【文献】
モータサイレン・インバータサイレン,iPROS 製造業, [online],2010年10月 1日,[平成29年6月20日検索],URL,https://www.ipros.jp/product/detail/print/?objectId=191355&hub=45+google
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モータサイレンには、発音部とモータを接続する回転シャフト周りに反対磁極を交互に配置して磁石が取り付けられるとともに、前記回転シャフトの回転に伴って反対磁極の磁界が順次横切る姿勢でセンサ導体が回転シャフト支持部に固定され、
前記回転センサは、前記センサ導体に生じる誘導電流の周波数に基づいて回転数を検出する請求項1記載のモータサイレンシステム。
【背景技術】
【0002】
モータサイレンを遠隔操作するモータサイレンシステムとしては、従来、特許文献1に記載されたものが知られている。この従来例において、親局は子局に呼出信号(制御信号)を送信し、子局側のモータサイレンを起動してサイレン音を吹鳴させる。
【0003】
上記子局は、例えば、サイレン音がダムの放流警報に利用される場合には、ダムからの放流に伴って一時的に流水量が著しく増大する河川の一定区間をカバーするように複数設置する必要があり、これら複数の子局を集中制御する親局は、ダムの管理施設内等に設置することが望ましい。
【0004】
しかしながら、上述のように親局と子局の設置場所が離隔してしまうと、親局側において、子局側で発せられるサイレン音を直接聴覚することが難しくなる。このため、親局の制御に従ってモータサイレンが正常に動作しているかを点検するには、子局側にサイレン音を確認するための作業員を別途待機させておく必要があるが、これでは多大な手間がかかってしまうことから、子局の動作状態を親局側において遠隔点検できるようにする必要がある。
【0005】
この点、例えば特許文献2には、サイレン音を発するスピーカ近傍に集音マイクを設置しておき、この集音マイクによる検出結果に基づいて親局側においてサイレン音を点検することが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、そもそも上述のように点検に際してサイレン音を発してしまうと、警報と誤解されてしまうおそれがあるし、また、騒音問題を生じるおそれもある。
【0008】
このようなおそれは、例えば、親局が子局側のモータサイレンを吹鳴制御した際に、子局側においてモータサイレンのモータに対して制御信号等を出力しているかのみを点検するのであれば防止することが可能であるが、この場合にはモータサイレンの駆動系が点検できなくなる。
【0009】
本発明は以上の欠点を解消すべくなされたものであって、警報の誤解等が生じるおそれを防止することができ、かつ、駆動系を含めて点検することのできるモータサイレンシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば上記目的は、
モータ1により発音体2を回転駆動させて吹鳴するモータサイレン3を操作端末4により遠隔点検するモータサイレンシステムであって、
前記モータサイレン3には、モータ1の回転駆動力を発音体2に伝達する伝達駆動部材5の回転を検知する回転センサ6が組み付けられ、
かつ、前記操作端末4は、点検時において、モータ1を低速回転させる制御信号を出力するとともに、前記回転センサ6からの出力を
監視し、回転センサ6により検知された回転数を制御信号に基づく予想回転数と比較して所定の誤差範囲内にあるか否かによりモータサイレン3の動作状態を良否判定するモータサイレンシステムを提供することにより達成される。
【0011】
モータサイレン3は、モータ1の回転駆動力を伝達駆動部材5を介して発音体2に伝達し、発音体2を回転させて空気を風切り窓に向かって送るとともに、この風切り窓を断続的に開閉する。発音体2を高速回転させると、風切り窓から高い圧力で空気が断続的に噴出し、これにより空気が強く振動して大きな吹鳴音を生じる。
【0012】
以上のモータサイレン3に伝達駆動部材5の回転を検知する回転センサ6を組み込み、操作端末4で遠隔監視することにより、モータサイレン3の駆動系の動作状態を遠隔で把握することが可能になる。回転センサ6の検知結果に応じてモータサイレン3の動作状態を良否判定すれば、操作端末4において遠隔点検の成果を得ることができる。
【0013】
モータサイレン3の駆動系を含めた点検は、操作端末4からモータ1を低速回転させる制御信号をモータサイレン3に出力しておき、回転センサ6によって伝達駆動部材5の回転が検知できるか否かにより行うことが可能である。このように点検時にモータ1を低速回転させることにより、吹鳴音の発生を防止、あるいはその音量を低く抑えることができる。
【0014】
したがって本発明によれば、吹鳴音による警報等の誤解のおそれを防止して駆動系を含めて遠隔で点検することができる。
【0015】
点検時の良否判定は、上述したように伝達駆動部材5の回転の有無を対象とするだけでなく、操作端末4から出力される制御信号に応じた検出成果が回転センサ6から得られるか否か、すなわち低速回転に応じた回転数が検出されるか否かを対象とすることによって、精度をより高めることができる。すなわち、モータサイレン3は、長い音達距離を確保するために風通しの良い高所に設置することが一般的であることから、伝達駆動部材5の回転数を対象とすることにより、例えば発音体2が風によって回転してしまっていたときに誤判定がなされるのを防止することができる。この場合、風などによる動作誤差に配慮して、回転数が所定の誤差範囲内にあるか否か等で良否判定することが望ましい。
【0016】
また、上述した回転センサ6には種々のものを利用することが可能であるが、モータサイレン3は、その性質上、環境条件の厳しい場所に設置されることが多いため、回転センサ6にも過酷な条件下において長期に渡って安定した動作が期待できる構造のものを採用することが望ましい。この場合、上記伝達駆動部材5としての回転シャフト周りに反対磁極を交互に配置して磁石7を取り付けるとともに、回転シャフト5の回転に伴って磁石7の反対磁極の磁界が順次横切る姿勢でセンサ導体8を回転シャフト支持部9に固定し、センサ導体8に生じる誘導電流の周波数に基づいて回転数を検出すれば、磁石7を利用することで得られる高い耐候性を活用して一定の耐候性を確保することができる。また、このような構造を採用することにより、回転センサ6において電源供給を要することなく回転を検出することができる。
【0017】
一方、上述のようにモータサイレン3を吹鳴時の高速回転以外に低速回転でも運転できるようにするのには、インバータ10を利用できるが、インバータ10は高周波成分のノイズを生じるために、上述のように周波数に基づいて回転数を検出する場合には、誤検出のおそれがある。この場合、上記誘導電流からローパスフィルタ11により低周波成分を除去、抑制すれば、かかる誤検出を防止することができる。低周波成分を除去した誘導電流については、その周波数をカウントした上で、所定の基準回転数と比較して良否判定することが可能である。この場合において、誘導電流をFVコンバータ12により電圧に変換して所定の基準電圧と比較することにより良否判定すれば、回路構成を簡易にすることが可能になる。
【0018】
さらに、上述したように風通しの良い高所、すなわち過酷な環境下に置かれることの多いモータサイレン3において、回転センサ6は外部への露出を避けることが望ましい。この場合において、センサ導体8を回転シャフト支持部9に着脱可能に固定してサイレンケース13内に収容するとともに、センサ導体8周辺を外部に露出させる窓部14を扉15により開閉自在に上記サイレンケース13に形成すれば、センサ導体8の交換もしやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、警報等の誤解が生じるおそれを防止することができ、かつ、駆動系を含めて点検することのできるモータサイレンシステムを提供することができるために、災害時等への備えを万全にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1ないし
図4に本発明の実施の形態を示す。この実施の形態において、モータサイレンシステムは、ダム放流警報システムの一部を構成する。このダム放流警報システムは、
図1に示すように、親局(操作端末4)と、この親局により遠隔制御されて警報装置を駆動させる複数の子局21とを有する。
【0022】
上記親局4はダムの管理施設内に設置され、具体的には例えば、操作卓として構成される。また、上記子局21は、河川流域に設置される。子局21の各々は制御対象の警報装置22の近辺に設置され、この警報装置22は、具体的には、モータサイレン3、スピーカ23、および回転灯24の3種類のうちの適数の組合せにより構成される。なお、警報装置22として以上の3種類に加えて警報を表示する電光掲示板等他のものを加えても足り、この場合、子局21について当該他のものをも制御可能にし、また、親局4を当該他のものに関する子局21の制御をも制御可能に構成すれば足りる。
【0023】
上記警報装置22は、例えば、河川近傍で警報を発するためのものであれば、モータサイレン3とスピーカ23とで構成することが可能で、護岸に立設されたポールの上端など、これらの吹鳴音等の集落への伝播を妨げる障害物が近傍にあまりなく、長い音達距離を確保できる高所等に設置される。この場合、子局21は、護岸上などに設置することができる。また、警報装置22が河川周辺の道路で警報を発するためのものであれば、モータサイレン3、スピーカ23、および回転灯24で構成され、道路端に子局21とともに設置される。
【0024】
上記モータサイレン3は、
図2に示すように、回転により吹鳴音を生じさせる発音体2と、この発音体2を回転駆動するモータ1とを有し、これらをサイレンケース13により覆って形成される。このモータサイレン3は、サイレンケース13が下端部に備える支持台部25により設置基部26上に設置される。
【0025】
上記発音体2は、アルミ等の鋳造品であり、水平方向に放射状に配置される回転羽根2aの上下を天井板2bと底板2cで覆って形成される。上記回転羽根2aの各々は、回転先端から回転方向に沿って遮蔽板2dを延設して鉤状に形成される。また、上記天井板2bの中央部には吸気口2eが開設されており、発音体2は、回転によって上記吸気口2e、すなわち回転軸線方向から吸気し、遮蔽板2dと回転羽根2aとの隙間、すなわち回転軸線に対する直交方向に排気する輻流型の風の流れを生じさせる。また、上記底板2cの中央部には、後述する回転シャフト5に嵌合する嵌合孔2fが形成される。
【0026】
以上の発音体2はケーシング27内に収容される。このケーシング27は、アルミの板材等の金属板材を溶接等して形成され、円筒状の側壁板27aと、この側壁板27aの上面に被さる上面板27bとを有する。上面板27bの中央部には上述した吸気口2eに連通する通気口27cが開設される。また、側壁板27aには、上述した遮蔽板2dと同数の風切り窓27dがそれぞれ遮蔽板2dにより閉塞可能な大きさ、位置に開設される。
【0027】
以上のケーシング27は発音体2の外形寸法とほぼ一致する寸法の中空部27eを備え、発音体2の回転に伴って吸気口2eから中空部27e内に空気を供給し、また、風切り窓27dから断続的に空気を排出する。風切り窓27dから断続的に高い圧力で排出される空気は、強く振動して大きな吹鳴音を生じさせる。
【0028】
また、上述したサイレンケース13は、上記ケーシング27の外側に被さる中カバー28を高さ方向中間部に有する。この中カバー28はケーシング27の外形よりもひとまわり大きい略中空円柱状に形成され、円筒状の周壁は金網28aにより、天井壁28bおよび底壁28cは金属板材により形成される。底壁28cには上述した嵌合孔に連通するシャフト挿通孔28dが開設され、このシャフト挿通孔28d周りにはベアリング28eが保持される。上述したケーシング27が下縁部を上記底壁28c上に密着させて設置されることにより、上記天井壁28bと上述した上面板27bとの間には適宜の通風経路が確保される。なお、サイレンケース13はアルミ等の金属により形成される。
【0029】
一方、上記モータ1は、交流モータ1であり、発音体2の下方に配置される。サイレンケース13は、このモータ1の外側に被さる円筒状の下カバー29を有し、この下カバー29の上端縁は上述した中カバー28の底壁28cに溶接等により接合される。また、下カバー29の下端は上述した支持台部25に溶接等により接合される。
【0030】
上記支持台部25は、金属板材を折曲等して形成され、截頭円錐面を構成する側壁部25aの下端縁から外方に向かって広がる脚片25bを有し、この脚片25bにより上述した設置基部26上に載置される。また、側壁部25aの上面は天井部(回転シャフト支持部9)により覆われており、上述した下カバー29はこの天井部9に接合される。天井部9の中央部には、上述したシャフト挿通孔28dと同じ平面位置にシャフト挿入口25cが開設され、このシャフト挿入口25c周りにはベアリング25dが保持される。なお、
図2において25eは、支持台部25を設置基部26に固定する図示省略のアンカーボルトが挿入されるボルト孔である。
【0031】
以上の発音体2とモータ1は、回転シャフト5により連結される。この回転シャフト5は上述したシャフト挿通孔28d、モータ1、およびシャフト挿入口25cを貫通し、上述のベアリングにより上下端部を保持されてサイレンケース13に鉛直姿勢で保持される。その上端部は、上述した嵌合孔2fに嵌合されて発音体2と相対回転不能回転に連結される。
【0032】
また、上記サイレンケース13は、上述した中カバー28の上方に上カバー30を備える。この上カバー30は、
図2において図示省略される消音機構を内部に収容する。この消音機構は、上述した子局21による制御を受けるアクチュエータによって遮蔽蓋を上下駆動して上述したケーシング27の通気口27cを開閉するもので、通気口27cを塞ぐことによりケーシング27内、すなわち発音体2への外部からの空気供給を遮断して吹鳴音を急激に消音させ、余韻を防止して吹鳴パターンを明確にする。
【0033】
以上のモータサイレン3は、モータ1の回転駆動力を回転シャフト5により発音体2に伝達させて発音体2を水平回転させ、この回転によって金網28aから中カバー28の内部に空気を引き込み、また、中カバー28内の上部の通空経路を通じて吸気口2eからケーシング27の内部に空気を引き込む。また、風切り窓27dから遮蔽板2dによってケーシング27内の空気を高い圧力で断続的に排出し、この排出に伴って生じる吹鳴音を金網28aを通じて側方に発する。モータ1を所定時間間隔で駆動、駆動停止させるとともに、消音機構の遮蔽蓋を上下駆動させることにより、所定時間間隔で吹鳴音が吹鳴、吹鳴停止され、警報の種類に応じた吹鳴パターンが発せられる。
【0034】
また、上述した回転シャフト5の回転を検知するために、支持台部25の内方には回転センサ6が配置される。回転センサ6は、
図3に示すように、回転シャフト5に取り付けられる被検知部材と、この被検知部材を検知するための検知部材とを有する。被検知部材は、この実施の形態において永久磁石(磁石7)であり、円環状に形成される磁石素材の周方向に交互に異なる磁極7a、7bを着磁した多極磁石として構成される。この実施の形態においては、
図3(b)に示すように、周方向に6つの磁極7a、7b、・・が形成される。
【0035】
以上の永久磁石7は支持体31を介して回転シャフト5に取り付けられる。この支持体31は、
図3に示すように、永久磁石7がが固定される主体部31aと、回転シャフト5に固定される固定部31bとを有する。なお、上記支持体31はアルミ等の金属により形成される。
【0036】
上記主体部31aは、中央に回転シャフト5を挿入可能な開口部31cを備えてリング状に形成され、その上面の内周部には、永久磁石7が収容、固定される円環状の凹部31dが凹設される。この凹部3dは永久磁石7の厚さと同じ程度の深さを備え、その底面には、上面に配置される永久磁石7の磁力を強めるための鉄板31eが敷設される。なお、主体部31aへの固定に際して、永久磁石7には防錆処理が施される。
【0037】
上記固定部31bは、主体部31aの開口部周りを下方に垂下してドーナツ状に形成され、その内外を貫通するネジ孔31fが周方向に均等間隔で開設される。このネジ孔31fには、回転シャフト5の側面を押圧することで支持体31を回転シャフト5に固定する止めネジ32が螺入される。なお、
図3(a)において止めネジ32は頭部を備えて構成されるが、ネジ部分の材端に六角穴等を設けて頭部を省略することも可能である。
【0038】
一方、上記検知部材は、鉄心33にコイル(センサ導体8)を複数回巻回して形成される。この検知部材は、支持台部25の天井部9にアングル材34を介してボルト35で固定され、鉄心33を鉛直方向に向け、永久磁石7の上面に微少間隔を隔てた位置に固定される。
【0039】
以上の回転センサ6は、モータ1により回転される回転シャフト5に伴って永久磁石7が回転すると、永久磁石7のS極、N極7a、7bがコイル8の近傍を順次横切り、電磁誘導によりコイル8に誘導電流が発生する。コイル8の近傍を横切る磁極がS極、N極と交互に切り替わることにより誘導電流の向きは反転することから、コイル8には、永久磁石7の磁極の数の半分の周波数の交流電流が生じる。永久磁石7の磁極の数が6であるこの実施の形態において、例えば一秒間に永久磁石7(回転シャフト5)が一回転したと仮定すると、コイル8には3ヘルツの周波数の誘導電流が生じることになる。回転センサ6は、このような誘導電流の周波数を利用して回転シャフト5の回転数を検出する。
【0040】
また、以上の回転センサ6における検知部材の消耗による交換をしやすくするために、上述した支持台部25の側壁部25aには、扉15により開閉自在な窓部14が形成される。この窓部14は、
図2に示すように、上述したボルト35を含む検知部材周辺を外部に露出可能な位置、大きさに形成される。上記扉15は、例えば、図示しないヒンジ等により、窓部14を開放する開放回転位置と、窓部14を閉塞する閉塞回転位置との間で支持台部25に回転自在に連結することができる。
【0041】
一方、上記スピーカ23は、一般にこの種の警報用に用いられるものであり、図示省略するが振動板、コイル8、および磁石7を備えて構成される。また、回転灯24も同様にこの種の警報用に一般に用いられるもので、図示省略するが例えば、電球等の光源、反射鏡、およびモータ等を備えて構成される。
【0042】
以上の警報装置22を制御する子局21は、
図1に示すように、制御部46により制御されるサイレン駆動制御部36、センサ監視部37、スピーカ駆動制御部38、回転灯駆動制御部39、および送受信部40を有し、商用電源からの給電を受けて作動する。上記サイレン駆動制御部36は、モータサイレン3のモータ1に接続され、図外のリレーを切り換えることで商標電源からの電力をモータ1に供給し、あるいは供給を停止してモータ1を回転制御する。このサイレン駆動制御部36はインバータ回路(インバータ10)を備えており、周波数を変換することでモータ1を警報駆動用の所定の高速回転で回転駆動させ、また、吹鳴音がほぼ生じない点検駆動用の低速回転で回転駆動させる。さらにサイレン駆動制御部36は、上述した消音機構のアクチュエータへも電力を供給してこれを駆動制御する。
【0043】
上記センサ監視部37は、上述したコイル8に接続され、コイル8に生じる誘導電流を監視する。このセンサ監視部37は、誘導電流の高周波成分をローパスフィルタ11により除去し、FVコンバータ12により周波数を電圧に変換した上で、比較部41により所定の基準電圧と比較する。この基準電圧は、上述した点検駆動の際にサイレン駆動制御部36からモータ1に供給される周波数をFVコンバータ12により変換して得られる電圧に所定の誤差を考慮して設定される。
【0044】
より具体的には、
図4に示すように、ローパスフィルタ(LPF)11からの出力は信号増幅部および波形整形部42により増幅、波形整形されてFVコンバータ12に供給され、また、FVコンバータ12からの出力はバッファーアンプ43を介して比較部41に供給される。なお、
図4において44はA/D変換器等を含む電源調整部であり、商用電源を電源調整部44でローパスフィルタ11等に給電可能な電力に変換する。また、上述した基準電圧は基準電圧作成部45により作成される。
【0045】
上記スピーカ駆動制御部38は、スピーカ23に接続され、制御部46の制御に従って所定の交流電流をスピーカ23のコイルに供給し、あるいは供給を停止してスピーカ23を発音制御する。また、上記回転灯駆動制御部39は、回転灯24に接続され、サイレン駆動制御部36と同様に、商標電源からの電力を回転灯24の電球等やモータに供給し、あるいは供給を停止して電球等を発光制御するとともにモータを回転制御する。
【0046】
上記制御部46は、後述する警報駆動信号が送受信部47により受信されると、サイレン駆動制御部36を制御して該サイレン駆動制御部36から警報駆動用の電力をモータサイレン3のモータ1に供給させる。また、点検駆動信号が送受信部47により受信されると、サイレン駆動制御部36から点検駆動用の電力をモータ1に供給させた上で、センサ監視部37からの出力を待つ。センサ監視部37の比較部41から比較結果に応じた信号を受信すると、該信号を送受信部47(
図4においては出力部47)を介して親局4に送信する。
【0047】
また、上記制御部46は、後述するスピーカ駆動信号、および音声信号が送受信部により受信されると、スピーカ駆動制御部38を制御してスピーカ23のコイルに上記音声信号を供給させる。さらに、後述する回転灯駆動信号が送受信部により受信されると、回転灯駆動制御部39を制御して該回転灯駆動制御部39から電力を回転灯24の電球等やモータ1に供給させる。
【0048】
以上の子局21を制御する親局4は、
図1に示すように、制御部48により制御される入力部49、表示部50、および送受信部51を有し、商用電源からの給電を受けて作動する。上記入力部49は、上述したモータサイレン3に対する操作が入力されるサイレン操作部52と、スピーカ23から発音される音声が入力されるスピーカ操作部53と、回転灯24に対する操作が入力される回転灯操作部54とを有する。
【0049】
上記サイレン操作部52は、モータサイレン3に対する警報駆動操作と点検駆動操作とを選択して入力可能に形成され、例えば、一組の操作ボタン等により構成される。上記スピーカ操作部53は、例えばスピーカ23から音声出力させるための操作ボタン等と、音声を入力可能なマイクにより構成される。また、上記回転灯操作部54は、例えば操作ボタン等により構成される。
【0050】
上記表示部50は、モータサイレン3の点検結果を表示するもので、例えば点検結果の良否を示す一組の表示灯により構成される。
【0051】
上記制御部48は、サイレン操作部52の操作ボタン等の押圧を検知すると、押圧された操作ボタン等の種別に応じて上述した警報駆動信号、あるいは点検駆動信号を送受信部51を介して子局21に送信する。また、スピーカ操作部53の操作ボタン等の押圧を検知すると、その後にマイクから入力される音声信号とともにスピーカ駆動信号を送受信部51を介して子局21に送信する。さらに、回転灯操作部54の操作ボタン等の押圧を検知すると、回転灯駆動信号を送受信部51を介して子局21に送信する。
【0052】
加えて、上記制御部48は、子局21からセンサ監視部37の比較部41による比較結果に応じた信号を受信すると、信号の種別に応じた点検結果を表示部50に表示させる。具体的には例えば、比較部41に入力された電圧が基準電圧よりも低いことを示す信号を受信したときには、異常であることを示す表示灯を点灯させ、反対に基準電圧よりも高いことを示す信号を受信したときには、正常であることを示す表示灯を点灯させる。
【0053】
したがってこの実施の形態において、モータサイレンシステムは、親局4においてサイレン操作部52が警報駆動操作されることにより、モータサイレン3を遠隔駆動して吹鳴させることができ、また、点検駆動操作されたときには、所定の短時間に渡ってモータサイレン3が吹鳴音をほとんと生じない程度に所定の低速で駆動される。この低速駆動時には、回転センサ6により検出された回転数が子局21において当該低速駆動に応じた所定の基準値と比較され、比較結果が親局4に送信されて親局4において点検結果の良否として表示される。
【0054】
また、親局4においてスピーカ操作部53や回転灯操作部54が操作されることにより、遠隔操作でスピーカ23から警報を報じたり、回転灯24を駆動させることもできる。
【0055】
なお、以上においては子局21から親局4に比較部41の結果に応じた2種の信号のいずれかを送信する場合を示したが、1種の信号を送信し、あるいは送信しないことで比較部41の結果を示すようにしても足りる。同様に表示部50についても点検結果の良否のいずれをを表示せず、良否のいずれかのみを表示しても足りる。また、親局4と子局21との間に中継局を介することも可能であり、この場合、親局4と子局21との距離がより遠隔であっても信号等の送受信ができるようになる。さらに、モータサイレン3の遠隔点検は、上述した回転センサ6に加え、サイレン駆動制御部36のモータ1への出力を監視する適宜の監視部を子局21に設けておき、この監視部の監視結果と上述した回転センサ6の検出結果のいずれもが適正であるときに親局4において点検結果の良好表示がなされるようにすることも可能である。
【0056】
加えて、上述した回転シャフト5の側面に支持体31や止めネジ32が係止可能な段部を設けた場合には、永久磁石7を回転シャフト5の長手方向に容易に位置決めすることができる。加えてさらに、上述した従来例に示されるような集音マイクを備えたモータサイレンシステムが既存のものとしてある場合には、集音マイク用のケーブルをそのまま回転センサ6用に流用してシステムを簡易に構築することができる。またさらに、以上においてはダムの放流警報にモータサイレンシステムを使用する場合を示したが、自治体の防災システムなど他の用途に使用することも可能であり、この場合、例えば親局を市役所に、子局を市内各所に設置すれば足りる。