特許第6203054号(P6203054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6203054
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】医療用注射装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   A61M5/32 500
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-546712(P2013-546712)
(86)(22)【出願日】2011年12月29日
(65)【公表番号】特表2014-503298(P2014-503298A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2011074255
(87)【国際公開番号】WO2012089821
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年12月26日
(31)【優先権主張番号】10197464.0
(32)【優先日】2010年12月31日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/430,327
(32)【優先日】2011年1月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ラドマー, ボー
(72)【発明者】
【氏名】プラムベック, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ニールスン, クリスチャン ホイリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンダム, イェスパー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】マークスン, トム ヒル
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0144633(US,A1)
【文献】 特表2010−524566(JP,A)
【文献】 特開2008−220949(JP,A)
【文献】 特表2008−522751(JP,A)
【文献】 特表2009−518080(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1958654(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0178631(US,A1)
【文献】 特表2001−500824(JP,A)
【文献】 米国特許第3158155(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射装置(100、100’、100’’)であって、
−ハウジング(101、101’、101’’)と、
−ハウジング(101、101’、101’’)に対して配置されて、主軸を定めているカートリッジ(120、120’、120’’)であって、カートリッジ(120、120’、120’’)の内部と流体を連通させるべく注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)によって貫かれるように構成されたカートリッジ隔膜によって覆われた出口と、主軸に沿って出口に向かって駆動可能なピストンとを備えたカートリッジ(120、120’、120’’)と、
−ピストンに係合し、ピストンを出口に向かって遠位方向に駆動するように動作させることが可能なピストンドライバ(110、110’、110’’)と、
−ハウジング(101、101’、101’’)の遠位端に配置された針アセンブリ(150、150’、150’’)であって、対象ユーザの皮膚およびカートリッジ隔膜をそれぞれ貫く前部および後部を有している注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)を備えるとともに、注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)を収容する針容器(151、151’、151’’)をさらに備えており、針容器(151、151’、151’’)は、注射装置(100、100’、100’’)の保管状態においては注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)を無菌状態に保つために平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)によってシールされている開口を有している、針アセンブリ(150、150’、150’’)と、
−ハウジング(101、101’、101’’)に対して配置され、相対移動を行なうように構成されたカバー(200)であって、注射装置(100、100’、100’’)の保管状態においては、ハウジング(101、101’、101’’)に対して、カバー(200)が針アセンブリ(150、150’、150’’)を少なくとも部分的に覆う第1の相対方向に保持される、カバー(200)と
を備えており、
注射装置(100、100’、100’’)が開封部材(115、115’、115’’)を定めており、開封部材(115、115’、115’’)が、針アセンブリ(150、150’、150’’)と開封部材(115、115’、115’’)との相対移動によって平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)をシール状態から開封状態へと変化させるように構成されており、
カバー(200)とハウジング(101、101’、101’’)とが、第1の相対方向から第2の相対方向へと相対移動することで、平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)がシール状態から開封状態へと変化して、注射装置(100、100’、100’’)が投与準備完了状態へと移行し、カバー(200)は、第1の相対方向から第2の相対方向へのカバー(200)とハウジング(101、101’、101’’)との前記相対移動の間、常にハウジング(101、101’、101’’)につながっており、
針容器(151、151’、151’’)が、単一のシールされる開口を定めているカップ状の本体を形成しており、単一のシールされる開口が、注射装置(100、100’、100’’)が前記保管状態にあるときにシールされたチャンバを画定するために前記平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)によってシールされ、注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)がシールされたチャンバ内に完全に収容され、
カバー(200)が、平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)をシール状態から開封状態へと変化させるために操作された後、ピストンドライバ(110、110’、110’’)がピストンを出口に向かって駆動するために動作される前に、ハウジング(101、101’、101’’)から分離されるように構成されており、カバー(200)が、ハウジング(101、101’、101’’)から分離されるとき針容器(151、151’、151’’)を注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)から取り除くように構成されており、
カバー(200)が平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)をシール状態から開封状態へと変化させるべく操作された後で、ピストンを出口に向かって駆動するようにピストンドライバ(110、110’、110’’)を手動で動作させることができるように構成されている、注射装置(100、100’、100’’)
【請求項2】
平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)をシール状態から開封状態へと変化させるために、カバー(200)が、針アセンブリ(150、150’、150’’)と開封部材(115、115’、115’’)とを主軸に沿って互いに相対的に移動させるべく、第1の位置から第2の位置へと移動し、第1の位置から第2の位置へのカバー(200)の移動が、純粋な軸方向の移動とは異なっている、請求項に記載の注射装置(100、100’、100’’)
【請求項3】
注射装置(100、100’、100’’)であって、
−ハウジング(101、101’、101’’)と、
−ハウジング(101、101’、101’’)に対して配置されて、主軸を定めているカートリッジ(120、120’、120’’)であって、カートリッジ(120、120’、120’’)の内部と流体を連通させるべく注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)によって貫かれるように構成されたカートリッジ隔膜によって覆われた出口と、主軸に沿って出口に向かって駆動可能なピストンとを備えたカートリッジ(120、120’、120’’)と、
−ピストンに係合し、ピストンを出口に向かって遠位方向に駆動するように動作させることが可能なピストンドライバ(110、110’、110’’)と、
−ハウジング(101、101’、101’’)の遠位端に配置された針アセンブリ(150、150’、150’’)であって、対象ユーザの皮膚およびカートリッジ隔膜をそれぞれ貫く前部および後部を有している注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)を備えるとともに、注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)を収容する針容器(151、151’、151’’)をさらに備えており、針容器(151、151’、151’’)は、注射装置(100、100’、100’’)の保管状態においては注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)を無菌状態に保つために平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)によってシールされている開口を有している、針アセンブリ(150、150’、150’’)と、
−ハウジング(101、101’、101’’)に対して配置され、相対移動を行なうように構成されたカバー(200)であって、注射装置(100、100’、100’’)の保管状態においては、ハウジング(101、101’、101’’)に対して、カバー(200)が針アセンブリ(150、150’、150’’)を少なくとも部分的に覆う第1の相対方向に保持される、カバー(200)と
を備えており、
注射装置(100、100’、100’’)が開封部材(115、115’、115’’)を定めており、開封部材(115、115’、115’’)が、針アセンブリ(150、150’、150’’)と開封部材(115、115’、115’’)との相対移動によって平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)をシール状態から開封状態へと変化させるように構成されており、
カバー(200)とハウジング(101、101’、101’’)とが、第1の相対方向から第2の相対方向へと相対移動することで、平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)がシール状態から開封状態へと変化して、注射装置(100、100’、100’’)が投与準備完了状態へと移行し、カバー(200)は、第1の相対方向から第2の相対方向へのカバー(200)とハウジング(101、101’、101’’)との前記相対移動の間、常にハウジング(101、101’、101’’)につながっており、
針容器(151、151’、151’’)が、単一のシールされる開口を定めているカップ状の本体を形成しており、単一のシールされる開口が、注射装置(100、100’、100’’)が前記保管状態にあるときにシールされたチャンバを画定するために前記平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)によってシールされ、注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)がシールされたチャンバ内に完全に収容され、
カバー(200)が、平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)をシール状態から開封状態へと変化させるために操作された後、ピストンドライバ(110、110’、110’’)がピストンを出口に向かって駆動するために動作される前に、ハウジング(101、101’、101’’)から分離されるように構成されており、カバー(200)が、ハウジング(101、101’、101’’)から分離されるとき針容器(151、151’、151’’)を注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)から取り除くように構成されており、
カバー(200)が、平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)をシール状態から開封状態へと変化させるために第1の位置から第2の位置へと移動し、
カバー(200)をハウジング(101、101’、101’’)に対して操作するためにユーザによって加えられる力が、主軸に沿った針アセンブリ(150、150’、150’’)と開封部材(115、115’、115’’)との相対移動を達成するためのより大きな力へと変換される、注射装置(100、100’、100’’)
【請求項4】
カバー(200)が、注射装置(100、100’、100’’)が保管状態にあるときにハウジング(101、101’、101’’)の遠位端に取り付けられるキャップ(170;170’;170’’)を形成している、請求項1〜のいずれか一項に記載の注射装置(100、100’、100’’)
【請求項5】
キャップ(170;170’;170’’)およびハウジング(101、101’、101’’)が、軌道および溝の接続を形成しており、キャップ(170;170’;170’’)とハウジング(101、101’、101’’)との相対的な回転運動が、針アセンブリ(150、150’、150’’)と開封部材(115、115’、115’’)とを軸方向に相対移動させるために、前記軌道および溝の接続によって定められる直線移動へと変換される、請求項に記載の注射装置(100、100’、100’’)
【請求項6】
注射装置(100、100’、100’’)が、キャップ(170;170’;170’’)がハウジング(101、101’、101’’)に対して操作されたときに解放される蓄勢済みのばねを備えており、ばねが、解放されると、平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)をシール状態から開封状態へと変化させるべく針アセンブリ(150、150’、150’’)と開封部材(115、115’、115’’)とを互いに対して駆動する、請求項に記載の注射装置(100、100’、100’’)
【請求項7】
カバー(200)が、注射装置(100、100’、100’’)の保管状態において注射装置(100、100’、100’’)のハウジング(101、101’、101’’)を収容する梱包を少なくとも部分的に形成している、請求項1〜のいずれか一項に記載の注射装置(100、100’、100’’)
【請求項8】
カバー(200)が、第2の軸に従ってハウジング(101、101’、101’’)に対して回転する第1のカバー部を定めており、第2の軸が主軸に対して直角である、請求項に記載の注射装置(100、100’、100’’)
【請求項9】
第1のカバー部が、操作時に針アセンブリ(150、150’、150’’)および開封部材(115、115’、115’’)を互いに対して移動させるレバーアームを形成している、請求項に記載の注射装置(100、100’、100’’)
【請求項10】
カバー(200)が第2のカバー部をさらに定めており、第1および第2のカバー部が、ハウジング(101、101’、101’’)および針アセンブリ(150、150’、150’’)を収容すべく協働する殻を形成している、請求項またはに記載の注射装置(100、100’、100’’)
【請求項11】
カバー(200)とハウジング(101、101’、101’’)との相対移動が、さらに、注射針(152、153、152’、153’、152’’、153’’)の後部をカートリッジ隔膜に貫通させる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の注射装置(100、100’、100’’)
【請求項12】
カバー(200)が、平坦なフィルムシール(155、155’、155’’)をシール状態から開封状態へと変化させるために第1の位置から第2の位置へと移動し、
カバー(200)をハウジング(101、101’、101’’)に対して操作するためにユーザによって加えられる力が、主軸に沿った針アセンブリ(150、150’、150’’)と開封部材(115、115’、115’’)との相対移動を達成するためのより大きな力へと変換される、請求項1に記載の注射装置(100、100’、100’’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を注射するための注射装置に関する。特に、本発明は、保持したカートリッジから薬剤を注射するための使い捨ての注射装置、およびそのような注射装置の性能に関する改善に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの疾病に関して、患者は、1週間に1回、1日に1回、あるいは1日に複数回など、定期的な方法で薬剤を注射しなければならない。針の恐怖を克服する患者を助けるために、注射装置の操作を可能な限り簡単にする針の自動挿入を含む注射装置が開発されている。そのような装置は、典型的には、薬剤の自動的な吐出をもたらす自動注射器として設計される。注射を行なうために、ユーザは、注射装置を注射の場所に配置し、装置を作動させる。そのような作動により、装置が針を皮膚へと挿入し、1回分の薬剤を排出し、次いで針を遮へい位置に移動させる。
【0003】
一体化された注射針を持たないカートリッジを使用する注射装置においては、薬剤を患者へと注射するために、薬剤容器を注射針へと接続することが必要である。しかしながら、針およびカートリッジの無菌状態が損なわれて、両者の汚染につながることがないよう、針を使用に先立って取り付けてはならない。したがって、針を、装置の使用の直前に取り付けなければならない。
【0004】
注射針を装置に取り付ける手順は、意図せぬ針の切断、汚染、または針の損傷につながりかねない針のかなりの取り扱いを必要とする。さらに、針の取り扱いが、ユーザにとって装置の使用をより難しいと感じさせる可能性がある。
【0005】
針を備えるように装置を設計することで、針の取り扱いをなくすことができるが、既存の針は、取り付けのために回転運動を典型的に必要とする装置とのインターフェイスの設計、ならびに針容器と無菌のバリア(通常の使用のもとで、取り付けの前に手作業で取り除かれる)とを備える針の梱包ゆえに、内部の針として使用することが困難である。
【0006】
使用までは注射針をカートリッジから離して備えており、無菌状態の問題に対処する自動注射器の一例が、国際公開第01/07104号パンフレットに開示されている。この文献においては、針アセンブリが、前部および後部針をそれぞれ保護する2つの別々の弾性針鞘を備えている。典型的には、この種の針鞘は、ラテックスゴムから製作される。使用時、針鞘は、針のそれぞれの部位によって貫かれる。可撓な針鞘を備える針アセンブリは、使用までの無菌を補償するが、典型的には製造時の費用の増加につながる。さらに、製造時または取り扱い時の機械的な衝撃により、鞘が時期尚早に貫かれ、注射針の無菌状態が損なわれる可能性がある。
【0007】
米国特許第5,829,589号が、薬剤送出ペンのキャップに収容されるペン針マガジンディスペンサを開示している。ディスペンサに複数の空洞が形成されている。各々の空洞が、ペン針アセンブリを収容する。ディスク状のラベルまたは無菌バリアが、未使用のペン針アセンブリに無菌状態を提供する。アダプタが備えられた送出ペンがラベルを貫いて押し込まれるときに、ラベルが制御された破れを提供すると主張されているが、ペンおよびマガジンディスペンサの手作業による取り扱いは、ユーザフレンドリな操作をもたらしていない。
【0008】
さらなる文献、すなわち米国特許出願公開第2003/0144633号に、注射針の針後部を、無菌室を形成する壁へと貼り付けられたフィルム式のシールによって無菌室内に保つ、針アセンブリの2つの典型的な設計が示されている。この針アセンブリが、容器を前方へと駆動し、次いで吐出の動作において容器のピストンを前方へと駆動するために、予め付勢されたばねを使用する自動注射装置に組み込まれる。装置の作動時に、容器が前方へと駆動され、無菌室へとフィルムシールを貫通する。これにより、容器と注射針の後部との接続が生じる。針アセンブリは、さらなるシール部材の使用を必要とする追加の開口を含む。さらに、開示の針アセンブリの特定の設計は、針の取り扱いが手作業で実行される多数回使用のペン注射器などの標準的な形式の注射装置との関連における使用に、あまり適していない。これは、開示の針アセンブリの製造を特に高価にする。さらに、フィルム式のシールの貫通および薬剤の注射の両方を促進するための1つの同じばねを使用することによって、動作の2つの部分の最適な動作の実現が、きわめて困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第01/07104号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,829,589号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0144633号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の先行技術の装置に鑑みて、本発明の目的は、多数回使用のペン注射器に使用される従来の形式の標準的な針アセンブリを備える注射装置であって、針アセンブリのシール部材の改善された一貫的な開封を促進する注射装置を提供することである。
【0011】
本発明のまたさらなる目的は、優れた性能を有し、容易な動作をもたらすと同時に、低いコストでの製造を可能にする装置を得るための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、本発明は注射装置に関連し、この駐車装置は、
a)ハウジングと、
b)ハウジングに対して配置されて、主軸を定めているカートリッジであって、カートリッジの内部と流体を連通させるべく注射針によって貫かれるように構成されたカートリッジ隔膜によって覆われた出口と、主軸に沿って出口に向かって駆動可能なピストンとを備えたカートリッジと、
c)ピストンに係合し、ピストンを出口に向かって遠位方向に駆動するように動作させることが可能なピストンドライバと、
d)ハウジングの遠位端に配置された針アセンブリであって、対象ユーザの皮膚およびカートリッジ隔膜をそれぞれ貫く前部および後部を有している注射針を備えるとともに、注射針を収容する針容器をさらに備えており、針容器は、注射装置の保管状態においては注射針を無菌状態に保つためにフィルムシールによってシールされている開口を有している、針アセンブリと、
e)注射装置の初期状態においてハウジングに対して保持され、針アセンブリを少なくとも部分的に覆うカバーであって、ハウジングに対して移動するように構成されているカバーと
を備えており、
注射装置が開封部材を定めており、開封部材が、針アセンブリと開封部材との相対移動によってフィルムシールをシール状態から開封状態へと変化させるように構成されており、
カバーとハウジングとの相対運動により、フィルムシールがシール状態から開封状態へと変化する。
【0013】
上述の態様によれば、装置の梱包の一部を形成することができ、使用前に注射装置に対して移動させられるカバーを備えるように装置を構成し、装置にアクセスしようとするユーザによって梱包が開かれるときの梱包の1つ以上の部分の相対移動を利用することによって、針を取り付けるための機構を、装置を届ける梱包において実現することができる。
【0014】
注射装置の前記初期状態は、注射装置について適切な長期保管の条件を可能にするようにカバーが注射装置のハウジングに対して取り付けられる保管状態に相当することができる。
【0015】
注射装置の保管状態において、カバーを、ハウジングに対して、針アセンブリを少なくとも部分的に覆う第1の相対位置に保持することができる。前記カバーと前記ハウジングとの間における前記第1の相対位置から第2の相対位置への移動により、前記フィルムシールが、前記シール状態から前記開封状態へと移行する。これにより、注射装置が、投与準備完了状態へと移行する。前記第1の相対位置から前記第2の相対位置への前記カバーと前記ハウジングとの相対移動の際に、前記カバーは、前記ハウジングに常につながったままであってよい。したがって、保管状態から投与準備完了状態まで、カバーがハウジングから外れることがない。
【0016】
前記保管状態からシールが開封状態へと移行した状態までの、カバーとハウジングの間における所定の運動を定義する結合機構によって、カバーを注射装置のハウジングへと接続することができる。
【0017】
前記開封状態において、注射装置は投与準備完了状態へと移行している。この投与準備完了状態において、カバーを、針容器を注射針から取り除くことができるよう、ハウジングに対してさらに移動させることができる。
【0018】
注射装置を、フィルムシールをシール状態から開封状態へと変化させるようにカバーが操作された後で、ピストンを出口に向かって駆動すべくピストンドライバを手動で動作させることができるように構成することができる。いくつかの形態においては、注射装置を、手動での動作において、ユーザが1回分の吐出の動作においてピストンドライバを前方へと押すように構成することができる。他の形態においては、注射装置を、予め蓄勢されたばねが操作部材の手動での操作を承けてピストンドライバを前方へと駆動するように構成することができる。そのような操作部材の例(ただし、これらに限られない)は、操作ボタン、針スリーブなどのハウジングに対して可動に配置されたスリーブ、または針シールドであってよい。いくつかの形態においては、ピストンドライバの手動での操作が、注射装置が投与準備完了状態へと移行するまでは防止され、移行後に操作が可能にされる。他の形態においては、ピストンドライバの手動での操作が、針容器が注射針から取り除かれるまでは防止され、取り除き後に操作が可能にされる。
【0019】
いくつかの実施形態においては、前記針容器が、前記注射針を完全に収容するシールされたチャンバを定める。前記針容器は、カップ状の形態を有して単一のシールされる開口を定めている本体を備えることができ、前記単一のシールされる開口が、注射装置が保管状態にあるときに前記フィルムシールによってシールされている。
【0020】
針アセンブリのフィルムシールは、針容器の開口のリム部に沿って接着され、あるいは他の方法で密着させられる紙シールなどの平坦なフィルムの形態をとることができる。針アセンブリは、糖尿病などの疾病の治療のための薬剤を投与するために一般的に使用されている注射ペンに関連して使用される標準的な針パッケージを形成することができる。上述の態様に関連した使用に適した典型的な針アセンブリが、欧州特許出願公開第279583号A2明細書、国際公開第96/02290号A2パンフレット、および国際公開第2004/004812号A1パンフレットに開示されている。
【0021】
いくつかの実施形態においては、前記カバーが、前記フィルムシールを前記シール状態から前記開封状態へと変化させるべく前記針アセンブリおよび前記開封部材を前記主軸に沿って互いに対して移動させるために、第1の位置から第2の位置へと移動する。そのような実施形態においては、前記第1の位置から前記第2の位置までの前記カバーの移動は、純粋な回転移動、回転移動と軸方向の移動との組み合わせ、あるいは軸方向の移動および回転移動の連続など、純粋な軸方向の移動とは違ってよい。
【0022】
いくつかの実施形態においては、前部および後部針が、共通の軸を定める。装置の保管状態において、この共通の軸は、カートリッジの長手軸、すなわち前記主軸と同一であってよい。他の形態においては、前記保管状態において、前記共通の軸が、カートリッジの長手軸と同一ではない。そのような構成においては、前記共通の軸および長手軸が、前記カバーおよび前記ハウジングが前記第1の相対方向から前記第2の相対方向へと相対的に動かされたときに整列する。
【0023】
前記カバーと前記ハウジングとの間における所定の移動を定めている上述の結合機構は、いくつかの実施形態においては、前記ハウジングに対する前記カバーの回転移動を含むことができる。これを、カバーを操作するためにユーザによって加えられる力を、フィルムシールをシール状態から開封状態へと変化させるためのより大きな力へと変換する機構によってもたらすことができる。これにより、フィルムシールが一貫性のある方法で除去され、あるいは破られるフィルムシールの安全かつ効果的な開封を実行することができる。さらに、そのような技術的解決策は、費用対効果に優れた方法での製造をもたらす標準的な針アセンブリおよび標準的なカートリッジなどの標準的な構成部品の仕様を可能にする。
【0024】
いくつかの形態においては、前記カバーが、前記フィルムシールをシール状態から開封状態へと変化させるために第1の位置から第2の位置へと移動し、前記カバーを前記ハウジングに対して操作するためにユーザによって加えられる力が、前記主軸に沿った前記針アセンブリと前記開封部材との相対移動を達成するためのより大きな力へと変換される。
【0025】
いくつかの実施形態においては、前記カバーが、装置が前記初期の状態にあるときに注射装置の前記ハウジングの遠位端に取り付けられ、あるいは前記ハウジングの遠位端に対して保持されるキャップを形成する。
【0026】
前記キャップおよび前記ハウジングを、軌道および溝の接続を形成するように構成することができる。そのような構成においては、前記キャップと前記ハウジングとの相対的回転移動が、前記針アセンブリと前記開封部材とを軸方向に相対移動させるための、前記軌道および溝の接続によって定められる直線移動へと変換される。
【0027】
いくつかの形態においては、注射装置が、前記キャップが前記ハウジングに対して操作されたときに解放される蓄勢済みのばねを備えており、このばねが、解放されたときに、前記フィルムシールをシール状態から開封状態へと変化させるべく前記針アセンブリと前記開封部材とを互いに対して駆動する。
【0028】
いくつかの形態においては、前記カバーが、注射装置の前記保管状態において注射装置の前記ハウジングを収容する梱包を少なくとも部分的に形成する。前記カバーが、第2の軸に従って前記ハウジングに対して回転する第1のカバー部を定めることができ、前記第2の軸は、前記主軸に対して実質的に直角である。
【0029】
いくつかの形態においては、前記第1のカバー部が、操作時に前記針アセンブリおよび前記開封部材を互いに対して移動させるレバーアームを形成する。
【0030】
前記第1のカバー部に加え、前記カバーは、第2のカバー部をさらに定めることができ、前記第1および第2のカバー部が、前記ハウジングおよび前記針アセンブリを収容すべく協働する殻を形成する。前記第1および第2のカバー部を、第3の軸を中心にして互いに対して回転するように構成することができる。前記第2の軸と前記第3の軸とが、いくつかの実施形態においては平行な軸を定めることができる。
【0031】
いくつかの実施形態においては、前記カバーと前記ハウジングとの相対移動が、前記カートリッジの内部との連通を確立させるための前記注射針の後部による前記カートリッジ隔膜の穿刺をさらに生じさせる。
【0032】
さらに別の実施形態においては、前記カバーが、前記フィルムシールを前記シール状態から前記開封状態へと変化させるための該カバーの操作の後、かつ前記ピストンを前記出口に向かって駆動するための前記ピストンドライバの手動での動作の前に、前記ハウジングから分離されるように構成される。前記カバーを、さらなる実施形態においては、該カバーが前記ハウジングから分離されるときに前記針容器が前記注射針から自動的に分離して、前部針へのアクセスが可能になるように構成されている。カバーを、いくつかの形態においては、注射装置が投与準備完了状態となった後に注射装置の前記ハウジングから分離されるように構成することができる。いくつかの形態においては、前記針容器が、前記カバーが前記ハウジングから分離されるときに該針容器が前記注射針から取り除かれるように、前記カバー内に取り付けられる。
【0033】
いくつかの実施形態においては、前記開封部材を、別途の部材または前記ハウジングによって形成される一部分として注射装置の前記ハウジングに保持される部材として形成することができ、あるいは前記カートリッジ自身が、前記開封部材を定めることができる。前記開封部材は、例えば前記針容器からの前記フィルムシールの安全かつ効果的な破れまたは剥離を得るために、鋭い造作または尖った造作などを有する1つ以上の切断面を備えることによって、一貫的な開封を可能にする造作を備えることができる。
【0034】
いくつかの変種は、ガラス製のカートリッジを使用することができる。他の実施形態は、合成樹脂などで作られたカートリッジを備えることができる。さらに、いくつかの実施形態は、注射装置のハウジングとして機能も同時に果たすカートリッジ本体を有するカートリッジを使用することができる。
【0035】
装置の前記ハウジングを、いくつかの実施形態においては、遠位端および近位端を定めるように形成することができる。いくつかの実施形態においては、注射装置の全体的な形状を、ペンの形状を呈するように形成することができる。
【0036】
装置を、いくつかの実施形態においては、一形態においては1回分の薬剤をもたらした後に廃棄されるように構成できる使い捨ての(1回だけ使用される)装置として形成することができる。そのような装置は、ハウジング内に不可逆に収容された薬剤カートリッジを有することができる。いくつかの形態においては、装置を、吐出操作によって所定の固定された量の薬剤を送出するように構成することができる。他の形態においては、装置を、吐出操作の際に次の注射について意図される1回分の量を設定することができるように構成することができる。
【0037】
本明細書において使用されるとき、注射装置または注射装置の構成部品の「遠位端」という用語は、装置または構成部品の端部であって、装置の送出端に最も近い端部を指すことができる。注射装置または注射装置の構成部品の「近位端」という用語は、装置または構成部品の端部であって、装置の送出端から最も遠く離れた端部を指すことができる。
【0038】
本明細書において使用されるとき、用語「薬剤」は、液体、溶液、ゲル、または微細懸濁液など、薬剤を含有し、流動性を有し、中空針またはカニューレなどの送出手段を制御された様相で通過することができるあらゆる薬物を包含する。投与に先立って液体の形態へと溶かされる凍結乾燥の薬物も、上記定義に包含される。代表的な薬剤として、ペプチド、たんぱく質(例えば、インスリン、インスリン類似体、およびC−ペプチド)、およびホルモンなどの調合薬、生物学的に誘導された物質または生理活性物質、ホルモンおよび遺伝子にもとづく物質、栄養調合物、ならびに固体(調合された)または液体の両方の形態の他の物質が挙げられる。
【0039】
次に、本発明を、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1a】初期の保管状態にある本発明による梱包200内の注射装置100および針アセンブリの第1の実施形態の断面図を示している。
図1b-1f】図1aに示した注射装置100の開梱時の種々の動作段階の断面図を示している。
図2a-2g】針アセンブリ150’を収容しており、キャップ部材170’を有している注射装置100’の第2の実施形態の種々の動作段階を示しており、ハウジング101’の部分切断の側面図を示している。
図3a-3g】図2a〜2gに示した動作段階に対応する種々の動作段階の注射装置100’の第2の実施形態の断面図を示している。
図4a-4e】針アセンブリ150’’を収容しており、キャップ部材170’’を有している注射装置100’’の第3の実施形態の種々の動作段階の側面図を示している。
図5a-5e】注射装置100’’の第3の実施形態の断面図を示しており、図4a〜4eに示した動作段階に対応する種々の動作段階の図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1aは、所定の量の液体の薬剤を医学的に注射するための医療用注射装置100の第1の実施形態の断面図を示している。図1aは、保管状態の注射装置100を示している。図示の実施形態は、作動時に所定の1回分の薬剤を投与し、その後に廃棄されるように構成された使い捨ての装置を示している。この実施形態は、標準的なカートリッジ120からの薬剤の自動的な注射をもたらす自動注射器の形態の注射装置を示している。カートリッジ120は、内部に配置されたピストンを有しており、このピストンが、カートリッジの出口に向かって駆動されるよう、カートリッジの中心軸に沿ってスライドできるように配置されている。穿刺可能な隔膜が、カートリッジ120の使用までカートリッジ120の出口をシールし、この隔膜が、カートリッジの薬剤との連通を確立させるために注射針によって穿刺されるように構成されている。
【0042】
図1aは、両尖の注射針152、153を収容する針容器151を備えている針アセンブリ150をさらに示している。注射針は、針前部および針後部を有する針カニューレ153と、注射針を注射装置100の主要部へと接続するために使用される針ハブ152とを備えている。針容器151は、近位側を向いた開口を有しており、この開口が、例えば針容器151の開口のリム部に沿って取り付けられた紙シールの形態の平坦なフィルムシールなどの無菌シール155によって封じられている。図示の針アセンブリ150は、糖尿病などの疾病の治療のための薬剤を投与するために一般的に使用されている注射ペンに関連して使用される標準的な針パッケージを形成している。
【0043】
図1aに、ハウジング101と協働し、ハウジング101に対して軸方向にスライドするように構成されたキャップ部材170が示されている。装置が保管状態にあるとき、キャップ部材170が、フィルムシールを傷つけないように針アセンブリの全体を保持している。
【0044】
さらに図1aは、カバー部201および202を有するカバー200の形態の梱包を示している。装置の保管状態においては、カバー200が、針アセンブリ150を注射装置100の主要部とは別に保持し、したがってカートリッジ120とは別に保持している。フィルムシール155は、依然として針容器151に取り付けられ、したがって無菌の状態での注射針の保管をもたらしている。保管状態においては、カバー200の内部において、針アセンブリ150および注射装置100の主要部が、無菌シール155がカートリッジ120のカートリッジ隔膜に組み合わせられた開封部材115に対向するように配置されている。
【0045】
使用準備完了状態にある注射装置100、すなわち注射針153がカートリッジ120に取り付けられている注射装置100との比較のために、図1fが参照される。
【0046】
図1a〜1dにおいて、図面が、カバー上部201をカバー下部202に対して全閉状態から全開状態へと移動させることによって注射針152/153の注射装置100との接続を可能にするための針容器の開封の動作を示している。
【0047】
図1bに示されるように、カバー部201および202は、第1の回転ジョイントによってつながっており、カバー上部201を、全閉状態から全開状態へと第1の回転ジョイント204を中心にしてカバー下部202に対して約180度回転させることができる。さらに、カバー上部201は、注射装置100のハウジング101の凹所105と協働する軸棒205を形成している。図示の実施形態においては、カバー上部201が、ほぼ90度の隔たりで配置された比較的長い第1のアームおよび比較的短い第2のアームを有するほぼ「L字」形の部材を定めている。第1の回転ジョイント204が、2つのアームが交わる場所に配置され、軸棒205が、第2のアームの自由端に配置されている。カバー下部202が、キャップ部材170とハウジング100とをそれ以上離すことができないようにキャップ部材170を保持するように構成されている。カバー上部201の形状ゆえ、第1の回転ジョイントおよび軸棒205の配置によって、カバー上部201は、最初に開かれるときにハウジング101をキャップ部材170に向かって押し、すなわちハウジング101および170によって形成される装置の長さを縮めるように機能するレバーアームを形成している(図1bおよび1cを参照)。
【0048】
ハウジング101がキャップ部材170に対して移動するとき、開封部材115がフィルムシール155を貫いて突き出すように押され、注射針153の後部がカートリッジの隔膜を貫くことによってカートリッジ120につながることを可能にする。図示の実施形態においては、これが、カバー上部が図1cに示される位置を過ぎて移動した直後に生じる。カバー部のレバーアームの構成ゆえに、フィルムシールを開封部材によって確実に貫くことができるよう、かなりの力をもたらすことができる。カバー上部201が全開位置に向かってさらに移動するとき、ハウジングとキャップ部材170とで形成されるアセンブリが、わずかな距離だけ引き戻され、カバー下部202から持ち上げられる。取り外し可能な接続部を形成している軸棒205と凹所105とによって形成されるジョイントゆえに、カバー部が開状態に位置するとき、注射装置100のハウジング101およびキャップ部材170を、ケーシング部201および202から容易に分離させることができる。この状態において、図1eに示されるように、装置100は使用の準備ができた状態(投与準備完了状態)である。キャップ部材170を最初に取り除いた後で、装置は注射準備完了状態である(図1fを参照)。針容器151がキャップ部材170に取り付けられているため、キャップ部材170をハウジング101から分離させることで、針容器151も注射装置100の主要部から分離する。図示の実施形態においては、キャップ部材170が、安全キャップを形成している。他の実施形態においては、キャップ部材170を省略してもよい。そのような実施形態においては、カバー下部201を、装置100を2つのケーシング部201および202から分離させることによって自動的に針容器151が注射装置100の主要部から分離するように、針容器151を最初に保持するように構成することができる。
【0049】
キャップ部材170が取り除かれた注射装置100の注射準備完了状態が、図1fに示されている。上述のように、注射装置を、例示の目的で簡単に説明される自動注射器として形成することができる。図示の実施形態においては、ピストンドライバ110が、蓄勢済みのばね111によって付勢されている。動作前、ピストンドライバ110は、保持部材112の保持突起によって保持されているがゆえに、引き込まれた位置に保たれている。針シールド130が、当初は針153の前部を覆うように(図示されていないばねによって付勢されて)突き出し位置に位置している。注射装置が注射の場所に配置されたとき、装置100を皮膚へと押し付けることによって、針シールド130が押し戻される。針シールド130は、注射針153の前部が患者の皮膚へと挿入されるように針シールドが充分に近位側へと押し戻されたときに保持部材112がピストンドライバ110を解放するよう、保持部材112と協働するように構成された駆動面を備えている。蓄勢済みのばね111に蓄えられたエネルギゆえに、ピストンドライバ110が前方へと駆動され、所定の量を吐出させる。1回分の注射後に、注射装置100を皮膚から引き戻すことができ、注射装置を、キャップ部材170ならびに/あるいはカバー部201および202を再び配置した後で廃棄することができる。
【0050】
図示の実施形態においては、注射針152/153が、回転を含まない純粋な平行移動によって注射装置100の主要部へと取り付けられる。針ハブ152の針取り付け面および/または注射装置の取り付け面(参照番号なし)は、例えばスナップ接続を得るように針ハブおよび/または取り付け面を設計することによって、非回転の相対直線移動による接続を可能にするように形成することができる。例として、国際公開第2004/004812号A1パンフレットに示されている注射針の針ハブの突起を、注射針を注射装置へと固定するためのスナップ固定の一部として使用し、針の取り付け時の回転運動の必要をなくすことができる。
【0051】
上述のように、フィルムシール155は、開封部材115が針容器151に形成された開口を通って突き出すときに破られる。これに代え、あるいはこれに加えて、従来の針容器のフィルムシールに形成されるプルタブを、カバー上部201の内面から針アセンブリ150のフィルムシール155に向かって突き出すように形成された剥離部材206によって、カバー上部201へと取り付けることができる(図1aおよび1bを参照)。カバー上部201が初期にカバー下部202に対して回転するときに、剥離部材206が、フィルムシール155を針アセンブリ150の中心軸をほぼ横切る方向に移動させることによって引き剥がす。このようにして、剥離部材206が、開封部材115の容易な進入を可能にし、あるいはカートリッジ120を針容器151の内部へと直接突出させることができるよう、フィルムシールを針容器151のリムから完全にまたは途中まで引き剥がすことができる。
【0052】
図2a〜2gおよび図3a〜3gに、注射装置100’の第2の実施形態が示されている。第1の実施形態と同様に、種々の図が、注射針152’/153’の開封および注射装置100’の主要部に対する取り付けの際の種々の段階における注射装置100’を示している。図2a〜2gが、注射装置のハウジング101’と、注射装置100’の遠位端に取り付けられるキャップ部材170’を定めているカバーとの間の軌道および溝の接続を見て取ることができるように、ハウジング101’を部分的に切除した装置100’の側面図を示している。図3a〜3gは、図2a〜2gに示されている状態にそれぞれ対応する注射装置100’の縦断面図である。
【0053】
注射装置100’の第2の実施形態は、カートリッジ120’の中身を吐出させるべくカートリッジのピストンを手動で駆動することを可能にする操作ボタン103’をハウジング101’の近位端に配置して有している手動注射器を示している。図2aおよび3aに示されている装置の保管状態において、キャップ部材170’が、第1の実施形態において示した針アセンブリ150におおむね相当する針アセンブリ150’を保持している。キャップ部材170’は、キャップ部材170’をハウジング101’に対して回転させることによって針アセンブリ150’のフィルムシール155’をシール状態から開封状態へと変化させることを可能にするツールとして機能する。特に器用さに欠けるユーザに関して、人間工学的な操作を促進するために、キャップ部材170’は、一方の手によってハウジング101’をしっかりと把持しつつ、他方の手によって容易に把持することができる1対の翼を備えている。
【0054】
上述のように、軌道および溝の接続が、キャップ部材170’とハウジング101’との間に形成されている。この軌道および溝の接続が、これら2つの部品の間の相対運動を定める。図示の実施形態においては、キャップ部材170’が、ハウジング101’の遠位部の内側に挿入された近位部を有している。突起102’が、ハウジング101’から径方向内側へと突き出しており、キャップ部材170’の外側部分に形成された軌道171’と協働する。キャップ部材は、図面に示されているように、キャップ部材の可視部分に形成された矢印標識172’を有することができる。矢印標識172’は、ハウジング101’に対するキャップ部材170’の意図される操作の方向を表わしている。
【0055】
図3a(初期の保管状態の装置を示している)に示されるとおり、針アセンブリは、カートリッジ120’および開封部材115’から離して配置されている。したがって、注射針152’/153’は、フィルムシール155’が無傷であるがゆえに、無菌の状態で保存されている。
【0056】
軌道171’は、矢印標識172’の形状におおむね一致する形状を有している。図示の実施形態においては、最初にキャップ部材170’が回転することで、近位方向へのキャップ部材170’の軸方向の移動が生じる(図2a〜2dおよび3a〜3dに示されている)。この回転の際に、ハウジング101’とキャップ部材170’とで形成される集合体の長さが短くなる。キャップ部材170’とハウジング101’との相対的な軸方向の移動により、針容器151’が開封部材115’に向かって押される。回転運動によってキャップ部材170’へと加えられる力が、軸方向のより大きな力へと変換されるため、開封部材が針容器151’によって形成された空洞へと比較的容易に突き出し、フィルムシール155’を破って注射針153の後部でカートリッジの隔膜を貫くことが可能になる(図3dを参照)。
【0057】
軌道171’は、さらなる回転が不可能であるように定められている。しかしながら、軌道171’の軸方向に延びている部分ゆえに、キャップ部材170’を遠位方向に移動させることによって、キャップ部材170’を注射装置100’のハウジング101’から分離させることができる(図3eおよび3fを参照)。図示の実施形態においては、キャップ部材170’が針容器151’を堅固に把持しているため、針容器151’がキャップ部材170’の取り外し時にハウジング101’から回収される。図2fおよび3fに示されるとおり、内キャップ156’が、投与の実行前の針を保護する。内キャップ156’の除去後に、注射装置100’は、注射準備完了状態となる(図2gおよび3gを参照)。
【0058】
第1の実施形態と同様に、針ハブ152’および注射装置100’の取り付け面が、スナップ接続を形成することができる。あるいは、この接続を、ねじ接続またはバヨネット接続として設けることができる。軌道171’を、ハウジング101’に対するキャップ部材170’の回転によって針ハブ152’と装置の針取り付け面との正しい取り付けが保証されるよう、上述のようなねじ接続またはバヨネット接続の回転結合を可能にするように形成することができる。
【0059】
投与後に、キャップ部材170’’を、使用済みの注射装置100’’の安全な廃棄のために、ハウジング101’’へと再び取り付けることができる。
【0060】
図4a〜4eおよび図5a〜5eが、注射装置100’’の第3の実施形態を示している。第1および第2の実施形態と同様に、種々の図が、注射針152’’/153’’の開封および注射装置100’’の主要部に対する取り付けの際の種々の段階における注射装置100’’を示している。図4a〜4eが、装置100’’および注射装置100’’の遠位端に取り付けられるキャップ部材170’’を定めているカバーの側面図を示している。図5a〜5eは、図4a〜4eに示されている状態にそれぞれ対応する注射装置100’’の縦断面図である。
【0061】
注射装置100’’の第3の実施形態は、手動で操作されるように構成された操作ボタン103’’をハウジング101’’の近位端に配置して有している自動注射器を示している。手動操作によって装置が作動し、予め蓄勢されたばねによってカートリッジ120’’のピストンを自動的に駆動し、カートリッジの中身を吐出させることができる。概要しか説明しないが、自動注射器の図示の第3の実施形態は、注射装置100’’の作動時の注射の場所における注射針の自動挿入を含む。これは、注射針152’’/153’’が取り付けられた状態のカートリッジ120’’をハウジング101’’の内部において遠位方向に移動させることによって行なわれる。
【0062】
図4aおよび5aに示されている装置の保管状態においては、キャップ部材170’’が針アセンブリ150’’を保持している。針アセンブリは、使用まで注射針を隠された状態に保つようにばね要素によって付勢され、使用後には突き出した位置に固定される針シールドを有している針を開示している国際公開第03/045480号A1パンフレットに示されている種類の針アセンブリであってよい。図5a(初期の保管状態の装置100’’を示している)に示されるとおり、針アセンブリ150’’は、カートリッジ120’’および開封部材115’’から離して配置されている。したがって、注射針152’’/153’’は、フィルムシール155’が無傷であるがゆえに、無菌の状態で保存されている。
【0063】
キャップ部材170’’とハウジング101’’との間の接続(図示されていない)が、これら2つの部分が最初に回転するように定めている。回転の終了後に、キャップ部材170’’をハウジング101’’から取り外すことができる。
【0064】
キャップ部材170’’は、キャップ部材170’’のハウジング101’’に対する回転時に針アセンブリ150’’のフィルムシール155’’の開封作用をもたらすための機構を備えている。この機構は、針アセンブリ150’’のフィルムシールを取り除き、かつ/または貫き、かつ/または破るための開封作用に専用の、蓄勢されたばね190’’を備えている。蓄勢されたばね190’’の遠位端が、キャップ部材170’’によって保持される一方で、ばね190’’の近位端が、軸方向に可動な部材180’’に作用している。軸方向に可動な部材180’’は、針容器151’’に対して取り付けられている。
【0065】
図4aおよび5aに示されている第1の位置から図4cおよび5cに示されている第2の位置へとキャップ部材170’’がハウジング101’’に対して回転するとき、軸方向に可動な部材180’’が、初期の遠位位置から解放される。ばね190’’のばね力ゆえに、軸方向に可動な部材180’’が近位方向に押され、針アセンブリ150’’を近位方向に押す。ばね力により、開封部材115’’が針容器151’’の近位端によって形成される空洞へと進入させられ、フィルムシール155’’をシール状態から開封状態へと変化させる。この機構によれば、キャップ部材170’’をハウジング101’’に対して回転させるために必要な比較的小さな力が、軸方向の比較的大きな力へと変換される。ばね190’’のばね定数および衝突の地点を選択することによって、開封作用に必要な所定の衝撃を、最適に保証することができる。この実施形態においては、ハウジング101’’に対する針アセンブリ150’’の移動が、カートリッジの隔膜への針の進入も伴う。
【0066】
図4dおよび5dに示されるとおり、キャップ部材170’’を、開封作用に続いて遠位方向に移動させることで、キャップ部材170’’を注射装置100’’のハウジング101’’から分離させることができる(図4eおよび5efを参照)。図示の第3の実施形態においては、キャップ部材170’’および軸方向に可動な部材180’’が針容器151’’を保持しており、したがって針容器151’’が、キャップ部材170’’の取り外し時にハウジング101’’から引き離される。
【0067】
図4eおよび5eに示されるとおり、針シールド156’’が、ハウジング101’’の遠位端からわずかに突き出している。この針シールドは、注射装置100’’が注射の場所に押し付けられるとき、ハウジングに対して自動的に引っ込む。したがって、図4eおよび5eは、注射準備完了状態の注射装置100’’を示している。
【0068】
投与後に、キャップ部材170’’を、使用済みの注射装置100’’の安全な廃棄のために、ハウジング101’’へと再び取り付けることができる。
【0069】
上述の実施形態において、上述の注射装置の種類は、主として針の開封の手順の機能を説明するための典型的な実施形態としての役割を果たしていることに、注意すべきである。上述の実施形態においては、自動注射機能を有する注射器および手動注射器が使用されているが、これらは互いに入れ換え可能である。さらに、別の実施形態においては、例えば針の自動挿入または自動引き込みを有する注射器ならびに注射針の手動での挿入および引き込みなど、自動化の水準がより高く、あるいはより低い他の種類の注射器を、使用することが可能である。注射器において、装置に収容されるカートリッジは、ハウジングの内側に固定に取り付けられても、ハウジングに対してスライド可能に取り付けられてもよい。
【0070】
以上、いくつかの好ましい実施形態を示したが、本発明がそれらに限られるわけではなく、以下の特許請求の範囲に定められる主題の範囲内で他の方法でも具現化可能であることを強調する。
[符号の説明]
100、100’、100’’: 注射装置
101、101’、101’’:ハウジング
120、120’、120’’:カートリッジ
152、153、152’、153’、152’’、153’’:注射針
110、110’、110’’:ピストンドライバ
150、150’、150’’:針アセンブリ
151、151’、151’’:針容器
155、155’、155’’:フィルムシール
200:カバー
115、115’、115’’:開封部材
170;170’;170’’:キャップ
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
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図3a
図3b
図3c
図3d
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図4a
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図5a
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