特許第6203022号(P6203022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203022
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】走査型顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20170914BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G02B21/00
   G01N21/64 E
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-251283(P2013-251283)
(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公開番号】特開2015-108718(P2015-108718A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】玉野 真悟
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−181123(JP,A)
【文献】 特開2010−091694(JP,A)
【文献】 特開2008−197127(JP,A)
【文献】 特開2006−106004(JP,A)
【文献】 特開2003−035510(JP,A)
【文献】 特開平05−088072(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0236549(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0057211(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 − 21/36
G01N 21/62 − 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本からの検出光を取り込む集光レンズと、
前記集光レンズとともに前記集光レンズの光軸方向に移動して、前記集光レンズを前記光軸方向に移動させる焦点位置調整ユニットと、
前記集光レンズの瞳と光学的に共役な位置に配置された検出器と、
前記集光レンズの瞳を前記検出器にリレーするリレー光学系と、を備え、
前記リレー光学系は、
前記焦点位置調整ユニット内に配置され、前記集光レンズで平行光束に変換された前記検出光を収斂光束に変換して前記焦点位置調整ユニット外に出射させる、正のパワーを有する第1の光学素子と、
前記焦点位置調整ユニット外であって前記第1の光学素子よりも前記検出器側に配置される第2の光学素子と、を備える
ことを特徴とする走査型顕微鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の走査型顕微鏡において、さらに、
前記焦点位置調整ユニット内であって且つ前記第1の光学素子よりも前記集光レンズ側に配置された、前記検出光の光路と前記標本に照射される照明光の光路を波長によって分岐させる波長分岐素子を備える
ことを特徴とする走査型顕微鏡。
【請求項3】
請求項2に記載の走査型顕微鏡において、さらに、
前記焦点位置調整ユニット内であって且つ前記波長分岐素子よりも前記検出器側に配置された、前記検出光を前記集光レンズの光軸と平行な方向に偏向させる偏向素子を備え、
前記波長分岐素子は、前記検出光を反射させ、前記明光を透過させる光学素子である
ことを特徴とする走査型顕微鏡。
【請求項4】
請求項2に記載の走査型顕微鏡において、さらに、
前記波長分岐素子は、前記検出光を反射させ、前記明光を透過させる光学素子であり、
前記第1の光学素子は、前記検出光を前記集光レンズの光軸と平行な方向に偏向させる偏向素子である
ことを特徴とする走査型顕微鏡。
【請求項5】
請求項4に記載の走査型顕微鏡において、
前記第1の光学素子は、凹面ミラーである
ことを特徴とする走査型顕微鏡。
【請求項6】
請求項4に記載の走査型顕微鏡において、
前記第1の光学素子は、デフォーマブルミラーである
ことを特徴とする走査型顕微鏡。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の走査型顕微鏡において、
前記第1の光学素子は、焦点距離が可変な光学系である
ことを特徴とする走査型顕微鏡。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の走査型顕微鏡において、
前記焦点位置調整ユニットは、落射検出光路に設けられる
ことを特徴とする走査型顕微鏡。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の走査型顕微鏡において、
前記焦点位置調整ユニットは、透過検出光路に設けられる
ことを特徴とする走査型顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型顕微鏡に関し、特に、標本に対して対物レンズやコンデンサレンズの焦点位置を調整する焦点位置調整ユニットを備える走査型顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡の分野では、標本に対して焦点位置を調整する方法として様々な方法が提案されているが、その一つとして対物レンズを光軸方向に移動させる方法が知られている。この方法により焦点位置を調整する顕微鏡は、対物レンズが装着されるレボルバ及びレボルバアームが光軸方向に移動するように構成されているのが通常である。このような構成は、例えば、正立型の多光子励起レーザ顕微鏡で、ステージの上方で比較的広いスペースを使用するパッチクランプ法を実行する場合などに好適である。
【0003】
ところで、落射照明が採用された顕微鏡において対物レンズを光軸方向に移動させると、対物レンズと検出器との間の光路長が変化することに起因して、対物レンズと検出器の間の光学系でケラレが発生することがある。この点について、図1を参照しながら具体的に説明する。
【0004】
図1は、従来技術に係る多光子励起レーザ顕微鏡100の構成を例示した図である。多光子励起レーザ顕微鏡100は、照明光路上にある対物レンズ107の瞳Pの位置と光学的に共役な位置(以降、瞳共役位置と記す)にXYスキャナ102を備え、且つ、検出光路上にある対物レンズ107の瞳共役位置にノンデスキャン検出器(NDDとも記す。)として光電子増倍管(以降、PMTと記す)109を備える走査型顕微鏡である。なお、リレー光学系103は、対物レンズ107の瞳PをXYスキャナ102にリレーする光学系であり、リレー光学系108は、対物レンズ107の瞳PをPMT109にリレーする光学系である。
【0005】
多光子励起レーザ顕微鏡100では、レーザ光源101から出射されたレーザ光L1(図1の一点鎖線)の照射により標本Sから生じた蛍光は、対物レンズ107で平行光束に変換される。その後、蛍光は、ダイクロイックミラー104で反射し、リレー光学系108を介してPMT109に入射する。
【0006】
多光子励起レーザ顕微鏡100で、焦点位置を調整するために対物レンズ107を光軸方向に移動させると、レボルバ106及びレボルバアーム105は対物レンズ107とともに光軸方向に移動するのに対して、ダイクロイックミラー104は移動しない。このため、対物レンズ107からダイクロイックミラー104までの距離が変化することになる。
【0007】
対物レンズ107から光軸と平行に出射される蛍光の軸上光束L2(図1の破線)は、対物レンズ107とダイクロイックミラー104の間の距離が変化しても、ダイクロイックミラー104の同じ位置に入射する。これに対して、対物レンズ107から光軸に対して角度を持って出射される蛍光の軸外光束L3(図1の点線)は、対物レンズ107とダイクロイックミラー104の間の距離が長くなりすぎると、ダイクロイックミラー104から逸れてしまい、ケラレが生じる可能性がある。
【0008】
このような焦点位置の調整に伴うケラレの発生を抑制する技術は、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。
【0009】
特許文献1には、対物レンズと、対物レンズ交換器の合焦のために必要な案内部との間に、デカップリング部および検出器が設けられた構成が開示されている(特許文献1の段落[0009])。このような構成では、焦点位置を調整するときに対物レンズとともに検出系全体が移動することになるため、対物レンズから検出器までの光路長が変化せず、ケラレが生じにくい。
【0010】
特許文献2には、光路分割手段と検出器とを備える顕微鏡対物レンズが開示されている(特許文献2の段落[0010])。このような構成では、対物レンズ内に検出系が設けられているため、標本(つまり、焦点位置)から検出器までの距離は常に一定であり、ケラレが生じにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−181123号公報
【特許文献2】特開2008−197127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、近年、上述した多光子励起レーザ顕微鏡のような非線形光学顕微鏡の分野では、多チャンネル化の要請が高まっていて、複数の検出器を備える顕微鏡が少なくない。
【0013】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示される技術を採用する場合、複数の検出器を設けるスペースを確保することは難しい。仮に複数の検出器を設けるスペースが確保できたとしても、対物レンズまたはその周辺構造が大型化することになる。このため、利用者が標本を操作するためのステージ上方のスペースが狭くなってしまい、パッチクランプ法の実行が困難となる。
【0014】
さらに、対物レンズまたはその周辺構造の大型化に伴う重量の増加により、それらを保持する保持機構には従来に比べて高い耐荷重及び剛性が要求されること、対物レンズを光軸方向に移動させる焦点位置調整ユニットが対物レンズを精度良く移動させることが困難となること、といった課題も生じる。
【0015】
以上のような実情を踏まえ、本発明は、焦点位置の調整に伴うケラレの発生を抑制することができる軽量でコンパクトな焦点位置調整ユニットを備える走査型顕微鏡を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様は、標本からの検出光を取り込む集光レンズと、前記集光レンズとともに前記集光レンズの光軸方向に移動して、前記集光レンズを前記光軸方向に移動させる焦点位置調整ユニットと、前記集光レンズの瞳と光学的に共役な位置に配置された検出器と、前記集光レンズの瞳を前記検出器にリレーするリレー光学系と、を備え、前記リレー光学系は、前記焦点位置調整ユニット内に配置され、前記集光レンズで平行光束に変換された前記検出光を収斂光束に変換して前記焦点位置調整ユニット外に出射させる、正のパワーを有する第1の光学素子と、前記焦点位置調整ユニット外であって前記第1の光学素子よりも前記検出器側に配置される第2の光学素子と、を備える走査型顕微鏡を提供する。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の走査型顕微鏡において、さらに、前記焦点位置調整ユニット内であって且つ前記第1の光学素子よりも前記集光レンズ側に配置された、前記検出光の光路と前記標本に照射される照明光の光路を波長によって分岐させる波長分岐素子を備える走査型顕微鏡を提供する。
【0018】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の走査型顕微鏡において、さらに、前記焦点位置調整ユニット内であって且つ前記波長分岐素子よりも前記検出器側に配置された、前記検出光を前記集光レンズの光軸と平行な方向に偏向させる偏向素子を備え、前記波長分岐素子は、前記検出光を反射させ、前記明光を透過させる光学素子である走査型顕微鏡を提供する。
【0019】
本発明の第4の態様は、第2の態様に記載の走査型顕微鏡において、さらに、前記波長分岐素子は、前記検出光を反射させ、前記明光を透過させる光学素子であり、前記第1の光学素子は、前記検出光を前記集光レンズの光軸と平行な方向に偏向させる偏向素子である走査型顕微鏡を提供する。
【0020】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の走査型顕微鏡において、前記第1の光学素子は、凹面ミラーである走査型顕微鏡を提供する。
【0021】
本発明の第6の態様は、第4の態様に記載の走査型顕微鏡において、前記第1の光学素子は、デフォーマブルミラーである走査型顕微鏡を提供する。
【0022】
本発明の第7の態様は、第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つに記載の走査型顕微鏡において、前記第1の光学素子は、焦点距離が可変な光学系である走査型顕微鏡を提供する。
【0023】
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つに記載の走査型顕微鏡において、前記焦点位置調整ユニットは、落射検出光路に設けられる走査型顕微鏡を提供する。
【0024】
本発明の第9の態様は、第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つに記載の走査型顕微鏡において、前記焦点位置調整ユニットは、透過検出光路に設けられる走査型顕微鏡を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、焦点位置の調整に伴うケラレの発生を抑制することができる軽量でコンパクトな焦点位置調整ユニットを備える走査型顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来技術に係る多光子励起レーザ顕微鏡の構成を例示した図である。
図2】本発明の実施例1に係る多光子励起レーザ顕微鏡の構成を例示した図である。
図3A図2に示す多光子励起レーザ顕微鏡のハウンジング内の構成の変形例を示した図である。
図3B図2に示す多光子励起レーザ顕微鏡のハウンジング内の構成の別の変形例を示した図である。
図4】本発明の実施例2に係る多光子励起レーザ顕微鏡の構成を例示した図である。
図5】本発明の実施例3に係る多光子励起レーザ顕微鏡の構成を例示した図である。
図6】本発明の実施例4に係る多光子励起レーザ顕微鏡の構成を例示した図である。
図7】本発明の実施例5に係る多光子励起レーザ顕微鏡の構成を例示した図である。
図8】本発明の実施例6に係る多光子励起レーザ顕微鏡の構成を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0027】
図2は、本実施例に係る多光子励起レーザ顕微鏡200の構成を例示した図である。多光子励起レーザ顕微鏡200は、ステージ208に配置された標本Sを上方から観察する正立顕微鏡である。多光子励起レーザ顕微鏡200では、落射照明が採用されていて、標本Sからの検出光である蛍光(軸上光束L2、軸外光束L3)を取り込む対物レンズ207を介して、照明光(励起光)であるレーザ光L1が標本Sに照射される。なお、図1では、レーザ光L1は一点鎖線で、蛍光のうち軸上光束L2は破線で、蛍光のうち軸外光束L3は点線で示されている。
【0028】
多光子励起レーザ顕微鏡200は、照明光路上にある対物レンズ207の瞳Pの位置と光学的に共役な位置(瞳共役位置)にXYスキャナ202を備え、且つ、検出光路上にある対物レンズ207の瞳共役位置にノンデスキャン検出器としてPMT211を備える走査型顕微鏡である。
【0029】
多光子励起レーザ顕微鏡200は、照明光路上に、レーザ光L1を出射するレーザ光源201と、レーザ光L1で標本Sを走査するための走査手段であるXYスキャナ202と、対物レンズ207の瞳PをXYスキャナ202にリレーするリレー光学系203と、レーザ光L1を対物レンズ207の光軸方向に偏向させるミラー204と、レーザ光L1の光路と蛍光(軸上光束L2、軸外光束L3)の光路とを波長によって分岐させる波長分岐素子であるダイクロイックミラー221と、対物レンズ207を備えている。なお、ダイクロイックミラー221は、レーザ光L1を透過させ蛍光を反射させるダイクロイックミラーである。また、XYスキャナ202は、例えば、ガルバノミラーである。
【0030】
対物レンズ207は、レボルバアーム205に支持されたレボルバ206に取り付けられている。さらに、レボルバアーム205上には、ダイクロイックミラー221が内部に配置されたハウジング220が設けられている。
【0031】
レボルバ206、レボルバアーム205、及びハウジング220は、対物レンズ207を光軸方向に移動させる焦点位置調整ユニットであり、対物レンズ207とともに光軸方向に移動する。多光子励起レーザ顕微鏡200では、落射照明光路に設けられた焦点位置調整ユニットが対物レンズ207を光軸方向に移動させることにより、標本Sに対して対物レンズ207の焦点位置が調整される。
【0032】
多光子励起レーザ顕微鏡200は、検出光路上に、対物レンズ207と、ダイクロイックミラー221と、対物レンズ207で平行光束に変換された蛍光を収斂光束に変換する正のパワーを有するレンズ222と、蛍光を対物レンズ207の光軸と平行な方向に偏向させる偏向素子であるミラー223と、ミラー209と、正のパワーを有するレンズ210と、PMT211を備えている。なお、ダイクロイックミラー221、レンズ222、及びミラー223は、ハウジング220内(つまり、焦点位置調整ユニット内)に配置されているため、対物レンズ207とともに光軸方向に移動する。
【0033】
焦点位置調整ユニット内に配置されたレンズ222と、顕微鏡本体内(つまり、焦点位置調整ユニット外)であってレンズ222よりもPMT211側に配置されたレンズ210は、対物レンズ207の瞳PをPMT211にリレーするリレー光学系を構成している。即ち、レンズ222、レンズ210は、それぞれリレー光学系の第1の光学素子、第2の光学素子である。
【0034】
以上のように構成された多光子励起レーザ顕微鏡200では、ダイクロイックミラー221がレボルバアーム205上に固定されたハウジング220内に配置されている。このため、対物レンズ207が光軸方向へ移動しても、対物レンズ207からダイクロイックミラー221までの距離は変化しない。従って、焦点位置の調整のために対物レンズ207を光軸方向に移動させても、軸外光束L3はダイクロイックミラー221の一定の位置に入射するため、焦点位置の調整に伴うダイクロイックミラー221でのケラレの発生を防止することができる。
【0035】
また、多光子励起レーザ顕微鏡200では、正のパワーを有するレンズ222がハウジング220であってダイクロイックミラー221とミラー223の間に配置されている。このため、対物レンズ207で平行光束に変換されてハウジング220に入射した蛍光は、レンズ222で収斂光束に変換されて、ハウジング220(焦点位置調整ユニット)外に出射される。これにより、焦点位置の調整に伴う、レンズ222よりもPMT211側でのケラレの発生を抑制することができる。
【0036】
この点についてさらに詳細に説明する。対物レンズ207の瞳Pから光軸に対して傾いて出射する軸外光束L3の主光線が、レンズ222の正のパワーにより内向きに屈折し、軸外光束L3の主光線の方向がレンズ222の光軸方向に近くなる。つまり、軸外光束L3の主光線の角度が抑えられる。このため、焦点位置の調整のために対物レンズ207を対物レンズ207の光軸方向に移動させてミラー223とミラー209の間の距離が変化しても、距離が変化するミラー223とミラー209の間を通る前に軸外光束L3の主光線の角度が抑えられているため、軸外光束L3の主光線が光軸から大きく離れた位置を通ることを防止することができる。従って、レンズ222よりもPMT211側の光学素子、特に、顕微鏡本体内の光学素子、でのケラレが発生を抑制することができる。
【0037】
また、レンズ222の正のパワーにより蛍光を収斂光束に変換することで、レンズ222から顕微鏡本体内にある対物レンズ207の焦点位置(標本S)と光学的に共役な位置(像共役位置)までの間、軸外光束L3の光束径は徐々に細くなっていく。このため、レンズ222から像共役位置までの間にある光学素子では、レンズ222がない場合に比べて光束径が細い軸外光束L3が入射することになる。従って、軸外光束L3が光軸から離れた位置を通過している場合であっても、軸外光束L3の一部又は全部が光学素子からはみ出しにくくなるため、レンズ222よりもPMT211側の光学素子でのケラレが発生を抑制することができる。
【0038】
このように、多光子励起レーザ顕微鏡200によれば、焦点位置の調整に伴うケラレの発生を抑制することができるため、標本S内で散乱した蛍光を含む標本Sで発生した蛍光を効率よく検出することができる。従って、明るい画像を得ることができる。
【0039】
さらに、多光子励起レーザ顕微鏡200では、PMT211は焦点位置調整ユニット内に配置されておらず、焦点位置調整ユニット内に配置される光学素子は比較的小型で軽量なものである。このため、焦点位置調整ユニットを軽量でコンパクトに構成することができる。従って、ステージ208上方のスペースを十分に確保しつつ、高精度な焦点位置の調整が可能である。
【0040】
なお、蛍光がレンズ222に平行光束として入射し、且つ、レンズ222で収斂光束に変換された蛍光がミラー209に向かってハウジングから出射する限り、ハウジング内の光学素子の配置は、様々に変形することができる。例えば、図3Aに示すハウジング230のように、ダイクロイックミラー221の特性に応じてダイクロイックミラー221を対物レンズ207の光軸に対して45度以外の角度に配置してもよい。この場合、他の光学素子(レンズ222、ミラー223)の向きはダイクロイックミラー221の向きに合せて調整される。また、図3Bに示すハウジング240のように、レンズ222をミラー223よりもPMT211側に配置しても良い。即ち、レンズ222及びミラー223は、ダイクロイックミラー221よりもPMT211側に配置されていれば良く、ダイクロイックミラー221は、レンズ222よりも対物レンズ207側に配置されていれば良い。
【0041】
また、レンズ222が単焦点レンズに限られず、焦点距離が可変な光学系である可変焦点レンズであってもよい。レンズ222を可変焦点レンズにして対物レンズのZ位置に応じて焦点距離を変化させることで、対物レンズのZ位置によらずPMT211に入射する蛍光の光束径を最適化することができる。また、焦点距離が長いレンズをレンズ222として用いることで、軸外光束L3が収斂または発散する角度が緩やかになる。従って、焦点距離の長いレンズ222はレンズ222よりもPMT211側の光学素子でのケラレの発生を抑制する上で望ましい。
【0042】
さらに、レーザ光源201とXYスキャナ202の間には、種々の光学素子を配置しても良い。例えば、音響光学素子(AOM:Acousto-Optic Modulator)、ビームエクスパンダ、複数のレーザ光を合成するためのダイクロイックミラーなどのレーザ合成素子、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)やDMD(Digital Mirror Device)などの波面補正素子が配置されても良い。
【実施例2】
【0043】
図4は、本実施例に係る多光子励起レーザ顕微鏡300の構成を例示した図である。なお、図4でも、レーザ光L1は一点鎖線で、蛍光のうち軸上光束L2は破線で、蛍光のうち軸外光束L3は点線で示されている。
【0044】
多光子励起レーザ顕微鏡300は、ステージ208に配置された標本Sを上方から観察する正立顕微鏡である点、落射照明が採用されている点は、実施例1に係る多光子励起レーザ顕微鏡200と同様である。多光子励起レーザ顕微鏡300は、複数のPMTを備えて多チャンネル化されている点が、多光子励起レーザ顕微鏡200と異なっている。
【0045】
多光子励起レーザ顕微鏡300は、顕微鏡本体内部のミラー209とレンズ210との間にダイクロイックミラー301を備え、さらに、ダイクロイックミラー301の反射光路上にレンズ302とPMT303とを備えている。これにより、多光子励起レーザ顕微鏡300によれば、複数の蛍光色素を用いたマルチカラーイメージングが可能となる。
【0046】
なお、焦点位置の調整に伴うケラレの発生を抑制することができる点、軽量でコンパクトな焦点位置調整ユニットによりステージ208上方のスペースを十分に確保しつつ、高精度な焦点位置の調整が可能である点は、多光子励起レーザ顕微鏡200と同様である。
また、多光子励起レーザ顕微鏡300も、多光子励起レーザ顕微鏡200と同様に種々の変形が可能である。
【実施例3】
【0047】
図5は、本実施例に係る多光子励起レーザ顕微鏡400の構成を例示した図である。なお、図5でも、レーザ光L1は一点鎖線で、蛍光のうち軸上光束L2は破線で、蛍光のうち軸外光束L3は点線で示されている。
【0048】
多光子励起レーザ顕微鏡400は、ステージ208に配置された標本Sを上方から観察する正立顕微鏡である点、落射照明が採用されている点は、実施例1に係る多光子励起レーザ顕微鏡200と同様である。多光子励起レーザ顕微鏡400は、ハウジング220の代わりにハウジング410を備える点が、多光子励起レーザ顕微鏡200と異なっている。
【0049】
ハウジング410は、内部にダイクロイックミラー221を備える点はハウジング220と同様である。ただし、レンズ222及びミラー223の代わりに正のパワーを有する凹面ミラー411をハウジング410内(つまり、焦点位置調整ユニット内)に備える点が異なっている。
【0050】
多光子励起レーザ顕微鏡400では、凹面ミラー411とレンズ210が、対物レンズ207の瞳PをPMT211にリレーするリレー光学系を構成している。ダイクロイックミラー221よりもPMT211側に配置された凹面ミラー411は、対物レンズ207で平行光束に変換された蛍光を収斂光束に変換してミラー209に向かって焦点位置調整ユニット外に出射させる。つまり、凹面ミラー411は、リレー光学系を構成する第1の光学素子であり、且つ、蛍光を対物レンズ207の光軸方向に偏向させる偏向素子である。
【0051】
多光子励起レーザ顕微鏡400によっても、多光子励起レーザ顕微鏡200と同様に、焦点位置の調整に伴うケラレの発生を抑制することができる。また、レンズ222及びミラー223の代わりに凹面ミラー411を用いられるため、焦点位置調整ユニット内の光学素子の数を減らすことができる。従って、焦点位置調整ユニットをより軽量でコンパクトに構成することが可能となり、焦点位置調整ユニットによりステージ208上方のスペースを十分に確保しつつ、高精度な焦点位置の調整が可能である。
【0052】
なお、多光子励起レーザ顕微鏡400は、凹面ミラー411の代わりに、焦点距離が可変な光学系であるデフォーマブルミラーを用いてもよい。デフォーマブルミラーを用いることで、対物レンズのZ位置によらず、PMT211に入射する蛍光の光束径を最適化することができる。さらに、多光子励起レーザ顕微鏡400は、実施例2に係る多光子励起レーザ顕微鏡300のように、複数のPMTを備えて多チャンネル化されてもよい。また、レーザ光源201とXYスキャナ202の間に種々の光学素子が配置されても良く、ダイクロイックミラー221の特性に応じてダイクロイックミラー221を対物レンズ207の光軸に対して45度以外の角度に配置してもよい。
【実施例4】
【0053】
図6は、本実施例に係る多光子励起レーザ顕微鏡500の構成を例示した図である。なお、図6でも、レーザ光L1は一点鎖線で、蛍光のうち軸上光束L2は破線で、蛍光のうち軸外光束L3は点線で示されている。
【0054】
多光子励起レーザ顕微鏡500は、ステージ208に配置された標本Sを上方から観察する正立顕微鏡である点、落射照明が採用されている点は、実施例1に係る多光子励起レーザ顕微鏡200と同様である。多光子励起レーザ顕微鏡500は、レーザ光L1の光路と蛍光(軸上光束L2、軸外光束L3)の光路とを波長によって分岐させる波長分岐素子であるダイクロイックミラー511の反射光路上にレーザ光源201などを含む照明手段を備え、ダイクロイックミラー511の透過光路上にPMT211などを含む検出手段を備えている点が、多光子励起レーザ顕微鏡200と異なっている。
【0055】
多光子励起レーザ顕微鏡500は、上記のような構成を実現するために、ハウジング220の代わりにハウジング510を備えている。ハウジング510の内部には、ダイクロイックミラー221の代わりにレーザ光L1を反射させ蛍光を透過させるダイクロイックミラー511が配置されていて、さらに、レンズ222がダイクロイックミラー511の透過光路上に配置されている点が、ハウジング220と異なっている。
【0056】
多光子励起レーザ顕微鏡500によっても、レンズ222が対物レンズ207で平行光束に変換された蛍光を収斂光束に変換して焦点位置調整ユニット外に出射させることで、多光子励起レーザ顕微鏡200と同様に、焦点位置の調整に伴うケラレの発生を抑制することができる。また、軽量でコンパクトな焦点位置調整ユニットによりステージ208上方のスペースを十分に確保しつつ、高精度な焦点位置の調整が可能である。
【0057】
なお、多光子励起レーザ顕微鏡500も、多光子励起レーザ顕微鏡200と同様に種々の変形が可能である。また、多光子励起レーザ顕微鏡500は、実施例2に係る多光子励起レーザ顕微鏡300のように、複数のPMTを備えて多チャンネル化されてもよい。
【実施例5】
【0058】
図7は、本実施例に係る多光子励起レーザ顕微鏡600の構成を例示した図である。なお、図7では、レーザ光L1及び光ファイバー光源602からの照明光L4は一点鎖線で、蛍光のうち軸上光束L2は破線で、蛍光のうち軸外光束L3は点線で示されている。
【0059】
多光子励起レーザ顕微鏡600は、ステージ601に配置された標本Sを上方から観察する正立顕微鏡である点は、実施例1に係る多光子励起レーザ顕微鏡200と同様である。多光子励起レーザ顕微鏡600は、対物レンズ207側から透過照明を行い、コンデンサレンズ608側で透過検出を行うことが可能となっている点が、多光子励起レーザ顕微鏡200と異なっている。また、コンデンサレンズ608側から透過照明を行い、図示しない接眼レンズで標本S1の明視野観察を行うことが可能となっている点も多光子励起レーザ顕微鏡200とは異なっている。
【0060】
多光子励起レーザ顕微鏡600は、透過照明を可能とするために、ステージ208の代わりに光を透過するステージ601が設けられている。ステージ601上には、ガラスボトムディッシュなど光を透過する部材で作られたディッシュが配置され、ディッシュ内に標本S1が配置されている。さらに、ステージ601の下方には、コンデンサレンズ608が配置されている。
【0061】
コンデンサレンズ608は、コンデンサレンズ608の焦点位置を調整するための焦点位置調整ユニット620によりコンデンサレンズ608の光軸方向に移動するように構成されている。多光子励起レーザ顕微鏡600は、焦点位置調整ユニット620の内部に、コンデンサレンズ608の光軸に対して挿脱可能に配置されたミラー621と、正のパワーを有するレンズ622と、ミラー623を備えていて、これらは、コンデンサレンズ608とともに、コンデンサレンズ608の光軸方向に移動する。なお、ミラー621は、レーザ光源201からのレーザ光で透過照明を行う間はコンデンサレンズ608の光軸上に配置され、後述する光ファイバー光源602からの照明光で透過照明を行う間はコンデンサレンズ608の光軸上から取り除かれて、光路外に配置される。また、光ファイバー光源602からの照明光で透過照明を行う間は、ミラー204も対物レンズ207の光軸上から取り除かれて、光路外に配置される。
【0062】
多光子励起レーザ顕微鏡600は、コンデンサレンズ608側からの透過照明を可能とするために、ハロゲンランプ603と光ファイバー604からなる光ファイバー光源602を備えている。光ファイバー光源602からの照明光L4は、顕微鏡本体内に設けられた、レンズ605、ミラー606、レンズ607を介してコンデンサレンズ608の瞳位置に集光した後、コンデンサレンズ608に入射し、標本S1に下方から照射される。即ち、光ファイバー光源602からの照明光L4によりケーラー照明が行われる。
なお、コンデンサレンズ608側からの透過照明で標本S1を透過した光は、対物レンズ207、ダイクロイックミラー221を介して目視観察光路に入射し、目視観察用鏡筒を通って接眼レンズに入射する。これにより、ステージ601上における標本S1の位置決め等に用いられる目視観察が可能となる。
【0063】
多光子励起レーザ顕微鏡600は、対物レンズ207側からの透過照明による検出を可能とするために、顕微鏡本体に取り付けられた外部検出ユニット612を備えている。外部検出ユニット612は、その内部に、ミラー609と、正のパワーを有するレンズ610と、コンデンサレンズ608の瞳共役位置に配置されたPMT611を備えていて、ミラー609がミラー623の反射光路上に位置するように取り付けられる。なお、レンズ610は、レンズ622とともに、コンデンサレンズ608の瞳をPMT611にリレーするリレー光学系を構成している。
【0064】
レーザ光源201からのレーザ光L1が照射された標本S1からの蛍光のうち、コンデンサレンズ608に取り込まれた蛍光は、コンデンサレンズ608で平行光束に変換されて、焦点位置調整ユニット620に入射する。その後、蛍光は、ミラー621で反射し、レンズ622で収斂光束に変換される。さらに、ミラー623でコンデンサレンズ608の光軸と平行な方向に偏向されて、焦点位置調整ユニット620から出射し外部検出ユニット612に入射する。外部検出ユニット612に入射した蛍光は、ミラー609及びレンズ610を介して、PMT611に入射して、検出される。
【0065】
このように、多光子励起レーザ顕微鏡600は、対物レンズ207を光軸方向に移動させる焦点位置調整ユニットとコンデンサレンズ608を光軸方向に移動させる焦点位置調整ユニット620を含んでいる。対物レンズ207を光軸方向に移動させる、レボルバ206、レボルバアーム205及びハウジング220からなる焦点位置調整ユニットは、レーザ光源201からのレーザ光L1で照明する場合の落射検出光路上に設けられている。一方、コンデンサレンズ608を光軸方向に移動させる焦点位置調整ユニット620は、レーザ光源201からのレーザ光L1で照明する場合の透過検出光路上に設けられている。
【0066】
以上のように構成された多光子励起レーザ顕微鏡600では、対物レンズ207及びコンデンサレンズ608の各々の焦点位置調整ユニットにより、各々の焦点位置の調整が行われる。特に、透過照明を行う場合には、対物レンズ207とコンデンサレンズ608の焦点位置が一致するように調整される。
【0067】
多光子励起レーザ顕微鏡600によっても、焦点位置調整ユニット内に配置されたレンズ(レンズ222、レンズ622)が、集光レンズ(対物レンズ207、コンデンサレンズ608)で平行光束に変換された蛍光を収斂光束に変換して焦点位置調整ユニット外に出射させることで、多光子励起レーザ顕微鏡200と同様に、焦点位置の調整に伴うケラレの発生を抑制することができる。また、軽量でコンパクトな焦点位置調整ユニットによりステージ601上方のスペースを十分に確保しつつ、高精度な焦点位置の調整が可能である。さらに、多光子励起レーザ顕微鏡600によれば、蛍光の落射検出と透過検出の両方が可能である。
【0068】
なお、多光子励起レーザ顕微鏡600も、多光子励起レーザ顕微鏡200と同様に種々の変形が可能である。また、多光子励起レーザ顕微鏡600は、実施例2に係る多光子励起レーザ顕微鏡300のように、複数のPMTを備えて多チャンネル化されてもよい。また、多光子励起レーザ顕微鏡600は、実施例3に係る多光子励起レーザ顕微鏡400のように、焦点位置調整ユニット内に、正のパワーのレンズの役割と偏向素子であるミラーの役割を兼ねた凹面ミラーを備えても良い。また、多光子励起レーザ顕微鏡600は、実施例4に係る多光子励起レーザ顕微鏡500のように、焦点位置調整ユニット内であって波長分岐手段の透過光路上に正のパワーを備える第1の光学素子を備え、波長分岐手段の透過光路上に検出手段を備えても良い。また、レーザ光源201を光ファイバー光源として構成してもよい。光ファイバー光源は、顕微鏡本体への熱の伝達を抑制することができるという点で望ましい。
【実施例6】
【0069】
図8は、本実施例に係る多光子励起レーザ顕微鏡700の構成を例示した図である。なお、図8でも、レーザ光L1は一点鎖線で、蛍光のうち軸上光束L2は破線で、蛍光のうち軸外光束L3は点線で示されている。
【0070】
多光子励起レーザ顕微鏡700は、ステージ601に配置された標本Sを下方から観察する倒立顕微鏡である点が、実施例5に係る多光子励起レーザ顕微鏡600と異なっている。このため、多光子励起レーザ顕微鏡700では、ステージ601の下方に、焦点位置調整ユニットにより光軸方向に移動する対物レンズ207が配置され、ステージ601の上方に、焦点位置調整ユニット620により光軸方向に移動するコンデンサレンズ608が配置されている。即ち、多光子励起レーザ顕微鏡700では、多光子励起レーザ顕微鏡600においてステージ601の上方に有った構成がステージ601の下方に配置され、多光子励起レーザ顕微鏡600においてステージ601の下方に有った構成がステージ601の上方に配置されている。その他の点は、実施例5に係る多光子励起レーザ顕微鏡600と同様である。
【0071】
多光子励起レーザ顕微鏡700によっても、実施例5に係る多光子励起レーザ顕微鏡600と同様の効果を得ることができる。また、多光子励起レーザ顕微鏡700も、多光子励起レーザ顕微鏡600と同様に種々の変形が可能である。
【0072】
上述した実施例は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各実施例に記載された走査型顕微鏡は、特許請求の範囲により規定される本発明の思想を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。例えば、上述した実施例では、多光子励起レーザ顕微鏡が例示されているが、本願発明の顕微鏡は、多光子励起レーザ顕微鏡に限られず、走査型の顕微鏡であってノンデスキャン検出器を備えた顕微鏡であればよい。また、焦点位置調整ユニットは、対物レンズを光軸方向に移動させるものに限られず、コンデンサレンズを光軸方向に移動させるものであっても良い。焦点位置調整ユニットは、標本からの検出光を取り込む集光レンズ(対物レンズ、コンデンサレンズ)を光軸方向に移動させるものであれば良い。
【符号の説明】
【0073】
100、200、300、400、500、600、700 多光子励起レーザ顕微鏡
101、201 レーザ光源
102、202 XYスキャナ
103、108、203 リレー光学系
104,221、301、511 ダイクロイックミラー
105、205 レボルバアーム
106、206 レボルバ
107、207 対物レンズ
109、211、303、611 PMT
204、209、223、513、606、609、621、623 ミラー
208、601 ステージ
210、222、302、512、605、607、610、622 レンズ
220、230、240、410、510 ハウジング
411 凹面ミラー
602 光ファイバー光源
603 ハロゲンランプ
604 光ファイバー
608 コンデンサレンズ
612 外部検出ユニット
620 焦点位置調整ユニット
P 瞳
S、S1 標本
L1 レーザ光
L2 軸上光束
L3 軸外光束
L4 照明光
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8