(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二次電池と、前記二次電池からの充放電ラインに挿入された充放電スイッチ回路と、前記充放電スイッチ回路を介して前記充放電ラインを通じた充放電を制御する保護回路とを備えた電池パックにおいて、
前記充放電スイッチ回路が、
前記充放電ラインに直列に接続されたスイッチ素子と、
前記スイッチ素子を導通させる駆動電圧を生成するスイッチ駆動電源と、
前記スイッチ素子の制御端子に一端が接続されたスイッチング制御抵抗と、
ツェナーダイオードと電流制限抵抗の直列回路からなり、前記ツェナーダイオードのカソードを前記スイッチ素子側に配置して前記スイッチング制御抵抗と並列に接続された短縮回路と、
前記スイッチ素子の制御端子に対する電圧供給を制御するスイッチ制御部とを備え、
前記スイッチ制御部は、前記保護回路からのオン制御に応じて前記スイッチ駆動電源からの前記駆動電圧を前記スイッチング制御抵抗の他端に印加し、オフ制御に応じて前記スイッチ素子の制御端子に蓄積された電荷を前記スイッチング制御抵抗の他端を経由して放電させる制御を行い、
さらに、前記スイッチ制御部は、
前記スイッチ駆動電源と前記スイッチング制御抵抗の他端の間に接続されたオン制御スイッチと、
前記スイッチング制御抵抗の他端と前記スイッチ素子の入出力端子の間に接続されたオフ制御スイッチと、
前記保護回路によるオン・オフ制御に応じて背反動作するオン制御信号とオフ制御信号を供給する制御信号供給部とを備え、
前記オン制御スイッチはオン制御フォトカプラにより構成されて、そのフォトトランジスタのコレクタ端子が前記スイッチ駆動電源に接続され、エミッタ端子が前記スイッチング制御抵抗の他端に接続され、
前記オフ制御スイッチはオフ制御フォトカプラにより構成されて、そのフォトトランジスタのコレクタ端子が前記スイッチング制御抵抗の他端と接続され、エミッタ端子が前記スイッチ素子の入出力端子に接続され、
前記オン制御信号は前記オン制御スイッチの前記オン制御フォトカプラに印加され、発光ダイオードを発光させて前記フォトトランジスタをオンに制御することで前記オン制御スイッチをオンに制御し、
前記オフ制御信号は前記オフ制御スイッチの前記オフ制御フォトカプラに印加され、発光ダイオードを発光させて前記フォトトランジスタをオンに制御することで前記オフ制御スイッチをオンに制御し、
前記制御信号供給部は、前記保護回路によるオン制御に応じて前記オン制御信号を供給するオン信号供給部を備え、
前記オン制御信号は前記オン制御フォトカプラに印加され、前記オン制御フォトカプラの前記発光ダイオードを発光させて前記フォトトランジスタをオンに制御し、
前記オン制御信号の極性を反転させたオフ制御信号が前記オフ制御フォトカプラに印加され、前記オフ制御フォトカプラの前記発光ダイオードを発光させて前記フォトトランジスタをオンに制御し、
さらに、前記制御信号供給部は、
前記オン制御信号の極性を反転させて前記オフ制御信号を生成するインバータバッファと、
前記オン信号供給部の出力端子にカソードが接続されアノードが前記オン制御フォトカプラの前記発光ダイオードのアノード端子に接続された第1ダイオードと、
前記第1ダイオードに並列に接続された第1抵抗と、
一端が前記第1ダイオードの前記アノードに接続され他端が前記オン制御フォトカプラの前記発光ダイオードのカソード端子に接続された第1コンデンサと、
前記インバータバッファの出力端子にカソードが接続されアノードが前記オフ制御フォトカプラの前記発光ダイオードのアノード端子に接続された第2ダイオードと、
前記第2ダイオードに並列に接続された第2抵抗と、
一端が前記第2ダイオードの前記アノードに接続され他端が前記オフ制御フォトカプラの前記発光ダイオードのカソード端子に接続された第2コンデンサとを備え、
前記オン制御フォトカプラのオフタイミングを前記第1ダイオードにより制御し、オンタイミングを前記第1コンデンサ及び前記第1抵抗により制御し、
前記オフ制御フォトカプラのオフタイミングを前記第2ダイオードにより制御し、オンタイミングを前記第2コンデンサ及び前記第2抵抗により制御するように構成されたことを特徴とする電池パック。
【背景技術】
【0002】
電池パックは、一般的に複数個の二次電池を容器に収納し、正負極の外部端子を介して充放電可能な状態で提供される。そして、収納された二次電池を過充電あるいは過放電等の異常状態から保護するために、異常状態の発生に応じて充放電を停止する制御を行うための保護機能が設けられる。すなわち、外部端子と二次電池との間に充放電スイッチ回路を介在させて、異常状態を検出したときに、保護回路が充放電スイッチ回路を遮断する制御を行う。また、過充電あるいは過放電に限らず、電池パック内の異常な温度上昇等、種々の異常に対処するように、充放電スイッチ回路による充放電制御が行われる。
【0003】
特許文献1には、そのような、保護回路により充放電スイッチ回路を制御する構成を有する電池パックの例が開示されている。
図6に、特許文献1に開示された電池パック100の回路図を示す。この電池パック100は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池1を複数個内蔵している。二次電池1の両電極端子は充放電ライン2を通して充放電端子T1、T2に接続され、充放電端子T1、T2を介して、外部の負荷への電力供給のための放電、あるいは外部からの二次電池1に対する充電が行われる。
【0004】
充放電ライン2には充放電スイッチ回路3が挿入され、保護回路101により開閉が制御されて、二次電池1による充放電動作が制御される。保護回路101は、スイッチ回路制御部102、電圧検出部103、電流検出部104、及び温度検出部105を有する。
【0005】
電圧検出部103は、二次電池1の充放電電圧を監視し、過放電あるいは過充電電圧を検出した場合に、所定の検出信号を生成する。電流検出部104は、充放電ライン2の負極側に挿入された抵抗Rを介して、二次電池1に流れる電流を監視し、過電流を検出した場合に、所定の検出信号を生成する。温度検出部105は、電池パック1内の温度を監視し、温度異常を検出した場合に、所定の検出信号を生成する。これらは、二次電池1あるいはその周辺の状態の異常を検出するための異常検出部の一例である。
【0006】
電圧検出部103、電流検出部104、及び温度検出部105が生成する検出信号はスイッチ回路制御部102に供給され、スイッチ回路制御部102はその検出信号に基づいて充放電スイッチ回路3の導通(オン状態)または非導通(オフ状態)を制御する。これにより、過充電あるいは過放電等の異常発生時に充放電ライン2を遮断して、二次電池1の保護、あるいは事故発生が防止される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の電池パックは、上記構成を基本として、以下のような態様を採ることができる。
【0017】
すなわち、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧が、前記スイッチ素子のターンオフ開始の閾値電圧よりも高くなるように設定することができる。これにより、ツェナーダイオードは、スイッチ素子がターンオフを開始する直前には非導通となるため、高いフライバック電圧を発生させることなく、ターンオフに要する時間を短縮するために有効である。
【0018】
また、前記スイッチ制御部は、前記スイッチ駆動電源と前記スイッチング制御抵抗の他端の間に接続されたオン制御スイッチと、前記スイッチング制御抵抗の他端と前記スイッチ素子の入出力端子の間に接続されたオフ制御スイッチと、前記保護回路によるオン・オフ制御に応じて背反動作するオン制御信号とオフ制御信号を供給する制御信号供給部とを備え、前記オン制御信号は前記オン制御スイッチに印加されて前記オン制御スイッチをオンに制御し、前記オフ制御信号は前記オフ制御スイッチに印加されて前記オフ制御スイッチをオンに制御する構成とすることができる。これにより、スイッチ素子のゲートに電荷を充電したり、放電するための駆動電流を最小限に抑えることができ、充放電スイッチ回路を低消費電力で実現できる。
【0019】
また、前記オン制御スイッチはオン制御フォトカプラにより構成されて、そのフォトトランジスタのコレクタ端子が前記スイッチ駆動電源に接続され、エミッタ端子が前記スイッチング制御抵抗の他端に接続され、前記オフ制御スイッチはオフ制御フォトカプラにより構成されて、そのフォトトランジスタのコレクタ端子が前記スイッチング制御抵抗の他端と接続され、エミッタ端子が前記スイッチ素子の入出力端子に接続され、前記オン制御信号は前記オン制御フォトカプラに印加され、発光ダイオードを発光させて前記フォトトランジスタをオンに制御し、前記オフ制御信号は前記オフ制御フォトカプラに印加され、発光ダイオードを発光させて前記フォトトランジスタをオンに制御する構成とすることができる。
【0020】
また、前記制御信号供給部は、前記保護回路によるオン制御に応じて前記オン制御信号を供給するオン信号供給部を備え、前記オン制御信号は前記オン制御フォトカプラに印加され、前記発光ダイオードを発光させて前記フォトトランジスタをオンに制御し、前記オン制御信号の極性を反転させたオフ制御信号が前記オフ制御フォトカプラに印加され、前記発光ダイオードを発光させて前記フォトトランジスタをオンに制御する構成とすることができる。
【0021】
また、前記制御信号供給部は、前記オン制御信号の極性を反転させて前記オフ制御信号を生成するインバータバッファと、前記オン信号供給部の出力端子にカソードが接続されアノードが前記オン制御フォトカプラの前記発光ダイオードのアノード端子に接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードに並列に接続された第1抵抗と、一端が前記第1ダイオードの前記アノードに接続され他端が前記オン制御フォトカプラの前記発光ダイオードのカソード端子に接続された第1コンデンサと、前記インバータバッファの出力端子にカソードが接続されアノードが前記オフ制御フォトカプラの前記発光ダイオードのアノード端子に接続された第2ダイオードと、前記第2ダイオードに並列に接続された第2抵抗と、一端が前記第2ダイオードの前記アノードに接続され他端が前記オフ制御フォトカプラの前記発光ダイオードのカソード端子に接続された第2コンデンサとを備え、前記オン制御フォトカプラのオフタイミングを前記第1ダイオードにより制御し、オンタイミングを前記第1コンデンサ及び前記第1抵抗により制御し、前記オフ制御フォトカプラのオフタイミングを前記第2ダイオードにより制御し、オンタイミングを前記第2コンデンサ及び前記第2抵抗により制御するように構成することができる。これにより、ターンオン時間が短いとターンオフ時間が長くなるフォトカプラの特性を調整して、オン制御フォトカプラとオフ制御フォトカプラが同時にオンしないように制御可能である。
【0022】
また、前記制御信号供給部は、前記保護回路によるオン制御に応じて前記オン制御信号を前記オン制御フォトカプラの前記発光ダイオードに供給するオン信号供給部と、直流電源と、前記オン制御信号が一端に供給されるオフ制御コンデンサと、前記オフ制御コンデンサの他端にアノードが接続され、カソードが前記直流電源に接続されたダイオードと、前記ダイオードと並列に接続された抵抗と、ソースが前記直流電源に接続され、ドレインが前記オフ制御フォトカプラの発光ダイオードのアノード端子に接続され、ゲートが抵抗を介して前記オフ制御コンデンサの他端に接続されたMOSFETとを備えた構成とすることができる。
【0023】
また、前記スイッチ制御部は、前記スイッチ駆動電源に入力側端子が接続されたオン制御スイッチと、一端が前記オン制御スイッチの出力側端子に接続され、他端がグランドに接続され、分圧出力ノードが前記スイッチング制御抵抗の他端に接続された分圧回路と、前記保護回路によるオン制御に応じてオン制御信号を前記オン制御スイッチに供給するオン信号供給部とを備え、前記オン制御信号により前記オン制御スイッチがオンに制御される構成とすることができる。これにより、スイッチ制御部に設ける制御スイッチを1個のみとすることができ、回路が簡素化され、コストを低減することができる。
【0024】
また、前記オン制御スイッチはオン制御フォトカプラにより構成されて、そのフォトトランジスタのコレクタ端子が前記スイッチ駆動電源に接続され、エミッタ端子が前記分圧回路の一端に接続され、前記オン制御信号は前記オン制御フォトカプラに印加され、前記発光ダイオードを発光させて前記フォトトランジスタをオンに制御する構成とすることができる。
【0025】
また、前記スイッチ素子は、MOSFET、トランジスタ、IGPTのいづれかにより構成することができる。
【0026】
また、前記スイッチ駆動電源は、コンデンサとダイオードを組み合わせて構成され、入力する交流信号の振幅を整数倍に昇圧する倍整流回路であり、基準電位が初段ダイオードのカソード側に印加される構成とすることができる。
【0027】
また、前記基準電位は前記スイッチ素子のソース端子の電圧である構成とすることができる。
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
<実施の形態1>
実施の形態1における電池パックに含まれる充放電スイッチ回路について、
図1のブロック図を参照して説明する。電池パックの全体構成は、
図6の従来例に示したものと同様である。従って、
図6に示した従来例と同様の要素については、同一の参照番号を付して説明する。以降の各実施の形態についても、同様である。
【0030】
この充放電スイッチ回路は、二次電池1からの充放電ライン2に直列に接続されたスイッチ素子であるMOSFET3と、スイッチ駆動電源4、及びスイッチ制御部5を含む。MOSFET3とスイッチ制御部5の間に、スイッチング制御抵抗6、ツェナーダイオード7及び電流制限抵抗8が挿入されている。スイッチ駆動電源4は、MOSFET3を導通させるための駆動電圧を生成する。スイッチ制御部5は、MOSFET3のゲート(制御端子)に対する電圧供給の制御、すなわち、スイッチ駆動電源4からの駆動電圧の供給、及びゲートに蓄積された電荷の放電を制御する。
【0031】
スイッチング制御抵抗6は、その一端がMOSFET3のゲートに接続され、他端がスイッチ制御部5の出力端子に接続されており、MOSFET3のスイッチング速度を制御する機能を有する。ツェナーダイオード7と電流制限抵抗8の直列回路は、スイッチング制御抵抗5と並列に接続されており、短縮回路として機能する。ツェナーダイオード7は、カソードをMOSFET3側に配置して接続されている。
【0032】
スイッチ制御部5は、
図6の従来例におけるスイッチ回路制御部102と同様、保護回路101によるオン制御に応じてスイッチ駆動電源4からの駆動電圧をスイッチング制御抵抗6の他端に印加する。また、保護回路101によるオフ制御に応じてスイッチ制御部5は、MOSFET3のゲートに蓄積された電荷を放電させて、MOSFET3がターンオフするように制御する。本実施の形態に基づくスイッチ制御部5の構成について、以下に説明する。
【0033】
スイッチ制御部5は、オン制御フォトカプラ9、オフ制御フォトカプラ10、及び制御信号供給部11から構成される。オン制御フォトカプラ9は、フォトトランジスタ12及び発光ダイオード13により構成され、スイッチ駆動電源4とスイッチング制御抵抗6の他端の間に接続されたオン制御スイッチとして機能する。オフ制御フォトカプラ10は、フォトトランジスタ14及び発光ダイオード15により構成され、スイッチング制御抵抗6の他端とMOSFET3の入出力端子の間に接続されたオフ制御スイッチして機能する。
【0034】
オン制御フォトカプラ9のフォトトランジスタ12のコレクタ端子は、スイッチ駆動電源4に接続され、エミッタ端子はスイッチング制御抵抗6の他端に接続され、スイッチ制御部5の出力端子となっている。オフ制御フォトカプラ10のフォトトランジスタ14のコレクタ端子は、スイッチング制御抵抗6の他端に接続され、エミッタ端子は二次電池1に接続されている。発光ダイオード13、15はそれぞれ、制御信号供給部11からのオン制御信号16及びオフ制御信号17により発光を制御される。
【0035】
スイッチ制御部5とMOSFET3の間にフォトカプラ9、10を介在させることにより、制御信号供給部11、発光ダイオード13、15からなる低電圧回路部18と、MOSFET3の間が互いに絶縁される。この構成を採用する理由は、高電圧化した電池パックでは、スイッチ素子をオン・オフ制御するスイッチ駆動回路に、ノイズ防止や回り込み電圧による素子破壊防止のための手段が必要だからである。
【0036】
制御信号供給部11は、図示しないが、例えば電池パック内に設けられた保護回路の一部として構成され、保護回路の機能に基づくオン・オフ制御に応じてオン制御信号16及びオフ制御信号17を出力する。オン制御信号16によりオン制御フォトカプラ9がオン・オフ制御され、オフ制御信号17によりオフ制御フォトカプラ10がオン・オフ制御される。スイッチ駆動電源4の電圧低下を防止するため、オン制御フォトカプラ9とオフ制御フォトカプラ10が同時にオンしないように、オン制御信号16とオフ制御信号17は背反動作するように生成される。
【0037】
MOSFET3をオフからオンにする際には、オン制御フォトカプラ9がオン、すなわち発光ダイオード13が発光してフォトトランジスタ12がオンとなるように、制御信号供給部11でオン制御信号16を生成する。同時に、オフ制御フォトカプラ10がオフとなるように、すなわち発光ダイオード15が発光を停止してフォトトランジスタ14がオフとなるように、制御信号供給部11でオフ制御信号17の生成を停止する。これにより、スイッチスイッチ駆動電源4の駆動電圧がMOSFET3のゲートに供給され、電荷が移動し充電されることで、MOSFET3がオンする。
【0038】
MOSFET3をオンからオフにする際には、オン制御フォトカプラ9がオフ、オフ制御フォトカプラ10がオンとなるように、制御信号供給部11でオン制御信号16とオフ制御信号17を制御する。これにより、MOSFET3のゲートに充電されていた電荷がMOSFET3のソース側に移動して放電され、MOSFET3がオフとなる。
【0039】
このようにしてMOSFET3のオン・オフが制御されるが、制御信号供給部11を含む低電圧回路部18がMOSFET3の高電圧部から絶縁され、オン制御フォトカプラ9とオフ制御フォトカプラ10を背反動作させることで、MOSFET3のゲートをハイ・インピーダンス状態に保持することができる。この結果、MOSFET3のゲートに電荷を充電したり、放電するための駆動電流を最小限に抑えることができ、充放電スイッチ回路を低消費電力で実現できる。スイッチング制御抵抗6は、MOSFET3の許容損失を満足するスイッチング速度になるように抵抗定数を設定される。
【0040】
本実施の形態の特徴は、スイッチング制御抵抗6に対して並列に、ツェナーダイオード7と電流制限抵抗8の直列回路を接続したことである。ツェナーダイオード7を挿入することにより、MOSFET3のターンオフに要する時間を効果的に短縮し、しかも、電流遮断によるフライバック電圧を、MOSFET3の耐圧を超えない範囲に確実に抑制することができる。
【0041】
すなわち、MOSFET3をターンオフさせるために、オン制御フォトカプラ9がオフ、オフ制御フォトカプラ10がオンとなり、MOSFET3のゲートに充電されていた電荷が放電される際に、先ず、ツェナーダイオード7が導通してツェナーダイオード7と電流制限抵抗8の直列回路を通って電流が流れる。電流制限抵抗8をスイッチング制御抵抗6と比べて十分に低抵抗とすれば、スイッチング制御抵抗6を通る場合と比べて大きな放電電流を流すことができ、急速にゲート電圧が降下して、ターンオフに要する時間を短縮することができる。
【0042】
更に、放電によりMOSFET3のゲート電圧が低下し、ツェナーダイオード7に印加される逆電圧がツェナー電圧未満になると、ツェナーダイオード7は非導通となり、放電電流がスイッチング制御抵抗6を通って流れる状態となる。これ以降は、スイッチング制御抵抗6により制限される速度で放電が進行する。これにより、電流遮断によるフライバック電圧をMOSFET3の耐圧を超えない範囲に抑制して、MOSFET3のターンオフを完了させることが可能となる。従って、ツェナーダイオード7が導通している期間により、ターンオフに要する時間を短縮し、しかもフライバック電圧を抑制する効果を併せて得ることができる。
【0043】
ここで、ツェナーダイオード7は、MOSFET3のターンオフ開始の閾値電圧に達する直前の少し高いツェナー電圧を有するものを用いることが望ましい。それにより、ツェナーダイオード7は、MOSFET3がターンオフを開始する直前には非導通となる。従って、MOSFET3のゲート電圧がターンオフの閾値電圧に達するときには、スイッチング制御抵抗6によってスイッチング速度が制御されながらターンオフが進行する。その結果、電流の遮断に伴うフライバック電圧が、MOSFET3の耐圧を超えない範囲に確実に抑制される。
【0044】
多くのMOSFETは、ゲート電圧がターンオフの閾値電圧よりも若干高い領域で、ゲートに蓄積された電荷量とゲート電圧の関係が一定である範囲が存在する。従って、このようにゲート電圧が一定の範囲では、ツェナーダイオードによって急速に電荷を放電させることが、高いフライバック電圧を発生させることなく、ターンオフに要する時間を短縮するために特に有効である。
【0045】
<実施の形態2>
実施の形態2における電池パックに含まれる充放電スイッチ回路について、
図2のブロック図を参照して説明する。本実施の形態の充放電スイッチ回路では、実施の形態1の構成に対して、変更された構成のスイッチ制御部19を用いるが、スイッチ駆動電源4、スイッチング制御抵抗6、及びツェナーダイオード7と電流制限抵抗8からなる短縮回路には変更がない。
【0046】
また、スイッチ制御部19において、オン制御フォトカプラ9及びオフ制御フォトカプラ10は実施の形態1の場合と同様である。本実施の形態の特徴は、低電圧回路部30の構成が、実施の形態1の低電圧回路部18とは異なる点にある。従って、以下の記載では、低電圧回路部30の構成及び動作について説明し、他の説明は省略する。
【0047】
低電圧回路部30におけるオン信号供給部20は、実施の形態1における制御信号供給部11とは異なり、保護回路によるオン制御に応じてオン制御信号21のみを生成する。オン制御フォトカプラ9の制御は、オン制御信号21を用いて行われる。一方、インバータバッファ22が設けられ、オン制御信号21の極性を反転制御してオフ制御信号23を生成する。このオフ制御信号23が、オフ制御フォトカプラ10の制御に用いられる。
【0048】
オン制御フォトカプラ9とオフ制御フォトカプラ10が同時にオンとならないように、第1ダイオード24、第1抵抗25、及び第1コンデンサ26からなる回路と、第2ダイオード27、第2抵抗28、及び第2コンデンサ29からなる回路でそれぞれ、オン制御信号とオフ制御信号のタイミングを調整するように構成されている。
【0049】
すなわち、第1ダイオード24は、オン信号供給部20の出力端子にカソードが接続され、アノードがオン制御フォトカプラ9の発光ダイオード13のアノード端子に接続されている。第1ダイオード24に並列に、第1抵抗25が接続されている。さらに、第1コンデンサ26の一端が第1ダイオード24のアノードに接続され、他端がオン制御フォトカプラ9の発光ダイオード13のカソード端子に接続されている。
【0050】
また、第2ダイオード27は、インバータバッファ22の出力端子にカソードが接続され、アノードがオフ制御フォトカプラ10の発光ダイオード15のアノード端子に接続されている。第2ダイオード27に並列に、第2抵抗28が接続されている。さらに、第2コンデンサ29の一端が第2ダイオード27のアノードに接続され、他端がオフ制御フォトカプラ10の発光ダイオード15のカソード端子に接続されている。
【0051】
以上の構成により、オン制御フォトカプラ9のオフタイミングを第1ダイオード24により制御し、オンタイミングを第1コンデンサ26及び第1抵抗25により制御する。併せて、オフ制御フォトカプラ10のオフタイミングを第2ダイオード27により制御し、オンタイミングを第2コンデンサ29及び第2抵抗28により制御する。
【0052】
すなわち、フォトカプラはターンオン時間が短いとターンオフ時間が長いため、第1、第2抵抗25、26と、第1、第2コンデンサ26、29でフィルタを形成してオンするタイミングを遅延させ、第1、第2ダイオード24、27でオフのとき電荷を早く抜いてオフするタイミングを早める。これにより、オン制御フォトカプラ9とオフ制御フォトカプラ10が同時にオンしないように制御可能である。
【0053】
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1における制御信号供給部11に相当する回路が、オン信号供給部20、インバータバッファ22、第1、第2ダイオード24、27、第1、第2抵抗25、26、及び第1、第2コンデンサ26、29により構成されている。
【0054】
<実施の形態3>
本実施の形態では、実施の形態1における制御信号供給部11に相当する回路が、オン信号供給部20、オフ制御コンデンサ33、ダイオード34、抵抗35〜38、MOSFET39、及びMOSFET39のドレインに電流を供給する直流電源40により構成される。さらに、低電圧回路部32におけるオン信号供給部20は、実施の形態2の場合と同様であり、保護回路によるオン制御に応じてオン制御信号21のみを生成する。オン制御フォトカプラ9の制御は、オン制御信号21を用いて行われる。
【0055】
オン制御信号21は、オフ制御コンデンサ33の一端にも供給される。オフ制御コンデンサ33の他端は、ダイオード34と抵抗35の並列回路を介して、直流電源40に接続されている。さらにオフ制御コンデンサ33の他端は、抵抗36を介してMOSFET39のゲートにも接続されている。ダイオード34は、カソードを発光ダイオード15側に向けて配置されている。
【0056】
この構成による動作は、次のとおりである。すなわち、オン制御信号21がオンに制御されているときは、発光ダイオード13が発光してフォトトランジスタ12がオンとなる。一方、オン制御信号21がオンなので、MOSFET39のゲートには、抵抗35及び36を介して直流電源40の電圧が供給され、MOSFET39はオフとなる。そのため、発光ダイオード15は発光せず、フォトトランジスタ14はオフのままである。その結果、MOSFET3のゲートにはフォトトランジスタ12を介してスイッチ駆動電源4の電圧が供給され、MOSFET3はオンとなる。
【0057】
次に、オン制御信号21がオフとなったとき、発光ダイオード13が発光を停止してフォトトランジスタ12がオフとなる。一方、オン制御信号21がオフになると、MOSFET39のゲートにはソースに対してオン制御信号21の電圧がかかり、MOSFET39はオンとなるので、発光ダイオード15が発光してフォトトランジスタ14がオンとなる。その結果、MOSFET3のゲートにはスイッチ駆動電源4の電圧が供給されなくなるので、MOSFET3はオフとなる。
【0058】
この動作の詳細は次のとおりである。すなわち、オン制御信号21がオフになると、コンデンサ33は抵抗35を介して直流電源40により充電され始める。そして、コンデンサ33の容量と抵抗35の抵抗値で定まる時定数で、MOSFET39のゲートに加わる電圧値が上昇する。そのため、オン制御信号21がオフになってから所定の時間が経過すると、MOSFET39はオフとなり、発光ダイオード15が発光を停止してフォトトランジスタ14もオフとなる。なお、フォトトランジスタ14もオフとなった後も、MOSFET3のゲートにはスイッチ駆動電源4の電圧は供給されないので、MOSFET3はオフ状態に維持される。
【0059】
スイッチ駆動電源4は、二次電池1に基づいて生成されているので、本実施の形態の構成を用いれば、MOSFET3がオフの状態、すなわち、二次電池1を使用していない状態において、二次電池1の電力消費を大幅に低減させることができる。
【0060】
なお、抵抗35に並列に接続されたダイオード34は、オフ制御コンデンサ33に蓄えられた電荷を急速に放電させるために用いる。上述のとおり、オン制御信号21がオフになると、オフ制御コンデンサ33は抵抗35を介して直流電源40により充電され始め、やがてオフ制御コンデンサ33の両端には、直流電源40の電圧にほぼ等しい電圧が加わることになる。そのため、その後オン制御信号21がオンになると、オフ制御コンデンサ33の直流電源40に近い他端側が、直流電源40の電圧よりも高電圧となってしまう。ダイオード34は、オフ制御コンデンサ33に蓄えられた電荷を急速に放電させ、オフ制御コンデンサ33を迅速にリセットさせる機能を有する。
【0061】
<実施の形態4>
実施の形態4における電池パックに含まれる充放電スイッチ回路について、
図4のブロック図を参照して説明する。本実施の形態の充放電スイッチ回路では、スイッチ制御部41の構成が変更され、他の要素の構成は、実施の形態1の場合と同様である。
【0062】
スイッチ制御部41は、オン制御スイッチとして機能するオン制御フォトカプラ9のみを備え、実施の形態1とは異なり、オフ制御スイッチとして機能するオフ制御フォトカプラ10は備えていない。オフ制御フォトカプラ10に代えて、抵抗R1、R2からなる分圧回路が設けられる。この分圧回路(R1,R2)は、一端がオン制御フォトカプラ9の出力側端子に接続され、他端がグランドに接続され、分圧出力ノードである抵抗R1と抵抗R2の接続点がスイッチング制御抵抗6の他端に接続される。
【0063】
スイッチ制御部41の低電圧回路部42は、オン信号供給部20と、オン制御フォトカプラ9の発光ダイオード13からなる。オン信号供給部20は、実施の形態2と同様、保護回路によるオン制御に応じてオン制御信号21を供給する。オン制御フォトカプラ9は実施の形態1の場合と同様であり、入力側端子であるフォトトランジスタ12のコレクタ端子がスイッチ駆動電源4に接続され、エミッタ端子が分圧回路(R1,R2)の一端に接続されている。
【0064】
オン制御信号21がオン制御フォトカプラ9に印加され、発光ダイオード13を発光させることにより、フォトトランジスタ9がオンに制御される。それにより、スイッチ駆動電源4からの駆動電圧が分圧回路(R1,R2)に印加され、抵抗R1と抵抗R2の接続点での分圧がスイッチング制御抵抗6を介してMOSFET3のゲートに印加される。この分圧は、MOSFET3がオンする大きさに設定されている。
【0065】
MOSFET3をオンからオフにする際には、オン制御フォトカプラ9がオフとなるように、オン制御信号21を制御する。これにより、MOSFET3のゲートに充電されていた電荷が、抵抗R2を介してグランドに移動して放電され、MOSFET3がオフとなる。その際の、ツェナーダイオード7及びスイッチング制御抵抗6を経由してゲート電荷が放電される動作及び効果は、実施の形態1についての説明と同様である。
【0066】
以上のように、本実施の形態によれば、スイッチ制御部41に設ける制御スイッチを1個のみ(オン制御フォトカプラ9)とすることができる。これにより、回路が簡素化され、コストを低減することができる。
【0067】
<実施の形態5>
実施の形態5における電池パックに含まれる充放電スイッチ回路について、
図5のブロック図を参照して説明する。本実施の形態では、スイッチ駆動電源4の構成の具体例が示されるが、他の要素の構成は、実施の形態1の場合と同様である。また、実施の形態2、3におけるスイッチ駆動電源4に、本実施の形態の構成を適用してもよい。
【0068】
スイッチ駆動電源4は、コッククロフト-ウォルトン回路として知られている昇圧回路であり、コンデンサ43〜46と、ダイオード47〜50により構成され、充電するコンデンサを切り替えるための交流信号51がコンデンサ43の一方の端子から印加される。交流信号51は、図示しないが、電池パック内の回路により二次電池1を電源として生成され、印加される。また、ダイオード47のアノード側に二次電池1を接続することで、二次電池電圧を基準とする。
【0069】
この回路は、コンデンサとダイオードの数の組合せで所望の電圧に昇圧可能であり、コンデンサとダイオードで構成されるため、出力電流は微小であるが電圧変換損失がなく低消費電力である。