特許第6203013号(P6203013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203013
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】ラベル貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/42 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   B65C9/42
【請求項の数】4
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-240287(P2013-240287)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-98356(P2015-98356A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−069578(JP,A)
【文献】 特開2001−048138(JP,A)
【文献】 特開2012−250717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 1/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の発行方向に略長方形のラベルを送り出すラベル発行部と、
該ラベル発行部から送り出されたラベルを下面に吸着させるラベル吸着部と、
前記発行方向において前記ラベル吸着部に吸着されたラベルの上流端から第1距離だけ下流側に位置する回転中心周りに前記ラベル吸着部を水平回転させる回転機構と、
前記ラベル吸着部を下降させて、該ラベル吸着部の下方において所定の搬送方向に所定速度で移動する被貼付物にラベルを押し付ける下降機構と、
前記ラベル吸着部から前記搬送方向の上流側に第2距離だけ離れた検知位置において前記被貼付物における所定の基準位置の通過を検知する通過センサと、
前記被貼付物における前記基準位置から前記搬送方向の上流側または下流側に第3距離だけ離れた位置に、前記搬送方向の下流側または上流側のラベル端部が貼り付けられるようなタイミングで前記下降機構を作動させ、且つ、該下降機構によって前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記ラベルの回転角度位置が所定角度になるように前記回転機構を作動させる制御部と、を備え、
該制御部は、
前記第1距離と前記所定角度と前記ラベルの寸法とに基づいて、前記ラベルの回転角度位置が前記所定角度であるときの前記回転中心と前記ラベル端部との間の前記搬送方向における第4距離を算出し、
前記第3距離と前記第4距離とに基づいて、前記下降機構によって前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記搬送方向における前記回転中心と前記基準位置との間の第5距離を算出し、
前記第2距離と前記第5距離とに基づいて、前記下降機構によって前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記搬送方向における前記検知位置と前記基準位置との間の第6距離を算出し、
該第6距離と前記所定速度とに基づいて、前記通過センサにより前記基準位置の通過が検知されてから前記被貼付物に前記ラベルを貼り付けるまでの第1時間を算出し、
前記下降機構の作動を開始してから前記被貼付物に前記ラベルが押し付けられるまでに要する第2時間と、前記第1時間とに基づいて、前記通過センサにより前記基準位置の通過が検知されてから前記下降機構の作動を開始するまでの待機時間を算出することを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記ラベルは、前記ラベル発行部から送り出されるときに前記発行方向に略直角に配置される第1辺と、前記ラベル発行部から送り出されるときに前記発行方向に略直角に配置され且つ前記第1辺よりも前記発行方向の下流側に配置される第2辺とを有し、
前記ラベル端部が前記第1辺の端部である場合、
前記制御部は、
前記第1辺及び第2辺の寸法と前記第1距離と前記所定角度とに基づいて、前記第4距離を算出することを特徴とする請求項1に記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記ラベルは、前記ラベル発行部から送り出されるときに前記発行方向に略直角に配置される第1辺と、前記ラベル発行部から送り出されるときに前記発行方向に略直角に配置され且つ前記第1辺よりも前記発行方向の下流側に配置される第2辺と、前記発行方向に略平行に配置される第3辺及び第4辺とを有し、
前記ラベル端部が前記第2辺の端部である場合、
前記制御部は、
前記第1辺及び第2辺の寸法と前記第3辺及び第4辺の寸法と前記第1距離と前記所定角度とに基づいて、前記第4距離を算出することを特徴とする請求項1に記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
ラベル発行部から所定の発行方向に略長方形のラベルを送り出し、
前記ラベル発行部から送り出されたラベルにおける前記発行方向の上流端から第1距離だけ下流側に位置する回転中心周りにラベル吸着部が水平回転可能なように、該ラベル吸着部の下面に前記ラベルを吸着させ、
前記ラベル吸着部の下方において被貼付物を所定の搬送方向に所定速度で移動させ、
前記ラベル吸着部から前記搬送方向の上流側に第2距離だけ離れた検知位置において、前記被貼付物における所定の基準位置の通過を検知し、
該基準位置の通過が検知されてから所定の待機時間が経過したときに、前記ラベルが吸着された前記ラベル吸着部の下降を開始して、前記被貼付物における前記基準位置から前記搬送方向の上流側または下流側に第3距離だけ離れた位置に、前記搬送方向の下流側または上流側のラベル端部が貼り付けられるように、前記被貼付物に前記ラベルを押し付け、
前記被貼付物に押し付けられるときの前記ラベルの回転角度位置が所定角度になるように、前記ラベルが吸着された前記ラベル吸着部を水平回転させるラベルの貼り付け方法であって、
前記第1距離と前記所定角度と前記ラベルの寸法とに基づいて、前記ラベルの回転角度位置が前記所定角度であるときの前記回転中心と前記ラベル端部との間の前記搬送方向における第4距離を算出し、
前記第3距離と前記第4距離とに基づいて、前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記搬送方向における前記回転中心と前記基準位置との間の第5距離を算出し、
前記第2距離と前記第5距離とに基づいて、前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記搬送方向における前記検知位置と前記基準位置との間の第6距離を算出し、
該第6距離と前記所定速度とに基づいて、前記基準位置の通過が検知されてから前記被貼付物に前記ラベルを貼り付けるまでの第1時間を算出し、
前記ラベル吸着部の下降を開始してから前記被貼付物に前記ラベルが押し付けられるまでに要する第2時間と、前記第1時間とに基づいて、前記待機時間を算出することを特徴とするラベル貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルを発行して被貼付物に貼り付けるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、上貼り式のラベル貼付装置は、ラベル発行部から発行されたラベルをラベル吸着部によって吸着保持させて、該ラベル吸着部をコンベア上の商品上面まで下降させることで、商品上面にラベルを貼り付けるように動作する。この貼付動作は、ユーザによって予め設定された位置にラベルが貼り付けられるように、コンベアによる商品の搬送にタイミングを合わせて実行される。
【0003】
このような上貼り式のラベル貼付装置において、ラベルを平面視の所望の角度位置で貼り付けることができるように、ラベル吸着部を水平回転させる機構が設けられることがある。この種のラベル貼付装置において、ラベルの貼付角度を変更すると、商品の搬送方向において、商品の端部とラベルの端部との間の距離が変わる。そのため、搬送方向におけるラベルの貼付位置は、貼付角度が変更される度に再設定する必要がある。
【0004】
この貼付位置の再設定を手動で行う場合、ユーザは、貼付角度の設定を変更した状態で実際に貼付動作を実行した後、搬送方向の上流側または下流側におけるラベルの端部と商品の端部との距離を計測し、この実測値と所望の距離との間のずれを確認する。その後、このずれが解消されるように、操作画面上で、貼付位置の設定値を適当な値に入力し直す。これにより、搬送方向の所望の位置にラベルが貼り付けられるように、貼付動作が適切なタイミングで実行される。
【0005】
このような煩雑な再設定作業を省略するために、特許文献1には、ラベルの貼付角度の設定が変更されても、所望の貼付位置にラベルが貼り付けられるように、貼付動作のタイミングが自動的に補正される技術が開示されている。
【0006】
特許文献1の装置には台紙付きラベルロールが用いられる。台紙付きラベルロールは、所定サイズを有する複数のラベルが所定間隔で剥離可能に貼り付けられた帯状の台紙がロール状に巻かれることで形成されたものである。また、特許文献1の装置において、ラベルの貼付角度は、例えば0°、45°、90°などの複数の回転角度の中からいずれかの回転角度が選択されることで決定される。貼付動作のタイミングの自動補正は、ラベルのサイズ毎、及び、回転角度毎に補正値が予め設定されたテーブル(同文献の図6参照)に基づいて実行され、これにより、貼付角度が変更されても、所望の貼付位置にラベルを貼り付けることができる。
【0007】
商品の上面にラベルを自動的に貼り付ける装置として、印字されたラベルを発行するラベル発行機と、該ラベル発行機で発行されたラベルを受け取ってコンベア上の商品に貼り付けるラベル貼付機とを備えたラベル貼付装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4892815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、台紙付きラベルロールを用いる場合、ラベルには様々なサイズが存在する。また、帯状のラベル連続体のみがロール状に巻かれることで形成された台紙レスラベルロールを用いる場合には、ラベル連続体の切断位置によってラベルサイズが決まるため、無数のラベルサイズが存在することになる。そのため、特許文献1の技術のように、貼付動作のタイミングの補正値をラベルサイズ毎に用意するためには、膨大なデータを記憶しておく必要がある。
【0010】
また、特許文献1の技術において、貼付角度が上記のように45°単位で設定される場合には、貼付角度毎の補正値のデータ量は比較的少なくて済むが、貼付角度を例えば1°単位で設定可能なラベル貼付装置においては、補正値のデータ量がさらに膨大となる。さらに、コンベアによる商品の搬送速度が変更可能である場合、搬送速度毎に同様の補正値を用意する必要があり、この場合、ますます膨大なデータ量が必要となる。
【0011】
そこで、本発明は、補正用の膨大なデータを事前に用意しておかなくても、貼付角度に関わらず常に所望の貼付位置にラベルが貼り付けられるように、貼付動作のタイミングを制御できるラベル貼付装置及びラベル貼付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るラベル貼付装置は、
所定の発行方向に略長方形のラベルを送り出すラベル発行部と、
該ラベル発行部から送り出されたラベルを下面に吸着させるラベル吸着部と、
前記発行方向において前記ラベル吸着部に吸着されたラベルの上流端から第1距離だけ下流側に位置する回転中心周りに前記ラベル吸着部を水平回転させる回転機構と、
前記ラベル吸着部を下降させて、該ラベル吸着部の下方において所定の搬送方向に所定速度で移動する被貼付物にラベルを押し付ける下降機構と、
前記ラベル吸着部から前記搬送方向の上流側に第2距離だけ離れた検知位置において前記被貼付物における所定の基準位置の通過を検知する通過センサと、
前記被貼付物における前記基準位置から前記搬送方向の上流側または下流側に第3距離だけ離れた位置に、前記搬送方向の下流側または上流側のラベル端部が貼り付けられるようなタイミングで前記下降機構を作動させ、且つ、該下降機構によって前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記ラベルの回転角度位置が所定角度になるように前記回転機構を作動させる制御部と、を備え、
該制御部は、
前記第1距離と前記所定角度と前記ラベルの寸法とに基づいて、前記ラベルの回転角度位置が前記所定角度であるときの前記回転中心と前記ラベル端部との間の前記搬送方向における第4距離を算出し、
前記第3距離と前記第4距離とに基づいて、前記下降機構によって前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記搬送方向における前記回転中心と前記基準位置との間の第5距離を算出し、
前記第2距離と前記第5距離とに基づいて、前記下降機構によって前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記搬送方向における前記検知位置と前記基準位置との間の第6距離を算出し、
該第6距離と前記所定速度とに基づいて、前記通過センサにより前記基準位置の通過が検知されてから前記被貼付物に前記ラベルを貼り付けるまでの第1時間を算出し、
前記下降機構の作動を開始してから前記被貼付物に前記ラベルが押し付けられるまでに要する第2時間と、前記第1時間とに基づいて、前記通過センサにより前記基準位置の通過が検知されてから前記下降機構の作動を開始するまでの待機時間を算出することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るラベル貼付装置では、被貼付物の搬送速度、被貼付物の搬送方向におけるラベルの貼付位置、及び、ラベルの貼付角度が予め設定される場合に、ラベルの発行方向におけるラベルの上流端と回転中心との間の第1距離、搬送方向における検知位置とラベル吸着部との間の第2距離、及び、搬送方向の貼付位置(被貼付物の基準位置と該被貼付物に貼り付けられたラベルの搬送方向下流側または上流側の端部との間の第3距離)に基づいて、ラベルの回転角度位置が所定の貼付角度であるときの搬送方向の第4距離、被貼付物にラベルが押し付けられるときの搬送方向の第5距離及び第6距離が順に算出された後、第6距離と搬送速度とに基づいて、下降機構の作動を開始するタイミングが最終的に算出される。このように、貼付角度に応じて算出されたタイミングで貼付動作が実行されるため、貼付角度が変更されても、確実に所定の貼付位置にラベルを貼り付けることができる。
【0014】
また、本発明では、上記のように所定の設定値および所定の固定値を用いて貼付動作のタイミングが算出されるため、ラベルサイズ毎、貼付角度毎、又は、搬送速度毎に補正値が設定されたテーブルを用意する必要がない。
【0015】
さらに、ラベルサイズ、貼付角度、及び、搬送速度を様々な値に設定しても、これらの設定値に対応して、上記のような貼付動作のタイミング制御を確実に実行できる。したがって、種々のラベルサイズを採用することができる。特に、ラベル長さを任意に設定可能な台紙レスラベルロールを用いる場合に本発明を有効に適用できる。また、貼付角度毎に補正用のテーブルを用意する必要がないため、貼付角度を例えば1°毎に設定するなどといった、より自由な貼付角度の設定が可能になる。
【0016】
本発明に係るラベル貼付装置において、
前記ラベルは、前記ラベル発行部から送り出されるときに前記発行方向に略直角に配置される第1辺と、前記ラベル発行部から送り出されるときに前記発行方向に略直角に配置され且つ前記第1辺よりも前記発行方向の下流側に配置される第2辺とを有し、
前記ラベル端部が前記第1辺の端部である場合、
前記制御部は、
前記第1辺及び第2辺の寸法と前記第1距離と前記所定角度とに基づいて、前記第4距離を算出してもよい。
【0017】
このように、ラベルの第1辺および第2辺のうち、ラベル発行時に発行方向の上流側に配置される第1辺の端部が、第4距離算出の基準となる場合、この第4距離の算出には、発行方向に略直角な第1辺及び第2辺の寸法のみが用いられ、発行方向に略平行な残りの2辺の寸法を用いる必要がない。したがって、台紙レスラベルロールを用いる場合に、ラベル連続体の切断位置に関係なく、ラベル連続体の幅方向の寸法に基づいて、前記第4距離を容易に算出することができる。
【0018】
本発明に係るラベル貼付装置において、
前記ラベルは、前記ラベル発行部から送り出されるときに前記発行方向に略直角に配置される第1辺と、前記ラベル発行部から送り出されるときに前記発行方向に略直角に配置され且つ前記第1辺よりも前記発行方向の下流側に配置される第2辺と、前記発行方向に略平行に配置される第3辺及び第4辺とを有し、
前記ラベル端部が前記第2辺の端部である場合、
前記制御部は、
前記第1辺及び第2辺の寸法と前記第3辺及び第4辺の寸法と前記第1距離と前記所定角度とに基づいて、前記第4距離を算出してもよい。
【0019】
このように、ラベルの第1辺および第2辺のうち、ラベル発行時に発行方向の下流側に配置される第2辺の端部が、第4距離算出の基準となる場合、この第4距離の算出には、発行方向に略直角な第1辺及び第2辺の寸法に加えて、発行方向に略平行な第3辺及び第4辺の寸法が用いられることで、前記第4距離を確実に算出することができる。
【0020】
本発明に係るラベル貼付方法は、
ラベル発行部から所定の発行方向に略長方形のラベルを送り出し、
前記ラベル発行部から送り出されたラベルにおける前記発行方向の上流端から第1距離だけ下流側に位置する回転中心周りにラベル吸着部が水平回転可能なように、該ラベル吸着部の下面に前記ラベルを吸着させ、
前記ラベル吸着部の下方において被貼付物を所定の搬送方向に所定速度で移動させ、
前記ラベル吸着部から前記搬送方向の上流側に第2距離だけ離れた検知位置において、前記被貼付物における所定の基準位置の通過を検知し、
該基準位置の通過が検知されてから所定の待機時間が経過したときに、前記ラベルが吸着された前記ラベル吸着部の下降を開始して、前記被貼付物における前記基準位置から前記搬送方向の上流側または下流側に第3距離だけ離れた位置に、前記搬送方向の下流側または上流側のラベル端部が貼り付けられるように、前記被貼付物に前記ラベルを押し付け、
前記被貼付物に押し付けられるときの前記ラベルの回転角度位置が所定角度になるように、前記ラベルが吸着された前記ラベル吸着部を水平回転させるラベルの貼り付け方法であって、
前記第1距離と前記所定角度と前記ラベルの寸法とに基づいて、前記ラベルの回転角度位置が前記所定角度であるときの前記回転中心と前記ラベル端部との間の前記搬送方向における第4距離を算出し、
前記第3距離と前記第4距離とに基づいて、前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記搬送方向における前記回転中心と前記基準位置との間の第5距離を算出し、
前記第2距離と前記第5距離とに基づいて、前記ラベルが前記被貼付物に押し付けられるときの前記搬送方向における前記検知位置と前記基準位置との間の第6距離を算出し、
該第6距離と前記所定速度とに基づいて、前記基準位置の通過が検知されてから前記被貼付物に前記ラベルを貼り付けるまでの第1時間を算出し、
前記ラベル吸着部の下降を開始してから前記被貼付物に前記ラベルが押し付けられるまでに要する第2時間と、前記第1時間とに基づいて、前記待機時間を算出することを特徴とする。
【0021】
本発明に係るラベル貼付方法では、被貼付物の搬送速度、被貼付物の搬送方向におけるラベルの貼付位置、及び、ラベルの貼付角度が予め設定される場合に、ラベルの発行方向におけるラベルの上流端と回転中心との間の第1距離、搬送方向における検知位置とラベル吸着部との間の第2距離、及び、搬送方向の貼付位置(被貼付物の基準位置と該被貼付物に貼り付けられたラベルの搬送方向下流側または上流側の端部との間の第3距離)に基づいて、ラベルの回転角度位置が所定の貼付角度であるときの搬送方向の第4距離、被貼付物にラベルが押し付けられるときの搬送方向の第5距離及び第6距離が順に算出された後、第6距離と搬送速度とに基づいて、下降機構の作動を開始するタイミングが最終的に算出される。このように、貼付角度に応じて算出されたタイミングで貼付動作が実行されるため、貼付角度が変更されても、確実に所定の貼付位置にラベルを貼り付けることができる。
【0022】
また、本発明では、上記のように限られた設定値および固定値を用いて貼付動作のタイミングが算出されるため、ラベルサイズ毎、貼付角度毎、又は、搬送速度毎に補正値が設定されたテーブルを用意する必要がない。
【0023】
さらに、ラベルサイズ、貼付角度、及び、搬送速度を様々な値に設定しても、これらの設定値に対応して、上記のような貼付動作のタイミング制御を確実に実行できる。したがって、種々のラベルサイズを採用することができ、特に、ラベル長さを任意に設定可能な台紙レスラベルロールを用いる場合に本発明を有効に適用できる。また、貼付角度毎に上記補正値を用意する必要がないため、貼付角度を例えば1°毎に設定するなどといった、より自由な貼付角度の設定が可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ラベルの寸法、貼付角度、被貼付物の搬送方向における貼付位置、該搬送方向の各種距離、被貼付物の搬送時間、及び、貼付動作時間に基づく計算によって、貼付動作のタイミングが制御されるため、補正用の膨大なデータを事前に用意しておかなくても、貼付角度に関わらず常に所望の貼付位置にラベルを貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るラベル貼付装置を示す正面図である。
図2図1に示すラベル貼付装置に搭載されたラベル発行機の内部構造を正面から見た断面図である。
図3図1に示すラベル貼付装置に搭載されたラベル貼付機の内部構造を正面から見た断面図である。
図4図3に示すラベル貼付機の動作を説明するための図である。
図5図1に示すラベル貼付装置の制御システムを示すブロック図である。
図6図4に示す貼付動作のタイムチャートである。
図7】商品搬送方向における各種距離を示す図である。
図8】未回転状態のラベルを示す平面図である。
図9】貼付角度が正の第1角度域の角度位置に設定される場合における第4距離の算出方法を説明するための図である。
図10】貼付角度が負の第1角度域の角度位置に設定される場合における第4距離の算出方法を説明するための図である。
図11】貼付角度が正の第2角度域の角度位置に設定される場合における第4距離の算出方法を説明するための図である。
図12】貼付角度が負の第2角度域の角度位置に設定される場合における第4距離の算出方法を説明するための図である。
図13】貼付角度設定画面の一例を示す図である。
図14】商品の上面からはみ出してラベルを貼り付ける構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0027】
[ラベル貼付装置の全体構成]
図1に示すように、本実施形態に係るラベル貼付装置1は、商品Gを搬送するコンベア4と、コンベア4で搬送される商品Gの上面にラベルL(図3及び図4参照)を貼り付ける上貼り機構7と、所定の入力操作および所定の表示を行うための操作表示部12と、以上の構成要素を支持するラック2と、を備えている。なお、コンベア4の下方に、商品Gの下面にラベルを貼り付ける下貼り機構(図示せず)が更に設けられてもよい。
【0028】
[コンベア]
コンベア4は、ラベル貼付装置1の正面側から見て左から右に向かう搬送方向(図中D方向)に沿って商品Gを移動させるように配設されている。コンベア4は例えば無端ベルトで構成されるが、本発明において、コンベア4の具体的構造は特に限定されるものでない。
【0029】
コンベア4の近傍には商品通過センサ110が配設されている。商品通過センサ110は、上貼り機構7によるラベル貼付位置よりも搬送方向D上流側の所定位置をコンベア4上の商品Gが通過したか否かを検出する。商品通過センサ110の種類は限定されるものでないが、例えば、発光部と受光部を有する光学式の商品通過センサ110が用いられる。
【0030】
[上貼り機構]
上貼り機構7は、商品Gの上面に貼り付けられるラベルLを発行するラベル発行機8と、ラベル発行機8で発行されたラベルLを商品Gの上面に貼り付けるラベル貼付機10と、を備えている。
【0031】
ラベル発行機8及びラベル貼付機10は、コンベア4の上方に配設されている。搬送方向Dに関して、ラベル貼付機10は、ラベル発行機8の下流側に隣接して配設されている。なお、ラベル貼付機10のさらに下流側に、商品Gの上面に貼り付けられたラベルLを上側から押さえ付けるための別のラベル貼付機、又は、商品Gの上面に貼り付けられたラベルLに上方からエアを吹き付けるエア吹付装置を配設してもよい。
【0032】
ラベル発行機8はラック2によって下側から支持されている。ラベル発行機8とラベル貼付機10はユニット化されており、ラベル貼付機10は、ラベル発行機8を介してラック2に支持されている。ラック2には、搬送方向Dに直交するコンベア4の幅方向(図8図12に示すE方向)に延びるレール部18が設けられている。ラベル発行機8は、レール部18に沿って幅方向Eにスライド可能となっている。そのため、ラベル発行機8をレール部18に沿ってスライドさせることで、ラベル発行機8及びラベル貼付機10を一体的に幅方向Eに位置調整することができる。ラベル発行機8及びラベル貼付機10の構成の具体的構成については後に説明する。
【0033】
[操作表示部]
操作表示部12は、表示パネル13とストロークキー部14とを有する。表示パネル13は例えばタッチパネルで構成されている。ただし、表示パネル13は必ずしもタッチパネルでなくてもよい。また、表示パネル13がタッチパネルである場合、操作表示部12において必ずしもストロークキー部14を設ける必要はない。
【0034】
[ラベル発行機]
図2を参照しながら、ラベル発行機8の構成について説明する。ラベル発行機8には、いわゆる台紙レスラベルロールLRが用いられる。該ラベルロールLRは、糊面と非糊面を有する帯状のラベル連続体LCを糊面が内側を向くようにロール状に巻くことで形成されている。ラベル連続体LCの非糊面は、熱の印加により発色する印字面である。
【0035】
ラベル発行機8は、ラベルロールLRを内周側から支持するホルダ90と、ラベルロールLRの外周部から繰り出されるラベル連続体LCの延長部分をガイドする複数のガイドローラ99a,99b,99cと、ラベル連続体LCの印字面に印字する印字部91と、印字部91と共にラベル連続体LCを挟み込む印字ローラ92と、印字ローラ92と協働してラベル連続体LCをラベル発行口Wに向けて送り込むアシストローラ93と、ラベル連続体LCを切断する切断手段95と、ラベル発行機8の各種構成要素を収容するハウジング120と、を備えている。
【0036】
以下の説明において、ラベル連続体LCがラベルロールLRからラベル発行口Wに向けて送り込まれる方向を「ラベル供給方向」(図中F方向)という。
【0037】
ハウジング120は、例えば略直方体の形状を有する。ハウジング120の正面は開閉可能な扉で構成されており、ラベル発行機8のメンテナンス及びラベルロールLRの交換は、ハウジング120の扉を開いた状態で行われる。
【0038】
ホルダ90は、ラベル発行機8の背面側から正面側に向かって延設されている。ホルダ20の背面側端部はハウジング120に固定されており、ハウジング120によって片持ち状に支持されている。ラベルロールLRは、正面側からホルダ90に差し込まれることで、ラベル発行機8にセットされる。
【0039】
印字部91は、印字データに応じて加熱される複数の微小な発熱体を備えたサーマルヘッドであり、加熱された発熱体をラベル連続体LCの印字面に接触させることで、感熱式の印字を行う。
【0040】
印字ローラ92の表面はゴム系の素材で構成されている。印字ローラ92は、印字ローラ用モータ96によって回転駆動される駆動ローラである。印字ローラ用モータ96には、例えばステッピングモータが用いられる。
【0041】
印字ローラ92は、印字部91と共にラベル連続体LCを挟み込むように配設されている。これにより、印字ローラ92は、ラベル連続体LCの印字面を印字部91に押し付けながら、印字ローラ92の回転駆動によりラベル連続体LCをラベル供給方向Fに移動させることができる。印字ローラ92は印字部91の下側に配設されている。そのため、ラベル連続体LCは、印字面が上面となる姿勢でラベル発行口Wへ送り出される。
【0042】
印字ローラ92は、正逆両方向に回転可能である。ここでいう「正方向」とは、ラベル連続体LCをラベル供給方向Fに送り込む回転方向を指し、「逆方向」とは、ラベル連続体LCをラベル供給方向Fとは反対方向に引き込む回転方向を指す。
【0043】
アシストローラ93の表面はゴム系の素材で構成されている。アシストローラ93は、アシストローラ用モータ97によって回転駆動される駆動ローラである。アシストローラ用モータ97には、例えばステッピングモータが用いられる。
【0044】
アシストローラ93は、ラベル供給方向Fに関して印字ローラ92の上流側に配設されている。アシストローラ93は、対向する従動ローラ94と共にラベル連続体LCを挟み込むように配設されている。印字ローラ92と同様、アシストローラ93も、正逆両方向に回転可能である。
【0045】
印字ローラ92とアシストローラ93が正方向に回転駆動されることにより、ラベル連続体LCはラベル供給方向Fにフィードされ、印字ローラ92とアシストローラ93が逆方向に回転駆動されることにより、ラベル連続体LCはラベル供給方向Fとは反対方向にバックフィードされる。
【0046】
アシストローラ93と印字ローラ92との間において、ラベル連続体LCは、ガイドローラ99cによって下方に迂回するように案内されている。また、アシストローラ93と印字ローラ92との間にはラベルセンサ100が配設されている。ラベルセンサ100は、アシストローラ93と印字ローラ92との間にラベル連続体LCが存在するか否かを検知するセンサである。ラベルセンサ100には、例えば、発光部と受光部を備えた光学式センサが用いられる。この場合、ラベルセンサ100とラベル連続体LCとの距離に応じてラベルセンサ100の出力値が変化することを利用して、ラベルセンサ100の出力値に基づいて、ラベル連続体LCの弛みを検知することが可能である。
【0047】
切断手段95は、可動カッタ95aと固定カッタ95bとを備えている。可動カッタ95aは、下方に刃を向けて配設されている。可動カッタ95aは、カッタ用モータ98によって上下方向にスライドするように駆動される。固定カッタ95bは、上方に刃を向けた姿勢でハウジング120に固定されている。
【0048】
切断手段95の非動作時(待機状態)において、可動カッタ95aの刃は、固定カッタ95bの刃よりも上側に配置される。切断手段95によってラベル連続体LCが切断されるとき、ラベル連続体LCは、先端部がラベル発行口Wを通してハウジング120の外側に送り出され、且つ、被切断位置が固定カッタ95bの刃と可動カッタ95aの刃とに位置合わせされる。このようにラベル連続体LCが位置合わせされた状態で、可動カッタ95aが下方へスライド駆動されると、ラベル連続体LCは、固定カッタ95bの刃と可動カッタ95aの刃とによって上下から挟み込まれて切断される。このようにして切断手段95によってラベル連続体LCが切断されることで、ラベル連続体LCから切り取られた略長方形のラベルLが、ラベル発行口(ラベル発行部)Wから所定の発行方向(図7(a)及び図8における矢印H方向)に送り出される。本実施形態において、発行方向Hは、商品Gの搬送方向Dに平行な方向であるが、発行方向Hと搬送方向Dは必ずしも平行でなくてもよい。
【0049】
[ラベル貼付機]
続いて、ラベル貼付機10の構成について説明する。
【0050】
図3に示すように、ラベル貼付機10は、ラベル発行機8で発行されたラベルLを商品Gの上面に貼り付けるラベル貼付機構30と、ラベル貼付機構30を収容するハウジング40と、を有する。
【0051】
ハウジング40の下面には、吸着ブロック50が設けられている。吸着ブロック50の下面は、吸着ブロック用負圧源112(図5参照)による負圧供給によりラベルLを吸着させる吸着面となっている。
【0052】
ラベル貼付機構30は、吸着ブロック50の下面に吸着保持されたラベルLの上側から下降することで、吸着ブロック50の下方に位置する商品Gの上面にラベルLを押し付ける例えば1本の貼付アーム31と、貼付アーム31に上向きの付勢力を作用させるコイルスプリング37を介して貼付アーム31に連結されることで貼付アーム31を保持するアーム保持体36と、を有する。また、ラベル貼付機構30は、貼付アーム31を下降させて商品GにラベルLを押し付ける下降機構48と、貼付アーム31を水平回転させる回転機構49と、を有する。
【0053】
アーム保持体36は、例えばアルミニウム製のブロック材で構成され、これにより、アーム保持体36の軽量化が図られる。
【0054】
貼付アーム31は中空の棒材である。貼付アーム31の材料には例えばステンレスが用いられ、これにより、貼付アーム31の軽量化が図られる。貼付アーム31は、アーム保持体36を貫通して、上下方向に延びるように配設されている。貼付アーム31の中空部は、貼付アーム31の上端部に取り付けられた接続部35を介して貼付アーム用負圧源111(図5参照)に連通している。
【0055】
貼付アーム31の下端部にはクッション部32が設けられている。クッション部32は、上下方向に延びる筒状部材である。クッション部32の中空部は、貼付アーム31の中空部に連通している。クッション部32の材料には軟質の素材が用いられ、具体的には例えばゴムが用いられる。これにより、クッション部32が押し当てられたときに商品Gに与えられる衝撃が緩和され、商品Gの保護が図られる。ラベル貼付機構30の非動作時(待機状態)において、クッション部32の下面は、吸着ブロック50の下面と比べて同じ高さか又は僅かに高く配置される。
【0056】
クッション部32は、貼付アーム31の下端部に嵌め付けられた概略円筒状の部材であり、クッション部32の下端部は、下方に向かってラッパ状に拡径している。貼付アーム用負圧源111の駆動によってクッション部32の下面に負圧が供給されると、クッション部32の下面にラベルLが吸着保持され得る。以上の構成により、貼付アーム31は、クッション部32の下面にラベルLを吸着させるラベル吸着部を構成している。
【0057】
貼付アーム31の中間部には下側ストッパ33が設けられている。下側ストッパ33は、アーム保持体36に対する貼付アーム31の相対的な上方移動を規制する規制部として機能するように、アーム保持体36よりも下側に配設されている。下側ストッパ33の材料は特に限定されるものでないが、例えば、貼付アーム31と同じ材料が用いられる。
【0058】
貼付アーム31の上端部には上側ストッパ34が設けられている。前記コイルスプリング37の上端部は上側ストッパ34に固定され、コイルスプリング37の下端部はアーム保持体36に固定されている。このようにして上側ストッパ34とアーム保持体36との間にコイルスプリング37が圧縮された状態で介装されることで、コイルスプリング37による上向きの付勢力が貼付アーム31に作用するようになっている。
【0059】
下降機構48は、アーム保持体36を貼付アーム31と共に上下方向に移動させる上下動用モータ41を備えている。上下動用モータ41の出力軸は水平方向に沿って配置されている。上下動用モータ41の出力軸には駆動側プーリ42が駆動連結されている。駆動側プーリ42は、無端状のベルト44を介して、駆動側プーリ42の下方に配設された従動側プーリ43に連結されている。ベルト44にはアーム保持体36が固定されている。これにより、上下動用モータ41が正方向(図3における反時計回り方向)に回転したときに、ベルト44の移動と共にアーム保持体36が上方に移動し、上下動用モータ41が逆方向(図3における時計回り方向)に回転したときに、ベルト44の移動と共にアーム保持体36が下方に移動する。
【0060】
なお、本発明において、アーム保持体36を上下方向に移動させる駆動機構は、上下動用モータ41等を含む上記機構に限定されるものでなく、例えば、エアシリンダを駆動機構として用いてもよい。この場合、エアシリンダを上下方向に伸縮させることで、エアシリンダのロッド又はシリンダに固定されたアーム保持体36を上下方向に移動させることができる。
【0061】
回転機構49は、貼付アーム31を軸周りに回転させる回転用モータ45を備えている。回転用モータ45の出力軸は上下方向に沿って配置されている。回転用モータ45の出力軸には駆動側プーリ46が駆動連結されている。駆動側プーリ46は、無端状のベルト47を介して従動側プーリ38に連結されている。従動側プーリ38には、貼付アーム31が上下方向にスライド可能に貫通しており、貼付アーム31の外周面と従動側プーリ38の貫通穴の内周面との間には例えばボールベアリングが介装されている。貼付アーム31は、回転用モータ45の駆動によって従動側プーリ38が回転したときに、これに連動して軸周りに回転するようになっている。
【0062】
図4を参照しながら、ラベル貼付機構30の動作の一例について説明する。
【0063】
図4(a)に示すように、ラベル発行機8で発行されたラベルLは、吸着ブロック用負圧源112により負圧が供給された吸着ブロック50の下面に吸着保持される。
【0064】
次に、図4(b)に示すように、吸着ブロック50の下面への負圧供給が停止されるとともに、上下動用モータ41によってアーム保持体36が高速で下降するように駆動される。アーム保持体36が下降されると、下側ストッパ33がアーム保持体36によって下方へ押し込まれることによって、貼付アーム31がアーム保持体36と共に下降する。これにより、貼付アーム31のクッション部32は、吸着ブロック50の下面よりも下方へ突出し、ラベルLを吸着ブロック50から引き離して押し下げる。
【0065】
このとき、クッション部32の下面には負圧が供給されており、ラベルLはクッション部32の下面に吸着保持された状態で押し下げられる。ラベルLが吸着ブロック50から引き離されると、回転用モータ45によって貼付アーム31が軸周りに所定角度回転するように駆動される。これにより、クッション部32の下面に保持されたラベルLは、所定の向きになるまで貼付アーム31と共に回転しながら下降する。
【0066】
続いて、図4(c)に示すように、アーム保持体36が所定高さまで下降すると、上下動用モータ41が急激に停止されてアーム保持体36の下降が停止される。このとき、貼付アーム31には下向きの慣性力が作用し、貼付アーム31は、慣性による下降を開始する。その後、貼付アーム31は、コイルスプリング37をさらに圧縮させながら、慣性による下降を継続する。
【0067】
この慣性による貼付アーム31の下降中に、クッション部32に保持されたラベルLが商品Gの上面に押し当てられる。また、ラベルLが商品Gの上面に押し当てられる直前の所定タイミングで、クッション部32の下面への負圧供給が停止される。これにより、商品Gに大きな衝撃力を与えることなく、商品Gの上面にラベルLを貼り付けることができる。
【0068】
その後、貼付アーム31は、コイルスプリング37による上向きの付勢力によって引き上げられる。また、クッション部32が商品Gの上面から離間すると、上下動用モータ41及び回転用モータ45が貼付アーム31の下降時とは反対方向に回転するように作動して、図4(a)に示す待機状態と同じ高さ及び同じ角度位置になるまで、貼付アーム31が回転しながら引き上げられる。
【0069】
[制御システム]
図5に示すブロック図を参照しながら、ラベル貼付装置1の制御システムについて説明する。
【0070】
ラベル貼付装置1の各種動作は制御部101によって制御される。制御部101には、ラベル貼付装置1の動作に必要な種々の情報を記憶する記憶部102が設けられている。なお、制御部101は、例えばラック2(図1参照)に取り付けられるが、制御部101の取付け位置は限定されるものでない。
【0071】
記憶部102には、例えば、操作表示部12に表示される画面に関する情報、商品マスター、トレーマスター、ラベルマスター及びカセットマスターを含む種々の情報が記憶される。記憶部102に記憶される各種情報の変更、追加または削除は、操作表示部12での入力操作により行うことができる。
【0072】
制御部101には、操作表示部12からの信号と、ラベル発行機8のラベルセンサ100からの信号と、商品通過センサ110からの信号とが入力される。なお、制御部101には、その他の種々の機器からの信号が入力されるようにしてもよい。
【0073】
また、制御部101は、記憶部102に記憶された情報、及び/又は、各種入力信号に基づいて、コンベア用モータ104、ラベル発行機8(具体的には、印字ローラ用モータ96、アシストローラ用モータ97、サーマルヘッド91及びカッタ用モータ98)、ラベル貼付機10(具体的には、貼付アーム上下動用モータ41、貼付アーム回転用モータ45、貼付アーム用負圧源111及び吸着ブロック用負圧源112)、並びに、操作表示部12に制御信号を出力する。
【0074】
制御部101は、商品Gの上面における所定の貼付位置に所定の貼付角度でラベルLが貼り付けられるように、ラベル貼付機10による貼付動作(図4参照)を制御する。商品Gの上面におけるラベルLの貼付角度及び搬送方向Dの貼付位置は、ユーザが操作表示部12に入力した値に設定される。ラベルLの貼付角度は、回転機構49による貼付アーム31の回転量の制御によって制御される。一方、搬送方向DにおけるラベルLの貼付位置は、貼付動作を開始するタイミング、すなわち、下降機構48の作動を開始するタイミングによって制御される。
【0075】
なお、コンベア4の幅方向E(図9図12参照)における貼付位置は、コンベア4上で商品Gを幅方向Eに位置決めするガイド部材(図示せず)の位置調整、又は、ラベル貼付機10の位置調整によって手動で調整される。ただし、ラベル貼付装置1に、前記ガイド部材(図示せず)又はラベル貼付機10を幅方向Eに自動的にスライドさせるスライド機構を設けてもよく、この場合、制御部101は、ユーザにより設定された幅方向Eの貼付位置にラベルが貼り付けられるように前記スライド機構を制御する。
【0076】
[貼付動作のタイミング制御]
以下、図6図12を参照しながら、貼付動作のタイミング制御について説明する。
【0077】
先ず、図6(a)に示すように、貼付動作を開始するタイミングを決定するために、商品通過センサ110により商品Gにおける所定の基準位置の通過が検知される(図6における時刻t0)。本実施形態において、該基準位置は、商品Gの搬送方向D下流端に設定されるが、商品Gの上流端を基準位置としてもよい。また、商品Gにおける上流端及び下流端以外の位置の通過を検知可能な商品通過センサ110(例えば画像センサ)を用いる場合は、商品Gにおける上流端及び下流端以外の位置を基準位置としてもよい。
【0078】
図6(b)に示すように、時刻t0から所定の待機時間Twが経過すると、下降機構48の作動、具体的には、貼付アーム上下動用モータ41の正方向(図3における反時計回り方向)の回転が開始される(図6における時刻t1)。これにより、図6(c)に示すように、時刻t1に貼付アーム31の下降が開始された後、時刻t2に、貼付アーム31のクッション部32の下端に保持されたラベルLが商品Gの上面に押し当てられて、これにより、商品GにラベルLが貼り付けられる。
【0079】
通過センサ110により商品Gの搬送方向D下流端の通過が検知される時刻t0から下降機構48の作動(すなわち、貼付アーム31の下降)が開始される時刻t1までの待機時間Twは、制御部101によって以下のように算出される。
【0080】
[待機時間Twの算出方法]
図6に示すように、通過センサ110により商品Gの搬送方向D下流端の通過が検知される時刻t0から商品GにラベルLが貼り付けられる時刻t2までの時間を第1時間Taとし、下降機構48の作動が開始される時刻t1から商品GにラベルLが押し付けられる時刻t2までに要する時間を第2時間Tbとした場合、待機時間Twは、第1時間Taと第2時間Tbとに基づいて、下記の数式1によって算出される。
【数1】
【0081】
図7を参照しながら、第1時間Taの算出方法について説明する。図7(a)は、商品通過センサ110により商品Gの搬送方向D上流端G1の通過が検知されたとき(図6の時刻t0)の商品通過センサ110、商品G及び貼付アーム31の位置関係を示し、図7(b)は、商品Gの上面にラベルLが押し付けられるとき(図6の時刻t2)の同位置関係を示している。
【0082】
図7(a)に示すように、ラベル発行口W(図2参照)からのラベルLの発行方向Hにおいて、貼付アーム31の下端(具体的には、クッション部32の下面)に吸着されたラベルLの上流端と、貼付アーム31の軸心(貼付アーム31の下端に吸着されたラベルLの回転中心131a(図8参照))までの距離を第1距離Aとし、商品Gの搬送方向Dにおいて、商品通過センサ110による検知位置から貼付アーム31の軸心までの距離を第2距離Bとする。
【0083】
上述の吸着ブロック50(図3参照)は、ラベル発行口Wから送り出されたラベルLの発行方向H上流端を常に同じ位置で吸着保持するため、吸着ブロック50の下面にラベルLが保持された状態において、発行方向HにおけるラベルLの上流端と貼付アーム31との位置関係は常に一定である。そのため、第1距離Aは、ラベルLの大きさに関わらず常に一定の値となる。
【0084】
搬送方向Dにおいて、商品通過センサ110と貼付アーム31との位置関係は常に一定である。そのため、第2距離Bも常に一定の値となる。
【0085】
図7(b)に示すように、商品GにラベルLが押し付けられるとき、搬送方向Dにおいて、ラベルLの下流端と商品Gの下流端G1との距離を第3距離Cとし、貼付アーム31の軸心(ラベルLの回転中心131a(図8参照))とラベルLの下流端との距離を第4距離Xaとし、貼付アーム31の軸心(ラベルLの回転中心131a(図8参照))と商品Gの下流端G1との距離を第5距離Xbとし、商品通過センサ110による検知位置と商品Gの下流端G1との距離を第6距離Xcとする。
【0086】
第3距離Cは、搬送方向DにおけるラベルLの貼付位置の設定によって決定される。貼付動作は、搬送方向Dにおいて設定された位置にラベルLが貼り付けられるタイミングで行われるため、第3距離Cは、貼付位置の設定を変更しない限り一定である。また、搬送方向Dの貼付位置の設定が変更された場合は、貼付位置の変更量と同じ量だけ第3距離Cが変化する。
【0087】
第4距離Xaは、ラベルLの寸法と貼付角度によって変化する。そのため、本実施形態では、貼付角度に応じて第4距離Xaが算出される。第4距離Xaの算出方法については後に説明する。
【0088】
第5距離Xbは、第3距離Cと第4距離Xaとに基づいて、下記の数式2によって算出される。
【数2】
【0089】
また、このようにして算出された第5距離Xbと、第2距離Bとに基づいて、下記の数式3によって第6距離Xcが算出される。
【数3】
【0090】
このようにして算出される第6距離Xcは、時刻t0から時刻t2までの間に商品Gの下流端G1が搬送方向Dに移動する距離である。したがって、時刻t0から時刻t2までの第1時間Ta(図6参照)は、第6距離Xcと、コンベア4による商品Gの搬送速度Vとに基づいて、下記の数式4によって算出される。
【数4】
【0091】
搬送速度Vは、商品Gの種類等に応じて任意に設定される。また、コンベア4の動作中において、搬送速度Vは一定である。
【0092】
一方、下降機構48の作動が開始される時刻t1から商品GにラベルLが押し付けられる時刻t2までに要する第2時間Tb(図6参照)は、貼付アーム31の下降距離、すなわち、商品Gの高さによって決まる。商品Gの高さは、ユーザによる入力によって設定されるか、又は、高さセンサ(例えばラインセンサ)によって検知される。したがって、第2時間Tbは、商品Gの高さが変わらない限り一定の時間となる。
【0093】
以上より、数式4によって算出される第1時間Taと、商品Gの高さによって決まる第2時間Tbとに基づいて、上記の数式1によって待機時間Twを算出することができる。
【0094】
このようにして算出された待機時間Twに従って、時刻t1に貼付動作(下降機構48の動作)が開始されると、搬送方向Dにおいて設定された位置に精度良くラベルLを貼り付けることができる。
【0095】
[第4距離Xaの算出方法]
図8図12を参照しながら、第4距離Xaの算出方法について説明する。
【0096】
図8は、ラベル発行機8による発行直後のラベルLを示す平面図である。すなわち、図8に示す状態は、回転機構49による貼付アーム31及びラベルLの回転が開始されていない未回転状態である。
【0097】
図8に示す未回転状態におけるラベルLの回転角度位置θをθ=0°とする。また、平面視において、図8に示す未回転状態から時計回り方向に0°以上180°以下の角度だけ回転した回転角度位置θを正の角度位置(0°≦θ≦180°)とし、図8に示す未回転状態から反時計回り方向に0°以上180°以下の角度だけ回転した回転角度位置θを負の角度位置(−180°≦θ≦0°)とする。さらに、正の角度位置θの範囲(0°≦θ≦180°)は、正の第1角度域(0°≦θ≦90°)と正の第2角度域(90°≦θ≦180°)とに分類され、負の角度位置θの範囲(−180°≦θ≦0°)は、負の第1角度域(−90°≦θ≦0°)と負の第2角度域(−180°≦θ≦−90°)とに分類されるものとする。
【0098】
図8に示すように、ラベルLの周縁は、ラベル発行口Wから送り出されるときに発行方向Hに略直角な略水平方向に沿って配置される第1辺m1及び第2辺m2と、発行方向Hに略平行に配置される第3辺m3及び第4辺m4とで構成されている。ここで、第1辺m1及び第2辺m2の寸法をSとし、第3辺m3及び第4辺m4の寸法をTとする。
【0099】
回転機構49によるラベルLの回転中心131aは、貼付アーム31のクッション部32の下面に対する例えば円形の被吸着部131の中心に位置する。本実施形態において、回転中心131aは、発行方向Hにおいて比較的下流側の第2辺m2との距離に比べて比較的上流側の第1辺m1との距離が小さい。発行方向Hにおける第1辺m1と回転中心131aとの距離は、上述の第1距離Aに等しく、発行方向HのラベルLの寸法Tに関係なく一定である。一方、発行方向Hにおける第2辺m2と回転中心131aとの距離は、発行方向HのラベルLの寸法Tが大きいときほど大きくなる。
【0100】
第4距離Xaの算出方法は、設定されたラベルLの貼付角度によって異なる。具体的には、貼付角度が正の第1角度域(0°≦θ≦90°)の角度位置θに設定されている場合は、図9に示す仮想の三角形I1,I2を用いて算出され、貼付角度が負の第1角度域(−90°≦θ≦0°)の角度位置θに設定されている場合は、図10に示す仮想の三角形I3,I4を用いて算出される。また、貼付角度が正の第2角度域(90°≦θ≦180°)の角度位置θに設定されている場合は、図11に示す仮想の三角形I5,I6を用いて算出され、貼付角度が負の第2角度域(−180°≦θ≦−90°)の角度位置θに設定されている場合は、図12に示す仮想の三角形I7,I8を用いて算出される。以下、図9図12を参照しながら、より具体的に説明する。
【0101】
図9に示すように、貼付角度が正の第1角度域(0°≦θ≦90°)の角度位置θに設定されている場合、商品Gの上面にラベルLが貼り付けられた状態、すなわち、ラベルLの回転角度位置θが設定角度に達した状態において、ラベルLの搬送方向D下流端には、ラベル発行時に発行方向Hの下流側に配置されていた第2辺m2の端部、具体的には第2辺m2と第3辺m3とのコーナーm23が位置する。したがって、この下流端コーナーm23が第4距離Xa算出の基準となる。すなわち、第4距離Xaは、商品Gの搬送方向DにおけるラベルLの回転中心131aから下流端コーナーm23までの距離である。この第4距離Xaの算出には2つの仮想の三角形I1,I2が用いられる。
【0102】
一方の仮想三角形I1は、ラベルLの回転中心131aから搬送方向D下流側に延びる仮想辺I1aと、第2辺m2の中点m22から商品Gの幅方向Eに前記辺I1aまで延びる仮想辺I1bと、回転中心131aと第2辺m2の中点m22とを結ぶ仮想辺I1cと、を有する仮想の直角三角形である。図9の図示から明らかなように、この仮想三角形I1における搬送方向Dに平行な仮想辺I1aの長さXI1は、ラベルLの第3辺m3及び第4辺m4の寸法T、第1距離A及び貼付角度θに基づいて、下記の数式5によって表される。
【数5】
【0103】
他方の三角形I2は、ラベルLの下流端コーナーm23から搬送方向D上流側に延びる仮想辺I2aと、第2辺m2の中点m22から幅方向Eに前記仮想辺I2aまで延びる仮想辺I2bと、第2辺m2の中点m22と下流端コーナーm23とを結ぶ仮想辺I2cとを有する仮想の直角三角形である。図9の図示から明らかなように、この仮想三角形I2における搬送方向Dに平行な仮想辺I2aの長さXI2は、ラベルLの第2辺m2の寸法S及び貼付角度θに基づいて、下記の数式6によって表される。
【数6】
【0104】
図9に示す状態において、搬送方向DにおけるラベルLの回転中心131aから下流端コーナーm23までの第4距離Xaは、2つの仮想三角形I1,I2の搬送方向Dに平行な仮想辺I1a,I2aの長さの和(XI1+XI2)に等しい。そのため、貼付角度が正の第1角度域(0°≦θ≦90°)の角度位置θに設定されている場合、第4距離Xaは、上記の数式5及び数式6に基づいて、下記の数式7によって表される。
【数7】
【0105】
図10に示すように、貼付角度が負の第1角度域(−90°≦θ≦0°)の角度位置θに設定されている場合、ラベルLの回転角度位置θが設定角度に達した状態において、ラベルLの搬送方向D下流端には、第2辺m2と第3辺m3とのコーナーm23が位置する。つまり、図9に示す状態と同様、ラベル発行時に第1辺m1よりも発行方向H下流側に配置されていた第2辺m2の端部が第4距離Xa算出の基準となる。したがって、図9に示す方法と同様の方法により、搬送方向DにおけるラベルLの回転中心131aから下流端コーナーm23までの第4距離Xaが算出される。この第4距離Xaの算出には2つの仮想の三角形I3,I4が用いられる。
【0106】
一方の仮想三角形I3は、ラベルLの回転中心131aから搬送方向D下流側に延びる仮想辺I3aと、第2辺m2の中点m22から商品Gの幅方向Eに前記仮想辺I3aまで延びる仮想辺I3bと、回転中心131aと第2辺m2の中点m22とを結ぶ仮想辺I3cと、を有する仮想の直角三角形である。図10の図示から明らかなように、この仮想三角形I3における搬送方向Dに平行な仮想辺I3aの長さXI3は、ラベルLの第3辺m3及び第4辺m4の寸法T、第1距離A及び貼付角度θの絶対値|θ|に基づいて、下記の数式8によって表される。
【数8】
【0107】
他方の三角形I4は、ラベルLの下流端コーナーm24から搬送方向D上流側に延びる仮想辺I4aと、第2辺m2の中点m22から幅方向Eに前記仮想辺I4aまで延びる仮想辺I4bと、第2辺m2の中点m22と下流端コーナーm24とを結ぶ仮想辺I4cとを有する仮想の直角三角形である。図10の図示から明らかなように、この仮想三角形I4における搬送方向Dに平行な仮想辺I4aの長さXI4は、ラベルLの第2辺m2の寸法S及び貼付角度θの絶対値|θ|に基づいて、下記の数式9によって表される。
【数9】
【0108】
図10に示す状態において、搬送方向DにおけるラベルLの回転中心131aから下流端コーナーm24までの第4距離Xaは、2つの仮想三角形I3,I4の搬送方向Dに平行な仮想辺I3a,I4aの長さの和(XI3+XI4)に等しい。そのため、貼付角度が負の第1角度域(−90°≦θ≦0°)の角度位置θに設定されている場合、第4距離Xaは、上記の数式8及び数式9に基づいて、下記の数式10によって表される。
【数10】
【0109】
よって、ラベルLの貼付角度が正又は負の第1角度域(−90°≦θ≦90°)の角度位置θに設定されている場合、第4距離Xaは、上記の数式7及び数式10を一般化した下記の数式11によって、第1距離A、貼付角度θ及びラベルLの寸法S,Tに基づいて算出される。
【数11】
【0110】
このように、第1角度域(−90°≦θ≦90°)の貼付角度θが設定されている場合、ラベルLの2方向の寸法S,Tと貼付角度θが用いられることで、第4距離Xaが確実に算出される。
【0111】
続いて、貼付角度が第2角度域(−180°≦θ≦−90°、90°≦θ≦180°)の角度位置θに設定されている場合の第4距離Xaの算出方法について説明する。
【0112】
図11に示すように、貼付角度が正の第2角度域(90°≦θ≦180°)の角度位置θに設定されている場合、ラベルLの回転角度位置θが設定角度に達した状態において、ラベルLの搬送方向D下流端には、ラベル発行時に発行方向Hの上流側に配置されていた第1辺m1の端部、具体的には第1辺m1と第3辺m3とのコーナーm13が位置する。したがって、この下流端コーナーm13が第4距離Xa算出の基準となる。すなわち、第4距離Xaは、商品Gの搬送方向DにおけるラベルLの回転中心131aから下流端コーナーm13までの距離である。この第4距離Xaの算出には2つの仮想の三角形I5,I6が用いられる。
【0113】
一方の仮想三角形I5は、ラベルLの回転中心131aから搬送方向D下流側に延びる仮想辺I5aと、第1辺m1の中点m11から商品Gの幅方向Eに前記仮想辺I5aまで延びる仮想辺I5bと、回転中心131aと第1辺m1の中点m11とを結ぶ仮想辺I5cと、を有する仮想の直角三角形である。図11の図示から明らかなように、この仮想三角形I5における搬送方向Dに平行な仮想辺I5aの長さXI5は、第1距離A及び貼付角度θに基づいて、下記の数式12によって表される。
【数12】
【0114】
他方の三角形I6は、第1辺m1の中点m11から搬送方向D下流側に延びる仮想辺I6aと、ラベルLの下流端コーナーm13から幅方向Eに前記仮想辺I6aまで延びる仮想辺I6bと、第1辺m1の中点m11と下流端コーナーm13とを結ぶ仮想辺I6cとを有する仮想の直角三角形である。図11の図示から明らかなように、この仮想三角形Iにおける搬送方向Dに平行な仮想辺I6aの長さXI6は、ラベルLの第1辺m1の寸法S及び貼付角度θに基づいて、下記の数式13によって表される。
【数13】
【0115】
図11に示す状態において、搬送方向DにおけるラベルLの回転中心131aから下流端コーナーm13までの第4距離Xaは、2つの仮想三角形I5,I6の搬送方向Dに平行な仮想辺I5a,I6aの長さの和(XI5+XI6)に等しい。そのため、貼付角度が正の第2角度域(90°≦θ≦180°)の角度位置θに設定されている場合、第4距離Xaは、上記の数式12及び数式13に基づいて、下記の数式14によって表される。
【数14】
【0116】
図12に示すように、貼付角度が負の第2角度域(−180°≦θ≦−90°)の角度位置θに設定されている場合、ラベルLの回転角度位置θが設定角度に達した状態において、ラベルLの搬送方向D下流端には、第1辺m1と第4辺m4とのコーナーm14が位置する。つまり、図11に示す状態と同様、ラベル発行時に第2辺m2よりも発行方向H上流側に配置されていた第1辺m1の端部が第4距離Xa算出の基準となる。したがって、図11に示す方法と同様の方法により、搬送方向DにおけるラベルLの回転中心131aから下流端コーナーm14までの第4距離Xaが算出される。この第4距離Xaの算出には2つの仮想の三角形I7,I8が用いられる。
【0117】
一方の仮想三角形I7は、ラベルLの回転中心131aから搬送方向D下流側に延びる仮想辺I7aと、第1辺m1の中点m11から商品Gの幅方向Eに前記仮想辺I7aまで延びる仮想辺I7bと、回転中心131aと第1辺m1の中点m11とを結ぶ仮想辺I7cと、を有する仮想の直角三角形である。図12の図示から明らかなように、この仮想三角形I7における搬送方向Dに平行な仮想辺I7aの長さXI7は、第1距離A及び貼付角度θの絶対値|θ|に基づいて、下記の数式15によって表される。
【数15】
【0118】
他方の三角形I8は、第1辺m1の中点m11から搬送方向D下流側に延びる仮想辺I8aと、下流端コーナーm14から幅方向Eに前記仮想辺I8aまで延びる仮想辺I8bと、第1辺m1の中点m11と下流端コーナーm14とを結ぶ仮想辺I8cとを有する仮想の直角三角形である。図12の図示から明らかなように、この仮想三角形I8における搬送方向Dに平行な仮想辺I8aの長さXI8は、ラベルLの第1辺m1の寸法S及び貼付角度θの絶対値|θ|に基づいて、下記の数式16によって表される。
【数16】
【0119】
図12に示す状態において、搬送方向DにおけるラベルLの回転中心131aから下流端コーナーm14までの第4距離Xaは、2つの仮想三角形I7,I8の搬送方向Dに平行な仮想辺I7a,I8aの長さの和(XI7+XI8)に等しい。そのため、貼付角度が負の第2角度域(−180°≦θ≦−90°)の角度位置θに設定されている場合、第4距離Xaは、上記の数式15及び数式16に基づいて、下記の数式17によって表される。
【数17】
【0120】
よって、ラベルLの貼付角度が正又は負の第2角度域(−180°≦θ≦−90°、90°≦θ≦180°)の角度位置θに設定されている場合、第4距離Xaは、上記の数式14及び数式17を一般化した下記の数式18によって、第1距離A、貼付角度θ及びラベルLの第1辺m1及び第2辺m2の寸法Sに基づいて算出される。
【数18】
【0121】
このように、第2角度域(−180°≦θ≦−90°、90°≦θ≦180°)の貼付角度θが設定されている場合、第4距離Xaの算出に、発行方向Hに略直角な第1辺m1及び第2辺m2の寸法Sのみが用いられ、ラベルLの発行方向Hの寸法Tを用いる必要がない。したがって、ラベル発行機8の切断手段95によるラベル連続体LCの切断位置によって発行方向Hの寸法が任意に変更される本実施形態において、ラベル連続体LCの切断位置に関係なく、ラベル連続体LCの幅方向の寸法に基づいて、前記第4距離Xaを容易に算出することができる。
【0122】
以上のように、本実施形態によれば、貼付角度θに応じて、上記の数式11又は数式18のいずれかによって算出された第4距離Xaと、上記の数式1〜数式4とに基づいて、貼付動作の待機時間Twが算出される。このように、貼付角度θに応じて算出されたタイミングで貼付動作が実行されるため、貼付角度θの設定が変更されても、確実に所定の貼付位置にラベルLを貼り付けることができる。
【0123】
また、上記のように所定の設定値θ,C,T,Vおよび所定の固定値A,B,Sを用いて貼付動作のタイミングが算出されるため、発行方向Hのラベル寸法T、貼付角度θ、又は、搬送速度Vに関する様々な設定値毎に補正値が設定されたテーブルを用意する必要がない。
【0124】
さらに、貼付角度θに関する設定値毎に補正用のテーブルを用意する必要がないため、貼付角度θを例えば1°毎に設定するなどといった、より自由な貼付角度θの設定が可能になる。
【0125】
貼付角度θの設定には、例えば図13に示す貼付角度設定画面200が用いられる。貼付角度設定画面200は、商品G及びラベルLに関する情報を表示する情報表示部201と、貼付角度の設定値θを表示する角度表示部202と、角度表示部202に表示された角度位置θのラベルLの向きを画像で示す画像表示部203と、貼付角度θを設定するための複数の設定操作部204,205,206,207,208,209とを備えている。これにより、ユーザは、画像表示部203に表示されたラベルLの画像を見ながら、貼付角度θを確実に所望の角度に設定することができる。
【0126】
設定操作部204〜209は、1回の操作で貼付角度θを−90°に設定する第1設定部204と、1回の操作で貼付角度θを0°に設定する第2設定部205と、1回の操作で貼付角度θを180°に設定する第3設定部206と、1回の操作で貼付角度θを90°に設定する第4設定部207と、貼付角度の設定値θを例えば1°毎増大させる第5設定部208と、貼付角度の設定値θを例えば1°毎減少させる第6設定部209と、を備えている。これにより、設定頻度が高い0°、90°、180°、−90°の貼付角度については、第1〜第4設定部204〜207のいずれかを1回操作するだけで素早く設定できるとともに、第5設定部208又は第6設定部209を操作することで、より細かい貼付角度θの設定が可能になる。
【0127】
なお、貼付角度設定画面200は、貼付位置設定画面(図示せず)へ移行するための移行操作部210を更に備えている。移行操作部210を操作することで貼付位置設定画面へ移行すると、商品Gの搬送方向DにおけるラベルLの貼付位置を調整することができる。ただし、貼付位置設定画面を上記の貼付角度設定画面200に統合して、1つの画面で貼付角度と貼付位置の両方を表示および設定できるようにしてもよい。
【0128】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0129】
例えば、上述の実施形態では、商品Gの上面にラベルL全体を貼り付ける場合について説明したが、例えば図14に示すように商品Gの上面s1からはみ出すようにラベルLが貼り付ける場合にも本発明を適用することができる。図14に示す態様でラベルLを貼り付ける場合、商品Gの上面s1と傾斜面s2との境界部G3に沿って折り曲げて上面s1と傾斜面s2とに跨ってラベルLを貼り付けることができる。この場合も、例えば商品Gの搬送方向D下流端G2を商品Gの基準位置として、上記実施形態と同様に第4距離Xa、第5距離Xb及び第6距離Xcを算出することができる。したがって、上記実施形態と同様に待機時間Twを算出することができ、これにより、貼付角度θに応じた貼付動作のタイミング制御が可能になる。
【0130】
また、上述の実施形態に係るラベル貼付機10(図3参照)に、吸着ブロック50の下面に沿ってラベルLを発行方向Hに移送させるラベル移送部を更に設けてもよい。この場合、ラベル移送部の移動量を制御することで、ラベルLの回転中心131a(図8参照)を常にラベルLの中央部に一致させることが可能になる。
【0131】
さらに、上述の実施形態では、搬送方向DにおけるラベルLの「下流端」を基準として第3距離C及び第4距離Xaを設定する場合について説明したが、本発明では、ラベルLの「上流端」を基準として第3距離C及び第4距離Xaを設定しても、これらの第3距離C及び第4距離Xaに基づいて第5距離Xbを算出することは可能である。したがって、この場合も、上述の実施形態と同様に待機時間Twを算出することが可能である。
【0132】
また、上述の実施形態では、搬送方向Dにおける商品Gの「下流端G1」を基準位置として第3距離C及び第5距離Xbを設定する場合について説明したが、本発明では、商品Gの「上流端」を基準位置として第3距離C及び第5距離Xbを設定しても、第3距離C及び第4距離Xaに基づいて第5距離Xbを算出し、且つ、この第5距離Xbと第2距離Bに基づいて第6距離Xcを算出することは可能である。したがって、この場合も、上述の実施形態と同様に待機時間Twを算出することが可能である。
【0133】
さらに、上記の第4距離Xaの算出方法(図9図12参照)と同様の方法により、ラベルLの回転角度位置θが設定角度に達した状態における「幅方向E(図9図12参照)」のラベルLの回転中心131aとコーナー部との距離を算出するようにしてもよい。この場合、「幅方向E」における商品Gの基準位置とラベルLの回転中心131aとの距離を算出することができる。これにより、コンベア4上の商品Gに対して相対的に貼付アーム31を幅方向Eにスライド可能なスライド機構が設けられた場合に、幅方向EのラベルLの貼付位置を貼付角度θに応じて自動制御することが可能になる。
【0134】
また、上述の実施形態では、計量及び包装の機能を持たないラベル貼付装置について説明したが、本発明は、被貼付物にラベルを貼り付ける機能に加えて、該被貼付物の計量又は包装の少なくとも一方の機能を併せ持つ装置に適用することもできる。
【0135】
さらに、上述の実施形態では、台紙レスラベルロールを用いる場合について説明したが、本発明は、台紙付きラベルロールを用いる場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0136】
1 :ラベル貼付装置
2 :ラック
4 :コンベア
7 :上貼り機構
8 :ラベル発行機
10 :ラベル貼付機
12 :操作表示部
30 :ラベル貼付機構
31 :貼付アーム
32 :貼付アームのクッション部(ラベル吸着部)
41 :貼付アーム上下動用モータ
45 :貼付アーム回転用モータ
50 :吸着ブロック
91 :印字部
92 :印字ローラ
93 :アシストローラ
95 :切断手段
95a :可動カッタ
95b :固定カッタ
96 :印字ローラ用モータ
97 :アシストローラ用モータ
98 :カッタ用モータ
101 :制御部
102 :記憶部
104 :コンベア用モータ
110 :商品通過センサ
111 :貼付アーム用負圧源
112 :吸着ブロック用負圧源
131 :被吸着部
131a :回転中心
A :第1距離
B :第2距離
C :第3距離
D :商品の搬送方向
F :ラベル供給方向
G :商品(被貼付物)
H :発行方向
LR :ラベルロール
LC :ラベル連続体
L :ラベル
S :発行方向のラベル寸法
T :発行方向に直角なラベル寸法
Ta :第1時間
Tb :第2時間
Tw :待機時間
W :ラベル発行口(ラベル発行部)
Xa :第4距離
Xb :第5距離
Xc :第6距離
m1 :ラベルの第1辺
m2 :ラベルの第2辺
m3 :ラベルの第3辺
m4 :ラベルの第4辺
θ :ラベルの回転角度位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14