造影領域データとを位置合わせして合成した合成データを出力データとし、出力データを出力して(ステップS104)、処理を終了する。
【0121】
そして、
図16に例示するように、第1の実施形態に係るX線診断装置200が有する取得部221aは、超音波診断装置100から出力データを受信したか否かを判定する(ステップS201)。ここで、出力データを受信していない場合(ステップS201否定)、取得部221aは、出力データを受信するまで待機する。
【0122】
一方、出力データを受信した場合(ステップS201肯定)、取得部221aは、X線診断装置200の各部を制御して、複数方向のX線造影画像データを生成させる(ステップS202)。具体的には、X線診断装置200は、動脈相の被検体Pの心臓を、複数方向から撮影する。
【0123】
そして、取得部221aの制御により、表示部223は、複数のX線造影画像データそれぞれに、3次元造影領域データを投影して重畳表示する(ステップS203)。そして、取得部221aは、操作者からX線造影画像データの冠動脈と、投影像とを対応付ける対応付け操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS204)。ここで、対応付け操作を受け付けない場合(ステップS204否定)、取得部221aは、対応付け操作を受け付けるまで待機する。
【0124】
一方、対応付け操作を受け付けた場合(ステップS204肯定)、取得部221aは、対応付け操作に基づいて、3次元撮影空間における冠動脈の3次元位置情報を取得する(ステップS205)。そして、取得部221aの制御により、表示部223は、3次元解析画像データが、X線造影画像データに位置合わせされた画像データを表示し(ステップS206)、処理を終了する。
【0125】
上述したように、第1の実施形態では、3次元の超音波画像データと2次元のX線画像データとの位置合わせを、3次元のX線CT画像データ(或いは、3次元のMRI画像データ)を介在させることで行なう。すなわち、第1の実施形態では、位置センサ160を用いた位置検出システムにより、3次元超音波画像データの走査領域に対応する領域を3次元X線CT画像データにて判別することができ、更に、これら2つの領域それぞれに描出された組織情報から、ボリュームデータ間の位置合わせをボクセルレベルで行なうことができる。
【0126】
これにより、第1の実施形態では、超音波画像データに基づく3次元解析画像データと、3次元造影領域データとの位置合わせを容易に行なうことができる。更に、動脈相の3次元造影領域データと動脈相のX線造影画像データとの位置合わせは、冠動脈が特徴的な形態を有することから、容易に行なうことができる。すなわち、第1の実施形態では、超音波画像データ(3次元解析画像データ)とX線造影画像データとの位置合わせを行なうことができる。これにより、第1の実施形態では、超音波診断で特定された部位をX線透視下で判別することができる。また、第1の実施形態では、位置合わせにより重畳表示可能となった3次元解析画像データの投影像を参照しながら、医師は、非同期部位近くに、電極を留置することが可能となる。
【0127】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、操作者の操作に基づいて3次元位置情報を取得する場合について説明した。第2の実施形態では、操作者の操作が行なわれることなく、3次元位置情報を自動的に取得する場合について、
図17を用いて説明する。
図17は、第2の実施形態を説明するための図である。
【0128】
第2の実施形態に係る画像処理システム1は、
図1を用いて説明した第1の実施形態に係る画像処理システム1と同様に構成される。ただし、第2の実施形態に係る第2位置合わせ部としての取得部221aは、位置合わせ処理を複数の撮影方向で撮影した複数のX線画像データで行なう場合、第2の3次元医用画像データと、複数のX線画像データを再構成した3次元X線画像データとの位置合わせ処理を、3次元画像データ間のパターンマッチングにより行なう。例えば、第2の実施形態に係る取得部221aは、3次元造影画像データと、複数のX線造影画像データを再構成した3次元X線造影画像データとの位置合わせ処理を、3次元画像データ間のパターンマッチングにより行なう。パターンマッチング処理としては、相互相関や自己相関、相互情報量、標準化相互情報量、相関比等を用いた処理が挙げられる。
【0129】
出力データに含まれるデータが、3次元造影画像データから抽出された3次元造影領域データである場合、パターンマッチングの対象は、3次元造影領域データとなる。また、例えば、取得部221aの制御により、画像処理部226は、複数方向で撮影されたX線造影画像データを3次元撮影空間に逆投影することで、3次元X線造影画像データを再構成する。例えば、第2の実施形態では、3次元X線造影画像データは、2方向や、3方向、或いは、50方向で撮影されたX線造影画像データから再構成される。
【0130】
ここで、パターンマッチング処理の負荷を軽減するためには、例えば、以下の処理を行なうことが望ましい。すなわち、第2位置合わせ部である取得部221aは、第2の3次元医用画像データで設定された3次元関心領域と、3次元X線画像データで設定された3次元関心領域との間で位置合わせ処理を行なう。例えば、取得部221aは、3次元造影画像データ(又は、3次元造影領域データ)で設定された3次元関心領域と、3次元X線造影画像データで設定された3次元関心領域との間で位置合わせ処理を行なう。
【0131】
例えば、操作者は、
図17に示すように、3次元造影領域データに3次元ROI(region Of Interest)を設定する。これにより、例えば、画像処理部226は、3次元ROIの3次元造影領域データである「ボリュームデータE」を抽出する。また、操作者は、
図17に示すように、2つのX線造影画像データそれぞれに2次元ROIを設定することで、3次元ROIを設定する。これにより、画像処理部226は、3次元ROIの3次元X線造影画像データである「ボリュームデータF」を再構成する。なお、これら3次元ROIは、輝度値に基づいて、取得部221aが自動設定する場合でも良い。
【0132】
そして、取得部221aは、ボリュームデータEとボリュームデータFとをパターンマッチングすることで、位置合わせ処理を行なって、特定組織(例えば、冠動脈)の3次元位置情報を取得する。上記の処理は、例えば、ガイドワイヤが挿入された状態で、複数方向で撮影された複数のX線画像データを再構成した3次元X線画像データを用いて行なわれる場合であっても良い。なお、これ以降の処理は、第1の実施形態で説明した処理と同様であるので、説明を省略する。
【0133】
続いて、
図18を用いて、第2の実施形態に係る画像処理システム1の処理の流れについて説明する。
図18は、第2の実施形態に係るX線診断装置が行なう処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、第1の実施形態に係る超音波診断装置100が行なう処理は、第1の実施形態で説明した処理と同様であるので、説明を省略する。
【0134】
図18に例示するように、第2の実施形態に係るX線診断装置200が有する取得部221aは、超音波診断装置100から出力データを受信したか否かを判定する(ステップS301)。ここで、出力データを受信していない場合(ステップS301否定)、取得部221aは、出力データを受信するまで待機する。
【0135】
一方、出力データを受信した場合(ステップS301肯定)、取得部221aは、X線診断装置200の各部を制御して、複数方向のX線造影画像データを生成させる(ステップS302)。具体的には、X線診断装置200は、動脈相の被検体Pの心臓を、複数方向から撮影する。
【0136】
そして、取得部221aは、3次元ROIの設定を受け付ける(ステップS303)。そして、取得部221aは、3次元ROIの3次元造影領域データを抽出し、複数のX線造影画像データから3次元ROIの3次元X線造影画像データを再構成する(ステップS304)。そして、取得部221aは、3次元ROIの3次元造影領域データと3次元ROIの3次元X線造影画像データとの間でパターンマッチングを行なう(ステップS305)。
【0137】
そして、取得部221aは、3次元撮影空間における冠動脈の3次元位置情報を取得する(ステップS306)。そして、取得部221aの制御により、表示部223は、3次元解析画像データが、X線造影画像データに位置合わせされた画像データを表示し(ステップS307)、処理を終了する。
【0138】
上述したように、第2の実施形態では、特定組織の3次元位置情報を、自動的に実行することができる。従って、第2の実施形態では、超音波画像データ(3次元解析画像データ)とX線造影画像データとの位置合わせを、より容易に行なうことができる。
【0139】
なお、上記の第1及び第2の実施形態で説明した各部の処理は、X線CT装置300や画像処理装置500が実行する場合であっても良い。例えば、解析画像データの生成処理、超音波画像データとX線CT画像データとの位置合わせ処理、出力データの出力処理、特定組織の3次元位置情報の取得処理の一部又は全ては、X線CT装置300や画像処理装置500が実行する場合であっても良い。位置合わせされた解析画像データとX線画像データとの重畳画像も、X線CT装置300や画像処理装置500が生成する場合であっても良い。すなわち、上記の第1及び第2の実施形態で説明した各処理部の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0140】
また、上記の第1及び第2の実施形態では、第1の3次元医用画像データが、3次元超音波画像データであり、第2の3次元医用画像データが、特定組織が映像化された3次元X線CT画像データ、又は、3次元MRI画像データである場合について説明した。しかし、上記の第1及び第2の実施形態で説明した内容は、第1の3次元医用画像データが、所定組織の運動を解析可能な3次元医用画像データであり、第2の3次元医用画像データが、特定組織が映像化された3次元医用画像データであるならば、適用可能である。例えば、第1及び第2の実施形態で説明した内容は、第1の3次元医用画像データが、心筋が染影された時相の3次元MRI画像データであり、第2の3次元医用画像データが、冠動脈、又は、冠静脈が染影された時相の3次元X線CT画像データである場合であっても適用可能である。或いは、例えば、第1及び第2の実施形態で説明した内容は、第1の3次元医用画像データが、心筋が染影された時相の3次元X線CT画像データであり、第2の3次元医用画像データが、冠静脈が染影された時相の3次元X線CT画像データである場合であっても適用可能である。
【0141】
また、上記の第1及び第2の実施形態で説明した画像処理方法は、予め用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0142】
以上、説明したとおり、第1及び第2の実施形態によれば、超音波診断で特定された部位をX線透視下で判別することができる。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。