(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
細管状に延び可撓性のあるシースと、該シース内に進退可能に挿通された操作ワイヤと、該操作ワイヤの先端に設けられて前記シースより出没し、バスケット状に拡開ないし収縮可能な処置部とを備えた医療用処置具において、
前記操作ワイヤは、主操作ワイヤと、副操作ワイヤとを備え、
前記処置部は、前記主操作ワイヤと組みを成す主処置部と、前記副操作ワイヤと組みを成す副処置部とを備え、
前記主処置部と前記副処置部は、それぞれ弾性のある複数の処置ワイヤから構成され、各処置ワイヤは、前記シースから突出した時、該シースの軸心より拡開する屈曲ないし湾曲した形状に復元する一方、前記シースに没入した時、該シースの軸心に沿って収縮するように弾性変形し、
前記主処置部は、その各処置ワイヤの手元側の基端を、前記主操作ワイヤの遠位側の先端に固結する一方、各処置ワイヤの遠位側の先端同士は、チップ状の接続端部により互いに固結して成り、
前記副処置部は、その各処置ワイヤの手元側の基端を、前記副操作ワイヤの遠位側の先端に固結する一方、各処置ワイヤの遠位側の先端同士は、リング状の接続環部により互いに固結して成り、
前記副処置部の接続環部は、前記主処置部の各処置ワイヤの途中を束ねた状態にして外嵌しており、前記副処置部が没入した時に当接するシースの先端口から、前記主処置部にてシースの先端口より進退する接続端部までの間で、前記副操作ワイヤの操作に伴い軸方向に移動可能であることを特徴とする医療用処置具。
前記副処置部の各処置ワイヤは、前記主処置部の各処置ワイヤの外側で拡開し、該拡開した最大外周を、前記主処置部の各処置ワイヤが拡開した最大外周よりも大きく形成したことを特徴とする請求項1に記載の医療用処置具。
前記シースの先端口の内側に、前記副処置部の接続環部、および/または該接続環部に固結した処置ワイヤの先端の少なくとも一部を収納可能な凹部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の医療用処置具。
前記シースの内部に、前記主操作ワイヤと前記副操作ワイヤとを別々に挿通させる挿通孔を形成し、各挿通孔内にて各操作ワイヤは軸回りに回転不能な状態で挿通されることを特徴とする請求項1,2または3に記載の医療用処置具。
前記主処置部の接続端部、および/または前記副処置部の接続環部を、X線透視下で確認可能な材質により形成したことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の医療用処置具。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のバスケット型把持鉗子は、いずれも複数の弾性ワイヤをバスケット状に拡開するように構成したものであり、胆道、膀胱等の体腔内に挿入したシースの先端口より突出させて拡開し、体腔内に生じた結石を把持して回収する。このようなバスケット型把持鉗子を、弾性ワイヤの線数で大別すると、一般的には、4線、6線、8線、4線と8線の複合型の4種類が知られている。
【0003】
一般的には、小さい結石を回収する時は、バスケットの隙間が狭くなるよう線数の多いもの(6または8線)が使用され、逆に大きめの結石を回収する時には、バスケットの隙間が広くなるように線数の少ないもの(4線)が使用される。このように、それぞれの線数が持つ特性により使い分けされている。
図11において、線数別におけるメリットとデメリットを記す。具体的には例えば、特許文献1には、代表的な4線(
図1参照)や、4線の途中で分岐した4線と8線の複合型(
図5参照)等が開示されている。
【0004】
結石を回収する手法は、シース内で縮径した状態のバスケットを体腔内にて結石を越える位置まで挿入した後、結石より前方上側でバスケットを拡開し、この拡開した状態のバスケット内に異物を取り込み、そのままバスケットを引き抜くように回収する。従って、大きめの結石をバスケット内に取り込むには、バスケットにおいて手元側の基端部分の隙間は広い方が良いが、回収時には引き抜く動作上、結石が手元と反対側の先端部分から脱落しないように、先端部分の間隔は狭い方が望ましい。このような要望に応じて改良されたのが、前述の複合型である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のバスケット型把持鉗子では、いずれかの線数に予め定められて構成されており、様々な結石等の異物の大きさに対応するために、臨床の場では、複数種類の線数の鉗子を前もって準備しておく必要がある。そのため、鉗子の準備に手間やコストがかかるだけでなく、必要に応じて鉗子を適宜交換して使用しなければならず、処置が煩雑で面倒となるという問題点があった。
【0007】
また、特許文献1に開示された複合型であっても、バスケットの先端部分で弾性ワイヤの間隔が密になり、結石等の異物の保持能力が高まる効果を得られるが(特許文献1の段落0008)、
図11でも記したように、デメリットとして、バスケットの全域に亘っては4線ほどの空間(弾性ワイヤの間隔)は得られない。そのため、複合型であっても、4線の代わりとして使用するには適さず、結局、状況に応じて鉗子自体を交換しなければならなかった。
【0008】
さらに、前述したように結石を回収する時は、異物を取り込んだバスケットをそのまま引き抜くように動かすが、拡開した状態のバスケットは、シース内に収める手元に近い基端側より徐々に縮径することになる。そのため、最後に縮径するバスケットの先端側よりなおさら異物が脱落しやすい状況となる。しかしながら、従来の鉗子ではその構造上、バスケットの先端側より異物が脱落しないように窄めるような操作は困難であった。
【0009】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題点に着目してなされたものであり、状況に応じて複数の線数を使い分けることが可能であり、準備に手間やコストがかかることなく、処置も容易であり異物を確実かつ効率良く回収することができ、しかも、バスケットを異物が脱落しやすい先端側より収縮させることが可能であり、よりいっそう異物の取りこぼしを防止することができる医療用処置具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]細管状に延び可撓性のあるシース(11)と、該シース(11)内に進退可能に挿通された操作ワイヤ(20)と、該操作ワイヤ(20)の先端に設けられて前記シース(11)より出没し、バスケット状に拡開ないし収縮可能な処置部(30)とを備えた医療用処置具(10)において、
前記操作ワイヤ(20)は、主操作ワイヤ(21)と、副操作ワイヤ(22)とを備え、
前記処置部(30)は、前記主操作ワイヤ(21)と組みを成す主処置部(31)と、前記副操作ワイヤ(22)と組みを成す副処置部(32)とを備え、
前記主処置部(31)と前記副処置部(32)は、それぞれ弾性のある複数の処置ワイヤ(33,34)から構成され、各処置ワイヤ(33,34)は、前記シース(11)から突出した時、該シース(11)の軸心より拡開する屈曲ないし湾曲した形状に復元する一方、前記シース(11)に没入した時、該シース(11)の軸心に沿って収縮するように弾性変形し、
前記主処置部(31)は、その各処置ワイヤ(33)の手元側の基端を、前記主操作ワイヤ(21)の遠位側の先端に固結する一方、各処置ワイヤ(33)の遠位側の先端同士は、チップ状の接続端部(35)により互いに固結して成り、
前記副処置部(32)は、その各処置ワイヤ(34)の手元側の基端を、前記副操作ワイヤ(22)の遠位側の先端に固結する一方、各処置ワイヤ(34)の遠位側の先端同士は、リング状の接続環部(36)により互いに固結して成り、
前記副処置部(32)の接続環部(36)は、前記主処置部(31)の各処置ワイヤ(33)の途中を束ねた状態にして外嵌しており、前記副処置部(32)が没入した時に当接するシース(11)の先端口(12)から、前記主処置部(31)にてシース(11)の先端口(12)より進退する接続端部(35)までの間で、前記副操作ワイヤ(22)の操作に伴い軸方向に移動可能であることを特徴とする医療用処置具(10)。
【0011】
[2]前記副処置部(32)の各処置ワイヤ(34)は、前記主処置部(31)の各処置ワイヤ(33)の外側で拡開し、該拡開した最大外周を、前記主処置部(31)の各処置ワイヤ(33)が拡開した最大外周よりも大きく形成したことを特徴とする前述の[1]に記載の医療用処置具(10)。
【0012】
[3]前記シース(11)の先端口(12)の内側に、前記副処置部(32)の接続環部(36)、および/または該接続環部(36)に固結した処置ワイヤ(34)の先端の少なくとも一部を収納可能な凹部(12a)を形成したことを特徴とする前述の[1]または[2]に記載の医療用処置具(10)。
【0013】
[4]前記シース(11)の内部に、前記主操作ワイヤ(21)と前記副操作ワイヤ(22)とを別々に挿通させる挿通孔(13,14)を形成し、各挿通孔(13,14)内にて各操作ワイヤ(20)は軸回りに回転不能な状態で挿通されることを特徴とする前述の[1],[2]または[3]に記載の医療用処置具(10)。
【0014】
[5]前記主処置部(31)の接続端部(35)、および/または前記副処置部(32)の接続環部(36)を、X線透視下で確認可能な材質により形成したことを特徴とする前述の[1],[2],[3]または[4]に記載の医療用処置具(10)。
【0015】
次に、前記本発明の作用について説明する。
前記[1]に記載の医療用処置具(10)によれば、バスケット状に拡開する処置部(30)は、主処置部(31)と副処置部(32)とを組み合わせて成り、副処置部(32)の各処置ワイヤ(34)の先端を固結した接続環部(36)は、主処置部(31)の各処置ワイヤ(33)の途中を束ねた状態に外嵌しており、この接続環部(36)は、シース(11)の先端口(12)から主処置部(31)の先端に渡って移動させることができる。
【0016】
副処置部(32)の各処置ワイヤ(34)はシース(11)内に没入させたまま、該シース(11)の先端口(12)に当接した接続環部(36)より、主処置部(31)の各処置ワイヤ(33)だけをシース(11)外に突出させれば、処置部(30)は、主処置部(31)の各処置ワイヤ(33)だけが拡開した線数の少ない状態となる。さらに、主処置部(31)のみならず、副処置部(32)の各処置ワイヤ(34)も、前記接続環部(36)を押し出しつつシース(11)外に突出させれば、処置部(30)は、主処置部(31)と副処置部(32)の両方の各処置ワイヤ(33,34)が全て拡開した線数の多い状態となる。
【0017】
このようにメインの主処置部(31)に対して、副処置部(32)は主処置部(31)を内包する形で拡開ないし収縮するように移動する。よって、副処置部(32)と組みを成す副操作ワイヤ(22)による手元側の操作により、前記接続環部(36)をシース(11)外に押し出したり引き戻すだけで、体内外での処置ワイヤ(33,34)の線数を容易に切り替えることができる。すなわち、1つの医療用処置具(10)だけで、異物の大きさ等の状況に応じて複数の線数を選択的に使い分けることが可能となる。
【0018】
また、主処置部(31)と副処置部(32)の両方を拡開した状態から収縮する時は、主操作ワイヤ(21)よりも副操作ワイヤ(22)の操作を先行させつつ引き戻すことにより、拡開したバスケット状にてシース(11)に近い基端側からではなく、遠い先端側から徐々に窄めるような操作が可能となる。これにより、処置部(30)内より異物が脱落しやすい先端側の隙間から徐々に狭くなり、引き抜く時に異物が脱落することを確実に防止することもできる。
【0019】
前記[2]に記載の医療用処置具(10)によれば、副処置部(32)の各処置ワイヤ(34)は、主処置部(31)の各処置ワイヤ(33)の外側で拡開し、該拡開した最大外周を、主処置部(31)の各処置ワイヤ(33)が拡開した最大外周よりも大きく形成されるので、特に、副処置部(32)の各処置ワイヤ(34)によって、体腔内での展開(スペースの確保)を容易に行うことが可能となる。また、主処置部(31)と副処置部(32)は、拡開した時の最大外周の違いにより、互いの干渉を低減することができる。
【0020】
前記[3]に記載の医療用処置具(10)によれば、シース(11)の先端口(12)の内側に、副処置部(32)の接続環部(36)、および/または該接続環部(36)に固結した処置ワイヤ(34)の先端の少なくとも一部を収納可能な凹部(12a)が形成されるので、副処置部(32)の接続環部(36)の手元側をシース(11)の先端口(12)に隙間なく当接させることができる。これにより、隙間をなくすことで、段差がなくなり、スムーズに挿入できる。
【0021】
前記[4]に記載の医療用処置具(10)によれば、シース(11)の内部に、主操作ワイヤ(21)と副操作ワイヤ(22)とを別々に挿通させる挿通孔(13,14)を形成し、各挿通孔(13,14)内にて各操作ワイヤ(20)は軸回りに回転不能な状態で挿通されるから、シース(11)内にて各ワイヤ同士が絡まることを防止でき、また、主処置部(31)と副処置部(32)の各処置ワイヤ(33,34)の相対的な位置関係(各ワイヤ間の拡開角度等)を一定に維持することができる。
【0022】
前記[5]に記載の医療用処置具(10)によれば、主処置部(31)の接続端部(35)、および/または副処置部(32)の接続環部(36)を、X線透視下で確認可能な材質により形成したから、シース(11)を体内に挿入する時に、シース(11)先端にある接続端部(35)や接続環部(36)の位置をX線で確認しながら所望の位置に挿入することが容易となり、また、X線で確認しながら操作することが可能となり、主処置部(31)や副処置部(32)の拡開ないし縮小状態を把握することもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る医療用処置具によれば、除去する異物の大きさ等の状況に応じて、1つの処置具でありながら複数の線数を選択的に使い分けることが可能であり、複数の処置具を用意したり準備する手間やコストがかかることなく、処置も容易であり、異物を確実かつ効率良く回収することができる。
しかも、バスケット状に拡開した処置部においては、異物の回収時に異物が脱落しやすいバスケット状の先端側より窄めるように収縮させることが可能となり、よりいっそう異物の取りこぼしを確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明を代表する一実施の形態を説明する。
図1〜
図7は、本発明の一実施の形態を示している。
図1は、医療用処置具10を示す縦断面図である。
図2は、医療用処置具10を2通りに拡開させた状態を示す正面図および側面図である。
図3は、医療用処置具10のシース11を示す正面図、縦断面図および横断面図である。
図4は、医療用処置具10の主処置部31を示す正面図および側面図であり、
図5は、医療用処置具10の副処置部32を示す正面図および縦断面図である。また、
図6は、医療用処置具10の操作動作を示す説明図であり、
図7は、医療用処置具10の操作部40を示す側面図である。
【0026】
図1、
図2および
図7に示すように、医療用処置具10は、細管状に延び可撓性のあるシース11と、該シース11内に進退可能に挿通された操作ワイヤ20と、該操作ワイヤ20の先端に設けられて前記シース11より出没し、バスケット状に拡開ないし収縮可能な処置部30、加えて操作ワイヤ20を操作するための操作部40を備えて成る。以下に、医療用処置具10を、バスケット型把持鉗子に適用した例について説明する。
【0027】
シース11は、医療用処置具10の基体を成すものであり、可撓性の材質で成形された細管状のチューブ材から構成される。シース11は、図示省略した内視鏡のチャンネルを通して体腔内に挿入される。シース11の手元側の基端には、後述する操作部40が設けられており、シース11の遠位側となる先端口12より操作ワイヤ20は出没する。なお、シース11の具体的な材質としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)あるいはポリプロピレン(PP)樹脂等の合成樹脂が適している。
【0028】
図1、
図3に示すように、シース11の内部には、操作ワイヤ20である主操作ワイヤ21と副操作ワイヤ22とを別々に挿通させる2つの挿通孔13,14が形成されている。各挿通孔13,14は、少なくとも一部がそれぞれ内部に挿通させる各操作ワイヤ21,22の断面形状より僅かに大きな楕円形断面に形成されている。このように各挿通孔13,14を、それぞれ孔中心より偏心させた断面形状とすることで、各操作ワイヤ21,22は軸回りに回転不能な状態で挿通される。なお、挿通孔13,14の全体を楕円形にしなくても、挿通孔13,14の一部(例えば先端側)と結束部23,24が楕円形であれば良い。
【0029】
操作ワイヤ20は、前述したように主操作ワイヤ21と、副操作ワイヤ22とを備える。各操作ワイヤ21,22は、それぞれ弾性のある線材から成り、具体的には例えば、ステンレス線材等が適している。各操作ワイヤ21,22は、後述する操作部40によって別々にシース11内を進退させることができる。また、各操作ワイヤ21,22は、略円形断面もしくは前述した各挿通孔13,14に合致した楕円形断面に形成されている。以下、主操作ワイヤ21と副操作ワイヤ22を総称する際は、操作ワイヤ20と表記する。
【0030】
処置部30は、前記主操作ワイヤ21と組みを成す主処置部31と、前記副操作ワイヤ22と組みを成す副処置部32とを備える。主処置部31と副処置部32は、それぞれ弾性のある複数の処置ワイヤ33,34から構成され、各処置ワイヤ33,34は、前記シース11から突出した時、該シース11の軸心より拡開する湾曲した形状に復元する一方、前記シース11に没入した時、該シース11の軸心に沿って収縮するように弾性変形する。
【0031】
主処置部31を構成する処置ワイヤ33の数は、2〜6本程度で足りるが、本実施の形態では4本の処置ワイヤ33で構成している。処置ワイヤ33の具体的な材質としては、例えばステンレス線材のほか、形状記憶合金(Ni-Ti)等の線材を用いても良い。
一方、副処置部32を構成する処置ワイヤ34の数も、1〜6本程度で足りるが、本実施の形態では2本の処置ワイヤ34で構成している。処置ワイヤ34の具体的な材質は、前記処置ワイヤ33と同じである。
【0032】
詳しく言えば、
図4に示すように、主処置部31は、各処置ワイヤ33の手元側の基端を、前記主操作ワイヤ21の遠位側の先端にチップ状の結束部23を介して固結する一方、各処置ワイヤ33の遠位側の先端同士は、チップ状の接続端部35により互いに固結して成る。結束部23は、少なくともその一部が前述した各挿通孔13,14に合致した楕円形断面に形成されている。ここで各処置ワイヤ33は、前述したように、シース11の軸心より拡開する湾曲した形状(
図2(a)参照)に復元するものである。なお、
図4では便宜上、各処置ワイヤ33を直線状に延ばした状態を示している。
【0033】
また、
図5に示すように、副処置部32は、各処置ワイヤ34の手元側の基端を、前記副操作ワイヤ22の遠位側の先端にチップ状の結束部24を介して固結する一方、各処置ワイヤ34の遠位側の先端同士は、リング状の接続環部36により互いに固結して成る。結束部24は、少なくともその一部が前述した各挿通孔13,14に合致した楕円形断面に形成されている。ここで各処置ワイヤ34は、前述したように、シース11の軸心より拡開する湾曲した形状(
図2(b)参照)に復元するものである。
【0034】
ここで、副処置部32の各処置ワイヤ34は、前記主処置部31の各処置ワイヤ33の外側で拡開し、該拡開した最大外周は、前記主処置部31の各処置ワイヤ33が拡開した最大外周よりも大きく形成すると良い。また、接続環部36の外径は、前記接続端部35の外径と同程度にして、これらが前後に連なった時(
図6(a)参照)、外周に凸凹が生じないように設定すると良い。これは、内視鏡のチャンネル内や体腔内における動きを良くするためである。なお、
図5でも便宜上、各処置ワイヤ34を直線状に延ばした状態を示している。
【0035】
図1、
図6に示すように、副処置部32の接続環部36は、前記主処置部31の各処置ワイヤ33の途中を束ねた状態にして外嵌している。この接続環部36は、副処置部32がシース11内に没入した時に当接するシース11の先端口12から、前記主処置部31にてシース11の先端口12より進退する接続端部35までの間で、前記副操作ワイヤ22の操作に伴い軸方向に移動可能となっている。ここで接続端部35は、接続環部36の抜け止め防止のためのストッパの役割を果たす。
【0036】
接続環部36が当接するシース11の先端口12の内側には、
図3に示すように、接続環部36および/または該接続環部36に固結した処置ワイヤ34の先端の少なくとも一部を収納可能な凹部12aが形成されている。本実施の形態では、
図3に示すように、処置ワイヤ34の先端の一部として、接続環部36の外周に固結した箇所からシース11内に収めると軸心内側寄りに屈曲する部位(
図5(b)中にて2点破線で囲む)が、シース11の先端口12の内側に収まるように、当該部位の挿通孔13,14の先端同士が連通接続する空間として形成されている。
【0037】
また、接続端部35、および/または接続環部36は、X線透視下で確認可能な材質により形成されている。具体的には例えば、接続端部35、および接続環部36の材質として、造影性に優れたタングステン等を用いて形成すると良い。なお、前記結束部23,24は、ステンレス等の金属材を用いれば良いが、これらも接続端部35、もしくは接続環部36と同様に、タングステン等のX線透視下で確認可能な材質により形成しても良い。
【0038】
ところで、
図2に示すように、主処置部31の4本の処置ワイヤ33は、軸心を間にして互いに対向する一対が略同一平面上に並ぶ1組を成している。ここで2組ある処置ワイヤ33の組同士の前記軸心を中心とした交差角度は、各処置ワイヤ33間に適度な隙間が生じる範囲で適宜定めると良い。本実施の形態では、
図2(a)に示すように、2組の平面同士の交差角度は、大きい方の優角(120度)が小さい方の劣角(60度)の2倍に配されている。
【0039】
副処置部32の処置ワイヤ34も、前記同様に軸心を間にして互いに対向する一対が1組を成すが、本実施の形態で副処置部32を構成する処置ワイヤ34は、2本で1組だけである。このような処置ワイヤ34は、
図2(b)に示すように、前記各処置ワイヤ33の成す優角を等分する位置になるように配され、各処置ワイヤ34,35は拡開した時に略等間隔に並ぶように設定されている。
【0040】
このような各処置ワイヤ33,34の前記軸心を間とする角度は、適宜定め得る設計事項である。また、各処置ワイヤ33,34は、前記軸心より拡開する湾曲した形状であるが、なだらかに湾曲させることなく、基端から先端に至る途中部位を適宜屈曲させた形状としても良い。いずれの形状にせよ、シース11内に没入させた時は、該シース11の軸心に沿って収縮するように弾性変形するものであれば足りる。
【0041】
図7に示すように、操作部40は、前記シース11の手元側まで延びた基端に設けられ、手動で前記各操作ワイヤ21,22を進退させるハンドル本体41を備えている。ハンドル本体41は、各操作ワイヤ21,22の軸方向に延びた形状であり、その外周には、軸方向に細幅状に延びるガイド溝42が形成されている。このハンドル本体41には、ガイド溝42に沿って摺動可能な2つのスライダ43,44が取り付けられている。なお、ハンドル本体41の基端には、指掛け用のリング45が設けられている。
【0042】
各スライダ43,44にて、前記ガイド溝42よりシース11内を臨む内側部分には、当該部位まで前記シース11からガイド溝42内に延ばされた各操作ワイヤ21,22の基端が連結されている。ここで、一方のスライダ43には主操作ワイヤ21が連結され、他方のスライダ44には副操作ワイヤ22が連結されており、各スライダ43,44の進退操作によって、各操作ワイヤ21,22を別々にシース11より出没させることができる。
【0043】
次に、本実施の形態に係る医療用処置具10の作用を説明する。
処置部30をシース11内に収納した状態にして(
図6参照)、体腔内に挿入してある図示省略した内視鏡のチャンネル内にシース11を挿入する。そして、シース11の先端側を、内視鏡先端より体腔内の目的部位の近くまで突き出す。処置部30の先端側が結石のある位置を越えた時、操作部40の操作により操作ワイヤ20を前進させて、シース11の先端から処置部30を突出させる。
【0044】
図2に示すように、処置部30は、主処置部31と副処置部32とを組み合わせて成り、副処置部32の各処置ワイヤ34の先端を固結した接続環部36は、主処置部31の各処置ワイヤ33の途中を束ねた状態に外嵌しており、この接続環部36は、シース11の先端口12から主処置部31の先端に渡って移動させることができる。これにより、1つの医療用処置具10だけで、結石の大きさ等の状況に応じて複数の線数を選択的に使い分けることが可能となる。
【0045】
すなわち、大きな結石を取り込む場合には、操作部40のスライダ44は操作せず、副処置部32の各処置ワイヤ34をシース11内に没入させた状態で、操作部40のスライダ43だけを前進させれば、シース11の先端口12に当接した接続環部36より、主処置部31の各処置ワイヤ33だけがシース11外に突出する。この場合、
図6(c)に示すように、主処置部31の各処置ワイヤ33が弾性力によって拡開するように復元し、4本の処置ワイヤ33が拡開した線数の少ない状態となる。
【0046】
一方、比較的小さな結石を取り込む場合には、前述したスライダ43の操作に続いて、スライダ44も前進させれば、
図6(d)に示すように、接続環部36は押し出されつつ、前記各主処置部31の各処置ワイヤ33の途中を一時的に束ねながら前方へ移動する。そして、副処置部32の各処置ワイヤ34もシース11外に突出する。すると、
図6(e)に示すように、副処置部32の各処置ワイヤ34も弾性力によって拡開するように復元し、処置部30は、4本の処置ワイヤ33と2本の処置ワイヤ34が全て拡開した線数の多い状態となる。
【0047】
このように、操作部40(のスライダ44)の操作により、副処置部32の接続環部36をシース11外に押し出したり引き戻すだけで、体内外での処置ワイヤ33,34の線数を容易に切り替えることができる。いずれの線数に拡開した場合であっても、拡開した処置部30を結石のある位置まで引き寄せるようにして、結石を処置部30内に取り込むことができる。その後、操作部40で操作ワイヤ20を引き戻しつつ処置部30を縮少させることにより、処置部30内に結石を確実に保持する。そして、医療用処置具10を内視鏡と共に体腔内から引き抜いて結石を回収する。
【0048】
ここで、主処置部31と副処置部32の両方を拡開した状態から収縮する時は、操作部40におけるスライダ44の操作をスライダ43の操作より先行させると良い。すなわち、主操作ワイヤ21よりも副操作ワイヤ22を引き戻す操作を先行させることにより、拡開したバスケット状の処置部30は、シース11に近い基端側からではなく、遠い先端側から徐々に窄めるような操作が可能となる。これにより、処置部30内より異物が脱落しやすい先端側の隙間から徐々に狭くなり、引き抜く時に異物が脱落することを確実に防止することもできる。
【0049】
また、本実施の形態に係る医療用処置具10では、副処置部32の各処置ワイヤ34は、主処置部31の各処置ワイヤ33の外側で拡開し、該拡開した最大外周を、主処置部31の各処置ワイヤ33が拡開した最大外周よりも大きく形成されるので、特に、副処置部32の各処置ワイヤ34によって、体腔内での展開スペースの確保を容易に行うことが可能となる。また、主処置部31と副処置部32は、拡開した時の最大外周の違いにより、互いの干渉を低減することができる。
【0050】
なお、副処置部32の各処置ワイヤ34が拡開した最大外周を、主処置部31の各処置ワイヤ33が拡開した最大外周よりも大きく形成しなくとも、副処置部32の各処置ワイヤ34の硬度を、主処置部31の各処置ワイヤ33よりも上げることによっても、体腔内での展開スペースの確保を容易に行うことが可能となる。
【0051】
また、前述した医療用処置具10では、シース11内部の挿通孔13,14の少なくとも一部を、各操作ワイヤ20の断面形状に合致した楕円形に形成されるので、各挿通孔13,14内にて各操作ワイヤ20は軸回りに回転不能な状態で挿通される。これにより、シース11内にて各操作ワイヤ20が捻れることを防止でき、また、処置ワイヤ33と処置ワイヤ34との相対的な位置関係(互いの拡開角度等)を一定の状態に維持することができる。
【0052】
また、前述した医療用処置具10では、シース11の先端口12の内側に、副処置部32の接続環部36、および/または該接続環部36に固結した処置ワイヤ34の先端の少なくとも一部を収納可能な凹部12aを形成したから、副処置部32の接続環部36の手元側をシース11の先端口12に隙間なく当接させることができる。
【0053】
さらに、前述した医療用処置具10によれば、主処置部31の接続端部35、および/または副処置部32の接続環部36を、X線透視下で確認可能な材質により形成されているので、シース11を体内に挿入する時に、シース11先端にある接続端部35や接続環部36の位置をX線で確認しながら所望の位置に挿入することが容易となり、また、X線で確認しながら操作することが可能となり、主処置部31や副処置部32の拡開ないし縮小の状態を把握することもできる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、主処置部31および副処置部32における各処置ワイヤ33,34の数や大きさ、互いの角度は、
図2に示したものに限られることなく、
図8〜
図10に変形例を示すような様々な配置にしても良い。
【0055】
また、前記シース11の各挿通孔13,14において、それぞれに挿通させる各操作ワイヤ21,22の回転を防止するための断面形状は、前述した楕円形に限られることなく多角形としたり、あるいは、突条を備えたキー構造としても良い。また、主操作ワイヤ21および挿通孔13と、副操作ワイヤ22および挿通孔14の断面形状やその大きさは、それぞれ同一に揃える必要はなく、別々に異ならせてもかまわない。
【0056】
さらに、前記シース11の先端口12の内側には、接続環部36に固結した処置ワイヤ34の先端の屈曲した部位だけ収まる凹部12aを形成したが、他に例えば、処置ワイヤ34の先端の一部のみならず、接続環部36の一部も収まるような凹部として形成しても良い。
【0057】
さらに、処置ワイヤ34は
図5に示すような、接続環部36の側面に固結させる他、接続環部36の基端側端面に固結させてもよい。